説明

分析物を感知するための光ファイバ装置

分析物の濃度、特にグルコースの濃度を生体内または生体外で感知する装置が開示される。好ましくは光ファイバである光導管は、その近位端のところに光学系を有する。感知要素は、光導管の遠位端に付着され、少なくとも1種の標的分析物に結合するように適合された少なくとも1種の結合タンパク質を含む。この感知要素はさらに、分析物の濃度の変化とともに発光が変化する少なくとも1種のレポータ基を含む。任意選択で、感知要素は、分析物の濃度の変化によって実質的に変化しない発光特性を有する基準基を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理学的に関連する化合物の濃度を監視するのに使用できる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生理学に関連する化合物の体内濃度を監視して、様々な病気および疾患の診断および治療を改善することは望ましい目標であり、多くの人々の生命を強化することになる。この領域の進歩は、糖尿病患者の適切な代謝制御を促進する領域で特に有望である。現在、ほとんどの糖尿病患者は、「フィンガスティック」法を利用して血中グルコースレベルを監視しているが、患者の承諾を得ることは、度重なるフィンガスティックによる痛みのために問題になっている。そのため、血液その他の生体液中のグルコースを頻繁かつ/または連続的に監視するための非侵襲性の、または侵襲性が最小限に抑えられたインビボ法、およびより効率的なインビトロ法を開発する努力がなされている。
【0003】
頻繁かつ/または連続的な生体内監視の取組み方は、「非侵襲性のもの」および「非侵襲性が最小限に抑えられたもの」の概ね2つの範疇に入る傾向がある。非侵襲監視では、皮膚および組織の分光学的な変化を直接追跡することによって分析物のレベルが決定される。この技術の例には、赤外放射および電波インピーダンスによる分光法がある。これらの手法の進歩は、頻繁な較正および再生可能な試料の照明の必要性、ならびに個人間の分光学的なバックグラウンドの変動のために遅々としたものであった。「非侵襲性が最小限に抑えられた」手法は、体内から直接血液を抜き取ることを避け、中間感知要素を使用して生体液中の信号の変化を監視することによるものである。このタイプのバイオセンサは、変換(検出)要素と組み合わせる生物学的な認識要素を利用して定量的または半定量的な特定の分析情報を提供することができる装置である。
【0004】
頻繁にあるいは連続的に分析物を監視する従来型のシステムの大部分は、グルコースオキシダーゼ(GOx)などの酵素を用いてグルコースを酸化してグルクロン酸および過酸化水素にし、それによって電気化学的な信号を生成する電流型バイオセンサに関わるものである。これらのセンサは、酸素の欠乏および酸化副産物の形成のために測定が不正確になりやすい。グルコース濃度の正確な測定には大量の酸素を必要とするが、一般に、人間の血液または間質液中に大量の酸素は存在しない。また、電気化学反応自体によって、酵素およびその保護層をともに阻害し、かつ劣化させることがある酸化副産物が形成される。
【0005】
電気化学信号ではなく光学信号に基づくバイオセンサも開発されており、安定性および較正の点でかなりの改善が得られることがある。例えば、分析物に依存する光学信号を、分析物に依存しない第2の信号を基準にして用いると、センサ内のノイズ源および不安定性源を補正することができる。しかし、インビボ分析物検出については光学感知の潜在能力がまだ実現されていない。その理由の1つは、現在の光学感知法の多くが、グルコースオキシダーゼなどの酵素化学物質に依存していることである。一般的な一方法では、酸素感受性蛍光色素を用いてGOx酵素反応による酸素の消費を監視する。これは、蛍光信号レベルが酸素レベルの変化とともに変化する光バイオセンサであるが、このようなセンサは、酸素の欠乏および酵素の劣化という同じ化学的作用に基づく電流型装置と同じ問題に左右される。
【0006】
電気化学または光学のいずれによるかにかかわらず、酵素感知(例えば、GOx)に関連するこれらの難題を克服するために、非酵素で、タンパク質に基づく光学的または蛍光による感知が検討されている。しかし、標識されたコンカナバリンAおよびデキストランを用いて競合FRETアッセイを生成するこのシステムでは、両方の成分を捕捉する必要があり、アッセイのダイナミックレンジが制限される(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。
【0007】
タンパク質に基づく別の感知化学操作では、大腸菌(E.coli)ペリプラズム受容体、グルコース−ガラクトース結合タンパク質(GGBP)を用いて、グルコースの結合に応答した蛍光信号を生成する(例えば、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、および非特許文献6参照)。GGBPは、リガンド結合のときに配座がかなり変化し、その2つの球形ドメイン間でリガンドを捕捉する(非特許文献7を参照)。タンパク質に、環境感受性蛍光体を、部位に特異的に標識することによって、この環境感受性蛍光体の属性を利用して、蛍光信号を生成し得る(例えば、非特許文献5参照)。GGBPは、グルコースも消費しないし、反応生成物も生成しないので、試薬なしセンサとしてGGBPを使用することができる。こうすると、電流型バイオセンサよりも精度および信頼性がよくなる。
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第10/039833号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/040077号明細書
【特許文献3】米国特許出願第10/039799号明細書
【特許文献4】米国特許出願(本願と同日に出願のTerry Amissら、"Compositions and Methods for Measuring Analyte Concentrations";整理番号P−6011号)
【特許文献5】米国特許第6277627号明細書
【特許文献6】米国特許第6197534号明細書
【特許文献7】国際公開第03/060464 A2パンフレット
【特許文献8】米国特許出願第10/428295号明細書
【特許文献9】PCT/US03/00203号
【非特許文献1】Ballerstadt, R. Schultz, J.S., "Competitive-binding assay method based on fluorescence quenching of ligands held in close proximity by a multivalent receptor", Anal. Chem. Acta 345 (1-3): 203-212 (1997)
【非特許文献2】Russell, R.J., Pishko, M.V., Gefrides, C.C., McShane, M.J., Cote, G.L., "A fluorescence-based glucose biosensor using concanavalin A and dextran encapsulated in a poly(ethylene glycol)hydrogel", Anal. Chem. 71 (15): 3126-3132 (1999)
【非特許文献3】Tolosa L., I. Gryczynski, L.R. Eichhorn, J.D. Dattelbaum, F.N. Castellano, G. Rao, J.R. Lakowicz, "Glucose sensor for low-cost lifetime-based sensing using a genetically engineered protein", Anal. Biochem. 267: 114-120 (1999)
【非特許文献4】Hellinga, H.W., J.S. Marvin, "Protein engineering and the development of genetic biosensors. Trends Biotechnol", 16: 183-189 (1998)
