出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法
【課題】 全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができる出来型確認システムを提供する。
【解決手段】 出来型確認装置100は、3次元レーザスキャナ200を用いて第1層目の出来型の表面を計測することにより得られる点群データを入力し、入力した点群データに基づいて、その出来型の表面に対応する平面を推定する。そして、グローバル座標系において、推定平面と、構造物モデルのうち推定平面に対応する第1層目の設計計画面とが一致するように推定平面に対して第1〜第4層目の設計計画面を当てはめることにより、構造物モデルから壁10の予測形状を形成し、グローバル座標系において、構造物モデルのうち予測形状に対応する第1〜第4層目の設計計画面を基準形状として形成し、予測形状および基準形状を合成して表示する。
【解決手段】 出来型確認装置100は、3次元レーザスキャナ200を用いて第1層目の出来型の表面を計測することにより得られる点群データを入力し、入力した点群データに基づいて、その出来型の表面に対応する平面を推定する。そして、グローバル座標系において、推定平面と、構造物モデルのうち推定平面に対応する第1層目の設計計画面とが一致するように推定平面に対して第1〜第4層目の設計計画面を当てはめることにより、構造物モデルから壁10の予測形状を形成し、グローバル座標系において、構造物モデルのうち予測形状に対応する第1〜第4層目の設計計画面を基準形状として形成し、予測形状および基準形状を合成して表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の出来型を確認するシステムおよびプログラム、並びに方法に係り、特に、全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができる出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場において、施工段階の出来型形状を把握することは、後工程に与える影響を速やかに確認できるため、非常に重要である。
【0003】
従来、構造物の出来型を確認する技術としては、例えば、特許文献1記載の技術が知られている。
【0004】
特許文献1記載の技術は、3次元レーザスキャナを用いて建築現場の出来型表面の三次元データを点群データとして立体的に計測し、計測された出来型表面と、設計計画面との距離を比較して、出来型表面と設計計画面との干渉部分および隙間の少なくとも一方が最小になるように設計計画面を移動させるものである。
【特許文献1】特開2007−277813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、デザイン性が極めて高い意匠的な構造物が注目されている。意匠的な構造物としては、例えば、PCa板等の建材を僅かに傾斜させて垂直方向および水平方向に複数連結し、上方から見下げたときに全体として曲線を描くような構造物が考えられる。
【0006】
意匠的な構造物については、通常の構造物と同様に、デザイナが、構造物の基準となる形状を示す構造物モデルをCAD(Computer-Aided Design)装置で設計し、これを元に作成した設計図書に従って構築される。そして、現場では、構造物の出来型を計測して設計図書と比較し、建材の位置や傾きが許容誤差範囲内に収まっているか否かを確認しながら施工を進めていく。
【0007】
意匠的な構造物を構築する場合に特許文献1記載の技術を適用すれば、出来型表面と設計計画面との干渉部分等が最小になるように設計計画面を移動させることにより、施工段階前に実際の出来型形状に応じた有効な設計計画の変更を行うことができる。
【0008】
しかしながら、意匠的な構造物は、個々の建材の位置や傾きが許容誤差範囲内に収まっていても、誤差の累積等により全体のデザインが損なわれる場合があり、全体の仕上がりを考慮した調整が必要となる。
【0009】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができる出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の出来型確認システムは、構造物の出来型を確認する出来型確認システムであって、前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段と、前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得手段と、前記点群データ取得手段で取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定手段と、前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定手段で推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成手段と、前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成手段と、前記予測形状形成手段で形成された予測形状を、前記基準形状形成手段で形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力手段とを備える。
【0011】
このような構成であれば、点群データ取得手段により、出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データが取得され、面推定手段により、取得された点群データに基づいて、出来型の表面に対応する面が推定される。
【0012】
次いで、予測形状形成手段により、構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、構造物モデルから構造物の予測形状が形成される。予測形状は、所定の座標系において、推定された推定面と、構造物モデルのうち推定面に対応する設計計画面とが一致するように推定面に構造物モデルを当てはめることにより形成される。また、基準形状形成手段により、構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、構造物モデルのうち予測形状に対応する部分が基準形状として形成される。
【0013】
そして、予測形状出力手段により、予測形状が基準形状と対比可能に出力される。
【0014】
ここで、所定の座標系としては、多点の絶対座標(例えば、地表を基準とする座標)または相対座標(例えば、点群データを得るための実測に用いる計測機器の設置位置を基準とする座標)を定める座標系、構造物モデルの絶対座標(例えば、地表を基準とする座標)または相対座標(例えば、CADソフト上での座標)を定める座標系、その他任意の座標系が含まれる。なお、多点の座標を定める座標系と、構造物モデルの座標を定める座標系が異なる場合は、一方の座標系の座標を他方の座標系の座標に変換するか、両方の座標系の座標を、多点および構造物モデルの座標を定める他の座標系の座標に変換すればよい。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0015】
また、出来型の表面には、出来型の外面または内面が含まれる。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0016】
また、予測形状は、完成予定の構造物のうち少なくとも出来型以外の形状を含んでいればよく、出来型の形状を含んでいてもよいし、完成予定の構造物全体の形状としてもよい。また、形状のほかに、構造物について予測可能な大きさ、寸法、模様、色彩、構造物モデルとの誤差その他の特性を含んでいてもよい。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0017】
また、基準形状は、構造物モデルのうち少なくとも予測形状に対応する部分を含んでいればよく、推定面に対応する設計計画面を含んでいてもよいし、構造物モデルの全部としてもよい。また、予測形状と対比可能な部分が含まれていればよく、必ずしも全体が予測形状と対応している必要はない。また、形状のほかに、構造物モデルで定義される大きさ、寸法、模様、色彩その他の諸元を含んでいてもよい。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0018】
また、出来型とは、構造物の見た目の出来上がりのことをいう。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0019】
また、予測形状を基準形状と対比可能に出力することには、例えば、予測形状と基準形状を合成して出力すること、予測形状と基準形状を縦方向または横方向等に並べて出力すること、予測形状と基準形状を別々のウィンドウで出力すること、予測形状と基準形状を所定時間ごとに交互に出力することが含まれる。また、出力には、少なくとも表示、印刷、送信および記録が含まれる。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0020】
また、点群データは、出来型の表面の実測データまたはその2次的なデータ(例えば、実測データに基づいて算出、加工、生成されるデータ)であればよく、これには、例えば、3次元レーザスキャナ、トータルステーションその他の計測機器を用いて出来型の表面を計測することにより得られるデータが含まれる。その他の計測機器としては、例えば、GPS(Global Positioning System)、測距センサまたはラインセンサにより計測を行う計測機器が含まれる。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0021】
また、点群データの取得は、例えば、計測機器や入力装置等から点群データを入力すること、外部の装置等から点群データを受信すること、または記憶装置や記憶媒体等から点群データを読み出すことにより行うことができる。したがって、取得には、少なくとも入力、受信および読出が含まれる。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0022】
また、構造物モデルデータ記憶手段は、あらゆる手段でかつあらゆる時期に構造物モデルデータを記憶可能なものを含み、構造物モデルデータをあらかじめ記憶してあるものであってもよいし、構造物モデルデータをあらかじめ記憶することなく、本システムの動作時に外部からの入力等によって構造物モデルデータを記憶するものであってもよい。
【0023】
また、本システムは、単一の装置、端末その他の機器として実現するようにしてもよいし、複数の装置、端末その他の機器を通信可能に接続したネットワークシステムとして実現するようにしてもよい。後者の場合、各構成要素は、それぞれ通信可能に接続されていれば、複数の機器等のうちいずれに属していてもよい。
【0024】
〔発明2〕 さらに、発明2の出来型確認システムは、発明1の出来型確認システムにおいて、前記構造物は、平面または曲面を有する建材をその面方向に複数組み合わせることにより構成される構造物である。
【0025】
このような構成であれば、予測形状出力手段により、平面または曲面を有する建材をその面方向に複数組み合わせることにより構成される構造物の予測形状が基準形状と対比可能に出力される。
【0026】
〔発明3〕 さらに、発明3の出来型確認システムは、発明1および2のいずれか1の出来型確認システムにおいて、前記点群データは、3次元レーザスキャナを用いて前記出来型の表面を計測することにより得られるデータである。
【0027】
このような構成であれば、3次元レーザスキャナを用いて出来型の表面を計測すると、点群データ取得手段により、出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データが取得される。
【0028】
出来型の表面をトータルステーションで計測する場合、出来型の表面に対応する面は、出来型の所定箇所(例えば、3点)を通る面として推定される。そのため、出来型が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合に、適切な面を推定できない可能性がある。これに対し、3次元レーザスキャナを用いて計測した場合は、例えば、最小二乗法により、出来型の表面上の多点から誤差が最小となる面として推定することができるので、出来型が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合でも、比較的適切な面を推定することができる。
【0029】
〔発明4〕 さらに、発明4の出来型確認システムは、発明1ないし3のいずれか1の出来型確認システムにおいて、前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の特定位置の点を特定するための点データを取得する点データ取得手段と、前記点データ取得手段で取得した点データに基づいて、前記特定位置の点と、前記推定面に一致させようとする前記設計計画面における前記特定位置の点に対応する基準点が一致するように、前記予測形状形成手段で形成した予測形状を移動させることにより当該予測形状の位置を補正する位置補正手段とをさらに備え、前記予測形状出力手段は、前記位置補正手段で位置を補正した予測形状を前記基準形状と対比可能に出力する。
【0030】
このような構成であれば、点データ取得手段により、出来型の表面上の特定位置の点を特定するための点データが取得され、位置補正手段により、取得された点データに基づいて予測形状の位置が補正される。出来型の表面上の特定位置の点が分かれば、その点と、設計計画面における特定位置の点に対応する基準点との位置関係から予測形状の位置を補正することができる。
【0031】
そして、予測形状出力手段により、位置が補正された予測形状が基準形状と対比可能に出力される。
【0032】
ここで、点データは、出来型の表面の実測データまたはその2次的なデータ(例えば、実測データに基づいて算出、加工、生成されるデータ)であればよく、これには、例えば、トータルステーションを用いて出来型の表面を計測することにより得られるデータが含まれる。
【0033】
また、点データの取得は、例えば、計測機器や入力装置等から点データを入力すること、外部の装置等から点データを受信すること、または記憶装置や記憶媒体等から点データを読み出すことにより行うことができる。したがって、取得には、少なくとも入力、受信および読出が含まれる。
【0034】
〔発明5〕 さらに、発明5の出来型確認システムは、発明1ないし4のいずれか1の出来型確認システムにおいて、前記点群データ取得手段で取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面と、前記構造物モデルのうち前記出来型の表面に対応する設計計画面とのずれ量を算出するずれ量算出手段と、前記ずれ量算出手段で算出したずれ量に応じた出力態様で前記多点を出力するずれ状態出力手段とをさらに備える。
【0035】
このような構成であれば、ずれ量算出手段により、取得された点群データに基づいて、出来型の表面と、構造物モデルのうち出来型の表面に対応する設計計画面とのずれ量が算出され、ずれ状態出力手段により、算出されたずれ量に応じた出力態様で多点が出力される。
【0036】
ここで、設計計画面の出力には、予測形状の出力と同様に、少なくとも表示、印刷、送信および記録が含まれる。
【0037】
