説明

分析物抽出装置、分析装置、分析物抽出方法および分析方法

【課題】分析物を効率的に収集することができ、それによって、分析に必要な量の分析物を、被験者が大きな痛みを感じることなく、所定時間内に被験者から抽出することが可能な分析物抽出装置を提供する。
【解決手段】この血糖値測定装置(分析物抽出装置)100は、定電圧電源15と、定電圧電源15に接続される陽極60aおよび陰極60bと、生体から抽出されるグルコースを収集する純水を陽極60aおよび陰極60bの両方に接触した状態で保持するための1枚の紙片50とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析物抽出装置、分析装置、分析物抽出方法および分析方法に関し、特に、生体から分析物を抽出する分析物抽出装置、分析装置、分析物抽出方法および分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臨床検査は、採血によって得られた血液中の物質の量や存在を測定することにより行われるのが一般的である。たとえば、糖尿病の患者は、自分で頻繁に血糖値を測定し、測定された血糖値に基づいてインスリンの投与量を決定したり、食事制限や運動量などを決定したりする自己血糖管理を行っている。このように、糖尿病患者は、一日に数回程度血糖値を測定する必要がある。通常、血糖値の測定は、穿刺具などを用いて採取した血液試料の測定によって行われているので、患者への肉体的苦痛や負担は決して少なくない。このような観点から、採血を伴わずに、患者への負担の少ない簡易検査が強く望まれている。
【0003】
上記のような要望に応えるため、皮膚に電流を流すことによって組織液を抽出する、いわゆるリバースイオントフォレシス法を利用した従来の装置が開示されている(たとえば、特許文献1および特許文献2)。この特許文献1および特許文献2に開示されたリバースイオントフォレシス法を利用した従来の装置では、陽極および陰極に各々対応する2つの収集媒体を用いて組織液を抽出している。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,279,543号
【特許文献2】国際公開第96/000110号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1および特許文献2に開示されたリバースイオントフォレシス法による従来の装置では、陽極および陰極に各々対応する2つの収集媒体を用いて組織液を抽出しているので、生体から抽出された分析物が2つの収集媒体に分散して収集されてしまう。従って、それぞれの収集媒体に分析に必要な量の分析物を所定時間内に抽出させるために、比較的大きな電流を流す必要があるため、被験者に痛みとダメージを与えてしまう場合があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、分析物を効率的に収集することができ、それによって、分析に必要な量の分析物を、被験者が大きな痛みを感じることなく、所定時間内に被験者から抽出することが可能な分析物抽出装置および分析物抽出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による分析物抽出装置は、生体から分析物を抽出する分析物抽出装置であって、電源と、電源に接続される第1電極および第2電極と、生体から抽出される分析物を収集する収集媒体を、第1電極および第2電極の両方に接触した状態で保持するための保持部とを備えている。
【0008】
この第1の局面による分析物抽出装置では、上記のように、生体から抽出される分析物を収集する収集媒体を、第1電極および第2電極の両方に接触した状態で保持するための保持部を設けることによって、複数の電極に向かって移動する分析物を収集媒体に収集することができるので、複数の電極に向かって移動する分析物を各々の電極に対応する複数の収集媒体に収集する場合に比べて、分析物を効率良く収集することができる。したがって、分析に必要な量の分析物を、被験者が大きな痛みを感じることなく、所定時間内に被験者から抽出することができる。
【0009】
上記第1の局面による分析物抽出装置において、好ましくは、収集媒体は、非導電性物質である。このように構成すれば、第1電極と第2電極との間には、非導電性物質からなる収集媒体を介して電流は流れないので、収集媒体として導電性物質を用いる場合と比べて、電源が電極に印加するエネルギーをより小さくすることができる。
【0010】
上記第1の局面による分析物抽出装置において、好ましくは、収集媒体は、生体から抽出されるイオンがその中を移動可能な非導電性物質からなる。このように構成すれば、イオンの移動に伴って生体から抽出される分析物も収集媒体中を移動させることができる。これにより、非導電性物質からなる収集媒体を用いた場合にも、容易に、生体から抽出される分析物の収集を行うことができる。
【0011】
上記非導電性物質の収集媒体を含む構成において、好ましくは、収集媒体は、非導電性の液体、または、非導電性のゲルである。
【0012】
この場合、収集媒体として、非導電性の液体である純水を用いるのが好ましい。このように構成すれば、安価に収集媒体を構成することができる。また、収集媒体が人体に悪影響を与える恐れがない。
【0013】
上記非導電性物質の収集媒体を含む構成において、好ましくは、収集媒体は、非導電性の液体であり、液体を吸収して保持するための吸収部材をさらに備える。このように構成すれば、収集媒体は吸収部材に吸収されて保持されるので、収集媒体の取り扱いが容易になる。
【0014】
この場合、吸収部材は紙またはメッシュシートであるのが好ましい。このように構成すれば、安価に吸収部材を構成することができる。また、吸収部材として紙を用いれば、吸収部材が人体に悪影響を与える恐れがない。
【0015】
上記第1の局面による分析物抽出装置において、好ましくは、第1電極および第2電極の少なくとも一部は、比表面積が100m/g以上5000m/g以下の物質により形成されている。このように構成すれば、比表面積が100m/g以上の物質を第1電極および第2電極の少なくとも一部に用いることにより、電極反応電位以下の電圧で十分な電流を得ることができるので、電源が電極に印加するエネルギーを小さくすることができる。これにより、被験者が感じる痛みをより軽減することができる。また、比表面積が5000m/g以下の物質を第1電極および第2電極の少なくとも一部に用いることによって、物質の表面に形成された複数の細孔の形状を複雑化することにより物質の比表面積を増大させた場合に、細孔の形状が複雑になりすぎて電流の細孔内部への到達が困難になるという不都合が発生するのを抑制することができる。これにより、物質の有する理論上の比表面積に対して、実質的な比表面積が減少するのを抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による分析物抽出装置において、好ましくは、第1電極は、陽極を含み、保持部は、陽極、陰極および収集媒体を保持する。このように構成すれば、陽極、陰極および収集媒体が保持部によって保持されるので、取り扱いが容易な分析物抽出装置が提供される。
【0017】
この場合、好ましくは、陽極および陰極は、所定の間隔を隔てて互いに対向するように保持部に配置されている。
【0018】
上記保持部を含む構成において、好ましくは、陽極および陰極は、収集媒体が皮膚に接触する際に、皮膚に接触しないように保持部に配置されている。このように構成すれば、陽極および陰極が被験者の皮膚に接触しないように保持部内に配置されているので、電源が比較的大きなエネルギーを電極に印加したとしても、被験者が感じる痛みを抑制することができる。
【0019】
上記第1の局面による分析物抽出装置において、好ましくは、収集媒体を収容するための収集媒体収容部と、収集媒体収容部と保持部とを接続するとともに、収集媒体を収集媒体収容部から保持部に移送するための流路とをさらに備える。このように構成すれば、収集媒体を収集媒体収容部に収容した状態で装置内に保存することができるので、収集媒体と、分析物を検知するためのセンサとを接触した状態で保存する場合と異なり、センサに含まれる酵素が液体やゲルからなる収集媒体の水分と接触することに起因して、収集媒体やセンサが比較的短期間で劣化してしまうのを防止することができる。これにより、収集媒体と分析物を検知するためのセンサとの保存期間を長くすることができる。
