説明

包装紙印刷装置及びプログラム

【課題】包装紙に模様以外の個別情報を印刷する場合に、被包装物を包装したきに個別情報が包装紙の他の部分で隠れずに見える位置にその個別情報が印刷できるようにする。
【解決手段】包装条件DB136には、包み方ごとに、その包み方に対応する包装紙寸法の求め方、個別情報の印刷場所の候補の求め方、及び包装紙の裏面に印刷する包み方のガイド画像の求め方の情報が記憶されている。被包装物形状・寸法入力UI113に対して被包装物の形状・寸法が指定され、包み方指定UI119に対して包み方が指定されると、DB検索部122は、包装条件DB136からその包み方に対応する情報を検索し、その情報を用いて適切な包装紙の寸法、個別情報の印刷場所の候補、及び裏面用のガイド画像を求める。それら印刷場所の候補からユーザが個別情報の印刷先を選択すると、表面データ生成部124が包装紙表面用の印刷画像として、その場所に個別情報が配置された画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装紙印刷装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷対象文書の画像を紙折り装置により折られる折り目に重ならないように配置して印刷データを形成し、紙折り装置を備えた印刷装置に前記形成した印刷データの印刷を指示するプリントサーバが開示されている。
【0003】
特許文献2には、仕上がり体裁における折りを考慮して印刷ジョブデータを生成する方法(図9,図10参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−235072号公報
【特許文献2】特開2008−262328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、包装紙に模様以外の個別情報を印刷する場合に、被包装物を包装したときに包装紙の他の部分で隠れずに見える位置にその個別情報が印刷できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、被包装物の寸法を特定する寸法特定情報の入力を受け付ける被包装物寸法受付手段と、前記被包装物に対する包装紙の包み方の選択を受け付ける包み方選択受付手段と、受け付けた前記寸法特定情報から特定される前記被包装物の寸法及び選択された包み方に基づき、前記包装紙の裏面に印刷すべきガイド画像として、前記被包装物を前記包み方で包装する場合に前記被包装物を前記包装紙の裏面上に配置すべき配置位置を少なくとも示すガイド画像を生成するガイド画像生成手段と、選択された包み方に基づき、前記包装紙の表面の領域のうち前記被包装物を包装したときに外部に露出する領域を、個別情報が印刷可能な領域として抽出する抽出手段と、前記包装紙の表面のうち前記抽出手段が抽出した領域に前記個別情報を配置した表面画像を生成する表面画像生成手段と、前記表面画像及び前記ガイド画像をそれぞれ前記包装紙の表面及び裏面に印刷するよう印刷装置を制御する印刷制御手段と、を備える包装紙印刷装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記包装紙の模様の選択を受け付ける模様選択受付手段を更に備え、前記包み方選択受付手段は、複数の包み方のうち、前記模様選択受付手段が受け付けた選択結果の模様に対応する包み方を候補として提示し、提示した候補の中から包み方の選択を受け付ける、ことを特徴とする請求項1に記載の包装紙印刷装置である。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記個別情報の寸法を特定する情報を受け付ける個別情報寸法受付手段を更に備え、前記包み方選択受付手段は、複数の包み方のうち、前記模様選択受付手段が受け付けた選択結果の模様に対応する包み方であり、かつ、前記包装紙の表面の領域のうち前記被包装物を包装したときに外部に露出する領域に、前記個別情報寸法受付手段が受け付けた情報が示す寸法の前記個別情報を印刷可能な包み方を特定し、特定した包み方を候補として提示し、提示した候補の中から包み方の選択を受け付ける、ことを特徴とする請求項2に記載の包装紙印刷装置である。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記個別情報の寸法を特定する情報を受け付ける個別情報寸法受付手段を更に備え、前記包み方選択受付手段は、複数の包み方の中から、前記包装紙の表面の領域のうち前記被包装物を包装したときに外部に露出する領域に、前記個別情報寸法受付手段が受け付けた情報が示す寸法の前記個別情報を印刷可能な包み方を特定し、特定した包み方を候補として提示し、提示した候補の中から包み方の選択を受け付ける、ことを特徴とする請求項1に記載の包装紙印刷装置である。
【0010】
請求項5に係る発明は、コンピュータを、被包装物の寸法を特定する寸法特定情報の入力を受け付ける被包装物寸法受付手段、前記被包装物に対する包装紙の包み方の選択を受け付ける包み方選択受付手段、受け付けた前記寸法特定情報から特定される前記被包装物の寸法及び選択された包み方に基づき、前記包装紙の裏面に印刷すべきガイド画像として、前記被包装物を前記包み方で包装する場合に前記被包装物を前記包装紙の裏面上に配置すべき配置位置を少なくとも示すガイド画像を生成するガイド画像生成手段、選択された包み方に基づき、前記包装紙の表面の領域のうち前記被包装物を包装したときに外部に露出する領域を、個別情報が印刷可能な領域として抽出する抽出手段、前記包装紙の表面のうち前記抽出手段が抽出した領域に前記個別情報を配置した表面画像を生成する表面画像生成手段、前記表面画像及び前記ガイド画像をそれぞれ前記包装紙の表面及び裏面に印刷するよう印刷装置を制御する印刷制御手段、として機能させるためのプログラムである。
【0011】
請求項6に係る発明は、被包装物の寸法を特定する寸法特定情報の入力を受け付ける被包装物寸法受付手段と、個別情報を、前記被包装物のどの面に対応する前記包装紙の領域に印刷するかの指定を受け付ける印刷場所受付手段と、複数の包み方のうち、前記印刷場所受付手段に指定された領域が前記被包装物を包装したときに外部に露出する包み方を候補として提示し、提示した候補の中から包み方の選択を受け付ける包み方選択受付手段と、受け付けた前記寸法特定情報から特定される前記被包装物の寸法及び選択された包み方に基づき、前記包装紙の裏面に印刷すべきガイド画像として、前記被包装物を前記包み方で包装する場合に前記被包装物を前記包装紙の裏面上に配置すべき配置位置を少なくとも示すガイド画像を生成するガイド画像生成手段と、前記包装紙の表面のうち前記印刷場所受付手段に対して指定された前記印刷場所に前記個別情報を配置した表面画像を生成する表面画像生成手段と、前記表面画像及び前記ガイド画像をそれぞれ前記包装紙の表面及び裏面に印刷するよう印刷装置を制御する印刷制御手段と、を備える包装紙印刷装置である。
【0012】
