説明

分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体及びこれの製造方法、それから製造された電解質膜、硬粘性電解質ペースト/ゲル

本発明は、分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体及びこれの製造方法に関するもので、特に、化学式1で表される繰り返し単位からなる分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド系共重合体及びこれの製造方法、前記分岐マルチブロック共重合体を利用した電解質膜、硬粘性電解質ペースト/ゲル及びこれらの製造方法、前記電解質膜と硬粘性電解質ペースト/ゲルを利用した膜−電極接合体及びこれの製造方法、前記膜−電極接合体が適用された燃料電池に関するものである。
本発明による電解質膜は、広い温度範囲で高い水素イオン伝導度を有しながらも、機械的物性、耐化学性及び熱安定性に優れているだけではなく、リン酸ドープによる膜物性の低下を効果的に制御して、低いリン酸ドープ水準でも高い水素イオン伝導度を具現する効果があり、本発明による硬粘性電解質ペースト/ゲルは、電極を均一に被覆して燃料電池の作動性能を向上させる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体及びこれの製造方法に関するもので、 さらに詳しくは、広い温度範囲で高い水素イオン伝導度を有しながらも、機械的物性、耐化学性及び熱安定性に優れているだけではなく、リン酸ドープにより膜物性の低下を効果的に制御して、低いリン酸ドープ水準でも高い水素イオン伝導度を具現する効果がある電解質膜及び電極を均一に被覆して燃料電池の作動性能を向上させる硬粘性電解質ペースト/ゲルを製造できる、化学式1で表される繰り返し単位からなる分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド系共重合体及びこれの製造方法、前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド系共重合体を利用した電解質膜、硬粘性電解質ペースト/ゲル及びこれらの製造方法、前記電解質膜と硬粘性電解質ペースト/ゲルを利用した膜−電極接合体(MEA)及び前記膜−電極接合体が適用された燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料の化学的エネルギーを直接電気的エネルギーに変換させるエネルギー転換装置であって、高いエネルギー効率性と、汚染物排出の少ない親環境的な特徴により、次世代エネルギー源として研究開発されている。
【0003】
水素を燃料とする無加湿高分子電解質燃料電池(polymer electrolyte membrane fuel cell, PEMFC)の場合、広い温度範囲で作動可能であるため、冷却装置の不要及び密封部品の簡素化、無加湿水素を燃料として使用するため、加湿器使用の排除、そして速い駆動などの長所により、車両用及び家庭用電源装置として脚光を浴びている。また、他の形態の燃料電池に比べ、電流密度が大きい高出力燃料電池であって、広い範囲の温度で作動されて、構造が簡単であり、速い始動と応答特性がある。
【0004】
高温用燃料電池高分子電解質膜として、ポリアゾール系ポリベンゾイミダゾール[セラゾール(Celazole(登録商標))]は、既に公知である。前記ポリベンゾイミダゾール重合体電解質膜を使用する燃料電池は、通常、無加湿水素を燃料として、100℃以上、特に120℃以上の条件下で作動するため、冷却装置の不要及び密封部品の簡素化、加湿器使用の排除、そして膜−電極接合体(MEA)に存在する貴金属ベースの触媒の活性度を増加させることができる。一般に、天然ガスなどの炭化水素化合物を改質して燃料として使用する場合、相当量の一酸化炭素が改質ガス中に含まれるため、改質ガス後処理または浄化工程により一酸化炭素を除去しないと、触媒を被毒させて、燃料電池性能の致命的な低下を引き起こす。しかし、ポリアゾール系重合体電解質膜を使用する燃料電池の場合、高温作動が可能であり、一酸化炭素による触媒被毒が最小化されるため、高い濃度の一酸化炭素不純物が許容される。
【0005】
既に公知のポリアゾール系ポリベンゾイミダゾール(PBI)は、一般に、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルとイソフタル酸またはこれのエステルと溶融反応して、初期重合体を製造した後、再びこれを粉砕して、次に高温(400℃以下)で固相重合して、ポリベンゾイミダゾール重合体を製造する。ポリベンゾイミダゾール膜を製造するためには、通常高圧反応器を利用して、高温高圧下で固相重合されたポリベンゾイミダゾールを、少量のリチウムクロライド(LiCl)が含有されたジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した後、通常の方法により膜を製造する。
【0006】
ドイツ国特許第10109824.4号は、高圧反応器を利用して高温高圧下でポリベンゾイミダゾールを、少量のリチウムクロライドを含有するジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した後、通常の方法により製造して、高い含量のジメチルアセトアミドを含む膜からジメチルアセトアミドを除去する方法を開示している。しかしながら、前記特許で開示した方法を利用して残留ジメチルアセトアミドを完全に除去するには、たくさんの工程上の難しさがあり、しかも、膜の製造後、後続工程をさらに施さなければならないなどの煩わしさがある。微量のジメチルアセトアミドが膜に残留する場合、燃料電池の作動時、貴金属ベースの触媒の活性度が残留ジメチルアセトアミドにより致命的に低下するため、ジメチルアセトアミド溶媒を利用してポリベンゾイミダゾール膜を製造する方法自体に問題点がある。
