説明

加速度を決定するための自動車用システムおよび方法

【課題】加速度を決定する方法を可能な限り改善すること。
【解決手段】加速度を決定するための方法において、道路区画(i)は、現在位置(XGPS)に基づいて、地図データから決定され、複数の加速度値(a(t)、a1、a2)および/または複数の速度値(v(t)、v1、v2)は、道路区画(i)内において計測され、道路区画(i)内における道路区画(i)に関連付けられている加速度の確率分布の格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、メモリから読出され、道路区画(i)内における加速度の確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、読出されたパラメータ(μ、Σ、σ)から、および、複数の加速度値(a(t)、a1、a2)と複数の速度値(v(t)、v1、v2)とのうちの少なくとも1つから計算され、確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)が格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度を決定するための自動車用システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、提案される経路を決定するための機器および方法が公知であり、この提案される経路は、車両の異なるスピードに対する車両の推定された燃費に基づいて、および、経路に対する推定されたスピードに基づいて、車両に対して推定された最小の燃料使用量を有する。車両に対する推定された燃費は、車両に対して集計されたデータに基づく。あるいは、推定された燃費は、車両に対する実際のデータに基づく。いくつかの実施形態において、提案される経路は、使用者の経路の嗜好と、リアルタイムの経路情報とによって束縛される。リアルタイムの経路情報は、現在の交通状態、現在の事故報告、天気情報、現在の工事現場などを含む。あるいは、または、さらに、推定された燃料使用量は、実際の運転者の動作データに基づく。実際の運転者の動作データは、使用者が規制に則ってスピードを出すか否か、停止時に使用者が典型的な運転者よりも速く加速して、しかるにより多くの燃料を使用するか否か、その他など、使用者の運転動作から収集されるデータを含む。例えば、スピード制限を典型的に毎時10マイル超過したスピードを出す使用者に対して使用される燃料の推定された量を計算する際、経路を決定するものは、推定されるスピードに対して、区間のスピード制限に毎時10マイルを足して使用する。いくつかの実施形態において、経路を決定するものは、例えば、「スピードを出す傾向」、「普段はスピードを出さない」、その他など、運転スタイルのリストを考慮するように配置され、入力デバイスから使用者からの選択された運転スタイルを受信する。
【0003】
特許文献2は、状況感知型の経路選択のために、道路のスピードを推測することを示している。道路の速度は、道路の特性と、多分に限定された感知されたデータから推論される。道路のスピードは、道路の特性または道路の等級(例えば、2車線、4車線、高速道路、ステートハイウェイ、カントリーハイウェイ、…)、道路周囲のエリアの類型(例えば、商業用、居住用、農耕用、…)、道路が通り抜ける地勢、標示されたスピード制限、ショッピングエリアなどの近隣の資源、娯楽用公園、その他、および、道路区画/交差点に関する他の適したデータの関数であり得る。さらに、他の情報源が使用され得、このような情報源は、天気情報、道路間の関係、道路の類型、および道路事情、(例えば、感知された幹線道路の近隣の交通渋滞)、ならびに、道路の類型間の特別な幾何学的関係(例えば、フリーウェイの進入ランプまたは退出ランプからの道路区画間の距離)を含む。いくつかの限定された感知されたデータが与えられると、このようなデータ間の高次の関係およびパターンのみならず、このようなデータを如何に最良に結び付けるかについての洞察を生成するために、統計的方法(機械学習および推論技術として既知の方法を含む)が利用され得、これにより、異なる状況における道路区画の速度を予測し、このような異なる状況は、現在の活動状況、近い将来の状況、およびより遠い将来の状況を含む。この方法は、すべての道路区画についての速度についての確率分布を算定し続ける自動予測システムを構築するために使用され得る。
【0004】
特許文献2において、スピード解析コンポーネントは、捕捉された軌跡における継続的GPS点の各ペアを調査することによって、時刻および平日/週末のそれぞれの細分について、別個のスピードを学習し得る。各ペア間における運転者のスピードが計算され得、スピードは、AからBに到達するように渡った各道路区画についての移動平均を生成するために利用され得る。スピード計測が時間のブロックに関連付けられた移動平均に適用され、この時間のブロックの時間特性は、スピード計算に包含される収集されたデータのタイムスタンプの時間特性に合致する。
【0005】
しかるに、スピード解析コンポーネントは、様々な分類(時刻、曜日)における道路区画に関連付けられたスピードを決定し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/112335号
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0004789号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、加速度を決定する方法を可能な限り改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項1の特徴を有する方法によって達成される。有利な改良は、従属請求項の主題であり、記述に含まれる。
【0009】
したがって、正および/または負の加速度を決定する方法が提供される。この方法は、自動車のナビゲーションシステムなどのシステムにおいて有利に実装され得る。ナビゲーションシステムは、例えば、自動車内に装備される。システムは、例えば、方法の段階を実行するための演算装置を有する。
【0010】
この方法に従って、道路区画は、現在位置に基づく地図データから決定される。道路区画は、地図データにおける道路の2点間において有利に規定される。地図データは、例えば、半導体メモリあるいは磁気的または光学的データキャリアなどの記憶媒体上に格納される。現在位置は、例えば、センサ情報または無線セル、あるいは、好ましくはGPS衛星データに基づいて確定される。
【0011】
この方法に従って、決定された道路区画内において、複数の加速度値および/または複数の速度値が計測される。有利なように、加速度値および/または速度値は、電子的システムによって固定時間間隔で計測され得る。自動車において、加速度値および/または速度値は、センサの支援を用いて計測され、CANバスを介して送信される。
【0012】
この方法に従って、道路区画内における加速度の確率分布の格納されたパラメータがメモリから読出される。格納されたパラメータは、決定された道路区画に関連付けられる。パラメータは、道路区画内における正および/または負の加速度の変動をマッピングする。決定された区画内における加速の頻度および強度は、パラメータによって網羅される。パラメータは、決定された区画内における加速度の曲線または進展を表示することを可能にする。
【0013】
少なくとも1つのパラメータは、好ましくは、加速度の統計的ばらつきの測度である。加速度の統計的ばらつきの測度の一般的な例は、分散、標準偏差および四分位数間範囲である。統計的ばらつきの測度は、道路区画内における加速度の変動をマッピングすることを可能にする。出願人によって引導された研究は、燃料消費が、加速度の確率分布のパラメータとしての統計的ばらつきの測度に基づく計算によってより正確に決定され得ることを示した。
【0014】
確率分布のパラメータは、ナビゲーション用システム上に、またはナビゲーション用データベース中において、車両の運動の記述を空間効率良く格納することを可能にし、車両の運動の記述は、とりわけ、加速度の確率分布を含む。パラメータは、平均の変動のみならず、交通事情に依存して、交通の流れにおける車両の微細な変動もまた記述する。
