説明

分散型熱電併給設備及び分散型バイオマス熱電併給設備

【課題】バイオマスエネルギーその他の熱エネルギーを利用して高効率で熱電併給が可能な分散型熱電併給設備及び分散型バイオマス熱電併給設備を提供するものである。
【解決手段】 非共沸点媒体からなる液相作動媒体を蒸発させて高圧蒸気を発生させるコイルチューブ82,83を備えた蒸気発生器18に隣接して燃焼室12を形成し、燃焼室に隣接して燃料を燃焼させて蒸気発生器に燃焼熱を供給するバーナ装置16を配置し、コイルチューブで発生した高圧蒸気で蒸気エンジン20を駆動し、その動力により発電機22を駆動して出力電力を発生させ、一方、前記蒸気エンジンから吐出された膨張蒸気を排熱回収熱交換器106で凝縮することにより前記液相作動媒体を生成すると共に排熱エネルギーを回収し、排熱回収熱交換器から得た液相作動媒体を加圧ポンプ115でコイルチューブに加圧下で供給することにより、高効率にて熱電併給を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【技術分野】
本発明は分散型熱電併給設備及び分散型バイオマス熱電併給設備に関し,特に、スマートグリッドに適した分散型熱電併給設備及び分散型バイオマス熱電併給設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境対策および経済対策の有効な手段として、スマートグリッドが注目され、特に、スマートグリッド用に利用可能な分散型発電設備やバイオマス等の代替エネルギー資源を利用した分散型発電設備のニーズが高まっている。さらに、ゼロエネルギー住宅やゼロエネルギービルに対応したバイオマス等の再生可能エネルギーを活用した分散型発電設備の実用化が急務となっている。
【0003】
特許文献1には、可燃性燃料発生装置の熱分解用乾留炉に燃焼部を装着して、バイオマス原料を加熱して熱分解し、木煙を冷却して得られる木タールを主燃料として燃焼器で燃焼させることによりマイクロガスタービンで発電機を駆動する一方、ガスタービンの排熱を回収するように構成したバイオマス熱電併給システムが記載されている。
【0004】
特許文献2には、木質系バイオマスや廃棄物系バイオマスを炭化して得た生成ガスで発電するようにしたバイオマス発電システムが記載されている。
【0005】
特許文献3には、乾燥チップを粉砕して得た微粉燃料をバイオマス燃料として燃焼させ、その発生熱を熱源としてスターリングエンジンを駆動するようにしたバイオマス発電装置が記載されている。
【0006】
特許文献4には、木質系バイオマスから燃料ガスを生成して、燃料ガスと空気との混ガスの燃焼により動力を発生させて、この動力で発電するようにしたバイオマス発電装置が記載されている。
【0007】
特許文献5には、木質系バイオマスを炭化して得た可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスを発電用ボイラに供給して発電を行うようにしたバイオマス発電施設が記載されている。
【0008】
特許文献6には、バイオマスを炭化或は乾燥粉砕した高品質の燃料を燃焼させて蒸気に変換し、蒸気タービンで動力に変換して発電するようにしたバイオマス発電装置が記載されている。
【0009】
特許文献7には、バイオマス燃料を燃焼させて得た高温ガスによりガスタービンを介して発電機を駆動する一方、ガスタービンの排熱を回収するように構成したバイオマス発電システムが記載されている。
【0010】
特許文献8には、バイオマス燃料をガス化して生成ガスのタール分を熱分解して得た改質ガスをロータリエンジンの燃料として利用して動力を発生させて発電させるようにしたバイオマス燃料対応型エンジンシステムとバイオマス燃料対応型発電システムが記載されている。
【0011】
特許文献9には、原料ホッパーから投入した木質バイオマスをエンジンからの高温の排ガスを利用して熱分解炉で熱分解し、この熱分解で得られたタール成分を含む生成ガスを改質反応器に供給し、上記熱分解で得られた炭化物を触媒として改質反応器に導入することにより、タール成分を生成ガス中の水蒸気と反応させて改質ガスを得るようにした木質バイオマスガスの改質システムが記載されている。
【0012】
特許文献10には、ガスタービンで発生した動力の一部で圧縮機を回転させて得た圧縮空気を燃焼器に導入すると共に、燃焼器で固形状のバイオマス燃料を燃焼させて高圧ガスを発生させてガスタービンエンジンを駆動して発電する一方、排熱回収器で排熱エネルギーを得るようにしたバイオマス熱電併給システムが記載されている。
【0013】
【特許文献1】特開平2004−307793号
【特許文献2】特開平2005−272530号
【特許文献3】特開平2005−307860号
【特許文献4】特開平2006−87221号
【特許文献5】特開平2007−321520号
【特許文献6】特開平2006−2746号
【特許文献7】特開平2008−128175号
【特許文献8】特開平2008−298030号
【特許文献9】特開平2009−235335号
【特許文献10】米国特許第6862877号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、特許文献1記載の発電システムでは、バイオマス原料を乾留するための可燃性燃料ガス発生装置がバーナや、乾留炉と、木タール及び木酢液の貯留タンクと、木ガスを捕集するための冷却器と、熱分解ガス洗浄塔と、ガス中の粉塵を除去するためのサイクロンと、木ガスと木タールを誘引するガス誘引ファンとを備えた複雑で大型の構造となっている。この構造において、バイオマス原料から主燃料として木タールを生成するための可燃性燃料発生装置の設置が必要であるが、この設備が大型化、大規模化し、設備コスト、排水処理コストおよびメンテナンスコスト等が嵩むという問題がある。しかも、マイクロガスタービンは騒音が65〜75dBと極めて高いため、低騒音化用の付帯設備を必要とする。これ等付帯設備を装着してもなお近隣住民を納得させるレベルまで騒音を低減することは困難である。
【0015】
特許文献2記載のバイオマス発電システムでは、固形バイオマス燃料を炭化装置で熱分解し、その後、炭化装置で生成したタール分を含む熱分解ガスをガス化炉で熱分解し、ついで、生成ガスをガス精製装置に送って精製してから発電装置に供給している。このようなバイオマス発電システムでは、発電装置で生成ガスを利用するまでに、複数の工程と大型設備を必要とするため、小型・軽量化、低コスト化した分散型発電設備を提供することは困難である。
【0016】
特許文献3記載のバイオマス発電装置では、バイオマス原料を貯蔵するためのサイロと、チップ乾燥機と、乾燥チップ貯蔵ホッパーと、チップ粉砕機と、微粉ホッパーと、微粉燃料を燃焼させるためのバーナと、複雑な構造のスターリングエンジンが必須構成要件となっており、バイオマス原料から微粉燃料を生成するための微粉燃料発生装置の設備自体が大型化、大規模化し、設備コストおよびメンテナンスコスト等が嵩む傾向がある。しかも、スターリングエンジンは部品点数も多く、構造も複雑なため、大型化し、製造コストも高い。さらに、木質の微粉燃料を燃焼させた場合には、タール分が発生し、このタール分がスターリングエンジンの加熱部に付着してエンジン効率が低下するため、プラントを一旦、停止してタール分をエンジンの加熱部から除去しなければならず、プラントの効率が低下するだけでなく、保守点検コストが増大する。
【0017】
