説明

加熱調理用炭シート

【課題】炭を熱源として用いず、炭以外の熱源で加熱調理する際、家庭内でも簡単かつ低コストで炭の持つ上記の利点を得ることができる加熱調理用炭シートを提供すること。
【解決手段】加熱調理用炭シート50は、耐熱性のシート10に細片化された炭20の多数が取り付けられ、炭20以外の熱源で加熱調理する際に被調理物を覆うものである。加熱調理用炭シート50は、シート10に細片化された炭20の多数が取り付けられ、炭20以外の熱源で加熱調理する際に加熱調理器の受け皿に配置するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭以外の熱源で加熱調理する際に被調理物を覆い、又は加熱調理器の受け皿に配置し、熱源の熱により炭の遠赤外線の効果等が得られる加熱調理用炭シートに関する。
【背景技術】
【0002】
炭は、遠赤外線を放射しやすく、炭火による加熱調理は遠赤外線の輻射熱で被調理物の中までよく加熱されるので被調理物のうま味を引き出すことができ、また加熱調理の際の熱効率を高めることができるという利点がある。また、炭は多孔質で吸着性があり、脱臭作用を有するという利点がある。
一方、炭火による加熱調理は、ガスや電気等の炭以外の熱源による加熱調理に比べ、エネルギーコストとして割高であり、炭を熾す作業や加熱調理後に残った炭や灰の処理が煩雑であり、また加熱調理中は換気に留意する必要があるという問題がある。そのため、炭火による加熱調理は、焼き肉店、うなぎ料理店、日本料理店等で行われることがあるが、家庭内でほとんど行われていないのが現状である。
【0003】
このような事情下、加熱源として炭と電気ヒーターの発熱体を併用する炭火用加熱調理器の提案がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−266654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の提案は、炭の使用量をある程度低減できるものの、炭も熱源として使用するもので、上記の炭火を熱源として用いる際に発生する問題点は解消されていない。
そこで、本発明は、炭を熱源として用いず、炭以外の熱源で加熱調理する際、家庭内でも簡単かつ低コストで炭の持つ上記の利点を得ることができる加熱調理用炭シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために構成された本願発明は、耐熱性のシートに細片化された炭の多数が取り付けられ、炭以外の熱源で加熱調理する際に被調理物を覆うものであることを特徴とする加熱調理用炭シートを要旨とする。
【0006】
上記の構成の発明によれば、加熱調理の際、炭を熱源として用いることなく、炭以外の熱源の熱により炭の持つ遠赤外線効果等の利点を得ることができる。また、この発明において、シートを折り曲げ自在な材料で形成してもよい。この構成により、被調理物の大きさ、形状に対応して被調理物を覆うことができる。
【0007】
本願発明は、シートに細片化された炭の多数が取り付けられ、炭以外の熱源で加熱調理する際に加熱調理器の受け皿に配置するものであることを特徴とする加熱調理用炭シートを要旨とする。
【0008】
上記の構成の発明によれば、受け皿に加熱調理用炭シートを配置するだけなので、受け皿を備える加熱調理器を用いて簡単な作業により炭の持つ遠赤外線効果等の利点を得ることができ、また、加熱調理用炭シートが被調理物に接触することがない。受け皿は、加熱調理器において、被調理物が載せられる調理部の下側に設けられ、加熱調理により発生する油分や水分を溜める部材をいう。また、この発明において、シートを、油分又は水分を吸着する材料で形成してもよい。この構成により、被調理物の加熱調理で発生する油分や水分を加熱調理用炭シートで吸着できる。
【0009】
上記の各発明において、細片化された炭の先端部が、被調理物に接触する場合、被調理物と点接触する形状としてもよい。この構成により、加熱調理用炭シートと被調理物の接触面積を小さくできる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明は、炭を熱源として用いることなく、炭以外の熱源で加熱調理する際、熱源の熱で炭が遠赤外線を放射し、輻射熱により被調理物のうま味を引き出して調理でき、また、加熱調理の際の熱効率を高めることができる。さらに、加熱調理の際に発生する臭い(脱臭作用)や煙(脱煙作用)を低減できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記の請求項1に記載の発明の効果に加え、被調理物の大きさ、形状に自在に対応させて使い勝手良く加熱調理用炭シートを用いることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、上記の請求項1に記載の発明の効果に加え、加熱調理用炭シートを簡単な作業で用いることができ、また、受け皿に落下する油分や水分を炭で吸着でき、加熱調理後の加熱調理器の片付けが容易となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、上記の請求項3に記載の発明の効果に加え、受け皿に落下する油分や水分を炭とシートでより効率的に吸着でき、加熱調理後の加熱調理器の片付けがより容易となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、上記の請求項1〜4に記載の発明の効果に加え、炭が被調理物に接触することがあっても、加熱調理用炭シートを外す際、被調理物の加熱調理用炭シートとの接触箇所が剥がれることを回避できる。また、炭の表面積が大きくなり、炭の遠赤外線の効果や脱臭効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の最良の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、加熱調理用炭シート50の平面図、図2は一部拡大した加熱調理用炭シート50の正面図、図3、図4は加熱調理用炭シート50の使用態様を模式的に示す説明図である。
【0016】