【非特許文献5】Salins, L.L., R.A. Ware, C.M. Ensor, S.Daunert, "A novel reagentless sensing system for measuring glucose based on the galactose/glucose-binding protein", Anal Biochem 294: 19-26 (2001)
【非特許文献6】de Lorimier, R.M., J.J. Smith, M.A. Dwyer, L.L. Looger, K.M. Sali, C.D. Paavola, S.S. Rizk, S. Sadigov, D.W. Conrad, L. Loew, H.W. Hellinga, "Construction of a fluorescent biosensor family", Protein Sci. 11: 2655-2675 (2002)
【非特許文献7】Shilton, B.H., M.M. Flocco, M. Nilsson, S.L. Mowbray, "Conformational changes of three periplasmic receptors for bacterial chemotaxis and transport: the maltose-, glucose/galactose- and ribose-binding proteins", J. Mol. Biol. 264: 350-363 (1996)
【非特許文献8】Cass et al., Anal. Chem. 1994, 66, 3840-3847
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
いくつかのグループが、生理的な範囲でグルコースに反応し得るGGBP突然変異体を開発しているが、インビボ分析物監視に適した結合タンパク質技術に基づく機能バイオセンサ装置の報告はない。頻繁なかつ/または連続的な機能センサでは、感知要素が光学感知要素に結合され、センサの完全性および機能性ならびに患者の快適さが維持されなければならない。例えば、生物学的な認識要素およびそれに付随する変換要素は、好ましくは、免疫系から感知要素を遮蔽し、分析物の内外への拡散を可能にし、感知要素が患者の血液その他の生体液(例えば、間質液)に浸出するのを妨げる生体適合材料内に組み込む必要がある。結合タンパク質は、それを有効に用いるために配向制御および配座の自由度を必要とするので、文献で教示している物理的な吸収、ならびに無作為な、またはバルクの共有表面による結合あるいは固定化の多くの戦略は一般に、最適でないか、またはうまくいかない。再現性があり、かつ/または制御可能なやり方で光によって試料を調べる手段を別に考案しなければならない。
【0010】
一般に知られている一手法は、感知要素を光ファイバの一端に結合し、励起源または検出器などの光学要素を他端に結合することである。しかし、結合タンパク質を光ファイバの一端に結合すると、先に述べた、タンパク質の配座および/または配向の移動度を維持するという上記の難題に左右されることになる。さらに、光ファイバの引き回しはしばしば、患者が使用する観点から実際的ではない。というのは、患者は、周期的にセンサを取り外し、また、交換しなければならないことがあるからである。ファイバ全体を交換すると、コストがかかり、不便である。最後に、例えば励起源、検出器その他の光学要素を含む光学系は、例えば、患者の動きまたは光学読取り器内の電子機器のずれなどによる光学的な位置合わせの変化に耐え、また、それを補正するのに十分に堅固でなければならない。また、光学系は、高消費電力および/または大型要素に頼らずに、レポータ色素から信号を検出するのに十分に感度が高くなければならない。そうしないと、システムが搬送不可能になり、その結果着用不可能になる。
【0011】
したがって、感知要素に、配座および/または配向の移動度を有する結合タンパク質が光学感知要素に結合された状態で組み込まれたバイオセンサが必要とされており、それによって着用可能で堅固な装置が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、試料中の標的分析物の濃度を感知する装置を提供することである。この試料は、血液、唾液、涙、汗、尿、脳脊髄液、リンパ液、間質液、血漿、血清、動物組織および培地とすることができる。この装置は、(i)近位端および遠位端を有する光導管、(ii)光導管の近位端のところの、少なくとも1つの電磁エネルギー放出器および少なくとも1つの電磁エネルギー検出器を含む光学系、ならびに(iii)光導管の遠位端に光学的に近接した、少なくとも1種の標的分析物に結合するように適合された少なくとも1種の結合タンパク質を含む感知要素を備える。前記感知要素は、少なくとも1種のレポータ基および任意選択で1種または複数種の基準基も含む。
【0013】
長さが約0.1cmから1mまで様々であり得る光導管は、光学系および感知要素に光を結合し、またそれらから光を出射させる。例えば、光導管は、レンズ、反射性チャネル、針、または光ファイバとすることができる。この光ファイバは、1本の光ファイバ(シングルモードまたはマルチモード)とすることもできるし、2本以上のファイバの束とすることもできる。一実施形態では、ファイバの束は二又とする。このファイバは、先を細くしなくてもよいし、患者の皮膚に貫入し得るように先を細くすることもできる。
【0014】
光学系は、1つまたは複数の励起源と1つまたは複数の検出器の組合せを備える。この光学系は、フィルタ、ダイクロイック素子、電源、および信号を検出し変調する電子回路も備えてもよい。この光学系は、任意選択でマイクロプロセッサを含むことができる。
【0015】
この光学系は、1つまたは複数の検査波長の光を光導管に結合することによって、連続的にまたは間欠的に試料を調べる。次いで、この1つまたは複数の検査波長は、光導管を通り、感知要素を照明する。分析物の濃度が変化すると、感知要素の一部であるレポータ基の発光の波長、強度、寿命、エネルギー伝達効率、および/または偏光が変化する。それによって得られる変化した発光信号は、光導管を通過して光学系に戻り、そこで検出され解釈され、記憶され、かつ/または表示される。ある実施形態では、この光学系は、複数の励起源を備える。これらの励起源の1つまたは複数を変調して、検出される信号の動的な信号処理を行い、それによって、信号対雑音比および検出感度が高めることができる。変調を利用して、装置による消費電力を抑え、また、フォトブリーチングなどの望ましくない現象を最小限に抑えることによって感知要素の寿命を長くすることもできる。この光学系は、レポータ基および任意選択の基準基からの発光信号を検出し、かつ、内部的な基準および/または較正に使用し得る1つまたは複数の電磁エネルギー検出器も含むことができる。この光学系の全消費電力は、この装置が電池の電力を使用して動作し得るように低く保たれる。
【0016】
感知要素は、少なくとも1種の標的分析物に結合するように適合された1種または複数種の結合タンパク質と、少なくとも1種のレポータ基とを含むものである。適切な結合タンパク質は、バイオセンサとして使用するように適合したものはどれであってもよい。例えば、適切な結合タンパク質は、文献に記載のいずれか1つとし得る(例えば、本願と同じ権利者が所有する同時係属の、2002年1月4日出願の特許文献1、2002年1月4日出願の特許文献2、2002年1月4日出願の特許文献3、および本願と同日に出願のTerry Amissら、"Compositions and Methods for Measuring Analyte Concentrations"という名称の特許文献4参照)。これらの文献の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。適切な結合タンパク質は、上記と異なる文献に記載のいずれか1つとすることもできる(例えば、特許文献5、特許文献6、または特許文献7参照)。これらの文献の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
