説明

剥離用治具

【課題】熱伝導補助材によって膠着状態にある冷却機構と被冷却部との密着を容易に剥離できるようにする。
【解決手段】パワー素子(33)が接続された伝熱板(50)と冷媒によって伝熱板(50)を冷却する冷媒ジャケット(20)との間に介在する熱伝導補助材(例えば熱伝導性グリス)を加熱するためのヒーター(121b)を設ける。また、冷媒ジャケット(20)を把持するジャケット把持部(120)を設ける。そして、ジャケット把持部(120)に所定の剥離力を加えて、伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)との密着を剥離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置における修理や点検などに使用する治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う空気調和機では、圧縮機の電動機の運転状態を制御するために、インバータ回路などの電気回路が搭載される。一般的にこのインバータ回路には高熱を生ずるパワー素子が用いられ、従来の空気調和機ではこのパワー素子が動作可能な温度よりも高温にならないように、パワー素子を冷却する冷却機構が設けられている。このような冷却機構の一例としては、冷凍サイクルに用いる冷媒によってパワー素子を冷却するようにしたものがある(例えば特許文献1を参照)。特許文献1の空気調和機では、冷凍サイクルに用いる冷媒が流れる冷媒通路をヒートシンクに設け(冷媒通路が設けられたヒートシンクを以下では冷媒ジャケットと呼ぶ)、この冷媒ジャケットにパワー素子(同文献ではジャイアント・トランジスタ)を固定するとともに、冷媒ジャケットを電装品箱に収めている。
【特許文献1】特開昭62-69066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記冷媒ジャケット(冷却機構)は、パワー素子(被冷却部)との当接面に、これらの部材間の熱伝導を補助する熱伝導補助材が介在させられることが多い。このような熱伝導補助材の一例としては熱伝導性グリスを挙げることができる。この熱伝導性グリスはある温度(例えば室温)以下では固化した状態になる。そのため、修理時や点検時などには熱伝導性グリスが固化している場合があり、このように熱伝導性グリスが固化した状態では、冷却機構と被冷却部が膠着状態となっている可能性がある。そして、膠着状態にある冷却機構と被冷却部との剥離には大きな力が必要になり、電位回路を冷凍装置から取り出して行う修理や点検が困難になる。
【0004】
また、前記の熱伝導性グリスの他にも、前記冷却機構と前記被冷却部との間には、前記熱伝導補助材として、熱伝導性両面粘着テープ、熱伝導性シート、或いは熱伝導性接着剤などが用いられることがある。例えば、熱伝導性両面粘着テープはその両面に粘着材が塗布されているので、冷却機構と被冷却部との剥離にはやはり大きな力が必要になる。
【0005】
熱伝導性シートは、短期間の使用の後であれば冷却機構と被冷却部とを容易に剥離できると考えられる。しかし、長期にわたり冷凍装置を使用するうちには冷却機構と被冷却部とが膠着状態になる可能性があり、この場合には両者の剥離に大きな力が必要になる。そして、この熱伝導性シートのなかには片面に粘着性を有するものもあり、この場合はさらに大きな力を要すると考えられる。
【0006】
また、熱伝導性接着剤は、本来は剥離の必要がない部分に用いられるが、接着性が弱い熱伝導性接着剤が、冷却機構と被冷却部のように修理時等に剥離を要する部分に採用される場合がある。この場合、接着性が弱いとはいえ、冷却機構と被冷却部との剥離にはやはり大きな力が必要になる場合がある。
【0007】
本発明は上記の問題に着目してなされたものであり、熱伝導補助材によって膠着状態にある冷却機構と被冷却部との密着を容易に剥離できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、第1の発明は、
冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路と、電装部品(33)を被冷却体として含む被冷却部(33,50)と、2つの部材間の熱伝導を補助する熱伝導補助材と、前記被冷却部(33,50)に対して前記熱伝導補助材を介して密着させられるとともに前記冷媒によって前記被冷却体を冷却する冷却機構(20)とを備えた冷凍装置における、前記被冷却部(33,50)と前記冷却機構(20)との密着を互いに剥離する剥離用治具であって、
前記熱伝導補助材を加熱するための加熱部(121b)と、
前記冷却機構(20)を把持する把持部(120)と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
これにより、加熱部(121b)が熱伝導補助材を加熱して、該熱伝導補助材がその熱によって軟化させられる。熱伝導補助材が軟化させられると、被冷却部(33,50)と冷却機構(20)とを互いに膠着させる力(膠着力)が小さくなる。そして、膠着力が小さくなった状態で、把持部(120)によって冷却機構(20)を把持して所定の力を加えれば、被冷却部(33,50)と冷却機構(20)との密着が互いに剥離される。
【0010】
また、第2の発明は、
第1の発明の剥離用治具において、
前記被冷却部(33,50)は、前記電装部品(33)と前記冷却機構(20)との熱交換を媒介する伝熱板(50)を備え、該伝熱板(50)が前記冷却機構(20)に対して前記熱伝導補助材を介して密着させられていることを特徴とする。
【0011】
