説明

包装箱

【課題】シートを折り畳み、組み合わせることによって形成され、被包装物を安定に収納でき、被包装物の固定性が改善され、かつ組立時の作業性にも優れた包装箱を提供すること。
【解決手段】包装箱を構成するシートは、前面板1、第一側面板2、後面板3及び第二側面板4を連接して含むとともに、第一側面板2及び第二側面板4のいずれか一方又は双方の上端に連接して被包装物固定板21、41を含むものであり、被包装物固定板21、41は、2本の折目211、212、411、412を横方向に有しており、当該2本の折目間に、フラップ状固定手段213、214、413、414を有し、さらに、当該フラップ状固定手段の上辺に接して抜孔215、216、415、416を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割れやすいガラス瓶や、ペットボトル等の瓶類に代表される被包装物を複数本、安定に収納し、被包装物の輸送等において使用される包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一升瓶等の大型ガラス製容器に代表される瓶類の輸送用包装箱として、段ボール等のシート1枚を折り畳み、組み合わせることによって形成される包装箱が知られている。瓶類は輸送中の振動や衝撃によって割れやすいものであるが、そのような割れを防止するために、包装箱の底部及び上部の双方で瓶類を固定することによって瓶類の安定な収納を可能にした包装箱が提案されている(特許文献1及び2を参照)。
【0003】
特許文献1では、瓶類を頭部で固定するために、上部内側に保持孔及び掛止孔を設けてなる瓶類包装箱が開示されている。この包装箱では、瓶類の水平方向での振動を防止することができるが、垂直方向で振動を受けた際には、掛止孔から瓶類の頭部が外れやすい、という問題点があった。さらに瓶類の頭部が掛止孔から外れた場合には、水平方向の保持性も低下し、瓶類が横倒しとなり瓶類の割れが生じやすくなる。また、保持孔は屈折落し蓋に設けられているが、この部材は組立時に180°の折曲を行う必要がある。このような折曲を行う際には、すでに収納している瓶類の頭部と衝突することになり、この点で組立作業が煩雑になっていた。
【0004】
特許文献2では、折込蓋に係合孔を開設することによって瓶類を頭部で固定する瓶類収容箱が開示されている。この収容箱では、折込蓋の溝孔に、半部蓋板に連接した係止片を差し込む必要があるが、これには手間がかかり組立作業が煩雑となっていた。また、係止片を差し込む際に折込蓋が折れ曲がりやすく、その際には、垂直方向での瓶類の固定性が著しく低下するという問題があった。
【特許文献1】実開平6−78224号公報
【特許文献2】実開平5−40122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑み、段ボール等のシートを折り畳み、組み合わせることによって形成され、複数本の被包装物を安定に収納することができ、被包装物の固定性が改善され、かつ組立時の作業性にも優れた包装箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装箱は、シートから組み立てられ、かつ被包装物を固定して収容する包装箱であり、
前記シートは、前面板(1)、第一側面板(2)、後面板(3)及び第二側面板(4)を連接して含むとともに、第一側面板(2)及び第二側面板(4)のいずれか一方又は双方の上端に連接して被包装物固定板(21、41)を含むものであり、
被包装物固定板(21、41)は、2本の折目(211、212、411、412)を横方向に有しており、
当該2本の折目間に、フラップ状固定手段(213、214、413、414)を有し、さらに、
当該フラップ状固定手段の上辺に接して抜孔(215、216、415、416)を有する、ことを特徴とするものである。
【0007】
