説明

分離されたノズルを有するインクジェット印刷ヘッド

【課題】優れた印刷ヘッドを提供する。
【解決手段】ノズル(3)間の交差汚染を最小限に抑えるのに適した印刷ヘッドが提供される。この印刷ヘッドは、印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズル(3)を含む基板(8)を備える。ノズル(3)はそれぞれ、基板(8)のインク放出面に画定されたノズル開口(5)を有する。印刷ヘッドはさらに、インク放出面上に複数の表面形成物を備える。これらの表面形成物は、少なくとも1つの隣接するノズル(3)からそれぞれのノズル(3)を分離するように構成されており、これらの表面形成物は一般に、それぞれのノズル(3)を取り囲むエンクロージャ(60)の形態をとる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本発明の出願人または譲受人によって出願された以下の特許または特許出願は、相互参照によって本明細書に組み込まれる。
【表1】


【表2】


一部の出願は事件整理番号によって掲載されている。これらの番号は、出願番号が分かったときにそれらに置き換えられる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、インクジェットプリンタの分野に関し、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技法を用いて製造された印刷ヘッドを使用するインクジェット印刷システムを開示する。
【背景技術】
【0003】
多くの様々なタイプの印刷が発明され、そのうちの多くが現在も使用されている。知られている印刷形態は、関連マーキング媒体を用いて印刷媒体をマークする様々な方法を有する。一般的に使用されている印刷形態には、オフセット印刷、レーザ印刷および複写装置、ドットマトリックス型インパクトプリンタ、感熱紙プリンタ、フィルムレコーダ、サーマルワックスプリンタ、昇華型プリンタ、ドロップオンデマンド型および連続フロー型インクジェットプリンタなどがある。コスト、速度、品質、信頼性、構造および動作の単純性などを考慮したとき、これらのタイプのプリンタはそれぞれ、独自の利点および問題を有する。
【0004】
近年、個々のインク画素がそれぞれ1つまたは複数のインクノズルに由来するインクジェット印刷の分野は、主にその低価格性および汎用性のために、ますますポピュラーになっている。
【0005】
インクジェット印刷に関する多くの様々な技法が発明された。この分野を通覧するためには、非特許文献1を参照されたい。
【0006】
インクジェットプリンタはそれ自体が多くの様々なタイプで提供されている。インクジェット印刷におけるインクの連続ストリームの利用は、少なくとも、Hansellによる特許文献1が単純な形態の連続ストリーム静電インクジェット印刷を開示した1929年まで遡るようである。
【0007】
Sweetによる特許文献2も、インク滴を分離させるために高周波静電場によってインクジェットストリームを調節するステップを含む連続インクジェット印刷の方法を開示している。この技法は、Elmjet社およびScitex社を含むいくつかのメーカによって今でも利用されている(Sweet他による特許文献3も参照されたい)。
【0008】
圧電インクジェットプリンタも、一般的に利用されているインクジェット印刷装置の一形態である。圧電システムは、隔膜動作モードを利用するKyser他による特許文献4(1970)、圧電結晶のスクィーズ(squeeze)動作モードを開示しているZoltenの特許文献5(1970)、圧電動作のベンド(bend)モードを開示しているStemmeの特許文献6(1972)、インクジェットストリームの圧電プッシュモード作動を開示しているHowkinsの特許文献7、および剪断モード型の圧電トランスデューサ素子を開示しているFischbeckの特許文献8に開示されている。
【0009】
最近、熱インクジェット印刷は、極めて普及したインクジェット印刷形態となった。このインクジェット印刷技法には、Endo他による特許文献9(1979)およびVaught他による特許文献10に開示された技法が含まれる。上記の参照文献はともに、ノズルなどの狭窄した空間内に気泡を発生させ、それによって、この限定された空間に接続された開口から関連印刷媒体上にインクを放出させる電熱アクチュエータの活動化に依拠したインクジェット印刷技法を開示した。電熱アクチュエータを利用する印刷装置は、Canon社、Hewlett Packard社などのメーカによって製造されている。
【0010】
以上のことから分かるように、多くの様々なタイプの印刷技術が使用可能である。理想的には、印刷技術は、いくつかの望ましい属性を有するべきである。このような属性には、安価な構造および動作、高速動作、安全で連続した長期動作などが含まれる。これらの技術はそれぞれ、コスト、速度、品質、信頼性、電力使用、構造および動作の単純性、耐久性ならびに消耗品の領域において独自の利点および欠点を有する。
【0011】
インクジェット印刷ヘッドの問題、特にノズル密度の高いインクジェット印刷ヘッドの問題は、印刷ヘッドの表面を横切ってインクが溢れ出ることがあり、それが隣接するノズルを汚染することである。これは、印刷品質の低下につながるので望ましくない。その上、印刷ヘッド表面を横切るインクの交差汚染は潜在的に、電気分解を引き起こし、ノズルアクチュエータの腐食を加速させる。
【0012】
印刷ヘッド表面を横切って溢れ出るインクを最小限に抑える以前の試みは一般に、疎水性材料で印刷ヘッドをコーティングすることを含む。しかし、疎水性コーティングは、インクの溢出の程度を最小化するのにあまり成功しなかった。
【0013】
インクジェット印刷ヘッドの他の問題、特に印刷ヘッドのインク放出面上に傷つきやすいMEMSノズルが形成されたインクジェット印刷ヘッドの問題は、印刷ヘッド表面をクリーニングすることによってノズル構造物が傷つけられる可能性があることである。インク放出面上に蓄積する紙塵の粒子または紙繊維を除去するため、印刷ヘッドは一般に定期的にワイピングされる。ワイピング機構が印刷ヘッド表面上のノズル構造と接触するときには、ノズルを傷つける危険があることは明らかである。
