説明

動力伝達装置のオイル供給機構

【課題】回転軸の中心穴の内奥側までオイル供給でき、回転軸の内周面上に開口する全分岐通路部に十分にオイルを供給できる動力伝達装置のオイル供給機構を提供する。
【解決手段】ケース2と、中心穴31および複数の分岐通路部32a等を有する第1の回転軸3Aと、変速用歯車4a〜9aとを備えた動力伝達装置にあって、ケース2内のオイル汲み上げ手段50と、ケース2と回転軸3Aの端部との間にオイル貯留タンク60を形成するタンク形成部材62を備え、オイル貯留タンク60を介して複数の変速用歯車4a〜9aにオイルを供給する動力伝達装置のオイル供給機構において、タンク形成部材62が、オイル貯留タンク60の側壁面に開口する一端部64aおよび中心穴31の内方で開口する他端部の噴出口64bを有するオイル噴出通路64を形成し、それが中心穴31より小径で、その中心軸線64cが中心穴31の中心軸線31cより下方側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達装置のオイル供給機構、特に回転軸の端部に形成されるオイル貯留タンクから回転軸内のオイル通路内に潤滑・冷却用のオイルを供給する動力伝達装置のオイル供給機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の動力伝達装置においては、軽量、コンパクトで低負荷であり、しかも耐久性の高いことが要求される。そのため、例えば平行軸歯車変速機では、平行な回転軸の軸心にそれぞれ油穴を形成し、各回転軸に回転自在に支持された変速歯車の軸受部等に対して、その油穴を通してそれぞれ潤滑油を供給するようになっている。
【0003】
この種の動力伝達装置のオイル供給機構としては、例えば回転軸の中心油穴の開口より小径の中心穴が形成されたプラグ部材を回転軸の中心油穴の端部に装着するとともに、そのプラグ部材の中心穴に挿入された円筒部を通しオイル室から回転軸の中心油穴の内方にオイルを放出させるオイルガイド部材を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ケースの内壁部に回転軸の端部に向かって凹状をなす円形凹部を設けて、その凹部を閉塞する蓋状の部材によってオイル貯留室を画成するとともに、回転軸の中心油穴の中心軸線方向に延びて前記蓋状の部材に一体に固定された略円筒部を通して、オイル貯留室から回転軸の中心油穴内にオイルを供給するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、ケースの内壁部に回転軸の中心油穴の端部に向かって突出する突起およびその回りの旋回誘導壁を設けて、回転軸の中心油穴に十分にオイルを供給できるようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−240773号公報
【特許文献2】特開2002−310271号公報
【特許文献3】特開2000−81117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来の動力伝達装置のオイル供給機構にあっては、変速用歯車等の回転伝動要素に潤滑・冷却用のオイルを供給する油路が、回転軸の中心油路を主として形成されるとともに、その中心油路にオイル貯留室からのオイルを供給する円筒部や突起が回転軸と同一の中心軸線を有するように同軸配置されていたため、オイル貯留室からのオイルを回転軸の中心穴内に放出する円筒部を大径にすると、流速が遅くなってしまい、中心油路の入口近傍にオイルが停滞してしまうことで、中心油路からのオイルの漏れが増加するという問題があった。
【0007】
これに対しては、オイル貯留室からのオイルを回転軸の中心穴内に放出する円筒部を小径にすることができる。しかし、その場合、管路損失が増加することになり、中心油路の内奥側までオイルを十分に供給できなくなるばかりか、中心油路から複数の軸受潤滑部にオイルを供給するための複数の分岐通路部のうち回転軸の端部に近い分岐通路部が回転軸の内周面上に開口する開口穴を通り越してオイルが中心穴の内奥側に向かって供給されることになり、回転軸の端部に近い変速歯車の軸受部等に供給されるべきオイルが不足しがちになるという問題があった。