【0007】
米国特許第5,525,436号は、通常の方法により製造されたポリベンゾイミダゾール膜をリン酸または硫酸などの強酸でドープして、イオン伝導性ポリベンゾイミダゾール電解質膜を製造する方法を開示している。通常の方法、即ち、高圧反応器を利用してポリベンゾイミダゾールをジメチルアセトアミドに溶解させた後、膜を製造する場合、製造された膜は、高い含量のジメチルアセトアミドを含むようになり、残留ジメチルアセトアミドを完全に除去しなければならず、製造されたポリベンゾイミダゾール膜にイオン伝導性を付与するためには、前記特許で開示する強酸ドープ後工程が必要であるが、溶液注入により製造された高い密度のポリベンゾイミダゾール膜に強酸をドープする方法は、効果的ではない。このような強酸ドープ後工程がポリベンゾイミダゾール膜にイオン伝導性を付与しても、無加湿、140℃でイオン伝導度は、0.1S/cmを超えず、製造された高い密度のポリベンゾイミダゾール膜に後強酸ドープにより誘導された電解質膜のモルホロジー(Morphology)は、ポリベンゾイミダゾール−強酸相互間に最適化されないため、高温でドープされた強酸は、容易に電解質膜から分離され、作動時間によるイオン伝導度の急激な低下を招く。
【0008】
米国特許第5,945,233号は、ポリベンゾイミダゾール硬粘性電解質ペースト/ゲルの製造方法を開示している。前記特許が開示するポリベンゾイミダゾール硬粘性電解質ペースト/ゲルを製造するためには、通常の方法により製造されたポリベンゾイミダゾールに付加的にリン酸及び水を添加した後、高温で攪拌し硬粘性電解質ペースト/ゲルを製造する工程上の煩わしさがある。
【0009】
米国特許公開番号第2004/00127588A1号と第2005/0053820A1号は、五つの段階の工程を通じて製造されたポリアゾール系イオン伝導性高分子電解質膜の提供を開示している。上記特許によると、初期重合体(Precursor)を製造する段階(イ)、初期重合体をポリリン酸に溶解させる段階(ロ)、初期重合体からポリアゾール系重合体を製造する段階(ハ)、支持体上に膜を形成させる段階(二)、形成された膜がそれ自体で支えられるまで処理する段階(ホ)などの五つの段階を通じてリン酸含有ポリアゾール系イオン伝導性高分子電解質膜の提供を開示して、また、段階(ハ)で製造されたポリアゾール系重合体を直接電極に塗布することにより、ポリアゾール系重合体皮膜が塗布された電極の提供を開示した。しかしながら、前記特許で開示する方法によると、ポリアゾール系重合体を製造するためには、高温で初期重合体を製造して、再び初期重合体をポリリン酸に溶解して、高温で初期重合体からポリアゾール系重合体を製造するなど、工程上の難点がある。しかも、前記特許は、段階(ハ)で製造された、ポリリン酸の含有されたポリアゾール系重合体を電極に直接塗布することにより、ポリアゾール系重合体皮膜が塗布された電極の提供を開示したが、これは、ポリアゾール系重合体の極めて高い粘度により、電極を均一に被覆するに困難があって、被覆された電極にイオン伝導性を付与するためには、被覆されたポリリン酸を加水分解しなければならないなどの後続工程が必要であるという問題点がある。
【特許文献1】ドイツ国特許第10109824.4号
【特許文献2】米国特許第5,525,436号
【特許文献3】米国特許第5,945,233号
【特許文献4】米国特許公開第2004/00127588A1号公報
【特許文献5】米国特許公開第2005/0053820A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は、広い温度範囲で高い水素イオン伝導度を有しながらも、機械的物性、耐化学性及び熱安定性に優れているだけではなく、リン酸ドープにより膜物性の低下を効果的に制御して、低いリン酸ドープ水準でも高い水素イオン伝導度を具現する効果がある電解質膜及び電極を均一に被覆して燃料電池の作動性能を向上させる硬粘性(コンシステンシー)電解質ペースト/ゲルを製造することができる、下記化学式1で表される繰り返し単位からなる分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体及びこれの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的は、前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体を利用した電解質膜、硬粘性電解質ペースト/ゲル及びこれらの製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明のまた他の目的は、前記電解質膜と硬粘性電解質ペースト/ゲルを利用した膜−電極接合体(MEA)及びこれの製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、前記膜−電極接合体が適用された燃料電池を提供することにある。
【0014】
本発明の上記目的及びその他の目的は、以下説明する本発明により全て達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記化学式1で表される繰り返し単位からなる分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体を提供する。
【化1】

