説明

制動装置

【課題】簡単且つ低コストな構造でありながら、車両の走行状態やブレーキペダルの操作状態に対応した適切な制動力配分を得ることができる制動装置を提供する。
【解決手段】制動装置10は、前輪に連通する前輪側マスタシリンダ12と、後輪に連通する後輪側マスタシリンダ14と、前記前輪側マスタシリンダ12及び前記後輪側マスタシリンダ14に液圧を発生させるブレーキペダル11とを備え、車両に制動力を付与する装置である。この制動装置10は、前記後輪側マスタシリンダ14を構成する第2マスタシリンダ14bと前記ブレーキペダル11との間に、該ブレーキペダル11の踏力を減衰する減衰機構36を設けて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に制動力を付与する制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、四輪自動車等の車両には、運転者によるブレーキペダルの操作によってマスタシリンダで液圧を発生し、前輪及び後輪を制動する液圧式の制動装置(ブレーキ装置)が搭載されている。
【0003】
この種の制動装置の一例として、図7に、前輪(右前輪FR、左前輪FL)と後輪(右後輪RR、左後輪RL)とを制動することで車両に制動力を付与する制動装置100のブロック回路図を示す。制動装置100では、運転者によるブレーキペダル102の操作に基づき、前輪側マスタシリンダ104及び後輪側マスタシリンダ106で液圧を発生する。この液圧が、各車輪に備えられたキャリパ108a〜108dに伝達されることでディスク110a〜110dが挟持され、車両に制動力を付与することができる。
【0004】
ところで、通常、車両がカーブに進入しようとしている際、運転者は、カーブ手前の直線部分で最初のブレーキングをし(初期ブレーキング)、その後、該ブレーキングを略一定に保持しつつ減速し(定常ブレーキング)、カーブ入口に到達した際にはブレーキペダルを徐々に戻す(ターンインブレーキング)、という動作を行っている。
【0005】
この場合、前記定常ブレーキング時には、車両の垂直荷重バランスがフロント寄り荷重となり、ノーズダイブと呼ばれる車両前方側の沈みが発生し、リヤ側のダウンフォースが抜けてリヤブレーキがロックし易くなる。そこで、上記した制動装置100のような従来技術では、フロント及びリヤのブレーキバランスの初期設定(デフォルトバランス、制動力配分)をフロント寄り(前輪側の比率が比較的高い状態)に設定し、リヤブレーキのロックを回避している。すなわち、後輪側マスタシリンダ106及びキャリパ108c、108dからなるリヤブレーキは最大限発生できるより少し低い制動力を発生するように設定している。
【0006】
一方、前記ターンインブレーキング時には、徐々にリヤ寄り荷重に戻り、ステアリング操舵による横力が発生し、タイヤ摩擦円により、フロントブレーキがロックし易くなることから、該ロックが発生するタイミングでフロントのブレーキ圧を抜いていくことが望ましい。ところが、上記従来技術では、デフォルトバランスが比較的フロント寄りに固定されているため、リヤ寄りの制動力配分に切り替えることができない。
【0007】
すなわち、制動力配分が固定されていると、このような車両の走行状態やブレーキペダルの操作状態に応じた適切な制動力を得ることが難しい。
【0008】
そこで、特許文献1には、マスタシリンダとホイールシリンダ(キャリパ)との間にブレーキ液圧制御用アクチュエータを介在させ、ブレーキECUによって当該ブレーキ液圧制御用アクチュエータを駆動制御する構成が記載されている。この場合、マスタシリンダで発生する液圧を調整して、各ホイールシリンダに伝達し、これにより前後の制動力配分を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−216771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に記載の従来技術では、マスタシリンダとキャリパとの間にブレーキ液圧制御用アクチュエータを介在させると共に、このブレーキ液圧制御用アクチュエータをブレーキECUによって適宜制御する必要があるため、構造が複雑且つ高価である。
【0011】
