説明

加熱調理器

【課題】意図しない通電状態を排除し、安全性を高くすること。
【解決手段】交流電源1と抵抗負荷3aの接続を、抵抗負荷3aの各々両端に設けた2つの第1及び第2のリレー2、4を用い、抵抗負荷3aを非通電時は交流電源1から抵抗負荷3aの両端を切り離す構成とすることで、万一、一方のリレーまたは駆動回路が故障してその接点が閉じ続ける状態になっても、他方のリレーが抵抗負荷3aと交流電源1の接続を解除して抵抗負荷3aの意図しない連続通電を防止すると共に、マイクロコンピュータ11を使用して第1及び第2のリレー2、4を駆動して抵抗負荷3aに通電している場合に、マイクロコンピュータ11の暴走やラッチアップによって抵抗負荷3aが連続通電されるような状態になっても、一方のリレーは確実に非導通にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭やレストラン及びオフィスなどで使用される加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、調理器の抵抗負荷等のヒータ制御には交流電源とこのヒータを接点を持つリレーで導通制御して加熱を行うのが一般的である。この際、リレーの接点駆動には励磁コイルに直流電流を流すことにより発生する直流磁束により磁化された鉄心等の磁力によりリレーの接点を機械的に閉じる方式を用いる場合、マイクロコンピュータの出力ポートより出力される論理値、即ち直流電圧の有無により励磁コイルに電流を流すトランジスタ(ドライブ回路)を直流駆動してリレー接点を閉じる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−297467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、制御回路は印刷配線板上に実装されると共に、印刷配線板の配線により電気的接続がなされている場合には、万一この駆動信号系の源流側付近、マイクロコンピュータの出力ポートからドライブ回路のトランジスタまでの印刷配線経路に誤動作や故障、或いは異物の付着等不具合が生じて直流的な電圧が出力され続けるような状態になった際には、制御回路の正常な動作に関わりなくリレー接点が閉じ続けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、交流電源と抵抗負荷の接続を、抵抗負荷の各々両端に設けた2つのリレー接点を用い、抵抗負荷を非通電時は交流電源から抵抗負荷の両端を切り離す構成とすることで、万一、一方のリレーまたは駆動回路が故障してその接点が閉じ続ける状態になっても、他方のリレーが抵抗負荷と交流電源の接続を解除して抵抗負荷の意図しない連続通電を防止すると共に、マイクロコンピュータを使用してリレーを駆動して抵抗負荷に通電している場合に、マイクロコンピュータの暴走やラッチアップによって抵抗負荷が連続通電されるような状態になっても、一方のリレーは確実に非導通になることで、より安全性の高い加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、加熱部と、前記加熱部の動作を制御する制御部を備え、前記加熱部は抵抗負荷と前記抵抗負荷の両端にそれぞれ接続し、接点を備えた第1及び第2のリレーとの直列体から成り、前記直列体と交流電源とは並列接続され、前記制御部は前記交流電源から動作電源を得て、前記第1及び第2のリレーを各々駆動する第1及び第2の駆動手段を有し、前記抵抗負荷に通電する際は前記第1のリレーを駆動して導通状態とした後に前記第2のリレーを導通・非導通とすることで、前記抵抗負荷の加熱出力を可変させると共に、前記第1の駆動手段は、所定の周期及び所定の振幅のパルス電圧を印加し、抵抗と第1のコンデンサからなる微分回路を介して直流成分を除去した後、第2のコンデンサからなる充電回路にて蓄えられた電圧を基に前記第1のリレーを駆動し、前記第2の駆動手段は駆動信号伝達に、直流信号のみを用いて第2のリレーを駆動するように構成したものである。
【0007】