【0008】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、回転軸の中心穴の内奥側までオイルを供給するとともに、回転軸の内周面上に開口するすべての分岐通路部に十分にオイルを供給することができる動力伝達装置のオイル供給機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的達成のため、本発明に係る動力伝達装置のオイル供給機構は、(1)内部にオイルが収容されるケースと、軸方向に延びる中心穴および該中心穴から分岐して延びる複数の分岐通路部を有するオイル通路が形成されるとともに前記ケース内に配置された回転軸と、前記回転軸に支持されるとともに前記オイル通路を通して供給されるオイルにより潤滑される複数の回転伝動要素と、を備えた動力伝達装置にあって、前記ケースの内部で前記オイルを上方側に汲み上げるオイル汲み上げ手段と、前記ケースと前記回転軸の端部との間に前記オイル汲み上げ手段により汲み上げられたオイルを貯留するオイル貯留タンクを形成するタンク形成部材とを備え、前記オイル汲み上げ手段により汲み上げられたオイルを、前記オイル貯留タンクを介して前記複数の回転伝動要素に供給する動力伝達装置のオイル供給機構において、前記タンク形成部材が、前記オイル貯留タンクの側壁面に開口する一端部および前記回転軸の前記中心穴の内方で開口する他端部を有するオイル噴出通路を形成しており、前記オイル噴出通路が、前記中心穴より小径であるとともに、前記オイル噴出通路の中心軸線が、前記回転軸の前記中心穴の中心軸線より下方側に位置することを特徴とするものである。
【0010】
この構成により、回転軸の中心穴より小径のオイル噴出通路から回転軸の内奥側まで達し得る速度でオイルが供給可能になるとともに、そのオイル噴出通路の中心軸線が回転軸の中心穴の中心軸線より下方側に位置することで、回転軸の端部に近い分岐通路部にもオイルが確実に供給可能になる。
【0011】
本発明に係る動力伝達装置のオイル供給機構は、あるいは、(2)内部にオイルが収容されるケースと、軸方向に延びる中心穴および該中心穴から分岐して延びる複数の分岐通路部を有するオイル通路が形成されるとともに前記ケース内に配置された回転軸と、前記回転軸に支持されるとともに前記オイル通路を通して供給されるオイルにより潤滑される複数の回転伝動要素と、を備えた動力伝達装置にあって、前記ケースの内部で前記オイルを上方側に汲み上げるオイル汲み上げ手段と、前記ケースと前記回転軸の端部との間に前記オイル汲み上げ手段により汲み上げられたオイルを貯留するオイル貯留タンクを形成するタンク形成部材とを備え、前記オイル汲み上げ手段により汲み上げられたオイルを、前記オイル貯留タンクを介して前記複数の回転伝動要素に供給する動力伝達装置のオイル供給機構において、前記タンク形成部材が、前記オイル貯留タンクの側壁面に開口する導入口および前記回転軸の前記中心穴の内方で開口する噴出口を有するオイル噴出通路を形成しており、前記オイル噴出通路が、前記中心穴より小径であるとともに、前記オイル噴出通路の前記噴出口から前記複数の分岐通路部のうち該噴出口に最も近い分岐通路部の中心までの水平距離をL、前記オイル貯留タンクに対し縮小される前記オイル噴出通路のオリフィス流量係数をα、前記噴出口の中心から前記オイル貯留タンク内に貯留されるオイルの液面までの高さをHとするとき、前記噴出口が前記中心穴を形成する前記回転軸の内周壁面から鉛直上方に離間する離間距離Xが、次の〔式1〕で規定される範囲内に設定されることを特徴とするものである。
【0012】
【数3】

【0013】
この構成により、回転軸の中心穴より小径のオイル噴出通路から回転軸の内奥側まで達し得る速度でオイルが供給可能になるとともに、噴出口が回転軸の内周壁面から鉛直上方に離間する離間距離Xの設定により、回転軸の端部に最も近い分岐通路部にもオイルが確実に供給可能になる。
【0014】
なお、オイル貯留タンク内に噴出口からの噴出量より多量のオイルがオイル汲み上げ手段により汲み上げられるとともに導入口からオイルが溢れるようにすることで、噴出口の中心からオイルの液面までの高さHを、導入口の高さに対応する一定の高さにすることができる。
【0015】
上記(2)に記載の構成を有する動力伝達装置のオイル供給機構においては、(3)前記噴出口の中心からの前記オイルの液面までの高さHに対し、前記オイル噴出通路内に供給されるオイルの設定供給量をQとするとき、前記噴出口の開口径dは、次の〔式2〕で規定されるのが好ましい。
【0016】
【数4】

【0017】
この構成により、タンク形成部材のオイル噴出通路の開口径dと液面高さHを適宜設定することで、回転伝動要素の潤滑・冷却に供するオイルの供給設定量Qを容易に設定できる。
【0018】
また、上記(1)〜(3)に記載の構成を有する動力伝達装置のオイル供給機構においては、(4)前記ケースが前記回転軸の端部に向かって凹状をなすタンク形成用凹部を有するとともに、前記タンク形成部材が、前記ケースと前記回転軸の端部との間で前記タンク形成用凹部を閉塞して前記オイル貯留タンクを画成するタンク側壁部と、前記オイル噴出通路を形成するよう前記タンク側壁部に一体に固定された管状部と、前記ケースに対向しつつ前記オイル貯留タンクへのオイル導入口部分を形成する導入口形成壁部と、を有しているのがよい。
