説明

制御ユニットのバス拡張構造

【課題】 複数の制御ユニットを並列配備して、その対向接合されるケース壁において制御ユニット同士をコネクタ接続してバスの拡張を図るよう構成した制御ユニットのバス拡張構造において、安価に製作できるものでありながら、単一の基板に装備した第1コネクタと第2コネクタを、対向する一対のケース壁に互いに背中合わせ状態で配備できるようにする。
【解決手段】 基板21に連結固定した第1コネクタ24が、ユニット並列方向に向かう一方のケース側壁から外方に露出するよう配置し、第1コネクタ24に接続分離可能な第2コネクタ25から導出されたケーブル26を基板21に接続し、この第2コネクタ25をユニット並列方向に向かう他方のケース側壁から外方に露出するよう当該ケース側壁に支持し、制御ユニット2における対向するケース側壁の互いに対向する位置に、第1コネクタ24と第2コネクタ25とをそれぞれ背中合わせ状態で配備してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱形のケースを備えた複数の制御ユニットを並列配備して、その対向重合されるケース壁において制御ユニット同士をコネクタ接続してバスの拡張を図るよう構成した制御ユニットのバス拡張構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バス拡張構造においては、各種機能の制御ユニットを順次並列して接続するために、各制御ユニットのユニット並列方向に向かうケース側壁に、対をなす雌雄のコネクタを背中合わせに位置させる必要があり、そのための一例として、ケースに組み込んだ基板の一端辺の一部をケース側壁から突設して雄型のコネクタを形成するとともに、基板の一端辺に雌型のコネクタを装備したカードエッジ型のコネクタを利用するよう構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
カードエッジ型のコネクタを利用する場合、基板をユニット並列方向に沿った姿勢に組み込む必要があり、基板の大きさは制御ユニットのユニット並列方向での幅によって決められる。一般に、積層拡張方式(スタッカブル)の制御ユニットは、ユニット並列方向に幅の狭いものが利用されることが多く、上記のようなカードエッジ型のコネクタを利用するとコネクタを構成する基板は幅が小さい実装面積の小さいものになってしまう。従って、制御ユニットに多量の制御部品を実装して容量の大きい制御回路を構築するためには、大きい面積の基板を別途組み込んでカードエッジ型のコネクタを装備した基板と回路接続を行う必要があり、構造が複雑でコスト高になるものであった。
【特許文献1】特開2001−265410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、構造簡単で安価に製作することができるものでありながら、対をなす雌雄のコネクタをユニット並列方向のケース側壁に背中合わせ状態で配備することができる制御ユニットのバス拡張構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成した。
【0006】
第1の発明は、箱形のケースを備えた複数の制御ユニットを並列配備して、その対向接合されるケース壁において制御ユニット同士をコネクタ接続してバスの拡張を図るよう構成した制御ユニットのバス拡張構造において、
第1コネクタを連結固定した基板を上記ケースに組み込み、上記第1コネクタがユニット並列方向に向かう一方のケース側壁から外方に露出するよう配置し、上記第1コネクタに接続分離可能な第2コネクタから導出されたケーブルを基板に接続し、この第2コネクタをユニット並列方向に向かう他方のケース側壁から外方に露出するよう当該ケース側壁に支持し、同一の制御ユニットにおける対向する両ケース側壁の互いに対向する位置に、第1コネクタと第2コネクタとをそれぞれ背中合わせ状態で配備してある、ことを特徴とする。
【0007】
この構成によると、ケーブルを介して基板に接続された第2コネクタはケース側壁に対する設置位置を任意に設定することができるので、第1コネクタと第2コネクタとを対向するケース側壁のそれぞれに互いに背中合わせ状態に設置することができる。
【0008】
第2コネクタとして、安価に入手することができる既成のケーブルコネクタを利用することができ、制御ユニットのコスト低減に有効となる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、
上記制御ユニットのケースを、ユニット並列方向に幅狭の扁平箱形に構成し、上記基板を、その表裏面がユニット並列方向に向かうようケースに組み付け支持してある、ことを特徴とする。
