説明

分光装置、固体撮像装置、画像表示装置、分析装置および電子情報機器

【課題】カラーフィルタを用いないで、色を再現するための複数の基準色の光を1画素で検出可能な固体撮像装置を得る。
【解決手段】固体撮像装置100において、複数の画素を有する固体撮像素子110と、入射光を複数の基準色の光に分離して、該固体撮像素子の該画素が配列された受光面に照射する分光装置130と、該固体撮像素子における撮像動作と該分光装置による色分離動作とを制御するコントローラ(制御部)120とを備え、このコントローラ120により、該光学部材で反射された該固体撮像素子へ向かう反射光Lrが、該光学部材での電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光装置、固体撮像装置、画像表示装置、分析装置および電子情報機器に関し、光学部品として電気光学効果を有する光学結晶を用いたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラ付携帯、デジタルスチルカメラ(DSC)、監視カメラなどでは、撮像装置として、CMOSイメージセンサなどの固体撮像素子が用いられている。
【0003】
図14(a)は、例えば、CMOSイメージセンサを説明する概略構成図である。
【0004】
このCMOSイメージセンサ10は、撮像領域に行列状に配列された画素Pxと、各画素列に対応して設けられた信号線Lrと、該各信号線Lrに接続されたCDS回路13と、各CDS回路13からの読み出し信号を出力する出力部15とを有している。また、CMOSイメージセンサ10は、複数の画素行のうちから1つの画素行を選択する垂直走査回路11と、該複数のCDS回路13のうちから1つのCDS回路を選択する水平走査回路12とを有している。ここで、CDS回路は、相関二重サンプリング回路であり、画素から読み出された信号の雑音を除去するものである。
【0005】
また、上記各画素Pxは、光電変化を行うフォトダイオードPDと、該フォトダイオードPDで発生した信号電荷を増幅する増幅素子Amと、該増幅素子の出力と上記信号線Lrとの間に接続された画素選択スイッチSとを有している。また、該各CDS回路13と出力部15の入力との間には、水平走査回路12からの選択信号により動作する信号線選択スイッチ14が設けられている。ここで、画素選択スイッチSおよび信号線選択スイッチ14はMOS型トランジスタにより構成される。
【0006】
このようなCMOSイメージセンサでは、各画素PxのフォトダイオードPDで光電変換により発生した信号電荷は、各画素にて増幅素子Amにより増幅される。そして、上記垂直走査回路11と水平走査回路12とにより画素が選択されると、各画素からこの増幅された信号電荷が、信号線Lr、CDS回路13および出力回路15を介して外部に読み出される。
【0007】
このようなCMOSイメージセンサでは、通常、カラー撮影を可能とするために、画素上に、例えばRGB(赤緑青の3色)の各色に対応するカラーフィルタを成膜している。このため、ひとつの色をあらわすのに3画素必要となる。
【0008】
現在主流は、図15(a)に示すように、隣接する4画素Pxを使用して1つの色を表すものであり、図15(b)に示すように、撮像領域では有効画素が1/4になってしまっている。ここで、画素P1およびP4上には緑色フィルタが配置され、画素P2には青色フィルタが、画素P3には赤色フィルタが配置されており、これらの4画素P1〜P4で1つの色を表している。
【0009】
また、このような撮像領域での有効画素の実質的な減少は、近年の画素の高密度化に伴い、感度低下とノイズ不良が顕著化しているという点からも大きな問題である。
【0010】
ところで、特許文献1には、このようなカラーフィルタを用いないで、1つの画素で3原色の各色に対応する信号電荷を生成するよう構成した固体撮像装置が開示されている。
【0011】
具体的には、この文献に記載の固体撮像装置では、各画素を構成するフォトダイオードを、P型基板に、N型層、P型層、N型層からなる3層構造を形成し、該3層の各々の基板表面に露出した部分から、赤信号、緑信号、青信号を取り出す構造としたものである。このような構造のフォトダイオードで、色の分離ができるのは、波長の短い青色の光が基板の表面領域で光電変換され、波長の長い赤色の光は基板の深い部分で光電変換されるという基板での光の吸収の性質を利用しているためである。
【特許文献1】米国特許第5965875号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の固体撮像装置では、各層の境界部分では、異なる色の信号電荷が混ざることとなり、各画素のフォトダイオードにて、赤色光、緑色光、青色光の光電変換信号を完全に分離して取り出すことは困難であり、鮮やかな色を再現することが難しいという問題があった。
【0013】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、カラーフィルタを用いないで、鮮やかな色を再現するための複数の基準色の光を1画素で検出可能とし、これにより画素のレイアウトに余裕を持たせることができ、言い換えると、同じ画素数では、1画素あたりの面積を大きくすることで、高感度、低ノイズ化を図ることができる固体撮像装置を得ることを目的とする。
【0014】
また、本発明は、カラーフィルタを用いないで、色を再現するための複数の基準色の光、例えばRGB(赤、緑、青)3原色の光あるいはCMY(シアン、マゼンタ、黄)補色系の光を分離することができる分光装置および分析装置、並びに色を再現するための複数の基準色の光、例えば3原色の光あるいはCMY補色系の光を1画素で発生させることができる画像表示装置を得ることを目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、上記固体撮像装置あるいは上記画像表示装置を用いた電子情報機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る分光装置は、光の色を分離する分光装置であって、電気光学効果を有する光学部材と、該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、該電圧印加部は、該光学部材での電界による屈折率の変化により、該光学部材で反射された反射光の色が変化するよう、該光学部材への印加電圧を制御するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0017】
本発明は、上記分光装置において、前記光学部材は、電気光学物質からなるものであることが好ましい。
【0018】
本発明は、上記分光装置において、前記光学部材は、その屈折率がポッケルス効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するものであることが好ましい。
【0019】
本発明は、上記分光装置において、前記光学部材は、その屈折率がカー効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するものであることが好ましい。
【0020】
本発明は、上記分光装置において、前記光学部材は、タンタル酸ニオブ酸カリウム結晶からなる薄膜光学部材であることが好ましい。
【0021】
本発明は、上記分光装置において、前記薄膜光学部材は、その結晶軸方向に対する前記電圧印加により発生する電界の方向が、最も電気光学効果が大きくなるよう設定されていることが好ましい。
【0022】
本発明は、上記分光装置において、前記薄膜光学部材は、0V〜5V程度の範囲の低電圧により、赤外光から紫外光までの範囲で、色の分離が行われる膜厚に形成されていることが好ましい。
【0023】
本発明に係る分光装置は、光の色を分離する分光装置であって、電気光学効果を有する光学部材と、該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、該電圧印加部は、該光学部材での電界による屈折率の変化により、該光学部材で屈折した屈折光の色が変化するよう、該光学部材への印加電圧を制御するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0024】
本発明は、上記分光装置において、前記光学部材は、電気光学物質からなるものであることが好ましい。
【0025】
本発明は、上記分光装置において、前記光学部材は、その屈折率がポッケルス効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するものであることが好ましい。
【0026】
本発明は、上記分光装置において、前記光学部材は、その屈折率がカー効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するものであることが好ましい。
【0027】
本発明は、上記分光装置において、前記光学部材は、タンタル酸ニオブ酸カリウム結晶からなる薄膜光学部材であって、光の入射面と光の出射面とが非平行となるよう加工したものであることが好ましい。