【0019】
この構成により、オイル貯留タンクの容量を容易に設定できるとともに、オイル噴出通路や導入口の高さを容易に設定できる。
【0020】
上記(4)に記載の構成を有する動力伝達装置のオイル供給機構においては、(5)前記タンク形成部材が、前記管状部を取り囲むとともに前記回転軸の前記内周壁面に微小間隙を隔てて近接し、前記タンク側壁部と共に前記回転軸の中心穴の端部を閉塞する筒状壁部を有しているのがより好ましい。
【0021】
この構成により、回転軸の中心穴の端部からのオイルの漏れを抑えることができるとともに、タンク形成部材の取り扱いや組付け作業も容易化される。なお、筒状壁部に対し管状部がオフセットされることになるが、タンク形成部材を成形型で成形することにより、タンク形成部材を容易にかつ軽量に作製可能である。
【0022】
また、上記(4)、(5)に記載の構成を有する動力伝達装置のオイル供給機構においては、(6)前記タンク形成部材が、前記タンク側壁部の内壁面から前記管状部の内周面に連続するとともに前記オイル噴出通路の入口径を徐々に縮小させる環状湾曲面を有しているのが望ましい。
【0023】
この構成により、オイル噴出通路の入口付近での損失ヘッドを抑えることができる。
【0024】
上記(1)〜(6)に記載の動力伝達装置のオイル供給機構においては、(7)前記複数の回転伝動要素がそれぞれ複数の変速用歯車であってもよい。
【0025】
この構成により、複数の変速用歯車を有する変速機の潤滑・冷却をなすオイルの供給機構を各変速用歯車への十分なオイル供給が可能なものとし、軽量、コンパクトで低負荷であり、しかも耐久性の高い変速機を提供することが可能となる。
【0026】
また、上記(7)に記載の動力伝達装置のオイル供給機構においては、(8)前記オイル汲み上げ手段が、前記複数の変速用歯車のいずれか、または該いずれかの歯車に噛合するよう前記ケース内に設けられた他の歯車によって構成され、前記オイル汲み上げ手段を構成する歯車が、回転時に前記ケースの内底部側に貯留されたオイルを上方側にかき上げるものであってもよい。
【0027】
この構成により、ポンプ等を別設する必要がなく、軽量、コンパクトで、かつ低コストの変速機とすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、タンク形成部材に、オイル貯留タンクの側壁面に開口するオイル噴出通路を回転軸の中心穴より小径にするとともに、オイル噴出通路の中心軸線を回転軸の中心穴の中心軸線より下方側に位置するようにしているので、複数の回転伝動要素を支持する回転軸の中心穴にその中心穴より小径のオイル噴出通路から回転軸の内奥側まで達し得る速度でオイルを供給するとともに、回転軸の内周面上に開口するすべての分岐通路部に十分にオイルを供給することのできる動力伝達装置のオイル供給機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、一実施形態に係る動力伝達装置のオイル供給機構の概略構成を示す部分断面図であり、図2は、一実施形態に係る動力伝達装置のオイル供給機構のオイル貯留タンクの側面断面図であってタンク形成部材を図1中で左から右方向に見た図である。また、図3は、一実施形態に係る動力伝達装置を回転軸と直交する方向に見た概略断面図である。
【0031】
まず、構成について説明する。
【0032】
本実施形態の動力伝達装置は、平行軸歯車型の車両用変速機となっている。
【0033】
図1および図3に示すように、この車両用変速機1は、公知の手動変速機と同様な主要構成として、車両に横置きされた図示しない多気筒エンジンのエンジンブロックにボルト締結により固定されたケース2と、このケース2内に軸受81、82を介して回転自在に支持されるとともに、エンジンからの回転動力を図示しないクラッチ機構を介して入力する第1の回転軸3Aと、第1の回転軸3Aに対し平行に離間するようケース2内に軸受83、84を介して回転自在に支持された第2の回転軸3Bと、これら第1の回転軸3Aおよび第2の回転軸3Bに支持されるとともに互いに噛合する複数組の変速歯車4a、4b、5a、5b、6a、6b、7a、7b、8a、8b、9a、9b(以下、複数組の変速用歯車4〜9という)と、第1の回転軸3Aに回転方向一体にかつ軸方向に移動可能に結合するスリーブ11s、12sを軸方向変位させることで複数組の変速用歯車4〜9のうち第1の回転軸3Aに回転自在に支持された第1の変速用歯車4a、5a、6a、7aのいずれかを選択的に第1の回転軸3Aに回転方向一体に結合可能な第1の同期噛合機構11、12と、複数組の変速用歯車4〜9のうち第1の回転軸3Aに一体的に装着された第2の変速用歯車8a、9aと、複数組の変速用歯車4〜9のうち第2の回転軸3Bに一体的に装着された第3の変速用歯車4b、5b、6b、7bと、第2の回転軸3Bに回転方向一体にかつ軸方向に移動可能に結合するスリーブ13sを軸方向変位させることで複数組の変速歯車4〜9のうち第2の回転軸3Bに回転自在に支持された第4の変速用歯車8b、9bのいずれかを選択的に第2の回転軸3Bに回転方向一体に結合可能な第2の同期噛合機構13と、第2の回転軸3Bに一体に装着された出力歯車14に噛合する環状歯車15rを有するディファレンシャル機構15と、を備えている。
