説明

加水分解により開裂可能な結合を含むオレフィン共重合体および分解可能な製品におけるそれらの使用

本発明は、非加水分解性モノマー単位および加水分解性モノマー単位で構成されるオレフィン共重合体に関し、この加水分解性モノマー単位は、水性の塩基または酸の存在下で加水分解によって開裂し得る結合を含むモノマーの共重合によって生じる。一般的に、加水分解性モノマー単位は、共重合体の実質的な比率を構成し、これによって、加水分解されると、共重合体の実質的な部分は低分子量フラグメントに分解する。少なくとも部分的に分解性共重合体で構成される分解性物品も提供され、加水分解性モノマー単位が少なくとも共重合体の20モル%を占める。これらとしては、農業フィルム製品、粘着テープ、ベッドリネン、容器、使い捨て吸収性物品、包装材料、バッグ、ラベル、枕カバー、防護服、外科的ドレープ、スポンジ、タンポン塗布具、使い捨て注射器、仮囲いおよび仮羽目板、玩具、拭き取り繊維が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、全体として、オレフィン共重合体に関し、より詳しくは、加水分解によって開裂し得る結合を含むオレフィン共重合体、ならびにそのような共重合体を合成する方法および使用する方法に関する。さらに、本発明は、酸性および/または塩基性pHで加水分解によって開裂し得る結合を含むオレフィン共重合体で構成されるリサイクル可能な製品に関する。本発明は、重合体化学それ自体のみならず、リサイクル産業および廃棄物処理産業も含むさまざまな分野、およびリサイクル可能な製品が望まれる製造分野で有用性を有する。
【背景技術】
【0002】
多くの生分解性高分子が生分解性および堆肥変換性の望ましい特性を有することが見いだされたが、多くの場合、それらの生分解性高分子には、商業的にもっと受け入れられる製品を提供するために望ましいまたは必要な別の性質が欠けている。室温で、多くの生分解性高分子は、多くの用途に必要な望ましいパンクおよび引き裂き強度を提供するには脆すぎるか、または保管および輸送に耐える十分な安定性を有しないか、のどちらかである。さらに、多くの生分解性高分子は、商用製造ラインを用いてフィルムに加工するのが難しい。
【0003】
そのような難点を克服する試みとして、改善された分解特性を有する熱可塑性フィルムを開発する努力において、重合体物質と他の重合体または天然生分解性成分とのブレンドが試みられた。例えば、Oteyらの米国特許第4,133,784号明細書には、デンプンおよびエチレン/アクリル酸共重合体から調製した改善された耐湿性を有する分解性マルチフィルムが記載されている。Knottらの米国特許第5,091,262号明細書には、デンプン充てん内部層と易分解物充てん外部層とを含む多層ポリエチレンフィルムが記載されている。Tuckerの米国特許第5,108,807号明細書には、ポリビニルアルコール製コア層と、ポリエチレンおよび易分解物製外層とを有する多層熱可塑性フィルムが記載されている。Wnukらの米国特許第5,391,423号明細書には、おむつ、失禁パッド、サニタリーナプキンおよびパンティライナーなどの使い捨て吸収性製品に使用するためのさまざまな生分解性高分子から調製した多層フィルムが記載されている。
【0004】
シートおよびフィルムの形の一般的な非分解性または難分解性プラスチック製品(例えば、プラスチックごみ袋およびパッケージ包装材料の場合のように)は、主に、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニル重合体などの炭化水素重合体から製造される。そのような炭化水素重合体とデンプンとの組み合わせは、あまり広く受け入れられていない。例えば、他の炭化水素成分とともにデンプンを組み込んだごみ袋は、物理的に分解性である。つまり、デンプンが生分解すると多くの小さな部分に分かれる。例えば、Griffinの米国特許第4,016,117号およびOteyらの米国特許第4,337,181号明細書を参照のこと。Pettijohn(1992年)の「Starch/Polyolefin Blends as Environmentally Degradable Plastics」、Chemtech、627頁およびWillett(1994年)のJ.Appl.Polym.Sci.第54巻、1685〜1695頁も参照のこと。これらのデンプン含有製品の表面に露出した、または表面に近いデンプン粒子は、初期に生分解して浸出する。その後、製品の内部でデンプン粒子が次々に生分解して、酸化、加水分解、直接酵素作用のプロセスまたはこれらのプロセスの組み合わせによってもっと容易に攻撃される網状の構造を提供する。しかし、そのようなデンプン含有製品は、例えば、Gallagherらの米国特許第5,219,646号明細書によって、当分野で認識されているように、依然として非生分解性重合体残留物を後に残す。炭化水素成分は、分解およびミネラル化に対して抵抗性のままである。ある種の状況では、炭化水素成分は、デンプンをカプセル化し、それによって、デンプンのそれ以上の生分解を妨げる傾向さえ有すると考えられる。さらに、大量のデンプンを組み込んだ材料は、湿気に対して非常に敏感であり、湿度レベルによって著しく変化する機械的性質を有する。従って、もっと良い生分解性フィルムを製造するための改善された重合体組成物が求められている。
【0005】
環境を汚染することなく広く使用できる分解性繊維への必要もある。釣り糸および魚網などの漁業資材として、昆虫ネットまたは鳥ネットおよび植物ネットとして農業資材において、日常生活用物品のための布繊維および不織繊維において、おむつ、失禁パッド、サニタリーナプキン、パンティライナー、タンポンおよびおむつなどのパーソナルケア製品において、および抜糸しない手術縫合糸、手術ネットおよび縫合糸強化材料などの医療用具において、そのような改善された繊維が必要である。微生物の作用によって分解できる繊維が記載されている。ラクトンまたはポリエステル繊維を含むそのような繊維の例が、Kimuraらの米国特許第6,235,393号明細書に記載されている。しかし、そのような繊維は、品質管理を維持しながら製造するのが難しく、および/または高価であり、いくつかの製品は、柔軟性が不十分なため使用するのが難しい。合成重合体から製造した最近人気がある繊維の形は、「二成分」繊維と呼ばれている。二成分繊維は、1つの重合体から造られたコア繊維と、コア繊維を内包する別の重合体から造られた熱可塑性シースとを含む。多くの場合、シースを構成する重合体は、コアを構成する重合体と異なる温度、一般に低温で溶ける。その結果、そのような二成分繊維は、コア重合体の望ましい強度特性を維持しながら、制御されたシース重合体の融解によって熱接着を提供することができる。一般に、外側のシースは、多くの場合に約50℃から約200℃の範囲に軟化点および/または融点を有するポリエチレン、ポリプロピレン、ある種のポリエステル類および類似物で構成される。しかし、全体としては、そのような繊維を製造するのは依然として難しく、および/または高価である。
【0006】
分解性および/または堆肥変換性があれば望ましい多数のその他の重合体利用製品がある。例えば、おむつのトップシートおよびバックシートのように、および農業用グラウンドカバーのように、包装材料に用いられるフィルムおよびラミネートは、短い使用期間中だけ分解しなければよい。分解性が望ましいその他の重合体利用製品は、タンポン塗布具、使い捨て注射器、牛乳ボトル、ショッピングバッグ、食品包装材、飲料「6個パック」リングおよび類似物などの成型品である。理想的には、そのような成型品は、下水道システムまたは浄化槽中で実質的に分解するか、または処分場で分解すれば、視覚的なゴミ問題または野生生物への危険性の原因となることを避けられると考えられる。
【0007】
農業用マルチ用のプラスチックフィルム製品は、合成重合体の持久性によって引き起こされる問題を代表する。ポリエチレンは、農業用マルチ製品を製造する際に用いられる最も普通の重合体であり、デンプンとのブレンドは、ごみ袋容器について上記で説明したものと同様な欠点を有する。包装およびゴミ袋用のフレキシブルフィルム製品と同じく、そのような農業用マルチ製品は、何年も持続し、厄介な存在になる。栽培期の終りに分解できるプラスチックマルチへの必要がある。改善した分解性は、カプセル化殺虫剤、除草剤および肥料などその他の農業用製品からの活性薬剤の「徐放」用品目を提供するためにも望ましい。
【0008】
重合体の環境分解性を高めるいくつかの手法が示唆され、試みられた。酸化分解および/または光酸化分解を加速させるために、重合体の分子構造に光増感基が加えられ、少量の選択添加剤が組み込まれた。しかし、光分解は、プラスチックが光に暴露されれば十分に機能するだけであり、製品が地下水、土壌または通常の埋め立てなどの暗い環境中で処分されると全く役に立たない。酸化加速剤も、使用前または使用中に、脆化などの望ましくない重合体の機械的性質の変化を引き起こす可能性がある。
【0009】
合成重合体で製造した物品を環境分解性にする別の手法は、重合体自体を生分解性または堆肥化可能にすることである。生分解性重合体組成物に関する全般的な概要については、Swift(1993年)のAcc.Chem.Res.第26巻105〜110頁を参照のこと。この仕事の大部分は、加水分解性ポリエステル組成物、化学的に修飾したセルロース、デンプンまたはキチンなどの天然高分子、ある種のポリアミド類またはそれらのブレンドを利用してきた。例えば、Gallagherらの米国特許5、219、646号明細書(加水分解性ポリエステルとデンプンとのブレンド)を参照のこと。ポリビニルアルコールは、骨格中にヘテロ原子を1つも有しない一般的に生分解性と見なされる唯一の合成高分子量付加重合体であるが、確実な重合体の製造が難しい。Hocking(1992年)のJ.Mat.Sci.Rev.Macromol.Chem.Phys.C第32巻1号35〜54頁、Cassidyら(1981年)のJ.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.C第21巻1号89〜133頁、および「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」、第2版、Wiley&Sons,New York、第2巻、220頁も参照のこと。(非公開のレポートでは、この生分解性合成重合体のリストにポリ(2−シアノアクリル酸アルキル)が加えられる)。
【0010】
天然ゴム(シス−1,4−ポリイソプレン)も易生分解性である。天然ゴムは、重合体骨格中に炭素−炭素二重結合を保持し、それが酸素および/または微生物/菌類のどれかによる攻撃を容易にし、続いて分子鎖切断、分子量低下および最終的には重合体の全体的な分解に至ると考えられている。Heapら(1968年)のJ.Appl.Chem.第18巻189〜194頁を参照のこと。天然ゴムの生分解の正確な機構は知られていない。アリル位メチル置換基の酵素および/または空気酸化が関与している可能性がある。Tsuchiiら(1990年)のAppl.Env.Micro.269〜274頁、Tsuchiiら(1979年)のAgric.Biol.Chem.第43巻12号2441〜2446頁、および上記のHeapらを参照のこと。対照的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリレートおよびポリスチレンなどの非生物分解性重合体は、酸素および/または微生物のどちらかによる攻撃を助長しない飽和炭素−炭素骨格を有する。この生分解性は、天然形のゴムについてだけ認識された。
【0011】
残念ながら、天然ゴムは、ほとんどの用途に不安定すぎる程度に生分解性である。天然ゴムは、機械的性質(例えば強度、耐クリープ性)も貧弱である。実際、天然ゴムの機械的性質を高めるために、通常、安定剤、充填材および/または架橋剤が天然ゴムに加えられる。一般に、実用に十分な機械的な形状を提供するために、架橋剤が必要である。しかし、もっとも普通の架橋プロセスは、すなわち、加硫によって、天然ゴムの生分解性を実質的になくしてしまうポリスルフィド結合を創り出す。Tsuchiiら(1990年)のJ.Appl.Polym.Sci.第41巻1181〜1187頁を参照のこと。架橋天然ゴムは、エラストマー性および熱硬化性でもあり、従ってブローフィルムまたは押し出しフィルム、射出成型品、繊維またはその他のメルト加工物品には不適である。
【0012】
(1)環境中で生分解であり、同時に自治体廃棄物処理操作中に生分解性または堆肥化可能であり、(2)フィルム、繊維、コーティング、発泡体および類似物を含むさまざまな形に成型、キャスト、押し出しまたはメルト加工できるように、熱可塑性であり、(3)妥当なコストで製造でき、(4)適切に処分されるまで、使用中に十分な靭性、強度および安定性を有する重合体含有製品を提供すれば、望ましい。従って、分解および環境加水分解に関して再現可能で予測可能な性質を提供し、非常に顕著な程度に加水分解して小さな、可溶性の、全体として非毒性の重合体フラグメントを提供する重合体または共重合体が必要とされている。
【0013】
多くの目的にとって、付加重合によって合成されるポリオレフィンによって提供される非常に優れた物理的性質は望ましい。しかし、今日に至るまで、そのような重合体への極性部分、例えば加水分解可能な極性結合の組み込みは、多くの極性単量体が、一般に用いられる有機金属重合触媒を被毒し、または、有機金属重合触媒に競争配位するので、限られた成功しか収めていない。エチレンなどのオレフィンと、アクリル酸エステルなどの極性モノマーとの共重合体は、当初、2段階重合、例えば既に製造されたポリオレフィン分子鎖上へのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルモノマーの後重合によって製造されるブロック共重合体に限定されていた。Yasudaらの米国特許第5,563,219号、Yasudaらの欧州特許第0799842号、Gotoらの欧州特許第0462588号およびHajimeらの欧州特許第0442476号明細書を参照のこと。特開平04−45108号明細書は、ホモ重合体ポリエチレンと比較して、改善された接着強さを示すと記載される、4.7モル%アクリル酸エチルを含むエチレン共重合体(数平均分子量Mn9,100、重量平均分子量Mw22,500)の合成に関する。Johnsonら(1996年)のJ.Am.Chem.Soc.第118巻267〜8頁には、Brookhart型触媒を用いるオレフィン−アクリル酸エステルランダム共重合体の生成が記載されている。しかし、これらの重合体のどれも、重合体の骨格に加水分解性の結合を含まず、従って加水分解によって分解し得ない。
【0014】
Ouchiら(1989)のJ.Chem.Soc.Japan第71巻7号1078〜82頁には、スチレンおよび他のビニルモノマーと、加水分解性結合を含むモノマーであるジアリリデンペンタエリスリトール(DAPE)とのフリーラジカル共重合が記載されている。しかし、このプロセスでは、(1)比較的少ない加水分解性モノマーしか組み込まれていない共重合体、または(2)高いレベルの取り込みでは固有粘度の顕著な低下を示す共重合体が生成した。より高いレベルの加水分解性モノマー取り込みは、より低い重合速度と関連することが見いだされた。さらに、使用した反応条件は、非立体規則性重合体を生成すると予想される。
【0015】
Austinらは、国際特許公開WO92/12185号明細書で、エステル結合を含む生分解性および光分解性重合体を製造する方法を記載している。開示された重合法は、エチレンと、環状ケテンアセタール、2−メチレン−1,3−ジオキセパン(MDOP)との間のラジカル開始開環共重合反応を含む。得られた共重合体は、エチレンモノマー単位(−CH−CH−)および構造−(CO)−O−(CH−を有するエステル含有モノマー単位の両方を含む。しかし、共重合体中に組み込まれたエステル含有モノマー単位の最大量は、原料中のMDOPの量が25重量%に増加したときでさえ、3.20モル%に過ぎなかった。そのような共重合体は、非常に限られた程度にしか加水分解せず、分解性製品を提供する上で最小限の有用性しかないであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、部分的に、水性塩基または水性酸の存在下で加水分解し得ることによって分解性であるオレフィン共重合体を目的とする。本共重合体は、非加水分解性モノマー単位および加水分解性モノマー単位を含み、後者は、酸性または塩基性条件下で加水分解によって開裂し得る少なくとも1つの結合を含むことによって加水分解性である。
【0017】
1つの局面では、本発明は、以下のような共重合体を提供する。
【0018】
(a)前記非加水分解性モノマー単位は、非加水分解性オレフィンモノマーの重合から生成し、
(b)前記加水分解性モノマー単位は、酸性または塩基性条件下で加水分解によって開裂し得る少なくとも1つの結合を含む加水分解性オレフィンモノマーの重合から生成し、ここで前記結合は、カーボネート、N−置換アミド、N−置換ウレタン、N−置換イミノ、置換イミド、N,N−二基置換ヒドラゾ、チオエステル、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、オルトエステル、エーテルおよびチオから選択される。
【0019】
1つの例として、前記非加水分解性モノマー単位は、構造RCH=CHRを有するモノマーの共重合から生成する−RCH−CHR−の形であり、ここで、Rはヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキル、または置換C〜C24ヘテロアルキルであり、Rはヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキル、置換C〜C24ヘテロアルキル、C〜C24アルケニル、置換C〜C24アルケニル、C〜C24ヘテロアルケニル、置換C〜C24ヘテロアルケニル、C〜C24アリール、置換C〜C24アリール、C〜C24ヘテロアリール、置換C〜C24ヘテロアリール、C〜C24アルカリール、置換および/またはヘテロ原子含有C〜C24アルカリールまたはハロであり、あるいは、ここで、RおよびRは結合して環状基(RおよびRが直接結合する2つのオレフィン炭素原子を含む)、一般に5員環から8員環を形成する。前記第二のモノマー単位は、加水分解性で、−CHR−CH−(L−X−(L−CH−CHR−の形であり、構造RCH=CH−(L−X−(L−CH=CHRを有するモノマーの共重合から生成し、ここで、RおよびRは独立してヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキル、置換C〜C24ヘテロアルキル、C〜C24アリール、置換C〜C24アリール、C〜C24ヘテロアリールまたは置換C〜C24ヘテロアリールであり、Xは酸性または塩基性pHで加水分解によって開裂し得る前記結合であり、LおよびLは必要に応じて置換および/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基であり、加水分解によって開裂し得る別の結合を含むことがあり、mおよびnは独立して0または1である。全体として、共重合体中の第二のモノマー単位の量は、約15モル%から約75モル%の範囲である。
