切削インサートの製造の方法及び装置
アンダーカットを有する切削インサート未焼結体の製造方法は、閉じられた上部及び下部ダイに形成されたダイキャビティを用意すること、ダイキャビティの下部を下部ダイに形成されたパンチトンネルに関連付けられた下部パンチで閉じること、ダイキャビティを、所定量の焼結性粉末によって満たすこと、上部ダイに形成されたパンチトンネルを通して上部パンチをダイキャビティに向けて移動させること、上部及び下部のパンチを互いに向けて付勢することによって、焼結性粉末を締固め、それによって未焼結体を形成すること、そして、上部ダイと上部パンチを下部ダイと下部パンチから離して移動させ、それによって未焼結体の除去を可能にすることを含む。アンダーカットを有する切削インサート未焼結体の製造装置は、互いに当接する上部と下部のダイと、それぞれのダイ内を摺動する上部と下部のパンチを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後に焼結されて切削インサートになる焼結前の切削インサート未焼結体の製造の方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焼結性粉末、すなわち、冶金学のサーメットあるいはセラミックスの粉末から切削インサートを製作することは、該焼結性粉末を不堅牢な結合剤を伴い又は伴わずに焼結前の未焼結体に締固めること、及び、その後の切削インサートを生じさせるための未焼結体の焼結を含んでいる。締固めは、この技術分野でよく知られているように、焼結性粉末を包含しているダイ内に形成されているダイキャビティに向かって付勢される、上部及び下部パンチにより生成される大きな対向力でもって得られる高い圧力の下で起こる。しかしながら、アンダーカット要素を有している部品は一般に圧され得るが、このアンダーカット要素は、ダイキャビティから締固められた未焼結体を解放すること、及び、後続の抜き取ることを阻害する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、アンダーカット要素を有している締固められた未焼結体を製造するための改良された方法を提供することである。この目的は、特許請求の範囲に従う主題によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にしたがって、切削インサートの未焼結体を製造するための方法が好ましく提供され、該方法は以下のステップを備えている。
【0005】
(i)上部ダイ及び下部ダイと、これに関連し相対的に往復摺動可能な上部パンチ及び下部パンチを用意する。各々のダイは、対立するダイ当接面とダイ取付面、及びそれらの間に延在するダイの内周面を備えている。各ダイの内周面は、ダイ当接面から延在している第1の内周面、第1の内周面から延在し、ダイの内側縁部へ向けて収束している第2の内周面、及びダイの内側縁部からダイ取付面まで延在し、パンチトンネルを形成している第3の内周面を備えている。各パンチは、対立するパンチ押圧面とパンチ取付面を備え、パンチ周囲面がそれらの間に延在し、パンチ周囲面とパンチ押圧面との交差部にパンチ縁部を形成している。
【0006】
(ii)上部ダイ及び下部ダイを、それぞれのダイ当接面が当接し、且つ、それぞれの第1の内周面及び第2の内周面がダイキャビティを形成する、閉じ位置に位置決めする。下部のパンチは下部ダイのパンチトンネル内に位置されており、そして上部パンチは上部ダイのパンチトンネルの外にある。
【0007】
(iii)ダイキャビティを、所定量の焼結性粉末によって満たす。
【0008】
(iv)上部パンチを上部ダイのパンチトンネルの中に移動させる。
【0009】
(v)それぞれのパンチトンネルを通してパンチを互いに向けて締固め位置に付勢することによって、焼結性粉末を締固める。締固め位置において、上部パンチのパンチ縁部と上部ダイのダイ内側縁部は連続的で、そして下部パンチのパンチ縁部と下部ダイのダイ内側縁部も連続的であり、それによって未焼結体を形成する。
【0010】
(vi)上部ダイと上部パンチを下部ダイと下部パンチから離して開位置に移動させ、それによって未焼結体の除去を可能にする。
【0011】
好ましくは、未焼結体は、対立する未焼結体端面とそれらの間に延在する周囲側面とを備えている。未焼結体端面は、パンチ押圧面によって形成される。未焼結体の周囲面は、上部ダイと下部ダイの第1の内周面及び第2の内周面によって形成される。
【0012】
さらに好ましくは、未焼結体は、上部と下部の未焼結体端面と未焼結体周囲面との交差部にそれぞれ形成された、上部と下部の未焼結体縁部を備えている。関連付けられ連続的な上部と下部のパンチ縁部と、上部と下部のダイ内側縁部とが、それぞれ、上部と下部の共通するダイキャビティ縁部を形成している。上部と下部の未焼結体縁部は、上部と下部の共通するダイキャビティ縁部において形成される。
【0013】
さらにまた好ましくは、未焼結体は上部と下部の未焼結体端面の間に延在する正中央面Mを備えている。締固め位置では、当接している上部と下部のダイ当接面が未焼結体の正中央面Mと一致する。
【0014】
望むなら、未焼結体周囲面は未焼結体縁部に隣接する上部及び下部の未焼結体逃げ面を備える。各々の未焼結体逃げ面は、未焼結体正中央面Mとで逃げ角ρを形成する。逃げ角ρは、各未焼結体逃げ面の少なくとも一部において鈍角である。
【0015】
さらに望むなら、逃げ面が第2の内周面によって形成される。
【0016】
典型的には、未焼結体端面は未焼結体縁部に隣接するすくい面を備える。すくい面及び逃げ面に隣接して、鈍くないウェッジ角ωを有するウェッジを形成する。
【0017】
一般に、ウェッジ角ωは、少なくともウェッジの一部に沿って鋭角である。
【0018】
他の好ましい実施形態に従えば、未焼結体は未焼結体端面の間に延在する長手方向貫通穴を備えてもよい。長手方向貫通穴は、ダイキャビティを通りパンチ押圧面の間に延在する長手方向ロッドによって形成される。
【0019】
望むなら、長手方向ロッドは、上部及び下部のパンチに形成された上部及び下部のパンチピン貫通穴に配置された、上部及び下部の往復摺動可能な長手方向ピンを備えている。
【0020】
代わりに、未焼結体は、未焼結体周囲面の2つの対立している未焼結体主側面の間に延在する横方向貫通穴を備えてもよい。横方向貫通穴は、上部及び下部のダイの第1の内周面の対立する内側部のダイキャビティを通って延在する横方向ロッドによって形成される。
【0021】
好ましくは、横方向ロッドは、上部ダイ及び下部ダイの上部及び下部のダイピン溝に配置された往復摺動可能な対立する横方向ピンを備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、下記の好ましい優位性をもたらす:
・ アンダーカット要素を有する未焼結体の押圧と引続く排出を容易にする;
・ 未焼結体から製造される切削インサートのために望ましい、鋭利な、明確に定められた刃部及び鋭角のウェッジ角を有する未焼結体を形成する;
・ ツールセットのデザインにおける鋭い凹部要素を排除することによって、ダイ又はパンチへの粉末の付着、及び、その後の締固められた未焼結体への裂断損傷の危険性を低減しつつ、ツールセットの剛性を増大させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のより良き理解及び本発明が如何に実際に実施され得るかを示すために、添付の図面が参照される。
【0024】
図1から4に注目するに、焼結前の未焼結体20は、好ましくは、冶金学のセラミック又はサーメット及び結合剤からなる焼結性粉末の締固めによって形成される。未焼結体20は、端面視において概ね矩形であって、そして、同一で、対立する(すなわち、反対の方向に面する)上部と下部の未焼結体端面22´、22´´を有している。本説明においては、参照数字に続くとき、一個のダッシュ「´」は未焼結体切削インサートの上部側に関連する特徴を意味する一方、二個のダッシュ「´´」は未焼結体切削インサートの下部側に関連する特徴を意味する。それぞれの未焼結体端面22´、22´´は、2つの未焼結体端面22´、22´´を通る対称軸Sの回りに180°の回転対称性を有している。周囲の未焼結体側面24が2つの未焼結体端面22´、22´´の間に延在している。周囲の未焼結体側面24は、2つの対立している概略平行四辺形で同一の主側面24J、2つの対立している同じく概略平行四辺形で同一の副側面24N、及び、4つの湾曲したコーナー面24Cを備えている。それぞれのコーナー面24Cは、主側面24Jと隣接する副側面24Nとの間に延在している。
