説明

分割地図画像生成装置、地図サーバ、プログラム及びデータ構造

【課題】小さい情報量の分割地図画像が大量に生成されることを防ぐと共に、インデックスの増加も防ぎ、地図サーバの管理コストを低減させることができる分割地図画像生成装置、地図サーバ、プログラム及びデータ構造を提供する。
【解決手段】地図画像は、表示する場所に応じて情報量が異なっており、タイル状に並べることができるような矩形状の分割地図画像であって、且つ、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように大きさが異なる分割地図画像を生成する分割地図画像生成手段を有する。分割地図画像生成手段は、地図画像を一定領域に分割する地図画像分割手段と、分割地図画像の情報量が所定閾値以下か否かを判定する情報量判定手段と、所定閾値以下である場合、その分割地図画像を蓄積し、所定閾値よりも大きい場合、その分割地図画像について地図画像分割手段及び情報量判定手段を再帰的に繰り返す制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末へ送信すべき分割地図画像を生成する分割地図画像生成装置、地図サーバ、プログラム及びデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等の広域ネットワークには、地図サーバが接続されており、地図サーバは、背景地図や対象物が描画された地図画像を蓄積している。端末は、地図サーバから地図画像を受信し、ディスプレイに表示することができる。特に、近年では、携帯電話機や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)のような低処理能力で且つメモリ容量の小さい端末が、地図サーバから地図画像を受信し且つディスプレイに表示する場合も多い。
【0003】
通常、地図サーバは、一定の規則に基づいて地図画像を分割して蓄積している。分割地図画像は、タイル状(メッシュ状)に並べることができる一定領域の矩形状に分割したものである。分割地図画像には、インデックス(識別子)が付与されている。地図サーバは、分割地図画像のインデックスを管理することによって、分割地図画像同士の間の位置関係を管理することができる。国土交通省は、分割地図画像のメッシュデータにおける識別子(国土数値情報)を開示している(例えば非特許文献1参照)。ここでは、例えば、1次メッシュ、2次メッシュ、3次メッシュ及び1/10細分メッシュが規定されている。
【0004】
また、XMLに基づく2Dベクタ画像記述言語として、2001年9月W3C勧告として公開されたSVG(Scalable Vector Graphics)がある(例えば非特許文献2参照)。SVGは、画像を、点(ドット)の集合ではなく、線や多角形などの図形(オブジェクト)の集合として扱う。そのために、利用者が見る端末の機種又は性能に応じて、最適な表示が可能となる。一般に、SVGを含む画像データ形式では、画像データ自体に加え、ヘッダ・フッタデータが付加される。
【0005】
図1は、従来技術における分割地図画像である。
【0006】
図1によれば、日本全体を表示する1枚の地図画像が、64×64=4096枚の分割地図画像によって表されている。これら分割地図画像は、1枚の地図画像を、緯度経度によって一定領域に等分割したものである。また、分割地図画像毎に、一定の情報量のインデックスが必ず付与され、地図サーバは、それらインデックスを管理する。地図サーバは、端末から閲覧範囲を含むリクエストを受信した際に、その閲覧範囲に含まれるインデックスを検索し、それらインデックスに対応する分割地図画像を、端末へ返信する。
【0007】
【特許文献1】特開2005−092321号公報
【非特許文献1】国土数値情報、「メッシュデータについて」、[online]、[平成19年8月17日検索]、インターネット<URL:http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/mesh.html>
【非特許文献2】「Scalable Vector Graphics(SVG) 1.1 Specification」、[online]、平成19年8月17日検索、インターネット<URL:http://www.w3.org/TR/SVG11>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術によれば、分割地図画像は、緯度経度で一定領域に等分割したものであって、分割地図画像1枚毎の情報量は、全て同じではない。即ち、分割地図画像の表示範囲は同一であっても、表示している場所によっては、その分割地図画像の情報量は異なる。例えば、図1のような日本地図について、瀬戸内海のように小さな島が密集している場所では、海岸線に関する情報量が大きくなり、東京のような都市部では、鉄道に関する情報量が大きくなる。
【0009】