【0028】
本発明は、上記分光装置において、前記薄膜光学部材は、その結晶軸方向に対する前記電圧印加により発生する電界の方向が、最も電気光学効果が大きくなるよう設定されていることが好ましい。
【0029】
本発明は、上記分光装置において、前記薄膜光学部材は、0V〜5V程度の範囲の低電圧により、赤外光から紫外光までの範囲で、色の分離が行われる膜厚に形成されていることが好ましい。
【0030】
本発明に係る固体撮像装置は、複数の画素を有する固体撮像素子と、入射光を複数の基準色の光に分離して、該固体撮像素子の該画素が配列された受光面に照射する分光装置と、該固体撮像素子における撮像動作と該分光装置による色分離動作とを制御する制御部とを備えた固体撮像装置であって、該分光装置は、電気光学効果を有する光学部材と、該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを有し、該電圧印加部は、該光学部材で反射された該固体撮像素子へ向かう反射光が、該光学部材での電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものであり、該制御部は、該分光装置が該固体撮像素子の受光面へ向かう反射光の色を変化させる色分離動作と、該固体撮像素子が各画素で得られた光電変換信号を出力する撮像動作とが同期するよう、該電圧印加部および該固体撮像素子を制御するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0031】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記複数の基準色は、赤色、緑色、および青色であることが好ましい。
【0032】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記制御部は、赤色光、緑色光、および青色光が、所定のタイミングで繰り返し前記固体撮像素子に照射されるよう、前記分光装置の電圧印加部を制御するとともに、該固体撮像素子を、該赤色光、該緑色光、および該青色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御することが好ましい。
【0033】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記複数の基準色は、シアン色、マゼンタ色、黄色および緑色であることが好ましい。
【0034】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記制御部は、シアン色光、マゼンタ色光、黄色光および緑色光が、所定のタイミングで繰り返し前記固体撮像素子に照射されるよう、前記分光装置の電圧印加部を制御するとともに、該固体撮像素子を、該シアン色光、該マゼンタ色光、該黄色光および該緑色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御することが好ましい。
【0035】
本発明に係る固体撮像装置は、複数の画素を有する固体撮像素子と、入射光を複数の基準色の光に分離して該固体撮像素子の該画素が配列された受光面に照射する分光装置と、該固体撮像素子における撮像動作と該分光装置による色分離動作とを制御する制御部とを備えた撮像装置であって、該分光装置は、電気光学効果を有する光学部材と、該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、該電圧印加部は、該光学部材で屈折された該固体撮像素子の受光面へ向かう屈折光が、該光学部材での電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものであり、該制御部は、該分光装置が該固体撮像素子の受光面へ向かう屈折光の色を変化させる色分離動作と、該固体撮像素子が各画素で得られた光電変換信号を出力する撮像動作とが同期するよう、該電圧印加部および該固体撮像素子を制御するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0036】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記複数の基準色は、赤色、緑色、および青色であることが好ましい。
【0037】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記制御部は、赤色光、緑色光、および青色光が、所定のタイミングで繰り返し前記固体撮像素子に照射されるよう、前記分光装置の電圧印加部を制御するとともに、該固体撮像素子を、該赤色光、該緑色光、および該青色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御することが好ましい。
【0038】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記複数の基準色は、シアン色、マゼンタ色、黄色および緑色であることが好ましい。
【0039】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記制御部は、シアン色光、マゼンタ色光、黄色光および緑色光が、所定のタイミングで繰り返し前記固体撮像素子に照射されるよう、前記分光装置の電圧印加部を制御するとともに、該固体撮像素子を、該シアン色光、該マゼンタ色光、該黄色光および該緑色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御することが好ましい。
【0040】
本発明に係る画像表示装置は、光源と、該光源からの光を変調して、画像表示のためのスクリーン上に投影する投影装置とを備えた画像表示装置であって、該投影装置は、電気光学効果を有する光学部材を画素として行列状に複数配列してなり、各光学部材で入射光を反射する反射部と、該各光学部材内で独立した電界が発生するよう該各光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、該電圧印加部は、該光学部材で反射された該スクリーンへ向かう反射光が、該光学部材の電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0041】
本発明は、上記画像表示装置において、前記各光学部材は、電気光学物質からなる薄膜光学部材と、該薄膜光学部材の両面に形成された一対の電極とを有し、前記電圧印加部は、該各画素行毎に、該各画素行に対応する複数の薄膜光学部材の一方の電極に電圧を印加する第1の電圧印加制御部と、該各画素列毎に、該各画素列に対応する複数の薄膜光学部材の他方の電極に電圧を印加する第2の電圧印加制御部とを有することが好ましい。
【0042】
本発明は、上記画像表示装置において、前記反射部の光入射面側に配置された液晶層と、該液晶層の両側に配置された偏光板とを備え、該液晶層における液晶の配向を、該反射部からの光の強度が変化するよう制御することが好ましい。
【0043】
本発明は、上記画像表示装置において、前記第1の電圧印加制御部は、選択した画素行の薄膜光学部材の一方の電極には、前記第2の電圧印加制御部により各画素列の薄膜光学部材の他方の電極に印加する電圧に応じて、該選択した画素行の薄膜光学部材で任意の波長の光が反射される電圧を印加し、非選択の画素行の薄膜光学部材の一方の電極には、前記第2の電圧印加制御部により各画素列の薄膜光学部材の他方の電極に印加する電圧に拘わらず、該非選択の画素行の薄膜光学部材で可視光以外の波長の光が反射される電圧を印加することが好ましい。
【0044】
本発明に係る画像表示装置は、光源と、入射光を反射する反射装置と、該光源からの光を該反射装置に導く透明媒体とを備えた画像表示装置であって、該反射装置は、電気光学効果を有する光学部材を画素として行列状に複数配列してなり、各光学部材で入射光を反射する反射パネルと、該各光学部材内で独立した電界が発生するよう該各光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、該電圧印加部は、該光学部材で反射された反射光が、該光学部材の屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0045】
本発明は、上記画像表示装置において、前記各光学部材は、電気光学物質からなる薄膜光学部材と、該薄膜光学部材の両面に形成された一対の電極とを有し、前記電圧印加部は、該各画素行毎に、該各画素行に対応する複数の薄膜光学部材の一方の電極に電圧を印加する第1の電圧印加制御部と、該各画素列毎に、該各画素列に対応する複数の薄膜光学部材の他方の電極に電圧を印加する第2の電圧印加制御部とを有することが好ましい。
【0046】
本発明は、上記画像表示装置において、前記反射パネルの光入射面側に配置された液晶層と、該液晶層の両側に配置された偏光板とを備え、該液晶層における液晶の配向を、該反射部からの光の強度が変化するよう制御することが好ましい。
【0047】
