説明

分散補償器

【課題】 簡素な構成により、分散補償量を可変させることができるようにする。
【解決手段】 入力される光について高次モード光に変換しうる第1モード光変換部13aと、第1モード光変換部13aから出力される高次モード光に対して、当該高次モード光のモード状態に応じた分散補償を行ないうる分散補償部12と、分散補償部12で上記分散補償がなされた高次モード光について、もとのモード光に変換しうる第2モード光変換部13bと、第1モード光変換部13aで変換される高次モード光のモード状態を可変制御しうるとともに、第2モード光変換部13bにおいて分散補償部12からの高次モード光をもとのモード光に変換するための制御を行ないうるモード制御部15と、をそなえるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システムにおいて、波長分散を補償する際に用いて好適の、分散補償器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年は情報化社会であり、大量かつ多様な情報を高速に伝送することができる光ファイバ通信システムは、我々の生活に欠かすことのできない重要なシステムとして位置づけられる。この光ファイバ通信システムは、光信号を発生する信号源、光信号を伝送するための光ファイバ伝送ライン、光信号を検出し復調する光受信器などから構成されるのが一般的である。
【0003】
この光ファイバ通信システムにおいて、ある所定の波長範囲の光信号を用いて波長分散が正の光ファイバを伝送させる場合、長い波長成分の光信号は短い波長成分の光信号より伝搬速度が遅いため遅延が生じる。光信号波形はこの遅延により劣化する。特に、多数のチャネルを広い波長領域に渡って伝送させる場合には、このような伝搬速度差(分散)を精密に補償する分散補償 が必要となる。特に、DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)通信システムにおいては、上述のごとき波長分散の補償、分散スロープ補償が必要不可欠である。
【0004】
従来、分散補償には、分散補償ファイバ(DCF:Dispersion Compensation Fiber)が用いられていたが、高価であるとともに、固定の補償量について補償するものにすぎなかった。
また、図8に示すように、シングルモードファイバ(SMF:Single Mode Fiber)を伝搬する光について高次モード光にモード変換させてマルチモードファイバ(MMF:Multi Mode Fiber)を伝搬させることにより分散補償を行なうという、小型な分散補償器が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
この図8に示す分散補償器100においては、シングルモードファイバ101を伝搬してきた0次モード光を、内側面が全反射部材102aで形成された円筒部材102を通過させることで干渉を発生せしめ、これにより0次モード光をマルチモード光に変換して、変換されたマルチモード光についてレンズ103を通じてマルチモードファイバ104を伝搬させるようになっている。即ち、このマルチモードファイバ104自身が持つ、マルチモード光のモード状態によって分散スロープ特性が異なるという性質を利用することにより、シングルモードファイバ101を伝搬する光についての波長分散を補償するようになっている。
【特許文献1】特表2002−507778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のDCFにおいては、その光ファイバ長で分散補償量を制御する構成であることから、一本のDCFで補償可能な分散特性が固定的に定まってしまうので、分散量が時々刻々変化するような場合に、その変化に追従した分散補償を行なうことが困難であり、高速伝送に対応した分散補償が難しい。また、DCFによって光伝送路の分散補償を行なうためには、光伝送路として適用されている光ファイバ1本1本にあった長さの分散補償光ファイバをそれぞれの光伝送路に対応させて形成する必要があり、コストの面からも改善の余地がある。
【0007】
上述の図8に示す分散補償器100においても、DCFと同様に、円筒部材102の長さによって変換するマルチモード光のモード状態が決まるので、光伝送路として適用されている光ファイバ1本1本にあった補償量のものを設計する必要がある。このため、高速伝送に対応した分散補償が困難であり、コスト面からも改善の余地がある。
そこで、上記のような状況に対応するには、光伝送路の長さや伝送速度に応じて補償量を変化させることができるような、可変分散補償器を適用することが好ましい。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、簡素な構成により、分散補償量を可変させることができるようにした、分散補償器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明の分散補償器は、入力される光について高次モード光に変換しうる第1モード光変換部と、該第1モード光変換部から出力される高次モード光に対して、当該高次モード光のモード状態に応じた分散補償を行ないうる分散補償部と、該分散補償部で上記分散補償がなされた高次モード光について、もとのモード光に変換しうる第2モード光変換部と、該第1モード光変換部で変換される高次モード光のモード状態を可変制御しうるとともに、該第2モード光変換部において該分散補償部からの高次モード光をもとのモード光に変換するための制御を行ないうるモード制御部と、をそなえて構成されたことを特徴としている。
【0010】