式中、AZは、化学式2及び化学式3からなる群から選択される1種以上の繰り返し単位を含み、AMは、化学式4、化学式5、化学式6及び化学式7からなる群から選択される1種以上の繰り返し単位を含む。
【0016】
【化2】

【0017】
【化3】

【0018】
【化4】

【0019】
【化5】

【0020】
【化6】

【0021】
【化7】

上記化学式1〜7において、
Ar、Ar、Ar2’、Arは、同一または相異なっており、それぞれ一つ以上の環を有することができる4価芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
Ar、Ar1’、Ar、Ar、Ar、Ar7”は、同一または相異なっており、それぞれ一つ以上の環を有する2価芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
Ar、Ar4’、Arは、同一または相異なっており、それぞれ一つ以上の環を有することができる3価芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
Xは、同一または相異なっており、それぞれ酸素、硫黄または水素原子を含有するアミノ基、炭素数1〜20の基、またはアリール基であって、
aは、0<a<1であり、a’は、0<a’<1であって、
1≦m<10,000であり、1≦n<10,000であり、1≦k<10,000である。
【0022】
また、本発明は、芳香族及びヘテロ芳香族テトラアミノ化合物から選択される1種以上の化合物;カルボン酸単量体1個当たり二つ以上の酸性基を含む芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸及びこれのエステルから選択される1種以上の化合物;芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸から選択される1種以上の化合物;芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸、及び芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物から選択される1種以上の化合物;及び芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸から選択される1種以上の化合物を不活性ガス下でポリリン酸に溶かし、300℃以下の温度で重合することを特徴とする、分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法を提供する。
【0023】
また、本発明は、前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体溶液から製造されることを特徴とする電解質膜を提供する。
【0024】
また、本発明は、前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体溶液を支持体上に直接塗布法により塗布した後、膜が形成されるまでポリリン酸溶媒の加水分解を誘導することを特徴とする電解質膜の製造方法を提供する。
【0025】
また、本発明は、前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体溶液から製造されることを特徴とする硬粘性電解質ペースト/ゲルを提供する。
【0026】
また、本発明は、前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体溶液に少量の水を添加し、ポリリン酸の加水分解を誘導することを特徴とする硬粘性電解質ペースト/ゲルの製造方法を提供する。
【0027】
また、本発明は、前記電解質膜及び硬粘性電解質ペースト/ゲルから製造されることを特徴とする、膜−電極接合体及びこれの製造方法を提供する。
【0028】
また、本発明は、前記膜−電極接合体から製造されることを特徴とする燃料電池を提供する。
【0029】
本発明により得られる新規分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体は、前記米国特許公開番号第2004/00127588A1号と第2005/0053820A1号に開示された、初期重合体(前駆体)を製造する段階(イ)、初期重合体をポリリン酸に溶解させる段階(ロ)、初期重合体からポリアゾール系重合体を製造する段階(ハ)を一つのまとまった段階、即ち、単量体から直接ポリアゾール−アミド系重合体を製造して、工程上の難点を解決した製造方法により製造することができる。
【0030】
また、米国特許第5,945,233号に記載された通常の方法により製造されたポリベンゾイミダゾール(PBI)に付加的にリン酸及び水を添加することなく、単量体から一つの段階で製造されたポリリン酸含有ポリアゾール−アミド系重合体にただ少量の水を加え、ポリリン酸の加水分解を誘導し、硬粘性電解質ペースト/ゲルを製造して、工程上の煩わしさをなくすことができる。
【0031】
本発明により製造される新規分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜は、−20〜200℃の広い温度範囲及び無加湿条件下で高いイオン伝導度を示し、硬粘性電解質ペースト/ゲルは、電極を均一に被覆して、高い性能の燃料電池の提供を可能にする。
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
本発明の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体は、前記化学式1で表される繰り返し単位からなることを特徴とする。
【0034】
前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体は、芳香族及びヘテロ芳香族テトラアミノ化合物から選択される1種以上の化合物;カルボン酸単量体1個当たり二つ以上の酸性基を含む芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸及びこれのエステルから選択される1種以上の化合物;芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸から選択される1種以上の化合物;芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸、及び芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物から選択される1種以上の化合物;及び芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸から選択される1種以上の化合物を不活性ガス下でポリリン酸に溶かし、300℃以下の温度で単量体から直接重合する方法により製造することができる。
【0035】
前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法は、(a)芳香族及びヘテロ芳香族テトラアミノ化合物と芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸に、芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸から選択される1種以上の化合物を分岐剤として使用し、まずアゾール系AZブロックを製造する段階;
(b)前記AZブロックを構成する化合物を不活性ガス下でポリリン酸に溶かし攪拌した後、芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を加え、分岐AZブロックと
【化8】

とが交互に化学的に結合された共重合体
【化9】

を製造する段階;及び
(c)前記共重合体溶液に、芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を加えて攪拌した後、芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸、及び芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物から選択される1種以上の化合物、 芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸から選択される1種以上の化合物と、芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸などを、
【化10】

の溶液に加えて、前記化学式1で表される繰り返し単位からなる分岐マルチブロック共重合体を製造する段階を含んでなる製造方法(A)である。
【0036】
前記製造方法(A)でアゾール系AZブロックを先に製造することが好ましい。
【0037】
前記(a)段階において、分岐剤は、分岐AZブロックの製造時使用されるテトラアミノ化合物の含量を基準に、0.01〜30モル%の含量で使用することができ、好ましくは、0.01〜10モル%である。
【0038】
前記(b)段階において、AZブロックを構成する化合物を不活性ガス下でポリリン酸に溶かし、300℃以下、好ましくは、220℃以下の温度で8時間以下、好ましくは、5時間以下攪拌することができる。
【0039】
前記(b)段階において、芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸は、AZブロックを構成するテトラアミノ化合物の含量を基準に、0.01〜99.99モル%の含量で使用することができ、好ましくは、5〜50モル%である。
【0040】
前記(c)段階において、芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を加えて48時間以下、好ましくは24時間攪拌することができる。
【0041】
前記(c)段階において、芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸及び芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物から選択される1種以上の化合物、 芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸から選択される1種以上の化合物と、芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸は、AZブロックを構成するテトラアミノ化合物の含量を基準に、0.01〜49.99モル%の含量で使用することができ、好ましくは、0.5〜20モル%である。
【0042】
また、前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法は、
(a’)芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を不活性ガス下でポリリン酸に溶かし、まず
【化11】

を製造する段階;
(b’)芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸及び芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物から選択される1種以上の化合物と、 芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸から選択される1種以上の化合物と、芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸とを加え、繰り返し単位
【化12】

からなるマルチブロック共重合体を製造する段階;及び
(c’)芳香族及びヘテロ芳香族テトラアミノ化合物と芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸に加えて、芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸を分岐剤として使用して、前記化学式1で表される繰り返し単位からなる分岐マルチブロック共重合体を製造する段階を含んでなる製造方法(B)である。
【0043】
前記(a’)段階において、芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸は、不活性ガス下でポリリン酸に溶かし、300℃以下、好ましくは、220℃以下の温度で8時間以下、好ましくは、5時間以下攪拌することができる。
【0044】
前記(b’)段階において、芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸及び芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物から選択される1種以上の化合物、 芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸から選択される1種以上の化合物、及び芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸は、
【化13】

を構成する芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸化合物の含量を基準に0.01〜99.99モル%の含量で使用することができて、好ましくは、5〜50モル%である。
【0045】
前記(b’)段階において、220℃以下の温度で48時間以下、好ましくは24時間以下攪拌することができる。
【0046】
前記(c’)段階において、芳香族及びヘテロ芳香族テトラアミノ化合物と芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸、芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸は、
【化14】

