説明

包装工業のための安価で、既存のものに代わる酸素バリア材料

この発明は、特に油の包装である食材の包装に役立つ極めて低い酸素及び水蒸気透過率を持つ包装材料の開発のためのプロセスに関し、前記プロセスは、機能的な添加剤として焼成クレーを含む塗料組成を開発し前記塗料組成を50-100ミクロンの厚みで厚紙に塗布することを含み、そこから適切な包装容器が作成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、安価で、包装工業の既存のものに代わる酸素バリア材料に関する。本発明は、特に食用油の包装のための一般の包装工業に役立つ。
【背景技術】
【0002】
プラスチック及び他の材料は、包装におけるガラス及び金属容器に置き換わるものとして使用が増大してきた。ガラス容器に対するこれらの容器の長所は、軽量で、破損が少なくかつコストが低い可能性を含む。一般的な包装材料のガスバリア特性の欠点は、それらの材料が酸素に敏感な品目及び/又は炭酸飲料を包装するために使用される時に、包装工業関係者に主要な問題を提示する。特に、酸素や二酸化炭素のようなガスは、包装工業で一般に使用されるほとんどの包装材料(ガラス及び金属でない)を容易に透過する。それらの包装材料の酸素透過係数(OPC)は、特定の一組の環境下でフィルム又は被覆を透過可能な酸素量を定量化する。
【0003】
ポリマー塗膜の厚い又は複数の層を塗布することにより、包装材料の酸素及び蒸気に対するバリア性を向上させるためのいくつかの方法が知られている。
【0004】
総残留溶媒が低レベルで、高いバリアで熱融着可能な(heat-sealable)包装材料の製造方法が記載されている米国特許番号3959526(1991)について述べる(特許文献1)。皮膜を積層させるため、高いバリア性の塩化ビニリデン共重合体の内側塗膜と、熱融着可能な塩化ビニリデン共重合体の上側塗膜とが溶液として塗布される。このようなバリア性ポリマー塗膜はコストがかかる。他の米国特許番号4781978は、接着性を促進するための塗膜を有する物品を開示する(特許文献2)。塗膜は、カルボニルアミド(carbonylamide)官能基と疎水性ポリマーの混合物から形成される。米国特許番号3950579は、小さな繊維状物品の表面にポリマー材料の比較的厚い堆積物を形成する方法を開示し、それはポリマー材料の溶液の表面に薄い塗膜を形成させる(特許文献3)。ポリマー材料は、ポリアミド又はシリコーン樹脂のような接着性を促進する材料と、ポリウレタン又は好ましくはアクリル若しくはメタクリル樹脂との組み合わせである。米国特許番号4565742は、種々のラミネート加工及び塗布工程によって製造されるフィルム・ラミネートを開示する(特許文献4)。フィルムはポリエステル又はナイロン製のベースフィルム、ポリ塩化ビニリデンの塗膜及びエチレン酢酸ビニル共重合体のシーラント層を含む。日本出願59-152929は、容器にポリマー分散液又は溶液を塗布することによる熱可塑性ポリエステル容器の処理方法を開示する(特許文献5)。一例では、鹸化ポリ酢酸ビニルの第1層が塗布された後、塩化ビニリデン重合体ラテックスが塗布され、乾燥される。他の米国特許番号5061534は、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含む第1層と、塩化ビニリデン共重合体を含む第2層とを開示する(特許文献6)。容器は、エチレン低含有のエチレン・ビニルアルコール共重合体と収容される製品との間にある塩化ビニリデン共重合体層から製造され、高湿及び低湿条件下のいずれにおいても高い酸素バリア特性を提供する。米国特許番号5728439は、酸素に敏感な食品及び飲料のための多層包装材料を開示する(特許文献7)。他の米国特許番号6054212は、他のポリマーと共に塗布され、大気中の酸素透過が低い2軸配向ポリエステルフィルムを開示し、このポリマーはそのポリエステルより小さいTgを有している。それは、特に包装への利用に適し、とりわけ食材及び他の消耗品の包装に適する(特許文献8)。米国特許番号5328724は、テトラヒドロフラン及び水溶媒中のエチレン・ビニルアルコール溶液を基材に塗布して溶媒を除去することにより、プラスチックフィルムのような基材へエチレン・ビニルアルコール共重合体のバリア層を塗布する方法を開示する(特許文献9)。水性テトラヒドロフラン溶媒中でプラスチック基材に塗布されたエチレン・ビニルアルコールバリア層を有する多層構造は、優れた酸素バリア特性を持つ。
【0005】
