説明

判定装置及び判定方法

【課題】複数のデータ処理回路を備える半導体集積回路の不具合箇所を特定することができる判定装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る判定装置は、第1OSDプレーン23A及び第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23Cを備えるLSI20Aの良否判定を行うものである。入力されるテストパターンに応じて複数の画像処理回路が形成する1フレームの画像において、第1OSDプレーン23Aからの出力に対応する領域Aと、第2OSDプレーン23Bからの出力に対応する領域BとをCRC演算する領域として設定する。CRC演算回路15は、領域A、領域BのCRC演算を行ってそれぞれの演算結果を算出し、それぞれの領域に対応する期待値と演算結果とをそれぞれ比較して、複数のデータ処理回路の良否判定を行うCPU22に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置及び判定方法に関し、特に、複数のデータ処理回路を備える半導体集積回路の判定装置及び判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、映像データなどの膨大なデータ量をデータ処理するLSI(Large Scale Integration)をテストする技術が記載されている。図11に、特許文献1に記載のテストシステムの構成を示す。図11に示すように、特許文献1に記載のテストシステムには、所定のテストデータを格納したFPGA(Field Programmable Gate Array)140が設けられている。
【0003】
FPGA140によりテストデータがテスト対象のCPU内蔵LSI110に送信され、映像データ処理回路113で暗号化される。そして、暗号化データ比較手段111aにより暗号化データと期待値とが比較され、不一致であった場合に不良品と判定される。
【0004】
また、特許文献2には、画像信号を出力するLCD(Liquid Crystal Display)の駆動回路等のテストを行う判定装置が記載されている。特許文献2に記載の判定装置は、FPGAにより作成されている。テスト対象のLSIから出力された画像信号全体に対してCRC(Cyclic Redundancy Check)方式による演算を行い、演算結果と期待値とを比較して画像信号の良否判定が行われる。
【0005】
近年、表示装置では、動画像と、静止画像、文字、図形、字幕あるいはメニュー画面等の非動画像(以下、これをグラフィックと呼ぶ)とを合成して表示することが一般的に行われている。このような表示を行うLSIには、動画像の画像信号を出力する動画データ処理回路、グラフィックの画像信号を出力するグラフィックデータ処理回路を含む複数のデータ処理回路が設けられている。複数のデータ処理回路が形成する1フレームの画像内には、動画データ処理回路からの出力に対応する領域と、グラフィックデータ処理回路からの出力に対応する領域とが形成される。
【0006】
このようなLSIのテストを特許文献2のようにCRC方式による演算を用いて行う場合、動画像とグラフィックとが合成された1フレーム分の画像信号全体についてCRC演算が行われる。このため、1フレームの画像中のどの領域に不良箇所があるかを特定することができず、LSIの不具合箇所を特定することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−309543号公報
【特許文献2】特開2007−101691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、特許文献2では、1フレーム分の画像信号全体についてCRC演算が行われているため、半導体集積回路の不具合箇所を特定することが難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る判定装置は、第1データ処理回路及び第2データ処理回路を含む複数のデータ処理回路を備える半導体集積回路の良否判定を行う判定装置であって、入力されるテストパターンに応じて前記複数のデータ処理回路が形成する1フレームの画像において、前記第1データ処理回路からの出力に対応する第1領域と、前記第2データ処理回路からの出力に対応する第2領域とをCRC演算する領域として設定する領域設定部と、前記第1領域、前記第2領域のCRC演算を行ってそれぞれの演算結果を算出し、前記第1領域、前記第2領域にそれぞれ対応する期待値と前記演算結果とをそれぞれ比較して、前記複数のデータ処理回路の良否判定を行う判定部に出力する演算部とを備えるものである。
【0010】