また、該モード制御部を、該第2モード光変換部から出力される光の分散量に応じて、該第1モード光変換部で変換される高次モード光のモード状態を可変しうるように制御すべく構成されたことを特徴としている。
さらに、上記の第1および第2モード光変換部を、それぞれ該分散補償部に対する相対距離によって、入力光に対する出力光のモード状態を可変しうるアキシコンレンズにより構成するとともに、該モード制御部を、該第1モード光変換部としてのアキシコンレンズの、該分散補償部に対する相対距離を可変設定しうる第1相対距離可変部と、該第2モード光変換部としてのアキシコンレンズの、該分散補償部に対する相対距離を可変設定しうる第2相対距離可変部と、該第2モード光変換部から出力された光についてモニタするモニタ部と、該モニタ部におけるモニタ結果に基づいて、上記の第1および第2モード光変換部としてのアキシコンレンズの、該分散補償部に対する相対距離を設定制御すべく、上記の第1および第2相対距離可変部を制御する相対距離設定制御部と、をそなえて構成することとしてもよい。
【0011】
また、上記の第1および第2モード光変換部を、それぞれ入力信号光とともに入力される制御光の強度により、上記入力信号光に対する出力信号光についてのモード状態を可変しうる熱レンズにより構成するとともに、該モード制御部を、上記の第1および第2モード光変換部としての熱レンズについてのモード状態を可変させるための制御光を発光する制御光光源と、該第2モード光変換部から出力された光についてモニタするモニタ部と、該モニタ部におけるモニタ結果に基づいて、上記の第1および第2モード光変換部としての熱レンズの屈折率変化を設定制御すべく、該制御光光源を制御する制御光光源制御部と、をそなえて構成することもできる。
【0012】
この場合においては、好ましくは、分散補償部を、マルチモードファイバにより構成する。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明によれば、モード制御部により、第1モード光変換部で変換される高次モード光のモード状態を可変制御しうるとともに、第2モード光変換部において分散補償部からの高次モード光をもとのモード光に変換するための制御を行なうことで、高次モードへの変換効率を可変し、分散補償部での分散補償量を可変することができるので、簡素な構成により、分散補償量を可変させることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
〔A1〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態にかかる分散補償器を示す図である。この図1に示す分散補償器10は、光通信システムにおける中継局や受信端局等に設けられて、伝送路ファイバを伝搬してきた波長多重光についての波長分散を補償することができるものである。
【0015】
この図1に示す分散補償器10は、シングルモードファイバ(SMF)11a,11b,マルチモードファイバ(MMF)12,アキシコンレンズ13a,13b,第1〜第4コリメートレンズ14a〜14dおよびモード制御部15をそなえて構成されているが、光学的には、シングルモードファイバ11a,コリメートレンズ14a,アキシコンレンズ13a,コリメートレンズ14b,マルチモードファイバ12,コリメートレンズ14c,アキシコンレンズ13b,コリメートレンズ14dおよびシングルモードファイバ11bに続いて、モード制御部15を構成する光分岐素子15aの順に、一方向に結合されている。
【0016】
ここで、入力側のシングルモードファイバ11aに入力された入力光としての0次モード(基本モード)の光信号が、その出射端部から出射されると、第1コリメートレンズ14aで集光されて、アキシコンレンズ13aに入射されるようになっている。尚、第1コリメートレンズ14aは、上述の入力側シングルモードファイバ11aとアキシコンレンズ13aとの間の光路上に介装される。
【0017】
アキシコンレンズ13a,13bは、図2に示すように、一方の面に平面部13−1が、他方の面にはその中央部に頂点を有する円錐状面部13−2が、それぞれ形成されてなるレンズであって、後述のマルチモードファイバ12に対する相対距離によって、入力光に対する出力光のモード状態を可変しうるものである。
ここで、アキシコンレンズ13aは、平面部13−1の中央部分にガウシアンビームが入射されると、出射面となる円錐状面部13−2から出射する光は、ドーナツ状に像が広がり、アキシコンレンズ13bは、ドーナツ状に像が広がっている光が、円錐状面部13−2の頂点部で集光・入射されると、平面部13−1からはガウシアンビームを出射することができるようになっている。
【0018】
また、例えば図2に示すように、平面部13−1の中央部分にガウシアンビームが入射された場合に、円錐状面部13−2から出射される光は、位置P1,P2,P3によって光強度分布M1,M2,M3が変化、即ち出射光についてのモード次数が変化するようになっている。図1においては、後述のモード制御部15によりアキシコンレンズ13aの、出射側に設けられた第2コリメートレンズ14bとの距離L(図2参照)が可変制御されているので、第2コリメートレンズ14bからは、第1コリメートレンズ14aに入射される0次モード光についてのモード次数が可変制御されたマルチモード光を出射することができるようになっている。
【0019】
したがって、上述のアキシコンレンズ13aにより、入力される光について高次モードに変換しうる第1モード光変換部が構成される。尚、第2コリメートレンズ14bは、上述のアキシコンレンズ13aとマルチモードファイバ12との間の光路上に介装される。
