説明

分光計システムにおいてリングダウンタイムを決定するための装置、方法、およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体

【課題】 キャビティリングダウン分光計およびプロセッサを含むシステムが提供される。
【解決手段】 該分光計は、電磁スペクトルのテラヘルツ領域における1つ以上の選択可能な送信周波数の各々で変調済み連続波電磁信号をキャビティ共振器に通過させるように構成されている。該分光計は、該キャビティ共振器によって、該キャビティ共振器の単一共振モードを励起するように構成されている送信機を含む。該プロセッサは、該変調済み電磁信号の該通過部分の測定値を受信し、該測定値に基づいて該変調済み電磁信号の位相シフトを決定するように構成されている。該プロセッサは、該位相シフトの関数として該キャビティ共振器のリングダウンタイムを計算するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的実施形態は概して、電磁信号を伝搬させるための分光計システムおよび方法に関し、より具体的には、分光計システムにおいてリングダウンタイムを決定するための装置、方法およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
分光法を実行するためのリングダウンキャビティという概念は、スペクトルの可視部分および赤外線部分に適用するために展開され、技術文献に論じられてきた。キャビティリングダウン(CRD)分光計は概して、2つのタイプ、つまりパルス波および連続波のうちの一方とすることができる。パルス波の場合、短パルスの光は、光が反射可能な1対のミラーを含むことができる(しばしばキャビティ共振器またはサンプルセルと称される)共振キャビティに、注入されてもよい。分光計の用途において、これらのキャビティにおけるミラー間の空間はサンプル媒体で充填することができるため、サンプルの吸収スペクトルが測定可能である。
【0003】
ミラーは完全に反射しないこともあるが、光を入射および出射させるために一部の光がミラーを通過できるようにしてもよい。短い単一パルスが空のキャビティに注入されると、パルスはキャビティ内で何度も反射することがあり、出射ミラーに当たる度に、パルスがキャビティから出ることができる。従って、単一パルスは1列のパルスを生成することができ、各パルスは、エネルギーが後続の通過時に出射ミラーから漏洩する際のパルスの高さに引き続き減少される。複数の反射は「リングする」と称され、出力パルストレインが完了するのにかかる時間は「リングダウンタイム」と称される。この時間定数は、反射ミラー間のキャビティ形状および媒体の特性である。パルス化リングダウンキャビティに関するさらなる情報については、例えば、引用することにより、本明細書の一部を成すものとする非特許文献1を参照されたい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】K.Lehmannn&D.Romanini,The Superposition Principle and Cavity Ring−Down Spectroscopy,J.CHEM.PHYS.,vol.105 no.23(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景に照らして、本発明の実施形態は、キャビティリングダウン(CRD)分光計システムにおいてリングダウンタイムを決定するための改良された装置、方法およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、キャビティリングダウン分光計およびプロセッサを含むシステムが提供される。該分光計は、送信機、変調器、キャビティ共振器および受信機を含む。フォトミキサ、あるいはテラヘルツまたはミリ波送信機を備えることができる該送信機は、電磁スペクトルのテラヘルツ領域における1つ以上の選択可能な送信周波数の各々で連続波電磁信号を送信するように構成され、該変調器は、変調周波数で該電磁信号を変調する(例えば、振幅変調する)ように構成されている。
【0007】
該キャビティ共振器は、該変調済み電磁信号を受信して、該変調済み電磁信号の少なくとも一部を通過させるように構成されている。本態様によると、該送信機およびキャビティ共振器は、該キャビティ共振器の単一共振モードを励起させるように構成されている。
【0008】
該送信機と同様に、フォトミキサ、あるいはテラヘルツまたはミリ波受信機を備えることができる該受信機は、該キャビティ共振器を通過する該変調済み電磁信号の該一部を受信するように構成されている。そして、該プロセッサは、該受信機によって受信された該変調済み電磁信号の該一部の測定値を受信し、かつ該測定値に基づいて該変調周波数における該変調済み電磁信号の位相シフトを決定するように構成されている。該プロセッサはまた、該位相シフトの関数として該キャビティ共振器のリングダウンタイムを計算するように構成されている。さらに、該キャビティ共振器がサンプル媒体を収容している場合、該プロセッサは、該リングダウンタイムおよび送信周波数の関数として該サンプル媒体の吸収シグネチャを決定するように構成することができる。
【0009】
より具体的な例示的実施形態では、該プロセッサは、以下に従ってリングダウンタイムτを計算するように構成することができる:
【数1】

ここで、
【数2】

は、該単一共振モードm’n’の該変調周波数における該位相シフトを表し、ωmdは該変調周波数を表している。テラヘルツ周波数において、該フォトミキサのようなデバイスは、放射の強度のみならず振幅も測定可能な固有の能力を提供可能である。従って、該キャビティ共振器は2つのリングダウンタイムを有することができ、一方は強度のためであり、他方は、該強度リングダウンタイムの2倍の振幅のためである。このような例では、上記リングダウンタイムは該強度リングダウンタイムとみなすことができる。そして、該プロセッサは付加的または代替的に、以下に従って振幅リングダウンタイムτampを計算するように構成されてもよい:
【数3】

