説明

分子細胞遺伝学的方法を用いる癌連鎖遺伝子および治療標的の確認

特定の遺伝子、とりわけ特異的な染色体領域に地図化される遺伝子の発現について潜在的な治療薬の調節に基づいて、抗腫瘍薬などの潜在的治療薬を同定する方法が開示される。更にこのような遺伝子の発現、または発現パターンの結果として、癌または潜在的癌状態を診断する方法も開示され、これは癌検出、およびまたは診断するために、前記遺伝子またはセットの遺伝子群での遺伝子コピー数水準およびまたは増幅水準での変化を検出することを含む。機能的に関連する遺伝子を検出または測定する方法並びにそのような遺伝子の発現産物の標的化に基づく癌を処置し、癌過程に伴なう遺伝子を決定する方法、および処置に対する癌患者の成功、応答率および生存統計も本発明に含まれる。更に各種癌組織型で確認遺伝子/薬剤標的としてこれらの遺伝子の同定に基づく臨床試験/処置の発生前に、薬力学/薬理遺伝学/代理マーカーとしてまたは患者プロファイリングのために、これら対象領域(ROIs)の発現調節を測定することに関連する方法も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年4月15日出願された合衆国暫定出願連続番号第60/462895号の優先権を主張し、その開示はその全体を引用例としてここに組み込まれている。
【0002】
本発明は、遺伝子の同定に関し、その遺伝子の分裂およびまたは発現の変化は、非癌組織から癌組織を区別するのに有用であり、また潜在的な治療標的として薬効学、薬理遺伝学、代理および予後および診断の各マーカーに役立つことで有用であり、その遺伝子は各種の癌細胞系および原発性、転移性腫瘍サンプルのDNAおよび染色体の高分解能比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)および分光核型(SKY)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)により、これらの細胞および組織の遺伝子発現分析と組合わせることにより同定される。
【背景技術】
【0003】
染色体異常は、大抵の癌細胞で同定されている。従来の染色体バンド技法は腫瘍細胞における特異的染色体欠損の検出を可能にするが、バンドパターンの解釈は時には困難であり、とりわけ複合染色体再配列あるいは、微細な異常が存在する場合にはより困難となる。最近では蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)(ピンケル他、全米科学アカデミー紀要、85巻;9138−42ページ(1988年))に基づくCGHおよびSKYなどの新技術が、従来の染色体バンディングの限界を克服するように発展してきている。CGHは、正常染色体へのハイブリダイゼーションに続く蛍光標識腫瘍DNAと正常DNAの強度を測定する(カリオニエミ他、サイエンス、258巻:818−821ページ(1992年))。腫瘍DNAにおける特殊染色体または染色体領域でのコピー数のゲイン(増加)またはロス(低下)は、蛍光比の相対強度により確認される。SKYは各染色体を特定する蛍光標識された染色体プローブの混合物を利用するが、それは腫瘍細胞における数値的および構造的異常を同定しようと努力して、腫瘍染色体にハイブリッド形成される(シュレック他、サイエンス、273巻:494−497ページ)。CGHとSKYは、腫瘍の開始または進行の過程で重要な遺伝子を宿らせる染色体領域を同定するために使用されている。
【発明の開示】
【0004】
発明の簡単な概要
一つの見地において、本発明は、分子細胞遺伝学手法により同定されたヒト染色体対象領域(ROI)内で局在化されてきた一連の遺伝子に関する。
【0005】
一つの見地において、本発明は、哺乳類、とりわけヒト患者における癌を診断するための方法に関し、それは前記遺伝子が表1の遺伝子である場合に哺乳類のゲノム内の遺伝子の増幅を確認することを含む。
【0006】
その望ましい実施例において、癌は乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌から選択されるメンバーである。
【0007】
もう一つの望ましい実施例において、本発明は哺乳類の癌を診断する方法に関し、それは遺伝子が表1の遺伝子である哺乳類のゲノムにある遺伝子の増幅を確認することを含み、ここで表1の前記遺伝子は、配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドから選択されるポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する遺伝子である。
【0008】
もう一つの実施例では、本発明は哺乳類にある癌または前癌状態を診断する方法に関し、それは
(a)癌または前癌状態を持つ疑いのある哺乳類、とりわけヒト患者からの細胞または組織サンプルを獲得し、また表1の遺伝子の遺伝子コピー数を前記サンプルで確認し、
(b)ステップ(a)の前記遺伝子コピー数を、診断される型の癌を持たない同種の哺乳類からの対応する細胞または組織のサンプルからの同一の遺伝子の遺伝子コピー数と前記サンプルで確認し、
これによりステップ(b)のものと比較してステップ(a)で確認されたより高い遺伝子コピー数がステップ(a)の哺乳類での癌または前癌状態の存在を示し、前記哺乳類での癌または前癌状態という診断に帰着することを含む。
【0009】
本発明の方法の望ましい実施例において、前記分子は、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、リポザイムおよびsiRNAから選択されたメンバーである。
【0010】
もう一つの実施例において、本発明は、治療活性を必要とするヒト患者において、前記治療活性を持つ薬剤を同定する方法に関し、それは
(a)前記患者に試験化合物を投与する前に、表1の遺伝子によりコード化される遺伝子産物の水準を前記患者からのサンプルで確認し、
(b)前記試験化合物を前記患者に投与し、
(c)ステップ(a)の遺伝子と同一の遺伝子によりコード化される遺伝子産物の水準を前記患者からのサンプルで確認し、
ここでステップ(a)と比較してステップ(c)での前記遺伝子産物の水準の減少が前記試験化合物を治療活性を持つ薬剤であると同定することを含む。
【0011】
更なる実施例において、本発明は抗腫瘍薬を同定する方法に関し、
(a)試験化合物を、表1の遺伝子を発現する細胞に接触させ、また
(b)前記接触の結果として、遺伝子発現における変化を確認し、
これにより前記遺伝子発現における前記変化が、前記試験化合物を抗腫瘍薬として同定することを含む。
【0012】
本発明は更に細胞の癌状態を確認する方法に関し、表1の遺伝子の前記細胞における発現の上昇を確認することを含み、ここで前記遺伝子の発現の上昇は前記細胞が癌であることを示している。
【0013】
更なる実施例において、本発明は抗腫瘍薬として化合物を同定する方法に関し、それは
(a)試験化合物を、表1の遺伝子によりコード化されるポリペプチドに接触させ、
(b)前記接触に起因する前記ポリペプチドの生物活性の変化を確認し、
ここで活性の変化が、前記試験化合物を抗腫瘍活性を持つ薬剤として同定することを含む。
【0014】
前記の望ましい実施例において、ポリペプチドは、キナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、ホスホジエステラーゼ、ホスファターゼ、デヒドロゲナーゼ、レダクターゼ、カルボキシラーゼ、トランスフェラーゼ、デアセチラーゼ、およびポリメラーゼから選択される酵素である。
【0015】
本発明は、更に抗腫瘍薬を同定する方法に関し、これは癌細胞の増殖を促進し前記癌細胞の活性の変化を検出するという条件下で、本発明の他の方法において抗腫瘍活性を持つことが発見された化合物に前記癌細胞を接触させることを含む。
【0016】
本発明は、更に癌細胞を処置する方法に関し、これは表1の遺伝子の発現産物に親和性を持つ薬剤に、前記癌細胞の癌活性の減少を起こす有効量で接触させることを含む。
【0017】
本発明はまた患者の癌治療の進捗状況をモニタリングする方法を考慮し、それは癌治療を受けている患者で表1の遺伝子活性をモニタリングすることを含む。
【0018】
加えて、本発明は、患者における癌治療の成功の尤度を確認する方法を包含し、それは癌治療を受けている患者において、表1の遺伝子の発現をモニタリングし、ここで前記癌治療の完了に先立ち前記発現の減少が前記癌治療の成功の尤度を示していることを含む。
【0019】
もう一つの実施例において、本発明は、化合物の抗腫瘍活性に関する試験データを産出する方法に関し、これは
(a)本発明の他の方法を用いて抗腫瘍活性を持つものとして試験データを同定し、
(b)前記試験化合物の化学構造を同定するのに十分な前記試験化合物の抗腫瘍活性に関する試験データを産出する、
ことを含む。
【0020】
更に本発明は、癌に悩む患者の癌処置の開始に続く前記患者の癌の進捗状況を確認する方法を包含し、これは
(a)前記患者で表1の1個またはそれ以上の遺伝子の発現における変化を確認し、また
(b)前記癌処置に先立ち前記1個またはそれ以上の確認された遺伝子の発現と比較した前記遺伝子の発現における変化を確認し、
ここで発現における前記変化が前記処置の進捗状況を示し、これにより前記処置の進捗状況を確認する、
ことを含む。
【0021】
CD−ROMのみの配列表
配列表で配列識別番号1−923としてここで開示された配列は、コンパクトディスク(CD−ROM)のみに含まれ、これは出願に伴い提出されるものであり、前記CD−ROMのコンテントはここで全体として引用例としてここに組み込まれる。これらの配列数は同じく表1に見られるものであり、ここではすべての配列は、引用目的のみの連続番号として引用される。
【0022】
発明の詳細説明
本発明は、癌細胞系で増幅されおよびまたは過発現される遺伝子に関し、また各種染色体対象領域に局在化されてきた一連の遺伝子に関する。これらの遺伝子は、CGH、SKY、発現分析および逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)の組合せを通じて同定されてきている。このような遺伝子は、癌とりわけ乳房、結腸、肺および前立腺などの癌に対しマーカーおよび潜在治療標的となっている。加えてこのような遺伝子の増幅性質は、癌に悩み、または癌の素因である、あるいは癌の徴候を示す危険のある患者における1個またはそれ以上のこのような遺伝子の増幅を確認することにより、癌情報または癌状態への素因を診断する手段を提供する。
【0023】
