説明

創傷処置方法及び装置

【課題】創傷処置の改良された方法及び装置を提供する
【解決手段】超音波エネルギー発生手段、及び別の形態のエネルギー発生手段からなり、超音波エネルギー及び別の形態のエネルギー発生手段が創傷に接触しない場所に置かれ、そして創傷への超音波エネルギー及び別の形態のエネルギー照射が創傷の治癒時間を減少させる治療効果を与えるものであり、別の形態のエネルギーがレーザー、電流、磁気、紫外線、マイクロ波、無線周波数、赤外光、干渉性照射、非干渉性照射、X線、及びガンマー線からなる群から選ばれるものであることを特徴とする超音波エネルギー及び別の形態のエネルギーを使用する創傷処置装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波及びレーザーエネルギーを使用する創傷処置に関する。特に、本発明は超音波を使用して創傷表面に液体薬剤をスプレーして薬剤、殺菌剤、表面洗浄剤を供給し、そして健康な組織細胞を刺激しそしてレーザーエネルギーで創傷を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波及びレーザービームは多くの産業用途と同様に診断及び治療を含む医療用途で広範囲に使用されてきた。超音波診断での使用は対象物又は人の組織内の内部構造を検知するための使用を含む。この方法においては、超音波変換器は接続媒体を経由して組織(又は対象物)と接触して置かれそして高い周波数(1−10MHz)の超音波が組織内に向けられる。種々の内部構造体と接触すると、超音波は反射して変換器近傍の受信機に戻る。送られた超音波と受信されたときの反射された超音波信号を比較することによって、内部構造体のイメージを作り出すことができる。この技術は特に組織成分間の境界を同定するのに有用でそして異常な塊、腫瘍、及びその類似物を検知するために使用できる。
【0003】
超音波の医学的治療における3種類の使用としてはエアロゾルミスト生成、接触物理療法及び軟組織切除を含む。超音波接触治療手順は患者にかなりの不快感及び/又は苦痛を与えそして肌はひりひりしそして損傷を受ける可能性がある。エアロゾルミスト生成は湿った環境を作り出すためのエアロゾルミストを生成させるための噴霧器又は吸入器及び肺への薬剤供給に使用される。超音波噴霧器は液体内に十分な強度の超音波を通すことによって操作され、超音波は液体の内側又は内部の点から液体の気液界面に向けられる。液体粒子は液体表面から周囲の空気中に押し出され超音波によって生成する毛細管波の崩壊を伴う。この技術は非常に細かい濃密な霧又はミストを作り出すことができる。超音波によって作られるエアロゾルミストは超音波によってより小さな粒子サイズのエアロゾルが得られるために好ましい。超音波吸入器及び噴霧器の主な欠点の一つはエアロゾルを目標に直接向けられないことである。そのため、エアロゾルを目標に直接向けるために空気流れが必要とされるが、しかしこれは超音波の効率を減少させる。
【0004】
Sonic and Materials Inc.,Misonix Inc.,Sono−Tek Inc.,Zevex International,Inc.,及びその他によって製造される超音波スプレー器は超音波機器チップの中央オリフィスに液体を通すことによって操作する。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9及び特許文献10を参照されたい。
【0005】
Medisonic USA,Inc.3M,Siemens GmbH,The Procter & Gamble Company,Sheffield Pharmaceuticals、Aradign、Inc.,及びその他からの超音波吸入器及び薬剤供給システムはピエゾセラミックフィルムを使用して液体を霧状化することによって操作する。例えば、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18及び特許文献19を参照されたい。
【0006】
