説明

動力出力装置およびその制御方法並びに車両

【課題】内燃機関をアイドル運転する際の制御量をより適正に学習する。
【解決手段】エンジンにおけるアイドル制御量の学習が完了していないときには走行状態での学習が許容されるよう比較的大きい値V1を閾値Vrefに設定すると共に(S110,S120)、こうした学習が完了しているときには略停車状態での学習だけが許容されるよう値V1より十分に小さい値V2を閾値Vrefに設定して(S110,S130)、車速Vが閾値Vref未満の範囲内で所定の学習条件の成立に応じたアイドル制御量の学習を実行する(S150〜S190)。これにより、アイドル制御量をより適正に学習することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力出力装置およびその制御方法並びにこうした動力出力装置を搭載する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の動力出力装置としては、車両に搭載され、車速が値0などの条件下で内燃機関におけるスロットルバルブのバルブ開度補正値を更新した後に、このバルブ開度補正値によりスロットル開度センサからの検出値を補正した値を用いたスロットルバルブの開閉制御を伴って、内燃機関のアイドル回転数を目標回転数に保持するISC学習処理を実行するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、こうした処理により、適切な学習量を得ようとしている。
【特許文献1】特開平6−93911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
駆動軸とエンジンの出力軸と発電機の回転軸とが遊星歯車機構などで接続され、駆動軸に接続された電動機を備える動力出力装置では、エンジンをアイドル運転する際のスロットル開度などの制御量を駆動軸に動力を出力していない状態で学習するだけでなく、より多くの学習機会を確保するために、電動機だけから駆動軸に動力を出力している状態でもこうした学習を行なうことが考えられる。一方、駆動軸の回転速度が大きくなると、エンジンの出力軸への影響によりアイドル運転する際の制御量を誤って学習する場合がある。
【0004】
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両は、内燃機関をアイドル運転する際の制御量をより適正に学習することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両は、少なくとも上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
動力を入出力する発電機と、
前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に機械的に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
前記発電機および前記電動機と電力のやり取りを行なう蓄電手段と、
前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記内燃機関をアイドル運転する際の制御量であるアイドル制御量を所定の学習条件の成立に応じて学習するアイドル制御量学習が完了していないときには前記駆動軸の回転速度が第1の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記アイドル制御量学習が完了しているときには前記駆動軸の回転速度が前記第1の速度より小さい第2の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の動力出力装置では、内燃機関をアイドル運転する際の制御量であるアイドル制御量を所定の学習条件の成立に応じて学習するアイドル制御量学習が完了していないときには駆動軸の回転速度が第1の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。これにより、アイドル制御量学習が完了していないときには、第1の速度未満の範囲内で駆動軸が回転している最中にアイドル制御量を学習することができる。また、アイドル制御量学習が完了しているときには駆動軸の回転速度が第1の速度より小さい第2の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。したがって、アイドル制御量学習が完了しているときには、アイドル制御量学習が完了していないときに比して、アイドル制御量を学習する全ての機会のうち駆動軸が回転停止した状態でアイドル制御量を学習する割合が高くなり駆動軸の回転変化に伴う動力が内燃機関の出力軸に出力されていない状態でアイドル制御量を学習する割合が高くなる傾向にあるから、アイドル制御量を誤って学習するのを抑制することができる。この結果、アイドル制御量をより適正に学習することができる。
【0008】
本発明の車両は、上述の態様の本発明の動力出力装置、即ち、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、動力を入出力する発電機と、前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に機械的に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記発電機および前記電動機と電力のやり取りを行なう蓄電手段と、前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、前記内燃機関をアイドル運転する際の制御量であるアイドル制御量を所定の学習条件の成立に応じて学習するアイドル制御量学習が完了していないときには前記駆動軸の回転速度が第1の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記アイドル制御量学習が完了しているときには前記駆動軸の回転速度が前記第1の速度より小さい第2の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、を備える動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなることを要旨とする。
【0009】
この本発明の車両では、上述の態様の本発明の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、アイドル制御量学習が完了していないときには第1の速度未満の範囲内で駆動軸が回転している最中にアイドル制御量を学習することができると共にアイドル制御量学習が完了しているときにはアイドル制御量を誤って学習するのを抑制することができ、アイドル制御量をより適正に学習することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
【0010】
こうした本発明の車両において、前記制御手段は、車速を前記駆動軸の回転速度として用いて車両の走行状態および停車状態を含む第1の車速未満の範囲を前記第1の速度未満の範囲として用いると共に略停車状態を示す前記第1の車速より小さい第2の車速未満の範囲を前記第2の速度未満の範囲として用いて制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、アイドル制御量を更に適正に学習することができる。
【0011】
また、本発明の車両において、前記回転速度検出手段は、車速を検出する車速検出手段であり、前記制御手段は、前記第1の速度として第1の車速を用いると共に前記第2の速度として第2の車速を用いて制御する手段であるものとすることもできる。
【0012】
