説明

加熱調理器

【課題】餃子などを蒸し焼きに調理する場合でも、皮の部分が乾燥して硬くならない加熱調理器を提供する。
【解決手段】被調理物130を収納する加熱室28と、該加熱室28に水蒸気を噴出するスチーム噴出口44を臨ませた水蒸気発生手段43と、前記被調理物130を加熱するマイクロ波を発生するマグネトロン33と、前記マイクロ波を吸収して発熱する高周波発熱体120を裏面に有する受け皿111と、該受け皿111を覆う金属製のグリル皿蓋101と、を設けた加熱調理器において、前記グリル皿蓋101に前記スチーム噴出口44から噴出する水蒸気を導く蒸気口102を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を蒸し焼きにする加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱調理器室内にて被加熱物の調理を支持するための調理器具として、この種の調理器具は、多数提案されている。
【0003】
従来、高周波加熱装置は、マグネトロンより発生するマイクロ波によって食品(被加熱物)を短時間に内部から加熱するものである。しかし、マイクロ波で食品を直接加熱することなく、マイクロ波で水を加熱して、発生した水蒸気を利用して食品を加熱する調理器具や、マイクロ波の吸収によって発熱する発熱体を密着させた調理皿に食品を載せて、マイクロ波によって受け皿の表面を高温にして受け皿に接触している食品の面に焼き色を付けるものが知られている。
【0004】
特許文献1には、マイクロ波を吸収して発熱する半導体から形成された本体の食品載置面(受け皿)に食品を載せ、食品載置面に設けた凹部に水を入れてマイクロ波を照射することで、食品載置面に接触している食品を焼いて焦げ目を付け、凹部に入れた水を沸騰させて食品を蒸す電子レンジ用蒸し焼き皿が記載されている。
【0005】
次に特許文献2には、食品の調理を支持するための調理器具として、マイクロ波を吸収し発熱する発熱体(高周波発熱体)を有するレンジ焼角皿は、水を貯留することが可能なものであり、レンジ焼角皿に貯留した水は、前記マイクロ波と前記発熱体の熱とで加熱し蒸気を発生させる構造が記載されている。
【0006】
更に、前記レンジ焼角皿には食品を載置する調理面を有し、前記調理面には蒸気を通過させる貫通孔を有する金属製の食品載置台と、前記食品載置台上の食品を覆い、前記マイクロ波を透過しない材料から形成された蓋(蓋体)を備えたことを特徴としている。
【0007】
以上の構造から、特許文献2の効果は、前記マイクロ波加熱のみにより蒸気を発生させるのではなく、前記マイクロ波加熱により発熱する前記発熱体による加熱も加えて蒸気用の水を加熱するので、蒸気発生するまでの短時間化が図られ、蒸し調理の時間を短縮できるとともに、使い勝手の良い蒸し調理具を実現できるものである、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平2−55822号公報
【特許文献2】特開2004−245426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、加熱調理器において、調理を効率的に行い、手間を掛けないで調理時間を短縮し、更においしく調理ができる加熱調理器が好まれている。
【0010】
しかし、上記した特許文献1に示す電子レンジ用蒸し焼き皿は、加熱開始と同時にマイクロ波で食品を直接加熱するため、実施例で述べている餃子の場合、具を閉じ込めている皮の合わせ目部分が蒸気で蒸される前にマイクロ波で加熱されるため乾燥して硬く調理され(一度乾燥状態に調理されると、その後で蒸しても軟らかくなることは無い)、大変おいしくない。また、食品載置面の温度が水を加熱するのに奪われるので水の有る間は食品載置面の温度を高温に維持できない。反対に蒸気を必要とするときは食品載置面を一定の温度に維持する必要があるため、蒸気の必要、不必要と食品載置面の温度とを個別に自由に制御できない課題がある。
【0011】
また、特許文献2に示されたものについて、蓋はマイクロ波を透過しない材料から形成されているが、発熱体を有するレンジ焼角皿は、マイクロ波を透す材料(セラミック)を使用している。更に、レンジ焼角皿に貯水した水を早期に蒸気が発生できるよう、蓋と食品載置台との間から、マイクロ波が侵入可能な構成としている。
【0012】