【0014】
インクの溢出による隣接ノズル間の交差汚染を最小限に抑える印刷ヘッドを提供することが望ましいであろう。印刷ヘッド上のノズル構造物を傷つける危険なしにワイピング機構によって印刷ヘッド表面を定期的にクリーニングすることができる印刷ヘッドを提供することも望ましいであろう。
【非特許文献1】論文「Non−Impact Printing:Introduction and Historical Perspective」、著作:J Moore、Output Hard Copy Devices、R DubeckおよびS Sherr編、207〜220ページ(1988)
【特許文献1】米国特許第1941001号
【特許文献2】米国特許第3596275号
【特許文献3】米国特許第3373437号
【特許文献4】米国特許第3946398号
【特許文献5】米国特許第3683212号
【特許文献6】米国特許第3747120号
【特許文献7】米国特許第4459601号
【特許文献8】米国特許第4584590号
【特許文献9】英国特許公報2007162号
【特許文献10】米国特許第4490728号
【発明の開示】
【0015】
第1の態様では、
印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板であって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有する基板と、
少なくとも1つの隣接するノズルからそれぞれのノズルを分離するように構成された前記インク放出面上の複数の表面形成物と
を備えた印刷ヘッドが提供される。
【0016】
第2の態様では、隣接するノズル間のインクの交差汚染を最小限に抑えながら、印刷ヘッドを動作させる方法であって、
(a)印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板であって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有する基板と、
少なくとも1つの隣接するノズルからそれぞれのノズルを分離するように構成された前記インク放出面上の複数の表面形成物と
を備えた印刷ヘッドを提供するステップと、
(b)前記印刷ヘッドを使用して印刷媒体上に印刷するステップと
を含む方法が提供される。
【0017】
第3の態様では、分離されたノズルを有する印刷ヘッドを製作する方法であって、
(a)印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板を提供するステップであって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有するステップと、
(b)前記インク放出面の上にフォトレジストの層を付着させるステップと、
(c)それぞれのノズル開口を取り囲む前記インク放出面の部分をそれぞれが露出させる凹みを、前記フォトレジストの中に画定するステップと、
(d)前記フォトレジストの上および前記凹みの中にルーフ材料を付着させるステップと、
(e)それぞれのノズル開口の周囲にノズルエンクロージャを画定するために前記ルーフ材料をエッチングするステップであって、それぞれのノズルエンクロージャが、ルーフの中に画定された開口部と、前記ルーフから前記インク放出面まで延びる側壁とを有するステップと、
(f)前記フォトレジストを除去するステップと
を含む方法が提供される。
【0018】
任意選択で、前記形成物は疎水性面を有する。インクジェットインクは一般に水性インクであり、疎水性形成物は溢れ出たインクをはじく。したがって、疎水性形成物は、物理バリヤとして作用することによって、および分子間斥力によって、インクの交差汚染をできる限り最小限に抑える。さらに、疎水性形成物は、溢れ出たインクが、それぞれのノズルチャンバおよびインク供給路の中へ再び取り込まれることを助長する。ノズルチャンバは一般に親水性であるため、インクは、周囲の疎水性形成物から離れて再びノズルの中へ引き込まれる傾向がある。
【0019】
任意選択で、前記形成物は、複数のノズルエンクロージャとして配置され、それぞれのノズルエンクロージャは、それぞれのノズルを取り囲む側壁を備え、前記側壁は、前記インク放出面との間にシールを形成する。したがって、それぞれのノズルは、ノズルエンクロージャによってその隣接するノズルから分離される。
【0020】
任意選択で、それぞれのノズルエンクロージャはさらに、前記それぞれのノズルから間隔をあけて配置されたルーフを備え、前記ルーフは、それぞれのノズル開口部と整列したルーフ開口部を有し、それによって前記ルーフは、放出されたインク小滴が、前記ルーフ開口部を通過して前記印刷媒体上に達することを可能にする。したがって、それぞれのノズルエンクロージャは一般に、インク放出面上の個々のノズルを覆いまたはカプセル化するキャップの形態をとることができる。前記ルーフは、溢れ出たインクの追加の封じ込めを提供するだけでなく、例えば、潜在的にノズルを傷つける紙塵、紙繊維またはワイピングの効果から、それぞれのノズルを保護する。
【0021】
一般に、前記側壁は、それぞれのルーフの周囲領域から、インク放出面まで延びる。隣接するノズルエンクロージャの側壁は通常、インク放出面を横切って間隔をあけて配置される。
【0022】
任意選択で、前記印刷ヘッドは、ページ幅インクジェット印刷ヘッドなどのインクジェット印刷ヘッドである。任意選択で、前記印刷ヘッドは、最高1600dpiで印刷するのに十分なノズル密度を有する。高いノズル密度を有する印刷ヘッドは隣接するノズル間のインクの溢出を特に起こしやすいため、本発明は、高密度印刷ヘッドに対して特に有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の範囲に含まれる形態が他にもあるにもかかわらず、次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい形態が、単なる例として説明される。
