説明

包装充填装置及び包装充填方法

【課題】搬送用若しくは成形用ローラの外周面に樹脂片やテープ片が貼り付くことなく、シール状態を正常に維持し、加熱効率を高めて環境負荷を低減する。
【解決手段】包装充填装置の予熱手段8は、縁部に対向するノズル用板21、ノズル用板21に多数個形成されたノズル22、包装積層材料1を案内する3個のガイドローラ23を備え、ノズル用板21の縁部対向面の全面に遠赤外線放射材層24が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料などを充填する包装充填装置及び包装充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、ミネラルウォーター、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動食品を収容する包装容器を製造する場合、ウェブ状(帯状)の包装積層材料が使用され、該包装積層材料がヒートシール、超音波シール等によってシールされることにより、包装容器が形成される。例えば、包装充填装置において、帯状包装積層材料の縁部にシーリングテープを前もって接合し、包装積層材料をチューブ状に成形し、チューブの内側から、包装積層材料の両縁部同士を、シーリングテープと共に押し当てて縦シール装置によって長手方向(縦方向)にシールした後、チューブ状の包装積層材料の中に液体食品を充填しながら、横シール装置によって横方向にシールして切断し、枕状の原型容器を形成し、該原型容器を更に所定の形状に成形して包装容器を完成させる。
【0003】
前記包装充填装置において、この装置内を帯状包装積層材料が搬送され、帯状包装積層材料の縁部である縦シール部面に第2の帯状包装材料が合せられ、これらの材料が接合される。すなわち、チューブ状に成形された包装積層材料の両縁部同士を、縦シール装置によってシーリングテープと共に押し当てて縦シールする。
帯状包装積層材料の縁部面に第2帯状包装材料を合せ接合する際、例えば、帯状包装積層材料と第2帯状包装材料とを予熱し、これらを挟んで、一方側に、プレッシャローラを回転自在に配設して圧し、他方に、プレッシャローラによる圧力を受け、それに対向し、押さえ支持するようにカウンタローラを回転自在に配設する。
【0004】
したがって、予熱された包装積層材料が搬送されるに伴って、前記プレッシャローラ及びカウンタローラが包装積層材料の両縁部同士を挟んだ状態で押圧されて回転させ、合せて接合する面がヒートシールされ接合される。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平04−051138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の包装充填装置においては、予熱のために大量の高温ホットエアーを消費し、その一部が包装積層材料の縁部の加熱のために使用されているにすぎない。残りのエネルギーは、加熱不要の周りの包装積層材料や装置部材を加熱することに使用されている。
包装材料の材料としてポリエチレン樹脂など熱可塑性材料が用いられており、これらが加熱されると、搬送用若しくは成形用ローラの外周面に樹脂片やテープ片が貼り付く不都合が想定される。上記の不都合によって、ローラの押圧若しくは対向の条件が変化してシール状態に異常をもたらす。また、加熱効率が不良のために環境に負荷を与える不都合が考えられる。
【0006】
この発明は、予熱のために高温ホットエアーを効率的に使用し、その多くを包装積層材料の縁部の加熱のために使用される。
包装材料のポリエチレン樹脂など熱可塑性材料が、搬送用若しくは成形用ローラの外周面に樹脂片やテープ片として貼り付くことなく、従って、シール状態を正常に維持し、加熱効率を高めて環境負荷を低減することができる包装充填装置及び包装充填方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装充填装置は、連続的に搬送される帯状包装積層材料の縁部の縦シール部面に、帯状包装積層材料が筒状に成形され帯状包装積層材料の他方の縁部を合せて接合し、内容物を充填して横シールし、帯状包装積層材料を切断分離して容器に包装充填する装置であって、
少なくとも前記筒状成形及び前記の合せ接合における前記包装積層材料を無菌的に収容する無菌室と、
前記帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、縦シールのために予熱する予熱手段とを有し、
前記予熱手段が、縁部に対向するノズル用板及び、ノズル用板に多数個形成されホットエアーを噴出するノズルを備え、