〔発明6〕 さらに、発明6の出来型確認システムは、発明5の出来型確認システムにおいて、前記出来型は、角度が異なる少なくとも2つの表面を有し、前記構造物モデルのうち前記少なくとも2つの表面のそれぞれに対応する設計計画面を区分し、かつ、一の前記設計計画面の法線面と他の前記設計計画面の法線面がなす角度範囲の角度を有する区分平面を基準として、前記点群データにより特定される多点の一部または全部を前記設計計画面のいずれかに対応させる点群対応手段をさらに備え、前記ずれ量算出手段は、前記各設計計画面ごとに、前記点群対応手段で当該設計計画面に対応させた点から当該設計計画面までのずれ量を算出し、前記ずれ状態出力手段は、前記各設計計画面ごとに、当該設計計画面について前記ずれ量算出手段で算出したずれ量に応じた出力態様で、当該設計計画面に対応する多点を出力する。
【0038】
このような構成であれば、点群対応手段により、区分平面を基準として、点群データにより特定される多点の一部または全部が設計計画面のいずれかに対応させられる。区分平面は、構造物モデルのうち出来型の少なくとも2つの表面にそれぞれ対応する設計計画面を区分し、かつ、一の設計計画面の法線面と他の設計計画面の法線面とがなす角度範囲の角度を有する平面である。
【0039】
例えば、複数回の計測により点群データを得る場合や、構造物モデルに対する出来型のずれが大きい場合は、設計計画面の間に分布する多点がどちらの設計計画面に対応するものであるかの判定が困難となる。この判定が不適切な場合は、構造物モデルに対する出来型のずれを適切に把握することができない。
【0040】
そこで、このように区分平面を基準とすることにより、点群データにより特定される多点の一部または全部を比較的適切に設計計画面いずれかに対応させることができる。
【0041】
点群対応手段による対応が行われると、ずれ量算出手段により、各設計計画面ごとに、その設計計画面に対応させた点からその設計計画面までのずれ量が算出される。そして、ずれ量算出手段により、各設計計画面ごとに、その設計計画面について算出されたその設計計画面までのずれ量に応じた出力態様で、その設計計画面に対応する多点が出力される。
【0042】
〔発明7〕 さらに、発明7の出来型確認システムは、発明5および6のいずれか1の出来型確認システムにおいて、前記ずれ状態出力手段は、前記ずれ量に応じた色分けまたは濃淡により前記多点を出力する。
【0043】
このような構成であれば、ずれ状態出力手段により、ずれ量に応じた色分けまたは濃淡により多点が出力される。
【0044】
〔発明8〕 さらに、発明8の出来型確認システムは、発明7の出来型確認システムにおいて、前記ずれ状態出力手段は、前記ずれ量が所定以上であるときは、特定の色または濃度により前記多点を出力する。
【0045】
このような構成であれば、ずれ状態出力手段により、ずれ量が所定以上であるときは、特定の色または濃度により多点が出力される。
【0046】
〔発明9〕 一方、上記目的を達成するために、発明9の出来型確認プログラムは、構造物の出来型を確認する処理をコンピュータに実行させるための出来型確認プログラムであって、前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得ステップと、前記点群データ取得ステップで取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定ステップと、前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定ステップで推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成ステップと、前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成ステップと、前記予測形状形成ステップで形成された予測形状を、前記基準形状形成ステップで形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力ステップとを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0047】
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、発明1の出来型確認システムと同等の作用が得られる。
【0048】
〔発明10〕 一方、上記目的を達成するために、発明10の出来型確認方法は、構造物の出来型を確認する出来型確認方法であって、前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得ステップと、前記点群データ取得ステップで取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定ステップと、前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定ステップで推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成ステップと、前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成ステップと、前記予測形状形成ステップで形成された予測形状を、前記基準形状形成ステップで形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力ステップとを含む。
【発明の効果】
【0049】
以上説明したように、発明1の出来型確認システムによれば、推定面と、構造物モデルのうち推定面に対応する設計計画面とが一致するように推定面に構造物モデルを当てはめることにより構造物の予測形状が形成され、予測形状が基準形状と対比可能に出力されるので、施工済み出来型から全体的な予測出来型を把握することができる。したがって、全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、従来に比して、全体のデザインを損なうことなく構造物を構築することができるという効果が得られる。
【0050】
さらに、発明2の出来型確認システムによれば、平面または曲面を有する建材をその面方向に複数組み合わせることにより構成される構造物について全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができるという効果が得られる。
【0051】
さらに、発明3の出来型確認システムによれば、点群データは、3次元レーザスキャナを用いて計測することにより得られるデータであるので、出来型が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合でも、比較的適切な面を推定することができるという効果が得られる。
【0052】
さらに、発明4の出来型確認システムによれば、予測形状の位置が補正されるので、全体的な予測出来型をさらに適切に把握することができるという効果が得られる。
【0053】
さらに、発明5の出来型確認システムによれば、出来型の表面と設計計画面とのずれ量に応じた出力態様で多点が出力されるので、構造物モデルに対する出来型のずれを把握することができる。したがって、全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、全体のデザインを損なうことなく構造物を構築することができるという効果が得られる。
【0054】
さらに、発明6の出来型確認システムによれば、設計計画面を区分する区分平面を基準として多点を設計計画面に対応させるので、角度が異なる複数の表面を有する構造物であっても、構造物モデルに対する出来型のずれを比較的適切に把握することができるという効果が得られる。したがって、そのような構造物について全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができるという効果が得られる。
【0055】
さらに、発明7の出来型確認システムによれば、ずれ量に応じた色分けまたは濃淡により多点が出力されるので、構造物モデルに対する出来型のずれを視覚的に把握することができるという効果が得られる。
【0056】
さらに、発明8の出来型確認システムによれば、ずれ量が所定以上であるときは、特定の色または濃度により多点が出力されるので、ずれ量が大きい箇所だけを把握することができるという効果が得られる。
【0057】
一方、発明9の出来型確認プログラム、または発明10の出来型確認方法によれば、発明1の出来型確認システムと同等の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1ないし図15は、本発明に係る出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法の実施の形態を示す図である。
【0059】
まず、本発明を適用する意匠的な構造物を説明する。
【0060】
図1は、壁10を上方から見下げた図である。
【0061】
図2は、壁10の正面図である。
【0062】
本実施の形態は、本発明に係る出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法を、意匠的な構造物として、曲面や傾きで構成される壁を再現した壁10を構築する場合について適用したものである。
【0063】
壁10は、図1および図2に示すように、PCa板12の表面を僅かに後傾させ、PCa板12を垂直方向に4枚積層し、さらに水平方向に多数連結することにより構成される。壁10を上方から見ると、曲線を描く形状となり、全体として曲線美が表現される。
【0064】
図3は、壁10の施工過程を示す図である。
【0065】
壁10は、図3に示すように、PCa板12を所定の位置に仮止め架設後に、PCa板12のジョイント位置にRCの柱14が緊結される構造であり、一般的な梁がなくPCa板12が梁および壁となる特殊な構造である。そしてさらに、このような構造を垂直方向に4枚積層するため、通常の構造物と比して、設計図書通りに構築することが困難となる。なお、このことは、意匠的な構造物全般について言えることである。
【0066】
図4は、3次元レーザスキャナ200を用いて壁10の第1層目の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【0067】
本実施の形態では、図4に示すように、壁10の第1層目(最下段)の施工が完了したときに、3次元レーザスキャナ200を用いて第1層目の出来型の表面を計測し、その計測結果に基づいて第2〜第4層目の出来型を出来型確認装置100でシミュレーションする。そのシミュレーション結果を参照し、許容誤差範囲内に収まっているか否かを確認し、第1層目の出来型に対してまたは第2〜第4層目の施工においてPCa板12の位置や傾き等を調整することができる。これにより、未施工の部分も考慮しながら施工を進めることができるので、全体のデザインを損なうことなく壁10を構築することができる。
【0068】
3次元レーザスキャナ200は、計測範囲内において所定の分解能で物体までの距離を計測し、計測した距離に基づいて各計測点の座標を示す点群データを生成しメモリに記憶する。各計測点には、3次元レーザスキャナ200の現在位置を原点とする3次元直交座標系(以下、スキャナ座標系という。)の座標が与えられる。点群データを用いれば、各計測点の素材等に応じて異なるレーザの反射強度をグレースケールで可視化することができ、構造物の大きさや傾斜の度合い等を容易に算出することもできる。このように、3次元レーザスキャナ200によれば、計測範囲内に存在する物体の3次元情報を高速、高密度に取得することができる。
【0069】
3次元レーザスキャナ200の計測原理は、トータルステーションと類似しており、任意のターゲット(計測点p)に向かって射出したレーザパルスが反射して戻ってくるまでの時間から算出される距離rを計測する。
【0070】
計測点pの座標は、3次元極座標系の座標(r、λ、φ)をスキャナ座標系の座標(x0、y0、z0)に変換することにより算出することができる。ここで、φは、z軸とレーザ光のなす角であり、λは、x軸とレーザ光のなす角である。
【0071】
次に、出来型確認装置100の構成を説明する。
【0072】
図5は、出来型確認装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0073】
出来型確認装置100は、図5に示すように、制御プログラムに基づいて演算およびシステム全体を制御するCPU130と、所定領域にあらかじめCPU130の制御プログラム等を格納しているROM132と、ROM132等から読み出したデータやCPU130の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM134と、外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F138とを有して構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバス139で相互にかつデータ授受可能に接続されている。
【0074】
I/F138には、外部装置として、ヒューマンインターフェースとしてデータの入力が可能なキーボードやマウス等からなる入力装置140と、データやテーブル等をファイルとして格納する記憶装置142と、画像信号に基づいて画面を表示する表示装置144と、3次元レーザスキャナ200と、トータルステーション300とが接続されている。
【0075】
記憶装置142には、壁10の基準となる形状を示す構造物モデルに関するCADデータが記憶されている。構造物モデルは、建築現場における基準点Pgを原点とする3次元直交座標系(以下、グローバル座標系という。)で表現されている。CADデータは、グローバル座標系における点間を接続する線で構造物モデルを表現したベクトルデータであって、構造物モデルの形状線や通り心の端点の属性(点の名称、位置)、形状線や通り心の属性(線の名称、位置、長さ)および構造物モデルの設計計画面の属性(面の名称、位置、大きさ)が規定されている。また、三角形または四角形からなる面が最小のモデルとして定義されている。CADデータは、例えば、VRMLにより記述することができる。なお、CADソフト上で定義される3次元直交座標系で構造物モデルを表現することもできるが、この場合は、CADデータの利用の際にグローバル座標系に変換する必要がある。
【0076】
次に、CPU130で実行される処理を説明する。
【0077】
CPU130は、マイクロプロセッシングユニット等からなり、ROM132の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、図6および図12のフローチャートに示す出来型確認処理およびずれ状態表示処理を実行する。
【0078】
初めに、出来型確認処理を説明する。
【0079】
図6は、出来型確認処理を示すフローチャートである。
【0080】
図7は、壁10の出来型の表面を計測する場合を説明するための図である。
【0081】
出来型確認処理は、3次元レーザスキャナ200の計測結果に基づいて第2〜第4層目の出来型をシミュレーションする処理である。
【0082】
出来型確認処理の実行に先立って、3次元レーザスキャナ200を用いて第1層目の出来型の表面を計測する。壁10が大きく、1回の計測では表面全域を計測できないので、図7に示すように、壁10の周辺に複数の計測地点P0〜Pnを設定し、各計測地点P0〜Pnごとに第1層目の出来型の表面の一部を計測することにより第1層目の出来型の表面全域を計測する。
【0083】
各計測地点P0〜Pnでは、具体的に次のように計測を行う。
【0084】
図8は、ターゲット26の正面図である。
【0085】
図9は、3次元レーザスキャナ200を用いて壁10の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【0086】
まず、図8および図9に示すように、複数のターゲット26(ターゲットシール)を出来型の表面に貼付する。このとき、3次元レーザスキャナ200の後方でかつその走査範囲内に、三脚等を用いてターゲット26を設置してもよい。
【0087】