本発明の他の態様に係る判定方法は、第1データ処理回路及び第2データ処理回路を含む複数のデータ処理回路を備える半導体集積回路の良否判定を行う判定方法であって、前記複数のデータ処理回路のテストパターンを入力し、前記テストパターンに応じて前記複数のデータ処理回路が形成する1フレームの画像において、前記第1データ処理回路からの出力に対応する第1領域と、前記第2データ処理回路からの出力に対応する第2領域とをCRC演算する領域として設定し、前記第1領域、前記第2領域のCRC演算を行ってそれぞれの演算結果を算出し、前記第1領域、前記第2領域にそれぞれ対応する期待値と前記演算結果とをそれぞれ比較して、前記複数のデータ処理回路の良否判定を行う。
【0011】
このような構成により、複数のデータ処理回路からの出力に対応する領域ごとにCRC演算を行うことができる。これらの領域ごとの演算結果とそれぞれの領域に対応する期待値とを比較することにより、複数のデータ処理回路のいずれに不具合が発生しているかを特定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のデータ処理回路を備える半導体集積回路の不具合箇所を特定することができる判定装置及び判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1に係る判定装置の構成の一例を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る判定装置におけるFPGAの構成の一例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る判定方法を説明するための図である。
【図4】実施の形態1に係る判定装置において処理されるテスト信号の一例を示す図である。
【図5A】1フレームの画像のうち、第1OSDプレーン23Aからの出力に対応する領域Aを示す図である。
【図5B】1フレームの画像のうち、第2OSDプレーン23Bからの出力に対応する領域Bを図である。
【図6】領域A及び領域Bに対応するテスト信号の範囲を示す情報を表す図である。
【図7A】CRC演算を行う領域の決定方法を説明するための図である。
【図7B】CRC演算を行う領域の決定方法を説明するための図である。
【図7C】CRC演算を行う領域の決定方法を説明するための図である。
【図8】実施の形態1に係る判定装置の構成の一例を示す図である。
【図9】実施の形態1に係る判定装置におけるFPGAの構成の一例を示す図である。
【図10A】プログレッシブ方式の場合の領域A及び領域Bに対応するテスト信号の範囲を示す情報を示す図である。
【図10B】インターレース方式の場合の領域A及び領域Bに対応するテスト信号の範囲を示す情報を示す図である。
【図11】特許文献1に係る半導体集積回路の判定装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態の構成は例示であり、本発明は実施の形態の構成に限定されない。また、以下に説明する本発明の判定装置の一実施形態の説明は、本発明の判定方法の一実施形態の説明を兼ねる。
【0015】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る半導体集積回路の判定装置について、図1、2を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る判定装置の構成の一例を示す図である。また、図2は、本実施の形態に係る判定装置に用いられるFPGA(Field Programmable Gate)10の構成の一例を示す図である。
【0016】
本発明に係る判定装置は、複数のデータ処理回路を備える半導体集積回路の良否判定を行うものである。ここでは、データ処理回路の一例として、OSD(On Screen Display)プレーンやビデオプレーン等の複数の画像処理回路を備える半導体集積回路の判定装置について説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係る判定装置は、LSI20Aをテスト対象としている。LSI20Aは、外部メモリI/F21、CPU(Central Processing Unit)22、第1OSDプレーン23A、第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23C、ミキサ24、汎用I/F25を備えている。
【0018】
外部メモリI/F21には、メモリ30が接続されている。メモリ30は、例えばフラッシュメモリである。メモリ30には、LSI20Aのテストを行うためのファームウェア及びテストパターン、入力されるテストパターンに応じて第1OSDプレーン23A、第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23Cにより形成される1フレームの画像における各画像処理回路からの出力に対応する領域ごとの期待値が記憶されている。