これにより、伝熱板(50)と冷却機構(20)との間の熱伝導補助材が加熱部(121b)によって加熱される。
【0012】
また、第3の発明は、
第1又は第2の発明の剥離用治具において、
さらに、前記被冷却部(33,50)と前記冷却機構(20)との密着を互いに剥離する際に該被冷却部(33,50)に当接して該被冷却部(33,50)を固定する固定部(211)を備えていることを特徴とする。
【0013】
これにより、剥離用治具の固定部(211)によって被冷却部(33,50)が固定されるので、把持部(120)に対してより大きな力を加えることが可能になる。
【0014】
また、第4の発明は、
第3の発明の剥離用治具において、
さらに、前記把持部(120)に当接することによって、該被冷却部(33,50)から前記冷却機構(20)を引き離す方向の該把持部(120)の変位を規制する変位規制手段(212)を備えていることを特徴とする。
【0015】
これにより、剥離作業時における把持部(120)の変位を変位規制手段(212)が規制するので、剥離時の冷却機構(20)の変位を所定範囲内に規制できる。
【0016】
また、第5の発明は、
第1から第4の発明のうちの何れか1つの剥離用治具において、
前記把持部(120)は、前記冷却機構(20)に形成された凹部(20b)で係合、又は前記冷却機構(20)における前記被冷却部(33,50)への対向面で係合する突部(123a)を備えていることを特徴とする。
【0017】
これにより、把持部(120)に形成された突部(123a)が冷却機構(20)に係合する。そして、突部(123a)を介して、被冷却部(33,50)と冷却機構(20)とを互いに引き離す方向(剥離方向)の力(剥離力)が冷却機構(20)に加えられる。
【0018】
また、第6の発明は、
第5の発明の剥離用治具において、
前記突部(123a)は、前記冷却機構(20)との係合位置と係合を解除する位置とに開閉することを特徴とする。
【0019】
これにより、剥離作業時には、係合を解除する位置に突部(123a)を移動させてから該突部(123a)を冷却機構(20)の係合部位の近傍に持って行く。次に、突部(123a)を係合位置に移動させると、突部(123a)が冷却機構(20)に係合される。
【0020】
また、第7の発明は、
第6の発明の剥離用治具において、
前記把持部(120)は、前記係合位置に向かって前記突部(123a)を付勢する付勢手段(123c)を備えていることを特徴とする。
【0021】
これにより、突部(123a)が係合を解除する位置にある場合に、該突部(123a)は付勢手段(123c)によって係合位置に向かって移動させられる。
【0022】
また、第8の発明は、
第6の発明の剥離用治具において、
前記把持部(120)は、前記被冷却部(33,50)と前記冷却機構(20)とを互いに引き離す方向への前記把持部(120)の変位によって、前記突部(123a)を前記係合位置に移動させるスライダ機構(320,330)を備えていることを特徴とする。
【0023】
これにより、剥離力を加えると把持部(120)が変位し、その変位によって突部(123a)が係合位置に移動させられて、突部(123a)が冷却機構(20)に係合される。そしてさらに剥離力を加えてやると被冷却部(33,50)と冷却機構(20)との密着が互いに剥離される。
【0024】
また、第9の発明は、
第1から第8の発明のうちの何れか1つの剥離用治具において、
さらに、前記加熱部(121b)による加熱温度を一定温度以下に規制する温度規制手段(121c)を備えていることを特徴とする。
【0025】
これにより、温度規制手段(121c)が加熱部(121b)による加熱温度を一定温度以下に規制するので、例えば被冷却部(33,50)に含まれる電装部品(33)等の温度上昇が一定以下に抑えられる。
【0026】
また、第10の発明は、
第1から第9の発明のうちの何れか1つの剥離用治具において、
前記熱伝導補助材は、熱伝導性グリス、熱伝導性両面粘着テープ、熱伝導性シート、及び熱伝導性接着剤のうちの何れかであることを特徴とする。
【0027】
これにより、熱伝導補助材として、熱伝導性グリス、熱伝導性両面粘着テープ、熱伝導性シート、及び熱伝導性接着剤の何れかが採用された冷凍装置において、熱伝導性グリス等の熱伝導補助材が加熱部(121b)によって加熱される。そして、熱伝導性グリス等の熱伝導補助材がその熱によって軟化させられ、被冷却部(33,50)と冷却機構(20)とを互いに膠着させる力(膠着力)が小さくなる。
【発明の効果】
【0028】
第1及び第2の発明のそれぞれでは、熱伝導補助材による膠着力が小さくなるので、より小さな力で被冷却部(33,50)と冷却機構(20)との密着を剥離できる。また、把持部(120)によって冷却機構(20)を把持するようにしたので、冷却機構(20)に対して剥離力を容易に加えることができる。そして、これらにより、被冷却部(33,50)を冷凍装置から容易に取り外して、修理や点検などを行うことができる。
【0029】
また、第3の発明によれば、把持部(120)に対してより大きな力を加えることができるので、被冷却部(33,50)と冷却機構(20)とをより容易に剥離できる。
【0030】
また、第4の発明によれば、剥離時の冷却機構(20)の変位が所定範囲内に規制されるので、剥離時により大きな剥離力を冷却機構(20)に加えても、該冷却機構(20)やこれに繋がる部材に対して過大な力が掛かってその部材が破損することがない。
【0031】
また、第5の発明によれば、把持部(120)の突部(123a)が冷却機構(20)に係合させられるので、より確実に冷却機構(20)に対して剥離力を加えることができる。
【0032】