本発明の動力出力装置の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力する発電機と、前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に機械的に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記発電機および前記電動機と電力のやり取りを行なう蓄電手段と、
前記内燃機関をアイドル運転する際の制御量であるアイドル制御量を所定の学習条件の成立に応じて学習するアイドル制御量学習が完了していないときには前記駆動軸の回転速度が第1の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記アイドル制御量学習が完了しているときには前記駆動軸の回転速度が前記第1の速度より低い第2の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に前記要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
【0013】
この本発明の動力出力装置の制御方法では、内燃機関をアイドル運転する際の制御量であるアイドル制御量を所定の学習条件の成立に応じて学習するアイドル制御量学習が完了していないときには駆動軸の回転速度が第1の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。これにより、アイドル制御量学習が完了していないときには、第1の速度未満の範囲内で駆動軸が回転している最中にアイドル制御量を学習することができる。また、アイドル制御量学習が完了しているときには駆動軸の回転速度が第1の速度より小さい第2の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。したがって、アイドル制御量学習が完了しているときには、アイドル制御量学習が完了していないときに比して、アイドル制御量を学習する全ての機会のうち駆動軸が回転停止した状態でアイドル制御量を学習する割合が高くなり駆動軸の回転変化に伴う動力が内燃機関の出力軸に出力されていない状態でアイドル制御量を学習する割合が高くなる傾向にあるから、アイドル制御量を誤って学習するのを抑制することができる。この結果、アイドル制御量をより適正に学習することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0016】
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号、例えばエンジン22の冷却水の温度を検出する図示しない水温センサからの冷却水温Twやクランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションなどを入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、エンジン22の冷却水温Twが暖機完了を示す所定温度(例えば、65℃や70℃など)以上となると共にエンジン22がアイドル運転されている条件などの所定の学習条件が成立したときに、エンジン22の回転数Neがアイドル回転数Nidl(例えば、900rpmや1000rpmなど)になるようスロットル開度などの制御量をフィードバック制御することにより、エンジン22をアイドル回転数Nidlで運転するための制御量を学習し、その学習値を記憶して次回以降のエンジン22のアイドル運転時の制御に用いている。エンジンECU24は、こうしたアイドル運転する際の制御量(以下、アイドル制御量という)の学習が完了しているか否かの情報も記憶している。また、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
【0017】
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
【0018】
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
【0019】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
【0020】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0021】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止またはエンジン22をアイドル運転してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。ここで、トルク変換運転モードは、充放電運転モードのうちバッテリ50の充放電が行なわれない状態であるから、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
【0022】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にエンジン運転モードからモータ運転モードに移行する際に所定の学習条件(エンジン22の冷却水温Twが暖機完了を示す所定温度以上となると共にエンジン22がアイドル運転されている条件など)の成立に応じたアイドル制御量の学習を伴って走行するときの動作について説明する。図2はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン運転モードからモータ運転モードに移行する条件が成立したときから所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。エンジン運転モードからモータ運転モードへの移行は、実施例では、運転者のアクセル操作に基づくエンジン22から出力すべき動力が閾値未満となったときにバッテリ50の残容量(SOC)が閾値以上であるなどの条件が成立したときに行なわれる。
【0023】
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,アイドル制御量の学習が完了しているか否かを示す学習完了フラグF,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、学習完了フラグFは、エンジン22におけるアイドル制御量の学習がイグニッションオンされた以降に一度も完了していないときに値0が設定されると共にこの学習が一度でも完了した以降は値1が設定されてエンジンECU24の図示しないRAMに記憶されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
【0024】
こうしてデータを入力すると、入力した学習完了フラグFを調べ(ステップS110)、学習完了フラグFが学習未完了を示す値0のときには車速Vと比較するための閾値Vrefに正の値V1を設定し(ステップS120)、学習完了フラグFが学習完了を示す値1のときには閾値Vrefに値V1より小さい正の値V2を設定する(ステップS130)。実施例では、値V1は、車両がある程度の車速未満の範囲内で走行している状態を判定するための車速(例えば、時速50kmや時速60kmなど)を用いるものとし、値V2は、略停車状態にあるのを判定するための車速(例えば、時速5kmや時速10kmなど)を用いるものとした。学習完了時と未完了時とによって閾値Vrefに異なる値を設定する理由については、後述する。
【0025】
続いて、エンジン22が運転されているか否かを判定し(ステップS140)、エンジン22が運転されているときには入力した車速Vと設定した閾値Vrefとを比較し(ステップS150)、車速Vが閾値Vref未満のときにはエンジン22のアイドル運転を指示する信号とアイドル制御量の学習を許可する信号とをエンジンECU24に送信し(ステップS160,S170)、車速Vが閾値Vref以上のときにはエンジン22の運転停止を指示する信号とアイドル制御量の学習を禁止する信号とをエンジンECU24に送信する(ステップS180,S190)。エンジン22のアイドル運転を指示する信号とアイドル制御量の学習を許可する信号とを受信したエンジンECU24は、エンジン22をアイドル運転すると共に更に所定の学習条件が成立しているときにはアイドル制御量の学習を実行し、エンジン22の運転停止を指示する信号とアイドル制御量の学習を禁止する信号とを受信したエンジンECU24は、アイドル制御量の学習を実行することなくエンジン22の運転を停止する。