マルチモードファイバ12は、第2コリメートレンズ14bからのマルチモード光を伝搬させて、第3コリメートレンズ14cに出射させるものであるが、このマルチモードファイバ12は、例えば図3に示すように、伝搬する光のモード次数が高くなるに従って、分散スロープ特性が大きくなるように変化する特性を有している。
【0020】
すなわち、アキシコンレンズ13aと第2コリメートレンズ14bとの距離が可変制御されることにより、マルチモードファイバ12に入射される光のモード次数が可変制御されているので、マルチモードファイバ12においては、入射される光について、可変制御されたモード次数に従った分散スロープ特性で、分散補償を行なうことができるようになっている。
【0021】
したがって、上述のマルチモードファイバ12は、第2,第3コリメートレンズ14bと協働することにより、アキシコンレンズ13aから入射される高次モード光に対して、当該高次モード光のモード状態に応じた分散スロープ特性により分散補償を行ないうる分散補償部として動作する。
また、第3コリメートレンズ14cは、マルチモードファイバ12とアキシコンレンズ13bとの間の光路上に介装されて、マルチモードファイバ12から出射されたマルチモード光について、アキシコンレンズ13bにおける円錐状面部13−2の頂点部に向けて集光させるものである。更に、アキシコンレンズ13bは、上述のアキシコンレンズ13aの可逆素子として機能すべくモード制御部15で第3コリメートレンズ14cとの距離が可変制御され、第3コリメートレンズ14cからのマルチモード光を円錐状面部13−2の頂点部で入射されて、0次モード光として平面部13−1から出射するものである。
【0022】
したがって、上述のアキシコンレンズ13bにより、マルチモードファイバ12で分散補償がなされ第3コリメートレンズ14cを通じて入射された高次モード光について、もとのモード光(この場合においては0次モード光)に変換しうる第2モード光変換部が構成される。
また、第4コリメートレンズ14dは、アキシコンレンズ13bと出力側シングルモードファイバ13bとの間の光路上に介装されて、アキシコンレンズ13bの平面部13−1から出射された0次モード光について集光して、後段のシングルモード11bに出射させるものである。このようにして、マルチモードファイバ12で分散補償がなされた0次モード光は、出力側シングルモードファイバ11bを通じて出力光として出力される。
【0023】
また、モード制御部15は、アキシコンレンズ13aおよびコリメートレンズ14bで変換される高次モード光のモード状態を可変制御しうるとともに、コリメートレンズ14cおよびアキシコンレンズ13bにおいてマルチモードファイバ12からの高次モード光をもとの0次モード光に変換するための制御を行なうものである。特に、アキシコンレンズ13aで変換される高次モード光のモード状態については、アキシコンレンズ13bから出力される光の分散量に応じて可変しうるように制御する。
【0024】
ここで、モード制御部15は、出力側シングルモードファイバ11bからの分散補償がなされた0次モード光の一部をモニタ用に分岐させる光分岐素子15aと、光分岐素子15で一部が分岐された0次モード光をモニタ用に受光する受光素子15bと、をそなえるとともに、ピエゾ素子15c,15dおよび相対距離設定制御部15eをそなえて構成されている。尚、上述の光分岐素子15aおよび受光素子15bにより、アキシコンレンズ13bから出力された光についてモニタするモニタ部を構成する。
【0025】
さらに、ピエゾ素子15c,15dは、アキシコンレンズ13a,13bのそれぞれの光路上の前後位置について可変設定しうるものである。換言すれば、ピエゾ素子15cは、アキシコンレンズ13aの、分散補償部をなす第2コリメートレンズ14bに対する相対距離を可変設定しうる第1相対距離可変部として構成されるとともに、ピエゾ素子15dは、アキシコンレンズ13bの、分散補償部をなす第3コリメートレンズ14cに対する相対距離を可変設定しうる第2相対距離可変部として構成される。
【0026】
また、相対距離設定制御部15eは、受光素子15bにおけるモニタ結果に基づいて、それぞれ、アキシコンレンズ13a,13bの、分散補償部をなす第2,第3コリメートレンズ14b,14cに対する相対距離を設定制御すべく、ピエゾ素子15c,15dを制御するものである。
具体的には、相対距離設定制御部15eは、受光素子15bからの電気信号をもとに、出力光の分散量についてモニタし、モニタ結果に応じてピエゾ素子15cを制御する。即ち、ピエゾ素子15cを制御することにより、アキシコンレンズ13aのコリメートレンズ14bと間の相対位置を可変させて、アキシコンレンズ13aで誘発されるマルチモード光のモード状態を設定する。これにより、マルチモードファイバ12で最適な分散補償が実現するように、即ち出力光の波長分散が最小となるようにしているのである。
【0027】
上述の図3においては、4種類のモード状態に応じたマルチモードファイバ12の分散スロープ特性DS1〜DS4について図示しているが、本発明によれば、ピエゾ素子15cにより、アキシコンレンズ13aの光路上の前後位置をステップ的でなく連続的に可変制御させることができるので、マルチモードファイバ12の分散スロープ特性を、例えば図3に示す分散スロープ特性DS1の状態から、連続的に分散スロープ特性DS4の状態まで変化させることが可能である。
【0028】
さらに、相対距離設定制御部15eがピエゾ素子15dを制御することで、上述のアキシコンレンズ13bの光路上の前後位置について設定制御するようになっている。具体的には、アキシコンレンズ13bおよびコリメートレンズ14c間の光路の距離が、マルチモード光を誘発させるために設定しているアキシコンレンズ13aおよびコリメートレンズ14b間の光路の距離に等しくなるようにしている。これにより、アキシコンレンズ13aで変換されたマルチモード光について容易に0次モード光に戻すことができるのである。
