説明

出窓採光装置

【課題】室外から入射する太陽光を効率良く室内に導くことができるとともに、採光の自由度が高い出窓採光装置を提供する。
【解決手段】建物Tの躯体から張り出す上部6および下部7と、上部6と下部7との間に設置された窓部9および側部8と、上部6、下部7および側部8のうち少なくとも一つに形成された採光用開口部6aと、採光用開口部6aから入射する光を室内に向けて反射させる反射部材4と、を備えた出窓採光装置1であって、反射部材4は、開閉可能であり、閉じた状態にあるときに窓部9及び側部8のうち少なくとも1つを覆うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に光を採り入れる出窓採光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室外に光ダクトを設置するとともに、建物の窓から離間した場所に光ダクトの放光口を設置して、室内へ太陽光を入射させる採光装置が開示されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開昭51−106135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の採光装置では、放光口が窓から離間して設置されているため、放光口から窓に入射する間に光が拡散し、窓から室内へ入射する太陽光の量が減少していた。
また、特許文献1に記載の採光装置では、太陽光が絶えず入射してしまうので、採光の自由度が低い。
【0004】
本発明は、かかる問題を解決するために創案されたものであり、室外から入射する太陽光を効率良く室内に導くことができるとともに、採光の自由度が高い出窓採光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、建物の躯体から張り出す上部および下部と、前記上部と前記下部との間に設置された窓部および側部と、前記上部、前記下部および前記側部のうち少なくとも一つに形成された採光用開口部と、前記採光用開口部から入射する光を室内に向けて反射させる反射部材と、を備えた出窓採光装置であって、前記反射部材は、開閉可能であり、閉じた状態にあるときに前記窓部及び前記側部のうち少なくとも1つを覆うことを特徴とする。
【0006】
尚、採光用開口部は上部に形成され、反射部材は、その上端が上部に固定されるとともに、窓部と採光用開口部との間に配置されており、閉じた状態にあるときに窓部を覆うことが好ましい。また、採光用開口部を開閉可能に覆う蓋部を設けることが望ましい。
【0007】
本発明によれば、出窓採光装置の上部、下部および側部のうち少なくとも一つに採光用開口部が形成されるとともに、採光用開口部から入射する光を、室内に向けて反射させる反射部材が設けられているので、採光用開口部から入射する太陽光を効率良く室内に導くことができる。
また、反射部材が開閉可能であり、閉じた状態にあるときに窓部及び側部のうち少なくとも1つを覆うことができるため、室内への採光の自由度が高まる。
【0008】
また、前記反射部材は、ロールスクリーンを構成するスクリーンまたはブラインドを構成するスラットであることが好ましい。このようにすると、室内への太陽光の採光および遮光を行うことができるため、採光の自由度が高まる。特に、ブラインドを構成するスラットで反射部材を形成する場合には、スラットの角度を調節することにより、採光用開口部から入射する太陽光を確実に室内に導くことができるとともに、窓からの眺望性および窓の通風性を確保することができる。
【0009】
また、前記反射部材は、前記窓部および前記側部のうち少なくとも一つが通風可能になるように設置されていることが好ましい。このようにすると、窓の通風性を確保しつつ、太陽光を効率良く室内に導くことができる。
【0010】
また、前記反射部材は、網状に形成されていること、または複数の通風孔もしくは通風スリットを有することが好ましい。このようにすると、窓の通風性を確保しつつ、採光用開口部から入射する太陽光を効率良く室内に導くことができる。
【0011】
