説明

剥離剤がコーティングされたシート材料をリサイクルする方法およびそのようにリサイクルされた材料の使用

本発明は、廃棄物を処理する方法であって、生産者およびそのエンドユーザから剥離コーティングセルロースまたはポリマーシート材料を、巻物および積層体等の稠密で粗大な塊の形態で収集するステップと、剥離コーティングシートの稠密で粗大な塊を、続くプロセスステップに備えてより小さく低密度の塊に事前細断するステップと、事前細断した材料を、混合し、金属等のような異物を分離し、それを一次粉砕ステーション(3)に送ることによって用意するステップと、材料を、所望のサイズの、好ましくは1mm未満まで小さい切片に粉砕するステップと、難燃剤、疎水性材料、農薬およびそれらの混合物から選択される添加剤を添加し、それらをリサイクルされた材料と混合するステップと、任意選択的に、湿式プロセスによりかつ/または結合剤を添加することにより芯またはシートを形成するステップとを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己粘着ラベルおよびフィルム用のライナとして使用されるような剥離剤でコーティングされたセルロースまたはポリマーシート材料からなる廃棄物を機械的に処理する方法に関する。特に、処理された廃棄物を、絶縁材にまたは再生紙として変えることができ、再生紙の場合は、事前にシート材料から剥離剤の分離が必要である。
【背景技術】
【0002】
自己粘着ラベル、フィルムおよびテープは、基材に粘着させるために追加の接着剤が不要であるため、汎用性がありかつ使用が容易であるために広く普及してきた。それらは、職場でかつ当然ながら学校の子供たちによって広範囲に使用されているが、産業界によっても、自身の製品にラベルを付けるために大量に使用されている。自己粘着ラベルは剥離ライナに取り付けられて提供され、剥離ライナは、紙またはポリマーキャリアからなり、通常少なくとも一方の面が剥離剤でコーティングされており、剥離剤は、ほとんどの場合シリコーン剥離層から構成され、ラベルの粘着剤に対して剥離効果を提供する。ワックス、パラフィン、低表面エネルギーフッ化化合物等、他の剥離剤が使用される場合もある。シリコーンコーティングライナの例は、米国特許第5275855号明細書、特開平07−279099号明細書および米国特許第6036234号明細書に記載されている。シリコーンまたは他の剥離剤がコーティングされたライナは、PVCフィルム等のフィルムの製造において裏当てとしてもより一般的に使用されている。2008年における剥離ライナの全世界消費量は、コーティング製品のおよそ320億平方メートルであると考えられ、それは、スイスの表面積の75%に等しい。この材料のおよそ85%が紙系であり、15%がプラスチック系である(http://en.wikipedia.org/wiki/Release_linerを参照)。
【0003】
前記キャリアに支持されたラベル、フィルムまたはテープの使用後、ライナは単なる廃棄物であり、処分しなければならないものである。上述した体積を考慮すると、これによって、多大な廃棄物源がもたらされ、それは、包装材料として廃棄物の処分に課税しようとするいくつかの政府の監視の下で発生する。問題は、セルロース剥離ライナの場合にさらに問題となると考えられ、それは、セルロースキャリアは、通常、未だいかなるリサイクルサイクルも経ていないバージン材からなるためである。印刷紙または包装紙を作製する従来の再パルプ化方法によって、剥離剤でコーティングされた紙をリサイクルすることは、可能であるが、繊維の不十分な崩壊、および剥離コーティングによるロールおよびフェルトに対する樹脂粒子の付着のために、品質の喪失なしには困難である。シリコーンコーティング紙をリサイクルする解決法は、米国特許第5567272号明細書および欧州特許第587000号明細書に提案されており、セルロースシートキャリアからシリコーン剥離剤を化学的に分離するためにフッ素化アルカノールのリン酸エステルの塩の使用が必要であり、セルロースシートキャリアは、再生紙製造ラインに送られる。別法として、独国特許第4302678号明細書および米国特許第5573636号明細書は、セルロース繊維を再パルプ化するために、水と接触すると膨張し、水溶性媒体においてパルプからコーティングの分離を促進する、好ましくはマイクロカプセルの形態の固体材料を含む所定の剥離コーティングを提案している。
【0004】
建築業界および輸送業界は、疎繊維材料、スキンがあるかまたはない繊維マット、種々の剛性のパネルおよびさらには中空ブロックの形態で断熱材および防音材を製造するために、古い新聞紙、厚紙等から来るセルロース材料をますます利用してきており、ブロックおよびパネルの製造には、結合剤、接着剤またはセメントの使用が必要である可能性がある。セルロース絶縁材は、たとえばグラスウール絶縁またはロックウール絶縁より「内包エネルギー」がはるかに低く、内包エネルギーは、製造施設に原材料を輸送するエネルギー+製品を製造するエネルギー+製造品を配達するエネルギーの合計である。セルロース絶縁材に関する一般的な情報は、たとえば、
http://www.ownerbuilderonline.com/blown−cellulose−insulation.html、
http://www.cellulose.org/CIMA/GreenestOfTheGreen.php、
http://www.youtube.com/watch?v=bwcblg6g5Cs&feature=related
に見ることができる。
【0005】
独国特許第19653243号明細書は、古紙からのセルロース繊維から作製され、難燃剤としてかつカビが形成されないようにたとえばホウ酸またはその塩が含浸し、セルロース繊維が少なくとも部分的に湿式接着剤が塗布された紙ラベルからもたらされる、断熱材および防音材を開示している。
【0006】
独国特許第4334200号明細書は、緩やかな油圧機械処理に続いて熱風を用いる乾燥により廃紙から断熱材を製造するプロセスを開示している。板またはそこから形成されるマットは、非常に低い比密度を有し、そこから高い断熱値がもたらされる。
【0007】
国際公開第2002090682号パンフレットは、少なくとも、200kg/m〜800kg/mの間の範囲の密度を有する実質的に均質な自己支持型矩形セルロースマットを備え、前記マットが、本質的に、実質的にリグニンのない再生紙または厚紙の処理から取り出される繊維からなり、マット内の繊維間の結合が、少なくとも部分的に湿式プロセスによるマットの製造中に得られる、防音パーティションを開示している。
【0008】
独国特許第4402244号明細書は、10wt%〜50wt%の細断した廃紙と、髪、羊毛単繊維等、90wt%〜10wt%の動物繊維および植物繊維とを含む、乾燥した水性懸濁液からなる防音・断熱材を開示している。混合懸濁液は、水が除去されたシートフォーマーの上に、特にふるいの上に配置される。平坦な可撓性マットが形成され、その後、乾燥して仕上げられる。
【0009】
独国特許第19835090号明細書は、添加剤を含む均質な材料を得るためにミル内のさまざまなパラメータの制御を含む、セルロース絶縁材の製造方法を開示している。
【0010】
独国特許第3641464号明細書は、いかなる表面処理または充填剤もない古新聞紙、天然繊維ならびに接着剤および/または反応促進剤の混合物からなる絶縁板を開示している。欧州特許第0617177号明細書は、断熱および振動減衰用のスキン/コア建築要素を開示しており、コアは、溶融時に結合剤として作用するように紙状材料および薄い熱可塑性成分の充填材からなる。
【0011】
独国特許第4403588号明細書は、水、セメントおよび砂と混合された、特に、古いラベル、ステッカー、高光沢紙、広告ポスターおよび広告掲示板(標識)等、パルプ化された耐水性古紙から製造された、中空ブロックおよびプレハブ式壁板の形態で構築された断熱構成要素を開示している。特に、好ましい混合物は、耐水性古紙が50vol%から80vol%の範囲であり、セメントが10vol%から20vol%の範囲であり、砂が10vol%から60vol%の範囲である。
【0012】