【0029】
上述の構成により、本発明の第1実施形態にかかる分散補償器10では、マルチモードファイバ12の高次モードでの分散スロープが大きいことに着目して、アキシコンレンズ13aで高次モードを誘起させて、マルチモードファイバ12を通過させて分散補償を行なう。このとき、モード制御部15によるアキシコンレンズ13aの配置位置制御により、高次モードへの変換効率を可変し、分散補償量を可変させる。
【0030】
このように、本発明の第1実施形態にかかる分散補償器10によれば、モード制御部15により、アキシコンレンズ13aの配置位置制御を行なって、高次モードへの変換効率を可変し、マルチモードファイバ12での分散補償量を可変するという簡素な構成により、分散補償量を可変させることができる利点がある。
〔A2〕第1実施形態の変形例の説明
図4は本発明の第1実施形態の変形例にかかる分散補償器10Aを示す図である。この図1に示す分散補償器10Aは、マルチモードファイバ12Aの一端部に全反射ミラー17を形成することにより、入射光路とは反対方向の反射光路を通じて波長分散が補償された出力光を出力するようになっている点が異なっている。
【0031】
このため、この図4に示す分散補償器10Aは、シングルモードファイバ(SMF)11をそなえるとともに、全反射ミラー17が一端部に形成されたマルチモードファイバ(MMF)12A,可逆部材として構成されたアキシコンレンズ13,コリメートレンズ14e,14f,光サーキュレータ16およびモード制御部18をそなえて構成されている。
【0032】
そして、この図4に示す分散補償器10Aは、全反射ミラー17を反射面として、上述のシングルモードファイバ11,コリメートレンズ14e,アキシコンレンズ13,コリメートレンズ14fおよびマルチモードファイバ12Aが、光学的に双方向に結合されている。
ここで、光サーキュレータ16は、入力ポート19−1からの波長分散を補償すべき入力光は、シングルモードファイバ11側に出射するとともに、シングルモードファイバ11側からの光は、後述のモード制御部18を構成する光分岐素子15aを通じて、出力ポート19−2から出力光として出力するようになっている。
【0033】
また、シングルモードファイバ11は、図1に示す分散補償器10における入力用および出力用のシングルモードファイバ11a,11bとして機能を併せ持ち、コリメートレンズ14eは、分散補償器10におけるコリメートレンズ14a,14dとしての機能を併せ持つ。
さらに、アキシコンレンズ13は、図1に示す分散補償器10におけるアキシコンレンズ13a,13bとしての機能を併せ持ち、コリメートレンズ14fは、図1に示す分散補償器10におけるコリメートレンズ14b,14cとしての機能を併せ持つ。即ち、コリメートレンズ14eからの0次モード光の入力光については、マルチモード光に変換して、コリメートレンズ14fを通じてマルモードファイバ12Aに出力する一方、コリメートレンズ14fからのマルチモード光は、もとの0次モード光に変換して、コリメートレンズ14eを通じてシングルモードファイバ11に出力するようになっている。
【0034】
モード制御部18は、前述の図1に示すもの(符号15参照)とほぼ同様の機能をそなえているが、単一のピエゾ素子18cが、図1に示すピエゾ素子15c,15dとしての機能を併せ持っている点が、図1のモード制御部15と異なる。尚、図4中、図1と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
相対距離設定制御部18dは、受光素子15bからのモニタ結果としての出力光の波長分散の状態に基づいて、最適に波長分散を補償できるように、ピエゾ素子18cを制御するものである。即ち、アキシコンレンズ13とコリメートレンズ14fとの距離をピエゾ素子18cで設定することにより、アキシコンレンズ13で変換されるマルチモード光のモード次数を設定する。尚、このピエゾ素子18cを制御することで、反射光がもとの0次モード光に変換されるように設定されることになる。
【0035】
上述の構成により、図4に示す分散補償器10Aでは、光サーキュレータ16からの入力光としての0次モード光については、シングルモードファイバ11およびコリメートレンズ14eを通じてアキシコンレンズ13でマルチモード光に変換されて、コリメートレンズ14fを通じてマルチモードファイバ12Aに入射される。このとき、モード制御部18では、光サーキュレータ16からの出力光から波長分散の補償度合いをモニタし、ピエゾ素子18cを制御することにより、最適に波長分散を補償できるようにアキシコンレンズ13のマルチモードファイバ12Aに対する距離を設定する。
【0036】
マルチモードファイバ12Aは、コリメートレンズ14fから入射されたマルチモード光について、当該マルチモード光の入射側とは反対側の一端部に形成された全反射ミラー17で反射して、入射光路とは逆方向の反射光路を辿ってコリメートレンズ14fに出射される。このとき、前述のマルチモードファイバ12と同様に、アキシコンレンズ13で変換されたマルチモード光のモード状態によって定まる分散スロープ特性で分散補償がなされている。
【0037】
そして、全反射ミラー17で反射してマルチモードファイバ12Aから出射された(波長分散が補償された)マルチモード光は、コリメートレンズ14fを通じてアキシコンレンズ13の円錐状面部13−2に入射される。アキシコンレンズ13は、可逆部材として構成されているので、波長分散が補償された0次モード光として出射され、コリメートレンズ14e,シングルモードファイバ11および光サーキュレータ16を通じて出力光として出力される。
