説明

分析装置およびそれに使用する分析デバイス

【課題】 迅速かつ簡便に試料中の微量の被検査物質を正確に測定することが可能な分析装置およびそれに使用する分析デバイスを提供する。
【解決手段】 被検査物質と前記被検査物質に対して特異的な結合性を保有する試薬で標識した不溶性担体からなる凝集試薬との結合反応によって生成した凝集物17を、検出部9のチャンバー底面に固定化させた後、レーザ光などによって走査し、凝集物の量に起因して発生する特異的な光信号の数をカウントする。これによって被検査物質の濃度を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分析装置およびそれに使用する分析デバイスに関し、特に免疫凝集反応を利用して、微小量の試料中の被検査物質を迅速、簡便かつ高精度に測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液体試料中の被検査物質を検出するために、被検査物質に対して特異的に結合することが可能な抗体を利用する方法は従来、数多く考案されている。そのひとつに、抗原抗体反応によって生じた免疫凝集物を光学的に検出する方法がある。
【0003】
この方法では、まず、被検査物質を含む液体試料に被検査物質に特異的に結合することが可能な抗体を一定量加えて、凝集物を形成させる。次に、凝集物に光を照射すると、光は凝集物に当たって散乱する為に、液体試料を透過する光量が変化する。光量の変化は、透過光、反射光、散乱光のいずれかを測定することにより知ることができる。
【0004】
一般に透過光を測定する方法が免疫比濁法であり、散乱光を検出する方法が免疫比朧法として区別されているが、凝集物による光の散乱の影響を観察するという点では同じ検出原理であると言える。凝集物の量は、被検査物質の濃度に比例して変化するので、透過光、反射光、散乱光のいずれかを測定すれば、被検査物質の濃度を求めることが可能である。
【0005】
この方法について感度をさらに向上させる方法がラテックス凝集法である。前述の方法において、抗体をラテックスに結合させておくと、被検査物質と抗体が結合することによって、ラテックス粒子の凝集物が形成される。ラテックス粒子の凝集物は、抗原抗体反応物質の凝集物よりもはるかに光の散乱が大きいので、より高感度な検出が可能である。また、例えば、被検査物質に対する擬似抗原と被検査物質を競合的にラテックス標識抗体と反応させる原理であるラテックス凝集阻止反応も実用化されている。
【0006】
ラテックス凝集反応は1956年にSingerとPlotzらによって当初は目視による検査方法として開発され、1970年以降になって、吸光度法で定量的に検出することが可能となってきた。現在ではこれらの原理を利用した被検査物質の測定方法は、生化学検査用の自動検査装置において実用化され、病院の臨床検査部や検査センターにおいて広く使用されている。
上述のような自動検査装置は、多くの場合、反応容器の中で被検査物質と試薬とを反応させている。測定が終了すると反応液は廃液として排出される構造であるため、自動検査装置には、反応容器や、試薬あるいは液体試料の移送経路を洗浄する為の洗浄システムや、洗浄する為の吸水システム及び排水システムを完備しなければならない。そのためこれらのシステムによって装置は大型化され、煩雑なメンテナンス作業を伴うことが一般的であった。
また、液体試料が血液である場合は、遠心分離などの前処理が別途必要であり、操作の煩雑性を助長するとともにバイオハザードの観点からも理想的な測定方法とは言えなかった。これらの問題によって、熟練した検査要員を配置したり、大型の設備を導入したりする余裕のない個人病院や診療所では、大型の自動検査装置は普及しておらず、検査センターなどに頼った検査体制を強いられているが、これでは迅速な診療体制を構築することは困難である。
【0007】
ところで近年になってPOCT機器の開発が進められてきた。POCT機器の代表的なものとして、血糖値センサや妊娠診断薬が挙げられるが、液体試料を収集、保持可能なチャンバーをその内部に形成した分析デバイスを使用した簡易な分析装置も既に報告されている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
上述のような分析デバイスを使用した分析方法のメリットは、分析デバイスの回転力を利用して、血液成分を血漿成分(あるいは血清成分)と血球成分とに簡易に分離することが可能であり、さらに、その遠心分離操作に引き続いて、回転力と毛細管力を利用して、分析デバイス内に形成した他のチャンバーに液体試料を自由に移送させて、例えば血漿中の被検査物質と特異的に反応する試薬との間での反応を生じさせて、そこで生じる呈色や発色の反応を検出することができることである。
【0009】
この分析装置を使用すると、遠心分離などの前処理を必要とせずに血液成分の分析を行うことが可能である。さらにディスクが回転することを利用して、微小なスポット径でディスク内を走査することが可能である(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】国際公開第96/009548号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/036337号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のような技術背景のもと、本発明は、ラテックス凝集反応に代表される免疫凝集反応を、大型の自動検査装置ではなく、上述のような分析デバイスなどにおいても、簡単、かつ、迅速に精度の高い分析結果の得られるPOCT機器を提供することを目的とするものである。
