説明

動圧流体軸受装置、モータ、記録再生装置、および加工用治具

【課題】小型化および耐衝撃性への要求を満たす動圧流体軸受装置を提供することを課題とする。
【解決手段】流体軸受装置40は、スリーブ1と、シャフト2と、スラスト板4と、ラジアル軸受部21と、スラスト軸受部22とを備える。スリーブ1には、軸受穴1aが形成されている。シャフト2は、軸受穴1aに挿通されるシャフト本体部5と、シャフト本体部5の軸方向下側に設けられるフランジ3とを有する。スラスト板4は、スリーブ1に固定され、シャフト2を軸方向下側から覆う。シャフト本体部5には、軸方向上側の端面から軸方向下側に向けてシャフト本体部5と同軸状にネジ穴5aが形成されている。シャフト2の軸方向下側の端面には、シャフト2と同軸状に環状凹部3cが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動圧流体軸受装置、特にシャフト回転型の動圧流体軸受装置、それを備えるモータ、記録再生装置、および動圧流体軸受装置の構成部品の加工用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(以下、HDD)は、パソコンへの使用はもちろんのこと、携帯音楽プレーヤや携帯電話などにも使用されている。このため、HDDおよびHDDに搭載されるスピンドルモータに対しては、薄型化、小型化に加え、耐衝撃性などが求められる。
一般に、HDDに用いられるスピンドルモータには、軸固定型と軸回転型とがある。特に、小型のHDDに対しては、固定シャフトの両端にHDDのハウジングを固定する両端軸固定型のスピンドルモータが用いられることが多い。両端軸固定型は、軸方向の力を固定シャフトで受けるため軸方向の力に対して強く携帯用途に適しているからである。両端軸固定型では、回転側のスリーブに固定されたハブにディスクを取り付けるために、環状のクランプ部材を周方向数カ所でハブにネジ固定することが多い。この場合、クランプ部材を周方向数カ所においてハブにネジ固定するため、クランプ部材がディスクに与えるクランプ力が周方向に均等となりにくく、ディスクを変形させ易い。
これに対し、軸回転型では、回転側のシャフトの中心にネジ穴を設け、このネジ穴に対してクランプ部材を取り付けることができる。この場合には、クランプ部材を中心の1ヶ所で固定できるため、クランプ部材がディスクに与えるクランプ力が周方向に均等となり、ディスクの変形を抑えることが可能となる。このため、よりディスクの変形を抑えることが求められる小型のHDDに対して、軸回転型の軸受装置が採用されることが多い。
【0003】
軸回転型の軸受装置としては、特許文献1〜3に示す構造が知られている。例えば、特許文献2に示す構造では、フランジをシャフト本体部にネジ止めする構造のフランジ付シャフトを用いた構造が開示されている。また、その他にも、フランジをシャフト本体部に溶接、塑性変形(例えば、コイニング)によって固定する構造が知られている。
しかしながら、小型のスピンドルモータでは、フランジをシャフト本体部に対して別途取り付ける構造を採用する場合、フランジとシャフト本体部との取り付けにおいて、溶接などでは歪みが大きくなり軸受特性が劣化する。このため、フランジとシャフト本体部とを一体的に形成する構造が採用されることが多い。このような構造のシャフトの断面図を図9に示す。図9に示すシャフト100は、軸状のシャフト本体部101と、シャフト本体部101の軸方向一方側に一体的に設けられるフランジ102とを備える。フランジ102は、シャフト本体部101よりも大径である。また、シャフト本体部101には、ディスクをクランプするためのクランプ部材をネジ止めするためのネジ穴104が形成されている。
一方、シャフト本体部101の外周面105は、スリーブの内周面と対向して動圧流体軸受を形成するため、高精度に研磨する必要がある。通常、円筒部材の加工では、センタレス研磨を行うことが多いが、シャフト本体部101は、フランジ102と一体的に形成されているため、一般的にセンタレス研磨を行うことが難しい。このため、円筒研削加工(または円筒研磨加工)が採用される。円筒研削加工では、シャフト100の軸方向両端を支持して回転させ、シャフト本体部101の外周面105を高速で回転させている砥石で削る。このため、フランジ102の下端面106には、センター穴110が設けられる。
【0004】
図10に、円筒研削加工時に、シャフト100が研削盤の主軸側センター114および心押軸側センター115に軸支された状態を示す。センター穴110は、円錐形状の先端部を有する心押軸側センター115と面接触する傾斜部112と、切削油の入る油溜まり部113によって形成される。センター穴110の開き角度であるセンター角としては、60度、75度、90度などが用いられる。
【特許文献1】特開平6−307435号公報
【特許文献2】特開2002−227834号公報