また、前記反射部材の反射面は、拡散反射面または明色から成ることが好ましい。反射面を拡散反射面にすると、拡散反射面で反射した太陽光が、室内に向かって均一に広がるため、太陽光のムラをなくすことができ、室内全体を均一に明るくすることができる。また、反射部材の反射面を明色にすることにより、適度な明るさを確保しつつ、眩しさを軽減することができる。
【0012】
また、前記反射部材の反射面は、金属素材、樹脂素材、繊維素材、または前記金属素材と前記樹脂素材との複合素材から成ることが好ましい。
【0013】
また、前記採光用開口部に光ダクトが連結されていることが好ましい。このようにすると、建物内の暗い場所にも太陽光を導くことができ、安定した明るさを確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る出窓採光装置によれば、室外から入射する太陽光を効率良く室内に導くことができるとともに、採光の自由度が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本実施形態では、本発明を戸建て住宅の出窓に適用した場合を例にして説明する。尚、以下の記載において、戸建て住宅を、「建物T」という。
【0016】
本実施形態に係る出窓採光装置1は、図2に示すように、出窓ユニット2と、光ダクト3と、反射部材4とから主に構成されている。
【0017】
出窓ユニット2は、図1および図2に示すように、平面視台形状を呈し、建物Tの外壁面から突出して形成されている。すなわち、出窓ユニット2は、図2に示すように、建物Tの躯体に設けられた開口部Kから建物外側に突出するように設けられており、枠5と、上部6と、下部7と、一対の側部8,8と、窓部9とから主に構成されている。
尚、本実施形態では、建物Tの躯体とは、建物Tの壁体、柱、梁などである。以下、単に「躯体」という。
【0018】
枠5は、アルミニウム合金製の押出形材から成り、建物Tの躯体から張り出すとともに、建物Tの躯体に形成された開口部Kを囲むようにして、躯体に固定されている。本実施形態の枠5は、一対の袖枠ユニットU1,U1と、正面枠ユニットU2とから主に構成されている。
【0019】
袖枠ユニットU1は、開口部Kの側縁部に沿って躯体に取り付けられた縦枠5aと、縦枠5aから離間して設置された方立5bと、縦枠5aおよび方立5bの上端間に架け渡された袖上枠5cと、縦枠5aおよび方立5bの下端間に架け渡された袖下枠5dとから構成されており、四角枠状に組み合わされている。つまり、縦枠5aは、袖上枠5cおよび袖下枠5dを介して、方立5bと連結している。縦枠5aおよび方立5bは、ねじ止めなどにより機械的に袖上枠5cおよび袖下枠5dに接合されるとともに、縦枠5aは、ねじ止めなどにより機械的に躯体に固定されている。
【0020】
正面枠ユニットU2は、一対の方立5b,5bの上端間および下端間にそれぞれ架け渡された正面上枠5eおよび正面下枠5fとから構成されており、四角枠状に組み合わされている。正面上枠5eおよび正面下枠5fは、方立5b,5bに接合されている。尚、本実施形態では、袖枠ユニットU1の方立5bは、正面枠ユニットU2の縦枠として兼用されている。
【0021】
上部6は、平面視台形状を呈し、例えば、天板や屋根カバーなどから成る。上部6は、枠5の上面に取り付けられている。すなわち、上部6は、枠5の上面を覆うように設けられていて、例えば、ねじ止めなどにより機械的に枠5に固定されている。
上部6には、上下方向に貫通する採光用開口部6aが設けられている。採光用開口部6aは、本実施形態では、平面視四角形状を呈している。
【0022】
また、蓋部6bが採光用開口部6aを開閉可能に覆うように設けられている。蓋部6bは、採光用開口部6aに対応する形状を有し、その一端がヒンジ(図示省略)を介して採光用開口部6aの開口縁に取り付けられている。蓋部6bは、閉時において図示しない保持手段を用いることにより、採光用開口部6aを覆った状態を保持することができる。
尚、開時において蓋部6bを上部6に対して略平行な状態にするために、図示しないフック状部材を上部6の下面に設けるとともに、図示しない環状部材を蓋部6bの上面に設けて、蓋部6bをフック状部材に掛止してもよい。また、蓋部6bは、採光用開口部6aに対して嵌脱自在に設けられても勿論差し支えない。
