説明

分割式振動遮断装置及びその応用

【解決手段】支持ブロックと持ち上げブロックとが配置された連結スリーブと、スプリング振動遮断機と、を備える分割式振動遮断装置であって、連結スリーブは上スリーブと下スリーブからなり、上スリーブと下スリーブの間に分割可能な連結構造が採用され、持ち上げブロックは上スリーブに配置され、支持ブロックは下スリーブに配置されることを特徴とする分割式振動遮断装置を提供する。また、この分割式振動遮断装置の持ち上げにより実装方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動及び騒音制御分野に属し、特に軌道車両の運行中に発生する振動及び騒音による悪影響、又は建物部材及び設備の基礎の振動を減少できる振動遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の軌道交通構造において、車両が運行する際に、大きな振動と騒音が発生し、周りの建物及び設備に影響を与えるとともに、人に危害を加えることもある。したがって、人口及び建物が相対的に集中している市街地にとって、軌道交通による振動・騒音の減少は特に重要な課題となる。現在、それぞれの減振措置の介入節点により、減振措置は、軌道下の振動遮断と、枕木下の振動遮断と、路床下の振動遮断との3つの種類に分けられる。振動遮断原理と構造動力学によると、振動遮断システムの振動関与質量と弾性素子の弾性が大きければ大きいほど、振動遮断の効果がよくなる。軌道の構造によると、振動遮断措置の介入節点がレールから遠く離れれば離れるほど、弾性と振動関与質量を大きくすることができ、固有周波数と振動遮断の範囲を小さくすることができ、振動遮断の効果がよくなる。しかし、強度と質量について、異なる節点では所定の客観的な制限範囲があり、任意に拡大又は縮小することができない。例えば、軌道下で、間隔板の弾性を任意に増大させると、レールは変形し、その変位も大きすぎであるため、運行の安全性を影響することになる。したがって、振動遮断に対する要求が10デシベル以上である場合、通常、路床下で振動遮断の措置を取らないとその要求を満たすことができない。特許文献1により内蔵式振動遮断装置が開示され、当該振動遮断装置の連結スリーブが浮遊板の中に配置され、連結スリーブの高さと浮遊板の厚さとは同じである。持ち上げる必要があるため、連結スリーブの内壁に、持ち上げブロックと支持ブロックとが間隔をおいて配置される。持ち上げブロックと支持ブロックの間に、持ち上げ道具を収容するスペースが作られるため、通常、連結スリーブの高さは高くなる。しかし、実際の応用において、スペース、コスト及び環境等諸要素の制限により、浮遊板のために作ったスペースでは大きな連結スリーブを収容できないことが多いため、浮遊板を採用することは不可能である。一方、工程設計において、浮遊板の高さは通常遅く確定されるものであり、浮遊板の厚さによって連結スリーブの高さとサイズがそれぞれであり、在庫式生産が実現できなく、納品までの所要時間は長くなる。特に、施工中に設計変更がある場合、その変更に対応する周期が長いため、施工の進展に影響を与えやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許2004100354411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記問題点を克服し、持ち上げるための実装スペースのサイズを容易に変更でき、又は持ち上げるための実装スペースを予め用意する必要がなく、在庫式生産によって速く納品でき、より大きい高さの範囲内で厚さが異なる浮遊板、建物の床、或いは設備の基礎に適用できる分割式振動遮断装置及びその応用を提供することにある。
【0005】
本発明のもう一つの目的は、分割式振動遮断装置の持ち上げによる実装方法を提供することである。
【0006】
本発明は、分割式振動遮断装置の持ち上げ道具を提供する目的を更に有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る分割式振動遮断装置は、支持ブロックと持ち上げブロックとが配置された連結スリーブと、スプリング振動遮断機と、を備える分割式振動遮断装置であって、連結スリーブは上スリーブと下スリーブからなり、上スリーブと下スリーブの間に分割可能の連結構造が採用され、持ち上げブロックは上スリーブに配置され、支持ブロックは下スリーブに配置されることにより実現される。