【0025】
未焼結体の主軸J及び副軸Nは、互いに直交し且つ対称軸Sに直交するものとして定義される。主軸Jは主側面24Jを通って延在し、そして副軸Nは副側面24Nを通って延在する。それぞれの主側面24Jは主軸Jの回りに180°の回転対称性を有し、そして、それぞれの副側面24Nは副軸Nの回りに180°の回転対称性を有する。主軸J及び副軸Nは、上部及び下部の未焼結体端面22´、22´´の間に延在する正中央面Mを定めている。
【0026】
それぞれの未焼結体端面22´、22´´と周囲の未焼結体側面24との交差部は、それぞれ、上部及び下部の未焼結体縁部26´、26´´を形成している。焼結の結果として、未焼結体20は割り出し可能で、そして両面仕立の切削インサートとなり、上部及び下部の未焼結体縁部26´、26´´の各々の少なくとも一部が切削刃となる。
【0027】
未焼結体縁部26´、26´´の各々は、主側面24Jと上部及び下部の端面22´、22´´との交差部によって形成される2つの主縁部26J´、26J´´、副側面24Nと上部及び下部の端面22´、22´´との交差部によって形成される2つの副縁部26N´、26N´´、及び、コーナー面24Cと上部及び下部の端面22´、22´´の各々との交差部によって形成される4つのコーナー縁部26C´、26C´´を備えている。
【0028】
周囲の未焼結体側面24は、上部及び下部の未焼結体縁部26´、26´´にそれぞれ隣接する上部及び下部の逃げ面28´、28´´を有している。主側面24Jの各々は、主縁部26J´、26J´´に隣接する2つの主逃げ面28J´、28J´´を有し、副側面24Nの各々は、副縁部26N´、26N´´に隣接する2つの副逃げ面28N´、28N´´を有し、そして、コーナー面24Cの各々はコーナー縁部26C´、26C´´に沿って延在する2つのコーナー逃げ面28C´、28C´´を有している。中央の周囲面30が、上部及び下部の逃げ面28´、28´´の間に延在する。好ましい実施形態では、未焼結体の正中央面Mが中央の周囲面30に交差している。
【0029】
主逃げ面28J´、28J´´の各々は、未焼結体の正中央面Mと共に主逃げ角ρJを形成している。好ましい実施形態に従えば、主逃げ角ρjは鈍角であり、それ故に、上部及び下部の主逃げ面28J´、28J´´の1つが未焼結体20のアンダーカット要素を構成している。同様に、副逃げ面28N´、28N´´及びコーナー逃げ面28C´、28C´´は、未焼結体の正中央面Mと共に副逃げ角及びコーナー逃げ角を形成していることが理解されよう。
【0030】
図2において最も良く分かるように、未焼結体の上部端面22´は、対称軸Sに平行に且つ上部の未焼結体縁部26´から内方に対称軸Sに向かって延在する上部ランド32´を有している。上部ランド32´は、上部の主縁部26J´に沿って形成された一対の上部主ランド32J´、上部の副縁部26N´に沿って形成された一対の上部副ランド32N´、及び、上部のコーナー端縁26C´に沿って形成された4つの上部コーナーランド32C´を備えている。上部すくい面34´は、正中央面Mに向かって傾斜しつつ、上部ランド32´から対称軸Sに向かって内方に延在している。上部すくい面34´は、上部主ランド32J´に隣接する一対の上部主すくい面34J´、上部副ランド32N´に隣接する一対の上部副すくい面34N´、及び、上部コーナーランド32C´に隣接する4つの上部コーナーすくい面34C´を備えている。未焼結体上部端面22´と、特にその上部すくい面32´とは、種々の幾何学的形状及びチップブレーカのような特徴部を備え得ることが理解されよう。未焼結体の下部端面22´´が、未焼結体の上部端面22´と同様なランドとすくい面構造を有することもさらに理解されよう。
【0031】
図4に見られるように、上部主逃げ面28J´と上部主すくい面34J´に隣接して、上部主ウェッジ角ωj´を有する上部主ウェッジ36Jを形成する。上部の副ウェッジ角を有する上部の副ウェッジは、上部の副逃げ面28N´と上部の副すくい面34N´の間に隣接して形成される一方、上部コーナーウェッジ角を有する上部コーナーウェッジ36C´が上部コーナー逃げ面28C´と上部コーナーすくい面34C´の間にそれぞれに隣接して形成されることが理解されよう。好ましい実施態様によれば、上部主ウェッジ角ωJ´、上部副ウェッジ角及び上部コーナーウェッジ角は全て鋭角である。未焼結体の下部の端面22はまた、同じくこのようなウェッジとウェッジ角を有していることが理解されよう。
【0032】
さて、図5及び11に注目する。未焼結体20は、上部及び下部のダイ40´、40´´を有しているツールセット38で締固められる。それぞれのダイ40´、40´´は、ダイ40´、40´´をプレス(不図示)に取り付けるために用いられるダイ取付面42´、42´´、対向しているダイ当接面44´、44´´、及びそれらの間に延在しているダイ外周面46´、46´´、ダイ内周面48´、48´´を備えている。ダイ内周面48´、48´´の各々は、ダイ当接面44´、44´´から横向きに延在する第1の内周面50´、50´´、第1の内周面50´、50´´から延在し且つダイの内側縁部54´、54´´に内方に向けて収束している第2の内周面52´、52´´、及び、ダイの内側縁部54´、54´´からダイ取付面42´、42´´まで延在している第3の内周面56´、56´´を備えている。第3の内周面56´、56´´は、パンチトンネル58´、58´´を形成している。
【0033】
上部及び下部のパンチ60´、60´´は、それぞれ、上部と下部のダイ40´、40´´に関連つけられ、それぞれのパンチトンネル58´、58´´を通って、それに対して滑り往復動可能に適合されている。かくて、各々のパンチは、そのパンチトンネルの中でいずれかの方向に摺動することができる。各々のパンチは、パンチをプレスに取り付けるために用いられるパンチ取付面62´、62´´、対向するパンチプレス面64´、64´´、及びそれらの間に延在するパンチ周囲面66´、66´´を備え、パンチ周囲面66´、66´´とパンチプレス面64´、64´´との交差部においてパンチ縁部68´、68´´を形成している。ダイ40´、40´´又はパンチ60´、60´´の各々は、上部及び下部のダイ40´、40´´又はパンチ60´、60´´の他方の各々に対して独立して往復運動する能力を有している。
【0034】
図6ないし図8にさらに注目する。未焼結体20を製造するためには、ツールセット38が、閉じ、充填、締固め及び開きのステップによって一巡される。閉じステップ(図6)では、ダイ当接面44´、44´´が当接し、そして第1及び第2のダイ内周面50´、50´´、52´、52´´が上部と下部のダイ内側縁部54´、54´´の間に延在するダイキャビティ70を形成する閉じ位置にツールセット38がもたらされる。下部のパンチ60´´は、下部のダイ40´´のパンチトンネル58´´内に、そのパンチ縁部68´´がダイ内側縁部54´´の下方に位置された状態で置かれる一方、上部パンチ60´は上部ダイ40´のパンチトンネル58´の外に位置付けられる。
【0035】
充填ステップ(図7)において、ダイキャビティ70は上部ダイ40´のパンチトンネル58´を通して所定量の焼結性粉末72で満たされる。ダイキャビティ70を充填した後に、上部パンチ60´が上部ダイ40´のパンチトンネル58´内に降ろされる。そして、それによって焼結性粉末72をダイキャビティ70に封入する。
【0036】
締固めステップでは、図5に示されるように、焼結性粉末72が未焼結体20を形成するために締固められる。このとき、ツールセット38は、上部パンチ60´及び下部パンチ60´´を互いに向けて付勢し、それぞれのパンチ縁部68´、68´´とそれに関連するダイの内側縁部54´、54´´とが連続し、それによって上部及び下部の共通するダイキャビティ縁部74´、74´´を形成するまで、締固め位置にもたらされる。好ましい実施形態によれば、締固めステップの際に、未焼結体端面22´、22´´はパンチプレス面64´、64´´によって形成される。未焼結体縁部26´、26´´の各々は、共通するダイキャビティ縁部74´、74´´において形成される。未焼結体の逃げ面28´、28´´は、上部及び下部のダイ当接面44´、44´´が未焼結体の正中央面Mに一致するのと同時に、第2の内周面52´、52´´によって形成され、未焼結体の上部及び下部の中央周囲面30´、30´´は上部及び下部のダイ40´、40´´の第1の内周面50´、50´´によってそれぞれ形成される。