請求項7に係る発明は、コンピュータを、被包装物の寸法を特定する寸法特定情報の入力を受け付ける被包装物寸法受付手段、個別情報を、前記被包装物のどの面に対応する前記包装紙の領域に印刷するかの指定を受け付ける印刷場所受付手段、複数の包み方のうち、前記印刷場所受付手段に指定された領域が前記被包装物を包装したときに外部に露出する包み方を候補として提示し、提示した候補の中から包み方の選択を受け付ける包み方選択受付手段、受け付けた前記寸法特定情報から特定される前記被包装物の寸法及び選択された包み方に基づき、前記包装紙の裏面に印刷すべきガイド画像として、前記被包装物を前記包み方で包装する場合に前記被包装物を前記包装紙の裏面上に配置すべき配置位置を少なくとも示すガイド画像を生成するガイド画像生成手段、前記包装紙の表面のうち前記印刷場所受付手段に対して指定された前記印刷場所に前記個別情報を配置した表面画像を生成する表面画像生成手段、前記表面画像及び前記ガイド画像をそれぞれ前記包装紙の表面及び裏面に印刷するよう印刷装置を制御する印刷制御手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,5,6,7に係る発明によれば、包装紙に模様以外の個別情報を印刷する場合に、被包装物を包装したときに包装紙の他の部分で隠れずに見える位置にその個別情報が印刷できるようにすることができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、選択された模様に応じた包み方が選択されるようにすることができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、選択された模様に応じた包み方であり、かつ、被包装物を包装したときに外部から見える領域に、受け付けた寸法の個別情報を印刷可能な包み方が選択されるようにすることができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、被包装物を包装したときに外部から見える領域に、受け付けた寸法の個別情報を印刷可能な包み方が選択されるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】合わせ包みの場合の、個別情報を印刷可能な領域を説明するための図である。
【図2】実施形態の装置構成の例を示す図である。
【図3】被包装物の寸法の表し方を説明するための図である。
【図4】包装条件DBのデータ内容の一例を示す図である。
【図5】合わせ包みの場合の適切な包装紙寸法の求め方を説明するための図である。
【図6】斜め包みの場合の包装紙上への被包装物の配置位置等を説明するための図である。
【図7】斜め包みの場合のガイド画像の例を示す図である。
【図8】斜め包みの包装結果を説明するための図である。
【図9】合わせ包みの場合のガイド画像の例を示す図である。
【図10】斜め包みの場合の、包装紙表面上での個別情報を印刷可能な領域(印刷場所の候補)を示す図である。
【図11】実施形態の装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】印刷場所の指定のためのUI画面の表示例を示す図である。
【図13】包装紙の印刷パラメータ同士の依存関係の例を示す図である。
【図14】包装条件DBのデータ内容の別の例を示す図である。
【図15】実施形態の装置の処理手順の別の例を示すフローチャートである。
【図16】包装紙の模様が最初に選択された場合の条件設定の手順の一部を示すフローチャートである。
【図17】包装紙の模様が最初に選択された場合の条件設定の手順の残りの部分を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
バリアブル印刷(可変印刷、バリアブルデータ印刷等とも呼ばれる)等の技術を利用して、包装紙を例えばオンデマンドでカスタマイズ(個別誂え)することが考えられる。例えば、包装紙ごとに、模様(柄)だけでなく、そこに印刷するメッセージ、宛名、送り主名、又は写真等の画像などのコンテンツや、それらコンテンツの印刷場所などを、利用者(例えば送り主)の希望に沿ってカスタマイズするなどである。例えば、バリアブル印刷システムを利用すれば、個々の包装紙に印刷すべき模様やメッセージ等のコンテンツの情報をバリアブルデータとしてデータベースに登録することで、包装紙ごとに、当該包装紙用のバリアブルデータに指定されたコンテンツが印刷される。
【0019】
包装紙上に模様以外の個別情報(メッセージ、画像、宛名など)を印刷する場合、そのような個別情報をどこに印刷してもよいわけではない。商品等の被包装物(商品などの、包装される物)を包装紙で包装した場合、包装紙の表面のうちのある部分は、包装紙の別の部分により覆われてしまい、外部から見えなくなる。そのように包装状態で見えなくなる部分に個別情報を印刷しても意味がない。
【0020】
例えば、図1には、直方体の被包装物を「合わせ包み」という包み方で包装した場合の包装状態の外観を模式的に示す。図1の(a)は包装結果である包装物10を上面11側から見た状態を示す斜視図、(b)は包装物10を底面16側から見た状態を示す斜視図である。図示のように、「合わせ包み」の場合、包装物10の側面13や底面16には包装紙の重ね目があり、その一部に包装の固定のために粘着テープ14及び17で留められているのに対し、上面11,側面12及び15には一面全体にわたって一続きの包装紙表面が露出している。したがって、包装紙の表面のうち、包装物10の上面11,側面12又は15に該当する部分に個別情報を印刷すれば、その個別情報は確実に外から見える状態となる。包装紙の表面のうちのこれらの部分は、個別情報の印刷に適した部分といえる。これに対し、包装紙の表面のうちのその他の部分に個別情報を印刷すると、包装状態では、その印刷部分の一部又は全部が、包装紙の他の部分に覆われてしまったり、包装の内面側に折り込まれたり、あるいは粘着テープを上に貼られたりして見えない状態となる可能性が高い。
【0021】
図1は「合わせ包み」の例であったが、同じ直方体の被包装物(例えば箱)の包み方だけでもこの他に「斜め包み」や「ふろしき包み」などといった様々な種類があり、また円筒や三角柱などといった他の形状も考えると非常に多様な包み方が存在する(例えばウェブページ http://www.sekichu.co.jp/diy/097.html、http://www.akinaishien.co.jp/wrapping/index.html、http://www.packageplaza.net/gift/t5000000.htm、書籍「ラッピングのきほん事典(ISBN-9784791614400)」等を参照)。そして、包装紙の表面のうちどの部分が包装状態で外側に露出するかは、包み方に応じて変わってくる。このため、個別情報を包装紙のどの部分に印刷したらよいのかは、包み方に依存する。
【0022】
そこで、この実施形態のシステムでは、包み方に応じた適切な場所に個別情報を印刷するための仕組みを提供する。