【0019】
CPU22は、テスト開始のトリガとなる信号を受信すると、外部のメモリ30に格納されたファームウェアを内部メモリに展開して実行する。また、CPU22は、ファームウェアをもとに、メモリ30から外部メモリI/F21を経て入力されるテストパターンに対して必要な処理を行い、第1OSDプレーン23A、第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23Cに出力する。第1OSDプレーン23A及び第2OSDプレーン23Bは、それぞれテストパターンに応じて字幕等のグラフィック信号を出力する。ビデオプレーン23Cは、テストパターンに応じて動画信号を出力する。
【0020】
図3に、実施の形態1に係る判定方法を説明するための図を示す。図3に示すように、1フレームの画像において、第1OSDプレーン23Aからの出力に対応する領域を領域A、第2OSDプレーン23Bからの出力に対応する領域を領域B、ビデオプレーン23Cからの出力に対応する領域を領域Cとする。
【0021】
ミキサ24は、第1OSDプレーン23A、第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23Cからそれぞれ出力される信号を合成し、複数のフレームの画像信号を含むテスト信号を生成し、FPGA10に対して出力する。この例では、ミキサ24は、1フレームの画像において、背景としてビデオプレーン23Cからの動画信号を配置し、その上に第2OSDプレーン23Bからのグラフィック信号を配置し、ビデオプレーン23C及び第1OSDプレーン23Aの一部の上に第1OSDプレーン23Aからのグラフィック信号を配置した1つの画像が形成されるテスト信号を生成する。このテスト信号を用いてテストを行うことにより、複数の画像処理回路を一度にテストすることができる。
【0022】
また、LSI20AからFPGA10へは、複数のフレームの開始タイミングを示す垂直同期信号Vsyncが送信される。図4に、テスト信号の一例を示す。図4に示すように、この例では、テスト信号は伝送路上を一度に1ビットずつ、シリアルに送信される。テスト信号のうち、一の垂直同期信号Vsyncが入力された後に伝送されるデータからその次の垂直同期信号Vsyncが入力される前までに伝送されたデータが1フレーム分の画像信号となる。
【0023】
この1フレーム分の画像信号は、例えば画像の最上ラインの左端から右端まで1ビットずつ順次出力される。そして、最上ラインの右端まで出力された後、当該最上ラインに隣接するラインの左端から右端まで1ビットずつ画像信号が出力される。これを繰り返して、最下ラインの出力が終了すると、次のフレームの画像信号の出力が開始される。すなわち、本実施の形態では、1フレーム分の画像信号の出力を1回の走査により行うプログレッシブ方式が採用されている。
【0024】
FPGA10は、LSI20Aからテスト信号と垂直同期信号Vsyncを受信する。FPGA10は、入力されるテスト信号から、領域A、領域B、領域CごとのCRC演算を行い、演算結果をCPU22に出力する。本実施の形態では、CPU22がFPGA10で演算される演算結果と、1フレームの画像における各領域の期待値との比較を行い、第1OSDプレーン23A、第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23Cのいずれに不具合が発生しているかの良否判定を行う。なお、この良否判定を行う回路を、FPGA10に設けることも可能である。CPU22での判定結果であるPass/Fail信号は、汎用I/F25を介してテスタ40に出力される。
【0025】
ここで、図2を参照して、FPGA10の構成について詳細に説明する。図2に示すように、FPGA10は、ビットカウンタ11、ラインカウンタ12、記憶部13、制御回路14、CRC(Cyclic Redundancy Check)演算回路15、第1レジスタ16A、第2レジスタ16B、第3レジスタ16Cを備えている。
【0026】
本実施の形態では、これらの構成を有する判定装置は、FPGAにより作成されている。なお、本発明の判定装置は、FPGAを用いる場合に限定されるのではなく、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)を用いてもよい。
【0027】