【0008】
上スリーブと下スリーブとの間の分割可能な連結として、様々な連結手段が採用できる。例えば、上スリーブと下スリーブにそれぞれ連結フレンジ又は連結耳板を配置し、軸方向にあるボルト、ピン、又はフェルールを介して上スリーブと下スリーブを連結させてもよい。また、上スリーブと下スリーブの側壁にピン穴、螺子穴又はチェーンを対応できるように配置し、目釘又はボルトを介して上スリーブと下スリーブを連結させてもよい。あるいは、上スリーブと下スリーブの側壁にピンを対応できるように配置し、ピンにかけられたチェーンファスナーを介して相互に連結させてもよい。また、上スリーブと下スリーブの側壁に径方向にある耳板を配置し、この耳板に接線方向にあるピン穴或いはピンを配置し、ピン穴、目釘或いはボルトを介して上スリーブと下スリーブを相互に連結させてもよく、ピンにかけられたチェーンファスナーを介して相互に連結させてもよい。更に、上スリーブと下スリーブの一方の側壁に、上下に揺動可能又は接線方向に揺動可能な係合ホークを配置し、他方のスリーブの側壁に係合穴或いは係合縁を対応して配置し、係合ホークを介して上スリーブと下スリーブを相互に連結させてもよい。又は、上スリーブと下スリーブに、サイズが合わせられ且つ位置ずれにより重ね合わせられる開口と止め縁をそれぞれ配置し、止め縁は開口を貫通した後、両者の輪郭が相互に重ね合わせられるようにスリーブを軸方向まわりに回し、上スリーブと下スリーブとの掛け連結を実現する。
【0009】
前記スプリング振動遮断機とは、スプリング・ケースと、スプリング・ケース内に設けられたスプリングとを備え、スプリングとして、縦方向と横方向に適切な剛度と弾性を有するコイル・スプリング、ディスク・スプリング、ゴム金属複合スプリング、又はディスクゴム金属複合スプリングを含み、水平方向に作用する弾性支持部材又は制限部材が余計に設けられなくても、浮遊板の各方向の安定性と振動遮断効果を保証できる。少なくともスプリングの一部の表面に拘束制振材が設けられ、又は少なくともスプリングの一部が制振材の中に嵌められる。スプリング・ケースに密封構造が配置され、スプリング・ケースの中に液体制振材が配置され、スプリングの下部が液体制振材に浸される。スプリング振動遮断機は、連結スリーブの内部、支持ブロックの下方に配置される。スプリング振動遮断機と支持ブロックとの間にワッシャが設けられ、ワッシャの中央に持ち上げホールが開口されている。支持ブロックと持ち上げブロックとは、開口及び形状がスプリング・ケースの上面及びワッシャのサイズと合わせられ、且つ位置ずれにより重ね合わせられる。スプリング振動遮断機の上表面と下表面に、その水平方向の移動を防止するための連結装置が設けられ、当該連結装置の上部と下部はそれぞれ連結スリーブと基礎に連結し、連結装置としては、滑止間隔板、ボルト、又は凸凹構造である。
【0010】
本発明に係る分割式振動遮断装置の持ち上げによる実装方法は以下のステップを備える。即ち、
【0011】
(1)選定された振動遮断機の仕様により、連結スリーブを浮遊板又は他の浮遊させようとする部材の中に注型する。上スリーブを持ち上げるための臨時補助スリーブとする場合、下スリーブだけを浮遊させようとする部材の中に注型する。
【0012】
(2)実装する際、上スリーブを持ち上げるための臨時補助スリーブとする場合、連結構造により、まず上スリーブと下スリーブを連結する。
【0013】
(3)スプリング振動遮断機とワッシャを、順に全ての下スリーブの中に入れ、スプリング振動遮断機を支持ブロックの下方に位置させ、間隔板の上表面を支持ブロックの下表面よりも少し高くなるように配置する。
【0014】
(4)上スリーブの中に油圧ジャッキ及びジャッキ支持枠を入れ、ピストン棒或いはその延長部を間隔板の持ち上げホールに入れ、持ち上げブロックによってジャッキ支持枠を支持し、ジャッキを駆動し、ワッシャが下スリーブの支持ブロックの底面よりも少し低くなるまでスプリング振動遮断機を圧縮する。
【0015】
(5)ワッシャを回転させ、ワッシャと支持ブロックが位置ずれにより重ね合わせることを実現させる。
【0016】