米国特許出願公開第2009/0173464号明細書は、10wt%〜40wt%のセルロース繊維、0wt%〜30wt%の石膏、0wt%〜15wt%のデンプンおよび他の成分からなる音響パネルを開示している。独国特許第10336569号明細書は、87%〜78%の石膏と補強成分として使用済みの紙から作製された13%〜22%のセルロース繊維との混合物と、難燃性を上昇させるように繊維重量に基づく35%〜50%のホウ酸とから作製された耐火性石膏ファイバーボードを開示している。
【0013】
運送業界では、DE20200550114581号明細書は、燃焼機関の排気系用のセルロース系絶縁材を開示しており、米国特許出願公開第2002025421号明細書は、自動車のキャビン用のセルロースを含む吸音絶縁材を開示している。独国特許第4331567号明細書は、特別な結合剤と混合された廃紙から作製された航空機業界用の軽量防火要素を開示しており、「紙製の明らかに逆説的な防火材」がもたらされる。
【0014】
当該技術分野では、依然として、ラベル用のライナとして使用されるタイプの剥離コーティングキャリアをリサイクルする方法を見つける必要がある。同時に、再生紙の分野において、かつ建築、運送および他の業界に対する絶縁材の分野において、依然として、安価であり優れた断熱特性および防音特性ならびに減衰特性を有する絶縁材を提供するために、多くの行うべきことがある。本発明は、リサイクルの技術分野においてこれらの問題および他の問題に対する解決法を提案する。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、剥離コーティングセルロースまたはポリマーシートの形態の廃棄物を処理する方法であって、以下の
(a)生産者およびそのエンドユーザから剥離コーティングセルロースまたはポリマーシート材料を収集するステップと、
(b)収集した材料を、混合し、金属等のような異物を分離し、それを乾式粉砕ステーションに送ることによって用意するステップと、
(c)1つまたはいくつかの乾式粉砕ステーションにおいて、材料を小さい切片に、好ましくは、5mm〜30mmの間、より好ましくは7mm〜20mmの間、最も好ましくは10mm〜15mmの間を含む平均長のストライプに乾式細断および乾式粉砕し、任意選択的に、平均サイズが4mm未満、好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満のより小さい粒子に細かく粉砕するステップと、
(d)任意選択的に、難燃剤、疎水性材料、農薬およびそれらの混合物から選択される添加剤を添加し、それらをリサイクルされた材料と混合するステップと、
を含む方法に関する。
【0016】
本発明の、剥離コーティングシート材料をリサイクルする以前の試みとの主な相違は、後者が、水溶性媒体における従来の再パルプ化方法に適するように材料を変更することに取り組み、それには、懸濁液にわずかな量であっても剥離コーティング材料の存在することに関連するすべての問題がある一方で、本発明は、代りに材料自体に乾式リサイクル方法を適用する、ということである。
【0017】
本発明の方法の有効性は、剥離コーティングセルロースまたはポリマーシート材料が、生産者およびそのエンドユーザから、ステップ(b)に備えてより小さくより低密度の塊に事前細断される、巻物および積層体等の稠密で粗大な塊の形態で収集される場合にさらに向上する。後により詳細に説明する室内装飾材料のための絶縁材および充填の分野における優れた利点を、前記収集された材料が、ホウ酸またはその何らかの塩等の難燃剤をすでに含む場合に達成することができる。難燃剤は、シート製造業者によってシートキャリアに添加され、そのため、製造された材料のリサイクルが見込まれかつ促進される。
【0018】
本方法は、いくつかの剥離剤コーティングシートに対し、一次乾式粉砕操作および/または二次乾式粉砕操作中に、いかなる化学的処理もなしに、シートキャリアから剥離コーティングの実質的な画分を機械的に分離することができるため、非常に有利である。そして、2つの画分を、入ってくる流れから第1のキャリアが豊富な画分と第2の剥離剤が豊富な画分とに分離する分離ステーションにおいて分離することができる。分離ステーションは、サイクロン、フィルタおよび超音波分離手段または静電分離手段のうちの1つまたは複数を含むことができる。この実施形態は、キャリアが豊富な画分の使用を、さらに処理して、たとえば絶縁芯またはシートの形態の絶縁材を製造するか、または再生紙を製造するために水溶性媒体での従来の再パルプ化プロセスを組み込むことができるため、非常に有利である。絶縁材は、必ずしもキャリアが豊富な画分から形成される必要がなく、有利には、場合によってはたとえば新聞紙等の細かく粉砕された(comminuted)廃紙と混合された、細かく粉砕された剥離コーティングセルロースまたはポリマーシート材料から直接得られ、種々の等級、品質および価格の絶縁材をもたらすことに留意されたい。別法として、セルロースおよび/または剥離剤が豊富な画分を、コンクリートのセメント質混合物およびコーティングにおける充填剤または結合剤として使用されるのに適するようにさらに処理することができる。
【0019】
本方法のいずれかの段階において、収集された材料または処理された材料を、他の出所からのセルロースまたはポリマーシート廃棄物と混合してもよく、または、たとえば、上述した分離から得られ得る剥離剤が豊富な画分からの剥離剤と混合してもよい。別法として、キャリア材料から分離された第2の剥離剤が豊富な画分を、最終的な材料の剥離剤の含有量を制御するために、他の出所からの粉砕されたセルロースまたはポリマーシート廃棄物と混合することができる。
【0020】
上述したように乾式粉砕によって剥離コーティングから分離することができる本質的にセルロースを含むキャリアの場合、このようにして得られたセルロースが豊富な画分を、湿式成形ステーションでさらに処理してシート状の紙を形成することができる。
【0021】
建築業界または室内装飾材料における等のいくつかの用途では、難燃剤の使用が必要である。収集された材料が、1つのこうした用途に対して十分な量の難燃剤を含まない場合、難燃剤、好ましくはホウ酸またはその何らかの塩を、粉砕ステップ(c)の前に、間にまたは後に、リサイクル材料に添加しかつそれと混合することができる。
【0022】
好ましい剥離コーティングセルロースまたはポリマーシート材料源は、自己粘着ラベルまたはフィルムを保持するためのライナである。それらを、好都合には、ライナ製造業者、自己粘着ラベル系材料製造業者、ラベル印刷業者、自己粘着ラベルが施される商品の生産者等において収集することができ、それらのすべてが、大量のこうしたライナを発生させる。剥離剤は、概して、シリコーン、ワックス、パラフィンまたはフッ素化材料のうちの1つである。
【0023】
上述した方法から得られるリサイクル材料を、さまざまな用途で使用することができる。まず、その断熱特性および防音特性を、
・建造物の分野における壁、パネルまたは天井、
・輸送の分野におけるパネル、
・道路、線路、競技場または何らかの騒音のある屋外環境に沿った音響減衰壁、
・衣類またはブランケットあるいは充填するためのキルティングされた切片
・マットレスあるいは室内装飾材料、
・商品の包装および保管ならびに輸送の分野における包装
のいずれかを断熱かつ/または防音するために有利に使用することができる。
【0024】
別法として、乾式粉砕プロセス中に十分な画分の剥離剤が除去された場合、従来の湿式プロセスにおいて再生紙を製造するために、リサイクルされた剥離コーティングセルロース材料を使用することができる。同様に、熱可塑性キャリアを、それらの剥離コーティングから十分に分離された場合、当該技術分野において周知である何らかの熱可塑性物質リサイクルプロセスで使用することができる。
【0025】