【0038】
このように、本発明の第1実施形態の変形例にかかる分散補償器10Aによれば、前述の第1実施形態の場合と同様の利点があるほか、全反射ミラー17をマルチモードファイバ12Aの一端部に形成することで、第1実施形態における分散補償器10(図1参照)に比して、コリメートレンズ,アキシコンレンズ又はピエゾ素子等の部品点数を削減し、光路として確保すべきスペースを大幅に削減し、分散補償器としてのパッケージのコンパクト化を測ることができる利点もある。
【0039】
〔B1〕第2実施形態の説明
図5は本発明の第2実施形態にかかる分散補償器20を示す図であるが、この図5に示す分散補償器20は、前述の第1実施形態におけるもの(図1の符号10参照)に比して、第1および第2モード光変換部としてのアキシコンレンズ13a,13bが設けられた位置に、第1および第2モード光変換部として熱レンズ23a,23bが配置されるとともに、熱レンズ23a,23bを制御するための熱レンズ制御部25をそなえている点が異なっており、これ以外の構成については基本的に第1実施形態における分散補償器10と同様である。尚、図5,図6中において、図1と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0040】
ここで、熱レンズ23a,23bは、制御光となる特定波長(例えば波長630nm程度)のレーザ光を吸収する色素をポリマー中に分散させた薄膜(熱レンズ形成層)を有してなる光伝搬部材であって、制御光が入力されていない状態においては、信号光はそのまま直進するが、制御光としてのレーザ光をこの薄膜に当てると、光熱変換によって薄膜分子周辺の屈折率が変化して、信号光に対しては凹レンズを通過したような屈折率変化を生じさせるものである。
【0041】
制御光の光強度が強くなるに従って、高熱変換の効果が大きくなるので、屈折率の変化がより大きくなるようになっている。図6(A)〜図6(C)はいずれも、熱レンズ23aの信号光ビーム太さに着目して、制御光の強度変化に従って熱レンズ23aの屈折率変化が大きくなることを説明する図である。
すなわち、図6(A)に示すように、制御光が入力されていない状態においては、熱レンズ23aに入力される信号光S1(0次モードの光)はそのまま直進して出射されるので、コリメートレンズ14bから出射される信号光の強度分布は例えばM1のようになる。
【0042】
また、図6(B)に示すように、光強度が比較的弱い制御光C1を信号光S2とともに熱レンズ23aの入射面に入射させると、光が集中したスポット領域で、屈折率が同心円状に低下し、熱レンズ23aは凹レンズのような屈折率変化を比較的小さく生じさせるので、信号光S2は制御光C1とともにビーム太さが広げられて出射される。このときのコリメートレンズ14bから出射される信号光の強度分布は例えばM2のようになる。
【0043】
さらに、図6(C)に示すように、光強度が比較的強い制御光C2を信号光S3とともに熱レンズ23aの入射面に入射させると、熱レンズ23aは凹レンズのような屈折率変化を比較的大きく生じさせるので、信号光S3は制御光C2とともにビーム太さがより広げられて出射される。このときのコリメートレンズ14bから出射される信号光の強度分布は例えばM3のようになり、ドーナツ状のビーム形状となる。
【0044】
したがって、熱レンズ23a,23bにおいては、光の強度を変化させることにより、コリメートレンズ14bから出射される信号光の強度分布がM1,M2,M3のように変化するので、入力光に対する出力光についてのモード次数を変化させることができるということができる。換言すれば、上述の熱レンズ23aにより、入力される光について高次モード光に変換しうる第1モード光変換部を構成する。
【0045】
なお、熱レンズ23bにおいては、マルチモードファイバ12を通じて、図6(A)〜図6(C)中における出力側のビーム形状のマルチモード光が入力されるとともに、それぞれの制御光の光強度に従って、もとの0次モードの信号光に変換することができる。従って、上述の熱レンズ23bは、マルチモードファイバ12で分散補償がなされた高次モード光について、もとのモード光に変換しうる第2モード光変換部を構成する。
【0046】
また、モード制御部25は、熱レンズ23aで変換される高次モード光のモード状態を可変制御するとともに、熱レンズ23bにおいてマルチモードファイバ12からの高次モード光をもとの0次モード光に変換するために、入力信号光とともに供給する制御光強度について可変制御しうるものである。このモード制御部25は、前述の第1実施形態におけるモード制御部15と同様の光分岐素子15aと、受光素子15bと、をそなえるとともに、制御光光源制御部25c,制御光光源25dおよび制御光合波素子25eをそなえて構成されている。尚、上述の光分岐素子15aおよび受光素子15bにより、熱レンズ23bから出力された光についてモニタするモニタ部を構成する。
【0047】
制御光光源25dは、後述の制御光光源制御部25cによる制御に基づく光強度で、信号光で使用する波長以外の波長帯(例えば630nm帯)の制御光を出力しうるものであって、制御光光源25dで出力された制御光は、シングルモードファイバ11aの入力側前段に設けられている制御光合波素子25eに出力され、この制御光合波素子25eで、入力信号光と合波されるようになっている。
【0048】
制御光光源制御部25cは、受光素子15bにおけるモニタ結果に基づいて、熱レンズ23a,23bに対して供給すべき制御光強度を設定制御すべく、制御光光源25dを制御するものである。
