説明

凹凸パターン形成方法

【課題】
ナノインプリント用のマスター材料や曲面印刷用のパッド材、オフセット印刷用のブランケット材料等、凹凸パターンを転写する印刷用部材としてシリコーンゴム硬化物を使用して凹凸パターンを形成する方法であって、シリコーンゴム硬化物が溶剤などにより重量変化及び体積変化することを抑制し、シリコーンゴム硬化物の強度及び形状を維持しながら、寸法精度の良いパターン転写及び印刷を繰り返し可能にする凹凸パターン形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
基材上に凹凸パターンを形成する方法であって、
光硬化性樹脂組成物を基材上に塗布して転写層を形成する工程と、
凹凸パターンを有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物(以下、シリコーンゴム硬化物と称す)の凹凸パターン面を転写層上に押し当てる工程と、
光照射により該光硬化性樹脂組成物を硬化する工程と、
該光硬化性樹脂組成物の硬化物からシリコーンゴム硬化物を分離して、基材上に凹凸パターンを残す工程とを含む方法において、
前記付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物を前記光硬化性樹脂組成物中に12時間浸漬した前後で測定した場合の硬化物の重量変化率が1.5%以下であることを特徴とする、凹凸パターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に凹凸パターンを形成する方法に関し、更に詳しくは、光硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤などによる、印刷部材の重量変化または体積変化等の膨潤を抑制し、印刷部材の強度を維持しつつ、寸法精度の良いパターン転写及び印刷を繰り返し可能とする、凹凸パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコーンゴムは、その優れた耐熱性、耐寒性、電気特性等を活かして、いろいろな分野で広く利用されている。特に、流動性がよく、微細パターンを有したマスターからの寸法再現性のよい反転も可能であることから、ナノインプリント用のマスター材料や曲面印刷用のパッド材、オフセット印刷用のブランケット材としても注目を集めるようになってきた。特に寸法再現性、作業性の点で、付加反応硬化型の液状シリコーンゴム組成物が多用されるようになってきた。
【0003】
これらのシリコーンゴム組成物は、一般的には高重合度のオルガノポリシロキサンと補強性レジンとを含有する組成物の形で供給される。この組成物は、万能混合機、ニーダー等の混合装置を用いて原料ポリマーに補強性レジンや各種分散剤を混合することにより調製されている。オルガノポリシロキサンや補強性レジンは、シロキサン骨格の側鎖基として通常メチル基を有しており、それを配合して得られるシリコーンゴム組成物及びその硬化物であるシリコーンゴムは、光硬化性樹脂やインクなどに含有されている溶剤により膨潤してしまい、特に、光硬化性樹脂を用いたナノインプリント時の微細パターンの反転では、所定の寸法のパターンが転写、印刷できないなどの問題があった。
【0004】
従来、シリコーンゴムの溶剤膨潤抑制の手段としては、フロロシリコーン系のものを用いることが提案されている(特許文献1)が、炭化水素系溶剤には効果がなく、寸法精度には問題がある。またフッ素系ゴム単独での使用では強度が非常に弱く、単独ではナノインプリント用のマスター材料や曲面印刷用のパッド材、オフセット印刷用のブランケット材としては利用できないという問題点がある。
【0005】
また、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物の表面にフッ素系ゴム組成物の硬化物を被覆積層した積層構造シリコーンゴムが提案されている(特許文献2)が、該ゴムは積層した界面の強度が不十分であり、繰り返し転写性に劣る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−002923号公報
【特許文献2】特開2011−042068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ナノインプリント用のマスター材料や曲面印刷用のパッド材、オフセット印刷用のブランケット材料等、凹凸パターンを転写する印刷用部材としてシリコーンゴム硬化物を使用して凹凸パターンを形成する方法であって、シリコーンゴム硬化物が溶剤などにより重量変化及び体積変化することを抑制し、シリコーンゴム硬化物の強度及び形状を維持しながら、寸法精度の良いパターン転写及び印刷を繰り返し可能にする凹凸パターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物からなる硬化物を印刷用部材として用い、凹凸パターンを転写する層に光硬化性樹脂組成物を用いて凹凸パターンを形成する方法において、シリコーンゴム硬化物を光硬化性樹脂組成物中に12時間浸漬した前後で測定した場合の硬化物の重量変化率が1.5%以下であるシリコーンゴム硬化物及び光硬化性樹脂組成物を用いることにより、溶剤等によるシリコーンゴム硬化物の膨潤が抑制され、繰返し転写してもシリコーンゴム硬化物の十分な強度及び形状を維持することができ、寸法精度の良いパターン転写及び印刷が可能になることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
基材上に凹凸パターンを形成する方法であって、
光硬化性樹脂組成物を基材上に塗布して転写層を形成する工程と、
凹凸パターンを有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物(以下、シリコーンゴム硬化物と称す)の凹凸パターン面を転写層上に押し当てる工程と、
光照射により該光硬化性樹脂組成物を硬化する工程と、
該光硬化性樹脂組成物の硬化物からシリコーンゴム硬化物を分離して、基材上に凹凸パターンを残す工程とを含む方法において、
前記付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物を前記光硬化性樹脂組成物中に12時間浸漬した前後で測定した場合の硬化物の重量変化率が1.5%以下であることを特徴とする、凹凸パターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の凹凸パターン形成方法は、ナノインプリント用のマスター材料、曲面印刷用のパッド材、及びオフセット印刷用のブランケット材料等の印刷用部材に使用されるシリコーンゴム硬化物が溶剤等により膨潤することを抑制し、繰返し転写してもシリコーンゴム硬化物の強度及び形状を維持でき、寸法精度の良いパターン転写及び印刷を可能にする。その為、本発明の凹凸パターン形成方法は、ナノインプリント、曲面印刷、及びオフセット印刷により凹凸パターンを形成する方法として好適に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
付加反応硬化型シリコーンゴム組成物