これらの構造により、蓋内に侵入したマイクロ波は、レンジ焼角皿内に貯水した水が蒸気になる前に、食品に吸収されることから、特許文献1同様に食品(特に餃子やシュウマイ等の皮包み料理)の表面が乾燥しておいしくない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、請求項1では、被調理物を収納する加熱室と、該加熱室に水蒸気を噴出するスチーム噴出口を臨ませた水蒸気発生手段と、前記被調理物を加熱するマイクロ波を発生するマグネトロンと、前記マイクロ波を吸収して発熱する高周波発熱体を裏面に有する受け皿と、該受け皿を覆う金属製のグリル皿蓋と、を設けた加熱調理器において、前記グリル皿蓋に前記スチーム噴出口から噴出する水蒸気を導く蒸気口を設けたものである。
【0014】
請求項2では、前記グリル皿蓋の下端周部には、前記受け皿の熱を前記グリル皿蓋に伝達しないようにシリコンゴム製の蓋パッキンを設けたものである。
【0015】
請求項3では、前記受け皿の被調理物載置面にはフッ素コーティングを施したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1によれば、前記蓋体内に、前記水蒸気発生手段から噴出される水蒸気を、流入可能な蒸気口を設けることにより、前記受け皿に載置されている被加熱物の表面、および中心部等が乾燥しないで、被加熱物を蒸すことが可能となる。
【0017】
また、被加熱物を載置した受け皿には、前記高周波発熱体を有しているため、前記受け皿はマグネトロンから発生したマイクロ波によって発熱し、被加熱物の表面や内部を加熱することが可能となる。
【0018】
更に、蓋体、および受け皿はマイクロ波を透過しない金属製の材料によって形成されているため、被加熱物には直接マイクロ波を吸収しない構造となっている。
【0019】
これにより、仕上がりの良い本格的な蒸し料理、および焼き料理を調理することができる、という効果があるとともに、蓋体と受け皿が密封状態となっているため、被加熱物から発生する水分等が加熱室等に付着することがないことから、使い勝っての向上が図れる、という効果がある。
【0020】
本発明の請求項2によれば、前記蓋体は、前記マグネトロンから発生した前記マイクロ波を透過しない金属製の材料により形成され、蓋体の下端周部には、受け皿の熱を蓋体に伝達しないよう、シリコンゴム製のパッキンを設ける。
【0021】
これにより、蓋体自体はマイクロ波による発熱が無く、更に受け皿から発せられる熱の伝達を抑制することから、蓋体は調理時に熱を持ちにくいという効果がある。
【0022】
本発明の請求項3によれば、前記受け皿の被加熱物載置面、および前記蓋体の前記受け皿方向面には、フッ素コートしているものである。
【0023】
これにより、受け皿においては、被加熱物のこびりつきの低減が図れる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】一実施例の加熱調理器の本体を前方側から見た斜視図である。
【図2】同加熱調理器の本体を後方側から見た斜視図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】同加熱調理器のガラスドアを開いた状態の斜視図である。
【図5】同加熱調理器の本体から外枠を取り外した状態を前方側から見た斜視図である。
【図6】同加熱調理器の本体から外枠を取り外した状態を後方側から見た斜視図である。
【図7】同加熱調理器のグリル皿蓋体単体の表面斜視図である。
【図8】同加熱調理器の受け皿単体の表面斜視図である。
【図9】同加熱調理器の受け皿単体の裏面斜視図である。
【図10】同加熱調理器のグリル皿蓋体と受け皿を組んだ状態の斜視図である。
【図11】図10のB−B断面図である。
【図12】同加熱調理器にグリル皿蓋体と受け皿を組んで載置した斜視図である。
【図13】同加熱調理器の制御手段を表わしたブロック図である。
【図14】同加熱調理器の餃子を調理するときの制御方法を表わした説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の一実施例について図1から図6を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
各図において、加熱調理器の本体1は、加熱室28の中に加熱する被加熱物を入れ、マイクロ波やヒータ、水蒸気の熱を使用して被加熱物を加熱調理する。
【0027】
ドア2は、加熱室28の内部に被加熱物を出し入れするために開閉するもので、ドア2を閉めることで加熱室28を密閉状態にし、被加熱物を加熱する時に使用するマイクロ波の漏洩を防止し、熱を封じ込め、効率良く加熱することを可能とする。
【0028】
取っ手9は、ドア2に取り付けられ、ドア2の開閉を容易にするもので、手で握りやすい形状になっている。
【0029】
ガラス窓3は、調理中の食品の状態が確認できるようにドア2に取り付けられ、ヒータ等の発熱による高温に耐えるガラスを使用している。