【0023】
図2に、実施形態の包装紙印刷システムの構成例を示す。図1に示すシステムは、制御装置100と印刷装置150とを備えている。制御装置100は、操作者からの入力に応じて包装紙の印刷データを生成し、印刷装置150に印刷させる制御を行う。印刷装置150は、制御装置100から受け取った包装紙の印刷データを用紙に印刷する。制御装置100と印刷装置150との組合せ方は特に限定されない。それら両者がデジタル複合機(コピー機、プリンタ、スキャナ等の複数の機能を兼ね備えた装置)等の1つのハードウエア装置内に実装されていてもよいし、それら両者が通信ケーブル又はネットワークを介して相互に通信可能な別々のハードウエア装置として実装されてもよい。また、図2では印刷装置を一つだけしか備えていない例を示しているが、複数の印刷装置を備えていてもよい。
【0024】
制御装置100は、条件設定受付部110、印刷データ生成部120、包装紙模様DB(データベース)132、個別情報DB134及び包装条件DB136を備える。
【0025】
条件設定受付部110は、商品等の個々の被包装物のための包装紙の設定条件の入力を受け付けるユーザインタフェース機能を提供する。条件設定受付部110は、包装紙指定UI(ユーザインタフェース)111、被包装物形状・寸法入力UI113、個別情報入力UI115、個別情報印刷指定UI117、包み方指定UI119を備える。これら各UI111〜119は、特に限定するものではないが、例えばグラフィカルユーザインタフェース(GUI)として実装される。
【0026】
包装紙指定UI111は、紙質や表面の模様(柄、パターン、デザイン)等の指定を受け付けるためのUI機構である。紙質は、例えば、紙の厚み、及び表面コーティングの有無や種類等により規定される紙の性質のことである。包装紙指定UI111は、例えば、印刷装置150が対応可能な紙質の選択肢を提示するGUIをユーザに提供し、それら選択肢の中からユーザの選択を受け付ける。なお、印刷装置150は、普通紙その他の表面コーティングされていない用紙に対して、光沢印刷などといったいくつかの種類の表面コーティングを付加する機能を備えていてもよく、この場合包装紙指定UI111は、印刷装置150が備える用紙の種類に応じた紙質の選択肢に加え、印刷装置150が実行可能な表面コーティング処理を考慮した選択肢も提供する。また、包装紙指定UI111は、包装紙模様DB132に記憶された各模様を選択肢として提供し、ユーザから選択を受け付ける。模様の選択肢には、縞模様や格子模様等といった様々なパターン、あるいは様々な色の無地パターンなどが含まれてよい。なお、模様と紙質(紙の厚み及び/又は表面コーティング)との好適な組合せの情報を制御装置100に登録しておき、包装紙の模様を選択すると、それに適合した紙質が自動選択されるようにしてもよい。
【0027】
被包装物形状・寸法入力UI113は、包装紙により包装しようとする商品等の被包装物の形状・寸法の入力を受け付けるUIである。このUI113は、被包装物の形状について、直方体、円筒、三角柱、瓶などといった形状の選択肢を提供し、ユーザから選択を受け付ける。また、UI113は、被包装物の寸法の入力を受け付ける。寸法の表し方は、被包装物の形状ごとに異なる。例えば直方体の場合、寸法は幅と奥行きと高さの組合せで表現され、円筒の場合は底面の半径(又は直径)と高さの組合せで表現される。UI113は、例えば、選択された形状に応じて、寸法を特定する項目の入力欄を提供し、ユーザからの入力を受け付ける。例えば、直方体の場合、幅Wと奥行きDと高さH(図3参照)の値を入力する入力欄を提供する。形状と入力すべき寸法項目との対応関係の情報は、制御装置100にあらかじめ登録されている。入力された形状及び寸法の情報は、例えば、被包装物の識別情報に対応づけて、個別情報DB134に登録してもよい。
【0028】
なお、商品の外箱の表面に印刷されたバーコード等の画像コードと、その外箱の形状及び寸法との対応関係を制御装置100にあらかじめ登録しておき、外箱の画像コードをコード読取装置で読み取ることで、UI113に形状及び寸法が入力されるようにしてもよい。また、本システムが対象とする被包装物の形状が1つに限られている場合(例えば直方体しか取り扱わない場合)、UI113は、寸法の入力のみを受け付けるものでよい。
【0029】
個別情報入力UI115は、包装紙に印刷する個別情報の入力を受け付けるUIである。例えば、入力される個別情報には、例えば、被包装物の受取人の住所・氏名、送り主の住所・氏名、送り主から受取人へ当てたメッセージや写真等の画像などがある。もちろん、これらは例示に過ぎない。ユーザは、それら各種の個別情報のうちの1以上の種類のものの内容を入力する。UI115は、このような個別情報の内容(コンテンツ)の入力を受け付ける。入力された個別情報の内容は、例えば被包装物を特定する識別情報と対応づけて、個別情報DB134に登録してもよい。
【0030】
個別情報印刷指定UI117は、包装紙に印刷する個別情報の印刷条件の指定を受け付けるためのUIである。指定する個別情報の印刷条件には、例えば個別情報の印刷場所又は印刷場所(すなわち包装紙上で個別情報を印刷する領域)がある。印刷場所の指定は、例えば被包装物の形状の面を(例えば直方体の上面、側面、底面など)単位として行うものであってもよいし、面内の更に細かい位置を特定するものであってもよい。この印刷場所指定の受付の際に、後述する包み方指定UI119で指定された包み方に応じて、その包み方に適した印刷場所の候補をユーザに提示し、それら候補の中からユーザの選択を受け付けるようにしてもよい。また、個別情報の印刷の向きの指定を受け付けてもよい。また、個別情報の印刷サイズの指定を受け付けてもよい。例えば、メッセージや画像を、何段階かのサイズのうちユーザの選択したサイズで印刷するなどである。
【0031】
包み方指定UI119は、包装紙による被包装物の包み方の指定を受け付けるUIであり、例えば包み方の選択肢をGUIにてユーザに提供し、ユーザから選択を受け付ける。提供する包み方の選択肢の組合せは、被包装物の形状に対応する。例えば、「合わせ包み」、「斜め包み」、「ふろしき包み」等の包み方は、直方体に対応した選択肢である。被包装物の形状と包み方の選択肢との対応関係は、包装条件DB136に登録されている。また、包装紙の模様に応じて包み方の選択肢を制限してもよい。例えば、斜め縞模様(すなわち長方形の包装紙の各辺に対して斜め方向の縞模様)の包装紙で「斜め包み」を行うと、包んだ状態での縞模様の傾斜がユーザの意図するものと異なってくる可能性があるので、斜め縞模様は「斜め包み」の場合の選択肢から外す、等である。模様と包み方の選択肢との対応関係は、あらかじめ包装条件DB136に登録しておけばよい。
【0032】