【0024】
気泡形成ヒータエレメントアクチュエータ
図1から4を参照すると、出願人の複数の印刷ヘッドのうちの1つのヘッドの単位セル1が示されている。単位セル1は、その中にノズル3を有するノズルプレート2を備え、これらのノズルは、ノズルリム4と、ノズルプレートを貫いて延びる開口5とを有する。ノズルプレート2は、後にエッチングによって除去される犠牲材料の上に化学蒸着(CVD)によって付着させた窒化シリコン構造物からプラズマエッチングによって形成されたものである。
【0025】
この印刷ヘッドはさらに、それぞれのノズル3について、その上にノズルプレートが支持された側壁6と、側壁とノズルプレート2とによって画定されたチャンバ7と、多層基板8と、多層基板を貫いて基板の遠い方の面(図示せず)まで延びる入口通路9とを含む。チャンバ7の中には、ループ状の細長いヒータエレメント10が、懸架された梁を形成するように、懸架されている。示された印刷ヘッドは、後により詳細に説明されるリソグラフィプロセスによって形成されたマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)構造物である。
【0026】
印刷ヘッドの使用時には、図1に示されたレベルまでチャンバが満たされるように、リザーバ(図示せず)からのインク11が入口通路9を通してチャンバ7に入る。その後、ヒータエレメント10が、1マイクロ秒よりもやや短い時間、加熱され、そのため、この加熱は熱パルスの形態をとる。ヒータエレメント10はチャンバ7内のインク11と熱接触しており、そのため、エレメントが加熱されると、この熱接触のために、インクの中に蒸気泡12が生成することが理解される。これに対応して、インク11は気泡形成液体を構成する。図1は、熱パルスの生成から約1マイクロ秒後、すなわちヒータエレメント10の表面にちょうど気泡の核ができたときの気泡12の形成を示している。パルスの形態で熱が加えられると、気泡12を生成させるために必要なエネルギーはすべて、その短い時間の間に供給されることが理解される。
【0027】
前述のようにエレメント10が加熱されると、エレメントの長さに沿って気泡12が形成し、図1の断面図ではこの気泡が、断面図に示されたそれぞれのエレメント部分に1つ、合計4つの気泡部分として示されている。
【0028】
気泡12が生成されると、気泡12は、チャンバ7内の圧力を上昇させ、これによって、インク11の滴16がノズル3を通して放出される。滴の誤誘導の可能性を最小化するため、リム4は、滴16が放出されるときに滴16を導くのを助ける。
【0029】
1つの入口通路9につき、ノズル3およびチャンバ7が1つずつしかない理由は、エレメント10の加熱時および気泡12の形成時にチャンバ内に生み出される圧力波が、隣接するチャンバおよびそれらの対応するノズルに影響を及ぼさないようにするためである。チャンバ内に生み出された圧力波はチャンバ壁にかなりの応力を生み出す。窒化シリコン、二酸化シリコン(ガラス)、酸窒化シリコンなどの非晶質セラミックからチャンバを形成することは、チャンバ壁に高い強度を与え、結晶構造を有する材料の使用を回避する。結晶欠陥は、応力集中点として作用することがあり、したがって、潜在的に、弱い領域および最終的な破壊領域として作用することがある。
【0030】
図2および3は、この印刷ヘッドの後続の2つの動作段階における単位セル1を示す。気泡12がさらに生成し、したがって気泡12が成長し、その結果、ノズル3を通してインク11がさらに前進していることが分かる。気泡12が成長したときの図3に示されているような気泡12の形状は、インク11の慣性動力学と表面張力との組合せによって決定される。表面張力は、気泡12の表面積をできるだけ小さくする傾向があり、そのため、ある量の液体が蒸発するまで、気泡は実質上円板形になる。
【0031】
チャンバ7内の圧力の上昇は、ノズル3を通してインク11を押し出すだけでなく、一部のインクを入口通路9を通して押し戻す。しかし、入口通路9の長さは約200から300ミクロンであり、直径は約16ミクロンでしかない。したがって、そこにはかなりの粘性抵抗が生じる。その結果、チャンバ7内の圧力上昇の支配的な効果は、入口通路9を通してインクを押し戻すことではなく、放出された滴16としてインクをノズル3を通して押し出すことである。
【0032】
次に図4を参照すると、後続の動作段階における印刷ヘッドが示されており、この図には、インク滴が分離する前の「ネッキング(necking)段階」にある放出中のインク滴16が示されている。この段階では、気泡12はその最大サイズにすでに達しており、さらに進んで、図5により詳細に示されているように、崩壊点17に向かってつぶれ始めている。
【0033】
崩壊点17に向かって気泡12がつぶれることによって、ノズル3の内部(および滴の側部18)から一部のインク11が崩壊点に向かって引っ張られ、入口通路9から一部のインクが崩壊点に向かって引っ張られる。このように引っ張られるインク11の大部分はノズル3から引っ張られ、滴16が分離する前に滴16の基部に環状のネック19を形成する。
【0034】
滴16は、表面張力に打ち勝って分離するために、ある量の運動量を必要とする。気泡12の崩壊によってインク11がノズル3から引っ張られると、ネックの直径19は低下し、それによって、滴がノズルから放出されるときの滴の運動量が滴を分離させるのに十分なものとなるように、滴を保持している総表面張力の量を低減させる。
【0035】
滴16が分離すると、気泡12が崩壊点17に向かって崩れるときに、矢印20によって示されているようなキャビテーション力が生じる。崩壊点17の近くに、キャビテーションがそれに対して効果を有する固体面はないことに留意されたい。
【0036】
ノズルエンクロージャの利点