【0010】
本発明の他の態様によると、分光計システムにおいて該リングダウンタイムを決定するための方法およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。本発明の例示的実施形態は従って、分光計システムにおいて該リングダウンタイムを決定するための改良された装置および方法を提供する。下記のように、本発明の例示的実施形態は、従来の技術による問題を解決して、さらなる利点を提供することができる。
【0011】
このように本発明について概説的に説明してきたが、必ずしも等尺ではない添付の図面を以下参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一例示的実施形態による分光計システムの概略ブロック図である。
【図2】本発明の例示的実施形態による、周波数スペクトルに分光計システムを通過させる方法における種々のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明について、本発明の好ましい実施形態が示されている添付の図面を参照してより完全に説明する。しかしながら、本発明は多数の異なる形態で具現化されてもよく、また、ここに説明されている実施形態に制限されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態が提供されることによって、本開示は詳細かつ完全になり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えることになる。この点に関して、等式によって関連付けられ得る多数の数式を参照する。しかしながら、この等式は絶対または近似等式を参照してもよいため、本発明の例示的実施形態は、エンジニアリングの許容範囲に因るなど、システムおよび方法で生じうる変化について説明可能であることが理解されるべきである。さらに、多数の変数は、種々の例における添字を含む数学記号によって表されることが可能であるが、これらの記号および添字は単に例示目的で表され、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない点が理解されるべきである。図面全体を通して、類似の参照番号は類似の要素を表している。
【0014】
図1および2は、本発明の例示的実施形態の利点を享受可能な分光計システムおよび方法を図示している(ここで使用されている「例示的」とは、「実施例、事例または図示として作用する」ことである)。しかしながら、ここに図示および説明されている分光計システムおよび方法は、本発明の例示的実施形態の利点を享受可能な1タイプのシステムおよび方法の例示にすぎないため、本発明の範囲を制限するものとされるべきではない点が理解されるべきである。本発明の例示的実施形態の利点を享受可能な別の分光計システムおよび方法の一例が、System and Method for Magnitude and Phase Retrieval by Path Modulationと題され、2010年2月25日に出願された米国特許出願第12/712,736号に説明されている。’736号出願の内容は全体を参照してここに組み込まれている。
【0015】
分光計システムおよび方法の複数の実施形態が図示され、例示目的で以下説明されているが、他のタイプの、電磁信号を伝搬させるためのシステムおよび方法も、本発明を容易に用いることができる。さらに、本発明のシステムおよび方法は、電磁スペクトルのTHz(またはmmW)領域の信号と関連して主に説明される。しかし、本発明の実施形態のシステムおよび方法は、電磁スペクトルのTHz帯域の内外の多様な他の用途と関連して利用可能である。
【0016】
図示されているように、本発明の一例示的実施形態の分光計システム10は、所与の周波数のコヒーレント放射ビーム(電磁波)を送信するように構成されている送信機12を含む。送信機は、当業者に既知の多数の異なる送信機のいずれかを備えることができる。一例示的実施形態において、例えば、送信機はフォトミキサ送信機を備えている。このような例では、送信機は、ビームコンバイナ/スプリッタ16および光結合された第1の光学経路18(例えば、光ファイバ)を介して2つのレーザー光源14a、14bによってポンピング可能な高速光伝導ダイオード(つまり、フォトミキサ)を含む。この点に関し、レーザー光源は、ωおよびωのオフセット周波数(つまり、Eω1およびEω2)を有する電界を具備する信号を発するように構成されてもよい。周波数ωおよびωと、ここに説明されている他の周波数は、ラジアン角周波数または対応する時間周波数(f=ω/2π)として表されることが可能である点に留意されたい。
【0017】
送信機12は、送信機のフォトミキサがバイアス可能な正弦波変調電圧を生成するように構成されている電圧源22を含む送信機バイアス変調器20に結合可能であり、この変調器は電界E=Vcos(ωmdt)を生成することによって、周波数ωmdで送信された信号を振幅変調することができる。スパイラル、ダイポールまたはスロットアンテナなどのアンテナの駆動ポイントにフォトミキサを配置することによって、差周波数電流が差周波数光子に変換される。この結果は、単一(準ガウス)空間モードに含まれ、かつ送信済み電界ETMを有する、高度に同調可能な連続波(CW)の極めてコヒーレントな放射源である。このような送信機に関するさらなる情報については、Quasi−Optical Transceiver Having an Antenna with Time Varying Voltageと題され、2002年2月19日に発行された米国特許第6,348,683号を参照されたい。
【0018】
従って、一例示的実施形態の方法は、図2のブロック42および48に示されているように、送信周波数を選択してから、この周波数の放射ビーム(つまり、ソースビーム)を送信機12から送信することを含む。送信周波数は、多数の異なる方法のいずれかで選択可能である。しかしながら、測定済み吸収シグネチャに基づいてサンプルを検出するためには、送信周波数は通常、吸収シグネチャが定義される周波数範囲内で選択可能である。次いで、フォトミキサ送信機において、フォトミキサは、差異、つまり送信周波数(例えば、ω−ω)を選択するように選択された周波数ωおよび周波数ωで同調可能なレーザー光源によってポンピング可能である。
【0019】
送信機12からの放射ビームはコリメートレンズ24を通過して、コリメート放射ビームを生成することができる。そしてこのビームは、ビームが通過可能な反射器26aおよび26bによって反射可能なキャビティ共振器26またはサンプルセルを通過可能であり、また、分析されるサンプル媒体と、周囲空気などのベース媒体とを含むことができる。理解されるように、サンプルおよびベース媒体は、放射ビームが少なくとも部分的に透過性である多数の異なる形態のうちのいずれかを有することができる。例えば、サンプルおよびベース媒体は固体、液体、気体、プラズマまたはエアロゾルを備えることができる。より具体的には、種々の好都合な実施形態において、周囲空気のベース媒体は気体状とすることができるが、サンプルは気体またはエアロゾル状とすることができる。
【0020】
キャビティ共振器26は、反射器26aおよび26b間の長さを変更するためのアクチュエータ制御を有することができ、反射器は、所望のスペクトル範囲全体にわたる連続チューニングを提供することによって、周波数サンプリングコム(comb)の変更を可能にして、システムに対して柔軟性を付与することができる。キャビティ共振器の反射器は、一定のTHz帯域で0.995〜0.998程度の高反射率を有するように構成することができる。反射器26aおよび26bは、所望の反射率および光学機能を達成するように、多数の異なる方法のいずれかで構成することができる。一例示的実施形態において、反射器はゴールド格子偏光子コーティングを含むことができる。適切なコーティングに関するさらなる議論については、J.Auton,Infrared Transmission Polarizers by Photolithography,APPLIED OPTICS,vol.6,no.6(1967);およびR.Ulrich他,Variable Metal Mesh Coupler for Far Infrared Lasers,APPLIED OPTICS,vol.9,no.11,(1970)を参照されたい。