剥離コーティングセルロースシート材料の用途の別の分野は、いくつかの野菜およびキノコを栽培するために、または土壌(soil)あるいは土(earth)における水収支および水流を促進する土への添加剤として使用される、覆土または生育培地である。予備試験の結果により、処理材料が、たとえばキノコの生育に対して最適な水流出調整(buffering)効果を提供したことが示された。さらに、材料は、経時的に徐々に放出する熱を吸収する蓄熱体(heat capacitor)として作用するように見える。この特性はまたは、本材料を用いて観察されたキノコの優れた生育を部分的に説明することも可能である。この特性により、材料が、ホットピロー(hot pillow)または皮膚の上にあてがわれる温湿布等の他の用途にも適したものとなる。同様に、食品等、包装された商品を高温で維持しなければならない場合、たとえば、好ましくは包装の2つの壁の間に挟装された、本材料で包装の壁に裏打ちすることにより、この趣旨で材料の蓄熱(heat capacitive)特性を使用することができる。
【0026】
ハイドロマルチ(hydromulching)/ハイドロシード(hydroseeding)が、本材料が優れた可能性を示す別の用途である。ハイドロマルチは、土壌浸食を防止するために、水、木質繊維マルチおよび多くの場合粘着材のスラリーを付与することである。ハイドロマルチの同義語として使用されることが多いハイドロシードは、ハイドロマルチ機のタンク内でマルチ、種、肥料および水を混合するステップを含む、たとえば草の植付けにおいて、種を植え付ける方法である。そして、混合材料は、タンクから汲み出され、地面に噴霧される。材料は、緑の張子材料のどろどろしたバッチのようなスラリーと呼ばれる。土壌に施されると、材料は、種の発芽に有利な微環境を提供することによって初期生育を促進する。ハイドロマルチ/ハイドロシード用途における従来の再生紙セルロース繊維材料の使用は既知である。従来の再生紙セルロース繊維の代りに、本発明によって処理されたリサイクルされた剥離コーティングセルロースシート材料の使用することは、本材料が、閉塞と同様に乾燥クラストを形成する傾向が著しく低いという点で有利であるように見える。いかなる理論にも束縛されることを望まずに、本材料に存在する剥離コーティング材料はこの効果に寄与すると考えられる。
【0027】
本発明はまた、上述した方法によって得られ得る、乾式細断されたリサイクル材料、難燃剤および任意選択的に他の成分を含む絶縁材に関する。特に、紙または熱可塑性シート材料が、粘着ラベル、テープまたはフィルム用のライナであり、好ましくは剥離剤としてのシリコーンによってコーティングされており、キャリアが以下のようなものであることが好ましい。すなわち、
(a)セルロースシート材料は、紙、好ましくはグラシン紙またはクラフト紙であり、または別法として、
(b)ポリマーシート材料は、好ましくはPE、PPまたはPETから選択される熱可塑性フィルムである。
【0028】
本発明の絶縁材は、好ましくは、表面上のばら詰め絶縁材(loose fill)として空洞内に乾式に、または表面に対して湿式に吹き込むのに適した形態である。別法として、絶縁材は、芯またはシートの形態であり得る。
【0029】
本発明の特質がより完全に理解されるために、添付図面とともに以下の詳細な説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、通常、粘着ラベル等のためのライナとして使用される剥離コーティングキャリアの横方向切断を示す。
【図2A】図2Aは、本発明の方法の第1実施形態の概略図を示す。
【図2B】図2Bは、本発明の方法の第2実施形態の概略図を示す。
【図3】図3は、建造物または輸送手段における絶縁材の用途に対する3つの実施形態を示す。
【図4】図4は、(a)元のシートキャリアに難燃剤がない場合、および(b)元のシートキャリアが難燃剤を含む場合の、剥離コーティングシート材料の型の製造、ライナとしてのその使用、そのリサイクルまでの完全なライフサイクルを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、剥離コーティングシートキャリア(1)、特に、たとえば自己粘着ラベル、テープ、フィルム等のためのライナとして広く使用されているシリコーンコーティングキャリアをリサイクルすることの困難な問題に対する新しくかつ有利な解決法を提供する。図1に示すように、こうしたライナは、グラシン紙またはクラフト紙等のセルロース材料であることが多いキャリア(2)を含むか、または別法として、キャリア(2)は、PEあるいはPPのようなポリオレフィンかまたはPET、PEN等のポリエステルからなる熱可塑性フィルムであり得る。本文脈では、「シート」と言う用語は、巻かれた、積み重ねられた、またはさらにはしわになった等のあらゆる形態で提示される、連続したまたは規則的な形状あるいは不規則な形状の不連続な切片であり得る、「何かの幅広い広がりまたは薄い切片(a wide expanse or thin piece of something)」(The Chambers Dictionary(2000))を示すように使用する。キャリア(2)は、1つの面または2つの面が剥離剤(3)でコーティングされており、剥離剤(3)は、ラベル上の接着剤等のあらゆるタイプの粘着性材料に対して剥離効果を提供する。粘着ラベル、テープ、フィルム等のためのライナとして最も広く使用されている剥離剤(3)は、架橋性シリコーンであるが、シリコーン、ワックス、パラフィン、ポリウレタン、フッ素化材料またはアクリル系材料等の他の剥離剤も見ることができる。剥離剤のタイプおよびコーティングシート材料の意図された使用に応じて、剥離剤は、一般におよそ0.2g/mから10.0g/mの量で付与され、それは、従来の湿式紙再パルプ化プロセスによってこうしたセルロース系ライナを含むリサイクルされた紙の品質を劣化させるのには十分であり、それは、繊維の崩壊が不十分であり、樹脂粒子が巻物およびフェルトに付着する傾向があるためである。これは、新聞紙等とは異なり、ライナに使用される紙は一般にバージン材から製造され、バージン材はいかなるリサイクルサイクルも経ておらずしたがって生態学的価値が高いため、主な不都合である。先に検討したように、従来の湿式再パルプ化プロセスに関連するこの欠点を克服する解決法が存在するが、それらには、追加の処理ステップおよび化学物質が必要である。キャリアが熱可塑性フィルムである場合、一般に架橋された剥離コーティングを、キャリアから容易に分離することはできず、キャリアとともに溶解し再加工することができないため、問題はさらに切実である。
【0032】
本発明は、ライナ等のセルロース系および熱可塑性物質系両方の剥離コーティングキャリア(1)をリサイクルする特に有利な代替方法を提供する。本発明では、剥離コーティングキャリアを加工して、建築物および道路等に沿った遮音壁、同様に自動車、列車、飛行機等の輸送手段の防音および断熱に適している新規かつ有利な絶縁材(10)を形成することができる。それはまた、キルティングされた衣類およびブランケットまたは室内装飾材料を充填するためにも使用することができる。キノコ、野菜、植物等のための生育培地、または加熱ピローあるいは皮膚に施されるまたは湿布における蓄熱体として等、他の用途も可能である。いくつかの用途では、後処理ステップ(26c)において粉砕材料のペレットを形成することが有利であり得る。おむつ、生理用ナプキン等の充填等の用途において、または砂袋内の砂材料に対する代替物として、処理材料の高い吸水性を利用することも可能である。この最後の用途に対する利点は、輸送時における充填された袋の重量低減である。それらは、十分に湿潤すると、従来の砂が充填された砂袋と同じ機能を果たすことができる。
【0033】
剥離剤でコーティングされたセルロースシートのいくつかの場合では、機械的粉砕ステップ(23)、(24)中にセルロースキャリアから十分な量の剥離剤を機械的に分離することができる。この場合、セルロースが豊富な画分を、剥離剤が豊富な画分から分離することができる。各画分を、従来のリサイクルプロセスで別個に処理することができ、またはさらなる処理のために他の材料源と組み合わせることができる。
【0034】