本発明のシリコーンゴム組成物は、ナノインプリント用のマスター材料、曲面印刷用のパッド材、あるいはオフセット印刷用のブランケット材料等の印刷用部材として通常使用されているものであればよいが、特には、下記(A)〜(C)成分を含有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物が好ましい。
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合する脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(C)付加反応用触媒。
【0012】
(A)オルガノポリシロキサン
本発明で用いられる(A)オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した脂肪族不飽和基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有し、付加反応によりゴム弾性を有する網状構造を形成することができるものであればよい。該オルガノポリシロキサンは、直鎖状のジオルガノポリシロキサンであっても、分岐状のシリコーンレジン(補強性を有するシリコーンレジン)であってもよい。
【0013】
脂肪族不飽和基は、炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、ビニル、アリル、プロペニル、1−ブテニル、1−ヘキセニル等が挙げられる。中でも、合成が容易であり、また、硬化前の組成物の流動性や、硬化後の組成物の耐熱性を損ねないという点から、ビニル基が最も好ましい。脂肪族不飽和基はオルガノポリシロキサンの分子鎖の末端又は途中のいずれに存在してもよく、その双方に存在してもよい。脂肪族不飽和基の含有量は特に制限されないが、多すぎると硬化物が脆くなることがあるため、オルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合した全有機基の合計モルに対し20モル%以下、特には、10モル%以下であることが好ましい。
【0014】
(A)成分のケイ素原子に結合した他の有機基としては、脂肪族不飽和基を除く、非置換又は置換の炭素数1〜10の一価炭化水素基が好ましい。該一価炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、及びドデシル等のアルキル基;フェニル等のアリール基;ベンジル、2−フェニルエチル、及び2−フェニルプロピル等のアラルキル基;クロロメチル、クロロフェニル、2−シアノエチル、及び3,3,3−トリフルオロプロピル等のハロゲン置換、シアノ置換等の置換炭化水素基が例示される。中でも、合成が容易であり、機械的強度及び硬化前の流動性等の特性のバランスが優れているという点から、メチル基が最も好ましい。
【0015】
(A)オルガノポリシロキサンは、硬化後の組成物に優れた機械的性質を与えるために、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された、直鎖状ジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。また、脂肪族不飽和基は、少なくとも、前記直鎖状のジオルガノポリシロキサンの両末端に存在していることが好ましい。
【0016】
硬化後の組成物の機械的特性を向上させ、ナノインプリント用のマスター材料等として用いるためには、直鎖状のジオルガノポリシロキサンと分岐状のオルガノポリシロキサン(補強性を有するシリコーンレジン)とを混合して用いることが好ましい。
【0017】
分岐状のオルガノポリシロキサンとしては、シリコーンレジンであれば特に制限されないが、式:RSiO1/2(式中、Rは独立に、非置換又は置換の一価炭化水素基である。)で表されるシロキサン単位及び式:SiO4/2で表されるシロキサン単位を含有する、アルケニル基含有の三次元網状構造のシリコーンレジンが好ましい。この場合、Rの非置換又は置換の一価炭化水素基としては、(A)成分における脂肪族不飽和基を有する一価炭化水素基及び該一価炭化水素基以外の有機基と同様のものが挙げられる。
【0018】
また、RSiO1/2単位とSiO単位との割合は、モル比としてRSiO1/2/SiOが0.3〜2、特に0.7〜1であることが、硬化物の機械的特性等の点で好ましい。なお、上記補強性レジンには、必要によりRSiO単位、RSiO3/2単位(Rは上記の通り。)をそれぞれ補強性レジン全体の0〜10モル%、特に0〜5モル%の割合で含んでもよい。
【0019】
直鎖状のジオルガノポリシロキサンと分岐状のオルガノポリシロキサンとを混合物として用いる場合、直鎖状のジオルガノポリシロキサンと分岐状のオルガノポリシロキサンの配合割合は、質量比で98:2〜40:60であることが好ましく、より好ましくは95:5〜50:50、特に好ましくは90:10〜60:40である。直鎖状のジオルガノポリシロキサンの割合が高すぎると、硬化物の機械的特性の向上が不十分となることがあり、低すぎると硬化物のゴム弾性が低下することがある。
【0020】
(A)成分の粘度(混合物の場合は、混合物としての粘度)は、硬化前の組成物が良好な流動性及び作業性を有し、硬化後の組成物が適度の弾性を有するために、オストワルド粘度計による粘度測定において25℃における粘度が500〜500,000mm/sのものが好ましく、1,000〜100,000mm/sのものが特に好ましい。
【0021】
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中に含まれるヒドロシリル基(即ち、SiHで示されるケイ素原子に結合した水素原子)が(A)成分中のケイ素原子に結合する脂肪族不飽和基への付加反応を行うことにより、(A)成分の架橋剤として機能するものである。該オルガノポリシロキサンは、シリコーンゴム組成物の硬化物を網状化するために、ケイ素原子に結合した水素原子を、1分子中に少なくとも2個(通常、2〜300個)、好ましくは3個以上(例えば、3〜200個)有しているものである。
【0022】
シロキサン単位のケイ素原子に結合した有機基としては、前述の(A)成分における脂肪族不飽和基以外の有機基と同じものが例示され、それらの中でも、合成が容易な点から、メチル基が最も好ましい。
【0023】
(B)成分におけるシロキサン骨格は、直鎖状、分岐状、環状又は三次元網状のいずれであってもよい。また、これらの混合物を用いてもよいが、直鎖状のものが好ましい。(B)成分の重合度(又は1分子中のケイ素原子の数)は特に限定されないが、同一のケイ素原子に2個以上の水素原子が結合したオルガノハイドロジェンポリシロキサンは合成が困難なので、3個以上のシロキサン単位(例えば、1分子中のケイ素原子数が3〜300個、好ましくは4〜200個程度)からなることが好ましく、取り扱いが容易で、貯蔵中及び硬化反応のために加熱する際に揮発しないことから、25℃におけるオストワルド粘度計による粘度が15〜200mm/sであることが更に好ましい。
【0024】
