説明

分散配置されたエネルギー蓄積器を有する電力変換回路

本発明は、上側および下側の変換整流器(T1,…,T6)を有する少なくとも1つの相モジュール(100)を有する電力変換回路であって、各変換整流器(T1,…,T6)が少なくとも1つの2極のサブシステムを有する電力変換回路に関する。本発明によれば、各2極のサブシステム(14)が、電気的に直列に接続された4つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)と、それぞれ1つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)に電気的に逆並列に接続された4つのダイオード(22,24,26,28)と、電気的に直列に接続されて半導体スイッチ(21,23,25,27)の直列接続回路に並列に接続された2つの単極性の蓄積コンデンサ(29,30)と、共通電位(P0)に導電接続された基準電位端子(M)を有する電子装置(32)とを有する。4つの電位段階を有する端子電圧(UX21)が発生可能である接続端子(X2,X1)を有するサブシステム(14)が得られ、このサブシステム(14)は、エネルギー供給が対称的に行なわれる1個のみの電子装置(32)を有し、電位絶縁のために高い費用を必要としない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部分による電力変換回路に関する。
【0002】
この種の電力変換回路は独国特許出願公開第10103031号明細書から公知であり、この種の電力変換回路の等価回路図が図1に詳細に示されている。この等価回路図によれば、この公知の電力変換回路はそれぞれ100にて示された3つの相モジュールを有する。これらの相モジュール100は直流電圧側をそれぞれ正および負の直流電圧母線P0およびN0に導電接続されている。これらの両直流電圧母線P0およびN0の間に詳しくは示されていない直流電圧が存在する。各相モジュール100は、上側の変換整流器T1もしくはT3もしくはT5と下側の変換整流器T2もしくはT4もしくはT6とを有する。これらの変換整流器T1〜T6のそれぞれは、電気的に直列接続された多数の2極のサブシステム11を有する。この等価回路図には4つのこれらのサブシステム11が示されている。2極のサブシステム11(図2)の代わりに、2極のサブシステム12(図3)も電気的に直列に接続することができる。相モジュール100の2つの変換整流器T1,T2もしくはT3,T4もしくはT5,T6の各接続点は、これらの相モジュール100の交流電圧側端子L1もしくはL2もしくはL3をなす。この図では電力変換回路が3つの相モジュール100を有することから、負荷接続端子とも呼ばれる交流電圧側端子L1,L2,L3には3相負荷、例えば3相交流電動機を接続することができる。
【0003】
図2には2極のサブシステム11の公知の実施形態の等価回路図が詳細に示されている。図3による回路装置は機能的に全く等価な変形であり、これは同様に独国特許出願公開第10103031号明細書から公知である。この公知の2極のサブシステム11および12は、それぞれ2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ1,3および5,7と、2つのダイオード2,4および6,8と、単極性の蓄積コンデンサ9および10とを有する。両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ1および3もしくは5および7は電気的に直列に接続されていて、この直列接続回路が蓄積コンデンサ9もしくは10に対して並列に接続されている。各ターンオフ制御可能な半導体スイッチ1および3もしくは5および7には両ダイオード2,4および6,8の1つが次のように電気的に並列に接続されている。すなわち、当該ダイオードが、対応するターンオフ制御可能な半導体スイッチ1,3,5または7に逆並列に接続されている。サブシステム11もしくは12の単極性の蓄積コンデンサ9もしくは10は、1つのコンデンサから構成されているか、あるいは多数のこのようなコンデンサからなるコンデンサバッテリから構成されていて、結果として生じる静電容量C0を有する。ターンオフ制御可能な半導体スイッチ1もしくは5のエミッタとダイオード2もしくは6のアノードとの接続点は、サブシステム11もしくは12の接続端子X1をなす。両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ1および3と両ダイオード2および4との接続点は、サブシステム11の第2の接続端子X2をなす。ターンオフ制御可能な半導体スイッチ5のコレクタ端子とダイオード6のカソードとの接続点は、サブシステム12の第2の接続端子X2をなす。
【0004】
両サブシステム11および12の実施形態の両図においては、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ1および3もしくは5および7として、図2および図3に示されているように、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が使用される。更に、MOSFETとも呼ばれるMOS電界効果トランジスタも使用することができる。同様に、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ1および3もしくは5および7として、GTOサイリスタとも呼ばれるゲートターンオフサイリスタまたは集積ゲート転流サイリスタ(IGCT)が使用可能である。