具体的には、制御光光源制御部25cは、受光素子15bからの電気信号をもとに、出力光の分散量についてモニタし、モニタ結果に応じて制御光光源25dにおける制御光強度を決定する。即ち、決定された制御光強度で制御光を熱レンズ23a,23bに供給することにより、熱レンズ23aで出力されるマルチモード光のモード状態を設定する。これにより、波長分散の補償度をモニタした結果に基づいて、高次モードへの変換効率を可変し、分散補償量を可変させる。
【0049】
換言すれば、モード制御部25では、前述の図1におけるアキシコンレンズ13aと同様に、マルチモードファイバ12で最適な分散補償が実現するように、即ち出力光の波長分散が最小となるように制御しているのである。
なお、制御光合波素子25eで合波された制御光については、熱レンズ23aに供給されるとともに、熱レンズ23bにも供給されるようになっている。即ち、この制御光を受けた熱レンズ23bにおいては、その制御光強度に従って、マルチモードファイバ12からの分散補償後のマルチモード光をコリメートレンズ14cを通じて入力されて、このマルチモード光についてもとの0次モード光に変換して出力するようになっている。これにより、熱レンズ23aで変換されたマルチモード光について容易に0次モード光に戻すことができるのである。
【0050】
なお、シングルモードファイバ11bから出力される光のうちで、制御光成分等の信号光成分以外の成分については、適宜光フィルタ等を用いて除去することができる。
上述の構成により、本発明の第2実施形態にかかる分散補償器20においても、第1実施形態にかかる分散補償器10と同様、マルチモードファイバ12の高次モードでの分散スロープが大きいことに着目する。分散補償器20においては、熱レンズ23aで高次モードを誘起させて、マルチモードファイバ12を通過させて分散補償を行なう。このとき、モード制御部25による制御光強度の制御により、高次モードへの変換効率を可変し、分散補償量を可変させる。
【0051】
このように、本発明の第2実施形態にかかる分散補償器20によれば、モード制御部25により、熱レンズ23a,23bの屈折率制御を行なって、高次モードへの変換効率を可変し、マルチモードファイバ12での分散補償量を可変するという簡素な構成により、分散補償量を可変させることができる利点がある。
〔B2〕第2実施形態の変形例の説明
図7は本発明の第2実施形態の変形例にかかる分散補償器20Aを示す図である。この図7に示す分散補償器20Aは、前述の図5に示す熱レンズを用いた分散補償器20についての、図4に示す分散補償器10Aに倣った反射型構成をそなえている。
【0052】
すなわち、マルチモードファイバ12Aの一端部に全反射ミラー17を形成することにより、入射光路とは反対方向の反射光路を通じて波長分散が補償された出力光を出力するようになっている点が異なっている。このため、この図7に示す分散補償器20Aは、シングルモードファイバ(SMF)11をそなえるとともに、全反射ミラー17が一端部に形成されたマルチモードファイバ(MMF)12A,可逆部材として構成された熱レンズ23,コリメートレンズ14e,14f,光サーキュレータ16およびモード制御部28をそなえて構成されている。尚、図7中において、図4と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0053】
ここで、熱レンズ23は、図5に示す分散補償器20における熱レンズ23a,23bとしての機能を併せ持つ。即ち、後述するモード制御部28からの制御光に基づいて、コリメートレンズ14eからの0次モード光の入力光についてはマルチモード光に変換しコリメートレンズ14fを通じてマルモードファイバ12Aに出力する一方、コリメートレンズ14fからのマルチモード光についてはもとの0次モード光に変換しコリメートレンズ14eを通じてシングルモードファイバ11に出力するようになっている。
【0054】
モード制御部28は、前述の図5に示すもの(符号25参照)とほぼ同様の機能をそなえており、光サーキュレータ16から出力される信号光の一部をモニタ用に分岐する光分岐素子15aとともに、受光素子15b,制御光光源制御部25cおよび制御光光源25dをそなえ、かつ、光サーキュレータ16とシングルモードファイバ11との間に介装された制御光合波素子25eをそなえて構成されている。尚、図7中において、図5と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0055】
なお、光サーキュレータ16から出力される光のうちで、制御光成分等の信号光成分以外の成分については、適宜光フィルタ等を用いて除去することができる。
上述の構成により、図7に示す分散補償器20Aでは、光サーキュレータ16からの入力光としての0次モード光については、シングルモードファイバ11およびコリメートレンズ14eを通じて熱レンズ23でマルチモード光に変換されて、コリメートレンズ14fを通じてマルチモードファイバ12Aに入射される。このとき、モード制御部28では、光サーキュレータ16からの出力光から波長分散の補償度合いをモニタし、最適に波長分散を補償できるように調整された強度の制御光を熱レンズ23に供給する。
【0056】
マルチモードファイバ12Aは、コリメートレンズ14fから入射されたマルチモード光について、当該マルチモード光の入射側とは反対側の一端部に形成された全反射ミラー17で反射して、入射光路とは逆方向の反射光路を辿ってコリメートレンズ14fに出射される。このとき、熱レンズ23で変換されたマルチモード光のモード状態によって定まる分散スロープ特性で分散補償がなされている。
【0057】
