説明

包装袋

【課題】 吸湿インジケータ機能を有し、人体に有害な重金属を用いることなく、乾燥剤を混合した樹脂フィルムが吸湿に伴って透明性を増すことを利用し、文字や数字或いは絵柄等によるインジケータパターンにより、外観からインジケータパターンを視認することができるようにした吸湿インジケータ機能付きの包装袋を提供することを目的とする。
【解決手段】 吸湿インジケータ機能付きの包装袋が第1包装材10と第2包装材20とからなり、第1包装材10の最外面若しくは第1と第2包装材の最外面に水蒸気バリア性を有する透明性バリアフィルムを有し、第2包装材20が光反射又は光吸収フィルムと該フィルムの袋内側に吸湿インジケータパターン30を印刷したパターン印刷フィルム23とが積層され、かつ第1と第2包装材の少なくとも一方の袋内側に乾燥剤含有樹脂フィルムが積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿インジケータ機能付きの包装袋に関し、詳しくは湿気から保護したい物品、例えば食品、電子部品、医薬品、書類等の種々の物品を包装袋に収納して密封し、この袋内の吸湿性能を目視することができるとともに、包装袋自体の防湿性能をも確認することができる包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、乾燥製品ではシリカゲル、塩化カルシウム等の乾燥剤を小袋に包装して包装体内に同封し利用しているが、包装の作業性が悪い。また、シリカゲル自体は白色の物質であり、外観からは吸湿性能を確認することができない。
【0003】
このようなことから吸湿性能を確認可能なもの、即ち吸湿インジケータ機能付きの乾燥剤とし、シリカゲルに塩化コバルトを混合し、乾燥状態では青色を呈し、大気中の湿気を吸収して桃色を呈するようにしたものがある。しかし、現在ではコバルトのような重金属を使用し、塵として排出され焼却されると重金属が生活環境空間に排出されることになり、環境面等から極力避けたいという事情があり、脱コバルトを目指した吸湿インジケータ機能を有する乾燥剤が開発されている。
【0004】
また、吸湿機能を有する包装体としては、図5に示す円柱状の吸湿容器があり、この吸湿容器はスクリューネジ式中空容器(最外層)1とインナー容器(最内層)2とを別々に射出成形し、一体化したものであり、スクリューネジ式中空容器1にキャップ3を閉じて収納容器とし、インナー容器1が吸湿性を示すインジケータ機能を有する樹脂組成物で成形されている。この樹脂組成物には合成ゼオライト3aを混合したものが用いられ、インナー容器2が吸湿後に鮮やかな黄色に変色することを利用して吸湿の度合い確認するものである。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】特開2004−331855号公報(明細書全文,図面図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例として示した特許文献1は、インジケータ機能付きの包装体であって、スクリューネジ式中空容器とインナー容器とを一体化した収容容器の口をキャップで閉じる形態のものであり、収容容器内のインナー容器が、吸湿により色調変化を伴うインジケータ機能を有する樹脂組成物で構成されている。この包装体では、吸湿状態を外部から効果的に視認することができない。
【0007】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであって、吸湿インジケータ機能を有し、人体に有害な重金属を用いることなく、乾燥剤を混合した樹脂フィルムが吸湿に伴って透明性を増すことを利用し、文字や数字或いは絵柄等によるインジケータパターンにより、外観からインジケータパターンを視認することができるようにした吸湿インジケータ機能付きの包装袋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を達成したものであり、請求項1の発明は、吸湿インジケータ機能付きの包装袋であって、前記包装袋が少なくとも第1包装材と第2包装材とからなり、第1包装材の最外面若しくは第1と第2包装材の最外面に水蒸気バリア性を有する透明性バリアフィルムを有し、第2包装材が光反射又は光吸収フィルムと該フィルムの袋内側にパターン印刷層を設け、かつ第1と第2包装材の少なくとも一方の袋内側に乾燥剤含有樹脂フィルムが一部または全面に積層されていることを特徴とする包装袋である。なお、この包装袋は第1包装材と第2包装材とがヒートシール等により4方を密封し、収納物品を湿気から保護する。また、3方をヒートシールしたものも含まれ、物品を収納し残りの一辺をヒートシール等により密封して使用する。