(6)ジャッキの圧力を解放すると、スプリング振動遮断機は、ワッシャを下スリーブの支持ブロックに押し付けるように付勢し、スプリング振動遮断機により荷重を受け、ジャッキ支持枠及びジャッキを取り出す。
【0017】
(7)このように繰り返し、浮遊部材における全ての下スリーブ内のスプリング振動遮断機に対して、浮遊部材を基礎表面から離れさせ、最後に予定の高さに至らせるまで順次荷重を加える。
【0018】
(8)上スリーブを持ち上げるための臨時補助スリーブとする場合、上スリーブと下スリーブ間の連結構造を緩め、上スリーブを取り出し、持ち上げを完成する。
【0019】
本発明に係る分割式振動遮断装置の持ち上げ道具はジャッキを備え、ジャッキ・ケースにジャッキ支持枠が配置され、ジャッキ支持枠の形状と分割式振動遮断装置の持ち上げブロックの開口のサイズと形状に合わせられ、ジャッキ支持枠を持ち上げブロックの開口に入れた後、ジャッキ支持枠の回転によって持ち上げブロックとジャッキ支持枠を位置ずれにより重ね合わせる。ジャッキのピストン棒或いはその延長部の直径はワッシャの持ち上げホールの直径よりも小さい。
【0020】
本発明に係る分割式振動遮断装置は、分割可能な上スリーブと下スリーブを配置することにより、振動遮断機の適用範囲を効果的に拡大した。浮遊板を例として説明すれば、その具体的な応用方法は以下の2点である。即ち、下スリーブを標準化にさせ、在庫式生産を行うことができる。厚さが異なる浮遊板に対しても、高さが異なる上スリーブを対応して加工すればよい。納品する前、又は現場で組み立てるとき高さの整合が完成できるため、加工周期の短縮、ニーズへの対応能力の強化に寄与できる。この場合、上スリーブは永久に浮遊板内に固定されている。一方、持ち上げによる実装スペースを予め用意することによって生じた連結スリーブの高さが高すぎで、薄い軌道浮遊板に応用できない問題について、浮遊板に応じて下スリーブの高さを設定し、使用する時に下スリーブと浮遊板だけを一体的に注型し、上スリーブを持ち上げ時の臨時補助スリーブとして使用し、持ち上げた後に上スリーブを取り外せばよい。更に、標準化によって上スリーブを繰り返して使用することができる。この原理に基づき、本発明は建物の床、或いは設備の基礎にも適用でき、よい緩衝及び振動遮断の効果が収められる。
【0021】
本発明に係る分割式振動遮断装置の構造は、コンパクトで合理的であり、振動遮断の効果を影響しないという前提のもとに加工周期が短縮され、材料が節約され、コストが減少され、当該振動遮断装置の応用範囲が拡大され、実用性が高く、経済的効果と環境保護効果がともにあり、軌道交通及び工場建物の建築中の振動騒音制御により多くの応用選択を提供した。その持ち上げの実装方法は簡単で便利であり、効果の信頼性がよい。それに係る持ち上げ道具は実用性が高く、使用も簡単で、押し広げて応用する将来性がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る分割式振動遮断装置の構造の第1概略図である。
【図2】図1の上面図である。
【図3】本発明に係る分割式振動遮断装置の持ち上げによる実装工程の第1概略図である。
【図4】本発明に係る分割式振動遮断装置の作動状態の第1概略図である。
【図5】本発明に係る分割式振動遮断装置の持ち上げによる実装工程の第2概略図である。
【図6】本発明に係る分割式振動遮断装置の作動状態の第2概略図である。
【図7】本発明に係る分割式振動遮断装置の構造の第2概略図である。
【図8】本発明に係る分割式振動遮断装置の構造の第3概略図である。
【図9】本発明に係る分割式振動遮断装置の構造の第4概略図である。
【図10】本発明に係る分割式振動遮断装置の構造の第5概略図である。
【図11】図10の上面図である。
【図12】本発明に係る持ち上げ道具の構造の概略図である。
【図13】本発明に係る持ち上げ道具の応用の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0023】
本発明に係る分割式振動遮断装置は、図1に示すように、下スリーブ1と、上スリーブ2と、スプリング振動遮断機3と、ワッシャ4と、を備える。下スリーブ1の上部に支持ブロック5が配置される。また、構造を簡略化するために、支持ブロック5を下スリーブ1の上端部における連結フランジ6とを一体に形成する。上スリーブ2の上部に持ち上げブロック7が配置される。下スリーブ1の上端部における連結フランジ6と上スリーブ2の下端部における連結フランジ8との間に配置されたボルト10を介して、下スリーブ1と上スリーブ2とを連結する。下スリーブ1の厚さは浮遊板9の厚さに対応する。