次いで、トータルステーション300に基準点Pgの座標を与え、トータルステーション300を用いて各ターゲット26の中心点を計測する。その結果、各計測点についてグローバル座標系の座標を示す第1点群データが得られ、トータルステーション300のメモリに記憶される。
【0088】
そして、3次元レーザスキャナ200を用いて、各ターゲット26の中心点を含む出来型の表面を計測する。その結果、各計測点についてスキャナ座標系の座標を示す第2点群データが得られ、3次元レーザスキャナ200のメモリに記憶される。
【0089】
計測が完了した後に、出来型確認処理がCPU130において実行されると、図6に示すように、まず、ステップS100に移行して、各計測地点P0〜Pnごとの第1点群データをトータルステーション300から、各計測地点P0〜Pnごとの第2点群データを3次元レーザスキャナ200からそれぞれ入力し、ステップS102に移行する。
【0090】
ステップS102では、入力した第2点群データのなかから各ターゲット26の中心点に相当する計測点を抽出し、抽出した計測点の座標を、入力した第1点群データの対応する計測点の座標に置換することにより、第2点群データの座標をグローバル座標系に変換する座標変換処理を実行する。座標変換処理は、各計測地点P0〜Pnごとに行う。
【0091】
次いで、ステップS104に移行して、グローバル座標系の座標に変換した各計測点を表示装置144に表示することにより第1層目の出来型の表面画像を表示し、ステップS106に移行して、表示された計測点群のなかから1枚のPCa板12に相当する計測点群を入力装置140により選択させ、ステップS108に移行する。
【0092】
ステップS108では、選択された計測点群の座標に基づいて、グローバル座標系において、第1層目の出来型の表面に対応する平面を推定する。平面の推定方法としては、例えば、最小二乗法、ハフ変換その他の方法を採用することができる。最小二乗法を採用した場合は、選択された計測点群について各計測点から平面までの距離の二乗和が最小となるような平面を推定平面として求める。
【0093】
PCa板12の4隅をトータルステーション300で計測する場合、PCa板12の表面に対応する平面は、4隅を通る平面として推定される。そのため、PCa板12が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合に、適切な平面を推定できない可能性がある。これに対し、3次元レーザスキャナ200を用いて計測した場合は、PCa板12の表面上の点群から誤差が最小となる平面が推定されるので、PCa板12が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合でも、比較的適切な平面を推定することができる。
【0094】
次いで、ステップS110に移行して、CADデータを記憶装置142から読み出し、ステップS112に移行する。
【0095】
ステップS112では、読み出したCADデータに基づいて、構造物モデルから壁10の予測形状を形成する。予測形状は、グローバル座標系において、ステップS108で推定した推定平面と、構造物モデルのうち推定平面に対応する第1層目の設計計画面とが一致するように推定平面に対して第1〜第4層目の設計計画面を当てはめることにより形成される。推定平面と、第1層目の設計計画面との対応については、第1層目の設計計画面のうち、例えば、推定平面からの距離が最小となる設計計画面を対応させることができる。
【0096】
次いで、ステップS114に移行して、読み出したCADデータに基づいて、グローバル座標系において、構造物モデルのうち予測形状に対応する第1〜第4層目の設計計画面を基準形状として形成する。
【0097】
次いで、ステップS116に移行して、第1層目の出来型の表面上の特定位置の点の座標を示す点データをトータルステーション300から入力する。
【0098】
図10は、トータルステーション300を用いて壁10の第1層目の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【0099】
図10に示すように、トータルステーション300を用いて、第1層目の出来型のうちPCa板12の表面上の特定位置の点paを計測する。
【0100】
トータルステーション300は、点paまでの距離を計測し、計測した距離に基づいて計測点paの座標を示す点データを生成しメモリに記憶する。トータルステーション300は、3次元レーザスキャナ200に対して、特定位置の点を計測することができる点で有利であるので、ステップS116で入力する点データは、トータルステーション300を用いて計測することにより高い精度で得ることができる。なお、ステップS116では、第1点群データのなかから点データを入力してもよい。
【0101】
次いで、ステップS118に移行して、グローバル座標系に変換した計測点paの座標に基づいて、ステップS112で形成された予測形状の位置を補正する。
【0102】
図11は、予測形状の位置を補正する場合を示す図である。
【0103】
ステップS108では、出来型の表面に対応する平面を推定するが、点群のみから平面を推定するため、推定平面(出来型の表面)に設計計画面を完全に一致させることは難しく、推定平面の面方向にずれが生じる。そのため、高い予測精度を実現するには、一致させようとする設計計画面の位置を補正する必要がある。
【0104】
まず、出来型の第1層目の下辺は接地しているはずであるので、図11(a)に示すように、予測形状16の最下辺が接地面に位置するように、予測形状16を移動させる。
【0105】
次いで、図11(b)に示すように、計測点paと、予測形状16の第1層目の面(第1層目の設計計画面を当てはめたもの)における計測点paに対応する基準点pbとが一致またはほぼ一致するように、予測形状16を移動させる。ここで、ほぼ一致とは、計測点paと基準点pbが一致しない場合であって、例えば、計測点paと基準点pbの距離が所定値以下である場合、または計測点paと基準点pbの距離が最小となる場合が考えられる。なお、PCa板12の表面上の点paの位置は既知であるため、設計計画面上の基準点pbの座標もあらかじめ特定することができる。
【0106】
なお、予測形状の位置を補正する場合に、予測形状の最下辺が接地面に位置するように、予測形状を移動させるように構成したが、これに限らず、接地面への移動は行わず、計測点paと基準点pbとが一致またはほぼ一致するように、予測形状を移動させるように構成することもできる。
【0107】
また、壁10の第2層目の施工が完了した場合は、第2層目の計測点paを基準として用いる。すなわち、出来型のうち最も高い層の計測点paを位置補正の基準として用いる。
【0108】
次いで、ステップS120に移行して、ステップS112、S114で形成された予測形状および基準形状を合成して表示装置144に表示し、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
【0109】
次に、ずれ状態表示処理を説明する。
【0110】
図12は、ずれ状態表示処理を示すフローチャートである。
【0111】
ずれ状態表示処理は、3次元レーザスキャナ200の計測結果に基づいて、構造物モデルに対する出来型のずれの状態を表示する処理であって、CPU130において実行されると、図12に示すように、まず、ステップS200に移行する。
【0112】
ステップS200、S202では、ステップS100、S102と同様の処理を実行し、ステップS204に移行する。
【0113】
ステップS204では、グローバル座標系の座標に変換した各計測点を設計計画面に対応させる。
【0114】
図13は、各計測点を設計計画面に対応させる場合を示す図である。同図(a)は、設計計画面の斜視図であり、同図(b)は、設計計画面の平面的な模式図である。
【0115】
ここでは、隣接する2つのPCa板12の各計測点を設計計画面に対応させる場合を説明する。
【0116】
複数回の計測により点群データを得る場合(図7)や、構造物モデルに対する出来型のずれが大きい場合は、図13に示すように、構造物モデルのうち一方のPCa板12に対応する設計計画面22と、他方のPCa板12に対応する設計計画面24との境界付近に分布する計測点が設計計画面22、24のどちらに対応するものであるかの判定が困難となる。この判定が不適切な場合は、構造物モデルに対する出来型のずれの状態を適切に把握することができない。
【0117】
そこで、2つのPCa板12の各計測点は、区分平面20を基準として設計計画面22、24のいずれかに対応させる。区分平面20は、設計計画面22、24の境界を通過し、かつ、設計計画面22、24の法線面22a、24aがなす角の二等分線に沿った平面として定義する。具体的には、区分平面20よりも設計計画面22側に分布する計測点を設計計画面22に、区分平面20よりも設計計画面24側に分布する計測点を設計計画面24にそれぞれ対応させる。
【0118】
次いで、ステップS206に移行して、グローバル座標系において、設計計画面22に対応させた各計測点ごとにその計測点から設計計画面22までのずれ量を算出し、設計計画面24に対応させた各計測点ごとにその計測点から設計計画面24までのずれ量を算出する。
【0119】
次いで、ステップS208に移行して、設計計画面22、24の形状を表示装置144に表示する。そして、設計計画面22のうち算出したずれ量が所定以上の箇所(計測点に対応する箇所)を第1色(例えば、赤)で表示し、その他の箇所を第2色(例えば、灰色)で表示する。同様に、設計計画面24のうち算出したずれ量が所定以上の箇所(計測点に対応する箇所)を第1色で表示し、その他の箇所を第2色で表示する。必要により、ずれの方向を考慮した第3色(例えば、一方を赤、他方を青)を用いて表示してもよい。
【0120】
次いで、ステップS210に移行して、第1層目のすべての設計計画面についてステップS206、S208の処理が終了したか否かを判定し、第1層目のすべての設計計画面について処理が終了したと判定したとき(Yes)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
【0121】
一方、ステップS210で、第1層目のすべての設計計画面について処理が終了していないと判定したとき(No)は、ステップS206に移行する。
【0122】
〔本実施の形態の動作〕
次に、本実施の形態の動作を説明する。
【0123】
初めに、第2〜第4層目の出来型をシミュレーションする場合を説明する。
【0124】
まず、複数の計測地点P0〜Pnにおいて、3次元レーザスキャナ200を用いて第1層目の出来型の表面を計測する。その結果、3次元レーザスキャナ200のメモリには、各計測地点P0〜Pnごとの点群データが記憶される。
【0125】
次に、出来型確認装置100において出来型確認処理を実行する。
【0126】
出来型確認装置100では、出来型確認処理が実行されると、ステップS100〜S104を経て、各計測地点P0〜Pnごとの点群データが3次元レーザスキャナ200から入力され、入力された点群データに基づいて各計測点の座標がグローバル座標系の座標に変換され、第1層目の出来型の表面画像が表示される。
【0127】
ここで、表示された計測点群のなかから1枚のPCa板12に相当する計測点群を選択する。
【0128】
出来型確認装置100では、計測点群が選択されると、ステップS108〜S114を経て、選択された計測点群の座標に基づいて平面が推定され、CADデータに基づいて予測形状および基準形状が形成される。次いで、ステップS116、S118を経て、点データに基づいて予測形状の位置が補正される。
【0129】
図14は、第2〜第4層目の出来型のシミュレーション結果を示す図である。同図(a)は、予測形状16および基準形状18の断面図であり、同図(b)は、予測形状16および基準形状18の正面図である。
【0130】
そして、ステップS120を経て、図14(a)、(b)に示すように、予測形状16および基準形状18が合成表示される。図14(a)の例では、現在のまま施工を進めると、構造物モデルに比して壁10の出来型の位置や傾きが異なり、全体のデザインに大きな影響を与える可能性があることを把握することができる。なお、基準形状18に対する予測形状16のずれ量を各層ごとに数値で表示してもよい。
【0131】
次に、構造物モデルに対する出来型のずれの状態を表示する場合を説明する。
【0132】
上記同様に、3次元レーザスキャナ200を用いて第1層目の出来型の表面を計測した後、出来型確認装置100においてずれ状態表示処理を実行する。
【0133】
出来型確認装置100では、ずれ状態表示処理が実行されると、ステップS200、S202を経て、各計測地点P0〜Pnごとの点群データが3次元レーザスキャナ200から入力され、入力された点群データに基づいて各計測点の座標がグローバル座標系の座標に変換される。
【0134】
図15は、ずれ状態の表示結果を示す図である。
【0135】
次いで、ステップS204、S206を経て、座標変換された各計測点が設計計画面に対応させられ、設計計画面に対応させた各計測点ごとにその計測点からその設計計画面までのずれ量が算出される。そして、ステップS208を経て、図15に示すように、設計計画面のうち算出されたずれ量が所定以上の箇所が第1色で、その他の箇所が第2色で表示される。必要により、ずれの方向を考慮した第3色(例えば、一方を赤、他方を青)を用いて表示してもよい。
【0136】
〔本実施の形態の効果〕
このようにして、本実施の形態では、第1層目の出来型の表面を計測することにより得られる点群データを入力し、入力した点群データに基づいて、その出来型の表面に対応する平面を推定し、記憶装置142のCADデータに基づいて、グローバル座標系において、推定した推定平面と、構造物モデルのうち推定平面に対応する第1層目の設計計画面とが一致するように推定平面に対して第1〜第4層目の設計計画面を当てはめることにより、壁10の予測形状を形成し、記憶装置142のCADデータに基づいて、グローバル座標系において、構造物モデルのうち予測形状に対応する第1〜第4層目の設計計画面を基準形状として形成し、予測形状および基準形状を合成して表示する。
【0137】
これにより、推定平面と、構造物モデルのうち推定平面に対応する設計計画面とが一致するように推定平面に構造物モデルを当てはめることにより第2〜第4層目の予測形状が形成され、予測形状および基準形状が合成表示されるので、施工済み出来型から全体的な予測出来型を把握することができる。したがって、複数層にわたって徐々に調整し、全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、従来に比して、全体のデザインを損なうことなく構造物を構築することができる。
【0138】
また、出来型の表面の実測とシミュレーションを組み合わせることにより、シミュレーションだけで行う場合に比して、高い予測精度を実現することができる。
【0139】
さらに、本実施の形態では、PCa板12をその面方向に複数組み合わせることにより構成される壁10の出来型を確認する場合に適用した。
【0140】
これにより、全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができる。
【0141】
さらに、本実施の形態では、3次元レーザスキャナ200を用いて計測することにより得られる点群データを採用した。
【0142】
これにより、PCa板12が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合でも、比較的適切な平面を推定することができる。
【0143】
さらに、本実施の形態では、第1層目の出来型の表面上の特定位置の点を計測することにより得られる点データを取得し、取得した点データに基づいて予測形状の位置を補正する。
【0144】