結合タンパク質に付随するレポータ基は、結合タンパク質が標的分析物に結合するときに発光が変化するようにされたものである。本明細書では、「付随する」という用語は、レポータ基が結合タンパク質に共有的または非共有的に付随し、それによって、標的分析物が結合タンパク質に結合するとき、レポータ基の発光特性、例えば、波長、強度、寿命、エネルギー伝達効率、および/または偏光が変化することを意味する。レポータ基の例には、有機色素、有機色素対、蛍光または生体発光の融合タンパク質、蛍光または生体発光の融合タンパク質対、あるいは上記の任意の組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。このレポータ基は、蛍光共鳴エネルギー移動を受けるドナーおよびアクセプタを含むことができる。他の発光標識部分は、ユーロピウム(Eu3+)およびテルビウム(Tb3+)などのランタニド、ならびに、典型的にはフェナントロリンなどのジイミンリガンドとの複合体の形の、ルテニウム[Ru(II)]、レニウム[Re(I)]、またはオスミウム[Os(II)]の複合体を含めて、金属リガンド複合体を含む。
【0018】
感知要素は、光導管と光学的に近接している。「光学的に近接する」とは、1つの物体に他の物体によって光信号を送信し、また、1つの物体から他の物体によって受信することができるように装置のコンポーネントが互いに十分に近くにあることを意味する。感知要素は、いくつかのやり方で光導管に光学的に近接して配置することができる。例えば、光導管に直接付着させる、光導管に取り付けられたコネクタに付着させる、光導管に付着されたポリマー鎖またはポリマー基質に付着させる、あるいは、光導管に取り付けられたコネクタに付着されたポリマー鎖またはポリマー基質に付着さることができる。感知要素は、光導管に恒久的に固定することもできるし、感知要素を好都合かつ経済的に交換し得るように交換可能に付着させることもできる。
【0019】
別の実施形態では、感知要素はさらに、1種または複数種の基準基を含むことができる。レポータ基と異なり、基準基の発光信号は、標的分析物が結合タンパク質に結合するときに実質的に変化しない。「実質的に変化しない」とは、基準基の発光の変化が、レポータ基の発光の変化よりもかなり小さいことを意味する。発光色素および/または発光タンパク質を含み得る基準基は、内部の基準および較正に用いる。基準基は、感知要素、レポータ基を含まない結合タンパク質、ポリマー基質、ポリマー鎖、結合タンパク質ではない生体分子、光導管、または先端部を含めて、装置の任意の数のコンポーネントに付着させることができる。
【0020】
感知要素(典型的には、レポータ基および任意選択の基準基が付随した結合タンパク質を指す)は、例えば共有的、イオン的、またはファンデルワールス的な相互作用、ディップコーティング、スピンコーティング、プラズマコーティング、または真空蒸着を利用して、光導管の遠位端に直接付着させることができる。感知要素は、コネクタにも付着させることができ、それによって感知要素を、交換可能になるように容易に脱着可能とすることができる。
【0021】
別の実施形態では、感知要素は、ポリマー基質に付着させるか、あるいはその中に固定する。このポリマー基質は、対象とする分析物は基質に対して自由に拡散することができるが、妨害する免疫タンパク質およびタンパク質分解酵素は排除され、結合タンパク質がある程度の配座および/または配向の移動度を維持し得る任意の基質とすることができる。この基質は、結合タンパク質を保持する働きをする内部層を含む複数の層と、浸透性を制御し、かつ/または生体適合性を実現するための1つまたは複数の外層とを含むことができる。例えば、このポリマー基質は、文献に記載のもののいずれか1つとすることができる(例えば、本願と同じ権利者が所有する同時係属の2003年5月2日出願の特許文献8参照)。この文献の内容全体を参照により本明細書に組み込む。固定は、感知要素をポリマー基質に共有結合するか、あるいは、基質内に感知要素を物理的に閉じ込めることによって実現できる。ポリマー基質が物理的に感知要素を閉じ込める場合、この基質の細孔は、感知要素が保持されるように寸法設定される。感知要素がポリマー基質に付着される実施形態では、感知要素は、例えば共有結合またはイオン結合を利用して基質に付着される。このポリマー基質は、粘着剤、ディップコーティングまたはスピンコーティング、プラズマコーティング、共有的、イオン的、またはファンデルワールス的な相互作用、機械的なコネクタ、あるいはこれらの組合せを用いて光導管の遠位端に付着させることができる。
【0022】
別の実施形態では、感知要素は、ポリマー鎖に付着される。感知要素をポリマー鎖に付着させる方法には、共有的、イオン的、またはファンデルワールス的な相互作用、およびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。このポリマー鎖は、例えば、ディップコーティングまたはスピンコーティング、プラズマコーティング、真空蒸着、共有的、イオン的、またはファンデルワールス的な相互作用、あるいはこれらの組合せを用いて光導管の遠位端に付着される。
【0023】
別の実施形態では、この装置はさらに、皮膚を貫通して感知要素が体液と接触し得るように設計された(先を細くした、または細くなっていない)先端部を備える。好ましくは、この先端部は使い捨てである。この先端部は、プラスチック、鋼、ガラス、ポリマー、あるいは、上記または類似の材料の任意の組合せで作製することができる。この先端部は、粘着剤または機械的な取付具を用いて光導管(ファイバ)に直接取り付けることができる。この先端部を使用して、この先端部により光導管および感知要素が収容されるように、感知要素を含む光導管を入れることもできる。一実施形態では、感知要素は、この先端部内に含めることができる。
【0024】
この装置はさらに、この装置のコンポーネントを相互に取り付けるのに使用し得るコネクタを備えてもよい。このコネクタは、例えば、標準の光ファイバコネクタ、ルアーロック、プラスチック、金属、またはガラス製のスリーブ、あるいは、ばね荷重式ハウジングなど、任意の機械装置とすることができる。例えば、このコネクタを使用して、光導管に感知要素を取り付けることもできるし、光導管を光学系に取り付けることもできる。このコネクタの主目的は、他のコンポーネントを容易に脱着可能としてそのコンポーネントを交換可能にし得るコンポーネントを提供することである。
【0025】
上記記載に照らして、本発明の主目的は、標的分析物の濃度を感知するための改善された、着用可能かつ操作が簡単な装置を提供することであることが理解されよう。好ましくは、この装置は、分析物の連続的な監視に使用し得るが、当業者なら、このような装置による体内かつ/または体外の試料の連続的な監視および一時的な監視を想起し得るはずである。
【0026】
本発明の別の目的は、設計がコンパクトで携帯可能な装置を提供することである。
【0027】
本発明の別の目的は、標的分析物を感知する堅固な装置を提供することである。
【0028】
本発明の別の目的は、容易に使用することができ、極めて信頼性の高い結果が得られる装置を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、短時間で読取り値が得られる正確な装置を提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、患者に挿入されるときの痛みまたは感触がわずかな、あるいは全くないサイズの先端部を有する装置を提供することである。
【0031】
本発明の上記その他の目的および利点は、以下の詳細な明細書を添付の図面と併せ読めば明らかになるであろう。
【0032】
本発明は、添付の図面で示す本発明の実施形態を参照してより容易に理解されよう。
【0033】
図面を通じて、同様の数字は同様の形状および構造を指すことを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。本発明の以下の詳細な説明は、すべての実施形態を例示するためのものではない。本発明の好ましい実施形態の説明では、わかりやすいように特定の用語を用いる。ただし、本発明は、このように選択された特定の用語に限定されることを意図していない。特定の要素はそれぞれ、同様の目的を達成するのに同様のやり方で動作するあらゆる技術的な均等物を含むことを理解されたい。
【0035】
本発明は、所望の臨床または分析の範囲内で、対象とする分析物に結合するように操作された結合タンパク質に関わるものである。さらに、この結合タンパク質には、1種または複数種の発光レポータ基が付随する。これらの発光レポータ基は、例えば、タンパク質中のシステイン残基に共有結合した有機芳香色素分子、あるいは、例えば、操作された結合タンパク質に融合したタンパク質などの発光生体分子を含むが、これらに限定されるものではない。システインその他のアミノ酸基を操作して、発光レポータ分子が付着する部位を提供する結合タンパク質にすることができる。分析物が結合タンパク質に結合すると、1種または複数種のレポータ基の発光特性が変化する。影響を受ける発光特性は、吸収波長または放出波長、吸収強度または放出強度、放出寿命、放出偏光、および/またはエネルギー伝達効率とすることができる。また、分析物の結合は可逆的であり、結合が解除されると、レポータ分子の発光特性が再度変化する。