本発明の加熱調理用炭シート50は、図1に示すように、シート10に細片化された炭20の多数が取り付けられて構成される。細片化された炭20の大きさは適宜設定できる。炭20は、シート10の両面に取り付けてもよいが、炭20を両面に取り付けると使い勝手が悪くなることがあるので、片面に取り付けるのが好ましい。被調理物を覆う加熱調理用炭シート50のシート10は、耐熱性を備える材料で形成される。また、シート10は、被調理物Fの大きさ、形状に対応しやすいように、折り曲げ自在な材料で形成することが好ましく、前記の性状を有する材料であれば特に限定がないが、アルミホイル、金属製のネットを例示できる。
【0017】
加熱調理器の受け皿40に配置される加熱調理用炭シート50のシート10は、耐熱性を特に必要としないが、被調理物Fの加熱調理で発生する油分や水分を吸着できれば、受け皿40に水を張る必要がなくなるという点から油分や水分を吸着する材料が好ましい。
このような性状を有する材料であれば特に限定がないが、ペーパータオルを例示できる。
【0018】
炭20は、その原料に特に限定がないが、竹炭、木炭を挙げられ、遠赤外線の作用や吸着作用に優れる点で竹炭が好ましい。加熱調理用炭シート50は、細片化された炭20がシート10に多数取り付けられることにより、シート10に取り付けられる炭20の表面積が大きくなり、炭20の持つ遠赤外線による効果や脱臭効果を高めることができる。細片化された炭20は、耐熱性の無機接着剤を用いてシート10に取り付けることができる。
【0019】
シート10に取り付けられる炭20の先端部は、図2に示すように、被調理物Fと点接触する形状が好ましい。このような形状は、例えば、炭20の先端部を頂点とする多角錐、円錐の各形状を例示できる。加熱調理用炭シート50が被調理物Fを覆う場合、炭20の先端部が被調理物に接触することがある。この時、炭20が被調理物Fと面接触又は線接触すると、加熱調理用炭シート50を取り外す際に被調理物Fの炭20との接触箇所が剥がれてしまう不都合がある。しかし、炭20の先端部が被調理物Fと点接触する形状であれば、加熱調理用炭シート50と被調理物Fの接触面積が極めて小さくり、このような事態を回避できる。また、炭20の先端部を被調理物Fと点接触する形状とすることにより、炭20の表面積を大きくできる。
【0020】
加熱調理用炭シート50を用いて行う加熱調理は、炭以外を熱源として用いられ、具体的にはガスや電気等を熱源として用いる。炭以外を熱源として用いる加熱調理器を例示すれば、オーブン、オーブンレンジ、IH加熱器、ロースター、魚焼きグリルやバーベキューグリル等のグリル類、ホットプレート、電気コンロ、ガスコンロ、石油コンロ等を挙げることができる。
【0021】
次いで、加熱調理用炭シート50の使用態様について説明する。図3に示すように、加熱調理器の調理部30上に載せられた被調理物Fの大きさ、形状に対応できるように加熱調理用炭シート50を折り曲げ、炭20が取り付けられた面を下側にして被調理物Fを覆う。次いで、加熱調理器を所定の温度、加熱時間に設定しスイッチをONにする。加熱調理器の熱源の熱で被調理物Fは加熱調理され、同時に加熱調理器の熱源の熱で加熱調理用炭シート50の炭20が加熱される。炭20は加熱により、遠赤外線を放射し、また被調理物Fの加熱調理で発生する臭いや煙を吸着する。また、加熱調理に際し、加熱調理用炭シート50が被調理物Fに接触することがあっても、炭20の先端部は被調理物Fと点接触する形状に形成されているので、加熱調理の終了後、加熱調理用炭シート50を取り外す際に被調理物Fの接触箇所が剥がれることがない。
【0022】
加熱調理用炭シート50が受け皿40に配置される使用態様について説明する。図4に示すように、受け皿40に加熱調理用炭シート50を配置する。シート10を油分や水分を吸着するペーパータオルのような材料で形成した場合は、シート10を水で若干湿らせることが好ましい。加熱調理器の熱源の熱で炭20が加熱され、遠赤外線を放射し、被調理物Fの加熱調理で発生する臭いや煙を吸着する点は上記の使用態様と同様である。また、この使用態様においては、炭20とシート10が被調理物Fの加熱調理で発生する油分や水分を吸着するので、受け皿40に水を張る必要がなく、また加熱調理終了後の加熱調理器の片付けがより容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態に係る加熱調理用炭シートの平面図である。
【図2】実施の形態に係る加熱調理用炭シートを一部拡大した正面図である。
【図3】実施の形態に係る加熱調理用炭シートの使用態様を模式的に示す説明図である。
【図4】実施の形態に係る加熱調理用炭シートの使用態様を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
10 シート
20 炭
30 調理部
40 受け皿
50 加熱調理用炭シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性のシートに細片化された炭の多数が取り付けられ、炭以外の熱源で加熱調理する際に被調理物を覆うものであることを特徴とする加熱調理用炭シート。
【請求項2】
シートが、折り曲げ自在な材料で形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理用炭シート。
【請求項3】
シートに細片化された炭の多数が取り付けられ、炭以外の熱源で加熱調理する際に加熱調理器の受け皿に配置するものであることを特徴とする加熱調理用炭シート。
【請求項4】
シートが、油分又は水分を吸着する材料で形成されてなることを特徴とする請求項3に記載の加熱調理用炭シート。
【請求項5】
細片化された炭の先端部が、被調理物に接触する場合、被調理物と点接触する形状であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の加熱調理用炭シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−125212(P2010−125212A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305326(P2008−305326)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(598106485)有限会社 福富ヘルスサイエンスアンドサービス (3)
【Fターム(参考)】