これにより、予測形状の位置が補正されるので、全体的な予測出来型をさらに適切に把握することができる。
【0145】
さらに、本実施の形態では、設計計画面22、24の境界を通過し、かつ、設計計画面22、24の法線面22a、24aがなす角の二等分線に沿った区分平面20を基準として、点群データにより特定される点群を設計計画面22、24のいずれかに対応させ、グローバル座標系において、設計計画面22に対応させた各計測点ごとにその計測点から設計計画面22までのずれ量を算出し、設計計画面24に対応させた各計測点ごとにその計測点から設計計画面24までのずれ量を算出し、設計計画面22、24に対応する計測点群のうち算出したずれ量が所定以上の箇所を第1色で表示する。
【0146】
これにより、出来型の表面と設計計画面とのずれ量に応じた色分けにより計測点群が表示されるので、構造物モデルに対する出来型のずれを視覚的に把握することができる。したがって、全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、全体のデザインを損なうことなく構造物を構築することができる。
【0147】
また、区分平面20を基準として点群を設計計画面22、24のいずれかに対応させるので、角度が異なる複数の表面を有する壁10のような構造物であっても、構造物モデルに対する出来型のずれを比較的適切に把握することができる。
【0148】
さらに、設計計画面22、24に対応する計測点群のうちずれ量が所定以上の箇所が第1色で表示されるので、ずれ量が大きい箇所だけを把握することができる。
【0149】
上記実施の形態において、壁10は、発明1、2、9または10の構造物に対応し、CADデータは、発明1、9または10の構造物モデルデータに対応し、記憶装置142は、発明1、9または10の構造物モデルデータ記憶手段に対応し、ステップS100は、発明1若しくは5の点群データ取得手段、または発明9若しくは10の点群データ取得ステップに対応している。また、ステップS108は、発明1の面推定手段、または発明9若しくは10の面推定ステップに対応し、ステップS112は、発明1若しくは4の予測形状形成手段、または発明9若しくは10の予測形状形成ステップに対応している。
【0150】
また、上記実施の形態において、ステップS114は、発明1の基準形状形成手段、または発明9若しくは10の基準形状形成ステップに対応し、ステップS116は、発明4の点データ取得手段に対応し、ステップS118は、発明4の位置補正手段に対応している。また、ステップS120は、発明1若しくは4の予測形状出力手段、または発明9若しくは10の予測形状出力ステップに対応し、ステップS204は、発明6の点群対応手段に対応し、ステップS206は、発明5または6のずれ量算出手段に対応している。
【0151】
また、上記実施の形態において、ステップS208は、発明5ないし8のずれ状態出力手段に対応している。
【0152】
〔他の実施の形態〕
なお、上記実施の形態においては、各計測地点P0〜Pnごとの点群データをそのまま用いる例を説明したが、異なる計測地点の点群が重なり合う領域については一方の計測地点の点群のみを採用することが考えられる。
【0153】
図16は、異なる計測地点の点群が重なり合う領域について点群を選択する場合を説明するための図である。
【0154】
異なる計測地点の点群が重なり合う領域については、図16に示すように、一方の計測地点の点群のうち重なり合う点群を選択し削除してもよい。これらは、手動で行ってもよいし、自動で行ってもよい。
【0155】
また、上記実施の形態においては、表示された計測点群のなかから1枚のPCa板12に相当する計測点群を選択させ、選択された計測点群の座標に基づいて平面を推定するように構成したが、これに限らず、グローバル座標系の座標に変換した各計測点の座標に基づいて、第1層目の出来型における各PCa板12の表面に対応する平面をそれぞれ推定するように構成することもできる。その後は、例えば、各推定平面ごとに、その推定平面と、その推定平面に対応する第1層目の設計計画面とが一致するように予測形状を形成し、各予測形状ごとに基準形状を形成する。
【0156】
また、上記実施の形態においては、シミュレーション結果を断面図および正面図として表示(図14)するように構成したが、これに限らず、上方から見下げた図、下方から見上げた図、斜視図その他の任意の角度からの図として表示するように構成することもできる。
【0157】
また、上記実施の形態においては、壁10の第1層目の施工が完了した場合に、第2〜第4層目の出来型のシミュレーションおよび第1層目の出来型のずれ状態の表示を行うように構成したが、これに限らず、壁10の第1、第2層目の施工が完了した場合に、上記実施の形態と同様の要領で、第3、第4層目の出来型のシミュレーションおよび第1、第2層目の出来型のずれ状態の表示を行うように構成することができる。また、壁10の第1〜第3層目の施工が完了した場合に、上記実施の形態と同様の要領で、第4層目の出来型のシミュレーションおよび第1〜第3層目の出来型のずれ状態の表示を行うように構成することができる。さらに、層の施工途中で行うこともできる。
【0158】
また、上記実施の形態においては、出来型の表面と設計計画面とのずれ量に応じた色分けにより計測点群を表示するように構成したが、これに限らず、出来型の表面と設計計画面とのずれ量に応じた濃淡により計測点群を表示するように構成することもできる。
【0159】
また、上記実施の形態においては、2段階の色分けにより計測点群を表示するように構成したが、これに限らず、さらに多段階の色分けまたは濃淡により計測点群を表示するように構成することもできる。
【0160】
また、上記実施の形態においては、ターゲットシール26を用いて出来型の表面を計測したが、これに限らず、ターゲットシール26を用いないで出来型の表面を計測することもできる。
【0161】
まず、3次元レーザスキャナ200を用いて出来型の表面の計測を開始する。その計測中に3次元レーザスキャナ200の走査を停止すると、3次元レーザスキャナ200のレーザが出来型の表面に照射されたままの状態となる。
【0162】
ここで、トータルステーション300に基準点Pgの座標を与え、トータルステーション300を用いて、レーザが照射された箇所を計測する。その結果、各計測点についてグローバル座標系の座標を示す第1点群データが得られる。
【0163】
その後は、上記実施の形態と同様に、レーザが照射した箇所に相当する計測点の座標を、第1点群データの対応する計測点の座標に置換することにより、第2点群データの座標をグローバル座標系に変換する。
【0164】
また、上記実施の形態において、図6および図12のフローチャートに示す処理を実行するにあたってはいずれも、ROM132にあらかじめ格納されている制御プログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM134に読み込んで実行するようにしてもよい。
【0165】
ここで、記憶媒体とは、RAM、ROM等の半導体記憶媒体、FD、HD等の磁気記憶型記憶媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記憶媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記憶媒体であって、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であれば、あらゆる記憶媒体を含むものである。
【0166】
また、上記実施の形態においては、本発明に係る出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法を、意匠的な構造物である壁10を構築する場合について適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。例えば、通常の構造物を構築する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】壁10を上方から見下げた図である。
【図2】壁10の正面図である。
【図3】壁10の施工過程を示す図である。
【図4】3次元レーザスキャナ200を用いて壁10の第1層目の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【図5】出来型確認装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】出来型確認処理を示すフローチャートである。
【図7】壁10の出来型の表面を計測する場合を説明するための図である。
【図8】ターゲット26の正面図である。
【図9】3次元レーザスキャナ200を用いて壁10の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【図10】トータルステーション300を用いて壁10の第1層目の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【図11】予測形状の位置を補正する場合を示す図である。
【図12】ずれ状態表示処理を示すフローチャートである。
【図13】各計測点を設計計画面に対応させる場合を示す図である。
【図14】第2〜第4層目の出来型のシミュレーション結果を示す図である。
【図15】ずれ状態の表示結果を示す図である。
【図16】異なる計測地点の点群が重なり合う領域について点群を選択する場合を説明するための図である。
【符号の説明】
【0168】
10 壁
12 PCa板
14 柱
16 予測形状
18 基準形状
20 区分平面
22、24 設計計画面
22a、24a 法線面
26 ターゲット
100 出来型確認装置
130 CPU
132 ROM
134 RAM
138 I/F
139 バス
140 入力装置
142 記憶装置
144 表示装置
200 3次元レーザスキャナ
300 トータルステーション
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の出来型を確認するシステムおよびプログラム、並びに方法に係り、特に、全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができる出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場において、施工段階の出来型形状を把握することは、後工程に与える影響を速やかに確認できるため、非常に重要である。
【0003】
従来、構造物の出来型を確認する技術としては、例えば、特許文献1記載の技術が知られている。
【0004】
特許文献1記載の技術は、3次元レーザスキャナを用いて建築現場の出来型表面の三次元データを点群データとして立体的に計測し、計測された出来型表面と、設計計画面との距離を比較して、出来型表面と設計計画面との干渉部分および隙間の少なくとも一方が最小になるように設計計画面を移動させるものである。
【特許文献1】特開2007−277813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、デザイン性が極めて高い意匠的な構造物が注目されている。意匠的な構造物としては、例えば、PCa板等の建材を僅かに傾斜させて垂直方向および水平方向に複数連結し、上方から見下げたときに全体として曲線を描くような構造物が考えられる。
【0006】
意匠的な構造物については、通常の構造物と同様に、デザイナが、構造物の基準となる形状を示す構造物モデルをCAD(Computer-Aided Design)装置で設計し、これを元に作成した設計図書に従って構築される。そして、現場では、構造物の出来型を計測して設計図書と比較し、建材の位置や傾きが許容誤差範囲内に収まっているか否かを確認しながら施工を進めていく。
【0007】
意匠的な構造物を構築する場合に特許文献1記載の技術を適用すれば、出来型表面と設計計画面との干渉部分等が最小になるように設計計画面を移動させることにより、施工段階前に実際の出来型形状に応じた有効な設計計画の変更を行うことができる。
【0008】
しかしながら、意匠的な構造物は、個々の建材の位置や傾きが許容誤差範囲内に収まっていても、誤差の累積等により全体のデザインが損なわれる場合があり、全体の仕上がりを考慮した調整が必要となる。
【0009】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができる出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の出来型確認システムは、構造物の出来型を確認する出来型確認システムであって、前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段と、前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得手段と、前記点群データ取得手段で取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定手段と、前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定手段で推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成手段と、前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成手段と、前記予測形状形成手段で形成された予測形状を、前記基準形状形成手段で形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力手段とを備える。
【0011】
このような構成であれば、点群データ取得手段により、出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データが取得され、面推定手段により、取得された点群データに基づいて、出来型の表面に対応する面が推定される。
【0012】
次いで、予測形状形成手段により、構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、構造物モデルから構造物の予測形状が形成される。予測形状は、所定の座標系において、推定された推定面と、構造物モデルのうち推定面に対応する設計計画面とが一致するように推定面に構造物モデルを当てはめることにより形成される。また、基準形状形成手段により、構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、構造物モデルのうち予測形状に対応する部分が基準形状として形成される。
【0013】
そして、予測形状出力手段により、予測形状が基準形状と対比可能に出力される。
【0014】
ここで、所定の座標系としては、多点の絶対座標(例えば、地表を基準とする座標)または相対座標(例えば、点群データを得るための実測に用いる計測機器の設置位置を基準とする座標)を定める座標系、構造物モデルの絶対座標(例えば、地表を基準とする座標)または相対座標(例えば、CADソフト上での座標)を定める座標系、その他任意の座標系が含まれる。なお、多点の座標を定める座標系と、構造物モデルの座標を定める座標系が異なる場合は、一方の座標系の座標を他方の座標系の座標に変換するか、両方の座標系の座標を、多点および構造物モデルの座標を定める他の座標系の座標に変換すればよい。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0015】
また、出来型の表面には、出来型の外面または内面が含まれる。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0016】