これによって、交流電源と抵抗負荷の接続を、抵抗負荷の各々両端に設けた2つのリレー接点を用い、抵抗負荷を非通電時は交流電源から抵抗負荷の両端を切り離す構成とすることで、非使用時には抵抗負荷を交流電源から完全に切り離せると共に、万一、一方のリレーまたは駆動回路が故障してその接点が閉じ続ける状態になっても、他方のリレーが抵抗負荷と交流電源の接続を解除して抵抗負荷の意図しない連続通電を防止したり、マイクロコンピュータを使用しリレーを駆動して抵抗負荷に通電している場合に、マイクロコンピュータの暴走やラッチアップによって、第2の駆動手段へ入力が第2のリレー導通論理となり、第1の駆動手段への入力が直流信号となるか或いは所定の周期を大きく外れたパルス信号となり、第1のリレーは確実に非導通にすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の加熱調理器は、接点を接続端とする励磁式の2つのリレーで交流電源と抵抗負荷とを接続し、その一方のリレーの駆動方法は、矩形波等の周期パルス電圧を微分回路にて直流成分を除去した電圧を充電することで得た電圧を基に駆動するようにしているので、微分回路より前段の部分で、マイクロコンピュータを含む駆動信号系の印刷配線経路に誤動作や故障、或いは異物の付着等不具合が生じて直流的な電圧が出力され続けるような状態になった場合は、第1の駆動手段の最終段に駆動信号が伝達されず、第1のリレーの接続端を開として交流電源と抵抗負荷の接続を断つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における駆動手段の各部動作波形(定常時)図
【図3】本発明の実施の形態1における駆動手段の各部動作波形(動作開始時)図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、加熱部と、前記加熱部の動作を制御する制御部を備え、前記加熱部は抵抗負荷と前記抵抗負荷の両端にそれぞれ接続し、接点を備えた第1及び第2のリレーとの直列体から成り、前記直列体と交流電源とは並列接続され、前記制御部は前記交流電源から動作電源を得て、前記第1及び第2のリレーを各々駆動する第1及び第2の駆動手段を有し、前記抵抗負荷に通電する際は前記第1のリレーを駆動して導通状態とした後に前記第2のリレーを導通・非導通とすることで、前記抵抗負荷の加熱出力を可変させると共に、前記第1の駆動手段は、所定の周期及び所定の振幅のパルス電圧を印加し、抵抗と第1のコンデンサからなる微分回路を介して直流成分を除去した後、第2のコンデンサからなる充電回路にて蓄えられた電圧を基に前記第1のリレーを駆動し、前記第2の駆動手段は駆動信号伝達に、直流信号を用いて第2のリレーを駆動するように構成したものである。これにより、制御部は、交流電源に接続されることで動作電源を得るので、制御部の駆動指令に従って第1及び第2のリレーを駆動して抵抗負荷を通電制御し被加熱物を加熱することができる。また、第1のリレーの駆動には、第1の駆動手段にて所定の周期及び所定の振幅のパルス電圧を印加し、抵抗と第1のコンデンサからなる微分回路を介して直流成分を除去した後、第2のコンデンサからなる充電回路にて蓄えられた電圧を基に、最終段に設けたトランジスタ等を導通させることで、第1のリレーの励磁コイルに電流を流すことにより、第1のリレーの接続端を閉じ、所定の周期及び所定の振幅のパルス電圧の印加を停止して、充電回路に蓄えた電荷が放電し、最終段のトランジスタ等の導通を遮断し、励磁コイルの励磁を停止することで、第1のリレーの接続端を開くことができる。第2のリレーの駆動には、第1のリレーの駆動とは異なり、第2の駆動手段にて直流の駆動信号により、最終段に設けたトランジスタ等を導通させることで、第2のリレーの励磁コイルに電流を流すことにより、第2のリレーの接続端を閉じ、直流の駆動信号の印加を停止して、最終段のトランジスタ等の導通を遮断し、励磁コイルの励磁を停止することで、第2のリレーの接続端を開くことができる。更に、制御回路が印刷配線板上に実装されると共に、印刷配線板の配線により電気的接続がなされている場合には、万一第1のリレーの駆
動信号系の微分回路より前段の印刷配線経路に誤動作や故障、或いは異物の付着等不具合が生じて直流的な電圧が出力され続けるような状態になった際には、その直流信号を微分回路にて伝達しないので、最終段のトランジスタ等の駆動は停止され、第1のリレーの接続端を開状態に維持することができる。また、駆動回路をマイクロコンピュータ等のプログラミングにより動作させている場合には、プログラミングの不具合やマイクロコンピュータの暴走等で、駆動回路に出力されるパルスの周波数やデューティ比が規定以下に低下する状態になった場合でも、充電回路の電圧が、最終段のトランジスタの駆動電圧に達しないようにできるので、最終段のトランジスタ等の駆動は停止され、第1のリレーの接続端を開状態に維持することができる。
【0011】