【0034】
なお、図3は組み合わせ断面であり、第1の回転軸3Aは、第2の回転軸3Bおよびディファレンシャル機構15の回転中心軸線上に配置される左右のドライブシャフト16よりも上方側に位置している。そして、ケース2の内底部側、すなわち第2の回転軸3Bの鉛直方向下方側およびディファレンシャル機構15の鉛直方向下方側には、それぞれ潤滑・冷却用のオイルが収容されており、第1の回転軸3Aおよび第2の回転軸3Bのうち鉛直方向の下方側に位置する第2の回転軸3Bまたはその第2の回転軸3Bに支持された第3、第4の変速用歯車4b〜9bは、ケース2内に貯留されたオイルに部分的に浸漬されている。
【0035】
また、第1の回転軸3Aには、その軸方向に延びる中心穴31と、それぞれの中心穴31から径方向に分岐して延びる複数の分岐潤滑穴32a等(図1参照;図3中に符号なし)を有する潤滑・冷却用の第1のオイル通路33が形成されており、第2の回転軸3Bには、少なくとも軸方向に延びる中心穴36を有する潤滑・冷却用の第2のオイル通路37が形成されている。
【0036】
複数の第1の変速用歯車4a〜7aは、それぞれの内周部でニードル軸受41等(図1参照;図3中に符号なし)により第1の回転軸3Aに対して回転自在に支持されるとともに、第1のオイル通路33を通して供給されるオイルにより潤滑される複数の回転伝動要素となっている。
【0037】
また、複数の第1の変速用歯車4a〜7aと、これら第1の変速用歯車4a〜7aにそれぞれ噛合するとともに第2の回転軸3Bに一体的に支持された複数の第3の変速用歯車4b〜7bとは、それらの回転時に、ケース2の内部に貯留されたオイルを上方側にはね上げることでケース2内の上方側のオイル通路51にオイルを汲み上げるオイル汲み上げ手段50として機能し得るようになっている。
【0038】
このオイル汲み上げ手段50は、例えば複数の第1の変速用歯車4a〜7aと、第1の変速用歯車4a〜7aに噛合するようケース2内に設けられた他の変速用歯車、すなわち第2の変速用歯車4b〜7bとによって構成されており、オイル汲み上げ手段50を構成する複数対の歯車4〜7の回転時にケース2の内底部側に貯留されたオイルを図3中の左上方側にかき上げる構成となっている。
【0039】
一方、ケース2と第1の回転軸3Aの端部との間には、オイル汲み上げ手段50としての複数組の変速用歯車4〜7により汲み上げられたオイルを一時的に貯留するオイル貯留タンク60が配置されており、このオイル貯留タンク60は、第1の回転軸3Aの端部3eに向かって略円形の凹状をなすタンク形成用凹部61を有するケース2と、タンク形成用凹部61を閉塞する蓋状のタンク形成部材62とによって画成されている。
【0040】
図1および図2に示すように、タンク形成部材62は、ケース2と第1の回転軸3Aの端部3eとの間でタンク形成用凹部61を閉塞してオイル貯留タンク60を画成する略円板状のタンク側壁部63と、後述するオイル噴出通路64を形成するようタンク側壁部63の中央部側(中心からオフセットされた位置であるが後述する)に一体に固定された管状部65と、ケース2に対向しケース2との間にオイル貯留タンク60へのオイル導入口60a部分を形成する略コの字形断面の導入口形成壁部66とを有している。
【0041】
また、図1に示すように、タンク形成部材62の導入口形成壁部66は、鉛直方向の上方側になるほどオイル導入口60aの面積が大きくなるように傾斜しており、その最上方のオイル導入口60aのわずかに上方には、オイル汲み上げ手段50としての第1の変速用歯車4a〜7aおよび第3の変速用歯車4b〜7bによってかき上げられたオイルをオイル貯留タンク60の導入口に流下させる樋状のオイル流下部材71がケース2に一体的に固定されて設けられている。このオイル流下部材71は、その内方側でオイル通路51の下流側の部分を形成している。
【0042】
本実施形態の車両用変速機1においては、このようにオイル汲み上げ手段50により汲み上げられたオイルを、オイル貯留タンク60を介して複数の第1の変速用歯車4a〜7a(回転伝動要素)に供給するオイル供給機構が装備されている。