【0036】
これら1種または複数種の結合タンパク質ならびにそれらに付随するレポータ基は感知要素を含む。任意選択で、この感知要素は、1種または複数種の基準基も含むことができる。レポータ基と異なり、基準基の発光信号は、標的分析物が結合タンパク質に結合するときに実質的に変化しない。基準基からの発光信号により、例えば光学系内の電子的なドリフト、あるいは試料または光導管の動きのために生じる光学的な影響を補正するのに使用し得る光学的内部基準が得られる。基準基は較正にも利用することができる。基準基は、感知要素、レポータ基を含まない結合タンパク質、ポリマー基質、ポリマー鎖、結合タンパク質ではない生体分子、光導管、または先端部を含めて、装置の任意の数のコンポーネントに付着させることができる。一実施形態では、基準基は、生理学的に関連する濃度において分析物に大きな応答を示さないように操作された結合タンパク質に付着される。
【0037】
1種または複数種の結合タンパク質、1種または複数種のレポータ基、および任意選択の基準基を含む感知要素は、光導管の端部、あるいは、感知要素と光導管を仲介する使い捨て先端部の内部に固定することができる。光導管上、または使い捨て先端部の内部への感知要素の固定は、例えば、ディップコーティングまたはスピンコーティング、共有結合、プラズマ処理などによって光導管または先端部に直接、感知要素の薄い層を被着させることによって実施することができる。あるいは、感知要素をまずポリマー基質に固定し、次いで、この基質を、粘着剤、射出成型、ディップコーティングまたはスピンコーティング、プラズマコーティング、真空蒸着、インクジェット技術、共有的、イオン的、またはファンデルワールス的な相互作用によって、または、機械的な取付け、あるいはこれらの任意の組合せによって光導管または先端部に付着させることができる。
【0038】
光学系は、電磁励起源から光導管を通して感知要素を含む遠位端に光を通過させることによって、レポータ基および基準基の発光応答を調べることができる。また、光学系は、レポータ基および基準基の発光応答によって生成される戻り信号を監視し読取る。波長、強度、寿命、エネルギー伝達効率、または偏光のいずれかであるレポータ基の発光特性は、分析物が結合タンパク質に結合し、また、結合タンパク質から分離するのに応答して変化する。
【0039】
次に、図1を参照して、本発明の特定の実施形態の例を説明する。光学系2は、電磁エネルギー放出器、電磁エネルギー検出器、様々なミラー、フィルタ、電子回路、ホログラフィ光学素子、ダイクロイック素子、および光基準器を含めて、電磁エネルギー放出器から光導管を通して感知要素に検査放射を送り、次いで、戻り発光信号を分解し解釈するのに必要とされる要素の組合せを含むが、要素の例はこれらに限定されるものではない。レポータ基からの戻り発光信号は、検出対象分析物の濃度変化に応答して変化する。光学系2は、信号処理、1つまたは複数の信号の数学的な操作、およびデータの記憶およびハンドリングを扱うコンピュータまたはマイクロプロセッサ3も含むことができる。コンピュータまたはマイクロプロセッサ3は、光学系の他のコンポーネントと物理的に密着させることもできるし、好ましい実施形態では、光学系の他のコンポーネントから最大で数メートルまで物理的に離すこともできる。この実施形態では、光学系内の電磁エネルギー検出器および電子処理要素からの情報は、コンピュータまたはマイクロプロセッサ3に無線で通信される。コンピュータまたはマイクロプロセッサ3は、感知要素固有の較正情報も記憶することができる。光学系2で生成される1つまたは複数の波長の光は、光導管4を通って感知要素6に導かれる。光導管4は、光を最小限の損失で伝達する光ファイバまたは短いライトガイドのいずれかとすることができる。感知要素6は、1種または複数種の結合タンパク質と、それに付随する1種または複数種の発光レポータ基とを含み、これらは、ポリマー基質中に固定されるか、ポリマー鎖に付着されるか、使い捨て先端部に組み込まれるか、光導管の遠位端に直接付着されるか、あるいは、コネクタに付着される。感知要素6は、任意選択で、基準または較正用の信号を提供するために、生体分子、ポリマー、または有機分子に付着された追加の発光基準基も含むことができる。感知要素6は、直接、またはポリマー基質を介して、光導管4の遠位端に付着させることもできるし、あるいは、好ましい実施形態では、光導管4の遠位端に取り付けられた使い捨て先端部5に付着させることもできる。この場合、使い捨て先端部5は、機械的に、または粘着剤により、あるいは、当業者に周知の他の任意の適切な手段によって光導管4に押し付けて位置決めされる。
【0040】
図2は、2つの典型的な実施形態における光学系2を拡大した図である。図の2Aでは、ダイクロイックミラーまたはビームスプリッタ11を使用して、電磁エネルギー源7からの光を光導管4に方向づける。励起源は、例えば、アークランプ、レーザダイオード、またはLEDを含むことができるが、これらに限定されるものではない。この実施形態では、光導管4は、光ファイバケーブルであり、電磁エネルギー源7から感知要素6に励起光を伝達し、レポータ基または基準基から光学系2に戻る発光信号も伝達するのに同じファイバを使用する。好ましくは、ダイクロイック素子11は、励起光から戻り信号を分離し、この信号を電磁エネルギー検出器8に方向づける。検出器は、例えば、フォトダイオード、CCDチップ、または光電子増倍管を含むことができるが、これらに限定されるものではない。感知要素から複数の発光信号が戻される場合、追加のダイクロイック素子を使用して、これらの戻り信号の各部分を複数の検出器に方向づけることができる。好ましくは、基準信号を得るために、分析物に対する感受性をもたない発光基準基が、分析物依存性のレポータ分子とともに含められる。この基準信号を用いて、例えば、光学的または電子的なドリフトを補正することができる。
【0041】
図の2Bに、二又光バンドルまたは溶融光ファイバの構成を使用して、感知要素に光を伝達し、感知要素からの光を伝達する第2の実施形態を示す。ここで、励起源7からの光は、二又ファイババンドルの1本の腕を通って伝達される。感知要素からの戻り発光信号は、二又ファイバの第2の腕を使用して検出される。そのため、この場合には、ファイババンドルは、戻り発光から励起を分離する働きをする。ダイクロイック光学素子、ビームスプリッタ、または偏光子を追加で使用し、例えば波長または偏光に基づいて戻り発光をさらに分割することができる。任意選択で、バンドパスフィルタ12を使用して、検出対象発光波長を選択することができる。電源9は、光学系2に電力を供給する。
【0042】
図3に、光導管が光ファイバのときに、この光導管の端部に感知要素を付着させる代表的な方法を示す。図3のAでは、感知要素は、例えば、共有的、イオン的、またはファンデルワールス的な相互作用、ディップコーティング、スピンコーティング、プラズマコーティング、真空蒸着、インクジェット技術、あるいはこれらの組合せを利用して光ファイバの遠位端に直接付着される。あるいは、結合タンパク質、それに付随するレポータ基、および任意選択の基準基を含む感知要素を長鎖ポリマーに付着させ、この長鎖ポリマーを、例えば、ディップコーティングまたはスピンコーティング、プラズマコーティング、真空蒸着、共有的、イオン的、またはファンデルワールス的な相互作用、インクジェット技術、あるいはこれらの組合せを利用して光ファイバの遠位端に直接付着させることができる。
【0043】