本発明に従って、数多くの遺伝子が、表1(連続番号1−229(乳房)、230−440(結腸)、441−656(肺)および657−805(前立腺):連続番号、806−923(転写物またはタンパク質))で同定されるように、染色体対象領域に局在化されてきた。本発明は、更にこれらのいずれかのサブセットを含む。ここに記載されるように、配列識別番号1−805のDNA配列、配列識別番号855−923の配列を持つ転写産物、および配列識別番号806−854のアミノ酸配列を持つタンパク質/ポリペプチドを含む。
【0024】
簡単に言えば、ここで開示される遺伝子を同定するために使用される手順は、以下の通り要約される。
【0025】
CGH分析に関しては、詳細な分子細胞遺伝学的特性に基づき下記のデータが生成され、公開ドメインで報告された領域およびこれまでに公知でない領域を同じく含む。
【0026】
1.与えられた腫瘍型に対するパターン/徴候として認識することのできる代表的な癌細胞系または腫瘍の型(例えば、結腸、前立腺、乳房および肺)の着実で頻繁する高水準のゲノムのゲイン(すなわち増幅)に伴なう染色体領域の地図。
【0027】
2.試験される各腫瘍の型および個別細胞系におけるゲノムのロス(すなわち欠失)を含む染色体領域の地図。
【0028】
3.データベースにエントリーするために類別されたゲインとロス(増加と低下)の強度の水準。
【0029】
4.一致するステージおよびグレードの臨床サンプル(例えば結腸異種移植片)と細胞系(例えば結腸)のゲインとロスのパターンの比較。
【0030】
5.原発性前立腺腫瘍細胞系(例えばCPDR系)および転移性前立腺腫瘍細胞系(例えばDU145,PC3およびLNCaP)の間のゲインとロスのパターンの比較。
【0031】
本発明に従って、SKY分析のために次のステップに従ってデータセットが生成された。
【0032】
1.上皮癌細胞系での新規な染色体再配列のデータベースの同定と展開。
【0033】
2.特異的な染色体または染色体領域を含む新規なトランスロケーションの同定。
【0034】
3.組合せた発見の検証として同一細胞系でのSKYとCGH分析の調和。
【0035】
腫瘍細胞系/臨床サンプルでのゲインとロスのゲノムDNA分析を、スポットファイア(Spotfire(登録商標))分析ツールを用いるゴールデンパスゲノムブラウザーからのゲノム鋳型に表示された付合腫瘍型からのcDNA発現分析と組合せたものが、以下の通り使用された。
【0036】
1.ジーンロジックデータベースを介して得られたU−95アフィマティックス(Ahymatix)チップセットへの遺伝子発現パターンが、正常組織を含むサンプルセットと、結腸、前立腺、肺、乳房および各種細胞系からの癌細胞を含むサンプルセットとの間の異なる遺伝子発現プロファイルを創るために使用された。
【0037】
2.スポットファイア(登録商標)視覚化ツールが開発され、これはHITSプラットフォーム内に含まれる遺伝子セットを創り出すために各細胞型/腫瘍型へのゲイン/ロスのクラスター領域内でゴールデンパスに存在するすべての遺伝子表の創出を可能にした。
【0038】
3.下記のアルゴリズムが採用された:
i)ゴールデンパスゲノム鋳型に地図化されるように、CGHにより規定される増幅/ゲインの染色体領域を、アフィマティックスチップ上の遺伝子/ESTsの位置に付合させる、
ii)ジーンロジックデータベースを使用して前記染色体領域での正常組織に対比して腫瘍組織内の過発現遺伝子/ESTsを同定する、
iii)ある染色体領域でゲノムゲインおよびロスのクラスターを示す特定腫瘍型と異なる腫瘍型の細胞系についてのデータを編集する、
iv)新規な癌遺伝子(オンコジーンおよび関連する経路にある遺伝子)を位置的にクローン化するように努力して絶えずゲインされ過発現遺伝子を含む染色体領域を伸展するBACsを選択する、
v)A)腫瘍細胞系のパネルを横断するゲノムDNAとRNAで遺伝子配列を同定し相対的コピー数を定量化するSTSマーカーを選択し、
B)腫瘍細胞系および原発性腫瘍組織マイクロアレーからの染色体にFISH用プローブを開発する、
ことにより、同定された遺伝子を実証する。
【0039】
4.SKY/CGH分析を受けた腫瘍細胞系からの発現データは、機能的ゲノム検定およびin−vivo検定ならびに転写検定プラットフォームでの使用のため、個別標的として実証される候補遺伝子を選択するために使用された。
【0040】
本発明に従って、細胞遺伝子の過発現は、増殖培地で維持された細胞系(後記の実施例で使用されるようなもの)、原発性細胞、または細胞サンプルで使用されるモデル細胞システムでうまくモニタリングされる。異なる目的のために、これらは薬剤を調節するように検定するために、1個またはそれ以上の濃度での化合物で処理することができる。かくして細胞RNAsは、選択された遺伝子発現のインデイケーターとして、細胞または培養物から単離された。細胞RNAsは次いで分裂され、特異的転写産物の存在およびまたは量を検出する分析を受け、この転写産物は、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)などのような標準的方法を用いて検出目的のために増幅された。その存在または不在を含めて特異的RNA転写産物の水準が測定された。抗腫瘍薬などのような転調薬の同定に使用する場合には、対象サンプルと対比して処置されるサンプルの型と度合の計量が誘導される。
【0041】
前述の事項に従って、癌細胞にあり、そのコピー数増加を含むことのできる増幅されおよびまたは過発現されたと同定された遺伝子は、表1で同定されるように染色体対象領域に局在化される(連続番号1―229(乳房)、230-440(結腸)、441―656(肺)、および657―805(前立腺):ポリペプチドに関しては、表1−配列識別番号806―823(転写産物またはタンパク質)参照)。
【0042】
これらの遺伝子は、細胞または組織の癌状態または非癌状態を特徴付けることに利用できる。本発明の方法は、各種の細胞系で、または変化する時間期間にわたる適切な培養条件の下でin vitroで維持された腫瘍からの原発性サンプルで、あるいは適切な動物モデル内でのin situで使用することができる。
【0043】
ここで開示された遺伝子は、非癌細胞での発現水準とは異なる癌細胞での水準で発現される。表1で同定されたこれらの遺伝子は、対応する組織の非癌細胞と対比した癌細胞、とりわけ乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌などの癌細胞で増幅される。
【0044】
前記の事項に従って、本発明は哺乳類にある癌を診断する方法に関し、遺伝子が表1の遺伝子である哺乳類のゲノム内の遺伝子増幅を確認することを含む。
【0045】
その望ましい実施例において、表1の遺伝子は、配列識別番号1―805および855―923のポリヌクレオチドから選択されたポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する遺伝子である。更に望ましい実施例では、前記哺乳類はヒト患者である。
【0046】
本発明は、更に哺乳類、とりわけヒト患者にある癌または前癌状態を診断する方法に関し、それは、
(a)癌または前癌状態を持つ疑いのある哺乳類からの細胞または組織サンプルを獲得し、また表1の遺伝子の遺伝子コピー数を前記サンプルで確認し、
(b)ステップ(a)の前記遺伝子コピー数を、診断される型の癌を持たない同一種の哺乳類からの対応する細胞または組織のサンプルからの同一遺伝子の遺伝子コピー数と比較し、
これにより、ステップ(b)のそれと比較したステップ(a)で確認されたより高い遺伝子コピー数が、ステップ(a)の哺乳類における哺乳類の癌または前癌状態の存在を示し、前記哺乳類での癌または前癌状態という診断に帰着する、
ことを含む。
【0047】
特異的な実施例において、診断される癌は1個またはそれ以上の乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌である。
【0048】
望ましくは、表1の遺伝子は、配列識別番号1―805および855―923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する遺伝子である。
【0049】
本発明はまた、哺乳類細胞にある癌または前癌状態を阻害する方法に指向し、前記細胞を、表1の遺伝子の機能を阻害する分子と接触させることを含む。望ましくは表1の遺伝子は、配列識別番号1―805および855―923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する遺伝子である。その特異的な実施例において、前記分子は前記遺伝子に結合することにより遺伝子機能を阻害する。他の実施例において、前記分子は、前記遺伝子によりコード化されるRNAに結合することにより、遺伝子機能を阻害し、または前記遺伝子によりコード化されるポリペプチドに結合することにより遺伝子機能を阻害する。望ましくは前記分子は、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、リボザイムおよびSiRNAから選択されるメンバーである。更にまた望ましいものは、癌が乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌から選択されるメンバーである場合である。
【0050】
本発明は、このような接触がin vivoで起こることを考慮する。
【0051】
本発明また、治療活性を必要とするヒト患者において前記治療活性を持つ薬剤同定する方法に関し、それは
(a)患者への試験化合物を投与するのに先立ち、表1の遺伝子によりコード化される遺伝子産物の水準を前記患者からのサンプルから確認し、
(b)前記試験化合物を前記患者に投与し、
(c)ステップ(a)での遺伝子と同一の遺伝子によりコード化された遺伝子産物の水準を、前記患者からのサンプルで確認し、
ここでステップ(a)と比較してステップ(c)での前記遺伝子産物の水準における減少が、前記試験化合物を治療活性を持つ薬剤として同定する、
ことを含む。
【0052】
望ましくは、前記治療活性は抗癌活性であり、また前記癌が1個またはそれ以上の乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌である。
【0053】
更に望ましいものは、前記遺伝子がRNAまたはポリペプチドである場合であり、とりわけポリペプチドの活性が確認され、望ましくはその活性が酵素活性である場合である。特異的な実施例では、表1の前記遺伝子は、配列識別番号1―805および855―923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する遺伝子であり、同様に望ましいのは、前記分子がアンチセンスRNA、リポザイムsiRNAから選択されるメンバーである場合である。