包装材料にバリア特性をもたらすための従来技術の方法(米国5543223、米国5830545、米国4753832)は多層ポリマーフィルムに基づいており、バリア特性はエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、サラン(saran)-ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、金属被覆PP等のような材料によって与えられる(特許文献10〜12)。これらの材料は、PEやPPのような一般用途のプラスチックに比べて高価であり、さらに多層材料を作成するためにエネルギー多消費の溶融混合及び押出し技術を含む。アモルファスポリマーに基づくバリア材料を製造するための研究開発の試みが報告されている。先行技術に対し、本発明は、バリア皮膜材料を製造するために高価なプロセス操作又は添加剤を使用しない皮膜組成を用いる。
【0006】
酸素又は水蒸気バリア特性を得るために現在使用されている材料は、PVDF又はEVOH共重合体のような高価で未精製の(raw)材料に基づいている。通常、多層材料はこれらの共重合体を用いて設計され、しばしば低い性能を伴い、製造にエネルギー多消費の工程を要する。バリア特性を向上するため、皮膜設計に焼成クレーを用いることは先行技術では知られていない。
【0007】
【特許文献1】米国特許第3959526号明細書
【特許文献2】米国特許第4781978号明細書
【特許文献3】米国特許第3950579号明細書
【特許文献4】米国特許第4565742号明細書
【特許文献5】特開昭59-152929号公報
【特許文献6】米国特許第5061534号明細書
【特許文献7】米国特許第5728439号明細書
【特許文献8】米国特許第6054212号明細書
【特許文献9】米国特許第5328724号明細書
【特許文献10】米国特許第5543223号明細書
【特許文献11】米国特許第5830545号明細書
【特許文献12】米国特許第4753832号明細書
【発明の開示】
【0008】
(本発明の目的)
本発明の主な目的は、包装工業のための安価で、既存のものに代わる酸素バリア材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、酸素又は水蒸気に対する改善されたバリアを有するフィルムを与えるため、他の充填剤及び添加剤と共に焼成クレー(以下でクレーと称される)を含む皮膜組成を開発することにある。
本発明のさらに別の目的は、最適な機械的特性を犠牲にせずに皮膜設計に焼成クレーを導入することにある。
本発明のさらに別の目的は、開発された包装材料のバリア特性に対する設計変数の影響を検討することにある。
【0009】
(発明の要約)
本発明は、包装工業のための安価で、既存のものに代わる酸素バリア材料に関する。本発明は、特に食用油の包装のための一般の包装工業に役立つ。
【0010】
(発明の記述)
本発明は、皮膜が多層包装材料に使用された時に酸素及び水蒸気に対する優れたバリアを与える皮膜設計を提供する。この発明によれば、多層包装材料は、厚紙からなる第1層、前記開発された皮膜からなる第2層及びオレフィンを主体とするフィルムからなる第3層から構成される。
【0011】
皮膜の第2層は、皮膜を形成するバインダー(結着剤)、顔料、添加剤等から形成される。皮膜を形成するバインダーは、市場で入手可能なアルキド、エポキシ、ポリウレタン、及びウレタンアルキドの群から選択される。
【0012】
アルキドの例は、亜麻仁、ベニハナ、及び脱水ヒマシ油から調製される長油性アルキド、中油性アルキド又はウレタンアルキドである。エポキシ樹脂は、ビスフェノールのような芳香族ジオールとエピクロロヒドリンとの反応生成物である。ポリウレタンは、ヒドロキシル化ポリエステル(油又は他のポリオールから導かれてよい)とイソシアネート(脂肪族又は芳香族でよい)との反応生成物である。ヒドロキシル化ポリエステルは、脂肪族又は芳香族ジオールとジカルボン酸との反応生成物である。
【0013】
皮膜はさらに、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の顔料、及びタルク、バライト、クレイ材料のような充填剤、及び分散剤、沈降防止剤、流量制御剤等の添加剤、及び揮発油、トルエン、酢酸セロソルブ、MIBK、MEK等の溶媒から構成される。
【0014】
先に述べた皮膜、顔料、添加剤及び溶媒を用いて皮膜が設計され、この皮膜の乾燥層は極めて優れた酸素バリア特性を有する。
従って、本発明は、包装工業のための安価で、既存のものに代わる酸素バリア材料を提供し、それは焼成クレーを含む皮膜組成を開発し、前記開発された皮膜を厚み50-100ミクロンで板紙の片面に塗布し、さらに前記多層包装材料によって適切な容器を組立てることを含む。
【0015】
本発明の目的は、厚紙のベース層及び少なくとも1つのカバー層を持つ包装材料を準備することによって達成され、前記カバー層は先に述べた皮膜、顔料、添加剤からなる。新規な皮膜を塗布された包装材料は、一般に測定範囲の限界を超えるほど少ない酸素透過性を有する。