【0020】
収集媒体収容部を含む構成において、好ましくは、収集媒体は、純水であり、純水を吸収して保持するための吸収部材をさらに含み、吸収部材は、保持部によって保持されている。このように構成すれば、純水と吸収部材とを分離した状態で装置内に保存することができるので、純水と、分析物を検知するためのセンサとを接触した状態で保存する場合と異なり、センサに含まれる酵素が純水と接触することに起因して、純水やセンサが比較的短期間で劣化してしまうのを防止することができる。これにより、純水と分析物を検知するためのセンサとの保存期間を長くすることができる。また、分析物を抽出する際に、容易に、吸収部材に収集媒体を吸収させることができる。
【0021】
この発明の第2の局面による分析装置は、上記第1の局面による分析物抽出装置と、分析物抽出装置の収集媒体に収集された分析物を検知するための検知部と、少なくとも検知部から得られる情報に基づいて、収集媒体に抽出された分析物を分析する制御部とを備えている。
【0022】
上記第2の局面による分析装置において、好ましくは、分析物抽出装置の電源と制御部とを含む装置本体と、装置本体に着脱可能に構成されるとともに、分析物抽出装置の第1電極および第2電極と、分析物抽出装置の保持部とを含む抽出カートリッジとを備えている。このように構成すれば、抽出カートリッジが装置本体に対して着脱可能であるので、被験者は、抽出カートリッジの交換を行うだけで容易に繰り返し分析物を分析することができる。
【0023】
この場合、好ましくは、検知部は、光源と、装置本体と抽出カートリッジとが接続された状態で収集媒体に接触するとともに、光源からの光が照射される分析物センサと、光源から分析物センサを介して照射される光を検知する光検知器とを含み、光源および光検知器は、装置本体に設けられており、分析物センサは、抽出カートリッジに設けられている。このように構成すれば、分析物に接触するために測定毎の交換が必要な分析物センサが抽出カートリッジに設けられているので、抽出カートリッジを装置本体から取り外すだけで、容易に、分析物センサを交換することができる。
【0024】
上記第2の局面による分析装置において、好ましくは、分析物は、グルコースを含み、制御部は、収集媒体に抽出されるグルコースを分析して血糖値を取得する。このように構成すれば、収集媒体に抽出されるグルコースを制御部により分析することによって、容易に、血糖値を取得することができる。
【0025】
上記第2の局面による分析装置において、好ましくは、分析物抽出装置の電源から分析物抽出装置の第1電極に流れる電流の電流値を取得する電流値取得部をさらに備え、制御部は、検知部から得られる情報と、電流値取得部から得られる電流値とに基づいて、被験者の体内の組織液に含まれる成分の濃度を取得する。このように構成すれば、被験者に対して採血などを行うことなく、被験者の体内の組織液に含まれる成分の濃度を取得することができる。これにより、たとえば、組織液に含まれるグルコースの濃度を取得すれば、採血をすることなく、被験者の血糖値を取得することができる。
【0026】
この発明の第3の局面による分析物抽出方法は、生体から分析物を抽出する分析物抽出方法であって、第1電極および第2電極の両方と接触するとともに、生体から抽出される分析物を収集するための収集媒体を皮膚に接触させるステップと、第1電極および第2電極の間に電圧を印加することによって、収集媒体に生体から分析物を抽出するステップとを備えている。
【0027】
この第3の局面による分析物抽出方法では、上記のように、第1電極および第2電極の両方と接触するとともに、生体から抽出される分析物を収集するための収集媒体を皮膚に接触させるステップと、第1電極および第2電極の間に電圧を印加することによって、収集媒体に生体から分析物を抽出するステップとを設けることによって、複数の電極に向かって移動する分析物を収集媒体に収集することができるので、複数の電極に向かって移動する分析物を各々の電極に対応する複数の収集媒体に収集する場合に比べて、分析物を効率良く収集することができる。したがって、被験者が痛みを感じるような大きさの電流を生体に流さなくても被験者から分析に必要な量の分析物を所定時間内に抽出することができる。
【0028】
この発明の第4の局面による分析方法は、生体から分析物を抽出して分析する分析方法であって、第1電極および第2電極の両方と接触するとともに、生体から抽出される分析物を収集するための収集媒体を皮膚に接触させるステップと、第1電極および第2電極の間に電圧を印加することによって、収集媒体に生体から分析物を抽出するステップと、収集媒体に抽出された分析物を分析するステップとを備えている。
【0029】
この第4の局面による分析方法では、上記のように、第1電極および第2電極の両方と接触するとともに、生体から抽出される分析物を収集するための収集媒体を皮膚に接触させるステップと、第1電極および第2電極の間に電圧を印加することによって、収集媒体に生体から分析物を抽出するステップとを設けることによって、複数の電極に向かって移動する分析物を収集媒体に収集することができるので、複数の電極に向かって移動する分析物を各々の電極に対応する複数の収集媒体に収集する場合に比べて、分析物を効率良く収集することができる。したがって、被験者が痛みを感じるような大きさの電流を生体に流さなくても被験者から分析に必要な量の分析物を所定時間内に抽出することができる。
【0030】
この発明の第5の局面による分析物抽出装置は、生体から分析物を抽出する分析物抽出装置であって、生体に非導電性物質を介して電場を与える電場付与手段と、電場付与手段によって付与された電場の存在下で生体から抽出される分析物を収集する収集媒体とを備えている。
【0031】
この第5の局面による分析物抽出装置では、上記のように、生体に非導電性物質を介して電場を与える電場付与手段と、電場付与手段によって付与された電場の存在下で生体から抽出される分析物を収集する収集媒体とを設けることによって、電場付与手段と生体内部とを循環する電流回路が形成されることなく分析物が生体から抽出されるので、生体内を流れる電流の大きさは非常に小さい。したがって、被験者が感じる痛みを軽減することができる。
【0032】
上記第5の局面による分析物抽出装置において、好ましくは、電場付与手段は、電源と、電源に接続される第1電極および第2電極とを含む。このように構成すれば、電源に接続される第1電極および第2電極を含む電場付与手段によって、容易に、生体に非導電性物質を介して電場を与えることができる。
【0033】
この場合、好ましくは、第1電極および第2電極の少なくとも一部は、比表面積が100m/g以上5000m/g以下の物質により形成されている。このように構成すれば、比表面積が100m/g以上の物質を第1電極および第2電極の少なくとも一部に用いることにより、電極反応電位以下の電圧で十分な電流を得ることができるので、電源が発生するエネルギーを小さくすることができる。これにより、被験者が感じる痛みをより軽減することができる。また、比表面積が5000m/g以下の物質を第1電極および第2電極の少なくとも一部に用いることによって、物質の表面に形成された複数の細孔の形状を複雑化することにより物質の比表面積を増大させた場合に、細孔の形状が複雑になりすぎて電流の細孔内部への到達が困難になるという不都合が発生するのを抑制することができる。これにより、物質の有する理論上の比表面積に対して、実質的な比表面積が減少するのを抑制することができる。
【0034】
上記電場付与手段が電極を含む構成において、好ましくは、第1電極および第2電極の少なくとも一方は、電源に接続される集電極と、集電極に接触する分極性電極とを含む。このように構成すれば、電源に接続される集電極に接触する分極性電極が有する分極性により、容易に、生体中のイオンを収集媒体に収集することができるので、イオンの移動に伴って、容易に、分析物を生体から抽出することができる。