前記シートから包装箱を組み立てるにあたっては、まず、前面板(1)、第一側面板(2)、後面板(3)及び第二側面板(4)それぞれの境界線が90°の折曲(山折り)をされる。これによって、上記四板が包装箱の四方を囲む前後側面を構成する。次に、第一側面板(2)及び/又は第二側面板(4)と被包装物固定板(21、41)との境界線が90°の折曲(山折り)をされるとともに、第一側面板(2)又は第二側面板(4)から遠隔にあるほうの折目(211、411)は−90°の折曲(谷折り)をされ、第一側面板(2)又は第二側面板(4)の近傍にあるほうの折目(212、412)は90°の折曲(山折り)をされる。これによって、組み立てられた包装箱の上部において、被包装物固定板(21、41)は階段状の構造を持つ。包装箱に収納された被包装物の上部は被包装物固定板(21、41)を貫通するのであるが、具体的には、当該上部は、被包装物固定板(21、41)の裏面から抜孔(215、216、415、416)に挿入され、さらに、フラップ状固定手段(213、214、413、414)が開口して生じた開口部へと通過させる。そして、当該上部が、フラップ状固定手段によって水平方向に押され込まれることによって固定される。
【0008】
本発明では、フラップ状固定手段(213、214、413、414)は両開き構造のものであることが好ましい。
【0009】
本発明では、被包装物固定板(21、41)は、第一側面板(2)及び第二側面板(4)双方の上端に連接してあり、
2枚の被包装物固定板(21、41)を突き合わせた時に噛合を可能とする切欠部(218、418)を、その上端に有するものであることが好ましい。
【0010】
本発明では、被包装物固定板(21、41)は、抜孔(215、216、415、416)の上方に、被包装物の上部を挿入して固定する保持孔(217、417)をさらに有するものであることが好ましい。
【0011】
本発明では、前記シートは、さらに、前面板(1)及び後面板(3)それぞれの下端に連接して外部底面板(12、32)及び横仕切板(13、33)を含むとともに、第一側面板(2)及び第二側面板(4)それぞれの下端に連接して内部底面板(22、42)及び縦仕切板(23、43)を含むものであり、
横仕切板(13、33)は、下端に、縦仕切板(23、43)と係合するために切欠溝(131、132、331、332)を有し、
内部底面板(22、42)及び縦仕切板(23、43)は、両板にわたって、横仕切板(13、33)を差し込んで係合させるために長方形状の抜溝(24、44)を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装箱は、上述の構成よりなるので、段ボール等のシートを折り畳み、組み合わせることによって形成され、被包装物を安定に収納することができ、被包装物の固定性が改善され、かつ組立時の作業性にも優れているものである。
【0013】
本発明の包装箱は、被包装物固定板に2本の折目を設けることによって、包装箱の組立時に180°折曲を行う必要がなくなり、シート1枚から90°折曲のみで作成することが可能となり、組立作業が容易となった。
【0014】
さらには、被包装物固定板がフラップ状固定手段、及び、その上辺に接した抜孔を有することによって、収納された被包装物の上部は、抜孔、及び、フラップ状固定手段が開口して生じた開口部に嵌合するとともに、フラップ状固定手段によって固定されることになるので、被包装物を包装箱内で安定に保持することが可能になる。具体的には、包装箱に収容された被包装物が水平方向の衝撃により振動するのを抑止することができる。なお本発明は、被包装物が衝撃を受けることによって割れやすいガラス瓶等の瓶類である場合に特に有効である。
【0015】
本発明の好ましい態様ではフラップ状固定手段を両開き構造にすることによって、被包装物の上部がより安定に固定されるようになる。
【0016】
特に包装箱を縦2列、横3列の合計6本入りとする場合においては、被包装物固定板が長くなるために撓みやすくなるが、2枚の被包装物固定板を突き合わせた時に噛合を可能とする切欠部を両板の上端に設けて、両板を噛合させることによってその撓みを抑止することができる。これによって、包装箱に収容された被包装物の上部の固定性を向上させることができ、特に被包装物が垂直方向の衝撃により振動するのを抑止することができる。
【0017】
本発明の好ましい態様では抜孔の上方に、被包装物の上部を挿入して固定する保持孔を設けることによって、フラップ状固定手段及び抜孔以外での被包装物の固定が可能になり、例えば包装箱が縦2列、横3列の合計6本入りの場合には、横3列のうち中央の1列に含まれる2本の被包装物を固定することが可能になる。また、この保持孔に被包装物の上部を挿入することによって、被包装物固定板の安定性がより向上し、ひいては被包装物の上部の固定性が向上することになる。