図3のBでは、感知要素はポリマー基質内に固定され、このポリマー基質は、例えば、粘着剤、ディップコーティングまたはスピンコーティング、プラズマコーティング、射出成型、インクジェット技術、共有的、イオン的、またはファンデルワールス的な相互作用、機械式コネクタ、あるいはこれらの組合せを利用して光ファイバの遠位端に付着される。好ましい実施形態では、ポリマー基質および/またはタンパク質の反応基を利用して、例えば、ガラスまたはシリカ製のファイバの表面にアミン基を導入することによって感知要素を光ファイバに直接、共有結合させる。図3のCでは、プラスチックまたはポリマーのスリーブが光ファイバの遠位端を覆って嵌合し、感知要素を収容し保護する働きをする。感知要素はポリマー基質に閉じ込められるか、または付着される。感知要素を含むポリマー基質は、注入、流し込み、または浸漬のいずれかによってスリーブ内に導入することができ、次いで、スリーブ内で架橋または重合させることができる。あるいは、感知要素は、スリーブを光ファイバに挿入する前に、スリーブ内で重合させることができる。図3のDに、針の内部に保持された光ファイバを示す。この針は、突き刺す深さが制御されるように改変された斜面を有し、かつ/または、分析物が針の内部に含まれる感知要素に到達し得るように側方ポートを備えることができる。針の内部の感知要素は、図3のA、図3のB、または図3のCの考察で説明した方法のいずれかを利用して光ファイバに直接付着させることもできるし、あるいは、ファイバと機械的に接触するだけとすることもできる。図3に示す付着方式は、好ましい実施形態であり、個々に、または組み合わせて用いることができる。
【0044】
図4に、着用可能な光バイオセンサの好ましい実施形態を示す。先端部21は、光ファイバ22に固定された感知要素6を含む長さ約1〜10mmの鋼製の針である。ファイバ、先端部、および針のアセンブリは、プラスチック取付台24の中心に取り付けられる。光ファイバおよび感知要素を含む先端部は、患者の皮膚に直角に挿入され、それによってファイバ端の化学物質は、内皮または皮下の空間に入る。次いで、粘着リング25が、プラスチック取付台と針のアセンブリを定位置で保持する。その後、光学系2は、プラスチックアセンブリの上で留められ、コネクタ26が光ファイバ22と光学系を仲介する。この光学系は、例えば、光学実施形態2aまたは2bに従って設計することができる。励起源は、例えば、アークランプ、レーザダイオード、またはLEDからなることができるが、これらに限定されるものではない。検出器は、例えば、フォトダイオード、CCDチップ、または光電子増倍管からなることができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
以下の実施例に、本発明のある好ましい実施形態を示すが、これらは単に、実施形態の例を示すためのものである。本明細書では、非特許文献8に記載の手順に従って、または他のところで説明されているように、蛍光体レポータプローブで標識された突然変異結合タンパク質を用いる。
【実施例1】
【0046】
本発明の一実施例に従って、グルコース−ガラクトース結合タンパク質(GGBP)の、位置149のグルタミン酸がシステインで置換され、位置213のアラニンがアルギニンで置換され、位置238のロイシンがセリンで置換された3重突然変異体(E149C/A213R/L238S)を用いた。このタンパク質を、位置149のところで、N,N’−ジメチル−N−(ヨードアセチル)−N’−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)エチレンジアミン(IANBDアミド)オキシによって標識した。この突然変異GGBP(E149C/A213R/L238S)は、グルコースに特異的であり、レポータ基は、グルコースの結合に応答して蛍光強度が変化する。
【0047】
多重被覆された、または多層の基質を以下のように調製した。コアになる基質は、割合1の色素標識結合タンパク質(特許文献9に記載されているとおりに、PBS緩衝液に15μM溶かし、pH7.4で調製した)と、割合2から4の3重量%アルギン酸塩(v/v)をシンチレーションバイアル中で混合し、低速で渦動させることによって形成した。得られたタンパク質−アルギン酸塩混合物3mLを注射器に入れ、混合器上で、10mL/時の速度で200mLの1M CaClに注ぎ、それによって、直径約0.4から1.5mmのビーズを形成した。これらのビーズを、混合器上で15〜60分、CaCl溶液中で混合した。その後、上記のビーズをポリ−L−リジン0.01%w/v水溶液約10mL中に約1時間置き、次いで、ポリ−リジンで被覆されたビーズを吸収性タオル上で15から30分間、乾燥させることによって閉込め層を形成した。この時点で、センサが使用する準備ができた。
【0048】
この実施形態で使用するファイバは、二又の光ファイバである。このファイバは、中央の400μmファイバの周りに配置した6本の400μmファイバを含むものとした。これら6本のファイバは励起導管として使用し、中央のファイバは検出導管として使用した。このファイバの全体の直径は1.4mmであった。このファイバを研磨した後で、ロックタイト4011医療等級接着剤を使用して、光ファイバの遠位端に感知要素を粘着させた。このファイバの近位端は二又に分かれており、一方の腕は励起源につなげ、他方の腕は検出器につなげた。470nmのLEDを励起源として使用し、市販の蛍光分光計を電磁エネルギー検出器として使用した。次いで、540nmでの放出強度を測定した。
【0049】
試行では、このようにして形成したバイオセンサの遠位端および感知要素を13ゲージの針を介して麻酔したブタの側面に、約1〜2mmだけ皮膚下に挿入した。10%ブドウ糖を含む乳酸加リンゲル液と、ブドウ糖を含まない乳酸加リンゲル液とを交互にこのブタの耳の静脈に注入して、制御可能なやり方でブタのグルコースレベルを増減させた。間をおいて、血液サンプルをブタの大静脈から喉用カテーテルを介して抜き取り、手持ち式血中グルコース測定器で血糖示度を検定した。バイオセンサの蛍光強度を観察して、図5に示すように、麻酔したブタのグルコースレベルの変化を追跡した。
【実施例2】
【0050】
別の実施例では、結合タンパク質は、位置149のグルタミン酸がシステインで置換され、位置213のアラニンがアルギニンで置換され、位置238のロイシンがセリンで置換された(E149C/A213R/L238S)グルコース−ガラクトース結合タンパク質(GGBP)とした。このタンパク質を、位置149のところで、N,N’−ジメチル−N−(ヨードアセチル)−N’−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)エチレンジアミン(IANBDアミド)によって標識した。このバイオセンサは、コア径400μmのファイバの先端部を短いカテーテルチューブ片に挿入し、このカテーテルチューブからファイバ先端部を0.1〜1mmだけ張り出せることによって準備した。このファイバは、シリカ製のコア、シリカ製のクラッド、およびポリイミド製の緩衝域を含むものとした。このファイバの直径は、400/440/470μmであり、スラッシュは、コア/クラッド/緩衝域の外形から測定した直径を示す。
【0051】
固定基質は、架橋させたアルギン酸塩ベースのヒドロゲルとし、これは、カルボジイミド化学操作によってPronova(商標)UP LVGアルギン酸塩を、カルボキシルを介してアジピン酸ジヒドラジド(AAD)と共有架橋させることによって調製した。この実施形態では、Pronova(商標)UP LVGは、その低粘性および高グルロン−マンヌロン比のために選択した。アルギン酸塩1グラムを0.1M MES緩衝液(pH6.5)50mLに溶解し、次いで、AAD 110mgおよびヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)79mgを添加することによって、2%のアルギン酸塩溶液を調製した。この溶液を、使用するまで4℃で保管した。このアルギン酸塩溶液に対して、複式注射器混合技術を利用して、溶液10mL当たり、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)145mgを添加した。アルギン酸塩、AAD、HOBt、EDCの混合液を1mLの注射器に吸引し、この注射器にブラント(blunt)30ゲージ針を取り付けた。この針に混合液を装填し、次いで、その先端部を光ファイバのカテーテルチューブモールドに挿入した。ファイバのカテーテルチューブを充填して、光ファイバの先端部とアルギン酸塩基質の間で良好な接触を確保した。この基質を15分間架橋させ、次いで、ファイバ先端部と基質のアセンブリを0.1M、6.5pHのMES溶液に移し、そこで、2時間放置した。2時間後、感知先端部を過剰なリン酸緩衝溶溶液(PBS、0.0027Mの塩化カリウム、0.137の塩化ナトリウム、pH7.4)中に置き、そこで最低30分間放置して反応を抑えた。
【0052】
