説明

出荷指示装置

【課題】出荷物の品質管理等の向上と出荷についての人為的ミスの可及的な削減とを同時に図れる上、不具合出荷物の探し出しの迅速化および簡易化にも寄与する出荷指示装置を提供すること。
【解決手段】出荷物1に設けた情報媒体7から当該出荷物1の識別情報を読み取る読み取り部8と、前記出荷物1を種類別に収容する収容具3と、各収容具3に設けたICタグ6と、このICタグ6のICチップに接続された報知部12と、前記読み取り部8で得た識別情報に基づいて、ICタグ6を介して報知作動を行わせるための報知命令を所定の報知部12に送信する装置本体9とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車用エンジンの製造工場等において生産された複数種の出荷物の出荷に用いて好適な出荷指示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、出荷物としての複数種の自動車用エンジンを生産する生産システムにおいては、通常、予め策定された生産計画に基づき、図10に示すように、各種出荷物50(図示例では50A,50B,50Cの3種類)をそれぞれ一見ランダムな順番で組付けライン51に流して生産する。そして、同図に示すように、完成した出荷物50を、種類別に収容具(例えばパレット)52に収容した状態で出荷まで保管場所(完成品ヤード)53に保管し、出荷時に行き先別に出荷用収容具(例えば出荷パレット)54に積み替える。
【0003】
上記従来の出荷方法では、出荷物50を保管場所53に種類別に保管しているので、出荷時に保管場所53から出荷用収容具54に積み込むための出荷物50のピッキング作業(選び出し作業)を容易かつ迅速に行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記出荷方法では、出荷物50を出荷するときに、保管場所53に保管した複数の出荷物50のうち製造時期や収容時期が最先のものを正確に特定することができる保証はなく、製造時期(収容時期)が後のものを先に出荷してしまう懸念があり、製造(収容)順に各種出荷物50を出荷できないことは品質管理等の点で最良とはいえない。
【0005】
また、組付けライン51をランダムに流れてきた複数種の出荷物50を種類別に収容具52に収容する際、例えば出荷物50Bを収容するための収容具52に誤って種類の異なる出荷物50Aを収容してしまう等の人為的ミスが起こり得る。さらに、収容具52への収容は正確に行えたとしても、例えば出荷物50Cを収容した収容具52を間違えて他種類の出荷物50Bを収容した収容具52の置き場に保管してしまう等の人為的ミスが発生するおそれもある。そして、これらのミスが生じた場合、出荷時に誤った出荷物50を出荷用収容具54に積み込んでしまうことになり、出荷先やその後において甚大な人災等を引き起こしかねない。
【0006】
その他、例えば組付部品の不具合を発見した場合に、その不具合部品が組み付けられた出荷物50の識別番号が特定できたとしても、その識別番号が付されたラベル等を確認するためには保管場所53にある出荷物50を一台ずつ調べなければならず、この点でも改善の余地がある。
【0007】
本発明は上述の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、出荷物の品質管理等の向上と出荷についての人為的ミスの可及的な削減とを同時に図れる上、不具合出荷物の探し出しの迅速化および簡易化にも寄与する出荷指示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る出荷指示装置は、出荷物に設けた情報媒体から当該出荷物の識別情報を読み取る読み取り部と、前記出荷物を種類別に収容する収容具と、各収容具に設けたICタグと、このICタグのICチップに接続された報知部と、前記読み取り部で得た識別情報に基づいて、ICタグを介して報知作動を行わせるための報知命令を所定の報知部に送信する装置本体とを備えたことを特徴としている(請求項1)。
【0009】
また、上記出荷指示装置において、前記ICタグのICチップに、前記収容具への出荷物の収容確認情報を入力するための入力部が接続され、この入力部による収容確認情報の入力に伴って、収容具に関する情報を含む収容確認データが当該ICタグの無線通信用アンテナを介して装置本体に送信され、当該装置本体において前記識別情報と収容確認データとが関連付けられた状態で格納されることが好ましい(請求項2)。
【0010】