【特許文献3】特開2001−140862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成のシャフト100では、近年のHDDの小型化および耐衝撃性への要求に対して応えることは難しい。すなわち、薄型化、小型化に対しては、シャフト100の軸方向寸法を短くすることが求められる一方で、耐衝撃性に対しては、十分な軸方向長さのネジ穴104を形成する必要がある。これは、耐衝撃性を向上させるためには、十分な長さのネジ穴104に対してクランプ部材をネジ止めし、衝撃時にかかる力でも十分にディスクを保持できるように、ディスクをクランプする必要があるからである。しかしながら、シャフト100の軸方向寸法を短くしつつ、ネジ穴104の軸方向長さを維持または長くすると、ネジ穴104とセンター穴110とが軸方向に貫通してしまい、フランジ102の下端と外気とが連通し、軸受の圧力が低下したり、軸受内のオイル量が減少して軸受不良となったり、軸受外に漏れたオイルがHDD内を汚染する。
そこで、本発明は、小型化および耐衝撃性への要求を満たす動圧流体軸受装置、それを備えるモータ、記録再生装置を提供することを課題とする。
また、別の本発明は、小型化および耐衝撃性への要求を満たす動圧流体軸受装置の加工に用いられる加工用治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明としての動圧流体軸受装置は、スリーブと、シャフトと、スラスト板と、ラジアル軸受部と、スラスト軸受部とを備える。スリーブには、挿通孔が形成されている。シャフトは、挿通孔に挿通されるシャフト本体部と、シャフト本体部の軸方向一方側に設けられるフランジ部とを有する。スラスト板は、スリーブに固定され、シャフトを軸方向一方側から覆う。ラジアル軸受部は、スリーブとシャフトとの間およびシャフトとスラスト板との間に連続的に充填された潤滑流体と、シャフト本体部外周面または挿通孔内周面のいずれか一方に形成され、スリーブに対してシャフトを相対回転自在に支承するラジアル動圧発生溝とを含む。スラスト軸受部は、スリーブとシャフトとの間およびシャフトとスラスト板との間に連続的に充填された潤滑流体と、シャフトの軸方向一方側の端面またはスラスト板の軸方向他方側の端面のいずれか一方に形成され、スリーブに対してシャフトを相対回転自在に支承するスラスト動圧発生溝とを含む。シャフト本体部には、軸方向他方側の端面から軸方向一方側に向けてシャフト本体部と同軸状に有底孔が形成されている。シャフトの軸方向一方側の端面には、シャフトと同軸状に環状凹部が形成されている。
シャフト本体部には、軸方向他方側の端面から軸方向一方側に向けてネジ穴の下穴である有底孔が形成されている。シャフト端面の軸方向一方側には、環状凹部が形成されている。環状凹部には、シャフト本体部の外周面を円筒研削または円筒研磨する際に、センター穴としての役割を果たす。ラジアル軸受部とスラスト軸受部との潤滑流体は連続して充填されている。
【0007】
本発明の動圧流体軸受装置では、シャフトの軸方向一方側の端面に環状凹部が形成されているため、センタ穴のように中央部が切り込まれておらず、シャフトの軸方向一方側の端面の中心部を肉厚にすることができる。このため、有底孔の軸方向長さを長くしても、有底孔の底部の肉厚が確保できる。すなわち、シャフトの軸方向長さを短くすることにより装置の小型化を実現しつつ、有底孔の長さを維持または長くすることが可能となり、クランプネジの有効ネジ長を長くすることができ、耐衝撃性を維持または向上させることが可能となる。また、有底孔の底部の肉厚が確保できるため、スラスト軸受部と有底孔とが連通して、スラスト軸受部の圧力が低下したり、軸受内の潤滑流体量が減少して軸受不良となったり、軸受外に漏れた潤滑流体が動圧流体軸受装置を備える記録再生装置内を汚染したりする、などといったことを防止することが可能となる。
第2の発明としての動圧流体軸受装置では、環状凹部の径方向外方の内周面は、軸方向一方側に向けて拡径する傾斜面である。
本発明の動圧流体軸受装置では、環状凹部の径方向外方の内周面は、傾斜面に形成されている。このため、例えば、シャフト本体部の外周面を円筒研削または円筒研磨する際に、環状凹部の傾斜面の外周側で加工用治具によりシャフト本体部を支持することが可能となり、より安定的に軸支した状態で、シャフト本体部の外周面の加工を行うことが可能となる。
【0008】
第3の発明としての動圧流体軸受装置では、シャフトの軸方向一方側の端面の径方向内方には、軸方向他方側に向けて凹む段部が形成されている。環状凹部は、この段部のさらに径方向内周側に形成されている。
本発明の動圧流体軸受装置では、環状凹部は、段部のさらに径方向内周側に形成されている。このため、環状凹部を加工する際に環状凹部の縁部においてバリなどが発生しても、バリがスラスト板と摩耗し、摩耗粉として潤滑流体中に混入することを防止することが可能となる。