【0035】
この場合、集電極は、金属により形成されるのが好ましい。
【0036】
上記電極が分極性電極を含む構成において、好ましくは、分極性電極は、比表面積が100m/g以上5000m/g以下の物質により形成されている。このように構成すれば、比表面積が100m/g以上の物質を分極性電極に用いることにより、電極反応電位以下の電圧で十分な電流を得ることができるので、電源が発生するエネルギーを小さくすることができる。これにより、被験者が感じる痛みをより軽減することができる。また、比表面積が5000m/g以下の物質を分極性電極に用いることによって、物質の表面に形成された複数の細孔の形状を複雑化することにより物質の比表面積を増大させた場合に、細孔の形状が複雑になりすぎて電流の細孔内部への到達が困難になるという不都合が発生するのを抑制することができる。これにより、物質の有する理論上の比表面積に対して、実質的な比表面積が減少するのを抑制することができる。
【0037】
上記第5の局面による分析物抽出装置において、収集媒体は、非導電性物質であるのが好ましい。
【0038】
この発明の第6の局面による分析物抽出装置は、生体から分析物を抽出する分析物抽出装置であって、電源と、電源に接続される第1電極および第2電極と、生体から抽出される分析物を収集する収集媒体とを備え、第1電極および第2電極の少なくとも一方は、活性炭により形成される部材を含む。
【0039】
この第6の局面による分析物抽出装置では、上記のように、第1電極および第2電極の少なくとも一方は、活性炭により形成される部材を含むことにより、活性炭の比表面積は従来用いられていた電極の比表面積より大きいので、電極反応電位以下の電圧で十分な電流を得ることができる。従って、分析物を効率よく抽出でき、電源が発生するエネルギーを小さくすることができる。これにより、被験者が感じる痛みをより軽減することができる。
【0040】
この場合、好ましくは、活性炭により形成される部材は、100m/g以上5000m/g以下の比表面積を有している。このように構成すれば、比表面積が100m/g以上の物質を活性炭により形成される部材に用いることにより、電極反応電位以下の電圧で十分な電流を得ることができるので、電源が発生するエネルギーを小さくすることができる。これにより、被験者が感じる痛みをより軽減することができる。また、比表面積が5000m/g以下の物質を活性炭により形成される部材に用いることによって、物質の表面に形成された複数の細孔の形状を複雑化することにより物質の比表面積を増大させた場合に、細孔の形状が複雑になりすぎて電流の細孔内部への到達が困難になるという不都合が発生するのを抑制することができる。これにより、物質の有する理論上の比表面積に対して、実質的な比表面積が減少するのを抑制することができる。
【0041】
この発明の第7の局面による分析物抽出装置は、生体から分析物を抽出する分析物抽出装置であって、電源と、電源に接続される第1電極および第2電極と、生体から抽出される分析物を収集する収集媒体とを備え、第1電極および第2電極の少なくとも一方は、100m/g以上5000m/g以下の比表面積を有する部材を含む。
【0042】
この第7の局面による分析物抽出装置では、上記のように、比表面積が100m/g以上の物質を第1電極および第2電極の少なくとも一方に用いることにより、電極反応電位以下の電圧で十分な電流を得ることができるので、電源が発生するエネルギーを小さくすることができる。これにより、被験者が感じる痛みをより軽減することができる。また、比表面積が5000m/g以下の物質を第1電極および第2電極の少なくとも一方に用いることによって、物質の表面に形成された複数の細孔の形状を複雑化することにより物質の比表面積を増大させた場合に、細孔の形状が複雑になりすぎて電流の細孔内部への到達が困難になるという不都合が発生するのを抑制することができる。これにより、物質の有する理論上の比表面積に対して、実質的な比表面積が減少するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施形態による血糖値測定装置を被験者の手首に装着した状態を示した斜視図である。図2〜図5は、図1に示した一実施形態による血糖値測定装置の内部構造を示した平面図である。図6は、本発明の一実施形態による血糖値測定装置を被験者の手首に装着した状態を示した図5に対応する断面図である。図7は、図2に示した一実施形態による血糖値測定装置の抽出カートリッジの構造を示した平面図である。図8は、図7に示した一実施形態による血糖値測定装置の抽出カートリッジにおける紙片と純水供給路との接点部分を示した図である。図9は、図1に示した一実施形態による血糖値測定装置の検知部の構成を示した概略図である。図10は、前処理に用いるマイクロニードルを示した斜視図であり、図11は、図10に示したマイクロニードルによる前処理が施された皮膚の状態を示した断面図である。まず、図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態による血糖値測定装置100の全体構成について説明する。
【0045】
本発明の一実施形態による血糖値測定装置100は、生体から生化学成分の一つであるグルコースを含む組織液を抽出するとともに、抽出された組織液に含まれるグルコースを分析することにより血糖値を算出する装置である。この血糖値測定装置100は、図1に示すように、バンド部材110を用いて被験者の手首120に装着することが可能なように構成されている。バンド部材110には、所定の位置に開口を有し、血糖値測定装置100を固定するための固定具(図示せず)が取り付けられている。被験者は、血糖値測定装置100が取り付けられていないバンド部材110を手首120に装着した状態で、固定具の開口を介して、手首120の抽出部位にニードルローラ130(図10参照)を用いて前処理を施し、その後、固定具に血糖値測定装置100を取り付ける。
【0046】
ニードルローラ130は、図10に示すように、アーム131と、アーム131に回転可能に支持される複数のローラ132とにより構成されている。このローラ132の外周面には、所定の間隔を隔てて複数の微小な針133が形成されている。この針133は、皮膚に押し当てられたときに、皮下組織まで達することはないが、皮膚の角質層を含む表皮を貫通可能な程度の突出量(約0.3mm)を有している。このニードルローラ130を用いて前処理、すなわち、針133を抽出部位に押し当てる処理を行うことによって、図11に示すように、皮膚の表皮を貫通して真皮に達するとともに、皮下組織にまでは達しない微細な抽出孔121が形成される。本実施形態では、抽出孔121を形成することによって、容易に、複数の抽出孔121を介して生体からグルコースを含む組織液を抽出することができる。したがって、血糖値測定装置100を用いて生体からグルコースを抽出する際に、被験者が感じる痛みを軽減することが可能となる。なお、本実施形態では、ニードルローラ130として、Top−Rol社製のダーマローラを使用している。
【0047】
血糖値測定装置100は、図2および図3に示すように、装置本体としての分析ユニット10と、分析ユニット10に着脱可能に保持される抽出カートリッジ20とを備えている。分析ユニット10は、制御部11と、表示部12(図1参照)と、シリンジ13と、測定開始スイッチ14と、直流方式の定電圧電源15と、定電圧電源15から流される電流を測定し、その測定結果を制御部11に出力する電流計15aと、2つの係合フック16とを含んでいる。また、分析ユニット10には、図9に示した検知部30を構成する単色光源31、レンズ32、レンズ33および受光素子34が設けられている。受光素子34は、受光した光量に基づく信号を出力する。
【0048】
制御部11は、受光素子34(図9参照)から出力される信号に基づいてグルコースの抽出速度(単位時間当たりの抽出量)を算出するとともに、算出されたグルコースの抽出速度と、グルコースの抽出時に定電圧電源15から流れる電流の大きさの平均値(平均抽出電流値)とに基づいて血糖値を算出する機能を有している。また、表示部12(図1参照)は、制御部11により算出されたグルコースの抽出速度および血糖値を表示するために設けられている。