さらに、上記出荷指示装置において、前記装置本体に対する出荷物の種類情報の入力に伴い、装置本体から製造時期あるいは収容時期が最先の出荷物を収容した収容具に設けたICタグに、報知部に報知作動を行わせるための報知命令が送信されることが好ましい(請求項3)。
【0011】
さらに、上記出荷指示装置において、前記ICタグのICチップに、前記収容具内の出荷物の取出し確認情報を入力するための入力部が接続され、この入力部によって入力された取出し確認情報はICタグの無線通信用アンテナを介して装置本体に送信され、前記取出し確認情報を受信した装置本体は、製造時期あるいは収容時期が最先の出荷物に対応する識別情報および収容確認データを削除することが好ましい(請求項4)。
【0012】
また、上記出荷指示装置において、前記装置本体に対する所定の出荷物の識別情報の入力に伴い、装置本体から当該出荷物を収容した収容具に設けたICタグに、報知部に報知作動を行わせるための報知命令が送信されることが好ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜5に係る発明では、出荷物の品質管理等の向上と出荷についての人為的ミスの可及的な削減とを同時に図れる上、不具合出荷物の探し出しの迅速化および簡易化にも寄与する出荷指示装置が得られる。すなわち、請求項1に係る発明では、前記ICタグを用いた指示により、複数種の出荷物を種類別に収容具に収容する際、例えばある特定種の出荷物を収容するための収容具に誤って種類の異なる出荷物を収容してしまう等の人為的ミスも確実に防止することができる。さらに、前記ICタグを用いた指示により、出荷時に誤った出荷物を出荷してしまうことも確実に防止することもできる。
【0014】
請求項2に係る発明では、上記の効果を奏する上、出荷物の情報を装置本体に蓄積することができ、これによって、出荷可能な状態の出荷物の個数や種類等の情報を容易に把握することができ、応用性等の点でも優れた出荷指示装置が得られる。
【0015】
請求項3に係る発明では、上記の効果の他、前記ICタグを用いた指示を行うことにより、出荷物を出荷するときに、保管してある複数の出荷物のうち製造時期や収容時期が最先のものを正確に特定することができ、これによって製造(収容)順に各種出荷物を出荷でき、品質管理等の点で向上を図ることができるという効果が得られる。
【0016】
請求項4に係る発明では、上記の効果の他、装置本体における情報・データの整理が継続するため、使用性の点等で良好なものとなるという効果が得られる。
【0017】
請求項5に係る発明では、上記効果の他、不具合のある出荷物等の特定の出荷物を簡易かつ迅速に見つけ出すことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1(A)は本発明の一実施の形態に係る保管工程における出荷指示装置の構成を概略的に示す説明図、図1(B)は前記出荷指示装置のICタグの構成を概略的に示す正面図、図2は前記保管工程の構成を概略的に示すフローチャート、図3(A)〜(C)は前記保管工程における出荷指示装置の装置本体における各収容具に関するデータを示すテーブル、図4は出荷工程における前記出荷指示装置の構成を概略的に示す説明図、図5は前記出荷工程の構成を概略的に示すフローチャート、図6(A)および(B)は前記出荷工程における出荷指示装置の装置本体における各収容具に関するデータを示すテーブル、図7は修理工程における前記出荷指示装置の構成を概略的に示す説明図、図8は前記修理工程の構成を概略的に示すフローチャート、図9(A)および(B)は前記修理工程における出荷指示装置の装置本体における各収容具に関するデータを示すテーブルである。
【0019】
この実施の形態に係る出荷指示装置は、出荷物1についての出荷指示を行うためのものであり、その前提となる構成について最初に説明する。
【0020】
この実施形態における出荷物1は、図1(A)に示すように、それぞれ組付けパレットPに保持された状態で、搬送装置(例えばコンベア)等により構成された組付けライン2を経て生産される複数種の自動車用エンジンであり、シリンダブロックにクランク(クランク軸)、ヘッド(シリンダヘッド)、カム(カム軸)の組付け等を適宜に行うことにより構成されている。
【0021】
上記のように組付けライン2を経た出荷物1は、前記組付けパレットPから降ろされ、組付けライン2の終点の近傍に配置された複数の収容具(例えばパレット)3に種類別に収容される。そして、所定の数(この実施形態では四つ)の出荷物1を収容した収容具3は保管場所(完成品ヤード)4へと移送され、図1(A)に示すように、この保管場所4において出荷物1の種類別に定められた位置にて保管される。また、前記組付けライン2の終点近傍には、上記のように保管場所4に運んだ収容具3の代わりとなる空の収容具3が新たに配置される。