【0016】
皮膜を有するこの包装材料において、塗工層のバインダーは、先に述べた皮膜の少なくとも50-75体積%を占め、さらに最大で他の顔料及び充填剤の25-50体積%を占める。
【0017】
塗工層は、顔料、充填剤及び添加剤を含んでもよい。それらは便法として、先に述べた皮膜に添加され、又はそれらをボールミルで粉砕する前にそれらの混合物に添加される。そのような顔料の例は、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、カーボンブラック、カオリン、陶土、及びバライト(baryte)である。
【0018】
選択された添加剤は、2又はそれ以上の異なる薬剤の混合物であってもよい。1-20体積%の濃度の顔料が特に適している。
それから、混合物が熟成される;つまり、基材に付着し非粘着性で透明な層を形成するため、混合物の揮発性成分を除去するよう処理される。塗工層は、選択される皮膜設計により、ブラシ、スプレー、ローラー、エアレススプレー等の従来の塗工方法で塗布することができる。
【0019】
塗工層の厚みは広い範囲内で変化してよく、使用される塗布方法を含むいくつかの因子に左右される。それは好ましくは50-200μmであり、特に75-150μmであり、好ましくは85-125μmである。この塗工層を塗布後の厚紙は、フィルム欠陥、ピンホール、斑点等がない。通常、好ましくはLDPEのポリエチレンからなる第3層は、約100-200μm厚みである。
【0020】
この複合包装材料は、酸素に敏感な油、食材及び消耗品の包装に極めて適している。
この発明において、皮膜設計においてクレーを添加剤として使用したことにより、我々はバリア特性で大きな改善を達成した。開示された発明は、クレーを添加剤として使用したことによって得られた皮膜の水蒸気及び酸素バリア透過性において、このように大幅な改善を提供する。使用された組成(質量%で)を説明する一般的な処方が以下に示される。
【0021】
典型的な処方で100-200g典型的には165gのアルキド、エポキシ、又はポリウレタン、ウラルキド(uralkyd)からなる群からの樹脂、及び100-200g典型的には166.2gのTiO2、20-50g典型的には28.5gのタルク、及び処方での必要に応じて0-30gの焼成クレーが加えられ、さらにキシレン及びトルエン又はMIBKを含む所要量の溶媒混合物が添加され、すべての成分の全体積が250mlを超えないようにされた。前記混合物は典型的には、粉砕を促進するために使用されるセラミック小石で既に満たされた500mlビンのほぼ2/3を占め、それから2日間、ボールミルで粉砕しつづけられる。皮膜組成は25%PVC(顔料体積濃度)で定式化される。以下は、使用されたいくつかの実例の組成である。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
【表5】

【0027】
本発明は又、
(a)厚紙からなる第1層を準備し、
(b)50-200μmの皮膜で被覆された第1層を得るため、請求項1に記載の皮膜材料からなる第2層を前記第1層に被覆して乾燥し、並びに
(c)前記被覆された第1層に、ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれるオレフィンからなる厚み約40μmの第3層を積層する
:工程を含む、多層包装材料の製造方法を提供する。
【0028】
本発明は、以下の実施例によって説明されるが、いかなる点でも本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0029】
塗膜に用いられる典型的な設計は、バインダーの全質量%が充填剤を超えないようアルキド、エポキシ、ウレタンアルキド、ポリウレタン、又はこれらの組合せの群から選ばれるバインダー樹脂を含み、この設計は実例として与えられる。塗料処方は、金属又はガラス製の適切な容器内で全ての成分を混合し、かつ容器の体積の2/3を添加剤と溶媒又は溶媒混合体からなる前記混合物で満たし、さらに少なくとも8時間かつ最大24時間又は良好な分散を得るのに必要な時間、ボールミルで粉砕し続けられることにより調製される。
【0030】