【0049】
シリンジ13は、グルコースの収集媒体としての純水を収容するとともに、純水を抽出カートリッジ20に供給するために設けられている。このシリンジ13には、図2に示すように、シリンジ13を抽出カートリッジ20と連結させる配管13aが取り付けられている。また、測定開始スイッチ14は、シリンジ13と接続されている。本実施形態の血糖値測定装置100では、この測定開始スイッチ14を押すことによりシリンジ13を駆動させて、シリンジ13内の純水を抽出カートリッジ20に供給するように構成されている。なお、本実施形態で使用する純水は、18.3MΩ・cmの電気抵抗率(比抵抗)を有しており、実質的に絶縁体(非導電性物質)である。
【0050】
また、定電圧電源15は、図3および図5に示すように、抽出カートリッジ20の陽極60aの端子部63aと陰極60bの端子部63bとに接続されている。この定電圧電源15から被験者の皮膚に電場を付与するための電圧が陽極60aおよび陰極60bの間に印加される。また、2つの係合フック16は、図2および図4に示すように、抽出カートリッジ20を分析ユニット10に着脱可能に固定するために設けられている。また、分析ユニット10に設けられた検知部30を構成する単色光源31は、図9に示すように、レンズ32を介して、後述するセンサ部材70に分析用の光を照射する機能を有している。単色光源31からレンズ32を介してセンサ部材70を照射した光は、センサ部材70内の所定の経路を通過し、レンズ33を介して受光素子34に入射する。
【0051】
また、抽出カートリッジ20は、図2および図4に示すように、抽出カートリッジ20に形成された2つの取付孔21に上記した分析ユニット10の係合フック16を各々係合させることによって分析ユニット10に着脱可能に固定されている。この抽出カートリッジ20は、グルコースの測定毎に交換して使用することが可能なように構成されている。
【0052】
ここで、本実施形態では、抽出カートリッジ20は、図5および図7に示すように、アクリル製の樹脂からなるカートリッジ本体40と、純水を吸収して保持する吸収媒体として機能する1枚の紙片50と、陽極60aおよび陰極60bと、検知部30(図9参照)を構成するセンサ部材70と、両面テープ80とを含んでいる。カートリッジ本体40には、図7に示すように、十字型の凹状の段差部41が設けられている。また、段差部41の中央部には、図5に示すように、カートリッジ本体40の下面まで達する本体側開口部42が形成されている。また、段差部41の本体側開口部42を挟んで対向する位置には、それぞれ、凹部41aが形成されている。この2つの凹部41aには、後述する陽極60aおよび陰極60bの端子部63aおよび63bが各々嵌め込まれている。本体側開口部42の内部には、紙片50と、センサ部材70と、後述する作用部64aおよび64bと、活性炭電極62aおよび62bとが保持されている。
【0053】
また、カートリッジ本体40には、図7に示すように、本体側開口部42の内部からカートリッジ本体40の長手方向に沿って延びる純水供給路43が設けられている。純水供給路43は、図2に示すように、純水供給路43の端部に設けられた連結孔44および分析ユニット10の配管13aを介して、分析ユニット10のシリンジ13に接続されている。
【0054】
また、本実施形態では、図5に示すように、1枚の紙片50は、後述する活性炭電極62aおよび62bの下面に接触する。また、紙片50は、約0.15mmの厚みを有する両面テープ80により、カートリッジ本体40の下面側から固定されている。この両面テープ80は、皮膚の測定箇所(抽出部位)を規定する開口部80aを有する。この紙片50は、図7に示すように、カートリッジ本体40の純水供給路43の端部と接合する接合部50aを有している。この紙片50の接合部50aは、図8に示すように、L字状に折り曲げられており、紙片50の接合部50aの垂直部分に純水供給路43から純水が供給される。紙片50の接合部50aに供給された純水は、毛細管現象により短時間で紙片50全体に浸透する。紙片50は、測定前には乾燥した状態で保持されており、図5に示すように、センサ部材70には接触しないように本体側開口部42内に配置されている。また、紙片50は、測定時にはシリンジ13(図2参照)から供給された純水を含んだ状態になる。これによって、純水は、紙片50に吸収された状態で、本体側開口部42の内部に保持される。また、紙片50は、図6に示すように、測定時には両面テープ80の開口部80aを介して被験者の手首120の皮膚により上方に向けて押し上げられることにより、センサ部材70の下面に接触するように構成されている。本実施形態において使用される紙片50は、ポリプロピレンおよびレーヨンを、それぞれ、60%および40%ずつ含有し、約0.15mmの厚みを有している。したがって、測定時において被験者の手首120の皮膚からセンサ部材70の下面までの距離は、紙片50の厚みとほぼ一致し、本実施形態では、約0.15mmである。また、シリンジ13から紙片50に供給する純水の量は、約10μlである。
【0055】
陽極60aおよび陰極60bは、図5および図7に示すように、それぞれ、アルミニウムからなる集電極61aおよび61bと、多孔質導電物質としての活性炭からなる活性炭電極62aおよび62bとにより構成されている。集電極61aおよび61bは、カートリッジ本体40の段差部41に形成された2つの凹部41aに各々嵌め込まれた円形状の端子部63aおよび63bと、端子部63aおよび63bに各々接続された作用部64aおよび64bとにより構成されている。また、活性炭電極62aおよび62bは、集電極61aおよび61bの作用部64aおよび64bの下方に各々貼り付けられており、約1000m/g〜約3000m/gの比表面積を有している。陽極60aの端子部63aおよび陰極60bの端子部63bは、分析ユニット10に設けられた直流方式の定電圧電源15に接続されている。
【0056】
また、センサ部材70は、図5に示すように、陽極60aの作用部64aおよび陰極60bの作用部64bの上方に配置されている。このセンサ部材70は、下面側に計測面70aを有している。この計測面70aには、グルコースに対する触媒となる酵素(グルコースオキシターゼ)と、過酸化水素(H)に対する触媒となる酵素(ペルオキシターゼ)と、活性酸素と反応して発色する発色色素とが塗布されている。なお、発色色素としては、たとえば、N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−サルフォプロピル)トリジンジカリウム塩、および、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジリデンなどを用いることができる。また、センサ部材70は、図9に示すように、ガラス製の基板71と、基板71の下方に取り付けられた第1光導波路層72と、第1光導波路層72の下方の中央部に取り付けられた第2光導波路層73と、第2光導波路層73を挟むように第1光導波路層72の下方に形成された保護膜74と、保護膜74の外側を覆う遮光層75とにより構成されている。第1光導波路層72は、基板71より高い屈折率を有している。また、第2光導波路層73は、側方が傾斜した台形状を有するとともに、第1光導波路層72より高い屈折率を有している。センサ部材70の計測面70aは、第2光導波路層73のうちの保護膜74から露出した部分であり、図6に示すように、測定時には紙片50の上面と接触する。このセンサ部材70と、上記した分析ユニット10の単色光源31、レンズ32、レンズ33および受光素子34とにより、本実施形態の検知部30が構成されている。
【0057】
図12は、図1に示した一実施形態による血糖値測定装置を使用した血糖値測定の動作手順を示したフローチャートである。図13〜図17は、図1に示した一実施形態による血糖値測定装置を用いたグルコースの抽出原理を説明するための模式図である。図18は、グルコースを抽出する際における平均抽出電流値とグルコース透過率との関係を示した分布図である。次に、図1〜図3、図6および図9〜図18を参照して、本発明の一実施形態による血糖値測定装置100を用いた血糖値測定の動作手順を説明する。
