説明

加熱調理器

【課題】加熱条件によらず、被測定対象物の温度を高精度に測定することを可能にした加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱容器31及び被加熱物(被調理物)32を加熱する加熱コイル21と、加熱容器31の赤外線放射量を検知する赤外線センサ17と、赤外線検知量を温度に換算する温度換算式が格納された記憶装置25と、温度換算式に基づいて検知温度を計算するとともに、該検知温度に基づき誘導加熱コイル21への入力電力を制御する制御手段24と、誘導加熱コイル21の火力、設定温度等を設定する操作部16と、操作部16からの入力情報及び被加熱物32の加熱状態を表示する表示装置18とを備え、加熱容器31又は被加熱物32の温度既知条件下において、記憶装置25の温度換算式を既知温度と合致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサを備えた加熱調理器に関し、特に赤外線センサによる温度測定の際の放射率の補正に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器においては、鍋温度を検知するための技術として、(a)天板下のサーミスタを用いたもの(例えば特許文献1参照)、(b)天板下に設置された赤外線センサを用いたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4198074号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の(a)の場合には、検知した天板の温度を利用して推定するため、鍋内容物→鍋→天板を伝導する熱を検知した結果のものであり、必然的に時間遅れが大きく、また天板の熱容量の大きさからも温度勾配を敏感に検知することができない。このため、温度検知としては非常に難しいか、出来ても時間遅れが大きいという課題がある。一方、上記の(b)の場合には、鍋とセンサとの間に赤外線を吸収するガラス天板が用いられていることから、必然的に赤外線の大部分は吸収され、特に100℃近辺の領域では赤外線センサの温度検知が困難であった。
【0005】
また、サーモパイル赤外線センサを用いて鍋側面から赤外線量を検知して温度換算する方式のものもあるが、この方式においては放射率の補正が必要である。放射率は被加熱物の表面状態によって大きく異なり、正確な補正をすることが困難であった。この方式は、鍋側面を直接検知できるため、上記(a)、(b)と比較して温度を敏感に検知できるという点で優れているが、加熱条件の変化(鍋表面状態・鍋R・鍋設置位置・内容物量など)に対しては、上記(a)、(b)と同様に、補正の際の誤差要因となる、という課題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、加熱条件によらず、被測定対象物の温度を高精度に測定することを可能にした加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱調理器は、加熱容器及び該加熱容器に投入され液体を含む被加熱物を加熱する加熱装置と、加熱容器の赤外線放射量を検知する赤外線センサと、赤外線検知量を温度に換算する温度換算式が格納された記憶装置と、前記温度換算式に基づいて検知温度を計算するとともに、該検知温度に基づき加熱装置への入力電力を制御する制御装置とを備え、前記加熱容器又は前記被加熱物の温度既知条件下において、前記記憶装置の温度換算式を既知温度と合致させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加熱容器又は被加熱物の温度既知条件下において、記憶装置の温度換算式を既知温度と合致させるようにしたので、加熱条件によらず、加熱容器又は被加熱物の温度を高精度に測定することを可能になっている。また、赤外線センサが加熱容器の温度を直接測定するので、低温から高温まで広範囲に温度測定が可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。
【図2】図1の誘導加熱調理器の制御ブロック図である。
【図3】赤外線センサによるセンサ検知領域の側面図である。
【図4】赤外線センサによるセンサ検知領域の斜視図である。
【図5】図2の制御手段の処理を示すフローチャートである。
【図6】図5の温度維持工程の処理を示すフローチャートである。
【図7】加熱時の温度推移を示したフローチャート(その1)である。
【図8】加熱時の温度推移を示したフローチャート(その2)である。