また、第6の発明によれば、突部(123a)が前記冷却機構(20)との係合位置と係合を解除する位置とに開閉するので、容易に剥離用治具を作業位置に設置できる。すなわち、作業性が向上する。
【0033】
また、第7の発明によれば、係合を解除する位置にある突部(123a)が付勢手段(123c)によって係合位置に向かって移動させられるので、容易に突部(123a)と冷却機構(20)とを係合させることができる。すなわち、作業性が向上する。
【0034】
また、第8の発明によれば、剥離力を加えると突部(123a)と冷却機構(20)との係合も同時に行われる。すなわち、突部(123a)を冷却機構(20)に係合する作業を別個に行う必要がないので、効率的に剥離作業を行うことができる。
【0035】
また、第9の発明によれば、被冷却部(33,50)に含まれた電装部品(33)等の温度上昇が一定以下に抑えられるので、電装部品(33)等がその熱により破損させられることがない。
【0036】
また、第10の発明によれば、熱伝導性グリス、熱伝導性両面粘着テープ、熱伝導性シート、及び熱伝導性接着剤の何れかが熱伝導補助材として採用された冷凍装置において、被冷却部(33,50)と冷却機構(20)との密着が容易に剥離される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下の各実施形態の説明において、一度説明した構成要素と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
《発明の実施形態1》
本実施形態に係る剥離用治具は、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置(例えば空気調和機など)の修理時や点検時などに使用する。より詳しくは、本実施形態に係る剥離用治具が使用される冷凍装置は、前記冷媒により電気回路(プリント基板)の電装部品を冷却するために冷却機構が取り付けられており、該剥離用治具は、修理時や点検時などに、この冷却機構を被冷却部から取り外す際に使用される。ここではまず、本実施形態に係る剥離用治具が使用される冷凍装置、とりわけ前記電装部品と、その電装部品を冷却する冷却機構を中心に説明する。
【0039】
図1は、本実施形態に係る剥離用治具が使用される冷凍装置における電気回路(30)とその周辺を表す図である。電気回路(30)は、冷凍装置の圧縮機の電動機の回転数などの制御を行う。この電気回路(30)は、図1に示すように、プリント基板(31)上に形成されている。この例では、図1に示すように、プリント基板(31)の一方の実装面に電装部品としてパワー素子(33)が配置され、さらに、その裏側の実装面にその他の電装部品(34)が配置されている。このパワー素子(33)は、例えば圧縮機の電動機に電力を供給するインバータ回路のスイッチング素子であり、前記圧縮機の運転時には発熱する。
【0040】
電気回路(30)が形成されたプリント基板(31)は、電装品箱(40)内にスペーサ(32)を介して固定されている。この電装品箱(40)は、一つの面が開口した扁平な箱状に形成されており、その開口部が対向した面(底面)には貫通孔(40a)が設けられている。そして、その貫通孔(40a)には、板状に形成された伝熱板(50)が該貫通孔(40a)を覆うように取り付けネジ(図示省略)によって固定されている。この伝熱板(50)は、アルミニウムなどの比較的熱抵抗が小さい材料で構成されている。そして、この伝熱板(50)に対しては、電装品箱(40)の内側から、パワー素子(33)が取り付けネジ(図示省略)で固定されている。
【0041】
プリント基板(31)(電気回路(30))をこのように収容した電装品箱(40)は、冷凍装置内(例えば空気調和機の室外機等)に組み込まれ、所定の固定部材(例えば、室外機のケーシング内を圧縮機等が収容された機械室と、室外熱交換器等が収容された熱交換室とに区画する仕切り板など)に対してねじ止めなどにより固定される。
【0042】
上記パワー素子(33)は前記の通り発熱するので、冷却しておかないと、該パワー素子(33)が動作可能な温度(例えば90℃)を超える可能性がある。そのため、この冷凍装置では、前記冷媒回路を循環する冷媒によってパワー素子(33)を冷却するようになっている。詳しくは、この冷凍装置では、図1に示すように、冷媒によって前記被冷却体(パワー素子(33))を冷却する冷媒ジャケット(20)を伝熱板(50)に固定して、電装品箱(40)内のパワー素子(33)を冷却する。つまり、伝熱板(50)とパワー素子(33)とは、本発明の被冷却部を構成し、該パワー素子(33)は前記冷却機構によって冷却される被冷却体である。また、この冷媒ジャケット(20)は、本発明における冷却機構に対応している。
【0043】
具体的にはこの冷媒ジャケット(20)は、例えばアルミニウムなどの金属を扁平な直方体状に形成したものであり、例えば銅管などにより形成された冷媒配管(21)の一部を覆って、該冷媒配管(21)と熱的に接続されている。詳しくは、冷媒ジャケット(20)には、図2に示すように、該冷媒配管(21)を嵌めこむ2つの貫通孔(20a)(或いは溝でもよい)が設けられ、該冷媒配管(21)は、一方の貫通孔(20a)を通り抜けた後にU字状に折り返して、もう一方の貫通孔(20a)を通り抜けている。そしてこの冷媒配管(21)は、前記冷媒回路に接続されて、その内部には前記冷凍サイクルに使用される冷媒が循環する。これにより、冷媒ジャケット(20)は、冷媒配管(21)を介して、該冷媒配管(21)内を流れる冷媒と熱交換を行うことができる。
【0044】