【0015】
確率分布の類型に依存して、異なるパラメータが使用され得る。確率分布は、好ましくは正規分布またはラプラス分布である。パラメータは、使用される確率分布に関連付けられる。正規分布が使用されない場合、パラメータは、例えば、期待値および標準偏差である。多次元分布の場合には、パラメータは、例えば多変量正規分布の場合において、ベクトルまたは行列であり得る。
【0016】
例えば、格納されたパラメータは、少なくとも1つの先行の計測または予め設定された初期値から取られる。この方法に従って、道路区画内における加速度の確率分布の新たなパラメータは、読出されたパラメータからだけでなく、複数の加速度値および/または複数の速度値からも計算される。
【0017】
新たなパラメータが計算された後、加速度の確率分布の新たなパラメータが格納される。格納された新たな加速度の確率分布のパラメータは、好ましくは、道路区画に依存した追加的な関数のために評価される。
【0018】
好ましくは、新たなパラメータは、加速度値および速度値が計測される特定の道路区画に対して計算される。代替的に、または、さらに、新たなパラメータは、道路区画が関連付けられた道路区画の等級に対して計算され、これによって、新たなパラメータは、特定の道路区画に対して、または道路区画の等級に対して専用化される。特定の道路区画に対して専用化された新たなパラメータは、道路区画の等級に対して専用化された新たなパラメータと異なることが可能である。
【0019】
本発明のさらなる目的は、可能な限り改善された、および自動車に適したシステムを提供することである。
【0020】
この目的は、独立請求項9の特徴を有するシステムによって達成される。有利な改良は、従属請求項の主題であり、記述に含まれる。
【0021】
したがって、自動車用のシステムが提供される。ナビゲーションシステムは、プログラムの走行を実行するための演算装置を有する。演算装置は、例えばプロセッサ、例えば中央処理装置(CPU)である。システムは、好ましくは、衛星信号を受信するように構成されたコンポーネントとしてのナビゲーションシステムを有する。
【0022】
システムは、道路区画を含む地図データを収容したメモリを有する。追加的に、パラメータおよび/または計測値が好ましくはメモリ内に格納される。メモリは、好ましくは不揮発性メモリである。
【0023】
システムは、好ましくは、速度および/または加速度の計測値を受信するために、データバスに対するインタフェースを有する。データバスは、例えばController Area Network(CAN)バスなど、好ましくは自動車のフィールドバスである。
【0024】
システムは、現在位置を決定するための受信器を有する。受信器は、好ましくは、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信器、または、センサ等から他の位置データを受信する受信器である。受信器、インタフェースおよびメモリは、好ましくは演算装置に接続される。
【0025】
演算装置は、現在位置に基づいて現在の道路区画を決定するように構成される。この目的のため、決定された現在位置に属する現在の道路区画を決定するために、格納された地図データが演算装置によってアクセスされる。
【0026】
演算装置は、メモリから加速度の確率分布のパラメータをロードするように構成される。パラメータは、地図データの少なくとも1つの道路区画に関連付けられる。加速度の確率分布のパラメータは、速度計測および/または加速度計測から決定される。
【0027】
後述される改良は、加速度を決定する方法のみならず、そのようなシステムに関する。方法の特徴は、システムの機能に対応し得る。システムの機能は、対応する方法の段階を暗示する。
【0028】
好ましい改良に従って、地図データは道路区画の等級を有する。予め設定された道路固有の判定基準を有する道路区画は、各等級に関連付けられる。決定された道路区画に関連付けられる等級は、好ましくは演算装置によって確定される。加速度の確率分布の新たなパラメータは、好ましくは、道路区画に対して、および/または、道路区画に関連付けられた等級に対して格納される。好ましくは、すべての道路区画を等級分けするために、各道路区画が等級に割当てられる。等級の分割は、例えば国家に特化した基準においてなど、異なった道路関連の判定基準に従い得る。等級分けの一手段は、例えば、許容最高速度であり、許容最高速度は、法律によって、あるいは、法律と代替的に、または法律との組合せにおいて、異なる都市部の短距離および長距離の道路またはフリーウェイに応じた(小)地区によって設定される。
【0029】
好ましくは、演算装置は、経路情報を計算するために、メモリから加速度の確率分布のパラメータをロードするように構成される。加速度の確率分布のパラメータは、好ましくは、上記で説明された方法を使用して計算される。加速度の確率分布は、好ましくは正規分布またはラプラス分布である。
【0030】
有利な改良に従って、経路情報が任意の経路に対して計算され得る。経路情報の計算のために、加速度の確率分布のパラメータがアルゴリズムに入力される。経路情報は、システムの表示デバイスの支援を用いて使用者に直接的に表示され得る。例えば経路情報を考慮してなど、特定の制限条件下において、例えば経路を計算するためなど、さらなるデータを計算するために経路情報を使用することもまた可能である。
【0031】
有利な改良に従って、加速度の確率分布の新たなパラメータは、帰納方程式を使用して計算される。道路区画の計測された加速度値および/または速度値と、格納された加速度の確率分布のパラメータとが帰納方程式に入力される。追加的に、帰納方程式の一部として、いくつかの予め設定された頻度に対応する係数(平均、振幅)を予め計算することが可能である。
【0032】
代替の改良に従って、現在の確率分布のパラメータを有する現在の加速度の確率分布は、計測される複数の加速度値および/または複数の速度値から計算される。加速度の確率分布の新たなパラメータは、現在の加速度の確率分布の現在のパラメータおよび格納されたパラメータから計算される。この中間の段階は、加速度の確率分布の新たなパラメータを計算する前に、先ず現在の加速度の確率分布を計算して現在の分布の妥当性をチェックするために使用され得る。追加的に、または、代替的に、頻度の集合に対する係数は、現在の加速度の確率分布を計算するために計算および入力され、および/または、帰納方程式に入力され得、ここで、係数は、複数の加速度値および/または複数の速度値から導出される。
【0033】
有利な改良に従って、メモリに格納された、道路区画に割当てられたパラメータは、新たなパラメータを計算するために読出される。この目的のために、道路区画は、好ましくは識別子を有し、この識別子は、格納されたパラメータと共に格納され、格納されたパラメータに割当てられる。
【0034】
代替の改良において、格納されたパラメータは、道路区画に対する等級に割当てられる。格納された等級のパラメータは、好ましくは、新たなパラメータを計算するために読出される。識別子を使用して、また、道路区画の一の等級が臨機応変に選定され得る。
【0035】
好ましい改良に従って、(ナビゲーション)システムの現在位置は、好ましくはGPS受信器を使用して決定される。現在の道路区画は、好ましくは現在位置および地図データから決定される。地図データは、好ましくは(ナビゲーション)システムのメモリに格納される。
【0036】
別の有利な改良において、加速度の確率分布の新たなパラメータに加えて、信頼性情報の項目が計算されることが提供される。信頼性情報は、後続の評価のために、計算された加速度の確率分布のパラメータの妥当性に割当てられる。例えば、道路区画内における計測の数など、異なる変数が信頼性情報として使用され得る。加速度の確率分布の新たなパラメータは、好ましくは、新たなパラメータに関連付けられた信頼性情報と共に格納される。
【0037】
有利な改良変形に従って、例えば時刻および曜日など、計測の時間期間が決定される。例えば、労働日における典型的に逸脱した交通量を考慮するために、計測は、労働日に、または非労働日に割当てられる。統計的な天候の影響を考慮するために、暦月への割当てもまた可能である。
【0038】