【0011】
しかしながら、従来の大型の自動検査装置では、少なくとも5mm程度の光路長が確保された容器内で吸光度測定を実施することが一般的であったため、これを分析デバイス全体の厚みが5mmにも満たないチャンバー内で凝集反応を行うようにすることは、当然ながら光路長が短すぎるために十分な感度が得られないことが大きな課題となる。
【0012】
そこでこのような課題を克服して、迅速かつ簡便に液体試料中の被検査物質を正確に測定することが可能な分析装置およびそれに使用する分析デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の分析デバイスは、凝集物を含む液体試料を保持可能なチャンバーを有しており、前記チャンバーの内面のうち、少なくとも底面、あるいは天井面の一部には、前記凝集物と結合して凝集物をその表面に固定する物質を形成したことを特徴としたものである。
【0014】
また本発明の請求項2に記載の分析デバイスは、前記凝集物と結合して凝集物をその表面に固定する物質が、タンパク質特異吸着性素材であることを特徴としたものである。
【0015】
また本発明の請求項3に記載の分析デバイスは、前記タンパク質特異吸着性素材がポリスチレンであることを特徴としたものである。
【0016】
また本発明の請求項4に記載の分析デバイスは、前記凝集物と結合して凝集物をその表面に固定する物質が、抗体、抗原、抗体に特異的に結合可能なタンパク質のいずれかであることを特徴としたものである。
【0017】
また本発明の請求項5に記載の分析デバイスは、前記チャンバー内に、液体試料中に含まれる被検査物質と結合して凝集物を作る凝集試薬を保持させたことを特徴としたものである。
【0018】
また本発明の請求項6に記載の分析デバイスは、前記チャンバーが軸心の周囲に設けられたことを特徴としたものである。
【0019】
また本発明の請求項7に記載の分析デバイスは、凝集物と結合して凝集物をその表面に固定する物質を形成したチャンバーよりも軸心側に、前記チャンバーへ液体試料の移送が可能である第2のチャンバーを設け、前記第2のチャンバー内に、液体試料中に含まれる被検査物質と結合して凝集物を作る凝集試薬を保持させたことを特徴としたものである。
【0020】
また本発明の請求項8に記載の分析デバイスは、前記第2のチャンバーよりも、さらに軸心側に、第2のチャンバーへ液体試料の移送が可能である第3のチャンバーを設け、第3のチャンバーに設けた液体試料注入部より液体試料が注入され、液体試料をその内部に収集可能に構成したことを特徴としたものである。
【0021】
また本発明の請求項9に記載の分析デバイスは、第2のチャンバー、または第3のチャンバー、またはチャンバー間を連結する流路を、ブロッキング処理したことを特徴としたものである。
【0022】
また本発明の請求項10に記載の分析デバイスは、液体試料中に含まれる被検査物質と結合して凝集物を作る凝集試薬が、被検査物質に対して特異的な結合性を有する試薬で標識した不溶性担体からなる凝集試薬であることを特徴としたものである。
【0023】
また本発明の請求項11に記載の分析デバイスは、不溶性担体がラテックス粒子であることを特徴としたものである。
【0024】
また本発明の請求項12に記載の分析デバイスは、前記分析デバイスは、上基板と、下基板と、それらを貼り合せる接着層で構成され、前記上基板と接着層には、チャンバーまたは流路を形成してあることを特徴としたものである。
【0025】
また本発明の請求項13に記載の分析デバイスは、前記分析デバイスは円盤状であって、前記下基板は、CDまたはDVDと同一形式のトラック溝を保有することを特徴としたものである。
【0026】
また本発明の請求項14に記載の分析装置は、請求項1〜13のいずれかに記載の分析デバイスが装着される装置であって、
前記チャンバーに対して分析光を照射する光源と、前記チャンバーを透過した分析光を検出するデテクタを少なくとも備えており、前記チャンバー内に固定された凝集物の量を前記デテクタで得た光学信号から検出するようにしたことを特徴としたものである。
【0027】
また本発明の請求項15に記載の分析装置は、前記分析デバイスを軸心周りに回転させる回転駆動手段をさらに備え、装着された前記分析デバイスを回転させながら、前記チャンバーにレーザ光を照射して前記光学信号を得るようにしたことを特徴としたものである。
【0028】
また本発明の請求項16に記載の分析装置は、請求項7に記載の分析デバイスが装着される分析装置であって、第2のチャンバーにおいて、液体試料中に含まれる被検査物質と、凝集試薬とを混合させて凝集物を作り、その凝集物を、凝集物をその表面に固定する物質を形成したチャンバーに導くようにしたことを特徴としたものである。
【0029】
また本発明の請求項17に記載の分析装置は、請求項8に記載の分析デバイスが装着される分析装置であって、液体試料が血液であり、第3のチャンバーにて、血球成分と血漿成分の遠心分離を行い、遠心分離後の血漿成分を第2のチャンバーに導いて、液体試料中に含まれる被検査物質と、凝集試薬とを混合させて凝集物を作り、さらに、その凝集物を、凝集物をその表面に固定する物質を形成したチャンバーに導くようにしたことを特徴としたものである。