また、予測形状は、完成予定の構造物のうち少なくとも出来型以外の形状を含んでいればよく、出来型の形状を含んでいてもよいし、完成予定の構造物全体の形状としてもよい。また、形状のほかに、構造物について予測可能な大きさ、寸法、模様、色彩、構造物モデルとの誤差その他の特性を含んでいてもよい。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0017】
また、基準形状は、構造物モデルのうち少なくとも予測形状に対応する部分を含んでいればよく、推定面に対応する設計計画面を含んでいてもよいし、構造物モデルの全部としてもよい。また、予測形状と対比可能な部分が含まれていればよく、必ずしも全体が予測形状と対応している必要はない。また、形状のほかに、構造物モデルで定義される大きさ、寸法、模様、色彩その他の諸元を含んでいてもよい。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0018】
また、出来型とは、構造物の見た目の出来上がりのことをいう。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0019】
また、予測形状を基準形状と対比可能に出力することには、例えば、予測形状と基準形状を合成して出力すること、予測形状と基準形状を縦方向または横方向等に並べて出力すること、予測形状と基準形状を別々のウィンドウで出力すること、予測形状と基準形状を所定時間ごとに交互に出力することが含まれる。また、出力には、少なくとも表示、印刷、送信および記録が含まれる。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0020】
また、点群データは、出来型の表面の実測データまたはその2次的なデータ(例えば、実測データに基づいて算出、加工、生成されるデータ)であればよく、これには、例えば、3次元レーザスキャナ、トータルステーションその他の計測機器を用いて出来型の表面を計測することにより得られるデータが含まれる。その他の計測機器としては、例えば、GPS(Global Positioning System)、測距センサまたはラインセンサにより計測を行う計測機器が含まれる。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0021】
また、点群データの取得は、例えば、計測機器や入力装置等から点群データを入力すること、外部の装置等から点群データを受信すること、または記憶装置や記憶媒体等から点群データを読み出すことにより行うことができる。したがって、取得には、少なくとも入力、受信および読出が含まれる。以下、発明9の出来型確認プログラム、および発明10の出来型確認方法において同じである。
【0022】
また、構造物モデルデータ記憶手段は、あらゆる手段でかつあらゆる時期に構造物モデルデータを記憶可能なものを含み、構造物モデルデータをあらかじめ記憶してあるものであってもよいし、構造物モデルデータをあらかじめ記憶することなく、本システムの動作時に外部からの入力等によって構造物モデルデータを記憶するものであってもよい。
【0023】
また、本システムは、単一の装置、端末その他の機器として実現するようにしてもよいし、複数の装置、端末その他の機器を通信可能に接続したネットワークシステムとして実現するようにしてもよい。後者の場合、各構成要素は、それぞれ通信可能に接続されていれば、複数の機器等のうちいずれに属していてもよい。
【0024】
〔発明2〕 さらに、発明2の出来型確認システムは、発明1の出来型確認システムにおいて、前記構造物は、平面または曲面を有する建材をその面方向に複数組み合わせることにより構成される構造物である。
【0025】
このような構成であれば、予測形状出力手段により、平面または曲面を有する建材をその面方向に複数組み合わせることにより構成される構造物の予測形状が基準形状と対比可能に出力される。
【0026】
〔発明3〕 さらに、発明3の出来型確認システムは、発明1および2のいずれか1の出来型確認システムにおいて、前記点群データは、3次元レーザスキャナを用いて前記出来型の表面を計測することにより得られるデータである。
【0027】
このような構成であれば、3次元レーザスキャナを用いて出来型の表面を計測すると、点群データ取得手段により、出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データが取得される。
【0028】
出来型の表面をトータルステーションで計測する場合、出来型の表面に対応する面は、出来型の所定箇所(例えば、3点)を通る面として推定される。そのため、出来型が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合に、適切な面を推定できない可能性がある。これに対し、3次元レーザスキャナを用いて計測した場合は、例えば、最小二乗法により、出来型の表面上の多点から誤差が最小となる面として推定することができるので、出来型が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合でも、比較的適切な面を推定することができる。
【0029】
〔発明4〕 さらに、発明4の出来型確認システムは、発明1ないし3のいずれか1の出来型確認システムにおいて、前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の特定位置の点を特定するための点データを取得する点データ取得手段と、前記点データ取得手段で取得した点データに基づいて、前記特定位置の点と、前記推定面に一致させようとする前記設計計画面における前記特定位置の点に対応する基準点が一致するように、前記予測形状形成手段で形成した予測形状を移動させることにより当該予測形状の位置を補正する位置補正手段とをさらに備え、前記予測形状出力手段は、前記位置補正手段で位置を補正した予測形状を前記基準形状と対比可能に出力する。
【0030】
このような構成であれば、点データ取得手段により、出来型の表面上の特定位置の点を特定するための点データが取得され、位置補正手段により、取得された点データに基づいて予測形状の位置が補正される。出来型の表面上の特定位置の点が分かれば、その点と、設計計画面における特定位置の点に対応する基準点との位置関係から予測形状の位置を補正することができる。
【0031】
そして、予測形状出力手段により、位置が補正された予測形状が基準形状と対比可能に出力される。
【0032】
ここで、点データは、出来型の表面の実測データまたはその2次的なデータ(例えば、実測データに基づいて算出、加工、生成されるデータ)であればよく、これには、例えば、トータルステーションを用いて出来型の表面を計測することにより得られるデータが含まれる。
【0033】
また、点データの取得は、例えば、計測機器や入力装置等から点データを入力すること、外部の装置等から点データを受信すること、または記憶装置や記憶媒体等から点データを読み出すことにより行うことができる。したがって、取得には、少なくとも入力、受信および読出が含まれる。
【0034】
〔発明5〕 さらに、発明5の出来型確認システムは、発明1ないし4のいずれか1の出来型確認システムにおいて、前記点群データ取得手段で取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面と、前記構造物モデルのうち前記出来型の表面に対応する設計計画面とのずれ量を算出するずれ量算出手段と、前記ずれ量算出手段で算出したずれ量に応じた出力態様で前記多点を出力するずれ状態出力手段とをさらに備える。
【0035】
このような構成であれば、ずれ量算出手段により、取得された点群データに基づいて、出来型の表面と、構造物モデルのうち出来型の表面に対応する設計計画面とのずれ量が算出され、ずれ状態出力手段により、算出されたずれ量に応じた出力態様で多点が出力される。
【0036】
ここで、設計計画面の出力には、予測形状の出力と同様に、少なくとも表示、印刷、送信および記録が含まれる。
【0037】
〔発明6〕 さらに、発明6の出来型確認システムは、発明5の出来型確認システムにおいて、前記出来型は、角度が異なる少なくとも2つの表面を有し、前記構造物モデルのうち前記少なくとも2つの表面のそれぞれに対応する設計計画面を区分し、かつ、一の前記設計計画面の法線面と他の前記設計計画面の法線面がなす角度範囲の角度を有する区分平面を基準として、前記点群データにより特定される多点の一部または全部を前記設計計画面のいずれかに対応させる点群対応手段をさらに備え、前記ずれ量算出手段は、前記各設計計画面ごとに、前記点群対応手段で当該設計計画面に対応させた点から当該設計計画面までのずれ量を算出し、前記ずれ状態出力手段は、前記各設計計画面ごとに、当該設計計画面について前記ずれ量算出手段で算出したずれ量に応じた出力態様で、当該設計計画面に対応する多点を出力する。
【0038】
このような構成であれば、点群対応手段により、区分平面を基準として、点群データにより特定される多点の一部または全部が設計計画面のいずれかに対応させられる。区分平面は、構造物モデルのうち出来型の少なくとも2つの表面にそれぞれ対応する設計計画面を区分し、かつ、一の設計計画面の法線面と他の設計計画面の法線面とがなす角度範囲の角度を有する平面である。
【0039】
例えば、複数回の計測により点群データを得る場合や、構造物モデルに対する出来型のずれが大きい場合は、設計計画面の間に分布する多点がどちらの設計計画面に対応するものであるかの判定が困難となる。この判定が不適切な場合は、構造物モデルに対する出来型のずれを適切に把握することができない。
【0040】
そこで、このように区分平面を基準とすることにより、点群データにより特定される多点の一部または全部を比較的適切に設計計画面いずれかに対応させることができる。
【0041】
点群対応手段による対応が行われると、ずれ量算出手段により、各設計計画面ごとに、その設計計画面に対応させた点からその設計計画面までのずれ量が算出される。そして、ずれ量算出手段により、各設計計画面ごとに、その設計計画面について算出されたその設計計画面までのずれ量に応じた出力態様で、その設計計画面に対応する多点が出力される。
【0042】
〔発明7〕 さらに、発明7の出来型確認システムは、発明5および6のいずれか1の出来型確認システムにおいて、前記ずれ状態出力手段は、前記ずれ量に応じた色分けまたは濃淡により前記多点を出力する。
【0043】
このような構成であれば、ずれ状態出力手段により、ずれ量に応じた色分けまたは濃淡により多点が出力される。
【0044】
〔発明8〕 さらに、発明8の出来型確認システムは、発明7の出来型確認システムにおいて、前記ずれ状態出力手段は、前記ずれ量が所定以上であるときは、特定の色または濃度により前記多点を出力する。
【0045】
このような構成であれば、ずれ状態出力手段により、ずれ量が所定以上であるときは、特定の色または濃度により多点が出力される。
【0046】
〔発明9〕 一方、上記目的を達成するために、発明9の出来型確認プログラムは、構造物の出来型を確認する処理をコンピュータに実行させるための出来型確認プログラムであって、前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得ステップと、前記点群データ取得ステップで取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定ステップと、前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定ステップで推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成ステップと、前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成ステップと、前記予測形状形成ステップで形成された予測形状を、前記基準形状形成ステップで形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力ステップとを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0047】
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、発明1の出来型確認システムと同等の作用が得られる。
【0048】
〔発明10〕 一方、上記目的を達成するために、発明10の出来型確認方法は、構造物の出来型を確認する出来型確認方法であって、前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得ステップと、前記点群データ取得ステップで取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定ステップと、前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定ステップで推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成ステップと、前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成ステップと、前記予測形状形成ステップで形成された予測形状を、前記基準形状形成ステップで形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力ステップとを含む。
【発明の効果】
【0049】
以上説明したように、発明1の出来型確認システムによれば、推定面と、構造物モデルのうち推定面に対応する設計計画面とが一致するように推定面に構造物モデルを当てはめることにより構造物の予測形状が形成され、予測形状が基準形状と対比可能に出力されるので、施工済み出来型から全体的な予測出来型を把握することができる。したがって、全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、従来に比して、全体のデザインを損なうことなく構造物を構築することができるという効果が得られる。
【0050】
さらに、発明2の出来型確認システムによれば、平面または曲面を有する建材をその面方向に複数組み合わせることにより構成される構造物について全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができるという効果が得られる。
【0051】
さらに、発明3の出来型確認システムによれば、点群データは、3次元レーザスキャナを用いて計測することにより得られるデータであるので、出来型が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合でも、比較的適切な面を推定することができるという効果が得られる。
【0052】
さらに、発明4の出来型確認システムによれば、予測形状の位置が補正されるので、全体的な予測出来型をさらに適切に把握することができるという効果が得られる。
【0053】
さらに、発明5の出来型確認システムによれば、出来型の表面と設計計画面とのずれ量に応じた出力態様で多点が出力されるので、構造物モデルに対する出来型のずれを把握することができる。したがって、全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、全体のデザインを損なうことなく構造物を構築することができるという効果が得られる。
【0054】
さらに、発明6の出来型確認システムによれば、設計計画面を区分する区分平面を基準として多点を設計計画面に対応させるので、角度が異なる複数の表面を有する構造物であっても、構造物モデルに対する出来型のずれを比較的適切に把握することができるという効果が得られる。したがって、そのような構造物について全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができるという効果が得られる。
【0055】