を構成する芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸化合物の含量を基準に、10〜1000モル%の含量で使用することができ、好ましくは、50〜500モル%である。
【0047】
前記(c’)段階において、220℃以下の温度で48時間以下、好ましくは24時間以下攪拌することができる。
【0048】
本発明の製造方法で使用された前記芳香族及びヘテロ芳香族テトラアミノ化合物は、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、2,3,5,6−テトラアミノピリジン、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノベンゾフェノン、または、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルメタン及び3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルジメチルメタンとこれらの塩、特に、これらのモノ−、ジ−、トリ−、及びテトラヒドロクロライド誘導体などを単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0049】
前記芳香族カルボン酸は、ジカルボン酸及びこれのエステル、無水物または酸クロライドなどを使用することができる。芳香族ジカルボン酸は、2,3−ビス(4−カルボキシルフェニル)キノキサリン、1,4−フェニレン−ビス−[3−(4’−カルボキシルフェニル)チオウレア]、p−フェニレン−2,2’−ビス[5(6)−カルボキシルベンゾイミダゾール]、ビス(4−カルボキシルフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシルフェニル)フェニルメタノール、ビス(4−カルボキシルフェニル)フェニルホスフィンオキシド、5−ホスフィノイソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、2,6−ジヒドロキシイソフタル酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシフタル酸、2,4−ジヒドロキシフタル酸、3,4−ジヒドロキシフタル酸、3−フルオロフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、テトラフルオロフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、4−トリフルオロメチルフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−スチルベンジカルボン酸、4−カルボキシ桂皮酸からなる芳香族ジカルボン酸;これらのC〜C20−アルキルエステル、C〜C12−アリールエステル;これらの酸無水物及びこれらの酸クロライドなどを単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0050】
前記へテロ芳香族カルボン酸は、ヘテロ芳香族ジカルボン酸またはこれのエステルまたは無水物として一つ以上の窒素、酸素、硫黄またはリン原子が芳香族内に存在するシステムであって、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、4−フェニル−2,5−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2,6−ピリミジンジカルボン酸、2,5−ピリミジンジカルボン酸、ベンゾイミダゾール−5,6−ジカルボン酸;これらのC〜C20−アルキルエステル、C〜C12−アリールエステル;これらの酸無水物または酸クロライドなどを使用することができる。
【0051】
前記芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸は、3,4−ジアミノ安息香酸、これのモノ−及びジヒドロクロライド誘導体などを使用することができる。
【0052】
前記芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸は、4−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ−2−スルホ安息香酸、4−アミノ−3−スルホ安息香酸、4−アミノ−2−スルホ安息香酸、2−アミノピリミジン−5−カルボン酸、6−アミノピリジン−3−カルボン酸、5−アミノピリジン−2−カルボン酸、5−アミノピラジン−2−カルボン酸、5−アミノピリミジン−2−カルボン酸、2−(フェニル)−p−アミノ安息香酸、または3−(フェニル)−p−アミノ安息香酸などを単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0053】
前記芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物は、ベンゼン−1,4−ジアミン、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、ピラジン−2,5−ジアミン、ピリジン−2,5−ジアミン、2−(フェニル)ベンゼン−1,4−ジアミン、ピリミジン−2,5−ジアミン、2−(ピリジン−3−イル)ベンゼン−1,4−ジアミン、2−(ピリジン−2−イル)ベンゼン−1,4−ジアミン、2−(ピリジン−5−イル)ベンゼン−1,4−ジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−(p−アミノフェニル)ベンゼンスルホン酸、または、4,4’−ジアミノ−2−フェニルビフェニルなどを単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0054】
前記分岐剤は、芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸及びこれのエステル、無水物または酸クロライドなどを使用することができる。
【0055】
前記分岐剤として使用される芳香族トリカルボン酸;これらのC〜C20−アルキルエステル、C〜C12−アリールエステル;これらの酸無水物または酸クロライドは、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリト酸)、3,5,3’−ビフェニルトリカルボン酸、または3,5,4’−ビフェニルトリカルボン酸などを単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0056】
前記分岐剤として使用される芳香族テトラカルボン酸またはテトラカルボン酸;これらのC〜C20−アルキルエステル、またはC〜C12−アリールエステル;これらの酸無水物または酸クロライドは、3,5,3’,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、または1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸などを単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0057】
前記分岐剤として使用されるヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸;これらのC〜C20−アルキルエステル、C〜C12−アリールエステル;及びこれらの酸無水物は、2,4,6−ピリジントリカルボン酸を使用することができる。
【0058】
前記分岐マルチブロック共重合体は、アゾール系AZ繰り返し単位の数が10個以上であることが好ましく、さらに好ましくは、100個以上である。また、アミド系AM繰り返し単位の数が1以上であることが好ましく、さらに好ましくは、10個以上である。
【0059】
本発明の目的のために、ベンゾイミダゾール−ベンズアミド繰り返し単位を含む分岐マルチブロック共重合体が好ましく、ベンゾイミダゾール−ベンズアミド繰り返し単位を含む分岐マルチブロック共重合体の例を下記化学式8に表した。
【0060】
【化15】