【0030】
また本発明の請求項18に記載の分析装置は、前記基板に付着した前記凝集物の画像を取得するものであり、画像を解析することによって、前記凝集物の量を測定し、被検査物質の濃度を得るようにしたことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明の分析デバイス、および分析装置によれば、煩雑な操作、試料前処理用の装置を必要とすることなく、迅速かつ簡便に試料溶液中の被検査物質を正確に測定する効果を有する。
【0032】
特に、チャンバーに付着した凝集物の量を測定することによって、凝集物量を正確に測定することができる。凝集物の量は、従来は一定の光路長を保有する反応セルに凝集物を含む液体媒体を注入し、吸光度を測定することによって判明するが、チャンバーに付着した凝集物量を測定する本発明では、光路長バラツキの影響を受けない正確な測定が可能である。また、従来の大型の自動検査装置では、反応セルの光路長は5mm程度必要であるが、本発明の分析デバイスは、チャンバーの光路長が1mm以下であっても十分測定可能であるので通常100μL以上必要な液体媒体量を10μL以下に削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に本発明の分析装置およびそれに使用する分析デバイスの実施の形態を、図面とともに詳細に説明する。
【0034】
(実施の形態1)
本発明における凝集物を検出するための最も簡潔な実施形態は、凝集物を固定可能な基板の上に凝集物を含む溶液を添加し、基板の移動、もしくは光源の移動、あるいは基板と光源の両者の移動によって、凝集物が添加された基板を分析光で走査し凝集物の検出することである。凝集物の検出において最も重要なことは、基板上の凝集物を分析光が任意の間隔で走査することである。基板上を分析光が任意の間隔で走査することによって、この間隔より大きな凝集物が現れると複数の走査線上で分析光が遮られるので、その時の信号変化を分析することによって、凝集物の大きさや数を精度よく検出することが可能となる。よって、凝集物を検出する為に最低限必要な構成は、少なくとも光源とデテクタから構成される分析装置と、凝集物を固定可能な基板を保有する分析デバイスである。特に分析装置は、分析光による走査が可能なように、光源もしくは基板を稼動できる機構を保有させる必要がある。また、分析デバイスの形状としては、前述した基板が最も簡単な形状ではあるが、アッセイをより簡便に行うためには、測定ステップに従って自動的に液移送を行い、凝集反応をさせることが可能な形態をとることが望ましい。
【0035】
ここでは、より簡便なアッセイを可能とする具体例として、ディスク状の分析デバイスを使用する方法について説明する。この方法の利点は、ディスクの回転による回転方向への走査と、光源の移動による回転と垂直方向の走査が迅速かつ正確に実現されることである。また、ディスクの回転によって発生する遠心力を利用して、ディスクに結合できなかった、試料液中のその他の浮遊物質を測定対象範囲外に除去できるといったメリットがある。さらに、分析デバイスの回転力を利用して、血液成分を血漿成分(あるいは血清成分)と血球成分とに簡易に分離することが可能であり、さらに、その遠心分離操作に引き続いて、回転力と毛細管力を利用して、分析デバイス内に形成した他のチャンバーに液体試料を自由に移送させて、例えば血漿中の被検査物質と特異的に反応する試薬との間での反応を生じさせて、そこで生じる凝集反応を検出することができるので、より簡便な測定系を構築することが可能である。
【0036】
図1、2は、本発明の実施の形態1にかかる分析装置および分析デバイスの概略構成を示す図である。図1において、分析デバイス1に光源2から分析光を照射し、デテクタ3で、透過光を検出している。なお、図中、分析デバイスを駆動するモータなどの駆動機構や、光源2、デテクタ3につながる回路構成については割愛する。
【0037】
光源2としては、レーザダイオードなどが使用可能であり、レーザ光径が細いほどより詳細な検出が可能となる。例えば一般的なラテックス凝集反応の場合、ラテックス粒子単体の粒径は0.05〜0.3μm程度であり、凝集によって粒径は0.5〜20μm程度の大きさになる。よってラテックス凝集物のみを効率的に検出する為には、レーザ光径はラテックス粒子単体よりも大きいが、ラテックス凝集物よりも小さくなるように調整して、レーザ光を照射することが望ましい。例えば、レーザ光径を1μmに設定した場合、少なくとも0.3μm以下のラテックス粒子は検出されない。よって、ラテックス凝集物のみの信号を検出し、凝集しなかったラテックス粒子単体の信号を排除できるので、ラテックス粒子単体のブランクの影響を受けない高精度な測定が実現できる。
【0038】
図2(a)は、組立前の分析デバイスの斜視図、図2(b)は、組立後の分析デバイスの斜視図を示すものである。
【0039】
図2(a)と図2(b)において、上基板4と下基板6とは、表裏両面に接着効果を保有する接着層5を介して貼り合せられている。上基板4と下基板6とは一般に光ディスクとして流用されているものを使用すると1mm以下の厚みであるが、厚みを薄くすることも厚くすることも可能である。また接着層5の厚みは、0.1mm程度のものが使用できるが、状況に応じて厚みを薄くすることも厚くすることも可能である。接着層5の厚みを変えることによって、チャンバーの容積を簡便に変更することが可能である。