第2の発明は、特に第1の発明において、少なくとも第1のリレーと第1の駆動手段を含む制御部の一部を印刷配線板に載置し、前記印刷配線板の印刷配線及び信号リード線にて構成要素の電気接続を成し、前記第1の駆動手段の微分回路より後段よりも、パルス電圧が印加されている前記微分回路より前段の電気接続経路を長くなるように構成したものである。これにより、万一印刷配線板の印刷配線や配線板に実装されている電子部品に異物の付着等の不具合が生じる場合でも、第1のリレーの駆動信号系の微分回路より前段の印刷配線経路を後段の印刷配線経路よりも長く、即ち、第1のリレーの駆動に関する信号経路全体に対して、パルス電圧で伝送されている信号経路を可能な限り長く、直流電圧で伝送される信号経路を可能な限り短くすることで、異物付着による第1のリレーが意図しない駆動状態になるリスクを軽減し、抵抗負荷が意図しない通電状態になることを防止することができる。
【0012】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、所定の周期のパルス電圧のパルス波形が矩形であるように構成したものである。これにより、矩形波は、マイクロコンピュータ等のディジタルICが内部のプログラミングで出力端子のトランジスタ等をオンオフさせることで比較的簡単に出力できる波形であるので、第1の駆動手段の構成部品点数の増加を抑制できると共に、マイクロコンピュータの該出力端子の破壊や、プログラムの暴走等による該出力端子の出力が直流電圧出力状態に固定されるような不具合が生じても、第1の駆動手段の微分回路がその直流電圧成分を除去して、充電回路には電荷の充電はされないので、第1のリレーの駆動が停止して、加熱部の抵抗負荷と交流電源との接続を断つことができる。
【0013】
第4の発明は、特に第3の発明において、制御部が第1の駆動手段に入力されるパルス電圧の振幅または周期を監視するモニタ手段を有し、前記モニタ手段が検知した前記バルス電圧の振幅または周期が所定の範囲から外れると、第2の駆動手段が第2のリレーを開状態にして抵抗負荷への通電を停止するように構成したものである。これにより、マイクロコンピュータのプログラミング等を用いて第1の駆動手段に入力されるパルス電圧を生成している場合に、マイクロコンピュータは自身の出力しているパルス電圧の振幅または周期を監視しているので、パルス電圧出力端子が故障したり、パルス電圧生成プログラムに不具合が生じて、第1の駆動手段への意志しないパルス電圧の印加や、出力しているパルス電圧の異常を検知することができ、異常と判断した場合は、第2の駆動手段への直流駆動信号の出力を停止して、第2のリレーを非導通にして、第1のリレーの状態に関係なく、交流電源と抵抗負荷の導通を切断することができる。
【0014】
以下本発明の加熱調理器の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態の構成を示すブロック図である。また、図2は本発明の実施の形態における第1の駆動手段の
定常時の各部動作波形図で、横軸は時間経過を示す、図3は本発明の実施の形態における第1の駆動手段の動作開始時の各部動作波形図で、横軸は時間経過を示すものである。
【0016】
図1において、交流電源1が、第1のリレー2の接続端である接点と抵抗負荷3aと第2のリレー4の接続端である接点との直列体と並列接続されている。
【0017】
制御部5は交流電源1の電圧をから動作電圧を生成する制御電源回路10と、この制御電源回路10が生成した電源電圧で動作するマイクロコンピュータ11を含み、第1のリレー2を励磁により駆動する第1の駆動手段12と第2のリレー4を励磁により駆動する第2の駆動手段17とを有する。第1の駆動手段12はマイクロコンピュータ11から出力される所定周期、所定振幅の矩形パルスを、第1のコンデンサ13aと抵抗13bからなる微分回路13により直流成分を除去した電圧に変換し、この電圧を第2のコンデンサ14aを含む充電回路14にて保持し、この充電電圧により、最終段の第1のトランジスタ15を導通させて第1のリレー2の励磁コイル2aに電流を流して第1のリレー2を駆動している。第2の駆動手段17はマイクロコンピュータ11から出力される2値の直流電圧信号を最終段の第2のトランジスタ18に与え、第2のトランジスタ18を導通させて第2のリレー4の励磁コイル4aに電流を流して第2のリレー4を駆動している。モニタ手段19は第1の駆動手段12の微分回路13への入力信号を監視している。また、LED等の表示素子やブザー等から成る報知手段16は、制御部5の動作状態に応じた報知や表示を行い、使用者に機器の動作状態を示している。
【0018】
以上のように構成された加熱調理器について、その動作、作用を説明する。
【0019】