【0021】
連続波放射ビームがキャビティ共振器26に導入されると、この強度は、ビームが反射器26aおよび26b間で反射する際に構築される。しかし、ビームが反射器間で反射すると、キャビティ共振器内のサンプルおよびベース媒体は、ビームの少なくとも一部、より具体的にはビームの電界の少なくとも一部を吸収して、残りの放射ビーム(つまり、受信信号)の未吸収部分はキャビティ共振器を出る。サンプル信号は次いで集束レンズ28に伝搬し、ここから、集束信号が取り上げられるか、受信信号ERPとして受信機30によって受信される。
【0022】
受信機は、受信電界ERPを表す測定値を取得する。送信機12と同様に、受信機は、フォトミキサ受信機(ホモダイン受信機)などの電界検出器を備えることができる。フォトミキサ受信機は、電界を受信し、かつこれに応答して対応する電圧を生成するように構成されているアンテナを含むことができ、これは高速光伝導体に向けることができる。光伝導体はまた、フォトミキサ送信機12をポンピングする同一の2つのレーザー光源14a、14bからのビームによって光伝導体をポンピングするための第2の光学経路32に電気結合される。この点に関して、ビームコンバイナ/スプリッタ16は、レーザー光源からの信号の各々を上記第1の光学経路18と、もう1つの、受信機フォトミキサをポンピングするための第2の光学経路(例えば、光ファイバ)とに分離することができる。これらの信号は次いで、フォトミキサのコンダクタンスを変調可能である。
【0023】
受信機アンテナによって生成された電圧はフォトミキサのアクティブ材料に適用されて、変調済みコンダクタンスによって電流を生成可能である。生成物の差周波数結果はダウンコンバート済み信号電流Iであり、これは対応するダウンコンバート済み電界Eを有することができ、これらのいずれかまたは両方は信号を構成するか、表すことができる。このような受信機に関するさらなる情報については、上記’683号特許を参照されたい。
【0024】
ダウンコンバート済み信号電流Iおよび/または電界Eは、例えばエイリアス除去フィルタ36を含む受信機信号調整回路34に適用することができる。信号調整回路の出力は次いで、例えばディジタル信号処理動作を実行するために処理装置38に入力することができる。この点に関して、処理装置は、本発明の例示的実施形態に従って動作可能な多数の異なるデバイスのいずれかを備えることができる。例えば、処理装置は、コンピュータ(例えば、パソコン、ラップトップコンピュータ、サーバコンピュータ、ワークステーションコンピュータ)や他のコンピューティング装置を備えることができる。処理装置は、プロセッサおよびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含むことができる。プロセッサは、例えば、1つ以上のプログラム化またはプログラマブル汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、コプロセッサ、コントローラ、特殊ディジタル信号プロセッサ、および/または、1つ以上の集積回路(例えば、ASIC、FPGA)、ハードウェアアクセラレータまたは処理回路などを含む種々の処理デバイスを含んでもよい。
【0025】
処理装置38のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、埋め込み型および/または取り外し可能型とすることができる揮発性および/または不揮発性メモリを含むことができ、また、例えばリードオンリーメモリ、フラッシュメモリ、磁気記憶デバイス(例えば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、磁気テープなど)、光ディスクドライブおよび/または媒体、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)などを含んでもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明の例示的実施形態に従って、多数の異なるデータやコンテンツなどのいずれかを記憶してもよい。例えば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、プロセッサによって実行または処理可能な、実行可能またはコンピュータ読み取り可能な命令を記憶するように構成されてもよい。
【0026】
分光計システム10が信号を周波数変調する場合、プロセッサ38によって実行される信号処理動作は、例えば、アナログ・ディジタル変換器(A/D)40が変調周波数の信号をダイレクトサンプリングすることや、サンプル化データのプロセッサ離散フーリエ変換(DFT)処理によって、ダウンコンバート済み信号Eの振幅を回復させることを含むことができる。あるいはまた、例えば、分光計システムはさらに、ダウンコンバート済み信号Eをさらに処理するためのロックイン増幅器(図示せず)などの同期復調器を含むことができる。この点に関して、このような同期復調器は、変調周波数ωmdで動作することによってダウンコンバート済み信号の振幅を回復させるローカル発振器を含んでもよい。
【0027】
連続波CRD分光計としての動作時に、キャビティ共振器26を出るサンプル信号は、特定の閾値強度に達するまでモニタされることができ、送信機12はシャットオフされることも、キャビティ共振器へのビームの送信を停止させるように制御されることもできる。この点について、シャットオフスイッチは、立下りエッジが励起モードのリングダウンタイムと比較して短くなるように構成されてもよい。キャビティ共振器へのビームの送信を送信機が停止することによって、キャビティ共振器内を伝搬するビームの強度、ひいては、キャビティ共振器を出るビームの一部は、ビームがキャビティ共振器から出なくなるか、ビームの出ていく部分が測定不可能になるまで、指数関数的に減衰する(つまり、「リングダウンする」)。キャビティ共振器へのビームの送信を送信機が停止する時と、ビームが最後にキャビティ共振器を出ていく時(つまり、最後に出ていくビームが測定可能になる時)の間の時間は、次いで、図2のブロック50に示されているように、「リングダウンタイム」として測定することができる。リングダウンタイムは多数の異なる方法で測定可能であり、このうちの1つについてより具体的に後述する。
【0028】
システム10は、ブロック54および56に示されているように、例えば、多数の周波数でスキャンされる周波数ωおよび周波数ωで同調可能なレーザー光源で送信機12および受信機30のフォトミキサをポンピングすることによって、一定の周波数範囲の多数の送信周波数をスキャンする。この一定周波数内の各送信周波数、ひいては異なる送信周波数を有する各放射ビームについて、プロセッサ38はリングダウンタイムτを測定または決定可能である。得られたリングダウンタイムおよび関連送信周波数の集合は、図2のブロック58に示されているように、サンプルを識別可能なキャビティ共振器26においてサンプルの吸収または分散シグネチャを決定するために使用することができる。例えば、吸収または分散シグネチャは、送信周波数の関数としてキャビティ損失(1/cτ、ここでcは光の速度を表している)をプロットすることによって決定されてもよい。
【0029】
位相シフトキャビティリングダウン技術を実施することによって、分光学的特徴化および検出に関する一般的問題の多くは回避可能である。また、リングダウン方法において、放射ビームは、振幅変調キャリアとしてキャビティ共振器26に注入することができる。キャビティ共振器は走行波に対する遅延を表し、これは、キャリア波および変調(エンベロープ)波両方の位相シフト(遅延)を導入可能である。吸収器の存在は、固有のキャビティ減衰時間を変化させ、異なる遅延を表す。これは2つの方法、つまり、減衰時間、あるいは変調周波数の位相シフトによって測定可能である(図2、ブロック50参照)。遅延時間または位相シフトを測定することによって、エネルギー正規化に関する問題は、取り除かれないとしても、パルス化方法で縮小可能である。
【0030】
非特許文献1の分析は、各横断キャビティモードm、nが、以下のように強度測定について表されることが可能な指数関数的減衰(リングダウンタイム)tを有することを示している:
【数4】