時間期間に対して(および、道路区画/道路区画の等級に対して)割当てられた格納された加速度の確率分布のパラメータは、好ましくは、新たなパラメータを計算するためにメモリから読出される。時間期間に対して(および、道路区画/道路区画の等級に対して)割当てられた計算された新たな加速度の確率分布のパラメータは、好ましくは格納される。
【0039】
別のとりわけ有利な改良変形に従って、加速度の確率分布のパラメータは、加速度の確率分布の交通関連パラメータを使用して、異なる交通量に割当てられる。交通関連パラメータは、例えば0から1までなど、好ましくは値の範囲を有する。代替的に、交通関連パラメータは、例えば値1および値0など、固定の数値を有する。両方とも、変数を異なる交通量に割当てることを可能にする。例えば、流れている交通は、交通関連パラメータの値0が割当てられ、より高い交通量(例えば通勤者交通)は、交通関連パラメータの値1が割当てられる。
【0040】
システムの有利な改良において、演算装置は、好ましくは、道路区画内における速度および/または加速度の計測値を評価するように構成される。演算装置は、好ましくは、メモリに格納されたパラメータと、道路区画内における速度および/または加速度の計測値とに基づいて、加速度の確率分布の新たなパラメータを計算するように構成される。演算装置は、計算された新たなパラメータを(メモリに)格納するように有利に構成され、この計算された新たなパラメータは、道路区画に割当てられ、および/または、道路区画の等級に割当てられる。
【0041】
有利な改良変形に従って、演算装置は、加速度の確率分布のパラメータに基づいて、経路情報を計算するように構成される。経路は、地図データの道路区画から決定される。
【0042】
別の有利な改良変形に従って、演算装置は、現在位置の道路区画に関連付けられた加速度の確率分布のパラメータを読出すように構成される。演算装置は、読出された加速度の確率分布のパラメータに基づいて、自動車の運転を制御するための制御データを決定するようにさらに構成される。
【0043】
加速度の確率分布のパラメータは、好ましくは、一の特定の道路区画に割当てられる。このことは、殆ど労力なく、各個別の道路区画に対して加速度の確率分布を格納することを可能にする。特に、運転者によって頻繁に使用される道路区画は、この態様において、統計的精度を有して検出され得る。
【0044】
別のとりわけ有利な改良変形において、加速度の確率分布のパラメータは、道路区画の等級に割当てられる。地図データは、道路区画の等級を有する。予め規定された道路固有の判定基準を満たす道路区画は、対応する等級に関連付けられる。
【0045】
道路区画および等級とのパラメータの関連付けはまた、個別の道路区画にパラメータを割当てることによっても、関連付けられた道路区画の等級に(他の)パラメータを割当てることによっても、互いに組合せられ得る。個別の道路区画のパラメータが存在している場合、これらのパラメータは、対応する等級のパラメータよりも高い優先度を有する。
【0046】
上述された改良変形は、組合せにおいてのみならず、とりわけ個別においても有利である。すべての改良変形は、互いに組合せられ得る。いくつかの可能な組合せは、図中の例示的実施形態の記載において説明されている。しかしながら、改良変形を組合せることに対して、図中に図示されたこれらの可能性は限定ではない。
【0047】
以上により、本発明は、以下の手段を提供する。
【0048】
(項目1)
加速度を決定するための方法であって、
道路区画(i)は、現在位置(XGPS)に基づいて、地図データから決定され、
複数の加速度値(a(t)、a1、a2)および/または複数の速度値(v(t)、v1、v2)は、該道路区画(i)内において計測され、
該道路区画(i)内における加速度の確率分布の格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、メモリから読出され、該格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、該道路区画(i)に関連付けられており、
該道路区画(i)内における該加速度の確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該読出されたパラメータ(μ、Σ、σ)から、そして、該複数の加速度値(a(t)、a1、a2)と該複数の速度値(v(t)、v1、v2)とのうちの少なくとも1つから計算され、
該確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)が格納される、方法。
【0049】
(項目2)
上記地図データは道路区画の等級を有し、道路区画は各等級に関連付けられており、各等級の道路区画は、同一の予め設定された道路固有の判定基準を有し、
上記決定された道路区画(i)に関連付けられた少なくとも1つの等級(C(i))が確定され、
上記加速度の確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該道路区画(i)に対して、および/または、該道路区画(i)に関連付けられた該等級(C(i))に対して格納される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0050】
(項目3)
上記新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、帰納方程式を使用して計算され、
上記道路区画(i)の上記計測された加速度値(a(t)、a1、a2)および/または速度値(v(t)、v1、v2)と、上記格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)とは、該帰納方程式に入力される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0051】
(項目4)
現在の加速度の確率分布の現在のパラメータ(μ、μ1、μ2、Σ1、Σ2、σ)は、上記計測された複数の加速度値(a(t)、a1、a2)および/または複数の速度値(v(t)、v1、v2)から計算され、
該加速度の確率分布の上記新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該現在のパラメータ(μ、μ1、μ2、Σ1、Σ2、σ)および上記格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)から計算される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0052】
(項目5)
上記格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、上記道路区画(i)に割当てられており、推定された道路区画(i)に対する上記新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)を計算するために読出される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0053】
(項目6)
上記格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、上記道路区画(i)の推定された等級(C(i))に割当てられており、該推定された等級(C(i))に対する上記新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)を計算するために読出される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0054】
(項目7)
信頼性情報の値(n)は、上記計算された新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)とは別に計算され、
上記加速度の確率分布の該計算された新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該計算された新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)に関連付けられた該信頼性情報の値(n)と共に格納される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0055】