図1のように細かく地図画像を分割しなければならない1つの理由として、端末が一時的に記憶することができるメモリの容量が小さいことに関係がある。例えば、携帯電話機のような端末は、パーソナルコンピュータと比較して、少ないメモリ容量しか搭載していない。パーソナルコンピュータの場合、例えば2000Kバイト程度の1枚の地図画像を記憶し且つ表示できるのに対し、携帯電話機の場合、例えば100Kバイト程度の1枚の地図画像しか記憶し且つ表示することができない。即ち、全ての分割地図画像が、その携帯電話機のメモリ容量以下の情報量に分割される必要がある。
【0010】
地図画像は、表示する場所に応じて情報量が異なっているために、最も情報量が多い場所に基づいて、その部分の分割地図画像が100Kバイト(所定閾値)以下となるように分割しなければならない。1枚の分割地図画像の情報量を小さくしようとすると、分割地図画像の表示範囲を狭くしなければならない。例えば、図1の地図画像における海上領域は、情報をほとんど含まない大量の分割地図画像が生成されることとなる。結局、1枚の地図画像に対する分割地図画像の数が増加する。分割地図画像の数の増加に伴って、分割画像を管理するための、地図サーバが管理するインデックスの数が増加し、更に個々の分割地図画像のヘッダ・フッタ数も増加する。
【0011】
そこで、本発明は、小さい情報量の分割地図画像が大量に生成されることを防ぐと共に、インデックスの増加も防ぎ、地図サーバの管理コストを低減させることができる分割地図画像生成装置、地図サーバ、プログラム及びデータ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、1つの地図画像を複数の分割地図画像に分割する分割地図画像生成装置であって、
地図画像は、表示する場所に応じて情報量が異なっており、
タイル状に並べることができるような矩形状の分割地図画像であって、且つ、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように大きさが異なる分割地図画像を生成する分割地図画像生成手段を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の分割地図画像生成装置における他の実施形態によれば、分割地図画像生成手段は、
分割地図画像を蓄積する分割地図画像蓄積手段と、
地図画像を、タイル状に並べることができるような矩形状であって一定領域に分割する地図画像分割手段と、
分割地図画像毎に、その情報量が所定閾値以下であるか否かを判定する情報量判定手段と、
分割地図画像毎に、情報量が所定閾値以下である場合、その分割地図画像を分割地図画像蓄積手段に蓄積し、情報量が所定閾値よりも大きい場合、その分割地図画像について更に、地図画像分割手段及び情報量判定手段を再帰的に繰り返すように制御する制御手段と
を有することも好ましい。
【0014】
本発明の分割地図画像生成装置における他の実施形態によれば、制御手段は、第1の分割地図画像の情報量と、第1の分割地図画像に隣接する第2の分割地図画像の情報量との和が所定閾値以下である場合、第1の分割地図画像と第2の分割地図画像とを並べた1つの分割地図画像を、分割地図画像蓄積手段に蓄積することも好ましい。
【0015】
本発明によれば、地図サーバであって、
前述した分割地図画像生成装置と、
閲覧範囲を含むリクエストを受信するリクエスト受信手段と、
閲覧範囲に基づいて、分割地図画像を選択する分割地図画像選択手段と、
選択された分割地図画像を含むレスポンスを返信するレスポンス送信手段と
を有することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、前述の地図サーバと、リクエストを送信し且つレスポンスを受信する端末とを有するシステムであって、
所定閾値は、端末のメモリが分割地図画像を一度に蓄積可能な容量以下であることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、1つの地図画像を複数の分割地図画像に分割するようにコンピュータを機能させる分割地図画像生成プログラムであって、
地図画像は、表示する場所に応じて情報量が異なっており、
タイル状に並べることができるような矩形状の分割地図画像であって、且つ、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように大きさが異なる分割地図画像を生成する分割地図画像生成手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0018】
本発明の分割地図画像生成プログラムにおける他の実施形態によれば、分割地図画像生成手段は、
分割地図画像を蓄積する分割地図画像蓄積手段と、
地図画像を、タイル状に並べることができるような矩形状であって一定領域に分割する地図画像分割手段と、
分割地図画像毎に、その情報量が所定閾値以下であるか否かを判定する情報量判定手段と、