(B)成分の配合量は、(A)成分のケイ素原子に結合する脂肪族不飽和基1個に対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5〜5個、特に1〜3個となるような量であることが好ましい。上記の水素原子の存在比が0.5個未満となるような量では、硬化が完全に終了しないため、組成物を硬化して得られる型が粘着性を帯び、シリコーン硬化物を成形する際の離型性が低下する場合がある。逆に、該存在比が5個を超えるような量の場合は、硬化の際に発泡が起こりやすく、微細パターンを反転することができないという問題が生じるおそれがある。
【0025】
(C)付加反応用触媒
本発明で用いられる(C)付加反応用触媒としては、白金系化合物が好ましい。白金系化合物は、(A)成分中の脂肪族不飽和基と(B)成分中のヒドロシリル基との間の付加反応を促進させるための触媒であり、常温付近において硬化反応の触媒能が良好であるという点で優れている。
【0026】
白金系化合物としては、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコールを反応させて得られる錯体、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ケトン錯体、白金−アルデヒド錯体等が例示される。このうち(A)成分及び(B)成分への溶解性や、触媒活性が良好な点から、塩化白金酸とアルコールの反応生成物及び白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。
【0027】
(C)成分の配合量は、(A)成分に対して白金原子の質量換算で1〜500ppmであることが好ましく、より好ましくは2〜200ppmである。(C)成分の配合量が少なすぎると、硬化速度が遅く、硬化が完全に終了しにくくなることがあり、シリコーンゴム型が粘着性を帯びて、原型からのシリコーンゴム型の離型性及びシリコーンゴム型からの複製品の離型性が低下するおそれがある。(C)成分の配合量が多すぎると、硬化速度が過度に速まるために各成分を配合した後の作業性が損なわれる場合があり、また不経済となる場合がある。
【0028】
本発明の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物には、目的に応じて、本発明の特徴を妨げない範囲で、上記(A)〜(C)成分以外に他の成分を配合することができる。即ち、本発明のシリコーンゴム組成物の室温における硬化を抑制して、貯蔵安定性および作業性を改善するために、アセチレン化合物、マレイン酸ジアリル、トリアリルイソシアヌレート、ニトリル化合物又は有機過酸化物のような硬化制御剤を配合してもよい。更に、必要に応じて、離型剤、顔料、可塑剤、難燃性付与剤、チキソトロピー性付与剤、防菌剤、防カビ剤等を配合してもよい。
【0029】
本発明のシリコーンゴム組成物は、上記(A)〜(C)成分、及び必要に応じて配合される他の成分を、プラネタリーミキサー、品川ミキサー、万能混練機、ニーダー等の混合手段によって均一に混練することにより調製することができる。通常は、(B)成分を含む成分群と(C)成分を含む成分群とをそれぞれ別個に調製して保存しておき、使用直前に両成分を均一に混合してから使用することができるが、硬化制御剤の存在下に全成分を同一容器内に保存することも可能である。
【0030】
本発明のシリコーンゴム組成物の硬化条件は、特に制限されないが、通常室温〜300℃、好ましくは120〜200℃、特には150〜180℃で、0.5分〜2時間、特には1分〜1時間程度の条件で硬化させることが好ましい。該シリコーンゴム硬化物は、ナノインプリント用のマスター材料、および曲面印刷用のパッド材、オフセット印刷用のブランケット材等に使用される。該シリコーンゴム硬化物の使用態様は、例えば、微細パターンを反転して写し取った、ナノインプリント用部材、曲面印刷用パッド材、及びオフセット印刷用ブランケット材等である。これらは、微細パターンが形成されたマスターや、曲面印刷用パッドを成形するための凹型ジグや平坦度の高い基材(例えばガラス基板など)に、上記シリコーンゴム組成物を供給し、所定の硬化条件にて硬化させた後に脱型することにより製造される。
【0031】
ナノインプリント用のマスター材料として使用する場合、シリコーンゴム層の厚みは1μm〜3mmであることが好ましく、特には、50μm〜2mmであることが好ましい。また、シリコーンゴム硬化物のJIS2号ダンベルを作製して東洋精機社製ストログラフにより測定した引っ張り強度が、1MPa以上、特に2MPa以上であることが好ましく、この引っ張り強度値であると十分使用可能なゴム硬度レベルとすることができる。
【0032】
光硬化性樹脂組成物
光硬化性樹脂組成物は基材上に塗布されて転写層を形成し、基材表面上に凹凸パターンを残す為に用いられる。本発明の方法は、光硬化性樹脂組成物がシリコーンゴム硬化物中に取り込まれにくいものであることを特徴とする。即ち、上述したシリコーンゴム硬化物を光硬化性樹脂組成物中に12時間浸漬した前後で測定した場合のシリコーンゴム硬化物の重量変化率が1.5%以下であることを特徴とする。シリコーンゴム硬化物の重量変化は、実質的にシリコーンゴム硬化物中に光硬化性樹脂組成物が取り込まれるかを示すものであり、シリコーンゴム硬化物の浸漬前後での重量変化率を1.5%以下とすることで、シリコーン硬化物の重量変化及び体積変化等を良好に抑制することができる。これにより、シリコーン硬化物が高強度を維持しつつ、寸法精度の良いパターン転写を繰り返し行うことが可能となる。重量変化率はより少ない方が好ましく、重量変化率が1.0%以下となるとさらに繰り返し使用回数が伸び、優れた寸法精度となる。シリコーンゴム硬化物の重量変化の測定は、上述したシリコーン組成物を硬化して得られた、長さ40mm、幅10mm、及び厚さ2mmを有するシリコーンゴムシート(シリコーンゴム硬化物)を、浸漬するのに十分な量の光硬化性樹脂組成物中に室温(25℃)で12時間浸漬し、シリコーンゴムシート表面に付着している光硬化性樹脂組成物をきれいに拭き取り、浸漬前後の重量変化を測定する方法で行われるのがよい。
【0033】
本発明で使用する光硬化性樹脂組成物は、シリコーンゴム硬化物を該光硬化性樹脂組成物中に12時間浸漬した前後で測定した場合のシリコーンゴム硬化物の重量変化率が1.5%以下となる組成物であればよく、特には、(a)1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上含有する化合物、及び(b)ラジカル開始剤を含有する組成物が好ましい。該光硬化性樹脂組成物はさらに(c)溶剤を含有していてもよい。
【0034】
(a)1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上含有する化合物は、硬化性成分の主成分であり硬化により被膜のマトリックスを形成する。(メタ)アクリル基含有化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド変性ジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、(メタ)アクリル基を2個以上含有するシリコーン等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
