説明

列車位置測定装置および列車位置測定方法

【課題】地上子からの位置情報および速度発電機からの出力情報を用いることなく、列車の現在位置を測定すること。
【解決手段】電波測位部3aは、電波で送られる信号の受信結果に基づいて現在位置の経度および緯度を測位し、マップマッチング処理部3cは、電波測位部3aにて測位された現在位置を線路マップ上の線路上に合致させ、現在位置演算部3dは、マップマッチング処理部3cにて合致された線路上の位置を起点とし、列車の加速度の検出結果から求めた走行距離を参照することで、線路上での列車の現在位置を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は列車位置測定装置および列車位置測定方法に関し、特に、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)による測位結果と列車の加速度の検出結果とを利用して列車の現在位置を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の列車位置測定方法では、地上子からの位置情報を列車の走行距離の算出の起点とし、車軸に取り付けられた速度発電機から出力されるパルス信号に基づいて走行距離を算出することで、列車の現在位置を求める方法がある。
【0003】
また、特許文献1には、鉄道車両内に配置された推進制御装置にて粘着係数をリアルタイムで推定し、GPS衛星からの信号をもとに算出した鉄道車両の位置と前記推定した粘着係数を結びつけ情報管理センターに送信することで、事前に粘着係数が低い位置を知る方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−202249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、速度発電機から出力されるパルス信号に基づいて走行距離を算出する方法では、車輪が滑走または空転を起こすと、走行距離の算出値に誤差が発生し、列車の現在位置の測定精度が落ちるという問題があった。また、地上子からの位置情報を用いるため、列車の現在位置の測定精度を向上させるためには、地上子の個数を増やす必要があり、地上の設備投資が増大するという問題もあった。
【0006】
また、特許文献1に開示された方法では、滑走および空転の頻度の少ない車両走行を実現することができるが、降雨や降雪による粘着係数の変化に追従させるのが困難であり、速度発電機を用いて走行距離を算出する時の誤差を解消することができなかった。また、車輪の磨耗による車輪径の変化に起因する誤差や低速運転時の誤差に対しても、有効な対策とはなり得なかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、地上子からの位置情報および速度発電機からの出力情報を用いることなく、列車の現在位置を測定することが可能な列車位置測定装置および列車位置測定方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の列車位置測定装置は、電波で送られる信号の受信結果に基づいて列車の現在位置の経度および緯度を測位する電波測位部と、前記列車が走行する路線の線路配置と経度および緯度との関係が登録された線路マップを取得する線路マップ取得部と、前記電波測位部にて測位された前記列車の現在位置を前記線路マップ上の線路上に合致させるマップマッチング処理部と、前記マップマッチング処理部にて合致された線路上の位置を起点とし、前記列車の加速度の検出結果から求めた走行距離を参照することで、前記線路上での前記列車の現在位置を演算する現在位置演算部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、地上子からの位置情報および速度発電機からの出力情報を用いることなく、列車の現在位置を測定することが可能という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明に係る列車位置測定装置および列車位置測定方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る列車位置測定装置が適用される列車編成の実施の形態1の概略構成を示すブロック図である。図1において、列車には車両1a、1b、1cが連結されている。そして、最前列の車両1aには、運転台7およびパンタグラフ8が設置されるとともに、GPS受信アンテナ2、列車位置測定装置3、加速度センサ6a、6bおよび列車保安装置4が設けられ、列車保安装置4にはトランスポンダ5が接続されている。また、最後尾の車両1cには、加速度センサ6cが設けられている。
【0012】
ここで、列車位置測定装置3は、GPSによる測位結果と列車の加速度の検出結果とを利用して列車の現在位置を測定することができる。加速度センサ6aは、列車の前後方向の加速度を検出することができ、加速度センサ6b、6cは、列車の左右方向の加速度を検出することができる。なお、加速度センサ6b、6cは、同一編成の列車内でなるべく離れるように設置することが好ましく、互いに異なる車両に設置するのがよい。
【0013】