【0030】
入力手段71は、ドア2の前面下側の操作パネル4に設けられ、レンジ加熱手段であるマイクロ波加熱や、グリル加熱手段であるヒータ加熱,水蒸気発生手段の加熱手段など、加熱する時間等の調理条件を入力するための操作部6と、操作部6から入力された内容や調理の進行状態を表示する表示部5とで構成される。
【0031】
水タンク42は、水蒸気を作るのに必要な水を溜めておく容器であり、本体1の前面下側に設けられ、本体1の前面から着脱可能な構造とすることで給水および排水が容易にできるようになっている。
【0032】
外枠7は、加熱調理器の本体1の上面と左右側面を覆うキャビネットである。
【0033】
後板10は、前記したキャビネットの後面を形成するものであり、上部に外部排気ダクト18が取り付けられ、前記外部排気ダクト18の取り付けられる内側に、被加熱物から排出した蒸気や本体1の内部の部品を冷却した後の冷却風(廃熱)39を排出する排気孔36が設けられている。
【0034】
また、外部排気ダクト18は、排気孔36を通過した冷却風39を本体1の外に排出するもので、排気は外部排気ダクト18の外部排気口8から排出し、排気の排出方向は本体1の上部方向で且つ前面側に排気する。排気の排出方向を上部方向で且つ前面側に向けることで、背面を壁面に寄せた時でも排気によって壁面を汚すことがないようにしている。
【0035】
機械室20は、加熱室底面28aと本体1の底板21との間の空間部に設けられ、底板21上には食品を加熱するためのマグネトロン33,マグネトロン33に接続された導波管47,制御基板23、その他後述する各種部品、これらの各種部品を冷却する冷却手段50等が取り付けられている。
【0036】
加熱室底面28aは、略中央部が凹状に窪んでおり、その中に回転アンテナ26が設置され、マグネトロン33より放射されるマイクロ波は、導波管47,回転アンテナ駆動手段46の出力軸46aが貫通する結合穴47aを通して回転アンテナ26の下面に流入し、前記回転アンテナ26で拡散されて加熱室28内に放射される。回転アンテナ26は、回転アンテナ駆動手段46の出力軸46aに連結されている。
【0037】
冷却手段50は、底板21に取り付けられた冷却モータにファンが連結されており、この冷却手段50によって送風される冷却風39は、機械室20内の自己発熱するマグネトロン33やインバータ基板22,重量検出手段25等を冷却し、加熱室28の外側と外枠7の間および熱風ケース11aと後板10の間を流れ、外枠7と後板10を冷却しながら排気孔36を通り、外部排気ダクト18の外部排気口8より排出される。
【0038】
加熱室28の後部には熱風ユニット11が取り付けられ、熱風ユニット11は加熱室奥壁面28bの後部側に熱風ケース11aを設け、加熱室奥壁面28bと熱風ケース11aとの間に熱風ファン32とその外周側に位置するように熱風ヒータ14a、および14bを設け、熱風ケース11aの後側に熱風モータ13を取り付け、そのモータ軸を熱風ケース11aに設けた穴を通して熱風ファン32と連結している。
【0039】
そして、熱風ユニット11は加熱室奥壁面28bに設けた空気の通り道となる熱風吸気孔31と熱風吹出し孔30を通して連結し、熱風ケース11内の熱風ファン32を熱風モータ13により回転することで、加熱室28と熱風ユニット11との空気を循環し、熱風ヒータ14a、および14bで循環する空気を加熱する。
【0040】
加熱室28の天面の裏側には、ヒータよりなるグリル加熱手段12が取り付けられている。グリル加熱手段12は、マイカ板にヒータ線を巻き付けて平面状に形成し、加熱室28の天面裏側に押し付けて固定し、加熱室28の天面を加熱して加熱室28内の被加熱物を輻射熱によって焼くものである。
【0041】
また、加熱室底面28aには、複数個の重量検出手段25、例えば前側左右に右側重量検出手段25a,左側重量検出手段25b,後側中央に奥側重量検出手段25cが設けられ、その上にテーブルプレート24が載置されている。
【0042】
テーブルプレート24は、食品を載置するためのもので、ヒータ加熱とマイクロ波加熱の両方に使用できるように耐熱性を有し、かつ、マイクロ波の透過性が良く、衛生面でも問題がない磁器等の材料で成形されている。
【0043】
加熱室28の後部上方には、加熱室28内の温度を検出する温度検出手段a85が設けられている。前記温度検出手段a85は、グリル加熱手段12及び熱風ユニット11の熱風吹出し孔30から加熱室28内に吹出される熱風の影響を直接受けない位置に設けられている。
【0044】