【0037】
未焼結体のアンダーカット要素の存在、すなわち、鈍角の逃げ角ρJを有している上部及び下部の主逃げ面28J´、28J´´の存在、及び、ダイの第2の内周面52´、52´´の相応しい幾何学的形状のために、未焼結体20はダイキャビティ70から解放されずに、上部ダイ40´のパンチトンネル58´を通しては取り出され得ない。未焼結体20を解放し、そしてツールセット38からそれを取り出すために、ツールセットが開き位置(図8参照)にもたらされる開きステップが行われねばならない。開き位置に到達するために、上部ダイ40´及び上部パンチ60´が上に動かされて、下部ダイ40´´及び下部パンチ60´´から離され、ダイキャビティ70を開いて、それによって未焼結体20を露出させ、そして、それが下部のダイ40´´から除去されるのを自由にする。
【0038】
切削インサート未焼結体の製造方法が、貫通穴を有さない切削インサートについて上に例示された。しかしながら、上に説明された方法は、形成された貫通穴を有している切削インサート未焼結体の製造にも容易に適用され得ることは当業者には明らかであろう。
【0039】
図9及び図11に注目する。長手方向貫通穴の未焼結体220は、長手方向貫通穴ツールセット238によって締固められる。長手方向貫通穴の未焼結体220と長手方向貫通穴ツールセット238は、貫通穴のない未焼結体20とそれに関連付けられるツールセット38の特徴部に類似している多くの特徴部を有しており、かかる類似の特徴部は、以下に、貫通穴のない未焼結体20と関連ツールセット38の参照番号から200だけシフトされた参照番号によって言及されるであろう。長手方向貫通穴の未焼結体220は、未焼結体上部端面222´と下部端面222´´との間を未焼結体正中央面Mに直交して延在する長手方向貫通穴76を備える。長手方向貫通穴ツールセット238は、上部の長手方向ピン78´及び下部の長手方向ピン78´´を備えている。上部長手方向ピン78´及び下部長手方向ピン78´´は、上部パンチ260´及び下部パンチ260´´のそれぞれのパンチ取付面262´及び262´´と、パンチ押圧面264´及び264´´とを通って延在するパンチピン貫通穴80´及び80´´内に摺動可能に配置されている。長手方向貫通穴未焼結体220の締固めの際には、上部長手方向ピン78´及び下部長手方向ピン78´´がダイキャビティ270の中に延在して、長手方向ロッド82を構成する。この長手方向ロッド82は上部パンチ押圧面264´及び下部パンチ押圧面264´´の間に延在し、締固められた長手方向貫通穴未焼結体220に長手方向貫通穴76を形成するためのものである。
【0040】
図10及び図13に注目する。横方向貫通穴の未焼結体420は、横方向貫通穴ツールセット438によって締固められる。横方向貫通穴の未焼結体420と横方向貫通穴ツールセット438とは、貫通穴のない未焼結体20とそれに関連付けられるツールセット38の特徴部に類似している多くの特徴部を有しており、かかる類似の特徴部は、以下に、貫通穴のない未焼結体20と関連ツールセット38の参照番号から400だけシフトされた参照番号によって言及されるであろう。かくて、ツールセット438は上部ダイ440´と下部ダイ440´´、及び上部パンチ460´と下部パンチ460´´を含む。
【0041】
横方向貫通穴未焼結体420は、対立している横方向貫通穴未焼結体主側面424Jの横方向貫通穴未焼結体主中央面430Jの間を主軸Jに沿って延在する横方向貫通穴84を備える。横方向貫通穴ツールセット438は、上部ダイと下部ダイの第1ピン溝88F´、88F´´及び上部ダイと下部ダイの第2ピン溝88S´、88S´´に摺動可能に配置された第1の横方向ピン86F及び第2の横方向ピン86Sを備えている。横方向貫通穴未焼結体420の締固めの際は、第1の横方向ピン86F及び第2の横方向ピン86Sがダイキャビティ470の中に突出して、そして横方向のロッド90を形成すべく互いに当接する。横方向ロッド90は、横方向貫通穴未焼結体420の横方向穴84を形成するために、ダイの第1の内周面における、上部及び下部の第1の対立した部位92F´、92F´´及び第2の対立した部位92S´、92S´´を通って延在する。
【0042】
上述の装置及び方法は、アンダーカット要素を有する未焼結体の押圧とその後の排出を容易にすることができる。それらはまた、未焼結体から製造される切削インサートにおいて一般に望ましいとされている程度の鋭利な、明確に定められた刃部及び鋭角のウェッジ角を有する未焼結体の形成を許容することができる。最後に、ツールセットのデザインにおいて鋭い凹部要素を排除することによって、本発明によるツールセットは、ダイ又はパンチへの粉末の付着、及び、その後の締固められた未焼結体への裂断損傷の増大された危険性を経験することなく、適度な剛性を有することができる。
【0043】
本発明がある程度の詳細さで説明されたが、以下にクレームされるように、本発明への変更及び変形が本発明の範囲から逸脱することなくできることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の方法に従い製造される未焼結体の斜視図である。
【図2】図1に示された未焼結体の端面図である。
【図3】図1に示された未焼結体の主側面図である。
【図4】図1に示された未焼結体の、図3でのIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明によるツールセットの、締固め位置における概略断面図である。
【図6】図5に示されたツールセットの、閉位置における概略断面図である。図式の横の部である
【図7】図5に示されたツールセットの、充填位置における概略断面図である。
【図8】図5に示されたツールセットの、開位置における概略断面図である。
【図9】長手方向貫通穴ツールセットの、締固め位置における概略断面図である。
【図10】横方向貫通穴ツールセットの、締固め位置における概略断面図である。
【図11】図5に示されたツールセットの分解斜視図である。
【図12】図9に示された長手方向貫通穴ツールセットの分解斜視図である。の立体の図である;
【図13】図10に示された横方向貫通穴ツールセットの分解斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、後に焼結されて切削インサートになる焼結前の切削インサート未焼結体の製造の方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焼結性粉末、すなわち、冶金学のサーメットあるいはセラミックスの粉末から切削インサートを製作することは、該焼結性粉末を不堅牢な結合剤を伴い又は伴わずに焼結前の未焼結体に締固めること、及び、その後の切削インサートを生じさせるための未焼結体の焼結を含んでいる。締固めは、この技術分野でよく知られているように、焼結性粉末を包含しているダイ内に形成されているダイキャビティに向かって付勢される、上部及び下部パンチにより生成される大きな対向力でもって得られる高い圧力の下で起こる。しかしながら、アンダーカット要素を有している部品は一般に圧され得るが、このアンダーカット要素は、ダイキャビティから締固められた未焼結体を解放すること、及び、後続の抜き取ることを阻害する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、アンダーカット要素を有している締固められた未焼結体を製造するための改良された方法を提供することである。この目的は、特許請求の範囲に従う主題によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にしたがって、切削インサートの未焼結体を製造するための方法が好ましく提供され、該方法は以下のステップを備えている。
【0005】