図6を参照すると、本発明に基づく単位セル1の一実施形態が示されている。開口5は、印刷ヘッド上の隣接する開口を分離するノズルエンクロージャ60によって取り囲まれている。ノズルエンクロージャ60は、ルーフ61と側壁62とを有し、側壁62は、ルーフからノズルプレート2まで延び、ノズルプレート2との間にシールを形成する。ルーフ61には、インク小滴(図示せず)がノズルエンクロージャを通過して印刷媒体(図示せず)上に達することを可能にする開口部63が画定されている。
【0037】
ノズルエンクロージャ60は、溢れ出たインクをそれぞれのノズルのすぐ近傍に封じ込めることによって、隣接する開口5間の交差汚染を最小限に抑える。それぞれのノズルからのインクの溢出は、ノズルのミスファイヤ、インク供給路の圧力変動など、様々な理由によって引き起こされる可能性がある。ノズルエンクロージャは、製造プロセス中に、疎水性材料から形成することができ、または疎水性材料でコーティングすることができ、このことは、交差汚染の危険をさらに低減させる。
【0038】
本発明に基づく印刷ヘッドの他の利点は、傷つきやすいノズル構造物を傷つける危険なしに、印刷ヘッドのノズルプレート2をワイピングすることができることである。インクジェット印刷ヘッドは一般に、ウォームアップサイクルの一部として、ワイピング機構によってクリーニングされる。ノズルエンクロージャ60は、ノズルとワイピング機構(図示せず)との間の保護バリヤを提供する。
【0039】
製造プロセス
簡潔にするため、製造段階は、図6の単位セルに対するものだけを示した(図7から20を参照されたい)。他の単位セルは、異なるマスキングを用いる同じ製造段階を使用することが理解される。
【0040】
図7を参照すると、図20に示された熱インクジェットノズルの製造の出発点が示されている。シリコンウェハのCMOS処理が、駆動回路22を有するシリコン基板21と、層間誘電体(「相互接続」)23とを提供する。相互接続23は、この相互接続の中に入口通路9をエッチングするためのシールリングを協力して形成する4つの金属層を備える。図7では、シールリングの上部を形成する頂部金属層26を見ることができる。金属シールリングは、入口通路9がインクで満たされたときにインク水分が相互接続23の中へ漏れることを防ぐ。
【0041】
プラズマ化学蒸着(PECVD)によって頂部金属層26上にパッシベーション層24を付着させる。パッシベーション層24の付着の後、入口通路9の部分を形成する円形の凹みを画定するために、パッシベーション層24はエッチングされる。この凹みをエッチングするのと同時に、パッシベーション層24を貫通した頂部金属層26への電気接続を可能にする複数のバイア50もエッチングされる。このエッチングパターンは、パターン形成されたフォトレジスト層(図示せず)によって画定され、このフォトレジスト層は、このエッチングの後、Oアッシングによって除去される。
【0042】
図8を参照すると、次の製造シーケンスにおいて、パッシベーション層24上にフォトレジスト層がスピンコーティングされる。このフォトレジストは、円形の開口部を画定するために、露光、現像される。パターン形成されたフォトレジスト51をそのままにして、適当な酸化物エッチングガスケミストリ(例えばO/C)を使用して、誘電体相互接続23がシリコン基板21までエッチングされる。続けて、フロントインクホール52を画定するために、適当なシリコンエッチングガスケミストリ(例えば「Boschエッチ」)を使用して、シリコン基板を約20ミクロンの深さまでエッチングする。両方のエッチングステップに対して同じフォトレジストマスク51を使用することができる。図9は、フロントインクホール52をエッチングし、フォトレジスト51を除去した後の単位セルを示している。
【0043】
図10を参照すると、次の製造段階において、フロントプラグ53を提供するために、フロントインクホール52がフォトレジストで塞がれる。同時に、パッシベーション層24の上にフォトレジストの層を付着させる。このフォトレジスト層は、フロントプラグ53の上の第1の犠牲スカフォルド(scaffold)54および単位セルの周囲にスカフォルドトラック35を画定するために、露光、現像される。第1の犠牲スカフォルド54は、後にその上にヒータ材料38を付着させるために使用され、したがって、ヒータエレメントのバックリング(buckling)を防ぐために平らな上面を有するように形成される(図20のヒータエレメント10を参照されたい)。その上面への後続の高温付着の間のフォトレジストのリフローを防ぐため、第1の犠牲スカフォルド54はUV硬化され、ハードベークされる。
【0044】
第1の犠牲スカフォルド54が、傾斜したまたは斜めの側面55を有することは重要である。これらの斜めの側面55は、フォトレジストを露光するときに露光ツール(例えばステッパ)の焦点合わせを調整することによって形成される。有利には、傾斜した側面55によって、ヒータ材料38を第1の犠牲スカフォルド54の上に実質的に均一に付着させることができる。
【0045】
図11を参照すると、次の製造段階が、第1の犠牲スカフォルド54、パッシベーション層24および周囲のスカフォルドトラック35の上にヒータ材料38を付着させる。ヒータ材料38は一般にTiAlNの単層である。しかし、ヒータ材料38はあるいは、タンタル、窒化タンタルなどの上下のパッシベーション材料間に挟まれたTiAlNを含むこともできる。ヒータエレメント10上のパッシベーション層は、腐食を最小限に抑え、ヒータ耐用寿命を向上させる。
【0046】
図12を参照すると、ヒータ材料38は続いて、ヒータエレメント10を画定するために、第1の犠牲スカフォルド54までエッチングされる。同時に、ヒータエレメント10の両側に接触電極15が画定される。電極15は頂部金属層26と接触しており、そのため、CMOSとヒータエレメント10との間の電気接続を提供する。スカフォルド54の周囲にヒータ材料が十分な厚さで付着されるため、第1の犠牲スカフォルド54の傾斜した側面は、ヒータエレメント10と電極15の間の良好な電気接続を保証する。(不十分な側面付着のために)薄くなったヒータ材料の領域は抵抗率を増大させ、ヒータ性能に影響を及ぼすであろう。
【0047】