さらに、包装紙の模様によっては、個別情報の印刷位置が制限されたり、反対に個別情報の位置によって模様が制限されたりすることも考えられる。例えば、ワンポイントの模様であれば、個別情報と重ならないように個別情報の印刷位置を回避したり、反対にワンポイントの模様を個別情報で置き換えたりできる。これらを自由に選択させてもよいし、どちらかの情報を先に選択して操作者の意図にあわせて他の選択肢を制限してもよい。
【0033】
条件設定受付部110内のこれらUI111〜119は、例えば制御装置100に内蔵又は接続された表示装置及び入力装置を介してそれらの入力情報を取得してもよい。また、ネットワークを介してリモートの装置にウェブページなどの形で入力画面を提供し、入力情報を取得してもよい。
【0034】
印刷データ生成部120は、条件設定受付部110で受け付けた条件に合った包装紙を印刷するための印刷データを生成する。印刷データ生成部120は、DB検索部122、表面データ生成部124、及び裏面データ生成部126を備える。
【0035】
DB検索部122は、包装紙の印刷データの生成に必要な情報をDB132〜136から検索する。例えば、被包装物形状・寸法入力UI113に入力された被計測物の形状と、包み方指定UI119に指定された包み方との組合せに応じて、個別情報を印刷する場所(印刷場所)の候補を包装条件DB136から検索するなどの処理を行う。なお、このとき検索された候補の情報は、個別情報印刷指定UI117を介して、個別情報の印刷場所の選択肢としてユーザに提供される。また、DB検索部122は、例えば、包装紙指定UI111に指定された包装紙の模様のデータを包装紙模様DB132から検索する処理も行う。
【0036】
表面データ生成部124は、包装紙の表裏両面のうちの表面用の印刷データを生成する。表面用の印刷データは、包装紙の模様と個別情報とを組み合わせた画像である。すなわち、この実施形態では、あらかじめ模様が印刷された包装紙に個別情報を印刷するのではなく、模様と個別情報とを組み合わせた画像を白紙の包装用紙に印刷する。このため、個別情報の印刷場所の選択の自由度が高い。表面データ生成部124は、ユーザから指定された包装紙の模様、並びに、個別情報の内容、印刷場所、及び寸法に従って、その模様と個別情報とを組み合わせることで、表面用の印刷データを生成する。
【0037】
裏面データ生成部126は、包装紙の裏面用の印刷データを生成する。本実施形態では、包装紙の裏面に、包み方をガイド(案内)するガイド画像を印刷する。裏面用の印刷データは、このガイド画像を表す。ガイド画像は、少なくとも、その包み方で包む場合の、包装紙上での被包装物の配置位置を表す画像を含む。また、ガイド画像は、包んでいく際の包装紙の折り目の位置を表す画像(例えば折り目を表す線など)を含んでいてもよい。また、包装作業の際に包装紙を折り込んでいく順序を表す画像を含んでいてもよい。
【0038】
ここで、この裏面用のガイド画像と、表面上の個別情報の印刷場所とは、互いに対応している。すなわち、包み方に対応する個別情報の印刷場所の候補は、被包装物をその包み方に応じた包装紙上の特定の位置に配置してその包み方で包んだ場合を想定して割り出されるものなので、包装紙裏面のガイド画像はその想定の位置に被包装物を置く場合に対応した画像とする。
【0039】
包装紙模様DB132には、包装紙の表面に印刷する各種の模様を表す印刷データが登録されている。
【0040】
個別情報DB134には、包装紙に印刷する個別情報の内容や個別情報の印刷条件などが登録される。個別情報は、バリアブル印刷におけるバリアブルデータと捉えてよい。これらの登録情報は、例えば被包装物(あるいはその被包装物の包装を依頼した依頼者)の識別情報に対応づけて登録しておいてもよい。また、条件設定受付部110にて選択された包装紙の紙質や模様、被包装物の形状・寸法、包み方などの情報などを、被包装物等の識別情報と対応づけてDB134に記憶してもよい。
【0041】
包装条件DB136には、包み方などによって決まる、包装や個別情報の印刷場所についての制約条件が登録されている。図4に包装条件DB136のデータ内容の一例を示す。図4の例では、DB136には、被包装物の形状と包み方の組合せごとに、その組合せに対応する包装紙寸法判定ルール、包み方ガイドルール、及び個別情報印刷場所抽出ルールが登録されている。なお、多くの場合、1つの包み方は1つの被包装物形状にしか対応しないので、そのような場合には、図4のデータ構造は、包み方ごとに、これに対応する包装紙寸法判定ルール、包み方ガイドルール、及び個別情報印刷場所抽出ルールを登録したものと捉えてもよい。
【0042】
包装紙寸法判定ルールは、当該形状の被包装物の当該包み方で包装する場合の包装紙の適切な寸法を求めるためのルール(例えば計算アルゴリズム)である。例えば、直方体の被包装物を包む「合わせ包み」の場合、被包装物と適切な包装紙との寸法の関係は、図5に示すようになる。すなわち、被包装物の幅、奥行き、高さをそれぞれW,D,H(図3参照)とした場合、包装紙20の適切な縦長Xは、被包装物22を図示のように包装紙20の中央に置いたときにその両側に被包装物22の高さHの2/3倍のマージンが残る長さであり、包装紙20の適切な横幅Yは被包装物22の周囲の長さに3〜4cmの余裕を足した長さである。式で表すと次のようになる(ただし、次の関係式では、横幅Yについての余裕を3cmとしている)。
X=W+2a
ここで、a=2/3H
Y=2(D+H)+3(cm)
【0043】
このように、合わせ包みのための包装紙20の適正寸法は、被包装物22の寸法から上述のような関係式(ルール)により求められる。
【0044】
同様に、斜め包みやふろしき包み(いずれも直方体に適用)、円筒包みなどといった他の包み方にも、適正な包装紙寸法の求め方(ルール)がある。このようなルールが、それぞれの包み方に対応づけてDB136に登録されている。
【0045】
包み方ガイドルールは、包装紙の裏面に印刷する包み方ガイドの画像を生成するためのルール(又は計算アルゴリズム)である。
【0046】
例えば、斜め包みの場合、図6に示すように、直方体の被包装物の矩形の底面を、適正寸法の包装紙の裏面20B上の特定の矩形領域32の位置に置き、斜め包みの手順に従って包むことで、きれいな包装結果が得られる。このように、適正寸法の包装紙上のどの場所に、どのような向きで、被包装物のどの面を最初に位置決めするかは、包み方によって決まっている。また、そのように位置決めした被包装物を包装したときに包装紙の裏面20Bの各領域が被包装物のどの面に面するかも、包み方により決まっている。図6に示す破線の矩形34,36,38などは、包装紙の裏面20Bのうち、包装したときに被包装物の各面に面する領域をそれぞれ示している。このように、包み方と被包装物の寸法が分かれば、被包装物を包装紙のどの場所に最初に位置決めし、その後包装紙をどのように折って被包装物を包めばよいかが決まる。
【0047】