特許文献4記載のバイオマス発電装置では燃料ガスを得るための設備が複雑であるだけでなく、極めて大きな設備であり、小型・軽量化、低コスト化が困難である。さらに、木質系バイオマスから大量の燃料ガスを得る際には大量のタール分が発生するが、このタール分が熱分解されずにガスエンジンに直接供給されている。この場合、タール分がガスエンジンの各部に付着するため、様々なエンジントラブルの原因となる。このため、小型・軽量化、低コスト化した分散型発電設備を提供することは困難である。
【0018】
特許文献5記載のバイオマス発電施設では、バイオマスを熱分解するためのガス化炉や、熱分解して得た可燃性ガスを燃焼させて蒸気を発生させるための発電用ボイラーを必要とし、設備全体が非常に大型のシステムとなり、小型・軽量化、低コスト化が困難である。
【0019】
特許文献6記載のバイオマス発電装置では、燃焼熱交換炉体内の壁部に熱交換水管を配置し、バイオマス燃料を燃焼させて得た燃焼熱で熱交換水管の水体を加熱して水蒸気を発生させ、蒸気タービンを駆動して発電するようになっている。このバイオマス発電装置では、熱交換水管を効果的に加熱するために、燃焼熱交換炉体の炉壁を遠赤外線の放射と触媒機能を付与するための特殊素材で形成し、炉壁から反射された遠赤外線と炉壁に付与された触媒機能とにより、高温の燃焼熱を発生させて熱交換水管を効果的に加熱するようになっている。この装置では、燃焼熱交換炉体の炉壁を遠赤外線の放射と触媒機能を付与するための特殊素材で形成しているため、コストアップの大きな要因となるだけでなく、燃焼熱交換炉体を小型・軽量化することは困難である。しかも、バイオマス燃料は直接燃焼室内で燃焼させているが、このとき生じるタール分や灰分がロストルや炉床部分に固着するため、炉床部分の目詰まりが生じてトラブルの原因と成り易いが、そのための対策が講じられていない。したがって、設備の保守点検の手間がかるだけでなく,運転コストも増大する。
【0020】
特許文献7記載のバイオマス発電システムでは、バイオマス燃料を燃焼させて高温ガスを作動ガスとして生成する常圧燃焼炉の設備が大型化、大規模化し、設備コストおよびメンテナンスコスト等が嵩む問題がある。しかも、常圧燃焼炉では安全性の面から高圧の高温ガスを生成できないため、タービンの動力出力を効率よく高めることが出来ない。したがって、ガスタービンや圧縮機の容量が比較的に大きくなり、設備の大型化、大規模化が避けられない。また、ガスタービンは一般的に騒音が大きいため、低騒音化用の付帯設備も必要となり、余儀なく、全体設備が大型化する。
【0021】
特許文献8記載のバイオマスシステムでは、改質ガスを得るために複数の工程がかかり、さらに、バイオマス燃料をガス化して生成ガスを得るためのガス化炉や生成ガスのタール分を熱分解して可燃成分を得るためのタール改質反応炉等の大型の設備を必要としているため、小型・軽量化、低コスト化した分散型発電設備を提供することが困難である。しsかも、タール改質反応炉にはバイオマス燃料を乾留して得た炭化物粒を充填してガス改質用に利用しているため、バイオマス燃料自体の有効利用率(発電効率)を向上させることができない。
【0022】
特許文献9記載の木質バイオマスガスの改質システムでは、タール蒸気の改質専用の大型設備の改質反応器を別途、設ける必要があり、しかも、エンジンの排ガスを熱分解炉の熱源として利用しているため、設備全体が大型化、大規模化し、設備コストも増大する傾向にある。
【0023】
特許文献10記載のバイオマス熱電併給システムでは、燃焼器でバイオマス燃料を燃焼させる際に発生するタール成分が燃焼器のアウトレットに付着し、さらには、ガスタービンのブレードに付着するため、様々なエンジントラブルや作動トラブルの要因となり、バイオマス熱電併給システムの運転効率の低下やシステムトラブルによる運転中断を余儀なくされ、イオマス熱電併給システムの信頼性が著しく損なわれる。
【0024】
以上説明した従来のバイオマス発電システムは必然的に設備全体が大型化、大規模化し、設備コスト、排水処理コストおよびメンテナンスコスト等が嵩む一方、ガスタービンを利用した動力システムでは騒音トラブルという他の深刻な問題も抱えている。このように、従来の発電設備では、小型・軽量化、低騒音化、低コスト化及び低メンテナンスコスト化を図った分散型熱電併給設備や分散型バイオマス熱電併給設備を実用化することは困難であった。そのため、ゼロエネルギー住宅やゼロエネルギービルの実現化に適し、さらには、工場、ビル、病院、旅館、ホテル、スーパー、百貨店、コンビニ、外食産業、老人ホーム、ゲームセンー、パチンコ店、スポーツクラブ、ガソリンスタンド、公共施設等の小規模電力需要家から大型ホテル、大型ビル及び大規模工場等の大規模の電力需要家に至るまでオンサイトで設置可能な分散型熱電併給設備や分散型バイオマス熱電併給設備のニーズが高いにも拘わらず、これまで実用化されていなかった。
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
【0025】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ゼロエネルギー住宅やゼロエネルギービルの実現化に対応すると共に中小規模電力需要家や大規模電力需要家にもオンサイトで設置可能な小型軽量、低コスト、低騒音の分散型熱電併給設備及び分散型バイオマス熱電併給設備を提供することを目的とする。
【0026】
請求項1記載の発明は、分散型熱電併給設備が、非共沸点混合物からなる液相作動媒体を加熱して高圧蒸気を発生させるコイルチューブを備えた蒸気発生熱交換器と、前記蒸気発生熱交換器に隣接して配置された燃焼室と、前記燃焼室で燃料を燃焼させて前記蒸気発生熱交換器に燃焼熱を供給するバーナ装置と、前記コイルチューブで発生した前記高圧蒸気を導入して動力を発生する蒸気ロータリーエンジンと、前記動力により駆動されて出力電力を発生する発電機と、前記蒸気ロータリーエンジンから吐出された膨張蒸気を凝縮して前記液相作動媒体を生成すると共に排熱エネルギーを回収する排熱回収熱交換器と、前記排熱回収熱交換器から得た前記液相作動媒体を前記コイルチューブに加圧下で供給する加圧ポンプと、を備え、前記蒸気ロータリーエンジンが、真円のピストン作動室と、前記ピストン作動室の中心軸に向かって半径方向内側に延びていて所定の曲率半径の円弧状カム面を有するカムローブと、前記カムローブの前縁部と後縁部とにそれぞれ隣接して前記ピストン作動室と連通するインレット及びアウトレットを有するシリンダーハウジングと、前記ピストン作動室よりも小径で前記カム面の前記曲率半径と略同一の曲率半径を持っていて、前記ピストン作動室と同心的に延びる出力軸に支持されて前記カムローブと摺動するように前記ピストン作動室に回転自在に収納されていて、前記インレットと前記前縁部とに隣接して形成された加圧領域と、前記アウトレットと前記後縁部とに隣接して形成された排気領域とを区画するロータと、前記ロータの外周に均等間隔で形成されていて、前記ロータの半径方向に延びる円弧状ガイド壁をそれぞれ有する複数の円弧状ピストン室と、前記円弧状ピストン室にそれぞれ最大突出位置と最大後退位置との間で出没自在に収納されていて、前記円弧状ガイド壁に沿って前記最大突出位置と前記最大後退位置に移動する円弧状ピストンヘッドと、前記曲率半径と同一の曲率半径を持っていて前記カムローブと周期的に摺動するカムフォロワー面を有する円弧状揺動ブロックピストンと、前記円弧状揺動ブロックピストンを前記最大突出位置に移動させる付勢手段とを備え、前記円弧状揺動ブロックピストンが互いに隣接する第1及び第2揺動ピストンを備え、前記第1揺動ピストンのカムフォロワー面が前記カム面と摺動すると、前記加圧領域の後方端部が密閉され、このとき同時に、前記第2揺動ピストンのピストンヘッドが前記加圧領域において前記最大突出位置に移動して前記高圧蒸気の作用を受けることを要旨とする。