【0010】
この構成によると、ユニット並列方向に面するケース側壁の面積に近い大型の基板を組み込むことが可能となり、大容量のバスを構築することができる。
【0011】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、
上記第2コネクタを、上記ケース側壁に脱着可能に連結される壁面ピースに連結支持してある、ことを特徴とする。
【0012】
この構成によると、制御ユニットの組み立てにおいて、ケース側壁から取外しておいた壁面ピースに第2コネクタを装着した後、壁面ピースをケース側壁に連結することができるので、ケーブルを極力短いものにしても、容易に第2コネクタをケース側壁に内方から装着することができる。
【0013】
第4の発明は、上記第1ないし3のいずれかの発明において、
上記第1コネクタが装着された基板面と反対側の基板面に上記ケーブルを接続してある、ことを特徴とする。
【0014】
この構成によると、ケーブルを大きく引き回す必要がないので、短いケーブルを使用することができる。
【0015】
第5の発明は、上記第1ないし4のいずれかの発明において、
上記ケーブルにフェライトリングを外嵌装着してあることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、フェライトリングによってケーブルでのノイズ除去を行うことができ、好適な信号伝達が可能となる。
【0017】
第6の発明は、上記第5の発明において、
上記フェライトリングを保持部材で抱き込み支持するとともに、この保持部材をケース側壁に係止支持してあることを特徴とする。
【0018】
この構成によると、保持部材によってフェライトリングとケーブルの位置保持がなされ、フェライトリングおよびケーブルが不当に振れ動いて基板上の他の電子部品に接触することを回避することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、構造簡単で安価に製作することができるものでありながら、対をなす雌雄のコネクタをユニット並列方向のケース側壁に背中合わせ状態で配備することができる制御ユニットのバス拡張構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0021】
図1にビルディングブロックタイプのプログラマブルコントローラの全体を前方から見た斜視図、図2に同プログラマブルコントローラの全体を後方から見た斜視図、図3に同プログラマブルコントローラの平面図、図4に同プログラマブルコントローラの側面図、図5に拡張用制御ユニットを左側から見た斜視図、図6に拡張用制御ユニットの横断平面図、図7に拡張用制御ユニットの縦断正面図を示す。また、図8にコネクタを備えた基板と壁面ピースとの斜視図、図9に壁面ピース取付け箇所の分解斜視図、図10に壁面ピースに保持された第2コネクタの斜視図を示す。以下では理解の便宜のため参照図番を適宜挿入して説明する。
【0022】
これらの図を参照して、図1で示すように、実施の形態のプログラマブルコントローラは、主制御ユニット1と、2個の拡張用制御ユニット2(1),2(2)を左右方向順次並列して、図示略の制御盤などに横架固定された支持レール3に装着されている。
【0023】
主制御ユニット1のケース4は、ケース本体4aと前ケース4bとを接合連結して左右方向に幅広の箱形に形成され、拡張用制御ユニット2(1),2(2)の各ケース5は、左分割ケース5aと右分割ケース5bとを接合連結して左右方向(ユニット並列方向)に幅狭の扁平箱形に形成されている。
【0024】
図2で示すように、これらケース4,5の背面に、上記支持レール3の上辺に上方から係止される下向き溝6が備えられた係合部7と、支持レール3の下辺に下方からスライド係止される可動係止片8がそれぞれ備えられており、可動係止片8を上下にスライド操作して、制御ユニット1のケース4および制御ユニット2のケース5を支持レール3の任意の位置に脱着支持することができるようになっている。
【0025】
図3で示すように、主制御ユニット1のケース4の内部には2枚の基板14が縦向き姿勢で組み込まれるとともに、ケース4の前面には、図1で示すように、縦長の入出力用のコネクタ9、入出力用ポート10、オン/オフスイッチ11、および、モニターランプ12群が備えられ、また、図3で示すようにケース4のユニット接続側となる右側面に一方に基板14にケーブル接続された雌型のコネクタ(後述する第2コネクタと同仕様のもの)13が配備されている。
【0026】
