制御装置、クロック同期方法
【課題】DPLL回路において、入力クロックの瞬間的な位相跳びによる出力クロックの位相跳びの発生を抑制する。
【解決手段】出力クロックを入力クロックに同期させる制御を行う制御装置は、前記入力クロックと前記出力クロックとの位相差をカウントするカウント部と、前記カウント部がカウントした位相差のうち、所定範囲内の位相差を示すカウント値を抽出する抽出部と、抽出された前記所定範囲内の位相差を示すカウント値に基づいて位相差情報を生成する位相差情報生成部と、前記位相差情報生成部により生成された前記位相差情報に基づいて、生成する前記出力クロックの周波数を制御可能なクロック生成部と、を備える。
【解決手段】出力クロックを入力クロックに同期させる制御を行う制御装置は、前記入力クロックと前記出力クロックとの位相差をカウントするカウント部と、前記カウント部がカウントした位相差のうち、所定範囲内の位相差を示すカウント値を抽出する抽出部と、抽出された前記所定範囲内の位相差を示すカウント値に基づいて位相差情報を生成する位相差情報生成部と、前記位相差情報生成部により生成された前記位相差情報に基づいて、生成する前記出力クロックの周波数を制御可能なクロック生成部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック同期の制御を行う制御装置及びクロック同期方法に関する。例えば、通信装置に備えられるDPLL(Digital Phase Locked Loop)回路に用いられると特に好適である。
【背景技術】
【0002】
無線通信基地局のような通信装置は、例えば、DPLL回路を用いて、上位局とのディジタル同期網であるHWY(Highway)回線から抽出されるクロックに同期したシステムクロック(例えば、3.84MHz)を生成する。
【0003】
DPLL回路の構成例を図10に示す。DPLL回路はアナログのPLL(Phase Locked Loop)回路(例えば、特許文献1)と同様、入力クロックに位相同期した出力クロックを発生するものであるが、PLL回路の構成要素である位相比較器、ループフィルタ、発振器がディジタル化されたものである。
【0004】
図において、5はHWYインタフェース、6は位相比較器、7はループフィルタ、8は発振器、9は分周器を示す。
【0005】
なお、図の例では、位相比較器6にはDPD(Digital Phase Detector)、ループフィルタ7にはDLF(Digital Loop Filter)、発振器4にはNCO(Numerically Controlled Oscillator)が用いられる。
【0006】
HWY回線から抽出されるクロック信号が、HYWインタフェース5を介してDPLL回路の位相比較器6に入力される。
【0007】
位相比較器6は、HYWインタフェース5からの入力クロックと、分周器9で分周(周波数が1/N倍に変換)された発振器4からの出力クロックとの位相差をカウントし、カウントした結果を位相差情報としてディジタル値で出力する。
【0008】
位相比較器6から出力された位相差情報を含む信号はループフィルタ7を介して発振器8に入力される。
【0009】
発振器8は、入力された位相差情報に基づいて出力周波数を変化させることにより、HYWインタフェース5から位相比較器への入力クロックと同期した出力クロックを発生する。
【0010】
発振器8からの出力クロックは、システムクロックとしてDPLL回路から出力されるとともに、フィードバック制御により分周器5で分周され位相比較器6に入力される。
【0011】
以上により、DPLL回路はHWY回線からの入力クロックと同期した出力クロックを生成する。
【0012】
次に、図10の位相比較器6において位相差情報を生成する過程をより詳細に説明する。
【0013】
位相比較器6において複数の入力クロックの位相差を検出する原理を図11に示す。
【0014】
図11において、REF(Reference)入力クロックは、図11においてHYW回線から抽出され位相比較器6に入力される入力クロックを示す。また、FB(Feed Back)入力クロックは、図11においてフィードバック制御により位相比較器6に入力される発振器8からの出力クロックを示す。
【0015】
また、カウントクロックは、REF入力クロック及びFB入力クロックに比較して十分高速、すなわち高周波数の基準クロックである。
【0016】
位相比較器6は、REF入力クロック及びFB入力クロックのそれぞれの立ち上がりエッジを検出する。そして、REF入力クロックの立ち上がりエッジの検出からFB入力クロックの立ち上がりエッジの検出までの位相差をカウントクロックでカウントする。
【0017】
位相比較器6の構成例を図12に示す。
【0018】
図において、301はREF入力クロックのエッジ検出部、302はFB入力クロックのエッジ検出部、303は位相差カウント部、304は履歴レジスタ、305は加算回路を示す。
【0019】
エッジ検出部301及びエッジ検出部302は、それぞれREF入力クロックの立ち上がりエッジ及びFBクロックの立ち上がりエッジを検出し、検出情報を位相差カウント部303に送る。
【0020】
位相差カウント部303は、エッジ検出部301及びエッジ検出部302から取得する検出情報に基づき、REF入力クロックの立ち上がりエッジとFB入力クロックの立ち上がりエッジとの位相差をカウントクロックでカウントし、カウントした値(以下、カウント値と表記)を履歴レジスタ304に格納する。
【0021】
履歴レジスタ304は複数のレジスタを備え、それぞれに位相差カウント部303でカウントされたカウント値1〜mが、例えばREF入力クロックの周波数(比較周波数)の逆数の周期で順次格納される。
【0022】
加算回路305は、履歴レジスタ304に格納されたカウント値1〜mを加算しトータル値を算出する。加算回路305は算出したトータル値を位相差情報として出力する。
【0023】
具体的例として、比較周波数を8kHz、カウントクロックの周波数を77.76MHzとすると、位相比較器6における位相差の検出分解能ΔPは、下記数式1の通りとなる。
【0024】
【数1】
【0025】
また、DPLL回路がロック状態、すなわち、DPLL回路への入力クロックと出力クロックとが同期したと判定される状態として収束するときの、位相比較器6への入力クロック(REF入力クロック及びFB入力クロック)の位相差を180度とした場合、当該ロック状態におけるカウントクロックによるカウント値は、数式2により、
【0026】
【数2】
【0027】
と求められる。
【0028】
上記の例では、ロック状態の位相差カウント値は4860で推移し、当該カウント値の変動量は発振器8の安定度等に応じて、通常±1〜10カウント程度(位相差で0.1m〜1mUI:Unit Interval程度)である。よって、履歴レジスタ304に格納されるカウント値は4860±1〜10となり、例えば図13に示すように、履歴レジスタ304に8個のカウント値が格納される場合、加算回路305により算出され出力されるトータル値は38880±8〜80となる。
【0029】
DPLL回路に入力される入力クロックは、例えば、回線や装置内に生じる雑音や漏話による外乱等により、瞬間的な位相跳びが発生することがある。このように位相跳びが発生する場合も、DPLL回路は当該入力クロックに同期した出力クロック(システムクロック)を生成するため、通信装置のシステムエラーを引き起こすという問題が生じる。
【0030】
例えば、図14のように、0.1UIの瞬間的な位相跳びが発生した場合、位相差カウント部303によるカウント値はロック状態のときと比較して972カウント増加又は減少する。
【0031】
位相差カウント部で算出された位相跳びに基づくカウント値は後段のループフィルタを介して発振器に入力され、発振器から出力される出力クロックにも位相跳びの影響が反映されることになる。つまり、DPLL回路への入力クロックに追従して出力クロックにも位相跳びが生じてしまう。
【0032】
従来、上記のような課題に対し、例えば、DPLL回路に設けられるループフィルタの特性を変える、すなわち、カットオフ周波数を低く設定するという対策が提案されてきた。
【0033】
しかし、カットオフ周波数を低く設定することにより上記位相跳びの影響は低減できるものの、DPLL回路の応答特性が低速化したり、より位相雑音特性の小さい高額な発振器が必要になり製造コストが上がるなどの新たな問題が生じることになる。