ビットカウンタ11には、LSI20Aからのテスト信号と垂直同期信号Vsyncが入力される。ビットカウンタ11は、入力されるテスト信号のビット数をカウントする。ビットカウンタ11が1フレームの画像の1ライン分のビット数のカウントを終了すると、ラインカウンタ12がインクリメントされる。これにより、1フレームの画像の何ライン目の何ビット目の画像信号が伝送されているかがわかる。
【0028】
本実施の形態では、1フレームの開始タイミングを示す垂直同期信号Vsyncがテスト開始のトリガとなる信号である。垂直同期信号Vsyncが入力されると、ビットカウンタ11及びラインカウンタ12のカウント値がリセットされ、新たに次の1フレームの画像のテスト信号に対するテストが開始される。なお、垂直同期信号Vsyncの代わりに、テスタ40からのリセット信号の入力により、ビットカウンタ11、ラインカウンタ12がリセットされ、テストが開始されるようにしてもよい。
【0029】
記憶部13には、1フレームのテスト信号のうち領域A、領域B、領域Cに対応するテスト信号の範囲を示す情報が記憶されている。図5A、5Bは、1フレームの画像中に領域A、領域Bを示す図である。図6は、1フレームのテスト信号のうち領域A及び領域Bに対応するテスト信号の範囲を示す情報を表す図である。
【0030】
本実施の形態では、図5A、5Bに示すように、領域A、領域Bはいずれも矩形の領域であるものとする。従って、記憶部13には、図6に示すように、領域Aに対応するテスト信号の範囲を示す情報として、領域Aの開始位置(Start)の座標(m1、n1)と終了位置(End)の座標(m2、n2)とが記憶されている。領域Aは、m1ラインのn1ビットから、m2ラインのn2ビットまでである。
【0031】
また、記憶部13には、領域Bに対応するテスト信号の範囲を示す情報として、領域Bの開始位置(Start)の座標(m3、n3)と終了位置(End)の座標(m4、n4)とが記憶されている。領域Bは、m3ラインのn3ビットから、m4ラインのn4ビットまでである。
【0032】
例えば、図4に示すテスト信号が、図3に示す1フレームの画像において破線で示すラインのテスト信号を含むものとする。この場合、図4に示すように、まず、図3の破線ラインの領域Cに対応するテスト信号が送信され、次に領域Aに対応するテスト信号が送信され、その後領域Bに対応するテスト信号が送信され、最後に領域Cに対応するテスト信号が送信される。当該ラインのテスト信号の送信が終了すると、ラインカウンタがインクリメントされ、図3の破線ラインに隣接するラインの領域Cのテスト信号が送信され始める。
【0033】
ここで、図7A〜7Cを参照して、CRC演算を行う領域のテスト信号の範囲の決定方法について説明する。領域Aは、1フレームの画像において、最前面に表示される。このため、領域Aは、図6に示す領域Aの座標情報を用いて特定される。この座標情報に対応するテスト信号のビット数により、領域AのCRC演算を行うテスト信号の範囲が決定される。領域Bは、1フレームの画像において、領域Aの背面で領域Cの前面に表示される。従って、領域Bは、図6に示す領域A、領域Bの座標情報を用いて特定される(Aバー&B)。
【0034】
また領域Cは、1フレームの画像において、最背面に表示される。従って、領域Cは、図6に示す領域A、領域Bの座標情報を用いて特定される(Aバー&Bバー)。このように、3つのうち2つの領域のテスト信号の範囲を示す情報があれば、論理演算を行うことにより、これら3つの領域のテスト信号を特定することができる。
【0035】
この領域A及び領域Bに対応するテスト信号の範囲を示す情報は、制御回路14に送信される。制御回路14は、この範囲を示す情報とビットカウンタ11、ラインカウンタ12のカウント値を参照して、切替スイッチ17を制御する。CRC演算回路15は、シリアルに入力されるテスト信号に対して順次CRC演算を行う。CRCとは、データの伝送時において、データが正しく伝送されたか否かを検査する伝送誤りの検出方法である。
【0036】
第1レジスタ16A、第2レジスタ16B、第3レジスタ16Cは、領域A、領域B、領域CのCRC演算結果をそれぞれ格納する。切替スイッチ17は、制御回路14からの制御に応じて、CRC演算回路15を第1レジスタ16A、第2レジスタ16B、第3レジスタ16Cのいずれかに切替接続する。
【0037】
入力されるテスト信号が領域Aに含まれるものである場合、制御回路14はCRC演算回路15と第1レジスタ16Aとを接続する。このとき、CRC演算回路15は、入力される領域Aのテスト信号を用いてCRC演算を行い、その演算結果を第1レジスタ16Aに格納する。第1レジスタ16Aに前回までに格納された演算結果がある場合には、この前回までに格納された演算結果と、これから入力される領域Aのテスト信号を用いてCRC演算を行い、その演算結果により当該第1レジスタ16Aを更新する。
【0038】