この冷媒ジャケット(20)は、電装品箱(40)の外側から伝熱板(50)に対して取り付けネジ(図示省略)で固定されている。なお、冷媒ジャケット(20)底面(伝熱板(50)と接する側の面)には、図2に示すように、互いに対向する側面にそれぞれ2つずつの凹部(20b)が設けられている。これらの凹部(20b)は、図1に示すように、断面が楔形をしている。
【0045】
冷凍装置の運転時には、パワー素子(33)の熱が伝熱板(50)を介して冷媒ジャケット(20)に伝熱し、冷媒ジャケット(20)は、冷媒配管(21)内の冷媒にその熱を放熱する。これにより、パワー素子(33)は、動作可能な温度に維持されることになる。このように、この冷凍装置では、伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)との間では熱伝導が行われるので、伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)との接触面には、2つの部材間の熱伝導を補助する熱伝導補助材として、熱伝導性グリスが塗布されている。つまり、この熱伝導性グリスは、本発明の熱伝導補助材に対応している。なお、パワー素子(33)と伝熱板(50)との間でも熱伝導が同様に行われるので、パワー素子(33)と伝熱板(50)との接触面にも熱伝導性グリスが塗布されている。
【0046】
ところで、この冷凍装置では、電気回路(30)の修理時や点検時などには、プリント基板(31)を電装品箱(40)内に取り付けた状態で、該電装品箱(40)を冷凍装置(例えば室外機)から取り外すようになっている。具体的には、電装品箱(40)が室外機内の固定部材(例えば前記仕切り板)に固定された状態で、冷媒ジャケット(20)と伝熱板(50)とを互いに剥離し、その後、電装品箱(40)を固定部材から外して冷凍装置から取り外すようになっている(すなわち、電装品箱(40)を冷凍装置から取り外した段階では伝熱板(50)は電装品箱(40)に取り付けられた状態である)。
【0047】
しかしながら、前記熱伝導性グリスはある温度(例えば室温)以下では固化した状態になるので、修理時や点検時など際に熱伝導性グリスが固化し、冷媒ジャケット(20)と伝熱板(50)とが膠着状態になっている可能性がある。この膠着状態の両者を剥離するには大きな力が必要になり、例えば人が手で冷媒ジャケット(20)を掴んで力を加えたのでは両者の剥離は困難である。すなわち、このような膠着状態では電装品箱(40)を室外機から取り出して修理や点検などを行うのは困難である。本実施形態の剥離用治具は、この伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)との熱伝導補助材(熱伝導性グリス)による密着(すなわち被冷却部と冷却機構との密着)を互いに剥離するものである。
【0048】
《剥離用治具(100)の構成》
図3は、本発明の実施形態1に係る剥離用治具(100)の正面図である。また、図4は、剥離用治具(100)の平面図である。この剥離用治具(100)は、図3に示すように、人が手で剥離力(後述)を加える取っ手(110)と、冷媒ジャケット(20)を把持するジャケット把持部(120)とによって構成されている。
【0049】
取っ手(110)は、図3に示すように、直線状に形成された部材である。
【0050】
また、ジャケット把持部(120)は、板状部材(121)、柱状部材(122)、及びツメ保持部(123)によって構成されている。このジャケット把持部(120)は本発明の把持部に対応している。
【0051】
板状部材(121)は、冷媒ジャケット(20)上面(伝熱板(50)との接触面の反対側の面)に沿う平面を有した部材である。この板状部材(121)の相対向する2つの側面には、ツメ保持部(123)がそれぞれ設けられている。また、柱状部材(122)は、板状部材(121)の中央から垂直方向に伸びる部材である。この柱状部材(122)は、前記取っ手(110)と繋がっている。
【0052】
それぞれのツメ保持部(123)は、図4に示すように、2つのツメ(123a)を有している。これらのツメ(123a)は、図3に示すように、凹部(20b)の断面形状に沿うように断面形状が楔状に形成されている。そして、図5に示すように、それぞれのツメ保持部(123)は、冷媒ジャケット(20)の何れか一方の側面の凹部(20b)に係合する。すなわち、これらのツメ(123a)は本発明の突部に対応している。
【0053】
図3における左側のツメ保持部(123)は、前記板状部材(121)と一体的に形成されている。以下、この左側のツメ保持部(123)を固定側ツメ保持部(123)と呼ぶことにする。また、図3における右側のツメ保持部(123)は、図3における左右方向にスライドできるようになっている。これにより、冷却機構(20)との係合位置と該係合を解除する位置とに、右側のツメ保持部(123)を開閉することができる。より詳しくは、右側のツメ保持部(123)は、板状部材(121)の右側端面に設けられた摺動穴(121a)内に挿入されて摺動する棒状の摺動ロッド部(123b)を有している。そしてこの摺動ロッド部(123b)は、前記摺動穴(121a)内に設けられたバネ(123c)によって、固定側ツメ保持部(123)との間隔が狭まる方向(図3における左方向)に付勢されている。この付勢により、2つのツメ保持部(123)の間隔は、通常は前記係合位置にある。なお、以下では、この右側のツメ保持部(123)を開閉側ツメ保持部(123)と呼ぶことにする。
【0054】