【0034】
また、特許文献1には、PLL回路において、位相差飛びの発生が判定された場合位相比較器での位相比較を禁止する技術が開示されている。しかし、位相比較が禁止されれば、VCXO(電圧制御発振回路)は入出力クロックの位相差によらない固定値により自走することとなり、VCXOの精度に応じて出力クロックに周波数変動が生じることになる場合がある。
【特許文献1】特開2002−152736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
DPLL回路において、入力クロックに生じる瞬間的な位相跳びの影響による、出力クロックについての位相跳びの発生を抑制する制御装置及びクロック同期方法を提供する。
【0036】
また、DPLL回路に設けられるループフィルタのカットオフ周波数の設定を変更しなくても上記出力クロックについての位相跳びの発生を抑制する制御装置又はクロック同期方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0037】
例えば、出力クロックを入力クロックに同期させる制御を行う制御装置において、前記入力クロックと前記出力クロックとの位相差をカウントするカウント部と、前記カウント部がカウントした位相差のうち、所定範囲内の位相差を示すカウント値を抽出する抽出部と、抽出された前記所定範囲内の位相差を示すカウント値に基づいて位相差情報を生成する位相差情報生成部と、前記位相差情報生成部により生成された前記位相差情報に基づいて、生成する前記出力クロックの周波数を制御可能なクロック生成部と、を備えたことを特徴とする制御装置を用いる。
【発明の効果】
【0038】
DPLL回路において、入力クロックに生じる瞬間的な位相跳びの影響による、出力クロックについての位相跳びの発生を抑制することが可能となる。
【0039】
また、DPLL回路に設けられるループフィルタのカットオフ周波数の設定を変更しなくても上記出力クロックについての位相跳びの発生を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面を用いて本実施について説明する。
【0041】
(1)全体構成
図1は、本実施例に用いられるDPLL回路の構成例を示す。
【0042】
図において、1は位相比較器、2はループフィルタ、3は発振器、4は分周器を示す。
【0043】
なお、例えば、位相比較器1にはDPD、ループフィルタ2にはDLF、発振器3にはNCOを用いることができる。また、ループフィルタ2には、例えばIIRフィルタ等が用いられ、DSP(Digital Signal Proccessor)等により構成する。
【0044】
図示しない外部回線(例えば、上位局と接続されたディジタル同期網)から抽出されるクロック信号が、DPLL回路の位相比較器1に入力される。
【0045】
位相比較器1は、外部回線から抽出された入力クロックと、分周器4で分周(周波数が1/N倍に変換)された発振器3からの出力クロックとの位相差をカウントし、カウントした結果を位相差情報としてディジタル値で出力する。
【0046】
位相比較器1から出力された位相差情報を含む信号はループフィルタ2によりフィルタ処理された後に発振器3に入力される。
【0047】
発振器3は、入力された位相差情報に基づいて出力周波数を変化させることにより、外部回線から位相比較器へ入力された入力クロックと同期した出力クロックを生成する。
【0048】
発振器3で生成された出力クロックは、システムクロックとしてDPLL回路から出力されるとともに、フィードバック制御により分周器4で分周され位相比較器1に入力される。
【0049】
以上により、本実施例のDPLL回路は外部回線からの入力クロックと同期した出力クロックを生成する。
【0050】
なお、以下、外部回路から抽出され位相比較器1に入力されるクロック信号をREF入力クロックとし、発振器3から出力され分周された後に位相比較器1に入力されるクロック信号をFB入力クロックとする。
【0051】
(2)位相比較器の構成例
図2は、本実施例に用いられる位相比較器の構成例を示す。
【0052】
図において、101はREF入力クロックのエッジ検出部、102はFB入力クロックのエッジ検出部、103は位相差カウント部、104は履歴レジスタ、105は加算回路、106は位相跳び判定回路、107は位相跳び補正回路、108はセレクタ回路を示す。
【0053】
エッジ検出部101は、REF入力クロックの立ち上がりエッジを検出し、検出情報を位相差カウント部103に送る。また、同様に、エッジ検出部102は、FB入力クロックの立ち上がりエッジを検出し、検出情報を位相差カウント部103に送る。
【0054】
位相差カウント部103は、エッジ検出部101及びエッジ検出部102から取得する検出情報に基づき、例えば図11に示す原理を用いて、REF入力クロックの立ち上がりエッジとFB入力クロックの立ち上がりエッジとの位相差をカウントクロックでカウントし、カウントした値(以下、カウント値と表記)を履歴レジスタ104に格納する。
【0055】
履歴レジスタ104は複数のレジスタを備え、それぞれに位相差カウント部103でカウントされたカウント値1〜mが格納される。カウント値が更新される、すなわち、新たなカウント値がカウント値8として履歴レジスタ104に格納されると、更新前のカウント値2〜8はそれぞれカウント値1〜7としてシフトするとともに、更新前のカウント値1が履歴レジスタ104から削除される。カウント値が更新される周期はREF入力クロックの周波数(比較周波数)の逆数とすることができる。
【0056】
加算回路105は、履歴レジスタ104に格納されたカウント値を抽出するとともに、抽出したカウント値1〜mを加算することによりトータル値を算出する。加算回路105は算出したトータル値を用いて位相差情報を生成し出力する。
【0057】
位相跳び判定回路106は、履歴レジスタ値104に格納される各カウント値を抽出し、抽出した各カウント値と予め設定されたカウント値の範囲との比較に基づいて、REF入力クロックの位相跳びの発生の有無を判定する。すなわち、位相跳び判定回路106は、履歴レジスタ値104に格納されるカウント値が、所定範囲内の位相差を示す場合は位相跳びが発生していないと判定し、当該所定範囲内でない位相差を示す場合は位相跳びが発生したと判定する。
【0058】
位相跳び判定回路106における上記判定の基準となる所定範囲内の位相差を示すカウント値は適宜設定可能であり、例えば基地局装置の場合、ロック状態におけるカウント値±位相差0.1〜1mUIに相当するカウント値とすることが好ましい。
【0059】
位相跳び判定回路106は、履歴レジスタ104に格納されるカウント値に基づいて位相跳びが発生していないと判定するとき、位相跳びが発生していないことを示す信号をセレクタ回路108に送出する。また、位相跳び判定回路106は、履歴レジスタ104に格納されるいずれかのカウント値に基づいて位相跳びが発生したと判定するとき、位相跳びが発生したことを示す信号を位相跳び補正回路107及びセレクタ回路108に送出する。ただし、位相跳び判定回路106は、位相跳びが発生していないと判定するときも位相跳びが発生していないことを示す信号をセレクタ回路108に送出しないこととしてもよい。
【0060】
位相跳び補正回路107は、位相跳び判定回路106から位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、当該位相跳びが発生したと判定されたカウント値以外の履歴レジスタ104に格納されている各カウント値を抽出するとともに、抽出したカウント値に後述の演算を施すことにより得られる値を用いて位相差情報を生成し出力する。
【0061】
セレクタ回路108には、加算回路105及び位相跳び補正回路107から出力された位相差情報が入力される。
【0062】
セレクタ回路108は、位相差跳び判定回路106から受信する、位相跳びが発生していないことを示す信号又は位相跳びが発生したことを示す信号に基づいて、出力する位相差情報を選択する。すなわち、位相差跳びが発生していないことを示す信号を受信するとき又は位相差跳びが発生したことを示す信号を受信しないときは加算回路105からの位相差情報を出力し、位相跳びが発生したことを示す信号を受信するときは位相跳び補正回路107からの位相差情報を出力する。
