説明

加熱調理器

【課題】グリル庫内の清掃性を高め、グリル庫内の底面部への油の漏れや油煙の回り込みを抑える。
【解決手段】グリル庫(加熱室)501内の汚れの付着を天面パネル531と側面パネル522a、bと背面部505と底面部504で構成された小部屋に閉じ込め、下方に付着した油や流れ落ちた油はすべて汁受け皿510と油受けの凹部521で受け止めて溜め込むことで加熱室501の壁面への付着を防止し、さらに天面パネル531と側面パネル522a、bを取り外せるようにすることにより、容易に手入れが可能となる。また、上下面側ヒーター507、508を上下方向の中央に移動できるので、加熱室内の清掃が可能となる。さらに、吸入ファン702による強制排気により、小部屋の内圧を低くしているので、油や油煙が外側の加熱室501の壁面へ漏れるのを抑制するとともに、調理後の加熱室内への悪臭の染み付き抑制および清潔な状態を保つことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被調理物を加熱する加熱調理器に関するものであり、特に加熱室グリル庫内の清掃性を高めた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からグリルを用いて魚などを調理すると、調理中の食品の油などが飛び散って、グリル庫内が汚れるという課題を解決するために、種々の取り組みが行われてきた。
例えば、グリル庫とも呼ばれる加熱室の天面部と底面部に設けた突起と加熱室の側壁との間を自在に摺動する平板状の側板を加熱室内に装着することで、加熱により飛散した被調理物(例えば魚)油脂分や肉片等の汚れがこの側板に付着しても側板は固定されていないので容易に加熱室から引き出せ、かつ小型であるため台所の流し台等でも容易に洗浄ができるという技術が公開されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、ロースターの加熱調理庫を遮熱ケース内に配設され前方を開口した矩形箱状の固定庫と、固定庫内に着脱可能に収容され前方を開口した矩形箱状の着脱庫とからなる2重構成にし、着脱庫を清掃したい場合には、扉を前方へ引張りロースター皿及び焼き網を一体に引き出して取り出した後、手掛け部を掴んで着脱庫を前方に引き出す。これにより、固定庫側に取付け固定された上ヒーターと下ヒーターを残して完全に外部に取り出すことができ、清掃を容易に行なうことができるという技術が公開されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
また、グリル庫の左右両内側面のそれぞれを覆う着脱自在のカバー板を設け、このカバー板をグリル庫のそれぞれの内側面に装着させるときには、カバー板の支持片を手で持ちながら、カバー板をグリル庫の後端部側からグリル庫内に差し込んでいき、最後にカバー板を内側面側に移動させた上で、抜け止め用の鍔部との干渉を避けながらカバー板の係止孔にグリル庫の係止ピンを係止させる。また、カバー板を洗浄する際等に、カバー板をグリル庫から取り出す場合には、前記支持片を手で少し持ち上げながら内方へ移動させて、抜き止め用の鍔部を係止孔から抜き取ればカバー板を容易に取り外せるという技術が公開されている(例えば特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平7−301429号公報(第4頁、図1)
【特許文献2】特開2004−305626号公報(第4頁、図1、図2)
【特許文献3】特開2006−141588号公報(第7頁〜第8頁、図2〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜3で示される従来の加熱調理器では、加熱室の天面部を取り外すことができなかった。このため、天面部が汚れても洗浄が難しいという課題があった。
また、上記特許文献1〜3で示される従来の加熱調理器では、グリル庫内はヒーターと壁面の隙間が小さく、手が入りにくいため著しく清掃性が悪いという課題があった。
また、上記特許文献1で示される従来の加熱調理器では、左右壁面を取り外すことができるが、構成によっては左右壁面から垂れた油の一部や油煙が隙間を通して庫内の側壁や底部に漏れたり、回り込んだりする場合もあった。また油煙の排気構造について開示していないため、油煙がグリル庫内壁面等に付着することも考えられ、この場合の汚れの掃除は手間がかかり、油臭いニオイが残るという課題があった。
また、上記特許文献2で示される従来の加熱調理器では、庫内壁面を箱状の形態を保ったまままるごと取り外せるが、一体型ゆえ重量も重く、また奥行きが深いため庫内を洗浄しづらく、サイズの問題から食器洗浄器が使えないという課題が残されていた。
また、上記特許文献3で示される従来の加熱調理器では、カバー板の係止孔を通して内側面側に油や油煙が漏れ出るため、内側面に付着した油が垂れて加熱室の底部が汚れてしまい、掃除がしにくいという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものであり、第1の目的は、グリル庫内の清掃性を従来よりも高める加熱調理器を提供することにある。
また、第2の目的は、グリル庫内への油の漏れによる油垂れや油煙の回り込みによる内側面部などへの汚れの付着を抑制する加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る加熱調理器は、天面部、両側面部、背面部及び底面部を有し、被調理物を出し入れ可能に前面が開口した加熱室と、前面の開口を塞ぐように設けられた扉と、加熱室内に配置され、被調理物を加熱する熱源と、底面部に載置された汁受け皿と、側面部と対向するように配置され、加熱室内に着脱自在に装着される側面パネルと、側面パネルと別体でかつ天面部と対向し、側面パネルと接触するように加熱室内に着脱自在に装着される天面パネルと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、天面部、両側面部、背面部及び底面部を有し、被調理物を出し入れ可能に前面が開口した加熱室と、前面の開口を塞ぐように設けられた扉と、加熱室内に配置され、被調理物を加熱する熱源と、底面部に載置された汁受け皿と、側面部と対向するように配置され、加熱室内に着脱自在に装着される側面パネルと、側面パネルと別体でかつ天面部と対向し、側面パネルと接触するように加熱室内に着脱自在に装着される天面パネルと、を備えたので、加熱調理室内の側面パネル、天面パネルを分割して取り外すことができ、手洗いや食洗機による洗浄を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明に係るグリルを含む加熱調理器の外観を示す斜視図である。また、図2は図1に示した加熱調理器の天板と加熱コイルとグリル扉を取り外した状態を示す分解斜視図であり、同時にグリル内の構成を示している。また、図3は本発明の実施の形態1におけるグリルの正面図であり、加熱室内に天面パネルと左右両側面パネルを装着した状態を示している。また、図4(c)は加熱室内から天面パネルと左右両側面パネルと汁受け皿を取外した状態を示すグリルの正面図であり、図4(a)は図4(c)のA−A矢視図である。次に、加熱調理器2の機構について図1を用いて説明する。