【0022】
ここで、この実施形態では、出荷物1が1A,1B,1Cの三種類である例を示し、これに伴って、保管場所4は区画され、収容具3に収容された出荷物1A,1B,1Cの保管位置4A,4B,4Cがそれぞれ設けられている。
【0023】
そして、出荷時には、前記保管場所4に保管された複数種の出荷物1のうち、一又は二以上の出荷物1が選択され、図4に示すように、出荷用収容具(例えばパレット)5に収容された状態で出荷される。
【0024】
以上の構成は従来と変わるところはなく、後述するように、上記収容具3のそれぞれに取り付けたICタグ6を用いて出荷指示をすることができるようにした点と、任意の出荷物1を簡易迅速に見つけ出せるようにした点とにこの実施形態に係る出荷指示装置の主な特徴がある。そこで、以下にこの出荷指示装置の特徴的構成について説明する。
【0025】
まず、図1(A)に示すように、各出荷物1には固有の識別情報を格納した情報媒体7を設けてある。ここで、前記識別情報には、出荷物1固有の識別番号と、出荷物1の種類を示す情報(種類番号)と、出荷物1の製造時期(例えば製造日時)とが含まれている。また、情報媒体7は、例えばバーコードが印字されたラベルやICタグ等であり、ラベルである場合には出荷物1に対して貼着すればよく、ICタグである場合には適宜の結束部材を用いて出荷物1に取り付ける等すればよい。
【0026】
そして、前記情報媒体7に格納された前記識別情報は、読み取り装置(読み取り部)8によって読み取られ、装置本体9へと送られる。ここで、前記読み取り装置8は、情報媒体7から識別情報を読み取ることができるバーコードリーダやICタグリーダ等である。また、装置本体9は、前記読み取り装置8で得た識別情報に基づいて、前記ICタグ6を介して報知作動を行わせるための報知命令を所定の報知部12(後述する)に送信するもので、プログラマブルコントローラ(SLC)が組み込まれたコンピュータであり、ICタグ用親局10を介して前記ICタグ6との通信を行えるように構成されている。
【0027】
一方、前記ICタグ6は無線ICタグであり、図1(B)に示すように、ICタグ用親局10を介して装置本体9との間で無線通信を行うための無線通信用アンテナ11と、ICチップ(図示していない)と、前記装置本体9からの所定信号の受信に伴って報知作動を行う報知部12と、この報知部12に電力を供給する電池(図示していない)と、収容具3への出荷物1の収容確認情報や収容具3からの出荷物1の取出し確認情報等を入力するための入力部13とを有している。
【0028】
ここで、前記ICチップには、各収容具3に対応するIDナンバーが記憶されている。
【0029】
また、前記報知部12としては、例えば、報知作動として点灯(点滅)表示を行う表示ランプ、報知作動として音声表示を行う音源部(例えばブザーやスピーカー)、その他、文字や画像による表示を行うディスプレイ部などのうちのいずれか一つまたは複数組み合わせたものが挙げられ、この実施の形態では、前記表示ランプ12aと音源部(図示していない)とで報知部12を構成している。
【0030】
さらに、前記入力部13はICチップに接続されており、この入力部13として、この実施形態では押しボタンスイッチを採用している。
【0031】
次に、前記出荷指示装置の作動について説明する。
【0032】
まず、図1(A)および図2に示すように、組付けライン2を経た出荷物1の情報媒体7から出荷物1の識別情報が読み取り装置8によって読み取られ、この識別情報は装置本体9へと送られる(ステップS1)。
【0033】
上述のように出荷物1の識別情報を受信した装置本体9は、当該出荷物1を収容すべき収容具3のIDナンバーを前記識別情報に基づいて自動的に選択・検索する(ステップS2)。このとき、前記選択・検索結果からIDナンバーを決定すると共に、前記報知部12からの出力形式(表示ランプ12aや音源部のON/OFF)を決定する。
【0034】
その後、装置本体9は所定の報知部12に報知作動を行わせるための報知命令を、該当するIDナンバーを有する収容具3のICタグ6にICタグ親局10を介して送信する(ステップS3)。これにより、前記報知命令は対応するICタグ6に送信され、報知命令を受け取ったICタグ6の報知部12は、ステップS3において決定された前記出力形式に従って所定の報知作動を行う。
【0035】