特に、皮膚刺激係数(PII値、Primary Skin Irritation Index)が2以下、特に0〜1.8である(メタ)アクリル基含有化合物が、シリコーンゴム硬化物に対して、重量変化、体積変化等の膨潤抑制に優れるため好ましい。皮膚刺激係数(PII値)は化学物質の皮膚障害の度合を示すものとして広く用いられているものであり、ドレーズ法により測定される。測定値は0〜8の範囲で表示され、値が小さいほど皮膚に対する浸透性が低く、刺激性が低い事を示す。当該指標は(メタ)アクリル基含有化合物のシリコーンゴム硬化物への浸透性に相関しており、PII値が小さいものほど、(メタ)アクリル化合物のシリコーン硬化物への浸透性が低くなることを示す。特に、皮膚刺激係数が2以下、さらには0〜1.8である(メタ)アクリル基含有化合物が、シリコーンゴム硬化物への浸透が抑制されることから好適である。尚、(メタ)アクリル基含有化合物のPII値は、(メタ)アクリル基含有化合物をエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドで変性することにより小さくすることができる。
【0036】
このような化合物としては、例えば、下記式(1)で表される、アルキレンオキサイドで変性された(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【化1】

(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、R、R、及びRは、互いに独立に、炭素数1〜6、好ましくは2〜4の2価炭化水素基であり、特に好ましくは、CまたはCであり、Rは、炭素数1〜6、好ましくは1〜3の1価炭化水素基であり、特に好ましくは、CHまたはCであり、n、k、及びmは0〜10の整数であり、但し、n+k+mは3〜30である)
特に、上記式(1)で表わされる化合物のうち、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0037】
また、(a)成分はポリマー材料であってよい。ポリマー材料を用いることによりシリコーンゴム硬化物への浸透が抑制されることから好適である。当該ポリマー材料としては、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、シリコーン系等が挙げられる。そのうち、シリコーン系材料は、残存するシラノール基の影響からガラス基材への密着性も優れるため好適である。
【0038】
シリコーン系ポリマー材料は、(メタ)アクリル基を含有するアルコキシシラン化合物を加水分解して得られたものであり、(メタ)アクリル基とシラノール基を含有するポリマーである。
【0039】
該(メタ)アクリル基を含有するアルコキシシラン化合物としては、
[化2]
CH=C(CH)COOCSi(OCH
CH=C(CH)COOCSi(OC
CH=C(CH)COOCSi(OCOCH
CH=C(CH)COOCSiCH(OCH
CH=C(CH)COOCSiCH(OC
CH=C(CH)COOCSiCH(OCOCH
CH=C(CH)COOCSi(CHOCH
CH=C(CH)COOCSi(CHOC
CH=C(CH)COOCSi(CHOCOCH
CH=CHCOOCSi(OCH
CH=CHCOOCSi(OC
CH=CHCOOCSi(OCOCH
CH=CHCOOCSiCH(OCH
CH=CHCOOCSiCH(OC
CH=CHCOOCSiCH(OCOCH
CH=CHCOOCSi(CHOCH
CH=CHCOOCSi(CHOC、及び
CH=CHCOOCSi(CHOCOCH
等が例示され、これらの中でも、CH=C(CH)COOCSi(OCH、及びCH=CHCOOCSi(OCHが好ましい。
【0040】
また、上記(メタ)アクリル基を含有するアルコキシシラン化合物の特性を損なわない範囲で他の加水分解性シランを用いることができ、例えば、下記一般式(2)で表される加水分解性シランを添加することができる。
[化3]
Si(OR4−a (2)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、又はアセチル基であり、aは0〜3の整数である。)
【0041】
上記式中、Rの炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基等が挙げられる。また、Rとしては、メチル基、及びエチル基を例示することができる。
【0042】
特に、硬化物の耐摩耗性を向上させる為には、Si(OCH、Si(OC、CHSi(OCH、CHSi(OCで表わされる加水分解性シランを添加することが好ましい。硬化物の耐クラック性を向上させる為には、(CHSi(OCH2、(CHSi(OC、CSi(OCH、CSi(OC、C11Si(OCH、C11Si(OC、(CHSiOCH、(CHSiOCで表わされる加水分解性シランを添加することが好ましい。硬化物の防汚性を向上させる為には、CSi(OCH、CSi(OC、C13Si(OCH、C13Si(OC、C1021Si(OCH、C1021Si(OC、C13Si(OCH、C17Si(OCHで表わされる加水分解性シランを添加することが好ましい。また、これらの部分加水分解物でもよい。
【0043】
上述した(メタ)アクリル基を含有するアルコキシシラン化合物、及び、必要に応じて加水分解性シラン化合物を加水分解することにより本発明において適用されるシリコーン系ポリマー材料を製造する。加水分解の方法は、従来公知の方法に従えばよい。
【0044】
加水分解反応時に使用可能な有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、t−アミルアルコール、ブチルセロソルブ、3−メチル−3−メトキシブタノール、ダイアセトンアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルフォキシドなどの溶媒を例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、水系、溶剤を含まない系で加水分解することも可能である。これらのなかでも、メタノールを使用することがよりシリコーンゴム硬化物への浸透が抑制されるため好ましい。
【0045】
加水分解反応を行うに際して、加水分解触媒を使用してもよい。触媒は、反応系に直接添加するか、或いは反応に使用する水に触媒を分散・溶解して添加するとよい。加水分解触媒としては、従来公知の触媒を使用することができ、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素などの鉱酸;シュウ酸、マレイン酸などのカルボン酸;メタンスルフォン酸などのスルフォン酸;KFなどの酸性或いは弱酸性の無機塩;表面にスルフォン酸基又はカルボン酸基を有するイオン交換樹脂などの固体酸;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラートなどの塩基性物質;酢酸ナトリウム、ぎ酸ナトリウムなどの有機酸塩;アンモニア、ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンの如きアミン化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、亜鉛オクチレート、亜鉛アセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、スズアセチルアセトナート、ジブチルスズオクチレート、ジブチルスズラウレートの如き含金属化合物類などを使用することが可能である。