【図9】加熱時の温度推移を示したフローチャート(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の斜視図である。
図1の誘導加熱調理器100は、上部が開口した調理器本体11、調理器本体11の上部に設けられた天板枠12、天板枠12に取り付けられた天板13、調理器本体11の正面側に設けられたグリル部14を備えている。天板枠12の内、奥側には吸・排気部15が設けられており、手前側には操作部16が設けられている。操作部16は、ユーザーに操作され、誘導加熱調理器100の火力や温度等を設定する。吸・排気部15の両側には赤外線センサ17がそれぞれ取り付けられている。この赤外線センサ17は、鍋の側面を検知するべく視野が鍋設置位置の略中央に向けられている。また、天板13の手前側には表示部18が設けられている。表示部18は、操作部16による入力情報や被加熱物の加熱状態等の運転状況を表示する。
【0011】
図2は、図1の誘導加熱調理器の制御ブロック図である。
図1の天板13の下方には、加熱コイル21が配置されており、この加熱コイル21にはインバータ22から高周波電流が供給される。天板13の下面にはサーミスタ23が取り付けられており、この出力は、上記の赤外線センサ17の出力とともに制御手段24に供給される。制御手段24は、例えばマイコンから構成されており、後述の各種の演算処理をする。この制御手段24には、記憶装置25、計時手段26、操作部16及び表示部18が接続されている。記憶装置25には、例えば、後述の放射率を関数に含む温度換算式等が格納されている。なお、加熱コイル21は、天板13の下方に配置されているが、その鉛直上に例えば鍋(加熱容器)31が載置されるように構成されており、鍋31には液体を含む被加熱物(被調理物)32が投入される。なお、上記の加熱コイル21、インバータ22及び天板13は、本発明の加熱装置を構成している。
【0012】
図3及び図4は、赤外線センサ17によるセンサ検知領域の側面図及び斜視図である。
赤外線センサ17は、物体の赤外線量を検知するものであり、縦方向に隣接した複数箇所を検知できる複数素子からなる非接触赤外線温度検出手段(1×8方式:サーモパイル式赤外線センサ)から構成されている。この赤外線センサ17の素子1〜素子8は、図3及び図4に示されるように、天板13上において鍋載置枠33の周辺を視野に持つように配置されている。したがって、鍋31が多少位置ずれして置かれた状態においても、いずれかの素子は必ず鍋底や鍋肌を検知できるような位置関係になっている。
【0013】
赤外線センサ17によって鍋側面の温度を検知した場合には、通常、最も高い温度を返すのは鍋底と天板13が接している部分である。これは鍋31と天板13との間で赤外線の多重反射が起こり、結果として赤外線センサ17側に放射される赤外線量が大きくなることに由来する。図3の例では素子5が最も高い温度を示す(すなわち信号として大きく取れるため、温度判定がしやすい)とともに、水位の影響を受けずに温度変化を読み取れる利点がある。このように通常は素子5(鍋底と天板13の接触部)がMAX温度を示すが、鍋31の設置位置により、最高温度を示す素子がずれる可能性がある。その際には、8素子中の最大温度を示す素子を採用すれば、自動的にそれは鍋底端部の温度を意味する。このようにMAX温度を常に採用することで、鍋31がいずれにおかれても、鍋底と天板13の接触部を検知することが可能となり、ひいては検知温度が大きいデータを参照することが可能となるため、精度のよい沸騰判定が可能となる。
【0014】
赤外線センサ17によって検知される温度は、ステファンボルツマンの法則により、以下の計算値として示され、周囲温度Taと対象物の放射率εによる補正が必要となる。通常、赤外線センサ17内には視野温度とは別に周囲温度(Ta)を検知する素子が内蔵されているため、事実上、放射率εの補正が重要となる。
【0015】
【数1】

【0016】
温度計測の対象となる鍋31に関してはその表面状態は多様であり、例えば鏡面状態の鍋(一例としてSUS製鍋)は放射率は0.2〜0.4程度、非鏡面状態の鍋(一例としてホーロー鍋)は0.6〜0.8程度の放射率を示す。放射率の設定を間違うとそのままその鍋の外表面の温度を誤検知する結果となるため、放射率の推定は赤外線センサ17による温度推定において非常に重要な要素である。
【0017】
実装上の課題として、たとえ赤外線センサ17の複眼すべての検知温度を情報として用いたとしても、赤外線センサ17のみで鍋の放射率を正確に推定するのは難しい。具体的には、上記に掲げた鍋表面の放射率の違いや、内容物量、鍋の形状(底面のR)、鍋とコイルの位置関係(電磁誘導の影響の強さの影響)などの影響によるもので、或る程度の誤差範囲を許容しての推定は可能であるが、本実施の形態においては、より精度を高めるに「既知温度条件」を参照して放射率を補正する。