隣接する単位セルは、それぞれの単位セルの周囲にエッチングされた溝によって、互いに電気的に絶縁される。これらの溝は、ヒータエレメント10を画定するのと同時にエッチングされる。
【0048】
図13を参照すると、次のステップにおいて、ヒータ材料の上に、フォトレジストの第2の犠牲スカフォルド39が付着される。第2の犠牲スカフォルド39は、円筒形ノズルチャンバの側壁およびそれぞれの単位セルの周囲側壁を画定するために露光、現像される。後続の窒化シリコンルーフ材料の高温付着の間のフォトレジストのリフローを防ぐため、第2の犠牲スカフォルド39もUV硬化され、ハードベークされる。
【0049】
図14を参照すると、第2の犠牲スカフォルド39上にプラズマ化学蒸着によって窒化シリコンが付着される。この窒化シリコンは、それぞれの単位セルの上のルーフ44を形成し、ルーフ44は、ノズル列のノズルプレート2である。チャンバ側壁6および単位セル側壁56も、窒化シリコンの付着によって形成される。
【0050】
図15を参照すると、適当にパターン形成されたフォトレジストマスクをルーフの上に配置し、制御された時間、エッチングし、フォトレジストをアッシングによって除去することによって、ルーフ44の中にノズルリム4が部分的にエッチングされる。
【0051】
図16を参照すると、ルーフ24の中に第2の犠牲スカフォルド39までノズル開口5がエッチングされる。このエッチングも、適当にパターン形成されたフォトレジストマスクをルーフの上に配置し、スカフォルド39までエッチングし、フォトレジストマスクを除去することによって実行される。
【0052】
図17を参照すると、次の段階において、ルーフ44の上に第3の犠牲スカフォルド64が付着される。この第3の犠牲スカフォルド64は、それぞれの開口5の上の円筒形ノズルエンクロージャの側壁を画定するために露光、現像される。後続のノズルエンクロージャ材料の高温付着の間のフォトレジストのリフローを防ぐため、第3の犠牲スカフォルド64もUV硬化され、ハードベークされる。
【0053】
図18を参照すると、プラズマ化学蒸着によって第3の犠牲スカフォルド64上に窒化シリコンが付着される。窒化シリコンは、それぞれの開口5の上のエンクロージャルーフ61を形成する。エンクロージャ側壁62も、窒化シリコンの付着によって形成される。示された実施形態では窒化シリコンが付着されるが、エンクロージャルーフ61は、酸化シリコン、酸窒化シリコンなどからも同様に形成することができる。任意選択で、付着後のエンクロージャルーフ61上に疎水性材料(例えばフルオロポリマー)の層が付着される。この追加の付着ステップは、付着後の任意の段階で実行することができる(例えばエッチングの後、またはアッシングの後)。
【0054】
図19を参照すると、エンクロージャルーフ層61をエッチングすることによってノズルエンクロージャ60が形成される。このエッチングによってエンクロージャ開口部63が画定される。さらに、エンクロージャ側壁62の外側に位置するエンクロージャルーフ材料が除去される。このエッチングパターンは、標準フォトレジストマスキングによって画定される。
【0055】
このようにして、シリコン基板21の表側に、ノズルエンクロージャ60を含むノズル構造物が完全に形成された後、基板21の裏面から、フロントプラグ53まで達するインク供給路32がエッチングされる。
【0056】
図20を参照すると、インク供給路32の形成後、フォトレジストの第1、第2および第3の犠牲スカフォルドが、フロントプラグ53と共に、Oプラズマを使用してアッシングされる。これによって、インク供給路32からノズル開口5およびノズルエンクロージャ開口部63への流体接続が形成される。
【0057】
ノズルチャンバ側壁6の両側のフォトレジストの部分は、ルーフ44、単位セル側壁56およびチャンバ側壁6によってカプセル化されてそのまま残っていることに留意されたい。この部分のフォトレジストは、Oアッシングプラズマから保護され、したがって印刷ヘッドの製造後も無傷のまま残る。このカプセル化されたフォトレジストは、ノズルプレート2を支持することによって、印刷ヘッドに追加の頑丈さを有利に提供する。したがって、この印刷ヘッドは、ノズル列の上に連続的にまたがり、支持壁だけでなく硬化したフォトレジストの固体ブロックによっても支持された頑丈なノズルプレートを有する。
【0058】
他の実施形態
これまで、気泡形成ヒータエレメントを使用した印刷ヘッドに関して本発明を説明してきた。しかし、本発明は潜在的に、以下のものを含む広範囲の印刷システムに適している:カラーおよびモノクロオフィスプリンタ、ショートラン(short run)デジタルプリンタ、高速デジタルプリンタ、オフセット印刷機サプリメンタルプリンタ、低コストスキャニングプリンタ、高速ページ幅プリンタ、内蔵ページ幅プリンタを備えたノートブックコンピュータ、携帯型カラーおよびモノクロプリンタ、カラーおよびモノクロ複写機、カラーおよびモノクロファクシミリ機、複合型プリンタ、ファクシミリ/複写機、ラベルプリンタ、ラージフォーマットプロッタ、写真複写機、デジタル写真「minilabs」用プリンタ、ビデオプリンタ、PHOTO CD(PHOTO CDはEastman Kodak Company社の登録商標である)プリンタ、PDA用携帯型プリンタ、壁紙用プリンタ、屋内標識用プリンタ、広告板用プリンタ、布地用プリンタ、カメラプリンタおよびフォールトトレラント商用プリンタアレイ。
【0059】
特定の実施形態として示された本発明に、幅広く記述された本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、多数の変更および/または修正を実施することができることを当業者は理解しよう。したがって、本発明の諸実施形態は、あらゆる点において、例示を目的としたものである考えるべきであり、限定を目的としたものであると考えてはならない。
【0060】
インクジェット技術
本発明の実施形態は、インクジェットプリンタ型装置を使用する。もちろん、別の多くの装置を使用することもできる。しかし、現在普及しているインクジェット印刷技術は適していそうにない。