【0054】
本発明は、更に抗腫瘍薬を同定する方法に関し、それは
(a)試験化合物を、表1の遺伝子を発現する細胞に接触させ、また
(b)前記接触の結果として遺伝子発現における変化を確認し、
これにより、前記遺伝子発現における前記変化が、前記試験化合物を抗腫瘍薬として同定する、
ことを含む。
【0055】
もっとも望ましいものは、発現における変化が発現の減少である場合である。接触はin vivoで起こる。更に望ましいものは、表1の前記遺伝子が、配列識別番号1―805および855―923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する場合であり、また前記分子が、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、リボザイム、SiRNA、小有機分子および抗体から選択されるメンバーである場合である。
【0056】
本発明は、更に癌状態を確認する方法に関し、表1の遺伝子の前記細胞における発現の上昇を確認することを含み、ここで前記遺伝子の発現の上昇は前記細胞が癌であることを示している。望ましくは、ここで前記発現の上昇が遺伝子のコピー数の上昇であり、またここで表1の前記遺伝子が配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する場合である。
【0057】
本発明は、化合物を抗腫瘍薬として同定する方法に関し、それは
(a)試験化合物を、表1の遺伝子によりコード化されるポリペプチドと接触させ、
(b)前記接触に由来する前記ポリペプチドの生物活性における変化を確認し、
ここで活性における変化が、前記試験化合物を抗腫瘍活性を持つ薬剤として同定する、
ことを含む。
【0058】
望ましくは、表1の前記遺伝子は、配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する。
【0059】
望ましい実施例では、生物活性の変化は、生物活性の減少である。
【0060】
もう一つの望ましい実施例において、生物活性は酵素活性であり、その酵素がキナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、ホスホジエステラーゼ、ホスファターゼ、デヒドロゲナーゼ、レダクターゼ、カルボキシラーゼ、トランスフェラーゼおよびポリメラーゼなどのグループから選択された酵素である。
【0061】
ホスホジエステラーゼなどのように、これらの酵素の分析が利用可能である(もっとも薬理関連性のあるホスホジエステラーゼは、サイクリックヌクレオチドを加水分解するものである)。(例えばパーキン−エルマーから利用であるcAMPおよびcGMP分析、同じくエストレード他、Eur.J.Pharmacol.352巻:2−3ページ、157−163ページ(1998年)参照)。
【0062】
プロテインホスファターゼは、タンパク質からリン酸塩残基を除去する。これら活性の大抵の試験は、プロテインキナーゼに対するのと同じ分析を使用する。非放射性ホスファターゼ分析システムは、プロメガ・バイオテックからのものを利用できる。
【0063】
治療的にもっとも関連するデヒドロゲナーゼは、小分子量の代謝産物、とりわけステロイドホルモン、またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)あるいはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)を一般的に使用または生成するものを酸化あるいは還元する(ヘーゼレーア他、J.Biol.Chem.,273巻:21790−21799ページ(1998年)参照)。商業的分析はケイマン・ケミカル(www.caymanchem.com)で利用できる。
【0064】
ガンマカルボキシラーゼは、血液凝固プロセスで重要な酵素である。主な分析プロトコルは合成ペプチドを使用する(ウルリッチ他、J.Biol.Chem.,263巻:9697−9702ページ(1988年);ベグレー他;J.Biol.Chem.,275巻:36245−36249ページ(2000年)参照)。
【0065】
きわめて望ましい実施例において、キナーゼはプロテインキナーゼ、セリン/トレオニンキナーゼ、または受容体チロシンプロテインキナーゼの一つである。本発明の遺伝子によりコード化されるポリペプチドがプロテインキナーゼである場合には、活性の各種分析が利用できる。プロテインキナーゼは、タンパク質上のセリン、トレオニンまたはチロシン残基にリン酸基を加え、ホスホ−セリン、トレオニン、またはチロシン特異的抗体、放射線標準化基質の生成、またはATPの消費あるいは(合成)小ペプチドのリン酸化、もしくは下流酵素活性または遺伝子転写の測定などで、もっとも一般的に測定される。そのような分析は商業的に利用可能である(例えばロシュ・モレキュラー・バイオケミカルズからのチロシンキナーゼ分析を参照)。セリン/トレオニンキナーゼの分析も、クロマーゲン・コム,アップステート・バイオテクノロジー,インコーポレイテッド(レークプラシド,ニューヨーク,およびupstatebiotech.com)およびアプライド・バイオシステムズ(フォスターシティ,カリフォルニア(home.appliedbiosystems.com))で利用可能である。
【0066】
他の特異的実施例において、プロテアーゼはセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼまたはアスパラギン酸プロテアーゼであり、あるいはトランスフェラーゼはメチルトランスフェラーゼ、望ましくはシトシンメチルトランスフェラーゼまたはアデニンメチルトランスフェラーゼであり、あるいはデアセチラーゼはヒストンデアセチラーゼであり、またはカルボキシラーゼはγ−カルボキシラーゼであり、あるいはペプチターゼはジンクペプチターゼであり、またポリメラーゼはDNAポリメラーゼあるいはRNAポリメラーゼである。
【0067】
プロテアーゼは、特異的でなくまたは特異的部位でタンパク質を分解する。殆どすべての薬理関連物は、非常に狭く規定された特異的基質を持っており、直接切断産物を測定し、または合成基質の切断後(蛍光)光の生成により殆どしばしば測定される。セリンプロテアーゼ(カルバイオケム,パロアルト,カリフォルニア、およびバーディケブスキー他,J.Virol.Methods,107巻:245−255ページ(2003年)参照;システインプロテアーゼ(シュルツ他,Mol.Pathol.,51巻222−224ページ(1998年)、およびゼルツァー他,PNAS96巻;11015−11022ページ(1999年)参照、アスパラギン酸プロテアーゼ(ジーン.テック,インコーポレイテッド,www.genotech.com)およびジンクプロテアーゼ(エバンス他,J.Biol.Chem.,278巻:23180−23186ページ(2003年))の分析が利用できる。
【0068】
(調節)DNAメチラーゼおよび(生合成)プロテインメチラーゼのいずれもが、本発明の方法内での薬剤標的である(ジョナセンおよびクラーク,J.Biol.Chem.275巻:12381−12387ページ(2000年):ジャクソン他,ネイチャー,416巻:556−560ページ(2002年)参照)。
【0069】
大抵のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)分析は、比色または蛍光強度(合成)基質を使用する。標準分析は、結合、とりわけ分子サイズの変化、特異的部位の遮断、および転写または(DNAまたはRNAが薬剤の直接の標的である場合には)下流の反応に対する効果などの分析である。商業的な分析は、(www.vincibiochem.itで)ビンチ・ビオケムからのもので利用できる。
【0070】
もう一つの特異的実施例において、生物活性は膜輸送活性であり、望ましくはポリペプチドが陽イオンチャンネルタンパク質、陰イオンチャンネルタンパク質、ゲートイオンチャンネルタンパク質またはABCトランスポータータンパク質である場合である。トランスポーターおよびチャンネルタンパク質の活性に対する薬剤効果は、細胞ベースの分析では細胞の内部または外部で((放射線)標識された)輸送体の増減、(ATPアーゼの場合は)ATP消費量、または細胞膜潜在力の変化を測定することで選別される。このようなタンパク質を採用する分析は、ABCトランスポーター(マーシル他、Lancet,354巻:1341−1346ページ(1999年)参照)およびイオンチャンネル(エボテックOAI,www.evotecoai.comおよびファーマリンクス、www.;pharmalinks.org/research/cellsignalling)などで利用できる。
【0071】
一つの実施例では、ポリペプチドはインテグリンである(インテグリンから引き出されるシグナル伝達経路はゆるやかで、非常によく特徴付けられてはいないので、大抵の分析は、単なる結合測定法かまたは測定下流生物学的現象(移動、浸潤等)(ガンタ他、内分泌学、138巻:3606−3612ページ(1997年);シム、J.Biomed.Mater.Research,68A:352−359ページ(2004年);ヴァインレブ他、Anal.Biochem.,306巻:305−313ページ(2002年)参照)、またはシトクロムP450酵素(殆どすべてのシトクロム分析は、基質は何か、および((放射線)標識がないかされているかの)基質の測定変換または産物の生成についての知識が必要となる。有用なC14標識基質がエイマシャム・バイオサイエンスからwww1.amershambiosciences.comで利用できる)、あるいは核ホルモン受容体(エストロゲン分析などの分析法がディスカバークス、フリーモント、カリフォルニアから利用可能。またローゼン他、Curr.Opin.Drug.Discov.Devel.,6巻:224−230ページ(2003年)も参照のこと)のいずれかになる。
【0072】
一つの望ましい実施例において、生物活性は受容体活性であり、望ましくは受容体がGタンパク質共役受容体(GPCR)である場合である。
【0073】