前記化学式8において、
Ar11は、
【化16】

からなる群から選択され、
Ar12は、
【化17】

であり、
Ar13は、
【化18】

であり、
cは、0<c<1であって、
1≦m<10,000であり、1≦n<10,000であり、1≦k<10,000である。
【0061】
本発明のマルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体は、高い分子量を有して、その固有粘度は、測定した結果、3.4dl/g以上で、市販のポリベンゾイミダゾールの固有粘度より非常に高い。これは、前記共重合体製造に使用された分岐剤、即ち、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸の寄与効果と、ベンゾイミダゾール−ベンズアミドの繰り返し単位からなるマルチブロック共重合体固有の特性によるものであると考えられる。
【0062】
本発明は、前記製造されたマルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体から電解質膜を製造することができる。
【0063】
前記電解質膜は、直接塗布法、即ち、前記製造されたポリリン酸含有マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体溶液を支持体上に、好ましくは、親水処理された支持体上に直接塗布した後、塗布された溶液から膜が形成されるまでポリリン酸溶媒の加水分解を誘導して製造することができる。
【0064】
本発明は、前記製造されたマルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体から硬粘性電解質ペースト/ゲルを製造することができる。
【0065】
前記硬粘性電解質ペースト/ゲルは、前記製造されたポリリン酸含有マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体溶液に少量の水を添加して攪拌し、ポリリン酸の加水分解を誘導すると同時に、残っている水を除去することにより製造することができる。
【0066】
前記添加される水は、ポリリン酸含量を基準に、100〜1,000モル%の含量で使用することができて、好ましくは、100〜200モル%である。
【0067】
前記攪拌時間は、100〜150℃の温度で48時間以下、好ましくは、24時間である。
【0068】
前記製造された硬粘性電解質ペースト/ゲルは、リン酸含有量が50〜200重量%であり、好ましくは、約100重量%である。
【0069】
本発明の膜−電極接合体は、電解質膜に硬粘性電解質ペースト/ゲル及び貴金属ベースの触媒を含有する電極を被覆して、容易な方法により製造することができ、燃料電池に適用時、向上された性能を提供しうる。
【0070】
本発明は、前記製造された膜−電極接合体を適用した燃料電池を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
以下、実施例を通じて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0072】
[実施例1]
〔分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体[Branched multiblock poly(2,2′-p-(phenylene)-5,5′-bibenzimidazole)-//- poly(2,5-benzimidazole)-//-poly(p-benzamide)](80-15-5重量%)1の製造〕
重合に使用されるジカルボン酸と、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルは、80℃、真空下で24時間以上乾燥し、3,4−ジアミノ安息香酸は、蒸留水から再結晶して精製した。即ち、蒸留水100mLに5gの3,4−ジアミノ安息香酸を入れて加熱し全て溶かした後、3,4−ジアミノ安息香酸水溶液を徐々に冷やして、褐色の針状結晶を得た。このように精製された3,4−ジアミノ安息香酸を80℃、真空下で24時間以上乾燥した後、重合体製造に使用した。重合に使用される溶媒として、ジュンセイ(JUNSEI)から提供されたポリリン酸(P2O5:85%、H3PO4:15%)を使用した。
【0073】
窒素雰囲気の攪拌器付き反応槽にポリリン酸80gを加えた後、170℃に温度を上げ、ポリリン酸の攪拌を容易にした後、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル2.000g(9.334mmol)、テレフタル酸1.527g(9.194mmol)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸0.019g(0.093mmol)をポリリン酸に加えて3時間攪拌した後、3,4−ジアミノ安息香酸0.710g(4.667mmol)を反応重合体溶液に加えて、さらに18時間攪拌した。最後に、4−アミノ安息香酸0.224g(1.633mmol)を反応重合体溶液に添加して、さらに24時間攪拌して重合反応を行い、非常に粘度の高い分岐マルチブロックポリアゾール−アミド(80-15-5重量%)共重合体1を製造した。
【0074】
[実施例2]
〔分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体[Branched multiblock poly(2,2′-p-(phenylene)-5,5′-bibenzimidazole)-//- poly(2,5-benzimidazole)-//-poly(p-benzamide)](84-11-5wt%)2の製造〕
前記実施例1で、ポリリン酸80g、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル2.000g(9.334mmol)、テレフタル酸1.527g(9.194mmol)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸0.019g(0.093mmol)、3,4−ジアミノ安息香酸0.473g(3.111mmol)、及び4−アミノ安息香酸0.211g(1.542mmol)を使用して共重合体2を製造したことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0075】
[実施例3]
〔分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体[Branched multiblock poly(2,2′-m-(phenylene)-5,5′-bibenzimidazole)-//- poly(2,5-benzimidazole)-//-poly(p-benzamide)](80-15-5wt%)3の製造〕
前記実施例1で、ポリリン酸80g、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル2.000g(9.334mmol)、イソフタル酸1.527g(9.194mmol)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸0.019g(0.093mmol)、3,4−ジアミノ安息香酸0.710g(4.667mmol)、及び4−アミノ安息香酸0.224g(1.633mmol)を使用して共重合体3を製造したことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0076】
[実施例4]
〔分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体[Branched multiblock poly(2,2′-(4,4′-triphenylphosphineoxide)-5,5′ -bibenzimidazole)--poly(2,5-benzimidazole)--poly(p-benzamide)](85-11-4wt%)4の製造〕