【0063】
セレクタ回路108から出力された位相差情報は図示しないループフィルタに入力される。
【0064】
(3)位相差情報生成動作の詳細
図3〜図8を用いて、図2に示す位相比較器において位相差情報を生成する際の動作を具体的に説明する。なお、図2と共通する部分には同一の符号を付すものとする。
【0065】
以下の説明において例として、REF入力クロックの周波数(比較周波数)を8kHz、カウントクロック周波数を77.76MHz、履歴レジスタのレジスタ数を8(m=8)とする。
【0066】
上記の場合、ロック状態における位相差関係を180度とすると、数式2によりロック状態でのREF入力クロックとFB入力クロックとの位相差を示すカウントクロックのカウント値は4860となる。よって、例えば、位相跳び判定回路106に設定される所定範囲内の位相差を示すカウント値を4860±1〜10とする。
【0067】
図3は、履歴レジスタ104に格納されるカウント値1〜8がすべて4860±1〜10の範囲である場合を示す。
【0068】
位相差カウント部103でカウントされたカウント値がカウント値8として履歴レジスタ104に格納されると、位相跳び判定回路106は、カウント値8について位相跳びは発生していないと判定するので、セレクタ回路108は加算回路105が生成する位相差情報を出力する。ここで、加算回路105が生成する位相差情報は、カウント値1〜8のすべてを合算して得られるトータル値38880±8〜80を示す情報である。
【0069】
図4〜6は、REF入力クロックに位相差跳びが発生し、カウント値8が4860±1〜10の範囲を超える5832となる場合を示す。なお、履歴レジスタに既に格納されているカウント値1〜7は4860±1〜10の範囲であるとする。
【0070】
図4において、位相跳び判定回路106は、カウント値8について位相跳びが発生したと判定し、図示しない位相跳び補正回路107及びセレクタ回路108に対し、位相跳びが発生したことを示す信号を送出する。
【0071】
図5において、位相跳び補正回路107は、カウント値8について位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、カウント値8を除くカウント値1〜7を用いて演算を行う。具体的には、カウント値1〜7の各カウント値を合算した値34020±7〜70に、(履歴レジスタに格納されるカウント値の数)/(所定範囲内の位相差を示すカウント値の数)である8/7を乗算する。位相跳び補正回路106は、演算により得られる値38880±8〜80を示す位相差情報を出力する。
【0072】
図6は、位相跳びが発生したときのセレクタ回路108の動作を示す。
【0073】
セレクタ回路108は、位相跳び判定回路106から位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、加算回路105で生成される位相差情報と位相跳び補正回路107で生成される位相差情報とのうち、位相跳び補正回路107で生成される位相差情報を選択して出力する制御を行う。したがって、セレクタ回路108は、図5で位相跳び補正回路107により演算された値38880±8〜80を示す位相差情報を出力する。
【0074】
以上によれば、カウント値8について発生した位相跳びの影響を発振器3での制御に及ばせないことができる。つまり、DPLL回路において、位相比較器へ入力される入力クロックに瞬間的な位相跳びが生じても、当該位相跳びの発生により発振器で生成される出力クロックに急激な変動が生じないようにすることが可能となる。
【0075】
(4)変形例
上記の実施例では、ロック時にDPLL回路の位相比較器へ入力される入力クロックに瞬間的な位相跳びが発生した場合に、当該位相跳びの影響により発振器から出力される出力クロックに急激な変動が生じないようにするものである。
【0076】
一方、本変形例では、位相比較器へ入力される入力クロックの位相跳びが瞬間的である場合は上記実施例と同様の動作を実行し、更に、当該入力クロックの位相跳びが瞬間的でない、すなわち、連続的に入力クロックと出力クロックとが所定範囲内でない位相差を生じる場合は当該位相跳びに応じて、発振器で出力される出力クロックが変動するよう制御する機能が追加される。
【0077】
すなわち、本変形例では、例えば位相跳び判定回路が、履歴レジスタに格納されるカウント値に基づいて、位相比較器へ入力される入力クロックに生じる位相跳びが瞬間的であるか否かを判定する。
【0078】
なお、上記の連続的に入力クロックと出力クロックとが所定範囲内でない位相差を生じる場合とは、通常の引き込み時のような場合である。
【0079】
以下、図7〜図9を用いて本変形例の具体的な動作を説明する。
【0080】
図7〜図9において、203は位相差カウント部、204は履歴レジスタ、205は加算回路、206は位相跳び判定回路、207は位相跳び補正回路、208はセレクタ回路を示す。なお、図7〜9において共通する部分には同一の符号を付すものとする。
【0081】
なお、上記の実施例の説明と同様、REF入力クロックの周波数(比較周波数)を8kHz、カウントクロック周波数を77.76MHz、履歴レジスタのレジスタ数を8(m=8)とし、位相跳び判定回路に設定される所定範囲内の位相差を示すカウント値を4860±1〜10とする。
【0082】
図7、図8は、REF入力クロックに生じる位相跳びが瞬間的である場合の位相跳び判定回路206の動作を示す。図には、履歴レジスタ204に格納されるカウント値の更新により、所定範囲内でない位相差を示すカウント値(カウント値7)の次に所定範囲内の位相差を示すカウント値(カウント値8)が格納される場合を例に示す。
【0083】
上記の場合、位相跳び判定回路206は履歴レジスタ204に格納されているカウント値5832(=4860±972)を示すカウント値7について位相跳びが発生したと判定する。また、位相跳び判定回路206は、カウント値7の前のカウント値6又は後のカウント値8のいずれも所定範囲内の位相差を示すカウント値であり位相跳びが発生したと判定しないため、カウント値7の位相跳びは瞬間的であると判定する。
【0084】
よって、位相跳び判定回路206は上記判定結果に基づき、図示しない位相跳び補正回路207及びセレクタ回路208に対し、位相跳びが発生したことを示す信号を送出する。
【0085】
図8において、加算回路205は、図7の履歴レジスタ204に格納されたカウント値を抽出するとともに、抽出したカウント値1〜8を加算することによりトータル値を算出する。上記の場合、加算回路205が生成する位相差情報は、カウント値1〜8のすべてを合算して得られるトータル値39852±7〜70を示す情報である。加算回路205は算出したトータル値を用いて位相差情報を生成し出力する。
【0086】
位相跳び補正回路207は、位相跳び判定回路206から、カウント値7について位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、カウント値7を除くカウント値1〜6、8を用いて図5の場合と同様の演算を行う。具体的には、カウント値1〜6、8の各カウント値を合算した値34020±7〜70に8/7を乗算する。位相跳び補正回路206は、演算により得られる値38880±8〜80を示す位相差情報を出力する。
【0087】
セレクタ回路208は、位相差跳び判定回路206から受信する、位相跳びが発生していないことを示す信号又は位相跳びが発生したことを示す信号、及び、入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したことを示す信号に基づいて、出力する位相差情報を選択する。すなわち、位相跳びが発生したことを示す信号を受信しないとき、位相跳びが発生していないことを示す信号を受信するとき、又は入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したことを示す信号を受信するときは加算回路205からの位相差情報を出力する。一方、位相跳びが発生したことを示す信号を受信するときは位相跳び補正回路207からの位相差情報を出力する。
【0088】