【0027】
上記構成によれば、非共沸点媒体からなる液相作動媒体を加熱して高圧蒸気を発生させるコイルチューブを備えた熱交換器の内側に燃焼室を配置しているため、従来技術の如く、バイオマス燃料を可燃ガスに変換するための熱分解炉や発電用ボイラー或は遠赤外線の放射と触媒機能を付与するための特殊素材で形成した燃焼熱交換炉体等の大型設備の設置が不要となる。本実施例では、コイルチューブを備えた蒸気発生熱交換器を直接、バイオマス燃料その他の熱源で加熱することを可能とした構成としているため、大型設備を設けることなく、外装ケーシング内に熱交換器やバーナ装置、蒸気ロータリーエンジン及び発電機を含む主要部品を収納可能にして小型・高性能の分散型熱電併給設備を実現可能となる。さらに、分散型熱電併給設備のシステム全体がクローズドシステムのランキンサイクルで構成され、エンジンの振動も少なく、低騒音となる。しかも、上記構成によれば、前記蒸気ロータリーエンジンは出没自在にロータに収納された揺動ブロックピストンで構成されるため、前記蒸気ロータリーエンジンを極めて少ない部品点数で構成することが可能となり、しかも、前記揺動ブロックピストンの剛性が高く、その振動やふらつきが少ないため、蒸気ロータリーエンジン自体の耐久性と信頼性を高めることもできる。その結果、小型・軽量、低コスト、低騒音で高効率の分散型発電設備を実現できる。この分散型発電設備はゼロエネルギー住宅やゼロエネルギービルに対応し、工場、ビル、病院、ホテル、コンビニ、スーパー、百貨店、ガソリンスタンド、公共施設、高齢者介護施設、スポーツセンタ等の中小規模電力需要家や大規模電力需要家にもオンサイトで設置可能となり、温暖化対策に多大の貢献が見込まれる。
【0028】
請求項2記載の発明は、前記バーナ装置が前記燃料に改質用ガスを添加するための改質用ガス噴射部を備えることを要旨とする。
【0029】
上記構成では、前記バーナ装置には改質用ガス噴射部が装着されていて前記燃料に改質用ガスを添加する構成となっている。したがって、燃料として木質ペレットのような固形バイオマス燃料を燃焼させた際に副生するタールをコンパクトな構造にてバーナ装置で可燃成分に変換して燃焼させることができる。そのため、バイオマス燃料の燃焼におけるタール成分の熱分解専用の大型の改質反応器等を別途、設ける必要がない。
【0030】
請求項3記載の発明は、前記分散型熱電併給設備が、さらに、前記燃焼室の前記燃焼熱及び前記膨張蒸気の排熱エネルギーの少なくとも1つで加熱されることにより水蒸気を生成する水蒸気生成部と、前記出力電力の一部で電解液を電解して水素酸素ガスを発生する電解槽との少なくとも1つを備え、前記改質用ガス噴射部が前記水蒸気及び前記水素酸素ガスの少なくとも1つを前記バーナ装置に供給するガス噴射ノズルを備えることを要旨とする。
【0031】
上記構成において、前記バーナ装置が前記水蒸気及び前記水素酸素ガスの少なくとも1つを前記バーナ装置に噴射するガス噴射ノズルを備えているため、燃料として木質ペレットのような固形バイオマス燃料を燃焼させた際に副生するタールをコンパクトな構造にて可燃成分に変換して燃焼させることができ、メンテ保守の手間とコストを削減可能な分散型熱電併給設備を提供することができる。また、一部発生したタール成分は一酸化炭素や水素等の可燃成分に改質されて可熱エネルギーとして再利用される。さらに、水素酸素ガスを供給した際には、高温の燃焼熱でバイオマス燃料自体のガス化が促進され、バイオマス燃料の完全燃焼がより効率的に促進される。その結果、CO等の未燃ガスの発生が少なくなり、前記燃焼部の燃焼熱の熱エネルギーも増大することとなる。したがって、簡単な構造にて固形燃料を安全に点火させ、燃焼時の排ガスのクリーン化と発電設備の運転効率の向上が図れる効果がある。
【0032】
請求項4記載の発明は、前記熱交換器が、前記燃焼室に隣接して配置された筒状蓄熱槽と、前記筒状蓄熱槽に封入されていて前記燃焼熱の熱エネルギーを蓄熱する蓄熱材とを備え、前記コイルチューブの少なくとも一部が前記蓄熱材に埋め込まれていることを要旨とする。
【0033】
上記構成において、前記熱交換器が前記蓄熱材によって蓄熱した前記燃焼熱の熱エネルギーによってコイルチューブを加熱しているため、前記燃焼室内の燃焼熱の変動が生じても、その変動を蓄熱材によって吸収することで前記液相作動媒体から前記高圧蒸気を安定して発生することが可能となる。その結果、発電設備の出力がより安定することになる。
【0034】
請求項5記載の発明は、分散型バイオマス熱電併給設備が、液相作動媒体を加熱して高圧蒸気を発生させるコイルチューブを備えた蒸気発生熱交換器と、前記蒸気発生熱交換器に隣接して配置されたバイオマス燃焼室と、前記バイオマス燃焼室でバイオマス燃料を燃焼させて前記熱交換器に燃焼熱を供給するバーナ装置と、前記バーナ装置に前記バイオマス燃料を供給するバイオマス燃料供給装置と、前記コイルチューブで発生した前記高圧蒸気を導入して動力を発生する蒸気ロータリーエンジンと、前記動力により駆動されて出力電力を発生する発電機と、前記蒸気ロータリーエンジンから吐出された膨張蒸気を凝縮して前記液相作動媒体を生成すると共に排熱エネルギーを回収する排熱回収熱交換器と、前記排熱回収熱交換器から得た前記液相作動媒体を前記コイルチューブに加圧下で供給する加圧ポンプと、を備え、前記蒸気ロータリーエンジンが、真円のピストン作動室と、前記ピストン作動室の中心軸に向かって半径方向内側に延びていて所定の曲率半径の円弧状カム面を有するカムローブと、前記カムローブの前縁部と後縁部とにそれぞれ隣接して前記ピストン作動室と連通するインレット及びアウトレットを有するシリンダーハウジングと、前記ピストン作動室よりも小径で前記カム面の前記曲率半径と略同一の曲率半径を持っていて、前記ピストン作動室と同心的に延びる出力軸に支持されて前記カムローブと摺動するように前記ピストン作動室に回転自在に収納されていて、前記インレットと前記前縁部とに隣接して形成された加圧領域と、前記アウトレットと前記後縁部とに隣接して形成された排気領域とを区画するロータと、前記ロータの外周に均等間隔で形成されていて、前記ロータの半径方向に延びる円弧状ガイド壁をそれぞれ有する複数の円弧状ピストン室と、前記円弧状ピストン室にそれぞれ最大突出位置と最大後退位置との間で出没自在に収納されていて、前記円弧状ガイド壁に沿って前記最大突出位置と前記最大後退位置に移動する円弧状ピストンヘッドと、前記曲率半径と同一の曲率半径を持っていて前記カムローブと周期的に摺動するカムフォロワー面を有する円弧状揺動ブロックピストンと、前記円弧状揺動ブロックピストンを前記最大突出位置に移動させる付勢手段と、前記ロータの外周において前記円弧状揺動ブロックピストンにそれぞれ隣接して形成されたストッパー部と、前記円弧状揺動ブロックピストンに形成されていて、前記ストッパー部にそれぞれ係止して前記円弧状揺動ブロックピストンの前記最大突出位置を規制する係止部とを備え、前記円弧状揺動ブロックピストンが互いに隣接する第1及び第2揺動ピストンを備え、前記第1揺動ピストンのカムフォロワー面が前記カム面と摺動すると、前記加圧領域の後方端部が密閉され、このとき同時に、前記第2揺動ピストンのピストンヘッドが前記加圧領域において前記最大突出位置に移動して前記高圧蒸気の作用を受けることを要旨とする。
【0035】