【0043】
また、タンク形成部材62には、オイル貯留タンク60の側壁面に開口する一端部64aおよび第1の回転軸3Aの中心穴31の内方で開口する他端部である噴出口64bを有するオイル噴出通路64が形成されている。
【0044】
このオイル噴出通路64は、第1の回転軸3Aの中心穴31より小径であり、オイル噴出通路64の中心軸線64c(図1参照)は、第1の回転軸3Aの中心穴31の中心軸線31cより鉛直方向の下方側に位置している。
【0045】
さらに、オイル噴出通路64の噴出口64bから第1のオイル通路33の複数の分岐潤滑穴32a等のうちこの噴出口64bに最も近い分岐潤滑穴32aの中心までの水平距離をLとし、オイル貯留タンク60に対し流路断面積が縮小されるオイル噴出通路64のオリフィス流量係数をα、噴出口64bの中心(オイル噴出通路64の中心軸線64c)からオイル貯留タンク60内に貯留されるオイルの液面までの高さをHとするとき、噴出口64bが中心穴31を形成する第1の回転軸3Aの内周壁面3hから鉛直上方に離間する離間距離Xは、次の〔式1〕で規定される範囲内に設定されている。
【0046】
【数5】

【0047】
また、噴出口64bの中心からのオイルの液面までの高さHに対し、オイル噴出通路64内に供給されるオイルの設定供給量をQとするとき、噴出口64bの開口径dは、次の〔式2〕で規定される値を有している。
【0048】
【数6】

【0049】
さらに、タンク形成部材62は、管状部65を取り囲むとともに第1の回転軸3Aの内周壁面3hに微小間隙を隔てて近接し、タンク側壁部63と共に第1の回転軸3Aの中心穴31の端部を閉塞する筒状壁部67を有しているのに加えて、タンク側壁部63の内壁面63aから管状部65の内周面65hに連続するとともにオイル噴出通路64の入口径を徐々に縮小させる環状湾曲面68を有している。
【0050】
なお、タンク形成部材62と軸受81の間には、環状のシム91が装着されており、このシム91によりタンク形成部材62の外周部がケース2のタンク形成用凹部61を閉塞するように保持されている。また、タンク形成用凹部61の周壁部61vは上方側が開いた馬蹄形をなしており、オイル貯留タンク60のオイル導入口60a部分を形成する略コの字形断面の導入口形成壁部66の両側には、ケース2の内側壁部92、93が近接して設けられている。
【0051】
ところで、タンク形成部材62は、筒状壁部67に対し管状部65をオフセットさせたものになるが、タンク形成部材62を成形型で成形することにより、例えば樹脂により射出成形することにより、タンク形成部材62を容易にかつ軽量に作製可能である。
【0052】
次に、作用について説明する。
【0053】
上述のように構成された本実施形態の動力伝達装置のオイル供給機構においては、エンジンからの回転動力が第1の回転軸3Aに伝達され、第1の回転軸3Aが一定回転速度以上の回転数で回転すると、複数対の変速用歯車4〜7によってケース2の内底部側に貯留されたオイルが上方側にはね上げられ、オイル通路51を通してオイル貯留タンク60に流下する。そして、第1の回転軸3Aが一定回転速度以上の回転数で回転している間、オイル貯留タンク60内でオイル噴出通路64の中心からの液面の高さが液面高さHになるまで液面が上昇し、その後、液面高さHが維持される。
【0054】
図4は、そのような運転状態におけるオイル貯留タンク60の近傍の状態を示す要部断面図である。
【0055】
この状態においては、オイル噴出通路64の噴出口64bから中心穴31の軸線と略平行に噴出するオイルの噴出速度Vは、トリチェリの定理あるいはベルヌーイの定理から、理想的にはV=(2gH)1/2と考えることができ、オイル噴出通路64でのオリフィス流量係数αを考慮して、V=α(2gH)1/2と考えることができる。
【0056】
また、この噴出速度Vで噴出したオイルが第1の回転軸3Aの内周壁面3hに達するまでの時間tは、t=La/Vで与えられる。ここで、Laは、噴出口64bからオイルの到達点までの水平方向の距離である。そして、この時間t内にオイルが自由落下する高さXaは、Xa=(1/2)gtで与えられるから、Xa=La/(4αH)と考えることができる。
【0057】
本実施形態では、このようなオイルの噴出を考慮し、オイル噴出通路64の噴出口64bが中心穴31を形成する第1の回転軸3Aの内周壁面3hから鉛直上方に離間する離間距離Xは、上記〔式1〕で規定される範囲内に設定され、噴出口64bの開口径dは、上記〔式2〕で規定される値を有しているので、少なくともオイル噴出通路64の噴出口64bの最下点近傍から噴射されるオイルが、オイル噴出通路64の噴出口64bから第1のオイル通路33の複数の分岐潤滑穴32a等のうちこの噴出口64bに最も近い分岐潤滑穴32aの中心までの水平距離Lを越える到達点に達することはなく、噴出口64bに最も近い分岐潤滑穴32a内に確実にオイルが供給されることになる。さらに、オイルの噴出速度Vは、液面高さHを適宜設定することで、第1の回転軸3Aの内奥側までオイルを供給可能な速度にできる。