【0024】
スプリング振動遮断機3は、スプリング・ケースと、スプリング21とを備える。スプリング21は、コイル・スプリングであり、スプリング・ケース23内に位置し、縦方向と横方向に適切な剛度を有し、水平方向に作用する弾性支持部材或いは位置制限部材が余計に設けることなく、浮遊板の各方向における安定性と振動遮断効果を保証できる。スプリング・ケース23に密封構造27が配置され、スプリング・ケースの中に液体制振材22が配置され、スプリング21の下部がこの液体制振材22に浸される。図2に示すように、スプリング振動遮断機3は、下スリーブ1の内部、支持ブロック5の下方に配置される。スプリング振動遮断機3と支持ブロック5の間にワッシャ4が設けられ、ワッシャ4の中央に持ち上げホールが開口されている。支持ブロック5と持ち上げブロック7の開口及び形状はスプリング・ケース3の上面及びワッシャ4のサイズと合わせられ、且つ位置ずれにより重ね合わせられる。スプリング振動遮断機3の上面にその水平方向の移動を防止するための滑止間隔板26が設けられ、下面にその水平方向の移動を防止するための凸凹構造24が設けられる。
【0025】
図3に示すように、実装する前に、下スリーブ1を浮遊板9の中に注型して固化させ、持ち上げ強度を達成した後、ボルト10によって上スリーブ2を下スリーブ1に固定して組み立てる。実装する時、スプリング振動遮断機3とワッシャ4とを順次下スリーブ1の相応位置に置き、ワッシャ4の上表面を支持ブロック5の下表面によりも少し高くさせる。そして、ジャッキ11とジャッキ支持枠12を入れ、ジャッキ11を駆動し、ジャッキ11とジャッキ支持枠12を利用し、持ち上げブロック7より支持したままスプリング振動遮断機3を圧縮する。ワッシャ4が支持ブロック5の下面よりも低くなる時、ワッシャ4を回転させ、ワッシャ4と支持ブロック5が位置ずれにより重ね合わせることを実現させる。ジャッキ11の圧力を抜いた後、ジャッキ支持枠12とジャッキ11を取り出す。この時、スプリング振動遮断機3はバネ返し、ワッシャ4を下スリーブ1の支持ブロック5に押し付けるように付勢する。このように繰り返し、浮遊板9における全ての下スリーブ内のスプリング振動遮断機に対して、浮遊板9は基礎表面13から離れ(図4を参照)、最後に予定の高さに至るまで、順次荷重をかけることにする。最後にボルト10を緩め、上スリーブ2を取り外す。ワッシャの数量と全体厚さに対する調整により、浮遊板9が基礎表面から離れる高さと傾斜度を調節できる。図4に示すように、埃や汚水、又は他の雑物が下スリーブ1の中に入ることを防止するために、下スリーブ1の上方に防塵キャップ14と密封ワッシャ15が更に配置される。防塵キャップ14を下スリーブ1の中に完全に嵌めるように配置してもよい。
【0026】
前記螺子穴及び上スリーブ2における対応のホール、或いは螺子穴の位置とサイズを標準化すれば、上スリーブ2の共通化が実現できるとともに、上スリーブ2を繰り返して使用することができる。よって、材料と所要時間を大いに節約でき、製品のコストを低減できる。
【0027】
連結フランジ6と連結フランジ8をそれぞれ下スリーブ1と上スリーブ2の内部に配置し、ファスナーによって下スリーブ1と上スリーブ2を内側で連結するとしても、同様の効果を実現できる。また、このような連結構造は振動遮断装置の体積を更に縮小することに寄与でき、材料を節約できる。全体の連結フランジの他に、複数の連結耳板を利用してもよい。
【0028】
下スリーブの高さとワッシャ及びスプリング振動遮断の少なくともいずれかの高さを調整することにより、本発明に係る振動遮断装置は、異なる厚さを有する浮遊板に適用できる。勿論、上記原理に基づき、本発明に係る振動遮断装置は、建物の床や、設備の基礎等の場所にも応用でき、よい緩衝及び振動遮断効果が収められる。
【実施例2】
【0029】