【0058】
まず、図12に示したステップS1において、被験者の手首120にバンド部材110(図1参照)を装着する。このとき、測定箇所(抽出部位)がバンド部材110の固定具の開口(図示せず)内に位置するようにバンド部材110を装着する。
【0059】
そして、図12のステップS2において、ニードルローラ130(図10参照)を用いて前処理を行う。具体的には、針133を皮膚の抽出部位に押し当てることによって、図11に示したような複数の微細な抽出孔121を形成する。このニードルローラ130を用いた前処理により形成された皮膚の抽出孔121には、図13に示すように、皮膚の真皮中にもともと溜まっていたグルコースを含む組織液が徐々に滲み出してくる。
【0060】
そして、図12のステップS3において、血糖値測定装置100をバンド部材110の固定具に取り付ける。これによって、図1に示したように、血糖値測定装置100が被験者の手首に装着される。また、図6に示したように、抽出カートリッジ20の下面側が被験者の皮膚に接触する。この際、手首120の測定箇所(抽出部位)の皮膚がバンド部材110(図1参照)の締め付けにより盛り上がることによって、紙片50の中央部も上方向に移動してセンサ部材70の下面(計測面70a)に接触した状態になる。
【0061】
そして、図12のステップS4において、図2に示した血糖値測定装置100の測定開始スイッチ14を押すことによって、シリンジ13内に収容されている純水を配管13aおよび純水供給路43を介して抽出カートリッジ20の紙片50の接合部50aに供給する。これにより、紙片50が毛細管現象により短時間のうちに純水を含んだ状態になる。
【0062】
このとき、図14に示すように、紙片50に含まれる純水が皮膚に形成された抽出孔121の内部に侵入する。そして、図15の矢印で示すように、皮膚の抽出孔121に滲み出た組織液と紙片50からの純水とが混ざり合うことにより、抽出孔121内部の組織液が紙片50に保持された純水中に拡散する。これにより、抽出孔121の内部の浸透圧が皮膚の真皮の浸透圧に比べて低くなるので、再び、真皮から組織液が抽出孔121に滲み出す。その結果、抽出カートリッジ20の陽極60aおよび陰極60b(図6参照)に定電圧電源15から電圧を印加する前に、皮膚に形成された抽出孔121を介して滲み出た組織液が紙片50に保持された純水中にある程度拡散された状態になる。
【0063】
そして、図12のステップS5において、図6に示した定電圧電源15により0.5V以上1.0V以下の定電圧を陽極60aおよび陰極60bの間に約3分間印加する。これにより、図16の矢印で示すように、抽出孔121に存在する電荷を帯びたイオン成分が陽極60aおよび陰極60b(図6参照)に向かって積極的に移動する。その結果、検知部30(図9参照)により検知可能な量のグルコースが、イオン成分の移動に伴って、生体から紙片50に保持された純水中に収集される。また、この際、定電圧電源15から陽極60aに流れる電流の大きさ(電流値)が電流計15aにより測定され、測定された電流値が制御部11に出力される。制御部11は、定電圧電源15が定電圧を印加した期間(すなわち、約3分間)に電流計によって測定された電流値の平均値(平均抽出電流値)を算出する。
【0064】
ここで、図17を参照して、生体からのグルコース抽出のメカニズムについて説明する。定電圧電源15により陽極60aおよび陰極60bの間に電圧が印加されると、すなわち、定電圧電源15が生体に電場を付与すると、陽極60a側の集電極61aは、正(+)の電荷を帯びるとともに、陰極60b側の集電極61bは、負(−)の電荷を帯びる。陽極60aの集電極61aおよび陰極60bの集電極61bの下方に各々貼り付けられた活性炭電極62aおよび62bは、分極性を有している。このため、陽極60a側の活性炭電極62a内の下部は、正(+)に帯電し、陰極60b側の活性炭電極62b内の下部は、負(−)に帯電する。これにより、ニードルローラ130(図10参照)を用いた前処理により皮膚に形成された微細な抽出孔121に滲み出た組織液に含まれるナトリウムイオン(Na)および塩化物イオン(Cl)が、電場の存在下で、それぞれ、陰極60b側の活性炭電極62bおよび陽極60a側の活性炭電極62aに向かって紙片50の純水中を移動する。このナトリウムイオン(Na)および塩化物イオン(Cl)の活性炭電極62bおよび62aへの移動に伴って、グルコースなどの生化学成分が収集媒体(本実施形態では、紙片50に吸収された純水)中に移動してくる。そして、グルコースなどの生化学成分は、紙片50に保持された純水中を移動して、センサ部材70の計測面70aに到達する。
【0065】
次に、図12に示したステップS6において、紙片50に吸収された純水に抽出されたグルコースの抽出速度(単位時間当たりの抽出量)を測定する。
【0066】
具体的には、計測面70aに到達したグルコースは、グルコースオキシターゼを触媒として反応し、その結果生成される過酸化水素(H)がさらにペルオキシターゼを触媒として反応する。その結果、活性酸素が生成される。計測面70aに塗布されている発色色素は、活性酸素と反応して発色する。したがって、発色色素は、生体から抽出されたグルコースの量に応じた強度で発色することになる。
【0067】
一方、純水を含んだ紙片50(図6参照)に接触しているセンサ部材70の第2光導波路層73内を全反射しながら通過する光の強度は、生体から抽出されたグルコースの量に応じて発色する発色色素の光の強度によって変化する。
【0068】
この結果、受光素子34には、計測面70aに到達したグルコースの量に応じた強度の光が入射し、入射した光の強度に応じた信号が出力される。そして、受光素子34から出力される信号に基づいて、制御部11によりグルコース抽出量が算出される。制御部11は、得られたグルコース抽出量を、定電圧電源15が電圧を印加した時間(すなわち、約3分間)で割ることによって、グルコース抽出速度を算出する。
【0069】
そして、図12のステップS7において、制御部11により、ステップS5で算出した平均抽出電流値と、ステップS6で算出したグルコース抽出速度とに基づいて、以下の式(1)の解析法により血糖値が算出される。なお、以下の式(1)で算出される値は、体内の組織液に含まれるグルコースの濃度であるが、組織液に含まれるグルコースの濃度と血液に含まれるグルコースの濃度(すなわち血糖値)とは、ほとんど等しいため、本実施形態では、式(1)の算出結果を血糖値としている。
【0070】
BG = C/P
= C/(A×I+B) ・・・(1)
なお、上記式(1)において、「BG」は、算出血糖値を表し、「C」は、ステップS6でセンサ部材70を用いて得られるグルコースの抽出速度を表し、「P」は、抽出部位のグルコース透過率(グルコースの通しやすさ)を表し、「I」は、ステップS5で電流計15aにより測定され、制御部11によって算出された平均抽出電流値を表している。また、「A」および「B」は、予め設定された定数である。また、上記式(1)は、予め制御部11に記憶されているとともに、血糖値の測定が行われる度に、上記式(1)が読み出されて血糖値が算出される。この後、算出された血糖値が、グルコース抽出速度とともに表示部12(図1参照)に表示される。
【0071】
そして、図11のステップS8において、バンド部材110の固定具から血糖値測定装置100を取り外す。その後、ステップS9において、被験者の手首120からバンド部材110を取り外す。これにより、血糖値測定装置100を用いた血糖値測定が終了する。
【0072】
ここで、上記式(1)の定数「A」および「B」は、以下のように求められる。すなわち、まず、血糖値が正常範囲内である複数の被験者について、血糖値測定装置100を用いて、上記した図12のステップS1からステップS6までの動作を複数回ずつ行うことによって、グルコース抽出速度Cと、平均抽出電流値Iとを複数取得する。さらに、血糖値が正常範囲内である複数の被験者について、血糖値測定装置100以外の血糖値測定装置(たとえば、ニプロフリースタイル:ニプロ株式会社製)による血糖値測定を複数回ずつ行うことによって、血糖値Dを複数取得する。