【0020】
関連する局面では、本発明は、最大80モル%の上記で説明した非加水分解性モノマーの少なくとも1つ、および少なくとも20モル%のRCH=CH−(L−X−(L−CH=CHR、式中R、R、L、L、m、nおよびXは上記で定義したと同じ、の形のジオレフィンモノマーを含むモノマー混合物の、(a)(i)第4、5または6族遷移金属のメタロセン錯体および(ii)第8族遷移金属の1,2−ジイミン錯体またはそれらの類似体から選択される触媒有効量の遷移金属錯体、および(b)前記錯体をカチオンまたは双性イオンにする触媒活性化剤の存在下における、付加重合によって合成される分解性オレフィン共重合体を提供し、ここで、前記ジオレフィンモノマーは、カーボネート、N−置換アミド、N−置換ウレタン、N−置換イミノ、置換イミド、N,N−二基置換ヒドラゾ、チオエステル、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、オルトエステル、エーテルおよびチオから選択される加水分解によって開裂し得る結合を含む。
【0021】
本発明は、少なくとも1つの分解性共重合体および少なくとも1つの別の重合体を含む重合体ブレンドにも関し、ここで、前記少なくとも1つの分解性重合体は、非加水分解性モノマー単位および加水分解性モノマー単位を含む骨格を有する分解性オレフィン共重合体を含み、さらに、ここで、(a)前記非加水分解性モノマー単位は、非加水分解性オレフィンモノマーの重合から生成し、(b)前記加水分解性モノマー単位は、酸性または塩基性条件下で加水分解によって開裂し得る少なくとも1つの結合を含む加水分解性オレフィンモノマーの重合から生成する。前記少なくとも1つの別の重合体は、別の分解性高分子、例えば加水分解、光分解または酵素によって分解し得る重合体および/または非分解性重合体のことがある。1つの実施態様では、前記ブレンドは、約5重量%から約99重量%の分解性高分子混合物および約1重量%から約95重量%の非分解性重合体を含み、ここで、前記分解性重合体混合物は、約30重量%から約95重量5の本発明の共重合体および約5重量%から約70重量%の少なくとも1つのさらなる分解性重合体で構成される。
【0022】
さらに別の局面では、本発明は、非加水分解性モノマー単位および加水分解性モノマー単位を含む骨格を有する分解性オレフィン共重合体を少なくとも部分的に含む分解性物品を提供し、ここで
(a)前記非加水分解性モノマー単位は、非加水分解性オレフィンモノマーの重合から生成し、
(b)前記加水分解性モノマー単位は、酸性または塩基性条件下で加水分解によって開裂し得る少なくとも1つの結合を含む加水分解性オレフィンモノマーの重合から生成し、ここで、前記結合は、カーボネート、N−置換アミド、N−置換ウレタン、N−置換イミノ、置換イミド、N,N−二基置換ヒドラゾ、チオエステル、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、オルトエステル、エーテルおよびチオから選択される。
【0023】
別の局面では、本発明は、非加水分解性モノマー単位および加水分解性モノマー単位を含む骨格を有する分解性オレフィン共重合体を少なくとも部分的に含む分解性物品を提供し、ここで
(a)前記非加水分解性モノマー単位は、非加水分解性オレフィンモノマーの重合から生成し、および
(b)前記加水分解性モノマー単位は、酸性または塩基性条件下で加水分解によって開裂し得る少なくとも1つの結合を含む加水分解性オレフィンモノマーの重合から生成し、ここで、前記分解性物品は、フィルム、繊維、発泡体、織布、不織布および成型品からなる群より選択される。特定の物品の例は、農業用フィルム製品、粘着テープ基材、ベッドリネン、容器、カバー、例えば使い捨て吸収性物品用のバックシートおよびトップシート、包装材料、バッグ、ラベル、枕カバー、防護服、外科的ドレープ、スポンジ、タンポン塗布具、使い捨て注射器、仮囲いおよび仮羽目板、玩具、拭き取り繊維、発泡プラスチック製品および徐放ペレット、ストリップおよびタブを含むが、これらに限定されない。使い捨て接着性物品は、おむつ、サニタリーナプキン、失禁パッド、パンティライナーおよび使い捨てトレーニングパンツを含むが、これらに限定されない。
【0024】
本発明のさらに別の局面では、本発明の分解性共重合体と、別の分解性成分、非分解性重合体、酸化防止剤、酸化促進剤、安定性向上剤、引っ張り強さ向上剤、光増感剤、着色剤、可塑剤、粘着性向上剤、充填材、帯電防止剤、難燃剤および乳白剤から選択される少なくとも1つの添加剤とを含む、分解性物品を調製するための組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(I.定義および命名法)
特に明記しない限り、本発明は、特定の反応剤、反応条件、配位子、金属錯体または類似物に限定されず、従って、変化することがあるものとする。本明細書で用いられる用語法は、特定の実施態様を説明するためだけのものであり、限定する意図はないものともする。特に明記しない限り、本発明は、特定のモノマー、重合体、触媒、加水分解条件または類似のものに限定されず、従って、変化することがある。本明細書で用いられる用語法は、特定の実施態様を説明するためだけのものであり、限定することを意図しない。
【0026】
本明細書および添付の請求項で用いられる単数形「a」、[an」および「the」は、明らかに異なる状況によって支配されない限り、複数の参照対象を含む。従って、例えば、「モノマー(「a monomer」)」を参照すると、種々の重合体の組み合わせまたは混合物ならびに単独の重合体が包含され、「触媒(a catalyst)」を参照すると、単一の触媒ならびに組み合わせて用いられる2つ以上の触媒および類似物の両方が包含される。
【0027】
本明細書および続く請求項では、以下の意味を有するとして定義される多数の用語が参照される。
【0028】
本明細書で用いられる句「式を有する」または「構造を有する」は、限定することを意図せず、通常、用語「含む」が用いられると同じように用いられる。
【0029】
本明細書で用いられる用語「アルキル」は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシルおよび類似物ならびにシクロペンチル、シクロヘキシルおよび類似物などのシクロアルキル基のような、必然的にではないが一般的に、1個から約24個の炭素原子を含む直鎖、分岐または環状飽和炭化水素置換基を指す。同じく、必然的にではないが一般的に、本明細書では、アルキル基は1個から約12個の炭素原子を含む。用語「低級アルキル」は、1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子のアルキル基を意図する。用語「置換アルキル」は、1個以上の置換基で置換された、すなわち水素原子が、水素ではない置換基で置換されたアルキルを指し、用語「ヘテロ原子含有アルキル」および「ヘテロアルキル」は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置換されたアルキル置換基を指す。特に明記しなければ、用語「アルキル」および「低級アルキル」は、直鎖、分岐、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有アルキルおよび低級アルキルをそれぞれ含む。
【0030】
本明細書で用いられる用語「アルキレン」は、必然的にではないが一般的に、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、n−ヘキシレン、デシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレンおよび類似物などの1個から約24個の炭素原子を含む二官能直鎖、分岐、または環状飽和炭化水素結合を含む。好ましいアルキレン結合は、1個から約12個の炭素原子を含み、用語「低級アルキレン」は、1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子のアルキレン結合を指す。用語「置換アルキレン」は、1個以上の置換基で置換された、すなわち水素原子が、水素ではない置換基で置換されたアルキレンを指し、用語「ヘテロ原子含有アルキレン」および「ヘテロアルキレン」は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置換されたアルキレン置換基を指す。特に明記しなければ、用語「アルキレン」および「低級アルキレン」は、直鎖、分岐、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有アルキレンおよび低級アルキレンをそれぞれ含む。
【0031】
本明細書で用いられる用語「アルケニル」は、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニルおよび類似物など、少なくとも1つの二重結合を含む2個から約24個の炭素原子の直鎖、分岐または環状炭化水素基を指す。本明細書では、好ましいアルケニル基は、2個から約12個の炭素原子を含む。用語「低級アルケニル」は、2個から6個、好ましくは2個から4個の炭素原子のアルケニル基を意図し、特定の用語「シクロアルケニル」は、環状アルケニル基、好ましくは5個から8個の炭素原子を有する環状アルケニル基を意図する。用語「置換アルケニル」は、1個以上の置換基で置換されたアルケニルを指し、用語「ヘテロ原子含有アルケニル」および「ヘテロアルケニル」は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置換されたアルケニルを指す。特に明記しなければ、用語「アルケニル」および「低級アルケニル」は、直鎖、分岐、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有アルケニルおよび低級アルケニルをそれぞれ含む。
【0032】
本明細書で用いられる用語「アルケニレン」は、二官能直鎖、分岐または環状アルケニル基を指し、ここで「アルケニル」は上記で定義したものと同じである。本明細書で用いられる用語「アルケニレン」は、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、n−ヘキシレン、デシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレンおよび類似物など、必然的にではないが一般に、2個から約24個の炭素原子を含み、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む二官能直鎖、分岐または環状炭化水素結合を指す。好ましいアルケニレン結合は、2個から約12個の炭素原子を含み、用語「低級アルケニレン」は、2個から6個の炭素原子、好ましくは2個から4個の炭素原子のアルケニレン結合を指す。用語「置換アルケニレン」は、1つ以上の置換基で置換された、すなわち水素原子が、水素ではない置換基で置換されたアルケニレンを指し、用語「ヘテロ原子含有アルケニレン」および「ヘテロアルケニレン」は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置換されたアルケニレン置換基を指す。特に明記しなければ、用語「アルケニレン」および「低級アルケニレン」は、直鎖、分岐、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有アルケニレンおよび低級アルケニレンをそれぞれ含む。
【0033】
本明細書で用いられる用語「アルコキシ」は、単一の末端エーテル結合によって結合したアルキル基を指す。すなわち、「アルコキシ」基は、−O−アルキルとして表わされることがあり、ここでアルキルは上記で定義されたものと同じである。「低級アルコキシ」基は、1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子を含むアルコキシ基を指し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、t−ブチルオキシ等を含む。特に明記しなければ、用語「アルコキシ」および「低級アルコキシ」は、直鎖、分岐、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有アルコキシおよび低級アルコキシをそれぞれ含む。
【0034】
本明細書で用いられる用語「アリール」は、特に明記しない限り、単一の芳香環、あるいは1つに融合した、直接結合した、または間接結合(別々の芳香環がメチレンまたはエチレン部分などの共通基に結合するように)した複数の芳香環を含む芳香族置換基を指す。好ましいアリール基は、5個から24個の炭素原子と、1個の芳香環または2個から4個の縮合あるいは結合芳香環のどれか、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニルおよび類似物とを含み、より好ましいアリール基は1個から3個の芳香環を含み、特に好ましいアリール基は1個または2個の芳香環および5個から14個の炭素原子を含む。「置換アリール」は、1つ以上の置換基で置換されたアリール部分を指し、用語「ヘテロ原子含有アリール」および「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環炭素原子がヘテロ原子で置換されたアリール基を指す。特に明記しない限り、用語「アリール」は、置換および/またはヘテロアリール化学種を含む。
【0035】
本明細書で用いられる用語「アリールオキシ」は、単一の末端エーテル結合によって結合したアリール基を指し、ここで「アリール」は上記で定義したものと同じである。「アリールオキシ」基は、−O−アリールと表わされることがあり、ここでアリールは上記で定義したものと同じである。好ましいアリールオキシ基は、5個から24個の炭素原子を含み、特に好ましいアリールオキシ基は、5個から14個の炭素原子を含む。アリールオキシ基の例は、フェノキシ、o−ハロ−フェノキシ、m−ハロ−フェノキシ、p−ハロ−フェノキシ、o−メトキシ−フェノキシ、m−メトキシ−フェノキシ、p−メトキシ−フェノキシ、2,4−ジメトキシ−フェノキシ、3,4,5−トリメトキシ−フェノキシおよび類似物を含むが、これらに限定されない。
【0036】
用語「アルカリール」は、アルキル置換基を有するアリール基を指し、用語「アラルキル」は、アリール置換基を有するアルキル基を指し、ここで「アリール」および「アルキル」は、上記で定義したものと同じである。好ましいアラルキル基は、6個から24個の炭素原子を含み、特に好ましいアラルキル基は、6個から16個の炭素原子を含む。アラルキル基の例は、ベンジル、2−フェニル−エチル、3−フェニル−プロピル、4−フェニル−ブチル、5−フェニル−ペンチル、4−フェニルシクロヘキシル、4−ベンジルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシルメチル、4−ベンジルシクロヘキシルメチルおよび類似物を含むが、これらに限定されない。アルカリール基は、例えば、p−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、p−シクロヘキシルフェニル、2,7−ジメチルナフチル、7−シクロオクチルナフチル、3−エチル−シクロペンタ−1,4−ジエニルおよび類似物を含む。
【0037】
用語「ハロ」は、クロロ、ブロモ、フルオロまたはヨード置換基を指す通常の意味で用いられる。
【0038】
「ヒドロカルビル」は、アルキル基、アルケニル基、アリール基および類似物などの直鎖、分岐、環状、飽和および不飽和化学種を含む1個から約24個の炭素原子、もっとも好ましくは1個から約12個の炭素原子を含む一価ヒドロカルビルラジカルを指す。用語「低級ヒドロカルビル」は、1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子のヒドロカルビル基を意図する。用語「ヒドロカルビレン」は、直鎖、分岐、環状、飽和および不飽和化学種を含む1個から約24個の炭素原子、もっとも好ましくは1個から約12個の炭素原子を含む二価ヒドロカルビル部分を意図し、用語「低級ヒドロカルビレン」は、1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子のヒドロカルビレン基を意図する。用語「置換ヒドロカルビル」は、1つ以上の置換基で置換されたヒドロカルビルを指し、用語「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」および「ヘテロヒドロカルビル」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されたヒドロカルビルを指す。同様に、「置換ヒドロカルビレン」は、1つ以上の置換基で置換されたヒドロカルビレンを指し、用語「ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン」および「ヘテロヒドロカルビレン」は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されたヒドロカルビレンを指す。特に明記しない限り、用語「ヒドロカルビル」および「ヒドロカルビレン」は、それぞれ置換および/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビルおよびヒドロカルビレン部分を含むと解釈されるものとする。
【0039】
「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基」におけるような用語「ヘテロ原子含有」は、1つ以上の炭素原子が炭素以外の原子、例えば窒素、酸素、硫黄、リンまたはケイ素、一般に窒素、酸素または硫黄で置換された炭化水素分子またはヒドロカルビル分子フラグメントを指す。同様に、用語「ヘテロアルキル」は、ヘテロ原子含有のアルキル置換基を指し、用語「複素環」はヘテロ原子含有の環状置換基を指し、用語「ヘテロアリール」および「ヘテロ芳香族」はそれぞれヘテロ原子含有の「アリール」および「芳香族」置換基および類似物を指す。「複素環」基または化合物は、芳香族または非芳香族のことがあること、さらに、用語「アリール」について上記で説明したように、「複素環」は単環、二環、または多環化合物のことがあることに注意すべきである。
【0040】