交流電源1の電圧が制御部5に印加されることで制御電源回路10が動作を開始し制御電源が生成される。この制御電源により、マイクロコンピュータ11は動作を開始する。この時、抵抗負荷3aは第1のリレー2と第2のリレー4により交流電源1から切り離されており、これにより抵抗負荷3aの絶縁劣化による漏電等の不具合が機器未使用時に継続しないようにしている。
【0020】
使用者がスイッチ等(図示せず)を操作することで被加熱体(図示せず)を加熱すべく、加熱部3の加熱動作を開始させると、第1の駆動手段12に第1のリレー2を駆動すべく、図3(3a)に示すように、振幅の最小側が制御電源の0Vを基準とした波高値5V、周期約2ms、デューティ比約50%の矩形波をマイクロコンピュータ11の一端子より出力する。矩形波は、マイクロコンピュータ11の内部のプログラミングで出力端子のトランジスタ等をオンオフさせることで比較的簡単に出力できる波形であるので、駆動手段の構成部品点数の増加を抑制している。この矩形波が微分回路13に印加されると、第1のコンデンサ13aと抵抗13bにて該矩形波の直流成分が除去された図3(3c)に示すような電圧が抵抗13bに生成される。この電圧をダイオードにて逆阻止された状態で接続された第2のコンデンサ14aに蓄えていき図3(3d)に示すように増加して、本実施の形態では約2.5Vになると第1のトランジスタ15を導通状態にして励磁コイル2aに電流を流し第1のリレー2の接続端である接点が閉状態になる。また、図3の各部波形は、十分時間が経過すると図2に示すようになり安定する。また、前記矩形波の供給を停止すると、コンデンサ14aに蓄えていた電圧は放電され、約2.5V未満になると、トランジスタ15を非導通状態にして、第1のリレー2の接続端である接点が開状態になる。
【0021】
この第1のリレー2が閉じた後、所定の時間後、本実施の形態では約500ms後(リレー2接点の開状態から閉になるまでの遅延時間と、第1の駆動回路12の応答遅延時間との和より十分大きな時間として設定)に、第2のリレー4を駆動する動作に移る。これは、第1のリレー2の接点が閉じる際には零電流の閉動作とすることでアークの発生を抑
制し、第1のリレー2の接点の長寿命化或いは低接点容量化を図り、第2のリレー4の接点にだけアークを発生するようにして第2のリレー4の接点のみに耐アーク性、接点容量を強化したものを使用することで機器の低コスト化を図っている。第2のリレー4の駆動は、マイクロコンピュータ11の他端子より直流の2値の電圧、本実施の形態では5Vと0Vであり、0Vで駆動停止、5Vで駆動と言う論理としており、を出力する。マイクロコンピュータ11が5Vを出力すると第2の駆動手段17の最終段の第2のトランジスタ18が導通状態となり第2の励磁コイル4aに電流を流し第2のリレー4の接続端である接点が閉状態になり、抵抗負荷3aに通電される。この第2のリレー4を開閉制御することで、抵抗負荷3aの通電量を可変して被加熱体への加熱火力を制御している。
【0022】
第1の駆動手段12は、前述のように矩形パルスを起点として微分回路13、充電回路14を経由した結果得られた電圧で最終段の第1のトランジスタ15の導通を維持する構成にしているので、微分回路13よりも前段での信号異常、例えばマイクロコンピュータ11の暴走による駆動パルス出力の0Vを含む直流電圧状態、あるいは、制御部5が印刷配線板に配置され、その印刷配線で電気的接続を形成している場合において、第1のリレー2の駆動信号系の微分回路より前段の印刷配線経路に誤動作や故障、或いは異物の付着等不具合が生じたことによる微分回路13への直流電圧出力状態では、最終段の第1のトランジスタ15は駆動されず、第1のリレー2の接続端が開に維持されるので、意図しない抵抗負荷3aの導通状態は回避され、機器の安全性が高まる。
【0023】
また、本実施の形態では、制御回路5を印刷配線板に搭載し構成部品の電気的接続を形成しており、更に第1のリレー2の駆動信号系の微分回路13より前段の印刷配線経路を後段の印刷配線経路よりも長くしている(微分回路13を含み、この後段の回路をより第1のリレー2の極近傍に実装することで実現)ので、異物付着等により第1のリレー2の意図しない閉状態となるリスクを低減し、機器の安全性を更に高めている。
【0024】
モニタ手段19は、マイクロコンピュータ11が出力しているパルス電圧の周期或いは振幅と所定値以上の差があると、第1のリレー2の駆動回路側に何らかの不具合が発生していると判断して、抵抗負荷3aに通電しているもう一方の第2のリレー4の駆動を停止して抵抗負荷3aへの通電も停止する動作を行う。これにより、マイクロコンピュータ11の該信号出力端子の破壊やプログラムラッチアップ等で通常出力しているパルス電圧とずれたものになっていることをマイクロコンピュータ11で検出して、破壊していない可能性のある第2のリレー4への駆動信号出力端子の出力を0V、即ち駆動停止状態にして第2のリレー4の接点を開くように動作することで、機器の安全性を高めている。