本発明は上記従来の課題を考慮してなされたものであり、簡単且つ低コストな構造でありながら、車両の走行状態やブレーキペダルの操作状態に対応した適切な制動力配分を得ることができる制動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る制動装置は、前輪に連通する前輪側マスタシリンダと、後輪に連通する後輪側マスタシリンダと、前記前輪側マスタシリンダ及び前記後輪側マスタシリンダに液圧を発生させるブレーキペダルとを備え、車両に制動力を付与する制動装置であって、前記後輪側マスタシリンダと前記ブレーキペダルとの間に、該ブレーキペダルの踏力を減衰する減衰機構を設けたことを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、後輪側マスタシリンダとブレーキペダルとの間に減衰機構を設けることにより、簡単且つ低コストな機械式の制動制御が可能となり、車両の走行状態やブレーキペダルの操作状態に対応した適切な制動力配分を得ることが可能となる。
【0014】
また、前記後輪側マスタシリンダは、2つ以上のマスタシリンダに分配されると共に、このうち、少なくとも1つの前記マスタシリンダと前記ブレーキペダルとの間に前記減衰機構を設けて構成することもできる。このようにすると、デフォルトバランスを一層容易に調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、後輪側マスタシリンダとブレーキペダルとの間に減衰機構を設けることにより、簡単且つ低コストな機械式の制動制御が可能となる。このため、車両の走行状態やブレーキペダルの操作状態に対応した適切な制動力配分を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る制動装置のブロック回路図である。
【図2】本実施形態に係る制動装置の制動力分配と、図7に示す従来構成に係る制動装置の制動力分配とを比較したグラフである。
【図3】図1に示す制動装置の初期ブレーキング時の状態を示す説明図である。
【図4】図1に示す制動装置の定常ブレーキング時の状態を示す説明図である。
【図5】図1に示す制動装置のターンインブレーキング時の状態を示す説明図である。
【図6】図1に示す制動装置の変形例に係る制動装置のブロック回路図である。
【図7】従来技術に係る制動装置のブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る制動装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る制動装置10のブロック回路図である。制動装置10は、四輪自動車等の車両、特にスポーツ系の車両に好適に搭載され、運転者によるブレーキペダル11の操作に基づき前輪側マスタシリンダ12及び後輪側マスタシリンダ14が駆動されることで、前輪(右前輪FR、左前輪FL)及び後輪(右後輪RR、左後輪RL)に備えた前輪側キャリパ16a、16b及び後輪側キャリパ17a、17bがディスク18a、18b、19a、19bを挟持し、これにより車両に制動力を付与するブレーキ装置である。この制動装置10は、前輪側マスタシリンダ12と前輪側キャリパ16a、16bとの間、及び、後輪側マスタシリンダ14と後輪側キャリパ17a、17bとの間が液圧(油圧)を伝達可能な液圧(油圧)系統で構成されており、該液圧系統には、例えば、ブレーキフルードが充填されている。
【0019】
前輪側マスタシリンダ12は、いわゆるプランジャ型マスタシリンダであり、シリンダ内に配置されたピストン20がブレーキペダル11によって進退駆動されて液室22で液圧を発生する。この液圧が経路23を介して前輪側キャリパ(ブレーキシリンダ、ホイールシリンダ)16a、16bに伝達されることで、該前輪側キャリパ16a、16bがフロントブレーキとして機能し、車両が制動される。液室22内には、ブレーキペダル11の踏み込みで進動したピストン20を原位置に戻す復帰ばね24が配設されている。
【0020】
後輪側マスタシリンダ14は、第1マスタシリンダ14a及び第2マスタシリンダ14bが並設された構成である。すなわち、2つに分配された第1マスタシリンダ14aと第2マスタシリンダ14bとがブレーキペダル11の操作に伴い同時並列的に駆動されて液圧を発生する。この液圧が経路25を介して後輪側キャリパ17a、17bに伝達されることで、該後輪側キャリパ17a、17bがリヤブレーキとして機能し、車両が制動される。