図1に示すように、加熱調理器10は、加熱調理器の本体1と、本体1の上面を形成し鍋などを載置する耐熱ガラス製のトッププレート2とから構成される。また、トッププレート2上には、加熱部3a〜3cと、各加熱部3a〜3cにおける火力の強さを設定する火力設定部41a〜41cと火力を点灯表示する火力表示部42a〜42cが設けられている。また本体1は、魚や肉類を焼くのに好適なグリル5と、上記加熱部3a〜3c、及びグリル5等に対し火力、調理時間、温度等の条件を設定且つ表示できるように複数の回転式ボタンや表示部を備えた前面操作部6と、トッププレート2の下方に設けられ、加熱部3a〜3cの実体を構成する加熱コイル(図示せず)とから構成される。なお、トッププレート2の後方には排気口7が設けられている。
【0011】
次に、グリル5の構成について図1〜図3、図4(a)、図4(c)を用いて説明する。
グリル5は図2および図3に示すように箱状のケースである加熱室501とこの加熱室501に収容される各種の部品および部材から構成されている。加熱室501は左側面部502aと右側面部502bと天面部503と底面部504と背面部505とから構成されており、図2に示すように加熱室501の前面は開口された前面開口部506を構成している。加熱室501内の上方には第1の輻射熱源を構成する上面側ヒーター507が、天面部503に一端が取り付けられた1対の上面側ヒーター支持材5071a、5071bの他端によって支持されている。また、加熱室501内の中央下方には第2の輻射熱源を構成する下面側ヒーター508が、一端が左側面部502aに取り付けられた下面側ヒーター支持材5081aの他端と、一端が右側面部502bに取り付けられた下面側ヒーター支持材5081bの他端によって支持されている。
また、加熱室501には、図1の扉509と一体に構成された汁受け皿510が前後方向に出入り自在に設けられた左右のスライドレール511a、511bの上に着脱自在に載置された状態で収容されており、扉509を押し込んだときに、汁受け皿510が加熱室501内に完全に収容され、前面開口部506が扉509によって閉塞される。また、汁受け皿510には略U字状の断面をもつ焼き網支持部512が載置されており、被調理物80を載置する焼き網513がこの焼き網支持部512によって支持されている。従って、扉509の把手を掴んで引き出すと汁受け皿510と焼き網513も一緒に引き出され、押し込むときも汁受け皿510と焼き網513も一緒に加熱室501に収納される。
【0012】
また、左側面部502aと右側面部502bにはそれぞれ同じ大きさの吸気口5021a、5021bが形成されており、その後方に吸気口5021a、5021bよりも面積が小さい吸気口5022a、5022bが形成されており、さらにその後方にセンサー5023a、5023bが設けられている。また、背面部505の中央部には排気口5051が形成されており、この排気口5051からL字状に屈折した排気ダクト701が連通して設けられており、加熱室501内の油煙を含む空気はこの排気ダクト701を通った後吸入ファン702を介して本体1の後方且つ上方の排気口7を介して外部へ排気されるように構成されている。
【0013】
また、図3に示すように加熱室501の底面部504には左側面部502aおよび右側面部502bの近傍にそれぞれ前後方向に渡って1対の凸状の取付ガイド541a、541bが形成されている。また、左側面部502aとこの左側面部502aに近い方の取付ガイド541aとの間には、左側面パネル522aが取付ガイド541aに沿って前後方向に着脱自在に装着される。さらに、この左側面パネル522aの下部には内側に曲げることで油受けの凹部521を設けている。また、右側面部502bとこの右側面部502bに近い方の取付ガイド541bとの間には、右側面パネル522bが取付ガイド541bに沿って前後方向に着脱自在に装着される。さらに、この右側面パネル522bの下部には内側に曲げることで油受けの凹部521を設けている。
なお、この左側面パネル522aはこれを加熱室501内へ装着したときに上端部の高さが上面側ヒーター507の高さよりも高い所に位置するように構成する。
また、汁受け皿510と焼き網513の間に被調理物を加熱する下面側ヒーター508が設けられている。
【0014】
なお、左右両側面パネル522a、522bが加熱室501に装着されたときに、この左右両側面パネル522a、522bの上部は外側に突出する取付ガイド5221a、5221bが形成されるようにL字状に折り曲げられている。また、この取付ガイド5221a、5221bの端部近傍は上端部に到るまで立設するようにL字状に折り曲げられている。この取付ガイド5221a、5221bにより、側面パネル522a、522bを加熱室501に装着したときの重心の位置は中心の位置より外側へずれた所に位置するため、加熱室501への装着には、側面パネル522a、522bは下端部の凹部521を支点として外側へ倒れる。このとき、この取付ガイド5221a、5221bが両側面部502a、502bへ倒れるときのストッパーとしての機能も持ち、この取付ガイド5221a、5221bを介して図12に示すように左側面パネル522aと左側面部502aとの間および右側面パネル522bと右側面部502bとの間にそれぞれ隙間が形成され、風路となる。
【0015】
そして、このようにして構成された前後方向に着脱自在に設けられた天面パネル531が取付ガイド5221a、5221b上をそのL字状に折れ曲がった上端部に沿って前後方向に挿入されることで天面部503を下から覆うように載置される。この天面パネル531が取付ガイド5221a、5221bの上に載置されると、この天面パネル531が取付ガイド5221a、5221bの内側への倒れ込みを防ぐストッパーの機能を持つため、側面パネル522a、522bはその位置を安定に維持することができる。このとき、天面パネル531と天面部503との間に隙間が形成され、風路となる。