【0061】
熱インクジェットの最も重大な問題は電力消費である。その電力消費は、高速プリンタに対して必要とされるものの約100倍であり、これは、エネルギー効率の悪い滴放出手段に起因する。これは、インクを押し出す蒸気泡を生み出すための水の急速沸騰を含む。水は非常に高い熱容量を有し、熱インクジェット応用では水は過熱されなければならない。従来の熱インクジェット印刷ヘッドでは、これが、電気入力から滴の運動量(および表面積の増大)への約0.02%の効率につながる。
【0062】
圧電インクジェットの最も重大な問題はサイズおよびコストである。圧電結晶は、合理的な駆動電圧でわずかしか偏向せず、したがって、ノズルごとに大きな領域を必要とする。さらに、それぞれの圧電アクチュエータは、別個の基板上の駆動回路に接続されなければならない。これは、印刷ヘッドあたり約300ノズルの現行の限界においては重大な問題ではないが、19,200個のノズルを有するページ幅印刷ヘッドの製造にとって大きな障害である。
【0063】
使用されるインクジェット技術が、インカメラ(in−camera)デジタルカラー印刷応用および他の高品質、高速、低コスト印刷応用の厳しい要件を満たすことが理想である。デジタル写真の要件を満たすため、新しいインクジェット技術が生み出された。ターゲット特徴には以下のものが含まれる。
低電力(10ワット未満)
高解像度(1,600dpi以上)
写真品質の出力
低製造コスト
小サイズ(ページ幅×最小断面積)
高速(<2秒/ページ)
【0064】
困難さのレベルの異なる下記のインクジェットシステムによって、これらのすべての特徴を満たしまたは超えることができる。大量生産のための幅広い選択を与えるために、譲受人によって、異なる45種のインクジェット技術が開発された。これらの技術は、見出し「関連出願の相互参照」の下の表に記載された本発明の譲受人に譲渡された別個の出願の部分を構成する。
【0065】
ここに示されたインクジェット設計は、電池駆動の使い捨てデジタルカメラから、デスクトッププリンタおよびネットワークプリンタ、商用印刷システムに至る広範囲のデジタル印刷システムに適する。
【0066】
標準プロセス機器を使用して容易に製造できるように、印刷ヘッドは、MEMS後処理が実施されたモノリシック0.5ミクロンCMOSチップとして設計される。カラー写真応用に対して、印刷ヘッドの長さが100mmであり、印刷ヘッドの幅は、インクジェットのタイプによって決まる。設計された最も小さな印刷ヘッドは、35平方mmのチップ面積を与える幅0.35mmのIJ38である。これらの印刷ヘッドはそれぞれ、19,200個のノズル、ならびにデータおよび制御回路を含む。
【0067】
インクは、射出成形されたプラスチックインクチャネルによって印刷ヘッドの背面に供給される。この成形は50ミクロンフィーチャを必要とし、これは、標準射出成形ツールの中でリソグラフィによってマイクロ機械加工されたインサートを使用することによって生み出すことができる。インクは、ウェハを貫通してエッチングされた穴を通して、ウェハの前面に製作されたノズルチャンバへ流れる。印刷ヘッドは、テープ自動ボンディングによってカメラ回路に接続される。
【0068】
ドロップオンデマンドインクジェットの表
個々のインクジェットノズルの基本動作の重要な11の特性が識別された。これらの特性は主としてオーソゴナル(orthogonal)であり、そのため、11次元マトリックスとして説明することができる。このマトリックスの11軸の大部分は、本発明の譲受人によって開発された記入項目を含む。
【0069】
以下の表は、インクジェットタイプの11次元表の各軸を構成する。
アクチュエータ機構(18タイプ)
基本動作モード(7タイプ)
補助機構(8タイプ)
アクチュエータの増幅または修正法(17タイプ)
アクチュエータモーション(19タイプ)
ノズル補充法(4タイプ)
入口からの逆流を制限する方法(10タイプ)
ノズルクリアリング法(9タイプ)
ノズルプレートの構造(9タイプ)
滴放出方向(5タイプ)
インクタイプ(7タイプ)
【0070】
これらの軸によって表現される完全な11次元表は、インクジェットノズルの可能な構成を369億個含む。可能な組合せがすべて実行可能なインクジェット技術に帰着するわけではないが、100万を大きく超える構成が実行可能である。可能なすべての構成を説明することが実際的でないことは明らかである。その代わりに、ある種のインクジェットタイプが詳細に検討された。これらは、上記のIJ01からIJ45として表示されており、これらは、見出し「関連出願の相互参照」の下の表中の事件整理番号に一致する。
【0071】
他のインクジェット構成は、11軸のうちの1軸または数軸に沿って代替構成に置き換えることによって、これらの45個の例から容易に導き出すことができる。例IJ01からIJ45の大部分は、インクジェット印刷ヘッドに実施することができ、現在使用可能などのインクジェット技術よりも優れた特性を有する。
【0072】
本発明の発明者に知られている従来技術の例がある場合、これらのうちの1つまたは複数の例が、下表の例の欄に記載されている。IJ01からIJ45シリーズも例の欄に記載されている。いくつかのケースでは、2つ以上の記入項目と特性を共有する場合に、その印刷技術が表の中に2度以上記載されている場合がある。
【0073】
これらのインクジェット技術に適した応用には以下のものが含まれる:ホームプリンタ、オフィスネットワークプリンタ、ショートランデジタルプリンタ、商用印刷システム、布地用プリンタ、ポケットプリンタ、インターネットWWWプリンタ、ビデオプリンタ、医学画像処理、ワイドフォーマットプリンタ、ノートブックPCプリンタ、ファックス装置、工業用印刷システム、写真複写機、写真minilabsなど。
【0074】
前述の11次元マトリックスに関連した情報は、以下の表に記載されている。
【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【表8】