前記定義のいくつかで示唆したように、「置換アルキル」、「置換アリール」および類似物におけるような「置換」は、前記アルキル、アリールまたは他の部分において、炭素(または他の)原子に結合する少なくとも1つの水素原子が1つ以上の非水素置換基で置換されていることを意味する。そのような置換基の例は、ハロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C〜C24アルコキシ(好ましくはC〜C12アルコキシ、より好ましくはC〜Cアルコキシ)、C〜C24アリールオキシ(好ましくはC〜C14アリールオキシ)、アシル(C〜C24アルキルカルボニル(−CO−アルキル)およびC〜C24アリールカルボニル(−CO−アリール)、好ましくはC〜C12アルキルカルボニルおよびC〜C16アリールカルボニル、もっとも好ましくはC〜Cアルキルカルボニルを含む)、アシルオキシ(−O−アシル)、C〜C24、好ましくはC〜C12、もっとも好ましくはC〜Cアルコキシカルボニル(−(CO)−O−アルキル)、C〜C24、好ましくはC〜C14アリールオキシカルボニル(−(CO)−O−アリール)、ハロカルボニル(−CO)−X、ここでXはハロ)、カルボキシ(−COOH)、カルボキシラート(−COO)、カルバモイル(−(CO)−NH)、モノ−(C〜C24、好ましくはC〜C12アルキル、もっとも好ましくはC〜Cアルキル)−置換カルバモイル(−(CO)−NH(アルキル))、ジ−(C〜C24、好ましくはC〜C12ジアルキル、もっとも好ましくはC〜Cジアルキル)−置換カルバモイル(−(CO)−N(アルキル))、モノ−(C〜C24、好ましくはC〜C14アリール)−置換カルバモイル(−(CO)−NH−アリール)、ジ−(C〜C24、好ましくはC〜C14アリール)−置換カルバモイル(−(CO)−N(アリール))、ジ−N−(C〜C24、好ましくはC〜C12アルキル、もっとも好ましくはC〜Cアルキル)、N−(C〜C24、好ましくはC〜C14アリール)−置換カルバモイル、チオカルバモイル(−(CS)−NH)、カルバミド(−NH−(CO)−NH)、ホルミル(−(CO)−H)、チオホルミル(−(CS)−H)、アミノ(−NH)、モノ−(C〜C24、好ましくはC〜C12アルキル、もっとも好ましくはC〜Cアルキル)−置換アミノ、ジ−(C〜C24、好ましくはC〜C12アルキル、もっとも好ましくはC〜Cアルキル)−置換アミノ、モノ−(C〜C24、好ましくはC〜C14アリール)−置換アミノ、ジ−(C〜C24、好ましくはC〜C14アリール)−置換アミノ、C〜C24、好ましくはC〜C12、もっとも好ましくはC〜Cアルキルアミド(−NH−(CO)−アルキル)、C〜C24、好ましくはC〜C14アリールアミド(−NH−(CO)−アリール)、ニトロ(−NO2)、スルホ(−SO−OH)、スルホナト(−SO−O)、C〜C24、好ましくはC〜C12、もっとも好ましくはC〜Cアルキルスルファニル(−S−アルキル、「アルキルチオとも呼ばれる)、アリールスルファニル(−S−アリール、「アリールチオ」とも呼ばれる)、C〜C24、好ましくはC〜C12、もっとも好ましくはC〜Cアルキルスルフィニル(−(SO)−アルキル)、C〜C24、好ましくはC〜C14アリールスルフィニル(−(SO)−アリール)、C〜C24、好ましくはC〜C12、もっとも好ましくはC〜Cアルキルスルホニル(−SO−アルキル)、C〜C24、好ましくはC〜C14アリールスルホニル(−SO−アリール)、ホスホノ(−(O)(OH))、ホスホナート(−P(O)(O)、ジ(C〜C24、好ましくはC〜C12、もっとも好ましくはC〜C)−アルキルホスホニル(−P(O)(O−アルキル))、ジ(C〜C24、好ましくはC〜C14)−アリールホスホニル(−P(O)(O−アリール))、ホスフィナート(−P(O)(O−))、C〜C24、好ましくはC〜C12、もっとも好ましくはC〜Cアルキルホスフィニル(−P(O)(O−アルキル))、C〜C24、好ましくはC〜C14アリールホスフィニル(−P(O)(O−アリール))、ホスホ(−PO)、およびホスフィノ(−PH2)などの官能基、および前記ヒドロカルビル部分C〜C24アルキル(好ましくはC〜C12アルキル、より好ましくはC〜Cアルキル)、C〜C24アルケニル(好ましくはC〜C13アルケニル、より好ましくはC〜Cアルケニル)、C〜C24アルキニル(好ましくはC〜C12アルキニル、より好ましくはC〜Cアルキニル)、C〜C24アリール(好ましくはC〜C14アリール)、C〜C24アルカリール(好ましくはC〜C16アルカリール)、およびC〜C24アラルキル(好ましくはC〜C16アラルキル)を含むが、これらには限定されない。
【0041】
さらに、上述の官能基は、特定の基で可能なら、1つ以上の追加の官能基、または上記で詳しく列挙したものなどの1つ以上のヒドロカルビル部分でさらに置換されることがある。同じように、上述のヒドロカルビル部分は、1つ以上の官能基または詳細に列挙したものなどの追加のヒドロカルビル部分でさらに置換されることがある。
【0042】
可能な置換基のリストの前に用語「置換」があるとき、この用語は、その群のすべてのメンバーに適用されるものとする。例えば、句「置換アルキル、アルケニルおよびアリール」は、「置換アルキル、置換アルケニルおよび置換アリール」と解釈するものとする。同じように、可能なヘテロ原子含有基のリストの前に用語「ヘテロ原子含有」があるとき、この用語は、その群のすべてのメンバーに適用されるものとする。例えば、句「ヘテロ原子含有アルキル、アルケニルおよびアリール」は、「ヘテロ原子含有アルキル、置換アルケニルおよび置換アリール」と解釈するものとする。
【0043】
付加重合における用語「コモノマー」は、特に明記しない限り、加水分解性コモノマーを指す。
【0044】
「ジエンコモノマー」は、2つの二重結合が別々の重合体骨格に組み込まれる架橋剤としての取り込みに対比して、両方の二重結合が重合体骨格中に直鎖状に組み込まれるとき、連鎖延長剤として組み込まれる。
【0045】
用語「分解性」は、前記分子セグメント、前記共重合体または製品中に取り込まれた共重合体中にある加水分解によって開裂し得る結合によって、酸または塩基加水分解によって分解できる分子セグメント、共重合体または製品を指す。
【0046】
用語「加水分解性」は、酸性または塩基性pHにおいて加水分解によって開裂し得る2つの原子の間の共有結合性化学結合を含む化合物または分子セグメント(例えば、モノマーまたはモノマー単位)を指す。異なる種類の化合物には異なるpHが必要であり、ある種の化合物および結合は中性(7.0)に近いpHで加水分解によって開裂し得るが、他の化合物および結合は加水分解による開裂のためにこれより高いまたは低いpHを必要とすることがあることは自明であろう。本共重合体は、最終的にリサイクルを含む廃棄物処分処理の対象となる分解性製品での使用を意図するので、加水分解による開裂を可能にすることが知られているpHで任意の処分後処理を実行することによって、加水分解を確実にすることがある。処理を含まない通常の方法で製品が処分されるなら、製品は環境pHの自然な変動の結果として加水分解する。さらに、消費者は、例えば、おむつ、サニタリーナプキン、失禁パッド、パンティライナー、タンポンまたは類似物をトイレに廃棄し、フラッシングの前にpH調節化合物を水に加えることによって、ある種の製品の加水分解を容易にすることがある。本明細書では、好ましい加水分解性結合は、塩基開裂性である。
【0047】
逆に、「非加水分解性」は、酸性または塩基性pHにおいて加水分解によって開裂し得る2つの原子の間の共有結合性化学結合を含まない化合物または分子セグメント(例えば、モノマーまたはモノマー単位)を指す。
【0048】
本明細書で用いられる「不均一」触媒は、必然的にではないが一般に、ケイ素および/またはアルミニウム酸化物などの無機、固体、粒状の多孔質物質で構成される基質である担体に担持した触媒を指す。
【0049】
本明細書で用いられる「均一」触媒、担持されず、適当な溶媒中で初期モノマー成分と単に混合される触媒を指す。
【0050】
「オプションの」または「必要に応じて」は、次に説明される状況が起こる場合または起らない場合があり、従って前記説明は、前記状況が起こる場合、および前記状況が起こらない場合を含むことを意味する。例えば、句「必要に応じて置換された」は、所定の原子上に非水素置換基が存在するか、または存在しないことを意味し、従って、この説明は、非水素置換基が存在する構造および非水素置換基が存在しない構造を含む。
【0051】
(II.分解性オレフィン共重合体)
本重合体は、分解性、特に加水分解性が望ましいか、または必要な多くの用途で用いることができる。下記のセクションIVで潜在的な用途を詳しく考察する。
【0052】
主題共重合体は、加水分解性でない第一のモノマー単位と、加水分解性である第二のモノマー単位とを含む加水分解によって分解し得るオレフィン共重合体であり、加水分解性モノマーは隣接しない。
【0053】
第一のモノマー単位は、CHR=CHRの形の第一の付加重合モノマーから誘導される。ここで、Rはヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキルまたは置換C〜C24ヘテロアルキル、好ましくは、ヒドリドまたはC〜C12アルキル、もっとも好ましくはヒドリドまたは低級アルキルであり、Rはヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキル、置換C〜C24ヘテロアルキル、C〜C24アルケニル、置換C〜C24アルケニル、C〜C24ヘテロアルケニル、置換C〜C24ヘテロアルケニル、C〜C24アリール、置換C〜C24アリール、C〜C24ヘテロアリール、置換C〜C24ヘテロアリール、C〜C24アルカリール、置換および/またはヘテロ原子含有C〜C24アルカリールまたはハロ、好ましくは、ヒドリド、C〜C12アルキル、置換C〜C12アルキル、C〜C12ヘテロアルキル、置換C〜C12ヘテロアルケニル、C〜C12アルケニル、置換C〜C12アルケニル、C〜C12ヘテロアルケニル、置換C〜C12ヘテロアルケニル、C〜C14アリール、置換C〜C14アリール、C〜C14ヘテロアリール、置換C〜C14ヘテロアリール、C〜C16アルカリール、置換および/またはヘテロ原子含有C〜C16アルカリールまたはハロ、もっとも好ましくは、ヒドリド、低級アルキル、置換低級アルキル、低級ヘテロアルキル、置換低級ヘテロアルキル、C〜C14アリール、置換C〜C14アリール、C〜C14ヘテロアリール、置換C〜C14ヘテロアリール、C〜C16アルカリール、置換および/またはヘテロ原子含有C〜C16アルカリールまたはハロであり、あるいは、ここで、RとRとは結合して環状の基、一般に5員環から8員環(RおよびRが直接結合する2つのオレフィン炭素原子を含む)を形成する。そのような場合、前記2つのオレフィン炭素原子は、ブリッジ−Q−を通して結合し、ここで、Qはヒドロカルビレンであって3原子から7原子のスペーサーを提供し、必要に応じて、Qは1つ以上のアルキル、アリール、アルコキシ、ハロまたは類似物などの置換基で置換され、および/またはO、SまたはNなどの1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0054】
そのようなモノマーの例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1,3−ブタジエン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1−オクテン、1,6−オクタジエン、1−ノネン、1−デセン、1,4−ドデカジエン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよびそれらの混合物を含む直鎖または分岐オレフィンなど、約2個から約20個の炭素原子を有するオレフィンを含む。環状オレフィン類、ジオレフィン類、トリオレフィン類、テトラオレフィン類なども用いられることがあり、そのような化合物は、例えば、シクロペンテン、3−ビニルシクロヘキセン、ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、4−ビニルベンゾシクロブタン、テトラシクロドデセン、ジメタノオクタヒドロナフタレンおよび7−オクテニル−9−ボラビシクロ−(3,3,1)ノナンを含む。本方法を用いて重合されることがある芳香族オレフィンおよびビニルモノマーは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−フルオロスチレン、インデン、4−ビニルビフェニル、アセナフタレン、ビニルフルオレン、ビニルアントラセン、ビニルフェナントレン、ビニルピレンおよびビニルクリセンを含むが、これらに限定されない。本方法の状況内で重合されることがあるさらにその他のモノマーは、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ビニルシラン、フェニルシラン、トリメチルアリルシラン、アクリロニトリル、マレイミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、イソブチレン、一酸化炭素、アクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリロニトリルおよびメタクリル酸を含む。
【0055】
第二のモノマー単位は、構造CHR=CH−(L−X−(L−CH=CHRを有するモノマーから誘導される。ここで、R、R、L、L、m、nおよびXは下記で定義されるものと同じである。
【0056】
およびRは、独立してヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキル、置換C〜C24ヘテロアルキル、C〜C24アリール、置換C〜C24アリール、C〜C24ヘテロアリールまたは置換C〜C24ヘテロアリール、好ましくはヒドリド、C〜C12アルキル、置換C〜C12アルキル、C〜C12ヘテロアルキル、置換C〜C12ヘテロアルキル、C〜C14アリール、置換C〜C14アリール、C〜C14ヘテロアリールまたは置換C〜C14ヘテロアリール、より好ましくはヒドリドまたは低級アルキル、さらにより好ましくはヒドリドまたはメチル、もっとも好ましくはヒドリドである。
【0057】
およびLは、必要に応じて、置換および/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、例えば、C〜C24アルキレン、置換C〜C24アルキレン、C〜C24ヘテロアルキレン、置換C〜C24ヘテロアルキレン、C〜C24アルケニレン、置換C〜C24アルケニレン、C〜C24ヘテロアルケニレンまたは置換C〜C24ヘテロアルケニレン、好ましくはC〜C12アルキレン、置換C〜C12アルキレン、C〜C12ヘテロアルキレンまたは置換C〜C12ヘテロアルキレン、もっとも好ましくは置換または非置換低級アルキレン、最適には非置換低級なアルキレンである。Lおよび/またはLは、Xについて下記で説明する加水分解によって開裂し得る結合を含むことがある。さらに、Lおよび/またはLが置換されているとき、その置換基はアルケニル基、例えば置換または非置換アリル部分のことがあり、2つ以上のそのような置換基がLおよびLのそれぞれに存在することができる。従って、前記加水分解性モノマーは、ポリオレフィン、例えばトリオレフィンまたはテトラオレフィンのことがある。1つの代表的なそのようなモノマーは、テトラアリルオキシシランである。
【0058】
下添字mおよびnは、独立して0または1であり、これによってLおよびLが存在するか、または存在しないことがある。
【0059】
Xは、水性条件下、一般的には酸性または塩基性pHで、加水分解によって開裂し得る結合である。重合触媒の不活性化を防ぐために、Xは、活性水素原子を含む基、例えばヒドロキシル基、一級または二級アミノ基またはチオール基を含む基を含まず、触媒の金属中心を酸化させる可能性のあるいかなる基も含まない。適切なX結合は、以下を含むが、これらに限定されない;
カルボン酸エステル(−(CO)−O−)、
エノールエーテル(−CH=CH−O−)、
アセタール(−O−CR−O−)、
ヘミアセタール(−CH(OH)−O−)、
酸無水物(−(CO)−O−(CO)−)、
カーボネート(−O−(CO)−O)、
N−置換アミド(−(CO)−NR−)、
N−置換ウレタン(−O−(CO)−NR−)、
N−置換イミノ(−CH−NR−、−CHR−NR−、(−CR−NR−)、
イミド(−CH=N−)、
置換イミド(−CR=N−)、
ラクタム(−Cy(=O)−、ここでCyは3員環から7員環、一般に5員環または6員環窒素含有複素環化合物、例えばピロリドンである)、
環状イミド(−Cy−、ここでCyは−CH=N−結合を含む5員環または6員環である)、
置換環状イミド(置換−Cy−、ここでCyは−CR=N−結合を含む5員環または6員環である)、
N,N−二置換ヒドラゾ(−NR−NR−)、
二環アセタール(−CyCy−、ここでCyおよびCyはそれぞれアセタール結合を含む5員環または6員環である)、
チオエステル(−(CO)−S−)、
ホスホン酸エステル(−P(O)(OR)O−)、
スルホン酸エステル(−SO−OR−)、
オルトエステル(−C(OR)−O−)、
環状エーテルを含むエーテル(−O−)、
チオ(−S−)、
ジチオ(−S−S−)、および
シロキシル(−SiR'R”−O−SiR'R”−または−O−SiR'R”−O−)、および
シラジル(−SiR'R”−NR−SiR'R”−または−NR−SiR'R”−NR−)。
【0060】
上記の構造で、Rは、ヒドロカルビル(例えばC〜C24アルキル、C〜C24アリール、C〜C24アルカリールまたはC〜C24アラルキル、好ましくは、C〜C12アルキル、C〜C14アリール、C〜C164アルカリールまたはC〜C16アラルキル、より好ましくはC〜Cアルキル)、置換ヒドロカルビル(例えば、置換C〜C24アルキル、C〜C24アリール、C〜C24アルカリールまたはC〜C24アラルキル、好ましくは置換C〜C12アルキル、C〜C14アリール、C〜C16アルカリールまたはC〜C16アラルキル、より好ましくは置換C〜Cアルキル)、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、C〜C24ヘテロアルキル、C〜C24ヘテロアリール、C〜C24ヘテロアルカリールまたはC〜C24ヘテロアラルキル、好ましくはC〜C12ヘテロアルキル、C〜C14ヘテロアリール、C〜C16ヘテロアルカリールまたはC〜C16ヘテロアラルキル、より好ましくはC〜Cヘテロアルキル)、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、置換C〜C24ヘテロアルキル、C〜C24ヘテロアリール、C〜C24ヘテロアルカリールまたはC〜C24ヘテロアラルキル、好ましくは置換C〜C12ヘテロアルキル、C〜C14ヘテロアリール、C〜C16ヘテロアルカリールまたはC〜C16ヘテロアラルキル、より好ましくは置換C〜Cヘテロアルキル)である。最適には、Rは低級アルキルである。シロキシルおよびシラジル結合では、R'およびR”は、独立して、ヒドリド、上記で定義されるヒドロカルビルおよびアルコキシから選ばれ、好ましくはヒドリド、低級アルキルまたは低級アルコキシから選択される。
【0061】
従って、例として示す加水分解性モノマーは、以下を含むがこれらに限定されない。
【0062】
構造:
【0063】
【化1】