そして、全反射ミラー17で反射してマルチモードファイバ12Aから出射された(波長分散が補償された)マルチモード光は、コリメートレンズ14fを通じて熱レンズ23に入射される。熱レンズ23は、可逆部材として構成されているので、波長分散が補償されたマルチモード光を0次モード光に変換して出射することができる。熱レンズ23から出射された分散補償後の0次モード光は、コリメートレンズ14e,シングルモードファイバ11および光サーキュレータ16を通じて出力光として出力される。
【0058】
このように、本発明の第2実施形態の変形例にかかる分散補償器20Aによれば、前述の第1実施形態の場合と同様の利点があるほか、全反射ミラー17をマルチモードファイバ12Aの一端部に形成することで、第2実施形態における分散補償器20(図5参照)に比して、コリメートレンズや熱レンズ等の部品点数を削減し、光路として確保すべきスペースを大幅に削減し、分散補償器としてのパッケージのコンパクト化を測ることができる利点もある。
【0059】
〔C〕その他
上述した実施形態による態様のほか、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して本発明について実施することは可能である。
また、上述した各実施形態により、本発明のデバイスを製造することは可能である。
〔D〕付記
(付記1) 入力される光について高次モード光に変換しうる第1モード光変換部と、
該第1モード光変換部から出力される高次モード光に対して、当該高次モード光のモード状態に応じた分散補償を行ないうる分散補償部と、
該分散補償部で上記分散補償がなされた高次モード光について、もとのモード光に変換しうる第2モード光変換部と、
該第1モード光変換部で変換される高次モード光のモード状態を可変制御しうるとともに、該第2モード光変換部において該分散補償部からの高次モード光をもとのモード光に変換するための制御を行ないうるモード制御部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、分散補償器。
【0060】
(付記2) 該モード制御部が、該第2モード光変換部から出力される光の分散量に応じて、該第1モード光変換部で変換される高次モード光のモード状態を可変しうるように制御すべく構成されたことを特徴とする、付記1記載の分散補償器。
(付記3) 該第1モード光変換部が、入力側シングルモードファイバから出力される基本モード光について高次モード光に変換可能に構成されるとともに、
該第2モード光変換部が、該分散補償部で上記分散補償がなされた高次モード光について、基本モード光に変換して、出力側シングルモードファイバへ出力可能に構成されたことを特徴とする、付記1又は2記載の分散補償器。
【0061】
(付記4) 上記入力側シングルモードファイバと該第1モード光変換部との間に介装された第1コリメートレンズと、
該第1モード光変換部と該分散補償部との間に介装された第2コリメートレンズと、
該分散補償部と該第2モード光変換部との間に介装された第3コリメートレンズと、
該第2モード光変換部と上記出力側シングルモードファイバとの間に介装された第4コリメートレンズと、
をそなえて構成されたことを特徴とする、付記3記載の分散補償器。
【0062】
(付記5) 上記の第1および第2モード光変換部が、それぞれ該分散補償部に対する相対距離によって、入力光に対する出力光のモード状態を可変しうるアキシコンレンズにより構成されるとともに、
該モード制御部が、
該第1モード光変換部としてのアキシコンレンズの、該分散補償部に対する相対距離を可変設定しうる第1相対距離可変部と、
該第2モード光変換部としてのアキシコンレンズの、該分散補償部に対する相対距離を可変設定しうる第2相対距離可変部と、
該第2モード光変換部から出力された光についてモニタするモニタ部と、
該モニタ部におけるモニタ結果に基づいて、上記の第1および第2モード光変換部としてのアキシコンレンズの、該分散補償部に対する相対距離を設定制御すべく、上記の第1および第2相対距離可変部を制御する相対距離設定制御部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項記載の分散補償器。
【0063】
(付記6) 上記の第1および第2モード光変換部が、それぞれ入力信号光とともに入力される制御光の強度により、上記入力信号光に対する出力信号光についてのモード状態を可変しうる熱レンズにより構成されるとともに、
該モード制御部が、
上記の第1および第2モード光変換部としての熱レンズについてのモード状態を可変させるための制御光を発光する制御光光源と、
該第2モード光変換部から出力された光についてモニタするモニタ部と、
該モニタ部におけるモニタ結果に基づいて、上記の第1および第2モード光変換部としての熱レンズの屈折率変化を設定制御すべく、該制御光光源を制御する制御光光源制御部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項記載の分散補償器。
【0064】
(付記7) 該分散補償部が、マルチモードファイバにより構成されたことを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項記載の分散補償器。
(付記8) 該マルチモードファイバが、該第1モード光変換部からの上記高次モード光を一端部から入力されるとともに、上記一端部とは反対側の他端部から上記分散補償が行なわれた光を出力すべく構成され、
かつ、該第1モード光変換部,該マルチモードファイバおよび該第2モード光変換部が、上記の順序で一方向に配置されていることを特徴とする、付記7記載の分散補償器。
【0065】