なお、上記の例では左右両側面パネル522a、522bの上部を外側にL字状に折り曲げて取付ガイド5221a、5221bを形成したが、L字状に限る必要はなく、くの字状、すなわち上方に延びる傾斜をもって外側に折り曲げてもよい。
なお、側面パネル522a、522bと天面パネル531を奥まで押し込んでも、背面部505との間に隙間が形成される。この隙間は風路の一部を構成する。
【0016】
このように加熱室501の側壁と天井は2重構造となり、加熱室501の内部に天面パネル531と左右側面パネル522a、522bと背面部505と底面部504とで囲まれた小さい部屋(以下、小部屋と呼ぶこともある)が新たに構成される。そして、この小部屋の中に上面側ヒーター507と下面側ヒーター508と焼き網513と汁受け皿510を収納することで、この小部屋内で調理を行うことができ、調理によって被調理物から発生した油煙や油を極力この小さい部屋の内部で閉じ込め、小部屋の外側の天面部503や側面部502a、502bへ漏れるのを抑制することができる。
また、加熱室501へ漏れた油煙も吸入ファン702の吸引力により強制的に排気ダクト経由で外部へ排気することで、加熱室501の側面部502や天面部503などの壁面への付着を極力少なくするように構成している。
【0017】
また、上述したように側面パネル522a、522bの下部には油受けの凹部521が設けられている。また、汁受け皿510の上部は水平に延設されたフランジを構成し、その端部は、油受けの凹部521の真上に位置するように構成されている。これにより、調理によって飛散した油は天面パネル531、左右側面パネル522a、522b、背面部505、汁受け皿510および油受けの凹部521のいずれかに付着し、時間の経過とともに加熱室内の天面パネル531に付着した油が滴下しても直接水受け部510または側面パネル522a、522b下部の油受けの凹部521に落下するか、あるいは取付ガイド5221a、5221bを介して側面パネル522a、522bを伝って油受けの凹部521に溜まるので、加熱室内の底面部504への油の付着を抑制することができる。また、取付ガイド5221a、5221bの端部近傍は上端部に到るまで立設するようにL字状に折り曲げられているので、天面パネル531に付着した油が取付ガイド5221a、5221bに垂下したときに取付ガイド5221a、5221bから外側の風路に漏れ出るのを抑制し、側面パネル522a、522bを伝って油受けの凹部521に溜めることができる。
一方側面パネル522a、522bに直接付着した油は垂れても油受けの凹部521に溜まるので、加熱室内の底面部504への油の付着を抑制することができる。
【0018】
さらに、上記加熱室(グリル庫)内の小さい部屋を構成する略平面状の天面パネル531と左右両側面パネル522a、522bを個別に取り外し可能に構成することで、これらを洗剤による水洗いや食器洗浄機を利用して洗浄することができ、グリル庫内の清掃性を一層高めることができる。
また、汁受け皿510も含めると、加熱室内4面の壁面が全て取り外せることとなり、これらを洗剤による水洗いや食器洗浄機を利用して洗浄することができる。
【0019】
また、一端が前記加熱室501の側面部502a、502bに取り付けられ、他端が下面側ヒーター508(第2の輻射熱源を構成する)を水平に支持するように一対の下面側ヒーター支持材5081a、5081bを同一の高さに設け、さらに図5に示すように側面パネル522a、522bには下面側ヒーター支持材5081a、5081bとの干渉を回避するためのスリット523を形成する。さらに側面パネル522a、522bを前後方向に対称形に構成する。これにより、側面パネル522の左右を取り違えても取り付け先である加熱室501の側面部502の左右を適切に選択することで、問題なく差し込むことが可能であり、取り付けが容易になる。
また、側面パネル522a、522bを加熱室内に装着したときに、図5に示すように加熱室501の側面部502a、502bに近づくに連れて上方へせり上がる傾斜したフランジ5231をこのスリット523に設け、さらに下面側ヒーター支持材5081a、5081bのフランジ5231近傍の部分をこのフランジ5231とほぼ平行になるように折り曲げる。これにより、このスリット523に付着した油は外側の加熱室501に垂れ落ちることが無くなり、付着した油は側面パネル522a、522bの内側を伝って下部の油受けの凹部521に流れ落ちる。
また、上記の構成により、側面パネル522a、522bを内側へ倒そうとしてもこのフランジ523と折り曲げた部分が干渉するため、側面パネル522a、522bはこれ以上内側へ倒れることができない。また、側面パネル522a、522bを内側へ移動しようとしても、加熱室501の底面部504に形成された凸状の取付ガイド541a、541bがこれを阻止する。また、上述したように、側面パネル522a、522bの重心の位置がその中心の位置より外側(加熱室側)にあるので側面パネル522a、522bを加熱室内に装着したときには側面パネル522a、522bが自ら外側に倒れることにより、上部のガイドレールを不要にすることが可能である。
【0020】
また、一端が前記加熱室501の天面部503に取り付けられ、他端が上面側ヒーター507(第1の輻射熱源を構成する)を左右方向に線対称に支持するように一対の上面側ヒーター支持材5071a、5071bを設ける。さらに、図4(b)に示すように天面パネル531には上面側ヒーター支持材5071a、5071bとの干渉を開示するためのスリット533を形成する。さらに天面パネル531を前後方向に対称形に構成する。これにより、天面パネル531の左右を取り違えても前後の向きを気にすることなく装着でき、装着が容易になる。
なお、上面側ヒーター支持材5071a、5071bが不要なときには、スリット533をなくすことができる。
また、図4(b)に示すように天面パネル531を加熱室内に装着したときに、加熱室501の側面部502a、502bに近づくに連れて上方へせり上がる傾斜したフランジ5331をこのスリット533に設け、さらに上面側ヒーター支持材5071a、5071bの前記フランジ近傍の部分を前記フランジとほぼ平行になるように折り曲げる。これにより、このスリット533に付着した油は天面パネル531の上部を伝って加熱室内の側面パネル522a、522bより外側へ垂れ落ちることが無くなり、天面パネル531に付着した油は小部屋の内側に垂れ落ちる。