レーザーの医療的使用は幾つかのグループに分けられる:レーザー血液流量計(ドップラー)組織切断、治療、血管再生及び処置装置、手術用具、診断装置、等々。HGM Medical Lasers Inc.,Level Laser Medical Systems,Coherent,Inc.,ESC Medical Systems,PLC Medical Systems,Inc.,Palomar Medicals,Altus Medical、Tissue Medical Lasers,Inc.,等々からの医療用レーザー装置は治療、皮膚科学、外科学、婦人科学、泌尿器科学、歯科学、獣医学及び他の用途に適しており、ピエゾセラミックフィルムを使用して液体を霧状化することによって操作する。例えば、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25及び特許文献26を参照されたい。
【特許文献1】USP3,765,606
【特許文献2】USP4,659,014
【特許文献3】USP5,104,042
【特許文献4】USP4,930,700
【特許文献5】USP4,153,201
【特許文献6】USP4,655,393
【特許文献7】USP5,516,043
【特許文献8】USP5,835,678
【特許文献9】USP5,879,364
【特許文献10】USP5,843,139
【特許文献11】USP4,294,407
【特許文献12】USP5,347,998
【特許文献13】USP5,520,166
【特許文献14】USP5,960,792
【特許文献15】USP6,095,141
【特許文献16】USP6,102,298
【特許文献17】USP6,098,620
【特許文献18】USP6,026,808
【特許文献19】USP6,106,547
【特許文献20】USP5,374,266
【特許文献21】USP5,527,350
【特許文献22】USP5,616,140
【特許文献23】USP5,707,403
【特許文献24】USP5,658,323
【特許文献25】USP6,027,495
【特許文献26】USP5,989,245
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は創傷処置の改良された方法及び装置を提供することである。本発明の目的はまた超音波及びレーザーのような異なったエネルギー源の組み合わせを使用する創傷処置の改良された方法及び装置を提供することである。本発明の目的はさらに薬剤、殺菌剤、表面洗浄剤及び健康的な組織細胞成長刺激剤を供給するための方法及び装置を提供することである。さらなる本発明の目的は超音波によって形成されるエアロゾルミストで創傷表面をスプレーしそしてレーザービームで照射することによって創傷を処置することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は超音波とレーザービームを使用する創傷処置方法及び装置である。より特徴的には、本発明の装置は薬剤、殺菌剤、表面洗浄剤及び健康的な組織細胞成長刺激剤を供給するための超音波液体エアロゾルスプレー及びレーザービームを作り出し、創傷表面に向けて供給しそして超音波及びレーザーエネルギーで創傷を処置する。創傷を処置するための本発明の方法は連続的な又はパルス的な超音波と、パルス化され、スキャンされ又は禁足化された連続的な波形レーザー又は非干渉性照射の組み合わせを使用することを含む。
より特徴的には、本発明の方法は液体を超音波変換器の自由末端面と接触させることによって形成される液体粒子の直接的なスプレーを作り出し、そしてレーザービームと組み合わされた粒子スプレービームは創傷上に向けられる。本発明の方法に従えば、超音波、レーザービーム及び活性化された薬品(超音波及びレーザービームによって高度に活性化された)の組み合わせは表面の菌を破壊しそして通常使用される液体に比較して活性化された液体によって高度な殺菌レベルを生ずる。さらに、超音波とレーザーエネルギーはまた治癒組織の粒状化及び上皮化を助けるために健康な細胞成長を刺激する。本発明の方法の他の用途としては、種々の薬剤で対象物及び食品表面の洗浄、殺菌及びコーティングのような医薬以外の使用も含む。