また、板状部材(121)には、例えば電熱線などにより構成されたヒーター(121b)が埋め込まれている。このヒーター(121b)は、板状部材(121)、特には冷媒ジャケット(20)との接触面を加熱する。このヒーター(121b)が本発明の加熱部に対応している。また、この板状部材(121)には、ヒーター(121b)による加熱温度を一定温度以下に規制する温度規制手段としてサーモスタット(121c)が設けられ、例えば板状部材(121)の温度に応じてヒーター(121b)のオンオフが切り替えられる。なお、図3では図示を省略しているが、手動によってヒーター(121b)のオンオフを制御するスイッチなどもこの剥離用治具(100)には設けられている。
【0055】
〈冷媒ジャケット(20)と伝熱板(50)の剥離動作〉
剥離用治具(100)によって伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)とを互いに剥離するには、まず剥離用治具(100)を冷媒ジャケット(20)に固定する。これには、図6に示すように、開閉側ツメ保持部(123)のツメ(123a)を冷媒ジャケット(20)の一方の側面(図6の例では右側側面)の凹部(20b)に引っ掛けて、2つのツメ保持部(123)の間隔が開くように、冷媒ジャケット(20)の上面に平行な方向(この例では、図6における左方向)に、バネ(123c)の付勢力に抗した力を取っ手(110)に加える。これにより2つのツメ保持部(123)の間隔が、両側面の凹部(20b)の間隔よりも開くことになる。すなわち、前記係合を解除する位置にツメ(123a)が移動する。この位置では、固定側ツメ保持部(123)のツメ(123a)を冷媒ジャケット(20)のもう一方の側面(図6の例では左側側面)の凹部(20b)の横にもって行くことができる。この状態で水平方向の力を緩めると、バネ(123c)の力によって2つのツメ保持部(123)の間隔が狭まる。すなわち、ツメ(123a)が前記係合位置に移動する。この位置では、両側のツメ保持部(123)のツメ(123a)で冷媒ジャケット(20)の凹部(20b)が挟み込まれる。
【0056】
次に、ヒーター(121b)に通電すると、ジャケット把持部(120)の板状部材(121)部分(特に、板状部材(121)と冷媒ジャケット(20)との接触面)が加熱される。このときのヒーター(121b)による加熱温度は、サーモスタット(121c)によって該ヒーター(121b)のオンオフが切り替えられて、一定温度以下に規制される。すなわち、パワー素子(33)等に不必要な熱が加わらないようにでき、その熱によりパワー素子(33)などが破損させられることがない。
【0057】
ヒーター(121b)で加熱された板状部材(121)の熱は、冷媒ジャケット(20)に伝導し、冷媒ジャケット(20)と伝熱板(50)との接触面に塗布されている熱伝導性グリスを軟化させる。熱伝導性グリスが軟化させられると、伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)とを互いに膠着させる力(膠着力)が小さくなる。そして、このように膠着力が小さくなった状態で、取っ手(110)に対して、伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)とを互いに引き離す方向(剥離方向と呼ぶことにする)の力(剥離力と呼ぶことにする)を加えると、伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)とを互いに剥離することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態では、固化した熱伝導性グリスを加熱して軟化させるようにしたので、熱伝導性グリスによる膠着力が小さくなる。また、ツメ(123a)で冷媒ジャケット(20)を引っ掛けて冷媒ジャケット(20)と伝熱板(50)とを互いに引き離すようにしたので、容易に前記剥離力を加えることができる。すなわち、本実施形態によれば、冷媒ジャケット(20)(冷却機構)と伝熱板(50)(被冷却部)とを容易に剥離できる。そしてそれにより、電装品箱(40)を容易に冷凍装置(例えば室外機)から取り外して、修理や点検などを行うことができる。
【0059】
《発明の実施形態2》
図7は、本発明の実施形態2に係る剥離用治具(200)の正面図である。この剥離用治具(200)は、図7に示すように、剥離用治具(100)に対してフレーム(210)を追加したものである。
【0060】
このフレーム(210)は、図7に示すように、脚部(211)、梁部(212)、及び保持部(213)によって形成されている。
【0061】
脚部(211)は2つの柱状の部材であり、2つの柱状はそれらの上部において梁部(212)によって互いに連結されている。この脚部(211)は、使用時には図8に示すように、被冷却部(より詳しくは伝熱板(50))に当接して該被冷却部を固定する。
【0062】
また、脚部(211)の中央部分には、保持部(213)が形成されている。この保持部(213)は、ジャケット把持部(120)の柱状部材(122)を、剥離方向(図7では上方向)に平行な方向に摺動可能に保持する部材である。そして、このジャケット把持部(120)が梁部(212)の方向に所定の距離だけ移動した場合には、該ジャケット把持部(120)の取っ手(110)が梁部(212)に当接するようになっている。すなわち、この梁部(212)は、取っ手(110)に対して当接することによってジャケット把持部(120)の剥離方向の変位を規制する変位規制手段として機能している。なお、フレーム(210)の保持部(213)を変位規制手段として利用することも可能である。この場合は、保持部(213)に対してジャケット把持部(120)の板状部材(121)を当接させるようにする。
【0063】