図3、図6,図7で示すように、拡張用制御ユニット2(1),2(2)におけるケース5の内部には1枚の基板21が縦向き姿勢で組み込まれるとともに、ケース5の前面には、図1で示すように縦長の入出力用コネクタ22、モニターランプ23群が備えられている。また、図3ないし図7で示すように、ケース5における左側面の奥側箇所に、多数の接続ピン24aを備えた雄型の第1コネクタ24が配備されるとともに、ケース5における右側面の奥側箇所には、上記第1コネクタ24と対をなす雌型の第2コネクタ25が互いに背中合わせ状態でそれぞれ配備されている。
【0027】
図5で示すように、入出力用コネクタ22は基板21の前端辺に装着固定され、基板21をケース5に組み付けた状態で入出力用コネクタ22がケース前面に露出されるようになっている。
【0028】
図3で示すように、第1コネクタ24は、基板21の左側面に縦長姿勢で装着固定されるとともに、基板21の右側面における適所からはケーブル26が導出され、このケーブル26の先端に上記第2コネクタ25が連結支持されている。
【0029】
図6で示すように、基板21がケース5に組み付けられた状態において、上記第1コネクタ24は、左分割ケース5aにおけるケース側壁に形成された開口27に挿通されてケース外に突出される。他方、上記第2コネクタ25は、右分割ケース5bにおけるケース側壁に形成された開口28に突出することなく臨設するよう配備される。
【0030】
図8、図9、図10に示すように、右分割ケース5bにおけるケース側壁の奥端部から奥壁にかけて切欠き部29が形成されるとともに、この切欠き部29を閉塞するようにL形の壁面ピース30が脱着自在に止着されている。壁面ピース30は、切欠き部29の開口縁に形成された上下一対の突条31と、壁面ピース30の上下端辺に形成された案内溝32を介して横外方からスライド案内されて、上下一対の連結爪33で右分割ケース5bのケース側壁に止着されるようになっている。この壁面ピース30の内側に、上記第2コネクタ25が上下の位置決め片34および上下の連結爪35を介して一定姿勢で嵌合止着され、壁面ピース30に形成された上記開口28に第2コネクタ25が右外方に向けて臨設されるようになっている。
【0031】
図1、図3で示すように、このようにしてケース5の対向する左右のケース側壁に装着された第1コネクタ24と第2コネクタ25は、互いが背中合わせに位置するよう設置されており、主の制御ユニット1の右に拡張用の制御ユニット2を並列接合することで、制御ユニット2の左側面に突設された第1コネクタ24が制御ユニット1の右側面に臨設されたコネクタ13に差込み接続される。また、制御ユニット1に接続された拡張用の制御ユニット2の右側面に次の制御ユニットを接合することで、左側の制御ユニット2(1)の第2コネクタ25が、右側の制御ユニット2(2)の第1コネクタ24が差込み接続されることになる。
【0032】
図3、図4、図5で示すように、制御ユニット2における左側面の上下には鉤形に形成された連結片36が突設されるとともに、右側面の四隅には位置決めピン37が設けられ、また、制御ユニット1,2における右側面には、上記連結片36を挿入可能な連結孔38と上記位置決めピン37を嵌入可能なピン孔39がそれぞれ備えられており、隣接する制御ユニット1,2を位置決めピン37とピン孔39を介して位置決めして並列接合した後、各ケース4,5の上下に装備したロック片40をスライド操作して、連結孔38に挿入された連結片36に係止することで、連結孔38からの連結片36の抜け出しが阻止されて制御ユニット1,2同士の連結状態が維持されるようになっている。
【0033】
制御ユニット2の組み立てに際しては、先ず、図7、図9、図10に示すように、ケース壁から取外されている壁面ピース30に第2コネクタ25を嵌め付け装着し、第2コネクタ25が装着された壁面ピース30を右分割ケース5bの切欠き部29に装着する。次いで、左分割ケース5aの開口27に第1コネクタ24を挿入しながら基板21の周辺をケース内に設けられた支持リブ41に係止位置決めし、左右分割ケース5a,5bを接合連結して爪連結することで制御ユニット2の組み立てが完了する。
【0034】
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0035】
図11,図12で示すように、上記ケーブル26にフェライトリング42を外嵌装着してノイズ除去を行うようにするのもよい。この場合、フェライトリング42を保持部材43で抱き込み支持するとともに、保持部材43に備えた連結爪44を右分割ケース5bのケース側壁に係止することで、フェライトリング42およびケーブル26を振れ動くことなく保持することができる。
【0036】