【0018】
上記「既知温度条件」とは一例を挙げれば沸騰状態であり、沸騰状態=100℃となるように上記の式中の放射率を補正することで、正確な温度検知が可能となる。
また、特定条件下であれば沸騰でなくとも、天板13下に設置されたサーミスタ23等により、「既知である温度」が特定できる場合があるため、その場合には特定できた条件をもとに放射率εを補正する。特定条件下の一例として、「鍋種・入力・内容物量・鍋設置位置が一定であり、かつ入力が小さく長時間続く場合(長時間調理物を煮込む場合)」などがその例である。
【0019】
本実施の形態は、放射率εを上記の知見に基づいて自動的に補正するようにしており、その処理を図5及び図6のフローチャートに基づいて説明する。なお、ここでは「既知温度条件」として、沸騰状態=100℃を例に説明する。
【0020】
まず、図5は、図2の制御手段の処理を示すフローチャートであり、同図に基づいて説明する。
ここでは、被加熱物32が鍋31に投入され、鍋31が鍋載置枠33内に載置された状態で操作部16が操作され、調理が開始された段階から説明する。
(S11)
制御手段24は、赤外線センサ17からの信号を取り込んで、その内の一番高い温度をセンサ検知温度Tsとして取り込む。
(S12)
制御手段24は、赤外線センサ17からの信号の内、所定の信号をセンサ雰囲気温度Taとして取り込む。
(S13)
制御手段24は、既知温度検知フラグFがセットされているか否かを判断する。初期の段階では、既知温度検知フラグFがセットされていないので、次の処理(S14)に移行する。
(S14)
制御手段24は、既知温度状態であるか否かを判断する。例えば一例として沸騰状態を検知したか否かを判断する。初期段階では、沸騰状態にはならないので、次の処理(S15)に移行する。なお、沸騰状態であるか否かの判断は、赤外線センサ17の検知温度の勾配、天板13の下面に配置されたサーミスタ23の温度、天板13の振動検知(沸騰による振動)等によって行う。
(S15)
制御手段24は、予め設定されている仮放射率εを放射率εとして設定する。
(S19)
制御手段24は、上記の温度Ts、Ta、放射率εを上記の(1)式に代入して、対象物の温度を求める。
(S20)
制御手段24は、温度維持工程に移行する。この温度維持工程の詳細は図6に基づいて説明する。
【0021】
図6は、温度維持工程の詳細を示したフローチャートである。この温度維持工程においては、検知温度が目標温度の±5℃の状態を設定時間維持するように制御する。なお、最初の目標温度は100℃に設定される。
(S31、S31a)
制御手段24は、計時手段26をスタートさせる(S31)。
制御手段24は、対象物の温度を検知する(S31a)。制御手段24は、この温度検知に際しては、赤外線センサ17から温度Ts・Taを取り込んで、温度Ts・Taを仮放射率εとともに、上記の(1)式に代入して対象物の温度を求める。
(S32、S33)
制御手段24は、検知温度>目標温度+5℃であるか否かを判断し(S32)、検知温度>目標温度+5℃が成立している場合には加熱コイル21(加熱装置)をオフにし(S33)、処理(S31a)に戻る。
(S34、S35)
制御手段24は、検知温度>目標温度+5℃が成立していない場合には、検知温度>目標温度−5℃であるか否かを判断し(S34)、検知温度>目標温度−5℃が成立している場合には加熱コイル21(加熱装置)をオンにし(又はオン状態を維持する)(S35)、処理(S31a)に戻る。
(S36)
制御手段24は、検知温度>目標温度−5℃が成立していない場合には、計時手段26による計測時間(経過時間)が、経過時間≧設定時間、であるか否かを判断し、経過時間≧設定時間が成立していない場合には上記の処理(S31a)に移行し、経過時間≧設定時間が成立している場合には、温度維持工程を終了し、図5の処理(S21)に移行する。
なお、この温度維持工程において目標温度を100℃に設定すると、100±5℃の状態が設定時間維持されることになる(但し、この段階では、その検知温度は仮放射率εに基づいて温度制御がなされているのでその精度は高くない。)
【0022】
ここで、図5に戻ってその説明を続ける。
(S21)
制御手段24は、温度維持工程を終了すると、次に、運転終了であるか否かを判断する。この判断においては、例えば、目標温度到達、目標運転時間、目標温度維持時間等に基づいてなされるが、最初の温度維持工程は放射率εを求めるための工程であり、この段階では終了しない。