(i)上部ダイ及び下部ダイと、これに関連し相対的に往復摺動可能な上部パンチ及び下部パンチを用意する。各々のダイは、対立するダイ当接面とダイ取付面、及びそれらの間に延在するダイの内周面を備えている。各ダイの内周面は、ダイ当接面から延在している第1の内周面、第1の内周面から延在し、ダイの内側縁部へ向けて収束している第2の内周面、及びダイの内側縁部からダイ取付面まで延在し、パンチトンネルを形成している第3の内周面を備えている。各パンチは、対立するパンチ押圧面とパンチ取付面を備え、パンチ周囲面がそれらの間に延在し、パンチ周囲面とパンチ押圧面との交差部にパンチ縁部を形成している。
【0006】
(ii)上部ダイ及び下部ダイを、それぞれのダイ当接面が当接し、且つ、それぞれの第1の内周面及び第2の内周面がダイキャビティを形成する、閉じ位置に位置決めする。下部のパンチは下部ダイのパンチトンネル内に位置されており、そして上部パンチは上部ダイのパンチトンネルの外にある。
【0007】
(iii)ダイキャビティを、所定量の焼結性粉末によって満たす。
【0008】
(iv)上部パンチを上部ダイのパンチトンネルの中に移動させる。
【0009】
(v)それぞれのパンチトンネルを通してパンチを互いに向けて締固め位置に付勢することによって、焼結性粉末を締固める。締固め位置において、上部パンチのパンチ縁部と上部ダイのダイ内側縁部は連続的で、そして下部パンチのパンチ縁部と下部ダイのダイ内側縁部も連続的であり、それによって未焼結体を形成する。
【0010】
(vi)上部ダイと上部パンチを下部ダイと下部パンチから離して開位置に移動させ、それによって未焼結体の除去を可能にする。
【0011】
好ましくは、未焼結体は、対立する未焼結体端面とそれらの間に延在する周囲側面とを備えている。未焼結体端面は、パンチ押圧面によって形成される。未焼結体の周囲面は、上部ダイと下部ダイの第1の内周面及び第2の内周面によって形成される。
【0012】
さらに好ましくは、未焼結体は、上部と下部の未焼結体端面と未焼結体周囲面との交差部にそれぞれ形成された、上部と下部の未焼結体縁部を備えている。関連付けられ連続的な上部と下部のパンチ縁部と、上部と下部のダイ内側縁部とが、それぞれ、上部と下部の共通するダイキャビティ縁部を形成している。上部と下部の未焼結体縁部は、上部と下部の共通するダイキャビティ縁部において形成される。
【0013】
さらにまた好ましくは、未焼結体は上部と下部の未焼結体端面の間に延在する正中央面Mを備えている。締固め位置では、当接している上部と下部のダイ当接面が未焼結体の正中央面Mと一致する。
【0014】
望むなら、未焼結体周囲面は未焼結体縁部に隣接する上部及び下部の未焼結体逃げ面を備える。各々の未焼結体逃げ面は、未焼結体正中央面Mとで逃げ角ρを形成する。逃げ角ρは、各未焼結体逃げ面の少なくとも一部において鈍角である。
【0015】
さらに望むなら、逃げ面が第2の内周面によって形成される。
【0016】
典型的には、未焼結体端面は未焼結体縁部に隣接するすくい面を備える。すくい面及び逃げ面に隣接して、鈍くないウェッジ角ωを有するウェッジを形成する。
【0017】
一般に、ウェッジ角ωは、少なくともウェッジの一部に沿って鋭角である。
【0018】
他の好ましい実施形態に従えば、未焼結体は未焼結体端面の間に延在する長手方向貫通穴を備えてもよい。長手方向貫通穴は、ダイキャビティを通りパンチ押圧面の間に延在する長手方向ロッドによって形成される。
【0019】
望むなら、長手方向ロッドは、上部及び下部のパンチに形成された上部及び下部のパンチピン貫通穴に配置された、上部及び下部の往復摺動可能な長手方向ピンを備えている。
【0020】
代わりに、未焼結体は、未焼結体周囲面の2つの対立している未焼結体主側面の間に延在する横方向貫通穴を備えてもよい。横方向貫通穴は、上部及び下部のダイの第1の内周面の対立する内側部のダイキャビティを通って延在する横方向ロッドによって形成される。
【0021】
好ましくは、横方向ロッドは、上部ダイ及び下部ダイの上部及び下部のダイピン溝に配置された往復摺動可能な対立する横方向ピンを備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、下記の好ましい優位性をもたらす:
・ アンダーカット要素を有する未焼結体の押圧と引続く排出を容易にする;
・ 未焼結体から製造される切削インサートのために望ましい、鋭利な、明確に定められた刃部及び鋭角のウェッジ角を有する未焼結体を形成する;
・ ツールセットのデザインにおける鋭い凹部要素を排除することによって、ダイ又はパンチへの粉末の付着、及び、その後の締固められた未焼結体への裂断損傷の危険性を低減しつつ、ツールセットの剛性を増大させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のより良き理解及び本発明が如何に実際に実施され得るかを示すために、添付の図面が参照される。
【0024】
図1から4に注目するに、焼結前の未焼結体20は、好ましくは、冶金学のセラミック又はサーメット及び結合剤からなる焼結性粉末の締固めによって形成される。未焼結体20は、端面視において概ね矩形であって、そして、同一で、対立する(すなわち、反対の方向に面する)上部と下部の未焼結体端面22´、22´´を有している。本説明においては、参照数字に続くとき、一個のダッシュ「´」は未焼結体切削インサートの上部側に関連する特徴を意味する一方、二個のダッシュ「´´」は未焼結体切削インサートの下部側に関連する特徴を意味する。それぞれの未焼結体端面22´、22´´は、2つの未焼結体端面22´、22´´を通る対称軸Sの回りに180°の回転対称性を有している。周囲の未焼結体側面24が2つの未焼結体端面22´、22´´の間に延在している。周囲の未焼結体側面24は、2つの対立している概略平行四辺形で同一の主側面24J、2つの対立している同じく概略平行四辺形で同一の副側面24N、及び、4つの湾曲したコーナー面24Cを備えている。それぞれのコーナー面24Cは、主側面24Jと隣接する副側面24Nとの間に延在している。
【0025】
未焼結体の主軸J及び副軸Nは、互いに直交し且つ対称軸Sに直交するものとして定義される。主軸Jは主側面24Jを通って延在し、そして副軸Nは副側面24Nを通って延在する。それぞれの主側面24Jは主軸Jの回りに180°の回転対称性を有し、そして、それぞれの副側面24Nは副軸Nの回りに180°の回転対称性を有する。主軸J及び副軸Nは、上部及び下部の未焼結体端面22´、22´´の間に延在する正中央面Mを定めている。
【0026】
それぞれの未焼結体端面22´、22´´と周囲の未焼結体側面24との交差部は、それぞれ、上部及び下部の未焼結体縁部26´、26´´を形成している。焼結の結果として、未焼結体20は割り出し可能で、そして両面仕立の切削インサートとなり、上部及び下部の未焼結体縁部26´、26´´の各々の少なくとも一部が切削刃となる。
【0027】
未焼結体縁部26´、26´´の各々は、主側面24Jと上部及び下部の端面22´、22´´との交差部によって形成される2つの主縁部26J´、26J´´、副側面24Nと上部及び下部の端面22´、22´´との交差部によって形成される2つの副縁部26N´、26N´´、及び、コーナー面24Cと上部及び下部の端面22´、22´´の各々との交差部によって形成される4つのコーナー縁部26C´、26C´´を備えている。
【0028】
周囲の未焼結体側面24は、上部及び下部の未焼結体縁部26´、26´´にそれぞれ隣接する上部及び下部の逃げ面28´、28´´を有している。主側面24Jの各々は、主縁部26J´、26J´´に隣接する2つの主逃げ面28J´、28J´´を有し、副側面24Nの各々は、副縁部26N´、26N´´に隣接する2つの副逃げ面28N´、28N´´を有し、そして、コーナー面24Cの各々はコーナー縁部26C´、26C´´に沿って延在する2つのコーナー逃げ面28C´、28C´´を有している。中央の周囲面30が、上部及び下部の逃げ面28´、28´´の間に延在する。好ましい実施形態では、未焼結体の正中央面Mが中央の周囲面30に交差している。
【0029】
主逃げ面28J´、28J´´の各々は、未焼結体の正中央面Mと共に主逃げ角ρJを形成している。好ましい実施形態に従えば、主逃げ角ρjは鈍角であり、それ故に、上部及び下部の主逃げ面28J´、28J´´の1つが未焼結体20のアンダーカット要素を構成している。同様に、副逃げ面28N´、28N´´及びコーナー逃げ面28C´、28C´´は、未焼結体の正中央面Mと共に副逃げ角及びコーナー逃げ角を形成していることが理解されよう。