【0046】
これらの触媒は複数種混合して使用してもよい。加水分解触媒の量は、珪素原子上の加水分解性基1モルに対して0.001〜10モル%の範囲内であることが好ましい。また必要に応じて、加水分解終了後、中和してもよいし、濾別除去してもよい。最終的に、系のpHをシラノール基が安定に存在しやすいpH=2〜7、特に好ましくはpH=3〜6に制御することが、安定性を確保する観点からは好ましい。pHを調節するための緩衝剤となる酸・塩基性化合物の組み合わせ、例えば酢酸と酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムとクエン酸などを添加してもよい。
【0047】
加水分解反応に使用される水の量は、ケイ素原子に結合している加水分解性基に対する水のモル比が0.1〜50の範囲を満たしているのがよい。モル比が上記下限値未満の場合には、重合度が低く、揮発性が高く、その結果塗工性が悪くなるため好ましくない。また、モル比が上記上限値を超えるとポットイールドが低下し、生産性が悪くなり、経済的に好ましくない。更に、適度な分子量を確保する観点から、本モル比は0.2〜30の範囲を満たしているのがよい。この加水分解を実施する場合、反応を促進させる目的或いは完結させる目的から、系を加熱してもよい。尚、シリコーン系ポリマーの好ましい重量平均分子量は、300〜50000、特には500〜20000である。
【0048】
得られたシリコーン系ポリマー材料は、単独で使用する以外に、上記アクリレート系材料、特にトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレートやメタノールで溶解することにより、シリコーンゴム硬化物への浸透が抑制される。
【0049】
本発明で用いられる(b)ラジカル開始剤は、アセトフェノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の通常のものから選択することができる。ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、チオキサントン誘導体、ベンゾインエチルエテル、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、ヒドロキシジメチルアセトフェノン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルファイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシエトキシ]−エチルエステルとオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルの混合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184(BASF製))、ヒドロキシジメチルアセトフェノン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907(BASF製))、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルファイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE 127(BASF製))、及び、オキシフェニル酢酸 2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸 2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(IRGACURE 754(BASF製))が、表面硬化性が良好である点から好ましい。
【0050】
本発明で用いられる(c)溶剤は、上述した加水分解反応時に使用可能な有機溶媒と同様なものを使用可能である。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、t−アミルアルコール、ブチルセロソルブ、3−メチル−3−メトキシブタノール、ダイアセトンアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルフォキシドなどの溶媒を例示することができるが、これらに限定されるものではない。その中でもシリコーンゴム硬化物への浸透が抑制されるメタノールを使用することがより好ましい。
【0051】
(b)ラジカル系光重合開始剤の配合量は、(a)成分100質量部に対して、(b)成分が0.5〜12質量部、好ましくは1〜10質量部である。(b)成分が上記下限値未満であると光硬化性樹脂組成物が硬化せず、上記上限値超えでは硬化して得られる膜の強度が低下してしまう。光硬化性樹脂組成物が(c)溶剤を含有する場合、(c)溶剤の配合量は、(a)成分100質量部に対して、(c)成分が0.1〜1000質量部、好ましくは0.1〜500質量部となる量である。(c)成分が上記上限値超えでは、硬化して得られる膜形状の維持が困難となる。(a)〜(c)成分の構成は、使用するシリコーンゴム硬化物の種類に応じて、シリコーンゴム硬化物を光硬化性樹脂組成物中に12時間浸漬した前後でのシリコーンゴム硬化物の重量変化率が1.5%以下、好ましくは1.0%以下となる用に適宜選択すればよい。
【0052】
光硬化性樹脂組成物は(a)〜(c)成分を混合して調製される。光硬化性樹脂組成物の粘度は、硬化前の組成物が良好な流動性及び作業性を有するために、オストワルド粘度計による粘度測定において25℃における粘度が0.5〜10000mm/sのものが好ましく、1〜5000mm/sのものが特に好ましい。粘度が低すぎても高すぎても作業性が低下することがある。
【0053】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、更に必要に応じて、金属酸化物微粒子、シランカップリング剤、非重合性の希釈溶剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、表面張力低下剤などを本発明の目的を損なわない範囲で含んでいても差し支えない。
【0054】
金属酸化物微粒子としては、例えば、Si、Ti、Al、Zn、Zr、In、Sn、Sb等の酸化物微粒子、あるいはこれらの複合酸化物粒子等が挙げられる。また表面をシリカ、アルミナ等で被覆したものを使用してもよい。金属酸化物微粒子として具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の微粒子が挙げられ、シリカ微粒子が好ましい。このような金属酸化物微粒子を添加することにより、耐摩耗性等の特性をより高めることができる。
【0055】