本発明の方法は幾つかの従来の抗菌剤の使用を見直す試みを提供しそして必要なときには抗菌剤なしで細菌に対抗する方法を提案する。高度に活性化している抗菌剤中での本発明の方法の効果は幾つかの在来の抗菌剤をその抗菌剤に抵抗性をもつようになった細菌に打ち勝つことを可能にする。さらに、抗菌剤の活性化効果に関係なく、本発明の方法で使用される超音波及びレーザービームはまた直接的に細菌を死滅させる。この組み合わせ効果は化膿した感染性創傷の治癒をかなり早めさせることが示されてきた。
この創傷処置方法は薬剤の局所的塗布が望ましいが創傷への接触を避けなければならないような創傷に特に有効である。
本発明の方法はまたレーザーと超音波の組み合わせによって非接触性の薬剤供給システムを提供する。創傷処置方法は、スプレーされる液体が抗菌剤、防腐剤のような薬剤であるか、或いは等価な薬剤、オイル、食塩水、水又は前者のいずれかの組み合わせで創傷面に適用されるときに有効である。
本発明の全体の概念はレーザー、超音波、電流、磁気、紫外線、マイクロ波、無線周波数、及びこの分野の熟練した当業者に明らかな等価のエネルギー源のような異なったエネルギー源の組み合わせを使用する創傷処置方法及び装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法に従えば、超音波、レーザービーム及び超音波及びレーザービームによって高度に活性化された薬品の組み合わせは表面の菌を破壊しそして通常使用される液体に比較して活性化された液体によって高度な殺菌レベルを生ずる。さらに、超音波とレーザーエネルギーはまた治癒組織の粒状化及び上皮化を助けるために健康な細胞成長を刺激する。本発明の創傷処置方法は薬剤の局所的塗布が望ましいが創傷への接触を避けなければならないような創傷の治療に特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。
【0011】
図1は本発明に従って使用するための超音波とレーザーを組み合わせた創傷処置システムの概略説明図である。
【0012】
図2は本発明の超音波/レーザー装置の基本概念の概略説明図である。
【0013】
図2のaは相互に平行な超音波スプレーとレーザービームを示す。図2のbは平行でない超音波スプレーとレーザービームを示す。図2のcは同軸上にある超音波スプレーレーザービームを示す。
図3は図1に示した装置のレーザービームと超音波スプレービームの相互作用における可能な変形を示す概略説明図である。
【0014】
図4は本発明の一態様に従ったエネルギー供給方法の概略説明図である。
【0015】
図4のaは第一及び第二の形態のエネルギーを示す。図4のbはスプレーを介して照射される超音波エネルギー及び空気のみを介して照射される第二の形態のエネルギーを示す。図2のcは空気のみを介して照射される超音波エネルギー、及び第二の形態のエネルギーを示す。
【0016】
図5は本発明に従った創傷に向けられた第一及び第二のエネルギー源をもつ装置の概略説明図である。
【0017】
図6は本発明に従って本質的には空気のみを介して創傷に超音波を照射して達成された実験結果のプロットである。
【0018】
本発明に従った創傷処置装置は図1に示され、これは超音波とレーザーエネルギーを使用した創傷処置のための本発明の好ましい態様の側面図である。本体12は、オン/オフ、ディスプレイ、強度及びその他を制御する制御系を含む調節制御器を有する前面パネル13をもっている。本体12は超音波ケーブル9及びレーザーケーブル10によってハンドピース5に接続されている。
【0019】
ハンドピース5はレーザー照射器15、超音波変換器14、及び液体容器2からなっている。創傷処置溶液は超音波変換器14の末端に接触し創傷面8上にスプレーされるように容器2から分配され供給される。同時に、又は前後に、レーザー源15がオンにされ同じ創傷面8に照射される。超音波変換器の操作のより詳細な説明は特許文献27及び特許文献28に見出すことができる。
【0020】