分割地図画像毎に、情報量が所定閾値以下である場合、その分割地図画像を分割地図画像蓄積手段に蓄積し、情報量が所定閾値よりも大きい場合、その分割地図画像について更に、地図画像分割手段及び情報量判定手段を再帰的に繰り返すように制御する制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0019】
本発明の分割地図画像生成プログラムにおける他の実施形態によれば、制御手段は、第1の分割地図画像の情報量と、第1の分割地図画像に隣接する第2の分割地図画像の情報量との和が所定閾値以下である場合、第1の分割地図画像と第2の分割地図画像とを並べた1つの分割地図画像を、分割地図画像蓄積手段に蓄積するようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0020】
本発明によれば、1つの地図画像から分割された複数の分割地図画像を蓄積した分割地図画像蓄積手段を有する地図サーバと、該地図サーバから受信した分割地図画像を一時的に蓄積するメモリ手段を有する端末とが、ネットワークを介して接続されたシステムにおける分割地図画像のデータ構造であって、
地図画像は、表示する場所に応じて情報量が異なっており、
分割地図画像は、タイル状に並べることができるような矩形状であって、且つ、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように、分割地図画像の大きさが異なっていることを特徴とする。
【0021】
本発明の分割地図画像のデータ構造における他の実施形態によれば、所定閾値は、端末のメモリ手段が分割地図画像を一度に蓄積可能な容量以下であることも好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の分割地図画像生成装置、地図サーバ、プログラム及びデータ構造によれば、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように大きさが異なる分割地図画像を生成するために、小さい情報量の分割地図画像が大量に生成されることを防ぐと共に、インデックスの増加も防ぎ、地図サーバの管理コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0024】
図2は、本発明における地図サーバの機能構成図である。
【0025】
図2によれば、携帯電話機2は、インターネット及び携帯電話網を介して、閲覧範囲を含むリクエストを、地図サーバ1へ送信する。地図サーバ1は、そのリクエストに含まれる閲覧範囲に応じて、複数の分割地図画像を含むレスポンスを、携帯電話機2へ返信する。尚、レスポンスは、複数の分割地図画像の存在場所を表すインデックスのみを含むものであってもよい。
【0026】
地図サーバ1は、分割地図画像生成部10と、リクエスト受信部11と、分割地図画像選択部12と、レスポンス送信部13とを有する。これら機能構成部は、地図サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現できる。
【0027】
分割地図画像生成部10は、タイル状に並べることができるような矩形状の分割地図画像であって、且つ、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように大きさが異なる分割地図画像を生成する。分割地図画像生成部10の機能は、分割地図画像生成装置として構成されてもよいし、地図サーバ1に含まれるものであってもよい。
【0028】
分割地図画像生成部10は、地図画像分割部101と、情報量判定部102と、制御部103と、分割地図画像蓄積部104と、インデックス蓄積部105とを有する。これら機能構成部も、分割地図画像生成装置又は地図サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現できる。
【0029】
分割地図画像蓄積部104は、制御部103から出力された分割地図画像を蓄積する。
【0030】
インデックス蓄積部105は、制御部103から出力されたインデックスを蓄積する。そのインデックスは、分割地図画像蓄積部104に蓄積された分割地図画像毎に管理される。
【0031】
インデックスは、閲覧範囲画像座標及びCRSパラメータと、選定された分割地図画像識別子とを含む。インデックスは、SVGによって記述されており、SVG1.1 Specificationによれば、閲覧範囲画像座標は、svg要素の中のviewBoxとして定義される。CRSパラメータは、crs要素の中のtransformに記述される。分割地図画像識別子は、地図サーバのURL(Uniform Resource Locator)として記述される。
【0032】