(項目8)
上記確率分布の上記新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、加速度の確率分布の交通関連パラメータ(λ)を使用して、複数の異なる交通量に割当てられ、該交通関連パラメータ(λ)は、上記推定された道路区画(i)内における交通の密度に基づいており、該交通関連パラメータ(λ)は、上記複数の加速度値(a(t)、a1、a2)および/または上記複数の速度値(v(t)、v1、v2)および/または受信された交通データから推定される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0056】
(項目9)
自動車用のシステム(10)であって、該システム(10)は、
演算装置(110)を備え、
道路区画を有する地図データを収容するメモリ(140)を備え、
速度の計測値および/または加速度の計測値(v(t)、a(t))を送信するためのデータバス(CAN)へのインタフェース(102)を備え、
現在位置(XGPS)を決定するための受信器(101)を備え、
該演算装置(110)は、該現在位置(XGPS)に関連付けられた道路区画(i)を決定するように構成され、
該演算装置(110)は、該メモリ(140)から加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)をロードするように構成され、該パラメータ(μ、Σ、σ)は、該地図データの道路区画に関連付けられており、該加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)は、速度計測および/または加速度計測から決定される、システム(10)。
【0057】
(項目10)
上記演算装置(110)は、上記加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)に基づいて、経路に対する情報を計算するように構成され、該経路は、上記地図データの道路区画から決定される、上記項目のいずれかに記載のシステム(10)。
【0058】
(項目11)
上記演算装置(110)は、上記現在位置(XGPS)の道路区画(i)に関連付けられた上記加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)を読出すように構成され、
該演算装置(110)は、該加速度の確率分布の読出されたパラメータ(μ、Σ、σ)に基づいて、自動車の運転を制御するための制御データを決定するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム(10)。
【0059】
(項目12)
上記加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)は、一の特定の道路区画(i)に割当てられ、
あるいは、
上記加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)は、道路区画(i)の等級(C(i))に割当てられ、上記地図データは、道路区画の等級を有し、予め設定された道路固有の判定基準を満たす道路区画は、各等級に関連付けられている、上記項目のいずれかに記載のシステム(10)。
【0060】
(項目13)
上記演算装置(110)は、決定された道路区画(i)において、上記速度の計測値および/または加速度の計測値(v(t)、a(t))を評価するように構成され、
該演算装置(110)は、上記メモリ(140)に格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)と、該道路区画(i)内における該速度の計測値および/または加速度の計測値(v(t)、a(t))とに基づいて、加速度の確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)を計算するように構成され、
該演算装置(110)は、該計算された加速度の確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)を該メモリ(140)に格納するように構成され、該新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該決定された道路区画(i)に割当てられる、上記項目のいずれかに記載のシステム(10)。
【0061】
(摘要)
加速度を決定するための自動車用システムおよび方法であって、道路区画(i)は、現在位置(XGPS)に基づいて、地図データから決定され、複数の加速度値(a(t)、a1、a2)および/または複数の速度値(v(t)、v1、v2)は、該道路区画(i)内において計測され、該道路区画(i)内における加速度の確率分布の格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、メモリから読出され、該格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、該道路区画(i)に関連付けられており、該道路区画(i)内における該加速度の確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該読出されたパラメータ(μ、Σ、σ)から、および、該複数の加速度値(a(t)、a1、a2)と該複数の速度値(v(t)、v1、v2)とのうちの少なくとも1つから計算され、該確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)が格納される、自動車用システムおよび方法。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明は、図面中に図示された例示的実施形態に基づいて、以下により詳細に説明される。
【図1a】図1aは、自動車用システムの模式的な説明図を示す。
【図1b】図1bは、システムの模式的なブロックダイヤグラムを示す。
【図2】図2は、速度および加速度の曲線を図示する模式的ダイヤグラムを示し、この曲線は、時間に対してプロットされている。
【図3】図3は、二次元確率分布の模式的ダイヤグラムを示す。
【図4】図4は、模式的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は自動車1を示し、自動車1において、運転者2は、自動車1の運転および制御システム3を介して、自動車の運動を決定する。自動車1は、道路交通環境4内に位置し、この道路交通環境4に対して、運転者2は、交通規則5および物理的制限条件5を介して相互作用する。ナビゲーション用に使用可能なシステム10が自動車1内に提供され、システム10は、デバイス100と、GPS受信器101と、バス(CAN)への、ひいては自動車1の電子的システムへのインタフェース102とを有する。デバイス100は、インタフェース102を介して自動車1のデータを読込み得る。デバイス100は、GPS受信器101を介して位置データを読込み得る。
【0064】
デバイス100のコンポーネントは、図1bに基づいてより詳細に説明される。デバイス100は、演算装置110と、入力デバイス120と、ディスプレイ130と、メモリ装置140と、随意で経路計算機150と、随意で無線通信用の通信装置160とを有する。
【0065】
パラメータメモリエリア142中のパラメータおよび/または計測データおよび/または地図データ141は、メモリ140に格納され得る。デバイス100は、速度の計測値v(t)および/または加速度の計測値a(t)を受信するために、インタフェース102を介してデータバスCANに接続される。デバイスはまた、衛星または他の信号を使用して現在位置XGPSを決定するために、受信器101に接続される。
【0066】
演算装置110は、多機能111、112、113、114を有する。機能111は、位置データXGPSを使用して現在位置を決定するためのものである。演算装置110は、現在位置XGPSおよび地図データ141に基づいて現在の道路区画を決定するために、さらに機能112のために構成される。速度の計測値v(t)および/または加速度の計測値a(t)は、データ集計の目的のため、機能113を使用して組合せられる。