第4の発明としての動圧流体軸受装置では、シャフトの軸方向一方側の端面には、環状凹部の径方向外方において、軸方向一方側に突出する凸部が形成されている。
本発明の動圧流体軸受装置では、シャフトの軸方向一方側の端面には凸部が形成されているため、起動または停止時におけるスラスト軸受部におけるシャフトとスラスト板との摩耗を防止することが可能となる。
第5の発明としてのモータは、第1〜第4のいずれかの発明としての動圧流体軸受装置と、スリーブを固定するベースと、ベースに固定されるコイルが巻回されたステータと、ステータに対向して配置され、ステータとともに磁気回路を構成するロータマグネットと、ロータマグネットを固定するとともに、シャフトに固定されるハブと、を備える。
【0009】
本発明のモータでは、第1〜第4の発明としての動圧流体軸受装置と同様の効果を得ることが可能となる。
第6の発明としての記録再生装置は、第5の発明としてのモータと、ハブに固定された、情報を記録できる円板状記録媒体と、記録媒体の所要の位置に情報を書込または読み出すための情報アクセス手段と、を備える。
本発明のモータでは、第5の発明としてのモータと同様の効果を得ることが可能となる。
第7の発明としての加工用治具は、工作物の円筒研削加工または円筒研磨加工に際して工作物を両端で軸支するための加工用治具であって、一方側支持部と、他方側支持部とを備える。一方側支持部は、工作物の軸方向一方側の端面に形成された環状凹部に対して嵌り合う環状凸部を有し、工作物を軸方向一方側から軸支する。他方側支持部は、工作物を軸方向他方側から軸支する。
本発明の加工用治具では、一方側支持部は、工作物の環状凹部に嵌り合う環状凸部を有し、より安定的に工作物を支持することが可能となる。また、工作物がフランジ付のシャフトであり、センタレス加工が難しい場合でもシャフトの外周部を加工することが可能となる。
【0010】
第8の発明としての加工用治具では、環状凹部は、軸方向一方側に向けて拡径する内周傾斜面を有し、環状凸部は、軸方向一方側に向けて拡径する外周傾斜面を有する。外周傾斜面は、内周傾斜面よりも大きい開き角度を有する。
本発明の加工用治具では、外周傾斜面の外周側において内周傾斜面を支持することが可能となる。これにより、より安定的に工作物を支持することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、小型化および耐衝撃性への要求を満たす動圧流体軸受装置、それを備えるモータ、記録再生装置を提供することが可能となる。また、小型化および耐衝撃性への要求を満たす動圧流体軸受装置の加工に用いられる加工用治具を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態を図1から図8を用いて説明する。
図1に、本発明の一実施形態としてのスピンドルモータ30の縦断面概略図を示す。図1に示すO−Oは、スピンドルモータ30の回転軸線である。本実施形態の説明では、便宜上、図面の上下方向を「軸方向上側」、「軸方向下側」などと表現するが、スピンドルモータ30の実際の取り付け状態を限定するものではない。また、各請求項で用いている「軸方向一方側」および「軸方向他方側」は、それぞれ「軸方向下側」および「軸方向上側」として記載する
[スピンドルモータ30の構成]
本実施形態に係るスピンドルモータ30は、図1に示すように、記録ディスク11を回転駆動するための装置であって、主として、回転部材31と、静止部材32と、流体軸受装置40とを備えている。
回転部材31は、主に、記録ディスク11が装着されるハブ7と、ロータマグネット9とを有している。
ハブ7は、後述するシャフト2に対する圧入接着などによってシャフト2と一体化される椀状の部材である。また、ハブ7は、記録ディスク11を載置するためのディスク載置部7aを外周部に一体成形によって設けている。
【0013】
ロータマグネット9は、ディスク載置部7aの軸方向下側において、ハブ7に固定されており、後述するステータ10とともに磁気回路を構成する。
記録ディスク11は、ディスク載置部7aの上に載置される。さらに、記録ディスク11は、シャフト2の軸方向上側にネジ14によって固定されたクランパ13によって軸方向下側に押え付けられており、クランパ13とディスク載置部7aとの間に狭持されている。
静止部材32は、主に、ベース8と、ベース8に固定されたステータ10とから構成されている。
ベース8は、図示しない記録再生装置のハウジングに対して固定され、またはハウジングの一部を成し、スピンドルモータ30の基台部分を構成する。ベース8は、径方向内方において、軸方向上側に延びる筒状部12を有しており、筒状部12は、内周側に、後述する流体軸受装置40を固定している。