地図画像分割部101は、地図画像を、タイル状に並べることができるような矩形状であって一定領域に分割する。ベクタ図形から構成された地図画像である場合、その分割には、既存のクリッピングアルゴリズムを用いることができる。ラスタ画像から構成された地図画像である場合もまた、既存の画像処理技術を用いることができる。本発明に基づく地図画像の分割は、少なくとも2分割以上であって、縦横が等分でも不等分でもよい。但し、タイル状に並べることができる必要がある。例えば、1枚の地図画像を縦横2分割で1/4に等分割する。
【0033】
情報量判定部102は、分割地図画像毎に、その情報量が所定閾値以下であるか否かを判定する。所定閾値は、1枚の分割地図画像の最大情報量を表す。
【0034】
制御部103は、分割地図画像毎に、情報量が所定閾値以下である場合、その分割地図画像を分割地図画像蓄積部104に蓄積し、その情報量が所定閾値よりも大きい場合、その分割地図画像について更に、地図画像分割部101及び情報量判定部102を再帰的に繰り返すように制御する。
【0035】
ここで、制御部103は、第1の分割地図画像の情報量と、第1の分割地図画像に隣接する第2の分割地図画像の情報量との和が所定閾値以下である場合、第1の分割地図画像と第2の分割地図画像とを並べた1つの分割地図画像を、分割地図画像蓄積部104に蓄積する。1枚の分割地図画像の情報量を、所定閾値以下であって、なるべく大きくなるようにすることができる。できる限り、1枚の分割地図画像の情報量をほぼ同じ量にする。
【0036】
所定閾値は、端末のメモリが分割地図画像を一度に蓄積可能な容量以下となるように設定する。即ち、地図サーバと、リクエストを送信し且つレスポンスを受信する端末とを有するシステムについて、端末のメモリの容量を考慮する。特に、端末が、携帯電話機のようにメモリ容量が小さい場合に特に、本発明は有効である。
【0037】
リクエスト受信部11は、閲覧範囲を含むリクエストを、携帯電話機2から受信する。閲覧範囲は、利用者によって操作されたものであって、例えば、中心点となる緯度経度座標と、その半径距離とによって表される。
【0038】
分割地図画像選択部12は、その閲覧範囲を表示するために必要な1つ以上の分割地図画像のインデックスを選択する。選択されたインデックスについて、分割地図画像蓄積部104から、複数の分割地図画像を選択する。
【0039】
レスポンス送信部13は、分割地図画像蓄積部104から取得された複数の分割地図画像自体を、インデックスと共に、携帯電話機2へ送信する。
【0040】
図3は、本発明における第1の分割地図画像の表示図である。
【0041】
図3によれば、図1に表された1枚の日本地図を、1/4に等分割している。ここで、分割地図画像3については、ほとんど海上領域しか表していない。この分割地図画像3の情報量が、所定閾値(例えば100Kバイト)以下である場合、分割地図画像3を分割地図画像蓄積部104に蓄積する。また、分割地図画像3のインデックスをインデックス蓄積部105に蓄積する。
【0042】
各分割地図画像には、その位置に応じて、左上から時計回り順に、識別番号が付与される。また、その識別番号は、大きい分割地図画像から順に、階層的に付与される。勿論、各分割地図画像の四辺を示す座標値を、管理情報として直接的に蓄積しているものであってもよい。
【0043】
本発明によれば、分割地図画像3のように広い領域で且つ小さい情報量の分割地図画像は、そのまま1枚の分割地図画像として管理する。図1のような従来技術によれば、例えば、図3の分割地図画像3の領域は、4096枚/4=1024枚の分割地図画像で管理されていたこととなる。
【0044】
図4は、本発明における第2の分割地図画像の表示図である。
【0045】
図4によれば、所定閾値よりも大きい分割地図画像1、2及び4をそれぞれ、更に1/4に等分割する。ここで、分割地図画像1−1〜4、2−1〜4、4−1〜4の各々について、その情報量が所定閾値以下であるか否かを判定する。その情報量が所定閾値以下である分割地図画像1−1〜2、2−2〜3、4−2〜4は、分割地図画像蓄積部104に蓄積する。また、それらのインデックスをインデックス蓄積部105に蓄積する。
【0046】
図5は、本発明における第3の分割地図画像の表示図である。
【0047】
図5によれば、所定閾値よりも大きい分割地図画像1−3、1−4、2−1、2−4、4−1をそれぞれ、更に1/4に等分割する。ここで、分割地図画像1−3−1〜4、1−4−1〜4、2−1−1〜4、2−4−1〜4、4−1−1〜4の各々について、その情報量が所定閾値以下であるか否かを判定する。その情報量が所定閾値以下である分割地図画像1−3−1〜2、1−4−1〜2、1−4−4,2−1−1〜3、2−4−2〜3、4−1−1、4−1−3〜4は、分割地図画像蓄積部104に蓄積する。また、それらのインデックスをインデックス蓄積部105に蓄積する。
【0048】
図6は、本発明における第4の分割地図画像の表示図である。
【0049】