その後、入力されるテスト信号が領域Bに含まれるものに切り替わる直前に、制御回路14はCRC演算回路15を第1レジスタ16Aと切り離し、第2レジスタ16Bに接続する。このとき、CRC演算回路15は、入力される領域Bのテスト信号を用いてCRC演算を行い、その演算結果を第2レジスタ16Bに格納する。第2レジスタ16Bに前回までに格納された演算結果がある場合には、この前回までに格納された演算結果と、これから入力される領域Bのテスト信号を用いてCRC演算を行い、その演算結果により当該第2レジスタ16Bを更新する。
【0039】
その後、入力されるテスト信号が領域Cに含まれるものに切り替わる直前に、制御回路14はCRC演算回路15を第2レジスタ16Bと切り離し、第3レジスタ16Cに接続する。そして、CRC演算回路15は、領域Cについても同様にCRC演算を行い、その演算結果を第3レジスタ16Cに格納する。すなわち、制御回路14は、切替スイッチ17を制御して領域A、領域B、領域Cごとの演算結果を各レジスタに分ける。従って、ビットカウンタ11、ラインカウンタ12、記憶部13、制御回路14が領域設定部となる。
【0040】
なお、各領域に対応するテスト信号の振り分けは、上述の例に限定されるものではない。例えば、CRC演算を行う前に、領域ごとにテスト信号を分けてもよい。また、記憶部13に記憶される情報としては、座標情報に限定されず、各領域に対応するビット数が記憶されていても良い。
【0041】
ビットカウンタ11に次のフレームの開始タイミングを示す垂直同期信号Vsyncが入力されると、その前のフレームの画像の領域ごとのCRC演算が終了する。その後、第1レジスタ16A、第2レジスタ16B、第3レジスタ16Cから領域ごとの演算結果がCPU22に出力される。
【0042】
CPU22には、メモリ30から領域ごとの期待値が入力される。期待値とは、第1OSDプレーン23A、第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23Cに不具合がなく、テスト信号が良好である場合のCRC演算結果である。なお、本実施の形態では、各領域の期待値を外部のメモリ30に記憶させたが、これに限定されない。上述のように、本実施形態では、FPGAによりCRC演算回路を作成している。FPGAは任意に回路を組むことができる。そこで、このFPGA内に期待値を格納する回路を組み込むことも可能である。
【0043】
上述したように、CPU22は、領域ごとの演算結果と各領域にそれぞれ対応する期待値とを比較して、良否判定を行う。具体的には、CPU22は、領域Aの演算結果(演算値A)と期待値Aとを比較し、これらが一致した場合には、領域Aのテスト信号を出力している第1OSDプレーン23Aには不具合が発生していないと判断する。そして、CPU22は、汎用I/F25を介して領域AのPass信号をテスタ40に出力する。
【0044】
一方、演算値Aと期待値Aとが不一致である場合には、CPU22は、第1OSDプレーン23Aに不具合が発生していると判断する。そして、CPU22は、汎用I/F25を介して領域AのFail信号をテスタ40に出力する。CPU22は、領域B、領域Cについても同様に良否判定を行い、第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23Cに不具合が発生しているかどうかを判定する。
【0045】
テスタ40は、入力されるPass/Fail信号に応じて、判定結果をユーザが確認できる形式で報知する。ユーザは、報知された内容により、第1OSDプレーン23A、第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23Cのいずれに不具合が発生しているかを確認することができる。
【0046】
1フレームの画像によるテストが終了した後、次の1フレームの画像によるテストが行われる。1フレームの画像における各領域の位置と、これに続くフレームにおける各領域の位置とが異なる場合には、前フレームのCRC演算が終了した後これに続くフレームのCRC演算が開始される前に、記憶部13の領域A、領域B、領域Cに対応するテスト信号の範囲を示す情報の書換えが行われる。
【0047】
この記憶部13の書換えは、垂直同期信号Vsyncの回数をカウントすることによって行われる。記憶部13には、あらかじめ複数の各領域のテスト信号の範囲を示す情報が記憶されている。例えば、2フレーム目と3フレーム目とで、各領域の位置が異なる場合には、垂直同期信号のカウント数が3になったときに、3フレーム目に対応する各領域に対応するテスト信号の範囲を示す情報が選択される。なお、CPU22が、記憶部13の情報を書換えるようにしてもよい。
【0048】