水蒸気発生手段43は、加熱室左側面28cの外側面に取り付けられ、水蒸気を噴出するスチーム噴出口44は加熱室28内に臨ませている。
【0045】
また、水蒸気発生手段43は、アルミの鋳造で作られ、鋳造時にボイラー加熱手段89であるシーズヒータを一体となるように埋め込んでいる。そのヒータの消費電力は600W前後と大きく、水蒸気発生手段43は短時間で水を沸騰できる温度に加熱することができる。
【0046】
水蒸気発生手段43への水の供給は、ポンプ手段87を駆動することによって水タンク42からパイプ45を通して供給される。供給された水は、パイプ40と通って、水蒸気発生手段43で加熱されて沸騰し、水蒸気となってスチーム噴出口44から加熱室28へ噴出する。
【0047】
温度検出手段b88は、水蒸気発生手段43の温度を検出するもので、その検出結果を後述する制御手段151に伝え、ボイラー加熱手段89やポンプ手段87を制御する。
【0048】
ポンプ手段87は、水タンク42の水を水蒸気発生手段43まで汲み上げるもので、ポンプとポンプを駆動するモータで構成される。水蒸気発生手段43への給水量の調節はモータに供給する電力のON/OFFの比率で決定する。
【0049】
図7から図10を用いて、本実施例におけるグリル皿蓋と受け皿について説明する。
【0050】
グリル皿蓋101は、グリル蓋105,蒸気口102,グリル皿蓋取っ手103,蓋パッキン104によって構成されている。
【0051】
グリル蓋105は、マグネトロン33より放射されるマイクロ波を透過しない金属製の材料により形成され、本実施例では、アルミフッ素PCMにより構成されている。また蒸気口102,グリル皿蓋取っ手103は、グリル蓋105の熱が伝わりにくく、更に加熱室28内の熱による変形等の抑制を図るよう、本実施例ではプラスチック製樹脂にガラス材を混合させた材料により形成する。
【0052】
蒸気口102は、本体1の内部に設けられた水蒸気発生手段43から噴出される水蒸気をグリル皿蓋101に流入可能な構成となっており、蒸気口102はグリル蓋105と係合され、蒸気口102が係合されているグリル蓋105部は、蒸気口102の内径同形状の楕円形の連通口が設けられている。
【0053】
グリル皿蓋101の下端周部には蓋パッキン104が設けられている。蓋パッキン104は、受け皿111(後述)からの熱の伝達を抑制する効果があり、本実施例ではシリコンゴム製の材料を使用している。また蓋パッキン104は、グリル蓋105と着脱可能な構成となっていることから、お手入れ時には容易にはずれ、使い勝っての良い構造となっている。
【0054】
受け皿111は金属皿部112、および4つの脚部113により構成されている。
【0055】
金属皿部112は、マグネトロン33より放射されるマイクロ波を透過しない金属製の材料により形成され、本実施例では、アルミフッ素PCMにより構成されている。
【0056】
金属皿部112の裏面には、マグネトロン33より放射されたマイクロ波を吸収することにより発熱する高周波発熱体120を設ける。高周波発熱体120が発した熱は金属皿部112に伝達され、金属皿部112表面に載置されている被加熱物の下部に焼きながら焦げ目を付ける効果がある。
【0057】
金属皿部112は被加熱物を載置するものであり、被加熱物に含まれる水分等が外部に漏れないよう、外壁が設けられている。また金属皿部112の表面には波状の凹凸部を設け、被加熱物の内部に含まれる余分な脂分を排出しながら加熱される。
【0058】
更に、金属皿部112の表面には、フッ素コーティングを施し、調理後、被加熱物による金属皿部112の焦げ付き等を防止している。
【0059】
図10はグリル皿蓋101と受け皿111を組み合わせた状態を示している。
【0060】
グリル皿蓋101は蓋パッキン104を介して受け皿111に載置されている。しかしグリル皿蓋101と受け皿111とで共振器を構成し、グリル皿蓋101と受け皿111間の寸法を共振点の寸法から外す事で、グリル皿蓋101と受け皿111で構成する空間内にはマイクロ波が供給されにくくなっている。
【0061】
次に、図11から図13を用いて、本実施例における調理器具での調理する際の一連の動作を説明する。
【0062】
図11は図10のB−B断面図、図12は同加熱調理器にグリル皿蓋体と受け皿を組んで載置した斜視図、図13は加熱調理器の制御手段を表わしたブロック図である。
【0063】
調理を行う際、受け皿111の表面上に被加熱物である被調理物130を載置し、受け皿111を覆うようにグリル皿蓋101を金属皿部112に載置する。その後、被調理物130を内在した受け皿111、およびグリル皿蓋101を本体1のテーブルプレート24に載置する。テーブルプレート24に載置した状態において、受け皿111とグリル皿蓋101を組み合わせた時のグリル皿蓋101に有する蒸気口102の開口部の位置は、本体1に有するスチーム噴出口44と同位置の高さである。