よって、セレクタ回路208は、位相跳び判定回路206から位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、加算回路205で生成される位相差情報と位相跳び補正回路207で生成される位相差情報とのうち、位相跳び補正回路207で生成される位相差情報を選択して出力する制御を行う。したがって、セレクタ回路208は、位相跳び補正回路207により演算された値38880±8〜80を示す位相差情報を出力する。
【0089】
次に、図9は、REF入力クロックの位相跳びが瞬間的でない、すなわち、連続的に所定範囲内でない位相差を生じる場合の位相跳び判定回路206の動作を示す。図には、履歴レジスタ204に格納されるカウント値の更新により、所定範囲内でない位相差を示すカウント値(カウント値7)の次に、更に所定範囲内でない位相差を示すカウント値(カウント値8)が格納される場合を例に示す。
【0090】
位相差カウント部203でカウントされたカウント値がカウント値8として履歴レジスタ204に格納されると、履歴レジスタ204のカウント値が更新される。
【0091】
加算回路205は、履歴レジスタ204に格納されたカウント値を抽出するとともに、抽出したカウント値1〜8を加算することによりトータル値を算出する。上記の場合、加算回路205が生成する位相差情報は、カウント値1〜8のすべてを合算して得られるトータル値40824±6〜60を示す情報である。加算回路205は算出したトータル値を用いて位相差情報を生成し出力する。
【0092】
位相跳び判定回路206は、履歴レジスタ値204に格納される各カウント値を抽出し、カウント値5832(=4860±972)を示す、カウント値7及び上記更新により新たに格納されたカウント値8のそれぞれについて位相跳びが発生したと判定する。また、位相跳び判定回路206は、履歴レジスタ204に連続して格納された複数のカウント値について位相跳びが発生したと判定することにより、カウント値7及びカウント値8の位相跳びは瞬間的ではない、すなわち、入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したと判定する。なお、入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したと判定する基準、すなわち、カウント値に連続して位相跳びが発生したと判定する回数は2回以上の回数で適宜設定可能とする。
【0093】
よって、位相跳び判定回路206は上記判定の結果に基づき、位相跳び判定回路206は上記判定結果に基づき、位相跳び補正回路207に対し、位相跳びが発生したことを示す信号を送出するとともに、セレクタ回路208に対し、入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したことを示す信号を送出する。
【0094】
位相跳び補正回路206は、カウント値7及びカウント値8について位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、カウント値7及びカウント値8を除くカウント値1〜6を用いて演算を行う。具体的には、図5の場合と同様に、カウント値1〜6の各カウント値を合算した値29160±6〜60に8/6を乗算する。位相跳び補正回路207は、演算により得られる値38880±8〜80を示す位相差情報を出力する。
【0095】
セレクタ回路208は、位相跳び判定回路206から入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したことを示す信号を受信すると、加算回路205で生成される位相差情報と位相跳び補正回路207で生成される位相差情報とのうち、加算回路205で生成される位相差情報を選択して出力する制御を行う。したがって、セレクタ回路208は、加算回路207により演算された値40824±6〜60を示す位相差情報を出力する。
【0096】
上記では、位相跳び判定回路206は、判定の結果に基づき、位相跳び補正回路207に対し、位相跳びが発生したことを示す信号を送出するとしたが、入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したと判定するときは、位相跳び補正回路207に位相跳びが発生したことを示す信号を送出しないこととしてもよい。
【0097】
以上によれば、位相比較器へ入力される入力クロックの位相跳びが瞬間的である場合は上記実施例と同様の動作を実行し、更に、当該入力クロックの位相跳びが瞬間的でない、すなわち、連続的に所定範囲内でない位相差を生じる場合は当該位相跳びに応じて発振器で出力される出力クロックが変動するよう制御することができる。
【0098】
したがって、DPLL回路において、位相比較器へ入力される入力クロックに瞬間的な位相跳びが生じても、当該位相跳びにより発振器で出力される出力クロックに急激な変動が生じないようにするとともに、当該入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生する場合は当該位相差が抑制されるよう発振器で出力される出力クロックを制御することが可能となる。
【0099】
(5)その他
上記の実施例及び実施例の変形例において、位相跳び判定回路で位相跳びが発生したと判定するとき、位相跳び判定回路は位相跳びが発生したことを示す信号を加算回路に送出し、加算回路は当該位相跳びが発生したことを示す信号の受信により、履歴レジスタに格納されているカウント値の合算を行わないよう制御されてもよい。
【0100】
また、上記の実施例及び実施例の変形例において、履歴レジスタに格納されるカウント値のうち、設定された所定範囲内でない位相差を示すカウント値は、所定範囲内の位相差のカウント値に書き換えられる、又は消去されることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本実施例に用いられるDPLL回路の構成例
【図2】本実施例に用いられる位相比較器の構成例
【図3】位相比較器において位相差情報を生成する際の動作例(位相跳びが発生してい ない場合)
【図4】位相跳び発生時の位相跳び判定回路の動作例
【図5】位相跳び発生時の位相跳び補正回路の動作例
【図6】位相跳び発生時のセレクタ回路の動作例
【図7】位相跳びの発生が瞬間的である場合の位相跳び判定回路の動作例
【図8】位相跳びの発生が瞬間的である場合のセレクタ回路の動作例
【図9】位相比較器において位相差情報を生成する際の動作例(位相跳びの発生が瞬間 的でない場合)
【図10】従来のDPLL回路の構成例
【図11】位相比較器において複数の入力クロックの位相差を検出する原理
【図12】従来の位相比較器の構成例
【図13】従来の位相比較器において位相差情報を生成する際の動作例(位相跳びが発 生していない場合)
【図14】従来の位相比較器において位相差情報を生成する際の動作例(位相跳びが発 生した場合
【符号の説明】
【0102】
1、6 位相比較器
2、7 ループフィルタ
3、8 発振器
4、9 分周器
5 HWYインタフェース
101、102 エッジ検出部
103、203 位相差カウント部
104、204 履歴レジスタ
105、205 加算器
106、206 位相跳び判定回路
107、207 位相跳び補正回路
108、208 セレクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック同期の制御を行う制御装置及びクロック同期方法に関する。例えば、通信装置に備えられるDPLL(Digital Phase Locked Loop)回路に用いられると特に好適である。
【背景技術】
【0002】
無線通信基地局のような通信装置は、例えば、DPLL回路を用いて、上位局とのディジタル同期網であるHWY(Highway)回線から抽出されるクロックに同期したシステムクロック(例えば、3.84MHz)を生成する。
【0003】
DPLL回路の構成例を図10に示す。DPLL回路はアナログのPLL(Phase Locked Loop)回路(例えば、特許文献1)と同様、入力クロックに位相同期した出力クロックを発生するものであるが、PLL回路の構成要素である位相比較器、ループフィルタ、発振器がディジタル化されたものである。
【0004】
図において、5はHWYインタフェース、6は位相比較器、7はループフィルタ、8は発振器、9は分周器を示す。
【0005】