なお、上面側ヒーター支持材5071a、5071bが不要なときには、スリット533をなくすことができる。
【0021】
また、焼き網513も前後方向に線対称に構成する。これにより、焼き網513の左右を取り違えても前後の向きを気にすることなく装着でき、装着が容易になる。
さらに図6(b)に示すように汁受け皿510に載置され、上記線対称の焼き網513を支持する焼き網支持部512を前後方向に線対称の位置に立設するように構成する。図6(a)は従来の構成図であり、支持部を偏った位置に立設する場合には支えの無い部分が長く、剛性が不足するという問題が発生する。また、従来の焼き網は形状が複雑で、取付け方向も一方向に限定されているため、誤った取付をしやすく、トレーが閉まらなかったり、ヒーターを破損させたりする原因となっていた。上記図6(b)のように構成することでこのような問題を解決することができる。
【0022】
また、図7は、本発明の実施の形態1における加熱室への側面パネルおよび天面パネルの装着手順を示す図である。次に、加熱室501への側面パネルおよび天面パネルの装着手順について図7を参照して説明する。
〔装着手順〕
(1)図7(a)は着脱可能な全ての加熱室内の部品を取り外した状態を示している。
(2)側面パネル522a、522bの装着
この状態において、ユーザーは左右の側面パネル522a、522bを1つずつ下部に設けられた凹部521が内側を向くようにセットしてこの凹部521を加熱室501の底面部504に設けられた凸状の取付ガイド541a、541bに沿わせて、前面の開口部から奥へ向かって押し込みながら挿入する。奥まで挿入したとき、側面パネル522a、522bの重心の位置により、手を離せば側面パネル522a、522bは自然に外側に倒れて装着が完了する(図7(b))。このとき、側面パネル522a、522bのスリット523に下面側ヒーター支持材5081a、5081bが係合した状態になっている。
(3)天面パネル531の装着
次に、天面パネル531を加熱室501に装着する。ユーザーは側面パネル522a、522bの上に設けた取り付けガイドに沿わせて、天面パネル531を前面の開口部から奥へ向かって押し込みながら挿入する。
なお、左右両側面パネル522a、522bが無ければ、天面パネル531は固定できない構造のため、取り付けミスを低減できる(図7(c))。
(4)汁受け皿および焼き網の装着
次に、焼き網513を汁受け皿510に載置し、扉509の取っ手を持ってこの焼き網513を載置した汁受け皿510を前面開口部506から奥へ向かって押し込みながら挿入する。(図7(d))
以上で装着が完了する。
〔グリルの掃除〕
次に、グリルを掃除する際の手順について説明する。
(1)グリルの清掃のために、加熱室内から側面パネル522a、522bおよび天面パネル531を取外すときは、上記装着手順(1)〜(4)と全く逆の順序で行なう。これにより、加熱室501内は上下面側ヒーター507、508と上下面側ヒーター支持材5071a、5071b、5081a、5081b以外はない状態になる。
(2)取外した側面パネル522a、522bおよび天面パネル531を洗剤で手洗いする。食器洗浄器を用いてもよい。
(3)加熱室内を掃除するために、上面側ヒーター507と下面側ヒーター508を移動して手を入れやすい状態にする必要がある。そこで、
(3.1)まず、上面側ヒーター支持部材5071a、5071bを上面側ヒーター507から取外す。
この場合、図8に示すように上面側ヒーター支持部材駆動機構8を用いて、レバー81を上から下方向に操作する。これにより、レバー81の上下運動が上面側ヒーター支持部材駆動機構8によって図の矢印で示すように水平方向の運動に変えられ、上面側ヒーター支持部材5071aが左に移動し、上面側ヒーター支持部材5071bが右に移動する。従って、今まで支持されていた上面側ヒーター507の支持が取外される。
なお、この上面側ヒーター支持部材駆動機構8は必要時に上面側ヒーター支持部材5071a、5071bに取り付けて(上から差し込んで)操作するようにしてもよいし、一体として構成してもよい。
なお、上記の例では、レバー81による手操作であったが、ボタンスイッチとモーターを組み合わせた半自動式でも良い。この場合には、正方向と逆方向に回転可能なモーターと、上面側ヒーター支持部材5071a、5071bの開放を指令するための第1のボタンスイッチと、上面側ヒーター支持部材5071a、5071bの閉止を指令するための第2のボタンスイッチと、第1のボタンスイッチが操作されると、モーターを正方向に駆動して、上面側ヒーター支持部材5071a、5071bを加熱室501の外側へ向けて左右方向に移動させるようにモーター駆動手段を制御し、第2のボタンスイッチが操作されるとモーターを逆方向に駆動して上面側ヒーター支持部材5071a、5071bを加熱室501の内側へ向けて左右方向に移動させるようにモーター駆動手段を制御する制御手段を設ければよい。
(3.2)上面側ヒーター507と下面側ヒーター508を移動する。
この場合、図9に示すように、レバー91を下方向に操作すると、ヒーター移動駆動機構9が図の矢印で示すように動作して、上面側ヒーター507および下面側ヒーター508は加熱室501の中央に向かって上下方向に移動する。
これにより、加熱室501内に手がより入り易くなり、背面部505や排気口5051の清掃が容易になる。
なお、図8の駆動機構のレバーと図9のレバーとを別体で構成してもよいし、一体で構成してもよい。
なお、上記の例では、レバーによる手操作であったが、ボタンスイッチとモーターを組み合わせた半自動式でも良い。この場合には、正方向と逆方向に回転可能なモーターと、
ヒーター移動を指令するための第1のボタンスイッチと、ヒーター復帰を指令するための第2のボタンスイッチと、第1のボタンスイッチが操作されると、前記モーターを正方向に駆動して、上面側ヒーター507と下面側ヒーター508とを加熱室501の中央に向けて上下方向に移動させるように駆動手段を制御し、第2のボタンスイッチが操作されると、モーターを逆方向に駆動して、上面側ヒーター507と下面側ヒーター508とを加熱室の元の位置に向けて上下方向に移動させるように駆動手段を制御する制御手段とを設ければよい。
【0023】