を有するエステル類、
構造:
【0064】
【化2】

を有するエノールエーテル類、
構造:
【0065】
【化3】

を有するアセタール類、
構造:
【0066】
【化4】

を有するヘミアセタール類、
構造:
【0067】
【化5】

を有する酸無水物類、
構造:
【0068】
【化6】

を有する環状ジケタール類、
構造:
【0069】
【化7】

を有するシロキサン類、ならびに
構造:
【0070】
【化8】

を有するイミド類。
ここでR、R、L、L、mおよびnは既に定義したものと同じであり、RおよびRは、独立して、ヒドリドまたはアルキル、好ましくはヒドリドまたは低級アルキル、もっとも好ましくはヒドリドである。
【0071】
既に述べたように、LおよびLは、加水分解によって開裂し得る結合を含むことができる。これに該当する代表的なモノマーは、構造:
【0072】
【化9】

を有するジエステルである。
【0073】
この化合物が、構造RCH=CH−(L−X−(L−CH=CHRのモノマーの、mが0、Xが−(CO)−O−、nが1、Lが−CH−O−(CO)−の場合を構成することは自明であろう。
【0074】
本共重合体は、下記でさらに説明するように、可溶性遷移金属触媒が触媒する重合によって製造される。本共重合体の分子量は、例えば、包装、使い捨て容器、使い捨ておむつ等において、本共重合体の最終的な用途に必要とされる物理的性質を提供するのに十分である。例えば、一般に、ポリエチレン共重合体の分子量(重量平均)は、市販の直鎖状ポリエチレンの大体の有用な範囲である約20,000から約300,000以上(好ましくは、約60,000から300,000の範囲)の範囲にある。
【0075】
本共重合体の加水分解性成分は、本共重合体の骨格に組み込まれた第二のモノマー単位−CHR−CH−(L−X−(L−CH−CHR中に見いだされる。ここでR、R、L、L、mおよびnは、上記で定義したものと同じである。従って、本共重合体は、全体として酸性または塩基性加水分解を含み、従って共重合体をより低分子量のセグメントに切断する水性条件下において、結合Xで分解される。Xの性質によるが、一般に、これらの低分子量セグメントは極性末端基を有し、従ってフラグメントの水溶性、または分散性を増加させる。
【0076】
本共重合体の分解における加水分解性コモノマーの有効性を増加させるために、本共重合体は、隣接する加水分解性モノマー単位をまったく有さず、本明細書で説明する重合では、隣接する加水分解性モノマー単位はまったく生成しないと考えられる。加水分解性コモノマー対オレフィンモノマー比が高い共重合体ほど、分解すると平均分子量の低下が大きくなることは自明であろう。全体として、加水分解性コモノマーのレベルが高いほど、疎水性などの本共重合体の物理的性質に対しても大きな効果を有し、また重合度(すなわち分子量)を低下させると期待される。従って、本共重合体中の加水分解性コモノマー単位の望ましい比率は、本共重合体の最終用途および望ましい分解性の程度に依存する。しかし、本発明の重要な利点は、重合に付されるモノマー混合物中のはるかに大きな比率の加水分解性モノマーを、生成する共重合体中に今や組み込むことができることである。すなわち、原料中の加水分解性モノマー全体の50モル%から100モル%、好ましくは約60モル%から100モル%、もっとも好ましくは約70モル%から100モル%のオーダーで、実際に共重合体に組み込まれる。
【0077】
全体として、本発明の方法は、少なくとも10モル%、または少なくとも15モル%、または少なくとも20モル%、または少なくとも25モル%、および50モル%以上までの加水分解性モノマー単位を含む共重合体の製造を可能にする。しかし、ほとんどの用途について、本共重合体は、約0.1モル%から約50モル%の加水分解性モノマー単位(非加水分解性モノマー単位対加水分解性モノマー単位のモル比99.9:1から1:1に対応する)を含む。
【0078】
(III.重合)
本共重合体は、分子量、分子量分布および立体規則性を良好に制御してオレフィン共重合体を製造する好ましい方法である遷移金属触媒重合によって調製される。そのような重合の手順は、当分野では公知である。
【0079】
全体として、本重合体は、可溶性遷移金属触媒を用いて合成される。そのような触媒は、V、NbおよびMoの錯体も使用されるが、メタロセン、好ましくは第4、5および6族遷移金属、一般にTi、HfまたはZrから誘導されるメタロセンを含む。これらの錯体は、シクロペンタジエン環、またはシクロペンタジエン環を含む多環系(例えばフルオレンまたはインデン)から誘導される少なくとも1つの配位子を含む。これらの環または環系は、エーテル、三級アミン、三級ボラン、三級シランまたはハロゲン化物など活性水素を含まないアルキル、アリールまたはその他の基で置換されることがある。一般に、遷移金属上の他の配位子は、ハロゲン化物、低級アルキル基または三級アミンであるが、アリール、アルコキシ、アセト酢酸エステル、カルボニル、ニトリル、イソニトリル、三級アミンまたはホスフィン、π−アリル、またはシクロヘプタトリエンなどの環状不飽和炭化水素など、非常に多様なその他の基から選択されることもある。これらの配位子のうちの2つが、例えば、アルキルおよびアルキルシランから選択される結合を含む分子鎖で橋かけして、生成した束縛幾何構造の触媒になることがある。メタロセン触媒の例は、シクロペンタジエニルチタントリクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタントリメトキシド、ビス−2−(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)−インデニルハフニウムジクロリド、(3,5−ジ(トリフルオロメチル)−フェニル)インデニルハフニウムトリクロリド、およびジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、および(tert−ブリルアミド)ジメチル(シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロリドなどの橋かけ化合物を含む。その他の適切なメタロセン触媒は、ともにSRI International(Menlo Park,CA)に認められたWilson,Jr.らの米国特許第6,048,992号および6,369,253号明細書に記載されているものを含む。
【0080】
同じく有用なのが、第8族遷移金属、特にNi、Pd、FeおよびCoの1、2−ジイミン錯体にもとづくBrookhart型触媒であり、Cu、AgおよびAu錯体も記載されている。一般に、これらの触媒は、構造:
【0081】
【化10】