【0009】
また、請求項2の発明は、前記乾燥剤含有樹脂フィルムが乾燥剤含有樹脂層と熱可塑性樹脂層を積層したものであることを特徴とする請求項1に記載の包装袋である。熱可塑性樹脂フィルムは、例えばポリオレフィンが好ましい。
【0010】
また、請求項3の発明は、前記透明性バリアフィルムが、フィルムにシリカ又はアルミナの蒸着膜、またはこれらの多層蒸着膜、シリコン窒化物の蒸着膜若しくはバリア性塗料をコーティング、蒸着膜へバリア性塗料をコーティングした層を有するフィルムであり、該透明性バリアフィルムの防湿性能が0.001〜100(g/m/day)であることを特徴とする請求項1又2に記載の包装袋である。なお、上記遷移金属酸化物は環境に負荷を与えないものを選択し、第1と第2包装材のバリア性能は略等しいものが好ましい。
【0011】
また、請求項4の発明は、前記光反射フィルムが、アルミラミネートフィルム、アルミ蒸着フィルム、無機蒸着フィルム、若しくは無機酸蒸着フィルムによる金属光沢を持つフィルムであり、又前記光吸収フィルムが、光吸収性材料を塗布又は含有するもの、若しくは光吸収性材料を塗布又は積層したフィルムを積層したフィルムであり、何れも防湿性能が0.001〜100(g/m/day)であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の包装袋である。
【0012】
また、請求項5の発明は、前記パターン印刷層が上記乾燥剤樹脂フィルム又はポリオレフィンフィルム又は光反射若しくは光吸収フィルム上に設けられ、該乾燥剤樹脂フィルム又は該ポリオレフィンフィルム又は光反射若しくは光吸収フィルムの少なくとも片面に文字、数字、絵柄又はこれらを適宜複合した図柄を印刷したものであり、前記乾燥剤含有熱可塑性樹脂フィルムに含有する乾燥剤の吸湿状態が飽和に達するに連れて透明になり、前記パターンを袋内若しくは袋外から視認することができることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の包装袋である。なお、吸湿インジケータパターンは、物品の湿気に対する保存限界を示し、例えば文字で「保存限界に達しました」等と標記してもよいし、これらと絵柄を組み合わせたものであってもよいし、また、文字、数字等の印刷濃度の異なるものを用いて、濃度の濃いものから順次視認し得るようにして、保存限界を段階的に確認できるようにしてもよい。また、パターン印刷フィルムには、その外面側、即ち吸湿インジケータパターンとは反対面に印刷層を設けてもよい。
【0013】
また、請求項6の発明は、前記乾燥剤含有樹脂フィルムに混在する乾燥剤が、ゼオライト、シリカゲル、アルミナの少なくとも1種類以上を含有するものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の包装袋である。
【0014】
また、請求項7の発明は、前記第1包装材または前記第2包装材を袋形状または容器形状としたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の包装袋である。
【0015】
また、請求項8の発明は、前記第1と第2包装材からなる吸湿インジケータ機能付きの包装袋に収納される物品の表面側が第1包装材であり、該物品の背面側が第2包装材であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の包装袋である。
【0016】
また、請求項9の発明は、前記光吸収フィルムが、黒を印刷したフィルム又はカーボンブラックを熱可塑性樹脂に混合したフィルムであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の包装袋である。
【0017】