廃棄物を、たとえば粘着ラベル等の生産者、およびオフィスおよび管理責任者のようなエンドユーザから収集することができるが、それは、好ましくは大量の廃棄物としてのライナを発生させる業界から収集される。特に、廃棄物を、ライナ製造業者、自己粘着ラベル製造業者、ラベル印刷業者、自己粘着ラベルが施される商品の生産者等から収集することができる。これらは、大量に入手可能な「清浄な(clean)」廃棄物としての剥離コーティングキャリアの特に有利な供給源を表す。ライナ製造業者は、特定の製品バッチの不十分な品質に対してまたはロールの開始あるいは末端であっても、当然ながらいくつかの廃棄物を発生させる。自己粘着ラベル基材の製造業者は、剥離コーティング材料の大型の巻物を、対応するラベル基材の巻物と結合して、キャリア、剥離コーティング、接着剤およびラベル支持体を含む4層積層体を形成する。そして、このように製造された積層体は、ラベルの所望の幅まで細長く切断され、したがって、大量の廃棄物が発生する。製造業者と異なる場合、同じことがラベル印刷業者にも当てはまり、それは、彼らがラベルの最終切断を担当している可能性があるためである。最後に、自己粘着ラベルが施される商品の生産者は、自身の商品に自己粘着ラベルが施されるのと同等のライナ廃棄物を発生させる。このようにして発生する廃棄物としてのライナ材料の量は莫大である可能性があり、これらの業界には、通常、たとえば国際公開第2005110902号パンフレットに記載されているように、廃棄物としてのライナを収集する自動収集手段が備えられている。ほとんどの場合、このように収集された莫大な量の廃棄物としてのライナは、稠密で粗大な塊、通常巻物または積層体の形態である。
【0035】
図2(a)および図2(b)に示すように、収集された剥離コーティングシート廃棄物を、搬送ベルト等の供給手段(210)により供給ステーション(21)まで搬送することができる。収集された材料が、従来の乾式粉砕ラインにおいてそれ自体粉砕することができない、ライナの巻物または積層体等、稠密で粗大な塊(29a)の形態である場合、材料はまず、供給ステーション(21)から事前細断ステーション(22)に供給され、事前細断ステーション(22)は、シート材料の稠密な塊を、乾式の従来の粉砕ステーションで粉砕されるのに適しているよりサイズの小さいより疎なチャンクまたは一様でない塊(lump)に破断する。本発明の目的に適している事前細断ステーションを、例示の目的で、かつ決して限定されることなく、SSI Shredding Systems社のカタログに見ることができる(たとえばwww.ssiworld.com./watch/industrial_paper.htmおよびwww.ssiworld.com/watch/printers−waste.htmを参照)。この段階で、廃棄物のこのように事前細断されたチャンクは、サイズおよび質感が、新聞紙、雑誌、包装等を含む家庭用の廃棄物としてのシート材料のより従来の一般的な供給源に匹敵し、その後、他のこうした廃棄物源と混合され得る。他の破棄物源と混合されるかまたはされない剥離コーティング廃棄物を、混合し、金属クリップ、ステープル、セルロース廃棄物の場合はプラスチックシート等、すべての異物を除去することによって、一次粉砕に対して用意することができる。
【0036】
この段階で、材料を、乾式粉砕ステーション(23、24)において乾式細断し乾式粉砕して粒子状材料にすることができる。一次粗粉砕機(23)および二次細粉砕機(24)にグループ化することができるいくつかの粉砕機を使用することが好ましい場合が多い。いくつかの粉砕機(23a)、(23b)、(23c)のカスケードから構成することができる一次粉砕機(23)では、そのように用意された廃棄物は、小さい切片に、好ましくは5mm〜30mmの間、より好ましくは7mm〜20mmの間、最も好ましくは10mm〜15mmの間を含む平均長のストライプに乾式細断される。用途によっては、このサイズは十分に小さく、材料にはさらなる細粉砕ステップは不要である。一次粉砕ステーション(23)を、添加剤供給手段(28a)に接続して、難燃剤、疎水性材料、害虫忌避剤等の添加剤を添加することができる。一次粉砕ステーション(23)において、材料を他の廃棄物源と混合してもよい。このようにして得られたストライプに対して圧着プロセスを施して、比体積が高い絶縁材をもたらすことも可能である。しかしながら、多くの用途に対して、粒子のサイズを10mm未満にさらに低減することが必要である。
【0037】
これらの場合において、廃棄物のストライプを、二次粉砕ステーション(24)に移送することができる。一次粉砕ステーション(23)と同様に、二次乾式粉砕ステーション(24)を、いくつかの粉砕機(24a)、(24b)、(24c)のカスケードから構成することができる。二次粉砕ステーション(24)では、ストライプのサイズは、4mm未満、好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満の平均粒子サイズまで低減される。ここでまた、二次粉砕ステーション(24)を、添加剤を添加するために添加剤供給手段(28b)に接続してもよい。好適な一次粉砕ステーションおよび二次粉砕ステーションを、たとえば、国際公開第2005/028111号パンフレットおよびwww.scribd.com/full/27498804?access_key=key−2ed7qzqp8la1u1hgo86iに見ることができる。
【0038】
「乾式粉砕」、「乾式細断」という表現およびその派生語は、難燃剤および他の添加剤等、材料の上に限られた量の液体を噴霧することを排除しないが、従来の紙再パルプ化プロセスのように液体での処理材料の懸濁液を形成することは排除する。細断および加工中常に、処理材料は固体形態である。
【0039】
図2(a)に示すように、一次粉砕ステーション(23c)の最後から、または適用される場合は二次粉砕ステーション(24c)の最後から、粒子材料26(b)は、たとえば材料をシート、パネル、芯等に成形するため、かつ/または包装するために処理ステーション(26c)に移送される。処理ステーション(26c)を、添加剤供給手段(28c)に接続して、たとえば水、有機結合剤あるいは無機結合剤(たとえばセメント)、難燃剤、染料等を供給してもよい。処理ステーション(26c)は、たとえばパネルを形成するプレス機等、リサイクルされた粒子をあらゆる所望の形態に成形するあらゆる手段、材料を乾式粉砕した後に水が添加される場合、シートを形成するようにスラリーを脱水する手段、結合剤が使用される場合、対流、誘導またはIRオーブン、UVステーション等、硬化手段等を備えることができる。そして、リサイクル材料(10)を、搬送手段(211)によって取り除くことができ、それは、後述するように、乾燥粒子、シート、パネル、芯等として絶縁材として商品化の用意ができている。別法として、細かく粉砕された材料を、コンクリートの、セメント質混合物および他の建築材料における充填材として有利に使用することができる。
【0040】
このようにリサイクルされた材料(10)に対する別のあり得る用途は、ハイドロマルチ用途またはハイドロシード用途にあり、特に従来の紙で観察される乾燥クラスト形成および閉塞に関して、従来の紙による同様の用途に比較して改善された結果が得られる。
【0041】
細かく粉砕された剥離コーティング材料を、いくつかの野菜およびキノコを栽培するために使用される泥炭覆土の代りに覆土としてまたはそれを補完して使用することも可能である。結果は出ていないが、何らかの奨励をもって一般的な廃紙での研究がなされてきた(Sassineら、J.App.Sci.Res.,1,(3):277(2005)参照)。いくつかの予備試験が、Sassineの論文で述べられている問題のいくつかを、セルロースの調湿(moisture buffering)効果に影響を与えることなく適切な疎水性をもたらす剥離剤の存在により、本発明から製造される材料(10)を用いて解決することができることを示唆している。こうした最終用途に対し、処理ステーション(26c)は、コンポスト化手段を含むことができ、添加剤供給手段(28c)は、窒素源および場合によっては疎水性材料源を含むことができる。コンポスト化および窒化は、好ましくは、破線(26b)によって示すように、粉砕ラインからオフラインで行われる。本発明の方法によって製造される材料を、土への添加剤として使用して前記土および土壌における水収支および水流を促進することにより、その有利な挙動の利益を得ることも可能である。