【表9】


【表10】


【表11】


【表12】


【表13】


【表14】


【表15】


【表16】


【表17】


【表18】


【表19】


【表20】


【表21】


【表22】


【表23】


【表24】


【表25】


【表26】


【表27】


【表28】


【表29】


【表30】


【表31】

【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】気泡形成ヒータエレメントを使用した一実施形態に基づく印刷ヘッドの単位セルのインクチャンバの概略断面図である。
【図2】別の動作段階における図1のインクチャンバの概略断面図である。
【図3】別の動作段階における図1のインクチャンバの概略断面図である。
【図4】別の動作段階における図1のインクチャンバの概略断面図である。
【図5】蒸気泡の崩壊を示す、本発明の一実施形態に基づく印刷ヘッドの単位セルの概略断面図である。
【図6】印刷ヘッドの単位セルの他の実施形態の一部破断概略透視図である。
【図7】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図8】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図9】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図10】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図11】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図12】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図13】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図14】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図15】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図16】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図17】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図18】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図19】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。
【図20】印刷ヘッドの製造プロセスの連続する様々な段階における、図6に示された単位セルの概略透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板であって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有する当該基板と、
少なくとも1つの隣接するノズルからそれぞれのノズルを分離するように構成された前記インク放出面上の複数の表面形成物と、
を備えた印刷ヘッド。
【請求項2】
前記表面形成物の各々が疎水性面を有する、請求項1に記載の印刷ヘッド。
【請求項3】
前記表面形成物が、複数のノズルエンクロージャとして構成されており、それぞれのノズルエンクロージャが、それぞれのノズルを取り囲む側壁を備え、前記側壁が、前記インク放出面との間にシールを形成し、それによって少なくとも1つの隣接するノズルからそれぞれのノズルを分離する、請求項1に記載の印刷ヘッド。
【請求項4】
それぞれのノズルエンクロージャがさらに、前記それぞれのノズル開口から間隔をあけて配置されたルーフを備え、前記ルーフが、前記それぞれのノズル開口と整列したルーフ開口部を有し、それによって前記ルーフは、放出されたインク小滴が、前記ルーフ開口部を通過して前記印刷媒体上に達することを可能にする、請求項3に記載の印刷ヘッド。
【請求項5】
前記側壁が、それぞれのルーフから前記インク放出面まで延びる、請求項4に記載の印刷ヘッド。
【請求項6】
前記側壁が、それぞれのルーフの周囲領域から延びる、請求項5に記載の印刷ヘッド。
【請求項7】
前記印刷ヘッドは、ページ幅インクジェット印刷ヘッドである、請求項1に記載の印刷ヘッド。
【請求項8】
前記印刷ヘッドが、最高1600dpiで印刷するのに十分なノズル密度を有する、請求項1に記載の印刷ヘッド。
【請求項9】
請求項1に記載の印刷ヘッドを備えたプリンタ。
【請求項10】
隣接するノズル間のインクの交差汚染を最小限に抑えながら、請求項1に記載の印刷ヘッドから印刷する方法であって、
(a)印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板であって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有する当該基板と、
少なくとも1つの隣接するノズルからそれぞれのノズルを分離するように構成された前記インク放出面上の複数の表面形成物と、
を備えた印刷ヘッドを提供するステップと、
(b)前記印刷ヘッドを使用して印刷媒体上に印刷するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
分離されたノズルを有する請求項1に記載の印刷ヘッドを製作する方法であって、
(a)印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板を提供するステップであって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有するステップと、
(b)前記インク放出面の上にフォトレジストの層を付着させるステップと、
(c)それぞれのノズル開口を取り囲む前記インク放出面の部分をそれぞれが露出させる凹みを、前記フォトレジストの中に画定するステップと、
(d)前記フォトレジストの上および前記凹みの中にルーフ材料を付着させるステップと、
(e)それぞれのノズル開口の周囲にノズルエンクロージャを画定するために前記ルーフ材料をエッチングするステップであって、それぞれのノズルエンクロージャが、ルーフの中に画定された開口部と、前記ルーフから前記インク放出面まで延びる側壁とを有するステップと、
(f)前記フォトレジストを除去するステップと
を含む方法。
【請求項12】
隣接するノズル間のインクの交差汚染を最小限に抑えながら、印刷ヘッドから印刷する方法であって、
(a)印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板であって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有する基板と、
少なくとも1つの隣接するノズルからそれぞれのノズルを分離するように構成された前記インク放出面上の複数の表面形成物と
を備えた印刷ヘッドを提供するステップと、