列車保安装置4は、列車位置測定装置3にて測定された現在の列車の位置に基づいて、列車を強制的に減速または停止させることができる。なお、列車保安装置4としては、例えば、自動列車制御装置(ATC)や自動列車停止装置(ATS)を用いることができる。
【0014】
ここで、列車位置測定装置3には、電波測位部3a、線路マップ取得部3b、マップマッチング処理部3cおよび現在位置演算部3dが設けられている。電波測位部3aは、電波で送られる信号の受信結果に基づいて現在位置の経度および緯度を測位することができる。なお、電波測位部3aとしては、例えば、GPS受信機を用いることができ、GPS衛星11a、11bから送られた信号に基づいて現在位置の経度および緯度を測位することができる。あるいは、電波測位部3aとして、ガリレオなどの他の衛星測位システムを用いるようにしてもよいし、地上基地から送出される電波を受信することで現在位置を求める方式を用いるようにしてもよい。なお、図1でGPS衛星11a、11bは2個しか示していないが、測位用電波源(衛星や地上基地局)は3個以上必要なところを省略して描いている。
【0015】
線路マップ取得部3bは、列車が走行する路線の線路配置が記述された線路マップを取得することができる。この線路マップには、列車が走行する路線の線路配置と経度および緯度との関係を登録することができる。また、列車が走行する路線の線路配置には、基準点からのキロ程を線路上の位置ごとに数メートル単位で記述したデータを含むことができる。なお、線路マップ取得部3bとしては、線路マップを記憶する記憶装置であってもよいし、無線通信にて線路マップを受信する受信装置であってもよい。
【0016】
マップマッチング処理部3cは、電波測位部3aにて測位された現在位置を線路マップ上の線路上に合致させることができる。なお、電波測位部3aにて測位された現在位置が線路マップ上の線路からずれていた場合、電波測位部3aにて測位された現在位置に最も近い線路上に列車の現在位置を移動させることができる。
【0017】
現在位置演算部3dは、マップマッチング処理部3cにて合致された線路上の位置を起点として、列車の加速度の検出結果から求めた走行距離を参照することで、線路上での列車の現在位置を演算することができる。なお、現在位置演算部3dは、線路上での列車の現在位置を演算する場合、電波測位部3aによるトラッキングモードでの測位結果とともに、列車の加速度の検出結果を補助的に用いることができる。なお、GPS受信機のトラッキングモードでは、GPS衛星11a、11bやGPSサーバ局から測位計算に必要なアシスト情報(GPS衛星11a、11bの番号や電離層情報)などを取得することなく、1秒間隔程度の短時間で連続測位することができる。
【0018】
また、現在位置演算部3dは、左右方向の加速度の検出結果に基づいて、列車の現在の進行方向の変化を判断することができる。そして、列車の現在の進行方向の変化が線路マップ上の線路の曲線に対応するように、線路上での列車の現在位置を補正したり、ホームの入線番線を判断したりすることができる。
【0019】
以下、電波測位部3aとしてGPS受信機が用いられている場合を例にとって列車位置測定装置3の動作について説明する。
【0020】
図1において、列車位置測定装置3が起動されると、GPS衛星11a、11bから送られた信号がGPS受信アンテナ2にて受信され、電波測位部3aに送られる。なお、列車位置測定装置3を動作させる電源は、パンタグラフ8を介して取得することができる。そして、電波測位部3aにおいて、GPS衛星11a、11bからの信号に基づいて現在位置の経度および緯度が測位され、その測位結果がマップマッチング処理部3cに送られる。
【0021】
一方、線路マップ取得部3bでは線路マップが取得され、その線路マップの情報がマップマッチング処理部3cに送られる。そして、マップマッチング処理部3cにおいて、電波測位部3aにて測位された現在位置が線路マップ上の線路の位置と照合され、電波測位部3aにて測位された現在位置が線路マップの線路上に合致するように補正されることで、列車の現在位置が算出される。なお、線路マップの取得は、列車位置測定装置3の起動時に限らず、予めメモリ内に保存しておいてもよい。
【0022】
そして、マップマッチング処理部3cにて線路マップの線路上に合致された列車の現在位置が算出されると、その列車の現在位置が現在位置演算部3dに送られる。
【0023】
一方、加速度センサ6aでは、列車の前後方向の加速度が検出されるとともに、加速度センサ6b、6cでは、列車の左右方向の加速度が検出され、現在位置演算部3dに送られる。
【0024】
そして、現在位置演算部3dにおいて、マップマッチング処理部3cにて合致された線路上の位置を起点として、加速度センサ6a〜6cによる加速度の積分処理が行われることで、その起点からの列車の走行距離が算出される。そして、その走行距離に対応した分だけ線路マップの線路上を移動した点が求められることで、列車の現在位置が測定される。
【0025】
なお、現在位置演算部3dにて列車の現在位置を演算する場合、電波測位部3aによるトラッキングモードでの測位結果も用いるようにしてもよい。そして、列車がトンネルやビル街などに進入したため、GPS衛星11a、11bから送られた電波が列車に届かない場合、加速度センサ6a〜6cにて検出された加速度の検出結果を補助的に使用するようにしてもよい。