【0073】
次に、上記のように取得したグルコース抽出速度Cおよび血糖値Dを用いて、以下の式(2)によりグルコース透過率Pを算出する。
【0074】
P=C/D ・・・(2)
そして、図18に示すように、平均抽出電流値Iを横軸とするとともに、グルコース透過率Pを縦軸とする座標上に、平均抽出電流値Iおよびグルコース透過率Pからなる複数の座標データ(I、P)をプロットすることによって、複数の座標データ(I、P)を含む分布図を作成する。この分布図から、平均抽出電流値Iとグルコース透過率Pとは、比例関係にあることが分かる。この後、この分布図上に、平均抽出電流値Iとグルコース透過率Pとの関係を示す直線Lを描くとともに、その直線Lを表す式(P=A×I+B)を求める。そして、直線Lを表す式(P=A×I+B)の「A」および「B」が、それぞれ、上記式(1)の定数「A」および「B」となる。このようにして、上記式(1)の定数「A」および「B」が求められる。
【0075】
本実施形態では、上記のように、定電圧電源15に接続される陽極60aおよび陰極60bと接触するとともに、生体から抽出されるグルコースを収集する1枚の純水を含んだ紙片50を抽出カートリッジ20に設けることによって、陽極60aおよび陰極60bに向かって移動するグルコースを1枚の紙片50に吸収して保持された純水中に収集することができるので、分析物を効率良く収集することができる。したがって、被験者が痛みを感じるような大きさの電流を生体に流さなくても被験者から分析に必要な量の分析物を所定時間内に抽出することができる。
【0076】
また、本実施形態では、上記のように、生体から抽出されるグルコースを収集する1枚の純水を含んだ紙片50を抽出カートリッジ20に設けることによって、被験者のグルコースの抽出部位の面積を減少させることができる。これにより、抽出部位に対して行われる前処理の面積を減少させることができるので、前処理による被験者の負担を軽減することができる。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、生体から抽出されるグルコースを収集する1枚の純水を含んだ紙片50と、その純水を含んだ紙片50に抽出されたグルコースを分析する制御部11とを設けることによって、生体から1枚の純水を含んだ紙片50にグルコースを抽出するとともに、制御部11によりそのグルコースを分析することができるので、血糖値などの生体情報を直接的に測定することができる。これにより、指先に光を照射して得られる光学的情報を利用して血糖値を間接的に測定する場合と異なり、高い精度で血糖値などの生体情報の測定を行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、それぞれ非導電物質である純水を含ませた紙片50を介して生体に電場を与える定電圧電源15と、定電圧電源15によって付与された電場の存在下で生体から抽出される分析物を収集する紙片50とを設けることによって、定電圧電源15と生体内部とを循環する電流回路が形成されることなく分析物が生体から抽出されるので、生体内を流れる電流の大きさは非常に小さい。したがって、被験者が感じる痛みを軽減することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、制御部11を、電流計15aによって測定される電流値を解析して得られる平均抽出電流値Iと、検知部30から出力される信号を解析して得られるグルコース抽出速度Cとに基づいて血糖値BGを算出することが可能なように構成することによって、被験者に対して採血などを行うことなく、血糖値を取得することができる。
【0080】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0081】
たとえば、上記実施形態では、本発明を、生体からグルコースを抽出するとともに、抽出されたグルコースを分析することにより血糖値を測定する血糖値測定装置に適用する例について説明したが、本発明はこれに限らず、本発明を、生体からのグルコースの抽出のみを行うグルコース抽出装置に適用してもよい。すなわち、本発明を、上記実施形態の血糖値測定装置から検知部を削除した構造のグルコース抽出装置に適用してもよい。この場合、使用者は、純水に抽出されたグルコースをグルコース抽出装置から他の分析装置に分注した後、他の分析装置においてグルコースの分析を行うとともに、血糖値を算出する。
【0082】
また、上記実施形態では、センサ部材の計測面に、グルコースに反応する酵素としてグルコースオキシターゼを塗布する例について説明したが、本発明はこれに限らず、センサ部材の計測面に、グルコースに反応する酵素としてグルコースオキシターゼ以外のピラノースオキシターゼ、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼおよびグルコース脱水素酵素などの酵素を塗布してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、多孔質導電物質として、約1000m/g〜約3000m/gの比表面積を有する活性炭からなる活性炭電極をアルミニウムからなる集電極に貼り付ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、多孔質導電性物質として、セルロース誘導体による約500m/g〜約800m/gの比表面積を有する発泡炭素や、約200m/g〜約400m/gの比表面積を有するドープ型ポリマー(ポリアニリン)からなる電極をアルミニウムからなる集電極に貼り付けてもよい。また、活性炭などの多孔質導電物質を用いずに、AgやAgClからなる電極をアルミニウムからなる集電極に貼り付けてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、グルコースを検知するセンサ部材として、光学センサを用いたが、本発明はこれに限らず、グルコースを検知するセンサ部材として、国際特許第96/00110号に記載のセンサ電極アセンブリなどの電気的なセンサを用いてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、センサ部材が、抽出カートリッジに組み込まれている例について示したが、本発明はこれに限らず、センサ部材が、抽出カートリッジとは別体の装置本体(分析ユニット)に取り付けられていてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、吸収部材としてシート状の紙片を用いる例について説明したが、本発明はこれに限らず、吸収部材として紙片以外の網目構造を有するシート(メッシュシート)状のナイロンなどを用いてもよいし、シート状でない紙片やナイロンなどを用いてもよい。また、ポリアクリル酸などからなる非導電性のゲルを板状部材に貼り付けた収集媒体を用いてもよい。また、非導電性の収集媒体に代えて、塩化ナトリウム水溶液などの導電性の収集媒体を用いてもよい。なお、導電性の収集媒体を使用した場合には、グルコースの抽出に寄与しないレシーバチャンバ(保持部)内を流れる電流が増加する。これにより、非導電性の収集媒体を用いた方が、より小さい電流での分析物抽出が可能となるので、好ましい。また、電極と皮膚とを近づける観点から、吸収部材はシート状であることが好ましい。電極と皮膚とを近づけることによって、分析物の抽出速度を増加させることができる。
【0087】