【0023】
下部7は、平面視台形状を呈し、例えば、受台カバーや地板などから成る。下部7は、枠5の下面に取り付けられている。すなわち、下部7は、枠5の下面を覆うように設けられていて、例えば、ねじ止めなどにより機械的に枠5に固定されている。本実施形態の下部7は、上部6と対向して平行に設けられている。
【0024】
側部8は、本実施形態では、窓であり、正面視略矩形状を呈し、例えば、ガラス板などから形成されている。本実施形態の側部8は、片開き窓であり、開閉可能に設けられている。側部8は、枠5の側面に取り付けられている。すなわち、側部8は、上部6と下部7との間に設置されるとともに、窓部9の両側に配置されており、躯体の開口部Kを挟んでハ字状に対向している。また、側部8は、採光用開口部6aの側方に位置している。
【0025】
窓部9は、正面視略矩形状を呈し、例えば、ガラス板などから形成されている。本実施形態の窓部9は、引き違い窓であり、開閉可能に設けられている。窓部9は、枠5の正面に取り付けられている。すなわち、窓部9は、上部6と下部7との間に設置されるとともに、一対の側部8,8間に配置されており、躯体の開口部Kに対して平行に設置されている。また、窓部9は、採光用開口部6aの前方に位置している。
【0026】
光ダクト3は、太陽光を建物T内に導く役割を果している。光ダクト3は、図1に示すように、建物Tの高さ方向に沿って、外壁に取り付けられている。光ダクト3は、固定部材Rを介して、建物Tの外壁に固定されている。光ダクト3の内面には、反射面が設けられている。反射面は、例えば、金属素材、樹脂素材、または金属素材と樹脂素材との複合素材などから形成されており、特に、軽量化や耐食性という観点からアルミニウム合金を用いるのが好ましい。
【0027】
また、光ダクト3は、採光口3aおよび放光口3bを備えている。すなわち、光ダクト3の採光口3a(一端)は、建物外の場所に開口しており、放光口3b(他端)は、上部6に設けられた採光用開口部6aに連通している。図示は省略するが、光ダクト3の採光口3aおよび放光口3bは、透光性素材からなる透光カバーで覆われる。光ダクト3は、例えば、ねじ止めなどの機械的接合もしくは接着剤などの手段により出窓ユニット2に取り付けられている。
かかる構成により、光ダクト3の採光口3aに入射した太陽光は、反射を繰り返しながら光ダクト3内を進み、放光口3bを通じて出窓ユニット2内へ放光され、建物T内へ入射する。
【0028】
反射部材4は、光ダクト3から出窓ユニット2内に入射する太陽光を建物Tの室内側に向けて反射させる役割を果たす。
本実施形態の反射部材4は、図2に示すように、ロールスクリーンを構成するスクリーン44の片面(室内側の面)に反射面を設けたものである。反射部材4は、採光用開口部6aより室外側(前方側)に配置されるとともに、窓部9より室内側(後方側)に配置されている。すなわち、反射部材4は、採光用開口部6aと窓部9との間に位置している。また、反射部材4は、開閉可能であり、閉じた状態のときに窓部9を覆っている。
尚、本実施形態において、開閉可能とは、巻き取り及び引き出し可能なことをいう。
【0029】
本実施形態のロールスクリーンは、フレーム41と、一対の支持ブラケット42,42と、巻取軸43と、スクリーン44と、ウェイトバー45とから主に構成されている。
【0030】
フレーム41は、取付ブラケット(図示省略)を介して、上部6の下面に固定されている。また、支持ブラケット42は、フレーム41の両端に取り付けられ、その支持ブラケット42間に巻取軸43が回転可能に支持されている。
また、巻取軸43の一端には、プーリー(図示省略)が取り付けられ、そのプーリーに無端状の操作チェーン(図示省略)が掛装されている。
【0031】
スクリーン44は、巻取軸43に吊下げ支持されている。スクリーン44の片面(室内側の面)には、反射面が設けられている。反射面は、例えば、アルミニウムや銀などの金属を蒸着したものや、プラスチックやポリエステルフィルムなどの樹脂素材に金属を蒸着したものや、反射面(層)に白色調の塗膜を形成したものなどからなる。