そこで、この実施形態では、そのような被包装物の位置決め先などを表すガイド画像を生成し、包装紙の裏面20Bに印刷するのである。図7に、このようなガイド画像40の一例を示す。図7の例は、図6の斜め包みの例に対応している。ガイド画像40は、少なくとも、包装の際に被包装物を最初に位置決めする場所を示す位置決め図形42を含んでいる。また、ガイド画像40に、位置決め図形42上に被包装物を置いた後、包んでいく際の包装紙の折り目を示すガイド線44を含めてもよい。図示例では、位置決め図形42は、他のガイド線44で囲まれた矩形から区別できるパターンを印刷する。ただし、位置決め図形42を目立たせるのには、他の強調表示形態(例えば位置決め図形42の周囲を囲む線を他のガイド線44よりも太くするなど)を用いてもよい。また、包装の際の包装紙の折り目は、図示のようなガイド線44以外の表示形態で表してもよい。ガイド線44以外のガイド表示としては、例えば、包装したときに被包装物の角に当たる点を表示する方法がある。これら点同士を結んだ線が包装紙の折り目になる。なお、ある程度習熟した作業者ならば、最初の位置決めさえ的確なら、その後の包装紙の折りは特にガイドしなくてよいので、そのような作業者向けの場合は、折り目を示すガイド表示は印刷しなくてもよい。
【0048】
包み方ガイドルールには、包装すべき被包装物の寸法から、位置決め図形42の位置や寸法、向きを求める方法を表すルール又はアルゴリズムが含まれる。また包み方ガイドルールは、更に、包装紙の折り目を特定するためのルール又はアルゴリズムを含んでいてもよい。また、包み方ガイドルールは、位置決め図形42や折り目をどのような図形オブジェクトで表現するかを示す設定情報を含んでいる。包み方と被包装物の寸法とが決まれば、対応する包み方ガイドルールに従って、包み方のガイド画像40が計算される。図7に例示したガイド画像40が裏面に印刷された包装紙に被包装物を位置決めして包装すれば、包装結果として、図8に例示する斜め包みの包装物10が得られる。図8は、包装物10を底面側から見た斜視図である。斜め包みの場合、底面が粘着テープ19で留められる。
【0049】
また、合わせ包みの場合は、ガイド画像40は、例えば図9に示すようなものとなる。合わせ包みでは、位置決め図形42は包装紙の裏面20Bの中央に位置する。また、その周囲に包装時の折り目を示すガイド線44を印刷してもよい。
【0050】
また、包装条件DB136に登録される個別情報印刷場所抽出ルールには、包装紙の表面のうちの個別情報が印刷可能な領域(すなわち、印刷した個別情報が包装紙の他の部分やテープなどにより隠れずに外部から見える領域)を特定するルール又はアルゴリズムが含まれる。例えば合わせ包みの場合、図1に例示したように、包装物10の上面11、及びテープ留めされない2つの側面12及び15は、包装紙の表面が外部に完全に露出するので、個別情報が印刷可能な領域である。また、斜め包みの場合、図8から分かるように、包装物10の上面及び4つの側面が、個別情報が印刷可能な領域である。包み方ガイドルールにて位置決め図形42や折り目の位置を求めるのと同じアルゴリズムで、包装紙の表面のどの領域が最終的な包装物10の上面や側面の位置にて外部に露出するかが計算される。個別情報印刷場所抽出ルールは、このような外部に露出する面を求めるアルゴリズムを含んでいてもよい。例えば、斜め包みの場合、図10に例示するように、個別情報印刷場所抽出ルールを用いることで、包装紙の表面20Fのうち、包装物の上面及び4つの側面に対応する領域(ハッチングで示した)が、個別情報を印刷可能な領域として認識される。それ以外の領域は、包装状態では、その一部又は全部が、包装紙の他の部分により覆われてしまうので、個別情報の印刷には適さない。
【0051】
次に、実施形態のシステムの処理手順の一例を、図11を参照して説明する。図11の手順では、まず条件設定受付部110が、ユーザから、被包装物の形状及び寸法、包装紙の模様(及び紙質)、包み方、印刷すべき個別情報の入力を受け付ける(S10)。次に、DB検索部122が、入力された包み方に対応する包装紙寸法判定ルール及び包み方ガイドルールを包装条件DB136から検索し、これらルールに従って裏面データ生成部126が、適切な包装紙の寸法と、包み方のガイド画像40とを算出し、包装紙の裏面に印刷すべき裏面画像データを生成する(S12)。ここで、印刷装置150が備える用紙のサイズは必ずしも適切な包装紙の寸法に合っているとは限らないので、裏面画像データには、用紙から適切な寸法を切り出すための切取線の画像を含めてもよい。
【0052】
また、印刷データ生成部120は、入力された包み方に対応する個別情報印刷場所抽出ルールを包装条件DB136から読み出し、そのルールに従って包装紙表面の個別情報の印刷場所の候補を算出する(S14)。個別情報印刷指定UI117は、S14の算出結果から個別情報の印刷場所の候補を選択するためのUI画面を生成し、ユーザに対して表示する(S16)。
【0053】
図12に、合わせ包みの場合の印刷場所選択画面60の一例を示す。図12の例は、包装物62を上面側から見た状態を模式的に表示している。包装物62の上面64及び手前側の側面66に示された「OK」は、それらの面が個別情報を印刷可能な領域であることを示しており、右側の側面68に示された「NG」は、その面が個別情報の印刷に適さない領域であることを示している。また、側面66上に示された上向きの矢印は、この面に個別情報を印刷する場合の向きの制限を表している。すなわち、側面66には、個別情報の画像を印刷する場合、個別情報の画像の上方向をこの矢印の指す向きに合わせられる。これは、包装物62を、上面を上にして置いたときに、側面66に印刷された個別情報が読みやすい状態となることを意図した制約である。図12に例示した選択画面60では、上面64及び側面66は、ポインティングデバイスなどの入力装置により選択可能となっている。ユーザは、入力装置を操作して、それら候補の中から、実際に個別情報を印刷する面を選択する。図12の表示画面には、包装物62を上面側から見た状態が表示されているが、例えばポインティングデバイス等の操作により、包装物62を底面側やその他の方向から見た状態を表示画面に表示させ、上面側の表示のみで見えない面について選択できるようにしてもよい。同様に、66を上面、64を側面に設定変更して、包装物62の見える向きを決定してもよい。
【0054】
また、S16では、個別情報についてのその他の印刷条件、例えば個別情報の印刷画像のサイズに関する設定(例えば拡大・縮小率など)や、個別情報の印刷画像の向き(すなわち、選択した面に対してどのような向きで印刷するか)などの指定を受け付けてもよい。ここで、指定可能なサイズは、選択された印刷場所の面内に収まる範囲に制限される。また、指定可能な向きは、選択された印刷場所の面に設定された向きの制約を満たすものに制限される。例えば、図12の例で側面66が選択された場合、印刷する個別情報の画像の向きは矢印の示す向きに制限される。これに対し、上面64が選択された場合は、この例では上面には向きの制限がないので、個別情報の向きは自由に選択してよい。包装紙に印刷する個別情報が複数ある場合、S16では、それら個々の個別情報について、その個別情報の印刷場所及び他の印刷条件を指定する。