本発明は、上記画像表示装置において、前記第1の電圧印加制御部は、選択した画素行の薄膜光学部材の一方の電極には、前記第2の電圧印加制御部により各画素列の薄膜光学部材の他方の電極に印加する電圧に応じて、該選択した画素行の薄膜光学部材で任意の波長の光が反射される電圧を印加し、非選択の画素行の薄膜光学部材の一方の電極には、前記第2の電圧印加制御部により各画素列の薄膜光学部材の他方の電極に印加する電圧に拘わらず、該非選択の画素行の薄膜光学部材で可視光以外の波長の光が反射される電圧を印加することが好ましい。
【0048】
本発明に係る分析装置は、被検査部材の分析を行う分析装置であって、該被検査部材にレーザ光を照射するレーザ装置と、該被検査部材で該レーザ光の照射により発生した光を分光する分光器と、該分光器からの光を検出する検出器とを備え、該分光器は、電気光学物質からなり、該被検査部材で該レーザ光の照射により発生した光を反射する光学部材を有し、該光学部材に印加される電圧により、該光学部材で反射された反射光の波長が変化するよう構成したものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0049】
本発明に係る分析装置は、被検査部材の分析を行う分析装置であって、該被検査部材にレーザ光を照射するレーザ装置と、該被検査部材で該レーザ光の照射により発生した光を分光する分光器と、該分光器からの光を検出する検出器とを備え、該分光器は、電気光学物質からなり、該被検査部材で該レーザ光の照射により発生した光を屈折させる光学部材を有し、該光学部材に印加される電圧により、該光学部材で屈折された屈折光の波長が変化するよう構成したものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0050】
本発明に係る電子情報装置は、撮像部を備えた電子情報機器であって、該撮像部は、上記固体撮像装置を含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0051】
本発明に係る電子情報装置は、表示部を備えた電子情報機器であって、該表示部は、上記画像表示装置を含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0052】
以下、本発明の作用を説明する。
【0053】
本発明においては、光の色を分離する分光装置であって、電気光学効果を有する光学部材と、該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、該電圧印加部は、該光学部材での電界による屈折率の変化により、該光学部材で反射された反射光の色(あるいは該光学部材で屈折した屈折光の色)が変化するよう、該光学部材への印加電圧を制御するので、カラーフィルタを用いずに入射光を鮮やかな複数の色の光に分光することができ、しかも光の分光により得られる光の色を時分割で切り替えることができる。
【0054】
また、本発明において、前記光学部材は、タンタル酸ニオブ酸カリウム結晶からなる薄膜光学部材としているので、該光学部材の屈折率は低電圧の印加により変化することとなり、該光学部材での分光を、低電圧で制御することができる。
【0055】
また、本発明において、上記分光装置において、前記薄膜光学部材は、その結晶軸方向に対する前記電圧印加により発生する電界の方向が、最も電気光学効果が大きくなるよう設定されているので、光学部材での分光を、より低電圧で制御することが可能となる。
【0056】
また、本発明において、前記薄膜光学部材は、0V〜5V程度の範囲の低電圧により、赤外光から紫外光までの範囲で、色の分離が行われる膜厚に形成されているので、光学部材での分光を、乾電池などのバッテリ電源により制御可能となる。
【0057】
本発明においては、固体撮像装置において、複数の画素を有する固体撮像素子と、入射光を複数の基準色の光に分離して該固体撮像素子の該画素が配列された受光面に照射する分光装置と、該固体撮像素子における撮像動作と該分光装置による色分離動作とを制御する制御部とを備え、該分光装置を、電気光学効果を有する光学部材と、該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを有するものとし、該電圧印加部は、該光学部材で反射された該固体撮像素子の受光面へ向かう反射光(あるいは該光学部材で屈折された該固体撮像素子の受光面へ向かう屈折光)が、該光学部材での電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するので、カラーフィルタを用いずに入射光を複数の色の光に分光することができ、しかも光の分光により得られる光の色を時分割で切り替えることができる。この結果、カラーフィルタを用いずに、固体撮像素子による撮像が可能となり、画素のレイアウトに余裕を持たせることが可能となり、その結果、画素当たりの面積を大きくできることから、高感度、低ノイズ化が可能となる。
【0058】
さらに、フィルターレスにすることで、入射光の波長を可視光に限定することなく、被写体の撮像をすることが可能となる。
【0059】
本発明においては、画像表示装置において、光源と、該光源からの光を変調して、画像表示のためのスクリーン上に投影する投影装置とを備え、該投影装置は、電気光学効果を有する光学部材を画素として行列状に複数配列してなり、各光学部材で入射光を反射する反射部と、該各光学部材内で独立した電界が発生するよう該各光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、該電圧印加部は、該光学部材で反射された該スクリーンへ向かう反射光が、該光学部材の電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するので、カラーフィルタを用いずにカラー画像を表示することが可能となる。
【0060】
本発明においては、画像表示装置において、光源と、入射光を反射する反射装置と、該光源からの光を該反射装置に導く透明媒体とを備えた画像表示装置であって、該反射装置は、電気光学効果を有する光学部材を画素として行列状に複数配列してなり、各光学部材で入射光を反射する反射パネルと、該各光学部材内で独立した電界が発生するよう該各光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、該電圧印加部は、該光学部材で反射された反射光が、該光学部材の屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するので、カラーフィルタを用いずにカラー画像を表示することが可能となる。
【発明の効果】
【0061】
以上のように、本発明によれば、カラーフィルタを用いないで、鮮やかな色を再現するための複数の基準色の光を1画素で検出可能とし、これにより画素のレイアウトに余裕を持たせることができ、言い換えると、同じ画素数では、1画素あたりの面積が大きくすることで、高感度、低ノイズ化を図ることができる固体撮像装置を得ることができる。
【0062】
また、本発明によれば、カラーフィルタを用いないで、色を再現するための複数の基準色の光、例えば3原色の光あるいは補色系の光を1画素で発生させることができる画像表示装置を得ることができる。
【0063】
また、本発明によれば、カラーフィルタを用いないで、色を再現するための複数の基準色の光、例えば3原色の光あるいは補色系の光を分離することができる分光装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
【0065】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る固体撮像装置を説明する図である。
【0066】
この実施形態1の固体撮像装置100は、複数の画素を有する固体撮像素子110と、入射光を複数の基準色の光に分離して、該固体撮像素子の該画素が配列された受光面に照射する分光装置130と、該固体撮像素子における撮像動作と該分光装置による色分離動作とを制御するコントローラ(制御部)120とを有している。
【0067】
ここで、固体撮像素子110は、図14(a)に示すCMOSイメージセンサと同一のものである。また、分光装置130は、電気光学効果を有する光学部材101と、該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部102とを有している。この電圧印加部102は、電圧可変電源であり、該光学部材で反射された該固体撮像素子へ向かう反射光Lrが、該光学部材での電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものである。
【0068】
また、上記コントローラ120は、分光装置130が該固体撮像素子の受光面へ向かう反射光の色を変化させる色分離動作と、該固体撮像素子110が各画素で得られた光電変換信号を出力する撮像動作とが同期するよう、これらを制御するものである。
【0069】