【0021】
前記第1マスタシリンダ14aは、プランジャ型マスタシリンダであり、シリンダ内に配置されたピストン26aがブレーキペダル11によって進退駆動され、これにより液室28aで液圧を発生可能である。液室28a内には、ブレーキペダル11の踏み込みで進動したピストン26aを原位置に戻す復帰ばね30aが配設されている。前記第2マスタシリンダ14bも、第1マスタシリンダ14aと略同様な構成であり、ピストン26b、液室28b及び復帰ばね30bを備え、液室28bで液圧を発生可能である。
【0022】
図1に示すように、制動装置10において、後輪側マスタシリンダ14を構成する第2マスタシリンダ14bとブレーキペダル11との間には、ばね32及びダンパ34を備える減衰機構36が配設されている。減衰機構36は、ブレーキペダル11の踏力を減衰させて第2マスタシリンダ14bに伝達する機構である。ダンパ34は、図示しないオイルが封入され、速度に比例して減衰を生じる所定の粘性減衰係数からなるダッシュポットである。この減衰機構36の減衰特性は、ダンパ34の粘性減衰係数とばね32のばね定数との関係で適宜設定すればよい。
【0023】
なお、図1では簡単のため、前輪側マスタシリンダ12及び後輪側マスタシリンダ14に連通され、当該制動装置10の液圧系統の液圧(液量)を調整するリザーバ(図示せず)や、ブレーキペダル11と前輪側マスタシリンダ12及び後輪側マスタシリンダ14との間に連結される倍力装置(図示せず)等、公知の各機器を省略している。
【0024】
次に、基本的には以上のように構成される制動装置10の動作について、主に図2〜図5を参照して説明する。
【0025】
本実施形態では、車両がカーブに進入しようとしている際、運転者が行うブレーキペダル11の一般的な操作、すなわち、カーブ手前の直線部分で最初のブレーキングをし(初期ブレーキング)、その後、該ブレーキングを略一定に保持しつつ減速し(定常ブレーキング)、カーブ入口に到達した際にはブレーキペダルを徐々に戻す(ターンインブレーキング)、という操作時を例示して制動装置10の動作を説明する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る制動装置10の制動力分配と、図7に示す従来構成に係る制動装置100の制動力分配とを比較したグラフであり、前記初期ブレーキングから前記定常ブレーキングを経て前記ターンインブレーキングまでの一連の動作に係る時間軸(横軸)に対し、制動装置10全体の制動力のうち、フロント側(前輪側)の比率(%)を示すグラフAと、図7に示す制動装置100の全体の制動力のうち、フロント側の比率(%)を示すグラフBと、車両全体の垂直荷重のうち、フロント側の比率(%)を示すグラフCと、車両の減速度(減速G)を示すグラフDとを表示したものである。グラフA、Bにおいて、時点t1以前の状態が0%となっているが、これはブレーキペダル11が踏まれておらず、制動力自体が発生していない状態を示しており、時点t4以降の状態についても同様である。
【0027】
図3〜図5は、前記初期ブレーキングから前記定常ブレーキングを経て前記ターンインブレーキングまでの一連の動作時の制動装置10の状態を模式的に示した説明図である。ここで、図3〜図5中、経路23、25に近接して付した括弧書きの数字は、当該制動装置10で発生される制動力全体に対するフロント側の制動力比率(経路23)及びリヤ側の制動力比率(経路25)の一例を示すものである。例えば、図3において、経路23に(40%)と付されていることから、前輪側キャリパ16a、16bで発生されるフロントブレーキの制動力は全体の40%である。一方、経路25に(60%)と付されていることから、後輪側キャリパ17a、17bで発生されるリヤブレーキの制動力は全体の60%であり、このうち、第1マスタシリンダ14aの持分が全体の30%、第2マスタシリンダ14bの持分が全体の30%となっている。
【0028】
先ず、初期ブレーキングが実施される図2中の時点t1より前、つまり通常の走行時には、図2中のグラフCから諒解されるように、フロント荷重よりもリヤ荷重が高い。従って、この時点t1での初期ブレーキングでは、リヤ寄りのブレーキバランスとすることが望まれる。
【0029】