上記において、Rmn,eff=Rmnexp(−k(ωmnq)L)であり、Rmnは、キャビティ反射器26a、26bのモード反射率を表している(反射率のモード依存性は、キャビティモードに関して拡張される入力フィールドの係数に由来する)。また、Lはキャビティ長を表しており、tは、単一サイクルにおける光の往復移動時間を表しており、ωmnqは、キャビティ共振器26のm、n横断モードおよびq縦断モードの角周波数を表しており、kは、キャビティにおけるサンプル媒体の吸収係数を表している。cが光の速度を表している以下の前提:t/2=L/c,kL<<1;Rmn〜R0,0〜1;およびτ=td,00(ω0,0,q)によると、縦断周波数Vの強度リングダウンタイムは次のように与えられてもよい:
【数5】

非特許文献1は、モード依存損失ゆえにRmnが一定でない場合、リングダウンタイムは、キャビティ共振器におけるサンプル媒体の有無に関わらず非指数関数的依存性を有することがある点を指摘している。彼らはまた、パルス化の場合には、入力パルスは、励起縦断モードの減衰時間未満の立下りエッジを有しているはずであると示している。
【0031】
入力パルス幅が短く、かつ周波数スペクトルが広くすることができる、非特許文献1のパルス化の場合とは異なり、連続波(CW)の場合は、長いタイムスパンおよびインパルス周波数入力を有することができる。変調済みCWの場合は、観察された信号において、リングダウンタイムに関する位相シフトを生成するキャビティ応答を導くことができる。この場合、変調済み入力ビームは、位相
【数6】