また、本実施形態の反射面は、光を拡散反射するように形成されている。すなわち、本実施形態の反射面は、微細な凹凸が形成されている拡散反射面から成る。
【0032】
ウェイトバー45は、スクリーン44の下端に取り付けられている。
【0033】
次に、反射部材4の巻き取り及び引き出し動作(開閉動作)について、図2および図3を参照して説明する。
反射部材4(スクリーン44)が下部7の近傍まで引き出された状態(図2参照)から操作チェーンを操作して巻取軸43をスクリーン巻き取り方向に回転させると、巻取軸43に反射部材4が巻き取られ、反射部材4およびウェイトバー45が上昇する(図3(a)参照)。
さらに、操作チェーンを操作して巻取軸43をスクリーン巻き取り方向に回転させると、反射部材4は、巻取軸43に完全に巻き取られる(図3(b)参照)。
【0034】
一方、反射部材4を巻取軸43に巻き取った状態(図3(b)参照)から、巻取軸43をスクリーン引き出し方向に回転させると、巻取軸43から反射部材4が引き出されて、反射部材4およびウェイトバー45が下降する(図3(a)参照)。
さらに、操作チェーンを操作して巻取軸43をスクリーン引き出し方向に回転させると、反射部材4は、下部7の近傍まで引き出される(図2参照)。
このように、本実施形態の反射部材4は、巻き取り及び引き出し可能に設けられているため、採光用開口部6aからの太陽光の反射を行うことができる。
【0035】
以上説明した本実施形態に係る出窓採光装置1によれば、採光用開口部6aから入射する太陽光を室内に向けて反射させる反射部材4が設けられているので、太陽光を効率良く室内に導くことができる。
また、蓋部6bが採光用開口部6aを開閉可能に覆うことができるとともに、反射部材4が巻き取り及び引き出し可能に設けられているので、採光の自由度が高まる。
尚、直射日光が窓部9に当たる状況において、太陽光を室内に採り入れたいときには、反射部材4を巻き取って窓部9を覆わず、窓部9に当たる太陽光をそのまま室内に入射させることができる。また、太陽光を室内に採り入れたくないときには、採光用開口部6aを蓋部6bで覆うとともに、反射部材4を引き出して窓部9を覆うことにより、採光用開口部6aから放光される太陽光を遮断するとともに、窓部9に当たる太陽光を遮蔽することができる。
【0036】
一方、直射日光が窓部9に当たらない状況において、太陽光を室内に採り入れたいときには、蓋部6bで採光用開口部6aを覆わず、反射部材4を引き出して窓部9を覆えばよい。すなわち、蓋部6bで採光用開口部6aを覆わず、反射部材4を引き出して窓部9を覆うことにより、採光用開口部6aから窓部9に向かって放光された太陽光を室内に向けて反射させることができる。太陽光を室内に採り入れたくないときには、蓋部6bで採光用開口部6aを覆うとともに、反射部材4を引き出して窓部9を覆えばよい。すなわち、採光用開口部6aを蓋部6bで覆うとともに、反射部材4を引き出して窓部9を覆うことにより、採光用開口部6aから放光される太陽光を遮断するとともに、窓部9から入射する太陽光(拡散光)を遮蔽することができる。
【0037】
また、直射日光が窓部9に当たらない状況において、太陽光を室内に採り入れる場合には、採光量を調節することが可能である。すなわち、採光用開口部6a及び窓部9を覆わないようにすると、採光用開口部6aを覆わず、且つ窓部9を覆った場合に比べて室内に入る太陽光の量を少なくすることができる。また、採光用開口部6aを覆い、且つ窓部9を覆わないようにすると、採光用開口部6a及び窓部9を覆わないようにした場合に比べて室内に入る太陽光の量を少なくすることができる。
【0038】
さらに、反射部材4を巻き取ることにより、窓部9からの眺望性や窓部9の通風性も確保することができる。例えば、直射日光が窓部9に当たらない状況において、太陽光を室内に採り入れたいときには、反射部材4を窓部9の上下方向の中央に位置させると、窓部9からの眺望性や窓部9の通風性も確保しつつ、採光用開口部6aから入射する太陽光を効率良く室内に導くことができる(図3(a)参照)。
【0039】