図2及び図3に示すように、制動装置10では、初期ブレーキング時、運転者によってブレーキペダル11が速い速度で踏み込まれると(図2中の時点t1でのグラフA参照)、前輪側マスタシリンダ12ではピストン20が前進して液圧を発生し、これにより前輪側キャリパ16a、16bが所定の制動力を発生する。同時に、後輪側マスタシリンダ14において、第1マスタシリンダ14aではピストン26aが前進して所定の液圧を発生する。さらに、第2マスタシリンダ14bでも、ブレーキペダル11の素早い操作によって減衰機構36のダンパ34がほとんど縮むことがなく、略固体(棒体)として機能することから、当該第2マスタシリンダ14bについてもピストン26bが前進して所定の液圧を発生する。従って、第1マスタシリンダ14a及び第2マスタシリンダ14bで発生された液圧が後輪側キャリパ17a、17bに伝達されて所定の制動力が発生される。つまり、初期ブレーキング時には、フロントブレーキ及びリヤブレーキが共に高い液圧で高い制動力を発生する。
【0030】
ここで、制動装置10では、デフォルトバランスがリヤ寄りに設定されている。従って、当該初期ブレーキング時、図2(グラフA)及び図3に示すように、例えば、フロントブレーキの比率が40%、リヤブレーキの比率が60%となり、適切にリヤ寄りのブレーキングが実施され、且つ、十分な制動力が発生される。
【0031】
その後、図2中の時点t1から時点t2にかけて、ブレーキペダル11の踏み込み速度が低下することに伴い、減衰機構36のダンパ34が縮み始めることから、フロントブレーキの制動力比率が次第に大きくなり、リヤ側の制動力比率が次第に低下し始める。
【0032】
次に、図2中の時点t2から時点t3にかけて前記定常ブレーキングが実施され、運転者はブレーキペダル11を略一定に維持しつつ、又は多少踏み込みつつ、車両をさらに減速させる。
【0033】
この際、図2及び図4に示すように、制動装置10では、運転者によるブレーキペダル11の操作(操作幅)が穏やかになる。このため、減衰機構36のダンパ34及びばね32が次第に縮んでいき、第2マスタシリンダ14bの液圧が抜け始め、後輪側マスタシリンダ14による制動力比率が低下する一方、前輪側マスタシリンダ12では高い液圧が維持されることから、制動力配分がフロント寄りとなる(図2中の時点t2から時点t3参照)。
【0034】
従って、当該定常ブレーキング時には、図2及び図4に示すように、例えば、フロントブレーキの制動力比率が60%、リヤブレーキの制動力比率が40%(例えば、第1マスタシリンダ14a側が25%、第2マスタシリンダ14b側が15%)となり、適切にフロント寄りのブレーキングが実施される。従って、当該定常ブレーキング時に、リヤブレーキでのロックを回避しながら、十分な制動力を発生することができる。
【0035】
次に、図2中の時点t3から時点t4(ブレーキ操作終了)にかけて前記ターンインブレーキングが実施され、運転者はフロントブレーキのロックを避けるためにブレーキペダル11を徐々に戻す。
【0036】
この際、図2及び図5に示すように、制動装置10では、前輪側マスタシリンダ12及び第1マスタシリンダ14aでは次第に液圧が抜けて制動力が低下することになるが、第2マスタシリンダ14bでは、減衰機構36のダンパ34によって液圧の抜け(開放)が遅れて制動力が維持される。しかも、ターンインブレーキング時には、図2中のグラフCに示すように車両の荷重バランスがリヤ寄りに戻りつつあることから、第2マスタシリンダ14bの液圧の開放遅れと相まって、リヤブレーキの制動力が一層維持される。すなわち、ブレーキペダル11が戻されても、減衰機構36によってリヤブレーキの制動力がある程度まで維持されるため、制動装置10全体としての制動力を向上させることができ、車両を安定させることができる。
【0037】
従って、当該ターンインブレーキング時には、図2及び図5に示すように、例えば、フロントブレーキの制動力比率が30%、リヤブレーキの制動力比率が70%(例えば、第1マスタシリンダ14a側が15%、第2マスタシリンダ14b側が55%)となり、適切にリヤ寄りのブレーキングが実施されると共に、全体的な制動力が向上する。
【0038】