具体的には、ここでは、上記複数の基準色は、赤色、緑色、および青色としている。また、上記コントローラは、赤色光、緑色光、および青色光が、所定のタイミングで繰り返し前記固体撮像素子に照射されるよう、上記分光装置の電圧可変電源102を制御し、同時に、固体撮像素子110を、該赤色光、該緑色光、および該青色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御するものである。但し、上記複数の基準色は、上記赤色、緑色、および青色に限るものではなく、例えば、シアン色、マゼンタ色、黄色および緑色といった補色系の基準色としてもよい。この場合、上記コントローラ120は、シアン色光、マゼンタ色光、黄色光および緑色光が、所定のタイミングで繰り返し上記固体撮像素子110に照射されるよう、上記分光装置130の電圧印加部102を制御するとともに、該固体撮像素子110を、該シアン色光、該マゼンタ色光、該黄色光および該緑色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御することが好ましい。
【0070】
また、上記光学部材は、電気光学物質からなる薄膜光学部材であり、この実施形態では、特に、電気光学物質として、その屈折率がカー効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化する物質、例えば、タンタル酸ニオブ酸カリウム結晶(KTN結晶)を用いている。但し、上記光学部材は、これに限るものではなく、その屈折率がポッケルス効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するものであってもよい。
【0071】
さらに、この実施形態では、上記薄膜光学部材は、その結晶軸方向に対する前記電圧印加により発生する電界の方向が、最も電気光学効果が大きくなるよう構成されている。ここでは、特に、薄膜光学部材は、0V〜5V程度の範囲の低電圧により、赤外光から紫外光までの範囲で、色の分離が行われる膜厚に形成されている。但し、上記光学部材に高電圧を印加可能である場合は、該光学部材は薄く形成する必要はない。
【0072】
以下、光学部材の一例としてのKTN結晶について、その特性について説明する。
【0073】
図2は、KTN結晶の屈折率の電界強度依存性を説明する表(図(a))およびグラフ(図(b))を示す図である。図2(b)では、縦軸に屈折率の変動(Δn/n)、横軸に光学部材(KTN結晶)に印加される電界強度をとっている。
【0074】
また、図3は、KTN結晶の波長の膜厚および電圧に対する依存性を表で示す図であり、左端欄には、光学部材(KTN結晶)の膜厚(d(m))をとり、横軸には、光学部材(KTN結晶)に印加する電圧(Volt)をとっている。この場合、反射波長の電圧および膜厚依存性を示す下記式(1)、(3)における数値mを、m=1とし、屈折率nをn=1とし、物質係数aを、a=3.00E−14としている。
【0075】
また図4は、図3に示す依存性を、横軸に印加電圧(V)、縦軸に膜厚d(m)をとった座標上の領域R1〜R10で表すものである。
【0076】
ここで、領域R1は、波長0.0E+00〜1.0E−07に対応し、領域R2は、波長1.0E−07〜2.0E−07に対応し、領域R3は、波長2.0E−07〜3.0E−07に対応し、領域R4は、波長3.0E−07〜4.0E−07に対応し、領域R5は、波長4.0E−07〜5.0E−07に対応し、領域R6は、波長5.0E−07〜6.0E−07に対応し、領域R7は、波長6.0E−07〜7.0E−07に対応し、領域R8は、波長7.0E−07〜8.0E−07に対応し、領域R9は、波長8.0E−07〜9.0E−07に対応し、領域R10は、波長9.0E−07〜1.0E−06に対応している。
【0077】
図5(a)〜(c)は、上記式(1)および(3)の数値mの値が増大すると、上記図4に示す領域R1〜R10が図5(a)に示すものから図5(c)に示すものへ変化することを示している。また、図6(a)〜(c)は、屈折率nが増大すると、上記図4に示す領域R1〜R10が図6(a)に示すものから図6(c)に示すものへ変化することを示している。さらに、図7(a)〜(c)は、上記物質係数aの値が増大すると、上記図4に示す領域R1〜R10が図7(a)に示すものから図7(c)に示すものへ変化することを示している。
【0078】
次に動作について説明する。
【0079】
このような固体撮像装置では、入射光Linが薄膜光学部材101に入射すると、ここで反射され、その反射光Lrは、上記固体撮像素子110に入射される。このとき、薄膜光学部材101には電圧可変電源102により電圧が印加され、これにより屈折率が変化して反射光の色が分離される。
【0080】
反射波長の電圧および膜厚依存性は以下の式で表される。
【0081】
2dncosθ=(λ/2)・(2m−1) ・・・(1)
ここで、dは、薄膜光学部材101の膜厚、θは光の入射角(図1参照)、mは自然数、nは屈折率(電圧で制御できる)である。
【0082】
物質の電気光学効果を次の式で表す。
【0083】
n=n(1+a(V/d)) ・・・(2)
は電圧を印加しないときの屈折率、aは定数(以下、物質定数という。)
上記(1)および(2)式より、
(λ/2)・(2m−1)=2dn(1+a(V/d))cosθ
従って、
λ=(1/(2m−1))・4dn(1+a(V/d))cosθ ・・・(3)
となる。
【0084】
仮に、m=1、a=0(電気光学効果がない場合)とすると、
λ=4dncosθ
であり、これは、単純な反射の場合であり、(3)式が正しいことを示している。
【0085】
このような構成では、印加電圧に対する薄膜光学部材(電気光学物質)の屈折率の応答は非常に速く、電圧を制御することで、任意の波長(色)を反射させることができる。
【0086】
また、コントローラ120は、電圧可変電源102を制御し、薄膜光学部材からの反射光にあわせて、つまり光の3原色の色にあわせて、固体撮像素子110での電荷転送、つまり固体撮像素子からの信号電荷の読み出しを制御する。
【0087】
その結果、図15(c)〜(e)に示すように、1画素で3原色の色を撮像すること、つまり画素P1〜P4でそれぞれ緑色、赤色、青色を撮像することが可能となり、すべての画素を有効に使うことができ、大きなサイズの画素による撮像が可能となる。これは、引いては、高感度化、低ノイズ化につながり、鮮やかな撮像画像を得ることができる。
【0088】
また、この実施形態では、薄膜光学部材に印加する電圧の制御により、固体撮像素子に入射する光の色(波長)を制御しているので、画像を構成する際には、最適な3原色の波長をコントロールして撮像できる。また、RED系,Blue系など3原色にとらわれない撮像や、可視光以外の撮像も可能になる。
【0089】
なお、上記実施形態1では、固体撮像素子110は、図14(a)に示すCMOSイメージセンサとしているが、これは、図14(b)に示すCCDイメージセンサとしてもよい。
【0090】
つまり、図14(b)に示すように、CCDイメージセンサ20はマトリクス状に配列された光電変換部(フォトダイオード)PDと、各フォトダイオードで発生した電荷を垂直方向に転送する垂直CCD21と、該垂直CCD21からの電荷を水平方向に転送する水平CCD22と、該水平CCD22からの信号電荷を増幅して信号電圧として出力する増幅回路23とを有している。なお、図14(b)中、Pxは画素である。
【0091】
また、上記実施形態では、電気光学効果を有する光学部材を固体撮像装置で用いた場合を示したが、電気光学効果を有する光学部材は、光の色を分離する分光器に用いることもできる。つまり、上記実施形態1の固体撮像装置の分光装置は、これを単独の分光装置(以下、分光器という。)として用いることができる。
【0092】
このような分光器は、電気光学効果を有する光学部材と、該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、該電圧印加部は、該光学部材での電界による屈折率の変化により、該光学部材で反射された反射光の色が変化するよう、該光学部材への印加電圧を制御するものである。
【0093】
この場合、以下のような効果が得られる。
【0094】
例えば、この分光器では、カラーフィルタを用いずに入射光を複数の色の光に分光することができ、しかも光の分光により得られる光の色を時分割で切り替えることができる。
【0095】
また、光学部材は、例えば、実施形態1と同様にタンタル酸ニオブ酸カリウム結晶からなる薄膜光学部材とすることにより、実施形態1で述べたように、該光学部材の屈折率は低電圧の印加により変化することとなり、該光学部材での分光を、低電圧で制御することができる。
【0096】
また、該分光器において、光学部材は、その結晶軸方向に対する前記電圧印加により発生する電界の方向が、最も電気光学効果が大きくなるよう設定することにより、光学部材での分光を、より低電圧で制御することが可能となる。
【0097】
また、薄膜光学部材は、0V〜5V程度の範囲の低電圧により、赤外光から紫外光までの範囲で、色の分離が行われる膜厚に形成することにより、光学部材での分光を、乾電池などのバッテリ電源により制御可能となる。
(実施形態2)