さらに、発明7の出来型確認システムによれば、ずれ量に応じた色分けまたは濃淡により多点が出力されるので、構造物モデルに対する出来型のずれを視覚的に把握することができるという効果が得られる。
【0056】
さらに、発明8の出来型確認システムによれば、ずれ量が所定以上であるときは、特定の色または濃度により多点が出力されるので、ずれ量が大きい箇所だけを把握することができるという効果が得られる。
【0057】
一方、発明9の出来型確認プログラム、または発明10の出来型確認方法によれば、発明1の出来型確認システムと同等の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1ないし図15は、本発明に係る出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法の実施の形態を示す図である。
【0059】
まず、本発明を適用する意匠的な構造物を説明する。
【0060】
図1は、壁10を上方から見下げた図である。
【0061】
図2は、壁10の正面図である。
【0062】
本実施の形態は、本発明に係る出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法を、意匠的な構造物として、曲面や傾きで構成される壁を再現した壁10を構築する場合について適用したものである。
【0063】
壁10は、図1および図2に示すように、PCa板12の表面を僅かに後傾させ、PCa板12を垂直方向に4枚積層し、さらに水平方向に多数連結することにより構成される。壁10を上方から見ると、曲線を描く形状となり、全体として曲線美が表現される。
【0064】
図3は、壁10の施工過程を示す図である。
【0065】
壁10は、図3に示すように、PCa板12を所定の位置に仮止め架設後に、PCa板12のジョイント位置にRCの柱14が緊結される構造であり、一般的な梁がなくPCa板12が梁および壁となる特殊な構造である。そしてさらに、このような構造を垂直方向に4枚積層するため、通常の構造物と比して、設計図書通りに構築することが困難となる。なお、このことは、意匠的な構造物全般について言えることである。
【0066】
図4は、3次元レーザスキャナ200を用いて壁10の第1層目の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【0067】
本実施の形態では、図4に示すように、壁10の第1層目(最下段)の施工が完了したときに、3次元レーザスキャナ200を用いて第1層目の出来型の表面を計測し、その計測結果に基づいて第2〜第4層目の出来型を出来型確認装置100でシミュレーションする。そのシミュレーション結果を参照し、許容誤差範囲内に収まっているか否かを確認し、第1層目の出来型に対してまたは第2〜第4層目の施工においてPCa板12の位置や傾き等を調整することができる。これにより、未施工の部分も考慮しながら施工を進めることができるので、全体のデザインを損なうことなく壁10を構築することができる。
【0068】
3次元レーザスキャナ200は、計測範囲内において所定の分解能で物体までの距離を計測し、計測した距離に基づいて各計測点の座標を示す点群データを生成しメモリに記憶する。各計測点には、3次元レーザスキャナ200の現在位置を原点とする3次元直交座標系(以下、スキャナ座標系という。)の座標が与えられる。点群データを用いれば、各計測点の素材等に応じて異なるレーザの反射強度をグレースケールで可視化することができ、構造物の大きさや傾斜の度合い等を容易に算出することもできる。このように、3次元レーザスキャナ200によれば、計測範囲内に存在する物体の3次元情報を高速、高密度に取得することができる。
【0069】
3次元レーザスキャナ200の計測原理は、トータルステーションと類似しており、任意のターゲット(計測点p)に向かって射出したレーザパルスが反射して戻ってくるまでの時間から算出される距離rを計測する。
【0070】
計測点pの座標は、3次元極座標系の座標(r、λ、φ)をスキャナ座標系の座標(x0、y0、z0)に変換することにより算出することができる。ここで、φは、z軸とレーザ光のなす角であり、λは、x軸とレーザ光のなす角である。
【0071】
次に、出来型確認装置100の構成を説明する。
【0072】
図5は、出来型確認装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0073】
出来型確認装置100は、図5に示すように、制御プログラムに基づいて演算およびシステム全体を制御するCPU130と、所定領域にあらかじめCPU130の制御プログラム等を格納しているROM132と、ROM132等から読み出したデータやCPU130の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM134と、外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F138とを有して構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバス139で相互にかつデータ授受可能に接続されている。
【0074】
I/F138には、外部装置として、ヒューマンインターフェースとしてデータの入力が可能なキーボードやマウス等からなる入力装置140と、データやテーブル等をファイルとして格納する記憶装置142と、画像信号に基づいて画面を表示する表示装置144と、3次元レーザスキャナ200と、トータルステーション300とが接続されている。
【0075】
記憶装置142には、壁10の基準となる形状を示す構造物モデルに関するCADデータが記憶されている。構造物モデルは、建築現場における基準点Pgを原点とする3次元直交座標系(以下、グローバル座標系という。)で表現されている。CADデータは、グローバル座標系における点間を接続する線で構造物モデルを表現したベクトルデータであって、構造物モデルの形状線や通り心の端点の属性(点の名称、位置)、形状線や通り心の属性(線の名称、位置、長さ)および構造物モデルの設計計画面の属性(面の名称、位置、大きさ)が規定されている。また、三角形または四角形からなる面が最小のモデルとして定義されている。CADデータは、例えば、VRMLにより記述することができる。なお、CADソフト上で定義される3次元直交座標系で構造物モデルを表現することもできるが、この場合は、CADデータの利用の際にグローバル座標系に変換する必要がある。
【0076】
次に、CPU130で実行される処理を説明する。
【0077】
CPU130は、マイクロプロセッシングユニット等からなり、ROM132の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、図6および図12のフローチャートに示す出来型確認処理およびずれ状態表示処理を実行する。
【0078】
初めに、出来型確認処理を説明する。
【0079】
図6は、出来型確認処理を示すフローチャートである。
【0080】
図7は、壁10の出来型の表面を計測する場合を説明するための図である。
【0081】
出来型確認処理は、3次元レーザスキャナ200の計測結果に基づいて第2〜第4層目の出来型をシミュレーションする処理である。
【0082】
出来型確認処理の実行に先立って、3次元レーザスキャナ200を用いて第1層目の出来型の表面を計測する。壁10が大きく、1回の計測では表面全域を計測できないので、図7に示すように、壁10の周辺に複数の計測地点P0〜Pnを設定し、各計測地点P0〜Pnごとに第1層目の出来型の表面の一部を計測することにより第1層目の出来型の表面全域を計測する。
【0083】
各計測地点P0〜Pnでは、具体的に次のように計測を行う。
【0084】
図8は、ターゲット26の正面図である。
【0085】
図9は、3次元レーザスキャナ200を用いて壁10の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【0086】
まず、図8および図9に示すように、複数のターゲット26(ターゲットシール)を出来型の表面に貼付する。このとき、3次元レーザスキャナ200の後方でかつその走査範囲内に、三脚等を用いてターゲット26を設置してもよい。
【0087】
次いで、トータルステーション300に基準点Pgの座標を与え、トータルステーション300を用いて各ターゲット26の中心点を計測する。その結果、各計測点についてグローバル座標系の座標を示す第1点群データが得られ、トータルステーション300のメモリに記憶される。
【0088】
そして、3次元レーザスキャナ200を用いて、各ターゲット26の中心点を含む出来型の表面を計測する。その結果、各計測点についてスキャナ座標系の座標を示す第2点群データが得られ、3次元レーザスキャナ200のメモリに記憶される。
【0089】
計測が完了した後に、出来型確認処理がCPU130において実行されると、図6に示すように、まず、ステップS100に移行して、各計測地点P0〜Pnごとの第1点群データをトータルステーション300から、各計測地点P0〜Pnごとの第2点群データを3次元レーザスキャナ200からそれぞれ入力し、ステップS102に移行する。
【0090】
ステップS102では、入力した第2点群データのなかから各ターゲット26の中心点に相当する計測点を抽出し、抽出した計測点の座標を、入力した第1点群データの対応する計測点の座標に置換することにより、第2点群データの座標をグローバル座標系に変換する座標変換処理を実行する。座標変換処理は、各計測地点P0〜Pnごとに行う。
【0091】
次いで、ステップS104に移行して、グローバル座標系の座標に変換した各計測点を表示装置144に表示することにより第1層目の出来型の表面画像を表示し、ステップS106に移行して、表示された計測点群のなかから1枚のPCa板12に相当する計測点群を入力装置140により選択させ、ステップS108に移行する。
【0092】
ステップS108では、選択された計測点群の座標に基づいて、グローバル座標系において、第1層目の出来型の表面に対応する平面を推定する。平面の推定方法としては、例えば、最小二乗法、ハフ変換その他の方法を採用することができる。最小二乗法を採用した場合は、選択された計測点群について各計測点から平面までの距離の二乗和が最小となるような平面を推定平面として求める。
【0093】
PCa板12の4隅をトータルステーション300で計測する場合、PCa板12の表面に対応する平面は、4隅を通る平面として推定される。そのため、PCa板12が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合に、適切な平面を推定できない可能性がある。これに対し、3次元レーザスキャナ200を用いて計測した場合は、PCa板12の表面上の点群から誤差が最小となる平面が推定されるので、PCa板12が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合でも、比較的適切な平面を推定することができる。
【0094】
次いで、ステップS110に移行して、CADデータを記憶装置142から読み出し、ステップS112に移行する。
【0095】
ステップS112では、読み出したCADデータに基づいて、構造物モデルから壁10の予測形状を形成する。予測形状は、グローバル座標系において、ステップS108で推定した推定平面と、構造物モデルのうち推定平面に対応する第1層目の設計計画面とが一致するように推定平面に対して第1〜第4層目の設計計画面を当てはめることにより形成される。推定平面と、第1層目の設計計画面との対応については、第1層目の設計計画面のうち、例えば、推定平面からの距離が最小となる設計計画面を対応させることができる。
【0096】
次いで、ステップS114に移行して、読み出したCADデータに基づいて、グローバル座標系において、構造物モデルのうち予測形状に対応する第1〜第4層目の設計計画面を基準形状として形成する。
【0097】
次いで、ステップS116に移行して、第1層目の出来型の表面上の特定位置の点の座標を示す点データをトータルステーション300から入力する。
【0098】
図10は、トータルステーション300を用いて壁10の第1層目の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【0099】
図10に示すように、トータルステーション300を用いて、第1層目の出来型のうちPCa板12の表面上の特定位置の点paを計測する。
【0100】
トータルステーション300は、点paまでの距離を計測し、計測した距離に基づいて計測点paの座標を示す点データを生成しメモリに記憶する。トータルステーション300は、3次元レーザスキャナ200に対して、特定位置の点を計測することができる点で有利であるので、ステップS116で入力する点データは、トータルステーション300を用いて計測することにより高い精度で得ることができる。なお、ステップS116では、第1点群データのなかから点データを入力してもよい。
【0101】
次いで、ステップS118に移行して、グローバル座標系に変換した計測点paの座標に基づいて、ステップS112で形成された予測形状の位置を補正する。
【0102】
図11は、予測形状の位置を補正する場合を示す図である。
【0103】
ステップS108では、出来型の表面に対応する平面を推定するが、点群のみから平面を推定するため、推定平面(出来型の表面)に設計計画面を完全に一致させることは難しく、推定平面の面方向にずれが生じる。そのため、高い予測精度を実現するには、一致させようとする設計計画面の位置を補正する必要がある。
【0104】
まず、出来型の第1層目の下辺は接地しているはずであるので、図11(a)に示すように、予測形状16の最下辺が接地面に位置するように、予測形状16を移動させる。
【0105】
次いで、図11(b)に示すように、計測点paと、予測形状16の第1層目の面(第1層目の設計計画面を当てはめたもの)における計測点paに対応する基準点pbとが一致またはほぼ一致するように、予測形状16を移動させる。ここで、ほぼ一致とは、計測点paと基準点pbが一致しない場合であって、例えば、計測点paと基準点pbの距離が所定値以下である場合、または計測点paと基準点pbの距離が最小となる場合が考えられる。なお、PCa板12の表面上の点paの位置は既知であるため、設計計画面上の基準点pbの座標もあらかじめ特定することができる。
【0106】
なお、予測形状の位置を補正する場合に、予測形状の最下辺が接地面に位置するように、予測形状を移動させるように構成したが、これに限らず、接地面への移動は行わず、計測点paと基準点pbとが一致またはほぼ一致するように、予測形状を移動させるように構成することもできる。
【0107】
また、壁10の第2層目の施工が完了した場合は、第2層目の計測点paを基準として用いる。すなわち、出来型のうち最も高い層の計測点paを位置補正の基準として用いる。
【0108】
次いで、ステップS120に移行して、ステップS112、S114で形成された予測形状および基準形状を合成して表示装置144に表示し、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
【0109】
次に、ずれ状態表示処理を説明する。
【0110】
図12は、ずれ状態表示処理を示すフローチャートである。
【0111】
ずれ状態表示処理は、3次元レーザスキャナ200の計測結果に基づいて、構造物モデルに対する出来型のずれの状態を表示する処理であって、CPU130において実行されると、図12に示すように、まず、ステップS200に移行する。
【0112】
ステップS200、S202では、ステップS100、S102と同様の処理を実行し、ステップS204に移行する。
【0113】
ステップS204では、グローバル座標系の座標に変換した各計測点を設計計画面に対応させる。
【0114】