図2のa−cは本発明に従った超音波−レーザー創傷処置の基本概念を説明している。図2のaは本発明に従った超音波−レーザー創傷処置方法の概略説明図であり、超音波スプレーとレーザービームは創傷に平行に向けられている。図2のbは同軸上にある超音波スプレーレーザービームを示す本発明に従った超音波−レーザー創傷処置方法の概略説明図である。図2のcはお互いに或る角度で向けられた超音波スプレーとレーザービームを示す本発明に従った超音波−レーザー創傷処置方法の概略説明図である。
【0021】
図3のa−dは本体5に対するレーザープローブ15及び超音波変換器14の可能な配置の概略図を示す。レーザープローブ及び超音波変換器の好ましい配置は図3のaに示されるが、それはこの配列が最も便利で、取り扱いと使用するのが容易であるからである。図3のb−dに示される代替の配置は、この分野の熟練した当業者に明らかなように或る用途においてはさらに便利な配列を与える。
【0022】
レーザー照射とスプレー超音波処理は同時に又は別々に作動させることができる。好ましい処置方法は同時の照射と超音波処理であるが、それは同時処理がレーザーと超音波の遭遇効果を倍加させるためである。
【0023】
本体5は使用及び殺菌を容易にするために末端に使い捨て部をもっていてもよいしもっていなくてもよい。これまでに示した特定の態様は本発明の実施を説明するためのものであり、熟練した当業者に公知の他の手段も本発明の精神又は特許請求の範囲から逸脱しない範囲で採用できることは、熟練した当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0024】
容器2は液体の代わりに又は液体に加えて粉末で満たしてもよく、それはバルブ3から又は中央オリフィス(図示されていない)を通して超音波変換器14の末端に接触するように容器から分配され供給され噴霧化され創傷面8にスプレーとして供給される。
【0025】
別の態様においては、超音波はスプレーを使用しないで創傷に照射され、即ち超音波エネルギーは純粋な空気、例えば周囲の空気のようなガス媒体を含むスプレー以外の媒体を介して照射され、そこでは超音波変換器14は創傷に接触しない場所に置かれる。超音波とレーザービームはスプレーを使用しなくても、表面の細菌を死滅させそして健康な細胞成長を刺激する。この創傷処置方法は接触を避けなければならない創傷に特に有効である。レーザーエネルギーはスプレーを介して照射されてもよいし、純粋な空気のようなガス状媒体を含むスプレー以外の媒体を介して照射されてもよい。
【0026】
別の態様においては、エネルギー源の組み合わせは創傷に接触しないで供給され、そこではエネルギー源が発生しそしてレーザー、電流、磁気、紫外線、マイクロ波、無線周波数、赤外光、干渉性照射、非干渉性照射、X線、及びガンマー線、等々のような形態のエネルギーの一つ以上を創傷に向けて照射する。
【0027】
好ましくは、二つの形態のエネルギー、即ち第一及び第二の形態のエネルギーが創傷に接触しない場所から発生しそして治療的なそして有益な効果を与えるために創傷に向けて照射される。第一及び第二の形態のエネルギーの組み合わせは図4のa−cに示される。図4のaにおいては、第一及び第二の形態のエネルギー、402及び404は、それぞれ、レーザー、電流、磁気、紫外線、マイクロ波、無線周波数、赤外光、干渉性照射、非干渉性照射、X線、及びガンマー線、等々からなる群から選ばれるそれぞれ異なった形態のエネルギーである。図4のbにおいては、第一の形態のエネルギーは超音波エネルギーである。創傷に向けられたスプレーは液体又は粉末を超音波変換器の照射面に接触させることによって形成される。超音波エネルギーはスプレーを介して創傷に照射される。超音波エネルギーは純粋の空気のようなガス状媒体を含むスプレー以外の媒体を介して創傷に照射される。第二の形態のエネルギーはレーザー、電流、磁気、紫外線、マイクロ波、無線周波数、赤外光、干渉性照射、非干渉性照射、X線、及びガンマー線、等々からなる群から選ばれそしてスプレーを介して又は純粋の空気のようなガス状媒体を含むスプレー以外の媒体を介して、図4のbに示されるように超音波エネルギーに対してθの角度で又はその他の角度で照射される。
【0028】