〈冷媒ジャケット(20)と伝熱板(50)の剥離動作〉
剥離用治具(200)によって伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)とを互いに剥離するには、まず剥離用治具(200)を冷媒ジャケット(20)に固定する。
【0064】
これには、図8に示すように、実施形態1の剥離用治具(100)と同様にして、開閉側ツメ保持部(123)のツメ(123a)を冷媒ジャケット(20)の一方の側面の凹部(20b)に引っ掛けて、2つのツメ保持部(123)の間隔を広げる。そして、固定側ツメ保持部(123)のツメ(123a)を冷媒ジャケット(20)のもう一方の側面の凹部(20b)の横にもって行き、その後、図9に示すように、2つのツメ保持部(123)の間隔を狭めて、冷媒ジャケット(20)の両側面の凹部(20b)をこれらのツメ保持部(123)で挟み込む。
【0065】
次に、ヒーター(121b)に通電して、板状部材(121)と冷媒ジャケット(20)との接触面を加熱し、この接触面に塗布されている熱伝導性グリスを軟化させる。本実施形態でも、ヒーター(121b)による加熱温度は、サーモスタット(121c)によって該ヒーター(121b)のオンオフが切り替えられて、一定温度以下に規制される。
【0066】
次に、このように熱伝導性グリスが軟化して膠着力が小さくなった状態で、フレーム(210)に対して力を加えて、該フレーム(210)の脚部(211)によって伝熱板(50)を電装品箱(40)側に押さえ、該伝熱板(50)を固定する。そして、この状態で取っ手(110)に対して剥離力を加えると、図10に示すように伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)とを互いに剥離することができる。このとき、取っ手(110)はフレーム(210)に対して前記剥離方向に変位するが、ある程度以上変位すると梁部(212)に当接し、その位置で変位が規制される。すなわち、剥離方向におけるジャケット把持部(120)の変位が規制される。
【0067】
以上のように、本実施形態では、フレーム(210)を設けて被冷却部(詳しくは伝熱板(50))を固定したので、実施形態1の剥離用治具(100)よりもより大きな剥離力を加えることが可能になる。
【0068】
また、剥離方向におけるジャケット把持部(120)の変位が規制されるので、冷媒ジャケット(20)と伝熱板(50)を互いに剥離する際の冷媒配管(21)の変形(例えば冷媒配管(21)の曲げ変形)を所定範囲内に規制できる。すなわち、より大きな剥離力を冷媒ジャケット(20)に加えても、冷媒配管(21)に対して過大な力が掛かって該冷媒配管(21)が破損することがない。
【0069】
《発明の実施形態3》
図11は、実施形態3に係る剥離用治具(300)の正面図であり、伝熱板(50)上に剥離用治具(300)を載せた状態を示している。この剥離用治具(300)は開閉側ツメ保持部(123)を開閉する機構が前記実施形態2の剥離用治具(200)とは異なっている。具体的には、この剥離用治具(300)は、剥離方向への把持部(120)の変位によって開閉側ツメ保持部(123)を前記係合位置に移動させるスライダ機構を備えている。
【0070】
より詳しくは、図12に示すように、本実施形態の開閉側ツメ保持部(123)では、摺動ロッド部(123b)は、ツメ(123a)が形成されていない側の端部に、スライダ用プレート(310)が一体的に形成されている。このスライダ用プレート(310)には、摺動ロッド部(123b)との接合部付近から斜めに延びる溝(320)が形成されている。そして、ジャケット把持部(120)の柱状部材(122)内には空洞が形成され、図11に示すように、スライダ用プレート(310)がその空洞部分に収容されている。また、フレーム(210)の保持部(213)には、ピン(330)が固定されている。このピン(330)は、溝(320)に嵌め込まれて該溝(320)と互いに摺動する。この構成により、フレーム(210)を固定した状態(すなわちピン(330)が固定された状態)で、ジャケット把持部(120)が剥離方向に移動すると、ピン(330)と溝(320)とが互いに摺動し、開閉側ツメ保持部(123)が前記係合位置に向かって移動する。なお、この剥離用治具(300)では、図11に示すように、ジャケット把持部(120)を冷媒ジャケット(20)側(図11の下方向)に移動した状態で、開閉側ツメ保持部(123)が前記係合を解除する位置に来るように、溝(320)の角度やピン(330)の位置が設定されている。また、本実施形態ではバネ(123c)は設けられていない。
【0071】
〈冷媒ジャケット(20)と伝熱板(50)の剥離動作〉
剥離用治具(300)によって伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)とを互いに剥離するには、まず剥離用治具(300)を冷媒ジャケット(20)に固定する。
【0072】
これには、図11に示すように、ジャケット把持部(120)を冷媒ジャケット(20)側に移動した状態にして、前記係合を解除する位置に、開閉側ツメ保持部(123)を移動させておく。そしてこの状態で、柱状部材(122)を冷媒ジャケット(20)の上面に当接させる。
【0073】
次に、ヒーター(121b)に通電して板状部材(121)と冷媒ジャケット(20)との接触面を加熱し、その接触面に塗布されている熱伝導性グリスを軟化させる。本実施形態でも、ヒーター(121b)による加熱温度は、サーモスタット(121c)によって該ヒーター(121b)のオンオフが切り替えられて、一定温度以下に規制される。