【0055】
このようにして個別情報の印刷場所及び他の印刷条件の指定が行われると、表面データ生成部124は、S10で指定された包装紙表面の模様の印刷画像データに対し、包装紙表面上の指定された場所に指定されたサイズ及び向きで個別情報の印刷画像データを合成することにより、包装紙の表面画像データを生成する(S18)。ここで生成される表面画像データと、S12で生成される裏面画像データとは、互いに位置合わせされている。そして、印刷データ生成部120は、生成された表面画像データ及び裏面画像データを印刷装置150に送信して、印刷を指示する(S20)。印刷装置150は、この指示に応じて、用紙の表面に表面画像データを、裏面に裏面画像データを印刷する。なお、印刷装置150は、両面印刷可能な装置であってもよいし、そうでなくてもよい。両面印刷可能でない場合は、片面ずつ印刷することになる。また、印刷装置150は、用紙としてロール紙を用いるものであってもよいし、カット紙を用いるものであってもよい。カット紙を用いる場合、印刷装置150は、保持する各種の用紙のうち、求められた包装紙の寸法をカバーできる最小サイズの用紙を選択すればよい。多数の用紙サイズや紙質を実現するために、印刷装置150や異なるサイズの用紙トレイを複数用意してもよいし、さまざまな用紙をその場で挿入できる多目的用紙トレイを利用してもよい。
【0056】
なお、図11の手順において、S14〜S18の処理と、S12の処理とは、どちらを先に実行してもよい。
【0057】
図11の例は、被包装物の形状・寸法、包装紙の模様、包み方などをユーザが最初に指定し、その指定に応じて個別情報の印刷場所の候補を絞り込んで提示し、ユーザの選択を受ける流れであった。しかし、被包装物の形状・寸法と個別情報の内容とを除いた残りのパラメータの指定の順序は、この例に限らない。ただし、各種のパラメータには相互に依存関係がある場合があり、あるパラメータの値を選択すると、これに依存する他のパラメータの選択範囲が絞り込まれる場合もある。このようなパラメータの依存関係の例を図13に示す。
【0058】
図13の例では、まず、包み方と、包装紙表面上での個別情報の印刷場所(印刷可能な領域)と、の間には相互に依存関係がある。包み方を選択するとこれに応じて個別情報の印刷場所が限定されることについては既に説明したが、その逆も成り立つ。すなわち、被包装物のある面を個別情報の印刷場所に指定した場合、包装結果において包装紙のその面に該当する領域が外部に露出する包み方は限られてくる。例えば、図12を参照すると、包装物62の側面68を個別情報の印刷場所に指定した場合、その側面68がテープ留めされる合わせ包み(図1参照)は選択肢から外れる。
【0059】
また、包装紙の模様と包み方との間にも相互に依存関係がある。例えば、上述したように、斜め縞模様は斜め包みには適さないので、斜め縞模様を選択した場合には斜め包みは選択肢から外れ、斜め包みを選択した場合には斜め縞模様は選択肢から外れる。
【0060】
また、個別画像の印刷時の画像寸法と包み方との間にも相互に依存関係がある。すなわち、包み方が決まれば被包装物の面のうち個別情報が印刷可能な面が決まり、さらに被包装物の形状・寸法が決まればそれら各面の寸法も決まるので、個別情報の画像寸法が指定されれば、その寸法を印刷可能な面が限定されることになる。このとき、それら各面についての個別情報の印刷の向きの制限があれば、選択肢は、指定された寸法の画像がその向きに印刷できる面に限定されることになる。逆に、被包装物の形状・寸法と個別情報の画像寸法が決まれば、その寸法の画像が印刷可能な面が特定され、包装結果にてそれらの面が外部に露出する包み方が特定される。
【0061】
また、個別情報の印刷場所と画像寸法との間にも相互に依存関係がある。すなわち、被包装物の寸法と被包装物のどの面に個別情報を印刷するかが決まれば、その面に印刷可能な個別情報の寸法も決まってくる。その面に個別情報の向きの制約があれば、その面に印刷可能な個別情報の寸法は、その制約を満たすように制約される。また、被包装物の寸法と個別情報の画像寸法とかが決まれば、その寸法の画像を印刷可能な面は絞り込まれる。また、包装紙の模様と個別情報の印刷位置・大きさにも依存関係が存在する場合がある。写真フレームのような模様やワンポイントの模様などでは個別情報の印刷位置や大きさが制約される場合がある。さらに、写真フレームのような模様は個別情報に上書きされる場合があるため、その場合は印刷位置だけでなく印刷画像合成時の順序にも依存関係が存在する。
【0062】
条件設定受付部110(図2参照)は、各種のパラメータの値が選択されるごとに、そのような依存関係に従って、他のパラメータの選択肢を絞り込む。図13の依存関係に従う場合、包装条件DB136には、包装紙の模様と他のパラメータ(条件項目)との間の対応関係の情報も保持される。この例を図14に示す。
【0063】
図14の例では、包装条件DB136には、図4に例示した項目に加え、包み方ごとに模様制約が登録されている。包み方に対応する模様制約は、その包み方を採用する場合における包装紙の模様についての制約であり、言い換えれば、その包み方を選んだ時に選択できる(あるいは選択できない)包装紙の模様を特定する情報である。例えば、斜め包みの模様制約は、斜め縞模様に該当する模様は選択できない、というものになる。
【0064】
なお、図14に例示したデータ構造は、指定された包み方に対応する個別情報の印刷場所や模様の制約等を検索するのに向いたものであるが、個別情報の印刷場所又は模様が指定された場合に、このデータ構造のデータから逆に包み方を求めてもよい。また、個別情報の印刷場所からこれに対応する包み方を求めるデータベース、及び模様からこれに対応する包み方を求めるデータベース等を用意してもよい。
【0065】
個別情報の画像寸法と包み方又は印刷場所との依存関係に基づく選択肢の絞り込みは、被包装物の寸法を考慮した計算に基づき行えばよい。例えば、個別情報の画像寸法が指定された場合に、その個別情報を印刷可能な包み方の選択肢を求めるには、次のようにすればよい。すなわち、包み方ごとに、当該包み方に対応する個別情報の印刷場所の候補(これは図14の情報から特定される)の各面の寸法を求め(これら寸法は被包装物の寸法から計算される)、これら各面のうちその個別情報の画像寸法を収容できるものがあれば、当該包み方を選択肢の一つに選べばよい。このとき同時に、その包み方を選んだ場合における、その個別情報の印刷場所の候補も特定される。逆に、包み方が指定された場合には、当該包み方に対応する個別情報の印刷場所の候補の各面の寸法を計算することで、それら各面に印刷可能な個別情報の寸法の上限が求められる。
【0066】
次に、このようなパラメータ間の依存関係に応じた条件設定の流れを含む処理手順の例を、図15を参照して説明する。
【0067】