上記報知作動により、作業者はいずれの収容具3に出荷物1を収容する(積み込む)べきかを認知することができ、その収容を行う(ステップS4、S5)。同時に、作業者は、収容具3への出荷物1の収容確認情報を入力するために入力部13を操作(押しボタンスイッチを押し操作)する。これにより、報知部12がON状態からOFF状態に切り換わり、具体的には、表示ランプが点灯状態であれば消灯し、音源部が音声出力状態であれば消音される。
【0036】
続いて、前記入力部13による収容確認情報の入力に伴って、収容具3に関する情報を含む収容確認データが当該ICタグ6の無線通信用アンテナ11を介して装置本体9に送信され、図3(A)〜(C)に示すように、当該装置本体9において前記識別情報(出荷物の識別番号や種類)と収容確認データ(収容具3に対応するIDナンバーやその収容の日付や日時等の収容時期)とが関連付けられた状態で収容具データ14として格納される(ステップS6)。図3(A)〜(C)には、出荷物1の識別番号(E/GNo.)が1017であるデータを格納・登録した例を示している。
【0037】
一方、保管場所4に保管した出荷物1の出荷を行うには、まず、図4および図5に示すように、かんばん15に設けられたバーコード(図示していない)の読み取りや、ホストコンピュータ16からの入力等によって出荷する出荷物1の種類情報を装置本体9に入力する(ステップS7)。
【0038】
上記ステップS7を行うと、例えば図6(A)および(B)に示すように、装置本体9において該当する種類の出荷物1を収容した収容具3に対応する全ての収容具データ14(図示例ではNo.1パレットのデータとNo.10パレットのデータの二つ)が選択される(ステップS8)。
【0039】
さらに、ステップS8後、図6(B)に示すように、装置本体9において最先の出荷物1を収容した収容具3に対応する収容具データ14(図示例ではNo.10パレットのデータ)が検索・選択される(ステップS9)。
【0040】
そして、上記ステップS9に続いて、装置本体9は検索・選択した収容具3のIDナンバーを選択する(ステップS10)。図6(A)および(B)には、出荷物1の識別番号(E/GNo.)が995であるデータを選択した例を示している。尚、このとき、前記選択・検索結果からIDナンバーを決定するのみでなく、前記報知部12からの出力形式(表示ランプ12aや音源部のON/OFF)も決定する。
【0041】
その後、装置本体9は所定の報知部12に報知作動を行わせるための報知命令を、製造時期あるいは収容時期が最先の出荷物1を収容した収容具3に設けたICタグ6にICタグ親局10を介して送信する(ステップS11)。これにより、前記報知命令は対応するICタグ6に送信され、報知命令を受け取ったICタグ6の報知部12は、ステップS10において決定された前記出力形式に従って所定の報知作動を行う。
【0042】
上記報知作動により、作業者はいずれの収容具3から出荷物1を取り出すべきかを認知することができ、その取出しと出荷用収容具5への収容(積載)とを行う(ステップS12)。
【0043】
上記収容後、作業者は、収容具3の出荷物1の取出し確認情報を入力するために入力部13を操作(押しボタンスイッチを押し操作)する(ステップS13)。これにより、報知部12がON状態からOFF状態に切り換わり、具体的には、表示ランプが点灯状態であれば消灯し、音源部が音声出力状態であれば消音される。
【0044】
続いて、前記入力部13による取出し確認情報の入力に伴って、取出し確認情報は当該ICタグ6の無線通信用アンテナ11を介して装置本体9に送信され、前記取出し確認情報を受信した装置本体9は、製造時期あるいは収容時期が最先の上記出荷物1に対応する収容具データ(識別情報および収容確認データ)14を削除し、データの更新を行う(ステップS14)。
【0045】
他方、例えば前記組付けライン2における組付部品の不具合を発見した場合、その不具合部品が組み付けられた出荷物1の識別情報が特定できれば、この識別情報を基に以下の処理を行うことにより、保管場所4に多数保管された出荷物1から上記不具合のある出荷物1を簡易迅速に見つけ出すことができる。
【0046】
具体的には、まず、図7および図8に示すように、特定できた出荷物1の識別情報(出荷物1の識別番号、種類情報、製造日時等)を作業者17が装置本体9に入力する(ステップS15)。
【0047】
上記入力により、装置本体9では前記識別情報に対応する出荷物1を検索・選択する(ステップS16)。図9(A)および(B)には、前記識別情報に対応する出荷物1の識別番号(E/GNo.)が1005である例を示している。
【0048】