【0025】
以上のように本実施の形態によれば、接点を接続端とする励磁式の第1のリレー2と第2のリレー4とで交流電源1と抵抗負荷3aを接続し、第1のリレー2の駆動方法は、矩形波等の周期パルス電圧を微分回路13にて直流成分を除去した電圧を充電することで得た電圧を基に駆動するようにしているので、微分回路13より前段の部分で、駆動信号系の印刷配線経路に誤動作や故障、或いは異物の付着等不具合が生じて直流的な電圧が出力され続けるような状態になった場合は、第1の駆動手段12の最終段の第1のトランジスタ15に駆動信号が伝達されず、第1のリレー2の接続端を開として交流電源1と抵抗負荷3aの接続を断ち、機器の安全性を高めることができる。
【0026】
尚、本実施の形態では加熱部は1つとしているが、複数の加熱部を有する場合でも同様の効果であるし、その際、第1のリレーを共通として、対応する(抵抗)負荷とそれと直列に負荷の他端をそれぞれ別のリレーとで交流電源と接続する構成とすれば、第1の駆動手段12の構成は1つのまま、同様の効果を得られることは言うまでもないことである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の加熱調理器は、加熱部として、電気エネルギーを使用する抵抗負荷を有し、マイクロコンピュータや印刷配線板を使用して実施する形態である際に有用となるので、上記熱源を単独に使用する電気加熱調理器の他、ロースタ用のシーズヒータや、ラジェントヒータを備えたIHクッキングヒータ、オーブン用のシーズヒータ等を備えたオーブン電子レンジ等の電気調理器等に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 交流電源
2 第1のリレー
3 加熱部
3a 抵抗負荷
4 第2のリレー
5 制御部
12 第1の駆動手段
13 微分回路
13a 第1のコンデンサ
13b 抵抗
14 充電回路
14a 第2のコンデンサ
17 第2の駆動手段
19 モニタ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部と、前記加熱部の動作を制御する制御部を備え、前記加熱部は抵抗負荷と前記抵抗負荷の両端にそれぞれ接続し、接点を備えた第1及び第2のリレーとの直列体から成り、前記直列体と交流電源とは並列接続され、前記制御部は前記交流電源から動作電源を得て、前記第1及び第2のリレーを各々駆動する第1及び第2の駆動手段を有し、前記抵抗負荷に通電する際は前記第1のリレーを駆動して導通状態とした後に前記第2のリレーを導通・非導通とすることで、前記抵抗負荷の加熱出力を可変させると共に、前記第1の駆動手段は、所定の周期及び所定の振幅のパルス電圧を印加し、抵抗と第1のコンデンサからなる微分回路を介して直流成分を除去した後、第2のコンデンサからなる充電回路にて蓄えられた電圧を基に前記第1のリレーを駆動し、前記第2の駆動手段は駆動信号伝達に、直流信号を用いて第2のリレーを駆動するように構成した加熱調理器。
【請求項2】
少なくとも第1のリレーと第1の駆動手段を含む制御部の一部を印刷配線板に載置し、前記印刷配線板の印刷配線及び信号リード線にて構成要素の電気接続を成し、前記第1の駆動手段の微分回路より後段よりも、パルス電圧が印加されている前記微分回路より前段の電気接続経路を長くなるように構成した請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
所定の周期のパルス電圧のパルス波形が矩形であるように構成した請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
制御部が第1の駆動手段に入力されるパルス電圧の振幅または周期を監視するモニタ手段を有し、前記モニタ手段が検知した前記バルス電圧の振幅または周期が所定の範囲から外れると、第2の駆動手段が第2のリレーを開状態にして抵抗負荷への通電を停止するように構成した請求項3に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−29046(P2011−29046A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174937(P2009−174937)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】