図15の手順では、まず被包装物形状・寸法入力UI113を介して、ユーザから被包装物の形状・寸法の入力を受け付ける(S30)。次に、条件設定受付部110を介して、包装紙印刷のための様々なパラメータ設定を受け付ける(S100)(詳細は後述)。そして、その設定に従って表面データ生成部124及び裏面データ生成部126が包装紙の表面及び裏面の画像データを生成し(S32)、これらデータを印刷装置150に送って用紙に印刷させる(S34)。
【0068】
S100の詳細な手順の例を、図16及び図17を参照して説明する。
【0069】
図16及び図17は、図14に例示したパラメータのうち、包装紙の模様がユーザから最初に選択された場合のパラメータ設定の流れを示す。包装を依頼する人(例えば被包装物を購入した顧客)が、包装紙の模様を最優先で考える場合、模様が最初に選択されることになる。この手順では、まず、ユーザ(包装依頼者自身、又はその依頼者からの依頼に応じて本システムを操作する操作者)が包装紙指定UI111を用いて、包装紙の模様を指定する(S102)。すると、包み方指定UI119は、包装条件DB136(特に模様制約と包み方の関係等)を参照して、その模様に対して選択可能な包み方の選択肢を抽出する(S104)。包み方指定UI119は、抽出された包み方の選択肢を提示し、ユーザから選択を受け付ける(S106)。包み方が選択されると、個別情報印刷指定UI117は、包装条件DB136(特にその包み方に対応する個別情報印刷場所抽出ルール等)を参照して、その包み方に対応する個別情報の印刷場所の候補(選択肢)を抽出する(S108)。そして、抽出された候補を提示し、ユーザから選択を受ける(S110)。そして、選択された印刷場所に印刷可能な範囲で、個別情報の画像寸法の指定を受け付ける(S112)。なお、印刷すべき個別情報は、別途入力されているものとする。以上により、包装紙の印刷パラメータがすべて指定されたことになり、S32(図15参照)に進む。
【0070】
S108の後、印刷場所の選択より前に個別情報印刷指定UI117に対してユーザから個別情報の画像寸法が指定された場合(S114)、S108で抽出された印刷場所の候補の中から、その画像寸法を収容可能な寸法を持つ印刷場所を候補として抽出し(S116)、抽出した候補をユーザに提示し、ユーザからの選択を受け付ける(S118)。このあと処理はS32に進む。
【0071】
S104の後、包み方の選択より前に個別情報印刷指定UI117に対してユーザから個別情報の印刷場所が指定された場合(S120)、包み方指定UI119は、S104で抽出された包み方の候補の中から、S120で指定された印刷場所が包装結果において外部に露出するものを更に抽出する(S122)。そして、S122で抽出された候補をユーザに提示し、その中から選択を受け付ける(S124)。その後、個別情報印刷指定UI117がユーザから個別情報の画像寸法の指定を受け付ける(S126)。このあと処理はS32に進む。
【0072】
S122の後、包み方の選択より前に個別情報印刷指定UI117に対してユーザから個別情報の画像寸法が指定された場合(S128)、包み方指定UI119は、S122で抽出された包み方の候補の中から、その画像寸法が収容可能な面が包装結果において外部に露出する包み方を更に抽出する(S130)。そして、S130で抽出された候補をユーザに提示し、その中から選択を受け付ける(S132)。このあと処理はS32に進む。
【0073】
S104の後、図17に示すように、包み方の選択より前に個別情報印刷指定UI117に対してユーザから個別情報の画像寸法が指定された場合(S134)、包み方指定UI119は、S104で抽出された包み方の候補の中から、その画像寸法が収容可能な面が包装結果において外部に露出する包み方を更に抽出する(S136)。また、被包装物の寸法から求められる被包装物の各面の面積から、S134で指定された寸法の画像を収容できる面を印刷場所の候補として抽出する(S138)。その後、包み方指定UI119を介して、ユーザから包み方の選択を受け付けると(S140)、個別情報印刷指定UI117がS138で抽出された印刷場所の候補の中から、その包み方での包装結果において外部に露出するものを抽出し(S142)、抽出した候補をユーザに提示し、ユーザから選択を受け付ける(S144)。このあと処理はS32に進む。
【0074】
S138の後、包み方の選択より前に個別情報印刷指定UI117に対してユーザから個別情報の印刷場所が指定された場合(S146)、包み方指定UI119は、S136で抽出された包み方の候補の中から、S146で指定された印刷場所が包装結果において外部に露出するものを更に抽出する(S148)。そして、S148で抽出された候補をユーザに提示し、その中から選択を受け付ける(S150)。このあと処理はS32に進む。
【0075】
図16及び図17の例は、包装紙の模様が最初に選択された場合の例であった。最初に選択又は指定されるのが、包み方、個別情報の印刷場所、又は個別情報の画像寸法である場合も、図16及び図17の例と同様、図13の依存関係に従って、先に選択されたパラメータの値に応じて、残りの各パラメータの選択肢が段階的に絞り込まれていく。例えば、最初に包み方が選択された場合、この選択に応じて包装紙の模様、個別情報の印刷場所、及び個別情報の画像寸法が制約されることになる。この後、例えば、個別情報の画像寸法が指定されると、その指定に応じて個別情報の印刷場所が更に制約されることになる。また、最初に個別情報の画像寸法が指定された場合、この指定に応じて包み方及び個別情報の印刷場所が制約されることになる。
【0076】
なお、以上に例示した手順において、パラメータの候補が1つに絞り込まれた場合には、ユーザの選択を求めずに自動的にその候補を選択してもよいし、その候補でよいかどうか、ユーザの確認を求めるようにしてもよい。
【0077】
また、以上の手順では、条件設定受付部110に対するパラメータ群の指定に続いて印刷処理を実行したが、これは一例に過ぎない。この代わりに、図11のS10〜S16の流れ、あるいは、図15のS100で指定されたパラメータの組合せをバリアブルデータとして(例えば図2の個別情報DB134に)保存しておき、後で複数のバリアブルデータをバッチ処理でレイアウトプログラムに適用することで、複数の包装紙をバッチ処理で印刷するようにしてもよい。
【0078】
また、以上の例では、包装物の各面を個別情報の印刷場所の単位とした。ただし、例えば図1の(b)に示すように、合わせ包みの場合、包装物10の底面のほぼ1/2ずつという広い面積の包装紙表面が外部に露出するので、これら露出する2つの領域を個別情報の印刷場所の候補に含めてもよい。
【0079】
以上に説明した実施形態の制御装置100は、例えば、汎用のコンピュータに上述の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)を制御するHDDコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタ、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。なお、それら機能モジュール群のうちの一部又は全部を、専用LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエア回路として構成してもよい。