(S11〜S14、S16、S17)
制御手段24は、上記の処理(S11)〜(S14)をするが、この段階では、仮に、既知温度(一例として沸騰温度100℃)が上記の基準に基づいて得られたと判断したならば、処理(S16)及び(S17)に移行し、既知温度を上記の式のTobjとして設定し、Tobj、Ts、Taに基づいて放射率εを次の(2)式により求める。ここでは、沸騰時=100℃として、εを逆算して求めている。赤外線センサ17の温度検知の限界として、鍋外表面の温度を検知することしかできないが、本方式はあくまで「内容物=100℃」として推定できるため、鍋外表面温度が鍋内容物温度と乖離しているような場合でも、εの逆算、ひいては温度精度の向上が可能となる。
【0023】
【数2】

【0024】
(S18)
制御手段24は、上記にて既知温度を検知しているので、既知温度検知フラグFをセットする。
(S19、S20、S21)
制御手段24は、温度Ts、Ta、放射率εに基づいて対象物温度Tobjを求め(S19)、温度維持工程に移行し(S20)、運転終了の条件が成立しない限り(S21)、上記の処理(S11)、(S12)、(S13)、(S19)、(S20)を繰り返す。なお、2度目以降の温度維持工程は、その調理目的の目標温度(後述の図7〜図9の例では70℃)に設定される。
【0025】
図7、図8及び図9は、加熱時の温度推移を示したタイミングチャートである。
図7は非鏡面鍋で、水量大の場合であり、沸騰後に70℃に制御している。沸騰を検知した時点で放射率を補正し、その補正後の放射率(ε=0.390)を用いて水温を検知している。
図8は、鏡面鍋で、水量大の場合であり、沸騰後に70℃に制御している。沸騰を検知した時点で放射率を補正し、その補正後の放射率(ε=0.085)を用いて水温を検知している。
図9は、鏡面鍋で、水量小の場合であり、沸騰後に70℃に制御している。沸騰を検知した時点で放射率を補正し、その補正後の放射率(ε=0.077)を用いて水温を検知している。
【0026】
図7〜図9に示されるように、温度既知条件に至るまでは正確なεは判断できないため、事前に仮設定したε(或いは各素子の温度から推定するε)を適用しているため、初期段階においては、検知温度と実際の水温とが一致していない。しかし、沸騰時に算出された放射率εを温度補正式に適用すれば、高い精度で温度検知が可能となる。以後は、このεを参照することで、温度制御をかけていくことで、鍋内容物の温度を一定に保つ制御が可能となる。
【0027】
以上のように本実施の形態においては、沸騰時=100℃としてεを逆算しており、赤外線センサ17の温度検知の限界として、鍋外表面の温度しか検知することしかできないが、内容物(被加熱物)=100℃として推定できるため、鍋外表面温度が鍋内容物温度と乖離しているような場合であっても、放射率εを高精度に逆算することが可能になっており、ひいては温度精度に検知することが可能になっている。
【0028】
ところで、上記の説明においては、温度既知条件として最も典型的な事例である沸騰の場合について説明したが、例えば特定鍋(製品同梱鍋)・特定内容物/量(添付レシピ通りの料理)などの条件を限定しつつ、長時間低入力の煮込み料理などに適用した場合にはその温度を特定することができる。そのような場合には、天板13の下面に設置されたサーミスタ23の検知温度を利用することができる。例えば一定入力で長時間(例えば2時間)煮込むような料理については、天板13にも十分に熱伝導するため、天板13の温度を検知するサーミスタ23で十分に鍋温度を代表させることができる。
なお、サーミスタ23による検知温度を温度既知条件として利用する場合には、上記の他に、例えば次のような処理によって放射率εを求めるようにしてもよい。
(a)所定の或る程度低い温度を目標値とし、サーミスタ23で所定の時間一定制御し、そのときの温度を既知温度して放射率εを求める。
(b)鍋31が置かれたときに、天板13の温度が大きく変化しない場合には、変化が落ち着いた時点での天板13の温度を既知温度として放射率εを求める。この鍋31が置かれたときの放射率εを仮εとし(図5のS15参照)、その後の加熱過程により正確な放射率εを求める。
【0029】
また、温度既知条件の決定方法においても上記の例に限定されるものではなく、例えば鍋31内に本体に接続した温度検知装置を一時的に投入して温度検知をするようにしてもよい。
【0030】