GPCRsは細胞形質膜を7回前後に貫通する膜貫通タンパク質であり、リガンド結合部位は細胞の膜表面の外側に位置をし、またエフェクター部位は細胞内に存在する。これらの受容体は、GDPとGTPに結合する。リガンド結合結合に応答して、GPCRsはシグナル伝達経路を活性化し、後者は数多くの分析可能な生理学的変化、例えば細胞内カルシウム水準の増加、サイクリックAMP、イノシトールリン酸の出来高、および下流遺伝子転写(直接またはレポーター分析経由)、ならびに本発明の遺伝子によりコード化されるポリペプチドがGPCRの場合にGPCR活性化を促進するのに利用できるその他のトランスロケーション分析などを誘導する。かくしてこのようなタンパク質は、第二メッセンジャーを通して作業する。その結果は、遺伝子産物の産生を刺激する転写因子であるCREB,CRE結合タンパク質である。有用な分析の一つは、GPCRsと相互作用する化合物を選別するのに有用なBRET2/アレスチン分析である(バートランド他、J.Recept.Signal Transduct Res.,22巻:533−541ページ(2002年2月−11月)を参照)。更に数多くの分析が、ノラック・バイオサイエンシズ,インコーポレイテッド(www.norakbio.com)からのトランスフルア分析(Transfluor Assay)またはいずれもセロミクスからのアレースキャン(ArnayScan)およびキネティックスキャン(KineticScan)、あるいはサイビオ(CyBio、ドイツ、イエーナ)からの分析などのように、商業的に利用できる。
【0074】
本発明で有用な分析は、リガンドを加えた後アゴニストとアンタゴニストを選別するように通常は組立てられるが、これらのパラメーターの殆どに対する効果は、受容体に対するリガンドが既知であるかどうかを特定することができる。このような分析は、放射性リガンド結合試験法を伴うことも可能である。アゴニストによるGPCRsの大多数の活性化は、受容体とのベータアレスチン(受容体の脱感作および隔離(sequestration)を伴なうタンパク質)の相互作用に導き、それは蛍光エネルギー移動により測定される。
【0075】
ここで引用されたすべての定期刊行物、または他の出版物の開示は、その全体を引用例としてここに組み込まれる。
【0076】
一つの実施例において、ポリペプチドは溶液または懸濁液にあり、試験化合物との接触は試験化合物とタンパク質分子との間の直接接触による。選択肢としてポリペプチドは細胞内にあり、試験化合物は、ポリペプチドと接触するために細胞内に拡散されねばならない。選択実施例において、試験化合物は、ポリペプチドを含みまたは発現する細胞と接触されるが、試験化合物がポリペプチドと直接接触しない場合もある。その代りに試験化合物が異なる化合物、例えば細胞間第二メッセンジャーなどの異なる化合物の産生およびまたは活性を誘導するよう行動し、この異なる化合物がポリペプチドと接触しポリペプチドの生物活性を調節または変化させるのに役立つこともある。
【0077】
前記の要項に従って、本発明の方法は、それ自身がポリペプチド、または小化学実体のいずれかである癌調節薬を含み、それはin vivoまたはex vivoのいずれかで腫瘍増殖の開始、抑制または促進を含む癌過程に影響を及ぼす。このような薬剤は、ここで開示されるように、遺伝子によりコード化される1個またはそれ以上のポリペプチド、望ましくは配列識別番号806−854のアミノ酸配列のいずれか1個を含むポリペプチドと反応する抗体であってもよい。
【0078】
ここで開示された遺伝子が過発現されており、また細胞の癌状態に関するために、成功する抗腫瘍活性は、表1で同定される前記遺伝子の発現を減少させる薬剤により一般的に提示されることになる。その一つの実施例では、発現の変化は現在検討中である遺伝子または遺伝子群のコピー数での減少となる。それに従って、遺伝子コピー数の前記変化は、前記遺伝子配列によりコード化されるメッセンジャーRNA発現の変化を検出することにより都合よく測定される。もう一つの望ましい実施例では、遺伝子が2個、5個、10個またはそれ以上などのようなこの遺伝子の1個以上で測定される。
【0079】
ここで開示された遺伝子の発現の変化を測定するのに有用な他の方法は、前記遺伝子によりコード化されるポリペプチドの合成量または合成割合の変化、望ましくは前記ポリペプチドの合成の減少を測定することを含む。もっとも望ましくは、ポリペプチドは表 1(配列識別番号1−923)で同定された遺伝子の配列に極めて相同であるアミノ酸配列を含む。
【0080】
かくして本発明の方法は、癌状態の処置に有用な抗腫瘍薬を同定するのに利用することができる。このような活性は、既に記載した分析を使用してこのような薬剤をまず同定し、更にこのような薬剤を癌細胞に接触させ、続いて前記細胞乃至は細胞群の状態を観察記載することにより更に修飾することができる。成功する抗腫瘍活性を示す状態の変化は、癌細胞の複製率の減少、前記癌細胞により産生される全子孫細胞数の減少、または前記癌細胞が複製できる回数の減少、あるいは前記癌細胞の死滅を含むことができる。
【0081】
抗腫瘍薬は、更にここで開示された癌関連遺伝子を含み、かつ発現するように適切に設計加工された組み換え細胞を用いて同定することができる。このような組み換え細胞を形成する方法は、文献等で公知である。例えば、サムブルック他、分子クローニング:実験室マニュアル、第2版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989年);ウー他、遺伝子バイオテクノロジーにおける方法(CRCプレス、ニューヨーク、ニューヨーク、1997年),および組換え遺伝子発現プロトコル、分子生物学の諸方法、第62巻所収(トゥーアン編、ヒュマーナ・プレス、トトワ、ニュージャージー、1997年)を参照のこと。これらの開示は、ここで引用例として組み込まれる。
【0082】
本発明は、更に細胞の癌状態を検出する方法に関し、表1(配列識別番号1−923)で同定される染色体対象領域を地図化する少なくとも1個の遺伝子のコピー数およびまたは発現の上昇を検出することを含む。このような発現の上昇は、同一遺伝子を持つ他の正常細胞のそれと比較することにより、容易に観察記録することができる。これら遺伝子の発現の上昇は、癌状態を示すものとなる。これは表1(配列識別番号1−923)で同定されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに一致する遺伝子を含む。コピー数増加を含むこのような発現の上昇は、このような遺伝子1個以上の発現であり得る。
【0083】
本発明は、更に癌連鎖遺伝子を検出する方法に関し、その方法は、以下のステップ、すなわち、
表1(配列識別番号1−923)で同定されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに一致する遺伝子に対し遺伝子調節活性を持つものと同定された化合物を、試験遺伝子を発現する細胞に接触させ、
前記化合物が存在しない場合と比較して、このような試験遺伝子の例えば活性の減少などの調節を検出し、
これにより癌関連遺伝子として前記試験遺伝子を同定する、
各ステップを含む方法である。
【0084】
もう一つの実施例において、癌を処置する方法が提供され、それは本発明に基づき開示された分析方法のいずれかを使用する遺伝子調節活性を持つものとしてまず同定された薬剤に、癌細胞の癌活性を減少させる有効量の前記薬剤に前記癌細胞を接触させることを含む。望ましい実施例では、癌細胞はin vivoで接触される。他の望ましい実施件では、癌活性における前記減少は、癌細胞の増殖割合の減少であり、または前記癌活性の減少は、前記癌細胞の死滅である。
【0085】
本発明は、更に癌を処置する方法に関し、それは表1(配列識別番号1−923)で同定されるヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに対応する遺伝子によりコード化される発現産物に対して活性を持つ薬剤に癌細胞を接触させることを含み、ここで前記産物はポリペプチドであり、もっとも望ましくは表1(配列識別番号806−854)で同定されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。望ましい実施例において、前記癌細胞はin vivoで接触される。もう一つの望ましい実施例において、薬剤は抗体である。
【0086】
特に言及したように、分析方法で有用な遺伝子は、対象となる染色体領域内で地図化された遺伝子および表1(配列識別番号1−923)で同定された遺伝子、またはその対応するcDNAが表1(配列識別番号1−923)で同定された配列の一つである同一のメッセンジャーRNAなどの同一のRNAをコード化する遺伝子である。本発明の方法に有用な遺伝子は、その対応するcDNAが表1(配列識別番号1−923)で同定された配列に少なくとも90%同一であり、望ましくはそのような配列に少なくとも約95%同一であり、より望ましくはそのような配列に少なくとも約98%同一であり、もっとも望ましくはその配列が本発明のすべての方法により特異的に熟考されるものを含む遺伝子である。
【0087】
加えて、その配列のパーセント同一性に拘わらず、これら配列のいずれかと同一のタンパク質(配列識別番号806−854)をコード化する配列も、本発明により考察される。
【0088】
ここで開示された配列は、事実上ゲノムであり、従ってヒト遺伝子などのような現実の遺伝子の配列を表1、またはメッセンジャーRNA(mRNA)から誘導されたcDNA配列であり、従って対応するゲノム配列から誘導される隣接エキソン配列を表し、あるいはそれらの配列は、試験目的のために完全に合成されたものであってもよい。実施例で記載されるように、これらの癌関連遺伝子の発現は、正常(すなわち非癌)細胞と比較した癌細胞のRNA補体の相対的発現水準から測定される。当初のRNA転写産物から最終mRNAに形質転換する際に起こる処理の故で、ここで開示された配列は、完全ゲノム配列以下のものを表わす。それは更にリボソームRNAsおよび転換RNAから誘導される配列を表わす。従って、細胞間に存在する(およびゲノム配列を表わす)遺伝子およびその殆どがcDNA配列であるここで開示された配列は同一であることができ、またはcDNAが完全ゲノム配列以下のものを含むようなものであってもよい。このような遺伝子およびcDNA配列はやはり対応配列であると見做されるが、それはいずれもが類似のRNA配列をコード化するためである。かくして限定されない実施例のみによって、RNA転写産物をコード化し、次いでより短いmRNAに加工される遺伝子は、そのようなRNAs両方をコード化し、従ってさもなければコード化されるcDNA(例えば、ここで開示された配列)に相補的であるRNA(通常ワトソン・クリック相補性ルールを用いて)コード化する。かくしてここで開示された配列は、発現の相対的水準を測定するために使用される癌細胞または正常細胞に含まれる遺伝子に対応し、それは、これらのものがその遺伝子によりコード化されるRNAsと同一の配列を表わしているか、またはRNAsに対し相補的であるためである。このような遺伝子は、更に本発明の方法で使用される細胞内で起こる異なる対立遺伝子およびスプライス変異体を含む。