図8は本発明の実施形態2に係る固体撮像装置を説明する図である。
【0098】
この実施形態2の固体撮像装置100aは、複数の画素を有する固体撮像素子110と、入射光を複数の基準色の光に分離して該固体撮像素子の該画素が配列された受光面に照射する分光装置130aと、該固体撮像素子における撮像動作と該分光装置による色分離動作とを制御するコントローラ(制御部)120とを有している。
【0099】
ここで、固体撮像素子110は、図14(a)に示すCMOSイメージセンサと同一のものである。また、分光装置130aは、電気光学効果を有する光学部材101aと、該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部102とを備え、該電圧印加部102は、該光学部材で屈折された該固体撮像素子の受光面へ向かう屈折光Lpが、該光学部材での電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものである。
【0100】
具体的には、この実施形態2では、上記実施形態1と同様、上記複数の基準色は、赤色、緑色、および青色としている。また、上記コントローラ120は、赤色光、緑色光、および青色光が、所定のタイミングで繰り返し前記固体撮像素子に照射されるよう、上記分光装置の電圧可変電源102を制御し、同時に、固体撮像素子110を、該赤色光、該緑色光、および該青色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御するものである。但し、上記複数の基準色は、上記赤色、緑色、および青色に限るものではなく、シアン色、マゼンタ色、黄色および緑色といった補色系の基準色としてもよい。この場合、上記コントローラ120は、シアン色光、マゼンタ色光、黄色光および緑色光が、所定のタイミングで繰り返し上記固体撮像素子110に照射されるよう、上記分光装置130aの電圧印加部102を制御するとともに、該固体撮像素子110を、該シアン色光、該マゼンタ色光、該黄色光および該緑色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御することが好ましい。
【0101】
また光学部材101aは、例えばタンタル酸ニオブ酸カリウム結晶(KTN結晶)からなる薄膜光学部材であって、光の入射面と光の出射面とが非平行となるよう加工したものであり、これはその結晶軸方向に対する前記電圧印加により発生する電界の方向が、最も電気光学効果が大きくなるよう構成されている。また、光学部材101aは、プリズムのような形状をしており、屈折率は光の振動数に依存するため、透過光は、波長によって角度が異なる。また、上記実施形態1と同様、薄膜光学部材は、0V〜5V程度の範囲の低電圧により、赤外光から紫外光までの範囲で、色の分離が行われる膜厚に形成されている。
【0102】
なお、この実施形態2では、実施形態1と同様、電気光学物質として、その屈折率がカー効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するタンタル酸ニオブ酸カリウム結晶(KTN結晶)を用いているが、上記光学部材は、これに限るものではなく、その屈折率がポッケルス効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するものであってもよい。
【0103】
次に動作について説明する。
【0104】
このような固体撮像装置100aでは、入射光Linが薄膜光学部材101aに入射すると、ここで屈折し、その屈折光Lpは、上記固体撮像素子110に入射される。このとき、薄膜光学部材101aには電圧可変電源102により電圧が印加され、これにより屈折率が変化して屈折光Lpの色が分離される。
【0105】
このような構成では、印加電圧に対する薄膜光学部材(電気光学物質)の屈折率の応答は非常に速く、電圧を制御することで、任意の波長(色)の屈折光を得ることができる。
【0106】
また、コントローラ120は、電圧可変電源102を制御し、薄膜光学部材からの透過光にあわせて、つまり光の3原色の色にあわせて、固体撮像素子110での電荷転送、つまり固体撮像素子からの信号電荷の読み出しを制御する。その結果、RGB光をそれぞれすべての画素で受光できる。
【0107】
なお、上記実施形態2では、固体撮像素子110は、図14(a)に示すCMOSイメージセンサとしているが、これは、図14(b)に示すCCDイメージセンサとしてもよい。
【0108】
また、上記実施形態2では、電気光学効果を有する光学部材を固体撮像装置で用いた場合を示したが、電気光学効果を有する光学部材は、光の色を分離する分光装置に用いることもできる。つまり、上記実施形態2の固体撮像装置の分光装置は、これを単独の分光装置(以下、分光器という。)として用いることができる。
【0109】
このような分光器は、電気光学効果を有する光学部材と、該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、該電圧印加部は、該光学部材での電界による屈折率の変化により、該光学部材で屈折された屈折光の色が変化するよう、該光学部材への印加電圧を制御するものである。
【0110】
この場合、以下のような効果が得られる。
【0111】
例えば、この分光器では、カラーフィルタを用いずに入射光を複数の色の光に分光することができ、しかも光の分光により得られる光の色を時分割で切り替えることができる。
【0112】
また、光学部材は、例えば、実施形態2と同様にタンタル酸ニオブ酸カリウム結晶からなる薄膜光学部材とすることにより、実施形態2で述べたように、該光学部材の屈折率は低電圧の印加により変化することとなり、該光学部材での分光を、低電圧で制御することができる。
【0113】
また、上記分光器において、光学部材は、その結晶軸方向に対する前記電圧印加により発生する電界の方向が、最も電気光学効果が大きくなるよう設定することにより、光学部材での分光を、より低電圧で制御することが可能となる。
【0114】
また、薄膜光学部材は、0V〜5V程度の範囲の低電圧により、赤外光から紫外光までの範囲で、色の分離が行われる膜厚に形成することにより、光学部材での分光を、乾電池などのバッテリ電源により制御可能となる。
(実施形態3)
図9は、本発明の実施形態3に係る画像表示装置を説明する図である。
【0115】
この実施形態3の画像表示装置200は、光源201と、該光源からの光を変調して、画像表示のためのスクリーン230上に投影する投影装置231とを備えている。該投影装置231は、電気光学効果を有する光学部材101(図10参照)を画素として行列状に複数配列してなり、各光学部材で入射光を反射する反射部210と、該各光学部材内で独立した電界が発生するよう該各光学部材に電圧を印加するコントローラ(電圧印加部)220とを備えている。このコントローラ220は、該光学部材で反射された該スクリーンへ向かう反射光が、該光学部材の電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものである。ここで、上記複数の基準色は、上記赤色、緑色、および青色の3原色、あるいはシアン色、マゼンタ色、黄色および緑色といった補色系の基準色とすることができるが、これらに限るものではなく、これら以外の色を基準色としてもよい。
【0116】
図10は上記実施形態3の画像表示装置における投影装置231を具体的に説明する図である。
【0117】
図10に示すように、上記各光学部材は、例えば、タンタル酸ニオブ酸カリウム結晶からなる薄膜光学部材と、該薄膜光学部材の両面に形成された一対の電極TaおよびTbとを有している。また、前記コントローラ220は、該各画素行毎に、該各画素行に対応する複数の薄膜光学部材の一方の電極Taに電圧を印加する第1のコントローラ(第1の電圧印加制御部)220aと、該各画素列毎に、該各画素列に対応する複数の薄膜光学部材の他方の電極Tbに電圧を印加する第2のコントローラ(第2の電圧印加制御部)220bとを有している。
【0118】
ここで、第1のコントローラ220aは、選択した画素行の薄膜光学部材の一方の電極Taには、前記第2のコントローラ220bにより各画素列の薄膜光学部材の他方の電極Tbに印加する電圧に応じて、該選択した画素行の薄膜光学部材で任意の波長の光が反射される電圧を印加し、非選択の画素行の薄膜光学部材の一方の電極Taには、第2のコントローラ220bにより各画素列の薄膜光学部材の他方の電極Tbに印加する電圧に拘わらず、該非選択の画素行の薄膜光学部材で可視光以外の波長の光が反射される電圧を印加するものである。
【0119】
このような構成の画像表示装置200では、例えば、第1の行R1の薄膜光学部材の電極Taに電圧V1を印加し、各列C1〜Cnの薄膜光学部材の電極Tbに特定の波長を反射する電圧V’1−V’nを印加すると、任意の画素に任意の波長の光を反射させることができる。このとき、他の行R2−Rnの薄膜光学部材の電極Taには、特定の電圧V0を印加する。この電圧V0は、特定の行(例えば第1の行)の画素を除くすべての画素で反射される光の波長が可視光以外となるような電位差[V0−V’i (1<=i<=n)]を与える電圧である。こうすることで、入射光を、この電気光学物質の配列に反射させることで、画像が生成できる。