【0018】
本発明の好ましい態様では包装箱の底部に仕切体を設け、これによって被包装物の下部を固定することによって、被包装物全体の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の具体的な実施態様を図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれら実施態様又は図面に限定されるものではない。
【0020】
ここで、図1は、本発明の一実施形態による縦2列、横3列の合計6本収納用の包装箱を構成するシートの展開平面図であり、図2は、図1記載のシートを組み立てて被包装物固定板の折曲を行った後の状態を示す斜視図である。
【0021】
本発明の包装体を構成するシートでは、図1で示すとおり、前面板1、第一側面板2、後面板3及び第二側面板4が、この順序で、左右に連接しているものであるが、各板間の境界線には、折目が刻印されている。これらの折目が包装箱の組立時に90°の折曲をされることによって、上記四板が包装箱の四方を囲む前後側面を構成することになる。前面板1、第一側面板2、後面板3及び第二側面板4の高さ(図1での長辺)は、収納する被包装物の全長よりもすこし長めのものに調整される。前面板1及び後面板3の幅(図1での短辺)は、被包装物の最大幅を考慮し、図1では3本分が収納可能となる幅である。第一側面板2及び第二側面板4の幅(図1での短辺)は、被包装物の最大幅を考慮し、図1では2本分が収納可能となる幅である。
【0022】
前面板1の上端には、折目を介して、フラップ状の蓋板11が連接している。当該折目が、組立の最終段階で90°の折曲をされることによって、蓋板11が包装箱の上蓋を構成することになる。
【0023】
本発明の包装箱においては、底部の構造は特に限定されないが、被包装物の固定性を向上させ、複数の被包装物間の接触を防止するために、被包装物の支持体及び/又は仕切壁を設けることが好ましい。支持体及び/又は仕切壁は、本発明の包装箱を構成する1枚のシートに含まれ当該シートから組み立てられるものであってもよく、別途導入されるものであってもよい。支持体の具体例としては、特許文献1に記載されているもの等が挙げられる。本発明の包装箱を構成する1枚のシートが仕切壁をも含む場合について図1に基づいて以下に説明する。
【0024】
前面板1及び後面板3それぞれの下端には、折目を介して、外部底面板12、32が連接している。当該折目が組立時に90°の折曲をされることによって、この2枚の外部底面板12、32が並列して、包装箱の外側(最下層)の底面を構成することになる。
【0025】
さらに、2枚の外部底面板12、32それぞれの下端には、折目を介して、横仕切板13、33が連接している。当該折目が組立時に90°の折曲をされることによって、この2枚の横仕切板13、33が重ね合わさって包装箱内部で直立することになり、横方向(前面板1及び後面板3の短辺と平行な方向)での仕切壁を構成することになる。
【0026】
2枚の横仕切板13、33の下端には、後述する縦仕切板23、43と係合するためにそれぞれ切欠溝131、132、331、332を設けている。包装箱が図1のように横3列での被包装物の収納を目的としているものであれば、切欠溝は2枚の横仕切板それぞれに2箇所ずつ設けられ、その際の切欠溝の幅は、1つの切欠溝に1枚の縦仕切板を挿入できるよう、シート1枚の厚みに調整される。一方、包装箱が横2列での被包装物の収納を目的としているものであれば、切欠溝は2枚の横仕切板それぞれに1箇所ずつ設けられ、その際の切欠溝の幅は、1つの切欠溝に2枚の縦仕切板を重ね合わせて挿入できるよう、シート2枚の厚みに調整される。図1では、切欠溝131、132、331、332は、前面板1及び後面板3の幅をほぼ三等分にする位置に設けられ、横仕切板13、33における縦方向での中央付近まで形成されている。
【0027】
第一側面板2及び第二側面板4それぞれの下端には、折目を介して、内部底面板22、42が連接している。当該折目が組立時に90°の折曲をされ、この2枚の内部底面板22、42は並列して包装箱の底面を構成することになるが、この底面は、外部底面板12、32によって構成される底面の内側(包装箱の内部)に位置することになる。