以上のように、この実施の形態によれば、加熱室内の天面パネル531および側面パネル522a、522bを取り外せるように構成し、ヒーターも上下に移動可能に構成するので、手入れが容易になる。
【0024】
〔排気流〕
また、上述したように、風路として加熱室501内には左側面部502aと左側面パネル522aによって形成された左の風路と、右側面部502bと右側面パネル522bによって形成された右の風路と、汁受け皿510の底と底面部504との間に形成された風路と、天面パネル531と天面部503との間に形成された風路と、側面パネル522a、522bおよび天面パネル531と背面部505との間に形成された風路とがある。
また、吸気口として、前面開口部506の下部と扉509の下部の切欠け部との間で構成された吸気口と、左右両側面部502a、502bの少なくともヒーター前方、好ましくは、より前方に形成された吸気口5021a,bと、左右両側面部502a、502bのヒーター後方に形成された吸気口5022a,bがある。同様に天面部503にも吸気口を設けることもできる。
図10〜図12は排気流の流れを示す図である。次に排気流の流れについて図10〜図12を用いて説明する。
図11に示すように吸入ファン702の吸引力により扉509の下部の切欠け部と前面開口部506との隙間で構成された吸気口から取り込まれた外気は主に汁受け皿510の底と底面部504との間の風路を通って汁受け皿510を冷却しながら後方へ進んだ後、背面部505で上方へ折れ曲がり、背面部505の排気口5051に集められる。また、外気の一部は、汁受け皿510の前端部と扉との隙間や汁受け皿の左右の隙間を通って、左右両側面パネル522a、522bと天面パネル531とで囲まれた小部屋内の油煙やニオイなどとともに排気ガスとなって背面部505の排気口5051に集められる。また、吸気口5021aから吸込まれた外気は左側面部502aと左側面パネル522aによって構成された左の風路を通って左側面パネル522aを冷却しながら後方へ進んだ後、背面部505で右折し、背面部505の排気口5051に集められる。同様に吸気口5021bから吸込まれた外気は右側面部502bと右側面パネル522bによって構成された右の風路を通って右側面パネル522bを冷却しながら後方へ進んだ後、背面部505で左折し、背面部505の排気口5051に集められる。また、扉509と前面開口部506との隙間から吸込まれた外気の一部は天面パネル531と天面部503との間に形成された風路を通って天面パネル531を冷却しながら後方へ進んだ後、背面部505で下方へ折れ曲がり、背面部505の排気口5051に集められる。ここで、左右両側面パネル522a、522bや天面パネル531と、背面部505との隙間W2は、グリル内壁面への油煙の付着を抑制するという目的で適宜その幅が調整される。すなわち、加熱室(小部屋)の気圧が、左右両側面パネル522a、522bや天面パネル531とグリル内壁面との間の空間に対して負圧になることが重要であり、これにより各パネル外面空間への油煙の進入が抑制されるように隙間W2は調整される。隙間W2は例えば、汁受け皿510と背面部505との隙間W1より)狭い方が望ましい、その理由は、汁受け皿510の下には、汁受け皿510を冷却するための冷却風を十分確保する必要があり、一方、隙間W2は油煙の進入を抑制できる程度で十分であるからである(冷却効果は必須ではない)。
隙間W2を設けることは必須ではないが、製造上の誤差、各パネルの差込が完全でなかった場合など、隙間W2が発生してしまった場合等を考慮し、各パネルの内面側が外面側と比べて負圧となるような構成を採用している。
また、外気の一部は天面パネル531と側面パネル上部の取付ガイド5221a、5221bから漏れて小部屋内に流れ込む。なお、この気流により取付ガイド5221a、5221bにおける油の小部屋から外側への漏れが抑制される。
さらに、図10に示すように天面パネル531に設けられたスリット533を通して上方の風路からの外気を取り込むことができ、油煙を効率よく後方へ排除することができる。なお、この気流によりスリット533における油の小部屋から外側への漏れが抑制される。
このようにして全ての排気は排気口5051に集められ、この排気口5051から排気ダクト701、吸入ファン702経由で後方上部の排気口7へ導かれた後、この排気口7から外部へ排出される。
【0025】
なお、排気口5051に近い吸気口5022aから多くの空気を吸い込み、より遠い吸気口5021aからの空気の流入が少なくなることにより、グリル前方部の油煙侵入抑制効果が低減しないように、排気口5051に近い吸気口5022aの口径をより遠い吸気口5021aの口径よりも小さくしてもよい。
また、排気ダクト701中に触媒が設けられ、ここで不快なニオイ成分が捕捉される。また触媒によって捕捉されたニオイ成分は近接してもうけられたヒーターを随時動作させることで熱分解させることができる。
さらに、図10に示すように側面パネル522a、522bに設けられた前方のスリット523を通して左右の風路からの空気を取り込むことができ、油煙を効率よく後方へ排除することができる。なお、この気流によりスリット523における油の小部屋から外側への漏れが抑制される。
また、小部屋の後方の隅、すなわち左右両側面パネル522a、522bの後方の内側と天面パネル531の後方内側の部分では、乱流が発生して油煙の一部が滞留し易くなるという問題があるが、後方のスリットがこの滞留した油煙を効率よく排気口へ排除する。また、左右両側面部502a、502bの後方に設けられた吸気口5022a、5022bから吸込まれた外気により滞留した油煙の排除効率をさらに高めることができる。
なお、上述の実施の形態では、グリル5の側面部502や天面部503に吸気口を設けたが、この吸気口は必須ではなく、側面部502と天面部503との接合部の僅かな隙間から吸気するようにしてもよいし、グリル5の側面部502や天面部503の前端と扉509との隙間から、吸気するようにしても構わない。
また、汁受け皿510の底面を冷却する冷却風は、前から後方向に流すだけでなく、後から前方向に流すようにし、汁受け皿510前端と扉509との隙間を十分に空け、この隙間から排出された空気が小部屋内に流入し、後ろ側の排気口5051に排出されるようにしても構わない。その場合、汁受け皿510の底と底面部504との間に形成された風路は、図11に示すような汁受け皿510の底と底面部504との間に何もない形状でもよいが、汁受け皿510の底面が接触又は載置されるような板を設け、この板と底面部504とで風路を形成するようにしてもよい。汁受け皿510の底面温度を油の発火点以下に抑えることが出来れば、汁受け皿510に発火防止のための水を張る必要がなくなるため、いわゆる水無しグリルを構成することが可能になる。