【0005】
独国特許出願公開第10103031号明細書によれば、図1による電力変換回路の各相モジュール100のサブシステム11もしくは12がスイッチング状態IおよびIIにおいて制御される。スイッチング状態Iにおいては、サブシステム11もしくは12のターンオフ制御可能な半導体スイッチ1もしくは5がオンされていて、サブシステム11もしくは12のターンオフ制御可能な半導体スイッチ3もしくは7がオフされている。それによって、サブシステム11もしくは12の接続端子X1およびX2に生じる端子電圧UX21は0に等しい。スイッチング状態IIにおいては、サブシステム11もしくは12のターンオフ制御可能な半導体スイッチ1もしくは5がオフされていて、サブシステム11もしくは12のターンオフ制御可能な半導体スイッチ3もしくは7がオンされている。このスイッチング状態IIにおいては、接続端子X1およびX2に生じる端子電圧UX21は蓄積コンデンサ9に生じるコンデンサ電圧UCに等しい。
【0006】
図1による電力変換回路の等価回路図によれば、この電力変換回路は、相モジュール当たり8個の2極のサブシステム11もしくは12を有し、それぞれ変換整流器T1,T2もしくはT3,T4もしくはT5,T6当たり4個のサブシステム11もしくは12を有し、これらのサブシステムは接続端子X1およびX2により電気的に直列に接続されている。電気的に直列に接続される2極のサブシステム11もしくは12の個数は、一方では両直流電圧母線P0およびN0の間に生じる直流電圧に関係し、他方では使用されるターンオフ制御可能な半導体スイッチ1,3,5および7に関係する。更に、交流電圧側の接続端子L1,L2もしくはL3に生じる正弦波状の交流電圧がどのくらい正確に正弦波経過に従うべきかが重要である。
【0007】
図1にしたがって構成される電力変換回路の構成および動作のためには、各2極のサブシステム11もしくは12のターンオフ制御可能な半導体スイッチ1,3もしくは5,7を適切な回路にて駆動すること、ならびに2極のサブシステム11もしくは12の種々の測定値、例えば蓄積コンデンサ9もしくは10に生じる電圧UCを検出して上位の変換器制御装置に転送することが必要である。それゆえ、各2極のサブシステム11もしくは12は電子装置を持たなければならない。電子装置は、図2および図3によるサブシステム11もしくは12の表示には、図の見易さの理由から明示されていない。この電子装置は、以下において電子装置モジュールとも呼び、次の役目を引き受ける。
上位の変換器制御装置との双方向通信、
種々の測定値および状態信号もしくはエラー信号の検出、
ターンオフ制御可能な半導体スイッチ1,3もしくは5,7の駆動
あらゆる到来または発生する信号の処理。
【0008】
更に、2極のサブシステム11もしくは12の電子装置モジュールの動作のためのエネルギーを蓄積コンデンサ9もしくは10から直接的に取り出すことが有利であるが、しかし強制的に必要というわけではない。各2極のサブシステム11もしくは12の電子装置モジュールと上位の変換器制御装置との間にはデータ伝送のために2つの光ファイバが使用される場合にこの動作は電位絶縁されている。各2極サブシステム11もしくは12の電子装置モジュールの基準電位は、一般に単極性の蓄積コンデンサ9もしくは10の負極に接続されている。
【0009】
電力変換回路の相モジュールごとに多数の2極のサブシステム11もしくは12を直列接続する場合に、一般に実施形態のサブシステム11もしくは12が使用される。すなわち、図1による電力変換回路の相モジュール100は、図2による実施形態でのサブシステムか図3による実施形態でのサブシステムかのいずれかを有する。図1による3相電力変換回路の場合には、上位の変換器制御装置と24個のサブシステム11もしくは12との間に48個の光ファイバが設けられなければならない。変換器システムT1,…,T6当たりのサブシステムに関して使用される2極のサブシステム11もしくは12の個数が増せば、光ファイバの個数がそれぞれ12個だけ増える。
【0010】
この費用を低減するためには、変換整流器T1,…,T6当たりの電子装置モジュールの個数が低減されなければならない。この低減は、例えば2つの2極サブシステム11もしくは12が1つのサブシステムモジュールに統合され、その際に2つの電子装置モジュールが1つに統合される場合に達成可能である。1つのサブシステムモジュールに統合された少なくとも2つの2極サブシステム11もしくは12のために1つの電子装置モジュールを使用する場合に、この電子装置モジュールのエネルギー供給に基づく問題が生じる。1つのサブシステムモジュールに統合された少なくとも2つの2極サブシステム11もしくは12の1つの単極性の蓄積コンデンサのみから必要なエネルギーが取り出されるならば、エネルギー供給が非対称に行なわれる。統合されたサブシステム11もしくは12のターンオフ制御可能な半導体スイッチ1,3もしくは5,7の駆動およびコンデンサ電圧UCの検出の際における電位絶縁のための高い費用ならびに不利な非対称電圧分配が結果として生じる。