(変調周波数fmdにおける)でシフトされ、かつ対応する強度リングダウンタイムを有するキャビティ共振器26から出現することができ、次式のように与えることができる:
【数7】

【0032】
本発明の例示的実施形態によると、リングダウンタイムの測定値は、入力連続波ビームが変調される場合に取得可能である。従って、キャビティへの入力ビームが角周波数ωmdで変調される場合、リングダウンタイムは、変調済み連続波電流の位相シフトに関して測定可能である。これは、エルミート・ガウスモードとすることができるキャビティ共振モードに関するキャビティ入力フィールドを表すことによって実行可能である。分析的2Dモード伝達関数が次いで計算されて、入力フィールド係数から出力フィールド係数を決定するために使用することができる。この伝達関数は、横断および縦断モードの両方の効果を含んでもよい。
【0033】
同一または略同一の曲率半径R、振幅透過率Tおよび反射率Rを有する反射器26aおよび26bを含むキャビティ共振器26について検討する。単色放射ビームと、このビームの正弦波変調を前提とすると、分析は、入力および出力フィールドのキャビティ入力(c)および出力(c)の横断モード係数と、キャビティモード伝達関数Gmnとの関係を記述することによって開始することができ、これらは全て、ある時間周波数f=ω/2πで評価される。この関係は、以下のように表されることが可能である(非特許文献1、式(26)を参照):
【数8】

ここで、キャビティモード伝達関数Gmnは、非特許文献1の式(27)によって提供されるとおりとすることができる。
【0034】
変調済み入力ビーム係数について、これらの係数は以下のように表すことができる:
【数9】

ここで、δは標準的な数学デルタ関数を表しており、cmnは入力フィールドの横断モード係数を表しており、ωはCW送信周波数(例えば、ω−ω)を表している。所与のキャビティモード伝達関数Gmnにより、出力フィールド係数cmnは式(3)および(4)から計算することができ、また全出力フィールドの式(例えば、非特許文献1、式(31))と共に、出力フィールド係数は、時間ドメインの出力フィールドEに関する式を提供することができる。
【0035】
受信機30が、出力フィールド全体を収集するフォトミキサ受信機(ホモダイン受信機)などの電界(または振幅)検出器である場合、この空間集積フィールドは受信機においては電流とみなされ、以下の複合関数(iは虚数単位を表す)として表すことができる:
【数10】

上記において、Km,nは、キャビティ共振器26の出力面で評価された非特許文献1の式(21)で与えられるようなモード定数を表しており、FおよびFは各々、各キャビティモードの2次元積分の要素を表しており、ωl’は、送信周波数ωに最も近いキャビティ共振器のラジアン縦断モード周波数を表している。また、上記においては、δKm,nは、以下によって定義される横断m、nモードを記述している:
【数11】

【0036】
関数F(および類似度F)は、以下のように集積振幅モードによって表記することができる:
【数12】

ここで、Hはm番目のエルミート・ガウス振幅モードを表しており、w(L/2)は、出力反射器26bのガウスビームウエストを表しており、R(L/2)は、出力反射器の曲率のビーム半径を表している。さらに、上記に加えて、kは放射ビームの波動ベクトルを表しており、以下のように表すことができる:
【数13】

ここで、ncavは、反射器間のサンプル媒体の複素屈折率を表している。
【0037】
式(5)は、以下の置換がなされる場合に簡略化可能である:
【数14】

そして、次の式を得る:
【数15】

変数ρmnは、キャビティ反射器26a、26bのモード反射率を表しており、θmnは、反射と関連した位相シフトを表しており、ymnは、キャビティ縦断モード、モード自体の位相シフト、および/またはキャビティのミラーと関連した位相シフトからの送信周波数ωのずれによって位相シフトを収集するダミー変数を表している。さらに、複素変数coefmnは、所望の形態の式(8)に式(5)を書き換え可能にするために、式(5)のいくつかの部分を収集するダミー変数を表している。
【0038】
受信機30における電流の振幅を
【数16】