また、シリカ微粒子は、低屈折率等の効果が期待される中空、多孔質のものを使用してもよい。前記シリカ微粒子の中でも、活性エネルギー線反応性基を有する加水分解性シラン化合物によって表面修飾されたものが好ましく用いられる。このような反応性シリカ微粒子は、ハードコートを硬化させる際の活性エネルギー線照射によって、架橋反応を起こし、ポリマーマトリックス中に固定される。なお、金属酸化物微粒子の配合量は、(a)成分と(b)成分の合計100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは1〜40質量部である。
【0056】
凹凸パターンの形成方法
本発明の凹凸パターン形成方法は、(I)光硬化性樹脂組成物を基材上に塗布して転写層(薄膜)を形成する工程と、(II)凹凸パターンを有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物を、該凹凸パターン層を介して転写層上に押し当てる工程と、(III)光照射により該光硬化性樹脂組成物を硬化する工程と、(IV)該光硬化性樹脂組成物の硬化物からシリコーンゴム組成物の硬化物を分離して、基材の表面に凹凸パターンを残す工程とを含む。本発明の凹凸パターン形成方法は、必要に応じて、これらの工程に更に他の工程を組み合わせてもよい。例えば、薄膜形成工程において、光硬化性樹脂組成物が溶媒に分散・溶解させた溶液である場合は、工程(I)と工程(II)との間に、溶媒成分を含む薄膜を乾燥させる乾燥工程を必要に応じて実施することができる。また、剥離工程後に凹凸パターンを構成する硬化物の硬度をより高めるために焼成を行う焼成工程を必要に応じて実施することができる。以下、各工程の詳細を説明する。
【0057】
基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、トリアセチルセルロース、ガラス、鉄、アルミニウム等からなるものが使用可能である。これらの基材に事前に密着性を改良するためのプライマー等を処理しても良い。基材の入手しやすさ、光硬化性樹脂組成物との密着性の観点から、易接着処理されたポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ガラスが好適である。
【0058】
工程(I)において、光硬化性樹脂組成物を基板表面に塗布して転写層(薄膜)を形成する方法は、公知の方法を利用して実施でき、特に限定されない。塗布方法としては、公知の塗付方法が利用でき、例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、スプレーコート法等を挙げることができる。転写層(薄膜)中に溶媒分が多量に残留している場合は、自然乾燥により溶媒分をある程度揮発させた後に凹凸パターン形成工程を実施するか、あるいは、凹凸パターン形成工程の実施前に乾燥工程を実施することが好ましい。乾燥は、転写層(薄膜)の流動性が失われない程度の条件で行う。転写層(薄膜)の厚みは特に限定されるものではなく、凹凸型の最大凸高さや、形成される凹凸パターンの凸部分の体積、凹凸パターン形成工程の押圧力、凹凸パターン形成工程を実施する際の転写層(薄膜)の流動性などを考慮して適宜選択することができる。通常、転写層(薄膜)の厚みは0.01μm〜100μmの範囲が好ましく、0.05μm〜50μmの範囲が好ましい。転写層(薄膜)の厚みが上記下限値未満の場合は膜厚が薄すぎるために、凹凸型に対応した高さの凸部を有する凹凸パターンが形成できなくなることがある。また、転写層(薄膜)の厚みが上記上限値を超えると膜厚が厚すぎるために、凹凸パターン形成工程において凹凸型が転写層(薄膜)中へと十分に陥入できず、結果として残膜が発生してしまうことがある。
【0059】
凹凸型の作製
凹凸パターンを有するシリコーンゴム硬化物を作製する方法としては、特に限定されないが、微細且つ形状精度の高い凹凸型の作製が容易であることから、フォトリソグラフィーとエッチングとを組み合わせたパターニングにより作製された原盤を用いて凹凸型を作製することが好ましい。例えば、微細パターンが形成されたマスターや、曲面印刷用パッドを成形するための凹型ジグや平坦度の高い基材(例えばガラス基板など)に、上記シリコーンゴム組成物を供給し、所定の硬化条件にて硬化させた後に脱型することにより製造される。シリコーンゴム組成物の硬化条件は、特に制限されないが、通常室温〜300℃、好ましくは120〜200℃、特には150〜180℃で、0.5分〜2時間、特には1分〜1時間程度の条件で硬化させることが好ましい。
【0060】
凹凸型の平面方向の形状や、最大凸高さ(あるいは最大凹部深さ)については特に限定されず、形成したい凹凸パターンに応じて適宜選択することができる。通常、凹凸型面内に設けられた凸部の最大高さは、0.01μm〜1000μmの範囲内、特には、0.1μm〜100μmの範囲内である。凸部間の最小ピッチは、通常、0.01μm〜1000μmの範囲内、特には、0.1μm〜100μmの範囲内である。なお、「凸部間の最小ピッチ」とは、一の凸部の頂上面の輪郭線上の1点と、当該一の凸部に隣接する他の凸部の頂上面の輪郭線上の1点との最短距離を意味する。例えば、帯状の凸部が30μmの間隔を開けて平行に複数本配置された凹凸パターンの場合、「凸部間の最小ピッチ」は30μmとなる。
【0061】
工程(II)では、上記方法により凹凸パターンが形成された付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物を、基板表面に形成された薄膜(転写層)に対して、硬化物の凹凸パターン面を介して押し当てる。この際の押圧力は、薄膜の厚みや流動性等を考慮して適宜選択することができるが、0.05MPa〜10MPaの範囲が好ましく、0.1MPa〜5MPaの範囲がより好ましい。押圧力が上記下限値未満の場合には、押圧力が不十分なため、凹凸パターン形成工程において凹凸型が薄膜中へと十分に陥入できず、結果として残膜が発生してしまうことがある。また、押圧力が上記上限値を超える場合には、凹凸型を構成する弾性材料が大きく変形して、凹凸型が損傷してしまう場合がある。
【0062】
工程(III)では、シリコーンゴム硬化物が転写層に押し当てられた状態で、シリコーンゴム硬化物側あるいは基材側から光照射することにより、光硬化性樹脂組成物を硬化する。照射する光の波長域、強度、照射時間は適宜選択すればよい。光硬化性樹脂組成物を硬化させるための光源としては、通常、200〜450nmの範囲の波長の光を含む光源、例えば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯等を使用することができる。照射量は特に制限されないが、10〜5,000mJ/cm、特に20〜1,000mJ/cmであることが好ましい。硬化時間は、通常、0.5秒〜2分、好ましくは1秒〜1分である。
【実施例】
【0063】
以下、実施例と比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。粘度はオストワルド粘度計による25℃における動粘度である。下記実施例において部は質量部を意味する。
【0064】
[調製例1]
シリコーンゴム組成物の調製
1.シリコーン組成物(1)の調製