【0028】
さらに、2枚の内部底面板22、42それぞれの下端には、折目を介して、縦仕切板23、43が連接している。当該折目が組立時に90°の折曲をされることによって、包装箱が図1のように横3列での被包装物の収納を目的としているものであれば、この2枚の縦仕切板23、43が包装箱内部でそれぞれ独立して直立することになり、それぞれが、縦方向(前面板1及び後面板3の短辺に対して垂直な方向)での仕切壁を構成することになる。一方、包装箱が横2列での被包装物の収納を目的としているものであれば、2枚の縦仕切板23、43が包装箱内部で重ね合わさって直立して、一体になって縦方向での仕切壁を構成することになる。
【0029】
内部底面板22、42及び縦仕切板23、43には、両板にわたって、横仕切板13、33を差し込んで係合させるために長方形状の抜溝24、44を設けている。この長方形状の抜溝には、2枚の横仕切板13、33が重ね合わせられて挿入されるので、当該抜溝の幅は、シート2枚分の厚みに調整される。当該抜溝は、内部底面板22、42及び縦仕切板23、43の幅をほぼ二等分にする位置に設けられ、第一側面板2又は第二側面板4と内部底面板22、42との境界近くから、縦仕切板23、43における縦方向での中央付近に至るまで延伸している。
【0030】
外部底面板12、32と横仕切板13、33との境界線の両端部分には、切欠部による係止手段を設けている。これによって、収納する被包装物の本数が増えて包装箱の底面にかかる重量が増加した場合にあっても、底面が強固に維持され、底抜けの危険性を低減できる。
【0031】
図1のシートから形成される包装箱の底部は、2枚の横仕切板13、33が一体になって形成される1枚の横仕切壁、及び、2枚の縦仕切板23、43が独立して形成する2枚の縦仕切壁によって、6区画に分画される。また、上述のように2枚の縦仕切板23、43が一体になって1枚の縦仕切壁を形成するようにすると、包装箱の底面は4区画に分画されることになる。それぞれの区画の大きさは、収納する被包装物の下部の大きさに合わせたものであり、それぞれの区画に被包装物を1本ずつ立置することになる。これによって、被包装物の下部での強固な固定が可能になる。
【0032】
次に本発明の包装箱の上部構造について説明する。
【0033】
第一側面板2及び第二側面板4のいずれか一方又は双方の上端に、折目を介して、フラップ状の被包装物固定板21、41が連接している。図1では、第一側面板及び第二側面板双方の上端にフラップ状の被包装物固定板が連接している。前記折目は、組立時に90°の折曲をされる。当該被包装物固定板は、蓋板11から構成される上蓋より下、すなわち組み立てられた包装箱の内側に位置する。
【0034】
なお、図1では、横仕切板13、33、及び、縦仕切板23、43の高さを同一にしており、さらに、蓋板11、及び、2枚の被包装物固定板21、41の高さを同一にしている。以上によって、包装箱を組み立てる際の糊付け工程時における作業性を改善している。
【0035】
被包装物固定板21、41には、横方向(第一側面板2又は第二側面板4の短辺に対してほぼ平行になる方向)に2本の折目211、212、411、412が刻印されている。包装箱の組立時において、上方の折目211、411(第一側面板2又は第二側面板4から遠隔にあるほうの折目)は−90°の折曲をされ、下方の折目212、412(第一側面板2又は第二側面板4の近傍にあるほうの折目)は90°の折曲をされる。これによって、組み立てられた包装箱において、被包装物固定板21、41のうち上方の折目211、411より上位にある面21a、41a、及び、第一側面板2又は第二側面板4と下方の折目212、412との間にある面21c、41cは、底面とほぼ平行に保持され、2本の折目の間にある面21b、41bは、底面に対してほぼ垂直に直立することになる。
【0036】
上方の折目211、411と下方の折目212、412との間には、フラップ状固定手段213、214、413、414を設けている。当該フラップ状固定手段は、被包装物の上部を安定に固定するためのものであり、シートに切目を刻印することによって開閉可能なように設けることができる。被包装物を収納する際には、当該フラップ状固定手段を開口することによって開口部を生ぜしめ、被包装物の上部を被包装物固定板21、41の裏(下)側から、後述の抜孔215、216、415、416に挿入し、さらに上記開口部を通過させる。図1ではフラップ状固定手段として両開き構造で長方形状のものを示しているが、片開き構造のものでもよいし、被包装物の上部の固定が可能になるものであれば形状も特に限定されない。フラップ状固定手段の幅は、これを開口することによって生じた開口部に被包装物の上部を挿入してその固定化が可能になるような幅に調整される。