【0058】
そして、複数の分岐潤滑穴32a等の各々、例えば分岐潤滑穴32a内に供給されたオイルは、第1の回転軸3Aの回りに形成された環状通路34および第1の回転軸3Aを部分的に取り囲む円筒部材35に形成された径方向のオイル通路35aを通して、ニードル軸受41に供給され、第1の変速用歯車4aの内周の軸受部が潤滑・冷却される。また、噴出口64bの開口径dや噴出口64bの中心からのオイルの液面までの高さH、流量係数α等に基づいて所要のオイル供給量が設定されているので、第1の回転軸3Aおよび第2の回転軸3Bおよびこれらに支持された複数対の変速用歯車4〜9のいずれかが比較的高速で連続的に回転しても、オイルによる十分な潤滑・冷却がなされることになる。
【0059】
このように、本実施形態では、第1の回転軸3Aの中心穴31より小径のオイル噴出通路64から第1の回転軸3Aの内奥側まで達し得る噴出速度Vでオイルを供給できるようになるとともに、そのオイル噴出通路64の中心軸線64cが第1の回転軸3Aの中心穴31の中心軸線31cより下方側に位置するので、第1の回転軸3Aの端部に近い分岐潤滑穴32aにもオイルを確実に供給できる。しかも、本実施形態では、噴出口64bが第1の回転軸3Aの内周壁面3hから鉛直上方に離間する離間距離Xを上記〔式1〕に基づいて設定しているので、第1の回転軸3Aの端部に最も近い分岐潤滑穴32aにもオイルがより確実に、かつ、適量に供給可能である。
【0060】
また、本実施形態では、噴出口64bの開口径dが上記〔式2〕で規定されるので、タンク形成部材62のオイル噴出通路64の開口径dと液面高さHを適宜設定することで、変速用歯車4〜9の潤滑・冷却に供するオイルの供給設定量Qを容易に設定できる。
【0061】
また、ケース2が第1の回転軸3Aの端部に向かって凹状をなすタンク形成用凹部61を有するとともに、タンク形成部材62が、ケース2と第1の回転軸3Aの端部との間でタンク形成用凹部61を閉塞してオイル貯留タンク60を画成するタンク側壁部63と、オイル噴出通路64を形成するようタンク側壁部63に一体に固定された管状部65と、ケース2に対向しつつオイル貯留タンク60へのオイル導入口60a部分を形成する略コの字形断面の導入口形成壁部66とを有しているので、オイル貯留タンク60の容量を容易に設定できるとともに、オイル噴出通路64やオイル導入口60aの高さを容易に設定できる。
【0062】
さらに、本実施形態においては、タンク形成部材62が、管状部65を取り囲むとともに第1の回転軸3Aの内周壁面3hに微小間隙を隔てて近接し、タンク側壁部63と共に第1の回転軸3Aの中心穴31の端部を閉塞する筒状壁部67を有しているので、第1の回転軸3Aの中心穴31の端部からのオイルの漏れを抑えることができるとともに、タンク形成部材62の取り扱いや組付け作業も容易化される。
【0063】
加えて、タンク形成部材62が、タンク側壁部63の内壁面63aから管状部65の内周面65hに連続するとともにオイル噴出通路64の入口径を徐々に縮小させる環状湾曲面68を有しているので、オイル噴出通路64の入口付近での損失ヘッドを抑えることができる。
【0064】
また、本実施形態においては、第1の回転軸3Aおよび第2の回転軸3Bに支持される複数の回転伝動要素が複数の変速用歯車4〜9で構成されるので、複数の変速用歯車4〜9を有する車両用変速機1の潤滑・冷却をなすオイルの供給機構を、各変速用歯車4〜9への十分なオイル供給が可能なものとし、軽量、コンパクトで低負荷であり、しかも耐久性の高い変速機にできる。
【0065】
さらに、オイル汲み上げ手段50が、複数組の変速用歯車4〜7のいずれか、またはそのいずれかの第1の変速用歯車4a〜7aに噛合するようケース2内に設けられた他の変速用歯車4b〜7bによって構成され、オイル汲み上げ手段50を構成する変速用歯車4〜7が、回転時にケース2の内底部側に貯留されたオイルを上方側にかき上げるので、オイルポンプ等を別設する必要がなく、軽量、コンパクトで、かつ低コストの変速機にできる。
【0066】