【0120】
このように図10に示す画素(薄膜光学部材)の配列では、光源201から該薄膜光学部材の配列に入射した光は、該薄膜光学部材で反射される際、コントローラー220の制御によって特定の波長の光となり、スクリーン230上に結像する。
【0121】
このように本実施形態の画像表示装置200では、光源201と、該光源からの光を変調して、画像表示のためのスクリーン230上に投影する投影装置231とを備え、該投影装置は、電気光学効果を有する光学部材を画素として行列状に複数配列してなり、各光学部材で入射光を反射する反射部210と、該各光学部材内で独立した電界が発生するよう該各光学部材に電圧を印加するコントローラ220とを備え、該コントローラは、該光学部材で反射された該スクリーンへ向かう反射光が、該光学部材の電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するので、カラーフィルタを用いずにカラー画像を表示することが可能となる。
【0122】
なお、電気光学効果を有する光学部材を画素として用いる画像表示装置は、上記実施形態3のものに限らない。
【0123】
例えば、図11に示すように、画像表示装置200aは、光源201と、入射光を反射する反射装置231aと、該光源からの光を該反射装置に導くガラス板などの透明媒体202とを備えている。なお、ここでは、高視野角を持たせるため、ガラス板202上にレンズ203を配置している。そして、反射装置231aは、電気光学効果を有する光学部材を画素として行列状に複数配列してなり、各光学部材で入射光を反射する反射パネル210aと、該各光学部材内で独立した電界が発生するよう該各光学部材に電圧を印加するコントローラ220とを備え、該コントローラは、該光学部材で反射された反射光が、該光学部材の屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものである。ここで、上記反射パネル210aは、上記実施形態3の反射部210と同一構成である。
【0124】
このような構成では、光源201から出た光Lsは、ガラス板202の中を反射しながら反射パネル210aの電気光学物質(光学部材)の配列に届く。このとき、コントローラー220によって、任意の画素で特定の波長が反射され、画像が形成する。
【0125】
なお、図11に示す画像表示装置200aでは、高視野角を持たせるため、ガラス板202上にレンズ203を配置しているが、該レンズ203の代わりに高屈折率な膜をそこに成膜してもよい。
【0126】
このような画像表示装置200aにおいても、上記実施形態3と同様、カラーフィルタを用いずにカラー画像を表示することが可能となる。
【0127】
また、図11に示す画像表示装置200aの光入射面に液晶層と偏光板とを配置することにより、該画像表示装置の表示画面の明暗を調整することも可能である。
【0128】
以下、図12を用いてこのような明暗調整が可能な画像表示装置について簡単に説明する。
【0129】
図12に示す画像表示装置200bは、図11に示す画像表示装置200aと同様、光源201と、入射光を反射する反射装置231aと、該光源からの光を該反射装置に導くガラス板などの透明媒体202とを備えており、これらは、上記図11に示す画像表示装置200aにおけるものと同一である。
【0130】
そして、この画像表示装置200bでは、透明媒体202の、該反射装置231aの反射パネル210aとは反対側に、第1の偏光板251、液晶層252、および第2の偏光板253が順次配置され、さらに該偏光板253の表面側に高屈折率の膜254が配置されている。なお、この画像表示装置200bでは、液晶層252における液晶の配向方向は、該液晶層252に印加する電圧により調整可能となっているが、該液晶層252に電圧を印加するコントローラは図示していない。
【0131】
このような構成の画像表示装置200bでは、光源201から出た光Lsは、ガラス板202の中を反射しながら反射パネル210aの電気光学物質(光学部材)の配列に届く。このとき、コントローラー220によって、任意の画素で特定の波長が反射され、画像が形成される。また、この画像表示装置200bでは、反射パネル210aの反射面側には、液晶層252を配置し、かつ該液晶層252の両面側に第1および第2の偏光板251および253を配置しているので、反射パネル210aで反射された反射光は、第1の偏光板251を通過することにより、所定の偏光方向を有する光となり、さらに、液晶層252を通過することで、その偏光方向が所定角だけ回転する。このため、液晶層における液晶の配向方向を液晶層252に印加する電圧により調整することで、液晶層を通過した光の偏光方向が、第2の偏光板253の偏光方向に対して変化する。これにより、第2の偏光板を通過する反射光の量が変化することとなり、明暗の調整が可能となる。
【0132】
なお、上記図12では、図11に示す画像表示装置200aの光入射面に液晶層と偏光板とを配置することにより、該画像表示装置の表示画面の明暗を調整するものについて示したが、このような明暗の調整は、図9に示す画像表示装置200においても、光源201から投影装置231までの光伝播経路に、上述した液晶層および偏光板を配置することにより実現することができる。
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4として、上述した分光器をスペクトル分析装置に適用した例を説明する。
【0133】
図13は、本実施形態4によるスペクトル分析装置を説明する概略ブロック図である。
【0134】
このスペクトル分析装置300は、半導体材料などの被検査部材Mにレーザ光を照射するレーザ装置301と、該被検査部材Mでレーザ照射により発生した光を分光する、回折格子としての機能を持つ分光器310と、該分光器310からの光を検出する検出器311と、該検出器311で検出された検出出力を記憶する記憶装置312と、該分光器310および記憶装置312を制御するコントローラ313とを有している。なお、302aは分光器310への入射光を集光する集光レンズ、302bは分光器310からの光を検出器311の受光部に集光する集光レンズである。
【0135】
ここで、上記分光器310は、電気光学物質からなり、回折格子の代わりとなる光学部材310aを有しており、該光学部材310aは、印加される電圧により、実施形態1のの固体撮像装置100で用いた光学部材101と同様、該光学部材で反射された反射光の波長(色)を変化させるものである。なお、該光学部材は、印加される電圧により、実施形態2の固体撮像装置200で用いた光学部材101aと同様、該光学部材で屈折した屈折光の波長(色)を変化させるものであってもよい。
【0136】
また、上記コントローラ313は、上記分光器310からの出力光が、所望の波長の光となるよう、該光学部材101に印加する電圧を制御するとともに、記憶装置312に、該検出器311での検出結果が格納されるよう、該記憶装置312を制御するものである。
【0137】
このようなスペクトル分析装置300では、レーザ装置301から出射されたレーザ光が被検査部材Mに照射されると、該被検査部材Mでは、レーザ照射による励起により被検査部材の特有のスペクトル成分を有する光を発生する。このようにして被検査部材で発生した光は、集光レンズ302aを介して分光器310に入射すると、該該分光器310では、入射光が光学部材310aで反射され、該分光器310から出力され、分光器310の出力光は集光レンズ302bにより、検出器311の光受光面(図示せず)に集光される。検出器311は、受光した光の検出出力、つまり受光した光を記憶装置312に出力する。記憶装置312では、コントローラ313の制御により、分光器310で反射した色(波長)と、その強度とが対応付けて格納される。これにより、記憶装置312には、被検査部材Mで発生した光のスペクトル成分が格納されることとなり、該光のスペクトル成分を用いた被検査部材Mの特性の評価が可能となる。
【0138】
このように本実施形態4のスペクトル分析装置300では、半導体材料などの被検査部材Mにレーザ光を照射するレーザ装置301と、該被検査部材Mでレーザ照射により発生した光を分光する、回折格子としての機能を持つ分光器310と、該分光器310からの光を検出する検出器311とを備え、該光学部材310aを、該光学部材で反射された反射光の波長(色)が変化するよう、該光学部材に対する印加電圧を制御するので、該被検査部材Mにてレーザ照射により発生した光を、回折格子、およびこれを回転させる駆動部といった機械的な機構を用いることなく、所望の波長の光に分離することができる。
(実施形態5)