また、反射部材4は、側部8が通風可能になるように設置されているので、側部8の通風性を確保しつつ、採光用開口部6aから入射する太陽光を効率良く室内に導くことができる。
【0040】
また、反射部材4の反射面は、拡散反射面から成るので、拡散反射面で反射した太陽光が、室内に向かって均一に広がるため、太陽光のムラをおさえることができる。
【0041】
また、反射部材4の反射面は、金属素材、樹脂素材、繊維素材、または金属素材と樹脂素材との複合素材のうち特に反射率の高い素材で構成することで、採光用開口部6aから採り入れた太陽光を大幅に減衰させることなく、室内まで導くことができる。
【0042】
また、採光用開口部6aに光ダクト3が連結されているので、建物Tの日の当たらない暗い場所にも太陽光を導くことができ、安定した明るさを確保することができる。
【0043】
また、光ダクト3は、建物Tの外壁に取り付けられており、既設建物にも容易に設置することができる。すなわち、光ダクト3は、建物Tの外壁に取り付け可能であるので、既設建物にも設置することが可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できるのはいうまでもない。本実施形態では、本発明を戸建て住宅に用いたが、例えば、マンションやアパートなどに用いても構わない。
【0045】
また、本実施形態では、本発明を平面視台形状の出窓ユニット2に用いたが、例えば、平面視三角形状、平面視四角形状、平面視多角形状(ベイウィンドウ)、平面視弓形状(ボウウィンドウ)などの出窓ユニット2に用いても構わない。
【0046】
また、本実施形態の枠5は、アルミニウム合金から形成されているが、これに限定されることなく、適宜変更してもよい。例えば、ステンレス鋼など、アルミニウム合金以外の金属材で枠5を形成してもよいし、合成樹脂や木材などのようなアルミニウム合金に比べて断熱効果の高い部材で枠5を形成しても構わない。
【0047】
また、上部6の採光用開口部6aの形状および数は、適宜変更してもよい。例えば、平面視円形状の採光用開口部6aを2つ設けても構わない。
【0048】
また、本実施形態では、採光用開口部6aを上部6の長手方向の略中央に設置したが、これに限定されることなく、側部8,8のどちらか一方の近傍に設置してもよい。
【0049】
また、本実施形態では、上部6の一部に採光用開口部6aを設けたが、上部6全体を開口してもよい。例えば、出窓ユニット2の上面に天板などを設置せずに開放して、その開口面に適合するように放光口3bを設置してもよい。このようにすると、建物T内へ太陽光をより多く採り入れることができる。
【0050】
また、下部7に採光用開口部を設けてもよいし、側部8に採光用開口部を設けても構わない。また、上部6、下部7、側部8への採光用開口部の設置を組み合わせてもよい。例えば、上部6と下部7の両方に採光用開口部を設けてもよいし、上部6、下部7、側部8の全てに採光用開口部を設けても構わない。また、側部8,8の両方に採光用開口部を設けてもよいし、どちらか一方に採光用開口部を設けても構わない。
また、採光用開口部6aを開閉可能に覆う蓋部6bを設けなくてもよい。この場合には、直射日光が窓部9に当たらない状況において、出窓採光装置1を用いることが望ましい。尚、太陽光を室内に採り入れたいときには、反射部材4を引き出して窓部9を覆い、太陽光を室内にあまり採り入れたくないときには、反射部材4を巻き取って窓部9を覆わなければよい。すなわち、反射部材4を巻き出して窓部9を覆うことにより、採光用開口部6aから窓部9に向かって放光された太陽光を室内に向けて反射させることができる。一方、反射部材4を巻き取って窓部9を覆わないことにより、室内に入る太陽光の量を少なくすることができる。
【0051】