上記構成によれば、液相作動媒体を加熱して高圧蒸気を発生させるコイルチューブを備えた蒸気発生熱交換器に隣接してバイオマス燃焼室を配置しているため、従来技術の如く、バイオマス燃料を可燃ガスに変換するための熱分解炉や発電用ボイラー或は遠赤外線の放射と触媒機能を付与するための特殊素材で形成した燃焼熱交換炉体等の大型設備の設置が不要となる。本実施例では、コイルチューブを備えた蒸気発生熱交換器を直接、バイオマス燃料の燃焼熱を発生する熱源で加熱することが可能な構成としているため、大型設備を設けることなく、外装ケーシング内に熱交換器やバーナ装置、蒸気ロータリーエンジン及び発電機を含む主要部品を収納可能にして小型・高性能の分散型バイオマス熱電併給設備を実現可能となる。さらに、分散型バイオマス熱電併給設備のシステム全体がクローズドシステムのランキンサイクルで構成され、エンジンの振動も少なく、低騒音となる。しかも、上記構成によれば、前記蒸気ロータリーエンジンは出没自在にロータに収納された揺動ブロックピストンで構成されるため、前記蒸気ロータリーエンジンを極めて少ない部品点数で構成することが可能となり、しかも、前記揺動ブロックピストンの剛性が高く、その振動やふらつきが少ないため、蒸気ロータリーエンジン自体の耐久性と信頼性を高めることもできる。その結果、小型・軽量、低コスト、低騒音で高効率の分散型バイオマス熱電併給設備を実現できる。この分散型バイオマス熱電併給設備はゼロエネルギー住宅やゼロエネルギービルに対応し、工場、ビル、病院、ホテル、コンビニ、スーパー、百貨店、ガソリンスタンド、公共施設、高齢者介護施設、スポーツセンタ等の中小規模電力需要家や大規模電力需要家にもオンサイトで設置可能となり、温暖化対策に多大の貢献が見込まれる。
【0036】
請求項6記載の発明は、前記熱交換器が、前記バイオマス燃焼室に隣接して配置された筒状蓄熱槽と、前記筒状蓄熱槽に封入されていて前記燃焼熱の熱エネルギーを蓄熱する蓄熱材とを備え、前記コイルチューブの少なくとも一部が前記蓄熱材に埋め込まれていることを要旨とする。
【0037】
上記構成では、前記熱交換器が前記蓄熱材によって蓄熱した前記燃焼熱の熱エネルギーによってコイルチューブを加熱しているため、前記燃焼室内の燃焼熱の変動が生じても、その変動を蓄熱材によって吸収することで前記液相作動媒体から前記高圧蒸気を安定して発生することが可能となる。その結果、発電設備の出力がより安定することになる。
【0038】
請求項7記載の発明は、前記分散型熱電併給設備が、さらに、前記燃焼室の前記燃焼熱及び前記膨張蒸気の排熱エネルギーの少なくとも1つで加熱されることにより水蒸気を生成する水蒸気生成部と、前記出力電力の一部で電解液を電解して水素酸素ガスを発生する電解槽との少なくとも1つを備え、前記バーナ装置が前記水蒸気及び前記水素酸素ガスの少なくとも1つを前記バイオマス燃料に添加するガス噴射ノズルを備えることを要旨とする。
【0039】
上記構成において、前記バーナ装置が前記水蒸気及び前記水素酸素ガスの少なくとも1つを前記バーナ装置に噴射するガス噴射ノズルを備えているため、燃料として木質ペレットのような固形バイオマス燃料を燃焼させた際に副生するタールをコンパクトな構造にて可燃成分に変換して燃焼させることができ、メンテ保守の手間とコストを削減可能な分散型熱電併給設備を提供することができる。また、一部発生したタール成分は一酸化炭素や水素等の可燃成分に改質されて可熱エネルギーとして再利用される。さらに、水素酸素ガスを供給した際には、高温の燃焼熱でバイオマス燃料自体のガス化が促進され、バイオマス燃料の完全燃焼がより効率的に促進される。その結果、CO等の未燃ガスの発生が少なくなり、前記燃焼部の燃焼熱の熱エネルギーも増大することとなる。したがって、簡単な構造にて固形燃料を安全に点火させ、燃焼時の排ガスのクリーン化と発電設備の運転効率の向上が図れる効果がある。
【0040】
請求項8記載の発明は、分散型バイオマス熱電併給設備が、非共沸点混合物からなる液相作動媒体を加熱して高圧蒸気を発生させるコイルチューブを備えた蒸気発生熱交換器と、前記熱交換器に隣接して配置されたバイオマス燃焼室と、前記バイオマス燃焼室で木質ペレット燃料を燃焼させて前記熱交換器に燃焼熱を供給するペレット燃焼バーナ装置と、前記ペレット燃焼バーナ装置に前記木質ペレット燃料を供給する木質ペレット燃料供給装置と、前記コイルチューブで発生した前記高圧蒸気を導入して動力を発生する蒸気ロータリーエンジンと、前記蒸気ロータリーエンジンに連結されていて前記動力により出力電力を発生する発電機と、前記熱交換器と前記蒸気ロータリーエンジンとの間に接続されていて前記上記蒸気ロータリーエンジンから吐出された膨張蒸気を凝縮して前記液相作動媒体を生成すると共に排熱エネルギーを回収する排熱回収熱交換器と、前記液相作動媒体を前記排熱回収熱交換器から前記蒸気発生熱交換器に加圧下で供給する加圧ポンプと、
前記バーナ装置に開口していて改質ガスを前記木質ペレット燃料に添加するガス噴射ノズルとを備えることを要旨とする。
【0041】
上記構成によれば、液相作動媒体を加熱して高圧蒸気を発生させるコイルチューブを備えた蒸気発生熱交換器の内側にバイオマス燃焼室を配置しているため、従来技術の如く、木質ペレット燃料を可燃ガスに変換するための熱分解炉や発電用ボイラー或は遠赤外線の放射と触媒機能を付与するための特殊素材で形成した燃焼熱交換炉体等の大型設備の設置が不要となる。さらに、前記バーナ装置が水素酸素ガスを木質ペレットのような固形バイオマス燃料に添加しながら燃焼させるようにしたため、水素酸素ガスによる高温の燃焼熱で固形バイオマス燃料のガス化が促進され、バイオマス燃料の完全燃焼がより効率的に促進される。その結果、CO等の未燃ガスの発生が少なくなり、前記燃焼部の燃焼熱の熱エネルギーも増大することとなる。したがって、簡単な構造にて固形燃料を安全に点火させ、燃焼時の排ガスのクリーン化と発電設備の運転効率の向上が図れる効果がある。しかも、コイルチューブを備えた熱交換器を直接、バイオマス燃料の燃焼熱を発生する熱源で加熱して動力発生用の高圧蒸気を生成することが可能な構成としているため、大型設備を設けることなく、外装ケーシング内に熱交換器やペレット燃焼バーナ装置、蒸気ロータリーエンジン及び発電機を含む主要部品を収納可能にして小型・コンパクトで高性能の分散型バイオマス熱電併給設備を実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0042】
以下、本発明の実施例による分散型バイオマス熱電併給設備について詳細に説明する。以下の説明において、本発明は一例として、木質系ペレットからなるバイオマス燃料を利用した分散型バイオマス熱電併給設備として説明されるが、本発明で利用可能な燃料は、バイオコークス、木質ペレットや廃材チップ等の固形バイオマス燃料に限らず、製紙工場で発生する黒液や、食用廃油から再生したバイオマスディーゼル燃料、廃棄食品や農業副産物等から製造したバイオエタノール及びバイオメタノールも含まれる。なお、その他の燃料としては、バイオガス、CNG,LPG、灯油又は水素等の燃料も利用可能なことはいうまでもない。
【0043】
図1において、分散型バイオマス熱電併給設備10は、図1において外装ケーシング24の左側部分で断熱材11によって外周部が囲まれて断熱構造となった蒸気発生熱交換器18を備える。図示されていないが、断熱材11の外周に円筒状ハウジングを配置して、この円筒状ハウジングを外装ケーシング24に支持するように構成しても良い。蒸気発生熱交換器18に隣接してバイオマス燃焼室12が形成されており、熱交換器18に隣接してバイオマス燃料供給装置14が並列配置されている。バイオマス燃料供給装置14は蒸気発生熱交換器18の下方に配置された燃焼部16に木質ペレット等のバイオマス燃料を供給する。燃焼部16により、木質ペレットが燃焼すると、バイオマス燃焼室12に燃焼熱が発生し、この燃焼熱は蒸気発生熱交換器18を加熱して高圧蒸気を発生させる。排気は煙道19から外部に排出される。高圧蒸気は蒸気ロータリーエンジン20に導入されて動力を発生する。該動力により発電機22が駆動される。これら構成部品は外装ケーシング24内に一体的に装備されている。しかしながら、蒸気ロータリーエンジン20と発電機22とを外装ケーシング24に隣接した他の外装ケーシング(図示せず)に収納しても良い。