典型的な設計で100-200g典型的には165gのアルキド樹脂又は10-90g典型的には82.5gのエポキシ樹脂、又は化学量論的量のイソシアネートと組合される10-50g典型的には40gの−ポリエステルポリオール又は90-150gのポリウレタン、典型的には142.5gの一包みのポリウレタン又は相応の割合のイソシアネートと共に25-75g典型的には35gのヒマシ油系ポリオール、が容器に秤量され、その後、100-200g典型的には165gのTiO2、20-50g典型的には28.5gのタルク、及び処方での必要に応じて0-100gの焼成クレーが加えられ、さらにキシレン及びトルエン又はMIBKを含む所要量の溶媒混合物が添加され、すべての成分の全体積が200mlを超えないようにされた。前記混合物は典型的には、粉砕を促進するために使用されるセラミック小石で既に満たされた500mlビンのほぼ2/3を占め、それから2日間、ボールミルで粉砕しつづけられる。皮膜組成は、10、20及び25のPVC(顔料体積濃度)値で定式化された。以下の例は、使用された処方の記述である:
【実施例2】
【0031】
【表6】

【0032】
前記組成に対して化学量論的量の硬化剤が添加され、ガラス棒又は適切な混合装置によって完全に混合された後、50-100ミクロン厚みのフリー (free)フィルムとして塗布された。
開発された塗料組成は以下の特徴を持つ:
ヘグマン(Hegmann)粒度ゲージの粒度No.7
フォードカップNo.4粘度、塗布方法によって40-60。
【0033】
このように開発された塗料は、ポリエチレンフィルムを有し商業的(インド、バンガロール、ITC板紙によって供給される)に入手できる板紙の片面に50-100ミクロンの厚みで塗布され、最低24時間又は粘着しなくなるまで乾燥させられる。このように開発された包装材料は、片面にバリア皮膜を塗布され、他の面に厚み約100ミクロンのポリエチレンフィルムをラミネートされた板紙からなる。
【0034】
被覆された板紙、前記開発された包装材料のバリア特性を明らかにするため、本発明の目的が試験された。酸素バリア特性は、ASTM D-3985-81に従う連続フロー法を用いて測定された。この方法の短い説明は以下に与えられる:
酸素透過性測定:
透過性の測定を行うため連続フロー法が選択された。方法の詳細は以前に報告されている[J. of Memb Sci. 159(1999) 209-219]。この方法において、浸透剤は膜を通って透過区画内の内部キャリアガスの流れへ透過する。透過濃度を測定するため、透過側を出る流れがガスクロマトグラフによって分析され、透過濃度は流れの流速と乗じられバリア面積で除されて透過流束を与える。透過係数は、流束と有効バリア厚みとの積を、バリアを通過するO2ガスの部分圧力差で除して求められる。この連続フロー法は、透過流内の浸透剤の濃度を分析器、すなわちガスクロマトグラフの検出範囲内に持ってゆくよう、キャリアガス流速を変えることにより高い透過速度が容易に得られるのと同様、測定が安価である点で好ましいものであった。
【0035】
実験中、膜を横切る約1-5kgs/cm2(100-500kPa)の圧力差が維持された。すべての実験は室温(30±2℃)で行われた。供給及び透過ラインは最初に真空ポンプによって真空にされた。質量流量コントローラによって、純酸素が供給ラインにゆっくり導入された。好ましい供給圧力差が試験セル内で維持された。アイオラー(iolar)等級の窒素(>99.9%純度)をキャリアガスとして用い(キャリアガスの流速はせっけん泡計によってコントロールされた)、透過ガス、試料がSS316ガス試料採取器に収集された。定常状態の試料のみが収集された。供給及び透過試料は、CTR二重カラムと熱伝導度検出器(FID)を備えたヌーコン(Nucon)ガスクロマトグラフ モデル765、インドによって分析された。透過した酸素の濃度が測定され、ガス透過率が計算された。
【0036】
水蒸気透過率は、ASTM E-96-66に従うペインカップ(Payne Cup)法を用いて測定される。この方法の短い説明は以下に与えられる:
少なくとも3つの供試体、塗工層が各試料について試験される。ASTM標準に与えられる手順により、ペインカップに試料の6mmの所まで乾燥剤を満たし、供試体をカップの上に置いてカップをシールする。水溶液によって湿度90%に維持された(ASTM E-104-51)デシケータ内に、これらのカップを置く。これらのデシケータは、37.8℃(100°F)の定温器に置かれた。皮膜の露出面積は1.017×10-3m2である。一定の変化率の利得が得られるまで、適当な間隔でアセンブリーの秤量を連続して行う。水蒸気透過率が計算され、g/m2.24hとして報告される。
従って、実施例6から調製されたフリーフィルムは、クレー含有量が0-28%又は0-30mlへ増えるに従い、3.44-1.97 g/m2.24hourの水蒸気透過率と、426.5-1.9cc.mil/100in2 day. atmの範囲の酸素透過性とを持っていた。前記組成は、250-104kg/cm2の範囲の接着強度を持っていた。0%クレー含有量におけるフリーフィルムの引張り強さは0.516kgf/mm2であり、10及び20mlのクレー量での引張り強さは1.75及び2.25kgf/mm2であった。