【0040】
上基板4は、ポリカーボネート、ABS、ポリスチレン等の透明な樹脂基板が使用可能であり、削り出し加工、より好適には射出成形によって、精度よくさまざまな形状の空間を形成することが可能な材料を用いる。上基板4には、試料保持部7、試薬保持部8および検出部9を形成するための凹部が、その下面に射出成形により成形されており、また、試料注入部11となる貫通孔を試料保持部7の位置に形成している。これらのチャンバーのサイズは、目標とする試料液量に合せて設計することができる。チャンバーの厚みは、上基板4の厚みにも影響されるが、必要とされる試料の液量を考慮すると、薄いほうが好ましく0.1〜1.0mm程度が使用できる。
【0041】
また、接着層5には、試料保持部7と試薬保持部8と検出部9のパターン形状に加えて、それぞれを接続する流路10のパターン形状を切り抜いてある。流路10の幅は必要とされる試料の液量を削減し、試料の送付ロスを削減する為には、より細いほうが好ましく、1mm以下、より好適には0.5mm程度か、それより細くすることが望ましい。接着層5の接着効果を得る材料としては、接着剤の他、加熱によって接着可能なホットメルトシートなどが使用できる。
【0042】
ここで、本実施の形態1における分析デバイスの詳細な構造を、その要部断面図を示す図3を用いながら、その組み立て順序に従って説明する。貼り合せに先立って、上基板4に形成した試薬保持部8用の凹部に、ラテックス標識抗体などの被検査物質に対応した凝集試薬12を担持させる。凝集試薬としては、被検査物質に対して特異的に結合可能な試薬、例えば抗体などを標識した不溶性担体が挙げられる。不溶性担体としては、マイクロスフィアの1種で、ポリスチレン素材であるラテックス粒子を使用することによって、高精度で感度のよい被検査物質の測定が可能となるが、それ以外の素材のマイクロスフィアであってもよい。例えば、ポリメチルメタクリエイトやシリカ、マグネタイト等が例として挙げられる。また、タンパク質と共有結合可能なカルボキシル基修飾マイクロスフィアやアミノ基修飾マイクロスフィアなども使用可能であり、さらに色素や蛍光色素で染色したマイクロスフィアも不溶性担体として使用可能である。また金コロイドや銀コロイドで代表される金属コロイドであっても、不溶性担体として使用できる。
【0043】
担持させる方法としては、溶液状態の凝集試薬12を凹部に塗布した後、室温乾燥、熱乾燥、真空乾燥、真空凍結乾燥などの方法によって乾燥し、担持させることができるほか、あらかじめ乾燥させた凝集試薬12を、試薬保持部8に設置する方法も可能である。次に上記の上基板4と接着層5を位置ずれしないように注意深く貼り合せる。
【0044】
下基板6としては、ポリカーボネート、ABS、ポリスチレン等の透明な樹脂基板の一表面に、上述した分析装置の光源2、デテクタ3を利用した分析デバイス1の走査を容易にするための、金、銀、アルミニウムなど、貴金属を蒸着したものを使用することが可能である。光学的な走査は、CDやDVDなどの光ディスクドライブの技術を利用することができる。
【0045】
本発明において、もっとも特徴的な構成は、貴金属を蒸着した上述の下基板6の上面全面をポリスチレン13でコートし、さらに検出部9以外の部分をタンパク質の非特異的吸着の阻止が可能なブロッキング剤14でブロッキング処理したことである。
【0046】
下基板6のうち、検出部9に対応する部分のみをポリスチレン13にてコーティングし、それ以外の部分をブロッキング処理することによって、検出部9において、凝集物を効果的に補足し、固定化することが可能である。特にポリスチレンはタンパク吸着性が強いので、例えばラテックス標識抗体などを効果的に捕捉することが可能である。
【0047】
ポリスチレン13は、アセトキシメトキシプロパン等の溶剤に溶かし、スピンコーターを使用して、下基板にコーティングすることが可能である。下基板1枚につき0.7mLの1%ポリスチレン溶液を塗布し、下基板を3000rpmで回転させることによって、10nm〜1μm程度の厚みのポリスチレン層を形成することが可能である。またポリスチレン以外にもタンパク吸着性のプラスチック樹脂であれば使用することが可能である。また溶剤としてアセトキシメトキシプロパンを例に挙げたが、コーティングすべき樹脂を溶かし込みことが可能で、下基板を腐蝕しない溶剤であれば使用可能である。
【0048】
ブロッキング剤としては、BSAやスキムミルク、カゼインのほかブロッキング試薬として市販されるスタビリガードやスーパーブロッキング剤も使用可能である。また、ブロッキング剤として一般的に使用されるタンパク質や界面活性剤を含む溶液であれば、前記の例に限定せず使用できる。流路や検出部位以外のチャンバーをブロッキング剤で処理することによって、測定に必要な凝集試薬が非特異的に結合することを防止することができる。また、検出部位に凝集物を固定する抗原や抗体、抗体に特異的に結合するタンパク質を固定化した後にブロッキング剤で処理することによって、試料液中の有形物質の非特異的結合を防止した高精度な測定が実現される。なおブロッキング処理の方法としては、従来の手法で行うことができるので、詳しい説明は割愛する。なお、検出部9において、凝集物を効果的に補足し、固定化することを可能とする他の構成を図4に示す。図4で示したように、ポリスチレンコートした下基板6の表面上に、被検査物質に対する抗体に結合する抗体15を検出部9に固定化し、さらにその上面全面をブロッキング剤14で処理することによって、凝集物のみを検出部9のディスク底面上に固定することが可能となる。