【0026】
また、反射光によるセンサーの場合、加熱室501の左側面部502aには左側面パネル522aの有無を検出するセンサー5023aが設けられ、右側面部502bには右側面パネル522bの有無を検出するセンサー5023bが設けられるが、天面部503にも図11に示すように天面パネル531の有無を検出するセンサー5031が設けられている。
また、加熱室501の底面部504の取付ガイド541に沿った外側の所定の位置、すなわち、左右両側面パネル522a、522bが通過する部分の下部の任意の位置、好ましくは奥の位置にスイッチなどを利用したセンサーを設けても良い。
センサーは、加熱室501に装着される左右両側面パネル522a、522bの有無または天面パネル531の有無を検知する。制御手段はこのセンサーを用いて側面パネル522a、522bと天面パネル531のいずれかが加熱室内に無いことを検出したときには、上面側ヒーター507と下面側ヒーター508への電力の供給を停止して、運転を中止し、機器の損傷を防ぐと共に表示灯(LED)の点滅、アラーム音、音声ガイド、LCDへの警報メッセージを出力することで状況表示等を行い、ユーザーの注意を喚起することができる。
【0027】
図13は、本発明に係るグリルの実施の形態における制御装置の構成を示すブロック図である。図14に示すように、制御装置は、制御部1301と、上下面側ヒーター507、508に給電して加熱室501内を加熱させるヒーター駆動回路1302と、各種センサー1303a〜1303cと、吸入ファン駆動回路1304と、警報表示を行う表示部1304とから構成される。
また、図14は、この発明に係るグリルの実施の形態における側面パネルおよび天面パネルの有無を検知したときの動作を示すフローチャートである。
次に、側面パネルおよび天面パネルの有無を検知したときの動作を図14のフローチャートを用いて説明する
ユーザーが電源スイッチを投入したとき、グリルは起動され、制御部1301は動作を開始する。
制御部1301はまず、左側面パネル522aのセンサーから検知情報を取得し(ステップS1401)、次にこの情報に基づいて左側面パネル522aの有無を判断する(ステップS1402)。無ければ、ヒーター駆動回路を制御して上面側ヒーター507および下面側ヒーター508への通電を遮断させて運転を停止させ(ステップS1403)、エラー表示(警報出力)を行う(ステップS1404)。ステップS1402において、左側面パネル522aが有ると判断すれば、右側面パネル522bのセンサーから検知情報を取得し(ステップS1405)、次にこの情報に基づいて右側面パネル522bの有無を判断する(ステップS1406)。無ければ、ヒーター駆動回路を制御して上面側ヒーター507および下面側ヒーター508への通電を遮断させて運転を停止させ(ステップS1403)、エラー表示(警報出力)を行う(ステップS1404)。ステップS1406において、左側面パネル522aが有ると判断すれば、天面パネル531のセンサーから検知情報を取得し(ステップS1407)、次にこの情報に基づいて天面パネル531の有無を判断する(ステップS1408)。無ければ、ヒーター駆動回路を制御して上面側ヒーター507および下面側ヒーター508への通電を遮断させて運転を停止させ(ステップS1403)、エラー表示(警報出力)を行う(ステップS1404)。ステップS1408において、左側面パネル522aが有ると判断すれば、ヒーター駆動回路を制御して上面側ヒーター507および下面側ヒーター508へ通電させる(ステップS1409)。
【0028】
なお、センサーの方式は機械接触式、光学式等方式などいずれを使用しても構わない。
例えば、上記センサーを機械式のボタンスイッチで構成してもよい。この場合には、図4(a)に示すようにボタンスイッチ100a、100bを加熱室501の底面部504の側面パネル522a、522bの装着位置または天面パネル531の装着位置に設けておく。これにより、側面パネル522a、522bおよび天面パネル531が加熱室501に装着されたときにその重量によってボタンスイッチが押されて接点をONすることで側面パネル522a、522bまたは天面パネル531の有無を検出することができる。
また、スイッチの代わりにリミットスイッチで構成してもよい。この場合には、側面パネル522a、522bの端部に磁石を埋込んでおき、リミットスイッチを加熱室501の底面部504の側面パネル設置位置近傍に設けておく。これにより、側面パネル522a、522bが加熱室501に装着されたときにリミットスイッチが磁石の磁力でONすることで制御部1301は側面パネル522a、522bが装着されていることを検出することができる。オフのままであれば、制御部1301は装着されていないと判断する。
また、上記センサーを発光部と受光部から成る光学式で構成してもよい。この場合には、図11及び図12に示すように加熱室501の両側面部502a、502bと天面部503の各々に発光部と受光部のペア5023a、5023b、5031を設けておく。すなわち、両側面部502a、502bと天面部503のそれぞれにおいて、側面パネル522a、522bおよび天面パネル531が装着されたときに、発光部から発射された光がこの側面パネル522a、522bまたは天面パネル531によって反射され、反射光が受光部に受光されるように発光部と受光部の位置および照射方向、受光方向を設定しておく。これにより受光部が反射光を受光したか否かで側面パネル522a、522bまたは天面パネル531の有無を検出することができる。
【0029】
また、加熱室501の一方の側面部502に発光部を取付け、加熱室501の他方の側面部502に受光部を取付け、受光部の受光が遮断されたか否かを検出することで側面パネル522a、522bの有無を検出することもできる。
さらに、上記センサーをコンデンサー(容量検出器)で構成してもよい。この場合には、コンデンサーを加熱室501の底面部504の側面パネル設置位置に設けておく。また、側面パネル522a、522bが無いときの容量との有る時の容量との間の値を閾値として設定しておき、この閾値と比較することで側面パネル522a、522bまたは天面パネル531の有無を検出することができる。