【0089】
本発明の遺伝子が、指示された配列を持ちポリヌクレオチドによりコード化され、またはハイブリダイゼーションによるもののようにポリヌクレオチドに相補的であるRNAに少なくとも90%同一、望ましくは95%同一、もっとも望ましくは少なくとも98%同一、およびとりわけRNAに同一である(天然に起こるスプライス変異体および対立遺伝子を含む処置された、または処置されない)RNAをコード化するならば、前記本発明の遺伝は表1(配列識別番号1−923)で同定された配列を持つポリヌクレオチドに「対応する」。更に表1(配列識別番号1−923)で同定される配列に少なくとも90%同一、望ましくはそのような配列に少なくとも約95%同一、より望ましくはそのような配列に少なくとも約98%同一、およびもっとも望ましくはそのような配列を含む配列を含む遺伝子は、これらの配列に対応する遺伝子として本発明のすべての方法により特異的に熟考される。更にまたこれらの配列のいずれかと同一のタンパク質をコード化する配列は、このような配列のパーセント同一性に拘わることなく、それらが別途いかに記載されまたは限定されているかには無関係に、前記配列のいずれかあるいはすべてに依存する本発明の方法のいずれかによって特異的に熟考される。かくして、このような配列のいずれかは、本発明で開示された方法のいずれかを実行する際に使用することが可能である。このような配列は、更にここで定義されるように、表1(配列識別番号1−805および855−923)で同定された配列のいずれかの内に存在するいずれかのオープンリーディングフレームを含む。
【0090】
更に本発明に従って、配列に関連する際に「パーセント同一性」または「パーセント同一である」という用語は、記載されまたは請求された配列(「基準配列」)と比較されるある配列(「比較配列」)のアラインメントの後に、配列が請求されまたは記載された配列と比較されることを意味する。パーセント同一性は下記の式に従って定義される。
パーセント同一性=100[1−(C/R)]、
ここでCは前記基準配列と比較配列のアラインメントの全長にわたり基準配列と比較配列の間に存在する差の数であり、ここで
(i)比較配列内の対応するアラインされた塩基またはアミノ酸を持たない基準配列内の各塩基またはアミノ酸、および
(ii)基準配列内の各ギャップ、および
(iii)比較配列内のアラインされた塩基またはアミノ酸とは異なる基準配列内の各アラインされた塩基またはアミノ酸
とにより差が構成される。またRは比較配列とのアラインメントの全長にわたる基準配列内の塩基またはアミノ酸の数であり、基準配列内に生成されたいずれのギャップも塩基またはアミノ酸の数として計数される。
【0091】
もしアラインメントが比較配列と基準配列の間に存在し、前記計数されたパーセント同一性が特定の最小パーセント同一性とほぼ同じかまたはそれより大きい場合には、前記比較配列は基準配列に対し最小パーセント同一性を持つものとなる。これは、前記計数されたパーセント同一性が前記特定の最小パーセント同一性以下であるアラインメントであっても最小パーセントを持つことに変わりない。
【0092】
ここで使用されるように、ポリペプチドとの関連で使用される場合の「部分」「分節」および「断片」という用語は、アミノ酸残基などの残基の連続配列を引用し、その配列はより大きな配列のサブセットを形成する。例えばポリペプチドがトリプシンまたはキモトリプシンなどのいずれか一般的なエンドペプチダーゼでの処理を受けた場合には、このような処理から生成されるオリゴペプチドは開始ポリペプチドの部分、分節または断片を表わす。ポリヌクレオチドとの関連で使用された場合には、このような用語は、通常のエンドヌクレアーゼのいずれかで前記ポリヌクレオチドの処理により産生される産物、または合成科学的に合成できる一連のポリヌクレオチドを引用する。
【0093】
ここで使用されるように、「DNA分節」または「DNA配列」という用語は、DNAから誘導された個別の断片の形態でまたはより大きなDNA構築物の成分としてのDNAポリマーを引用し、また一本鎖または二本鎖配列の両方を含むことができる。このような分節は、典型的には真核遺伝子に存在する内部非翻訳配列すなわちイントロンにより遮断されないオープンリーディングフレームの形態で提供される。
【0094】
「コード領域」という用語は、自然ゲノム環境においてその遺伝子の発現産物を自然にまたは正常にコードする遺伝子の部分を引用し、すなわち遺伝子の自然発現産物をin vivoでコードする領域である。
【0095】
「ヌクレオチド配列」という用語は、デオキシリボヌクレオチドのヘテロポリマーを引用する。一般に本発明で提供されるタンパク質をコード化するDNA分節は、cDNA断片と短いオリゴヌクレオチドリンカーまたは一連のオリゴヌクレオチドから組立てられ、かくして微生物またはウイルスオペロンから誘導される調節要素を含む組み換え転写ユニットで発現することのできる合成遺伝子が提供される。
【0096】
「発現産物」という用語は、遺伝子コード縮重から生じ、かくして同じアミノ酸をコードする遺伝子およびいずれかの核酸配列コード等価物の自然翻訳産物であるポリペプチドまたはタンパク質を意味する。
【0097】
コード配列に関連した際の「断片」という用語は、その発現産物が完全なコード領域の発現産物と同じ生物機能または生物活性を基本的に保持する完全なコード領域より少ないものを含むcDNAの部分を意味する。
【0098】
本発明は更に、癌組織または癌細胞、あるいは癌ではないかと疑われるサンプルである患者の癌の存在を診断する手段としての用途を見出す。このような目的のため、またここでのいずれかでの開示に従って、このような診断は、本発明に基づき同定された1個またはそれ以上の遺伝子のコピー数の上昇などのような発現の上昇または増幅の検出に基づくものである。このような発現の上昇は、ここで記載されたいずれかの手段により測定することができる。
【0099】
このような一つの実施例において、同じ器官の正常細胞およびまたは組織と対比して、発現の上昇は、対応するcDNAsの産生によるなどのRNAの転写の相対速度を測定し、次いで表1で同定される遺伝子配列から展開されるプローブを用いて生成DNAを解析することにより決定される。かくして癌ではないかと疑われる細胞の完全RNA補体で逆転酵素の使用により産生されるcDNAの水準は、生成cDNAの相対水準、それによる遺伝子発現の相対水準を決定するために、ポリメラーゼ連鎖反応またはローリングサークル増幅などのようなその他の手段を用いて増幅できる対応するcDNA量を産生する。
【0100】
RNA分析に対して、後者はカオトロピック試薬(例えばトリアゾール)を含むフェノール溶液での溶解と変性、次いでイソプロパノール沈殿、エタノール洗浄、水溶液での再懸濁;または溶解と変性、次いでキアーゲン樹脂などの固形支持体上での単離、および水溶液での再構築;または非フェノール系水溶液での溶解と変性、次いでRNAからDNA鋳型複製への酵素変換などを含む様々な方法でサンプルから単離することができる。与えられた型の細胞または組織に対する定常状態RNA水準は、本発明の採用前に確認しておく必要があるが、それは従来の技術の範囲内にあり、ここでより詳細に記載はしない。
【0101】
選択肢として、コピー数増加などの発現の上昇は、試験される細胞に存在するDNAのプローブを生成する手段としての表1での同定されるヌクレオチド配列を使用することにより、癌細胞または癌ではないからと疑われる細胞に存在する遺伝子を測定することができる。かくしてこのような細胞のDNAは抽出され、本発明の1個またはそれ以上の遺伝子の増加量のこのような細胞のゲノムでの存在をここで開示される配列を用いてプローブすることができる。例えばここで開示された癌関連または癌連鎖遺伝子が細胞のゲノム内で多数の複製で存在すると発見された場合、例えばそれがそのような測定時点で活発に過発現されていない場合であっても、それは続く時期に癌の増加に向かうという傾向を少なくとも示していると言える。
【0102】
前の記載に従って、ここで開示されたこのような遺伝子または遺伝子群の多数の複製の存在は、本目的のプローブを展開するため表1で同定された配列を採用しノーザンブロット法またはサザンブロット法を用いて決定することができる。このようなプローブは、DNAまたはRNAで構成され、また有利なことに表1で同定された配列に付合しあるいはそれに相補的であるヌクレオチド残基の隣接ストレッチより成る。このようなプローブは、もっとも有利なことに、表1で同定された配列の1個またはそれ以上から誘導された少なくとも15個、望ましくは少なくとも30個、より望ましくは少なくとも50個、もっとも望ましくは少なくとも80個、とりわけ望ましくは少なくとも100個、更には200個までの残基で隣接ストレッチを含むであろう。かくして単一プローブが、癌である、または癌の疑いのある、あるいは癌になる素因のある細胞サンプルのゲノムに多数回結合する場合、同じ器官または組織の別の非癌細胞のゲノムから誘導されたDNAの類似の量への同一プローブの結合が識別可能なほど少ない結合に帰着するということを考慮するならば、配列化されるプローブがそれから誘導された表1で同定される配列を含む、または配列に対応する遺伝子の多数の複製の存在をこれは示している。
【0103】
発現の増加は、更にここで開示された遺伝子の発現産物に選択的に結合し、遺伝子産物を検出する薬剤を用いて決定することができる。例えば抗体が蛍光または放射線標識と結合する場合のような抗体、可能なれば適切に標識された抗体は、表1で同定された配列(連続番号1−229(乳房)、230−440(結腸)、441−656(肺)、および657−805(前立腺):ポリペプチド配列識別番号については、表1参照、連続番号806−823(転写産物またはタンパク質))を含むポリペプチドの一つに対して生成され、また前記抗体は、次いでここで開示された配列に対応する遺伝子の一つによりコード化されるポリペプチドに選択的にまたは特異的にのいずれかで結合して反応する。別の非癌細胞および組織と対立するものとして、癌と疑われる細胞および組織から誘導されたとりわけこのような結合の相対的範囲で結合する抗体は、次いでここで同定された癌関連遺伝子の発現、または過発現の範囲の尺度として使用することができる。従って、癌細胞および組織で過発現されるとしてここで同定された遺伝子は、過発現が、遺伝子を活性化しRNAポリメラーゼの結合反復に導き、表1(配列識別番号1−923)で同定されるアミノ酸配列を含むポリペプチドのようなポリペプチドに続けて翻訳されるRNA転写産物の正常というよりむしろ大きな量を生成するように、過発現が転写産物因子の過産生であるような場合に、コピー数の増加に起因し、または過転写の故で過発現される。このような分析は、本発明に基づき同定される遺伝子の発現を確認し、それにより検査される患者における続く時間に癌を進化させる素因について、前記患者から取り出されたサンプルにおける癌状態の存在を決定する追加の手段を提供する。