また、本実施形態の側部8,8は、窓であるが、壁にしてもよい。また、側部8のうちいずれか一方を窓にして、側部8のうちいずれか他方を壁にしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、側部8,8は、片開き窓であり、窓部9は、引き違い窓であるが、これに限定されることなく、公知の窓形式を適宜選択して用いることができる。例えば、引き違い窓、開き窓、上げ下げ窓(縦辷り出し窓)、FIX窓(嵌め殺し窓)などの中から適宜選択して、全ての側部8および窓部9を同一の窓形式にしてもよいし、異なる窓形式を組み合わせても構わない。また、一対の側部8,8をそれぞれ異なる窓形式にしても構わない。例えば、一方の側部8を開き窓として、他方の側部8を上げ下げ窓などにしても構わない。また、側部8および窓部9に、障子、網戸、面格子、装飾格子などを設けても構わない。
【0053】
また、光ダクト3の採光口3aまたは放光口3bと透光カバーとの間にシール材を介設してもよいし、光ダクト3の放光口3b側の透光カバーと出窓ユニット2との間にシール材を介設してもよい。
【0054】
また、光ダクト3は、ハニカムパネルで構成されてもよい。このようにすると、光ダクト3の軽量化を図ることが可能になるので、取扱いが容易となり、出窓採光装置1の設置時の作業効率が向上する。また、既設建物の耐荷重にも幅広く適合しやすくなるため、既設建物への設置の自由度が高まる。
【0055】
また、光ダクト3は、断熱パネルで構成されてもよい。このようにすると、光ダクト3の反射面での結露を防止することが可能になり、採光効率の低下を抑制することができる。
【0056】
また、図示は省略するが、光ダクト3の採光口3aに太陽追尾装置を設けてもよいし、光ダクト3を建物Tの内部に取り付けても構わない。
【0057】
また、本実施形態では、建物Tに出窓ユニット2が1つ設置されている場合について述べたが、出窓ユニット2が複数ある場合には、出窓ユニット2ごとに光ダクト3を設置してもよいし、1つの光ダクト3の端部を分岐させて、複数の放光口3bを形成し、複数の出窓ユニット2の採光用開口部に連通しても構わない。このようにすると、光ダクト3の数を減らすことができるため、光ダクト3の施工コストおよび施工手間を低減することができる。
【0058】
また、本実施形態では、光ダクト3を設置したが、これに限定されることなく光ダクト3を設置しなくてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、チェーン式のロールスクリーンを用いたが、これに限定されることなく、公知のロールスクリーンを適宜選択して用いることができる。例えば、スプリング式のロールスクリーンを用いてもよいし、電動式ロールスクリーンを用いても構わない。
【0060】
また、反射部材4の設置場所を適宜変更してもよい。本実施形態では、窓部9を覆うことができるようにロールスクリーンを設置したが、例えば、側部8を覆うことができるようにロールスクリーンを設置してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、反射面を微細な凹凸が形成されている拡散反射面にしたが、これに限定されることなく、例えば、平滑な反射面にしてもよい。また、反射面を明色にしてもよい。このようにすると、適度な明るさを確保しつつ、眩しさを軽減することができる。尚、反射部材4に絵や図柄などを描いてもよい。このようにすると、意匠的に好適である。
【0062】
また、図4(a)に示すように、反射部材4にその厚さ方向に貫通する複数の円形状の通風孔44a,44a・・・を形成してもよい。このようにすると、窓部9の通風性を確保しつつ、採光用開口部6aから入射する太陽光を効率良く室内に導くことができる。尚、通風孔44aの形状、大きさ、数は、これに限定されることなく、適宜変更してもよい。
【0063】
また、図4(b)に示すように、反射部材4にその厚さ方向に貫通する複数の矩形状の通風スリット44b,44b・・・を形成してもよい。このようにすると、窓部9の通風性を確保しつつ、採光用開口部6aから入射する太陽光を効率良く室内に導くことができる。尚、通風スリット44bの形状、大きさ、数は、これに限定されることなく、適宜変更してもよい。
【0064】
また、図5(a)に示すように、反射部材4の形状を網状に形成してもよい。このようにすると、窓部9の通風性を確保しつつ、採光用開口部6aから入射する太陽光を効率良く室内に導くことができる。
【0065】