【0044】
バイオマス燃料供給装置14は、バイオマス燃焼室12に隣接して外装ケーシング24の略中央に装着されていて木質ペレット、木材チップ、籾殻又は大鋸屑等の固形状バイオマス燃料Wpを貯留するバイオマス燃料タンク26を備える。外装ケーシング24はバイオマス燃料タンク26を開閉するための開閉蓋27を備える。バイオマス燃料タンク26は下部方向に延びるホッパー部26aを有し、ホッパー部26aの底部にタンク開口部26bが開口している。図1及び図2より明らかなように、タンク開口部26bにはロータリフィーダ28からなるペレット搬送装置が連結される。ロータリフィーダ28はタンク開口部26bに連結された矩形状のハウジング30を有する。ハウジング30はベース部材32を有し、ベース部材32にギヤモータ34が取り付けられている。ギヤモータ34の駆動軸36はベース部材32により支持されたベアリング38によって回転自在に支持される。駆動軸36は円錐状の上端部36aを備えていて、ペレット燃料Wpをタンク開口部26bから落下しやすいように案内する。駆動軸36にはホブ40が固定され、ホブ40の底部には回転円板42が支持される。ボブ40の外周にはその接線方向に延びるように等間隔で複数のブレード44がネジ46等で固定される。ブレード44の先端部から所定の間隔で一部リング状ガイド48及びシール材49が垂直方向に延びるようにハウジング30の上壁に固定されている。一方、複数のブレード44の下端部は回転円板42の上面に接するように配置される。リング状ガイド48からはその径方向外側において回転円板42の外周部よりも外側にまで当接部48aが延びていてペレット放出通路50を形成する。ペレット放出通路50の先端部に整列するようにベース部材32にはペレット排出開口32aが形成されており、ペレット排出開口32aにはシュート51が接続され、シュート51の下方短部51aは燃焼部16の上方に配置される。図2において、回転円板42が時計方向CWに回転すると、タンク開口部26bから落下するペレット燃料Wpはブレード44が回転移動する際に、遠心力方向に働く作用によりリング状ガイド48の内壁に押し付けられながら移動し、当接部48aに衝突しながら、回転円板42の外周部に移動して、ペレット排出開口32aからシュート51を介して燃焼部16に給送される。上記構成によって、ロータリフィーダ28は木質ペレットを目詰まりなく給送することができる。
【0045】
図1において、燃焼部16はペレット燃焼バーナ装置からなり、該バーナ装置16は燃焼室支持フレーム56の水平部材58に装着された燃焼ポット60からなり、燃焼ポット60は筒状燃焼空気導入部62と、ロストル部(燃焼皿)64を備える。燃焼空気導入部62とロストル部64にはそれぞれ複数の開口部62a及び64aが形成されている。ロストル部64の開口部64aは燃えカス(燃焼灰)を回収するための灰回収部66と連通していて、燃えカスが自重によって灰回収部66に自然落下して収納される。燃焼空気導入部62の外周には環状の改質用ガス噴射部68が配置され、改質用ガス噴射部68は水平部材58の下面にネジその他の適当な連結手段(図示せず)により固定される。改質用ガス噴射部68はその内側に形成された環状ガスチャンネル68aを有する。改質用ガス噴射部68はさらに空気開口部68bを備える。空気開口部68bは燃焼空気供給ダクト70に接続されていて、その水平方向端部が支持フレーム56に固定される。燃焼空気供給ダクト70はガス噴射ノズル72を備え、バイオマス燃料のガス化とタール分の熱分解を促進するための水素酸素ガスが後述の如く、供給される。バーナ装置16には、燃焼ポット60の上部にセラミックヒータ等からなる点火ヒータ(点火装置)74が設けられ、通電の際に燃焼ポット60に搬送された燃料ペレットWpに着火するようになっている。燃焼空気供給ダクト70にはさらに水蒸気供給ノズル75が設けられる。燃焼空気供給ダクト70の入り口70aには燃焼空気供給ファン76が接続され、燃焼空気供給ダクト70及び改質用ガス噴射部68を介して加圧空気が水素酸素ガスや水蒸気とともにバーナ装置16に供給される。
【0046】
図1において、熱交換器18は燃焼室12の周囲を囲むように配置された筒状蓄熱槽80と、該筒状蓄熱槽80に充填された蓄熱材と、該筒状蓄熱槽80の蓄熱材に埋め込まれた第1コイルチューブ82と、第1コイルチューブ82に連結されていて燃焼室12の周囲に配置された第2コイルチューブ83とを備える。筒状蓄熱槽80は、燃焼室12の周囲を囲む内筒84と、内筒84よりも大径の外筒86と、環状壁部88と、環状チャンバ90と、環状チャンバ90の上部に形成されたコーン部92とを備える。環状チャンバ90とコーン部92には燃焼熱の熱エネルギーを蓄熱する蓄熱材94が封入される。蓄熱材94は、例えば、マグネシア、マグネタイト、シリカ及びアルミナなどの粒子状固体蓄熱材からなるグループから選択された少なくとも1種、或は、これらを複数種類を混合したものでも良い。これら固体蓄熱材に少量、例えば、約15〜30%の硝酸塩からなる液体蓄熱材を混合しても良い。
【0047】
第1及び第2コイルチューブ82、83は一体的に連続しており、この中に作動媒体が封入される。作動媒体としては、例えば、アンモニア、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の低沸点媒体、水単体あるいは水とアルコールとの混合媒体でもよい。その他の作動媒体としては、アンモニアとメチルアルコール(CHOH)とを含む非共沸点混合物を利用してもよい。沸点64.65℃のメチルアルコールに沸点−34.34℃のアンモニアを添加した非共沸点混合物は沸点が約40℃である。この非共沸点媒体の蒸気圧は100℃のとき、10.8bar、160℃のとき、34bar、200℃のとき69bar、230℃のとき149bar、250℃のとき259barとなる。水(HO)が250℃のとき47barの蒸気圧となるのに対して、上記非共沸点媒体の圧力増大効果が如何に高いため、蒸気ロータリーエンジン20の作動媒体としてとくに優れている。因みに、ディーゼルエンジンの平均有効圧力が14.1〜19.6barとなっている。
【0048】
第1コイルチューブ82はパイプ96を介してクローズドシステムの加圧ポンプ100と連結しており、液相作動媒体が圧送される。加圧ポンプ100はコントローラ101によりON/OFF制御される。コントローラ101には燃焼室12の温度、ロータリエンジン20の入り口圧力その他の各種パラメータが入力されており、これらパラメータに応じて制御弁103、ポンプ100、115等が制御される。第1コイルチューブ82の作動媒体は蓄熱材94で予熱されて蒸気が生成され、この蒸気は第2コイルチューブ83に流入して燃焼室12の燃焼熱でさらに加熱されて高圧蒸気となる。次に、この高圧蒸気は第2コイルチューブ83からパイプ102及び制御弁103を介して蒸気ロータリーエンジン20に供給され、その高圧蒸気で蒸気ロータリーエンジン20を駆動する。蒸気ロータリーエンジン20から吐出された膨張蒸気はパイプ104を介して排熱回収熱交換器106に送られる。排熱回収熱交換器106は冷却水が供給されるパイプ108と、前記膨張蒸気の排熱エネルギーを回収する熱交換コイルチューブ110と、温水を取り出すパイプ112とを備える。パイプ112には分岐パイプ114が接続され、分岐パイプ114は加圧ポンプ115を介して熱交換器18の下方において燃焼室12に隣接して配置されたスチームパイプ116に接続される。スチームパイプ116は燃焼熱により加熱されて内部の温水が水蒸気に変換される。スチームパイプ116の出口は水蒸気供給ノズル75に連結されていて、燃焼部16に燃料改質用の水蒸気を供給する。