ノズル用板の縁部の対向面に遠赤外線放射材層が形成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明の好ましい態様において、ノズルから噴出する前にホットエアーが前記ノズル用板を加熱する。
【0009】
本発明の包装充填方法は、連続的に搬送される帯状包装積層材料の縁部の縦シール部面に、帯状包装積層材料が筒状に成形され帯状包装積層材料の他方の縁部を合せて接合し、内容物を充填して横シールし、帯状包装積層材料を切断分離して容器に包装充填する方法であって、
少なくとも前記筒状成形のステップ及び前記の合せ接合のステップにおいて、包装積層材料を無菌的に無菌室に収容し、
縁部に対向するノズル用板及び、ノズル用板に多数個形成されたノズルを備える予熱手段のノズル用板を、ノズルから噴出する前にホットエアーで加熱し、
予熱手段のノズルからホットエアーを縁部に噴出させ、
ノズル用板の縁部の対向面に形成された遠赤外線放射材層から遠赤外線を縁部に向けて放射し、
前記帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、予熱手段によって縦シールのために予熱する、
ことを特徴とする包装充填方法。
【発明の効果】
【0010】
この発明による包装充填装置及び方法は、連続的に搬送される帯状包装積層材料の縁部の縦シール部面に、帯状包装積層材料が筒状に成形され帯状包装積層材料の他方の縁部を合せて接合し、内容物を充填して横シールし、帯状包装積層材料を切断分離して容器に包装充填する。
この装置・方法において、帯状包装積層材料が連続的に装置に供給され、連続的に、内容物が充填され成形された容器が製造される。
【0011】
本発明の包装充填装置の特徴において、予熱手段のノズルからホットエアーを帯状包装積層材料の縁部に噴出させ、少なくとも筒状成形のステップ及び合せ接合のステップにおいて、包装積層材料を無菌的に無菌室に収容する。
ホットエアーは帯状包装積層材料の縁部を加熱する。筒状成形のステップ及び合せ接合のステップにおいて、包装積層材料を無菌的に無菌室で被い、収容するので、ホットエアーの熱は一部が無菌室内に残留し再び包装積層材料を加熱する。
【0012】
本発明の包装充填装置の特徴において、縁部に対向するノズル用板及び、ノズル用板に多数個形成されたノズルを備える予熱手段のノズル用板を、ノズルから噴出する前にホットエアーで加熱する。
ホットエアーは、高温で供給されノズルから噴出する前にノズル用板を加熱する。この加熱によってノズル用板は高温域に到達し、ホットエアーが供給されている間は高温域を維持する。
【0013】
本発明の包装充填装置の特徴において、ノズル用板の縁部の対向面に形成された遠赤外線放射材層から遠赤外線を縁部に向けて放射する。
遠赤外線は、およそ4〜1,000マイクロメートルの電磁波である。電波に近い性質も持ち、遠赤外線は熱を持った物体(絶対温度が0Kを超える物体)からは必ず放射されている。すなわち熱線としての性質を持ち、高い温度の物体ほど赤外線を強く放射する。従って、高温域を維持するノズル用板の遠赤外線放射材層から強く遠赤外線を放射する。
【0014】
遠赤外線放射材としては、セラミックや金属が一般的である。例えば、アルミナ系やジルコニウム系のファインセラミックがある。
遠赤外線放射材の種類や加熱温度によって波長や放射率は変わり、例えば、タングステンでは、1.0-2.5μm、ニクロムでは、2.0-5.0μm、炭化けい素では、1.0-50μm、セラミックスでは、1.0-50μm、ステンレスでは、4.0-10μm、カーボンでは、2.0-25μm、セシウムでは、0.8-2.5μmである。
【0015】
本発明の包装充填装置の特徴において、帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、予熱手段によって縦シールのために予熱する。
ノズルから噴出するホットエアーが、帯状包装積層材料の縁部に接触して伝熱し、加熱する。
これに加えて、遠赤外線放射材層から高強度で遠赤外線が帯状包装積層材料の縁部に向けて放射される。遠赤外線は熱ではなく、電磁波であり、包装積層材料に吸収され、吸収されると熱に変わる。熱の伝わる方法には熱伝導、対流、放射の3種類があるが、遠赤外線を伝える方法は放射である。
遠赤外線は被加熱対象の分子に運動エネルギーを与え、分子に振動エネルギーを与えて運動を活発化させる。遠赤外線は熱自体ではなく、被加熱対象の分子に自己発熱を起こさせる電磁波である。
る。
【0016】