本発明の実施例2は、図1、5及び6に示すように、上スリーブ2、下スリーブ1を固定して連結し、一緒に浮遊板9の中に予め配置し、持ち上げる操作が終わった後、上スリーブ2の上方に相応に防塵キャップ14と密封ワッシャ15を配置する点で、実施例1と異なる。勿論、防塵キャップ14を上スリーブ2の中に完全に嵌めるように配置してもよい。そうすればより美観性が優れる。
【0030】
使用する時、下スリーブ1を標準化にさせ、在庫式生産を行い、納品する前、浮遊板9の実際の厚さに対応して上スリーブを加工すればよい。工場又は工事現場で連結スリーブの高さを速やかに整合することができるため、加工周期の短縮、施工効率の向上に寄与でき、厚さが異なる浮遊板或いは厚さが連続に変化する浮遊板の振動遮断要求をよりよく満たせる。ボルト連結の他、溶接、又は粘着によって上スリーブ2と下スリーブ1を一体に連結して使用してもよい。そうすれば、連結フランジ構造を省くことができ、材料を更に節約し、連結の強度を強化し、製品コストを低減することに寄与できる。
【実施例3】
【0031】
本発明の実施例3は、図7に示すように、上スリーブ2の底部に連結フランジを設けることなく、下スリーブ1と上スリーブ2の側壁に配置されたピン穴を利用し、目釘16を介して両者を連結する点で、実施例1と異なる。
【0032】
この連結方法により、上スリーブ2の構造はより簡素になり、使用材料がより少なく、コストも相応により安くなる。上スリーブを取り外した後、下スリーブ1の支持ブロック5の上方のスペースに防塵キャップを置くことができ(図示していない)、スペースの利用はよりコンパクト、より合理的になる。勿論、螺子穴を配置し、目釘の代わりにボルトにより連結を実現してもよい。
【0033】
ピン穴とピンを合わせて連結する方法の他、上スリーブ2と下スリーブ1の側壁にそれぞれ対応するようにピンを配置し、ピンにかけられたチェーンファスナーを介して上スリーブ2と下スリーブ1を相互に連結させてもよい。
【0034】
また、本実施例におけるスプリング21は金属ゴム複合スプリングであり、ゴムは中空の円柱形であり、振動遮断機の制振効果を増大するために、高制振ポリウレタンである固体制振材が中空部分に配置される。ゴムに複数の円錐状の金属環が配置され、それらのテーパーとゴム層の厚さを調整することにより、ゴムスプリングの縦方向と横方向との剛度比率を調整できる。
【実施例4】
【0035】
本発明の実施例4は、図8に示すように、下スリーブ1に吊輪18を配置し、上スリーブ2にリフティング・ラグ17を配置し、リフティング・ラグ17にピン穴を配置し、リフティング・ラグ17と吊輪18を組み立て、ボルト10を介して下スリーブ1と上スリーブ2を連結する点で、実施例3と異なる。
【0036】
勿論、上スリーブ2と下スリーブ1に同時にリフティング・ラグ17を配置し、リフティング・ラグ17におけるピン穴と目釘の整合によっても同様の連結効果が収められる。また、リフティング・ラグ17にピンを配置し、ピンにかけられたチェーンファスナーを介しても、上スリーブ2と下スリーブ1の信頼性の高い連結を実現できる。
【実施例5】
【0037】
本発明の実施例5は、図9に示すように、上スリーブ2に係合ホーク25をヒンジ結合し、係合ホーク25と下スリーブ1の上端部に設けられた連結フランジ6を係合ことにより、上スリーブ2と下スリーブ1とを掛締めすることを実現する点で、実施例4と異なる。
【0038】
勿論、連結フランジ6の上面に係合ホーク25と係合するための他の掛締め装置を配置し、又は下スリーブ1に対応する係合穴を配置しても、同様の効果を実現できる。
【実施例6】
【0039】
本発明の実施例6は、図10及び11に示すように、下スリーブ1に止め縁19を配置し、上スリーブ2に止め縁20を配置し、止め縁20を下スリーブ1に配置されたサイズと形状が合わせられる開口を通して、下スリーブ1の中に入れた後、軸方向まわりに回し、止め縁19と位置ずれにより重ね合わせ、上スリーブ2と下スリーブ1を連結する点で、実施例3と異なる。
【実施例7】
【0040】
本発明の実施例7は、図12及び13に示すように、本発明に係る持ち上げ道具に関する。本発明の持ち上げ道具は、ジャッキ11を備え、ジャッキ11のケースに螺子構造によってジャッキ支持枠12が配置され、ジャッキ支持枠12の形状は振動遮断装置の開口の形状と合わせられ、その開口に入れた後、回転によって位置ずれにより重ね合わせることができる。ジャッキ・ピストン棒31の直径はワッシャ5の中心にある持ち上げホールの直径よりも小さい。本発明に係る持ち上げ道具を利用し、上記持ち上げによる実装方法によって、振動遮断装置の持ち上げ作業を速やかに実現できる。