このような制動装置10に対して、図2のグラフBに示すように、従来構成に係る制動装置100(図7参照)の場合には、初期ブレーキング時から定常ブレーキング時を経てターンインブレーキングが終了するまでの間、常に一定のデフォルトバランスであるフロント寄りの制動力配分が維持される。このため、定常ブレーキング時にリヤロックを惹起する等、制動が不安定となる可能性がある。さらにターンインブレーキング時、リヤ寄り荷重に戻りつつあるにも係わらず、フロント寄りの配分が維持されると共に、ブレーキペダルの戻しに伴って全体の制動力も急激に低下するため、全体として制動力が低くなる傾向になる。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る制動装置10では、後輪側マスタシリンダ14を構成する第2マスタシリンダ14bとブレーキペダル11との間に減衰機構36を設けたことにより、簡単且つ低コストな機械式の制動制御がなされ、これにより、車両の走行状態やブレーキペダルの操作状態に対応した適切な制動力配分を得ることができ、トータル的な制動力も向上させることができる。
【0040】
図6に示すように、本実施形態に係る制動装置10は、後輪側マスタシリンダ40を1台にした制動装置10aとし、後輪側マスタシリンダ40とブレーキペダル11との間に、前記減衰機構36と略同様な減衰機構42を設けた構成とすることもできる。この場合、当該制動装置10aでは、後輪側マスタシリンダ40を前輪側マスタシリンダ12と同等以上の液圧を発生できる容量のものにするとよい。
【0041】
なお、図1に示す制動装置10のように、後輪側マスタシリンダ14を2台として構成した場合には、デフォルトバランスの調整が容易であると共に、1台が失陥した際に他方が適切に機能することができる等の利点がある一方、図6に示す制動装置10aでは、全体構成を一層簡素化できるという利点があり、これらは当該制動装置が適用される車両の条件等によって適宜適用すればよい。勿論、図1に示す制動装置10を構成する後輪側マスタシリンダ14について、第1マスタシリンダ14aをさらに1台追加し、又は、第2マスタシリンダ14bをさらに1台追加した3台分配構成としてもよく、当然、4台以上で構成することも可能である。
【0042】
また、減衰機構36は、各図中では、ばね32及びダンパ34を用いた模式的なものを図示としたが、いわゆる単筒式や複筒式の減衰機構等、各種のものを用いることができ、要は、ブレーキペダルの操作に基づく踏力を適切に減衰させることができるものであればよい。
【0043】
制動装置10、10aにおいて、制動力発生部である前輪側キャリパ116a、16b及び後輪側キャリパ17a、17bとしては、いわゆるディスクブレーキシステム以外にも、ドラムブレーキとしてドラムにシューを当接させるホイールシリンダ等で構成してもよい。
【0044】
本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
10、10a、100…制動装置 11、102…ブレーキペダル
12、104…前輪側マスタシリンダ
14、40、106…後輪側マスタシリンダ
14a…第1マスタシリンダ 14b…第2マスタシリンダ
32…ばね 34…ダンパ
36、42…減衰機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪に連通する前輪側マスタシリンダと、
後輪に連通する後輪側マスタシリンダと、
前記前輪側マスタシリンダ及び前記後輪側マスタシリンダに液圧を発生させるブレーキペダルと、
を備え、車両に制動力を付与する制動装置であって、
前記後輪側マスタシリンダと前記ブレーキペダルとの間に、該ブレーキペダルの踏力を減衰する減衰機構を設けたことを特徴とする制動装置。
【請求項2】
請求項1記載の制動装置において、
前記後輪側マスタシリンダは、2つ以上のマスタシリンダに分配されると共に、このうち、少なくとも1つの前記マスタシリンダと前記ブレーキペダルとの間に前記減衰機構が設けられていることを特徴とする制動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−201955(P2010−201955A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46547(P2009−46547)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】