【0074】
次に、このように熱伝導性グリスが軟化して膠着力が小さくなった状態で、フレーム(210)に対して力を加えて該フレーム(210)の脚部(211)によって、伝熱板(50)を電装品箱(40)側に押さえ、該伝熱板(50)を固定する。そして、この状態で取っ手(110)に対して剥離力を加えると、取っ手(110)が剥離方向に移動する。取っ手(110)が剥離方向に移動すると前記スライダ機構(320,330)によって、開閉側ツメ保持部(123)が冷媒ジャケット(20)を挟み込む方向、すなわち前記係合位置に移動に移動する。これにより、ツメ(123a)によって、冷媒ジャケット(20)が把持される。
【0075】
さらに、剥離力を加えると、図13に示すように、伝熱板(50)と冷媒ジャケット(20)とが互いに剥離される。このとき、取っ手(110)はフレーム(210)に対して前記剥離方向に変位するが、本実施形態においても該取っ手(110)は梁部(212)に当接し、剥離方向におけるジャケット把持部(120)の変位が規制される。
【0076】
以上のように本実施形態では、把持部(120)の剥離方向への変位によって、開閉側ツメ保持部(123)を前記係合位置に移動させるスライダ機構(320,330)を設けたので、剥離動作とツメ(123a)と冷媒ジャケット(20)との係合も同時に行われる。つまり、ツメ(123a)を冷媒ジャケット(20)に係合する作業を別個に行う必要がないので、冷媒ジャケット(20)を容易に把持することができ、効率的に剥離作業を行うことができる。すなわち、電装品箱(40)を取り外して行う修理や点検などがより容易になる。
【0077】
《その他の実施形態》
〈1〉なお、上記の例では、冷媒ジャケット(20)に凹部(20b)を設けてツメ(123a)を係合させたが、冷媒ジャケット(20)の底面にツメ(123a)を係合させるようにしてもよい。これには例えば、図14に示すように、ツメ(123a)の先端を冷媒ジャケット(20)底面に潜り込ませる大きさの凹部(52)を伝熱板(50)の上面(冷媒ジャケット(20)との接触面)に形成して、ツメ(123a)で冷媒ジャケット(20)底面を引っ掛けるようにする。
【0078】
〈2〉また、冷媒ジャケット(20)は、その底面に凹部(20b)を設ける代わりに、例えば図15に示すように、側面に凹部(20b)を設けることも可能である。
【0079】
〈3〉また、フレーム(210)の脚部(211)の形状は前記の例には限定されない。例えば、図16に示すように、板状部材(121)と冷媒ジャケット(20)にそれぞれ形成された貫通孔を貫通するピン状に形成することも可能である。
【0080】
〈4〉また、伝熱板(50)は必ずしも必須ではない。すなわち、パワー素子(33)が冷媒ジャケット(20)に対して熱伝導補助材(熱伝導性グリス)を介して取り付けられている場合にも本発明の治具を適用できる。図17は、この場合の剥離用治具の構成例を示す図である。この例では、フレーム(210)の脚部(211)が、冷媒ジャケット(20)に形成された貫通孔を貫通するピン状に形成され、剥離作業時には該脚部(211)がパワー素子(33)を押さえるようになっている。この場合も、冷媒ジャケット(20)に凹部(20b)が形成しておけば、ツメ(123a)をその凹部(20b)に引っ掛けて剥離力を加えることができる。
【0081】
〈5〉また、ヒーター(121b)を設ける位置は、板状部材(121)には限定されない。例えば、図18に示すように、フレーム(210)の脚部(211)に設けることも可能である。この場合は、ヒーター(121b)によって伝熱板(50)が加熱されて、熱伝導補助材(熱伝導性グリス)が軟化させられる。
【0082】
〈6〉また、実施形態1等で付勢手段として設けられていたバネ(123c)は、省略することも可能である。バネ(123c)を省略した場合には、手動により開閉側ツメ保持部(123)を開閉する。
【0083】
〈7〉また、ヒーター(121b)(加熱部)として採用した電熱線は例示であり、種々のヒーターを採用できる。同様に温度規制手段として採用したサーモスタットも例示であり、これに限定されるものではない。
【0084】
〈8〉また、熱伝導性両面粘着テープ、熱伝導性シート、又は熱伝導性接着剤などの熱が加えられると軟化する材料が前記熱伝導補助材として用いられた冷凍装置にも各実施形態の治具を用いることができる。要するに本発明の治具は、熱により軟化する熱伝導補助材によって膠着状態にある冷却機構と被冷却部との剥離に使用できるのである。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、冷凍装置における修理や点検などに使用する治具として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施形態に係る剥離用治具が使用される冷凍装置における電気回路(30)の周辺を表す図である。
【図2】冷媒ジャケット(20)の構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る剥離用治具(100)の正面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る剥離用治具(100)の平面図である。
【図5】剥離用治具(100)を伝熱板(50)に載せた状態を平面視した図である。
【図6】ツメ(123a)による係合手順を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る剥離用治具(200)の正面図である。
【図8】剥離用治具(200)を伝熱板(50)に載せた状態を示す図である。