【0037】
皮膜組成の第2の例は、実施例6に与えられる処方に従って調製された。
【実施例3】
【0038】
アルキド 38.5%
TiO2 38%
タルク 6.6%
クレー 4.7%
触媒 0.5%
着色剤 0.1%
バライト 5%
ニルセット(Nilset)117 0.1-0.2%
ハプコ(Hapco)NXZ 0.05-0.1%
分散剤(dispersitol) 0.1%
ボルチ・ゴル(Borchi GOL)E2 0.5-0.8%
溶媒 14%
【0039】
フィルムは第1の例で詳細に記述したように作成され、以下の特性を有する。引張り強さは0.88-0.96kgf/mm2の範囲である。フィルムの酸素透過性は11.8-2.3cc.mil/100in2 day. atmで変化した。
支持フィルムは、最小のクレー量で4.55、最大のクレー量で2.27のmg/cm2.mm厚み.24hour.で表される水蒸気透過率(WVTR)を持っていた。組成の接着強度は、最大のクレー量で212kg/cm2、最小のクレー量で247kg/cm2であった。
【実施例4】
【0040】
ポリエステルポリオール 27.8%
イソシアネート 25%
TiO2 33%
タルク 5.6%
焼成クレー 4.7-28%
着色剤 0.1%
バライト 5%
ニルセット117 0.1-0.2%
ハプコNXZ 0.05-0.1%
分散剤 0.1%
ボルチ・ゴルE2 0.5-0.8%
溶媒 19.8%
48時間の粉砕に供した。
【0041】
フリーフィルムは、クレー含有量が0-28%又は0-30mlへ増えるに従い、9.34-8.19g/m2.24hourの水蒸気透過率と、11-3.1cc.mil/100in2 day. atmの範囲の酸素透過性とを持っていた。前記組成は、323-377kg/cm2の範囲の接着強度を持っていた。0%クレー含有量におけるフリーフィルムの引張り強さは1.20kgf/mm2であり、10及び20mlのクレー量で引張り強さは1.20及び1.36kgf/mm2であった。
【実施例5】
【0042】
使用された設計のさらなる例が以下の処方に従って作成された
ヒマシ油系ポリオール 26%
イソシアネート 22%
TiO2 34%
タルク 5.8%
クレー 5-30%
着色剤 0.1%
バライト 5%
ニルセット117 0.1-0.2%
ハプコNXZ 0.05-0.1%
分散剤 0.1%
ボルチ・ゴルE2 0.5-0.8%
溶媒 20%
【0043】
フリーフィルムは、クレー含有量が0-28%又は0-30mlへ増えるに従い、11.45-9.62g/m2.24hourの水蒸気透過率と、17-4.7cc.mil/100in2 day. atmの範囲の酸素透過性とを持っていた。前記組成は、247-424kg/cm2の範囲の接着強度を持っていた。0%クレー含有量におけるフリーフィルムの引張り強さは0.85kgf/mm2であり、10及び20mlのクレー量では引張り強さは1.14及び1.51kgf/mm2であった。
【実施例6】
【0044】
以下の例は、皮膜組成に使用された処方をさらに説明する。
ウラルキド 48%
TiO2 28%
タルク 4.8%
クレー 4.8-28%
着色剤 0.1%
バライト 5%
ニルセット117 0.1-0.2%
ハプコNXZ 0.05-0.1%
分散剤 0.1%
ボルチ・ゴルE2 0.5-0.8%
トルエン 7%
【0045】
フリーフィルムは、クレー含有量が0-28%又は0-30mlへ増えるに従い、16.12-20.10g/m2.24hourの水蒸気透過率と、436.3-21cc.mil/100in2 day. atmの範囲の酸素透過性とを持っていた。前記組成は、247-318kg/cm2の範囲の接着強度を持っていた。0%クレー含有量におけるフリーフィルムの引張り強さは1.26kgf/mm2であり、10及び20mlのクレー量では引張り強さは1.37及び1.30kgf/mm2であった。
上記実施例3に開示された組成で被覆された前記包装材料から作成された容器が、精製ヒマワリ油の包装に使用された。試料は、ビーカー中の他の試料と共に80℃の加速試験にさらされた。油の劣化は過酸化物量を測定することによって調査された。ビーカー中の試料の過酸化物量は24時間で112%増加したのに対し、前記包装材料内に包装された油は16%しか増加せず、これは本発明の前記開発された物品中の油の貯蔵安定性が良いことを示す。
商業的に入手可能な材料との比較データが以下に提供される:
【0046】
【表7】

参照:A. S. アタリー(Athalye)、ポピュラープラスチックス&パッケージング、2月1999,57-66
【0047】