【符号の説明】
【0080】
100 制御装置、110 条件設定受付部、111 包装紙指定UI、113 被包装物形状・寸法入力UI、115 個別情報入力UI、117 個別情報印刷指定UI、119 包み方指定UI、120 印刷データ生成部、122 DB検索部、124 表面データ生成部、126 裏面データ生成部、132 包装紙模様DB、134 個別情報DB、136 包装条件DB、150 印刷装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物の寸法を特定する寸法特定情報の入力を受け付ける被包装物寸法受付手段と、
前記被包装物に対する包装紙の包み方の選択を受け付ける包み方選択受付手段と、
受け付けた前記寸法特定情報から特定される前記被包装物の寸法及び選択された包み方に基づき、前記包装紙の裏面に印刷すべきガイド画像として、前記被包装物を前記包み方で包装する場合に前記被包装物を前記包装紙の裏面上に配置すべき配置位置を少なくとも示すガイド画像を生成するガイド画像生成手段と、
選択された包み方に基づき、前記包装紙の表面の領域のうち前記被包装物を包装したときに外部に露出する領域を、個別情報が印刷可能な領域として抽出する抽出手段と、
前記包装紙の表面のうち前記抽出手段が抽出した領域に前記個別情報を配置した表面画像を生成する表面画像生成手段と、
前記表面画像及び前記ガイド画像をそれぞれ前記包装紙の表面及び裏面に印刷するよう印刷装置を制御する印刷制御手段と、
を備える包装紙印刷装置。
【請求項2】
前記包装紙の模様の選択を受け付ける模様選択受付手段を更に備え、
前記包み方選択受付手段は、複数の包み方のうち、前記模様選択受付手段が受け付けた選択結果の模様に対応する包み方を候補として提示し、提示した候補の中から包み方の選択を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の包装紙印刷装置。
【請求項3】
前記個別情報の寸法を特定する情報を受け付ける個別情報寸法受付手段を更に備え、
前記包み方選択受付手段は、複数の包み方のうち、前記模様選択受付手段が受け付けた選択結果の模様に対応する包み方であり、かつ、前記包装紙の表面の領域のうち前記被包装物を包装したときに外部に露出する領域に、前記個別情報寸法受付手段が受け付けた情報が示す寸法の前記個別情報を印刷可能な包み方を特定し、特定した包み方を候補として提示し、提示した候補の中から包み方の選択を受け付ける、
ことを特徴とする請求項2に記載の包装紙印刷装置。
【請求項4】
前記個別情報の寸法を特定する情報を受け付ける個別情報寸法受付手段を更に備え、
前記包み方選択受付手段は、複数の包み方の中から、前記包装紙の表面の領域のうち前記被包装物を包装したときに外部に露出する領域に、前記個別情報寸法受付手段が受け付けた情報が示す寸法の前記個別情報を印刷可能な包み方を特定し、特定した包み方を候補として提示し、提示した候補の中から包み方の選択を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の包装紙印刷装置。
【請求項5】
コンピュータを、
被包装物の寸法を特定する寸法特定情報の入力を受け付ける被包装物寸法受付手段、
前記被包装物に対する包装紙の包み方の選択を受け付ける包み方選択受付手段、
受け付けた前記寸法特定情報から特定される前記被包装物の寸法及び選択された包み方に基づき、前記包装紙の裏面に印刷すべきガイド画像として、前記被包装物を前記包み方で包装する場合に前記被包装物を前記包装紙の裏面上に配置すべき配置位置を少なくとも示すガイド画像を生成するガイド画像生成手段、
選択された包み方に基づき、前記包装紙の表面の領域のうち前記被包装物を包装したときに外部に露出する領域を、個別情報が印刷可能な領域として抽出する抽出手段、
前記包装紙の表面のうち前記抽出手段が抽出した領域に前記個別情報を配置した表面画像を生成する表面画像生成手段、
前記表面画像及び前記ガイド画像をそれぞれ前記包装紙の表面及び裏面に印刷するよう印刷装置を制御する印刷制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
被包装物の寸法を特定する寸法特定情報の入力を受け付ける被包装物寸法受付手段と、
個別情報を、前記被包装物のどの面に対応する前記包装紙の領域に印刷するかの指定を受け付ける印刷場所受付手段と、
複数の包み方のうち、前記印刷場所受付手段に指定された領域が前記被包装物を包装したときに外部に露出する包み方を候補として提示し、提示した候補の中から包み方の選択を受け付ける包み方選択受付手段と、
受け付けた前記寸法特定情報から特定される前記被包装物の寸法及び選択された包み方に基づき、前記包装紙の裏面に印刷すべきガイド画像として、前記被包装物を前記包み方で包装する場合に前記被包装物を前記包装紙の裏面上に配置すべき配置位置を少なくとも示すガイド画像を生成するガイド画像生成手段と、
前記包装紙の表面のうち前記印刷場所受付手段に対して指定された前記印刷場所に前記個別情報を配置した表面画像を生成する表面画像生成手段と、
前記表面画像及び前記ガイド画像をそれぞれ前記包装紙の表面及び裏面に印刷するよう印刷装置を制御する印刷制御手段と、
を備える包装紙印刷装置。
【請求項7】
コンピュータを、
被包装物の寸法を特定する寸法特定情報の入力を受け付ける被包装物寸法受付手段、
個別情報を、前記被包装物のどの面に対応する前記包装紙の領域に印刷するかの指定を受け付ける印刷場所受付手段、
複数の包み方のうち、前記印刷場所受付手段に指定された領域が前記被包装物を包装したときに外部に露出する包み方を候補として提示し、提示した候補の中から包み方の選択を受け付ける包み方選択受付手段、
受け付けた前記寸法特定情報から特定される前記被包装物の寸法及び選択された包み方に基づき、前記包装紙の裏面に印刷すべきガイド画像として、前記被包装物を前記包み方で包装する場合に前記被包装物を前記包装紙の裏面上に配置すべき配置位置を少なくとも示すガイド画像を生成するガイド画像生成手段、
前記包装紙の表面のうち前記印刷場所受付手段に対して指定された前記印刷場所に前記個別情報を配置した表面画像を生成する表面画像生成手段、
前記表面画像及び前記ガイド画像をそれぞれ前記包装紙の表面及び裏面に印刷するよう印刷装置を制御する印刷制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−171633(P2012−171633A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33096(P2011−33096)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】