【0104】
本発明の方法を採用するに際して、心に留めておかなければならないことは、癌状態を示す遺伝子発現が癌であることが発見されたすべての細胞の特徴である必要はない、ということである。かくしてここで開示された方法は、すべての細胞が過発現の完全なパターンを提示するとは言えない場合でも、組織内の癌状態を検出するのに有用である。例えば表1で同定された配列の少なくとも1個に、緊縮条件下で相同である、または少なくとも90%、望ましくは95%同一である配列を含む一連の選択された遺伝子は、DNAまたはRNAいずれかの適切なプローブを用いて、腫瘍または悪性組織から取り出された細胞の60%以下であっても存在し、一方対応する非癌細胞または他の正常組織から取り出された細胞の60%以上であっても存在しない(かくしてこのような正常組織細胞の40%以下で存在する)ことを発見することができる。望ましい実施例において、このような遺伝子パターンは、癌組織から取り出された細胞の少なくとも70%に存在し、また対応する正常非癌組織サンプルから取り出された細胞の少なくとも70%には存在しないことが発見される。とりわけ望ましい実施例において、このような遺伝子パターンは、癌組織から取り出された細胞の少なくとも80%に存在し、また対応する正常非癌組織サンプルから取り出された細胞の少なくとも80%に不在であることが発見される。もっとも望ましい実施例において、このような遺伝子パターンは、癌細胞から取り出された細胞の少なくとも90%に存在し、また対応する正常非癌組織サンプルから取り出された細胞の少なくとも90%に存在しないことが発見される。追加の実施例において、このような遺伝子パターンは、癌組織から取り出された細胞の100%に存在し、また対応する正常非癌組織サンプルから取り出された細胞の100%に存在しないことが発見されるが、この実施例はめったに現われることはない。
【0105】
更なる見地において、本発明は、癌発生または促進遺伝子を決定する方法に関し、それは試験遺伝子(すなわちその状態が癌発生または促進する遺伝子として決定される遺伝子)を発現する細胞を、表1で同定されるものより成るグループから選択される配列を含む、またはそれを持つポリヌクレオチドによりコード化されるRNA(すなわちそのポリヌクレオチドに対応する遺伝子)の少なくとも90%、望ましくは95%同一であるRNAをコード化する遺伝子の発現を減少させる薬剤に接触させ、前記薬剤が存在しない場合と比べて前記試験遺伝子の発現の減少を検出は、これにより前記試験遺伝子が癌発生または促進遺伝子であることを同定する、ことを含む。このような遺伝子は勿論癌遺伝子であり、発現の前記減少は、コピー数が細胞の複製により形成される細胞内で減少するように、前記細胞から誘導される細胞内で前記細胞のコピー数減少によるものである。
【0106】
かくして、表1で同定されたものに対応するここで開示された遺伝子のいくつかのものまたはすべては、癌または他の疾病および疾病過程においても、その発生または進行において直接な役割を果すことが発見された。これらの遺伝子の発現における変化(上向き調節)が疾病状態(すなわち癌)と連鎖しているために、発現の変化は疾病の発生または進行に貢献することができる。例えば上向き調節される遺伝子が癌遺伝子であるならば、このような遺伝子は発現産出高のみに基づいてスクリーンを越えて小分子治療法のためのスクリーニングの手段を提供する。例えば、癌で上向き調節を提示し、その発現の上昇が疾病の発生と進行に寄与する遺伝子は、遺伝子の機能を阻害または診断する小分子のスクリーンに標的を示す。その例は必ずしもそれに限定されないが、キナーゼ阻害、細胞増殖、タンパク質標的の活性部位を遮断する基質類似体などを含む。
【0107】
遺伝子が癌化過程に関係するものとして評価されてきた各種の異なるコンテキストが存在することは注目されねばならない。かくして、ある遺伝子は癌遺伝子であり、癌化過程に直接関連するタンパク質をコード化し、これにより動物において癌の発生を促進することがある。他の遺伝子は、単に癌化過程または癌状態に直接または間接的に関与し、癌状態に関連して補助的な役割で役立つこともある。このようなすべての型の遺伝子が、ここで開示された本発明に基づき決定されるものと見做される。かくして、本発明の前記方法により確認された遺伝子は、癌遺伝子であり、または前記方法により決定された遺伝子は癌促進遺伝子であり、後者は、in vivoまたはex vivoで癌状態を促進し、または癌増殖の進行を促進し、もしくは癌細胞の増殖を調節するのいずれかで癌化過程に直接または間接的に影響を与える遺伝子を含む。このような遺伝子は、その発現が、癌状態を発生しその進行を促進することにそれ自身直接関係するその他のある遺伝子または遺伝子発現産物の活性を変更する場合には、間接的に作用するであろう。例えば、その型が野生型または突然変異性型のいずれかであるポリペプチドをコード化し、そのポリペプチドが癌抑制遺伝子またはその発現産物の抑制するものとして作用する遺伝子は、従って腫瘍増殖を間接的に促進するように作用する。
【0108】
前の記載に従って、本発明の方法は、in vivoまたはex vivoで腫瘍増殖の発生、抑制または促進を含む癌化過程に影響を与えるそれ自身がポリペプチドまたは小化学実体である癌調節薬を含む。このような薬剤は、表1で同定される1個またはそれ以上のポリペプチド(配列識別番号806−923(転写産物またはタンパク質))と反応する抗体であることもある。
【0109】
ここでの開示と離れることなく、本発明は、更に癌を処置する方法に関し、それは対象となる染色体領域内で遺伝子地図化によりコード化される発現産物、または選択的に、そのような発現産物が表1で同定されるポリペプチドの一つである場合のような表1で同定されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに対応する遺伝子、に対して活性を持つ薬剤に癌細胞を接触させることを含む。
【0110】
本発明の方法は、前に再引用した方法の実施例を含み、ここで前記癌細胞は、in vivo同じくex vivoで接触され、ここで望ましくは前記薬剤は、前記発現産物に親和性を持つ全分子構造の部分を含む、あるいはその構造の一部である。このような一実施例では、前記発現産物に親和性を持つ前記部分は抗体である。
【0111】
本発明の一実施例では、タンパク質または他のポリペプチドなどの化学薬剤は、癌過程に関連する遺伝子、とりわけ表1で同定されたcDNA配列の一つに対応する遺伝子配列によりコード化されるポリペプチドまたはタンパク質などのような癌細胞の発現産物に親和性を持つ抗体などの薬剤に結合される。特異的実施例において、前記発現産物は前記抗癌剤の親和性部分を治療標的として作用し、またそのような薬剤の親和性部分の発現産物への結合の後の場合には、前記薬剤の抗癌部分が前記発現産物の腫瘍の形成およびまたは成長を開始し、容易にしまたは促進する効果を中和するように前記発現産物に対して作用する。本発明の別の実施例においては、薬剤の前記発現産物への結合は、それ以上ではないにしても、とりわけ前記発現産物の存在が密接にまたは単に付随的なやり方で腫瘍の発展と成長に関係する場合に、癌の促進、助長または成長を妨げる作用を持つことができる。かくして前記発現産物の存在が腫瘍の発達と成長に必須である場合には、前記薬剤の前記発現産物への結合は、前記腫瘍促進活性を無効にする効果を持つであろう。一つのこのような実施例において、前記薬剤は細胞死を誘導し、これによって癌細胞を殺し腫瘍成長を停止させるアポトーシス誘導薬である。
【0112】
多くの癌は染色体再編成を含み、それは典型的にゲノムDNAの特異的領域のトランスロケーション、増幅または欠失を表わすものである。癌の特異的ステージおよび型と関係する再帰染色体再編成は、疾病の発生または進行で直接かつ重要な役割を演じる遺伝子(または多分遺伝子群)に絶えず影響を与える。癌で直接役割を演じる既知の癌遺伝子または癌抑制遺伝子の多くは、再帰染色体再編成からのそのポジショナルクローニングに基づきまず同定されたか、または他の方法によりそのクローニングに続き再編成の範囲内に入ることが実証されてきたかのいずれかであった。すべての場合において、このような遺伝子は、DNAコピー数水準およびmRNA水準での転写発現水準の両方で増幅を示している。
【0113】
本発明は更に機能的に関係する遺伝子を決定する方法に関し、それは表1で同定されたcDNAに対応する1個またはそれ以上の遺伝子配列を、そのようなグループ内の1個以上の遺伝子の発現を調節する薬剤と接触させ、これにより前記グループの遺伝子のサブセットを確認することを含む。
【0114】
本発明に従って、前記機能的に関連する遺伝子は、同じ代謝経路を調節する遺伝子か、または前記遺伝子は、機能的に関連するポリペプチドをコード化する遺伝子である。このような一つの実施例において、前記遺伝子は、とりわけ転写アクチベーターかエンハンサーが表1で同定されるcDNAに対応する遺伝子の活性を増加あるいは調節する際に、同じ前記転写アクチベーターまたはエンハンサーによりその発現が調節される遺伝子である。
【0115】
本発明は、更に産物を産生する方法を含むプロセスに関し、それは薬剤(すなわちここで開示された試験手続きに従って同定される治療薬)を同定するために、ここで開示された方法の一つに従って薬剤を同定することを含み、ここで前記産物は、前記同定プロセスまたは薬剤の結果として前記薬剤に関連されたデータであり、またここで前記データは前記薬剤の化学的性質およびまたは構造およびまたは性質を伝えるのに十分なものである。例えば本発明は、特異的に状況を考慮し、これにより本発明の試験のユーザーが活性を調節する望ましい酵素を持ち、また化合物を同定する化合物をスクリーニングする試験を使用し、次いで本発明に従って薬剤を再産生しそれを治療または研究目的のために投与するための情報を利用する別のユーザーに情報(すなわち構造、用量その他についての情報)を伝えることができる。例えば試験のユーザー(ユーザー1)は、(コード番号の番号が使用された場合、第1のユーザーは単に前記コード番号で標識されたサンプルが与えられる、とうように)、化合物の構造または同一性を知ることなく数多くの試験化合物をスクリーニングし、前記スクリーニングを行った後に、本発明の1個またはそれ以上の試験プロセスを使用し、次いで(例えば対応する結果を持つコード番号などの)特定の調節活性を持つ化合物を同定する十分な情報を口頭でまたは文書であるいは何か同等のやり方で第2のユーザー(ユーザー2)に与える。このユーザー1からユーザー2への情報伝達は、特異的に本発明により考慮される。