を有する遷移金属錯体である。ここで、全体として、MはPd(II)、Fe(II)、Co(II)およびNi(II)から選ばれ、XおよびXはヘテロ原子、一般にNであり、RおよびRはヒドロカルビル、必要に応じて置換および/またはヘテロ原子含有であり、Qはヒドロカルビレン結合、必要に応じて置換および/またはヘテロ原子含有であり、QおよびQは、それぞれ水素化物、ハロゲン化物、低級アルキルまたは低級アルコキシなどの一価ラジカルである。多くの場合、例えば、Rおよび/またはRが結合Qの中に含まれる原子に結合する(Xおよび/またはXがNのとき、N−複素環を形成する)とき、またはQの中の隣接する原子上の2つ以上の置換基が結合するとき、1つ以上の環状基が存在する。例えば、Johnsonら(1995年)の上掲の文献、Johnsonら(1996)のJ.Am.Chem.Soc.第118巻267〜8頁、およびKillianら(1979)のOrganometallics第16巻2005〜7頁を参照のこと。関連するコバルト系および鉄系触媒は、三座イミン配位子を使用(Smallら(1998)のJ.Am.Chem.Soc.第120巻4049〜50頁)する。ジイミン以外のイミン含有配位子、または類似のピリジル含有またはビピリジル配位子を有するその他の錯体が用いられることがある。その他の適当なBrookhart型触媒およびその類似体は、Taggeらの米国特許第6,355,746号明細書に記載されている。
【0082】
本重合反応を実行する際には、本明細書で重合触媒として説明する遷移金属錯体は、必然的にではないが好ましくは、錯体がカチオンまたは双性イオンになるように、電子的に中性な錯体の金属中心をカチオンに変換する触媒活性化剤とともに用いられる。従って、重合に先立って、または重合に際して、そのような活性化剤を含む触媒システムに重合触媒として選ばれた遷移金属錯体を組み込むことが望ましい。適当な触媒活性化剤は、一般にイオン性助触媒と呼ばれるものであり、そのような化合物は、例えば、アルキルリチウム化合物、ジアルキル亜鉛化合物、トリアルキルホウ素化合物、トリアルキルアルミニウム化合物、アルキルアルミニウムハロゲン化物および水素化物、ならびにテトラアルキルゲルマニウム化合物のような、金属のアルキル、ヒドリド、アルキルヒドリドおよびアルキルハロゲン化物を含む。有用な活性化剤の特定の例は、n−ブチルリチウム、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、トリエチルホウ素、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、エチルアルミニウムジクロリド、ジブロミドおよびジヒドリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、ジブロミドおよびジヒドリド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロリド、ブロミドおよびヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ブロミドおよびヒドリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミノキサン(「MAO」)、ヘキサイソブチルアルミノキサン、テトライソブチルアルミノキサン、ポリメチルアルミノキサン、トリ−n−オクチルアルミニウム、テトラメチルゲルマニウムおよび類似物を含む。一般にイオン性助触媒と呼ばれるその他の活性化剤も用いられることがあり、そのような化合物は、例えば、(C)3、C−NHCH、およびテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ナトリウムテトラキス[(ビス−3、5−トリフルオロメチル)フェニル]ボラート、H(OCHCH[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)−フェニル]ボラート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボラートおよびトリフルオロメタンスルホナートなどのフルオロヒドロカルビルホウ素化合物、およびBF、Ph(Ph=フェニル)、p−トルエンスルホナート、SbFおよびPFの塩または酸を含む。望むなら、活性化剤の混合物も使われることがある。
【0083】
本触媒は、当業者に知られている、および/または関連文献中に記載されている通常の重合技法を用いて、重合体組成物を調製するために用いられる。適当な温度において、低圧、高圧または常圧で、不活性雰囲気下、モノマー(単数または複数)、触媒および触媒活性化剤を、所望の重合体組成物を製造するために有効な時間接触させる。触媒は、そのままで、あるいは適当な担体に担持して用いられることがある。1つの実施態様では、本触媒は、気相または液相重合プロセスにおいて、均一触媒として、すなわち非担持触媒として用いられる。望むなら、溶媒が使用されることがある。本反応は、溶液またはスラリー条件下、ペルフルオロ化炭化水素または類似の液体を用いて懸濁液中で、気相で、あるいは固相粉体重合で行なわれることがある。本混合物には、さまざまな添加剤が組み込まれることがあり、特に好ましい添加剤は、重合速度を加速できるアミン類、アニリン類および類似物などの中性ルイス塩基である。
【0084】
全体的に、液相重合は、重合希釈剤中で単独または複数のモノマーを触媒/活性化剤混合物と接触させ、重合条件、すなわち、所望の重合体生成物を製造するために十分な時間および温度で、反応を起させることを含む。一般に、重合希釈剤は、不活性物質、例えば脂肪族または芳香族炭化水素、例えば液化エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、n−ブタン、n−ヘキサン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、ケロシン、Isopar(R)M、Isopar(R)Eおよびそれらの混合物である。本重合プロセスにおいてモノマーまたはコモノマーとして機能する液体オレフィンまたは類似物も希釈剤として機能することがある。そのようなオレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、1−ヘキセンおよび類似物を含む。
【0085】
一般に,希釈剤中の触媒の量は、約0.01から1.0ミリモル/リットルの範囲にあり、触媒対活性化剤の比が、モル基準で約10:1から1:2000の範囲、好ましくは約1:1から約1:1200の範囲にあるように活性化剤を加える。
【0086】
重合は、窒素、アルゴンまたは類似物などの不活性雰囲気下で行われることがあり、あるいは真空下で行われることがある。好ましくは、重合は、反応するモノマーの分圧が最大になる雰囲気で行なわれる。液相重合は、減圧、高圧または大気圧で実行されることがある。加えられる溶媒がない場合、すなわちオレフィンモノマーが希釈剤として機能するとき、高い圧力が好ましい。一般に、溶媒非存在下での高圧重合は、約180℃から約300℃の範囲、好ましくは約250℃から約270℃の範囲の温度、および200から20,000気圧のオーダー、一般に約1000から3000気圧の範囲の圧力で実行される。溶媒が加えられるとき、一般に、重合は、約150℃から約300℃の範囲、好ましくは約220℃から約250℃の範囲の温度、および10から2,000気圧のオーダーの圧力で実行される。
【0087】
重合は、気相、例えば、流動床または撹拌床反応器中で、約60℃から120℃の範囲の温度および約10から1,000気圧の範囲の圧力を用いて行なわれることもある。
【0088】
気相およびスラリー相重合では、本触媒は不均一プロセスで、すなわち、不活性な無機担体上に担持されて用いられる。通常の材料を担体用に用いることができ、一般に粒状、多孔性材料である、例は、ケイ素およびアルミニウムの酸化物、またはマグネシウムおよびアルミニウムのハロゲン化物を含む。商業的な観点から特に好ましい担体は、二酸化ケイ素および二塩化マグネシウムである。
【0089】
これまで述べた反応から生成する重合体生成物は、ろ過またはその他の適当な技法によって回収されることがある。望むなら、重合前、重合中または重合後に、添加剤およびアジュバントを重合体組成物中に組み込むことがある。そのような化合物は、例えば顔料、酸化防止剤、潤滑剤および可塑剤を含む。
【0090】
一般に受け入れられている遷移金属触媒を用いる付加重合の機構によれば、本明細書で説明する加水分解性コモノマーにおけるように、二重結合上にかさ高い置換基を有するモノマーを組み込むと、以降の連鎖成長の速度が低下する。従って、本加水分解性コモノマーを組み込んだ反応性中間体は、次に、連鎖成長を続けるより、連鎖移動段階または連鎖停止段階に移る可能性の方が高い。こうして、本加水分解性コモノマーの連続ブロックは製造されないと考えられる。さらに、本加水分解性モノマーは、架橋成分としてではなく、分子鎖延長成分(すなわち、重合体の直鎖骨格中に束縛される)として取り込まれると期待される。本加水分解性コモノマーを架橋成分として取り込んだ構造は、ジエンモノマーを付加した後、続いて連鎖成長によって生成するが、これは起り難いと考えられる。しかし、メタロセン触媒反応のこの特徴は、個々の触媒の間で変化するので、望むなら、かさ高い置換基に対して敏感でない触媒の使用によって、ある程度の架橋部を組み込むことができよう。
【0091】
本発明によれば、共重合体組成物を合成する際に、または重合が完了した後に、必要に応じて、さまざまな添加剤を用いることができる。これらの添加剤は、生成する重合体組成物の安定性、色、強度またはその他の性質を調整するために加えられることがある。適当な添加剤は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)(例えば、セバシン酸ビス(1,2,2,5,5−ペンタメチルピペリジニル)(Tunuvin765))、フェノール系酸化防止剤(例えば、t−ブチルカテコール)、亜リン酸トリエチル、t−ブチルヒドロキシキノンおよび類似物などの酸化防止剤を含む。いくつかの場合には、そのような酸化防止剤を加えることによって、本重合体の生分解性を促進することができる。そのような添加剤は、生物分解を促進するために必要な不飽和高分子鎖の自動酸化があまりに早く起ることを防ぐことがある。
【0092】
光、特に太陽光中の紫外線への露光による本組成物の分解性を高めるために、他のオプションの添加剤が含まれることがある。一般に光増感剤と呼ばれるそのような添加剤は、本分野では公知の技術であり、例を挙げると、ベンゾフェノン、アントロン、アントラキノン、キサントン、3−ケトステロイド類、およびヒドロキシ置換2,4−ペンタジエノフェノン類を含む。例えば、Swanholmらの米国特許第3,888,804号明細書を参照のこと。
【0093】
含まれることがあるその他のオプションの添加剤は、本共重合体の酸化を促進し、従ってその分解性を昂進できる化合物である。そのような酸化促進剤は、有機酸の遷移金属塩、例えばステアリン酸塩類、ナフテン酸塩類、オレイン酸塩類および類似物のことがある。Griffinの米国特許第4,983,651号、Newlandらの米国特許第3,592,792号、Greerらの米国特許第3,454,510号、Harndenの米国特許第5,096,941号、Miyoshiらの米国特許第3,951,884号、およびIizukaらの米国特許第3,956,424号明細書を参照のこと。
【0094】
本分解性組成物中に含むことができる他の添加剤は、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、粘着性向上剤、染料、顔料、難燃剤、カーボンブラック、炭酸カルシウム、ケイ酸塩などの充填材、酸化チタンなどの乳白剤および当業者に公知のその他の添加剤である。可塑剤の例は、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチルまたはアジピン酸ジオクチル、およびアゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸および類似物などのジ−、トリ−およびテトラカルボン酸のその他の長鎖アルキルエステルである。そのような可塑剤の有効な量は、一般的に本共重合体の約5重量%から30重量%、より一般的に本共重合体の約7重量%から約15重量%の範囲である。滑剤の例は、約12個から22個の炭素原子を有する脂肪酸のアミドから普通に誘導されたものである。そのような薬剤は、フィルムの固着防止性を増進でき、使われるときには、フィルムの乾燥重量を基準として、約0.05%から約3%の量で組み込まれることがある。帯電防止剤の例は、長さが約12〜18個の炭素原子の有機構成分を有するエトキシル化アミン類および四級アミン塩類を含む。この種類の薬剤は、重合体の表面にゆっくり拡散し、イオン性の性格によって、表面に導電性の層を形成することがある。帯電防止剤は、使われるときには、フィルムの乾燥重量を基準として、約1%から約5%の量で組み込まれることがある。
【0095】
(IV.分解性製品)
本発明において有用な加水分解性共重合体は、混合、積層化、ブレンド化、共押出などによって他の分解性成分と組み合わせ、その後分解性物品に成型できる分解性重合体含有組成物を提供する。これらの分解性重合体含有組成物は、既に説明したように、約20から約99重量%の共重合体と、約1重量%から約80重量%の別の分解性成分とを含む。一般的に、これらの分解性共重合体含有組成物は、約30重量%から約95重量%の共重合体および約5重量%から約70重量%の他の分解性成分、より一般的に、約50重量%から約90重量%の共重合体および約10重量%から約50重量%の他の分解性成分を含む。本分解性共重合体含有組成物中に存在する本共重合体および他の分解性成分(単数または複数)の正確な量は、本組成物から製造される特定の物品およびその意図する用途を含む多数の因子に依存する。他の分解性成分(単数または複数)は、加水分解性、光によって開裂性、酵素によって分解性またはなんらかの他の機構によって分解性のことがある。
【0096】
本発明における使用に適するその他の分解性成分は、乳酸重合体および共重合体(例えば、ポリ(乳酸)およびポリ(ラクチド−co−グリコリド))、3−ヒドロキシ酪酸および4−ヒドロキシ酪酸の単独重合体ならびにヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシ酸、例えば3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、またはさらに長鎖のヒドロキシ酸(例えば、C〜C12ヒドロキシ酸)との共重合体などのポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)、デンプン、天然ゴム、グッタペルカ、バラタ、デキストラン、キチン、セルロース、木粉、キトサン、硝酸セルロース、酢酸セルロースなどのセルロースエステル類を含む生分解性高分子の誘導体、およびポリカプロラクトンとポリジエン類とのブロック共重合体および類似物のようなその他の分解性重合体を含む。Sipinenらの米国特許第5,216,043号およびClendinningらの米国特許第3,921,333号明細書を参照のこと。特に好ましい別の分解性成分は、デキストラン、シス−ポリイソプレンおよびデンプンを含む。
【0097】
適当なデンプンは、穀物またはトウモロコシ(例えば、ゼイン)、小麦、米、ジャガイモおよびタピオカなどの根菜類からの任意の未変性デンプンを含む。デンプンならびに部分的に解重合したデンプンおよび誘導体化デンプンなど、変性デンプン生成物のアミロースおよびアミロペクチン成分も用いることができる。用語「デンプン」は、デンプン成分、変性デンプン生成物およびデンプン分解生成物を含むすべてのそのようなデンプンを包含する。用語「変性デンプン」および「デンプン分解生成物」は、例えばアルファデンプン(低温膨潤デンプン)、酸変性デンプン、酸化デンプン、低架橋デンプン、デンプンエーテル、デンプンエステル、ジアルデヒドデンプン、およびデンプン加水分解生成物およびデキストレンの分解生成物を含む。しかし、デンプン粒の粒子サイズが、薄膜およびコーティングのゲージならびに繊維の直径など、ある種の物品の達成可能な物理的寸法のいくつかを限定することがある。より薄いフィルムおよび細い繊維の調製を容易にするために、粉砕して空気分級などの手順によって過大なサイズの粒子を除去することにより、デンプンの粒子サイズを減少させることができる。さらに、高濃度のデンプン/水スラリーをドラム乾燥、スプレー乾燥、発泡体加熱またはパフ押し出しによって急速乾燥するアルファ化などの処理によって、デンプン粒を変性できる。アルファ化デンプンは、乾燥させ、必要に応じて、粉砕して分級し、微細なデンプン粒子とすることができる。デンプンのその他の分解性誘導体も、同様に処理することができる。望むなら、二種類以上のデンプンの混合物を用いることができる。
【0098】
分解性フィルムの調製においては、デンプンを糊化することが好ましい。糊化は、約60℃を超える温度で、水または水溶液の存在下、デンプン粒が滑らかで粘稠な水分散液を形成するほど十分に膨潤して崩壊するまで、加熱するなどの任意の既知の手順によって実現できる。糊化は、デンプンを本共重合体と混合する前、または混合した後のどちらかで実行することができる。
【0099】
共重合体含有組成物を調製する際に、通常、デンプン(例えば、デンプン粒)は、加工中に原料の本共重合体と混合されるか、または他の方法でブレンドされ、キャスト法、押し出し法、成型法またはその他の製造手順に適する組成物を提供する。デンプンが化学的または物理的に変質しない条件で共重合が効率よく進行するなら、重合に先立って共重合混合物にデンプン粒を加えることができる。
【0100】
本発明の加水分解性共重合体は、以上に加えて、または以上に代えて、分解性物品の製作に先立って、非分解性重合体とブレンドされることがある。「非分解性」によって、重合体は、加水分解によって、酵素によってまたは環境への曝露を含む廃棄物処分の一般的な条件下で、分解性でないことを意味する。これらの非分解性重合体は、特定の種類の分解性物品にとって望ましい向上した引張り強度、熱安定性、柔軟性またはその他の物性を分解性物に提供するために選ばれることがある。そのような重合体は、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレンゴム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリハロカーボン類、およびエチレンのプロピレン、イソブテン、ブテン、ヘキセン、オクテン、塩化ビニル、ビニルアルコールおよび類似物との共重合体を含む。重合体ブレンドは、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、ブチルゴムまたはハロブチルゴムなどのゴム材料を含むこともできる。
【0101】