なお、図の例では、位相比較器6にはDPD(Digital Phase Detector)、ループフィルタ7にはDLF(Digital Loop Filter)、発振器4にはNCO(Numerically Controlled Oscillator)が用いられる。
【0006】
HWY回線から抽出されるクロック信号が、HYWインタフェース5を介してDPLL回路の位相比較器6に入力される。
【0007】
位相比較器6は、HYWインタフェース5からの入力クロックと、分周器9で分周(周波数が1/N倍に変換)された発振器4からの出力クロックとの位相差をカウントし、カウントした結果を位相差情報としてディジタル値で出力する。
【0008】
位相比較器6から出力された位相差情報を含む信号はループフィルタ7を介して発振器8に入力される。
【0009】
発振器8は、入力された位相差情報に基づいて出力周波数を変化させることにより、HYWインタフェース5から位相比較器への入力クロックと同期した出力クロックを発生する。
【0010】
発振器8からの出力クロックは、システムクロックとしてDPLL回路から出力されるとともに、フィードバック制御により分周器5で分周され位相比較器6に入力される。
【0011】
以上により、DPLL回路はHWY回線からの入力クロックと同期した出力クロックを生成する。
【0012】
次に、図10の位相比較器6において位相差情報を生成する過程をより詳細に説明する。
【0013】
位相比較器6において複数の入力クロックの位相差を検出する原理を図11に示す。
【0014】
図11において、REF(Reference)入力クロックは、図11においてHYW回線から抽出され位相比較器6に入力される入力クロックを示す。また、FB(Feed Back)入力クロックは、図11においてフィードバック制御により位相比較器6に入力される発振器8からの出力クロックを示す。
【0015】
また、カウントクロックは、REF入力クロック及びFB入力クロックに比較して十分高速、すなわち高周波数の基準クロックである。
【0016】
位相比較器6は、REF入力クロック及びFB入力クロックのそれぞれの立ち上がりエッジを検出する。そして、REF入力クロックの立ち上がりエッジの検出からFB入力クロックの立ち上がりエッジの検出までの位相差をカウントクロックでカウントする。
【0017】
位相比較器6の構成例を図12に示す。
【0018】
図において、301はREF入力クロックのエッジ検出部、302はFB入力クロックのエッジ検出部、303は位相差カウント部、304は履歴レジスタ、305は加算回路を示す。
【0019】
エッジ検出部301及びエッジ検出部302は、それぞれREF入力クロックの立ち上がりエッジ及びFBクロックの立ち上がりエッジを検出し、検出情報を位相差カウント部303に送る。
【0020】
位相差カウント部303は、エッジ検出部301及びエッジ検出部302から取得する検出情報に基づき、REF入力クロックの立ち上がりエッジとFB入力クロックの立ち上がりエッジとの位相差をカウントクロックでカウントし、カウントした値(以下、カウント値と表記)を履歴レジスタ304に格納する。
【0021】
履歴レジスタ304は複数のレジスタを備え、それぞれに位相差カウント部303でカウントされたカウント値1〜mが、例えばREF入力クロックの周波数(比較周波数)の逆数の周期で順次格納される。
【0022】
加算回路305は、履歴レジスタ304に格納されたカウント値1〜mを加算しトータル値を算出する。加算回路305は算出したトータル値を位相差情報として出力する。
【0023】
具体的例として、比較周波数を8kHz、カウントクロックの周波数を77.76MHzとすると、位相比較器6における位相差の検出分解能ΔPは、下記数式1の通りとなる。
【0024】
【数1】
【0025】
また、DPLL回路がロック状態、すなわち、DPLL回路への入力クロックと出力クロックとが同期したと判定される状態として収束するときの、位相比較器6への入力クロック(REF入力クロック及びFB入力クロック)の位相差を180度とした場合、当該ロック状態におけるカウントクロックによるカウント値は、数式2により、
【0026】
【数2】
【0027】
と求められる。
【0028】
上記の例では、ロック状態の位相差カウント値は4860で推移し、当該カウント値の変動量は発振器8の安定度等に応じて、通常±1〜10カウント程度(位相差で0.1m〜1mUI:Unit Interval程度)である。よって、履歴レジスタ304に格納されるカウント値は4860±1〜10となり、例えば図13に示すように、履歴レジスタ304に8個のカウント値が格納される場合、加算回路305により算出され出力されるトータル値は38880±8〜80となる。
【0029】
DPLL回路に入力される入力クロックは、例えば、回線や装置内に生じる雑音や漏話による外乱等により、瞬間的な位相跳びが発生することがある。このように位相跳びが発生する場合も、DPLL回路は当該入力クロックに同期した出力クロック(システムクロック)を生成するため、通信装置のシステムエラーを引き起こすという問題が生じる。
【0030】
例えば、図14のように、0.1UIの瞬間的な位相跳びが発生した場合、位相差カウント部303によるカウント値はロック状態のときと比較して972カウント増加又は減少する。
【0031】
位相差カウント部で算出された位相跳びに基づくカウント値は後段のループフィルタを介して発振器に入力され、発振器から出力される出力クロックにも位相跳びの影響が反映されることになる。つまり、DPLL回路への入力クロックに追従して出力クロックにも位相跳びが生じてしまう。
【0032】
従来、上記のような課題に対し、例えば、DPLL回路に設けられるループフィルタの特性を変える、すなわち、カットオフ周波数を低く設定するという対策が提案されてきた。
【0033】
しかし、カットオフ周波数を低く設定することにより上記位相跳びの影響は低減できるものの、DPLL回路の応答特性が低速化したり、より位相雑音特性の小さい高額な発振器が必要になり製造コストが上がるなどの新たな問題が生じることになる。
【0034】
また、特許文献1には、PLL回路において、位相差飛びの発生が判定された場合位相比較器での位相比較を禁止する技術が開示されている。しかし、位相比較が禁止されれば、VCXO(電圧制御発振回路)は入出力クロックの位相差によらない固定値により自走することとなり、VCXOの精度に応じて出力クロックに周波数変動が生じることになる場合がある。
【特許文献1】特開2002−152736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
DPLL回路において、入力クロックに生じる瞬間的な位相跳びの影響による、出力クロックについての位相跳びの発生を抑制する制御装置及びクロック同期方法を提供する。
【0036】
また、DPLL回路に設けられるループフィルタのカットオフ周波数の設定を変更しなくても上記出力クロックについての位相跳びの発生を抑制する制御装置又はクロック同期方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0037】
例えば、出力クロックを入力クロックに同期させる制御を行う制御装置において、前記入力クロックと前記出力クロックとの位相差をカウントするカウント部と、前記カウント部がカウントした位相差のうち、所定範囲内の位相差を示すカウント値を抽出する抽出部と、抽出された前記所定範囲内の位相差を示すカウント値に基づいて位相差情報を生成する位相差情報生成部と、前記位相差情報生成部により生成された前記位相差情報に基づいて、生成する前記出力クロックの周波数を制御可能なクロック生成部と、を備えたことを特徴とする制御装置を用いる。
【発明の効果】
【0038】
DPLL回路において、入力クロックに生じる瞬間的な位相跳びの影響による、出力クロックについての位相跳びの発生を抑制することが可能となる。
【0039】
また、DPLL回路に設けられるループフィルタのカットオフ周波数の設定を変更しなくても上記出力クロックについての位相跳びの発生を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面を用いて本実施について説明する。
【0041】
(1)全体構成
図1は、本実施例に用いられるDPLL回路の構成例を示す。
【0042】