図4のcにおいては、第一の形態のエネルギーは超音波で、そして液体又は粉末がスプレーを発生させるために超音波変換器と接触することはなく直接創傷に向けて照射される。第二の形態のエネルギーはレーザー、電流、磁気、紫外線、マイクロ波、無線周波数、赤外光、干渉性照射、非干渉性照射、X線、及びガンマー線、等々からなる群から選ばれ、そこでは超音波エネルギーと第二の形態のエネルギーは純粋の空気のようなガス状媒体を含む、スプレー以外の媒体を介して創傷に照射される。
【0029】
図5を参照すると、装置500が示されており、そこでは装置500は創傷8に向けて第一のエネルギー源を発生させる第一のエネルギー源502、及び創傷8に向けて第二のエネルギー源を発生させる第二のエネルギー源504を含んでいる。装置500と第一及び第二のエネルギー源502、504はそれぞれ別のケースに収容されておりそして電気ケーブルのような接合によってお互いに接続されている1以上の個別の部品を含んでいてもよい。
【0030】
タイマー506もまた各エネルギー源の作動時間量を制御するために装置500内に含まれる。タイマー506は二つのエネルギー源502、504を連続的に作動させる(非同時作動)か又は同じ時間で二つのエネルギー源502、504を作動させてもよい(同時作動)。タイマー506は使用者が制御パネル508を使って制御してもよいし又は装置500のプロセッサー510によって遂行される予め組み込まれたプログラム指令を含んでいてもよい。
【0031】
本発明の好ましい態様においては、創傷の治療効果を達成するために、超音波エネルギーが純空気のようなガス状媒体を介して創傷に照射され、発生する超音波エネルギーの周波数は低い周波数が選ばれ、その選ばれた低い周波数を使用することにより、創傷に治療効果を与えることができる強度で創傷に照射できるような超音波エネルギーの振幅が達成される。好ましくは超音波エネルギーによって達成される振幅は少なくとも10ミクロンである。好ましくは、使用される振幅は20kHz−50MHzの範囲、好ましい範囲は20−200kHZ、より好ましい範囲は20−40kHzで使用されそして最も好ましい値は40kHzであり、最も好ましくは使用される周波数の下限は人の可聴範囲外である。さらに、照射された超音波エネルギーが創傷に治療効果を与えることができる強度をもつような超音波エネルギーの照射を達成するために選ばれる形状及びサイズをもつ放射面を使用することが有利である。使用される超音波エネルギーの周波数及び振幅の選択と組み合わせて放射面の形状とサイズを選択することは超音波エネルギーが創傷に治療効果を与えることができる強度をもつような創傷への超音波エネルギーの照射を達成するために有利である。実際の直径の選択は選択される周波数と振幅に依存する。さらに、放射面の形状は平面、凹面、凸面、又はそれらの組合わせから選択される。
【0032】
図6には、2003年1月中旬にエデンプレーリー、ミネソタのセレレーションアコースティックラボラトリーで行われた実験結果が示されている。創傷に治療効果を与えることができる強度をもつような超音波エネルギーが創傷面に接触しない場所に置かれた超音波変換器を使用して実質上空気のみを介して創傷に照射された。超音波エネルギーは40kHzの周波数そして61ミクロンの振幅で発生した。変換器の照射面は平面の円形で1cmの直径をもっていた。ONDA社、サニーベール、カリフォルニアによって製造されたハイドロフォンモデルNo.PVDF−Z44−1000及びハイドロフォンアンプモデルNo.A17dbが採用され、ゲイン7.44のアンプを使用した。ハイドロフォンの校正はONDA社で行われた。図示されるように、2.5mmと38mmの間の距離に置かれた変換器で超音波エネルギーは創傷に治療効果を与えることができる強度をもつように創傷に照射された:強度は10W/cm
と0.1W/cm以上の範囲内であった。
【0033】
本発明の例示的態様を添付の図面を参照して説明してきたが、本発明はそれらの厳密な態様には限定されず、熟練した当業者であれば、本発明の範囲及び精神を逸脱することなしに、種々の他の変化及び変形が可能であることを理解しておくべきである。それゆえに、種々の修正及び変形は、本発明の範囲及び精神を逸脱しない限り本発明の特許請求の範囲内に含まれそして法律的に等価と見做すことができるものである。