なお、上述の実施形態においては、複数組の変速用歯車4〜7によってオイル汲み上げ手段50を構成するものとしたが、特定の歯車に制限されるものでないことはいうまでもない。また、上述の実施形態においては、動力伝達装置を多段の車両用の手動変速機と同様として説明したが、車両用や手動変速機に限定されるものではなく、回転軸に軸方向の中心穴とそれに連通する分岐通路部とからなるオイル通路が形成され、そのオイル通路の中心穴にオイル貯留タンクからオイルを噴出させるものであれば、本発明を適用できる。また、液面高さHはオイル貯留タンクの導入口高さで規定されるものとしたが、導入口を形成する壁面部に開口するオイルの排出口を設けて、その排出口の高さで液面高さHを規定することもできる。また、上述の実施形態では、オイル排出口の中心高さを第1の回転軸の軸線高さよりも低く設定していたが、〔式1〕を満たし、必要な噴出速度を設定できる場合、車両用の変速機においては専らそのような位置関係になることが多いということに過ぎず、〔式1〕を満たし、必要な噴出速度を設定できるのであれば、オイル排出口の中心高さを第1の回転軸の軸線高さ以上に設定することも考えられる。また、タンク形成部材は、樹脂製としたが、樹脂以外の材料から成形型により成形したものであってもよいし、成形型で成形されるものでなくともよい。
【0067】
以上説明したように、本発明は、タンク形成部材に、オイル貯留タンクの側壁面に開口するオイル噴出通路を回転軸の中心穴より小径にするとともに、オイル噴出通路の中心軸線を回転軸の中心穴の中心軸線より下方側に位置するようにしているので、複数の回転伝動要素を支持する回転軸の中心穴にその中心穴より小径のオイル噴出通路から回転軸の内奥側まで達し得る速度でオイルを供給するとともに、回転軸の内周面上に開口するすべての分岐通路部に十分にオイルを供給することのできる動力伝達装置のオイル供給機構を提供することができるという効果を奏するものであり、動力伝達装置のオイル供給機構、特に回転軸の端部に形成されるオイル貯留タンクから回転軸内のオイル通路内に潤滑・冷却用のオイルを供給する動力伝達装置のオイル供給機構全般に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係る動力伝達装置のオイル供給機構の概略構成を示す部分断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る動力伝達装置のオイル供給機構のオイル貯留タンクの側面断面図であってタンク形成部材を図1中で左から右方向に見た図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る動力伝達装置を回転軸と直交する方向に見た概略断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る動力伝達装置の回転軸が一定回転速度以上で回転しているときのオイル供給機構のオイル貯留タンク近傍の状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 車両用変速機(動力伝達装置)
2 ケース
3A 第1の回転軸(回転軸)
3B 第2の回転軸
3h 内周壁面
4、5、6、7 複数組の変速用歯車(オイル汲み上げ手段)
4a、5a、6a、7a 第1の変速用歯車
4b、5b、6b、7b 第3の変速用歯車
8、9 複数組の変速用歯車
8a、9a 第2の変速用歯車
8b、9b 第4の変速用歯車
11、12 第1の同期噛合機構
13 第2の同期噛合機構
31 中心穴
31c 中心穴の中心軸線
32a 分岐潤滑穴(分岐通路部)
33 第1のオイル通路
41 ニードル軸受
50 オイル汲み上げ手段
51 オイル通路
60 オイル貯留タンク
60a オイル導入口
61 タンク形成用凹部
62 タンク形成部材
63 タンク側壁部
64 オイル噴出通路
64a 一端部
64b 噴出口(他端部)
64c オイル噴出通路の中心軸線
65 管状部
66 導入口形成壁部
67 筒状壁部
68 環状湾曲面
71 オイル流下部材
H 液面高さ
L オイル噴出通路の噴出口から最も近い分岐潤滑穴の中心までの水平距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にオイルが収容されるケースと、軸方向に延びる中心穴および該中心穴から分岐して延びる複数の分岐通路部を有するオイル通路が形成されるとともに前記ケース内に配置された回転軸と、前記回転軸に支持されるとともに前記オイル通路を通して供給されるオイルにより潤滑される複数の回転伝動要素と、を備えた動力伝達装置にあって、前記ケースの内部で前記オイルを上方側に汲み上げるオイル汲み上げ手段と、前記ケースと前記回転軸の端部との間に前記オイル汲み上げ手段により汲み上げられたオイルを貯留するオイル貯留タンクを形成するタンク形成部材とを備え、前記オイル汲み上げ手段により汲み上げられたオイルを、前記オイル貯留タンクを介して前記複数の回転伝動要素に供給する動力伝達装置のオイル供給機構において、