【0042】
処理された材料は、比較的高い熱容量を示し、徐々に環境に放出するエネルギーを蓄積する。この特性は、キノコで得られる優れた結果を部分的に説明することができる。コンポスト層は、発酵堆肥、麦わらおよび何らかの異なる添加剤を含む層であり、キノコの生育に対して栄養ストックとして作用する。このコンポスト層は、キノコが生育を開始する覆土によって覆われている。このシステムの現行の問題は、プロセスの最初の数日におけるコンポストの温度の初期上昇である。これにより、菌糸体の成長が早すぎかつ制御されなくなる。この問題を解決する従来の方法は、室内の雰囲気全体を冷却するというものである。多くのエネルギーがかかることに加えて、冷却の悪影響は、生育サイクル全体が数日遅れるということである。近年、コンポスト層のみを冷却し部屋の雰囲気全体をそれ以上冷却しない技法が開発されている。これには、キノコ菌床に冷却管を組み込む必要があり、これは投資に関して費用がかかる作業である。本材料の比較的高い比熱により、最初の数日におけるコンポストの温度上昇を低下させることができ、それが冷却システムの使用に置き換わる。生育の最初の数日の間に本材料によって蓄積される熱エネルギーは、続く数日にシステムに放出され、それにより、キノコの生育が促進される。コンポストに添加されるセルロース繊維のさらなる利点は、含水量の増大であり、それにより、キノコの生育に対して栄養がより容易に入手可能になる。
【0043】
経時的に徐々に放出する熱エネルギーを吸収する、蓄熱体として作用する本材料の特性を、有利に、加熱ピローおよび皮膚にあてがわれる湿布で使用することができ、または包装に収容された商品を受動的に絶縁するだけでなく、それを実際に能動的に加熱するように使用することができる。
【0044】
場合によっては、剥離コーティングの実質的な画分が、一次粉砕段(23)または二次粉砕段(24)の間にキャリアから機械的に剥離する可能性がある。これは、特に、乾式粉砕段の間に発生する可能性があり、乾式粉砕段は、キャリアと剥離コーティングとの間の接触面の近くにかつそれに対して平行に、キャリア材料に凝集破壊を誘発する可能性がある、強度のせん断応力を発生させる。この現象は特に幾分か低密度のセルロースキャリア材料で観察され、その場合、それほど密に詰まっていないセルロース繊維の間の水素結合が、剥離剤とセルロースキャリアとの間の界面結合より弱い。凝集破壊は、熱可塑性キャリアでは発生する可能性が低いが、それにも関らず、特にポリオレフィン等、低表面エネルギー熱可塑性キャリアが使用される場合、いくつかの特定の材料の組合せで剥離コーティングの幾分かの剥離が観察された。しかしながら、この場合、破壊はより接触面に位置していた。破壊の特質に関らず、剥離剤の実質的な画分がキャリア材料から分離した場合、図2(b)に示すように、分離ステーション(25)において2つの画分、すなわちキャリアが豊富な画分(26)および剥離剤が豊富な画分(27)に実際に分離するというこの剥離の利益は興味深い可能性がある。分離ステーションは、たとえばサイクロン、浮遊ステーション、フィルタ、および超音波分離手段または静電分離手段、ならびにそれらの組合せ等、物理的特性および化学的特性が異なる2つの物体を分離するあらゆる既知の手段を含むことができる。
【0045】
剥離剤が豊富な画分(27)を、処理ステーション(27a)において、コンクリートのセメント質混合物およびコーティングにおける充填剤または結合剤としての使用に適しているようにさらに処理することができる。別法として、剥離剤が豊富な画分(27)を、新聞紙、雑誌、包装材等の剥離コーティングされたもの以外の廃紙に基づいて、セルロース絶縁材の流れに加えることにより、その特性を向上させることができる。
【0046】
キャリアが豊富な画分(26)を、処理ステーション(26a)でさらに処理して、図2(a)においてステーション(26c)に関して上述したように、より正確に制御された組成の絶縁材を製造するか、または別法として、セルロースキャリアの場合に当該技術分野において周知である方法により再生紙を製造することができる。そして、リサイクル製品(10a)を搬送手段(211)によって取り除くことができる。特に、セルロースが豊富な画分を含む再生紙の製造に関する場合、処理ステーション(26a)、(27a)における両画分のさらなる処理を、必ずしも同じ製造装置において連続的に行う必要はなく、破線(26)、(27)に示すように、別の施設で行ってもよい。
【0047】
図3に概略的に示すように、処理された材料を、異なる形態および異なる方法で表面に施される絶縁材(10)として使用することができる。図3(a)に示すように、絶縁材(10)を、2つのパネルまたは壁によって形成された空洞(13)または何らかの保持器(14)内に、ガン(20)により乾燥形態で吹き込むことができる。古い家屋では、材料を、壁の外側パネルの最上部に空けられた孔から噴霧することができる。絶縁材(10)を、適切な濃度に達するまで噴霧しなければならない。この形態で施すことにより、沈降が観察され、それは、最新技術によるセルロース絶縁材で20%ほどに達する可能性がある。通常、初期濃度が高いほど発生する沈降の程度が低くなることが観察される。沈降のレベルは、本発明の絶縁材によりはるかに低減し、それは、シリコーンが、幾分か、構造を安定化する疎な結合剤のように作用するためである。材料の沈降の後、望ましい場合は正面パネルを引き抜くことができ、それは、その圧縮の程度に応じて、材料が適所に残るためである。乾式吹込みによる絶縁材(10)の付与には、特に挿入物または複雑な領域の周囲の空隙を最小限にするという利点がある。しかしながら、濃度、沈降およびパネルに加えられる圧力の制御をすべて注意深く制御しなければならないため、絶縁材を乾燥噴霧するために経験のある取付作業員を呼ぶことが推奨される。
【0048】
粒子形態の絶縁材(10)を、ガン(20)により、壁(14)またはさらには水平天井に対して、水のような流体と混合することによって適所に噴霧することも可能である。材料は、乾燥すると、水等の流体によってもたらされるセルロースヒドロキシ基の間の水素結合により適所に残る。場合によっては、特に、排他的ではないが、キャリア(2)が熱可塑性材料である場合、このタイプの付与では結合剤の使用が必要である可能性がある。この湿式噴霧の技法を、図3(b)に概略的に示し、それには、乾式噴霧に比較して、充填するために空洞(13)が不要であり、付与時に発生する塵埃が実質的に少なくなり、かつ沈降がはるかに少ないという利点がある。この技法では空隙が最小限になり、したがって、材料の絶縁特性が向上する。この場合もまた、経験のある取付作業員を呼ぶことが非常に推奨される。
【0049】
絶縁材(10)を噴霧のために粒子形態で供給する代わりに、芯、シート、マット、タイルまたはさらには煉瓦等の予備成形品(10A)として供給することができる。この場合もまた、必須ではないが結合剤の使用が必要な場合があり、それは、セルロース材料では、湿式プロセスにより予備成形品の十分な完全性を得ることができるためである。結合剤が使用される場合、それは、接着剤または樹脂のような有機結合剤であるか、またはセメント、石膏等のような無機結合剤であり得る。砂、タルク等のような充填剤を使用してもよい。別法として、予備成形品(10A)は、絶縁材(10)からなる中心コアを保持する2つのスキンを有するサンドウィッチ構造を有していてもよい。場合によっては、単一スキンで十分であり得る。スキンの役割は、予備成形品(10A)の機械的完全性に限定されず、それは、有利には、湿気、ガス、放射線等に対するバリアとして作用することができ、したがって、結合剤も使用される場合、有用であり得る。
【0050】
図3(c)に示すように、その後、こうした予備成形品を、当該技術分野において周知である手段により、単純に壁に付与し固定することができる。この解決法には、非常に単純でありかつその実施に対して特別な専門知識が不要であるという利点があり、またこの解決法は、現場で実質的に塵埃を発生しない。一方、噴霧技法では、空隙は回避することがより困難である。
【0051】