【0011】
少なくとも2つの2極サブシステム11もしくは12の1つのサブシステムモジュールへのこの種の統合によって、使用される光ファイバの個数は半減するが、しかし電位絶縁に高い費用を代償として払い、しかも非対称のエネルギー供給を我慢しなければならない。それによって、それぞれ2つの簡単に組み立てられるサブシステムが1つの複雑なサブシステムモジュールによって置き換えられる。
【0012】
本発明の課題は、上述の欠点を回避しかつこの種の電力変換回路のために費用を低減することを可能にする電力変換回路のための2極のサブシステムを提供することにある。
【0013】
この課題は、本発明よれば、請求項1乃至4の特徴事項のそれぞれにより解決される。
【0014】
付属の逆並列ダイオードを備えた4つのターンオフ制御可能な半導体スイッチおよび2つの単極性のコンデンサを本発明にしたがって相互に接続することによって、電位絶縁のための高い費用を我慢しなければならないということなしに、これらのターンオフ制御可能な半導体スイッチの制御およびコンデンサ電圧の検出のために共通な電子装置モジュールを使用することができる。更にエネルギー取り出しも対称的に行なわれる。外見上、この種の本発明によるサブシステムは2つの接続端子および2つの光ファイバのための接続部を有する。したがって、この本発明によるサブシステムは接続技術的に公知のシステムに対応する。両接続端子には、このサブシステムの制御によって、2つのみの電位段階の代わりに4つの電位段階を有する端子電圧が発生可能である。予め定められた高電圧用の電力変換回路に関して、公知の実施形態に比べて半分の数のサブシステムしか必要とせず、同様に必要な光ファイバの数も半分になる。
【0015】
本発明による2極サブシステムの多数の実施形態が概略的に示されている図面を参照しながら本発明を更に説明する。
【0016】
図1は分散配置されたエネルギー蓄積を有する公知の電力変換回路の等価回路図を示し、図2および図3にはそれぞれ公知の2極サブシステムの第1および第2の実施形態に等価回路図が示され、図4は本発明による2極サブシステムの第1の実施形態の等価回路図を示し、図5には本発明による2極サブシステムの第2の実施形態の等価回路図が示され、図6は本発明による2極サブシステムの第3の実施形態の等価回路図を示し、図7には本発明による2極サブシステムの第4の実施形態の等価回路図が示されている。
【0017】
図4には本発明によるサブシステム14の第1の実施形態の等価回路図が詳細に示されている。この本発明による2極のサブシステム14は、4つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23,25および27と、4つのダイオード22,24,26および28と、2つの単極性のコンデンサ29および30と、以下において電子装置モジュール32とも呼ぶ電子装置32とを有する。4つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23,25および27は電気的に直列に接続されている。これらの半導体スイッチ21,23,25および27のそれぞれには、1つのダイオード22,24,26および28が電気的に逆並列に接続されている。それぞれ1つの単極性のコンデンサ29もしくは30が、それぞれ2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23もしくは25,27に対して電気的に並列に接続されている。このサブシステム14の単極性のコンデンサ29もしくは30は、1つのコンデンサから構成されているか、または多数のこのようなコンデンサからなるコンデンサバッテリーから構成されているかのいずれかであり、結果として生じる容量C0を有する。両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21および23と両ダイオード22および24との接続点は、サブシステム14の第2の接続端子X2をなす。両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ25および27と両ダイオード26および28との接続点は、サブシステム14の第1の接続端子X1をなす。ターンオフ制御可能な半導体スイッチ23のエミッタ、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ25のコレクタ、ダイオード24のアノード、ダイオード26のカソード、単極性のコンデンサ29の負端子および単極性のコンデンサ30の正端子は共通電位P0をなし、共通電位P0は電子装置モジュール32の基準電位端子Mに導電接続されている。この電子装置モジュール32は、2つの光ファイバ34および36により、詳しくは図示されていない上位の変換器制御装置に結合されている。共通な電位P0は電子装置モジュール32のための基準電位として用いられる。基本的には、このような電位は、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23,25および27の駆動回路モジュールもしくはこれらのターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23,25および27のモジュール容器に対して不必要に高い電圧要求を発生させないような電位を基準電位として選択すべきである。