特許文献2に記載の技術では、入力した一画面分の画像信号に対してCRC演算を行っていたため、不良箇所の特定ができなかった。しかしながら、本実施の形態によれば、1フレームの画像において、複数のデータ処理部がそれぞれ形成する領域ごとにCRC演算を行うことができる。すなわち、1フレーム分のテスト信号において、複数のデータ処理部がそれぞれ出力するテスト信号の範囲ごとにCRC演算が行われる。
【0049】
これにより、複数のデータ処理部を備える半導体集積回路のどこに不具合が発生しているかを特定することが可能である。不良箇所がされることで、半導体集積回路の量産においてプロセス改善等に役立つ。また、演算結果と期待値とを1フレームごとに瞬時に比較することができるため、短時間で良否判定を行うことが可能である。
【0050】
さらに、複数のフレームで異なる位置に各データ処理回路からの画像が表示される場合でも、記憶部13の書換えを行うことにより、いずれのフレームにおいても容易に不良箇所の特定を行うことができる。また、FPGAを用いているため、容易に回路の組み換えができ、例えば、解像度の変更にも柔軟に対応することができる。
【0051】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る半導体集積回路の判定装置について、図8、9を参照して説明する。図8は、本実施の形態に係る判定装置の構成の一例を示す図である。また、図9は、本実施の形態に係る判定装置に用いられるFPGA10の構成の一例を示す図である。本実施の形態において、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0052】
本実施の形態に係る判定装置は、上述したプログレッシブ方式で伝送されるテスト信号だけでなく、インターレース方式で伝送されるテスト信号を用いて、半導体集積回路のテストを行うことができる。テスト対象であるLSI20Bは、OSD(On Screen Display)プレーンやビデオプレーン等の複数の画像処理回路を備える。LSI20Bは、インターレース方式、又は、プログレッシブ方式により画像信号を伝送する。
【0053】
インターレース方式では、1フレームの画像信号が奇数フィールドと偶数フィールドに分けて伝送される。すなわち、1フレーム分の画像信号において、まず、奇数ラインの画像信号が送信される。画像の1ライン目の左端から右端まで1ビットずつ順次出力された後、3ライン目の左端から右端まで1ビットずつ画像信号が出力される。奇数ラインの伝送が終了すると、次に偶数ラインの画像信号の伝送が開始される。すなわち、本実施の形態では、1フレーム分の画像信号の出力は2回の走査により行われる。
【0054】
図8に示すように、本実施の形態に係る判定装置では、実施の形態1に係る判定装置の構成に加え、処理部26が設けられている。処理部26は、LSI20からFPGA10に入力されるテスト信号がインターレース方式であるかプログレッシブ方式であるかを示すI/P信号をFPGA10に送信する。
【0055】
なお、処理部26は、インターレース方式のテスト信号をプログレッシブ方式に変換する、又は、プログレッシブ方式のテスト信号をインターレース方式に変換することができる。処理部26は、メモリ30から入力されるテストパターンに対して変換処理を行って、第1OSDプレーン23A、第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23Cに送信する。そして、ミキサ24が第1OSDプレーン23A、第2OSDプレーン23B、ビデオプレーン23Cからの出力を合成して複数フレームのテスト信号を形成する。
【0056】
処理部26は、プログレッシブ方式に変換した場合にはテスト信号がプログレッシブ方式であることを示す信号を、インターレース方式に変換した場合にはテスト信号がインターレース方式であることを示す信号を、記憶部13に出力する。
【0057】
記憶部13には、これら2つの方式に対応する、1フレームのテスト信号のうち各領域に対応するテスト信号の範囲を示す情報が格納されている。記憶部13は、処理部26からのI/P信号に応じて、これらの情報のうちいずれかの情報を選択する。図10A、10Bに、各方式での領域A及び領域Bに対応するテスト信号の範囲を示す情報を示す。
【0058】
図10Aは、プログレッシブ方式の場合の各領域に対するテスト信号の範囲を示す情報である。これは、図6と同一であるため説明を省略する。図10Bは、インターレース方式の場合の各領域に対するテスト信号の範囲を示す情報である。インターレース方式では、1フレームの画像における各領域の位置については図3に示すものと同じであるものの、テスト信号は奇数フィールドと偶数フィールドに分けて伝送される。このため、図10Bに示すように、奇数フィールド、偶数フィールドのそれぞれに対する各領域に対するテスト信号の範囲が示されている。