【0049】
蒸気ロータリーエンジン20には3相交流発電機又は単相交流発電機22が連結されて交流出力を発生する。交流出力はパワーユニット120で交直変換されて所定の周波数例えば、50Hzまたは60Hzに調整されて一部は空調設備その他の自家用負荷の駆動に利用され、残りの電力はパワーグリッド122を介して送電網に送られる。パワーユニット120には電解用電源124が接続される。電解用電源124はパワーユニット120の交流電力を3V〜12Vに降圧して電解用の直流電力を電解槽126に供給する。電解槽126は内部にアルカリ水溶液等の電解液が充填されていて、電解作用により水素酸素ガスを生成する。水素酸素ガスは水素供給パイプ134を介して水素噴射ノズル136から噴射され、水蒸気供給ノズル75から噴射する水蒸気と共に水蒸気供給チャンネル68aを経て燃焼部16の燃料に添加される。図1において、水蒸気供給ノズル75と水素噴射ノズル136とはそれぞれ独立した部品として示されているが、これ等部品を一体化した構造とし、水素酸素ガスと水蒸気との混合ガスを供給しても良い。また、図示を省略してあるが、水素噴射ノズル136の上流にはフレームアレスタ等のバックファイヤを防止するための金属メッシュ及び逆止弁等を設けてもよい。
【0050】
一方、パワーユニット120の交流電力はスイッチ136を介してギヤモータ34や燃焼空気供給ファン76に供給される。実際の使用に当たっては、燃焼室12に温度センサ(図示せず)を設けて、その温度信号に応答してインバータ等のコントローラを介してギヤモータ34及び燃焼空気供給ファン76が燃焼室12を所定温度となるように回転制御される。
【0051】
図3,4において、蒸気ロータリーエンジン20は、インレット212及びアウトレット214を有する円筒状のシリンダーハウジング216を備える。シリンダーハウジング216はフロントカバー218と、リアカバー220と、センターケース222とを備える。フロントカバー218及びリアカバー220はそれぞれ円形空洞室224を有し、センターケース222はインレット212及びアウトレット214と連通するように形成されたピストン作動室239を有する。センターケース222は、さらに、インレット212及びアウトレット214との間において予め定められた範囲でピストン作動室239の半径方向内側に向かって延びていてインレット212に隣接して加圧領域224aと排気領域224bとを形成するカムローブ226を有する。カムローブ226はフロントカム面226aと、リアカム面226bと、中央円弧状カム面226cとを有する。
【0052】
円形空洞室224及びピストン作動室239の中心軸と同心的に出力軸228が延びており、出力軸228はフロントカバー218とリアカバー220にそれぞれ固定支持されたベアリング230,232により回動自在に支持されている。ピストン作動室239にはロータ234が回転自在に収納される。ロータ234は出力軸228に支持されていて、カムローブ226の中央円弧状カム面226aに摺動するセンターフライホイール235と、センターフライホイール235よりも径大で円形空洞室224の曲率半径と略同一の曲率半径を有し、円形空洞室224に回転自在に収納されたサイドフライホイール236、238とを備える。サイドフライホイール236、238は、センターフライホイール235の軸方向両端においてカムローブ226を部分的に挟むように配置され、サイドフライホイール236、238の軸方向空間部にピストン作動室239が区画される。
【0053】
センターフライホイール235の外周部において周方向に均等に分割された位置には、ロータ234の接線方向に延びるように複数の円弧状ピストン室240が形成され、円弧状ピストン室240のそれぞれに複数の揺動ブロックピストン242が出没自在に収納されている。ここで「ブロックピストン」とは、円弧状揺動ブロックピストン242が板状やシート状ではなく、所謂、1つの塊となっているブロック形状を現すものとして定義される。カムローブ226は、円弧状揺動ブロックピストン242をセンターフライホイール235の外周に対して最大後退位置に移動させてアウトレット14に隣接して排気領域224bを形成するとともにイントレット212に隣接して加圧領域224aを形成する。このとき、サイドフライホイール236、238の軸方向空間において円弧状揺動ブロックピストン242の受圧面を最大突出位置に移動させて加圧領域224aに露出させる。
【0054】
複数の円弧状ピストン室240は、それぞれロータ234の接線方向に延びていて揺動ブロックピストン242の最大後退位置を規制する接線方向壁部240aと、接線方向壁部240aの後方からロータ234の半径方向に沿って延びる円弧状ガイド壁240bと、円弧状ガイド壁240bの外方端部に形成されていて円弧状揺動ブロックピストン242の最大突出位置を規制するストッパー部240cとを備える。
【0055】
揺動ブロックピストン242は、円弧状ピストン室240の接線方向壁部240aの先行部にピボット軸243を介して出没自在に支承された基部242aと、該基部242aから接線方向壁部240aに沿って延びている内縁部242bと、円弧状ガイド壁240bで摺動すると共に円弧状揺動ブロックピストン242の最大突出位置にてストッパー部240cに係止可能な係合部242cと、係合部242cに摺動しながら出没可能な円弧状受圧部242dと、円弧状受圧部242dから基部242aに向けて延びていてロータ234の外周の曲率半径と同一の曲率半径を有する円弧状カムフォロワ面242eと、円弧状カムフォロワ面242eの軸方向両端においてロータ234の軸方向端面と同一平面にて内縁部側222bに延びる側壁部242fとを備える。側壁部242fには内縁部242bに沿って潤滑油溜242gがテーパ状に形成されている。ピボット軸243の両端部はベアリング245によって回動自在に支持され、ベアリング245はサイドフライホール236、238に装着されている。
【0056】
円弧状揺動ブロックピストン242の基部242aの中央部の内側にはバネ収容溝部250が形成され、バネ収容溝部250内にコイルバネ251等の弾性部材が付勢手段として収納される。コイルバネ251のコイル部分はピボット軸243に装着されていて揺動ブロックピストン242を最大突出位置に付勢している。
【0057】
出力軸228の中央部には接続部254を介して外部の潤滑油供給源と連通する潤滑油供給路228aが形成される。一方、第2フライホール236、238には潤滑油供給路228aと連通しながら放射状に延びる複数の潤滑油通路256が形成されており、これら潤滑油通路256はいずれも揺動ブロックピストン242の最大突出位置で潤滑油溜242gと連通するような位置に形成された開口部56aを備える。
【0058】