【0064】
また、グリル皿蓋101に有する蒸気口102の開口部先端と、加熱室左側面28cとの位置関係は、受け皿111をテーブルプレート24に載置した状態において、スチーム噴出口44は、蒸気口102の開口部先端にて隠れるような位置関係となっている。
【0065】
次に、図13を用いて加熱調理器のシステムの動作について説明する。電源76は、加熱調理器の本体1を動作させるためのものである。レンジ加熱手段77は、マグネトロン33とマグネトロン33を駆動するための電源を作るインバータ回路を搭載したインバータ基板22である。インバータ回路は入力手段71より入力された加熱パワーに応じた電源を作りマグネトロン33に供給する。
【0066】
グリル加熱手段12は、加熱室28の天面の裏側に設けられたヒータよりなり、加熱室28の天面を加熱して加熱室28内の被加熱物を輻射熱によって焼くものである。
【0067】
冷却手段50は、底板21に取り付けられた冷却モータにファンが連結されており、この冷却手段50によって送風される冷却風39は、機械室20内の自己発熱するマグネトロン33やインバータ基板22、重量検出手段25等を冷却する。
【0068】
回転アンテナ駆動手段46は、回転アンテナ26を駆動するためのモータで、同期モータと回転数を減速するためのギャーが一体になっているものである。
【0069】
重量検出手段25は、テーブルプレート24に載置された被調理物の重量を測定するものである。
【0070】
温度検出手段a85は、加熱室28に取り付けられ、加熱室28内の温度を検出し、制御手段151によってグリル加熱手段12のヒータの電力を調整するものである。
【0071】
水蒸気発生手段43は、水を加熱するヒータからなるボイラー加熱手段89と、水蒸気発生手段43の温度を検出する温度検出手段b88から構成し、制御手段151は温度検出手段b88の検出結果からボイラー加熱手段89やポンプ手段87を制御する。
【0072】
71は入力手段で、ここでは操作部6と表示部5を示す。
【0073】
151は制御手段で、入力手段71から入力のあった内容に従い、食品を加熱調理するように動作させるもので、各検知手段から食品の状態や加熱室の状態を検知し、その後各加熱手段や駆動手段を必要に応じて動作させるものである。
【0074】
本実施例は、以上の構成からなり、次に動作について被調理物130として餃子を蒸し焼きにする場合の動作例を説明する。
【0075】
被調理物130の餃子を図11に示すように受け皿111に並べてグリル皿蓋101で覆い、図12に示すように蒸気口102をスチーム噴出口44に向けて加熱室28のテーブルプレート24に載置する。
【0076】
餃子の加熱は事前に確認されている工程が制御手段151に入力され、加熱時間は重量検出手段25によって検出された重量に応じて調整されるようになっている。
【0077】
加熱は入力手段71によりすでに入力されている自動調理の中から餃子の蒸し焼きを選択し、加熱開始用ボタン(図示なし)を押すことで加熱が開始する。
【0078】
図14に示す制御工程で加熱が進行する。
【0079】
餃子の調理制御200は、水蒸気発生手段43による水蒸気加熱のスチーム工程201、水蒸気加熱およびレンジ加熱手段77によるマイクロ波加熱をあわせ持ったスチーム+レンジ工程202、レンジ加熱手段77によるマイクロ波加熱のレンジ工程203の3段階の工程を行う制御である。
【0080】
スチーム工程201は、制御手段151にて、水蒸気発生手段43のみにより餃子を水蒸気加熱して蒸す加熱工程であり、被調理物130の表面部分、特に皮の部分を集中的に蒸し、その後、徐々に内部の具を蒸す。
【0081】
スチーム工程201状態時において、餃子が内在している受け皿111、およびグリル皿蓋101の内部は、スチーム噴出口44から噴出された水蒸気で充満される。充満された水蒸気は、餃子の皮、および内部の具を蒸し、一部は結露水となって受け皿111に溜まる。この時充満された水蒸気は、受け皿111とグリル皿蓋101から漏れることが無いよう、グリル皿蓋101の下端周部には蓋パッキン104を設けている。これにより水蒸気が加熱室28内に漏れるのを少なくし、加熱室28の清掃を省き、使い勝っての向上を図っている。
【0082】