【0037】
上方の折目211、411、及び、フラップ状固定手段213、214、413、414の上端に接して、半円状の抜孔215、216、415、416を設けている。ただし抜孔の形状は特に限定されるものではなく、被包装物の上部の形状を考慮して適宜調整される。図1では半円状の抜孔の径を、フラップ状固定手段213、214、413、414の幅と同一としているが、被包装物の上部の径に合わせて調整可能である。
【0038】
図1のシートから組み立てられた包装箱に被包装物を収納する際には、まず被包装物を包装箱内に立置した後、被包装物固定板21、41を被包装物の上部にかぶせるようにして被包装物を固定するのであるが、その固定は、被包装物固定板21、41の裏面から、半円状の抜孔215、216、415、416に被包装物(図1の場合、横3列のうち両端の2列に含まれる合計4本の被包装物)の上部を挿入し、さらに、フラップ状固定手段を開口することによって生じた開口部へと、被包装物の上部を通過させることによって行う。固定化後、被包装物固定板21、41上には、被包装物の上部が、縦割りにした円柱状として現れることになるが、当該部分がフラップ状固定手段によって押さえ込まれているような状態となっている。
【0039】
図1において右側に位置する半円状の抜孔216、416の垂直上方には、被包装物の上部を挿入して固定する円形の保持孔217、417をさらに設けている。当該保持孔は、上記のフラップ状固定手段及び抜孔とは別に、被包装物の上部を固定するためのものであり、図1の場合、横3列のうち中央の1列に含まれる合計2本の被包装物の上部を固定するためのものである。保持孔の形状や大きさは被包装物の上部を固定する観点から適宜調整される。
【0040】
図1では、被包装物固定板21、41の上端において、左側に位置する半円状の抜孔215、415の垂直上方で円形の保持孔217、417の横に、切欠部218、418を設けている。当該切欠部は、被包装物固定板21、41が2枚存在する場合に、それらを被包装物の上部にかぶせて固定する際、2枚の被包装物固定板を突き合わせて両板の噛合を可能にするものである。切欠部の形状は、2枚の被包装物固定板の噛合が可能となるものであれば特に限定されないが、図1における切欠部218、418の形状は、被包装物固定板21、41の左上方を切り取った形状になっている。そして、円形の保持孔217、417への被包装物の上部の挿入を阻害することがないように、半円状の切欠部をさらに追加した形状としている。
【0041】
本発明の包装箱を組み立てるには、まず、前面板1の左辺と第二側面板4の右辺とを糊付けする。次いで、底部を組み立てた後、被包装物を包装箱内部に収納する。そして、被包装物固定板21、41の折曲を行うことによって被包装物の上部を固定した後、蓋板11を閉じることによって、包装箱が輸送可能な状態になる。
【0042】
図2は、図1記載のシートから包装箱の組立を行う途中の状態を示す斜視図であるが、被包装物固定板21、41の折曲を行った後で、蓋板11を閉じる前の状態を示している(ただし、当該図には被包装物は図示していない)。横3列のうち両端の2列に含まれる合計4本の被包装物の上部は、半円状の抜孔215、216、415、416から挿入されることになるが、上部のおよそ左半分又は右半分は、底面に対してほぼ垂直に直立している面21b、41b(上方の折目211、411と下方の折目212、412との間にある面)の内奥に隠れていることになる。そして、縦割りにした円柱状として外部に現れる被包装物の上部については、両開き構造のフラップ状固定手段213、214、413、414によって固定されることになる。
【0043】