また、上記センサーを電磁センサーで構成してもよい。すなわち加熱室501の底面部504の側面パネル設置位置に交流磁界を発生する電磁石と電流検出器とをペアで設けておく。そして、側面パネル522a、522bが加熱室501に装着されたときの電磁界の変化量は側面パネル522a、522bが加熱室501に装着されないときの電磁界の変化量とは異なるので、予め2つの変化量の間の値を閾値として設定しておき、電流検出器が検出した電流の変化量と上記閾値とを比較することにより側面パネル522a、522bの有無を検出することができる。
また、側面パネル522a、522bおよび天面パネル531を導電材料で構成し、底面部504の左右両側面パネル522a、522bが装着される位置の左右いずれか一方の任意の位置に周囲と絶縁された正の電極を備え、他方の同様に側面パネル522a、522bが装着される任意の位置に周囲と絶縁された負の電極を設けておく。また、側面パネル522a、522bの下端部の電極と対応する部分以外は絶縁材料を塗布しておく。そして、正の電極と負の電極に電源と電流検出器を接続しておく。このように構成することにより、導電性の側面パネル522a、522bおよび天面パネル531を加熱室内に装着したときに、電源、正の電極、側面パネル522a、522b、天面パネル531、側面パネル522a、522b、負の電極、電流検出器、電源の順に閉回路が構成されるので、電流検出器に電流が流れることになる。そこで、電流検出器が電流を検出したか否かで前記側面パネル522a、522bおよび前記天面パネル531の有無を同時に検出することができる。
【0030】
以上、この実施の形態によれば、IHクッキングヒーターやガスコンロなどで使用される魚焼き用のグリル庫(加熱室)501内の汚れの付着を天面パネル531と側面パネル522a、522bと背面部505と底面部504で構成された小部屋に閉じ込め、下方に付着した油や流れ落ちた油はすべて汁受け皿510と油受けの凹部521で受け止めて溜め込むことで加熱室501の壁面(底面部504や側面部502や天面部503)への付着を防止し、さらに天面パネル531と側面パネル522a、522bを取り外せるようにすることにより、容易に手入れが可能となる。また、上下面側ヒーター507、508を上下方向の中央に移動できるので、加熱室内の清掃が可能となる。さらに、吸入ファン702による強制排気により、小部屋の内圧を低くしているので、油や油煙が外側の加熱室501の壁面へ漏れるのを抑制するとともに、調理後の加熱室内への悪臭の染み付き抑制および清潔な状態を保つことが可能となる。このように、調理中の油や油煙の発生を抑えることにもなり、よりおいしく調理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るグリルを含む加熱調理器の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した加熱調理器の天板と加熱コイルとグリル扉を取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるグリルの正面図である。
【図4】加熱室内から天面パネルと両側面パネルと汁受け皿を取外した状態を示すグリルの正面図である。
【図5】本発明の実施の形態における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における焼き網支持部の従来例と本発明との関係を示した概念図である。
【図7】本発明の実施の形態における側面パネルおよび天面パネルの装着手順を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における上面側ヒーター支持材の取り外しの機構を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における上下面側ヒーター移動機構を示す図である。
【図10】本発明に係るグリルの風路を示す模式図(正面図)である。
【図11】本発明に係るグリルの風路を示す模式図(側面図)である。
【図12】本発明に係るグリルの風路を示す模式図(平面図)である。
【図13】本発明に係るグリルの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図14】この発明に係るグリルの実施の形態1における側面パネルおよび天面パネルの有無を検知したときの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1 本体、2 トッププレート、3a〜3c 加熱部、5 グリル、6 前面操作部、7 排気口、8 上面側ヒーター支持部材駆動機構、9 ヒーター移動駆動機構、10 加熱調理器、41a〜41c 火力設定部、42a〜42c 火力表示部、81 レバー、91 レバー、100a ボタンスイッチ、100b ボタンスイッチ、501 加熱室、502 側面部、502a 左側面部、502b 右側面部、503 天面部、504 底面部、505 背面部、506 前面開口部、507 上面側ヒーター、508 下面側ヒーター、509 扉、510 水受け皿、511a 左スライドレール、511b 右スライドレール、512 焼き網支持部、513 焼き網、521 凹部(油受け)、522 側面パネル、522a 左側面パネル、522b 右側面パネル、523 スリット(側面パネル用)、531 天面パネル、533 スリット(天面パネル用)、541 取付ガイド(底面部用)、541a 左取付ガイド、541b 右取付ガイド、701 排気ダクト、702 吸入ファン、710 触媒、711 ヒーター、1301 制御部、1302 ヒーター駆動回路、1303a〜c センサー、1304 吸入ファン駆動回路、1305 表示部、5023a センサー(左側面パネル用)、5023b センサー(右側面パネル用)、5031 センサー(天面パネル用)、5051 排気口、5071a 上面側ヒーター支持材、5071b 上面側ヒーター支持材、5081a 下面側ヒーター支持材、5081b 下面側ヒーター支持材、5221a 左取付ガイド、5221b 右取付ガイド、5231 フランジ(側面パネル用)、5331 フランジ(天面パネル用)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部、両側面部、背面部及び底面部を有し、被調理物を出し入れ可能に前面が開口した加熱室と、
前記前面の開口を塞ぐように設けられた扉と、
前記加熱室内に配置され、前記被調理物を加熱する熱源と、
前記底面部に載置された汁受け皿と、