(A1)両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、中間単位(即ち、主鎖の繰り返し単位構造)がジメチルシロキサン単位である、粘度5,000mm/sの直鎖状ジメチルポリシロキサン100部と、(A2)Vi(Me)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなるビニル基含有メチルポリシロキサンレジン(SiO4/2単位に対するVi(Me)SiO1/2単位のモル比:0.8)25部と、(C)塩化白金酸0.1部(下記シリコーンゴム組成物(1)中に含まれる全(A)成分の合計含有量に対して、触媒中の白金原子が5ppmとなる量)をプラネタリーミキサー内において、室温で1時間混合し、シリコーン組成物(1)を調製した。
【0065】
2.シリコーン硬化剤(1)の調製
(A3)粘度3,000mm/sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量=0.2質量%)100部、(B)粘度30mm/sのメチルハイドロジェンポリシロキサンレジン(SiH含有量=1.5質量%)100部を均一に混合して、シリコーン硬化剤(1)を調製した。
【0066】
3.シリコーンゴム組成物(1)の調製
シリコーン組成物(1)とシリコーン硬化剤(1)を質量比100:10の割合で混合し、シリコーンゴム組成物(1)を調製した。シリコーンゴム組成物(1)中に含まれる全(A)成分中のケイ素原子に結合するビニル基1個に対する(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子の数は1.5個である。
【0067】
光硬化性樹脂組成物
[調製例2]
[光硬化性樹脂組成物(1)の調製]
下記式で示される、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート(皮膚刺激係数=1.5)100質量部と、
【化4】

IRGACURE 754(BASF製)5質量部を混合し、粘度57mm/sの光硬化性樹脂組成物(1)を調製した。
【0068】
上記シリコーンコンゴム組成物(1)を150℃で1時間硬化し、長さ40mm、幅10mm、厚さ2mmのシリコーンゴムシートを作成した。前記光硬化性樹脂組成物(1)40g中に該シリコーンゴムシートを12時間浸漬し、浸漬前後のシリコーンゴムシートの重量変化率を測定したところ、重量が0.7wt%増加した。
【0069】
[調製例3]
[光硬化性樹脂組成物(2)の調製]
反応容器にアクリロキシプロピルトリメトキシシラン150質量部、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン50質量部、テトラエトキシシラン250質量部、メタノール100質量部を配合し、混合した。10℃以下に冷却後、0.25規定酢酸水溶液130質量部を3時間かけて滴下し、加水分解を行った。その後25℃で3時間攪拌を続け、アクリル基とシラノールを有するシリコーン系ポリマー材料が得られた。さらに、メタノールシリカゾル(日産化学製)10質量部、アルミニウムアセチルアセトナート1.5質量部、メタノール176質量部を添加し、混合した。得られた溶液100質量部に対して、IRGACURE 127(BASF製)3質量部を混合し、粘度2.0mm/s、不揮発分28.0%の光硬化性樹脂組成物(2)を調製した。この光硬化性樹脂組成物に調製例2と同様にシリコーンゴムシートを浸漬し、浸漬前後のシリコーンゴムシートの重量変化率を測定したところ、重量が0.9wt%増加した。
【0070】
[調製例4]
[光硬化性樹脂組成物(3)の調製]
トリメチロールプロパントリアクリレート(皮膚刺激係数=3.7)100質量部とIRGACURE 754(BASF製)5質量部を混合し、粘度120mm/sの光硬化性樹脂組成物(3)を調製した。この光硬化性樹脂組成物に調製例2と同様にシリコーンゴムシートを浸漬し、浸漬前後のシリコーンゴムシートの重量変化率を測定したところ、重量が1.7wt%増加した。
【0071】
[調製例5]
[光硬化性樹脂組成物(4)の調製]
反応容器にアクリロキシプロピルトリメトキシシラン150質量部、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン50質量部、テトラエトキシシラン250質量部、イソブタノール100質量部を配合し、混合した。10℃以下に冷却後、0.25規定酢酸水溶液130質量部を3時間かけて滴下し、加水分解を行った。その後25℃で3時間攪拌を続け、アクリル基とシラノールを有するシリコーンレジンが得られた。さらに、メタノールシリカゾル(日産化学製)10質量部、アルミニウムアセチルアセトナート1.5質量部、ダイアセトンアルコール176質量部を添加し、混合した。得られた溶液100質量部に対して、IRGACURE 127(BASF製)3質量部を混合し、粘度3.0mm2/s、不揮発分27.2%の光硬化性樹脂組成物(4)を調製した。この光硬化性樹脂組成物に調製例2と同様にシリコーンゴムシートを浸漬し、浸漬前後のシリコーンゴムシートの重量変化率を測定したところ、重量が2.1wt%増加した。
【0072】
凹凸パターンの形成
[凹凸パターンを有するシリコーンゴム硬化物の形成]
調製例1で得られたシリコーンゴム組成物(1)を、微細パターンが形成されたSiマスター上に50g載置し、150℃で1時間硬化し、シリコーンゴム組成物の硬化物(シリコーンゴム硬化物(1))を形成した。パターンはライン/スペース=1μm/1μm〜10μm/10μm(アスペクト比は0.1〜1)であった。
【0073】
下記実施例1〜3及び比較例1、2において、各評価試験は以下の方法により行った。
【0074】
[転写性]
PET基材上に微細パターンを転写する作業を1回行った後、基材に形成されたパターンに欠陥がないものを○、あるものを×とした。また、PET基材上に微細パターンを転写する作業を5回繰り返し行った後、基材に形成されたパターンに欠陥がないものを○、あるものを×とした。
【0075】
[基材密着性]
基材に形成されたパターン上にカッターナイフでクロスに切れ込みを入れ、セロハンテープを密着させた後剥離し、基材上にパターンが残るものを○、一部又は全部が残らないものを×とした。
【0076】
[反り]
PET基材上に微細パターンを転写する作業を5回繰り返し行った後に、シリコーンゴム硬化物を横から見て、端部と中央部のズレが2mm以下であるものを変化なしとした。
【0077】
[実施例1]
光硬化性樹脂組成物(1)をPET基材(東洋紡コスモシャイン(登録商標)A4300、188μm)にスピンコートして10μmの膜を形成した。シリコーンゴム硬化物(1)を微細パターンが形成された面を介して該膜面上に合わせて、UV照射(UV−LED光源、375nm、2.6mW/cm)し、光硬化性樹脂組成物を硬化した。その後、該硬化物からシリコーンゴム硬化物(1)を分離し、PET基材上に微細パターンを転写した。この作業を5回繰り返し行った。上記の方法で転写性、パターンの基材密着性、及びシリコーンゴム硬化物の耐久性を確認した。結果を表1に示す。
【0078】
[実施例2]
光硬化性樹脂組成物(2)をPET基材(東洋紡コスモシャイン(登録商標)A4300、188μm)にスピンコートして3μmの膜を形成した。シリコーンゴム硬化物(1)を微細パターンが形成された面を介して該膜面上に合わせて、UV照射(UV−LED光源、375nm、2.6mW/cm)し、光硬化性樹脂組成物を硬化した。その後、シリコーンゴム硬化物(1)を分離し、PET基材上に微細パターンを転写した。この作業を5回繰り返し行った。上記の方法で転写性、パターンの基材密着性、及びシリコーンゴム硬化物の耐久性を確認した。結果を表1に示す。