また、請求項10の発明は、前記乾燥剤含有樹脂フィルムに光散乱物質を混合又は塗布したことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の包装袋である。
【0018】
また、請求項11の発明は、前記透明性バリアフィルムに光散乱物質を塗布したことを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の包装袋である。
なお、本発明の包装袋は、第1と第2包装材からなる吸湿インジケータ機能付きの3方シール袋,或いは4方シール袋、ガゼット袋、スタンディングパウチ等の包装袋であるが、物品の収納部を第2包装材の両側に設けた形態であってもよいし、第2包装材を容器状に成形したものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明では、吸湿インジケータ機能付きの包装袋であって、前記包装袋が少なくとも第1包装材と第2包装材とからなり、第1包装材の最外面若しくは第1と第2包装材の最外面に水蒸気バリア性を有する透明性バリアフィルムを有し、第2包装材が光反射又は光吸収フィルムと該フィルムの袋内側にパターン印刷層を設け、かつ第1と第2包装材の少なくとも一方の袋内側に乾燥剤含有樹脂フィルムが一部または全面に積層されていることを特徴とする包装袋であるので、乾燥剤含有樹脂フィルムの吸湿が進むに連れて透明性が増し、第1包装材の袋内側に乾燥剤含有樹脂フィルムが積層されている場合、乾燥剤含有樹脂フィルムが次第に透明になり、内容物が確認できるようになるとともに、インジケータ機能を有するフィルム(パターン印刷フィルム)のパターン(吸湿インジケータパターン)を視認することができ、包装袋としての吸湿性能が限界に達していることを確認することができる。また、第2包装材の袋内側に乾燥剤含有樹脂フィルムが積層されている場合、予め内容物が確認できるとともに、乾燥剤含有樹脂フィルムが吸湿により次第に透明になり、パターン印刷フィルムの吸湿インジケータパターンが視認できるようになり、包装袋としての吸湿性能が限界に達していることを確認することができる。また、第1と第2包装材の両方に乾燥剤含有樹脂フィルムが積層されている場合、外観からは内容物を視認することはできないが、両方の乾燥剤含有樹脂フィルムの吸湿性能が飽和に達すると、パターン印刷フィルムの吸湿インジケータパターンを視認することができ、収納物品を湿気から保護することができる。また、第1と第2包装材の両方に乾燥剤含有樹脂フィルムが積層されることによって、包装袋内の吸湿性能を長時間保つことが可能である利点がある。さらにまた、包装袋自体にピンホールが存在すれば、第1包装材および/または第2包装材に積層された乾燥剤含有樹脂フィルムが透明化し、吸湿インジケータパターンが発現し、包装袋自体の良否を容易に判定することができ、内容物の管理に極めて有効である。また、パターンや乾燥剤含有樹脂フィルムを一部または全面に設ける構成とすることができる。
【0020】
また、請求項2の発明では、前記乾燥剤含有樹脂フィルムが乾燥剤含有樹脂層と熱可塑性樹脂層を積層したものであることを特徴とする請求項1に記載の包装袋であるので、第1包装材に乾燥剤含有樹脂フィルムが積層されている場合も所望の吸湿性能を維持し、かつ熱可塑性樹脂フィルムの機械的強度を保つことができ、種々の用途に対応できる利点がある。
【0021】
また、請求項3の発明では、前記透明性バリアフィルムが、フィルムにシリカ又はアルミナの蒸着膜、またはこれらの多層蒸着膜、シリコン窒化膜の蒸着膜若しくはバリア性塗料をコーティング、蒸着膜へバリア性塗料をコーティングした層を有するフィルムであり、該透明性バリアフィルムの防湿性能が0.001〜100(g/m/day)であることを特徴とする請求項1又2に記載の包装袋であるので、第1と第2包装材のバリア性能を略等しく、かつ要求される吸湿性能に応じて透明性バリアフィルムの防湿性能を選択することができし、高い防湿性能を維持することができる包装袋を提供できる利点がある。
【0022】