図13は、各計測点を設計計画面に対応させる場合を示す図である。同図(a)は、設計計画面の斜視図であり、同図(b)は、設計計画面の平面的な模式図である。
【0115】
ここでは、隣接する2つのPCa板12の各計測点を設計計画面に対応させる場合を説明する。
【0116】
複数回の計測により点群データを得る場合(図7)や、構造物モデルに対する出来型のずれが大きい場合は、図13に示すように、構造物モデルのうち一方のPCa板12に対応する設計計画面22と、他方のPCa板12に対応する設計計画面24との境界付近に分布する計測点が設計計画面22、24のどちらに対応するものであるかの判定が困難となる。この判定が不適切な場合は、構造物モデルに対する出来型のずれの状態を適切に把握することができない。
【0117】
そこで、2つのPCa板12の各計測点は、区分平面20を基準として設計計画面22、24のいずれかに対応させる。区分平面20は、設計計画面22、24の境界を通過し、かつ、設計計画面22、24の法線面22a、24aがなす角の二等分線に沿った平面として定義する。具体的には、区分平面20よりも設計計画面22側に分布する計測点を設計計画面22に、区分平面20よりも設計計画面24側に分布する計測点を設計計画面24にそれぞれ対応させる。
【0118】
次いで、ステップS206に移行して、グローバル座標系において、設計計画面22に対応させた各計測点ごとにその計測点から設計計画面22までのずれ量を算出し、設計計画面24に対応させた各計測点ごとにその計測点から設計計画面24までのずれ量を算出する。
【0119】
次いで、ステップS208に移行して、設計計画面22、24の形状を表示装置144に表示する。そして、設計計画面22のうち算出したずれ量が所定以上の箇所(計測点に対応する箇所)を第1色(例えば、赤)で表示し、その他の箇所を第2色(例えば、灰色)で表示する。同様に、設計計画面24のうち算出したずれ量が所定以上の箇所(計測点に対応する箇所)を第1色で表示し、その他の箇所を第2色で表示する。必要により、ずれの方向を考慮した第3色(例えば、一方を赤、他方を青)を用いて表示してもよい。
【0120】
次いで、ステップS210に移行して、第1層目のすべての設計計画面についてステップS206、S208の処理が終了したか否かを判定し、第1層目のすべての設計計画面について処理が終了したと判定したとき(Yes)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
【0121】
一方、ステップS210で、第1層目のすべての設計計画面について処理が終了していないと判定したとき(No)は、ステップS206に移行する。
【0122】
〔本実施の形態の動作〕
次に、本実施の形態の動作を説明する。
【0123】
初めに、第2〜第4層目の出来型をシミュレーションする場合を説明する。
【0124】
まず、複数の計測地点P0〜Pnにおいて、3次元レーザスキャナ200を用いて第1層目の出来型の表面を計測する。その結果、3次元レーザスキャナ200のメモリには、各計測地点P0〜Pnごとの点群データが記憶される。
【0125】
次に、出来型確認装置100において出来型確認処理を実行する。
【0126】
出来型確認装置100では、出来型確認処理が実行されると、ステップS100〜S104を経て、各計測地点P0〜Pnごとの点群データが3次元レーザスキャナ200から入力され、入力された点群データに基づいて各計測点の座標がグローバル座標系の座標に変換され、第1層目の出来型の表面画像が表示される。
【0127】
ここで、表示された計測点群のなかから1枚のPCa板12に相当する計測点群を選択する。
【0128】
出来型確認装置100では、計測点群が選択されると、ステップS108〜S114を経て、選択された計測点群の座標に基づいて平面が推定され、CADデータに基づいて予測形状および基準形状が形成される。次いで、ステップS116、S118を経て、点データに基づいて予測形状の位置が補正される。
【0129】
図14は、第2〜第4層目の出来型のシミュレーション結果を示す図である。同図(a)は、予測形状16および基準形状18の断面図であり、同図(b)は、予測形状16および基準形状18の正面図である。
【0130】
そして、ステップS120を経て、図14(a)、(b)に示すように、予測形状16および基準形状18が合成表示される。図14(a)の例では、現在のまま施工を進めると、構造物モデルに比して壁10の出来型の位置や傾きが異なり、全体のデザインに大きな影響を与える可能性があることを把握することができる。なお、基準形状18に対する予測形状16のずれ量を各層ごとに数値で表示してもよい。
【0131】
次に、構造物モデルに対する出来型のずれの状態を表示する場合を説明する。
【0132】
上記同様に、3次元レーザスキャナ200を用いて第1層目の出来型の表面を計測した後、出来型確認装置100においてずれ状態表示処理を実行する。
【0133】
出来型確認装置100では、ずれ状態表示処理が実行されると、ステップS200、S202を経て、各計測地点P0〜Pnごとの点群データが3次元レーザスキャナ200から入力され、入力された点群データに基づいて各計測点の座標がグローバル座標系の座標に変換される。
【0134】
図15は、ずれ状態の表示結果を示す図である。
【0135】
次いで、ステップS204、S206を経て、座標変換された各計測点が設計計画面に対応させられ、設計計画面に対応させた各計測点ごとにその計測点からその設計計画面までのずれ量が算出される。そして、ステップS208を経て、図15に示すように、設計計画面のうち算出されたずれ量が所定以上の箇所が第1色で、その他の箇所が第2色で表示される。必要により、ずれの方向を考慮した第3色(例えば、一方を赤、他方を青)を用いて表示してもよい。
【0136】
〔本実施の形態の効果〕
このようにして、本実施の形態では、第1層目の出来型の表面を計測することにより得られる点群データを入力し、入力した点群データに基づいて、その出来型の表面に対応する平面を推定し、記憶装置142のCADデータに基づいて、グローバル座標系において、推定した推定平面と、構造物モデルのうち推定平面に対応する第1層目の設計計画面とが一致するように推定平面に対して第1〜第4層目の設計計画面を当てはめることにより、壁10の予測形状を形成し、記憶装置142のCADデータに基づいて、グローバル座標系において、構造物モデルのうち予測形状に対応する第1〜第4層目の設計計画面を基準形状として形成し、予測形状および基準形状を合成して表示する。
【0137】
これにより、推定平面と、構造物モデルのうち推定平面に対応する設計計画面とが一致するように推定平面に構造物モデルを当てはめることにより第2〜第4層目の予測形状が形成され、予測形状および基準形状が合成表示されるので、施工済み出来型から全体的な予測出来型を把握することができる。したがって、複数層にわたって徐々に調整し、全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、従来に比して、全体のデザインを損なうことなく構造物を構築することができる。
【0138】
また、出来型の表面の実測とシミュレーションを組み合わせることにより、シミュレーションだけで行う場合に比して、高い予測精度を実現することができる。
【0139】
さらに、本実施の形態では、PCa板12をその面方向に複数組み合わせることにより構成される壁10の出来型を確認する場合に適用した。
【0140】
これにより、全体のデザインを損なうことなく意匠的な構造物を構築することができる。
【0141】
さらに、本実施の形態では、3次元レーザスキャナ200を用いて計測することにより得られる点群データを採用した。
【0142】
これにより、PCa板12が歪んでいたり表面に凹凸があったりした場合でも、比較的適切な平面を推定することができる。
【0143】
さらに、本実施の形態では、第1層目の出来型の表面上の特定位置の点を計測することにより得られる点データを取得し、取得した点データに基づいて予測形状の位置を補正する。
【0144】
これにより、予測形状の位置が補正されるので、全体的な予測出来型をさらに適切に把握することができる。
【0145】
さらに、本実施の形態では、設計計画面22、24の境界を通過し、かつ、設計計画面22、24の法線面22a、24aがなす角の二等分線に沿った区分平面20を基準として、点群データにより特定される点群を設計計画面22、24のいずれかに対応させ、グローバル座標系において、設計計画面22に対応させた各計測点ごとにその計測点から設計計画面22までのずれ量を算出し、設計計画面24に対応させた各計測点ごとにその計測点から設計計画面24までのずれ量を算出し、設計計画面22、24に対応する計測点群のうち算出したずれ量が所定以上の箇所を第1色で表示する。
【0146】
これにより、出来型の表面と設計計画面とのずれ量に応じた色分けにより計測点群が表示されるので、構造物モデルに対する出来型のずれを視覚的に把握することができる。したがって、全体の仕上がりを考慮した調整を行うことができるので、全体のデザインを損なうことなく構造物を構築することができる。
【0147】
また、区分平面20を基準として点群を設計計画面22、24のいずれかに対応させるので、角度が異なる複数の表面を有する壁10のような構造物であっても、構造物モデルに対する出来型のずれを比較的適切に把握することができる。
【0148】
さらに、設計計画面22、24に対応する計測点群のうちずれ量が所定以上の箇所が第1色で表示されるので、ずれ量が大きい箇所だけを把握することができる。
【0149】
上記実施の形態において、壁10は、発明1、2、9または10の構造物に対応し、CADデータは、発明1、9または10の構造物モデルデータに対応し、記憶装置142は、発明1、9または10の構造物モデルデータ記憶手段に対応し、ステップS100は、発明1若しくは5の点群データ取得手段、または発明9若しくは10の点群データ取得ステップに対応している。また、ステップS108は、発明1の面推定手段、または発明9若しくは10の面推定ステップに対応し、ステップS112は、発明1若しくは4の予測形状形成手段、または発明9若しくは10の予測形状形成ステップに対応している。
【0150】
また、上記実施の形態において、ステップS114は、発明1の基準形状形成手段、または発明9若しくは10の基準形状形成ステップに対応し、ステップS116は、発明4の点データ取得手段に対応し、ステップS118は、発明4の位置補正手段に対応している。また、ステップS120は、発明1若しくは4の予測形状出力手段、または発明9若しくは10の予測形状出力ステップに対応し、ステップS204は、発明6の点群対応手段に対応し、ステップS206は、発明5または6のずれ量算出手段に対応している。
【0151】
また、上記実施の形態において、ステップS208は、発明5ないし8のずれ状態出力手段に対応している。
【0152】
〔他の実施の形態〕
なお、上記実施の形態においては、各計測地点P0〜Pnごとの点群データをそのまま用いる例を説明したが、異なる計測地点の点群が重なり合う領域については一方の計測地点の点群のみを採用することが考えられる。
【0153】
図16は、異なる計測地点の点群が重なり合う領域について点群を選択する場合を説明するための図である。
【0154】
異なる計測地点の点群が重なり合う領域については、図16に示すように、一方の計測地点の点群のうち重なり合う点群を選択し削除してもよい。これらは、手動で行ってもよいし、自動で行ってもよい。
【0155】
また、上記実施の形態においては、表示された計測点群のなかから1枚のPCa板12に相当する計測点群を選択させ、選択された計測点群の座標に基づいて平面を推定するように構成したが、これに限らず、グローバル座標系の座標に変換した各計測点の座標に基づいて、第1層目の出来型における各PCa板12の表面に対応する平面をそれぞれ推定するように構成することもできる。その後は、例えば、各推定平面ごとに、その推定平面と、その推定平面に対応する第1層目の設計計画面とが一致するように予測形状を形成し、各予測形状ごとに基準形状を形成する。
【0156】
また、上記実施の形態においては、シミュレーション結果を断面図および正面図として表示(図14)するように構成したが、これに限らず、上方から見下げた図、下方から見上げた図、斜視図その他の任意の角度からの図として表示するように構成することもできる。
【0157】
また、上記実施の形態においては、壁10の第1層目の施工が完了した場合に、第2〜第4層目の出来型のシミュレーションおよび第1層目の出来型のずれ状態の表示を行うように構成したが、これに限らず、壁10の第1、第2層目の施工が完了した場合に、上記実施の形態と同様の要領で、第3、第4層目の出来型のシミュレーションおよび第1、第2層目の出来型のずれ状態の表示を行うように構成することができる。また、壁10の第1〜第3層目の施工が完了した場合に、上記実施の形態と同様の要領で、第4層目の出来型のシミュレーションおよび第1〜第3層目の出来型のずれ状態の表示を行うように構成することができる。さらに、層の施工途中で行うこともできる。
【0158】
また、上記実施の形態においては、出来型の表面と設計計画面とのずれ量に応じた色分けにより計測点群を表示するように構成したが、これに限らず、出来型の表面と設計計画面とのずれ量に応じた濃淡により計測点群を表示するように構成することもできる。
【0159】
また、上記実施の形態においては、2段階の色分けにより計測点群を表示するように構成したが、これに限らず、さらに多段階の色分けまたは濃淡により計測点群を表示するように構成することもできる。
【0160】
また、上記実施の形態においては、ターゲットシール26を用いて出来型の表面を計測したが、これに限らず、ターゲットシール26を用いないで出来型の表面を計測することもできる。
【0161】
まず、3次元レーザスキャナ200を用いて出来型の表面の計測を開始する。その計測中に3次元レーザスキャナ200の走査を停止すると、3次元レーザスキャナ200のレーザが出来型の表面に照射されたままの状態となる。
【0162】
ここで、トータルステーション300に基準点Pgの座標を与え、トータルステーション300を用いて、レーザが照射された箇所を計測する。その結果、各計測点についてグローバル座標系の座標を示す第1点群データが得られる。
【0163】
その後は、上記実施の形態と同様に、レーザが照射した箇所に相当する計測点の座標を、第1点群データの対応する計測点の座標に置換することにより、第2点群データの座標をグローバル座標系に変換する。
【0164】
また、上記実施の形態において、図6および図12のフローチャートに示す処理を実行するにあたってはいずれも、ROM132にあらかじめ格納されている制御プログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM134に読み込んで実行するようにしてもよい。
【0165】
ここで、記憶媒体とは、RAM、ROM等の半導体記憶媒体、FD、HD等の磁気記憶型記憶媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記憶媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記憶媒体であって、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であれば、あらゆる記憶媒体を含むものである。
【0166】
また、上記実施の形態においては、本発明に係る出来型確認システムおよび出来型確認プログラム、並びに出来型確認方法を、意匠的な構造物である壁10を構築する場合について適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。例えば、通常の構造物を構築する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】壁10を上方から見下げた図である。