【0018】
この本発明によるサブシステム14は4つのスイッチング状態I,II,IIIおよびIVにおいて制御可能である。スイッチング状態Iにおいては、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21および25がオンされていて、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ23および27がオフされている。それによって端子X2およびX1に生じるサブシステム14の端子電圧UX21は、コンデンサ29に生じるコンデンサ電圧UCに等しい。スイッチング状態IIにおいては、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21および27がオンされていて、これに対してターンオフ制御可能な半導体スイッチ23および25がオフされている。今や、サブシステム14の端子電圧UX21は、単極性のコンデンサ29および30におけるコーディング電圧UCの和に相当する。スイッチング状態IIIにおいては、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ23および25がオンされていて、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21および27がオフされている。このスイッチング状態ではサブシステム14の端子電圧UX21は0に等しい。スイッチング状態IVにおいては、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ23および27がオンされていて、これに対してターンオフ制御可能な半導体スイッチ21および25がオフされている。それによってサブシステム14の端子電圧UX21は、電位段階「0」から、単極性のコンデンサ30に生じる電位段階「コンデンサ電圧UC」へ切り替わる。スイッチング状態IもしくはIVにおいては、エネルギー蓄積器29もしくは30が端子電流方向に依存してエネルギーの受け入れもしくは放出を行なう。スイッチング状態IIにおいては、コンデンサ29もしくは30が端子電流方向に依存してエネルギーの受け入れもしくは放出を行なう。スイッチング状態III(「0」)においては、コンデンサ29もしくは30におけるエネルギーは一定のままである。それゆえ、この本発明によるサブシステム14は、機能的に、公知のサブシステム11と公知のサブシステム12との直列接続回路に相当する。しかしながら、それに反してこの本発明によるサブシステム14はこのような直列接続回路の欠点を持たない。
【0019】
更に両公知のサブシステム11もしくは12の直列接続回路の場合には、各サブシステム11および12が個別の基準電位および個別の電子装置モジュールを有する。これらの両電子装置モジュールのうち1つのみを使用して、このための電子装置モジュールのためのエネルギーを1つの該当コンデンサから取り出そうとするならば、エネルギー取り出しが非対称に行なわれ、電圧配分に非対称が生じる。更にターンオフ制御可能な半導体スイッチの駆動およびコンデンサ電圧の検出の際に電位絶縁のために高い費用がかかる。本発明にしたがって構成された2極のサブシステム14の場合には、これらの欠点がもはや生じない。
【0020】
図5は本発明による2極のサブシステム16の第2の実施形態の等価回路図を示す。このサブシステム16は、それぞれ2つのみのターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23および25,27が電気的に直列に接続されていることによって、図4によるサブシステム14と相違する。各ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23,25および27には、サブシステム14におけると同様に、ダイオード22,24,26および28が電気的に逆並列に接続されている。各直列接続回路には単極性のコンデンサ29もしくは30が電気的に並列に接続されている。ターンオフ制御可能な半導体スイッチ23のエミッタと、ダイオード24のアノードと、単極性のコンデンサ29の負端子との接続点が、電気的に直列に接続された両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ25,27の接続点と導電接続されている。この接続点は共通電位P0をなし、この電位に電子装置モジュール32の基準電位端子Mに導電接続されている。更に、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ27のエミッタと、ダイオード28のアノードと、単極性のコンデンサ30の負端子との接続点が、サブシステム16の接続端子X1をなす。それゆえ、2極のサブシステム16のこの実施形態は機能的には2つの公知のサブシステム11の直列接続回路に相当する。電子装置モジュール32のための基準電位としてコンデンサ29の負端子の使用に対して、他の端子も基準電位として使用することができる。基本的には、ここでもターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23,25および27の駆動回路モジュールに対して不必要に高い電圧要求が生じないような電位を基準電位として選ぶべきである。