ステータ10は、コイルが巻回され、ロータマグネット9と磁気回路を構成するためのものであり、ロータマグネット9の径方向外側に対向して配置される。ここでは、ステータ10の内周にロータマグネット9が配置されるインナーロータタイプで説明しているが、ステータの外周にロータマグネットが配置されるアウターロータタイプでも同様である。
【0014】
流体軸受装置40は、ベース8のほぼ中央部分に形成された筒状部12に固定されており、静止部材32に対して回転部材31を回転可能に支持する。
[流体軸受装置40の構成]
流体軸受装置40は、主に、スリーブ1と、シャフト2と、スラスト板4と、潤滑流体としてのオイル6とを含むように構成されている。なお、このうちスリーブ1、スラスト板4が静止側の部材を構成し、シャフト2が回転側の部材を構成する。
(スリーブ1)
スリーブ1は、例えば、ステンレス鋼、銅合金および焼結金属などによって形成される軸方向に延びる略円筒状の部材であって、ベース8に対して接着などによって固定されている。また、スリーブ1には、中心部に軸方向に延びる軸受穴1aが形成されている。また、スリーブ1の下側の端部には、略円形の開口部が形成されており、この開口部を塞ぐようにスラスト板4が固定されている。
また、スリーブ1は、軸方向下側の端部に、段付部1cを有しており、後述するフランジ3が、この段付部1cとスラスト板4との間の空間に収容される。
さらに、スリーブ1には、連通孔1dが形成されている。具体的には、連通孔1dは、スリーブ1の径方向中間位置において軸方向に沿って延びる貫通穴であって、スリーブ1の上面と下面とを連通している。なお、連通孔1dは、円周方向において複数設けられていてもよい。
【0015】
また、スリーブ1の軸方向上側には、環状のシールキャップ15が取り付けられている。
(シャフト2)
シャフト2は、ステンレス鋼などにより形成される段付の円柱状部材であり、主に、シャフト本体部5とシャフト本体部5に同軸状に一体的に形成されるフランジ3とから構成される。
〈シャフト本体部5〉
シャフト本体部5は、上端部が小径に形成され、上端部の外周においてハブ7を固定し、ハブ7を静止部材32に対して回転可能に支持している。シャフト本体部5は、スリーブ1の軸受穴1aに挿通され、軸受穴1aの内周面と微小間隙を介して配置される。シャフト本体部5の外周面には、少なくとも一組のラジアル動圧発生溝2bが形成されている。ラジアル動圧発生溝2bは、例えば、軸方向において上下に非対称なヘリングボーン形状を有している。このラジアル動圧発生溝2bと軸受穴1aの内周面およびシャフト本体部5の外周面の間に充填されるオイル6とにより、シャフト2を径方向に支持するラジアル軸受部21が構成される。
【0016】
シャフト本体部5には、軸方向上側の端面の中心から軸方向下側に向けて、有底のネジ穴5aが形成されている。ネジ穴5aは、ドリル加工により有底の下穴が形成され、さらにタップ加工によってネジ部が形成される。このため、ネジ穴5aの底部は、用いたドリルの先端部角度に対応する開き角度を有する円錐状に形成されている。また、ネジ穴5aの軸方向上側の縁部には、面取り部5bが形成されている。面取り部5bは、軸方向上側に向かって拡径する環状の傾斜面であり、その開き角度は、90±2.0〔°〕に加工されている。この面取り部5bは、後述するシャフト2の円筒研削加工(または円筒研磨加工)において、主軸側のセンターが当接する部分である。円筒研削加工の同軸度に精度が要求される場合には、面取り部5bには、仕上げ加工として、リーマ加工、さらには研磨加工が施される。
〈フランジ3〉
フランジ3は、シャフト本体部5の軸方向下側の端部に一体的に形成されるシャフト本体部5よりも大径の部分である。フランジ3の軸方向下側の端面には、少なくとも一組のスラスト動圧発生溝3aが形成されている。スラスト動圧発生溝3aは、例えば、スパイラル形状またはヘリングボーン形状を有している。このスラスト動圧発生溝3aと、フランジ3の軸方向下側の端面およびスラスト板4の軸方向上側の端面の間に充填されるオイル6とにより、シャフト2を軸方向に支持するスラスト軸受部22が構成される。
【0017】
フランジ3の軸方向下側の端面には、スラスト動圧発生溝3aが形成される径方向領域よりも内周側に、軸方向上側に向けて凹む段部3bが形成されている。段部3bは、スラスト動圧発生溝3aが形成される端面よりも0.05〜0.1〔mm〕程度軸方向に凹んでいる。さらに、段部3bの内周側には、軸方向上側に向けて凹む環状凹部3cが形成される。環状凹部3cは、ネジ穴5aと同軸状に形成されている。
図2を用いて、環状凹部3cについて説明を加える。
環状凹部3cは、段部3bに連続し軸方向上側に向けて縮径する面取り部3dと、面取り部3dの内周側から径方向内側に向かって延びる環状の底部3eと、底部3eから軸方向下側に向けて突起する中央部3fとにより形成される凹みである。面取り部3dは、軸方向上側に向かって縮径する環状の傾斜面であり、その開き角度は、90±2.0〔°〕に加工されている。この面取り部3dは、後述するシャフト2の円筒研削加工(または円筒研磨加工)において、心押軸側のセンターが当接する部分である。円筒研削加工の同軸度に精度が要求される場合には、面取り部3dには、仕上げ加工として、リーマ加工、さらには研磨加工が施される。