図において、1は位相比較器、2はループフィルタ、3は発振器、4は分周器を示す。
【0043】
なお、例えば、位相比較器1にはDPD、ループフィルタ2にはDLF、発振器3にはNCOを用いることができる。また、ループフィルタ2には、例えばIIRフィルタ等が用いられ、DSP(Digital Signal Proccessor)等により構成する。
【0044】
図示しない外部回線(例えば、上位局と接続されたディジタル同期網)から抽出されるクロック信号が、DPLL回路の位相比較器1に入力される。
【0045】
位相比較器1は、外部回線から抽出された入力クロックと、分周器4で分周(周波数が1/N倍に変換)された発振器3からの出力クロックとの位相差をカウントし、カウントした結果を位相差情報としてディジタル値で出力する。
【0046】
位相比較器1から出力された位相差情報を含む信号はループフィルタ2によりフィルタ処理された後に発振器3に入力される。
【0047】
発振器3は、入力された位相差情報に基づいて出力周波数を変化させることにより、外部回線から位相比較器へ入力された入力クロックと同期した出力クロックを生成する。
【0048】
発振器3で生成された出力クロックは、システムクロックとしてDPLL回路から出力されるとともに、フィードバック制御により分周器4で分周され位相比較器1に入力される。
【0049】
以上により、本実施例のDPLL回路は外部回線からの入力クロックと同期した出力クロックを生成する。
【0050】
なお、以下、外部回路から抽出され位相比較器1に入力されるクロック信号をREF入力クロックとし、発振器3から出力され分周された後に位相比較器1に入力されるクロック信号をFB入力クロックとする。
【0051】
(2)位相比較器の構成例
図2は、本実施例に用いられる位相比較器の構成例を示す。
【0052】
図において、101はREF入力クロックのエッジ検出部、102はFB入力クロックのエッジ検出部、103は位相差カウント部、104は履歴レジスタ、105は加算回路、106は位相跳び判定回路、107は位相跳び補正回路、108はセレクタ回路を示す。
【0053】
エッジ検出部101は、REF入力クロックの立ち上がりエッジを検出し、検出情報を位相差カウント部103に送る。また、同様に、エッジ検出部102は、FB入力クロックの立ち上がりエッジを検出し、検出情報を位相差カウント部103に送る。
【0054】
位相差カウント部103は、エッジ検出部101及びエッジ検出部102から取得する検出情報に基づき、例えば図11に示す原理を用いて、REF入力クロックの立ち上がりエッジとFB入力クロックの立ち上がりエッジとの位相差をカウントクロックでカウントし、カウントした値(以下、カウント値と表記)を履歴レジスタ104に格納する。
【0055】
履歴レジスタ104は複数のレジスタを備え、それぞれに位相差カウント部103でカウントされたカウント値1〜mが格納される。カウント値が更新される、すなわち、新たなカウント値がカウント値8として履歴レジスタ104に格納されると、更新前のカウント値2〜8はそれぞれカウント値1〜7としてシフトするとともに、更新前のカウント値1が履歴レジスタ104から削除される。カウント値が更新される周期はREF入力クロックの周波数(比較周波数)の逆数とすることができる。
【0056】
加算回路105は、履歴レジスタ104に格納されたカウント値を抽出するとともに、抽出したカウント値1〜mを加算することによりトータル値を算出する。加算回路105は算出したトータル値を用いて位相差情報を生成し出力する。
【0057】
位相跳び判定回路106は、履歴レジスタ値104に格納される各カウント値を抽出し、抽出した各カウント値と予め設定されたカウント値の範囲との比較に基づいて、REF入力クロックの位相跳びの発生の有無を判定する。すなわち、位相跳び判定回路106は、履歴レジスタ値104に格納されるカウント値が、所定範囲内の位相差を示す場合は位相跳びが発生していないと判定し、当該所定範囲内でない位相差を示す場合は位相跳びが発生したと判定する。
【0058】
位相跳び判定回路106における上記判定の基準となる所定範囲内の位相差を示すカウント値は適宜設定可能であり、例えば基地局装置の場合、ロック状態におけるカウント値±位相差0.1〜1mUIに相当するカウント値とすることが好ましい。
【0059】
位相跳び判定回路106は、履歴レジスタ104に格納されるカウント値に基づいて位相跳びが発生していないと判定するとき、位相跳びが発生していないことを示す信号をセレクタ回路108に送出する。また、位相跳び判定回路106は、履歴レジスタ104に格納されるいずれかのカウント値に基づいて位相跳びが発生したと判定するとき、位相跳びが発生したことを示す信号を位相跳び補正回路107及びセレクタ回路108に送出する。ただし、位相跳び判定回路106は、位相跳びが発生していないと判定するときも位相跳びが発生していないことを示す信号をセレクタ回路108に送出しないこととしてもよい。
【0060】
位相跳び補正回路107は、位相跳び判定回路106から位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、当該位相跳びが発生したと判定されたカウント値以外の履歴レジスタ104に格納されている各カウント値を抽出するとともに、抽出したカウント値に後述の演算を施すことにより得られる値を用いて位相差情報を生成し出力する。
【0061】
セレクタ回路108には、加算回路105及び位相跳び補正回路107から出力された位相差情報が入力される。
【0062】
セレクタ回路108は、位相差跳び判定回路106から受信する、位相跳びが発生していないことを示す信号又は位相跳びが発生したことを示す信号に基づいて、出力する位相差情報を選択する。すなわち、位相差跳びが発生していないことを示す信号を受信するとき又は位相差跳びが発生したことを示す信号を受信しないときは加算回路105からの位相差情報を出力し、位相跳びが発生したことを示す信号を受信するときは位相跳び補正回路107からの位相差情報を出力する。
【0063】
セレクタ回路108から出力された位相差情報は図示しないループフィルタに入力される。
【0064】
(3)位相差情報生成動作の詳細
図3〜図8を用いて、図2に示す位相比較器において位相差情報を生成する際の動作を具体的に説明する。なお、図2と共通する部分には同一の符号を付すものとする。
【0065】
以下の説明において例として、REF入力クロックの周波数(比較周波数)を8kHz、カウントクロック周波数を77.76MHz、履歴レジスタのレジスタ数を8(m=8)とする。
【0066】
上記の場合、ロック状態における位相差関係を180度とすると、数式2によりロック状態でのREF入力クロックとFB入力クロックとの位相差を示すカウントクロックのカウント値は4860となる。よって、例えば、位相跳び判定回路106に設定される所定範囲内の位相差を示すカウント値を4860±1〜10とする。
【0067】
図3は、履歴レジスタ104に格納されるカウント値1〜8がすべて4860±1〜10の範囲である場合を示す。
【0068】
位相差カウント部103でカウントされたカウント値がカウント値8として履歴レジスタ104に格納されると、位相跳び判定回路106は、カウント値8について位相跳びは発生していないと判定するので、セレクタ回路108は加算回路105が生成する位相差情報を出力する。ここで、加算回路105が生成する位相差情報は、カウント値1〜8のすべてを合算して得られるトータル値38880±8〜80を示す情報である。
【0069】
図4〜6は、REF入力クロックに位相差跳びが発生し、カウント値8が4860±1〜10の範囲を超える5832となる場合を示す。なお、履歴レジスタに既に格納されているカウント値1〜7は4860±1〜10の範囲であるとする。
【0070】
図4において、位相跳び判定回路106は、カウント値8について位相跳びが発生したと判定し、図示しない位相跳び補正回路107及びセレクタ回路108に対し、位相跳びが発生したことを示す信号を送出する。
【0071】
図5において、位相跳び補正回路107は、カウント値8について位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、カウント値8を除くカウント値1〜7を用いて演算を行う。具体的には、カウント値1〜7の各カウント値を合算した値34020±7〜70に、(履歴レジスタに格納されるカウント値の数)/(所定範囲内の位相差を示すカウント値の数)である8/7を乗算する。位相跳び補正回路106は、演算により得られる値38880±8〜80を示す位相差情報を出力する。