また、請求項4の発明では、前記光反射フィルムが、アルミラミネートフィルム、アルミ蒸着フィルム、無機蒸着フィルム、若しくは無機酸蒸着フィルムによる金属光沢を持つフィルムであり、又前記光吸収フィルムが、光吸収性材料を塗布又は含有するもの、若しくは光吸収性材料を塗布又は積層したフィルムを積層したフィルムであり、何れも防湿性能が0.001〜100(g/m/day)であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の包装袋であるので、光吸収又は光反射フィルムが用いられており、その袋内側に積層されたパターン印刷フィルムのインジケータパターンとの色差が顕著なものとなり、乾燥剤含有樹脂フィルムが吸湿して光透過性が増した際のインジケータパターンの視認性が良好である利点があり、かつ第1と第2包装材のバリア性能を略等しく、かつ要求される吸湿性能に応じて透明性バリアフィルムの防湿性能を選択することができし、高い防湿性能を維持することができる包装袋を提供できる利点がある。
【0023】
また、請求項5の発明では、前記パターン印刷層が上記乾燥剤含有樹脂フィルム又はポリオレフィンフィルム又は光反射若しくは光反射フィルム上に設けられ、該乾燥剤含有樹脂フィルム又は該ポリオレフィンフィルム又は光反射若しくは光反射フィルムの少なくとも片面に文字、数字、絵柄又はこれらを適宜複合した図柄を印刷したものであり、前記乾燥剤含有熱可塑性樹脂フィルムに含有する乾燥剤の吸湿状態が飽和に達するに連れて透明になり、前記パターンを袋内若しくは袋外から視認することができることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の包装袋であるので、吸湿限界に達すると、包装袋の外観から吸湿インジケータパターンを視認することが可能であり、湿気に対する内容物の管理が容易である利点がある。なお、吸湿インジケータパターンは、物品の保存限界を示す、例えば「保存限界に達しました」等と標記してもよいし、これらと絵柄を組み合わせたものであってもよいし、また、文字、数字等の印刷濃度の異なるものを用いて、濃度の濃いものから順次視認し得るようにして、保存限界を段階的に視認できるようにし、内容物の管理に効果的である。また、パターン印刷フィルムには、その外面側、即ち吸湿インジケータパターンとは反対面に印刷層を設けることによって、光濃度差を増大させて吸湿インジケータパターンの視認を良好なものとすることができる。
【0024】
また、請求項6の発明では、前記乾燥剤含有樹脂フィルムに混在する乾燥剤が、ゼオライト、シリカゲル、アルミナの少なくとも1種類以上を含有するものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の包装袋であるので、これらの物質から用途に応じて適宜選択し、しかも人体に害を与えない物質が選択され、乾燥剤含有樹脂フィルムの吸湿性能が飽和に達すると透明性が良好になり、なお、第2包装材には乾燥剤含有樹脂フィルムの外側に光反射フィルム或いは光吸収フィルムが積層されており、光濃度差が十分に確保されるので、乾燥剤含有樹脂フィルムの吸湿性能が飽和に達した際、透明性であれば多少色彩を帯びたとしても吸湿インジケータパターンに問題を与えることがない利点がある。また、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸塩化合物、酸化バリウム、活性炭、粘土化合物等の吸着剤を本発明の効果を失わない程度に含有させることで目的に応じた吸着性能を付加することができる。
【0025】
また、第1包装材と第2包装材の両方に乾燥剤含有樹脂フィルムを設け、第1包装材の防湿性能が第2包装材が第2包装材に比べて低い場合、第1包装材側の乾燥剤含有樹脂フィルムが先に透明になり、内容物が視認できるようになった後、第2包装材側の乾燥剤含有樹脂フィルムが次第に透明になり、その下層の吸湿インジケータパターンが視認できるようになる。また、乾燥剤含有樹脂フィルムが両方に設けられることで、吸湿性能を長期間持続させることができるし、収納物品の防湿管理を段階的に行うことが可能になる。
【0026】
また、請求項7の発明では、前記第1包装材または前記第2包装材を袋形状または容器形状としたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の包装袋であるので、収納部分が少なくとも2カ所存在する形状とすることで、水分により機能の劣化する化合物等と液体とを使用直前に混合させて用いるような用途等で化合物等の袋側の吸湿状態を確認することができるという利点がある。