【0041】
本発明に係る分割式振動遮断装置の構造は簡単であり、設計は合理的であり、生産コストが安く、交換と修理が便利であり、経済的効果と環境保護効果がよく、浮遊板、建物の床、或いは設備の基礎、特に地下鉄の軌道の振動遮断に適用でき、鉄道、市街地鉄道、高架鉄道、拘束鉄道等の軌道交通分野における振動遮断にも当然幅広く応用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 下スリーブ
2 上スリーブ
3 スプリング振動遮断機
4 ワッシャ
5 支持ブロック
6 連結フランジ
7 持ち上げブロック
8 連結フランジ
9 浮遊板
10 ボルト
11 ジャッキ
12 ジャッキ支持枠
13 基礎表面
14 防塵キャップ
15 密封ワッシャ
16 目釘
17 リフティング・ラグ
18 吊輪
19 止め縁
20 止め縁
21 スプリング
22 液体制振材
23 スプリング・ケース
24 凹凸構造
25 係合ホーク
26 滑止間隔板
27 密封構造
31 ジャッキ・ピストン棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持ブロックと持ち上げブロックとが配置された連結スリーブと、スプリング振動遮断機と、を備える分割式振動遮断装置であって、
前記連結スリーブは、上スリーブと下スリーブとからなり、該上スリーブと該下スリーブとの間に分割可能な連結構造が採用され、
前記持ち上げブロックは、前記上スリーブに配置され、
前記支持ブロックは、前記下スリーブに配置されることを特徴とする分割式振動遮断装置。
【請求項2】
上スリーブと下スリーブとにそれぞれ連結フランジ又は連結耳板を配置し、軸方向にあるボルト、ピン、又はフェルールを介して前記上スリーブと前記下スリーブとを連結する請求項1に記載の分割式振動遮断装置。
【請求項3】
上スリーブと下スリーブとの側壁にピン穴、螺子穴又はチェーンを対応できるように配置し、目釘又はボルトを介して上スリーブと下スリーブとを相互に連結し、或いは、上スリーブと下スリーブとの側壁にピンを対応できるように配置し、ピンにかけられたチェーンファスナーを介して上スリーブと下スリーブとを相互に連結する請求項1に記載の分割式振動遮断装置。
【請求項4】
上スリーブと下スリーブとの側壁に径方向にある耳板を配置し、耳板に接線方向にあるピン穴或いはピンを配置し、ピン穴、目釘或いはボルトを介して前記上スリーブと前記下スリーブとを相互に連結し、又はピンにかけられたチェーンファスナーを介して前記上スリーブと前記下スリーブとを相互に連結する請求項1に記載の分割式振動遮断装置。
【請求項5】
上スリーブと下スリーブとの一方の側壁に上下に揺動可能、又は接線方向に揺動可能な係合ホークを配置し、他方のスリーブの側壁に係合穴又は係合縁を対応して配置し、係合ホークを介して前記上スリーブと前記下スリーブとを相互に連結する請求項1に記載の分割式振動遮断装置。
【請求項6】
上スリーブと下スリーブとに、サイズが互いに合わせられ且つ位置ずれにより重ね合わせられる開口と止め縁をそれぞれ配置し、止め縁は開口を貫通した後、両者の輪郭が重ね合わせられるようにスリーブを軸方向まわりに回し、前記上スリーブと前記下スリーブとの掛け連結を実現する請求項1に記載の分割式振動遮断装置。
【請求項7】
スプリング振動遮断機は、
スプリング・ケースと、
該スプリング・ケース内に位置し、縦方向と横方向に適切な剛度と弾性を有するコイル・スプリング、ディスク・スプリング、ゴム金属複合スプリング、又はディスクゴム金属複合スプリングを含むスプリングと、を備える請求項1に記載の分割式振動遮断装置。
【請求項8】
スプリングの少なくとも一部の表面に拘束制振材が設けられ、又は少なくともスプリングの一部が制振材の中に嵌められる請求項7に記載の分割式振動遮断装置。
【請求項9】
スプリング・ケースに密封構造が配置され、前記スプリング・ケースの中に液体制振材が配置され、スプリングの下部が液体制振材に浸される請求項7に記載の分割式振動遮断装置。
【請求項10】