【0067】
交通の流れにおける車両の複雑な運動は、全体の走行時間のみならず、道路区画を通過するのに必要な燃料の量もまた決定する。システム10は、車両の運動のコンパクトな数学的記述を備え、コンパクトな数学的記述は、システムのメモリ140内または有線/無線で接続された外部データベース内における空間効率の良い格納に適している。システムは、車両の運動の記述を空間効率良く格納するように構成され、この記述は特に、加速度曲線または分布を備え、これらの曲線または分布は、平均の変動のみならず、交通事情に依存して、交通の流れにおける車両の微細な変動もまた記述する。追加的に、平均スピードパラメータが有利に組合せられ得る。
【0068】
従来型ナビゲーションシステムによって使用される静的パラメータは、道路区画上の車の燃料消費を決定するのに十分ではない。特に、動的に変化する交通事情との組合せにおいて、図1bのシステム10が開発されている。システム10は、所与の道路区画上でのある交通事情における単一車両の運動を記述するモデルを備える。モデルは、機能114によってマッピングされ、機能114において、演算装置110は、例えば経路情報を計算するために、メモリ140から自動車1の加速度の確率分布のパラメータをロードするように構成される。例えば、確率分布として、正規分布またはラプラス分布が使用され得る。加速度の正規分布の場合において、使用されるパラメータは、分散および平均の加速度である。追加的に、道路区画内における速度または平均速度の分布が使用され得る。
【0069】
各道路区画は、道路区画の等級に割当てられる。すべての道路区画は、予め設定された等級の数で分割される。道路区画の等級分けは、各国において異なって具体化され得る。例えば、道路区画は、経路内における重要度に割当てられる。例えば、フリーウェイ、ハイウェイ、国道ハイウェイまたは地方道路などの長距離道路区画は、最大の重要度を有する。他方、2つの都市または町の間の短距離道路区画は、2番目に高い重要度を有する。等級分けの別の手段は、法定許容最高速度(無制限、130km/h、120km/h、100km/h、50km/h、その他)に従って道路区画を分割することである。等級分けのさらに別の手段は、カーブの数、上り勾配、下り勾配、その他など、道路の幾何学的特徴に従って道路区画を分割することである。異なる等級に従った道路区画の等級分けの複数の類型もまた、互いに組合せられ得る。
【0070】
加速度の確率分布のパラメータは、速度計測および/または加速度計測から決定され、道路区画の各等級に対するデフォルト値として、メモリ140に格納される。パラメータは、1つ以上の車両の試験運行を使用して、各道路区画の等級に対して、前もって計測および計算され得る。それに従って、確率分布のパラメータは、単数または複数の道路区画を含む等級に割当てられる。区画特化パラメータを特定の道路区画に追加的に割当てることも可能である。図1bに従った例示的実施形態において、例えば、8×8×8等級が使用される。
【0071】
指定された経路に対する燃料消費は、加速度の確率分布のパラメータに基づいて、経路情報として計算され得る。追加的に、アルゴリズムは、車両モデルおよび運転者のギヤシフト動作、その他を考慮する。燃料消費は、例えば、ディスプレイ130の支援を用いて、表示され得る。加速度の確率分布のパラメータに基づいて決定された燃料消費はまた、ひいては、経路を計算するためにも使用され得、これにより、例えば、最低の総計燃料消費を有する経路、または、計算された範囲内に給油所を有する最も好ましい経路を確定する。
【0072】
経路情報の別の項目は、例えば、加速およびブレーキ操作の数に起因する運転者への過労であり、この過労は、加速度の確率分布のパラメータに基づいて計算され、例えば過労指標の支援を用いて、例えばディスプレイ130上の図形において、表示される。追加的に、経路に対する平均速度は、パラメータに基づいて決定および表示され得る。
【0073】
距離、カーブの数、あるいは、最高速度または平均速度などの静的地図データとの比較において、道路区画内における複数の計測値と、加速度の確率分布のパラメータの計算との支援を用いて、道路区画内または道路区画の等級内における実際の加速度のより正確な記述が得られる。
【0074】
加速度の確率分布のパラメータは、ドライブトレイン効率および走行快適性を最適化するために、各道路区画上を走行中の車両のドライブトレイン制御において使用され得る。例えば、特定の区画内におけるより大きな加速度の分散の場合において、ドライブトレインの制御は、より動的な駆動出力に適応され得、例えば圧力比および/または空燃比を変更する。
【0075】
図1bに従った例示的実施形態において、道路区画の各等級に対するパラメータは、メモリ140にデフォルト値として格納される。さらには、図1bに従った例示的実施形態におけるシステム10のデバイス100は、自動車1の計測値v(t)、a(t)に基づいて、特定の道路区画に対して、および/または、道路区画の等級に対して、パラメータを連続的に適応させるように構成される。デバイス100はしかるに、加速度の確率分布のパラメータに関する自己学習デバイス100として具体化される。
【0076】
加速度の確率分布のパラメータの有用性および記述力をさらに強化するために、パラメータは、車両に装備されたシステム10において進行中に収集される運転データを使用して適応的に推定される。この態様において、攻撃的な運転者に関連付けられたパラメータ分散は、穏健な運転者の場合におけるよりも大きな値を有する。それによって、より大きな分散は、より多くの燃料消費をも生じ、このことは、パラメータの適応的推定を使用して計算され得る。
【0077】
演算装置110は、道路区画における速度の計測値v(t)および/または加速度の計測値a(t)に基づいて、現在の加速度の確率分布の現在のパラメータを決定するように構成される。これらのさらなるパラメータは、既に格納された既存のパラメータとは相違し得る。演算装置110は、メモリ140に格納されたパラメータと、計測を通して決定された現在のパラメータとの両方に基づいて、新たなパラメータを計算するように構成される。代替的に、演算装置110は、例えば帰納的関数を使用することによって、メモリ140に格納されたパラメータと計測値とに基づいて、新たなパラメータを計算するように構成される。
【0078】
演算装置110は、その後、道路区画に割当てられた新たなパラメータをメモリ140に格納する。新たなパラメータは、経路情報を計算するためのアルゴリズムの入力値として臨機応変に使用され得る。
【0079】
図2は、時間に対する計測値v1、v2、a1、a2の曲線を有する模式的ダイヤグラムを示す。計測値v1、v2、a1、a2は、道路区画iにおいて確定されている。先行の道路区画i−1に対する計測値および後続の道路区画i+1に対する計測値は図示されていない。例えば、計測値v1、v2、a1、a2、その他は、例えば1/10秒などの等しい時間間隔において、離散的な計測時点t1、t2、…tnで確定される。計測時点は時間期間内に含まれ、この時間期間の分解能は、例えば、1時間、および、当該日が労働日であるか否かの指示である。午前/午後または日中/夜間の時間期間の分解能もまた可能である。
【0080】
例えば、速度計測値v1またはv2、および加速度計測値a1またはa2は、計測時点t1およびt2のそれぞれについて、図2に従ったダイヤグラムにおいて模式的に図示されている。しかしながら、通常、遥かに多数の計測値が道路区画iに対して確定される。計測値v1、v2、a1、a2は、例えば、車両の電子的システムによって確定され、および、データバスを介してデバイス100に送信され、デバイス100内に少なくとも一時的に格納される。例えば、それら計測値は、ナビゲーションシステム10のインタフェース102を使用して、CANバス(CAN−Bus)を介して送信される。
【0081】
図3は、模式的ダイヤグラムを使用して、加速度および速度の二次元確率分布の支援を用いた計測値の評価の例示的実施形態を示す。計測値(v1,a1)…、(vn,an)は、ランダム変数
【0082】
【数1】