【0059】
処理部26からのIP信号がプログレッシブ方式であることを示す場合には、記憶部13では図10Aに示す情報が選択され、制御回路14は実施の形態1と同様に、切替スイッチ17が制御される。一方、IP信号がインターレース方式であることを示す場合には、記憶部13では図10Bに示す情報が選択される。
【0060】
奇数フィールドのテスト信号が伝送されると、奇数フィールドの情報を用いて、CRC演算を行う範囲が決定される。その後、偶数フィールドのテスト信号が伝送されると、偶数フィールドの情報を用いて、CRC演算を行う範囲が決定される。このように、フィールドごとに各領域のCRC演算が行われる。
【0061】
この場合、メモリ30には、奇数フィールドのそれぞれの領域に対応する期待値と、偶数フィールドのそれぞれの領域に対応する期待値とが格納されている。CPU22は、各フィールドにおける領域A、B、Cごとに、演算結果と期待値とを比較して良否判定を行うことができる。なお、奇数フィールドと偶数フィールドのテスト信号を合わせて、領域A、B、Cそれぞれ1つずつCRC演算結果を算出し、これをそれぞれの領域の期待値と比較するようにしてもよい。
【0062】
以上説明したように、本発明によれば、FPAGでCRC演算回路等を実現するため、テスト用冗長回路を組み込むことなく、また、複数の回路を一度にテストしながら不良箇所の特定が出来る。これにより、短時間でプロセス改善や品質向上を実現することができる。また、インターレース方式、プログレッシブ方式のいずれであっても、適切に良否判定を行うことが可能である。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本実施の形態では、LSIが備える複数の画像処理回路の不良箇所を特定する例について説明したがこれに限定されない。例えば、デジタルカメラのCMOSセンサの不良箇所の特定等を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 FPGA
11 ビットカウンタ
12 ラインカウンタ
13 記憶部
14 制御回路
15 CRC演算回路
16A 第1レジスタ
16B 第2レジスタ
16C 第3レジスタ
17 切替スイッチ
20A、20B LSI
21 外部メモリI/F
22 CPU
23A 第1OSDプレーン
23B 第2OSDプレーン
23C ビデオプレーン
24 ミキサ
25 汎用I/F
26 処理部
30 メモリ
40 テスタ
Vsync 垂直同期信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1データ処理回路及び第2データ処理回路を含む複数のデータ処理回路を備える半導体集積回路の良否判定を行う判定装置であって、
入力されるテストパターンに応じて前記複数のデータ処理回路が形成する1フレームの画像において、前記第1データ処理回路からの出力に対応する第1領域と、前記第2データ処理回路からの出力に対応する第2領域とをCRC演算する領域として設定する領域設定部と、
前記第1領域、前記第2領域のCRC演算を行ってそれぞれの演算結果を算出し、前記第1領域、前記第2領域にそれぞれ対応する期待値と前記演算結果とをそれぞれ比較して、前記複数のデータ処理回路の良否判定を行う判定部に出力する演算部と、
を備える判定装置。
【請求項2】
前記領域設定部は、
前記1フレームのテスト信号のうち前記第1領域及び第2領域に対応するテスト信号の範囲を示す情報が記憶された記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記テスト信号の範囲を示す情報に基づいて、シリアルに入力される前記テスト信号を前記第1領域、前記第2領域ごとに分ける制御部と、
を備える請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記領域設定部は、
前記1フレームのテスト信号のビット数をカウントするカウンタをさらに備え、
前記制御部は、前記テスト信号の範囲を示す情報及び前記カウンタのカウント値に基づいて、シリアルに入力される前記テスト信号を領域ごとに分ける請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記第1領域の演算結果を格納する第1レジスタと、前記第2領域の演算結果を格納する第2レジスタと、
前記演算部を、前記第1レジスタ又は前記第2レジスタのいずれかに接続する切替スイッチと、
をさらに備え、