【0021】
本発明によるサブシステム18の第3の実施形態においては、図5によるサブシステム16におけると同様に、それぞれ2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23および25,27が電気的に直列に接続されている。サブシステム16と違って、ここでは、電気的に直列に接続された両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21および23の接続点が、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ25のコレクタと、ダイオード26のカソードと、コンデンサ30の正端子との接続点に導電接続されている。ここでは、電気的に直列に接続された両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ25および27の接続点が第1の接続端子X1をなす。これに対して、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21のコレクタと、ダイオード22のカソードと、コンデンサ29の正端子との接続点がこのサブシステム18の第2の接続端子X2をなす。このサブシステム18の電子装置モジュール32のための基準電位として、サブシステム16におけると同様に、単極性のコンデンサ29の負端子が用意されている。このサブシステム18は、機能的に、2つの公知のサブシステム12の直列接続回路に相当する。
【0022】
図7による等価回路図に相当する2極のサブシステム20の場合には、同様に4つのうちのそれぞれ2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23および25,27が電気的に直列に接続されていて、各ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,…,27には1つのダイオード22,24,26および28が電気的に逆並列に接続されている。それぞれ1つのコンデンサ29もしくは30が、ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21,23もしくは25,27の直列接続回路に電気的に並列に接続されている。電気的に直列に接続された両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21および23の接続点が、電気的に直列に接続された両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ25および27の接続点と導電接続されている。ターンオフ制御可能な半導体スイッチ21のコレクタと、ダイオード22のカソードと、コンデンサ29の正端子との接続点が、このサブシステム20において第2の接続端子X2をなす。ターンオフ制御可能な半導体スイッチ27のエミッタと、ダイオード28のアノードとコンデンサ30の負端子との接続点がサブシステム20の第1の接続端子X1をなす。このサブシステム20は機能的には公知のサブシステム12と公知のサブシステム11との直列接続回路に相当する。
【0023】
特に駆動およびエネルギー技術の分野における高電圧用電力変換回路のための本発明によるサブシステム14,16,18および20の構成によって、直列接続された多数のサブシステムからなる電力変換回路と上位の変換器制御装置との間の光ファイバの個数が公知の高電圧用電力変換回路に比べて半減される。各サブシステムは、接続端子X2,X1間に4つの異なる電位段階を取り得る端子電圧UX21が生じるように制御することができる。この種の端子電圧UX21は、従来のサブシステム11および12によれば、直列に接続された2つのサブシステム11,12もしくは12,12もしくは11,11もしくは12,11が使用される場合にのみ得られる。1つのモジュールに納められた2つの公知のサブシステム11および12の単なる直列接続回路と違って、本発明によるサブシステム14もしくは16もしくは18もしくは20は1つの電子装置モジュール32しか必要とせず、しかも電子装置モジュールへのコンデンサ29および30からのエネルギー供給が対称的に行なわれ得る。それによって制御およびコンデンサ電圧UCの検出の際に電位絶縁のための高い費用が必要とされない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】分散配置されたエネルギー蓄積を有する公知の電力変換回路の等価回路図
【図2】公知の2極サブシステムの第1の実施形態に等価回路図
【図3】公知の2極サブシステムの第2の実施形態に等価回路図
【図4】本発明による2極サブシステムの第1の実施形態の等価回路図
【図5】本発明による2極サブシステムの第2の実施形態の等価回路図
【図6】本発明による2極サブシステムの第3の実施形態の等価回路図
【図7】本発明による2極サブシステムの第4の実施形態の等価回路図
【符号の説明】
【0025】
14 サブシステム