本発明の主な利点は:
バリア特性を得るためのPVDF又はEVOH共重合体のような高価で特殊なポリマーの使用は、焼成クレーで修飾されたポリマー皮膜の使用によって撤廃される。プラスチック包装材料のOPC値を改善する1つの方法は、例えば金属被覆プラスチックのように、それらを化学的及び/又は物理的に処理することである。この方法は通常は高価である。バリア皮膜を作成するために用いられるこのプロセスは、押出し成形のような一般に用いられるプロセスに比べてエネルギー消費が少ない。例えば、PVCフィルムのWVTR(水蒸気透過率)は、25ミクロンフィルムに対し、38℃及び90%RH(相対湿度)で30-40g/m2.24hourである。本発明に開示された皮膜組成のWVTRは2.46-3.26g/m2.24hour. 25ミクロンフィルムである。このように、包装に使用される市販のPVCフィルムに比べて、それは優れた水蒸気バリアを示し、さらにその製造はPVCフィルムの製造プロセスに比べて安価である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキド/エポキシ樹脂;24-48%、TiO2;24-48%、タルク;9-22%、焼成クレー;0-30%、触媒;0-1%、着色剤;0-1%、バライト;0-5%、ニルセット117;0.1-0.2%、ハプコNXZ;0.05-0.1%、分散剤;0-0.1%、ボルチ・ゴルE2;0.5-0.8%、溶媒;適量:を含む皮膜組成。
【請求項2】
厚紙の第1層、請求項1に記載の皮膜材料からなる第2層及びポリエチレン又はポリプロピレンから選ばれるオレフィンからなる第3層を含む多層包装材料。
【請求項3】
前記皮膜材料からなる第2層の厚みが50-200μmである請求項2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記皮膜材料からなる第2層の厚みが75-150μmである請求項2に記載の包装材料。
【請求項5】
前記皮膜材料からなる第2層の厚みが85-125μmである請求項2に記載の包装材料。
【請求項6】
前記第3層の厚みが100-200μmである請求項2に記載の包装材料。
【請求項7】
焼成クレー、TiO2、タルク、バライトが酸素及び水蒸気透過性を改善するために用いられる請求項1の皮膜組成。
【請求項8】
前記第1層が前記第2層及び第3層の支持として用いられる請求項2に記載の多層包装材料。
【請求項9】
皮膜層がアルキドを主成分とする請求項2に記載の多層包装材料。
【請求項10】
皮膜層がウレタンアルキドを主成分とする請求項2に記載の多層包装材料。
【請求項11】
皮膜層がエポキシを主成分とする請求項2に記載の多層包装材料。
【請求項12】
皮膜層がウレタンを主成分とする請求項2に記載の多層包装材料。
【請求項13】
前記第3層がポリエチレン又はポリプロピレンである請求項1ないし13のいずれかに記載の多層包装材料。
【請求項14】
(a)厚紙からなる第1層を準備し、
(b)50-200μmの皮膜で被覆された第1層を得るため、請求項1に記載の皮膜材料からなる第2層を前記第1層に被覆して乾燥し、並びに
(c)前記被覆された第1層に、ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれるオレフィンからなる厚み約40μmの第3層を積層する
:工程を含む、多層包装材料の製造方法。
【請求項15】
前記第2層の厚みが75-150μmである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2層の厚みが85-125μmである請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記皮膜材料は、第1層としてアルキド、ウレタンアルキド、エポキシ及びウレタンから成る群から選ばれ、第3層としてポリエチレンから選ばれる請求項14に記載の方法。
【請求項18】
請求項2ないし13のいずかの皮膜から製造される包装。

【公表番号】特表2007−527926(P2007−527926A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512719(P2005−512719)
【出願日】平成15年12月29日(2003.12.29)
【国際出願番号】PCT/IN2003/000407
【国際公開番号】WO2005/063593
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(595059872)カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ (81)
【Fターム(参考)】