【0116】
前記事項に従って、本発明は、化合物の抗腫瘍活性に関する試験データを産出する方法に関し、それは
(a)遺伝子の発現を促進する条件下で表1の連続番号1−229(乳房)、230−440(結腸)、441−656(肺)、657−805(前立腺)のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに対応する、または配列識別番号806−923のポリペプチドまたは転写産物をコード化する少なくとも1個の遺伝子を発現する細胞に化合物を接触させ、
(b)前記化合物が存在しない場合の発現と比較した前記遺伝子の発現における変化を検出し、および
(c)測定された遺伝子または遺伝子の発現における変化に基づいて前記化合物の遺伝子調節活性に関連するデータを産出し、癌細胞におけるよりも非癌細胞においてその発現が上昇し、またその発現が非癌細胞におけるよりも癌細胞で増加する測定された遺伝子または遺伝子群での発現の減少が抗腫瘍活性を示すことを含む。
【0117】
もう一つの実施例において、本発明は、本発明の方法が、ここで開示された遺伝子または遺伝子群の発現の上昇または減少の故で、一定のコースの癌治療が効果的であるかいなかの測定を可能にしているような場合に癌治療の進展をモニタリングする方法を提供する。例えば、表1(配列識別番号1−805)で同定された1個またはそれ以上の遺伝子コピー数の増加がある場合には、そのような遺伝子のモニタリングが、化学療法などのコースの療法の成功または失敗を予言し、またはそれらの療法のコースに続くこれらの遺伝子の1個またはそれ以上の活性または発現の上昇に基づく逆戻りの尤度を予言することができる。
【0118】
前記の事項に従って、本発明は癌に悩む患者への癌処置の開始に続き、前記患者における癌処置の進行を測定する方法を熟考し、それは
(a)1個またはそれ以上の遺伝子の発現を促進する条件下で、表1の連続番号1−229(乳房)、230−440(結腸)、441−656(肺)、657−805(前立腺)のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに対応する、または(配列識別番号1−923のいずれかを含む)表1の連続番号806−923のポリペプチドまたは転写産物をコード化する1個またはそれ以上の遺伝子の発現の変化を前記患者で測定し、また
(b)前記癌処置の開始前に測定された1個またはそれ以上の遺伝子の発現と比較して前記遺伝子の発現における変化を検出し、
それにより前記処置の進行状況を測定することを含む。
【0119】
望ましい実施例において、発現で検出された変化は発現の減少である。もう一つの望ましい実施例において、癌処置は、化学療法薬が本発明の方法を用いて抗腫瘍活性を持つものとして初めて同定されたような場合に、ここで同定された遺伝子の発現を調節し、望ましくは減少させる化学療法薬である。かくして本発明のこの見地に従って、研究目的のために誘導された癌を含む癌に悩む患者、またはマウス、ラット、ラビットまたは霊長類などの研究用動物も、ここで開示された1個またはそれ以上のスクリーニング法で抗腫瘍活性を持つものとして最初に同定されたものを含む抗癌剤の投与などの癌治療処方を導入される。このような処置の進行状態およびその成功または失敗は、前記処置に続き1個またはそれ以上の遺伝子、望ましくはここで同定された少なくとも3個、または5個、あるいは10個の遺伝子、またはここで開示された転写産物またはポリペプチド(表1参照)をコード化するものの発現を測定することにより確認される。望ましい実施例では、前記発現を減少させる処置は有効なものであると見做され、それは前記処置を継続する基礎となる。これにより本発明の方法は、処置の成功を続けてモニタリングし、前記処置を継続する必要性と望ましさの両方を評価する手段を提供する。加えて、一つ以上の前記処置は、そのような組み合わされた処置の全体としての成功を測定する際に、本発明の方法の価値を減ずることなく同時に投与することができる。かくして1個以上の前記抗腫瘍薬を同じ患者に投与することができ、列挙された方法により全体としての効果を確認できる。
【0120】
前記事項に従って、本発明は、更に癌に悩む患者に対する癌処置の開始に続き、前記癌患者の生存率の尤度を測定する方法を熟考し、それは
(a)1個またはそれ以上の遺伝子の発現を促進する条件下で、表1の連続番号1−229(乳房)、230−440(結腸)、441−656(肺)、657−805(前立腺)のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに対応する、または表1の連続番号806−923のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに対応する1個またはそれ以上の遺伝子の発現における変化を前記患者で測定し、
(b)前記癌処置の開始前に1個またはそれ以上の測定された遺伝子の発現と比較して前記遺伝子の発現における変化を検出し、
それにより前記処置の生存率の尤度を測定する、
ことを含む。
【0121】
望ましい実施例において、発現における検出された変化は、発現の減少であり、前記測定された遺伝子または遺伝子群は、ここに記載された遺伝子の2個、3個5個、10個またはそれ以上を含むことができる。かくして本発明の方法は、ここに開示された他の方法と共に1個またはそれ以上の組合せ可能な処置に続けて、癌生存率統計をまとめる手段として利用することができる。
【0122】
ここで同定された遺伝子は、本発明のスクリーニング手続きに基づく化学療法の有効な遺伝子標的としてこれら遺伝子の同定から生じる組合せ処置を含む臨床試験およびまたは標的療法に先立つ患者プロファイリングなどのような薬力学マーカー(または薬理遺伝学マーカーおよびまたは代理マーカー)として自身を提供する。その一つの実施例では、選択されて化学療法薬での癌処置の成功の尤度は、このような薬剤が、とりわけ前記遺伝子が癌で悩む予期された患者からのサンプルで発現水準の上昇を示すものとして同定された場合に、そのような治療薬がここで同定された1個またはそれ以上の遺伝子で発現調節活性を持つと測定された事実に基づくものである。細胞の癌状態を測定するために、本明細書のいずれか別の箇所で記載された方法は、そのような評価に容易に使用することができる。
【0123】
ここで開示された本発明の手続きを実行するに際し、特定の緩衝液、培地、薬剤、細胞、培養条件、その他のいずれかの引用は、限定するように意図したものではなくて、従来の技術に習熟した人が提出された議論の特定のコンテキストに関心を持ちまたは価値あるものと認識するすべての関連する材料を含むように読み取られるべきであることに注意を払われねばならない。例えば、一つの緩衝液系または培養培地をもう一つのものに置換し、その結果が同一ではないにしても類似の効果を達成することはしばしば可能である。従来の技術に習熟した人は、そのような系および方法論についての十分な知識を有しており、過度の実験をすることなくここで開示された方法および手続きを用いて彼等の目的に最適に役立たせるようにこれらの置換を行うことができる。
【0124】
本発明は、これから以下の限定されることのない実施例により更に記載されることになる。実施例の開示を適用するに際して、本発明に基づき開示された方法の他の異なる実施例が、当業者に関連する技術を間違いなく示唆するであろうということは心に留めて置かねばならない。
【0125】
実施例
表1で同定された遺伝子(連続番号1−229(乳房)、230−440(結腸)、441−656(肺)、657−805(前立腺)、連続番号806−923(転写産物またはタンパク質)、すなわち配列識別番号1−805および855−923)に対応するものから選択された1個またはそれ以上の遺伝子を過発現する癌細胞が、2mM L−グルタミン(90%)および10%胎仔ウシ血清で補充されたリーボビッツL−15培地で10細胞/cmの密度まで増殖される。細胞は0.25%、トリプシン、0.02%EDTAで37℃、2乃至5分処理された後収集される。トリプシン消化細胞は、次いで30ml増殖培地で希釈され、96ウエル平板(200μl/ウエル)でウエル当り50,000細胞の密度で平板培養される。翌日、細胞は、化合物緩衝液のみ、または試験される化学薬剤を含む化合物緩衝液のいずれかで24時間処理される。培地が次いで除去され、細胞は溶解され、RNAがRNAeasy薬剤およびキアーゲン社から得られたプロトコルを用いて回収される。RNAは計量され、1μlでのサンプル10ngが、1X PCR緩衝液、RNAsin、逆転写酵素、ヌクレオシド三リン酸、アンプリタークゴールド、トゥイーン20、グリセロール、ウシ血清アルブミン(BSA)、および特異的PCRプライマーなどに引用遺伝子のためのプローブ(18S RNA)ならびに試験遺伝子(ジーンX)を含むタクマン反応混合物24μlに加えられる。次いで逆転写が48℃、30分で行われる。サンプルは次いでパーリン・エルマー7700配列検出器に適用され、10分、95℃で熱変性される。増幅はすべて40サイクル、60℃で15秒アニーリング、次いで72℃で60秒延長、更に95℃で30秒の変性が行われる。データファイルが次いで捕獲され、データは適切な基線ウインドーと閾値で分析される。
【0126】
標的遺伝子と参考遺伝子の間の量的差異が計数され、相対的発現値が使用されたサンプルすべてに対し測定される。この手続きは、次いで与えられたシグネチャーまたは特徴的なセットでの標的遺伝子のそれぞれで反復され、遺伝子の各対に対する相対的発現比率が測定される(すなわち、各遺伝子の絶対発現がスクリーニングされる各化合物または化学薬剤それぞれの参考遺伝子に相関して測定される場合には、発現比率は、各標的遺伝子対発現が測定される他の各遺伝子で測定される)。サンプルは次いでスコアをとられ、対照と比較した処理サンプルで発現プロファイルの変更度合に従ってランクされる。もう一つのものに比較した化学薬剤により調節された、対照と比較した遺伝子セットの全発現も同じく確認される。与えられた遺伝子、またはセットの遺伝子群にもっとも影響を持つ化学薬剤が、もっとも抗腫瘍性であるものと考えられる。
【0127】
【表1】