【0030】
図2において最も良く分かるように、未焼結体の上部端面22´は、対称軸Sに平行に且つ上部の未焼結体縁部26´から内方に対称軸Sに向かって延在する上部ランド32´を有している。上部ランド32´は、上部の主縁部26J´に沿って形成された一対の上部主ランド32J´、上部の副縁部26N´に沿って形成された一対の上部副ランド32N´、及び、上部のコーナー端縁26C´に沿って形成された4つの上部コーナーランド32C´を備えている。上部すくい面34´は、正中央面Mに向かって傾斜しつつ、上部ランド32´から対称軸Sに向かって内方に延在している。上部すくい面34´は、上部主ランド32J´に隣接する一対の上部主すくい面34J´、上部副ランド32N´に隣接する一対の上部副すくい面34N´、及び、上部コーナーランド32C´に隣接する4つの上部コーナーすくい面34C´を備えている。未焼結体上部端面22´と、特にその上部すくい面32´とは、種々の幾何学的形状及びチップブレーカのような特徴部を備え得ることが理解されよう。未焼結体の下部端面22´´が、未焼結体の上部端面22´と同様なランドとすくい面構造を有することもさらに理解されよう。
【0031】
図4に見られるように、上部主逃げ面28J´と上部主すくい面34J´に隣接して、上部主ウェッジ角ωj´を有する上部主ウェッジ36Jを形成する。上部の副ウェッジ角を有する上部の副ウェッジは、上部の副逃げ面28N´と上部の副すくい面34N´の間に隣接して形成される一方、上部コーナーウェッジ角を有する上部コーナーウェッジ36C´が上部コーナー逃げ面28C´と上部コーナーすくい面34C´の間にそれぞれに隣接して形成されることが理解されよう。好ましい実施態様によれば、上部主ウェッジ角ωJ´、上部副ウェッジ角及び上部コーナーウェッジ角は全て鋭角である。未焼結体の下部の端面22はまた、同じくこのようなウェッジとウェッジ角を有していることが理解されよう。
【0032】
さて、図5及び11に注目する。未焼結体20は、上部及び下部のダイ40´、40´´を有しているツールセット38で締固められる。それぞれのダイ40´、40´´は、ダイ40´、40´´をプレス(不図示)に取り付けるために用いられるダイ取付面42´、42´´、対向しているダイ当接面44´、44´´、及びそれらの間に延在しているダイ外周面46´、46´´、ダイ内周面48´、48´´を備えている。ダイ内周面48´、48´´の各々は、ダイ当接面44´、44´´から横向きに延在する第1の内周面50´、50´´、第1の内周面50´、50´´から延在し且つダイの内側縁部54´、54´´に内方に向けて収束している第2の内周面52´、52´´、及び、ダイの内側縁部54´、54´´からダイ取付面42´、42´´まで延在している第3の内周面56´、56´´を備えている。第3の内周面56´、56´´は、パンチトンネル58´、58´´を形成している。
【0033】
上部及び下部のパンチ60´、60´´は、それぞれ、上部と下部のダイ40´、40´´に関連つけられ、それぞれのパンチトンネル58´、58´´を通って、それに対して滑り往復動可能に適合されている。かくて、各々のパンチは、そのパンチトンネルの中でいずれかの方向に摺動することができる。各々のパンチは、パンチをプレスに取り付けるために用いられるパンチ取付面62´、62´´、対向するパンチプレス面64´、64´´、及びそれらの間に延在するパンチ周囲面66´、66´´を備え、パンチ周囲面66´、66´´とパンチプレス面64´、64´´との交差部においてパンチ縁部68´、68´´を形成している。ダイ40´、40´´又はパンチ60´、60´´の各々は、上部及び下部のダイ40´、40´´又はパンチ60´、60´´の他方の各々に対して独立して往復運動する能力を有している。
【0034】
図6ないし図8にさらに注目する。未焼結体20を製造するためには、ツールセット38が、閉じ、充填、締固め及び開きのステップによって一巡される。閉じステップ(図6)では、ダイ当接面44´、44´´が当接し、そして第1及び第2のダイ内周面50´、50´´、52´、52´´が上部と下部のダイ内側縁部54´、54´´の間に延在するダイキャビティ70を形成する閉じ位置にツールセット38がもたらされる。下部のパンチ60´´は、下部のダイ40´´のパンチトンネル58´´内に、そのパンチ縁部68´´がダイ内側縁部54´´の下方に位置された状態で置かれる一方、上部パンチ60´は上部ダイ40´のパンチトンネル58´の外に位置付けられる。
【0035】
充填ステップ(図7)において、ダイキャビティ70は上部ダイ40´のパンチトンネル58´を通して所定量の焼結性粉末72で満たされる。ダイキャビティ70を充填した後に、上部パンチ60´が上部ダイ40´のパンチトンネル58´内に降ろされる。そして、それによって焼結性粉末72をダイキャビティ70に封入する。
【0036】
締固めステップでは、図5に示されるように、焼結性粉末72が未焼結体20を形成するために締固められる。このとき、ツールセット38は、上部パンチ60´及び下部パンチ60´´を互いに向けて付勢し、それぞれのパンチ縁部68´、68´´とそれに関連するダイの内側縁部54´、54´´とが連続し、それによって上部及び下部の共通するダイキャビティ縁部74´、74´´を形成するまで、締固め位置にもたらされる。好ましい実施形態によれば、締固めステップの際に、未焼結体端面22´、22´´はパンチプレス面64´、64´´によって形成される。未焼結体縁部26´、26´´の各々は、共通するダイキャビティ縁部74´、74´´において形成される。未焼結体の逃げ面28´、28´´は、上部及び下部のダイ当接面44´、44´´が未焼結体の正中央面Mに一致するのと同時に、第2の内周面52´、52´´によって形成され、未焼結体の上部及び下部の中央周囲面30´、30´´は上部及び下部のダイ40´、40´´の第1の内周面50´、50´´によってそれぞれ形成される。
【0037】
未焼結体のアンダーカット要素の存在、すなわち、鈍角の逃げ角ρJを有している上部及び下部の主逃げ面28J´、28J´´の存在、及び、ダイの第2の内周面52´、52´´の相応しい幾何学的形状のために、未焼結体20はダイキャビティ70から解放されずに、上部ダイ40´のパンチトンネル58´を通しては取り出され得ない。未焼結体20を解放し、そしてツールセット38からそれを取り出すために、ツールセットが開き位置(図8参照)にもたらされる開きステップが行われねばならない。開き位置に到達するために、上部ダイ40´及び上部パンチ60´が上に動かされて、下部ダイ40´´及び下部パンチ60´´から離され、ダイキャビティ70を開いて、それによって未焼結体20を露出させ、そして、それが下部のダイ40´´から除去されるのを自由にする。
【0038】
切削インサート未焼結体の製造方法が、貫通穴を有さない切削インサートについて上に例示された。しかしながら、上に説明された方法は、形成された貫通穴を有している切削インサート未焼結体の製造にも容易に適用され得ることは当業者には明らかであろう。
【0039】
図9及び図11に注目する。長手方向貫通穴の未焼結体220は、長手方向貫通穴ツールセット238によって締固められる。長手方向貫通穴の未焼結体220と長手方向貫通穴ツールセット238は、貫通穴のない未焼結体20とそれに関連付けられるツールセット38の特徴部に類似している多くの特徴部を有しており、かかる類似の特徴部は、以下に、貫通穴のない未焼結体20と関連ツールセット38の参照番号から200だけシフトされた参照番号によって言及されるであろう。長手方向貫通穴の未焼結体220は、未焼結体上部端面222´と下部端面222´´との間を未焼結体正中央面Mに直交して延在する長手方向貫通穴76を備える。長手方向貫通穴ツールセット238は、上部の長手方向ピン78´及び下部の長手方向ピン78´´を備えている。上部長手方向ピン78´及び下部長手方向ピン78´´は、上部パンチ260´及び下部パンチ260´´のそれぞれのパンチ取付面262´及び262´´と、パンチ押圧面264´及び264´´とを通って延在するパンチピン貫通穴80´及び80´´内に摺動可能に配置されている。長手方向貫通穴未焼結体220の締固めの際には、上部長手方向ピン78´及び下部長手方向ピン78´´がダイキャビティ270の中に延在して、長手方向ロッド82を構成する。この長手方向ロッド82は上部パンチ押圧面264´及び下部パンチ押圧面264´´の間に延在し、締固められた長手方向貫通穴未焼結体220に長手方向貫通穴76を形成するためのものである。