【0072】
図6は、位相跳びが発生したときのセレクタ回路108の動作を示す。
【0073】
セレクタ回路108は、位相跳び判定回路106から位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、加算回路105で生成される位相差情報と位相跳び補正回路107で生成される位相差情報とのうち、位相跳び補正回路107で生成される位相差情報を選択して出力する制御を行う。したがって、セレクタ回路108は、図5で位相跳び補正回路107により演算された値38880±8〜80を示す位相差情報を出力する。
【0074】
以上によれば、カウント値8について発生した位相跳びの影響を発振器3での制御に及ばせないことができる。つまり、DPLL回路において、位相比較器へ入力される入力クロックに瞬間的な位相跳びが生じても、当該位相跳びの発生により発振器で生成される出力クロックに急激な変動が生じないようにすることが可能となる。
【0075】
(4)変形例
上記の実施例では、ロック時にDPLL回路の位相比較器へ入力される入力クロックに瞬間的な位相跳びが発生した場合に、当該位相跳びの影響により発振器から出力される出力クロックに急激な変動が生じないようにするものである。
【0076】
一方、本変形例では、位相比較器へ入力される入力クロックの位相跳びが瞬間的である場合は上記実施例と同様の動作を実行し、更に、当該入力クロックの位相跳びが瞬間的でない、すなわち、連続的に入力クロックと出力クロックとが所定範囲内でない位相差を生じる場合は当該位相跳びに応じて、発振器で出力される出力クロックが変動するよう制御する機能が追加される。
【0077】
すなわち、本変形例では、例えば位相跳び判定回路が、履歴レジスタに格納されるカウント値に基づいて、位相比較器へ入力される入力クロックに生じる位相跳びが瞬間的であるか否かを判定する。
【0078】
なお、上記の連続的に入力クロックと出力クロックとが所定範囲内でない位相差を生じる場合とは、通常の引き込み時のような場合である。
【0079】
以下、図7〜図9を用いて本変形例の具体的な動作を説明する。
【0080】
図7〜図9において、203は位相差カウント部、204は履歴レジスタ、205は加算回路、206は位相跳び判定回路、207は位相跳び補正回路、208はセレクタ回路を示す。なお、図7〜9において共通する部分には同一の符号を付すものとする。
【0081】
なお、上記の実施例の説明と同様、REF入力クロックの周波数(比較周波数)を8kHz、カウントクロック周波数を77.76MHz、履歴レジスタのレジスタ数を8(m=8)とし、位相跳び判定回路に設定される所定範囲内の位相差を示すカウント値を4860±1〜10とする。
【0082】
図7、図8は、REF入力クロックに生じる位相跳びが瞬間的である場合の位相跳び判定回路206の動作を示す。図には、履歴レジスタ204に格納されるカウント値の更新により、所定範囲内でない位相差を示すカウント値(カウント値7)の次に所定範囲内の位相差を示すカウント値(カウント値8)が格納される場合を例に示す。
【0083】
上記の場合、位相跳び判定回路206は履歴レジスタ204に格納されているカウント値5832(=4860±972)を示すカウント値7について位相跳びが発生したと判定する。また、位相跳び判定回路206は、カウント値7の前のカウント値6又は後のカウント値8のいずれも所定範囲内の位相差を示すカウント値であり位相跳びが発生したと判定しないため、カウント値7の位相跳びは瞬間的であると判定する。
【0084】
よって、位相跳び判定回路206は上記判定結果に基づき、図示しない位相跳び補正回路207及びセレクタ回路208に対し、位相跳びが発生したことを示す信号を送出する。
【0085】
図8において、加算回路205は、図7の履歴レジスタ204に格納されたカウント値を抽出するとともに、抽出したカウント値1〜8を加算することによりトータル値を算出する。上記の場合、加算回路205が生成する位相差情報は、カウント値1〜8のすべてを合算して得られるトータル値39852±7〜70を示す情報である。加算回路205は算出したトータル値を用いて位相差情報を生成し出力する。
【0086】
位相跳び補正回路207は、位相跳び判定回路206から、カウント値7について位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、カウント値7を除くカウント値1〜6、8を用いて図5の場合と同様の演算を行う。具体的には、カウント値1〜6、8の各カウント値を合算した値34020±7〜70に8/7を乗算する。位相跳び補正回路206は、演算により得られる値38880±8〜80を示す位相差情報を出力する。
【0087】
セレクタ回路208は、位相差跳び判定回路206から受信する、位相跳びが発生していないことを示す信号又は位相跳びが発生したことを示す信号、及び、入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したことを示す信号に基づいて、出力する位相差情報を選択する。すなわち、位相跳びが発生したことを示す信号を受信しないとき、位相跳びが発生していないことを示す信号を受信するとき、又は入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したことを示す信号を受信するときは加算回路205からの位相差情報を出力する。一方、位相跳びが発生したことを示す信号を受信するときは位相跳び補正回路207からの位相差情報を出力する。
【0088】
よって、セレクタ回路208は、位相跳び判定回路206から位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、加算回路205で生成される位相差情報と位相跳び補正回路207で生成される位相差情報とのうち、位相跳び補正回路207で生成される位相差情報を選択して出力する制御を行う。したがって、セレクタ回路208は、位相跳び補正回路207により演算された値38880±8〜80を示す位相差情報を出力する。
【0089】
次に、図9は、REF入力クロックの位相跳びが瞬間的でない、すなわち、連続的に所定範囲内でない位相差を生じる場合の位相跳び判定回路206の動作を示す。図には、履歴レジスタ204に格納されるカウント値の更新により、所定範囲内でない位相差を示すカウント値(カウント値7)の次に、更に所定範囲内でない位相差を示すカウント値(カウント値8)が格納される場合を例に示す。
【0090】
位相差カウント部203でカウントされたカウント値がカウント値8として履歴レジスタ204に格納されると、履歴レジスタ204のカウント値が更新される。
【0091】
加算回路205は、履歴レジスタ204に格納されたカウント値を抽出するとともに、抽出したカウント値1〜8を加算することによりトータル値を算出する。上記の場合、加算回路205が生成する位相差情報は、カウント値1〜8のすべてを合算して得られるトータル値40824±6〜60を示す情報である。加算回路205は算出したトータル値を用いて位相差情報を生成し出力する。
【0092】
位相跳び判定回路206は、履歴レジスタ値204に格納される各カウント値を抽出し、カウント値5832(=4860±972)を示す、カウント値7及び上記更新により新たに格納されたカウント値8のそれぞれについて位相跳びが発生したと判定する。また、位相跳び判定回路206は、履歴レジスタ204に連続して格納された複数のカウント値について位相跳びが発生したと判定することにより、カウント値7及びカウント値8の位相跳びは瞬間的ではない、すなわち、入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したと判定する。なお、入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したと判定する基準、すなわち、カウント値に連続して位相跳びが発生したと判定する回数は2回以上の回数で適宜設定可能とする。
【0093】