【0026】
また、現在位置演算部3dにて列車の現在位置を演算する場合、加速度センサ6b、6cによる左右方向の加速度の検出結果に基づいて、列車の現在の進行方向の変化を判断するようにしてもよい。そして、列車の現在の進行方向の変化の度合い(曲率半径など)を求め、列車の現在の進行方向の変化の度合いが、線路マップ上の線路の曲がり具合と一致しているかどうかを判断することができる。そして、列車の現在の進行方向の変化の度合いと、線路マップ上の線路の曲がり具合とが異なっている場合、列車の現在の進行方向の変化の度合いが、線路マップ上の線路の曲がり具合と一致するように、列車の現在位置を補正するようにしてもよい。
【0027】
また、現在位置演算部3dにて列車の現在位置を演算する場合、左右方向の加速度が加速度センサ6b、6cにてそれぞれ検出された時の順序および時間差を求め、それらの順序および時間差に基づいて、列車が通り抜けた線路がどのような曲線であるかを判断したり、ホームの入線番線を判断したりするようにしてもよい。
【0028】
そして、現在位置演算部3dにて列車の現在位置が演算されると、その演算結果は、列車保安装置4に出力される。また、トランスポンダ5からは、列車の停止限界に関する情報が列車保安装置4に送られる。そして、列車保安装置4において、現在位置演算部3dにて演算された列車の現在位置とその停止限界との関係が判断され、列車の現在位置が停止限界に達したと判断されると、列車が強制的に減速されたり停止されたりする。
【0029】
これにより、地上子からの位置情報および速度発電機からの出力情報を用いることなく、列車の現在位置を測定することが可能となる。このため、車輪が滑走または空転を起こしたり、車輪の磨耗によって車輪径が変化したりした場合においても、列車の現在位置の測定精度が落ちるのを防止することが可能となるとともに、列車の現在位置の測定精度を向上させるために、地上子の個数を増やす必要がなくなり、地上の設備投資が増大するのを抑えることができる。
【0030】
図2は、図1の列車の進行状況と加速度センサ6a〜6cにかかる加速度との関係を線路マップと対比して示す平面図である。図2において、列車が直線状の線路PL上でB駅に向けてA駅ホームを出発したものとする。この場合、列車は直線的に加速されることから、加速度センサ6aにて後方向の加速度αが検出されるとともに、加速度センサ6b、6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、列車がA駅ホームを出発した後、加速度αの積算処理を行うことにより、A駅ホームからの列車の走行距離を求めることができる。そして、A駅ホームを基点として、その走行距離に対応した分だけ線路マップMPの線路VL上を移動した点P0を求めることで、列車の現在位置を測定することができる。
【0031】
また、列車が実際の線路PL上の地点Cに差し掛かると、先ず車両1aが右方向に向きを変え、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出される。そして、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出されると、図1の現在位置演算部3dは、加速度βの積算処理を行うことにより、右方向への旋回角を求めることができる。
【0032】
ここで、この時の線路マップMP上での列車の現在位置がP1であるものとすると、図1の現在位置演算部3dは、線路マップMP上での列車の現在位置P1において、線路マップMP上での線路VLが、加速度センサ6bからの信号より求めた旋回角分だけ右方向に曲がっているかどうかを判断することができる。そして、線路マップMP上での列車の現在位置P1において、線路マップMP上での線路VLが、加速度センサ6bからの信号より求めた旋回角分だけ右方向に曲がっていない場合、加速度センサ6bからの信号より求めた旋回角分だけ右方向に線路VLが曲っている点P2を線路マップMP上で求めることができる。そして、列車が実際の線路PL上の地点Cに差し掛かった場合、線路マップMPの線路VL上の点P2に列車の現在位置が対応するように、列車の現在位置を補正することができる。
【0033】
図3(a)から図3(d)は、図1の列車が分岐線(2番線)に進入した時の列車の進行状況と加速度センサ6b、6cにかかる加速度との関係を示す平面図である。図3(a)において、列車が実際の線路上の右曲線に差し掛かると、先ず車両1aが右方向に向きを変え、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出されるとともに、加速度センサ6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出されると、図1の現在位置演算部3dは、加速度βの積算処理を行うことにより、車両1aの右方向への旋回角を求めることができる。
【0034】