【0026】
ステップS140でエンジン22の運転が停止されていると判定されたときや、こうしてアイドル制御量の学習を許可または禁止する信号をエンジンECU24に送信したときには、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS200)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図3に要求トルク設定用マップの一例を示す。
【0027】
そして、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS210)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものをモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpとして設定し(ステップS220)、バッテリ50の入出力制限Win,WoutをモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2のトルク制限Tmin,Tmaxを計算すると共に(ステップS230)、仮トルクTm2tmpをトルク制限Tmin,Tmaxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS240)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS250)、本ルーチンを終了する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、エンジン22の運転を停止した状態で、または、エンジン22をアイドル運転してアイドル制御量の学習を実行を伴って、モータMG2からバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。
【0028】
ここで、エンジン22におけるアイドル制御量の学習完了時と学習未完了時とによって閾値Vrefに異なる値を設定する理由について説明する。イグニッションオンされた以降に一度もアイドル制御量の学習が完了していない学習未完了時には、学習の機会を確保するため、車両が走行状態にあるか停車状態にあるかによらず、学習を実行することが望ましい。一方、学習完了時には、車両が走行している状態で学習を実行すると、問題が生じる場合がある。図4に、モータ運転モードでエンジン22におけるアイドル制御量の学習を伴ってアクセルオフされた状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示し、R軸上の太線矢印は、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクを示す。車両が走行状態にあるときには、アクセル操作やブレーキ操作などで車両が加減速する。例えばアクセルオフにより車両が減速すると、図中、S軸やR軸上に白抜矢印で示すように、動力分配統合機構30のサンギヤ31側の慣性モーメントとサンギヤ31の回転変化量との積に対応するトルクや動力分配統合機構30のリングギヤ32側の慣性モーメントとリングギヤ32の回転変化量との積に対応するトルクが、サンギヤ31やリングギヤ32の回転変化を妨げる方向に作用すると共に、キャリア34を介してエンジン22のクランクシャフト26にも作用する。そうすると、車両が走行状態にあるときには、停車状態に比して、アイドル制御量を誤って学習する可能性が高くなる。このため、ステップS110の判定結果として、学習未完了時にはある程度は停車状態での学習が行なわれると共に走行状態での学習も許容して学習の機会がより多く確保されるよう比較的大きい値V1を閾値Vrefに設定し、学習完了時には誤学習が抑制されるよう略停車状態での学習だけを許容して値V1より十分に小さい値V2を閾値Vrefに設定するのである。こうした制御により、アイドル制御量の学習をより適正に実行することができるものとなる。
【0029】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22におけるアイドル制御量の学習が完了していないときには走行状態での学習が許容されるよう比較的大きい値V1を閾値Vrefに設定すると共に、こうした学習が完了しているときには略停車状態での学習だけが許容されるよう値V1より十分に小さい値V2を閾値Vrefに設定して、車速Vが閾値Vref未満の範囲内で所定の学習条件の成立に応じたアイドル制御量の学習を実行するから、アイドル制御量をより適正に学習することができる。
【0030】
実施例のハイブリッド自動車20では、車速Vと比較する閾値Vrefに設定する値V1および値V2について、値V1としてある程度の車速未満の範囲内で走行している状態を判定するための車速を用いると共に値V2として停車状態を判定するための車速を用いるものとしたが、値V1より値V2が小さくなる関係の値を用いるものであればよい。
【0031】
実施例のハイブリッド自動車20では、車速センサ88からの車速Vの大小に応じてアイドル制御量の学習を禁止するか許可するかを判定するするものとしたが、車速センサ88からの車速Vに代えて、モータMG2の回転数Nm2の大小に応じてアイドル制御量の学習を禁止するか許可するかを判定するものとしてもよい。
【0032】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン運転モードからモータ運転モードに移行する際の制御として説明したが、エンジン22をアイドル運転することができる状態での制御であれば如何なる状態での制御に適用するものとしても構わない。
【0033】
実施例のハイブリッド自動車20では、減速ギヤ35を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしたが、リングギヤ軸32aにモータMG2を直接取り付けるものとしてもよいし、減速ギヤ35に代えて2段変速や3段変速,4段変速などの変速機を介してリングギヤ軸32aにモータMG2を取り付けるものとしても構わない。
【0034】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図5の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図5における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
【0035】
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される動力出力装置の形態や建設設備などの移動しない設備に組み込まれた動力出力装置の形態としても構わない。さらに、こうした動力出力装置の制御方法の形態としてもよい。