そして、上記ステップS16に続いて、装置本体9は検索・選択した出荷物1を収容した収容具3のIDナンバーを選択する(ステップS17)。図9(A)および(B)に示す例では、収容具3のIDナンバーは10となる。尚、このとき、前記選択・検索結果からIDナンバーを決定するのみでなく、前記報知部12からの出力形式(表示ランプ12aや音源部のON/OFF)も決定する。
【0049】
その後、装置本体9は所定の報知部12に報知作動を行わせるための報知命令を、該当するIDナンバーを有する収容具3のICタグ6にICタグ親局10を介して送信する(ステップS18)。これにより、前記報知命令は対応するICタグ6に送信され、報知命令を受け取ったICタグ6の報知部12は、ステップS17において決定された前記出力形式に従って所定の報知作動を行う。
【0050】
上記報知作動により、作業者はいずれの収容具3に不具合のある出荷物1が収容されているのかを認知することができ、その収容具3内にある少数の出荷物1から不具合のある出荷物1を容易かつ迅速に見つけ出すことができる(ステップS19)。同時に、作業者は、入力部13を操作(押しボタンスイッチを押し操作)する。これにより、報知部12がON状態からOFF状態に切り換わり、具体的には、表示ランプが点灯状態であれば消灯し、音源部が音声出力状態であれば消音される。尚、この場合の入力部13の操作は、報知部12をOFF状態に切り換えるためのものであり、ICタグ6から装置本体9への所定の信号の送信を行うためのものではない。
【0051】
上記ステップS19後、見つけ出した出荷物1を収容具3から取り出し、適宜のチェックや手直しなどを行う(ステップS20)。
【0052】
上記の構成からなる出荷指示装置2には以下の利点がある。まず、前記ICタグ6を用いた指示を行うことにより、出荷物1を出荷するときに、保管場所4に保管した複数の出荷物1のうち製造時期や収容時期が最先のものを正確に特定することができ、これによって製造(収容)順に各種出荷物1を出荷でき、品質管理等の点で向上を図ることができる。
【0053】
また、前記ICタグ6を用いた指示により、組付けライン2をランダムに流れてきた複数種の出荷物1を種類別に収容具3に収容する際、例えば出荷物1Aを収容するための収容具3に誤って種類の異なる出荷物1Bを収容してしまう等の人為的ミスも確実に防止することができる。さらに、出荷時に誤った出荷物1を出荷用収容具5に積み込んでしまうことも確実に防止することもできる。
【0054】
その他、例えば組付部品の不具合を発見した場合に、その不具合部品が組み付けられた出荷物1の識別番号等を特定できれば、その情報に基づいたICタグ6を用いた指示をすることができ、これにより、その不具合がある出荷物1を容易かつ迅速に探し出すことができる。
【0055】
なお、本発明の出荷指示装置は、上記の実施の形態に限られず、種々に変形して実施することができる。例えば、上記実施の形態では、出荷物1が自動車用エンジンである例を示したが、出荷物1はこのような生産品に限られるものではなく、出荷対象となり得るものに広く前記出荷指示装置を適用することができる。
【0056】
また、前記報知部12の前記表示ランプ12aの点灯の仕方や音源部から出力する音楽を複数用意し、これらのうちのいずれかが取り出す部品の種類や数等に応じて任意に選択され実行されるように構成してあってもよい。
【0057】
さらに、前記ICタグ6に、収容具3への出荷物1の収容や収容具3からの出荷物1の取り出しを検知するための例えばリミットスイッチや光電センサ等の検知部(図示していない)を設け、この検知部による検知に伴って、前記収容確認情報や取出し確認情報がICタグ6から前記装置本体9へと送信されるように前記ICチップを構成してあってもよい。この場合、前記検知部の駆動はICタグ6の電池を利用して行うことができる。また、この場合、前記検知部による検知に伴って、前記報知部12がON状態からOFF状態に切り換わるように構成すればよい。
【0058】
ここで、前記報知部12、入力部13または上記検知部は、ICタグ6に一体的に設けられていてもよいが、ICタグと別体であってもよく、さらにこの場合、例えば収容具3等に固定されていてもよい。具体的には、ICタグ6として、RFIDタグと表示ランプ(報知部12)、確認用のスイッチ(入力部13)等を適宜に組み合わせて(接続して)構成してあってもよい。
【0059】
また、装置本体9からICタグ6に送られる報知命令に個数のデータを追加することにより、前記報知部12が、前記収容具3から取り出す部品の個数を報知するように構成されていてもよい。この場合、同一部品の複数個の取出しの指示が可能となり、出荷のため出荷物1を集める(ピックアップする)際のピッキング作業(選び出し作業)の効率を向上させることができる。