【特許文献27】USP出願番号09/684,044
【特許文献28】USP6,601,581
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は超音波を使用して創傷表面に液体薬剤をスプレーして薬剤、殺菌剤、表面洗浄剤を供給し、そして健康な組織細胞を刺激しそしてレーザーエネルギーで創傷を処置する方法及び装置として有用である。また、他の用途としては、種々の薬剤で対象物及び食品表面の洗浄、殺菌及びコーティングのような医薬以外の使用にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に従って使用するための超音波とレーザーを組み合わせた創傷処置システムの概略説明図である。
【図2】本発明の超音波/レーザー装置の基本概念の概略説明図である。
【図3】図1に示した装置のレーザービームと超音波スプレービームの相互作用における可能な変形を示す概略説明図である。
【図4】本発明の一態様に従ったエネルギー供給方法の概略説明図である。
【図5】本発明に従った創傷に向けられた第一及び第二のエネルギー源をもつ装置の概略説明図である。
【図6】本発明に従って本質的には空気のみを介して創傷に超音波を照射して達成された実験結果のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波エネルギー発生手段、及び別の形態のエネルギー発生手段からなり、超音波エネルギー及び別の形態のエネルギー発生手段が創傷に接触しない場所に置かれ、そして創傷への超音波エネルギー及び別の形態のエネルギー照射が創傷の治癒時間を減少させる治療効果を与えるものであり、別の形態のエネルギーがレーザー、電流、磁気、紫外線、マイクロ波、無線周波数、赤外光、干渉性照射、非干渉性照射、X線、及びガンマー線からなる群から選ばれるものであることを特徴とする超音波エネルギー及び別の形態のエネルギーを使用する創傷処置装置。
【請求項2】
超音波エネルギーの少なくとも一部がスプレーを介して創傷に照射されるように、スプレーを発生させる物質を超音波エネルギー発生手段に導入するための手段をさらに含む請求項1記載の装置。
【請求項3】
超音波エネルギー及び別の形態のエネルギーの少なくとも一つがガス状媒体を介して創傷に照射される請求項1記載の装置。
【請求項4】
超音波エネルギー及び別の形態のエネルギーの少なくとも一つがスプレーを介して創傷に照射される請求項1記載の装置。
【請求項5】
該物質が流体及び粉末のうちのどちらか一つである請求項2記載の装置。
【請求項6】
同時又は同時でない作動のどちらか一つを与えるために超音波エネルギー発生手段及び別の形態のエネルギー発生手段の作動時間を自動的に制御するための手段をさらに含む請求項1記載の装置。
【請求項7】
創傷表面から離れた場所に超音波エネルギーを発生させるための超音波変換器を用意し、超音波変換器の一部と物質を接触させることによってスプレーを発生させ、創傷表面から離れた場所に他の形態のエネルギーを発生させるための他の形態のエネルギー発生源を用意し、創傷に他の形態のエネルギーを照射し、そしてスプレーを介して創傷に超音波エネルギーを照射することによって、創傷の治癒時間を減少させる治療効果を与えることを特徴とする創傷処置方法。
【請求項8】
他の形態のエネルギー照射がスプレー及び純粋の空気のいずれか一つを介して創傷に他の形態のエネルギーを照射する工程からなる請求項7記載の方法。
【請求項9】
該物質が流体及び粉末のうちのどちらか一つである請求項7記載の方法。
【請求項10】
他の形態のエネルギーがレーザー、電流、磁気、紫外線、マイクロ波、無線周波数、赤外光、干渉性照射、非干渉性照射、X線、及びガンマー線からなる群から選ばれるものである請求項7記載の方法。
【請求項11】
同時又は同時でない照射のどちらか一つを与えるために超音波エネルギー及び他の形態のエネルギー照射を制御する工程をさらに含む請求項7記載の方法。
【請求項12】