以上のように構成される回転側の部材であるシャフト2(図1参照)は、シャフト本体部5をスリーブ1の軸受穴1aに挿通させるとともに、フランジ3をスリーブ1の段付部1cとスラスト板4とで囲まれる空間に収納させて、静止側の部材と組み合わされる。
【0018】
なお、シャフト2においてシャフト本体部5とフランジ3とは一体成形されるとしたが、別体として取り付けられていてもよい。また、ラジアル動圧発生溝2bは、シャフト本体部5の外周面と対向する軸受穴1aの内周面に形成されていてもよい。また、ラジアル動圧発生溝3aは、フランジ3の軸方向下側の端面と対向するスラスト板4の軸方向上側の端面に形成されていてもよい。
また、環状凹部3cの構造はこれに限らず、例えば、環状の底部3eは、面取り部3dと中央部3fとを連続的に接続する環状の曲面により構成されていてもよい。
〈円筒研削加工〉
図3を用いて、シャフト2の円筒研削加工について説明する。シャフト2の円筒研削加工は、シャフト2の削り出しおよびラジアル動圧発生溝2bが形成されるシャフト本体部5の外周面を研磨するための加工である。
円筒研削加工は、研削盤(図示せず)により、工作物としてのシャフト2の外周面を研削する。研削盤は、シャフト2に回転運動を与える主軸側センター50と、主軸側センター50に対向してシャフト2を軸支する心押軸側センター51とによりシャフト2の軸方向両端を軸支し、シャフト本体部5の外周面を高速で回転させている砥石で削る。
【0019】
主軸側センター50の先端部は、略円錐状(略円錐台状)に形成されており、その開き角度は、95±0.5〔°〕である。主軸側センター50は、シャフト本体部5の面取り部5bと当接するが、面取り部5bの開き角度は、上述のように90±2.0〔°〕となっている。このため、主軸側センター50は、面取り部5bに対して、比較的径方向外側で当接することができる。なお、主軸側センター50の略円錐状の先端部の開き角度はこれに限るものではなく、バラツキも含めて面取り部5bの開き角度よりも大きければ効果はある。
心押軸側センター51の先端部には、シャフト2の環状凹部3cに対応して環状に突起する環状凸部51aが形成されている。環状凸部51aの外周面51bは、仮想円錐の側面の一部を成し、先端に向けて縮径する傾斜面により構成されている。さらに環状凸部51aの中心には、環状凹部3cの中央において突起する中央部3fを収納する中央凹部51cが形成されている。また、外周面51bの開き角度は、95±0.5〔°〕である。心押軸側センター51は、環状凹部3cの面取り部3dと当接するが、面取り部3dの開き角度は、上述のように90±2.0〔°〕となっている。このため、心押軸側センター51は、面取り部3dに対して、比較的径方向外側で当接することができる。なお、心押軸側センター51の外周面51bの開き角度はこれに限るものではなく、バラツキも含めて面取り部3dの開き角度よりも大きければ効果はある。
【0020】
さらに、中央凹部51cは、環状凹部3cの中央部3fを収納するのに十分な空間を確保しており、円筒研削加工時には、研削油の油溜まりとしても作用する。
(スラスト板4)
スラスト板4(図1参照)は、上述したように、スリーブ1の軸方向下側の内周側に取り付けられている。スラスト板4は、フランジ3の軸方向下側の端面との間においてスラスト軸受部22を形成する。
(オイル6)
オイル6は、ラジアル軸受部21およびスラスト軸受部22を含むスリーブ1、シャフト2、およびスラスト板4の間に形成される隙間や、スリーブ1に形成された連通孔1d、スリーブ1の軸方向上端面とシールキャップ15との間などに充填されている。
また、オイル6は、ラジアル軸受部21に形成されたラジアル動圧発生溝2bが軸方向において非対称性を有していることから、例えば、軸方向下方にポンプ力が発生し、その結果、軸方向下方に向かう循環力によって軸受内を循環する。
なお、オイル6としては、例えば、低粘度なエステルオイルなどを用いることができる。また、オイル6として、他に高流動性グリスやイオン性流体を用いてもよい。
[スピンドルモータ30の動作]
スピンドルモータ30の動作について説明する。
【0021】
スピンドルモータ30では、ステータ10に通電されると回転磁界が発生し、ロータマグネット9に回転力が付与される。これにより、回転部材31を、シャフト2を回転中心としてシャフト2とともに回転させることができる。
シャフト2が回転すると、各動圧発生溝2b,3aにおいて径方向および軸方向の支持圧が発生する。これにより、シャフト2がスリーブ1に対して非接触状態で支持される。すなわち、静止部材32に対して回転部材31が非接触状態で回転可能となり、これにより記録ディスク11の高精度な高速回転が実現される。