と定義することによって、以下の複素復調信号が与えられる:
【数17】

ここで、qmnは、複素変数coefmnの位相全体を表している(qmnは、複素変数coefmnの自然対数の虚数部分を表している)。coefmnがφに依存している場合、qmnはφに依存して、結果としてqmnはリングダウンタイムに依存していることが分かる。
【0039】
I(t)=2Re(I(t))および三角恒等式を使用してI(t)を実数信号に変換することによって正弦波信号和がもたらされる:
【数18】

上記において、
【数19】

は、(周波数変調済み入力信号からシフトされた)受信機30における電流の位相シフトを表している。変数rmnは、式(10)の振幅にのみ寄与する実数を表し、時間または余弦の位相に左右されない。
【0040】
送信周波数ωが特定のl’、m’、n’キャビティ共振モードにあり、ym’n’=0であり、かつqm’n’=0(つまり、coefmnが実数)の場合、式(11)は次のように簡略化される:
【数20】

1に近い小さなφおよびρm’n’について、式(12)の最後の部分は、復調済み電流
【数21】

の位相シフトが、tによってキャビティのリングダウンタイムにどのように関連付けられているかを示し、式(2)は、以下のように表される式(1)から強度リングダウンタイムを使用して回復することができる:
【数22】

分子のρは、反射器26a、26bが大きく反射している場合に1に設定することができるため、上記式を式(12)に代入することによって式(2)がもたらされる:
【数23】

THz周波数では、フォトミキサ受信機30は、放射の強度のみならず振幅も測定可能な固有の能力を提供することができる。従って、キャビティ共振器26は2つのリングダウンタイムを有することができ、一方は強度のものであり、他方は、強度リングダウンタイムの2倍の振幅のものである。振幅リングダウンタイムτampに関して、式(13)は以下のように表すことができる:
【数24】

ここでm’n’モードが、入力ビームによって励起された唯一のキャビティモードである場合、式(13)の位相の測定は、式(13)で定義されているようなキャビティのリングダウンタイムの測定値を提供することができる。式(11)から式(13)に達するために使用される全条件に鑑みると、式(13)は、より一般的な式(11)の具体的な結果であり、これはまた
【数25】