上記構成において、電源スイッチ(図示せず)が投入されると、スイッチ136が導通して、ギヤモータ34、燃焼空気供給ファン76、点火装置74及び電解槽126が作動開始する。電解槽126からの水素酸素ガスがガス噴射ノズル136から噴射すると、点火装置74により着火した火炎によって燃焼部16に供給された木質ペレットWpが着火する。このとき、水素酸素ガスの高温の火炎によって木質ペレットWpのガス化が促進されながらバイオマス燃料が燃焼する。そのとき発生する燃焼炎Fは燃焼室12内に燃焼熱を発生させ、第2コイルチューブ83、熱交換器80及びスチームパイプ116を加熱する。燃焼室12が所定温度に達すると、コントローラ101によってポンプ100がONとなり、制御弁103がOPEN状態とされる。このとき、熱交換器80及び第2コイルチューブ83で発生した高圧蒸気は蒸気ロータリーエンジン20のインレット212から作動室224に導入される。このとき、図3において、カムローブ226が1つの揺動ブロックピストン242の円弧状カムフォロワ面242eに係合し、この円弧状カムフォロワ面242eを最大後退位置に移動させて加圧領域224aの後方部を密閉し、隣接した他の揺動ブロックピストン242の受圧部242dをバネ251の作用によって最大突出位置まで加圧領域224aの先行部に突出させる。この突出位置において、高圧蒸気は当該揺動ブロックピストン242の円弧状受圧部242dに作用する。このとき、円弧状受圧部242dに作用した圧力は円弧状カムフォロワ面242eを介して揺動ブロックピストン242の基部242aからロータ234の接線方向に伝達され、ロータ234に回転トルクを発生させる。そのため、ロータ234が時計方向Cwに回転移動する。このように、複数の揺動ブロックピストン242は順次、高圧蒸気の作用を受けて、周期的に出没しながら時計方向Cwに回転移動する。
【0059】
一方、蒸気ロータリーエンジン20で膨張して低圧となったガス相作動媒体はアウトレット214とパイプ104を介して排熱回収熱交換器106に送られ、冷却水と熱交換されてパイプ112から温水を取り出す。温水の一部は加圧ポンプ115を介してスチームパイプ116に圧送され、燃焼室12の燃焼熱で加熱されって水蒸気を生成する。この水蒸気は水蒸気供給ノズル75から燃焼空気供給ダクト70を介して燃焼部16に送られる。このとき、燃料ペレットWpで発生するタール分は、水素酸素ガス火炎の高温状態で、効率的にCOとH2との可燃成分に改質されて燃焼する。
【0060】
つぎに、本発明の第2実施例による分散型熱電併給設備10Aについて説明する。第1実施例の分散型熱電併給設備10と同一の部材については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。図5に示した第2実施例の散型熱電併給設備10Aは第1実施例の分散型バイオマス熱電併給設備10とは燃焼ポット60が流体燃料用の燃焼部として機能するバーナ装置60Aに差し替えられ、コントローラ101がコントローラ101Aに差し替えられている点が異なる。流体燃料としては、製紙工場で発生する黒液や、食用廃油から再生したバイオマスディーゼル燃料やバイオエタノール等のバイオマス液体燃料の他に、CNG,LPG、灯油等の燃料を利用してもよい。
【0061】
バーナ装置16Aは燃料タンク300から燃料ポンプ302を介して加圧された流体燃料を噴射するための燃料噴射ノズル304と、該燃料噴射ノズル304の外周に配置されたガス噴射ノズル306と、バックファイア防止用のメッシュ部材308とを備える。ガス噴射ノズル306はインレット310を備えていて、インレット310には燃焼室12内において第2コイルチューブ83の内側に配置されたスチームパイプ116で生成された水蒸気と電解槽126で生成された水素酸素ガスが燃料改質用ガスとして供給される。熱交換器18の底部には温度センサ304が装着されていて熱交換器18の作動温度を検出してコントローラ101Aに送信する。さらに、エンジン20の出力軸228近辺にはエンジン速度センサ306が配置されていて、出力軸228の回転数を検出してコントローラ101Aに送信する。コントローラ101AはCPUを有するマイクロコンピュータ(図示せず)を備え、予め実験等で収集したデータに基づいて定められた制御マップを用意し、この制御マップに基づき、これ等センサ類からのパラメータに応じてポンプ100、115、302の回転数を制御することにより、ロータリエンジン22の回転数が所定回転数になるように制御する。
【0062】
分散型熱電併給設備10Aの運転において、バーナ装置16Aに供給された水蒸気と水素酸素ガスとの存在下で、燃料噴射ノズル304から噴射する流体燃料の燃焼が促進される。特に、バイオマス燃料として黒液やバイオディーゼル燃料を使用した場合には、これ等液体燃料のガス化が促進されるため、燃焼不良が生じて排煙と一緒に環境汚染物質が排出される等の問題が解消される。
【0063】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することが出来る。例えば、本発明の実施例による分散型熱電併給設備及び分散型バイオマス熱電併給設備はランキンサイクルとして説明されたが、カリーナサイクルで利用しても良い。実施例では、熱交換器のコイルチューブが燃焼室の炎に直接露出するように開示されたが、必要に応じてコイルチューブに直接、燃焼室の炎を接触させないように燃焼室内に熱シールド部材を配置しても良い。なお、コイルチューブは燃焼室と同心的に配置されたが、本発明はこの実施態様に限定されない。例えば、コイルチューブの軸心が燃焼室に対して交差するような構造又はコイルチューブの軸心が燃焼室に対して並列となるように変形しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施例による分散型バイオマス熱電併給設備の一部断面図を示す。
【図2】図1に示したロータリフィーダの詳細図を示す。
【図3】図1に示したロータリエンジンの断面図を示す。
【図4】図2のIV−IV線から見たロータリエンジンの断面図を示す。
【図5】本発明の第2実施例による分散型熱電併給設備のブロック図を示す。
【符号の説明】
【0065】
12 燃焼室
14 バイオマス燃料供給装置
16 燃焼部
18 熱交換器
20 蒸気ロータリエンジン
22 交流発電機
60、60A バーナ装置
68 改質用ガス噴射部
70 燃焼空気供給ダクト
72 ガス噴射ノズル
75 水蒸気供給ノズル
101、101A コントローラ
106 排熱回収熱交換器
115 加圧ポンプ
216 ハウジング
224 円形空洞室
226 カムローブ
235 ロータ
239 ピストン作動室
300 燃料タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非共沸点混合物からなる液相作動媒体を加熱して高圧蒸気を発生させるコイルチューブを備えた蒸気発生熱交換器と、
前記蒸気発生熱交換器に隣接して配置された燃焼室と、
前記燃焼室で燃料を燃焼させて前記蒸気発生熱交換器に燃焼熱を供給するバーナ装置と、
前記コイルチューブで発生した前記高圧蒸気を導入して動力を発生する蒸気ロータリーエンジンと、
前記動力により駆動されて出力電力を発生する発電機と、
前記蒸気ロータリーエンジンから吐出された膨張蒸気を凝縮して前記液相作動媒体を生成すると共に排熱エネルギーを回収する排熱回収熱交換器と、
前記排熱回収熱交換器から得た前記液相作動媒体を前記コイルチューブに加圧下で供給する加圧ポンプと、を備え、
前記蒸気ロータリーエンジンが、真円のピストン作動室と、前記ピストン作動室の中心軸に向かって半径方向内側に延びていて所定の曲率半径の円弧状カム面を有するカムローブと、前記カムローブの前縁部と後縁部とにそれぞれ隣接して前記ピストン作動室と連通するインレット及びアウトレットを有するシリンダーハウジングと、