一般に、そのようなブレンドは、エノールエーテル、非環状アセタール、ヘミアセタール、酸無水物、カーボネート、N−置換アミド、N−置換ウレタン、N−置換イミノ、イミド、置換イミド、N,N−二置換ヒドラゾ、チオエステル、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、オルトエステル、エーテル、チオおよびシロキシルから選択される、酸性または塩基性条件下で加水分解によって開裂し得る結合を少なくとも1つ含む、本明細書で説明する分解性オレフィン共重合体を少なくとも1つ含む。
【0102】
一般に、非分解性重合体を、1つ以上の本発明の分解性共重合体、および必要に応じて、その他の分解性重合体とブレンドするなら、本組成物の分解性部分は、全体として本組成物の5重量%から約99重量%、好ましくは本組成物の約10重量%から95重量%、もっとも一般的には本組成物の約15重量%から約90重量%を占める。
【0103】
本発明は、分解性が望まれる非常に多様な製品、例えばフィルム、繊維、発泡体、織布、不織布および成型品の調製を可能にする。例えば、本共重合体は、射出成型、ブロー成型、シート類の熱成型、粉体の回転成型、押し出しおよびその他の成型または造型プロセスによって造形品を製造するために用いることができる。以下は、そのような最終用途および物品の非排他的な一覧である。すなわち、種、肥料、殺虫剤、除草剤および類似物を含有する農業用マルチおよびフィルム製品を含む農業用フィルム製品、接着テープ、シートおよび枕カバーを含むベッドリネン、ボトルおよびカートンを含む容器、おむつ、サニタリーナプキン、失禁パッド、パンティライナーおよびタンポンなどの使い捨て吸収性物品、包装材料、例えば買物袋、収塵袋、衣料袋、ゴミ袋、芝生廃棄物バッグおよび産業用バッグなどのバッグ、ラベル、タグ、防護服、外科的ドレープ、スポンジ、タンポン塗布具、使い捨て注射器、仮囲いおよび仮羽目板、玩具、拭き取り繊維、射出成型または真空成型によって製造した食品包装材、発泡充填材、ボトルまたは容器などの発泡プラスチック製品、ならびに徐放性医薬品の製品、殺虫剤を含む製品および蚤取り首輪または牛耳タグなどの病害虫駆除剤を含む製品を含む、スローリリースを意図する活性成分を含有する徐放ペレット、ストリップおよびタブ。
【0104】
本発明の共重合体から調製されるフィルム、繊維、発泡体、織布および不織布は、使い捨て吸収性物品において特定の有用性を有する。本明細書では、「吸収性物品」によって、失禁性の着用者が排出する水性糞便(流動性排便)のような血液、尿またはその他の流体の顕著な量を吸収できる消費者製品を意味する。そのような吸収性物品の例は、使い捨ておむつ、失禁衣類およびパッド、おむつ、サニタリーナプキン、および失禁パッド、パンティライナー、使い捨てトレーニングパンツ、ベットパッド、衣類シールドおよび類似物などの個人用衛生材料を含む。
【0105】
一般に、おむつ、サニタリーナプキン、失禁パッド、パンティライナーおよびトレーニングパンツなどの吸収性物品は、流体不透過性バックシートと流体透過性トップシートとの間にある吸収性コアを含み、物品を用いるときには、流体はトップシートと接触し、トップシートを通り抜けて吸収性コアに達し、吸収性コアは流体を吸収してバックシートの働きで流体を閉じ込める機能を果たすように、物品を配置する。上記で説明したように、トップシートおよびバックシートの少なくとも1つ、好ましくは両方が本発明の共重合体、またはこれらの共重合体と他の分解性または非分解性成分とのブレンドから製造される。通常、トップシートは、吸収性コア体表面に隣接して配置される。好ましくは、トップシートは、当分野で公知のものなどの付着手段によってバックシートと一体化される。好ましい吸収性物品では、トップシートおよびバックシートは、両者の周縁で互いに直接一体化される。代表的なおむつの構成については、Buellの米国特許第3,860,003号、Azizらの米国特許第4,808,178号、Lawsonの米国特許第4,695,278号およびForemanの米国特許第4,816,025号明細書を参照すること。
【0106】
バックシートは、吸収性コア中に吸収され閉じ込められた体液が、ズボン、パジャマ、下着および類似物など、吸収性物品と接触する物品を濡らすことを防ぐ。バックシートは、織布または不織布材料、フィルム、またはフィルムをコートした不織布材料などのコンポジット材料の形であってよい。好ましくは、バックシートは、約0.012mm(0.5ミル)から約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有する不織布材料である。好ましくは、布のように見えやすくするために、バックシートにエンボス仕上げおよび/またはマット仕上げを施す。さらに、バックシートは、体液がバックシートを通過することは依然として防ぎながら、蒸気を吸収材コアから揮散させるように改質すること(すなわち、呼吸性)ができる。好ましい実施態様では、本共重合体は、単にキャストして、織布または不織布材料の孔なしフレキシブルシートにされる。
【0107】
好ましくは、トップシートは、着用者の皮膚に馴染みよく、ソフトな感触を与え、刺激性でない。さらに、トップシートは、流体透過性であり、好ましくは非吸収性であることによって、体液がトップシート全体を通り抜けて吸収性コアに浸入するようにする。従って、身体と接触する本成型フィルムの表面は乾いたままであり、それによって、身体の汚れを減らし、着用者のためにより快適な感触を創り出す。適当なトップシートは、不織布、アパチャード成型フィルム、ハイドロ成型フィルム、多孔性発泡体、網目状フィルムおよび荒目地クロスなど、非常に多様な形状に製造できる。本発明の吸収性物品に用いられる好ましいトップシートは、不織布トップシートおよびアパチャード成型フィルムトップシートから選択される。不織布(または織布)トップシート材料の製造においては、不織布(および織布)ウェブを製造する原料のフィラメントの形で本共重合体を提供することもできる。アパチャード成型フィルムトップシートでは、複数の穿孔を備えるシートとして本共重合体をキャストすることができる。トップシートとして使用するための穿孔シートおよびウェブの作製は、当分野で公知である。Thompsonの米国特許第3,929,135号、Mullaneらの米国特許第4,324,246号、Radelらの米国特許第4,342,314号、Ahrらの米国特許第4,463,045号およびBairdの米国特許第5,006,394号明細書に、成型フィルムを製造する適当な方法が記載されている。これらの特許のそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。Curroらの米国特許第4,609,518号およびCurroらの米国特許第4,629,643号明細書に、マイクロアパチャード成型フィルムトップシートおよび特にそのようなトップシートを製造する方法が開示されている。
【0108】
身体側表面が親水性でなく、そのため、体液は吸収性構造に流れ込んで吸収されるのではなく、トップシートから流れ去る可能性が低下してしまう場合よりも、体液がトップシートを通って速く移動するのを助けるように、本成型フィルムトップシートの身体側表面は親水性であってよい。1つの実施態様では、本成型フィルムトップシートの重合体に界面活性剤が組み込まれる。別の実施態様では、本トップシートの表面は、Osbornの米国特許第4,959,264号明細書に記載されているような界面活性剤で処理することによって、親水性にすることができる。
【0109】
吸収性コアは、おむつ、サニタリーナプキン、失禁パッドおよび類似物に用いられる任意の数の一般的な吸収性材料で構成することができる。一般に、吸収性材料は、セルロース系であり、例えば、必要に応じて、アクリル酸エステル、デンプングラフト化アクリル酸エステルおよび自重の10倍から50倍のオーダーの水を吸収して保持するさまざまなガムおよび/または糖質ゲル化材料などの追加の吸収材料を含む酸化セルロースまたは通常のセルロース繊維で構成される。そのような材料は、使い捨てサニタリー製品に関する特許文献に十分に記載されており、さまざまな供給業者から入手できる。使い捨ておむつについては、物品全体、すなわち外側のバックシート、内側のトップシートおよびこの2つの間にある吸収性コアを有する物品全体が、上述の材料から製造されることがある。本おむつは、幼児の身体に合わせたら、腰の両側でファスナー、例えばテープまたはその他の接着手段によって装着させる単一組み立て構造のことがある。本おむつは、2つの脚用の穴を有する下着の形のこともあり、この場合、両脚の周囲のおむつの快適なフィットを確実にするために、脚部バンドとして弾性材料を組み込むことが好ましい。失禁パッドも、このように構築される。
【0110】
本発明の分解性共重合体は、連結した複数の環状セクションを有し、各環状セクションがボトルまたは缶などの容器を取り外し自由に保持できる飲料キャリアにも有用である。このキャリアは、一般的に2個から12個、より一般的に4個から6個のそのような環状リングを有することができるが、そのようなキャリアは、「6個パックリング」と呼ばれることがある。例えば、さまざまな種類の「6個パックリング」を開示しているCunninghamの米国特許RE第29,873号およびOwenの米国特許第3,938,656号明細を参照のこと。
【0111】
本分解性共重合体の別の用途は、グラウンド用の仮カバーの製造にあり、特に農業用マルチとして有用である。グラウンドカバーは、カバーする地面に広げるかまたは他の方法でかぶせることができるフィルムまたはシートの形で提供されることがある。本共重合体とデンプンとのブレンドから製造されるグラウンドカバーは、カバーのデンプン部分が比較的速やかに崩壊し、残る共重合体は最終的に完全に分解するので、特に望ましい。
【0112】
本分解性共重合体は、さまざまな製品を包装する分解性包装材料に用いることもできる。食品および飲料などの食用製品をそのような材料で包装することがある。本共重合体とデンプンとのブレンドから製造される包装材料は、ゴミとして不適切に棄てられても、ほどよく速やかに崩壊でき、最終的には完全に分解すると期待されるので、特に望ましい。
【0113】
本共重合体は、殺虫剤、防虫剤、除草剤および類似物を供給するために用いることもできる。例えば、本共重合体は、適当な殺虫剤とブレンドしてストリップ状に加工すると、分解性のノミ取りおよびシラミ取り首輪を形成できる。適当な取り付け装置を有するタグの形に成型された類似のブレンドは、ハエおよびその他の昆虫を追い払うために家畜用に使われる分解性耳タグを形成できる。適当な殺虫剤は、クロルデンなどのさまざまな塩素化タイプ、ペルメトリンなどのピレスロイド/ピレトリンタイプ、マラチオンなどの有機リン酸エステルおよびカルバミン酸エステル、カルバリルおよびダイアジノン、m−ジエチルトルアミド、ジエチルフェニルアセトアミドおよびリモネンなどの駆散薬、メトプレン、ハイドロプレンおよびフェンバレートなどの昆虫成長調節剤、ピペロニルブトキシドなどの共力剤および類似物を含むことがある。
【0114】
本共重合体は、不織布材料中の繊維またはフィラメントとしての用途にも適する。繊維およびフィラメントは、総合的な意味では、同じ意味の用語であるが、より厳密な長さの区別が適切な場合には、用語「繊維(ファイバー)」は、「ステープルファイバー」のように、短いフィラメントを指すものとする。本分解性共重合体は、メルト紡糸技法または類似技法によって、繊維またはフィラメントに変換することができる。約2から約15dpfのデニールがもっとも普通である。本フィラメントは、紡糸状態(未延伸)で、または引き伸ばして(延伸または配向)用いられることがある。デニールを小さくするために、または配向度を高めるために延伸することは、当分野で既知の通常の手順によって実現できる。
【0115】
本発明による適当な熱可塑性繊維は、熱接合可能な二成分繊維の形であってよい。本明細書で用いられる「バイオ成分繊維」は、一種類の重合体(または共重合体)から製造した熱可塑性シースの中に包まれる、別の重合体(または共重合体)から製造したコア繊維を含む熱可塑性繊維を指す。多くの場合、シースを構成する重合体は、コアを構成する重合体とは異なる温度、一般に低い温度で溶ける。その結果、これらの二成分繊維は、シース重合体の制御された融解によって、コア重合体の望ましい強度特性を維持しながら、熱接着を提供できる。本発明による分解性二成分繊維の例は、ポリビニルアルコール、レーヨンまたは類似の性質を有する共重合体などの融点のより高い分解性重合体から製造したコアを囲む本共重合体で製造したシースである。
【0116】
本発明による二成分繊維は、同心円状または離心円状であってよい。本明細書で用いられる用語「同心円状」および「離心円状」は、シースが、二成分繊維の断面に沿って均一な厚さを有するか、または不均一な厚さを有するかを指す。繊維の太さが細くなるほど、より大きな圧縮強度を提供する上で、離心円状二成分繊維が望ましいことがある。本明細書において使用に適する適当な二成分繊維は、非クリンプ型(すなわち、非ベント型)またはクリンプ型(すなわち、ベント型)のどちらでもよい。主に二次元または「フラット」クリンプを実現するために、例えばスタッファーボックス法またはギヤクリンプ法のような一般的な織物手段によって、二成分繊維をクリンプすることができる。
【0117】
本発明の分解性共重合体から製造される繊維は、スパンボンド布およびステープルファイバーを用いて製造される布を提供する多数のプロセスによって、不織布に成型することができる。スパンボンド不織布は、ウェブ面内で所望の配向にスレッドラインを配分する既知の方法を用いて、連続フィラメントを紡糸すると同時にウェブ中に寝かせることによって調製することができる。そのようなウェブは、時間、温度および圧力の適当な条件下で熱接合させ、ステープルウェブを用いて得られるものよりも通常優れた引っ張り特性を有する強い布を生み出すことができる。接合は、適当な接着剤を用いて実行してもよく、これらの両方の方法を用いて点接合または面接合した布を製造することができる。ウェブに安定性および強度を付与するために、ニードル穿孔を用いてもよい。スパンボンド布は、これらの重合体をメルトブローすることによって製造することもできる。このプロセスでは、溶融した本重合体またはブレンドの流れを加熱した乾燥空気の高速度の流れの中に押し出し、篩式コンベヤー上で、接合ウェブが生成した繊維から直接生成する。不織布は、回転ダイを通す直接押し出しによって網状の製品に製造することもできる。Gallagherらの米国特許第5,219,646号明細書を参照のこと。
【0118】
本分解性共重合体は、分解性発泡プラスチックを製造するために用いることもできる。これらは、発泡容器、発泡充填材(例えば、「ピーナッツ」)および類似物を含む。発泡プラスチックは、本共重合体またはブレンドをペンタンなどの適当な発泡剤とコンパウンド化してから、加熱して発泡剤を揮発させることによって、製造することができる。一般に、空気−液体界面を安定化させるのに適する界面活性剤も使用される。この発泡体は、そのまま用いることも、あるいはゆるやかな包装用の充填材として適当な小片(一般に、「ピーナッツ」と呼ばれる)に細断することもできる。
【0119】
本分解性共重合体またはブレンドのフィルムは、本分野において公知の手順を用いて、所望の性質を有するシートおよびフィルムを提供するために、さまざまなシートおよびフィルムに積層することもできる。ラミネートおよびフィルムの選択は、特定の目的によって、変化することがある。
【0120】
任意の上述の製品は、本分解性共重合体それ自体から、少なくとも1つの本発明の分解性共重合体および少なくとも1つの他の分解性成分および/または非分解性共重合体で構成される重合体ブレンドを用いて、または本発明の分解性共重合体それ自体、少なくとも1つの本発明の分解性共重合体および少なくとも1つの他の分解性成分および/または非分解性共重合体と、本明細書で既に説明した1つ以上の添加剤、例えば酸化促進剤、安定性向上剤、引張り強度向上剤、光増感剤、着色剤、可塑剤、粘着性向上剤および充填材とで構成される重合体ブレンドを含む分解性組成物から調製されることがある。
【0121】
さらに、本発明は、実質的に不活性なモノマー単位(例えば、いかなるヘテロ原子も非ヒドロカルビル置換基も含まないオレフィン類の重合から生成するモノマー単位)と、開裂し得るモノマー単位、すなわち化学的に、酵素的にまたは光分解的に開裂し得る、好ましくは加水分解によって開裂し得る部位を含むモノマー単位とを含むオレフィン重合体から製造されるフィルム、繊維、発泡体、織布、不織布および成型品を含む分解性物品に関する。ここで、前記開裂し得るモノマー単位は、本共重合体の少なくとも10モル%、または少なくとも15モル%、または少なくとも20モル%および最高50モル%以上を構成する。ほとんどの用途について、本発明の分解性共重合体の場合と同じく、本共重合体は、約0.1モル%から約50モル%の開裂し得るモノマー単位を含む。
【0122】
本発明を、その好ましい特定の実施態様とともに説明したが、上記の説明ならびに以下に続く実施例は例を示すものであり、本発明の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本発明の範囲内にあるその他の局面、利点および変化形は、本発明が関連する分野の当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0123】
以下の実施例は、本発明の触媒をどのように調製し使用するかの完全な開示および説明を当業者に提供するために提示される。数値(例えば、量、温度等)について正確さを保証するために努力を払ったが、若干の誤差および偏差を考慮すべきである。特に明記しない限り、部は重量部であり、温度は℃であり、圧力は大気圧または大気圧近くである。
【0124】
実施例1および2に、二環アセタール結合を含むジオレフィンのエチレンとの共重合を記載し、実施例3および4には、エチレンのシロキサン結合を含むオレフィンとの共重合を記載する。加圧反応器中のエチレンの想定初期量を基準とする、各実施例で用いられたコモノマーの量は、次のようだった。実施例1および2では、5.38ミリモル、モノマー組成物全体の約20〜25モル%、実施例3では、8.44ミリモル、モノマー組成物全体の約31〜39モル%、実施例4では、12.31ミリモル、モノマー組成物全体の約46〜57モル%。反応は、低温低圧から中温中圧、すなわち0から50℃、および100psi未満で実施された。実施例5および6には、エチレンのエノールエーテル結合および酸無水物結合を含むジオレフィンとの共重合をそれぞれ記載し、実施例5の加水分解性コモノマーは、モノマー組成物全体(7.5ミリモル)の約27〜34モル%を構成し、実施例6の加水分解性コモノマーは、モノマー組成物(5.25ミリモル)全体の約20〜24モル%を占める。
【0125】
(実施例1)
(ジルコニウムメタロセン錯体を触媒として用いるエチレン/3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン共重合体の合成)
本実施例では、メタロセン触媒を用いるエチレンと、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、すなわち、加水分解によって開裂し得る二環アセタール結合を含む加水分解性コモノマーとの共重合を説明する。ここで、前記コモノマーは、構造:
【0126】
【化11】