を強度減衰タイムτに関連付けることが分かる。
【数26】

実装に際して、式(15)は精度の向上に望ましい。このような例では、機器の較正は、式(15)の右側の正接の係数を短い多項式τとして決定することができるが、式(15)を反転させるために処理装置38を必要とすることもできる。式(13)または(15)のいずれを使用するかという選択は、従って、システム分光計10に課される所望の性能要件に基づいてもよい。しかしながら、多くの対象となる場合において、式(15)は式(13)の小さな修正のみを提供することが想定可能である。式(13)の位相が測定可能であることは、余弦波の位相が測定される限り、結果は振幅とはほぼ無関係であることを意味する。
【0041】
復調が縮退横断モードを含む場合、式(10)の和は1つの項だけを含んでいるわけではなく、和の各項はシステムの位相ノイズに付加する位相係数に貢献し得ることに留意されたい。従って、リングダウン測定値の単一キャビティモードを励起することは有用と思われる。単一モードキャビティ励起要件は、ソースビーム空間フィルタリングおよび周波数制御の世話を要求することができる。これらは、例えば、位相ロックループ周波数基準と、ダイオード乗算によるアップコンバートとを含む多様な方法で導出される狭帯域スペクトルソースを使用する、良好に確立されたビーム位置合わせおよびフィルタリング方法によって実行可能である。他方、複数のキャビティモードが励起され、かつ回避するのが望ましい可能性がある2つの方法がある。第1の方法は、単色入力源と、共焦点キャビティ共振器などの縮退キャビティとによるものであり、第2の方法は、線幅が複数のキャビティモードに及ぶ準単色源によるものである。第2の場合、各モードは、異なるモード周波数のソースの入力エネルギーに比例して励起可能である。加えて、受信機30の電流には、ソースの線幅と関連した位相雑音が生じることもある。第1の場合、共焦点キャビティは、m、n指数によって上記ラベリングされた種類の縮退横断モードを生成することがある。この縮退のために、複数の空間モードは縦断モードと同じ周波数を有することがあるため、この選択は、入力プロファイルとのモード形状の重複に左右されることがある。共焦点からキャビティを遠ざけることによって、縮退を除去して、周波数区分によるよりロバストな選択を提供することができる。
【0042】
本発明の例示的実施形態の一態様によると、図2のブロック図で示されているような、処理装置38によって実行される動作は種々の手段によって実行可能である。ブロック図の各ブロックまたは動作、および/またはブロック図のブロックまたは動作の組み合わせは、種々の手段によって実施可能である点が理解されよう。ブロック図のブロックまたは動作、ブロック図のブロックまたは動作の組み合わせ、あるいはここに説明されている本発明の例示的実施形態の他の機能性を実施する手段は、ハードウェア、および/または、1つ以上のコンピュータプログラムコード命令、プログラム命令、または実行可能なコンピュータ読み取り可能なプログラムコード命令を記憶しているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む、コンピュータプログラム製品を含むことができる。この点に関して、プログラムコード命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができ、また処理装置におけるようなプロセッサによって実行することができる。
【0043】
理解されるように、プログラムコード命令は、特定のマシーンを生成するためにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からコンピュータや他のプログラマブル装置(例えば、プロセッサ、メモリなど)にロードすることができ、この特定のマシーンはブロック図の(複数の)ブロックまたは(複数の)動作で特定された動作を実施する手段となる。具体的に機能することによって特定のマシーンや特定の製品を生成するように、コンピュータ、プロセッサまたは他のプログラマブル装置に命令可能なこれらのプログラムコード命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されている命令は製品を生成可能であり、この製品は、ブロック図の(複数の)ブロックまたは(複数の)動作で特定される機能を実施する手段となる。プログラムコード命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体から検索され、コンピュータ、プロセッサまたは他のプログラマブル装置で、またはこれらによって実行される動作を実行するようにコンピュータ、プロセッサまたは他のプログラマブル装置を構成するためにコンピュータ、プロセッサまたは他のプログラマブル装置にロードすることができる。プログラムコード命令の検索、ロードおよび実行は、一度に1つの命令が、検索、ロードおよび実行されるように連続して実行することができる。一部の例示的実施形態においては、検索、ロードおよび/または実行は、複数の命令が一緒に、検索、ロードおよび/または実行されるように平行して実行することができる。プログラムコード命令の実行は、コンピュータ、プロセッサまたは他のプログラマブル装置によって実行される命令が、ブロック図の(複数の)ブロックまたは(複数の)動作で特定される機能を実施する動作を提供するように、コンピュータ実施プロセスを生成可能である。
【0044】
従って、プロセッサによるブロック図のブロックまたは動作と関連した命令の実行、またはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体への、ブロック図のブロックまたは動作と関連した命令の記憶は、特定の機能を実行する動作の組み合わせをサポートする。ブロック図の1つ以上のブロックまたは動作、およびブロック図のブロックまたは動作の組み合わせは、特定の機能、あるいは特殊目的のハードウェアおよびプログラムコード命令の組み合わせを実行する特殊目的のハードウェアベースコンピュータシステムおよび/またはプロセッサによって実施可能である点も理解される。
【0045】
本発明の多数の修正および他の実施形態が、上記説明および関連図面に示されている教示の利点を有する本発明が関する当業者によって考えられよう。従って、本発明は開示されている特定の実施形態に制限されることなく、また修正および他の実施形態も添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される点が理解されるべきである。ここでは特定の用語が用いられているが、これらは一般的な説明目的でのみ使用され、制限する意図はない。
【符号の説明】
【0046】
10 分光計システム
12 送信機
14a、14b レーザー光源
16 ビームコンバイナ/スプリッタ
18 第1の光学経路
20 送信機バイアス変調器
22 電圧源
24 コリメートレンズ24
26 キャビティ共振器
26a、26b 反射器
28 集束レンズ
30 受信機
32 第2の光学経路
34 受信機信号調整回路
36 エイリアス除去フィルタ
38 処理装置
40 アナログ・ディジタル変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティリングダウン分光計であって、
電磁スペクトルのテラヘルツ領域における1つ以上の選択可能な送信周波数の各々で連続波電磁信号を送信するように構成されている送信機と、
変調周波数で前記電磁信号を変調するように構成されている変調器と、
前記変調済み電磁信号を受信して、前記変調済み電磁信号の少なくとも一部を通過させるように構成されているキャビティ共振器であって、前記送信機およびキャビティ共振器が、前記キャビティ共振器の単一共振モードを励起するように構成されているキャビティ共振器と、
前記キャビティ共振器を通過する前記変調済み電磁信号の前記一部を受信するように構成されている受信機と、
を備えるキャビティリングダウン分光計と、
前記受信機によって受信された前記変調済み電磁信号の前記一部の測定値を受信し、前記測定値に基づいて前記変調周波数で前記変調済み電磁信号の位相シフトを決定するように構成されているプロセッサであって、前記位相シフトの関数として前記キャビティ共振器のリングダウンタイムを計算するように構成されているプロセッサと
を備える、システム。
【請求項2】
リングダウンタイムを計算するように構成されている前記プロセッサが、次式、
【数1】

但し、
【数2】

は、前記単一共振モードm’n’の前記変調周波数の前記位相シフトを表し、ωmdは前記変調周波数を表す、
に従って強度リングダウンタイムτを計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
リングダウンタイムを計算するように構成されている前記プロセッサが、次式、
【数3】