【0040】
図10及び図13に注目する。横方向貫通穴の未焼結体420は、横方向貫通穴ツールセット438によって締固められる。横方向貫通穴の未焼結体420と横方向貫通穴ツールセット438とは、貫通穴のない未焼結体20とそれに関連付けられるツールセット38の特徴部に類似している多くの特徴部を有しており、かかる類似の特徴部は、以下に、貫通穴のない未焼結体20と関連ツールセット38の参照番号から400だけシフトされた参照番号によって言及されるであろう。かくて、ツールセット438は上部ダイ440´と下部ダイ440´´、及び上部パンチ460´と下部パンチ460´´を含む。
【0041】
横方向貫通穴未焼結体420は、対立している横方向貫通穴未焼結体主側面424Jの横方向貫通穴未焼結体主中央面430Jの間を主軸Jに沿って延在する横方向貫通穴84を備える。横方向貫通穴ツールセット438は、上部ダイと下部ダイの第1ピン溝88F´、88F´´及び上部ダイと下部ダイの第2ピン溝88S´、88S´´に摺動可能に配置された第1の横方向ピン86F及び第2の横方向ピン86Sを備えている。横方向貫通穴未焼結体420の締固めの際は、第1の横方向ピン86F及び第2の横方向ピン86Sがダイキャビティ470の中に突出して、そして横方向のロッド90を形成すべく互いに当接する。横方向ロッド90は、横方向貫通穴未焼結体420の横方向穴84を形成するために、ダイの第1の内周面における、上部及び下部の第1の対立した部位92F´、92F´´及び第2の対立した部位92S´、92S´´を通って延在する。
【0042】
上述の装置及び方法は、アンダーカット要素を有する未焼結体の押圧とその後の排出を容易にすることができる。それらはまた、未焼結体から製造される切削インサートにおいて一般に望ましいとされている程度の鋭利な、明確に定められた刃部及び鋭角のウェッジ角を有する未焼結体の形成を許容することができる。最後に、ツールセットのデザインにおいて鋭い凹部要素を排除することによって、本発明によるツールセットは、ダイ又はパンチへの粉末の付着、及び、その後の締固められた未焼結体への裂断損傷の増大された危険性を経験することなく、適度な剛性を有することができる。
【0043】
本発明がある程度の詳細さで説明されたが、以下にクレームされるように、本発明への変更及び変形が本発明の範囲から逸脱することなくできることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の方法に従い製造される未焼結体の斜視図である。
【図2】図1に示された未焼結体の端面図である。
【図3】図1に示された未焼結体の主側面図である。
【図4】図1に示された未焼結体の、図3でのIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明によるツールセットの、締固め位置における概略断面図である。
【図6】図5に示されたツールセットの、閉位置における概略断面図である。図式の横の部である
【図7】図5に示されたツールセットの、充填位置における概略断面図である。
【図8】図5に示されたツールセットの、開位置における概略断面図である。
【図9】長手方向貫通穴ツールセットの、締固め位置における概略断面図である。
【図10】横方向貫通穴ツールセットの、締固め位置における概略断面図である。
【図11】図5に示されたツールセットの分解斜視図である。
【図12】図9に示された長手方向貫通穴ツールセットの分解斜視図である。の立体の図である;
【図13】図10に示された横方向貫通穴ツールセットの分解斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサート未焼結体(20)の製造方法であって、
(i)上部と下部のダイ(40´、40´´)及びそれに関連付けられた上部と下部のパンチ(60´、60´´)を備え、該上部と下部のパンチは関連付けられた上部と下部のダイに対し往復摺動可能である、切削インサート未焼結体用ツールセット(38、238、438)を用意するステップであって、
各々のダイは、対立するダイ当接面(44´、44´´)と、ダイ取付面(42´、42´´)と、それらの間に延在するダイ内周面(48´、48´´)とを備え、該ダイ内周面が、ダイ当接面から延在する第1の内周面(50´、50´´)と、第1の内周面から延在しダイの内側縁部(54´、54´´)に向かい内方に収束する第2の内周面(52´、52´´)と、該ダイ内側縁部からダイ取付面まで延在し、パンチトンネル(58´、58´´)を形成する第3の内周面(56´、56´´)とを備えており、
各々のパンチ(60´、60´´)は、対立するパンチ押圧面及びパンチ取付面(64´、64´´、62´、62´´)とそれらの間に延在するパンチ周囲面(66´、66´´)を備え、該パンチ周囲面とパンチ押圧面との交差部においてパンチ縁部(68´、68´´)を形成している、ステップと、
(ii)上部と下部のダイのダイ当接面が互いに当接し、上部と下部のダイの第1及び第2の内周面がダイキャビティ(70)を形成している状態で、下部パンチが下部ダイのパンチトンネルに位置され、且つ上部パンチが上部ダイのパンチトンネルの外にある閉位置に、切削インサートの未焼結体用ツールセット(38、238、438)を調整するステップと、
(iii)該ダイキャビティを所定量の焼結性粉末(72)によって満たすステップと、
(iv)上部ダイのパンチトンネルの中に上部パンチを移動させるステップと、
(v)それぞれのパンチトンネルを通ってパンチを互いに締固め位置に向けて付勢することによって該焼結性粉末を締固めるステップであって、締固め位置では上部パンチ(60´)のパンチ縁部(68´)と上部ダイ(40´)の内側縁部(54´)が連続的であり、且つ下部パンチ(60´´)のパンチ縁部(68´´)と下部ダイ(40´´)の内側縁部(54´´)とが連続的であり、それによって未焼結体(20)を形成するステップと、
(vi)上部のダイとパンチを下部のダイとパンチから離して開位置に移動させ、それによって形成された未焼結体(20)の除去を可能にするステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記締固めステップの際に、パンチ押圧面でもって未焼結体に対立する未焼結体端面(22´、22´´)を形成するステップを備えることを特徴とする請求項1による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項3】
前記締固めステップの際に、ダイの第1及び第2の内周面(50´、50´´、52´、52´´)でもって、対立する未焼結体端面(22´、22´´)の間に延在する未焼結体周囲面(24)を形成するステップを備えることを特徴とする請求項2による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項4】
関連付けられ連続的な上部及び下部のパンチ縁部と上部及び下部のダイの内縁部とから上部と下部の共通のダイキャビティ縁部(74´、74´´)を形成し、且つ、前記締固めステップの際に、前記上部と下部の共通のダイキャビティ縁部において未焼結体の上部及び下部の未焼結体縁部(26´、26´´)を形成するステップであって、前記上部及び下部の未焼結体縁部が、未焼結体周囲面と未焼結体の上部及び下部の端面との交差部においてそれぞれに位置されているステップを備えることを特徴とする請求項3による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項5】
締固め位置において、当接している上部と下部のダイ当接面は、上部と下部の未焼結体端面の間に延在する未焼結体正中央面(M)と一致することを特徴とする請求項4による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項6】