(ランダムベクトル)の実装として解釈される。図3において、個別の値
【0083】
【数2】

が×印によって図示され、この×印に対して、加速度の値aおよび速度の値vが割当てられる。調査される道路区画iにおける法定許容最高速度vmaxもまた図示されている。
【0084】
図3は、交通量に依存している2つの確率分布を示す。この2つの確率分布は、
(v,a)〜λ・N(μ,Σ)+(1−λ)・N(μ,Σ) (1)
のように記述され得、ここで、
λ∈{0,1} (2a)
が具体的な数として使用され、または、
λ∈[0,1] (2b)
が0から1までの範囲として使用される。
【0085】
λは、(適度の)交通量の確率を記述するオーバーレイパラメータである。道路区画i内におけるパラメータλは、好ましくは一定であると仮定される。
【0086】
N(μ,Σ)は二次元正規分布である。μ,Σは、二次元正規分布の期待値ベクトル
【0087】
【数3】

および共分散行列Σとよばれるパラメータである。図3において、共分散行列Σに属する値は、適度の交通量に割当てられ、共分散行列Σに属する値は、自由に流れている交通に割当てられる。図3中のダイヤグラムは、平均速度μ(v)は自由に流れている交通の第2の確率分布に対してより高いが、平均加速度値および加速度の変動はより低いことを示す。それゆえ、適度の交通の場合において、燃料消費は、顕著に、より高く、このことは、平均速度から帰結するのではなく、加速度の確率分布から帰結する。
【0088】
車両の隊列が利用可能である場合、確率分布は、道路区画iにおける複数の試験運行の支援を用いて決定され得る。道路区画iに対する計算された確率分布のパラメータは、例えば、図1bに従って、通信装置160を介して中央コンピュータに送信され得る。中央コンピュータは、ひいては、同一隊列中の全車両の全ナビゲーションシステムに対して、更新の形態において、道路区画に対する確率分布のパラメータを送る。
【0089】
別の例示的実施形態に従って、加速度の確率分布は、頻度fの固定の集合について、例えば、
【0090】
【数4】