また、本発明の一実施形態の変形例として、図19および図20に示すように、紙片50を省略し、本体側開口部42内に直接純水を供給してもよい。この変形例では、センサ部材170と、陽極160aおよび陰極160bと、カートリッジ本体140に設けられた開口部141とにより形成される領域が、純水を保持するレシーバチャンバ(保持部)として機能するように構成されている。また、レシーバチャンバ(保持部)には、図19に示すように、装置外部に接続された排出路142が設けられている。本実施形態の変形例による収集媒体としての純水は、1つの連続体としてレシーバチャンバ(保持部)内に保持されている。また、この変形例では、血糖値測定装置100を被験者の手首120に装着した際に、被験者の手首120の皮膚と、センサ部材170の下面との間の距離D1(図20参照)は、約0.3mm〜約1mmとなるように設定されている。なお、距離D1を0.3mmより小さく設定した場合には、陽極160aまたは陰極160bが被験者の手首120の皮膚に接触する可能性があるので、被験者が大きな痛みを感じる場合がある。このため、距離D1は、0.3mm以上に設定するのが好ましい。
【0088】
なお、図21に示すように、本発明の一実施形態によるグルコースの収集媒体および収集媒体の吸収部材としてそれぞれ純水および紙片50を用いた場合(図2および図3参照)には、本発明の一実施形態の変形例のように紙片50を省略した場合(図19および図20参照)と比べて、陽極および陰極に流れる電流の大きさに対するグルコースの抽出速度が増加する。これは、本発明の一実施形態における被験者の手首120の皮膚と、センサ部材70の下面との間の距離(約0.15mm)が、本発明の一実施形態の変形例における被験者の手首120の皮膚と、センサ部材170の下面との間の距離(約0.3mm〜約1mm)に比べて小さいからであると考えられる。これにより、グルコースの収集媒体および収集媒体の吸収部材としてそれぞれ純水および紙片50を用いた場合には、所定の量のグルコースを抽出するためにより小さな電流で足りるので、被験者が感じる痛みがより小さくなる。このため、グルコースの収集媒体および収集媒体の吸収部材としては、本発明の一実施形態のようにそれぞれ純水および紙片50を用いるのがより好ましい。
【0089】
また、上記実施形態では、測定直前に分析ユニットのシリンジから抽出カートリッジの紙片に純水を供給する例について示したが、本発明はこれに限らず、純水と紙片とを分離部材などを用いて接触しない状態で抽出カートリッジ内に予め格納しておき、測定直前に、分離部材を取り除くことによって、純水を紙片に供給してもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、直流方式の定電圧電源を使用して陽極および陰極に電圧を印加する例について説明したが、本発明はこれに限らず、交流方式の定電圧電源を使用して陽極および陰極に電圧を印加するようにしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、血糖値測定装置による血糖値の測定前に、被験者の皮膚にニードルローラを用いて前処理を行う例について説明したが、本発明はこれに限らず、被験者の皮膚にニードルローラによる前処理を行わずに血糖値測定装置による血糖値の測定を行ってもよい。ただし、被験者の皮膚にニードルローラによる前処理を行った方が、血糖値測定装置による血糖値の測定の際に、抽出される分析物の量が増加するとともに、安定するので、より好ましい。また、ニードルローラによる前処理を行った方が、低い電圧で分析物を抽出でき、被験者が感じる痛みが軽減するので、より好ましい。
【0092】
また、上記実施形態では、本発明を、生体からグルコースを抽出して血糖値を算出する血糖値測定装置に適用する例について説明したが、本発明はこれに限らず、生体からグルコース以外の他の分析物を抽出する分析物抽出装置に本発明を適用してもよい。本発明を適用可能な分析物抽出装置が抽出する分析物としては、たとえば、生化学成分や被験者に投与された薬剤などが挙げられる。生化学成分としては、生化学成分の一種であるたんぱく質の、アルブミン、グロブリンおよび酵素などが挙げられる。また、たんぱく質以外の生化学成分として、クレアチニン、クレアチン、尿酸、アミノ酸、フルクトース、ガラクトース、ペントース、グリコーゲン、乳酸、ピルビン酸およびケトン体などが挙げられる。また、薬剤としては、ジギタリス製剤、テオフィリン、不整脈用剤、抗てんかん剤、アミノ酸糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質、抗血栓剤および免疫抑制剤などが挙げられる。
【0093】
また、上記実施形態の血糖値測定装置において、または、生体からグルコース以外の他の分析物を抽出する分析物抽出装置に本発明を適用した場合において、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)法等の他の測定法を用いてたんぱく質またはたんぱく質以外の生化学成分および薬剤を分析するように検知部および制御部を構成してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、式(1)の算出結果を血糖値としたが、本発明はこれに限らず、式(1)以外の所定の式を用いて血糖値を算出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態による血糖値測定装置を被験者の手首に装着した状態を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による血糖値測定装置の内部構造を示した平面図である。
【図3】図2中の200−200線に沿った断面図である。
【図4】図2中の300−300線に沿った断面図である。
【図5】図3に示した一実施形態による血糖値測定装置を部分的に示した拡大図である。
【図6】図5に示した一実施形態による血糖値測定装置を被験者の手首に装着した状態を示した拡大図である。
【図7】図2に示した一実施形態による血糖値測定装置の抽出カートリッジの構造を示した平面図である。
【図8】図7に示した一実施形態による血糖値測定装置の抽出カートリッジにおける紙片と純水供給路との接点部分を示した図である。
【図9】図1に示した一実施形態による血糖値測定装置の検知部の構成を示した概略図である。
【図10】前処理に用いるマイクロニードルを示した斜視図である。
【図11】図10に示したマイクロニードルによる前処理が施された皮膚の状態を示した断面図である。
【図12】図1に示した一実施形態による血糖値測定装置を使用した血糖値測定の動作手順を示したフローチャートである。
【図13】図1に示した一実施形態による血糖値測定装置を用いたグルコースの抽出原理を説明するための模式図である。
【図14】図1に示した一実施形態による血糖値測定装置を用いたグルコースの抽出原理を説明するための模式図である。
【図15】図1に示した一実施形態による血糖値測定装置を用いたグルコースの抽出原理を説明するための模式図である。
【図16】図1に示した一実施形態による血糖値測定装置を用いたグルコースの抽出原理を説明するための模式図である。
【図17】図1に示した一実施形態による血糖値測定装置を用いたグルコースの抽出原理を説明するための模式図である。
【図18】グルコースを抽出する際における平均抽出電流値とグルコース透過率との関係を示した分布図である。
【図19】本発明の一実施形態の変形例による血糖値測定装置の内部構造を示した平面図である。
【図20】図13中の400−400線に沿った断面図である。
【図21】収集媒体として純水を含んだ紙を用いた場合と、収集媒体として純水のみを用いた場合とにおいて、電流とグルコース抽出速度との関係を示した相関図である。
【符号の説明】
【0096】
10 分析ユニット(装置本体)
11 制御部
13 シリンジ(収集媒体収容部、収容部)
15 定電圧電源(電源)
15a 電流計(電流値取得部)
20 抽出カートリッジ
31 単色光源(光源)
34 受光素子(光検知器)
43 純水供給路(流路)
50 紙片(紙、メッシュ、吸収部材、保持部)
60a、160a 陽極(第1電極)
60b、160b 陰極(第2電極)
61a、61b 集電極
62a、62b 活性炭電極(分極性電極)
70、170 センサ部材(検知部、分析物センサ)
100 血糖値測定装置(分析装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体から分析物を抽出する分析物抽出装置であって、
電源と、
前記電源に接続される第1電極および第2電極と、