【0128】
【表2】

【0129】
【表3】

【0130】
【表4】

【0131】
【表5】

【0132】
【表6】

【0133】
【表7】

【0134】
【表8】

【0135】
【表9】

【0136】
【表10】

【0137】
【表11】

【0138】
【表12】

【0139】
【表13】

【0140】
【表14】

【0141】
【表15】

【0142】
【表16】

【0143】
【表17】

【0144】
【表18】

【0145】
【表19】

【0146】
【表20】

【0147】
【表21】

【0148】
【表22】

【0149】
【表23】

【0150】
【表24】

【0151】
【表25】

【0152】
【表26】

【0153】
【表27】

【0154】
【表28】

【0155】
【表29】

【0156】
【表30】

【0157】
【表31】

【0158】
【表32】

【0159】
【表33】

【0160】
【表34】

【0161】
【表35】

【0162】
【表36】

【0163】
【表37】

【0164】
【表38】

【0165】
【表39】

【0166】
【表40】

【0167】
【表41】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類のゲノムにある遺伝子の増幅を確認することを含む哺乳類の癌を診断するための方法であって、ここで前記遺伝子が表1の遺伝子である方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、ここで前記癌が、乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌から選択されたメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、ここで表1の前記遺伝子が、配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドから選択されるポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する遺伝子であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、ここで前記哺乳類がヒト患者であることを特徴とする方法。
【請求項5】
哺乳類にある癌または前癌状態を診断する方法であって、
(a)癌または前癌状態を持つ疑いのある哺乳類からの細胞または組織サンプルを獲得し、また表1の遺伝子の遺伝子コピー数を前記サンプルで確認し、
(b)ステップ(a)の前記遺伝子コピー数を、診断される型の癌を持たない同種の哺乳類からの対応する細胞または組織サンプルからの同一の遺伝子の遺伝子コピー数と比較し、
これにより、ステップ(b)のものと比較してステップ(a)で確認されたより高い遺伝子コピー数がステップ(a)の哺乳類での癌または前癌状態の存在を示し、前記哺乳類での癌または前癌状態という診断に帰着する
ことを含む方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法であって、ここで前記哺乳類がヒト患者であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5記載の方法であって、ここで前記癌が、乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌から選択されたメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項5記載の方法であって、ここで表1の遺伝子が、配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する遺伝子であることを特徴とする方法。
【請求項9】
哺乳類にある癌または前癌状態を阻害する方法であって、前記細胞を表1の遺伝子の機能を阻害する分子と接触させることを含む方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、ここで表1の前記遺伝子が、配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する遺伝子であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法であって、ここで前記分子が、前記遺伝子に結合することにより、遺伝子機能を阻害することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9記載の方法であって、ここで前記分子が、前記遺伝子によりコード化されたRNAに結合することにより、遺伝子機能を阻害することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9記載の方法であって、ここで前記分子が、前記遺伝子によりコード化されたポリペプチドに結合することにより、遺伝子機能を阻害することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項9記載の方法であって、ここで前記分子が、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、リボザイムおよびsiRNAから選択されるメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項9記載の方法であって、ここで前記癌が、乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌から選択されるメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項9記載の方法であって、ここで前記接触がin vivoで起こることを特徴とする方法。
【請求項17】
治療活性を必要とするヒト患者において、前記治療活性を持つ薬剤を同定する方法であって、
(a)前記患者に試験化合物を投与する前に、表1の遺伝子によりコード化された遺伝子産物の水準を、患者から得たサンプルで確認し、
(b)前記試験化合物を前記患者に投与し、
(c)ステップ(a)と同一の遺伝子によりコード化される遺伝子産物の水準を、前記患者からのサンプルで確認し、
ここでステップ(a)に比較してステップ(c)における前記遺伝子産物の水準における減少が治療活性を持つ薬剤としての前記試験化合物を同定する、
ことを含む方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、ここで前記治療活性が抗癌活性であることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法であって、ここで前記癌が乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌から選択されたメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17記載の方法であって、ここで前記遺伝子産物がRNAであることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項17記載の方法であって、ここで前記遺伝子産物がポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法であって、ここで前記ポリペプチドの前記確認が酵素活性の確認であることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項17記載の方法であって、ここで表1の前記遺伝子が、配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する遺伝子であることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項17記載の方法であって、ここで前記分子がアンチセンス DNA、アンチセンスRNA、リボザイムおよびsiRNAであることを特徴とする方法。
【請求項25】
抗腫瘍薬を同定する方法であって、
(a)試験化合物を表1の遺伝子を発現する細胞に接触させ、また
(b)前記接触の結果として、遺伝子発現の変化を確認し、
これにより前記遺伝子発現における前記変化が前記試験化合物を抗腫瘍薬として同定することを含む方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法であって、ここで発現における前記変化が発現の減少であることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項25記載の方法であって、ここで前記接触がin vivoで起こることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項25記載の方法であって、ここで表1の前記遺伝子が配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化する遺伝子であることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項25記載の方法であって、ここで前記分子がアンチセンス DNA、アンチセンスRNA、リボザイムおよびsiRNA、小有機分子および抗体から選択されたメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項30】
表1の遺伝子の前記細胞における発現の上昇を確認することを含む細胞の癌状態を確認する方法であって、ここで前記遺伝子の発現の上昇が前記細胞が癌であることを示す方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法であって、ここで前記発現の上昇が遺伝子コピー数の上昇であることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30記載の方法であって、ここで表1の前記遺伝子が配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化することを特徴とする方法。
【請求項33】
化合物を抗腫瘍薬として同定する方法であって、
(a)試験化合物を表1の遺伝子によりコード化されるポリペプチドと接触させ、
(b)前記接触に由来する前記ポリペプチドの生物活性における変化を確認し、
ここで活性の変化が前記試験化合物を抗腫瘍活性を持つ薬剤であると同定することを含む方法。
【請求項34】
請求項33記載の方法であって、ここで表1の前記遺伝子が配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化することを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項33記載の方法であって、ここで生物活性における前記変化が生物活性の減少であることを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項33記載の方法であって、ここで前記生物活性が酵素活性であることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36記載の方法であって、ここで前記酵素がキナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、ホスホジエステラーゼ、ホスファターゼ、デヒドロゲナーゼ、レダクターゼ、カルボキシラーゼ、トランスフェラーゼ、デアセチラーゼおよびポリメラーゼから選択されることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項37記載の方法であって、ここで前記キナーゼがプロテインキナーゼであることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項37記載の方法であって、ここで前記キナーゼがセリンまたはトレオニンキナーゼであることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項37記載の方法であって、ここで前記キナーゼが受容体チロシンプロテインキナーゼであることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項37記載の方法であって、ここで前記プロテアーゼがセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼまたはアスパラギン酸プロテアーゼであることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項37記載の方法であって、ここで前記トランスフェラーゼがメチルトランスフェラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項42記載の方法であって、ここで前記メチルトランスフェラーゼがシチジンメチルトランスフェラーゼまたはアデニンメチルトランスフェラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項37記載の方法であって、ここで前記デアセチラーゼがヒストンデアセチラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項37記載の方法であって、ここで前記カルボキシラーゼがγ−カルボキシラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項37記載の方法であって、ここで前記ペプチダーゼがジンクペプチダーゼであることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項37記載の方法であって、ここで前記ポリメラーゼがDNAポリメラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項37記載の方法であって、ここで前記ポリメラーゼがRNAポリメラーゼであることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項33記載の方法であって、ここで前記生物活性が膜輸送活性であることを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項33記載の方法であって、ここで前記ポリペプチドが陽イオンチャンネルタンパク質、陰イオンチャンネルタンパク質、ゲートイオンチャンネルタンパク質またはABCトランスポータータンパク質であることを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項33記載の方法であって、ここで前記ポリペプチドがインテグリンであることを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項33記載の方法であって、ここで前記ポリペプチドがシトクロムP450酵素であることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項33記載の方法であって、ここで前記ポリペプチドが核ホルモン受容体であることを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項33記載の方法であって、ここで前記生物活性が受容体活性であることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項33記載の方法であって、ここで前記受容体がGタンパク質共役受容体であることを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項33記載の方法であって、ここで前記ポリペプチドが細胞内に含まれることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項33記載の方法であって、ここで前記分子がアンチセンスDNA、アンチセンスRNA、リボザイム、siRNA、小有機分子および抗体から選択されるメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項57記載の方法であって、ここで前記抗体が配列識別番号806−854のアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的であることを特徴とする方法。
【請求項59】
抗腫瘍薬を同定する方法であって、癌細胞の増殖を促進する条件下で請求項33記載の方法で抗腫瘍活性を持つことを発見された化合物に前記癌細胞を接触させ、前記癌細胞の活性に変化があることを検出することを含む方法。
【請求項60】
請求項59記載の方法であって、ここで活性の変化が前記癌細胞の複製速度の減少であることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項59記載の方法であって、ここで活性の前記変化が前記癌細胞の死滅であることを特徴とする方法。
【請求項62】
癌を処置する方法であって、請求項25,33または59記載の方法を使用し、遺伝子調節活性を持つと最初に同定され薬剤に、癌細胞の癌活性の減少を生じる有効量で前記癌細胞を接触させることを含む方法。
【請求項63】
請求項62記載の方法であって、ここで前記癌細胞がin vivoで接触されることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項62記載の方法であって、ここで癌活性の前記減少が癌細胞の増殖速度の減少であることを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項62記載の方法であって、ここで癌活性の前記減少が癌細胞の死滅であることを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項62記載の方法であって、ここで前記癌が乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌から選択されたメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項67】
癌を処置する方法であって、表1の遺伝子の発現産物に親和性を持つ薬剤に、癌細胞の癌活性の減少を生じる有効量で前記癌細胞を接触させることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項67記載の方法であって、ここで前記発現産物がポリペプチドであることを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項67記載の方法であって、ここで前記分子がアンチセンスDNA、アンチセンスRNA、リボザイム、siRNA、小有機分子および抗体から選択されるメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項69記載の方法であって、ここで前記抗体が配列識別番号806−854から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的であることを特徴とする方法。
【請求項71】
患者の癌治療進捗状況をモニタリングする方法であって、癌治療を受けている患者で表1の遺伝子の発現をモニタリングすることを含む方法。
【請求項72】
請求項71記載の方法であって、ここで前記遺伝子が配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化することを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項71記載の方法であって、ここで前記癌治療が化学療法であることを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項71記載の方法であって、ここで前記癌が乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌から選択されるメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項75】
患者における癌治療の成功の尤度を確認する方法であって、表1の遺伝子の発現を癌治療を受けている患者でモニタリングすることを含み、ここで前記癌治療の完了に先立ち前記発現の減少が前記癌治療の成功の尤度を示していることを含む方法。
【請求項76】
請求項75記載の方法であって、ここで前記遺伝子が配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化することを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項75記載の方法であって、ここで前記癌治療が化学療法であることを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項75記載の方法であって、ここで前記癌が乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および腎臓癌から選択されるメンバーであることを特徴とする方法。
【請求項79】
化合物の抗腫瘍活性に関する試験データを産出する方法であって、
(a)請求項25記載の方法を用いて抗腫瘍活性を持つ試験化合物を同定し、
(b)前記試験化合物の化学構造を同定するのに十分な前記試験化合物の抗腫瘍活性に関連する試験データを産出する、
ことを含む方法。
【請求項80】
化合物の抗腫瘍活性に関する試験データを産出する方法であって、
(a)請求項33記載の方法を用いて抗腫瘍活性を持つ試験化合物を同定し、
(b)前記試験化合物の化学構造を同定するのに十分な前記試験化合物の抗腫瘍活性に関連する試験データを産出する、
ことを含む方法。
【請求項81】
癌に悩む患者に対する癌処置の開始に続き、前記患者における癌処置の進捗状況を確認する方法であって、
(a)表1の1個またはそれ以上の遺伝子の発現の変化を前記患者で確認し、また
(b)前記癌処置に先立ち前記1個またはそれ以上の確認された遺伝子の発現と比較した前記遺伝子の発現における変化を確認し、
ここで発現における前記変化が前記処置の進捗状況を示し、これにより前記処置の進捗状況を確認する
ことを含む方法。
【請求項82】
請求項81記載の方法であって、ここで発現における前記変化が発現の減少であり、また前記減少が前記処置の成功を示すことを特徴とする方法。
【請求項83】
請求項81記載の方法であって、ここで前記遺伝子が配列識別番号1−805および855−923のポリヌクレオチドと同一の遺伝子産物をコード化することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−523456(P2006−523456A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509338(P2006−509338)
【出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/009289
【国際公開番号】WO2004/091548
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(501128379)アバロン ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】