但し、
【数4】

は前記単一共振モードm’n’の前記変調周波数の前記位相シフトを表し、ωmdは前記変調周波数を表す、
に従って振幅リングダウンタイムτampを計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記キャビティ共振器がサンプルを収容するように構成され、
前記プロセッサが、前記リングダウンタイムおよび送信周波数の関数として前記サンプル媒体の吸収シグネチャを決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記送信機がフォトミキサ送信機を備え、前記受信機がフォトミキサ受信機を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記送信機がテラヘルツまたはミリ波送信機を備え、前記受信機がテラヘルツまたはミリ波受信機を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
電磁スペクトルのテラヘルツ領域における1つ以上の選択可能な送信周波数の各々で連続波電磁信号を送信するステップであって、前記電磁信号がキャビティリングダウン分光計の送信機から送信されるステップと、
変調周波数で前記電磁信号を変調するステップと、
前記変調済み電磁信号の少なくとも一部をキャビティ共振器に通過させるステップであって、前記送信機およびキャビティ共振器が前記キャビティ共振器の単一共振モードを励起するように構成されているステップと、
前記キャビティ共振器を通過する前記変調済み電磁信号の前記一部の測定値を受信するステップと、
前記測定値に基づいて前記変調周波数における前記変調済み電磁信号の位相シフトを決定するステップと、
前記位相シフトの関数として前記キャビティ共振器のリングダウンタイムを計算するステップと
を備える、方法。
【請求項8】
リングダウンタイムを計算するステップが、次式、
【数5】

但し、
【数6】

は、前記単一共振モードm’n’の前記変調周波数の前記位相シフトを表し、ωmdは前記変調周波数を表す、
に従って強度リングダウンタイムτを計算することを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
リングダウンタイムを計算するステップが、次式、
【数7】

但し、
【数8】

は、前記単一共振モードm’n’の前記変調周波数の前記位相シフトを表し、ωmdは前記変調周波数を表す、
に従って振幅リングダウンタイムτampを計算することを備える、請求項7に記載の方法:
【請求項10】
前記キャビティ共振器がサンプルを収容し、
前記方法がさらに、前記リングダウンタイムおよび送信周波数の関数として前記サンプル媒体の吸収シグネチャを決定するステップを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
連続波電磁信号を送信するステップが、フォトミキサ送信機から連続波電磁信号を送信することを備え、測定値を受信するステップが、フォトミキサ受信機から測定値を受信することを備えている、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
連続波電磁信号を送信するステップが、テラヘルツまたはミリ波送信機から連続波電磁信号を送信することを備え、測定値を受信するステップが、テラヘルツまたはミリ波受信機から測定値を受信することを備えている、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
コンピュータ読み取り可能なプログラムコード部分を記憶しているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ読み取り可能なプログラムコード部分が、
測定値を受信するように構成されている第1の実行部分であって、前記測定値は分光計システムから受信され、前記分光計システムは、
電磁スペクトルのテラヘルツ領域における1つ以上の選択可能な送信周波数の各々で連続波電磁信号を送信することであって、前記電磁信号がキャビティリングダウン分光計の送信機から送信され、
変調周波数で前記電磁信号を変調し、
前記変調済み電磁信号の少なくとも一部をキャビティ共振器に通過させることであって、前記送信機およびキャビティ共振器は前記キャビティ共振器の単一共振モードを励起するように構成され、前記測定値が、前記キャビティ共振器を通過する前記変調済み電磁信号の前記一部の測定値を備えていることと、を実行する
ように構成されている、第1の実行部分と、
前記測定値に基づいて前記変調周波数の前記変調済み電磁信号の位相シフトを決定するように構成されている第2の実行部分と、
前記位相シフトの関数として前記キャビティ共振器のリングダウンタイムを計算するように構成されている第3の実行部分と
を備える、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
リングダウンタイムを計算するように構成されている前記第3の実行部分が、次式、
【数9】

但し、
【数10】

は、前記単一共振モードm’n’の前記変調周波数の前記位相シフトを表し、ωmdは前記変調周波数を表す、
に従って強度リングタウンタイムτを計算するように構成されている、請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項15】
リングダウンタイムを計算するように構成されている前記第3の実行部分が、次式、
【数11】

但し、
【数12】

は前記単一共振モードm’n’の前記変調周波数の前記位相シフトを表し、ωmdは前記変調周波数を表す、
に従って振幅リングダウンタイムτampを計算するように構成されている、請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項16】
前記キャビティ共振器がサンプルを収容し、
前記コンピュータ読み取り可能なプログラムコード部分は、さらに、前記リングダウンタイムおよび送信周波数の関数として前記サンプル媒体の吸収シグネチャを決定するように構成されている第4の実行部分を備える、請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項17】
連続波電磁信号を送信するように構成されている前記分光計システムが、フォトミキサ送信機から連続波電磁信号を送信するように構成され、測定値を受信するように構成されている前記分光計システムが、フォトミキサ受信機から測定値を受信するように構成されている、請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項18】
連続波電磁信号を送信するように構成されている前記分光計システムは、テラヘルツまたはミリ波送信機から連続波電磁信号を送信するように構成され、測定値を受信するように構成されている前記分光計システムが、テラヘルツまたはミリ波受信機から測定値を受信するように構成されている、請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−203254(P2011−203254A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−66154(P2011−66154)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(501348092)グッドリッチ コーポレイション (17)
【Fターム(参考)】