16 サブシステム
18 サブシステム
20 サブシステム
21 ターンオフ制御可能な半導体スイッチ
22 ダイオード
23 ターンオフ制御可能な半導体スイッチ
24 ダイオード
25 ターンオフ制御可能な半導体スイッチ
26 ダイオード
27 ターンオフ制御可能な半導体スイッチ
28 ダイオード
29 蓄積コンデンサ
30 蓄積コンデンサ
32 電子装置モジュール
34 光ファイバ
36 光ファイバ
100 相モジュール
M 基準電位端子
0 共通電位
T1〜T6 変換整流器
C コンデンサ電圧
X21 端子電圧
X1 サブシステムの接続端子
X2 サブシステムの接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側および下側の変換整流器(T1,…,T6)を有する少なくとも1つの相モジュール(100)を有する電力変換回路であって、各変換整流器(T1,…,T6)が少なくとも1つの2極のサブシステムを有する電力変換回路において、
各2極のサブシステム(14)が、4つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)と、4つのダイオード(22,24,26,28)と、2つの単極性の蓄積コンデンサ(29,30)と、電子装置(32)とを有し、
各ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)に1つのダイオード(22,24,26,28)が電気的に逆並列に接続されていて、
これらの4つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)が電気的に直列に接続されていて、
両単極性の蓄積コンデンサ(29,30)が電気的に直列に接続され、これらの直列接続回路がターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)の直列接続回路に対して電気的に並列に接続されていて、
それぞれ2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)の接続点が2極のサブシステム(14)のそれぞれ1つの接続端子(X2もしくはX1)をなし、
電気的に直列に接続された両蓄積コンデンサ(29,30)の接続点が電子装置(32)の基準電位端子(M)に導電接続されていることを特徴とする電力変換回路。
【請求項2】
上側および下側の変換整流器(T1,…,T6)を有する少なくとも1つの相モジュール(100)を有する電力変換回路であって、各変換整流器(T1,…,T6)が少なくとも1つの2極のサブシステムを有する電力変換回路において、
各2極のサブシステム(16)が、4つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)と、4つのダイオード(22,24,26,28)と、2つの単極性の蓄積コンデンサ(29,30)と、電子装置(32)とを有し、
各ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)に1つのダイオード(22,24,26,28)が電気的に逆並列に接続されていて、
それぞれ2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23もしくは25,27)が電気的に直列に接続されていて、
各直列接続回路が1つの単極性の蓄積コンデンサ(29もしくは30)に対して電気的に並列に接続されていて、
第1の直列接続回路の2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23)の接続点が2極のサブシステム(16)の一方の接続端子(X2)をなし、第2の直列接続回路の両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(25,27)の第2のターンオフ制御可能な半導体スイッチ(27)のエミッタが2極のサブシステム(16)の他方の接続端子(X1)をなし、
第2の直列接続回路の両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(25,27)の接続点が、第1の直列接続回路の両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23)の第2のターンオフ制御可能な半導体スイッチ(23)のエミッタに導電接続されていて、
この接続点が電子装置(32)の基準電位端子(M)に導電接続されていることを特徴とする電力変換回路。
【請求項3】
上側および下側の変換整流器(T1,…,T6)を有する少なくとも1つの相モジュール(100)を有する電力変換回路であって、各変換整流器(T1,…,T6)が少なくとも1つの2極のサブシステムを有する電力変換回路において、
各2極のサブシステム(18)が、4つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)と、4つのダイオード(22,24,26,28)と、2つの単極性の蓄積コンデンサ(29,30)と、電子装置(32)とを有し、
各ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)に1つのダイオード(22,24,26,28)が電気的に逆並列に接続されていて、