前記側面部と対向するように配置され、前記加熱室内に着脱自在に装着される側面パネルと、
前記側面パネルと別体でかつ前記天面部と対向し、前記側面パネルと接触するように前記加熱室内に着脱自在に装着される天面パネルと、
を備えた加熱調理器。
【請求項2】
前記天面パネルは、前記側面パネルに支持されていること特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記加熱室は、前記底面部の前記両側面部近傍に前後方向に渡って形成された1対の凸状の取付ガイドと、下方且つ前記取付ガイドより内側に前後方向に出入り自在に設けられ、前記汁受け皿を着脱自在に載置する1対のスライドレールと、前記被調理物を載置する焼き網と、前記汁受け皿に載置され前記焼き網を着脱自在に支持する焼き網支持部と、を有し、
前記熱源は、前記加熱室内の上方に設けられ、前記加熱室内の被調理物を加熱する第1の輻射熱源と、前記汁受け皿と前記焼き網の間に設けられ、前記被調理物を加熱する第2の輻射熱源と、を有し、
前記側面パネルは前記加熱室内への装着時に上端部が前記第1の輻射熱源よりも高い処に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記側面パネルは前記加熱室内への装着時に内側の面の下部に前後方向に渡って形成された油受けの凹部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記側面パネルは前記加熱室内への装着時の重心の位置が中心の位置よりも外側にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記側面パネルの上端部近傍は前記加熱室内への装着時に外側に突出するガイドを形成することを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記ガイドの外縁部は上端部に到るまで上方へ延設され、前記天面パネルは前記ガイドに装着されることを特徴とする請求項6記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記側面パネルは前記加熱室内への装着時に内側の面の下部に前後方向に渡って形成された油受けの凹部を備え、
前記側面パネルは前記凹部を支点として、外側へ倒れることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記汁受け皿の外端部は前記側面パネルが前記加熱室内への装着時に少なくとも前記側面パネルの凹部の端部よりも外側に位置することを特徴とする請求項8記載の加熱調理器。
【請求項10】
一端が前記加熱室の側面部に取り付けられ、他端が前記第2の輻射熱源を支持するように設けられた一対の下面側ヒーター支持材を備え、
前記側面パネルは前記下面側ヒーター支持材との干渉を回避するように形成されたスリットを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記1対の下面側ヒーター支持材は同一の高さに配置され、
前記側面パネルは前後方向に線対称であることを特徴とする請求項10記載の加熱調理器。
【請求項12】
一端が前記加熱室の天面部に取り付けられ、他端が前記第1の輻射熱源を支持するように設けられた一対の上面側ヒーター支持材を備え、
前記天面パネルは前記上面側ヒーター支持材との干渉を回避するように形成されたスリットを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記加熱室の左右両側面パネルと天面パネルの有無を検知するセンサーと、
このセンサーの出力に基づき、前記左右両側面パネルと天面パネルの少なくとも1つが前記加熱室内に無いと判断したときには、前記第1の輻射熱源と前記第2の輻射熱源への電力の供給を停止する制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項14】
前記センサーは前記底面部の両側面側に設けられたボタンスイッチで構成され、前記ボタンスイッチが前記左右両側面パネルの前記加熱室への装着時の重量によってオンしたか否かで前記左右両側面パネルの有無を検出することを特徴とする請求項13記載の加熱調理器。
【請求項15】
前記センサーは発光部とこの発光部から発射され前記側面パネルまたは天面パネルで反射された光を受光したか否かで前記側面パネルまたは天面パネルの有無を検出する受光部とから構成されることを特徴とする請求項13記載の加熱調理器。
【請求項16】
前記第1の輻射熱源および前記第2の輻射熱源の温度を検出する温度センサーを備え、
前記制御手段は、前記温度センサーが検出した前記第1の輻射熱源の温度と前記第2の輻射熱源の温度の少なくとも一方が所定値よりも高いときには、前記ヒーター駆動を停止するように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項17】
前記焼き網は前後方向に線対称であることを特徴とする請求項3記載の加熱調理器。
【請求項18】
前記汁受け皿は、前記焼き網支持部を前後方向に線対称の位置に載置することを特徴とする請求項17記載の加熱調理器。
【請求項19】
前記加熱室の背面部の後方に設けられた吸入ファンと、
前記吸入ファンと前記加熱室の背面部を接続する吸気ダクトと、を備え、
前記加熱部の少なくとも一方の側面部は、前記熱源よりも前方の位置に外気を吸い込む吸気口を有することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項20】
天面部、両側面部、背面部及び底面部を有し、被調理物を出し入れ可能に前面が開口した加熱室と、
前記前面部の開口を塞ぐように設けられた扉と、
前記加熱室内の上方に配置され、前記被調理物を加熱する第1の輻射熱源と、
前記加熱室内の下方に配置され、前記被調理物を加熱する第2の輻射熱源と、
を備え、前記第1の輻射熱源と前記第2の輻射熱源は、配置位置と上下方向の略中央部との間で移動可能であることを特徴とする加熱調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−240480(P2009−240480A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89686(P2008−89686)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】