また、図5(b)に示すように、出窓ユニット2の開口面にステンドグラス12を設置してもよい。このようにすると、建物Tの室内に光の演出をすることができるため、意匠的に好適である。尚、ステンドグラス12に替えて、影絵や透かし絵などを設置してもよい。このようにしても、建物Tの室内に光の演出をすることができるため、意匠的に好適である。
【0066】
また、本実施形態では、反射部材4(スクリーン44)を上下方向に巻き取り及び引き出し自在に設置したが、これに限定されることなく、図6に示すように、反射部材4を横方向に巻き取り及び引き出し自在に設置してもよい。尚、反射部材4は、支持ブラケット42,42を上部6の下面および下部7の上面に固定することにより、出窓ユニット2に取り付けられている。
このようにしても、本実施形態と同様に採光の自由度が高まる。
また、反射部材4を巻取軸43に巻き取ることにより、窓部9からの眺望性や窓部9の通風性も確保することができる。例えば、直射日光が窓部9に当たらない状況において、太陽光を室内に採り入れたいときには、反射部材4を窓部9の横方向の中央に位置させると、窓部9からの眺望性や窓部9の通風性も確保しつつ、採光用開口部6aから入射する太陽光を効率良く室内に導くことができる(図6参照)。
【0067】
また、本実施形態では、ロールスクリーンを用いたが、これに代えてブラインドを用いてもよい。すなわち、本実施形態の反射部材4は、スクリーン44の片面に反射面を設けたものであるが、図7に示すように、ブラインドを構成するスラット4aの片面に反射面を設けたものを用いてもよい。尚、ブラインドは、公知のブラインドの中から適宜選択して用いることができる。
このようにすると、昇降コード(図示省略)を操作して、反射部材4を昇降させることができるため、本実施形態と同様に採光の自由度が高まる。
尚、直射日光が窓部9に当たる状況において、太陽光を室内に採り入れたいときには、反射部材4を巻き取って窓部9を覆わず、窓部9に当たる太陽光をそのまま室内に入射させることができる。また、太陽光を室内に採り入れたくないときには、採光用開口部6aを蓋部6bで覆うとともに、反射部材4を引き出して窓部9を覆うことにより、採光用開口部6aから放光される太陽光を遮断するとともに、窓部9に当たる太陽光を遮蔽することができる。
【0068】
一方、直射日光が窓部9に当たらない状況において、太陽光を室内に採り入れたいときには、蓋部6bで採光用開口部6aを覆わず、反射部材4を引き出して窓部9を覆えばよい。すなわち、蓋部6bで採光用開口部6aを覆わず、反射部材4を引き出して窓部9を覆うことにより、採光用開口部6aから窓部9に向かって放光された太陽光を室内に向けて反射させることができる。太陽光を室内に採り入れたくないときには、蓋部6bで採光用開口部6aを覆うとともに、反射部材4を引き出して窓部9を覆えばよい。すなわち、採光用開口部6aを蓋部6bで覆うとともに、反射部材4を引き出して窓部9を覆うことにより、採光用開口部6aから放光される太陽光を遮断するとともに、窓部9から入射する太陽光(拡散光)を遮蔽することができる。
【0069】
また、直射日光が窓部9に当たらない状況において、太陽光を室内に採り入れる場合には、採光量を調節することが可能である。すなわち、採光用開口部6a及び窓部9を覆わないようにすると、採光用開口部6aを覆わず、且つ窓部9を覆った場合に比べて室内に入る太陽光の量を少なくすることができる。また、採光用開口部6aを覆い、且つ窓部9を覆わないようにすると、採光用開口部6a及び窓部9を覆わないようにした場合に比べて室内に入る太陽光の量を少なくすることができる。
【0070】
また、反射部材4を上昇させることにより、窓部9からの眺望性や窓部9の通風性も確保することができる。例えば、直射日光が窓部9に当たらない状況において、太陽光を室内に採り入れたいときには、反射部材4を窓部9の上下方向の中央に位置させると、窓部9からの眺望性や窓部9の通風性も確保しつつ、採光用開口部6aから入射する太陽光を効率良く室内に導くことができる。