【0079】
[実施例3]
光硬化性樹脂組成物(2)をガラス基材にスピンコートし3μmの膜を形成した。シリコーンゴム硬化物(1)を微細パターンが形成された面を介して該膜面上に合わせて、UV照射(UV−LED光源、375nm、2.6mW/cm)し、光硬化性樹脂組成物を硬化した。その後、シリコーンゴム硬化物(1)を分離し、ガラス基材上に微細パターンを転写した。この作業を5回繰り返し行った。上記の方法で転写性、パターンの基材密着性、及びシリコーンゴム硬化物の耐久性を確認した。結果を表1に示す。
【0080】
[比較例1]
光硬化性樹脂組成物(3)をPET基材(東洋紡コスモシャイン(登録商標)A4300 188μm)にスピンコートし10μmの膜を形成した。シリコーンゴム硬化物(1)を微細パターンが形成された面を介して該膜面上に合わせて、UV照射(UV−LED光源、375nm、2.6mW/cm)し、光硬化性樹脂組成物を硬化した。その後、シリコーンゴム硬化物(1)を分離し、PET基材上に微細パターンを転写した。この作業を5回繰り返し行った。上記の方法で転写性、パターンの基材密着性、及びシリコーンゴム硬化物の耐久性を確認した。結果を表1に示す。
【0081】
[比較例2]
光硬化性樹脂組成物(4)をPET基材(東洋紡コスモシャイン(登録商標)A4300 188μm)にスピンコートし3μmの膜を形成し、シリコーンゴム硬化物(1)を微細パターンが形成された面を介して該膜面上に合わせて、UV照射(UV−LED光源、375nm、2.6mW/cm)し、光硬化性樹脂組成物を硬化した。その後、シリコーンゴム硬化物(1)を分離し、PET基材上に微細パターンを転写した。この作業を5回繰り返し行った。上記の方法で転写性、パターンの基材密着性、及びシリコーンゴム硬化物の耐久性を確認した。結果を表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
表1に示す通り、シリコーンゴム硬化物を光硬化性樹脂組成物中に12時間浸漬した前後で測定した場合の硬化物の重量変化率が1.5%以下である光硬化性樹脂組成物を用いることにより、繰返し転写してもシリコーンゴム硬化物の十分な強度及び形状を維持することができ、寸法精度の良いパターン転写及び印刷が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の凹凸パターン形成方法は、ナノインプリント用のマスター材料、曲面印刷用のパッド材、及びオフセット印刷用のブランケット材料等の印刷用部材に使用されるシリコーンゴム硬化物が溶剤等により膨潤することを抑制し、繰返し転写してもシリコーンゴム硬化物の強度及び形状を維持でき、寸法精度の良いパターン転写及び印刷を可能にする。その為、本発明の凹凸パターン形成方法は、ナノインプリント、曲面印刷、及びオフセット印刷により凹凸パターンを形成する方法として好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に凹凸パターンを形成する方法であって、
光硬化性樹脂組成物を基材上に塗布して転写層を形成する工程と、
凹凸パターンを有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物(以下、シリコーンゴム硬化物と称す)の凹凸パターン面を転写層上に押し当てる工程と、
光照射により該光硬化性樹脂組成物を硬化する工程と、
該光硬化性樹脂組成物の硬化物からシリコーンゴム硬化物を分離して、基材上に凹凸パターンを残す工程とを含む方法において、
前記付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物を前記光硬化性樹脂組成物中に12時間浸漬した前後で測定した場合の硬化物の重量変化率が1.5%以下であることを特徴とする、凹凸パターン形成方法。
【請求項2】
前記シリコーンゴム硬化物が、ナノインプリント用のマスター材料、曲面印刷用のパッド材、またはオフセット印刷用のブランケット材である、請求項1記載の凹凸パターン形成方法。
【請求項3】
付加反応硬化型シリコーンゴム組成物が、
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合する脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(C)付加反応用触媒
を含有する、請求項1又は2に記載の凹凸パターン形成方法。
【請求項4】
(B)成分の配合量が、(A)成分中に含まれるケイ素原子に結合する脂肪族不飽和基1個に対し(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5〜5個となる量であり、(C)成分の配合量が、(A)成分の含有量に対して白金原子の質量換算で1〜200ppmとなる量である、請求項3記載の凹凸パターン形成方法。
【請求項5】
光硬化性樹脂組成物が、
(a)1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上含有する化合物、及び
(b)ラジカル開始剤
を含有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の凹凸パターン形成方法。
【請求項6】
光硬化性樹脂組成物が、さらに(c)溶剤を含有する、請求項5記載の凹凸パターン形成方法。
【請求項7】
(a)成分100質量部に対し、(b)成分の量が0.5〜12質量部であり、(c)成分の量が0.1〜1000質量部である、請求項6記載の凹凸パターン形成方法。
【請求項8】
(a)成分が下記式(1)で表される、請求項5〜7のいずれか1項記載の凹凸パターン形成方法。
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、R、R、及びRは、互いに独立に、炭素数1〜6の二価炭化水素基であり、Rは炭素数1〜6の一価炭化水素基であり、n、k、及びmは0〜10の整数であり、但し、n+k+mは3〜30である)
【請求項9】
(a)成分が(メタ)アクリル基とシラノール基を有するシリコーン化合物である、請求項5〜8のいずれか1項記載の凹凸パターン形成方法。
【請求項10】
(c)成分がメタノールである、請求項6〜9のいずれか1項記載の凹凸パターン形成方法。
【請求項11】
基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、トリアセチルセルロース、ガラス、鉄、アルミニウムから選ばれるいずれか1つからなる、請求項1〜10のいずれか1項記載の凹凸パターン形成方法。

【公開番号】特開2013−938(P2013−938A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132360(P2011−132360)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】