一方、横3列のうち中央の1列に含まれる合計2本の被包装物の上部は、円形の保持孔217、417を通過して、被包装物固定板21、41の上側に突出している。2枚の被包装物固定板21、41は、切欠部218、418を利用して互いに噛合している。切欠部218、418による噛合のみならず、上述した2本の被包装物の上部が円形の保持孔217、417に挿入されていることによっても、被包装物固定板21、41は固定されることになるので、被包装物の上部が、水平方向及び垂直方向の双方に対してきわめて安定した状態で固定されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態による縦2列、横3列の合計6本収納用の包装箱を構成するシートの展開平面図
【図2】図1記載のシートを組み立てて被包装物固定板の折曲を行った後の状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0045】
1:前面板
2:第一側面板
3:後面板
4:第二側面板
11:蓋板
12、32:外部底面板
13、33:横仕切板
21、41:被包装物固定板
22、42:内部底面板
23、43:縦仕切板
24、44:抜溝
131、132、331、332:切欠溝
211、411:上方の折目
212、412:下方の折目
213、214、413、414:フラップ状固定手段
215、216、415、416:抜孔
217、417:保持孔
218、418:切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートから組み立てられ、かつ被包装物を固定して収容する包装箱であって、
前記シートは、前面板(1)、第一側面板(2)、後面板(3)及び第二側面板(4)を連接して含むとともに、前記第一側面板(2)及び前記第二側面板(4)のいずれか一方又は双方の上端に連接して被包装物固定板(21、41)を含むものであり、
前記被包装物固定板(21、41)は、2本の折目(211、212、411、412)を横方向に有しており、
当該2本の折目間に、フラップ状固定手段(213、214、413、414)を有し、さらに、
当該フラップ状固定手段の上辺に接して抜孔(215、216、415、416)を有する、ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記フラップ状固定手段(215、216、415、416)は両開き構造のものである、ことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記被包装物固定板(21、41)は、前記第一側面板(2)及び前記第二側面板(4)双方の上端に連接してあり、
2枚の前記被包装物固定板(21、41)を突き合わせた時に噛合を可能とする切欠部(218、418)を、その上端に有するものである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記被包装物固定板(21、41)は、前記抜孔(215、216、415、416)の上方に、被包装物の上部を挿入して固定する保持孔(217、417)をさらに有するものである、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記シートは、さらに、前記前面板(1)及び前記後面板(3)それぞれの下端に連接して外部底面板(12、32)及び横仕切板(13、33)を含むとともに、前記第一側面板(2)及び前記第二側面板(4)それぞれの下端に連接して内部底面板(22、42)及び縦仕切板(23、43)を含むものであり、
前記横仕切板(13、33)は、下端に、前記縦仕切板(23、43)と係合するために切欠溝(131、132、331、332)を有し、
前記内部底面板(22、42)及び前記縦仕切板(23、43)は、両板にわたって、前記横仕切板(13、33)を差し込んで係合させるために長方形状の抜溝(24、44)を有している、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装箱。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−105717(P2008−105717A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291189(P2006−291189)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】