次に、図3(b)において、列車がさらに走行し、2番線に進入したものとすると、車両1aが左方向に向きを変え、加速度センサ6bにて右方向の加速度γが検出されるとともに、加速度センサ6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、加速度センサ6bにて右方向の加速度γが検出されると、図1の現在位置演算部3dは、加速度γの積算処理を行うことにより、車両1aの左方向への旋回角を求めることができる。
【0035】
次に、図3(c)において、列車がさらに進入したものとすると、最後尾の車両1cが右方向に向きを変え、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出されるとともに、加速度センサ6bにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出されると、図1の現在位置演算部3dは、加速度βの積算処理を行うことにより、車両1cの右方向への旋回角を求めることができる。
【0036】
そして、列車がさらに走行したものとすると、車両1cが左方向に向きを変え、加速度センサ6cにて右方向の加速度γが検出されるとともに、加速度センサ6bにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、加速度センサ6cにて右方向の加速度γが検出されると、図1の現在位置演算部3dは、加速度γの積算処理を行うことにより、車両1cの左方向への旋回角を求めることができる。
【0037】
次に、図3(d)において、列車がさらに走行したものとすると、列車は直線状の線路上を進むようになり、加速度センサ6b、6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。
【0038】
図4(a)から図4(e)は、図1の列車が分岐線(3番線)に進入した時の列車の進行状況と加速度センサ6b、6cにかかる加速度との関係を示す平面図である。図4(a)において、列車が実際の線路上の右曲線に差し掛かると、先ず車両1aが右方向に向きを変え、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出されるとともに、加速度センサ6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。そして、加速度センサ6bにて左方向の加速度βが検出されると、図1の現在位置演算部3dは、加速度βの積算処理を行うことにより、車両1aの右方向への旋回角を求めることができる。
【0039】
次に、図4(b)において、列車がさらに走行し、3番線に進入したものとすると、車両1aが左方向に向きを変え、加速度センサ6bにて右方向の加速度δが検出されるとともに、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出される。そして、加速度センサ6bにて右方向の加速度δが検出されると、図1の現在位置演算部3dは、加速度δの積算処理を行うことにより、車両1aの左方向への旋回角を求めることができる。また、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出されると、図1の現在位置演算部3dは、加速度βの積算処理を行うことにより、車両1cの右方向への旋回角を求めることができる。
【0040】
次に、図4(c)において、列車がさらに走行したものとすると、車両1a、1cはそれぞれ直線上を進むようになり、加速度センサ6b、6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。
【0041】
次に、図4(d)において、列車がさらに進入したものとすると、最後尾の車両1cが左方向に向きを変え、加速度センサ6cにて右方向の加速度δが検出される。そして、加速度センサ6cにて右方向の加速度δが検出されると、図1の現在位置演算部3dは、加速度δの積算処理を行うことにより、車両1cの左方向への旋回角を求めることができる。
【0042】
次に、図4(e)において、列車がさらに走行したものとすると、列車は直線状の線路上を進むようになり、加速度センサ6b、6cにて検出される左右方向の加速度は0となる。
【0043】
ここで、列車が2番線に進入した時には、図3(b)および図3(c)に示すように、加速度センサ6bにて右方向の加速度γが検出されてから、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出される。一方、列車が3番線に進入した時には、図4(b)に示すように、加速度センサ6bにて右方向の加速度δが検出される前に、加速度センサ6cにて左方向の加速度βが検出される。このため、列車が2番線に進入した時と3番線に進入した時とでは、加速度センサ6b、6cにてそれぞれ検出される左右の加速度の順序および時間が異なるようになる。従って、図1の現在位置演算部3dは、左右方向の加速度が加速度センサ6b、6cにてそれぞれ検出された時の順序および時間差を求めることで、ホームの入線番線を判断することができる。
【0044】
また、加速度センサ6bにて左右方向の加速度が検出された後、列車がどれだけ進行した後に、加速度センサ6bにて検出されたのと同一の加速度が加速度センサ6cにて検出されたかを判断することにより、どのような曲線を列車が通り抜けたかを判断することができる。