また、ケーブル26を、第1コネクタ24が装着された基板面(左面)に接続し、ケーブル26を、基板21の端辺に回り込ませるか、基板21に形成したスリットや切欠きを通して基板21の反対側(右側)に延出させる形態で実施することもできる。
【0037】
さらに、上記実施例とは逆に、第1コネクタ24を雌型に、第2コネクタ25を雄型にして実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】拡張型ユニットの全体を前方から見た斜視図である。
【図2】拡張型ユニットの全体を後方から見た斜視図である。
【図3】拡張型ユニットの全体の概略平面図である。
【図4】拡張型ユニットの側面図である。
【図5】拡張用の制御ユニットを左側から見た斜視図である。
【図6】拡張用の制御ユニットの横断平面図である。
【図7】拡張用の制御ユニットの縦断正面図である。
【図8】コネクタを備えた基板と壁面ピースとを示す斜視図である。
【図9】壁面ピース取付け箇所の分解斜視図である。
【図10】壁面ピースに保持された第2コネクタの斜視図である。
【図11】フェライトリングを装着した第2コネクタの斜視図である。
【図12】フェライトリングを組み込んだ制御ユニットの横断平面図ある。
【符号の説明】
【0039】
1 主制御ユニット
2 拡張用制御ユニット
3 支持レール
4 主制御ユニット1のケース
4a 主制御ユニット1のケース本体
4b 主制御ユニット1の前面ケース
5 拡張用制御ユニット2のケース
5a 拡張用制御ユニット2の左分割ケース
5b 拡張用制御ユニット2の右分割ケース
6 下向き溝
7 係合部
8 可動係止片
9 入出力コネクタ
10 入出力用ポート
11 スイッチ
12 モニターランプ
13 雌型コネクタ
14 基板
21 基板
22 入出力用コネクタ
23 モニターランプ
24 第1コネクタ
24a 接続ピン
25 第2コネクタ
26 ケーブル
27 開口
28 開口
29 切欠き部
30 壁面ピース
31 突条
32 案内溝
33 連結爪
34 位置決め片
35 連結爪
36 連結片
37 位置決めピン
38 連結孔
39 ピン孔
40 ロック片
41 支持リブ
42 フェライトリング
43 保持部材
44 連結爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形のケースを備えた複数の制御ユニットを並列配備して、その対向接合されるケース壁において制御ユニット同士をコネクタ接続する構成の制御ユニットのバス拡張構造において、
第1コネクタを連結固定した基板を上記ケースに組み込み、
上記第1コネクタがユニット並列方向に向かう一方のケース壁から外方に露出するよう配置し、
上記第1コネクタに接続分離可能な第2コネクタから導出されたケーブルを基板に接続し、
この第2コネクタをユニット並列方向に向かう他方のケース側壁から外方に露出するよう当該ケース壁に支持し、
同一の制御ユニットにおける対向する両ケース側壁の互いに対向する位置に、第1コネクタと第2コネクタとをそれぞれ背中合わせ状態で配備してある、
ことを特徴とする制御ユニットのバス拡張構造。
【請求項2】
上記制御ユニットのケースを、ユニット並列方向に幅狭の扁平箱形に構成し、上記基板を、その表裏面がユニット並列方向に向かうようケースに組み付け支持してある、ことを特徴とする請求項1記載の制御ユニットのバス拡張構造。
【請求項3】
上記第2コネクタを、上記ケース側壁に脱着可能に連結される壁面ピースに連結支持してある、ことを特徴とする請求項1または2記載の制御ユニットのバス拡張構造。
【請求項4】
上記第1コネクタが装着された基板面と反対側の基板面に上記ケーブルを接続してある、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の制御ユニットのバス拡張構造。
【請求項5】
上記ケーブルにフェライトリングを外嵌装着してある、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の制御ユニットのバス拡張構造。
【請求項6】
上記フェライトリングを保持部材で抱き込み支持するとともに、この保持部材をケース側壁に係止支持してある、ことを特徴とする請求項5記載の制御ユニットのバス拡張構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−105244(P2009−105244A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276041(P2007−276041)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】