と計算される。
【0091】
速度曲線は、道路区画iにおいて、
【0092】
【数5】

に基づいて局所的に定義され、ここで、sは秒であり、vは平均速度であり、Aは各加速度についての振幅である。この例示的実施形態において、2秒から5秒の継続期間を有した運転操作が考慮されている。式4aは、0秒から5秒までの時間間隔に対して適している一方、別の実施形態において、式4bは、0秒から10秒までの時間間隔に対して適しており、
【0093】
【数6】

となる。
【0094】
道路区画iにおいて決定される係数(v,A,A,A,A,A,A)は、ランダム変数の具現化、ベクトル
【0095】
【数7】

として解釈される。振幅と頻度との組合せは、加速度の強度に相関している(負=ブレーキ中/正=加速中)。上昇するkについて、振幅Aにおける顕著な減衰動作が観測される。この例示的実施形態において、2秒から10秒の継続期間を有した運転操作が考慮されている。ランダム変数
【0096】
【数7】

を有する確率分布は、
【0097】
【数8】

または、簡単化して、
【0098】
【数9】

とする確率分布に類似する。
【0099】
例えば、多次元確率分布として、正規分布またはラプラス分布が使用され得る。
【0100】
方法の段階の可能なシーケンスについてのフローチャートが図4に模式的に図示されている。段階1において、自動車は、現在の道路区画iに沿って走行する。第2の段階2において、ポジショニングが信号の支援を用いて実行され、位置XGPSを決定する。第3の段階3において、確定された位置XGPSと地図データとから現在の道路区画iが決定される。
【0101】
第4の段階4において、計測データが集計される。図2に図示されているように、道路区画iにおける速度および/または加速度の曲線がそこにプロットされる。第5の段階5において、データが集計され、および/または、中間データが計算される。中間データが使用されない場合、それ以上のこの段階5は省略され得る。第5の段階5において、例えば、計測値に基づく現在の加速度の確率分布(例えば正規分布)が計算される。図3におけるように、多次元正規分布の場合において、現在の期待値ベクトル
【0102】
【数10】

および現在の共分散行列Σが計算される。現在の一次元正規分布の場合において、現在の期待値μおよび現在の標準偏差σが少なくとも加速度に対して計算され得る。式(3)および式(4)に記述された頻度の集合に対応した係数(v,A,A,A,A,A)を計算することもまた可能である。
【0103】
第6の段階6において、メモリ140に格納された関連付けられたパラメータμ、Σまたはσとの比較が実行される。これらの格納されたパラメータμ、Σまたはσは、現在のパラメータμ、Σ、σまたは帰納方程式を使用して、新たなパラメータμn+1、Σn+1またはσn+1を計算することによって更新され、この帰納方程式は、例えば後述される帰納方程式(5)、(6)である。新たなパラメータμn+1、Σn+1またはσn+1は第7の段階7において格納され、段階7は、道路区画iまたは道路区画の等級C(i)に割当てられる。
【0104】
確率分布のパラメータの更新は、加速度aの例に基づいて、より詳細に説明される。以下の帰納方程式は、加速度aについて、期待値および分散についての統計式、
【0105】
【数11】

【0106】
【数12】

のそれぞれから導出され、ここで、nは先行の観測の数であり、μは前回計算されたaについての平均値であり、σは前回計算されたaについての分散であり、an+1は新たな加速度観測である。したがって、期待ベクトル
【0107】
【数13】

および共分散行列Σが多次元計算のために使用され得る。
【0108】
追加的に、速度の確率分布に対するパラメータが計算され得る。下記の帰納方程式は、速度vについて、期待値および分散についての統計式、
【0109】
【数14】

【0110】
【数15】

のそれぞれから導出され、ここで、nは先行の観測の数であり、μは前回計算されたvについての平均値であり、σは前回計算されたvについての分散であり、vn+1は新たな速度観測である。したがって、期待ベクトル
【0111】
【数15−1】

および共分散行列Σが多次元計算のために使用され得る。
【0112】
段階7において新たなパラメータμn+1、Σn+1またはσn+1が格納された後、それらは次回の更新のための格納されたパラメータとして利用可能である。信頼性情報の項目もまた格納され、信頼性情報は、例えば燃料消費を計算することにおいてなど、さらなる評価において使用するために、パラメータが如何に信頼できるかを指示する。複数の異なる値が信頼性情報として使用され得る。例えば、期待ベクトル
【0113】
【数16】