【0049】
図4の構成において、ポリスチレンコート13以外でもタンパク質結合性のプラスチック樹脂などが使用可能である。また抗体15の種類は、抗IgG抗体など、抗体に対する抗体以外にも、測定対象物質に対する抗体や、凝集阻止反応の場合は凝集多価抗原などの凝集剤に結合可能な抗体であっても十分使用可能である。またそれらの抗体はモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体であってもよい。また抗体以外であっても、抗体に特異的に結合する抗原を始め、プロテインAやプロテインGも使用可能である。すなわち、凝集物を形成する、ラテックス、抗体、凝集剤、測定対象物質などに対して特異的に結合可能な試薬を使用して、凝集物を固定することができる素材を検出部9に固定化させることによって、効率的に凝集物を固定することが可能である。
【0050】
このようにして作製した下基板6を、上基板4と接着層5の貼り合せ体に、位置ずれなく貼り合せることによって、分析デバイスを完成することが可能である。
【0051】
図3もしくは図4の分析デバイスの構成によって、タンパク質、ホルモン、細菌、ウイルスなどの生体物質の測定が可能である。タンパク質の具体例としては、免疫グロブリン、ミオグロビン、リウマチ因子、補体タンパク、アルブミン、CRP、ヘモグロビン、ヘモグロビンA1cなどを挙げることが出来る。
【0052】
また、以上のように構成された分析デバイスを、分析装置に装着して行う分析動作について、液体試料として全血を用い、その血漿成分中の被検査物質の濃度を免疫凝集反応により定量する例を、図2を用いて説明する。
【0053】
まず、試料注入部11より血液を注入し、試料保持部7に血液を充填する。次に分析デバイスを回転することによって、血液は血漿成分と血球成分に遠心分離される。遠心分離後、分析デバイスの回転を停止することによって、血漿成分のみが毛細管現象によって、流路10を移送されて試薬保持部8に到達する。試薬保持部8に血漿成分が流入すると、凝集試薬12と被検査物質は反応し、被検査物質の濃度に応じて凝集物を形成する。
【0054】
ここで、さらに分析デバイス1を回転させて遠心力を与えた後、分析デバイスの回転を停止させると、凝集物を含む血漿は、毛細管現象により、検出部9へと移動する。そして検出部9の底面で、凝集物はポリスチレンもしくは抗体などの凝集物に結合可能な素材に固定化される。
【0055】
具体的には、図3においては、凝集物を形成するラテックス粒子に標識された抗体や抗体に結合した測定対象物質が疎水性結合などによって、ポリスチレンコート13に吸着される。また、ポリスチレンコート13に抗体を結合させてある場合は、結合させる抗体の種類によって、凝集物を形成するそれぞれの部分、ラテックス粒子に標識された抗体や測定対象物質や、または凝集阻止反応の場合は凝集剤と特異的に結合する。
【0056】
上記のような固定化によって、分析デバイスを回転させたとしても、その結合が外れることはなくなるので、正確な測定が可能となる。
【0057】
次に、固定化された凝集物を光学的に検知し、被検査物質の濃度を定量する技術について以下、説明をする。
【0058】
検出部9を光源2のレーザ光で走査すると、凝集物が存在する位置で凝集物の大きさに応じて特異的な形状の光信号が検出される。そこで特異的な形状の光信号数を集計することにより、被検査物質の濃度を算出することが可能である。
【0059】
ここで特異的な形状の光信号について図5を用いて説明する。分析装置は、分析デバイス1を、軸心側Dを中心に回転させながら、検出部9に光源2よりレーザ光を照射し、AとBの2つに分割したデテクタ3で、差信号A−Bを分析部16において検出するとともに、分析デバイス1のC方向からD方向へ、光源2を走査させる。これにより、検出部9の領域をレーザ光で走査することができる。
【0060】
走査中にレーザ光上に凝集物17が出現すると、まずデテクタ3のAの信号が変化する。次にレーザ光が凝集物の中心部を照射すると差信号A−Bはゼロとなり、さらにレーザ光がD方向へ移動すると、デテクタ3のBの信号が変化する。この差信号A−Bの変化を時系列的に表示したものが、図6である。図6では、横軸に時間を、縦軸に差信号A−Bの電圧値を表示している。図6で示すように、凝集物などの物質が存在すると、その凝集物に対して、特異的な光信号が検出されるので、特異的な形状の信号の数を集計することで凝集物の存在を定量的にカウントすることが可能となる。
【0061】
なお、検出部9にて、凝集物のカウントを行う際、分析デバイス1を回転させながら検出を行っているので、検出部9の底面に固定化されず、検出部9の血漿中に浮かんでいる凝集物や、その他、分析に悪影響を与える試料液中の有形物質は、回転時の遠心力によって、分析デバイス1の外周側であるC側に集まるため、カウントを妨げることはない。
【0062】
以上のように、本実施の形態1においては、検出部で固定された凝集物に依存する透過光の特異的な変化量をカウントすることによって、被検査物質を正確かつ高精度に測定することが可能となり、光路長の短いチャンバー内であっても、感度よく検出を行うことができる。