【0036】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定する図2の駆動制御ルーチンのステップS200の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、アイドル制御量の学習が完了していないときには比較的大きい値V1を閾値Vrefに設定すると共にこうした学習が完了しているときには値V1より小さい値V2を閾値Vrefに設定して車速Vが設定した閾値Vref未満のときにはエンジン22をアイドル運転して所定の学習条件の成立に応じたアイドル制御量の学習が実行されるよう指示する信号をエンジンECU24に送信すると共に車速Vが設定した閾値Vref以上のときにはアイドル制御量の学習を実行せずにエンジン22の運転停止を指示する信号をエンジンECU24に送信しモータMG1の値0のトルク指令Tm1*とバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でリングギヤ軸32aに要求トルクTr*が出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*とを設定してモータECU40に送信する図2の駆動制御ルーチンのステップS110〜S190,S210〜S250の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と受信した信号に基づいて許可された範囲内で所定の学習条件の成立に応じたアイドル制御量の学習が実行されるようエンジン22を制御するエンジンECU24とトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。
【0037】
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力するものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる差動作用を有するものなど、駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。
「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力するものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、発電機および電動機と電力のやりとりを行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「要求駆動力設定手段」としては、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクを設定するものや走行経路が予め設定されているものにあっては走行経路における走行位置に基づいて要求トルクを設定するものなど、駆動軸に要求される要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、アイドル制御量の学習が完了していないときには比較的大きい値V1を閾値Vrefに設定すると共にこうした学習が完了しているときには値V1より小さい値V2を閾値Vrefに設定して車速Vが設定した閾値Vref未満のときにはエンジン22をアイドル運転して所定の学習条件の成立に応じたアイドル制御量の学習が実行されるようエンジン22を制御すると共に車速Vが設定した閾値Vref以上のときにはアイドル制御量の学習を実行せずにエンジン22の運転が停止されるようエンジン22を制御しモータMG1の値0に設定したトルク指令Tm1*とバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でリングギヤ軸32aに要求トルクTr*が出力されるよう設定したモータMG2のトルク指令Tm2*とに基づいてモータMG1,MG2を制御するものに限定されるものではなく、内燃機関をアイドル運転する際の制御量であるアイドル制御量を所定の学習条件の成立に応じて学習するアイドル制御量学習が完了していないときには駆動軸の回転速度が第1の速度未満の範囲内でアイドル制御量学習を実行すると共に設定された要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御し、アイドル制御量学習が完了しているときには駆動軸の回転速度が第1の速度より小さい第2の速度未満の範囲内でアイドル制御量学習を実行すると共に設定された要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0038】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0039】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、動力出力装置や車両の製造産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例としてハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図4】モータ運転モードでアイドル制御量の学習を伴ってアクセルオフされた状態で走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。
【図5】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0042】
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
動力を入出力する発電機と、
前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に機械的に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
前記発電機および前記電動機と電力のやり取りを行なう蓄電手段と、
前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記内燃機関をアイドル運転する際の制御量であるアイドル制御量を所定の学習条件の成立に応じて学習するアイドル制御量学習が完了していないときには前記駆動軸の回転速度が第1の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記アイドル制御量学習が完了しているときには前記駆動軸の回転速度が前記第1の速度より小さい第2の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備える動力出力装置。
【請求項2】
請求項1記載の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなる車両。
【請求項3】
前記制御手段は、車速を前記駆動軸の回転速度として用いて車両の走行状態および停車状態を含む第1の車速未満の範囲を前記第1の速度未満の範囲として用いると共に略停車状態を示す前記第1の車速より小さい第2の車速未満の範囲を前記第2の速度未満の範囲として用いて制御する手段である請求項2記載の車両。
【請求項4】
内燃機関と、動力を入出力する発電機と、前記駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に機械的に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記発電機および前記電動機と電力のやり取りを行なう蓄電手段と、
前記内燃機関をアイドル運転する際の制御量であるアイドル制御量を所定の学習条件の成立に応じて学習するアイドル制御量学習が完了していないときには前記駆動軸の回転速度が第1の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記アイドル制御量学習が完了しているときには前記駆動軸の回転速度が前記第1の速度より低い第2の速度未満の範囲内で前記アイドル制御量学習を実行すると共に前記要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする動力出力装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−1759(P2010−1759A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159366(P2008−159366)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】