なお、上記実施形態1〜4では、特に説明しなかったが、上記実施形態1〜2の固体撮像装置の少なくともいずれかを撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、画像入力カメラ、スキャナ、ファクシミリ、カメラ付き携帯電話装置などの画像入力デバイスを有した電子情報機器について説明する。本発明の電子情報機器は、本発明の上記実施形態1〜2の固体撮像装置の少なくともいずれかを撮像部に用いて得た高品位な画像データを記録用に所定の信号処理した後にデータ記録する記録メディアなどのメモリ部と、この画像データを表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示する液晶表示装置などの表示手段と、この画像データを通信用に所定の信号処理をした後に通信処理する送受信装置などの通信手段と、この画像データを印刷(印字)して出力(プリントアウト)する画像出力手段とのうちの少なくともいずれかを有している。
【0139】
また、このような電子情報機器は、その表示部に上記実施形態3の画像表示装置を用いたものであってもよい。
【0140】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、分光装置、固体撮像装置、画像表示装置、分析装置および電子情報機器の分野において、光学部品として電気光学効果を有する光学結晶を用いることにより、カラーフィルタを用いないで、色を再現するための複数の基準色の光、例えば3原色の光あるいは補色系の光を分離することができ、固体撮像装置では、色を再現するための複数の基準色の光を1画素で検出可能となり、これにより画素のレイアウトに余裕を持たせることができ、言い換えると、同じ画素数では、1画素あたりの面積が大きくすることで、高感度、低ノイズ化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】図1は本発明の実施形態1に係る固体撮像装置の要部構成を示す図である。
【図2】図2は、KTN結晶の屈折率の電界強度依存性を説明する表(図(a))およびグラフ(図(b))を示す図である。
【図3】図3は、KTN結晶の波長の膜厚および電圧に対する依存性を表で示す図である。
【図4】図4は、KTN結晶の波長の膜厚および電圧に対する依存性をグラフで示す図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、KTN結晶の波長の膜厚および電圧に対する依存性が膜厚によって変化する様子を示す図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、KTN結晶の波長の膜厚および電圧に対する依存性が屈折率によって変化する様子を示す図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、KTN結晶の波長の膜厚および電圧に対する依存性が物質特性によって変化する様子を示す図である。
【図8】図8は本発明の実施形態2に係る固体撮像装置を説明する図である。
【図9】図9は本発明の実施形態3に係る画像表示装置を説明する図である。
【図10】図10は上記実施形態3の画像表示装置における投影装置を具体的に説明する図である。
【図11】図11は本発明の実施形態3の変形例に係る画像表示装置を説明する図である。
【図12】図12は本発明の実施形態3の他の変形例に係る画像表示装置を説明する図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態4による分析装置を説明する図である。
【図14】図14は、CMOSイメージセンサの構成(図(a))およびCCDイメージセンサの構成(図(b))を説明する図である。
【図15】図15は、カラーフィルタの配列を説明する図であり、図(a)は、撮像領域での配列を示し、図(b)は、隣接する4つのカラーフィルタにより1つの色を実現する場合、図(c)、(d)、(e)は、各画素が緑、赤、青の3つの色を撮像する場合を示している。
【符号の説明】
【0143】
100,100a 固体撮像装置
101,101a 薄膜光学部材
102 可変電源装置
110 固体撮像素子
120,220,313 コントローラ
130,130a 分光装置
200,200a,200b 画像表示装置
201 光源
202 光伝播透明部材
210 反射部
210a 反射パネル
220a 第1のコントローラ
220b 第2のコントローラ
230 スクリーン
231 投影装置
231a 反射装置
300 スペクトル分析装置
310 分光器
310a 光学部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の色を分離する分光装置であって、
電気光学効果を有する光学部材と、
該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、
該電圧印加部は、該光学部材での電界による屈折率の変化により、該光学部材で反射された反射光の色が変化するよう、該光学部材への印加電圧を制御する分光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分光装置において、
前記光学部材は、電気光学物質からなるものである分光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分光装置において、
前記光学部材は、その屈折率がポッケルス効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するものである分光装置。
【請求項4】
請求項2に記載の分光装置において、
前記光学部材は、その屈折率がカー効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するものである分光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の分光装置において、
前記光学部材は、タンタル酸ニオブ酸カリウム結晶からなる薄膜光学部材である分光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の分光装置において、
前記薄膜光学部材は、
その結晶軸方向に対する前記電圧印加により発生する電界の方向が、最も電気光学効果が大きくなるよう設定されている分光装置。
【請求項7】
請求項5に記載の分光装置において、
前記薄膜光学部材は、0V〜5V程度の範囲の低電圧により、赤外光から紫外光までの範囲で、色の分離が行われる膜厚に形成されている分光装置。
【請求項8】
光の色を分離する分光装置であって、
電気光学効果を有する光学部材と、
該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、
該電圧印加部は、該光学部材での電界による屈折率の変化により、該光学部材で屈折した屈折光の色が変化するよう、該光学部材への印加電圧を制御する分光装置。
【請求項9】
請求項8に記載の分光装置において、
前記光学部材は、電気光学物質からなるものである分光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の分光装置において、
前記光学部材は、その屈折率がポッケルス効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するものである分光装置。
【請求項11】
請求項9に記載の分光装置において、
前記光学部材は、その屈折率がカー効果により該光学部材への印加電圧に応じて変化するものである分光装置。
【請求項12】
請求項11に記載の分光装置において、
前記光学部材は、タンタル酸ニオブ酸カリウム結晶からなる薄膜光学部材であって、光の入射面と光の出射面とが非平行となるよう加工したものである分光装置。
【請求項13】
請求項12に記載の分光装置において、
前記薄膜光学部材は、
その結晶軸方向に対する前記電圧印加により発生する電界の方向が、最も電気光学効果が大きくなるよう設定されている分光装置。
【請求項14】
請求項12に記載の分光装置において、
前記薄膜光学部材は、0V〜5V程度の範囲の低電圧により、赤外光から紫外光までの範囲で、色の分離が行われる膜厚に形成されている分光装置。
【請求項15】
複数の画素を有する固体撮像素子と、入射光を複数の基準色の光に分離して、該固体撮像素子の該画素が配列された受光面に照射する分光装置と、該固体撮像素子における撮像動作と該分光装置による色分離動作とを制御する制御部とを備えた固体撮像装置であって、
該分光装置は、
電気光学効果を有する光学部材と、
該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを有し、
該電圧印加部は、該光学部材で反射された該固体撮像素子へ向かう反射光が、該光学部材での電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものであり、
該制御部は、該分光装置が該固体撮像素子の受光面へ向かう反射光の色を変化させる色分離動作と、該固体撮像素子が各画素で得られた光電変換信号を出力する撮像動作とが同期するよう、該電圧印加部および該固体撮像素子を制御するものである固体撮像装置。
【請求項16】
請求項15に記載の固体撮像装置において、