さらに、スラット4aに反射面を設けて反射部材4を形成すると、操作棒4bにより、複数のスラット4a,4a・・・の角度を調節することができるため、採光用開口部6aから入射する太陽光を確実に室内に導くことができる。また、スラット4aの角度を調節してスラット4a間に隙間を形成することにより、反射部材4を下部7の近傍まで下降させた状態のまま窓部9からの眺望性および窓部9の通風性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態に係る出窓採光装置の設置状態を示す全体斜視図である。
【図2】本実施形態に係る出窓採光装置の構成を示す斜視図である。
【図3】(a)は、反射部材を窓部の中央に位置させたときの出窓採光装置の状態を示す斜視図であり、(b)は、反射部材を完全に巻き取ったときの出窓採光装置の状態を示す斜視図である。
【図4】(a)は、変形例に係る出窓採光装置の構成を示す斜視図であり、(b)は、変形例に係る出窓採光装置の構成を示す斜視図である。
【図5】(a)は、変形例に係る出窓採光装置の構成を示す斜視図であり、(b)は、変形例に係る出窓採光装置の構成を示す斜視図である。
【図6】変形例に係る出窓採光装置の構成を示す斜視図である。
【図7】変形例に係る出窓採光装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1 出窓採光装置
2 出窓ユニット
3 光ダクト
3a 採光口
3b 放光口
4 反射部材
44 スクリーン
44a 通風孔
44b 通風スリット
5 枠
6 上部
6a 採光用開口部
6b 蓋部
7 下部
8 側部
9 窓部
K 開口部
R 固定部材
T 建物
U1 袖枠ユニット
U2 正面枠ユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体から張り出す上部および下部と、前記上部と前記下部との間に設置された窓部および側部と、前記上部、前記下部および前記側部のうち少なくとも一つに形成された採光用開口部と、前記採光用開口部から入射する光を室内に向けて反射させる反射部材と、を備えた出窓採光装置であって、
前記反射部材は、開閉可能であり、閉じた状態にあるときに前記窓部及び前記側部のうち少なくとも1つを覆うことを特徴とする出窓採光装置。
【請求項2】
前記反射部材は、ロールスクリーンを構成するスクリーンまたはブラインドを構成するスラットであることを特徴とする請求項1に記載の出窓採光装置。
【請求項3】
前記反射部材は、前記窓部および前記側部のうち少なくとも一つが通風可能になるように設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の出窓採光装置。
【請求項4】
前記反射部材は、網状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の出窓採光装置。
【請求項5】
前記反射部材は、複数の通風孔または通風スリットを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の出窓採光装置。
【請求項6】
前記反射部材の反射面は、拡散反射面または明色から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の出窓採光装置。
【請求項7】
前記反射部材の反射面は、金属素材、樹脂素材、繊維素材、または前記金属素材と前記樹脂素材との複合素材から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の出窓採光装置。
【請求項8】
前記採光用開口部に光ダクトが連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の出窓採光装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−121299(P2010−121299A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293797(P2008−293797)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】