[効果]
(1)
流体軸受装置40では、シャフト2の軸方向下側の端面に環状凹部3cが形成されているため、シャフト2の軸方向下側の端面の中心部を肉厚にすることができる。このため、例えば、図4に破線で示すようにネジ穴5aの軸方向長さを長くしても、ネジ穴5aの底部の肉厚が確保できる。すなわち、シャフト2の軸方向長さを短くすることにより装置の小型化を実現しつつ、ネジ穴5aの長さを維持または長くすることが可能となり、ネジ穴5aに対するネジ14の締め付けを強固にすることが可能となる。これにより、記録ディスク11のクランプ力を高め、耐衝撃性を維持、あるいは向上させることが可能となる。
【0022】
また、ネジ穴5aの底部の肉厚が確保できるため、スラスト軸受部22とネジ穴5aとが連通して、スラスト軸受の圧力が低下したり、軸受内のオイル量が減少して軸受不良となったり、軸受外に漏れたオイル6が流体軸受装置40を備える記録再生装置を汚染する、などといったことを防止することが可能となる。
また、従来のセンター穴110(図9参照)に比して体積の大きい環状凹部3cをシャフト2の軸方向下側の端面の中央部に設けたので、オイル6の中に巻き込まれた摩耗粉やオイル6の残渣をより多く捕獲することができる。また、環状凹部3cは、従来のセンター穴110よりも体積を大きくすることが可能であるため、オイル6のオイル溜まりとして作用することで、軸受寿命を長寿命化することが可能となる。
(2)
流体軸受装置40では、環状凹部3cには、環状の傾斜面である面取り部3dが形成されている(図3参照)。さらに、面取り部3dの開き角度は、心押軸側センター51の開き角度よりも小さい。このため、心押軸側センター51は、面取り部3dの外周側で当接することが可能となり、円筒研削加工の際により安定的にシャフト2を軸支することが可能となる。
【0023】
また、ネジ穴5aにも、環状の傾斜面である面取り部5bが形成されている。さらに、面取り部5bの開き角度は、主軸側センター50の開き角度よりも小さい。このため、主軸側センター50は、面取り部5bの外周側で当接することが可能となり、円筒研削加工の際により安定的にシャフト2を軸支することが可能となる。
(3)
流体軸受装置40では、環状凹部3cは、スラスト動圧発生溝3aが形成される面とは段違いに形成された段部3bの内周側に形成される(図2参照)。このため、環状凹部3cの加工時にバリなどが発生しても、軸受面には影響を与えず、例えば、バリがスラスト板4と摩耗し、摩耗粉として潤滑流体中に混入することなどを防止することが可能となる。
(4)
スピンドルモータ30は、流体軸受装置40を備えるため、上記と同様の効果を得ることが可能となる。
(5)
心押軸側センター51は、先端部に環状凸部51aを有するため、センタレス加工が難しいシャフト2のような工作物に対しても適切に円筒研削加工(または円筒研磨加工)を施すことが可能となる。
【0024】
(6)
主軸側センター50および心押軸側センター51のそれぞれの先端部は、円筒研削加工時に当接する面取り部5bおよび面取り部3dよりも大きい開き角度を有するため、それぞれの面取り部5bおよび面取り部3dをより外周側で支持することが可能となる。このため、主軸側センター50および心押軸側センター51を備える研削盤では、より安定的にシャフト2の加工を行うことが可能となる。
(7)
スピンドルモータ30では、ネジ穴5aの有効ネジ長を長くすることによりクランプ力を向上させ耐衝撃性に対する要求を満たす必要がある。特に、従来構造に比して、有効ネジ長を長くしつつ、シャフト2の剛性を維持することが望まれる。これに関するシミュレーションの結果を図5および図6に示す。
図5(a)〜(d)および図6は、従来構造のセンター穴52を有するシャフト53〔Current〕と、シャフト53と同じ有効ネジ長を有し、環状凹部3cを有する本発明のシャフト2〔New〕と、シャフト53よりも長い有効ネジ長を有し、環状凹部3c’を有する本発明のシャフト2’〔New−deep〕と、軸方向上下に貫通するネジ穴を有するシャフト55〔Penetrate〕とのそれぞれの構造に対するシミュレーションの結果を示している。なお、従来のシャフト100(図9参照)では、フランジ102の軸方向下側の端面においてセンター穴110の外周側には段部が形成されていない。しかし、比較をより正確に行うため、図9に示す従来のシャフト100に対して、段部54を形成したシャフト53を用いて、シミュレーションを行っている。
【0025】
図5は、それぞれのフランジの軸方向厚みが0.5〔mm〕の場合に、フランジの軸方向上側の端面(図中ブロック矢印で表す位置)に約250〔N〕の荷重(約2000〔G〕の衝撃荷重)が作用した場合のシャフト内部の応力分布および変位分布を示す。図6は、同様の荷重が作用した場合のフランジの軸方向下側の端面の変位量を示す。なお、ここでフランジに作用させた荷重は、小型のHDDに対する動作信頼性テストに際して加えられる荷重であり、小型のHDDでは、この荷重が加わっても信頼性を持って動作することが求められる。