結合タンパク質を付着させるために、標識したGGBPのPBS緩衝溶液[NBD−E149C/A213R/L238S GGBP](53μM、50μL)中で約8時間、先端部をインキュベートした。インキュベート中、周囲光からこのセンサを保護した。8〜24時間のインキュベートの後で、インキュベートチューブにEDC/NHS(200mM/50mM)50μLを添加した。40分後、センサ先端部を取り出し、1M、pH8.5のエタノールアミン50μL中に置いて反応を抑えた。エタノールアミン溶液中で20分経過した後で、センサ先端部をPBS溶液に移し、そこで、少なくとも24時間放置し、未反応タンパク質を外に拡散させた。次いで、このセンサを新しいPBSに移し、使用準備が整うまで暗所で保管した。
【0053】
この実施例のファイバは、1本の400μmコアのマルチモードファイバ(シリカ製のコア、シリカ製のクラッド、ポリイミド製のバッファ)とした。この実施形態では、同じファイバが励起信号および発光信号をともに伝達するので、図2の2Aに示すように、ダイクロイック光学素子を使用して励起から発光を分離した。励起は、470nmのLEDで行った。市販のダイクロイックフィルタを使用して、ファイバの入力端に向けて470nmの励起を反射させ、550nmに中心をもつ蛍光を検出器に透過させた。ビームをコリメートし、光を合焦してファイバに入れ、かつ検出器に当てるのにガラス製の非球面レンズを使用した。さらに、550nmのバンドパスフィルタを使用して散乱励起が検出器に入らないようにした。SMAコネクタにより、光ファイバセンサを迅速に接続し、取り外すことができた。この実施形態の電磁エネルギー検出器は、シングルフォトンカウンティング用光電子増倍管とした。データ取得は、RS−232接続部を介して検出器と通信するラップトップコンピュータで実施した。
【0054】
図6:試行では、このようにした形成したバイオセンサの遠位端および感知要素を、グルコース濃度の異なるブタ血清溶液に挿入した。すべてのブタ血清溶液を200μmフィルタで濾過し、臨床分析器で溶液中のグルコースレベルを測定した。図6に、このセンサの生体外の性能を示す。血清中の初期グルコースレベルを測定して56mg/dLを得た。濃縮1MグルコースのPBS溶液を一定分量の血清に加えることによって、150mg/dLおよび300mg/dLで血清サンプルを調製した。
【実施例3】
【0055】
本発明の別の実施例では、光ファイバの表面に薄膜を共有結合させることによってバイオセンサを形成した。結合タンパク質は、位置149のグルタミン酸がシステインで置換され、位置213のアラニンがアルギニンで置換され、位置238のロイシンがセリンで置換された(E149C/A213R/L238S)グルコース−ガラクトース結合タンパク質(GGBP)とした。このタンパク質を、位置149のところで、N,N’−ジメチル−N−(ヨードアセチル)−N’−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)エチレンジアミン(IANBDアミド)によって標識した。
【0056】
このバイオセンサは、シリカファイバのアミンにより機能化された表面にアルギン酸塩基質を共有結合させることによって準備した。このファイバは、シリカ製のコア、シリカ製のクラッド、およびポリイミド製の緩衝域を含むものとした。このファイバの直径は、400/440/470μmであり、スラッシュは、コア/クラッド/バッファの外形から測定した直径を示す。
【0057】
このファイバの先端数ミリメートルをトーチに約1〜2秒曝すことによって、ポリイミド緩衝域を光ファイバの先端部から除去した。次いで、残余のポリイミドを拭き取った。その後、緩衝域が除去された先端部を1M硫酸中に1時間置いた。次いで、先端部を蒸留水で洗い流し、エタノール中に15分間置き、その後、無水トルエンに15分間浸した。次いで、この清浄化された先端部を、1%の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を含む暖かい(60℃)無水トルエン中に置き、5分間反応させた。その後、この先端部をAPTES溶液から取り出し、エタノールで15分間洗浄した。このプロセスの終了時に、光電子分光法によって、ファイバの表面上のアミン基の存在を確認した。
【0058】
次いで、以下のように、アルギン酸塩基質をアミンにより機能化されたファイバ表面に塗布した。固定基質は、架橋させたアルギン酸塩ベースのヒドロゲルとし、これは、カルボジイミド化学操作によって、低粘性および高グルロン−マンヌロン比のために選択したPronova(商標)UP LVGアルギン酸塩を、カルボキシルを介してアジピン酸ジヒドラジド(AAD)と共有架橋させることによって調製した。アルギン酸塩1グラムを0.1M MES緩衝液(pH6.5)50mLに溶解し、次いで、AAD 110mgおよびヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)79mgを添加することによって、2%のアルギン酸塩溶液を調製した。次いで、複式注射器混合技術を利用して、この溶液の一定分量0.5mLと、EDC 10mgをMES緩衝液50μL中で混合した。この溶液の総体積は約0.55mLであった。その後、アルギン酸塩、AAD、HOBt、EDCの混合物を微小遠心分離バイアルに移し、APTESにより機能化されたファイバの先端部をこのアルギン酸塩溶液に3〜4分間、またはこの基質が凝固し始めるまで浸した。次いで、この先端部をアルギン酸塩溶液から取り出し、空気中で約1〜10分間継続して反応させ、その後、0.1M、6.5pHのMES緩衝液に移した。このMES溶液中で先端部を2時間放置し、次いで、過剰なリン酸緩衝溶液(PBS、0.0027Mの塩化カリウム、0.137の塩化ナトリウム、pH7.4)中で最低30分間冷やした。
【0059】
結合タンパク質を付着させるために、標識したGGBPのPBS緩衝溶液[NBD−E149C/A213R/L238S GGBP](20〜60μM、50μL)中で数時間、先端部をインキュベートした。インキュベート中、周囲光からこのセンサを保護した。約2〜8時間のインキュベート後、インキュベートチューブにEDC/NHS(200mM/50mM)50μLを添加した。5〜40分後、センサ先端部を取り出し、1M、pH8.5のエタノールアミン50μL中に置いて反応を抑えた。エタノールアミン溶液中で20分経過した後で、センサ先端部をPBS溶液に移し、そこで、少なくとも8時間放置し、未反応タンパク質を外に拡散させた。次いで、このセンサを新しいPBSに移し、使用準備が整うまで暗所で保管した。
【0060】
上記で説明した実施例の試行では、光学式読取り器は、ソレノイド駆動シャッタを使用して470nmの励起を変調したことを除き、前の実施例で説明したものと同じとした。シャッタおよび検出器とのインターフェースを行う、それらを制御することに加えて、ソフトウエアにより、蛍光示度の定時間取得、結果の図式的な表示、ならびにデータ分析および較正用のアルゴリズムを可能にした。
【0061】
次いで、このようにして形成したバイオセンサの遠位端および感知要素を麻酔したブタの側面に挿入した。挿入は、18〜24ゲージの針によって形成した皮膚の孔を通してファイバを内皮または皮下に挿入することによって行った。10%ブドウ糖を含む乳酸加リンゲル液と、ブドウ糖を含まない乳酸加リンゲル液とを交互にこのブタの耳の静脈に注入して、制御可能なやり方でブタのグルコースレベルを増減させた。間をおいて、血液サンプルをブタの大静脈から喉用カテーテルを介して抜き取り、手持ち式血中グルコース測定器で血糖示度を検定した。バイオセンサの蛍光強度を観察して、図7に示すように、麻酔したブタの血中グルコースレベルの変化を追跡した。
【実施例4】
【0062】
本発明の別の実施例では、内部光基準基とともに2波長検出を実施した。結合タンパク質は、位置149のグルタミン酸がシステインで置換され、位置213のアラニンがアルギニンで置換され、位置238のロイシンがセリンで置換された(E149C/A213R/L238S)グルコース−ガラクトース結合タンパク質(GGBP)とした。このタンパク質を、位置149のところで、レポータ基N,N’−ジメチル−N−(ヨードアセチル)−N’−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)エチレンジアミン(IANBDアミド)によって標識した。基準基は、位置149のグルタミン酸がシステインで置換されたGGBPに付着させたTexas Red(登録商標)Cマレイミド(TR−E149C GGBP)とした。生理学的な範囲のグルコース濃度全体にわたって、TR−E149C GGBPからの発光は実質的に変化せず、そのため、TR−E149C GGBPは、分析物依存性結合タンパク質およびレポータ基(NBD−E149C/A213R/L238S GGBP)からの信号の内部基準として働く。