を有する。用いた触媒は、(CHSi(C1612ZrCl(分子量628.83、Hoechstから入手可能、C1612=2−メチル−4−フェニルインデニル)で、分子構造は、以下:
【0127】
【化12】

のようである。
【0128】
ガラス反応器をアルゴンでフラッシュし、100mLのトルエンおよび1.0gの3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(5.38ミリモル)を充填した。次に、反応器をエチレンでフラッシュし、上部機械式撹拌機で溶液を撹拌した。2mLトルエン中の0.5gのTMA(トリメチルアルミニウム)フリーのMAO(メチルアルミノキサン)溶液を加え、反応器をエチレンで25psiに1分間加圧した。圧力を解放し、2mLのトルエン中の0.5gのTMAフリーのMAOと0.013ミリモルの(CHSi(C1612ZrClとから調製した触媒/MAO混合物を加えた。次に、反応器をエチレン45psiに加圧してエチレン供給源から切り離した。次の2時間にわたって圧力低下をモニタ(反応は約20℃で行なった)し、16psi低下することを観測した。約100分後にそれ以上の圧力低下がほとんど検出されなくなったとき、2×10mLのメタノールで反応を停止させた。ろ過して共重合体を単離し、メタノールで洗浄して真空下で16時間乾燥し、1.27gの粉末状の固体を得た。
【0129】
共重合体および加水分解性ジビニル−テトラオキサスピロウンデカンモノマーのH NMRによって、共重合体への加水分解性モノマーの取り込みを確認(図1〜2)した。NMRデータによると、共重合体の構造は、コモノマーを主に骨格延長基(すなわち共重合体の骨格中に含まれる)として取り込み、若干程度の単官能基取り込み(すなわち短い側鎖として)を有する一本鎖ポリエチレン分子鎖のようであった。
【0130】
NMR分析は、明らかに、ピーク積分から約20モル%と見積もられるモノマーの取り込みを示した。若干程度の架橋を除外することはできなかったが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)では、これらの試料中の有意な架橋の証拠はまったく得られなかった。
【0131】
分子量測定。上記共重合手順を繰り返し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、106,096Mのポリエチレンおよび52,497Mのポリエチレンを標準として用いて、最初の共重合反応と二度目の共重合反応とから得た生成物の分子量を評価した。それぞれの分析で、単一ピークが得られた。第一の試料のMは53,787、Mは172,503、第二の試料のMは64,260、Mは139,782であった。
【0132】
(実施例2)
(チタンメタロセン錯体を触媒として用いるエチレン/3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン共重合体の合成)
0.0123ミリモルのチタンメタロセン錯体を反応触媒として用いて、実施例1の反応を繰り返した。触媒は、(CHSi(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエン)(t−Bu)TiCl(Dow)であった。この触媒の分子構造は、以下:
【0133】
【化13】

のようである。
【0134】
ろ過して共重合体を単離し、メタノールで洗浄して真空下で16時間乾燥し、1.3gの粉末状の固体を得た。
【0135】
(実施例3)
(エチレン/ジアリルテトラメチルジシロキサン共重合体の合成)
本実施例では、エチレンと、加水分解によって開裂し得るシロキサン結合を含む加水分解性コモノマーであるジアリルメチルシロキサンとの、実施例1のメタロセン触媒を用いる共重合を説明する。ここで前記コモノマーは、構造:
【0136】
【化14】

を有する。
【0137】
上部撹拌機を備えるガラス反応器に、100mLのトルエンおよび1.52gのジアリルジメチルシロキサン(8.44ミリモル)を充填した。次に、アルゴンで25psigに加圧し、真空下で排気するサイクルを繰り返すことによって反応器をパージした。2mLのトルエン中の0.5gのTMAフリーのMAOの溶液をアルゴン下で加え、反応器をエチレンで25psigに1分の間加圧した。圧力を解放し、2mLのトルエン中の0.5gのTMAフリーのMAOと、3mLのトルエン中の0.0175ミリモルの触媒との新たに調製した混合物から調製した触媒/MAO混合物を加えた。
【0138】
次に、反応器をエチレン45psiに加圧してエチレン供給源から切り離した。次の2時間にわたって圧力低下をモニタ(反応は室温で実行した)して、エチレン圧が急速に低下することを観測した。1.5時間反応を続けた後、圧力は約5psigに低下していた。2×10mLのメタノールで反応を停止させた。ろ過によって重合体を単離し、メタノールで洗浄して一定重量まで乾燥させ、2.69gの白色の固体を得た。
【0139】
(実施例4)
(エチレン/テトラアリルオキシシラン共重合体の合成)
本実施例では、エチレンと、加水分解によって開裂し得るシロキサン結合を含む加水分解性コモノマーであるテトラアリルオキシシランとの、実施例1のメタロセン触媒を用いる共重合を説明する。ここで前記コモノマーは、構造:
【0140】
【化15】

を有する。
【0141】
上部撹拌機を備えるガラス反応器に、100mLのトルエンおよび2.98gのテトラアリルオキシシラン(11.64ミリモル)を充填した。次に、アルゴンで25psigに加圧し、真空下で排気するサイクルを繰り返すことによって、反応器をパージした。2mLのトルエン中の0.5gのTMAフリーのMAO(メチルアルミノキサン)の溶液をアルゴン下で加え、反応器をエチレンで25psigに1分間加圧した。圧力を解放し、2mLのトルエン中の0.5gのTMAフリーのMAOと、3mLのトルエン中の0.0159ミリモルの触媒との新たに調製した混合物から調製した触媒/MAO混合物を加えた。
【0142】
次に、反応器をエチレンの45psigに加圧してエチレン供給源から切り離した。次の2時間にわたって圧力低下をモニタ(反応は室温で実行した)した。1.5時間反応を続けた後、圧力は約5psiに低下していた。2×10mLのメタノールで反応を停止させた。ろ過によって重合体を単離し、メタノールで洗浄して一定重量まで乾燥させ、1.07gの白色の固体を得た。
【0143】
(実施例5)
(エチレン/1−アリルオキシ−ペンタ−1,4−ジエン共重合体の合成)
本実施例では、エチレンと、加水分解によって開裂し得るエノールエーテル結合を含む加水分解性コモノマーである1−アリルオキシ−ペンタ−1,4−ジエンとの、実施例2のメタロセン触媒を用いる共重合を説明する。ここで前記コモノマーは、構造:
【0144】
【化16】

を有する。
【0145】
上部撹拌機を備えるガラス反応器に、100mLのトルエンおよび0.915gの1−アリルオキシ−ペンタ−1,4−ジエン(7.5ミリモル)を充填する。次に、アルゴンで25psigに加圧し、真空下で排気するサイクルを繰り返すことによって、反応器をパージする。2mLのトルエン中の0.5gのTMAフリーのMAOの溶液をアルゴン下で加え、反応器をエチレンで25psigに1分間加圧する。圧力を解放し、2mLのトルエン中の0.5gのTMAフリーのMAOと、3mLのトルエン中の0.010ミリモルの触媒との新たに調製した混合物から調製した触媒/MAO混合物を加える。
【0146】
次に、反応器を45psiエチレンに加圧してエチレン供給源から切り離す。次の2時間にわたって圧力低下をモニタ(反応は室温で実行した)して、エチレン圧が急速に低下することを観測する。1.5時間反応を続けた後、圧力は約5psigに低下する。2×10mLのメタノールで反応を停止させる。濾過によって重合体を単離し、メタノールで洗浄して一定重量まで乾燥し、所望の共重合体を得ることがある。
【0147】
(実施例6)
(エチレン/酸無水物共重合体の合成)
本実施例では、エチレンと、加水分解によって開裂し得る酸無水物結合を含む加水分解性コモノマーとの共重合を説明する。ここで、前記コモノマーは、構造:
【0148】
【化17】

を有する。構造:
【0149】
【化18】

を有するジイミン触媒[Ar−N=C(CH)−C(CH)=N−Ar]PdCl、を用いる。ここで、Arは2,4,6−トリイソプロピル−フェニルである。
【0150】
300mLガラス反応器中に塩化メチレン(150mL)を入れ、次に、エチレンでフラッシュして15psigの圧力までエチレンを充填する。この溶液を室温で15分間平衡化させてから、塩化メチレン中の触媒(約0.01ミリモル)および0.81gの酸無水物(5.25ミリモル)の溶液を加える。塩化メチレン(10mL)中のナトリウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボラート(NaBAF、1当量)の溶液を、アルゴン超過圧力を用いて反応器中に注入して、インサイチュで活性触媒を形成させ、重合を開始させる。所望の時間経過後、試料を取り出し、蒸発乾固させる。この試料をH NMRで分析し、NMRスペクトルによって、共重合体生成物への両方のモノマーの取り込みを確認する。
【0151】
(実施例7)
(共重合体の加水分解)
実施例1および2で合成した共重合体のそれぞれの0.2g試料を3つ、pH4、pH7およびpH10の緩衝液10mlに入れた。これらの6つの溶液を常温で18時間撹拌した。撹拌後、試料を5分間遠心分離し、デカンテーションによって液体を除いた。試料をバイアル瓶に移し、真空乾燥庫中で一夜乾燥させた。次に、試料を秤量した。結果を表1および図3に示す。
【0152】
【表1】

表1および図3の加水分解データおよび図1および2のNMRスペクトルは、本発明が、組み込むことができる極性の加水分解性モノマーの量が、先行技術の方法を用いて合成した共重合体と比較して、顕著に増加するオレフィン共重合体を提供することを示している。例えば、国際特許公開第92/12185号明細書中でAustinらが記載している、エチレンと環状ケテンアセタール、2−メチレン−1,3−ジオキセパン(MDOP)との間のラジカル開始開環共重合反応を用いるプロセスでは、原料中のMDOPのレベルが25重量%であったときでも、3.20モル%の「加水分解性」モノマーしか含まないポリエステルが生成している。対照的に、実施例1の共重合体では、20モル%の取り込みを実現した。
【0153】
実施例3および4で合成した共重合体の試料(採取量0.2g)を、さまざまなpHレベルで上記と同じに評価した。処理後、混合物をろ過して水で洗浄し、一定重量までオーブン乾燥した。結果を表2に示す。
【0154】
【表2】