の現在の値と、格納された期待ベクトル
【0114】
【数16−1】

との間の差が格納および/または評価され得る。別の可能性は、計測の数nを格納および/または評価することである。加速度aについての次回の値が同一区画iに対して計測される場合、信頼性情報nは、帰納方程式(5)、(6)に対して追加的に使用され得る。速度vについての次回の値が同一区画iに対して計測される場合、信頼性情報nは、帰納方程式(7)、(8)に対して追加的に使用され得る。
【0115】
段階8において、車両は、道路区画iを退去し、その後、新たな道路区画i+1に進入し得、それに従って、段階1から段階8までが実行される。
【0116】
本発明は、図1aから図4までに図示された実施形態の変形に限定されない。例えば、正規分布またはラプラス分布の他、確率分布関数を使用することが可能である。新たな計算のために、または表示のために、他の経路情報を出力することもまた可能である。図1bに従ったナビゲーションデバイスの機能性は、とりわけ、自動車に対して有利に使用され得る。
【符号の説明】
【0117】
1 車両
2 運転者
3 運転システム、制御システム
4 交通、道路
5 相互作用
10 システム、ナビゲーションシステム
100 デバイス
101 GSP受信器
102 インタフェース
110 演算装置
111、112、113、114 演算装置の機能
120 入力デバイス
130 表示デバイス
140 メモリ装置
141 地図データ
142 パラメータメモリエリア
150 経路計算機
160 通信装置
a 加速度
a(t)、a1、a2 加速度計測値
Ak、A1、A2、A3、A4、A5 振幅
頻度
i、i−1、i+1 道路区画
n 計測の数
t 時間
t1、t2、t3、tn 計測時点
C(i) 道路区画の等級
N 正規分布
v 速度
v0 平均速度
v(t)、v1、v2 速度計測値
vmax 法定最高速度
x ランダム変数
XGPS 位置(GPS)
μ、μ1、μ2、Σ1、Σ2、σ 確率分布のパラメータ
λ 交通関連パラメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度を決定するための方法であって、
道路区画(i)は、現在位置(XGPS)に基づいて、地図データから決定され、
複数の加速度値(a(t)、a1、a2)および/または複数の速度値(v(t)、v1、v2)は、該道路区画(i)内において計測され、
該道路区画(i)内における加速度の確率分布の格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、メモリから読出され、該格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、該道路区画(i)に関連付けられており、
該道路区画(i)内における該加速度の確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該読出されたパラメータ(μ、Σ、σ)から、そして、該複数の加速度値(a(t)、a1、a2)と該複数の速度値(v(t)、v1、v2)とのうちの少なくとも1つから計算され、
該確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)が格納される、方法。
【請求項2】
前記地図データは道路区画の等級を有し、道路区画は各等級に関連付けられており、各等級の道路区画は、同一の予め設定された道路固有の判定基準を有し、
前記決定された道路区画(i)に関連付けられた少なくとも1つの等級(C(i))が確定され、
前記加速度の確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該道路区画(i)に対して、および/または、該道路区画(i)に関連付けられた該等級(C(i))に対して格納される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、帰納方程式を使用して計算され、
前記道路区画(i)の前記計測された加速度値(a(t)、a1、a2)および/または速度値(v(t)、v1、v2)と、前記格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)とは、該帰納方程式に入力される、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
現在の加速度の確率分布の現在のパラメータ(μ、μ1、μ2、Σ1、Σ2、σ)は、前記計測された複数の加速度値(a(t)、a1、a2)および/または複数の速度値(v(t)、v1、v2)から計算され、
該加速度の確率分布の前記新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該現在のパラメータ(μ、μ1、μ2、Σ1、Σ2、σ)および前記格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)から計算される、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、前記道路区画(i)に割当てられており、推定された道路区画(i)に対する前記新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)を計算するために読出される、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)は、前記道路区画(i)の推定された等級(C(i))に割当てられており、該推定された等級(C(i))に対する前記新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)を計算するために読出される、少なくとも請求項2に記載の方法。
【請求項7】
信頼性情報の値(n)は、前記計算された新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)とは別に計算され、
前記加速度の確率分布の該計算された新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該計算された新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)に関連付けられた該信頼性情報の値(n)と共に格納される、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記確率分布の前記新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、加速度の確率分布の交通関連パラメータ(λ)を使用して、複数の異なる交通量に割当てられ、該交通関連パラメータ(λ)は、前記推定された道路区画(i)内における交通の密度に基づいており、該交通関連パラメータ(λ)は、前記複数の加速度値(a(t)、a1、a2)および/または前記複数の速度値(v(t)、v1、v2)および/または受信された交通データから推定される、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
自動車用のシステム(10)であって、該システム(10)は、
演算装置(110)を備え、
道路区画を有する地図データを収容するメモリ(140)を備え、
速度の計測値および/または加速度の計測値(v(t)、a(t))を送信するためのデータバス(CAN)へのインタフェース(102)を備え、
現在位置(XGPS)を決定するための受信器(101)を備え、
該演算装置(110)は、該現在位置(XGPS)に関連付けられた道路区画(i)を決定するように構成され、
該演算装置(110)は、該メモリ(140)から加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)をロードするように構成され、該パラメータ(μ、Σ、σ)は、該地図データの道路区画に関連付けられており、該加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)は、速度計測および/または加速度計測から決定される、システム(10)。
【請求項10】
前記演算装置(110)は、前記加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)に基づいて、経路に対する情報を計算するように構成され、該経路は、前記地図データの道路区画から決定される、請求項9に記載のシステム(10)。
【請求項11】
前記演算装置(110)は、前記現在位置(XGPS)の道路区画(i)に関連付けられた前記加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)を読出すように構成され、
該演算装置(110)は、該加速度の確率分布の読出されたパラメータ(μ、Σ、σ)に基づいて、自動車の運転を制御するための制御データを決定するように構成されている、請求項9または請求項10のいずれか1項に記載のシステム(10)。
【請求項12】
前記加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)は、一の特定の道路区画(i)に割当てられ、
あるいは、
前記加速度の確率分布のパラメータ(μ、Σ、σ)は、道路区画(i)の等級(C(i))に割当てられ、前記地図データは、道路区画の等級を有し、予め設定された道路固有の判定基準を満たす道路区画は、各等級に関連付けられている、請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載のシステム(10)。
【請求項13】
前記演算装置(110)は、決定された道路区画(i)において、前記速度の計測値および/または加速度の計測値(v(t)、a(t))を評価するように構成され、
該演算装置(110)は、前記メモリ(140)に格納されたパラメータ(μ、Σ、σ)と、該道路区画(i)内における該速度の計測値および/または加速度の計測値(v(t)、a(t))とに基づいて、加速度の確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)を計算するように構成され、
該演算装置(110)は、該計算された加速度の確率分布の新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)を該メモリ(140)に格納するように構成され、該新たなパラメータ(μn+1、Σn+1、σn+1)は、該決定された道路区画(i)に割当てられる、請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載のシステム(10)。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−162181(P2011−162181A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23381(P2011−23381)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(504147933)ハーマン ベッカー オートモーティブ システムズ ゲーエムベーハー (165)
【Fターム(参考)】