スプリング振動遮断機は連結スリーブの内部、支持ブロックの下方に配置され、前記スプリング振動遮断機と前記支持ブロックとの間にワッシャが配置され、該ワッシャの中央に持ち上げホールが開口されている請求項7から9のいずれかに記載の分割式振動遮断装置。
【請求項11】
支持ブロックと持ち上げブロックとは、開口及び形状がスプリング・ケースの上面及びワッシャのサイズと合わせられ、且つ位置ずれにより重ね合わせられる請求項10に記載の分割式振動遮断装置。
【請求項12】
スプリング振動遮断機の上表面と下表面とに、その水平方向の移動を防止するための連結装置が設けられ、当該連結装置の上部と下部はそれぞれ連結スリーブを基礎に連結し、連結装置としては、滑止間隔板、ボルト、又は凸凹構造である請求項7から9のいずれかに記載の分割式振動遮断装置。
【請求項13】
分割式振動遮断装置の持ち上げ実装方法であって、
(1)選定された振動遮断機の仕様により、連結スリーブを浮遊板又は他の浮遊させようとする部材の中に注型し、上スリーブを持ち上げの臨時補助スリーブとする場合、下スリーブを浮遊させようとする部材の中に注型するステップと、
(2)実装する際、前記上スリーブを持ち上げの臨時補助スリーブとする場合、連結構造により、まず前記上スリーブと前記下スリーブとを連結するステップと、
(3)スプリング振動遮断機とワッシャを順次前記下スリーブの中に入れ、スプリング振動遮断機を支持ブロックの下方に位置させ、間隔板の上表面を支持ブロックの下表面よりも少し高くさせるステップと、
(4)前記上スリーブの中にジャッキ及びジャッキ支持枠を入れ、ピストン棒或いはその延長部を間隔板の持ち上げホールに入れ、持ち上げブロックによって前記ジャッキ支持枠に支持を与え、前記ジャッキを駆動し、ワッシャが前記下スリーブの支持ブロックの底面よりも少し低くなるまで前記スプリング振動遮断機を圧縮するステップと、
(5)前記ワッシャを回転させ、前記ワッシャと前記支持ブロックが位置ずれにより重ね合わせることを実現させるステップと、
(6)前記ジャッキに対して圧力を解放し、この時、前記スプリング振動遮断機は、前記ワッシャを前記下スリーブの前記支持ブロックに押し付けるように付勢し、前記スプリング振動遮断機により荷重を受け、前記ジャッキ支持枠及び前記ジャッキを取り出すステップと、
(7)このように繰り返し、浮遊部材における全ての前記下スリーブ内の前記スプリング振動遮断機に対して、前記浮遊部材を基礎表面から離れさせ、最後に予定の高さに至らせるまで順次荷重を加えるステップと、
(8)前記上スリーブを持ち上げるための臨時補助スリーブとする場合、前記上スリーブと前記下スリーブと間の連結構造を緩め、前記上スリーブを取り出し、持ち上げを完成するステップと、を有することを特徴とする分割式振動遮断装置の持ち上げ実装方法。
【請求項14】
浮遊路床、建物の床、又は設備基礎に適用する請求項1から12のいずれかに記載の分割式振動遮断装置。
【請求項15】
ジャッキを含む分割式振動遮断装置の持ち上げ道具であって、
ジャッキ・ケースにジャッキ支持枠が配置され、前記ジャッキ支持枠の形状と前記分割式振動遮断装置の持ち上げブロックの開口のサイズ及び形状に合わせられ、前記ジャッキ支持枠を持ち上げブロックの開口に入れた後、前記ジャッキ支持枠の回転によって前記持ち上げブロックと前記ジャッキ支持枠を位置ずれにより重ね合わせることを特徴とする分割式振動遮断装置の持ち上げ道具。
【請求項16】
ジャッキのピストン棒或いはその延長部の直径はワッシャの持ち上げホールの直径よりも小さい請求項15に記載の分割式振動遮断装置の持ち上げ道具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−518294(P2010−518294A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549758(P2009−549758)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/CN2008/000263
【国際公開番号】WO2008/098472
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(507035123)▲隔▼而固(青島)振動控制有限公司 (4)
【出願人】(507014405)
【Fターム(参考)】