表2のデータは、ある種の共重合体の加水分解を達成するためには高いpHが必要であり、共重合体構造の変化が加水分解の程度の高低をもたらし得ることを示している。実施例4のテトラオレフィンから合成したシロキサン共重合体は、pH4、7および10で加水分解すると、より多くの溶解を生じたが、一方、対応するジオレフィンから合成した実施例3のシロキサン共重合体は、有意な加水分解を達成するためにより高いpHを必要とした。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】図1および2は、それぞれ、実施例1で説明する3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(加水分解性モノマー)およびそのエチレンとの共重合体のNMRスペクトルである。
【図2】図1および2は、それぞれ、実施例1で説明する3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(加水分解性モノマー)およびそのエチレンとの共重合体のNMRスペクトルである。
【図3】図3は、実施例1の共重合体について、実施例7で説明するようにpHに対して溶解した重合体の百分率を示す加水分解データのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非加水分解性モノマー単位および加水分解性モノマー単位を含む骨格を有する分解性オレフィン共重合体であって、
(a)該非加水分解性モノマー単位は、非加水分解性オレフィンモノマーの重合から生じ;そして
(b)該加水分解性モノマー単位は、酸性条件または塩基性条件下で加水分解により開裂し得る少なくとも1つの結合を含む加水分解性オレフィンモノマーの重合によって生じ、該結合は、カーボネート、N−置換アミド、N−置換ウレタン、N−置換イミノ、置換イミド、N,N−二置換ヒドラゾ、チオエステル、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、オルトエステル、エーテルおよびチオから選択される、
分解性オレフィン共重合体。
【請求項2】
前記非加水分解性モノマー単位は、非環式オレフィンモノマーの重合から生じる、請求項1に記載の共重合体。
【請求項3】
前記非加水分解性モノマー単位は、環状オレフィンモノマーの重合から生じる、請求項1に記載の共重合体。
【請求項4】
前記共重合体中に、隣接する加水分解性モノマー単位は存在しない、請求項1に記載の共重合体。
【請求項5】
前記加水分解性モノマー単位は、加水分解により開裂し得る結合を1つ含む、請求項1に記載の共重合体。
【請求項6】
前記結合は、酸性条件下で加水分解により開裂し得る、請求項5に記載の共重合体。
【請求項7】
前記結合は、塩基性条件下で加水分解により開裂し得る、請求項5に記載の共重合体。
【請求項8】
2つ以上の異なる非加水分解性モノマー単位を含む、請求項1に記載の共重合体。
【請求項9】
単一の型の非加水分解性モノマー単位を含む、請求項1に記載の共重合体。
【請求項10】
前記加水分解性モノマー単位は、前記共重合体の約0.1モル%〜約50モル%を占める、請求項1に記載の共重合体。
【請求項11】
前記加水分解性モノマー単位は、前記共重合体の約10モル%〜約50モル%を占める、請求項10に記載の共重合体。
【請求項12】
前記加水分解性モノマー単位は、前記共重合体の少なくとも15モル%を占める、請求項11に記載の共重合体。
【請求項13】
前記加水分解性モノマー単位は、前記共重合体の少なくとも20モル%を占める、請求項12に記載の共重合体。
【請求項14】
請求項1に記載の共重合体であって、
前記非加水分解性モノマー単位は、−RCH−CHR−の形態であり、Rは、ヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキルまたは置換C〜C24ヘテロアルキルであり、Rはヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキル、置換C〜C24ヘテロアルキル、C〜C24アルケニル、置換C〜C24アルケニル、C〜C24ヘテロアルケニル、置換C〜C24ヘテロアルケニル、C〜C24アリール、置換C〜C24アリール、C〜C24ヘテロアリール、置換C〜C24ヘテロアリール、C〜C24アルカリール、置換および/もしくはヘテロ原子含有C〜C24アルカリールまたはハロであるか、あるいはRおよびRは、結合して環状基を形成し;そして
前記加水分解性オレフィンモノマーは、RCH=CH−(L−X−(L−CH=CHRの形態の付加重合可能なモノマーであり、RおよびRは、独立して、ヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキル、置換C〜C24ヘテロアルキル、C〜C24アリール、置換C〜C24アリール、C〜C24ヘテロアリールまたは置換C〜C24ヘテロアリールであり、mおよびnは、独立して、ゼロまたは1であり、LおよびLは、必要に応じて、置換および/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、Xは、前記加水分解により開裂し得る結合である、共重合体。
【請求項15】
、R、RおよびRはヒドリドである、請求項14に記載の共重合体。
【請求項16】
mおよびnは1であり、LおよびLは低級アルキレンである、請求項15に記載の共重合体。
【請求項17】
およびLはメチレンである、請求項16に記載の共重合体。
【請求項18】
およびLの少なくとも一方は、低級アルケニル基で置換されている、請求項16に記載の共重合体。
【請求項19】
mおよびnは0である、請求項15に記載の共重合体。
【請求項20】
モノマー混合物の付加重合によって調製される分解性オレフィン共重合体であって、該混合物は、(a)(i)第4、5または6族遷移金属のメタロセン錯体、および(ii)第8族遷移金属の1、2−ジイミン錯体またはその類似体から選択される触媒有効量の遷移金属錯体、ならびに(b)前記錯体をカチオンまたは双性イオンにする触媒活性化剤の存在下で、多くとも80モル%の少なくとも1つの非加水分解性オレフィンモノマーおよび少なくとも20モル%のジオレフィンモノマーを含み、該ジオレフィンモノマーは、カーボネート、N−置換アミド、N−置換ウレタン、N−置換イミノ、置換イミド、N,N−二置換ヒドラゾ、チオエステル、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、オルトエステル、エーテルおよびチオから選択される加水分解により開裂し得る結合を含む、分解性オレフィン共重合体。
【請求項21】
請求項20に記載の共重合体であって、
前記非加水分解性オレフィンモノマーは、RCH=CHRの形態の付加重合可能なモノマーであり、Rは、ヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキルまたは置換C〜C24ヘテロアルキルであり、Rはヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキル、置換C〜C24ヘテロアルキル、C〜C24アルケニル、置換C〜C24アルケニル、C〜C24ヘテロアルケニル、置換C〜C24ヘテロアルケニル、C〜C24アリール、置換C〜C24アリール、C〜C24ヘテロアリール、置換C〜C24ヘテロアリール、C〜C24アルカリール、置換および/もしくはヘテロ原子含有C〜C24アルカリールまたはハロであるか、あるいはRおよびRは結合して環状基を形成し;そして
前記加水分解性オレフィンモノマーは、RCH=CH−(L−X−(L−CH=CHRの形態の付加重合可能なモノマーであり、RおよびRは、独立して、ヒドリド、C〜C24アルキル、置換C〜C24アルキル、C〜C24ヘテロアルキル、置換C〜C24ヘテロアルキル、C〜C24アリール、置換C〜C24アリール、C〜C24ヘテロアリールまたは置換C〜C24ヘテロアリールであり、mおよびnは、独立して、0または1であり、LおよびLは、必要に応じて、置換および/またはヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、Xは前記加水分解によって開裂し得る結合である、共重合体。
【請求項22】
請求項21に記載の共重合体であって、
は、ヒドリドまたはC〜C12アルキルであり、
は、ヒドリド、C〜C12アルキル、置換C〜C12アルキル、C〜C12ヘテロアルキル、置換C〜C12ヘテロアルケニル、C〜C12アルケニル、置換C〜C12アルケニル、C〜C12ヘテロアルケニル、置換C〜C12ヘテロアルケニル、C〜C14アリール、置換C〜C14アリール、C〜C14ヘテロアリール、置換C〜C14ヘテロアリール、C〜C16アルカリール、置換および/もしくはヘテロ原子含有C〜C16アルカリールまたはハロであるか、あるいはRおよびRは、結合して架橋−Q−を形成し、Qは3原子〜7原子のヒドロカルビレンスペーサーであり;
およびRは、独立して、ヒドリド、C〜C12アルキル、置換C〜C12アルキル、C〜C12ヘテロアルキル、置換C〜C12ヘテロアルキル、C〜C14アリール、置換C〜C14アリール、C〜C14ヘテロアリールまたは置換C〜C14ヘテロアリールであり;そして
およびLは、独立して、必要に応じて置換および/または加水分解により開裂し得る結合を含む低級アルキレンである、共重合体。
【請求項23】
請求項22に記載の共重合体であって、
は、ヒドリドまたは低級アルキルであり;
は、ヒドリド、低級アルキル、置換低級アルキル、低級ヘテロアルキル、置換低級ヘテロアルキル、C〜C14アリール、置換C〜C14アリール、C〜C14ヘテロアリール、置換C〜C14ヘテロアリール、C〜C16アルカリール、置換および/またはヘテロ原子含有C〜C16アルカリールまたはハロであり;
およびRは、独立して、ヒドリドまたは低級アルキルであり;
およびLは、独立して、必要に応じてアリル基で置換された低級アルキレンである、共重合体。
【請求項24】
およびRは、ヒドリドであり、LおよびLは、非置換低級アルキレンである、請求項23に記載の共重合体。
【請求項25】
およびRは、ヒドリドであり、mおよびnは、0である、請求項23に記載の共重合体。
【請求項26】
少なくとも1つの分解性重合体および少なくとも1つのさらなる重合体を含むブレンドであって、該少なくとも1つの分解性重合体は、非加水分解性モノマー単位および加水分解性モノマー単位を含む骨格を有する分解性オレフィン共重合体を含み、さらに、(a)該非加水分解性モノマー単位は、非加水分解性オレフィンモノマーの重合から生じ、(b)該加水分解性モノマー単位は、酸性条件または塩基性条件下で加水分解により開裂し得る少なくとも1つの結合を含む加水分解性オレフィンモノマーの重合から生じる、ブレンド。
【請求項27】
前記さらなる重合体は、分解性重合体である、請求項26に記載のブレンド。
【請求項28】
前記さらなる重合体は、加水分解性重合体である、請求項27に記載のブレンド。
【請求項29】
前記さらなる重合体は、非加水分解性重合体である、請求項26に記載のブレンド。
【請求項30】
非分解性重合体をさらに含む、請求項26に記載のブレンド。
【請求項31】
前記少なくとも1つの分解性重合体は、前記分解性オレフィン共重合体と少なくとも1つのさらなる分解性重合体との混合物を含む、請求項26に記載のブレンド。
【請求項32】
前記混合物は、約30重量%〜約95重量%の前記分解性オレフィン共重合体、および約5重量%〜約70重量%の前記少なくとも1つのさらなる分解性重合体を含む、請求項31に記載のブレンド。
【請求項33】
前記少なくとも1つのさらなる分解性重合体は、デンプンを含む、請求項32に記載のブレンド。
【請求項34】
前記非分解性重合体は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンゴム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリハロカーボン類、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、エチレンとプロピレン、イソブテン、ブテン、ヘキセン、オクテン、塩化ビニル、ビニルアルコールおよびそれらの組み合わせとの共重合体から選択される、請求項26に記載のブレンド。
【請求項35】
前記少なくとも1つの結合は、エノールエーテル、非環式アセタール、ヘミアセタール、酸無水物、カーボネート、N−置換アミド、N−置換ウレタン、N−置換イミノ、イミド、置換イミド、N,N−二置換ヒドラゾ、チオエステル、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、オルトエステル、エーテル、チオおよびシロキシルから選択される、請求項26に記載のブレンド。
【請求項36】
非加水分解性モノマー単位および加水分解性モノマー単位を含む骨格を有する分解性オレフィン共重合体を少なくとも部分的に含む分解性物品であって、
(a)該非加水分解性モノマー単位は、非加水分解性オレフィンモノマーの重合から生じ、
(b)該加水分解性モノマー単位は、酸性条件または塩基性条件下で加水分解により開裂し得る少なくとも1つの結合を含む加水分解性オレフィンモノマーの重合から生じ、該結合は、カーボネート、N−置換アミド、N−置換ウレタン、N−置換イミノ、置換イミド、N,N−二置換ヒドラゾ、チオエステル、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、オルトエステル、エーテルおよびチオから選択される、分解性物品。
【請求項37】
容器、使い捨ておむつおよび包装材料から選択される、請求項36に記載の物品。
【請求項38】
非加水分解性モノマー単位および加水分解性モノマー単位を含む骨格を有する分解性オレフィン共重合体を少なくとも部分的に含む分解性物品であって、
(a)該非加水分解性モノマー単位は、非加水分解性オレフィンモノマーの重合から生じ、
(b)該加水分解性モノマー単位は、酸性条件または塩基性条件下で加水分解により開裂し得る少なくとも1つの結合を含む加水分解性オレフィンモノマーの重合から生じ、
該分解性物品は、フィルム、繊維、発泡体、織布、不織布および成型物品からなる群より選択される、分解性物品。
【請求項39】
農業フィルム製品、粘着テープ、ベッドリネン、使い捨て吸収性物品バッグ、ラベル、防護服、外科的ドレープ、スポンジ、タンポン塗布具、使い捨て注射器、仮囲い、仮羽目板、玩具、拭き取り繊維、発泡プラスチック製品および徐放性ペレット、ストリップおよびタブから選択される、請求項38に記載の物品。
【請求項40】
使い捨て吸収性物品を含む、請求項39に記載の物品。
【請求項41】
前記使い捨て吸収性物品は、水透過性トップシート、水非透過性バックシート、およびそれらの間にある吸収性コアを含み、該トップシートおよび該バックシートの少なくとも一方は前記分解性共重合体からなる、請求項40に記載の物品。
【請求項42】
おむつ、サニタリーナプキン、失禁パッドまたはパンティライナーの形である、請求項41に記載の物品。
【請求項43】
少なくとも1つのさらなる分解性成分をさらに含む、請求項38、39、40、41および42のいずれか1項に記載の物品。
【請求項44】
非分解性重合体をさらに含む、請求項38、39、40、41および42のいずれか1項に記載の物品。
【請求項45】
非分解性重合体をさらに含む、請求項38、39、40、41および42のいずれか1項に記載の物品。
【請求項46】
請求項1または請求項20に記載の分解性共重合体、ならびにさらなる分解性成分、非分解性重合体、酸化防止剤、酸化促進剤、安定性向上剤、引張り強度向上剤、光増感剤、着色剤、可塑剤、粘着性向上剤、充填材、帯電防止剤、難燃剤および乳白剤から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、分解性物品を調製するための組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−521415(P2006−521415A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569694(P2004−569694)
【出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/041383
【国際公開番号】WO2004/083266
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(593195026)エスアールアイ インターナショナル (14)
【氏名又は名称原語表記】SRI INTERNATIONAL
【Fターム(参考)】