【図2】壁10の正面図である。
【図3】壁10の施工過程を示す図である。
【図4】3次元レーザスキャナ200を用いて壁10の第1層目の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【図5】出来型確認装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】出来型確認処理を示すフローチャートである。
【図7】壁10の出来型の表面を計測する場合を説明するための図である。
【図8】ターゲット26の正面図である。
【図9】3次元レーザスキャナ200を用いて壁10の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【図10】トータルステーション300を用いて壁10の第1層目の出来型の正面を計測する場合を示す図である。
【図11】予測形状の位置を補正する場合を示す図である。
【図12】ずれ状態表示処理を示すフローチャートである。
【図13】各計測点を設計計画面に対応させる場合を示す図である。
【図14】第2〜第4層目の出来型のシミュレーション結果を示す図である。
【図15】ずれ状態の表示結果を示す図である。
【図16】異なる計測地点の点群が重なり合う領域について点群を選択する場合を説明するための図である。
【符号の説明】
【0168】
10 壁
12 PCa板
14 柱
16 予測形状
18 基準形状
20 区分平面
22、24 設計計画面
22a、24a 法線面
26 ターゲット
100 出来型確認装置
130 CPU
132 ROM
134 RAM
138 I/F
139 バス
140 入力装置
142 記憶装置
144 表示装置
200 3次元レーザスキャナ
300 トータルステーション
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の出来型を確認する出来型確認システムであって、
前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段と、
前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得手段と、
前記点群データ取得手段で取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定手段と、
前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定手段で推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成手段と、
前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成手段と、
前記予測形状形成手段で形成された予測形状を、前記基準形状形成手段で形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力手段とを備えることを特徴とする出来型確認システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記構造物は、平面または曲面を有する建材をその面方向に複数組み合わせることにより構成される構造物であることを特徴とする出来型確認システム。
【請求項3】
請求項1および2のいずれか1項において、
前記点群データは、3次元レーザスキャナを用いて前記出来型の表面を計測することにより得られるデータであることを特徴とする出来型確認システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の特定位置の点を特定するための点データを取得する点データ取得手段と、
前記点データ取得手段で取得した点データに基づいて、前記特定位置の点と、前記推定面に一致させようとする前記設計計画面における前記特定位置の点に対応する基準点が一致するように、前記予測形状形成手段で形成した予測形状を移動させることにより当該予測形状の位置を補正する位置補正手段とをさらに備え、
前記予測形状出力手段は、前記位置補正手段で位置を補正した予測形状を前記基準形状と対比可能に出力することを特徴とする出来型確認システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記点群データ取得手段で取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面と、前記構造物モデルのうち前記出来型の表面に対応する設計計画面とのずれ量を算出するずれ量算出手段と、
前記ずれ量算出手段で算出したずれ量に応じた出力態様で前記多点を出力するずれ状態出力手段とをさらに備えることを特徴とする出来型確認システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記出来型は、角度が異なる少なくとも2つの表面を有し、
前記構造物モデルのうち前記少なくとも2つの表面のそれぞれに対応する設計計画面を区分し、かつ、一の前記設計計画面の法線面と他の前記設計計画面の法線面がなす角度範囲の角度を有する区分平面を基準として、前記点群データにより特定される多点の一部または全部を前記設計計画面のいずれかに対応させる点群対応手段をさらに備え、
前記ずれ量算出手段は、前記各設計計画面ごとに、前記点群対応手段で当該設計計画面に対応させた点から当該設計計画面までのずれ量を算出し、
前記ずれ状態出力手段は、前記各設計計画面ごとに、当該設計計画面について前記ずれ量算出手段で算出したずれ量に応じた出力態様で、当該設計計画面に対応する多点を出力することを特徴とする出来型確認システム。
【請求項7】
請求項5および6のいずれか1項において、
前記ずれ状態出力手段は、前記ずれ量に応じた色分けまたは濃淡により前記多点を出力することを特徴とする出来型確認システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記ずれ状態出力手段は、前記ずれ量が所定以上であるときは、特定の色または濃度により前記多点を出力することを特徴とする出来型確認システム。
【請求項9】
構造物の出来型を確認する処理をコンピュータに実行させるための出来型確認プログラムであって、
前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得ステップと、
前記点群データ取得ステップで取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定ステップと、
前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定ステップで推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成ステップと、
前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成ステップと、
前記予測形状形成ステップで形成された予測形状を、前記基準形状形成ステップで形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力ステップとを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴とする出来型確認プログラム。
【請求項10】
構造物の出来型を確認する出来型確認方法であって、
前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得ステップと、
前記点群データ取得ステップで取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定ステップと、
前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定ステップで推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成ステップと、
前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成ステップと、
前記予測形状形成ステップで形成された予測形状を、前記基準形状形成ステップで形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力ステップとを含むことを特徴とする出来型確認方法。
【請求項1】
構造物の出来型を確認する出来型確認システムであって、
前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段と、
前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得手段と、
前記点群データ取得手段で取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定手段と、
前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定手段で推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成手段と、
前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成手段と、
前記予測形状形成手段で形成された予測形状を、前記基準形状形成手段で形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力手段とを備えることを特徴とする出来型確認システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記構造物は、平面または曲面を有する建材をその面方向に複数組み合わせることにより構成される構造物であることを特徴とする出来型確認システム。
【請求項3】
請求項1および2のいずれか1項において、
前記点群データは、3次元レーザスキャナを用いて前記出来型の表面を計測することにより得られるデータであることを特徴とする出来型確認システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の特定位置の点を特定するための点データを取得する点データ取得手段と、
前記点データ取得手段で取得した点データに基づいて、前記特定位置の点と、前記推定面に一致させようとする前記設計計画面における前記特定位置の点に対応する基準点が一致するように、前記予測形状形成手段で形成した予測形状を移動させることにより当該予測形状の位置を補正する位置補正手段とをさらに備え、
前記予測形状出力手段は、前記位置補正手段で位置を補正した予測形状を前記基準形状と対比可能に出力することを特徴とする出来型確認システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記点群データ取得手段で取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面と、前記構造物モデルのうち前記出来型の表面に対応する設計計画面とのずれ量を算出するずれ量算出手段と、
前記ずれ量算出手段で算出したずれ量に応じた出力態様で前記多点を出力するずれ状態出力手段とをさらに備えることを特徴とする出来型確認システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記出来型は、角度が異なる少なくとも2つの表面を有し、
前記構造物モデルのうち前記少なくとも2つの表面のそれぞれに対応する設計計画面を区分し、かつ、一の前記設計計画面の法線面と他の前記設計計画面の法線面がなす角度範囲の角度を有する区分平面を基準として、前記点群データにより特定される多点の一部または全部を前記設計計画面のいずれかに対応させる点群対応手段をさらに備え、
前記ずれ量算出手段は、前記各設計計画面ごとに、前記点群対応手段で当該設計計画面に対応させた点から当該設計計画面までのずれ量を算出し、
前記ずれ状態出力手段は、前記各設計計画面ごとに、当該設計計画面について前記ずれ量算出手段で算出したずれ量に応じた出力態様で、当該設計計画面に対応する多点を出力することを特徴とする出来型確認システム。
【請求項7】
請求項5および6のいずれか1項において、
前記ずれ状態出力手段は、前記ずれ量に応じた色分けまたは濃淡により前記多点を出力することを特徴とする出来型確認システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記ずれ状態出力手段は、前記ずれ量が所定以上であるときは、特定の色または濃度により前記多点を出力することを特徴とする出来型確認システム。
【請求項9】
構造物の出来型を確認する処理をコンピュータに実行させるための出来型確認プログラムであって、
前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得ステップと、
前記点群データ取得ステップで取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定ステップと、
前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定ステップで推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成ステップと、
前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成ステップと、
前記予測形状形成ステップで形成された予測形状を、前記基準形状形成ステップで形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力ステップとを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴とする出来型確認プログラム。
【請求項10】
構造物の出来型を確認する出来型確認方法であって、
前記出来型の表面の実測により得られる、前記出来型の表面上の多点の位置を特定するための点群データを取得する点群データ取得ステップと、
前記点群データ取得ステップで取得した点群データに基づいて、前記出来型の表面に対応する面を推定する面推定ステップと、
前記構造物の基準となる形状を示す構造物モデルに関する構造物モデルデータを記憶する構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、所定の座標系において、前記面推定ステップで推定した推定面と、前記構造物モデルのうち当該推定面に対応する設計計画面とが一致するように当該推定面に前記構造物モデルを当てはめることにより、前記構造物の予測形状を形成する予測形状形成ステップと、
前記構造物モデルデータ記憶手段の構造物モデルデータに基づいて、前記所定の座標系において、前記構造物モデルのうち前記予測形状に対応する部分を基準形状として形成する基準形状形成ステップと、
前記予測形状形成ステップで形成された予測形状を、前記基準形状形成ステップで形成された基準形状と対比可能に出力する予測形状出力ステップとを含むことを特徴とする出来型確認方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図16】
【公開番号】特開2010−85131(P2010−85131A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251987(P2008−251987)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
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