前記ピストン作動室よりも小径で前記カム面の前記曲率半径と略同一の曲率半径を持っていて、前記ピストン作動室と同心的に延びる出力軸に支持されて前記カムローブと摺動するように前記ピストン作動室に回転自在に収納されていて、前記インレットと前記前縁部とに隣接して形成された加圧領域と、前記アウトレットと前記後縁部とに隣接して形成された排気領域とを区画するロータと、
前記ロータの外周に均等間隔で形成されていて、前記ロータの半径方向に延びる円弧状ガイド壁をそれぞれ有する複数の円弧状ピストン室と、
前記円弧状ピストン室にそれぞれ最大突出位置と最大後退位置との間で出没自在に収納されていて、前記円弧状ガイド壁に沿って前記最大突出位置と前記最大後退位置に移動する円弧状ピストンヘッドと、前記曲率半径と同一の曲率半径を持っていて前記カムローブと周期的に摺動するカムフォロワー面を有する円弧状揺動ブロックピストンと、
前記円弧状揺動ブロックピストンを前記最大突出位置に移動させる付勢手段と、を備え、
前記円弧状揺動ブロックピストンが互いに隣接する第1及び第2揺動ピストンを備え、
前記第1揺動ピストンのカムフォロワー面が前記カム面と摺動すると、前記加圧領域の後方端部が密閉され、このとき同時に、前記第2揺動ピストンのピストンヘッドが前記加圧領域において前記最大突出位置に移動して前記高圧蒸気の作用を受けることを特徴とする分散型熱電併給設備。
【請求項2】
前記バーナ装置が前記燃料に改質用ガスを添加するための改質用ガス噴射部を備えることを特徴とする請求項1記載の分散型熱電併給設備。
【請求項3】
前記分散型熱電併給設備が、さらに、前記燃焼室の前記燃焼熱及び前記膨張蒸気の排熱エネルギーの少なくとも1つで加熱されることにより水蒸気を生成する水蒸気生成部と、前記出力電力の一部で電解液を電解して水素酸素ガスを発生する電解槽との少なくとも1つを備え、前記改質用ガス噴射部が前記水蒸気及び前記水素酸素ガスの少なくとも1つを前記バーナ装置に供給するガス噴射ノズルを備えることを特徴とする請求項2記載の分散型熱電併給設備。
【請求項4】
前記熱交換器が、前記燃焼室に隣接して配置された筒状蓄熱槽と、前記筒状蓄熱槽に封入されていて前記燃焼熱の熱エネルギーを蓄熱する蓄熱材とを備え、前記コイルチューブの少なくとも一部が前記蓄熱材に埋め込まれていることを特徴とする請求項1〜3記載の分散型熱電併給設備。
【請求項5】
液相作動媒体を加熱して高圧蒸気を発生させるコイルチューブを備えた蒸気発生熱交換器と、
前記蒸気発生熱交換器に隣接して配置されたバイオマス燃焼室と、
前記バイオマス燃焼室でバイオマス燃料を燃焼させて前記熱交換器に燃焼熱を供給するバーナ装置と、
前記バーナ装置に前記バイオマス燃料を供給するバイオマス燃料供給装置と、
前記コイルチューブで発生した前記高圧蒸気を導入して動力を発生する蒸気ロータリーエンジンと、
前記動力により駆動されて出力電力を発生する発電機と、
前記蒸気ロータリーエンジンから吐出された膨張蒸気を凝縮して前記液相作動媒体を生成すると共に排熱エネルギーを回収する排熱回収熱交換器と、
前記排熱回収熱交換器から得た前記液相作動媒体を前記コイルチューブに加圧下で供給する加圧ポンプと、を備え、
前記蒸気ロータリーエンジンが、真円のピストン作動室と、前記ピストン作動室の中心軸に向かって半径方向内側に延びていて所定の曲率半径の円弧状カム面を有するカムローブと、前記カムローブの前縁部と後縁部とにそれぞれ隣接して前記ピストン作動室と連通するインレット及びアウトレットを有するシリンダーハウジングと、
前記ピストン作動室よりも小径で前記カム面の前記曲率半径と略同一の曲率半径を持っていて、前記ピストン作動室と同心的に延びる出力軸に支持されて前記カムローブと摺動するように前記ピストン作動室に回転自在に収納されていて、前記インレットと前記前縁部とに隣接して形成された加圧領域と、前記アウトレットと前記後縁部とに隣接して形成された排気領域とを区画するロータと、
前記ロータの外周に均等間隔で形成されていて、前記ロータの半径方向に延びる円弧状ガイド壁をそれぞれ有する複数の円弧状ピストン室と、
前記円弧状ピストン室にそれぞれ最大突出位置と最大後退位置との間で出没自在に収納されていて、前記円弧状ガイド壁に沿って前記最大突出位置と前記最大後退位置に移動する円弧状ピストンヘッドと、前記曲率半径と同一の曲率半径を持っていて前記カムローブと周期的に摺動するカムフォロワー面を有する円弧状揺動ブロックピストンと、
前記円弧状揺動ブロックピストンを前記最大突出位置に移動させる付勢手段と、
前記ロータの外周において前記円弧状揺動ブロックピストンにそれぞれ隣接して形成されたストッパー部と、
前記円弧状揺動ブロックピストンに形成されていて、前記ストッパー部にそれぞれ係止して前記円弧状揺動ブロックピストンの前記最大突出位置を規制する係止部と、
を備え、
前記円弧状揺動ブロックピストンが互いに隣接する第1及び第2揺動ピストンを備え、
前記第1揺動ピストンのカムフォロワー面が前記カム面と摺動すると、前記加圧領域の後方端部が密閉され、このとき同時に、前記第2揺動ピストンのピストンヘッドが前記加圧領域において前記最大突出位置に移動して前記高圧蒸気の作用を受けることを特徴とする分散型バイオマス熱電併給設備。
【請求項6】
前記熱交換器が、前記バイオマス燃焼室に隣接して配置された筒状蓄熱槽と、前記筒状蓄熱槽に封入されていて前記燃焼熱の熱エネルギーを蓄熱する蓄熱材とを備え、前記コイルチューブの少なくとも一部が前記蓄熱材に埋め込まれていることを特徴とする請求項5記載の分散型バイオマス熱電併給設備。
【請求項7】
前記分散型熱電併給設備が、さらに、前記燃焼室の前記燃焼熱及び前記膨張蒸気の排熱エネルギーの少なくとも1つで加熱されることにより水蒸気を生成する水蒸気生成部と、前記出力電力の一部で電解液を電解して水素酸素ガスを発生する電解槽との少なくとも1つを備え、前記バーナ装置が前記水蒸気及び前記水素酸素ガスの少なくとも1つを前記バイオマス燃料に添加するガス噴射ノズルを備えることを特徴とする請求項5又は6記載の分散型バイオマス熱電併給設備。
【請求項8】
非共沸点混合物からなる液相作動媒体を加熱して高圧蒸気を発生させるコイルチューブを備えた蒸気発生熱交換器と、
前記熱交換器に隣接して配置されたバイオマス燃焼室と、
前記バイオマス燃焼室で木質ペレット燃料を燃焼させて前記熱交換器に燃焼熱を供給するペレット燃焼バーナ装置と、
前記ペレット燃焼バーナ装置に前記木質ペレット燃料を供給する木質ペレット燃料供給装置と、
前記コイルチューブで発生した前記高圧蒸気を導入して動力を発生する蒸気ロータリーエンジンと、
前記蒸気ロータリーエンジンに連結されていて前記動力により出力電力を発生する発電機と、
前記熱交換器と前記蒸気ロータリーエンジンとの間に接続されていて前記上記蒸気ロータリーエンジンから吐出された膨張蒸気を凝縮して前記液相作動媒体を生成すると共に排熱エネルギーを回収する排熱回収熱交換器と、
前記液相作動媒体を前記排熱回収熱交換器から前記蒸気発生熱交換器に加圧下で供給する加圧ポンプと、
前記バーナ装置に開口していて改質ガスを前記木質ペレット燃料に添加するガス噴射ノズルと、
を備えることを特徴とする分散型バイオマス熱電併給設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−7600(P2012−7600A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159117(P2010−159117)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(598053927)エルソン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】