図5(a)〜(d)の応力分布図は、それぞれの構造において、ネジ穴下部およびフランジ外周側において応力が小さく、フランジの付け根において応力が集中することを示している。しかし、特に、図5(a)〜(c)に示す〔Current〕〔New〕〔New−deep〕では、応力分布、変位分布ともにそれぞれ近しい傾向を示す。また、ネジ穴の下部は、比較的応力が小さいため、本発明の環状凹部3cを形成しても、応力分布に対する影響は少ないことが分かる。なお、シャフト先端部の応力が大きいが、これはシミュレーションにおいてこの部分を拘束しているからである。
また、図5(a)〜(d)の変位分布図は、それぞれの構造において、フランジ外周部に向かうにつれて変位が大きくなることを示している。
【0026】
また、図6から分かるように、〔Current〕は、軸中心から2〔mm〕の点において、約4.0〔μm〕変形する。これに対し、〔New〕〔New−deep〕では、同じ点において、ほぼ同様の変形量を示し、〔Current〕に対してほぼ同等の剛性を有することが分かる。すなわち、本発明の環状凹部3c,3c’を備えても、従来構造に比して、ほぼ同様の剛性を維持することができるとともに、〔New−deep〕に示すように、有効ネジ長を長くし、クランプ力を向上させることができる。
一方、〔Penetrate〕では、同じ点において、約4.4〔μm〕変形する。これはフランジに衝撃荷重が加わったときにネジ穴が貫通していると、変形に対して抗力を発生する部分が少なく、容易に変形することを示している。すなわち、従来のセンター穴構造で、有効ネジ長を長くせざるを得ないためにネジ穴の貫通を許容してしまうと、シャフトの剛性が低下することが分かる。この場合、貫通穴を別部材で塞いで補強や気密性を確保することなどが考えられるが、気密性を確実に維持することが難しくなるとともに、シャフトの製造工程が増え、コストアップにつながる。
以上から分かるように、本発明の環状凹部3c,3c’を備えることで、有効ネジ長を長くしつつ、シャフトの剛性を維持し、気密性も確保することが可能となる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0027】
(1)
フランジ3の軸方向下側の端面には、スラスト動圧発生溝3aが形成される面とスラスト板4との起動または停止時の接触摩耗を防止するために、軸方向下側に突出する凸部が形成されていてもよい。凸部は、段部3bの外周側で、かつ、スラスト動圧発生溝3aの内周側に設けられる周方向に並ぶ円弧状の突起で有ってもよい。
このような凸部が形成される場合には、スラスト動圧発生溝3aが形成される面とスラスト板4との接触摩耗が防止でき、軸受部の長寿命化を実現することが可能となる。
(2)
上記実施形態では、シャフト2は、一体的に形成されるとしたが、シャフト本体部5とフランジ3とが別体として形成され、溶接などにより固定される場合にも、本発明の環状凹部3cを設けることが望ましい。図7に、シャフト本体部60とフランジ61とが別体として形成され、溶接により固定されたシャフト62の構造を示す。このような場合には、シャフト本体部60の外周面は、溶接前に予め研磨加工されていることが多い。しかし、溶接のためにフランジ61などが変形し、フランジ61の軸方向上側の端面などの研磨加工が必要とされる場合がある。この場合には、シャフト本体部60の軸方向下側の端面に上記実施形態で説明したのと同様の環状凹部60aを形成しておき、この環状凹部60aをセンター穴としてシャフト62を円筒研削加工することが可能である。
【0028】
(3)
上記実施形態では、スラスト軸受部22は、フランジ3とスラスト板4との間において構成されると説明した。しかし、スラスト軸受部は、フランジ3の軸方向上側の端面と、それに対向するスリーブ1の軸方向下側の端面との間において構成されてもよいし、それら両方を備えていてもよい。
(4)
上記実施形態では、本発明を流体軸受装置40およびスピンドルモータ30に対して適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図8に示すように、上記構成を有する流体軸受装置40、スピンドルモータ30をハウジング70の内部に搭載しており、記録ヘッド71によって記録ディスク11に記録された情報を再生したり、記録ディスク11に対して情報を記録したりする記録再生装置72に対して本発明を適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明により、小型化および耐衝撃性への要求を満たす動圧流体軸受が提供できるため、携帯用・車載用に適したスピンドルモータおよびそれを用いた記録再生装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態としてのスピンドルモータの断面図