【0063】
なお、上記図3、図4の構成では、試薬保持部8のチャンバーと、検出部9のチャンバーとを別々に設ける構成としたが、それらを一つにまとめ、一つのチャンバー内で、凝集反応を起こさせるとともに、チャンバー底面もしくは天井面へ固定化して検出してもかまわない。
【0064】
さらに、上述の例以外の方法で、凝集物を定量する手法として、カメラ等によって、検出部9の画像を取得し、その画像を解析することによって、被検査物質の濃度に換算することもできる。この場合、凝集物がラテックスである場合は、0.5〜20μm程度のラテックス凝集物を画像として取りこむ。具体的に凝集物の画像を取り込むことができる手段としては、CCDカメラや顕微鏡等が挙げられるが、凝集物を認識できる方法であれば、これらに限定しない。
【0065】
また、当然のことながら、凝集反応の他に凝集阻止反応についても同様に凝集物の量を正確に測定することができる。具体的には、測定対象物質がヘモグロビンA1cである場合は試料溶液とヘモグロビンA1cの糖化部位に結合可能なラテックス標識抗体とを反応させた後に、合成多価HbA1c抗原を加えてラテックス凝集反応を起こす。凝集阻止反応は、凝集反応とは逆に測定対象物質量が多いほど、凝集量が減少する反応であるが、測定対象物質量に応じてラテックス凝集量が変化し、ラテックス凝集量を測定することによって、測定対象物質量を検出するという原理は、凝集反応と同じである。
【0066】
以上、本発明の実施の形態の一例について説明したが、当然、測定対象物質によって、反応の順序や複雑さが変わるので、それに応じてディスクに形成するチャンバーの数やデザイン、流路のパターンなどは異なってくる。また、一枚のディスク上に、複数の系列のチャンバーや流路パターンを形成することによって、さまざまなアッセイを同時に行うことも十分可能である。
【実施例1】
【0067】
a)分析デバイスの作製
成型射出加工により、縦10mm×横20mm×深さ0.3mmの試料保持部用の凹部と、それぞれ縦3mm×横5mm×深さ0.3mmの試薬保持部と検出部用の凹部とを有する厚み0.6mmのポリカーボネート製のディスクを作製し、上基板とした。次に厚み0.1mmのホットメルトシートに試料保持部、試薬保持部および検出部に対応するパターンと、それらを連結する幅0.5mmの流路に対応するパターンとを描き、さらにこのパターンに沿って切り抜き、接着層とした。次に、金蒸着を行ったCD状の溝を有する厚み1.2mmのポリカーボネート製ディスクを下基板とした。
【0068】
上基板の試薬保持部と試薬保持部から検出部までの流路をスタビリガードでコーティングした。また試薬保持部には、リン酸バッファーにヘモグロビンに対するポリクローナル抗体を結合させた、粒径0.1〜0.2μmのラテックス粒子溶液と5%スクロースを溶かした溶液を点着後、凍結乾燥を行った。
【0069】
また下基板は金蒸着を行っただけの下基板(A)と、金蒸着した上に2−アセトキシ−1−メトキシプロパンで調整した1%ポリスチレン溶液で処理した下基板(B)を準備した。下基板(B)はさらに、試薬保持部と試薬保持部から検出部を連結する流路の部分について、スタビリガードでブロッキング処理を行った。このように調整した上基板と接着層と下基板を貼り合せて、それぞれを分析デバイスA、分析デバイスBとした。
【0070】
b)液体試料の調整
リン酸緩衝液に既知濃度のヒトヘモグロビン溶液を加えることにより、0.0、0.1、0.2、0.5mg/dl濃度のヘモグロビンを含む試料液を調整した。ヘモグロビン濃度の測定は、栄研化学のOC−ヘモディアオートIIを使用した。
【0071】
c)分析デバイスを使用したヘモグロビン測定
前述のように調整した試料液を、50μL分、ディスペンサを使用して、試料注入部より試料保持部に注入した。試料注入部をシールで蓋をした後に、分析装置に分析デバイスを装着し、3000rpmで10秒間回転させた。次に、10秒間停止することによって、試料液を毛細管現象により流路を通じて、試薬保持部入口まで移送させた。次に3000rpmで10秒間回転することによって、試料液を試薬保持部に流入させ、回転を停止してから、ラテックス標識抗体と3分間反応させた。また同時にラテックス標識抗体と反応した試料溶液は毛細管現象により、流路を伝わって検出部入口まで移送された。次に、3000rpmで10秒間回転することによって、検出部に試料液を流入させ、(その後、800rpmにし)3分後に光径1μmのレーザ光で検出部の中心部を1mm×1mmの範囲で走査した。この操作を3回繰返し、その結果得られた特異的な光信号のカウント数を、OCヘモディアオートIIで算出したヘモグロビン濃度を横軸にとってグラフにプロットした。この作業を分析デバイスAと分析デバイスBに対して各ヘモグロビン濃度で行った。その結果を図7と図8に示す。またこの測定結果から、検量線を作成し、その検量線から算出したヘモグロビン濃度のCV値(変動係数)を図9に示す。
【0072】
まず、分析デバイスAの測定結果は、分析デバイスBと比較してカウント数が少なく、CV値が 4.1〜15.2%とバラツキが大きい。一方で、分析デバイスBの測定結果はCV値が 3.6〜8.5%と非常に良好な結果を示した。以上のことから、ポリスチレンに凝集物を固定することによって、より高精度な測定が可能であることが判明した。
【実施例2】
【0073】
a)分析デバイスの作製
