説明

包装用蒸着フィルム

【課題】基材フィルムの表面に形成した蒸着層に型押しを施して凹凸模様を形成する包装用蒸着フィルムにおいて、より鮮やかな模様が得られるようにする。
【解決手段】蒸着フィルム1は、基材フィルム2の表面にプライマー層5を形成し、プライマー層5の表面に蒸着層3を形成したものである。模様原版4で蒸着層に型押しを施し、凹凸模様を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋やラッピングに用いられる包装用蒸着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時の包装袋やラッピングフィルムには、蒸着フィルムを構成要素として含むラミネートフィルムがしばしば用いられている。かかる蒸着フィルムの装飾効果を高めるため、蒸着フィルムに微細な凹凸模様を形成することがある。その例を特許文献1に見ることができる。
【0003】
特許文献1記載の包装用蒸着フィルムは、透明な合成樹脂フィルムの表面に凹凸模様を形成した後、凹凸模様面に透明蒸着層を設け、光の干渉で凹凸模様が浮き立って見えるようにしている。
【特許文献1】特開平5−331625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の包装用蒸着フィルムは、透明な基材フィルムの表面に凹凸模様を形成してから蒸着を施したが、これと異なる手順で同様な装飾効果を有するフィルムを形成することもある。それを図2、3に基づき説明する。
【0005】
図2には透明な基材フィルム2の表面に蒸着層3を形成した蒸着フィルム1が示されている。基材フィルム2の材料としては、ポリオレフィン系やポリエステル系など、ラミネート加工が可能な熱可塑性合成樹脂が好適する。ポリオレフィン系樹脂の代表的なものとしてはポリエチレンやポリプロピレンがあり、ポリエステル系樹脂の代表的なものとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)がある。蒸着層3の素材金属としてはアルミニウムを挙げることができる。
【0006】
蒸着フィルム1の蒸着層3に模様原版4により型押しを施し、凹凸模様を転写する。模様原版4はPETの薄板に凹凸模様を形成したものである。型押し作業部の構成例を図3に示す。型押し作業部10では、ゴム製のプラテンロール11で蒸着フィルム1を支持し、ガイドローラ12、13で蒸着フィルム1の走行をガイドする。エンボスロール14、15の外周に模様原版4を巻き付け、このエンボスロール14、15を蒸着フィルム1に押し付けて蒸着層3に凹凸模様を転写する。
【0007】
上記のようにして凹凸模様を転写した蒸着フィルム1は、しかしながら、凹凸が浅く、模様が鮮やかという印象を与えるには至っていなかった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、基材フィルムの表面に形成した蒸着層に型押しを施して凹凸模様を形成する包装用蒸着フィルムにおいて、より鮮やかな模様が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、基材フィルムの表面に形成した蒸着層に型押しを施して凹凸模様を形成する包装用蒸着フィルムにおいて、前記基材フィルムの表面にプライマー層を形成し、このプライマー層の表面に前記蒸着層を形成することを特徴としている。
【0010】
この構成によると、プライマー層に担持された蒸着層に模様を深く転写することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、基材フィルムと蒸着層の間にプライマー層を介在させることにより、蒸着層に深い模様を転写することが可能となり、鮮やかな模様を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る包装用蒸着フィルムの実施形態を図1に基づき説明する。図1は包装用蒸着フィルムの模型的部分断面図である。図2に示した従来構造と機能的に共通する要素については図2で用いたのと同じ符号を付し、説明は省略する。
【0013】
本発明では、蒸着フィルム1の基材フィルム2の表面にプライマー層5を形成し、プライマー層5の表面に蒸着層3を形成する。この蒸着層3に図2の型押し作業部10で模様原版4の凹凸模様を転写する。
【0014】
基材フィルム2のプラスチック材料としては、プライマー層5を保持できるものであれば特に制約無く使用可能である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、その他の各種の透明な樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。これらの樹脂のフィルムないしシートは、一軸ないし二軸方向に延伸されているもので、厚さが10〜200μm、好ましくは10〜100μmのものを使用する。これらのフィルムないしシートには、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の前処理を施す。
【0015】
プライマー層5の有機化合物としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ゴム系化合物、石油系樹脂、アルキルチタネート系化合物、ポリエチレンイミン系化合物、イソシアネート系化合物、澱粉、カゼイン、アラビアゴム、セルロース誘導体、ワックス類、その他の樹脂またはそのプレポリマーまたはモノマーを、単体で、あるいは混合物として、使用することができる。
【0016】
上記の樹脂またはそのプレポリマーもしくはモノマーは、1液硬化型であってもよく、2液硬化型であってもよい。これらの樹脂またはそのプレポリマーもしくはモノマーの単体または混合物をビヒクルの主成分とし、これに各種の安定剤、硬化剤ないし架橋剤、充填剤、その他の添加剤を添加し、溶剤、希釈剤等を加え十分に混練し、コーティング剤組成物として調製する。このコーティング剤組成物を、ロールコート法、グラビアコート法、スプレイコート法、エアナイフコート法、キスコート法、その他のコーティング法で基材フィルム2の表面にコーティングし、プライマー層5を形成する。プライマー層5の膜厚は500〜5000Åが好ましい。また、上記各種コーティング法の中でも、生産性、膜厚の均一性等の観点から、グラビアコート法が最も好適する。
【0017】
蒸着層3を形成する金属または金属酸化物としては、アモルファス(非晶質)化した薄膜を形成し得るものであれば特に制約無く使用可能である。例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属、あるいは、その金属酸化物を使用することができる。これらの材料の中でも、アルミニウム、シリカ、炭化ケイ素、とりわけアルミニウムが、光沢性の面で、包装に用いる蒸着フィルム1に好適する。
【0018】
以下は蒸着フィルム1の構成例である。基材フィルム2は厚さ12μmのPETフィルムとし、その表面にポリウレタン系のプライマーを塗工する。塗工量は2g/m2である。プライマー層5の表面にアルミニウムにより厚さ100Åの蒸着層3を形成する。
【0019】
このように構成した蒸着フィルム1に模様原版4の凹凸模様を転写すると、模様を深く転写することができ、その結果得られる模様が鮮やかなものになる。
【0020】
以下は凹凸模様転写済みの蒸着フィルム1を含む包装材の構成例である。厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムにドライラミネート接着剤により蒸着フィルム1を積層する。この蒸着フィルム1にドライラミネート接着剤を介して印刷層と厚さ12μmのPETフィルムを積層する。
【0021】
以上本発明の実施形態につき説明したが、この他、発明の主旨から逸脱しない範囲で種々の改変を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は包装用蒸着フィルムに広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る包装用蒸着フィルムの模型的部分断面図
【図2】従来の包装用蒸着フィルムの模型的部分断面図
【図3】型押し作業部の構成例を示す概略構成図
【符号の説明】
【0024】
1 蒸着フィルム
2 基材フィルム
3 蒸着層
4 模様原版
5 プライマー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの表面に形成した蒸着層に型押しを施して凹凸模様を形成する包装用蒸着フィルムにおいて、
前記基材フィルムの表面にプライマー層を形成し、このプライマー層の表面に前記蒸着層を形成することを特徴とする包装用蒸着フィルム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−79278(P2009−79278A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251077(P2007−251077)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】