スチーム+レンジ工程202は、制御手段151にて、水蒸気発生手段43の水蒸気加熱と、レンジ加熱手段77のマイクロ波加熱をあわせ持つ加熱工程であり、被調理物130である餃子全体をスチーム工程201同様蒸しながら、受け皿111の金属皿部112裏面に有する高周波発熱体120が、マグネトロン33より放射されたマイクロ波を吸収して発熱することで金属皿部112に熱を伝達する。これにより、餃子全体を蒸しながら、金属皿部112表面に接している餃子の裏面を焼きながら焦げ目を付ける、いわゆる蒸し焼きの効果が図れる。
【0083】
スチーム+レンジ工程202状態時において、餃子が内在している受け皿111、およびグリル皿蓋101の内部は、スチーム噴出口44から噴出された水蒸気で充満されながら受け皿111から熱を発している状態となっている。この時、受け皿111の表面温度は水蒸気の温度(約100℃)以上に熱せられ、受け皿111に溜まった水は再び水蒸気となり餃子を蒸す。本来であれば、レンジ加熱手段77により熱せられた受け皿111の熱は、グリル皿蓋101にも伝達されるが、グリル皿蓋101はマイクロ波を透過しない金属製の材料により形成されていること、更にグリル皿蓋101の下端外周に設けられた蓋パッキン104により受け皿111の熱は伝達されないことから、グリル皿蓋101の構造自体がレンジ加熱手段77による調理時に熱を持ちにくい構造となっている。
【0084】
レンジ工程203状態時においは、餃子が載置している受け皿111から熱を発している状態となっている。受け皿111、およびグリル皿蓋101の内部は、受け皿111に溜まった残りの水が水蒸気となり餃子を蒸し、グリル皿蓋101内の表面にて結露の促進が図られることから早々に受け皿111に水分が無くなり、レンジ加熱手段77により熱せられた受け皿111は、餃子の裏面は焼きながら焦げ目を付けることが可能となる。
【0085】
更に、グリル皿蓋101の表面温度の上昇を抑制することから、グリル皿蓋101内の表面には結露の促進が図れ、調理終了後、グリル皿蓋101の上部に有するグリル皿蓋取っ手103の温度は高熱でないため、本体1から餃子を取り出すとき、容易にグリル皿蓋取っ手103を掴むことが可能である。
【0086】
また、制御手段151により、テーブルプレート24の底部に設けられた重量検知手段25によってグリル皿蓋101に載置された餃子の重量を測定し、スチーム工程201、スチーム・レンジ工程202、レンジ工程203の時間を調整することが可能となる。
【0087】
また本実施例での餃子の調理における最適な調理工程を時間比で表すと、図14の時間テーブルから、調理工程の総時間(t0)から、スチーム工程201の時間(t1):スチーム・レンジ工程202の時間(t2):レンジ工程203時間(t3)の時間比は、10:7:3となる。
【0088】
以上、本実施例によれば、餃子を蒸し焼きにする場合、具を閉じ込める餃子やシュウマイ等の皮包み料理の表面の乾燥を無くし、調理の仕上がりが程よい状態にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0089】
24 テーブルプレート
25 重量検出手段
28 加熱室
33 マグネトロン
43 水蒸気発生手段
44 スチーム噴出口
101 グリル皿蓋
102 蒸気口
104 蓋パッキン
105 グリル蓋
111 受け皿
112 金属皿部
113 脚部
120 高周波発熱体
151 制御手段
200 餃子の調理制御

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を収納する加熱室と、該加熱室に水蒸気を噴出するスチーム噴出口を臨ませた水蒸気発生手段と、前記被調理物を加熱するマイクロ波を発生するマグネトロンと、前記マイクロ波を吸収して発熱する高周波発熱体を裏面に有する受け皿と、該受け皿を覆う金属製のグリル皿蓋と、を設けた加熱調理器において、前記グリル皿蓋に前記スチーム噴出口から噴出する水蒸気を導く蒸気口を設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記グリル皿蓋の下端周部には、前記受け皿の熱を前記グリル皿蓋に伝達しないようにシリコンゴム製の蓋パッキンを設けたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記受け皿の被調理物載置面にはフッ素コーティングを施したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−237144(P2011−237144A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110726(P2010−110726)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】