(b)前記印刷ヘッドを使用して印刷媒体上に印刷するステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記表面形成物がそれぞれ疎水性面を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記表面形成物が、複数のノズルエンクロージャとして構成されており、それぞれのノズルエンクロージャが、それぞれのノズルを取り囲む側壁を備え、前記側壁が、前記インク放出面との間にシールを形成し、それによって少なくとも1つの隣接するノズルからそれぞれのノズルを分離する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
それぞれのノズルエンクロージャがさらに、前記それぞれのノズル開口から間隔をあけて配置されたルーフを備え、前記ルーフが、そのそれぞれのノズル開口と整列したルーフ開口部を有し、それによって前記ルーフは、放出されたインク小滴が、前記ルーフ開口部を通過して前記印刷媒体上に達することを可能にする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記側壁が、それぞれのルーフから前記インク放出面まで延びる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記側壁が、それぞれのルーフの周囲領域から延びる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記印刷ヘッドがページ幅インクジェット印刷ヘッドである、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記印刷ヘッドが、最高1600dpiで印刷するのに十分なノズル密度を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
請求項12に記載の方法を使用して印刷する印刷ヘッドであって、
印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板であって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有する基板と、
少なくとも1つの隣接するノズルからそれぞれのノズルを分離するように構成された前記インク放出面上の複数の表面形成物と
を備えた印刷ヘッド。
【請求項21】
分離されたノズルを有する、請求項12に記載の方法を使用して印刷するための印刷ヘッドを製作する方法であって、
(a)印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板を提供するステップであって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有するステップと、
(b)前記インク放出面の上にフォトレジストの層を付着させるステップと、
(c)それぞれのノズル開口を取り囲む前記インク放出面の部分をそれぞれが露出させる凹みを、前記フォトレジストの中に画定するステップと、
(d)前記フォトレジストの上および前記凹みの中にルーフ材料を付着させるステップと、
(e)それぞれのノズル開口の周囲にノズルエンクロージャを画定するために前記ルーフ材料をエッチングするステップであって、それぞれのノズルエンクロージャが、ルーフの中に画定された開口部と、前記ルーフから前記インク放出面まで延びる側壁とを有するステップと、
(f)前記フォトレジストを除去するステップと
を含む方法。
【請求項22】
分離されたノズルを有する印刷ヘッドを製作する方法であって、
(a)印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板を提供するステップであって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有するステップと、
(b)前記インク放出面の上にフォトレジストの層を付着させるステップと、
(c)それぞれのノズル開口を取り囲む前記インク放出面の部分をそれぞれが露出させる凹みを、前記フォトレジストの中に画定するステップと、
(d)前記フォトレジストの上および前記凹みの中にルーフ材料を付着させるステップと、
(e)それぞれのノズル開口の周囲にノズルエンクロージャを画定するために前記ルーフ材料をエッチングするステップであって、それぞれのノズルエンクロージャが、ルーフの中に画定された開口部と、前記ルーフから前記インク放出面まで延びる側壁とを有するステップと、
(f)前記フォトレジストを除去するステップと
を含む方法。
【請求項23】
前記ルーフ材料の付着の前に前記フォトレジストがUV硬化され、および/またはハードベークされる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記凹みフィーチャが、露光および現像技法によって画定される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ルーフ材料が、プラズマ化学蒸着(PECVD)によって付着される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記ルーフ材料が、付着後に、疎水性材料でコーティングされる、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記印刷ヘッドがページ幅インクジェット印刷ヘッドである、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記印刷ヘッドが、最高1600dpiで印刷するのに十分なノズル密度を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
請求項22に記載の方法を使用して製作された印刷ヘッドであって、
印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板であって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有する基板と、
少なくとも1つの隣接するノズルからそれぞれのノズルを分離するように構成された前記インク放出面上の複数の表面形成物と
を備えた印刷ヘッド。
【請求項30】
隣接するノズル間のインクの交差汚染を最小限に抑えながら、請求項22に記載の方法を使用して製作された印刷ヘッドから印刷する方法であって、
(a)印刷媒体上にインク小滴を放出するための複数のノズルを含む基板であって、前記ノズルがそれぞれ、前記基板のインク放出面に画定されたノズル開口を有する基板と、
少なくとも1つの隣接するノズルからそれぞれのノズルを分離するように構成された前記インク放出面上の複数の表面形成物と
を備えた印刷ヘッドを提供するステップと、
(b)前記印刷ヘッドを使用して印刷媒体上に印刷するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2008−529848(P2008−529848A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555422(P2007−555422)
【出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000392
【国際公開番号】WO2006/099652
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】