【0045】
図5は、本発明に係る列車位置測定装置の実施の形態1の動作を示すフローチャートである。図5において、列車位置測定装置3の電源がオンされると(ステップST100)、始発駅を発車する前に方向転換操作が行われ(ステップST101)、GPS受信機が起動される(ステップST102)。
【0046】
そして、GPS衛星11a、11bから送られたGPS信号がGPS受信アンテナ2にて受信され、電波測位部3aに送られる(ステップST103)。そして、電波測位部3aは、GPS衛星11a、11bからのGPS信号に基づいて現在位置の経度および緯度を測位し(ステップST104)、現在位置の経度および緯度をマップマッチング処理部3cに送る。
【0047】
そして、マップマッチング処理部3cは、電波測位部3aにて測位された現在位置の経度および緯度を線路マップ上の線路の位置と照合する(ステップST105)。そして、電波測位部3aにて測位された現在位置の経度および緯度が線路マップの線路上に合致するように補正することで、列車の現在位置を算出し、その現在位置を線路マップ上の起点として設定する(ステップST106)。
【0048】
次に、現在位置演算部3dは、加速度センサ6aからの入力があるかどうかを判断し(ステップST107)、加速度センサ6aからの入力があった場合、電波測位部3aはトラッキングモードでの測位を行う(ステップST108)。ここで、現在位置演算部3dは、電波測位部3aによるトラッキングモードでの測位結果とともに、加速度センサ6aによる加速度の検出結果を補助的に用いることができる。
【0049】
次に、現在位置演算部3dは、加速度センサ6aからの入力があるかどうかを判断し(ステップST109)、加速度センサ6aからの入力があった場合、加速度センサ6aにて検出された加速度の積分計算を行うことで(ステップST110)、列車の走行距離を算出する。
【0050】
次に、現在位置演算部3dは、加速度センサ6bからの入力があるかどうかを判断し(ステップST111)、加速度センサ6bからの入力があった場合、加速度センサ6bにて検出された加速度の積分計算を行うことで(ステップST112)、列車の旋回角を算出する。
【0051】
次に、現在位置演算部3dは、加速度センサ6cからの入力があるかどうかを判断し(ステップST113)、加速度センサ6cからの入力があった場合、加速度センサ6cにて検出された加速度の積分計算を行うことで(ステップST114)、列車の旋回角を算出する。
【0052】
次に、列車が停車したかどうかを判断し(ステップST115)、列車が停車していない場合、GPSトラッキング測位結果、加速度センサ6aからの入力より求めた列車の走行距離、加速度センサ6b、6cからの入力より求めた横方向の加速度、横方向の加速度がかかる時間、前後の車両で横方向の加速度がかかる時間差などに基づいて、列車の現在位置を更新し(ステップST116)、その現在位置を線路マップ上の線路の位置と照合することで、線路マップ上での列車の現在位置が測定される(ステップST117)。
【0053】
例えば、加速度センサ6aからの入力があった場合、加速度センサ6aからの入力より列車の走行距離を求め、その走行距離に対応した分だけ線路マップ上での列車の位置を更新することで、列車の実際の現在位置が測定される。
【0054】
また、加速度センサ6bからの入力があった場合、加速度センサ6bからの入力より横方向の加速度および横方向の加速度がかかる時間を算出する。そして、その算出結果から列車が現在走行している線路の曲がり具合を求め、その線路の実際の曲がり具合を線路マップ上での線路の曲がり具合と照合することで、列車の実際の現在位置が補正される。
【0055】
さらに、加速度センサ6cからの入力があった場合、加速度センサ6b、6cからの入力より横方向の加速度、横方向の加速度がかかる時間および前後の車両で横方向の加速度がかかる時間差を算出する。そして、その算出結果から列車がどのような曲線の線路を通り抜けたかを判断し、列車が実際に通り抜けた線路の曲線を線路マップ上の線路の曲線と照合することで、列車の実際の現在位置が補正される。
【0056】
そして、列車が停車するまで、ステップST108〜ST117の処理が繰り返される(ステップST115)。そして、列車が停車した場合、電波測位部3aは、GPS衛星11a、11bからのGPS信号に基づいて現在位置の経度および緯度を測位し(ステップST118)、列車の現在位置を更新する(ステップST119)。そして、マップマッチング処理部3cは、電波測位部3aにて測位された現在位置の経度および緯度が線路マップの線路上に合致するように列車の現在位置を補正する(ステップST120)。
【0057】
次に、電源がオフされたかどうかを判断し(ステップST121)、電源がオフされない場合、列車が方向転換されるまで(ステップST122)、ステップST107〜ST121の処理を繰り返す。一方、列車が方向転換された場合、ステップST101に戻る。そして、電源がオフされるまで(ステップST121)、ステップST101〜ST122の処理を繰り返す。
【0058】
実施の形態2.