図3は、建築物の絶縁における用途の実施形態を示す。本発明の絶縁材を、自動車業界においてたとえばDE20200550114581号明細書および米国特許出願公開第2002025421号明細書に開示するような用途で、かつ航空機業界において独国特許第433157号明細書に開示するような用途で、輸送業界等の他の分野で使用することができる。それはまた、道路に沿った音響減衰壁にも使用することができる。他の用途を、キルティングされた衣類およびブランケット用またはさらには室内装飾材料およびマットレス用の充填材として、織物業界に見ることができる。
【0052】
セルロース絶縁材が、たとえばガラス繊維またはロックウール絶縁材より「内包エネルギー」が低い場合、本発明の絶縁材は、以下の理由で、最も従来一般的なセルロース絶縁材より内方エネルギーがさらに低い。従来一般的なセルロース材料は、一般に、絶縁材に再加工される前にインクおよび揮発性成分を除去するためのさらなる処理が必要である可能性がある、新聞紙、印刷物、包装紙等を含むさまざまな出所の再生紙から作製される。このさらなる処理には通常、化学物質による熱処理が含まれ、それは、工業的エンドユーザから収集された廃棄物としてのライナでは、材料が均質でありいかなる印刷物も全くないため必要ではない。本発明の絶縁材の別の利点は、市場における最も従来一般的なセルロース絶縁材に対して、包装の体積を低減することができるということである。粒子状セルロース絶縁材は、概して、その乾燥噴霧時に所望の密度までふくらむ(fluff)圧縮材料の能力によって制限される圧縮度により、10kg〜15kg包装で供給される。概して、包装された材料の圧縮度は、乾燥して付与される時の適所における絶縁材の所望の密度の約2倍であり、すなわち、体積Vの1つの包装の場合、およそ2×Vの容積の空洞を充填することができる。本発明による絶縁材を、材料が3または4の圧縮度で(すなわち、およそ1/2Vの体積まで低減して)包装されている場合であっても所望の密度まで乾燥噴霧することができることが分かった。いかなる理論にも束縛されることなく、これは、セルロースライナがバージン材から製造されており、セルロース繊維がリサイクルされた新聞紙等の繊維より長くかつ堅いという事実によって説明されると考えられる。このため、使用済みライナを粉砕することによって得られる粒子状材料は、最も従来一般的なセルロース絶縁材よりばね力が高く、それにより、包装における少なくとも400%までの圧縮の後、高度なふくらみ(fluffiness)を回復することができる。当然ながら、製品の保管および配送のために、より高い圧縮度が非常に有利である。これらの2つの利点、すなわち、熱的および化学的脱インク段階が不要であることと、包装された材料の圧縮度が高くなることとにより、材料を製造するために必要なエネルギーおよびそれを配達するためのエネルギーの両方において、本発明の絶縁材料の内包エネルギーが実質的に低下する。
【0053】
問題となる剥離コーティングシートキャリアに対して安価かつ容易なリサイクル選択肢を提供するだけでなく、本発明の方法で得られる絶縁材は、キャリアから剥離コーティングを分離しなくても、従来技術の他の同様の材料に対して有利であり、それは、シリコーン等の一般に架橋された剥離剤の存在により、粒子状材料に粘着力が与えられ、それは、別個の結合剤の添加なしには従来技術の材料では見ることができない。この粘着力は、噴霧時に実質的に塵埃の量を低減し、特に、材料の沈降のレベルを実質的に低減し、経時的に安定し絶縁壁の高さを通して均質な絶縁層をもたらすため、乾式噴霧による付与(図3(a)参照)において有利である。湿式噴霧による付与(図3(b)参照)では、剥離剤により、噴霧された層のより高い機械的完全性が達成される。芯、シート等の予備成形品(10A)の製造の場合(図3(c)参照)、自己支持型予備成形品をもたらすために結合剤はより少なくてよいかまたは不要である。すべての場合において、絶縁材のバルク内に分散しているシリコーン粒子の存在により、ある程度の撥水性が与えられ、それは、材料を湿気から保護することに寄与する。さらに、従来一般的な絶縁材は、異なる出所(埋立てごみ)および未知の特質(新聞紙、包装等)の再生紙から作製される。この理由で、かつ上述したあらゆる熱処理にも関らず、こうした絶縁材は、依然として、室内空気汚染の原因となる望ましくない量のVOC(揮発性有機成分)を含む可能性があり、かつアレルギーの発症の原因である場合がある(たとえばhttp://www.healtyhouseinstitute.com/a_688−Cellulose_Insulation参照)。本発明により、難燃剤を除いていかなるVOCも実質的にない絶縁材を得ることができる。特に、会社から直接大量の剥離コーティングシート材料を回収することができるため、今まで決して可能ではなかった、リサイクルされる廃棄物の品質に対する制御が可能であり、そのため、VOCのない絶縁材の「特に品質の優れたバージョン」を提供することができる。場合によっては、廃棄物としての剥離コーティングシート材料からの再生紙の製造に対する非常に有効な解決法も提供される。
【0054】
建築物、輸送および充填家具の分野におけるように、難燃剤の使用を必要とする用途では、ホウ酸等の難燃剤の添加が必要な場合がある。このステップにより、以下の理由で、実質的に、こうした材料の全体的な製造および使用コストが増大する。材料を包装し出荷する前に、材料処理装置に、計量手段を備えた追加の難燃剤投与ステーションを設けなければならない。この追加の投資を、作業者が使用するかなり広い領域にわたって分配される材料を中央で製造する高容量製造ラインによって、容易に負担することができる。しかしながら、材料が細かく粉砕されるほど、包装体積が大きくなり、直接の結果として輸送のコストも増大する。この理由で、収集された材料を中央製造ラインで、5mm〜30mmの間を含む平均長までストライプに細断し、それらを圧縮して包装し、ストライプをそれらの最終サイズまで粉砕することができる、エンドユーザにまたは地方の販売業者に出荷することがより費用効率がより高いように見える。限られた体積の細かいストライプを細かく粉砕する小規模粉砕装置は、安価であり現場で容易に搬送することができる。しかしながら、これは、難燃剤を添加しなければならない場合には不可能となる。難燃剤を、細断された細かいストライプに対して中央で添加することができるが、難燃剤に晒される材料の表面の方が小さいため、粒子のサイズが小さい場合より、ストライプを処理するために必要な難燃剤の量が多くなることが明らかである。
【0055】
この理由で、ライナ生産者(100)は、難燃剤とともにそれらのライナを処理して、難燃ライナ(FR−ライナ(101b)(図4参照))をもたらすことが提案された。所与の量のライナ材料を処理するための難燃剤の量は、ライナ廃棄物の収集の後のいかなる段階で付与される場合よりも、材料のライフサイクルの上流においてライナ生産者によってパルプに直接付与される場合の方が少ない。さらに、難燃剤は、セルロース繊維のレベルでより均質に分散するため、同じ量の難燃剤で、製紙業者によってより高い耐火クラスに達成することができる可能性がある。これらのFR−ライナは、火炎処理されていないライナに付与されたラベルの返金不可能な価格+ライナをリサイクルするための返金可能なリサイクル預託金を含む、全体的により高いコストに対し、火炎処理されたライナに付与されたラベルをエンドユーザ(103b)に販売する印刷業者(102b)に対して、より高いコストで販売される。ラベル(107)の使用後、上述したように廃棄物としてのFR−ライナが収集され、難燃剤および運送にコストを削減することができるリサイクル業者により、リサイクル預託金がエンドユーザに返金される。材料を、いかなる追加の難燃剤も添加する必要なしに、建築業界、輸送業界、家具業界または衣料業界(108)において絶縁材として使用される前に、所望の粒子サイズまで乾式粉砕するだけでよい。
【0056】