よって、位相跳び判定回路206は上記判定の結果に基づき、位相跳び判定回路206は上記判定結果に基づき、位相跳び補正回路207に対し、位相跳びが発生したことを示す信号を送出するとともに、セレクタ回路208に対し、入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したことを示す信号を送出する。
【0094】
位相跳び補正回路206は、カウント値7及びカウント値8について位相跳びが発生したことを示す信号を受信すると、カウント値7及びカウント値8を除くカウント値1〜6を用いて演算を行う。具体的には、図5の場合と同様に、カウント値1〜6の各カウント値を合算した値29160±6〜60に8/6を乗算する。位相跳び補正回路207は、演算により得られる値38880±8〜80を示す位相差情報を出力する。
【0095】
セレクタ回路208は、位相跳び判定回路206から入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したことを示す信号を受信すると、加算回路205で生成される位相差情報と位相跳び補正回路207で生成される位相差情報とのうち、加算回路205で生成される位相差情報を選択して出力する制御を行う。したがって、セレクタ回路208は、加算回路207により演算された値40824±6〜60を示す位相差情報を出力する。
【0096】
上記では、位相跳び判定回路206は、判定の結果に基づき、位相跳び補正回路207に対し、位相跳びが発生したことを示す信号を送出するとしたが、入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生したと判定するときは、位相跳び補正回路207に位相跳びが発生したことを示す信号を送出しないこととしてもよい。
【0097】
以上によれば、位相比較器へ入力される入力クロックの位相跳びが瞬間的である場合は上記実施例と同様の動作を実行し、更に、当該入力クロックの位相跳びが瞬間的でない、すなわち、連続的に所定範囲内でない位相差を生じる場合は当該位相跳びに応じて発振器で出力される出力クロックが変動するよう制御することができる。
【0098】
したがって、DPLL回路において、位相比較器へ入力される入力クロックに瞬間的な位相跳びが生じても、当該位相跳びにより発振器で出力される出力クロックに急激な変動が生じないようにするとともに、当該入力クロックに連続的に所定範囲内でない位相差が発生する場合は当該位相差が抑制されるよう発振器で出力される出力クロックを制御することが可能となる。
【0099】
(5)その他
上記の実施例及び実施例の変形例において、位相跳び判定回路で位相跳びが発生したと判定するとき、位相跳び判定回路は位相跳びが発生したことを示す信号を加算回路に送出し、加算回路は当該位相跳びが発生したことを示す信号の受信により、履歴レジスタに格納されているカウント値の合算を行わないよう制御されてもよい。
【0100】
また、上記の実施例及び実施例の変形例において、履歴レジスタに格納されるカウント値のうち、設定された所定範囲内でない位相差を示すカウント値は、所定範囲内の位相差のカウント値に書き換えられる、又は消去されることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本実施例に用いられるDPLL回路の構成例
【図2】本実施例に用いられる位相比較器の構成例
【図3】位相比較器において位相差情報を生成する際の動作例(位相跳びが発生してい ない場合)
【図4】位相跳び発生時の位相跳び判定回路の動作例
【図5】位相跳び発生時の位相跳び補正回路の動作例
【図6】位相跳び発生時のセレクタ回路の動作例
【図7】位相跳びの発生が瞬間的である場合の位相跳び判定回路の動作例
【図8】位相跳びの発生が瞬間的である場合のセレクタ回路の動作例
【図9】位相比較器において位相差情報を生成する際の動作例(位相跳びの発生が瞬間 的でない場合)
【図10】従来のDPLL回路の構成例
【図11】位相比較器において複数の入力クロックの位相差を検出する原理
【図12】従来の位相比較器の構成例
【図13】従来の位相比較器において位相差情報を生成する際の動作例(位相跳びが発 生していない場合)
【図14】従来の位相比較器において位相差情報を生成する際の動作例(位相跳びが発 生した場合
【符号の説明】
【0102】
1、6 位相比較器
2、7 ループフィルタ
3、8 発振器
4、9 分周器
5 HWYインタフェース
101、102 エッジ検出部
103、203 位相差カウント部
104、204 履歴レジスタ
105、205 加算器
106、206 位相跳び判定回路
107、207 位相跳び補正回路
108、208 セレクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力クロックを入力クロックに同期させる制御を行う制御装置において、
前記入力クロックと前記出力クロックとの位相差をカウントするカウント部と、
前記カウント部がカウントした位相差のうち、所定範囲内の位相差を示すカウント値を抽出する抽出部と、
抽出された前記所定範囲内の位相差を示すカウント値に基づいて位相差情報を生成する位相差情報生成部と、
前記位相差情報生成部により生成された前記位相差情報に基づいて、生成する前記出力クロックの周波数を制御可能なクロック生成部と、
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記カウント部が連続して所定範囲内でない位相差をカウントするとき、前記抽出部は、更に該所定範囲内でない位相差を示すカウント値を抽出し、前記位相差情報生成部は、抽出された前記所定範囲内の位相差を示すカウント値と該所定範囲内でない位相差を示すカウント値とを用いて前記位相差情報を生成することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
出力クロックを入力クロックに同期させる制御を行うクロック同期方法において、
前記入力クロックと前記出力クロックとの位相差をカウントし、
カウントした前記位相差のうち、所定範囲内の位相差を示すカウント値を抽出し、
抽出された前記所定範囲内の位相差を示すカウント値に基づいて位相差情報を生成し、
生成された前記位相差情報に基づいて、生成する前記出力クロックの周波数を制御する、
ことを特徴とするクロック同期方法。
【請求項1】
出力クロックを入力クロックに同期させる制御を行う制御装置において、
前記入力クロックと前記出力クロックとの位相差をカウントするカウント部と、
前記カウント部がカウントした位相差のうち、所定範囲内の位相差を示すカウント値を抽出する抽出部と、
抽出された前記所定範囲内の位相差を示すカウント値に基づいて位相差情報を生成する位相差情報生成部と、
前記位相差情報生成部により生成された前記位相差情報に基づいて、生成する前記出力クロックの周波数を制御可能なクロック生成部と、
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記カウント部が連続して所定範囲内でない位相差をカウントするとき、前記抽出部は、更に該所定範囲内でない位相差を示すカウント値を抽出し、前記位相差情報生成部は、抽出された前記所定範囲内の位相差を示すカウント値と該所定範囲内でない位相差を示すカウント値とを用いて前記位相差情報を生成することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
出力クロックを入力クロックに同期させる制御を行うクロック同期方法において、
前記入力クロックと前記出力クロックとの位相差をカウントし、
カウントした前記位相差のうち、所定範囲内の位相差を示すカウント値を抽出し、
抽出された前記所定範囲内の位相差を示すカウント値に基づいて位相差情報を生成し、
生成された前記位相差情報に基づいて、生成する前記出力クロックの周波数を制御する、
ことを特徴とするクロック同期方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−124295(P2010−124295A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296635(P2008−296635)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]