図6は、本発明に係る列車位置測定装置が適用される列車編成の実施の形態2の概略構成を示すブロック図である。図6において、この列車位置測定装置103には、図1の列車位置測定装置3の構成に加え、脱線判断部3eが設けられている。また、最前列の車両1aには、防護無線機12、防護無線発信アンテナ13およびバックアップ電源14が設けられている。
【0059】
ここで、脱線判断部3eは、列車の加速度の検出結果に基づいて列車が脱線したかどうかを判断することができる。具体的には、列車の加速度の検出結果が規定値以上の場合、列車の現在位置から線路マップで与えられる線路位置までの距離を算出し、その算出された距離が一定値以上の場合に列車が脱線したと判断することができる。
【0060】
防護無線機12は、防護無線発信アンテナ13を介して自列車が脱線したことを他列車に通知することができる。バックアップ電源14は、架線からの電源の供給を受けることなく、列車位置測定装置103および防護無線機12に電源を供給することができる。
【0061】
以下、列車位置測定装置103の動作について説明する。
【0062】
図6において、列車位置測定装置3が起動されると、GPS衛星11a、11bから送られた信号がGPS受信アンテナ2にて受信され、電波測位部3aに送られる。そして、電波測位部3aにおいて、GPS衛星11a、11bからの信号に基づいて現在位置の経度および緯度が測位され、その測位結果がマップマッチング処理部3cおよび脱線判断部3eに送られる。なお、図6で、GPS衛星11a、11bは2個しか示していないが、測位用電波源(衛星や地上基地局)は3個以上必要なところを省略して描いている。
【0063】
一方、線路マップ取得部3bでは線路マップが取得され、その線路マップの情報がマップマッチング処理部3cおよび脱線判断部3eに送られる。そして、マップマッチング処理部3cにおいて、電波測位部3aにて測位された現在位置が線路マップ上の線路の位置と照合され、電波測位部3aにて測位された現在位置が線路マップの線路上に合致するように補正されることで、列車の現在位置が算出される。
【0064】
そして、マップマッチング処理部3cにて線路マップの線路上に合致された列車の現在位置が算出されると、その列車の現在位置が現在位置演算部3dに送られる。
【0065】
一方、加速度センサ6aでは、列車の前後方向の加速度が検出されるとともに、加速度センサ6b、6cでは、列車の左右方向の加速度が検出され、現在位置演算部3dおよび脱線判断部3eに送られる。
【0066】
そして、現在位置演算部3dにおいて、マップマッチング処理部3cにて合致された線路上の位置を起点として、加速度センサ6a〜6cによる加速度の積分処理が行われることで、その起点からの列車の走行距離が算出される。そして、その走行距離に対応した分だけ線路マップの線路上を移動した点が求められることで、列車の現在位置が測定される。
【0067】
また、加速度センサ6b、6cによる左右方向の加速度の検出結果に基づいて、列車が現在走行している実際の線路の曲がり具合が算出される。そして、列車が現在走行している実際の線路の曲がり具合が、線路マップ上の線路の曲がり具合と一致するように、列車の現在位置が補正される。
【0068】
そして、現在位置演算部3dにて列車の現在位置が演算されると、その演算結果は、列車保安装置4に出力される。また、トランスポンダ5からは、列車の停止限界に関する情報が列車保安装置4に送られる。そして、列車保安装置4において、現在位置演算部3dにて演算された列車の現在位置とその停止限界との関係が判断され、列車の現在位置が停止限界に達したと判断されると、列車が強制的に減速されたり停止されたりする。
【0069】
また、電波測位部3aによる測位結果、線路マップで与えられる線路位置および加速度センサ6a〜6cによる加速度の検出結果が脱線判断部3eに送られると、センサ6a〜6cによる加速度の検出結果が規定値以上であるかどうかが判断される。そして、センサ6a〜6cによる加速度の検出結果が規定値以上である場合、列車の現在位置から線路マップで与えられる線路位置までの距離が算出される。そして、その算出された距離が一定値以上の場合、列車が脱線したと判断され、その判断結果が防護無線機12に送られる。
【0070】
また、パンタグラフ8から供給される電圧は、バックアップ電源14にて常に監視される。そして、脱線時などにおいてパンタグラフ8が架線から外れ、パンタグラフ8から供給される電圧の値が規定値以下になると、列車位置測定装置103および防護無線機12に供給される電源がバックアップ電源14に切り替えられる。
【0071】
そして、自列車が脱線したという判断結果が防護無線機12に送られると、防護無線発信アンテナ13を介して他列車に通知される。
【0072】
これにより、列車の脱線時において、ATC信号やATS信号を地上子から受けられなくなる場合においても、乗務員の操作を求めることなく、防護無線を発信させることができ、2重事故を確実に防止することができる。
【0073】
図7は、本発明に係る列車位置測定装置の実施の形態2の動作を示すフローチャートである。図7において、図6の電波測位部3aは、トラッキングモードでの測位を行った後(図5のステップST108)、変数Nを0に設定する(ステップST318)。
【0074】
次に、現在位置演算部3dは、加速度センサ6aからの入力があるかどうかを判断し(ステップST109)、加速度センサ6aからの入力があった場合、加速度センサ6aにて検出された加速度の積分計算を行うことで(ステップST110)、列車の走行距離を算出する。
【0075】