図6によれば、所定閾値よりも大きい分割地図画像1−3−3〜4、1−4−3、2−1−4、2−4−1、2−4−4、4−1−2をそれぞれ、更に1/4に等分割する。ここで、分割地図画像の各々について、その情報量が所定閾値以下であるか否かを判定する。その情報量が所定閾値以下である分割地図画像は、分割地図画像蓄積部104に蓄積する。また、それらのインデックスをインデックス蓄積部105に蓄積する。
【0050】
図7は、本発明における第5の分割地図画像の表示図である。
【0051】
図7によれば、所定閾値よりも大きい分割地図画像1−3−3−4、1−3−4−3、1−3−4−4、1−4−3−3、4−1−2−2をそれぞれ、更に1/4に等分割する。ここで、分割地図画像の各々について、その情報量が所定閾値以下であるか否かを判定する。その情報量が所定閾値以下である分割地図画像は、分割地図画像蓄積部104に蓄積する。また、それらのインデックスをインデックス蓄積部105に蓄積する。
【0052】
このように処理を再帰的に行い、最終的には、全ての分割地図画像が、所定閾値以下の情報となった場合に、処理を終了する。
【0053】
図8は、本発明における階層的な分割地図画像の数である。
【0054】
図3〜7における最終的な結果は、図8のように表される。図8によれば、大きい範囲の分割地図画像から順に、各分割地図画像に、階層的なレベル(レベル1〜6)で、識別番号が付与されている。即ち、レベルが高いほど(例えばレベル1)、1枚の分割地図画像の領域範囲が広く、レベルが低いほど(例えばレベル6)、1枚の分割地図画像の領域範囲が狭くなる。ここで特徴的な点として、分割地図画像は、タイル状に並べることができるような矩形状であって、且つ、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように、分割地図画像の領域の大きさが異なっている。
【0055】
図1のような従来技術によれば、例えば元のデータのサイズ1.3MバイトのSVG形式データを所定の閾値(例えば100Kバイト)以下に抑えるには、例えば4096枚の分割地図画像を管理する必要があるのに対し、図8のような本発明によれば、わずか67枚の分割地図画像を管理するだけである。この67枚の分割地図画像は全て、所定閾値(例えば100Kバイト)以下の情報量を有する。
【0056】
また、従来技術による4096枚の分割地図画像のためのインデックスデータをSVG形式で蓄積するには、例えば360Kバイト必要であるのに対し、図8のような本発明によれば、わずか20Kバイトとなる。
【0057】
そして、従来技術による4096枚の分割地図画像をたとえばSVG形式で生成すると、ヘッダ・フッタデータの増加が効いて、合計サイズは4Mバイトに増加してしまうのに対し、図8のような本発明によれば、合計サイズ1.4Mバイトに抑えることができる。しかも、これをWindows(登録商標)NTFSファイルシステムに蓄積するには、ファイルシステムの最小管理サイズが例えば4Kバイトであり、これにファイル数を掛け合わせた記憶領域が管理に必要となる。先の4096枚のファイルは、少なくとも16Mバイト程度の領域を必要としてしまう。
【0058】
更に、情報量との和が所定閾値以下である場合、隣接する分割地図画像同士を並べて1つの分割地図画像とする、分割地図画像生成装置における他の実施形態によれば、例えば先の67枚の分割地図画像を、同じ所定の閾値(例えば100Kバイト)のもとで、32枚の分割地図画像にまで減じることができる。
【0059】
地図画像の左上座標(0、0)及び右下座標(32、32)とすると、各分割地図画像の左上座標(X、Y)は、以下のような式で算出できる。
階層レベル1:N1
階層レベル2:N2
階層レベル3:N3
階層レベル4:N4
・・・
階層レベルn:Nn
Nn=1の場合、Xn=0、Yn=0
Nn=2の場合、Xn=1、Yn=0
Nn=3の場合、Xn=1、Yn=1
Nn=4の場合、Xn=0、Yn=1
X=Σ32(Xn/2^n)
Y=Σ32(Yn/2^n)
【0060】
図9は、本発明における地図サーバと端末との間のシーケンス図である。
【0061】
前述では、1つの地図画像リクエストに対して、1つの地図画像レスポンスを返信し、この地図画像レスポンスに複数の分割地図画像が含まれる場合について説明した。図9によれば、インデックスリクエストと地図画像リクエストとに分けた、具体的なシーケンスが説明されている。
【0062】
(S901)端末2は、地図サーバ1へ、インデックスリクエストを送信する。このリクエストには、閲覧範囲を含む。
【0063】
(S902)地図サーバ1は、端末2へ、インデックスレスポンスを返信する。このインデックスレスポンスには、閲覧範囲によって選択された複数の分割地図画像のインデックスが含まれる。
【0064】
地図サーバ1は、端末2から、例えば図1のような日本地図全体の地図画像を要求されたとする。この場合、地図サーバ1は、以下のようなインデックスを端末2へ送信する。