ノズルから噴出するホットエアーの伝熱加熱と遠赤外線放射による輻射加熱により、包装材料のポリエチレン樹脂など熱可塑性材料が効率的に有効に加熱されるので、搬送用若しくは成形用ローラの外周面に樹脂片やテープ片として貼り付くことなく、従って、シール状態を正常に維持し、加熱効率を高めて環境負荷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明による一実施例の包装充填装置の予熱手段の拡大外観図である。図2は、一実施例の包装充填装置を示す概略斜視図である。図3は、一実施例の包装充填装置の予熱手段の動作を説明する縦断面図及びその斜視図である。
【0018】
図2に示されるように、ウェブ状の包装積層材料1は、リールの状態で包装充填装置に収容される。包装積層材料1は、紙基材、及び該紙基材の両面にポリエチレン樹脂が積層された可撓性の積層体から成り、必要に応じて紙基材とフィルムとの間にアルミニウム箔、ガスバリヤ性樹脂等から成るバリヤ層が形成され、包装容器14の表面に相当する部分にあらかじめ外装用の印刷が施される。
【0019】
繰り出された包装積層材料1は、搬送手段としての送り装置によって連続的に搬送され、ベンディングローラ、ダンパローラ等を経て、シーリングテープ貼着装置3に送られ、シーリングテープ貼着装置によって包装積層材料1の一方の縁部に沿ってシーリングテープ2が貼着される。
帯状包装積層材料1の縁部にシーリングテープ2を前もって接合する際、帯状包装積層材料とシーリングテープ2とを挟んで、一方側に、プレッシャローラを回転自在に配設して圧し、他方に、プレッシャローラによる圧力を受け、それに対向し、押さえ支持するようにカウンタローラを回転自在に配設する。
包装積層材料が搬送されるに伴って、プレッシャローラ及びカウンタローラが包装積層材料及びシーリングテープを挟んだ状態で押圧されて回転させ、縦シール部の合せ面にシールされ接合される。
【0020】
続いて、包装積層材料1は、必要に応じて、プルタブ貼着装置によってプルタブが貼着されてる。包装積層材料1は、殺菌槽4に送られ、殺菌槽4において過酸化水素等の殺菌液によって殺菌される。包装積層材料1は、エアナイフ5に送られ、エアナイフ5によって乾燥させられた後、無菌室20の室内に送られる。包装積層材料1は、上部成形リング6、その他の成形リングによって徐々に変形させられてチューブ状の形状にされる。包装積層材料1は、縦シール装置の予熱手段8からのホットエアーによって予熱されて、縦方向にシールされ、充填パイプ7を介して供給された流動性食品が包装積層材料1内に充填される。
【0021】
ホットエアーは帯状包装積層材料の縁部を加熱する。筒状成形のステップ及び合せ接合のステップにおいて、包装積層材料を無菌的に無菌室で被い、収容するので、ホットエアーの熱は一部が無菌室内に残留し再び包装積層材料を加熱する。
【0022】
チューブ状に成形された包装積層材料の両縁部同士を、縦シール装置によってシーリングテープと共に押し当てて、一方側に、プレッシャローラを回転自在に配設して圧し、他方に、プレッシャローラによる圧力を受け、それに対向し、押さえ支持するようにカウンタローラを回転自在に配設する。包装積層材料が搬送されるのに伴って、プレッシャローラ及びカウンタローラが包装積層材料の縁部同士を挟んだ状態で押圧されて回転させ、縦シール部の合せ面がシールされ接合される。
【0023】
チューブ状包装積層材料1は、ローラによって案内され、横シール装置10に送られ、挟まれて横方向にシールされ、横シールされた包装積層材料12は、ナイフなどで切断されて枕状の原型容器13が形成される。そして、原型容器13は、最終成形搬送装置によって搬送されて最終の形状に成形され、流動性食品を収容する包装容器14が完成する。
【0024】
この発明による一実施例の包装充填装置の予熱手段の拡大外観図を図1に示す。
実施例の予熱手段8は、縁部に対向するノズル用板21、ノズル用板21に多数個形成されたノズル22、包装積層材料1を案内する3個のガイドローラ23を備える。
【0025】
予熱手段8において、ノズル用板21を、ノズル22から噴出する前にホットエアーで加熱する。
ホットエアーは、予熱手段8の内部に高温で供給されノズルから噴出する前にその内部からノズル用板21を加熱する。こノズル用板21の内側に熱交換用部材を設ける。この加熱によってノズル用板は高温域に到達し、ホットエアーが供給されている間は高温域を維持する。
【0026】
予熱手段8には、ノズル用板21の縁部対向面の全面に遠赤外線放射材層24が形成され、これから遠赤外線を縁部に向けて放射する。
遠赤外線放射材としては、セラミック、例えば、アルミナ系やジルコニウム系のファインセラミックを用いる。
【0027】