創傷に接触しない場所に置かれた超音波エネルギー発生手段、超音波エネルギー発生手段にスプレーを発生させる物質を導入する手段、創傷への超音波エネルギー及びレーザーエネルギー照射が創傷の治癒時間を減少させる治療効果を与えるように、スプレーの方向で且つ創傷表面に接触しない場所でレーザーエネルギーを発生させる手段、及び超音波エネルギー発生手段及びレーザーエネルギー発生手段の作動時間を自動制御するための手段からなることを特徴とする超音波及びレーザーエネルギーを使用する創傷処置装置。
【請求項13】
レーザーエネルギーがスプレー及びガス状媒体のいずれか一つを介して創傷に照射される請求項12記載の装置。
【請求項14】
該物質が流体及び粉末のうちのどちらか一つである請求項12記載の装置。
【請求項15】
超音波エネルギー発生手段及び別の形態のエネルギー発生手段の作動時間を自動的に制御するための手段が超音波エネルギー発生手段及びレーザーエネルギー発生手段の同時作動及び同時でない作動のいずれか一つを与える請求項12記載の装置。
【請求項16】
ガス媒体を介して創傷表面に接触しない場所から超音波エネルギーを照射するために創傷表面に接触しない場所に置かれた超音波エネルギー発生手段、及び創傷表面に接触しない場所に置かれたレーザーエネルギー発生手段からなり、そして超音波エネルギーとレーザーエネルギーの組み合わせ照射が創傷の治癒時間を減少させる治療効果を与えることを特徴とする超音波とレーザーエネルギーを使用する創傷処置装置。
【請求項17】
超音波エネルギー発生手段が創傷に照射されるための十分高い振幅をもつ超音波を発生し、その照射において超音波エネルギーが治療効果を達成できる強度をもつようにした請求項16記載の装置。
【請求項18】
発生した超音波エネルギーが十分高い振幅を達成するための十分低い周波数をもつ請求項17記載の装置。
【請求項19】
十分高い振幅が10ミクロンより大きい請求項17記載の装置。
【請求項20】
十分高い振幅を達成するための十分低い周波数が20kHz−50MHzの範囲内である請求項18記載の装置。
【請求項21】
十分高い振幅を達成するための十分低い周波数が20−200kHzの範囲内である請求項18記載の装置。
【請求項22】
十分高い振幅を達成するための十分低い周波数が20−40kHzの範囲内である請求項18記載の装置。
【請求項23】
超音波エネルギー発生手段の放射面の表面積が治療効果を達成することができる強度をもつような創傷への超音波の照射を達成するのに十分な大きさをもつ請求項16記載の装置。
【請求項24】
超音波エネルギー発生手段の放射面の周囲が治療効果を達成することができる強度をもつような創傷への超音波の照射を達成するために円形になっている請求項16記載の装置。
【請求項25】
超音波エネルギー発生手段の放射面の周囲が治療効果を達成することができる強度をもつような創傷への超音波の照射を達成するために、超音波エネルルギー発生手段の放射面の表面積のサイズ、放射面の周囲境界の形状、発生する超音波エネルギーの周波数、及び発生する超音波の振幅のうちの少なくとも一つを調節する請求項16記載の装置。
【請求項26】
超音波エネルギー発生手段の放射面の周囲が治療効果を達成することができる強度をもつような創傷への超音波の照射を達成するために、超音波エネルギー発生手段の放射面の表面積のサイズ、放射面の湾曲周囲境界の形状、平面、凹面、凸面及びそれらの組み合わせのひとつから選ばれる放射面形状、発生する超音波エネルギーの周波数、及び発生する超音波の振幅を調節する請求項16記載の装置。
【請求項27】
創傷面に接触しない場所で超音波エネルギーを発生させ、創傷面に接触しない場所でレーザーエネルギーを発生させ、そして創傷の治癒時間を減少させる治療効果を与えるために超音波エネルギーとレーザーエネルギーを組み合わせて照射すると共に、超音波エネルギーとレーザーエネルギーを同じ装置によって発生させることを特徴とする超音波とレーザーエネルギーを使用する創傷の処置方法。
【請求項28】
照射工程がガス媒体を介した創傷への超音波照射を含む請求項27記載の方法。
【請求項29】
超音波エネルギー発生工程が創傷に照射されるための十分高い振幅をもつ超音波を発生し、その照射において超音波エネルギーが治療効果を達成できる強度をもつようにすることを含む請求項27記載の方法。