(付記9) 該マルチモードファイバが、該第1モード光変換部からの上記高次モード光が入力される一端部とは反対側の他端部には、当該マルチモードファイバを伝搬する光を反射する反射部材が形成されて、上記高次モード光が入力される一端部から、上記分散補償が行なわれた光を出力すべく構成され、
かつ、上記の第1および第2モード光変換部が、可逆部材として共用されたことを特徴とする、付記7記載の分散補償器。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる分散補償器を示す図である。
【図2】第1実施形態におけるアキシコンレンズによる作用を説明するための図である。
【図3】第1実施形態におけるマルチモードファイバによるモード状態に応じた分散スロープ特性について示す図である。
【図4】第1実施形態の変形例にかかる分散補償器を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる分散補償器を示す図である。
【図6】(A)〜(C)はいずれも、第2実施形態における熱レンズによる作用を説明するための図である。
【図7】第2実施形態の変形例にかかる分散補償器を示す図である。
【図8】従来技術を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10,10A,20,20A,100 分散補償器
11,11a,11b,101 シングルモードファイバ
12,12A,104 マルチモードファイバ(分散補償部)
13,13a,13b アキシコンレンズ(第1,第2モード光変換部)
13−1 平面部
13−2 円錐状面部
14a〜14f コリメートレンズ(第1〜第4コリメートレンズ)
23,23a,23b 熱レンズ(第1,第2モード光変換部)
15,18,25,28 モード制御部
15a 光分岐素子(モニタ部)
15b 受光素子(モニタ部)
15c,15d,18c ピエゾ素子(第1,第2相対距離可変部)
15e,18d 相対距離設定制御部
16 光サーキュレータ
17 全反射ミラー
19−1 入力ポート
19−2 出力ポート
102 円筒部材
102a 全反射部材
103 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される光について高次モード光に変換しうる第1モード光変換部と、
該第1モード光変換部から出力される高次モード光に対して、当該高次モード光のモード状態に応じた分散補償を行ないうる分散補償部と、
該分散補償部で上記分散補償がなされた高次モード光について、もとのモード光に変換しうる第2モード光変換部と、
該第1モード光変換部で変換される高次モード光のモード状態を可変制御しうるとともに、該第2モード光変換部において該分散補償部からの高次モード光をもとのモード光に変換するための制御を行ないうるモード制御部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、分散補償器。
【請求項2】
該モード制御部が、該第2モード光変換部から出力される光の分散量に応じて、該第1モード光変換部で変換される高次モード光のモード状態を可変しうるように制御すべく構成されたことを特徴とする、請求項1記載の分散補償器。
【請求項3】
上記の第1および第2モード光変換部が、それぞれ該分散補償部に対する相対距離によって、入力光に対する出力光のモード状態を可変しうるアキシコンレンズにより構成されるとともに、
該モード制御部が、
該第1モード光変換部としてのアキシコンレンズの、該分散補償部に対する相対距離を可変設定しうる第1相対距離可変部と、
該第2モード光変換部としてのアキシコンレンズの、該分散補償部に対する相対距離を可変設定しうる第2相対距離可変部と、
該第2モード光変換部から出力された光についてモニタするモニタ部と、
該モニタ部におけるモニタ結果に基づいて、上記の第1および第2モード光変換部としてのアキシコンレンズの、該分散補償部に対する相対距離を設定制御すべく、上記の第1および第2相対距離可変部を制御する相対距離設定制御部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、請求項1又は2記載の分散補償器。
【請求項4】
上記の第1および第2モード光変換部が、それぞれ入力信号光とともに入力される制御光の強度により、上記入力信号光に対する出力信号光についてのモード状態を可変しうる熱レンズにより構成されるとともに、
該モード制御部が、
上記の第1および第2モード光変換部としての熱レンズについてのモード状態を可変させるための制御光を発光する制御光光源と、
該第2モード光変換部から出力された光についてモニタするモニタ部と、
該モニタ部におけるモニタ結果に基づいて、上記の第1および第2モード光変換部としての熱レンズの屈折率変化を設定制御すべく、該制御光光源を制御する制御光光源制御部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、請求項1又は2記載の分散補償器。
【請求項5】
該分散補償部が、マルチモードファイバにより構成されたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の分散補償器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−145757(P2006−145757A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334638(P2004−334638)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】