一実施例の包装充填装置では、チューブ状に成形された帯状包装積層材料1の一方の縁部30を、予熱手段8によって縦シールのために予熱する。
一実施例の包装充填装置の予熱手段8の動作を説明する縦断面図(a)及びその斜視図(b)を図3に示す。
包装積層材料1は成形リングによって徐々に変形させられてチューブ状になる。チューブ状に成形された包装積層材料の両縁部30、31が縦シールされる。この態様では、包装積層材料の一方の縁部30がガイドローラ23によって案内されながら、予熱手段8において、ノズル用板21を、ノズル22から噴出する前にホットエアーで加熱し、次いでノズル22からホットエアーが噴出し、縁部30を加熱する。
更に、ノズル用板21の縁部対向面の全面に遠赤外線放射材層24が形成され、これから遠赤外線を縁部30に向けて放射して加熱する。
【0028】
上述の実施例に実証されるように、ノズルから噴出するホットエアーの伝熱加熱と遠赤外線放射による輻射加熱により、包装材料のポリエチレン樹脂など熱可塑性材料が効率的に有効に加熱される。斯くして、搬送用若しくは成形用ローラの外周面に樹脂片やテープ片として貼り付くことなく、従って、シール状態を正常に維持し、加熱効率を高めて環境負荷を低減する。
【0029】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明の包装充填装置及び包装充填方法によって、牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの包装容器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明による一実施例の包装充填装置の予熱手段の拡大外観図である。
【図2】一実施例の包装充填装置を示す概略斜視図である。
【図3】一実施例の包装充填装置の予熱手段の動作を説明する縦断面図及びその斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
8 予熱手段
21 ノズル用板
22 ノズル
23 ガイドローラ
24 遠赤外線放射材層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に搬送される帯状包装積層材料の縁部の縦シール部面に、該帯状包装積層材料が筒状に成形され該帯状包装積層材料の他方の縁部を合せて接合し、内容物を充填して横シールし、該帯状包装積層材料を切断分離して容器に包装充填する装置であって、
少なくとも前記筒状成形及び前記の合せ接合における前記包装積層材料を無菌的に収容する無菌室と、
前記帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、縦シールのために予熱する予熱手段とを有し、
前記予熱手段が、該縁部に対向するノズル用板及び、該ノズル用板に多数個形成されホットエアーを噴出するノズルを備え、
該ノズル用板の該縁部の対向面に遠赤外線放射材層が形成されていることを特徴とする包装充填装置。
【請求項2】
該ノズルから噴出する前にホットエアーが前記ノズル用板を加熱する、請求項1記載の包装充填装置。
【請求項3】
連続的に搬送される帯状包装積層材料の縁部の縦シール部面に、該帯状包装積層材料が筒状に成形され該帯状包装積層材料の他方の縁部を合せて接合し、内容物を充填して横シールし、該帯状包装積層材料を切断分離して容器に包装充填する方法であって、
少なくとも前記筒状成形のステップ及び前記の合せ接合のステップにおいて、前記包装積層材料を無菌的に無菌室に収容し、
該縁部に対向するノズル用板及び、該ノズル用板に多数個形成されたノズルを備える予熱手段の該ノズル用板を、該ノズルから噴出する前にホットエアーで加熱し、
該予熱手段の該ノズルからホットエアーを該縁部に噴出させ、
該ノズル用板の該縁部の対向面に形成された遠赤外線放射材層から遠赤外線を該縁部に向けて放射し、
前記帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、予熱手段によって縦シールのために予熱する、
ことを特徴とする包装充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−127031(P2008−127031A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312311(P2006−312311)
【出願日】平成18年11月18日(2006.11.18)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】