【0063】
このバイオセンサは、コア径400μmのファイバの先端部を短いカテーテルチューブ片に挿入し、このカテーテルチューブからファイバ先端部を0.1〜0.5mmだけ張り出せることによって準備した。このファイバは、シリカ製のコア、シリカ製のクラッド、およびポリイミド製の緩衝域を含むものとした。このファイバの直径は、400/440/470μmであり、スラッシュは、コア/クラッド/バッファの外形から測定した直径を示す。
【0064】
固定基質は、架橋させたアルギン酸塩ベースのヒドロゲルとし、これは、カルボジイミド化学操作によって、低粘性および高グルロン−マンヌロン比のために選択したPronova(商標)UP LVGアルギン酸塩を、カルボキシルを介してアジピン酸ジヒドラジド(AAD)と共有架橋させることによって調製した。アルギン酸塩1グラムを0.1M MES緩衝液(pH6.5)50mLに溶解し、次いで、AAD 110mgおよびヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)79mgを添加することによって、2%のアルギン酸塩溶液を調製した。この溶液を、使用するまで4℃で保管した。次いで、複式注射器混合技術を利用して、このアルギン酸塩溶液の一定分量0.5mLと、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミド(EDC)10mgおよび60μM TR−E149C GGBP 90μLを含むMES溶液50μLと混合した。アルギン酸塩、AAD、HOBt、EDC、TR−E149Cの混合液を1mLの注射器に吸引し、この注射器にブラント30ゲージ針を取り付けた。この針に混合液を装填し、次いで、その先端部を光ファイバのカテーテルチューブモールドに挿入した。ファイバのカテーテルチューブを充填して、光ファイバの先端部とアルギン酸塩基質の間で良好な接触を確保した。この基質を15分間架橋させ、次いで、ファイバ先端部と基質のアセンブリを0.1M、6.5pHのMES溶液に移し、そこで、2時間放置した。2時間後、感知先端部を過剰なリン酸緩衝溶液(PBS、0.0027Mの塩化カリウム、0.137の塩化ナトリウム、pH=7.4)中に置き、そこで、これらを最低30分間放置して反応を抑えた。
【0065】
結合タンパク質を付着させるために、IANBD標識したGGBPを含むPBS緩衝溶液NBD−E149C/A213R/L238S GGBP中で先端部をインキュベートした。インキュベート中、周囲光からこのセンサを保護した。約2〜8時間のインキュベート後、インキュベートチューブにEDC/NHS(200mM/50mM)50μLを添加した。5〜40分後、センサ先端部を取り出し、1M、pH8.5のエタノールアミン50μL中に置いて反応を抑えた。エタノールアミン溶液中で20分経過した後で、センサ先端部をPBS溶液に移し、そこで、少なくとも8時間放置し、未反応タンパク質を外に拡散させた。次いで、このセンサを新しいPBSに移し、使用準備が整うまで暗所で保管した。
【0066】
上記で説明した実施形態の試行では、図2の2Aに示す構成に従う光学系を使用して蛍光信号を読み取った。470nmのLED(LS−450)を励起用に使用し、2本のシングルフォトンカウンティング光電子増倍管を電磁エネルギー検出器として使用した。市販のダイクロイックビームスプリッタを使用して、電磁エネルギー放出器からの470nmの光をファイバに向けて反射させ、レポータ基および基準基からの発光信号を検出器に向けて透過させた。第2のダイクロイックビームスプリッタを使用して、レポータ基および基準基からの発光信号を分離し、NBD−E149C/A213R/L238Sからの放出を一方の検出器に向けて方向づけ、TR−E149C GGBPからの放出を他方の検出器に向けて方向づけた。一方の検出器の前に550nmバンドパスフィルタを使用し、他方の検出器の前に610nmバンドパスフィルタを使用して、NBD−E149C/A213R/L238SおよびTR−E149C GGBPに対してそれぞれ、さらなる分光分解能を実現した。
【0067】
試行では、このようにした形成したバイオセンサの遠位端および感知要素を、異なるレベルのグルコースを含むPBS緩衝溶液に挿入した。臨床分析器でこれらの溶液中のグルコースレベルを測定した。図8に、グルコースレベルの変化に対するセンサの応答を示す。IANBDレポータ基からの550nmの信号は、グルコースレベルの変化に従う。Texas Red(登録商標)レポータ基からの610nmの放出は、グルコースレベルが変化しても実質的に変化しない。しかし、この実施形態では、レポータ基の放出の一部も610nmで生じる。610nmの発光信号を追跡するこの光学系の検出器は、基準基の放出と、レポータ基(IANBD)の放出のこの波長領域で生じる部分とをともに検出する。610nmの信号へのレポータ基からの寄与は、550nmの信号の一定の部分なので、この寄与を610nmの信号から数学的に減算して、基準基だけによる信号を生成することができる。この数学的な操作を実施すると、図8に示すように、610nmの信号はグルコース濃度に伴って実質的に変化しなくなる。
【0068】
本明細書で開示する本発明を本発明の特定の実施形態およびその応用例によって説明してきたが、当業者なら、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に多くの改変および変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態によるバイオセンサの一般化した概略図である。
【図2】本発明の実施形態によるセンサの光学部分の光学構成の2つの実施形態を示す図である。
【図3】本発明の実施形態によるバイオセンサ先端部の様々な実施形態を示す図である。
【図4】着用可能なin vivo光バイオセンサである本発明の実施形態を示す図である。
【図5】麻酔したブタのグルコースレベルの変化を追跡して本発明の実施形態による光ファイババイオセンサの性能を示すグラフである。
【図6】1本の400μmコア光ファイバセンサおよび図2Aに示す光学構成を用いた本発明の実施形態による光ファイババイオセンサの性能を示すグラフである。
【図7】1本の400μmコア光ファイバセンサおよび図2Aに示す光学構成を用いた本発明の実施形態による光ファイババイオセンサの性能を示す図である。
【図8】複数の電磁エネルギー検出器および内部基準を含む本発明の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の標的分析物を感知する装置であって、
近位端および遠位端を有する光導管と、
前記光導管の前記近位端における光学系であって、少なくとも1つの電磁エネルギー放出器および少なくとも1つの電磁エネルギー検出器を含む光学系と、
前記光導管の前記遠位端に光学的に近接した感知要素であって、少なくとも1種の標的分析物に結合するようにされた少なくとも1種の結合タンパク質と、前記結合タンパク質に付随する少なくとも1種のレポータ基で、前記結合タンパク質が前記標的分析物と結合するときに発光が変化するようにされたレポータ基と、
任意選択的に、少なくとも1種の基準基と、を含む感知要素と、
を具えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
先端部をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記感知要素は前記先端部内に収容されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記感知要素は、前記先端部の内面に付着され、前記先端部は、前記光導管の前記遠位端に直接取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記感知要素は、前記光導管の前記遠位端に直接取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