前記複数の基準色は、赤色、緑色、および青色である固体撮像装置。
【請求項17】
請求項16に記載の固体撮像装置において、
前記制御部は、赤色光、緑色光、および青色光が、所定のタイミングで繰り返し前記固体撮像素子に照射されるよう、前記分光装置の電圧印加部を制御するとともに、該固体撮像素子を、該赤色光、該緑色光、および該青色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御する固体撮像装置。
【請求項18】
請求項15に記載の固体撮像装置において、
前記複数の基準色は、シアン色、マゼンタ色、黄色および緑色である固体撮像装置。
【請求項19】
請求項18に記載の固体撮像装置において、
前記制御部は、シアン色光、マゼンタ色光、黄色光および緑色光が、所定のタイミングで繰り返し前記固体撮像素子に照射されるよう、前記分光装置の電圧印加部を制御するとともに、該固体撮像素子を、該シアン色光、該マゼンタ色光、該黄色光および該緑色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御する固体撮像装置。
【請求項20】
複数の画素を有する固体撮像素子と、入射光を複数の基準色の光に分離して該固体撮像素子の該画素が配列された受光面に照射する分光装置と、該固体撮像素子における撮像動作と該分光装置による色分離動作とを制御する制御部とを備えた固体撮像装置であって、
該分光装置は、
電気光学効果を有する光学部材と、
該光学部材内に電界が発生するよう該光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、
該電圧印加部は、該光学部材で屈折された該固体撮像素子の受光面へ向かう屈折光が、該光学部材での電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものであり、
該制御部は、該分光装置が該固体撮像素子の受光面へ向かう屈折光の色を変化させる色分離動作と、該固体撮像素子が各画素で得られた光電変換信号を出力する撮像動作とが同期するよう、該電圧印加部および該固体撮像素子を制御するものである固体撮像装置。
【請求項21】
請求項20に記載の固体撮像装置において、
前記複数の基準色は、赤色、緑色、および青色である固体撮像装置。
【請求項22】
請求項21に記載の固体撮像装置において、
前記制御部は、赤色光、緑色光、および青色光が、所定のタイミングで繰り返し前記固体撮像素子に照射されるよう、前記分光装置の電圧印加部を制御するとともに、該固体撮像素子を、該赤色光、該緑色光、および該青色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御する固体撮像装置。
【請求項23】
請求項20に記載の固体撮像装置において、
前記複数の基準色は、シアン色、マゼンタ色、黄色および緑色である固体撮像装置。
【請求項24】
請求項23に記載の固体撮像装置において、
前記制御部は、シアン色光、マゼンタ色光、黄色光および緑色光が、所定のタイミングで繰り返し前記固体撮像素子に照射されるよう、前記分光装置の電圧印加部を制御するとともに、該固体撮像素子を、該シアン色光、該マゼンタ色光、該黄色光および該緑色光の照射と同期して該各色の光電変換信号を出力するよう制御する固体撮像装置。
【請求項25】
光源と、該光源からの光を変調して、画像表示のためのスクリーン上に投影する投影装置とを備えた画像表示装置であって、
該投影装置は、
電気光学効果を有する光学部材を画素として行列状に複数配列してなり、各光学部材で入射光を反射する反射部と、
該各光学部材内で独立した電界が発生するよう該各光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、
該電圧印加部は、該光学部材で反射された該スクリーンへ向かう反射光が、該光学部材の電界による屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものである画像表示装置。
【請求項26】
請求項25に記載の画像表示装置において、
前記各光学部材は、電気光学物質からなる薄膜光学部材と、該薄膜光学部材の両面に形成された一対の電極とを有し、
前記電圧印加部は、
該各画素行毎に、該各画素行に対応する複数の薄膜光学部材の一方の電極に電圧を印加する第1の電圧印加制御部と、
該各画素列毎に、該各画素列に対応する複数の薄膜光学部材の他方の電極に電圧を印加する第2の電圧印加制御部とを有する画像表示装置。
【請求項27】
請求項26に記載の画像表示装置において、
前記反射部の光入射面側に配置された液晶層と、
該液晶層の両側に配置された偏光板とを備え、
該液晶層における液晶の配向を、該反射部からの光の強度が変化するよう制御する画像表示装置。
【請求項28】
請求項26に記載の画像表示装置において、
前記第1の電圧印加制御部は、
選択した画素行の薄膜光学部材の一方の電極には、前記第2の電圧印加制御部により各画素列の薄膜光学部材の他方の電極に印加する電圧に応じて、該選択した画素行の薄膜光学部材で任意の波長の光が反射される電圧を印加し、
非選択の画素行の薄膜光学部材の一方の電極には、前記第2の電圧印加制御部により各画素列の薄膜光学部材の他方の電極に印加する電圧に拘わらず、該非選択の画素行の薄膜光学部材で可視光以外の波長の光が反射される電圧を印加する画像表示装置。
【請求項29】
光源と、入射光を反射する反射装置と、該光源からの光を該反射装置に導く透明媒体とを備えた画像表示装置であって、
該反射装置は、
電気光学効果を有する光学部材を画素として行列状に複数配列してなり、各光学部材で入射光を反射する反射パネルと、
該各光学部材内で独立した電界が発生するよう該各光学部材に電圧を印加する電圧印加部とを備え、
該電圧印加部は、該光学部材で反射された反射光が、該光学部材の屈折率の変化により該複数の基準色の光に分離されるよう、該光学部材への印加電圧を制御するものである画像表示装置。
【請求項30】
請求項29に記載の画像表示装置において、
前記各光学部材は、電気光学物質からなる薄膜光学部材と、該薄膜光学部材の両面に形成された一対の電極とを有し、
前記電圧印加部は、
該各画素行毎に、該各画素行に対応する複数の薄膜光学部材の一方の電極に電圧を印加する第1の電圧印加制御部と、
該各画素列毎に、該各画素列に対応する複数の薄膜光学部材の他方の電極に電圧を印加する第2の電圧印加制御部とを有する画像表示装置。
【請求項31】
請求項30に記載の画像表示装置において、
前記反射パネルの光入射面側に配置された液晶層と、
該液晶層の両側に配置された偏光板とを備え、
該液晶層における液晶の配向を、該反射部からの光の強度が変化するよう制御する画像表示装置。
【請求項32】
請求項30に記載の画像表示装置において、
前記第1の電圧印加制御部は、
選択した画素行の薄膜光学部材の一方の電極には、前記第2の電圧印加制御部により各画素列の薄膜光学部材の他方の電極に印加する電圧に応じて、該選択した画素行の薄膜光学部材で任意の波長の光が反射される電圧を印加し、
非選択の画素行の薄膜光学部材の一方の電極には、前記第2の電圧印加制御部により各画素列の薄膜光学部材の他方の電極に印加する電圧に拘わらず、該非選択の画素行の薄膜光学部材で可視光以外の波長の光が反射される電圧を印加する画像表示装置。
【請求項33】
被検査部材の分析を行う分析装置であって、
該被検査部材にレーザ光を照射するレーザ装置と、
該被検査部材で該レーザ光の照射により発生した光を分光する分光器と、
該分光器からの光を検出する検出器とを備え、
該分光器は、電気光学物質からなり、該被検査部材で該レーザ光の照射により発生した光を反射する光学部材を有し、該光学部材に印加される電圧により、該光学部材で反射された反射光の波長が変化するよう構成したものである分析装置。
【請求項34】
被検査部材の分析を行う分析装置であって、
該被検査部材にレーザ光を照射するレーザ装置と、
該被検査部材で該レーザ光の照射により発生した光を分光する分光器と、
該分光器からの光を検出する検出器とを備え、
該分光器は、電気光学物質からなり、該被検査部材で該レーザ光の照射により発生した光を屈折させる光学部材を有し、該光学部材に印加される電圧により、該光学部材で屈折された屈折光の波長が変化するよう構成したものである分析装置。
【請求項35】
撮像部を備えた電子情報機器であって、
該撮像部は、請求項15〜24のいずれかに記載の固体撮像装置を含む電子情報機器。
【請求項36】
表示部を備えた電子情報機器であって、
該表示部は、請求項25〜32のいずれかに記載の画像表示装置を含む電子情報機器。

【図2】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−121935(P2009−121935A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295983(P2007−295983)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】