前記生体から抽出される分析物を収集する収集媒体を、前記第1電極および前記第2電極の両方に接触した状態で保持するための保持部とを備えた、分析物抽出装置。
【請求項2】
前記収集媒体は、非導電性物質である、請求項1に記載の分析物抽出装置。
【請求項3】
前記収集媒体は、前記生体から抽出されるイオンがその中を移動可能な非導電性物質からなる、請求項1または2に記載の分析物抽出装置。
【請求項4】
前記収集媒体は、非導電性の液体、または、非導電性のゲルである、請求項2または3に記載の分析物抽出装置。
【請求項5】
前記収集媒体は、純水である、請求項4に記載の分析物抽出装置。
【請求項6】
前記収集媒体は、非導電性の液体であり、
前記液体を吸収して保持するための吸収部材をさらに備える、請求項2または3に記載の分析物抽出装置。
【請求項7】
前記吸収部材は紙またはメッシュシートである、請求項6に記載の分析物抽出装置。
【請求項8】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一部は、比表面積が100m/g以上5000m/g以下の物質により形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析物抽出装置。
【請求項9】
前記第1電極は、陽極を含み、
前記第2電極は、陰極を含み、
前記保持部は、前記陽極、前記陰極および前記収集媒体を保持する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析物抽出装置。
【請求項10】
前記陽極および前記陰極は、所定の間隔を隔てて互いに対向するように前記保持部に配置されている、請求項9に記載の分析物抽出装置。
【請求項11】
前記陽極および前記陰極は、前記収集媒体が皮膚に接触する際に、前記皮膚に接触しないように前記保持部に配置されている、請求項9または10に記載の分析物抽出装置。
【請求項12】
前記収集媒体を収容するための収集媒体収容部と、
前記収集媒体収容部と前記保持部とを接続するとともに、前記収集媒体を前記収集媒体収容部から前記保持部に移送するための流路とをさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の分析物抽出装置。
【請求項13】
前記収集媒体は、純水であり、
前記純水を吸収して保持するための吸収部材をさらに含み、
前記吸収部材は、前記保持部によって保持されている、請求項12に記載の分析物抽出装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の分析物抽出装置と、
前記分析物抽出装置の収集媒体に収集された分析物を検知するための検知部と、
少なくとも前記検知部から得られる情報に基づいて、前記収集媒体に抽出された前記分析物を分析する制御部とを備えた、分析装置。
【請求項15】
前記分析物抽出装置の電源と、前記制御部とを含む装置本体と、
前記装置本体に着脱可能に構成されるとともに、前記分析物抽出装置の第1電極および第2電極と、前記分析物抽出装置の保持部とを含む抽出カートリッジとを備えた、請求項14に記載の分析装置。
【請求項16】
前記検知部は、
光源と、
前記装置本体と前記抽出カートリッジとが接続された状態で前記収集媒体に接触するとともに、前記光源からの光が照射される分析物センサと、
前記光源から前記分析物センサを介して照射される光を検知する光検知器とを含み、
前記光源および前記光検知器は、前記装置本体に設けられており、
前記分析物センサは、前記抽出カートリッジに設けられている、請求項15に記載の分析装置。
【請求項17】
前記分析物は、グルコースを含み、
前記制御部は、前記収集媒体に抽出される前記グルコースを分析して血糖値を取得する、請求項14〜16のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項18】
前記分析物抽出装置の電源から前記分析物抽出装置の第1電極に流れる電流の電流値を取得する電流値取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記検知部から得られる情報と、前記電流値取得部から得られる電流値とに基づいて、被験者の体内の組織液に含まれる成分の濃度を取得する、請求項14〜17のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項19】
生体から分析物を抽出する分析物抽出方法であって、
第1電極および第2電極の両方と接触するとともに、前記生体から抽出される分析物を収集するための収集媒体を皮膚に接触させるステップと、
前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加することによって、前記収集媒体に前記生体から分析物を抽出するステップとを備えた、分析物抽出方法。
【請求項20】
生体から分析物を抽出して分析する分析方法であって、
第1電極および第2電極の両方と接触するとともに、前記生体から抽出される分析物を収集するための収集媒体を皮膚に接触させるステップと、
前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加することによって、前記収集媒体に前記生体から分析物を抽出するステップと、
前記収集媒体に抽出された分析物を分析するステップとを備えた、分析方法。
【請求項21】
生体から分析物を抽出する分析物抽出装置であって、
前記生体に非導電性物質を介して電場を与える電場付与手段と、
前記電場付与手段によって付与された電場の存在下で前記生体から抽出される分析物を収集する収集媒体とを備えた、分析物抽出装置。
【請求項22】
前記電場付与手段は、
電源と、
前記電源に接続される第1電極および第2電極とを含む、請求項21に記載の分析物抽出装置。
【請求項23】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一部は、比表面積が100m/g以上5000m/g以下の物質により形成されている、請求項22に記載の分析物抽出装置。
【請求項24】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、
前記電源に接続される集電極と、
前記集電極に接触する分極性電極とを含む、請求項22または23に記載の分析物抽出装置。
【請求項25】
前記集電極は、金属により形成されている、請求項24に記載の分析物抽出装置。
【請求項26】
前記分極性電極は、比表面積が100m/g以上5000m/g以下の物質により形成されている、請求項24または25に記載の分析物抽出装置。
【請求項27】
前記非導電性物質は、前記収集媒体である、請求項21〜26のいずれか1項に記載の分析物抽出装置。
【請求項28】
生体から分析物を抽出する分析物抽出装置であって、
電源と、
前記電源に接続される第1電極および第2電極と、
前記生体から抽出される分析物を収集する収集媒体とを備え、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、活性炭により形成される部材を含む、分析物抽出装置。
【請求項29】
前記活性炭により形成される部材は、100m/g以上5000m/g以下の比表面積を有している、請求項28に記載の分析物抽出装置。
【請求項30】
生体から分析物を抽出する分析物抽出装置であって、
電源と、
前記電源に接続される第1電極および第2電極と、
前記生体から抽出される分析物を収集する収集媒体とを備え、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、100m/g以上5000m/g以下の比表面積を有する部材を含む、分析物抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−167428(P2006−167428A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100346(P2005−100346)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】