リサイクル預託金が、正確に、リサイクルプロセス中に火炎処理ステップがないことによって削減されたコストになった場合であっても、この操作は、必要な難燃剤がより少なく、同じ重量の材料を運送するために必要な大型トラックも少なく、体積も低減するため、環境に有益であり、外見上ライナのすべてがリサイクルされることが保証される。この手法は、完全に製造されたライナのライフサイクルの上流において、ライナ製造業者の関与において一意であり、家具または衣類における絶縁材または充填材としてのライナの第2の使用を見込んでいる。それはまた、細かい粉砕および噴霧を、噴霧ガンに結合された小型の搬送可能な粉砕機により、同じ作業者によって現場で操作することができ、そのため材料のコストを実質的に低減するという点で、絶縁材の噴霧方法に対する新たな手法もまた提供する。
【0057】
火炎処理されていないライナ(101a)の場合、図5に示すような同じステップ(102a〜106a)が、リサイクル預託金の分のコストが低減することを除き、火炎処理されたライナと同様に適用される。リサイクル処理段階において、難燃剤を、その存在が必要な用途(108)に対して添加し、野菜生育用途等、難燃剤が不要な用途(109)には添加しなくてもよい。
【0058】
本発明による絶縁材は、一方で、本来リサイクルすることが非常に困難であるライナ等の大量の剥離コーティングシート材料をリサイクルする解決法を提供するため、他方で、この材料の特性、特に経時的な体積安定性が、他のシート材料源から得られる、市場の大部分の既存の同等の製品より優れているため、特に有利である。
【0059】
本発明の絶縁材(10)は、上述したように、火炎、湿気、および昆虫、虫、齧歯動物等の害虫に対する耐性を制御するように添加剤が混入された、リサイクルされた剥離コーティングシート材料の細断され粉砕された粒子を含む。たとえば、ホウ酸またはそのあらゆる塩が、もっとも一般的に使用される難燃剤でありかつ特に有利であり、それは、それが、火炎に対して必要な耐性を提供するだけでなく、湿気、カビおよび微生物に対する耐性も提供し、種々の種類の害虫に対する忌避剤として作用するためである。使用することができるホウ酸の塩は、たとえば、ホウ砂五水和物(borax penthahydrate)およびホウ砂十水和物(borax decahydrate)等の種々のレベルの水和のホウ砂である。ホウ酸およびその塩を、1wt%〜50wt%の間、好ましくは10wt%〜45wt%の間、より好ましくは25wt%〜40wt%の間を含む量で施してもよい。それを、乾燥粉末としてリサイクル材料に添加することができるが、通常、それは、水と混合されリサイクル材料に湿式噴霧される。しかしながら、ホウ酸またはその塩の代りにまたはそれに加えて、たとえば米国特許第4182681号明細書に開示されているように、モノアンモニウムまたはジアンモニウム硫酸塩、アルミニウム硫酸塩、ソーダ灰、無水シリカゲル、ジアンモニウム燐酸塩、四ホウ酸ナトリウム、硫黄第一鉄、硫酸亜鉛およびそれらの混合物等、他の難燃剤を使用してもよい。
【0060】
そして、リサイクル材料および添加剤(たとえば難燃剤)の混合物を、それ自体、乾式で、または非水平壁(図3(a)および図3(b)参照)への粘着を向上させるように幾分かの水を添加して、噴霧するように使用することができ、または別法として、任意選択的に結合剤を混入して押圧することによりシート、芯等内に形成し、かつ/または2つのシートの間に挟装させることができる。
【0061】
当然ながら、当業者が既知であるように、他の添加剤または充填剤を添加することができる。
【実施例】
【0062】
実験試験
剥離コーティングシート材料を処理することによって得られる絶縁材の優れた特性のいくつかを論証するために、以下の試験を行った。
【0063】
(a)閉塞試験
絶縁材料を適所に噴霧する時に、ホース内の材料の閉塞が主な問題である。これは特に、たとえばより狭い空洞へのアクセスを可能にするために、管径が縮小される場合に影響を受けやすい。この場合、たとえばhttp://www.x−floc.com/en/zubehoer/schlaueche−zub.html.に見ることができるように、管縮小コネクタを使用して、径の異なる2つのホースが接続される。閉塞は、噴霧が中断した後に再開した時、こうした縮小コネクタにおいて発生することが多い。閉塞は回避されるべきであり、それは、作業者が噴霧を停止し、ホースを切断し、それらを洗浄し、その後再度接続して噴霧を再開するのに時間がかかるためだけでなく、空洞に絶縁材で均質な密度で充填することが、材料の噴霧が連続的である場合の方がよりよく達成され、いくつかの噴霧ショットで行われる場合は達成することが非常に困難となるためである。
【0064】
本発明による絶縁材の流動特性を評価するために、2つの15mの長いホースを、2つのホースの直径に対応して、入口径が65mmであり出口径が40mmである縮小コネクタで接続した。そして、ホースシステムを、吹込み機(X−FlocのZellofant M95)に連結した。
【0065】
行った試験は、空洞充填の最後に、作業者が、沈降を防止するために最後に材料の追加のショットを与える噴霧状況をシミュレートするように意図している。その時点で、ホース内では圧力が上昇し続け、一方で、いかなる材料もそれ以上ほとんど流出しておらず、ホース内で材料密度が増大する。20秒後、作業者は、最後に機械のスイッチを切り、ホースを別の空の空洞内に挿入する。その時点で、2つのホース間の接続部分における流れは非常に重要であり、流量が十分に高くない場合、閉塞が発生する。
【0066】
以下の2つの材料を試験した。
・発明:本発明によって粉砕されたシリコーンでコーティングされた紙の剥離ライナ。
・比較:ベルギー市場で入手可能な主なセルロースブランドのうちの1つ。
【0067】
試験を、1000mm×500mm×200mmの寸法の第1空洞を充填し、空洞の充填後に20秒間吹込みを継続して、ホース内の圧力を上昇させ、ポンプのスイッチを切ることによって、各材料に対し5回行った。30秒後、ポンプを再び作動させ、ホースを新たな空の空洞内に投入した。
【0068】
再び開始した時、比較セルロース材料は、5回のうち4回閉塞し、縮小コネクタの手動による閉塞の除去が必要であったが、本発明によるシリコーンコーティングセルロース材料は、試験の5回の繰返しすべてにおいて即座に再度流れを開始した。
【0069】
(b)沈降試験
セルロース材料を空洞内に吹き込むために、特に均質な濃度に達することに関して、相当の何らかの専門知識が必要である。材料における吹込みに使用される正しい方法は、ホースを空洞内に挿入し、絶縁材の層を吹込みかつ蓄積している間に、空洞が完全に充填されるまでホースを徐々に引き上げるというものである。適切に行われた場合、沈降に耐性がありかつ経時的にその体積を維持する絶縁塊が得られる。
【0070】
ISO/CD18393方法Bに従って沈降特性を試験するために、上記点(a)で説明したものと同じ絶縁材を使用し、上記点(a)で説明したように空洞を充填する絶縁材に対して、それを衝撃台の上に数回落とすことによって衝撃励振を与える。
【0071】
比較材料および本発明のセルロース絶縁材において専門家が使用する正しい方法で60kg/mを超える濃度で吹込みを行う場合、両材料が著しい沈降なしに高い安定性を示したため、沈降挙動に違いは観察されなかった。
【0072】
しかしながら、充填されるべき空洞が、アクセスが困難であるかまたは非常に複雑である典型的な状況において、またはより多くの場合、未熟な日曜大工をする人によって絶縁作業が行われる場合に発生する可能性がある、ホースが固定されている最上部から絶縁材料が吹き込まれる(そのためホースを徐々に引き離すことがない)場合に、相違が観察された。
【0073】
このように吹き込まれた比較セルロース絶縁材料が、1000mm高さの空洞の最上部に現れた2cm〜6cmの絶縁材料のないフリンジとして数パーセントの沈降を示した、いくつかの状況がシミュレートされた。しかしながら、同様に処理された本発明の材料は、いかなる沈降もまったく示さなかった。
【0074】
上述した観察により、本発明のセルロース絶縁材料の加工可能性が、比較セルロース材料の加工可能性より優れていることが示され、それは、本発明のセルロース絶縁材料が、それが空洞内に吹き込まれる方法に関らず沈降に対して安定性を維持し、一方で、比較材料は、空洞の形状のためにか、または素人のDIY作業者によって行われるために、達成することが常に可能であるとは限らない、極めて熟練したやり方(modus operandi)に非常に注意深く従うことによって吹き込まなければならない。最適な最終結果を得るために本発明の材料を使用するために必要な技能は、従来のセルロース材料を処理するために必要な技能より低いという言うことができ、それは、前者を、未熟なDIY作業者が施すことができるか、または専門家がより迅速に施すことができることを意味する。