締固めの際に、第2の内周面によって未焼結体逃げ面(28´、28´´)を形成し、各々の未焼結体逃げ面は未焼結体正中央面(M)とで逃げ角ρを形成し、且つ逃げ角ρは各々の未焼結体逃げ面の少なくとも一部に沿って鈍角であることを特徴とする請求項5による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項7】
未焼結体端面の未焼結体縁部に隣接するすくい面(34´、34´´)を形成し、隣接するすくい面及び逃げ面が鈍くないウェッジ角ωを有するウェッジ(36´、36´´)を形成するステップを備えることを特徴とする請求項6による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項8】
各々のウェッジ(36´、36´´)の少なくとも一部に沿って鋭いウェッジ角ωを形成するステップを備えることを特徴とする請求項7による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項9】
未焼結体端面(222´、222´´)の間に延在する長手方向貫通穴(76)を形成するステップを備え、該長手方向貫通穴はダイキャビティを通って上部と下部のパンチ押圧面の間に延在する長手方向のロッド(82)によって形成されることを特徴とする請求項2による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項10】
上部と下部のパンチピン貫通穴(80´、80´´)内に上部と下部の長手方向ピン(78´、78´´)を挿入し、前記長手方向ピンを合致させることによって、該長手方向のロッドを形成するステップを備えることを特徴とする請求項9による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項11】
未焼結体周囲面(424)の対立する部分の間に延在する横方向貫通穴(84)を形成するステップを備え、該横方向貫通穴は、上部と下部のダイの第1の内周面の対立する第1及び第2の内側部(92F、92S)の間のダイキャビティ(470)を通って延在する横方向ロッド(90)によって形成されることを特徴とする請求項3による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項12】
第1及び第2の横方向ピン(86F、86S)を上部及び下部のダイに形成された上部及び下部のダイピン溝(88F、88S)に挿入し、前記第1及び第2の横方向ピンを合致させることによって、横方向ロッドを形成するステップを備えることを特徴とする請求項11による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項13】
切削インサート未焼結体用ツールセット(38,238,438)であって、
上部と下部のダイ(40´、40´´)及びそれに関連付けられた上部と下部のパンチ(60´、60´´)を備え、該上部と下部のパンチが、それらの関連付けられた上部と下部のダイに対し往復摺動可能であり、
各々のダイは、対立するダイ当接面(44´、44´´)と、ダイ取付面(42´、42´´)と、それらの間に延在するダイ内周面(48´、48´´)とを備え、該ダイ内周面が、ダイ当接面から延在する第1の内周面(50´、50´´)と、第1の内周面から延在しダイの内側縁部(54´、54´´)に向かい内方に収束する第2の内周面(52´、52´´)と、該ダイ内側縁部からダイ取付面まで延在し、パンチトンネル(58´、58´´)を形成する第3の内周面(56´、56´´)とを備え、
各々のパンチ(60´、60´´)は、対立するパンチ押圧面及びパンチ取付面(64´、64´´、62´、62´´)とそれらの間に延在するパンチ周囲面(66´、66´´)を備え、該パンチ周囲面とパンチ押圧面との交差部においてパンチ縁部(68´、68´´)を形成しており、
ここで、該ツールセットは、
上部と下部のダイのダイ当接面が互いに当接し、第1及び第2の内周面がダイキャビティ(70)を形成する状態で、下部のパンチが下部のダイのパンチトンネルに位置され、そして上部パンチが上部ダイのパンチトンネルの外にある第1の位置と、
上部パンチが上部ダイのパンチトンネルに位置され、上部パンチのパンチ縁部と上部ダイのダイ内側縁部が連続的であり、且つ下部パンチのパンチ縁部と下部ダイのダイ内側縁部が連続的である第2の位置との間で調節可能である
ことを特徴とする切削インサートの未焼結体用ツールセット(38、238、438)。
【請求項14】
上部と下部のパンチ押圧面の間でダイキャビティを通って延在する長手方向のロッド(82)を、さらに、備えることを特徴とする請求項13による切削インサートの未焼結体用ツールセット(238)。
【請求項15】
該長手方向のロッドは、上部と下部のパンチピン貫通穴(80´、80´´)を占拠し、そして前記ダイキャビティ内で会合する上部と下部の長手方向ピン(78´、78´´)を備えることを特徴とする請求項14による切削インサートの未焼結体用ツールセット(238)。
【請求項16】
上部及び下部のダイの第1の内周面の対立する第1及び第2の内側部(92F´、92S´、92F´´、92S´´)の間で、ダイキャビティを通って延在する横方向ロッド(90)を、さらに、備えることを特徴とする請求項13による切削インサートの未焼結体用ツールセット(438)。
【請求項17】
該横方向ロッドは、上部と下部のダイに形成された上部と下部のダイピン溝(88F´、88S´、88F´´、88S´´)を占拠し、前記ダイキャビティ内で会合する第1及び第2の横方向ピン(86F、86S)を備えることを特徴とする請求項16による切削インサートの未焼結体用ツールセット(438)。
【請求項1】
切削インサート未焼結体(20)の製造方法であって、
(i)上部と下部のダイ(40´、40´´)及びそれに関連付けられた上部と下部のパンチ(60´、60´´)を備え、該上部と下部のパンチは関連付けられた上部と下部のダイに対し往復摺動可能である、切削インサート未焼結体用ツールセット(38、238、438)を用意するステップであって、
各々のダイは、対立するダイ当接面(44´、44´´)と、ダイ取付面(42´、42´´)と、それらの間に延在するダイ内周面(48´、48´´)とを備え、該ダイ内周面が、ダイ当接面から延在する第1の内周面(50´、50´´)と、第1の内周面から延在しダイの内側縁部(54´、54´´)に向かい内方に収束する第2の内周面(52´、52´´)と、該ダイ内側縁部からダイ取付面まで延在し、パンチトンネル(58´、58´´)を形成する第3の内周面(56´、56´´)とを備えており、
各々のパンチ(60´、60´´)は、対立するパンチ押圧面及びパンチ取付面(64´、64´´、62´、62´´)とそれらの間に延在するパンチ周囲面(66´、66´´)を備え、該パンチ周囲面とパンチ押圧面との交差部においてパンチ縁部(68´、68´´)を形成している、ステップと、
(ii)上部と下部のダイのダイ当接面が互いに当接し、上部と下部のダイの第1及び第2の内周面がダイキャビティ(70)を形成している状態で、下部パンチが下部ダイのパンチトンネルに位置され、且つ上部パンチが上部ダイのパンチトンネルの外にある閉位置に、切削インサートの未焼結体用ツールセット(38、238、438)を調整するステップと、
(iii)該ダイキャビティを所定量の焼結性粉末(72)によって満たすステップと、
(iv)上部ダイのパンチトンネルの中に上部パンチを移動させるステップと、
(v)それぞれのパンチトンネルを通ってパンチを互いに締固め位置に向けて付勢することによって該焼結性粉末を締固めるステップであって、締固め位置では上部パンチ(60´)のパンチ縁部(68´)と上部ダイ(40´)の内側縁部(54´)が連続的であり、且つ下部パンチ(60´´)のパンチ縁部(68´´)と下部ダイ(40´´)の内側縁部(54´´)とが連続的であり、それによって未焼結体(20)を形成するステップと、
(vi)上部のダイとパンチを下部のダイとパンチから離して開位置に移動させ、それによって形成された未焼結体(20)の除去を可能にするステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記締固めステップの際に、パンチ押圧面でもって未焼結体に対立する未焼結体端面(22´、22´´)を形成するステップを備えることを特徴とする請求項1による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項3】