それぞれ2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23もしくは25,27)が電気的に直列に接続されていて、
各直列接続回路が1つの単極性の蓄積コンデンサ(29もしくは30)に対して電気的に並列に接続されていて、
第2の直列接続回路の2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(25,27)の接続点が2極のサブシステム(18)の一方の接続端子(X1)をなし、第1の直列接続回路の両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23)の第1のターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21)のコレクタがサブシステム(18)の他方の接続端子(X2)をなし、
第1の直列接続回路の2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23)の接続点が、第2の直列接続回路の両ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(25,27)の第1のターンオフ制御可能な半導体スイッチ(25)のコレクタに導電接続されていて、
この接続点が電子装置(32)の基準電位端子(M)に導電接続されていることを特徴とする電力変換回路。
【請求項4】
上側および下側の変換整流器(T1,…,T6)を有する少なくとも1つの相モジュール(100)を有する電力変換回路であって、各変換整流器(T1,…,T6)が少なくとも1つの2極のサブシステムを有する電力変換回路において、
各2極のサブシステム(20)が、4つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)と、4つのダイオード(22,24,26,28)と、2つの単極性の蓄積コンデンサ(29,30)と、電子装置(32)とを有し、
各ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)に1つのダイオード(22,24,26,28)が電気的に逆並列に接続されていて、
それぞれ2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23もしくは25,27)が電気的に直列に接続されていて、
各直列接続回路が1つの単極性の蓄積コンデンサ(29もしくは30)に対して電気的に並列に接続されていて、
それぞれ2つのターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23もしくは25,27)の接続点が互いに接続されていて、
第1の直列接続回路の第1のターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21)のコレクタと第2の直列接続回路の第2のターンオフ制御可能な半導体スイッチ(27)のエミッタとが2極のサブシステム(20)のそれぞれ1つの接続端子(X2,X1)をなし、
電子装置(32)の基準電位端子(M)が第1の直列接続回路の第2のターンオフ制御可能な半導体スイッチ(23)のエミッタに導電接続されていることを特徴とする電力変換回路。
【請求項5】
ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)として絶縁ゲートバイポーラトランジスタが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の電力変換回路。
【請求項6】
ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)としてMOS電界効果トランジスタが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の電力変換回路。
【請求項7】
ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)としてゲートターンオフサイリスタが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の電力変換回路。
【請求項8】
ターンオフ制御可能な半導体スイッチ(21,23,25,27)として集積ゲート転流サイリスタが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の電力変換回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−506746(P2009−506746A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528450(P2008−528450)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064925
【国際公開番号】WO2007/025828
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】