前記実施例1で、ポリリン酸80g、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル2.000g(9.334mmol)、ビス(4−カルボキシルフェニル)フェニルホスフィンオキシド3.368g(9.194mmol)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸0.019g(0.093mmol)、3,4−ジアミノ安息香酸0.710g(4.667mmol)、及び4−アミノ安息香酸0.224g(1.633mmol)を使用して共重合体4を製造したことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0077】
[実施例5〜8]
〔ポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜試験片の製造〕
前記実施例1〜4で製造した非常に粘度の高い分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体1〜4溶液に、ポリリン酸及びリン酸80gをさらに入れた後、24時間攪拌して溶液の粘度を低めた。直接溶液を注ぐ方法によりフィルムを製造する前に、ドクターブレード及び支持体として使用されるパイレックス(登録商標)ガラス板は、約200℃に加熱して使用した。前記重合溶液を加熱された支持体に注いだ後、加熱されたドクターブレードを利用し、一定厚さで重合溶液を塗布した。前記塗布されたガラス板を、水平を合わせた80℃の恒温恒湿器に2時間程度保管して、溶液が広く広がるようにした後、40%の相対湿度を加えてポリリン酸の加水分解を誘導した。約2〜3日間徐々に温度は下げて相対湿度は上げながら、最終的に40℃、相対湿度80%を維持すると同時に、ポリリン酸の加水分解を通じて誘導される過剰量のリン酸と水はその時々除去した。最終的に形成された膜を支持体から分離して、リン酸含有ポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜試験片1〜4を製造した。
【0078】
[実施例9〜12]
〔ポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド硬粘性ペースト/ゲルの製造〕
前記実施例1〜4で製造した分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体1〜4溶液に360gのポリリン酸を加えた後、200℃で24時間攪拌し、非常に粘度の高い共重合体1溶液の粘度を下げた。前記共重合体1溶液の温度を150℃に下げた後、80gの水を徐々に加えてポリリン酸の加水分解を誘導すると同時に、振とうして硬粘性ペースト/ゲルが製造されるまで残っている水を除去し、硬粘性ペースト/ゲル1〜4を製造した。製造された硬粘性ペースト/ゲルは、約99重量%のリン酸を含有していた。
【0079】
[実施例13〜16]
〔電解質膜から膜−電極接合体の製造〕
前記実施例5〜8で製造したポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜試験片1〜4をそれぞれ使用した。前記製造された100μm内外の電解質膜を使用して5層(layer)の膜−電極接合体(MEA)を製造した。還元極(カソード)と酸化極(アノード)は、いずれも0.5mg Pt/cmがローディングされており、電極の大きさは、5×5cm、電解質膜の大きさは、10×10cmであった。触媒電極は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)をバインダーとして製造した。凝集なくよく分散された触媒スラリーを作るために、IPA(イソプロピルアルコール)、PTFE(60重量% の水中分散液)、水、及び触媒を適量混合してスラリーを製造した後、5分間超音波粉砕過程を経て、小さい粒子として分散させた。製造された電極スラリーは、ブラシを使用してGDL(ガス拡散層)に一定量を塗布して、350℃で30分間加熱した。また、前記実施例9〜12で製造したポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体硬粘性電解質ペースト/ゲル1〜4をそれぞれ製造された電極に追加塗布して、ポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド高分子を触媒層間に浸透させた。
【0080】
前記電解質膜試験片とGDE(Gas Diffusion Electrode)の高温圧着条件は、次のようである。高温圧着器の温度を140℃に上げた後、0.1トンで5分間維持し、熱伝達が十分なされるようにした。その後、1.0トンで2分間維持して、電解質膜とGDEが十分接着されるようにした。
【0081】
[比較例1]
〔ポリパラベンゾイミダゾール共重合体[Poly(2,2-p-(phenylene)-5,5- bibenzimidazole)]5の製造〕
前記実施例1において、ポリリン酸80g、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル3.000g(9.334mmol)、及びテレフタル酸2.326g(9.334mmol)を使用して48時間攪拌反応して、ポリパラベンゾイミダゾール共重合体5を製造したことを除いては、前記実施例1と同様に行った。
【0082】
[比較例2]
〔ポリベンゾイミダゾール共重合体[Poly(2,5-benzimidazole)]6の製造〕
前記実施例1において、ポリリン酸80g及び3,4−ジアミノ安息香酸4.000g(26.290mmol)を24時間攪拌反応して、ポリベンゾイミダゾール共重合体6を製造したことを除いては、前記実施例1と同様に行った。
【0083】
[比較例3〜4]
〔電解質膜試験片の製造〕
前記実施例5において、前記比較例1〜2で製造した共重合体5〜6を使用して電解質膜試験片5〜6を製造したことを除いては、実施例5と同様に行った。
【0084】
[比較例5〜6]
〔硬粘性電解質ペースト/ゲルの製造〕
前記実施例9において、前記比較例1〜2で製造した共重合体5〜6を使用して硬粘性電解質ペースト/ゲル5〜6を製造したことを除いては、実施例9と同様に行った。
【0085】
[比較例7〜8]
〔電解質膜から膜−電極接合体の製造〕
前記実施例13において、前記比較例3〜4で製造した電解質膜試験片5〜6及び比較例5〜6で製造した硬粘性電解質ペースト/ゲル5〜6を使用して製造したことを除いては、実施例13と同様に行った。
【0086】
前記実施例及び比較例により製造された電解質膜試験片の物性及び膜−電極接合体の燃料電池性能を下記の方法により測定し、下記表1及び図面に示した。
【0087】
*水素イオン伝導度の測定−ZAHNER IM-6 Impedance Analyzerを使用して、1 Hz - 1 MHzの周波数(frequency)領域でポテンシオスタティック2プローブ(Potentio-Static Two-Probe)法により、−20〜200℃の温度範囲まで無加湿状態で測定し、その結果を図1に示し、温度140℃及び無加湿状態で時間による水素イオン伝導度測定結果を図2に示した。
【0088】
*機械的強度の測定−Zwick UTMで測定して、常温で湿度25%下で、それぞれの電解質膜試験片をASTM D-882(Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting)を満たすDog-Bone状のフィルムを製造して、50mm/minのクロスヘッドスピードでそれぞれ5回ずつ繰り返し測定した後、測定された引張強度の平均値を測定して、下記表1に示した。
【0089】
*リン酸ドープ水準の測定−酸ドープ量は、中和滴定法を使用して測定した。製造された電解質膜約1gを蒸留水(300mL)で煮沸して、ドープされたリン酸を抽出した後、0.1N NaOH標準溶液を用いて抽出されたリン酸を滴定して、リン酸のモル数を計算した。リン酸が除去された電解質膜は、120℃、真空オーブンで24時間以上乾燥した後、電解質膜の重量を測定した。高分子を構成するイミダゾール単位当たりドープされたリン酸の数、即ち、ドープ水準を下記数式1により計算して、結果を下記表1に示した。
【0090】
【数1】