また、上記の説明においては、赤外線センサ17により鍋底端部の温度を検知する例について説明したが、本発明はそれに限定されるものではない。例えば、電磁誘導で加熱される鍋外表面は、鍋のR(アール)が大きかったり、鍋が加熱コイル21に対してずれた位置に置かれた場合には実際値より高い温度を示す場合がある。そこで、鍋側面(例えば素子1〜4)の温度を参照すると、比較的電磁誘導の影響を受けず水の温度とよくリンクした温度が検出可能となる。
【0031】
但し、水量が小さい場合などは素子1、2あたりでは空の状態になっている場合があり、水温とリンクしない検知温度を検出する場合があるため、好ましくは鍋側面でも下側(素子3、 4)を利用する。この際プログラム運用上は「MAX温度素子より1個上の素子温度を沸騰判定に利用する」としておいてもよい。
【0032】
また、上記の説明においては、加熱調理器として誘導加熱調理器の例について説明したが、本発明の加熱調理器はそれに限定されるものではなく、ラジエントヒーター等他の加熱装置を用いたものにも適用される。
【符号の説明】
【0033】
11 調理器本体、12 天板枠、13 天板、14 グリル部、15 吸・排気部、16 操作部、17 赤外線センサ、18 表示部、21 加熱コイル、22 インバータ、23 サーミスタ、24 制御手段、25 記憶装置、26 計時手段、31 鍋、32 被加熱物、33 鍋載置枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱容器及び該加熱容器に投入され液体を含む被加熱物を加熱する加熱装置と、
前記加熱容器の赤外線放射量を検知する赤外線センサと、
前記赤外線センサにより検知された赤外線検知量を温度に換算する温度換算式が格納された記憶装置と、
前記温度換算式に基づいて検知温度を計算するとともに、該検知温度に基づき加熱装置への入力電力を制御する制御装置と
を備え、
前記加熱容器又は前記被加熱物の温度既知条件下において、前記記憶装置の温度換算式を既知温度と合致させることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記温度既知条件は、液体の沸騰状態であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記加熱容器の載置部に設けられ、前記載置部の温度を計測するサーミスタを備え、
前記サーミスタにより計測された温度を、前記温度既知条件の温度として適用することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記温度既知条件は、任意かつ一定の入力電力にて一定期間運転したときに、前記サーミスタにより計測された温度とすることを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記温度既知条件を経由するまでは事前に設定した温度換算式にて温度を検知する請求項1〜4の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記温度既知条件を経由した後は、温度既知条件下にて設定した温度換算式にて温度を検知するとともに、入力を制御することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記加熱装置は、高周波電流が供給される加熱コイル、及び被加熱物を加熱コイルに接触させず、かつ前記加熱コイルの鉛直上に設置された天板を備えたことを徴とする請求項1〜6の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記赤外線センサは、検知視野に、前記加熱容器の底面と、被加熱物が載置される天板との接触部を含む部分を含むように設置されることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記赤外線センサは、検知視野に、前記加熱容器の側面を含むように設置されることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記赤外線センサはサーモパイル式であり、
適用する温度換算式定数の一部に放射率を含むとともに、前記温度既知条件下で該放射率を変更することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−277976(P2010−277976A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132485(P2009−132485)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】