1つまたは複数のコネクタをさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記感知要素は、コネクタを介して前記光導管の前記遠位端に付着されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記感知要素は、ポリマー基質に閉じ込められるか、または付着されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ポリマー基質は、前記光導管の前記遠位端に直接付着されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ポリマー基質は、前記先端部の内面に付着され、前記先端部は、前記光導管の前記遠位端に直接取り付けられることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記ポリマー基質は、先端部の内面に付着され、前記先端部は、前記光導管の前記遠位端に直接取り付けられたコネクタに直接取り付けられることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記感知要素は、ポリマー鎖に付着されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ポリマー鎖は、前記光導管の前記遠位端に付着されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ポリマー鎖は、先端部の内面に付着され、前記先端部は、前記光導管の前記遠位端に直接取り付けられることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記ポリマー鎖は、先端部の内面に付着され、前記先端部は、前記光導管の前記遠位端に直接取り付けられるコネクタに直接取り付けられることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記光学系は、前記コネクタを介して前記光導管の前記近位端に取り付けられることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項17】
前記感知要素は、コネクタを介して前記光導管の前記遠位端に付着され、前記光学系は、コネクタを介して前記光導管の前記近位端に取り付けられることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項18】
先端部をさらに備え、前記先端部は、コネクタを介して前記光導管の前記遠位端に取り付けられることを特徴とする請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記光導管は少なくとも1本の光ファイバを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記電磁エネルギー放出器は、アークランプ、発光ダイオード、およびレーザダイオードからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記電磁エネルギー検出器は、フォトダイオード、光電子増倍管、または電荷結合素子であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記光学系は、複数の波長を区別するように適合された光学要素をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記光学要素は、光学フィルタ、ダイクロイックコンポーネント、ホログラフィコンポーネント、またはこれらの組合せをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記電磁エネルギー検出器は、前記レポータ基によって放出されるエネルギーを実質的に連続して検出するように適合されることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記電磁エネルギー検出器は、前記レポータ基によって放出されるエネルギーを周期的に検出するように適合されることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項26】
前記光学系は、前記電磁エネルギー放出器からの信号を変調する電気的または光電子的な要素をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記光学系は、前記電磁エネルギー検出器が受け取った前記発光信号を変調する電気的または光電子的な要素をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記光学系は、前記発光信号の強度を測定するようにされたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記光学系は、前記発光信号の波長を測定するようにされたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記光学系は、前記発光信号の寿命を測定するようにされたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記光学系は、前記発光信号の偏光を測定するようにされたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記光学系は、前記レポータ基のエネルギー伝達効率を測定するようにされたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項33】
前記先端部は金属フレームをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項34】
少なくとも1種の基準基はタンパク質に付随することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記感知要素はさらに、患者の皮膚内に、または患者の皮膚を貫通して挿入されるように適合されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項36】
少なくとも1種のレポータ基および少なくとも1種の基準基は、同じ波長で励起されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項37】
少なくとも1種のレポータ基および少なくとも1種の基準基は、異なる波長で励起されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項38】
少なくとも1種のレポータ基および少なくとも1種の基準基の発光は、異なる波長で検出されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項39】
少なくとも1種のレポータ基および少なくとも1種の基準基の発光は、同じ波長で検出されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項40】
前記レポータ基は1対の有機色素を含み、前記有機色素は、前記対間のエネルギー伝達効率が分析物の結合時に変化するように選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項41】
前記レポータ基は1対の融合タンパク質を含み、前記融合タンパク質は、前記対間のエネルギー伝達効率が分析物の結合時に変化するように選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項42】
前記レポータ基は有機色素および融合タンパク質を含み、前記有機色素および前記融合タンパク質は、これらの間のエネルギー伝達効率が分析物の結合時に変化するように選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−513333(P2007−513333A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541334(P2006−541334)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/038487
【国際公開番号】WO2005/054831
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】