成型射出加工により、縦10mm×横20mm×深さ0.3mmの試料保持部用の凹部と、それぞれ縦3mm×横5mm×深さ0.3mmの試薬保持部と検出部用の凹部を有する厚み0.6mmのポリカーボネート製のディスクを作製し、上基板とした。次に厚み0.1mmのホットメルトシートに試料保持部、試薬保持部および検出部のパターンと、それらを連結する幅0.5mmの流路のパターンとを描き、さらにこのパターンに沿って切り抜き、接着層とした。次に、厚み1.2mmの厚みを有するCD状の溝を有する厚み1.2mmのポリカーボネート製ディスクに対して金蒸着を行い下基板とした。
【0074】
上基板の試薬保持部と試薬保持部から検出部までの流路をスタビリガードでコーティングした。また試薬保持部には、リン酸バッファーにCRPに対するウサギポリクローナル抗体を結合させた、粒径0.1〜0.2μmのラテックス粒子溶液と5%スクロースを溶かした溶液を点着後、凍結乾燥を行った。また下基板は金蒸着した上に2−アセトキシ−1−メトキシプロパンで調整した1%ポリスチレン溶液で処理し、乾燥後、検出部位に相当する箇所を抗ウサギ抗IgG抗体で処理した後にスタビリガードでブロッキングした。このように調整した上基板と接着層と下基板を貼り合せて、CRP評価用の分析デバイスとした。
【0075】
b)液体試料の調整
抗凝固剤として、ヘパリンあるいはEDTAを加えた人の血液に既知濃度のCRP溶液を加えることにより、0.1、0.6、1.5、2.2、3.2、5.9、20.0mg/dl濃度のCRPを含む血液検体を調整した。CRP濃度の測定にはニットーボーメディカル社のN−アッセイLA CRP−S試薬と臨床用測定機(日立7020)を使用した。
【0076】
c)分析デバイスを用いたCRP測定
前述のように調整した人の血液試料を50μL分、ディスペンサを使用して、試料注入部より注入した。試料注入部をシールで蓋をした後に、分析装置に分析デバイスを投入し、3000rpmで4分間回転することによって、血球成分を試料保持部の外周に移動させた。次に、10秒間停止することによって、試料液中の液体成分のみを毛細管現象により流路を通じて、試薬保持部入口まで移送させた。次に3000rpmで10秒間回転することによって、液体成分を試薬保持部に流入させ、回転を停止してから、ラテックス標識抗体と3分間反応させた。また同時にラテックス標識抗体と反応した液体成分は毛細管現象により、流路を伝わって検出部入口まで移送された。次に、3000rpmで10秒間回転することによって、検出部にラテックス凝集物を含む液を流入させ、その後800rpmにして、3分後に光径1μmのレーザ光で検出部の中心部を1mm×1mmの範囲で走査した。この結果得られた、特異的な光信号のカウント数を、日立7020で測定したCRP濃度を横軸としてグラフにプロットした。その結果を図10に示す。
【0077】
その結果CRP濃度に応じて特異的な光信号のカウント数が増大した。
以上のことから、この装置は血液試料であっても、血液を注入するだけで、自動的にラテックス凝集物を測定することが可能であることが判明した。
【0078】
なお前述の実施例においては、液体試料として、緩衝液と血液を用い、被検査物質としてヘモグロビンとCRPを例に挙げたが、その他にも試料溶液として、水溶液、尿、血漿、血清、唾液などを用い、被検査物質として、その中に含まれるタンパク質、ホルモン、細菌、ウイルスなどの生体物質の測定も十分可能である。例えば、ラテックス凝集反応としては免疫グロブリン、ミオグロビン、リウマチ因子、補体タンパク、アルブミンなどが、ラテックス凝集阻止反応としては、ヘモグロビンA1cなどがある。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の分析装置およびそれに使用する分析デバイスは、被検査物質と前記被検査物質に対して特異的な結合性を保有する試薬で標識した不溶性担体からなる凝集試薬との結合反応によって生成した凝集物を、分析デバイス内のチャンバーに固定化し、その固定化された凝集物光学的に検出することを特徴とするものであり、衛生的に迅速かつ簡便に高精度に測定するPOCT機器に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態1における分析デバイス、分析装置の概略構成を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における分析デバイスの分解斜視図、および斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における分析デバイスの要部を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1における他の分析デバイスの要部を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態1における分析装置の凝集物検出原理を説明する図
【図6】本発明の実施の形態1における分析装置で検出する特異的信号を説明する図
【図7】本発明の比較例となる分析デバイスAを使用して測定した結果を示す図
【図8】本発明の実施例1による分析デバイスBを使用して測定した結果を示す図
【図9】本発明の実施例1によるヘモグロビン濃度のCV値を示す図
【図10】本発明の実施例2によるCRP分析デバイスによる測定結果を示す図
【符号の説明】
【0081】