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<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg">
<svg>
<metadata>
rdf:RDF xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
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<crs:CoordinateReferenceSystem rdf:resource="http://pur1.org/crs/84"
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</rdf:RDF>
</metadata>

<image x="0" y="0"width="160" height="160"xlink:href="1-1.svg"/>
<image x="160"y="0" width="160" height="160"xlink:href="1-2.svg"/>
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<image x="240"y="160" width="80" height="80"xlink:href="1-3-2.svg"/>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
</svg>
【0065】
図1のような従来技術によれば、例えば4096個のimageタグが含まれるのに対し、図8のような本発明によれば、わずか67個のimageタグを含むだけである。
【0066】
(S903)端末2は、地図サーバ1へ、地図画像リクエストを送信する。ここで、端末2は、インデックスレスポンスに含まれるimageタグの個数の分割地図画像を取得しなければならない。従来技術によれば、例えば4096個の分割地図画像を取得するために地図サーバへアクセスしなければならないのに対し、本発明によれば、例えば67個の分割地図画像を取得するために地図サーバへアクセスするだけである。
【0067】
(S904)地図サーバ1は、地図画像レスポンスを送信する。1つの地図画像リクエストに対して、1つの地図画像レスポンスが返信される。従って、imageタグの個数の分割地図画像レスポンスが、地図サーバ1から端末2へ返信される。
【0068】
このように、インデックスの増加を防ぐことによって、インデックスの管理コストを低減させるだけでなく、地図サーバと端末との間の通信コストも低減させることができる。
【0069】
以上、詳細に説明したように、本発明の分割地図画像生成装置、地図サーバ、プログラム及びデータ構造によれば、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように大きさが異なる分割地図画像を生成するために、小さい情報量の分割地図画像が大量に生成されることを防ぐと共に、インデックスの増加も防ぎ、地図サーバの管理コストを低減させることができる。
【0070】
前述した本発明における種々の実施形態によれば、当業者は、本発明の技術思想及び見地の範囲における種々の変更、修正及び省略を容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】従来技術における分割地図画像である。
【図2】本発明における地図サーバの機能構成図である。
【図3】本発明における第1の分割地図画像の表示図である。
【図4】本発明における第2の分割地図画像の表示図である。
【図5】本発明における第3の分割地図画像の表示図である。
【図6】本発明における第4の分割地図画像の表示図である。
【図7】本発明における第5の分割地図画像の表示図である。
【図8】本発明における階層的な分割地図画像の数である。
【図9】本発明における地図サーバと端末との間のシーケンス図である。
【符号の説明】
【0072】
1 地図サーバ
10 分割地図画像生成部
101 地図画像分割部
102 情報量判定部
103 制御部
104 分割地図画像蓄積部
105 インデックス蓄積部
11 リクエスト受信部
12 分割地図画像選択部
13 レスポンス送信部
2 携帯電話機、端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの地図画像を複数の分割地図画像に分割する分割地図画像生成装置であって、
前記地図画像は、表示する場所に応じて情報量が異なっており、
タイル状に並べることができるような矩形状の分割地図画像であって、且つ、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように大きさが異なる前記分割地図画像を生成する分割地図画像生成手段を有することを特徴とする分割地図画像生成装置。
【請求項2】
前記分割地図画像生成手段は、
前記分割地図画像を蓄積する分割地図画像蓄積手段と、