【0060】
また、上記実施の形態には、ステップS5と同時に行う入力部13の操作によって、収容確認データが装置本体9に送られ、装置本体9において所定の登録処理がされる例を示しているが、これに限らず、例えば、ステップS3における報知命令の送信と同時に上記登録処理が行われてもよい。
【0061】
同様に、上記実施の形態には、ステップS13における入力部13の操作によって、取出し確認情報が装置本体9に送られ、装置本体9において所定のデータ更新がされる例を示しているが、これに限らず、例えば、ステップS11における報知命令の送信と同時に上記データ更新が行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る保管工程における出荷指示装置の構成を概略的に示す説明図、(B)は前記出荷指示装置のICタグの構成を概略的に示す正面図である。
【図2】前記保管工程の構成を概略的に示すフローチャートである。
【図3】(A)〜(C)は前記保管工程における出荷指示装置の装置本体における各収容具に関するデータを示すテーブルである。
【図4】出荷工程における前記出荷指示装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図5】前記出荷工程の構成を概略的に示すフローチャートである。
【図6】(A)および(B)は前記出荷工程における出荷指示装置の装置本体における各収容具に関するデータを示すテーブルである。
【図7】修理工程における前記出荷指示装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図8】前記修理工程の構成を概略的に示すフローチャートである。
【図9】(A)および(B)は前記修理工程における出荷指示装置の装置本体における各収容具に関するデータを示すテーブルである。
【図10】従来例に係る出荷方法の構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 出荷物
3 収容具
6 ICタグ
7 情報媒体
8 読み取り部
9 装置本体
12 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出荷物に設けた情報媒体から当該出荷物の識別情報を読み取る読み取り部と、前記出荷物を種類別に収容する収容具と、各収容具に設けたICタグと、このICタグのICチップに接続された報知部と、前記読み取り部で得た識別情報に基づいて、ICタグを介して報知作動を行わせるための報知命令を所定の報知部に送信する装置本体とを備えたことを特徴とする出荷指示装置。
【請求項2】
前記ICタグのICチップに、前記収容具への出荷物の収容確認情報を入力するための入力部が接続され、この入力部による収容確認情報の入力に伴って、収容具に関する情報を含む収容確認データが当該ICタグの無線通信用アンテナを介して装置本体に送信され、当該装置本体において前記識別情報と収容確認データとが関連付けられた状態で格納される請求項1に記載の出荷指示装置。
【請求項3】
前記装置本体に対する出荷物の種類情報の入力に伴い、装置本体から製造時期あるいは収容時期が最先の出荷物を収容した収容具に設けたICタグに、報知部に報知作動を行わせるための報知命令が送信される請求項1または2に記載の出荷指示装置。
【請求項4】
前記ICタグのICチップに、前記収容具内の出荷物の取出し確認情報を入力するための入力部が接続され、この入力部によって入力された取出し確認情報はICタグの無線通信用アンテナを介して装置本体に送信され、前記取出し確認情報を受信した装置本体は、製造時期あるいは収容時期が最先の出荷物に対応する識別情報および収容確認データを削除する請求項1〜3のいずれかに記載の出荷指示装置。
【請求項5】
前記装置本体に対する所定の出荷物の識別情報の入力に伴い、装置本体から当該出荷物を収容した収容具に設けたICタグに、報知部に報知作動を行わせるための報知命令が送信される請求項1〜4のいずれかに記載の出荷指示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−94514(P2008−94514A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275090(P2006−275090)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000191353)新明工業株式会社 (75)
【Fターム(参考)】