1 分析デバイス
2 光源
3 デテクタ
4 上基板
5 接着層
6 下基板
7 試料保持部
8 試薬保持部
9 検出部
10 流路
11 試料注入部
12 凝集試薬
13 ポリスチレン
14 ブロッキング剤
15 抗体
16 分析部
17 凝集物



【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集物を含む液体試料を保持可能なチャンバーを有しており、前記チャンバーの内面のうち、少なくとも底面、あるいは天井面の一部には、前記凝集物と結合して凝集物をその表面に固定する物質を形成したことを特徴とする分析デバイス。
【請求項2】
前記凝集物と結合して凝集物をその表面に固定する物質が、タンパク質特異吸着性素材であることを特徴とする請求項1記載の分析デバイス。
【請求項3】
前記タンパク質特異吸着性素材がポリスチレンであることを特徴とする請求項2記載の分析デバイス。
【請求項4】
前記凝集物と結合して凝集物をその表面に固定する物質が、抗体、抗原、抗体に特異的に結合可能なタンパク質のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の分析デバイス。
【請求項5】
前記チャンバー内に、液体試料中に含まれる被検査物質と結合して凝集物を作る凝集試薬を保持させたことを特徴とする請求項1記載の分析デバイス。
【請求項6】
前記チャンバーが軸心の周囲に設けられたことを特徴とする請求項1記載の分析デバイス。
【請求項7】
凝集物と結合して凝集物をその表面に固定する物質を形成したチャンバーよりも軸心側に、前記チャンバーへ液体試料の移送が可能である第2のチャンバーを設け、前記第2のチャンバー内に、液体試料中に含まれる被検査物質と結合して凝集物を作る凝集試薬を保持させたことを特徴とする請求項6記載の分析デバイス。
【請求項8】
前記第2のチャンバーよりも、さらに軸心側に、第2のチャンバーへ液体試料の移送が可能である第3のチャンバーを設け、第3のチャンバーに設けた液体試料注入部より液体試料が注入され、液体試料をその内部に収集可能に構成したことを特徴とする請求項7に記載の分析デバイス。
【請求項9】
第2のチャンバー、または第3のチャンバー、またはチャンバー間を連結する流路を、ブロッキング処理したことを特徴とする請求項7または請求項8記載の分析デバイス。
【請求項10】
液体試料中に含まれる被検査物質と結合して凝集物を作る凝集試薬が、被検査物質に対して特異的な結合性を有する試薬で標識した不溶性担体からなる凝集試薬であることを特徴とする請求項5記載の分析デバイス。
【請求項11】
不溶性担体がラテックス粒子であることを特徴とする請求項10に記載の分析デバイス。
【請求項12】
前記分析デバイスは、上基板と、下基板と、それらを貼り合せる接着層で構成され、前記上基板と接着層には、チャンバーまたは流路を形成してあることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の分析デバイス。
【請求項13】
前記分析デバイスは円盤状であって、前記下基板は、CDまたはDVDと同一形式のトラック溝を保有することを特徴とする請求項12記載の分析デバイス。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の分析デバイスが装着される装置であって、
前記チャンバーに対して分析光を照射する光源と、前記チャンバーを透過した分析光を検出するデテクタを少なくとも備えており、前記チャンバー内に固定された凝集物の量を前記デテクタで得た光学信号から検出するようにしたことを特徴とする分析装置。
【請求項15】
前記分析デバイスを軸心周りに回転させる回転駆動手段をさらに備え、装着された前記分析デバイスを回転させながら、前記チャンバーにレーザ光を照射して前記光学信号を得るようにしたことを特徴とする請求項14に記載の分析装置。
【請求項16】
請求項7に記載の分析デバイスが装着される分析装置であって、第2のチャンバーにおいて、液体試料中に含まれる被検査物質と、凝集試薬とを混合させて凝集物を作り、その凝集物を、凝集物をその表面に固定する物質を形成したチャンバーに導くようにしたことを特徴とする請求項14に記載の分析装置。
【請求項17】
請求項8に記載の分析デバイスが装着される分析装置であって、液体試料が血液であり、第3のチャンバーにて、血球成分と血漿成分の遠心分離を行い、遠心分離後の血漿成分を第2のチャンバーに導いて、液体試料中に含まれる被検査物質と、凝集試薬とを混合させて凝集物を作り、さらに、その凝集物を、凝集物をその表面に固定する物質を形成したチャンバーに導くようにしたことを特徴とする請求項15に記載の分析装置。
【請求項18】
前記基板に付着した前記凝集物の画像を取得するものであり、画像を解析することによって、前記凝集物の量を測定し、被検査物質の濃度を得るようにしたことを特徴とする請求項14に記載の分析装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−292410(P2006−292410A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109666(P2005−109666)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】