【図2】シャフトの断面図
【図3】シャフトの円筒研削加工時のチャック状態を示す断面図
【図4】環状凹部の効果を説明する断面図
【図5】シャフトの剛性に関するシミュレーション結果について説明する説明図
【図6】シャフトの剛性に関するシミュレーション結果を示す関係図
【図7】他の実施形態としてのシャフトの断面図
【図8】記録再生装置の構造を示す断面概略図
【図9】従来技術としてのシャフトの断面図
【図10】従来技術としてのシャフトの円筒研削加工時のチャック状態を示す断面図
【符号の説明】
【0031】
1 スリーブ
1a 軸受穴
2 シャフト
3 フランジ
3c 環状凹部
4 スラスト板
5 シャフト本体部
5a ネジ穴
21 ラジアル軸受部
22 スラスト軸受部
30 スピンドルモータ
50 主軸側センター
51 心押軸側センター
72 記録再生装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿通孔が形成されたスリーブと、
前記挿通孔に挿通されるシャフト本体部と、前記シャフト本体部の軸方向一方側に設けられるフランジ部とを有するシャフトと、
前記スリーブに固定され、前記シャフトを前記軸方向一方側から覆うスラスト板と、
前記スリーブと前記シャフトとの間および前記シャフトと前記スラスト板との間に連続的に充填された潤滑流体と、前記シャフト本体部外周面または前記挿通孔内周面のいずれか一方に形成され、前記スリーブに対して前記シャフトを相対回転自在に支承するラジアル動圧発生溝とを含むラジアル軸受部と、
前記スリーブと前記シャフトとの間および前記シャフトと前記スラスト板との間に連続的に充填された前記潤滑流体と、前記シャフトの前記軸方向一方側の端面または前記スラスト板の軸方向他方側の端面のいずれか一方に形成され、前記スリーブに対して前記シャフトを相対回転自在に支承するスラスト動圧発生溝とを含むスラスト軸受部と、
を備え、
前記シャフト本体部には、前記軸方向他方側の端面から前記軸方向一方側に向けてシャフト本体部と同軸状に有底孔が形成されており、
前記シャフトの前記軸方向一方側の端面には、前記シャフトと同軸状に環状凹部が形成されている、
動圧流体軸受装置。
【請求項2】
前記環状凹部の径方向外方の内周面は、前記軸方向一方側に向けて拡径する傾斜面である、
請求項1に記載の動圧流体軸受装置。
【請求項3】
前記シャフトの前記軸方向一方側の端面の径方向内方には、前記軸方向他方側に向けて凹む段部が形成されており、
前記環状凹部は、前記段部の径方向内周側に形成されている、
請求項1または2に記載の動圧流体軸受装置。
【請求項4】
前記シャフトの前記軸方向一方側の端面には、前記環状凹部の径方向外方において、前記軸方向一方側に突出する凸部が形成されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の動圧流体軸受装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の動圧流体軸受装置と、
前記スリーブを固定するベースと、
前記ベースに固定されるステータと、
前記ステータに対向して配置され、前記ステータとともに磁気回路を構成するロータマグネットと、
前記ロータマグネットを固定するとともに、前記シャフトに固定されるハブと、
を備えるモータ。
【請求項6】
請求項5に記載のモータと、
前記ハブに固定された、情報を記録できる円板状記録媒体と、
前記記録媒体の所要の位置に情報を書込または読み出すための情報アクセス手段と、
を備えた記録再生装置。
【請求項7】
工作物の円筒研削加工または円筒研磨加工に際して前記工作物を両端で軸支するための加工用治具であって、
前記工作物の軸方向一方側の端面に形成された環状凹部に対して嵌り合う環状凸部を有し、前記工作物を前記軸方向一方側から軸支する一方側支持部と、
前記工作物を軸方向他方側から軸支する他方側支持部と、
を備える、
加工用治具。
【請求項8】
前記環状凹部は、前記軸方向一方側に向けて拡径する内周傾斜面を有し、
前記環状凸部は、前記軸方向一方側に向けて拡径する外周傾斜面を有し、
前記外周傾斜面は、前記内周傾斜面よりも大きい開き角度を有する、
請求項7に記載の加工用治具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−270855(P2007−270855A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93554(P2006−93554)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】