【図9】剥離用治具(200)の2つのツメ保持部(123)によって冷媒ジャケット(20)を挟み込んだ状態を示す図である。
【図10】剥離用治具(200)によって冷媒ジャケット(20)を伝熱板(50)から剥離した状態を示す図である。
【図11】実施形態3に係る剥離用治具(300)の正面図であり、伝熱板(50)上に剥離用治具(300)を載せた状態を示している。
【図12】スライダ機構を説明する図であり、開閉側ツメ保持部(123)側のスライダ機構の構造を示している。
【図13】剥離用治具(300)によって冷媒ジャケット(20)を伝熱板(50)から剥離した状態を示す図である。
【図14】ツメ(123a)を冷媒ジャケット(20)底面に係合させる場合の伝熱板(50)等の構成例を説明する図である。
【図15】冷媒ジャケット(20)に形成する凹部(20b)の他の構成例を示す図である。
【図16】フレーム(210)の脚部(211)の他の構成例を示す図である。
【図17】冷媒ジャケット(20)とパワー素子(33)とが当接している場合における剥離用治具の構成例を示す図である。
【図18】ヒーター(121b)の他の配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
100 剥離用治具
20 冷媒ジャケット(冷却機構)
20b 凹部
33 パワー素子(電装部品)
50 伝熱板
120 ジャケット把持部(把持部)
121b ヒーター(加熱部)
121c サーモスタット(温度規制手段)
123a ツメ(突部)
123c バネ(付勢手段)
200 剥離用治具
211 脚部(固定部)
212 梁部(変位規制手段)
300 剥離用治具
320 溝
330 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路と、電装部品(33)を被冷却体として含む被冷却部(33,50)と、2つの部材間の熱伝導を補助する熱伝導補助材と、前記被冷却部(33,50)に対して前記熱伝導補助材を介して密着させられるとともに前記冷媒によって前記被冷却体を冷却する冷却機構(20)とを備えた冷凍装置における、前記被冷却部(33,50)と前記冷却機構(20)との密着を互いに剥離する剥離用治具であって、
前記熱伝導補助材を加熱するための加熱部(121b)と、
前記冷却機構(20)を把持する把持部(120)と、
を備えたことを特徴とする剥離用治具。
【請求項2】
請求項1の剥離用治具において、
前記被冷却部(33,50)は、前記電装部品(33)と前記冷却機構(20)との熱交換を媒介する伝熱板(50)を備え、該伝熱板(50)が前記冷却機構(20)に対して前記熱伝導補助材を介して密着させられていることを特徴とする剥離用治具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の剥離用治具において、
さらに、前記被冷却部(33,50)と前記冷却機構(20)との密着を互いに剥離する際に該被冷却部(33,50)に当接して該被冷却部(33,50)を固定する固定部(211)を備えていることを特徴とする剥離用治具。
【請求項4】
請求項3の剥離用治具において、
さらに、前記把持部(120)に当接することによって、該被冷却部(33,50)から前記冷却機構(20)を引き離す方向の該把持部(120)の変位を規制する変位規制手段(212)を備えていることを特徴とする剥離用治具。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちの何れか1つの剥離用治具において、
前記把持部(120)は、前記冷却機構(20)に形成された凹部(20b)で係合、又は前記冷却機構(20)における前記被冷却部(33,50)への対向面で係合する突部(123a)を備えていることを特徴とする剥離用治具。
【請求項6】
請求項5の剥離用治具において、
前記突部(123a)は、前記冷却機構(20)との係合位置と係合を解除する位置とに開閉することを特徴とする剥離用治具。
【請求項7】
請求項6の剥離用治具において、
前記把持部(120)は、前記係合位置に向かって前記突部(123a)を付勢する付勢手段(123c)を備えていることを特徴とする剥離用治具。
【請求項8】
請求項6の剥離用治具において、
前記把持部(120)は、前記被冷却部(33,50)と前記冷却機構(20)とを互いに引き離す方向への前記把持部(120)の変位によって、前記突部(123a)を前記係合位置に移動させるスライダ機構(320,330)を備えていることを特徴とする剥離用治具。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうちの何れか1つの剥離用治具において、
さらに、前記加熱部(121b)による加熱温度を一定温度以下に規制する温度規制手段(121c)を備えていることを特徴とする剥離用治具。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちの何れか1つの剥離用治具において、
前記熱伝導補助材は、熱伝導性グリス、熱伝導性両面粘着テープ、熱伝導性シート、及び熱伝導性接着剤のうちの何れかであることを特徴とする剥離用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−107063(P2010−107063A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276641(P2008−276641)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】