【0075】
これら2つの実施例は、従来の絶縁材に対する本発明による絶縁材の2つの主な利点を示す。材料の分散中の閉塞が実質的に低減する結果となる材料の向上した流動性は、流れ中の粒子間の摩擦を低減する剥離コーティングの存在に明らかに起因する。吹込み方法に関らず吹き込まれる材料の寸法安定性もまた、少なくとも部分的に、剥離コーティングの存在に起因することができる。
【0076】
したがって、本発明は、特にリサイクルすることが困難である剥離コーティングライナのリサイクルに対する経済的かつ生態学的に実現可能な解決法を提供するだけでなく、市場で入手可能な従来の絶縁材に対して改善された特性を有する別の絶縁材も提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を処理する方法において、
(a)生産者およびそのエンドユーザから剥離コーティングセルロースまたはポリマーシート材料を収集するステップと、
(b)前記収集した材料を、混合し、金属等のような異物を分離し、それを乾式粉砕ステーション(23)、(24)に送ることによって用意するステップと、
(c)1つまたはいくつかの乾式粉砕ステーション(23)、(24)において、前記材料を小さい切片に、好ましくは、5mm〜30mmの間、より好ましくは7mm〜20mmの間、最も好ましくは10mm〜15mmの間を含む平均長のストライプに乾式細断および乾式粉砕し、任意選択的に、平均サイズが4mm未満、好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満のより小さい粒子に細かく粉砕するステップと、
(d)任意選択的に、難燃剤、疎水性材料、農薬、着色料およびそれらの混合物から選択される添加剤を添加し、それらを前記リサイクルされた材料と混合するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記剥離コーティングセルロースまたはポリマーシート材料が、生産者およびそのエンドユーザから、ステップ(b)に備えてより小さくより低密度の塊に事前細断される、巻物および積層体等の稠密で粗大な塊の形態で収集され、好ましくは、前記収集された材料が、ホウ酸またはその何らかの塩等の難燃剤をすでに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記1回または複数回の乾式粉砕操作により、いかなる化学的処理もなしに、前記シートキャリアから前記剥離コーティングの実質的な画分の分離が可能であり、入ってくる流れを第1のキャリアが豊富な画分(26)と第2の剥離剤が豊富な画分(27)とに分離する分離ステーション(25)において、2つの画分が分離されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法において、いずれかの段階において、前記収集されるかまたは処理された材料が、他の出所からのセルロースまたはポリマーシート廃棄物と、またはたとえば請求項3に記載の方法によって得られ得る前記剥離剤が豊富な画分(27)からの剥離剤と混合されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法において、前記第2の剥離剤が豊富な画分(27)が、最終的な材料の剥離剤の含有量を制御するために、他の出所からの粉砕されたセルロースまたはポリマーシート廃棄物と混合されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項3または4に記載の方法において、前記キャリアが本質的にセルロースを含み、前記セルロースが豊富な画分(26)が、シート状の紙を形成するように湿式成形ステーション(26a)においてさらに処理されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法において、前記収集された材料が所与の用途に対して十分な量の難燃剤を含まない場合に、難燃剤、好ましくはホウ酸またはその何らかの塩が、前記粉砕ステップ(c)の前に、間にまたは後に前記リサイクル材料に添加されかつそれと混合されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法において、前記剥離コーティングセルロースまたはポリマーシートが、自己粘着ラベルまたはフィルムを保持するライナから構成され、前記生産者および前記エンドユーザが、自己粘着ラベル系材料の製造業者、ライナ製造業者、ラベル印刷業者、自己粘着ラベルが施される商品の生産者のうちの1つまたはいくつかから選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法において、前記剥離剤が、シリコーン、パラフィン、ポリウレタン、フッ素化材料またはアクリル系材料のうちの1つであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法から得られるリサイクル材料の使用において、
(a)以下のうちのいずれかを断熱かつ/または防音するため、すなわち
・建造物の分野における壁、パネルまたは天井、
・輸送の分野におけるパネル、
・道路、線路、競技場または何らかの騒音のある屋外環境に沿った音響減衰壁、
・衣類またはブランケットあるいは充填するためのキルティングされた切片
・マットレスあるいは室内装飾材料、
・商品の包装および保管ならびに輸送の分野における包装、
(b)いくつかの野菜、キノコまたは植物を栽培するために使用される覆土または生育培地として、または土壌あるいは土における水収支および水流を向上させるための土への添加剤として、
(c)ハイドロシードおよびハイドロマルチの用途、または
(d)ホットピローあるいは皮膚にあてがわれる温湿布、商品および食品の保管用の蓄熱体、キノコ、野菜および植物の培養のための放熱体および蓄熱体等の用途における蓄熱手段として、
(e)おむつ、生理用ナプキン、砂袋等の用途における吸水媒体として
のいずれかの使用。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法によって得られ得る、乾式細断されたリサイクル材料、難燃剤および任意選択的に他の成分を含むことを特徴とする絶縁材。
【請求項12】
請求項11に記載の絶縁材において、
(a)前記セルロースシート材料が紙、好ましくは、グラシン紙またはクラフト紙であり、
(b)前記ポリマーシート材料が、好ましくはPE、PPまたはPETから選択される熱可塑性フィルムであり、
前記紙または熱可塑性シート材料が、好ましくは、粘着ラベル、テープまたはフィルム用のライナであり、好ましくは剥離剤としてのシリコーンによってコーティングされていることを特徴とする絶縁材。
【請求項13】
請求項11または12に記載の絶縁材において、表面上のばら詰め絶縁材として空洞内に乾式に、または表面に対して湿式に吹き込むのに適した形態であることを特徴とする絶縁材。
【請求項14】
請求項11または12に記載の絶縁材において、芯またはシートの形態であることを特徴とする絶縁材。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−521154(P2013−521154A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555401(P2012−555401)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053028
【国際公開番号】WO2011/107476
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512222208)
【氏名又は名称原語表記】RECULINER BVBA
【Fターム(参考)】