次に、図6の脱線判断部3eは、センサ6aによる加速度の検出結果が規定値以上であるかどうかを判断する(ステップST300)。そして、センサ6aによる加速度の検出結果が規定値以上である場合、GPS測位および加速度の積分計算を行うことにより(ステップST303)、その時の列車の現在位置を算出する。そして、その時の列車の現在位置を線路マップで与えられる線路位置と照合することにより、列車の現在位置が一定値以上だけ線路から外れたかどうかを判断する(ステップST304)。そして、列車の現在位置が一定値以上だけ線路から外れた場合、変数Nを1だけインクリメントした後(ステップST305)、変数Nが所定値以上であるかどうかを判断する(ステップST306)。そして、変数Nが所定値以上である場合、列車が脱線したと判断し(ステップST315)、防護無線機12を起動した後(ステップST316)、列車位置測定装置103の電源をオフする(ステップST317)。ここで、列車が脱線したと判断した場合に、列車位置測定装置103の電源をオフすることで、感電などの危険を防止するとともに、バックアップ電源14の容量が無駄に消費されるのを防止することができる。
【0076】
次に、センサ6aによる加速度の検出結果が規定値以上でない場合または変数Nが所定値以上でない場合、現在位置演算部3dは、加速度センサ6bからの入力があるかどうかを判断する(ステップST111)。そして、加速度センサ6bからの入力があった場合、加速度センサ6bにて検出された加速度の積分計算を行うことで(ステップST112)、列車の旋回角を算出する。
【0077】
次に、図6の脱線判断部3eは、センサ6bによる加速度の検出結果が規定値以上であるかどうかを判断する(ステップST301)。そして、センサ6bによる加速度の検出結果が規定値以上である場合、GPS測位および加速度の積分計算を行うことにより(ステップST307)、その時の列車の現在位置を算出する。そして、その時の列車の現在位置を線路マップで与えられる線路位置と照合することにより、列車の現在位置が一定値以上だけ線路から外れたかどうかを判断する(ステップST308)。そして、列車の現在位置が一定値以上だけ線路から外れた場合、変数Nを1だけインクリメントした後(ステップST309)、変数Nが所定値以上であるかどうかを判断する(ステップST310)。そして、変数Nが所定値以上である場合、列車が脱線したと判断し(ステップST315)、防護無線機12を起動した後(ステップST316)、列車位置測定装置103の電源をオフする(ステップST317)。
【0078】
次に、センサ6bによる加速度の検出結果が規定値以上でない場合または変数Nが所定値以上でない場合、現在位置演算部3dは、加速度センサ6cからの入力があるかどうかを判断する(ステップST113)。そして、加速度センサ6cからの入力があった場合、加速度センサ6cにて検出された加速度の積分計算を行うことで(ステップST114)、列車の旋回角を算出する。
【0079】
次に、図6の脱線判断部3eは、センサ6cによる加速度の検出結果が規定値以上であるかどうかを判断する(ステップST302)。そして、センサ6cによる加速度の検出結果が規定値以上である場合、GPS測位および加速度の積分計算を行うことにより(ステップST311)、その時の列車の現在位置を算出する。そして、その時の列車の現在位置を線路マップで与えられる線路位置と照合することにより、列車の現在位置が一定値以上だけ線路から外れたかどうかを判断する(ステップST312)。そして、列車の現在位置が一定値以上だけ線路から外れた場合、変数Nを1だけインクリメントした後(ステップST313)、変数Nが所定値以上であるかどうかを判断する(ステップST314)。そして、変数Nが所定値以上である場合、列車が脱線したと判断し(ステップST315)、防護無線機12を起動した後(ステップST316)、列車位置測定装置103の電源をオフする(ステップST317)。
【0080】
なお、上述した実施の形態では、列車位置測定装置が3両編成の列車に搭載された場合を例にとって説明したが、3両編成の列車に限定されることなく、何両編成であってもよい。
【0081】
また、上述した実施の形態では、列車の現在位置を測定するために、加速度センサ6a〜6cを用いる方法について説明したが、加速度センサ6aのみを用いるようにしてもよいし、加速度センサ6a、6bのみを用いるようにしてもよい。
【0082】
上記の実施の形態では、列車の走行距離を求める方法として加速度センサ6a、6b、6cで検出された加速度の積分計算による場合を述べたが、電波測位部3aによるトラッキングモードでの測位結果と、加速度の積分結果のうち、線路マップの線路VLにより近い方の結果を選択して採用する方法を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように本発明に係る列車位置測定装置は、GPSによる測位結果と列車の加速度の検出結果とを利用して列車の現在位置を測定することができ、地上子からの位置情報および速度発電機からの出力情報を用いることなく、列車の現在位置を測定する方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係る列車位置測定装置が適用される列車編成の実施の形態1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の列車の進行状況と加速度センサ6a〜6cにかかる加速度との関係を線路マップと対比して示す平面図である。
【図3】図3(a)〜(d)は、図1の列車が分岐線(2番線)に進入した時の列車の進行状況と加速度センサ6b、6cにかかる加速度との関係を示す平面図である。
【図4】図4(a)〜(e)は、図1の列車が分岐線(3番線)に進入した時の列車の進行状況と加速度センサ6b、6cにかかる加速度との関係を示す平面図である。