前記制御部は、シリアルに入力されるテスト信号の前記演算部による演算結果を前記第1レジスタと前記第2レジスタとに分けるため、前記切替スイッチを制御する請求項3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記演算部は、
前記第1レジスタと接続されている場合、当該第1レジスタを参照してCRC演算を行い、その演算結果により当該第1レジスタを更新し、
前記第2レジスタと接続されている場合、当該第2レジスタを参照してCRC演算を行い、その演算結果により当該第2レジスタを更新する請求項4に記載の判定装置。
【請求項6】
前記テストパターンにより前記複数のデータ処理回路が形成する画像が複数フレームあり、複数フレームのうちの第1フレームとこれに続く第2フレームとで前記第1領域と前記第2領域の位置が異なる場合、
前記第1フレームにおけるCRC演算が終了した後、前記第2フレームにおけるCRC演算が開始される前に、前記記憶部の前記テスト信号の範囲を示す情報が書換えられることを特徴とする請求項2に記載の判定装置。
【請求項7】
前記記憶部の前記テスト信号の範囲を示す情報の書換えは、前記フレームの開始タイミングを示す垂直同期信号の回数をカウントすることにより行われることを特徴とする請求項6に記載の判定装置。
【請求項8】
前記記憶部には、インターレース方式の場合の前記テスト信号の範囲を示す情報と、プログレッシブ方式の場合の前記テスト信号の範囲を示す情報とが記憶されており、前記テスト信号がインターレース方式かプログレッシブ方式かに応じていずれかが選択されることを特徴とする請求項2に記載の判定装置。
【請求項9】
第1データ処理回路及び第2データ処理回路を含む複数のデータ処理回路を備える半導体集積回路の良否判定を行う判定方法であって、
前記複数のデータ処理回路のテストパターンを入力し、
前記テストパターンに応じて前記複数のデータ処理回路が形成する1フレームの画像において、前記第1データ処理回路からの出力に対応する第1領域と、前記第2データ処理回路からの出力に対応する第2領域とをCRC演算する領域として設定し、
前記第1領域、前記第2領域のCRC演算を行ってそれぞれの演算結果を算出し、
前記第1領域、前記第2領域にそれぞれ対応する期待値と前記演算結果とをそれぞれ比較して、前記複数のデータ処理回路の良否判定を行う、
判定方法。
【請求項10】
前記1フレームのテスト信号のうち前記第1領域及び第2領域に対応するテスト信号の範囲を示す情報に基づいて、シリアルに入力される前記テスト信号を前記第1領域、前記第2領域ごとに分けることを特徴とする請求項9に記載の判定方法。
【請求項11】
前記1フレームのテスト信号のビット数をカウントし、
前記テスト信号の範囲を示す情報及び前記カウンタのカウント値に基づいて、シリアルに入力される前記テスト信号を領域ごとに分けることを特徴とする請求項10に記載の判定装置。
【請求項12】
シリアルに入力されるテスト信号のCRC演算結果を、切替スイッチにより前記第1領域の演算結果を格納する第1レジスタと、前記第2領域の演算結果を格納する第2レジスタとに分け、
前記第1レジスタと接続されている場合、当該第1レジスタを参照してCRC演算を行い、その演算結果により当該第1レジスタを更新し、
前記第2レジスタと接続されている場合、当該第2レジスタを参照してCRC演算を行い、その演算結果により当該第2レジスタを更新する請求項11に記載の判定方法。
【請求項13】
前記テストパターンにより前記複数のデータ処理回路が形成する画像が複数フレームあり、複数フレームのうちの第1フレームとこれに続く第2フレームとで前記第1領域と前記第2領域の位置が異なる場合、
前記第1フレームにおけるCRC演算が終了した後、前記第2フレームにおけるCRC演算が開始される前に、前記テスト信号の範囲を示す情報が書換えられることを特徴とする請求項10に記載の判定装置。
【請求項14】
前記テスト信号の範囲を示す情報の書換えは、前記フレームの開始タイミングを示す垂直同期信号の回数をカウントすることにより行われることを特徴とする請求項13に記載の判定方法。
【請求項15】
インターレース方式の場合の前記テスト信号の範囲を示す情報と、プログレッシブ方式の場合の前記テスト信号の範囲を示す情報とが記憶されており、前記テスト信号がインターレース方式かプログレッシブ方式かに応じていずれかが選択されることを特徴とする請求項10に記載の判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−118571(P2011−118571A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274250(P2009−274250)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】