前記タンク形成部材が、前記オイル貯留タンクの側壁面に開口する一端部および前記回転軸の前記中心穴の内方で開口する他端部を有するオイル噴出通路を形成しており、
前記オイル噴出通路が、前記中心穴より小径であるとともに、
前記オイル噴出通路の中心軸線が、前記回転軸の前記中心穴の中心軸線より下方側に位置することを特徴とする動力伝達装置のオイル供給機構。
【請求項2】
内部にオイルが収容されるケースと、軸方向に延びる中心穴および該中心穴から分岐して延びる複数の分岐通路部を有するオイル通路が形成されるとともに前記ケース内に配置された回転軸と、前記回転軸に支持されるとともに前記オイル通路を通して供給されるオイルにより潤滑される複数の回転伝動要素と、を備えた動力伝達装置にあって、前記ケースの内部で前記オイルを上方側に汲み上げるオイル汲み上げ手段と、前記ケースと前記回転軸の端部との間に前記オイル汲み上げ手段により汲み上げられたオイルを貯留するオイル貯留タンクを形成するタンク形成部材とを備え、前記オイル汲み上げ手段により汲み上げられたオイルを、前記オイル貯留タンクを介して前記複数の回転伝動要素に供給する動力伝達装置のオイル供給機構において、
前記タンク形成部材が、前記オイル貯留タンクの側壁面に開口する導入口および前記回転軸の前記中心穴の内方で開口する噴出口を有するオイル噴出通路を形成しており、
前記オイル噴出通路が、前記中心穴より小径であるとともに、
前記オイル噴出通路の前記噴出口から前記複数の分岐通路部のうち該噴出口に最も近い分岐通路部の中心までの水平距離をL、前記オイル貯留タンクに対し縮小される前記オイル噴出通路のオリフィス流量係数をα、前記噴出口の中心から前記オイル貯留タンク内に貯留されるオイルの液面までの高さをHとするとき、
前記噴出口が前記中心穴を形成する前記回転軸の内周壁面から鉛直上方に離間する離間距離Xが、次の〔式1〕で規定される範囲内に設定されることを特徴とする動力伝達装置のオイル供給機構。
【数1】

【請求項3】
前記噴出口の中心からの前記オイルの液面までの高さHに対し、前記オイル噴出通路内に供給されるオイルの設定供給量をQとするとき、
前記噴出口の開口径dは、次の〔式2〕で規定されることを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置のオイル供給機構。
【数2】

【請求項4】
前記ケースが前記回転軸の端部に向かって凹状をなすタンク形成用凹部を有するとともに、前記タンク形成部材が、前記ケースと前記回転軸の端部との間で前記タンク形成用凹部を閉塞して前記オイル貯留タンクを画成するタンク側壁部と、前記オイル噴出通路を形成するよう前記タンク側壁部に一体に固定された管状部と、前記ケースに対向しつつ前記オイル貯留タンクへのオイル導入口部分を形成する導入口形成壁部と、を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の動力伝達装置のオイル供給機構。
【請求項5】
前記タンク形成部材が、前記管状部を取り囲むとともに前記回転軸の前記内周壁面に微小間隙を隔てて近接し、前記タンク側壁部と共に前記回転軸の中心穴の端部を閉塞する筒状壁部を有していることを特徴とする請求項4に記載の動力伝達装置のオイル供給機構。
【請求項6】
前記タンク形成部材が、前記タンク側壁部の内壁面から前記管状部の内周面に連続するとともに前記オイル噴出通路の入口径を徐々に縮小させる環状湾曲面を有していることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の動力伝達装置のオイル供給機構。
【請求項7】
前記複数の回転伝動要素がそれぞれ複数の変速用歯車であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちいずれか1の請求項に記載の動力伝達装置のオイル供給機構。
【請求項8】
前記オイル汲み上げ手段が、前記複数の変速用歯車のいずれか、または該いずれかの歯車に噛合するよう前記ケース内に設けられた他の歯車によって構成され、
前記オイル汲み上げ手段を構成する歯車が、回転時に前記ケースの内底部側に貯留されたオイルを上方側にかき上げることを特徴とする請求項7に記載の動力伝達装置のオイル供給機構。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−144856(P2010−144856A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323664(P2008−323664)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】