【図5】本発明に係る列車位置測定装置の実施の形態1の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る列車位置測定装置が適用される列車編成の実施の形態2の概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る列車位置測定装置の実施の形態2の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1a、1b、1c 車両
2 GPS受信アンテナ
3、103 列車位置測定装置
3a 電波測位部
3b 線路マップ取得部
3c マップマッチング処理部
3d 現在位置演算部
3e 脱線判断部
4 列車保安装置
5 トランスポンダ
6a〜6c 加速度センサ
7 運転台
8 パンタグラフ
11a、11b GPS衛星
12 防護無線機
13 防護無線発信アンテナ
14 バックアップ電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波で送られる信号の受信結果に基づいて列車の現在位置の経度および緯度を測位する電波測位部と、
前記列車が走行する路線の線路配置と経度および緯度との関係が登録された線路マップを取得する線路マップ取得部と、
前記電波測位部にて測位された前記列車の現在位置を前記線路マップ上の線路上に合致させるマップマッチング処理部と、
前記マップマッチング処理部にて合致された線路上の位置を起点とし、前記列車の加速度の検出結果から求めた走行距離を参照することで、前記線路上での前記列車の現在位置を演算する現在位置演算部とを備えることを特徴とする列車位置測定装置。
【請求項2】
前記現在位置演算部は、前記電波測位部による測位結果とともに、前記列車の加速度の検出結果を用いることにより、前記線路上での列車の現在位置を演算することを特徴とする請求項1に記載の列車位置測定装置。
【請求項3】
前記列車の前後方向の加速度を検出する第1の加速度センサを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の列車位置測定装置。
【請求項4】
前記列車の左右方向の加速度を検出する第2の加速度センサをさらに備え、
前記現在位置演算部は、前記第2の加速度センサによる加速度の検出結果に基づいて、前記列車の現在の進行方向の変化を判断し、前記進行方向の変化が前記線路マップ上の線路の曲線に対応するように、前記線路上での列車の現在位置を補正することを特徴とする請求項3に記載の列車位置測定装置。
【請求項5】
前記第2の加速度センサが搭載された車両と異なる車両に搭載され、前記列車の左右方向の加速度を検出する第3の加速度センサをさらに備え、
前記現在位置演算部は、前記第2および第3の加速度センサによる加速度の検出結果および前記第2および第3の加速度センサにて加速度が検出された時の時間差に基づいて、前記列車が通り抜けた線路がどのような曲線であるかを判断することを特徴とする請求項4に記載の列車位置測定装置。
【請求項6】
前記列車の加速度の検出結果に基づいて前記列車が脱線したかどうかを判断する脱線判断部とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の列車位置測定装置。
【請求項7】
前記脱線判断部は、前記列車の加速度の検出結果が規定値以上の場合、前記列車の現在位置から前記線路マップで与えられる線路位置までの距離を算出し、その算出された距離が一定値以上の場合に前記列車が脱線したと判断することを特徴とする請求項6に記載の列車位置測定装置。
【請求項8】
自列車が脱線したことを他列車に無線で通知する防護無線機と、
架線からの電源の供給を受けることなく、前記列車位置測定装置および前記防護無線機に電源を供給するバックアップ電源とを備えることを特徴とする請求項6または7に記載の列車位置測定装置。
【請求項9】
電波で送られる信号の受信結果に基づいて列車の現在位置の経度および緯度を測位するステップと、
前記列車が走行する路線の線路配置と経度および緯度との関係が登録された線路マップを取得するステップと、
前記測位された前記列車の現在位置を前記線路マップ上の線路上に合致させるステップと、
前記線路マップ上の線路上に合致された位置を起点とし、前記列車の加速度の検出結果から求めた走行距離を参照することで、前記線路上での前記列車の現在位置を演算するステップとを備えることを特徴とする列車位置測定方法。
【請求項10】
前記列車の左右方向の加速度の検出結果に基づいて、前記列車の現在の進行方向の変化を判断し、前記進行方向の変化が前記線路マップ上の線路の曲線に対応するように、前記線路上での列車の現在位置を補正することを特徴とする請求項9に記載の列車位置測定方法。
【請求項11】
前記列車に編成された異なる車両の左右方向の加速度の検出結果の検出結果および前記異なる車両間で左右方向の加速度が検出された時の時間差に基づいて、前記列車が通り抜けた線路がどのような曲線であるかを判断することを特徴とする請求項10に記載の列車位置測定方法。
【請求項12】
前記列車の加速度の検出結果が規定値以上の場合、前記列車の現在位置から前記線路マップで与えられる線路位置までの距離を算出し、その算出された距離が一定値以上の場合に前記列車が脱線したと判断するステップをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の列車位置測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−179737(P2010−179737A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23781(P2009−23781)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】