前記地図画像を、タイル状に並べることができるような矩形状であって一定領域に分割する地図画像分割手段と、
分割地図画像毎に、その情報量が所定閾値以下であるか否かを判定する情報量判定手段と、
前記分割地図画像毎に、前記情報量が所定閾値以下である場合、当該分割地図画像を前記分割地図画像蓄積手段に蓄積し、前記情報量が所定閾値よりも大きい場合、当該分割地図画像について更に、前記地図画像分割手段及び前記情報量判定手段を再帰的に繰り返すように制御する制御手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の分割地図画像生成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、第1の分割地図画像の情報量と、第1の分割地図画像に隣接する第2の分割地図画像の情報量との和が前記所定閾値以下である場合、第1の分割地図画像と第2の分割地図画像とを並べた1つの分割地図画像を、前記分割地図画像蓄積手段に蓄積することを特徴とする請求項2に記載の分割地図画像生成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の分割地図画像生成装置と、
閲覧範囲を含むリクエストを受信するリクエスト受信手段と、
前記閲覧範囲に基づいて、前記分割地図画像を選択する分割地図画像選択手段と、
選択された前記分割地図画像を含むレスポンスを返信するレスポンス送信手段と
を有することを特徴とする地図サーバ。
【請求項5】
請求項4に記載の地図サーバと、前記リクエストを送信し且つ前記レスポンスを受信する端末とを有するシステムであって、
前記所定閾値は、前記端末のメモリが前記分割地図画像を一度に蓄積可能な容量以下であることを特徴とするシステム。
【請求項6】
1つの地図画像を複数の分割地図画像に分割するようにコンピュータを機能させる分割地図画像生成プログラムであって、
前記地図画像は、表示する場所に応じて情報量が異なっており、
タイル状に並べることができるような矩形状の分割地図画像であって、且つ、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように大きさが異なる前記分割地図画像を生成する分割地図画像生成手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする分割地図画像生成プログラム。
【請求項7】
前記分割地図画像生成手段は、
前記分割地図画像を蓄積する分割地図画像蓄積手段と、
前記地図画像を、タイル状に並べることができるような矩形状であって一定領域に分割する地図画像分割手段と、
分割地図画像毎に、その情報量が所定閾値以下であるか否かを判定する情報量判定手段と、
前記分割地図画像毎に、前記情報量が所定閾値以下である場合、当該分割地図画像を前記分割地図画像蓄積手段に蓄積し、前記情報量が所定閾値よりも大きい場合、当該分割地図画像について更に、前記地図画像分割手段及び前記情報量判定手段を再帰的に繰り返すように制御する制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする請求項6に記載の分割地図画像生成プログラム。
【請求項8】
前記制御手段は、第1の分割地図画像の情報量と、第1の分割地図画像に隣接する第2の分割地図画像の情報量との和が前記所定閾値以下である場合、第1の分割地図画像と第2の分割地図画像とを並べた1つの分割地図画像を、前記分割地図画像蓄積手段に蓄積するようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項7に記載の分割地図画像生成プログラム。
【請求項9】
1つの地図画像から分割された複数の分割地図画像を蓄積した分割地図画像蓄積手段を有する地図サーバと、該地図サーバから受信した前記分割地図画像を一時的に蓄積するメモリ手段を有する端末とが、ネットワークを介して接続されたシステムにおける前記分割地図画像のデータ構造であって、
前記地図画像は、表示する場所に応じて情報量が異なっており、
前記分割地図画像は、タイル状に並べることができるような矩形状であって、且つ、全ての分割地図画像がほぼ同じ情報量となるように、前記分割地図画像の大きさが異なっていることを特徴とする分割地図画像のデータ構造。
【請求項10】
前記所定閾値は、前記端末のメモリ手段が前記分割地図画像を一度に蓄積可能な容量以下であることを特徴とする請求項9に記載の分割地図画像のデータ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−58861(P2009−58861A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227461(P2007−227461)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】