上記式で、ドープされたリン酸モル数は、滴定に使用された0.1N NaOHモル数である。
【0091】
*燃料電池性能評価−製造された膜−電極接合体を単位セル(single cell)に組み立てて作動させ、セル温度は、120℃〜200℃、Hと空気の流量がそれぞれ300sccm、1200ccmであった。外部の加湿装置はなく、大気圧下で燃料電池性能を評価し、結果を図3に示した。セル温度は、160℃であり、一定電流(300mA/Cm2)下で時間による電圧の減少を図4に示した。OCV(Open Circuit Voltage)は、0.95V以上の高い値を有し、定電圧モードで一定時間セルを作動させ、安定した電流密度値を確認した。
【0092】
【表1】

【0093】
上記表1を通じて、本発明により製造した実施例5〜8の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜は、比較例3〜4の従来のポリアゾール系共重合体電解質膜と比較して、リン酸ドープ水準が低く、見かけ物性、応力歪(stress and strain)においても、同等以上の効果を示すことを確認することができ、図1からは、水素イオン伝導度が向上されたことを確認することができた。図2からは、時間により伝導度が低下することなく均一に維持されることを確認することができた。
【0094】
また、本発明により製造した実施例6の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜試験片2の作動温度によるPEM燃料電池性能を示した図3からは、本発明により製造した電解質膜は、180℃、0.6Vで400mA/cmの優れた性能を示すことを確認することができ、前記電解質膜試験片2の160℃、300m/cm条件下で時間によるPEM燃料電池性能の変化推移を示した図4からは、時間の経過により燃料電池の性能が低下することなく、均一に維持されることを確認することができた。
【0095】
[発明の効果]
以上説明したように、本発明の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体から製造された電解質膜は、広い温度範囲で高い水素イオン伝導度を有しながらも、機械的物性、耐化学性及び熱安定性に優れているだけではなく、リン酸ドープによる膜物性の低下を効果的に制御して、低いリン酸ドープ水準でも高い水素イオン伝導度を実現する効果がある。本発明の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体から製造された硬粘性電解質ペースト/ゲルは、電極を均一に被覆させる効果があり、前記電解質膜及び硬粘性電解質ペースト/ゲルを燃料電池に適用して、作動性能の向上された燃料電池を提供する効果がある。
【0096】
以上、本発明の望ましい具体例について詳細に説明したが、当業界の通常の知識を有する者にとって、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、多様な変形及び修正が可能であることは明らかであり、このような変形及び修正が添付の請求の範囲に含まれることは自明なことである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施例により製造した分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜の、温度による水素イオン伝導度を測定した結果である。
【図2】本発明の一実施例により製造した分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜の、140℃での時間による水素イオン伝導度を測定した結果である。
【図3】本発明の一実施例により製造した分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜試験片2の、作動温度によるPEM燃料電池性能を示した結果である。
【図4】本発明の一実施例により製造した分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜試験片2の、160℃、300mA/cmの条件下で時間によるPEM燃料電池性能の変化推移を示した結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される繰り返し単位からなることを特徴とする分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体。
【化1】

式中、AZは、化学式2及び化学式3からなる群から選択される1種以上の繰り返し単位を含み、AMは、化学式4、化学式5、化学式6及び化学式7からなる群から選択される1種以上の繰り返し単位を含む。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

上記化学式1〜7において、
Ar、Ar、Ar2’、Arは、同一または相異なっており、それぞれ一つ以上の環を有することができる4価芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
Ar、Ar1’、Ar、Ar、Ar、Ar7”は、同一または相異なっており、それぞれ一つ以上の環を有することができる2価芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
Ar、Ar4’、Arは、同一または相異なっており、それぞれ一つ以上の環を有することができる3価芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
Xは、同一または相異なっており、それぞれ酸素、硫黄または水素原子を含有するアミノ基、炭素数1〜20の基、またはアリール基であって、
aは、0<a<1であり、a’は、0<a’<1であって、
1≦m<10,000であり、1≦n<10,000であり、1≦k<10,000である。
【請求項2】
芳香族及びヘテロ芳香族テトラアミノ化合物から選択される1種以上の化合物;
カルボン酸単量体1個当たり二つ以上の酸性基を含む芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸及びこれのエステルから選択される1種以上の化合物;
芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸から選択される1種以上の化合物;
芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸、並びに芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物から選択される1種以上の化合物;及び
芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸から選択される1種以上の化合物;
を不活性ガス下でポリリン酸に溶かし、300℃以下で重合することを特徴とする、請求項1に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項3】
(a)芳香族及びヘテロ芳香族テトラアミノ化合物と芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸に、芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸から選択される1種以上の化合物を分岐剤として使用するが、分岐剤は、分岐AZブロックの製造時に使用されるテトラアミノ化合物の含量を基準に、0.01〜30モル%の含量で使用して、まずアゾール系AZブロックを製造する段階;
(b)前記AZブロックを構成する化合物を不活性ガス下でポリリン酸に溶かし、300℃以下の温度で8時間以下攪拌した後、芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を、AZブロックを構成するテトラアミノ化合物の含量を基準に、0.01〜99.99モル%の含量で使用して分岐AZブロックと
【化8】

とが交互に化学的に結合された共重合体
【化9】

を製造する段階;及び
(c)前記共重合体溶液に芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を加えて48時間以下攪拌した後、芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸、及び芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物から選択される1種以上の化合物、 芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸から選択される1種以上の化合物と、芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸などを、AZブロックを構成するテトラアミノ化合物の含量を基準に、0.01〜49.99モル%の含量で使用して、前記化学式1で表される繰り返し単位からなる分岐マルチブロック共重合体を製造する段階を含んでなることを特徴とする、請求項2に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項4】
(a’)芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を不活性ガス下でポリリン酸に溶かし、300℃以下の温度で8時間以下攪拌して、まず
【化10】

を製造する段階;
(b’)芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸並びに芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物から選択される1種以上の化合物と、 芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸から選択される1種以上の化合物と、芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸とを、
【化11】

を構成する芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸化合物の含量を基準に0.01〜99.99モル%の含量で使用し、220℃以下の温度で48時間以下攪拌して繰り返し単位
【化12】

からなるマルチブロック共重合体を製造する段階;及び
(c’)芳香族及びヘテロ芳香族テトラアミノ化合物と芳香族及びヘテロ芳香族カルボン酸に、さらに芳香族及びヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸を分岐剤として使用し、前記分岐剤は、
【化13】