【請求項30】
超音波エネルギー発生工程が十分高い振幅を達成するための十分低い周波数をもつ超音波エネルギーを発生させることを含む請求項29記載の方法。
【請求項31】
超音波エネルギー発生工程が治療効果を達成することができる強度をもつような創傷への超音波の照射を達成するのに十分大きな表面積をもった放射面から超音波エネルギーを発生させることを含む請求項27記載の方法。
【請求項32】
超音波エネルギー発生工程が治療効果を達成することができる強度をもつような創傷への超音波の照射を達成するための円形の周辺境界をもった放射面から超音波エネルギーを発生させることを含む請求項27記載の方法。
【請求項33】
超音波エネルギー発生工程が、治療効果を達成することができる強度をもつような創傷への超音波の照射を達成するために、超音波エネルギー発生手段の放射面の表面積のサイズ、放射面の周囲境界の形状、平面、凹面、凸面及びそれらの組み合わせのひとつから選ばれる放射面湾曲形状、発生する超音波エネルギーの周波数、及び発生する超音波の振幅を調節することを含む請求項27記載の方法。
【請求項34】
第一の形態のエネルギー発生手段、及び第二の形態のエネルギー発生手段からなり、第一及び第二の形態のエネルギー発生手段が創傷に接触しない場所に位置し、第一及び第二の形態のエネルギーの少なくとも一つがスプレーを介して照射され、そして第一及び第二の形態のエネルギーの創傷への照射が創傷の治癒時間を減少させる治療効果を与え、第一及び第二の形態のエネルギーがレーザー、電流、磁気、紫外線、マイクロ波、無線周波数、赤外光、干渉性照射、非干渉性照射、X線、及びガンマー線からなる群から選ばれるものであることを特徴とする第一及び第二の形態のエネルギーを使用する創傷処置装置。
【請求項35】
第一の形態のエネルギー発生手段が超音波エネルギー発生手段を含み、そしてさらに超音波エネルギーの少なくとも一部がスプレーを介して創傷に照射されるように、スプレーを発生させる物質を超音波エネルギー発生手段に導入するための手段をさらに含む請求項34記載の装置。
【請求項36】
同時又は同時でない作動のどちらか一つを与えるために第一の形態のエネルギー発生手段及び第二の形態のエネルギー発生手段の作動を制御するための手段をさらに含む請求項34記載の装置。
【請求項37】
創傷表面に接触しない場所に位置しガス状媒体を介して創傷に接触しない場所から超音波エネルギーを照射する超音波エネルギー発生手段、及び創傷表面に接触しない場所に置かれたレーザーエネルギー発生手段からなり、超音波エネルギー発生手段とレーザーエネルギー発生手段は同じケース内に収められており、超音波エネルギーとレーザーエネルギーの創傷への照射が創傷の治癒時間を減少させる治療効果を与えることを特徴とする超音波エネルギーとレーザーエネルギーを使用する創傷処置装置。
【請求項38】
同時作動及び同時でない作動のいずれか一つを与えるために超音波エネルギー発生手段及びレーザーエネルギー発生手段の作動時間を自動的に制御するための手段をさらに含む請求項37記載の装置。
【請求項39】
同時作動及び同時でない作動のいずれか一つを与えるために超音波エネルギー発生手段及びレーザーエネルギー発生手段の作動時間を自動的に制御するための手段をさらに含む請求項16記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−517810(P2006−517810A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518573(P2005−518573)
【出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/002962
【国際公開番号】WO2004/089469
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(502438260)アドバンスト メディカル アプリケーションズ インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】