前記締固めステップの際に、ダイの第1及び第2の内周面(50´、50´´、52´、52´´)でもって、対立する未焼結体端面(22´、22´´)の間に延在する未焼結体周囲面(24)を形成するステップを備えることを特徴とする請求項2による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項4】
関連付けられ連続的な上部及び下部のパンチ縁部と上部及び下部のダイの内縁部とから上部と下部の共通のダイキャビティ縁部(74´、74´´)を形成し、且つ、前記締固めステップの際に、前記上部と下部の共通のダイキャビティ縁部において未焼結体の上部及び下部の未焼結体縁部(26´、26´´)を形成するステップであって、前記上部及び下部の未焼結体縁部が、未焼結体周囲面と未焼結体の上部及び下部の端面との交差部においてそれぞれに位置されているステップを備えることを特徴とする請求項3による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項5】
締固め位置において、当接している上部と下部のダイ当接面は、上部と下部の未焼結体端面の間に延在する未焼結体正中央面(M)と一致することを特徴とする請求項4による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項6】
締固めの際に、第2の内周面によって未焼結体逃げ面(28´、28´´)を形成し、各々の未焼結体逃げ面は未焼結体正中央面(M)とで逃げ角ρを形成し、且つ逃げ角ρは各々の未焼結体逃げ面の少なくとも一部に沿って鈍角であることを特徴とする請求項5による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項7】
未焼結体端面の未焼結体縁部に隣接するすくい面(34´、34´´)を形成し、隣接するすくい面及び逃げ面が鈍くないウェッジ角ωを有するウェッジ(36´、36´´)を形成するステップを備えることを特徴とする請求項6による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項8】
各々のウェッジ(36´、36´´)の少なくとも一部に沿って鋭いウェッジ角ωを形成するステップを備えることを特徴とする請求項7による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項9】
未焼結体端面(222´、222´´)の間に延在する長手方向貫通穴(76)を形成するステップを備え、該長手方向貫通穴はダイキャビティを通って上部と下部のパンチ押圧面の間に延在する長手方向のロッド(82)によって形成されることを特徴とする請求項2による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項10】
上部と下部のパンチピン貫通穴(80´、80´´)内に上部と下部の長手方向ピン(78´、78´´)を挿入し、前記長手方向ピンを合致させることによって、該長手方向のロッドを形成するステップを備えることを特徴とする請求項9による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項11】
未焼結体周囲面(424)の対立する部分の間に延在する横方向貫通穴(84)を形成するステップを備え、該横方向貫通穴は、上部と下部のダイの第1の内周面の対立する第1及び第2の内側部(92F、92S)の間のダイキャビティ(470)を通って延在する横方向ロッド(90)によって形成されることを特徴とする請求項3による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項12】
第1及び第2の横方向ピン(86F、86S)を上部及び下部のダイに形成された上部及び下部のダイピン溝(88F、88S)に挿入し、前記第1及び第2の横方向ピンを合致させることによって、横方向ロッドを形成するステップを備えることを特徴とする請求項11による切削インサート未焼結体の製造方法。
【請求項13】
切削インサート未焼結体用ツールセット(38,238,438)であって、
上部と下部のダイ(40´、40´´)及びそれに関連付けられた上部と下部のパンチ(60´、60´´)を備え、該上部と下部のパンチが、それらの関連付けられた上部と下部のダイに対し往復摺動可能であり、
各々のダイは、対立するダイ当接面(44´、44´´)と、ダイ取付面(42´、42´´)と、それらの間に延在するダイ内周面(48´、48´´)とを備え、該ダイ内周面が、ダイ当接面から延在する第1の内周面(50´、50´´)と、第1の内周面から延在しダイの内側縁部(54´、54´´)に向かい内方に収束する第2の内周面(52´、52´´)と、該ダイ内側縁部からダイ取付面まで延在し、パンチトンネル(58´、58´´)を形成する第3の内周面(56´、56´´)とを備え、
各々のパンチ(60´、60´´)は、対立するパンチ押圧面及びパンチ取付面(64´、64´´、62´、62´´)とそれらの間に延在するパンチ周囲面(66´、66´´)を備え、該パンチ周囲面とパンチ押圧面との交差部においてパンチ縁部(68´、68´´)を形成しており、
ここで、該ツールセットは、
上部と下部のダイのダイ当接面が互いに当接し、第1及び第2の内周面がダイキャビティ(70)を形成する状態で、下部のパンチが下部のダイのパンチトンネルに位置され、そして上部パンチが上部ダイのパンチトンネルの外にある第1の位置と、
上部パンチが上部ダイのパンチトンネルに位置され、上部パンチのパンチ縁部と上部ダイのダイ内側縁部が連続的であり、且つ下部パンチのパンチ縁部と下部ダイのダイ内側縁部が連続的である第2の位置との間で調節可能である
ことを特徴とする切削インサートの未焼結体用ツールセット(38、238、438)。
【請求項14】
上部と下部のパンチ押圧面の間でダイキャビティを通って延在する長手方向のロッド(82)を、さらに、備えることを特徴とする請求項13による切削インサートの未焼結体用ツールセット(238)。
【請求項15】
該長手方向のロッドは、上部と下部のパンチピン貫通穴(80´、80´´)を占拠し、そして前記ダイキャビティ内で会合する上部と下部の長手方向ピン(78´、78´´)を備えることを特徴とする請求項14による切削インサートの未焼結体用ツールセット(238)。
【請求項16】
上部及び下部のダイの第1の内周面の対立する第1及び第2の内側部(92F´、92S´、92F´´、92S´´)の間で、ダイキャビティを通って延在する横方向ロッド(90)を、さらに、備えることを特徴とする請求項13による切削インサートの未焼結体用ツールセット(438)。
【請求項17】
該横方向ロッドは、上部と下部のダイに形成された上部と下部のダイピン溝(88F´、88S´、88F´´、88S´´)を占拠し、前記ダイキャビティ内で会合する第1及び第2の横方向ピン(86F、86S)を備えることを特徴とする請求項16による切削インサートの未焼結体用ツールセット(438)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−528306(P2008−528306A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552803(P2007−552803)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000036
【国際公開番号】WO2006/080002
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(306037920)イスカーリミテッド (93)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000036
【国際公開番号】WO2006/080002
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(306037920)イスカーリミテッド (93)
【Fターム(参考)】
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