を構成する芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸化合物の含量を基準に、10〜1000モル%の含量で使用し、220℃以下の温度で48時間以下攪拌して、前記化学式1で表される繰り返し単位からなる分岐マルチブロック共重合体を製造する段階を含んでなることを特徴とする、請求項2に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項5】
前記芳香族及びヘテロ芳香族テトラアミノ化合物は、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、2,3,5,6−テトラアミノピリジン、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルメタン、及び3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルジメチルメタン、及びこれらの塩、及びこれらのモノ−、ジ−、トリ−、及びテトラヒドロクロライド誘導体からなる群から1種以上選択して使用することを特徴とする、請求項2に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記芳香族カルボン酸は、2,3−ビス(4−カルボキシルフェニル)キノキサリン、1,4−フェニレン−ビス−[3−(4’−カルボキシルフェニル)チオウレア]、p−フェニレン−2,2’−ビス[5(6)−カルボキシルベンゾイミダゾール]、ビス(4−カルボキシルフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシルフェニル)フェニルメタノール、ビス(4−カルボキシルフェニル)フェニルホスフィンオキシド、5−ホスフィノイソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、2,6−ジヒドロキシイソフタル酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシフタル酸、2,4−ジヒドロキシフタル酸、3,4−ジヒドロキシフタル酸、3−フルオロフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、テトラフルオロフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、4−トリフルオロメチルフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−スチルベンジカルボン酸、4−カルボキシ桂皮酸からなる芳香族ジカルボン酸;これらのC〜C20−アルキルエステル、C〜C12−アリールエステル;これらの酸無水物及びこれらの酸クロライドからなる群から1種以上選択して使用することを特徴とする、請求項2に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項7】
前記へテロ芳香族カルボン酸は、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、4−フェニル−2,5−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2,6−ピリミジンジカルボン酸、2,5−ピリミジンジカルボン酸、ベンゾイミダゾール−5,6−ジカルボン酸;これらのC〜C20−アルキルエステル、C〜C12−アリールエステル;これらの酸無水物及びこれらの酸クロライドからなる群から1種以上選択して使用することを特徴とする、請求項2に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項8】
前記分岐剤として使用される芳香族トリカルボン酸;これらのC〜C20−アルキルエステル、C〜C12−アリールエステル;これらの酸無水物及びこれらの酸クロライドは、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリト酸)、3,5,3’−ビフェニルトリカルボン酸、及び3,5,4’−ビフェニルトリカルボン酸からなる群から1種以上選択して使用し、
前記分岐剤として使用される芳香族テトラカルボン酸またはテトラカルボン酸;これらのC〜C20−アルキルエステル、またはC〜C12−アリールエステル;これらの酸無水物及びこれらの酸クロライドは、3,5,3’,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、及び1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸からなる群から1種以上選択して使用し、
前記分岐剤として使用されるヘテロ芳香族トリカルボン酸及びテトラカルボン酸;これらのC〜C20−アルキルエステル、C〜C12−アリールエステル;及びこれらの酸無水物は、2,4,6−ピリジントリカルボン酸を使用することを特徴とする、請求項2に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項9】
前記芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸は、3,4−ジアミノ安息香酸、これのモノ−及びジヒドロクロライド誘導体からなる群から1種以上選択して使用することを特徴とする、請求項2に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項10】
前記芳香族及びヘテロ芳香族アミノカルボン酸は、4−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ−2−スルホ安息香酸、4−アミノ−3−スルホ安息香酸、4−アミノ−2−スルホ安息香酸、2−アミノピリミジン−5−カルボン酸、6−アミノピリジン−3−カルボン酸、5−アミノピリジン−2−カルボン酸、5−アミノピラジン−2−カルボン酸、5−アミノピリミジン−2−カルボン酸、2−(フェニル)−p−アミノ安息香酸、及び3−(フェニル)−p−アミノ安息香酸からなる群から1種以上選択して使用することを特徴とする、請求項2に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項11】
前記芳香族及びヘテロ芳香族ジアミノ化合物は、ベンゼン−1,4−ジアミン、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、ピラジン−2,5−ジアミン、ピリジン−2,5−ジアミン、2−(フェニル)ベンゼン−1,4−ジアミン、ピリミジン−2,5−ジアミン、2−(ピリジン−3−イル)ベンゼン−1,4−ジアミン、2−(ピリジン−2−イル)ベンゼン−1,4−ジアミン、2−(ピリジン−5−イル)ベンゼン−1,4−ジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−(p−アミノフェニル)ベンゼンスルホン酸、及び4,4’−ジアミノ−2−フェニルビフェニルからなる群から1種以上選択して使用することを特徴とする、請求項2に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項12】
前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体は、アゾール系AZ繰り返し単位の数が10以上であり、アミド系AM繰り返し単位の数が1以上であることを特徴とする、請求項2に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体の製造方法。
【請求項13】
前記分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体は、ベンゾイミダゾール−ベンズアミド繰り返し単位を含む下記化学式8で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の分岐マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体。
【化14】

前記化学式8において、
Ar11は、
【化15】

であり、
Ar12は、
【化16】

であり、
Ar13は、
【化17】

であり、
cは、0<c<1であって、
1≦m<10,000であり、1≦n<10,000であり、1≦k<10,000である。
【請求項14】
請求項1に記載のマルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体から製造されることを特徴とする、マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜。
【請求項15】
請求項1に記載のポリリン酸含有マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体溶液を支持体上に直接塗布した後、塗布された溶液から膜が形成されるまでポリリン酸溶媒の加水分解を誘導して製造することを特徴とする、マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜の製造方法。
【請求項16】
請求項1に記載のマルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体溶液から製造されることを特徴とする、マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体硬粘性電解質ペースト/ゲル。
【請求項17】
請求項1に記載のポリリン酸含有マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体溶液に少量の水を添加し攪拌して、ポリリン酸の加水分解を誘導すると同時に、残っている水を除去して製造することを特徴とする、マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体硬粘性電解質ペースト/ゲルの製造方法。
【請求項18】
前記マルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体硬粘性電解質ペースト/ゲルは、リン酸含有量が50〜200重量%であることを特徴とする、請求項16または17に記載のマルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体硬粘性電解質ペースト/ゲルの製造方法。
【請求項19】
請求項14に記載のマルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜及び請求項16に記載のマルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体硬粘性電解質ペースト/ゲルから製造されることを特徴とする、膜−電極接合体。
【請求項20】
請求項14に記載のマルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体電解質膜に、請求項16に記載のマルチブロックポリベンゾイミダゾール−ベンズアミド共重合体硬粘性電解質ペースト/ゲル及び貴金属ベースの触媒を含有する電極を被覆することを特徴とする、膜−電極接合体の製造方法。
【請求項21】
請求項19に記載の膜−電極接合体から製造されることを特徴とする、燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−512561(P2008−512561A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544285(P2007−544285)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【国際出願番号】PCT/KR2006/003287
【国際公開番号】WO2007/055459
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】