【0027】
また、請求項8の発明では、前記第1と第2包装材からなる吸湿インジケータ機能付きの包装袋に収納される物品の表面側が第1包装材であり、該物品の背面側が第2包装材であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の包装袋であるので、吸湿インジケータパターンが収納物品の表面を覆い、収納物品の確認ができなくなったり、意匠性を悪化させることがない利点がある。
【0028】
また、請求項9の発明では、前記光吸収フィルムが、黒を印刷したフィルム又はカーボンブラックを熱可塑性樹脂に混合したフィルムであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の包装袋であるので、吸湿インジケータパターンの色彩とのコントラストを強調し、パターンの視認性を良好なものにし得る利点がある。
【0029】
また、請求項10の発明では、前記乾燥剤含有樹脂フィルムに光散乱物質を混合又は塗布したことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の包装袋であるので、乾燥剤含有樹脂フィルムの乾燥剤の吸湿性能が飽和に達した際、パターンの視認性が一層良好になる。光散乱物質としては、ガラスビーズ、シリカ、アクリルビーズ等の球形のものが好ましい。
【0030】
また、請求項11の発明では、前記透明性バリアフィルムに光散乱物質を塗布したことを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の包装袋であるので、インジケータパターンの視認性が良好になる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る吸湿インジケータ機能付きの包装袋の実施形態について、図面を参照して説明する。本発明の実施形態では、包装袋の表面側(収納物品の表面側)に乾燥機能を有するフィルムが設けた包装袋と、乾燥機能を有するフィルムが包装袋の表面側には設けないで、包装袋の背面(収納物品の背面側)にのみ設けた包装袋とに大別して説明する。
【0032】
先ず、図1(a),(b)は、本発明の一実施形態を示す一部切欠斜視図であり、同図(a)は包装袋内の吸湿性が保たれている状態を示し、同図(b)は包装袋内の吸湿性が飽和に達した状態を示し、吸湿インジケータパターン30が視認できる。本実施形態は、包装袋の表面側に乾燥剤含有樹脂フィルムが設けられ、第1包装材10と第2包装材20の周囲がヒートシール部40で密封された4方シール袋である包装袋であり、第1包装材10と第2包装材20との空間(袋内)に収納物品Aが収納されている。本実施形態には図2(a)〜(d)に示す各種形態がある。これらの包装袋は、第1包装材10と第2包装材20と任意寸法で方形に裁断され、3方をヒートシールした後、物品Aを収納し、残りの一辺をヒートシールして密封して使用する、防湿性能を有する吸湿インジケータ機能付き包装袋である。
【0033】
図2(a)〜(d)の各実施形態について順次説明する。図2(a)の実施形態は、第1包装材10と第2包装材20とからなり、第1包装材10が乾燥剤含有樹脂フィルム11と透明性バリアフィルム12とを積層した積層フィルムであり、透明性バリアフィルム12が第1包装材10側の最外面を覆っている。第2包装材20は、熱可塑性樹脂フィルム22とパターン印刷フィルム23と光反射または光吸収フィルム24との積層フィルムである。乾燥剤含有樹脂フィルム11は、ゼオライトを含有する樹脂組成物を用い、乾燥剤含有樹脂フィルム11を成形する際に、その片面または両面にポリオレフィン(例えばLLDPE)を共押し出しで積層したものである。ポリオレフィン樹脂を用いることによって、第1包装材10の強度を高めることができるし、ゼオライトを含有する樹脂組成物のフィルム平面を平坦なものとし、透明性バリアフィルム12の透明感をより際だたせることができる。
【0034】
第1包装材10の透明性バリアフィルム12は、例えばポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する)またはポリエステルフィルムが用いられる。また、透明性バリアフィルム12は、水蒸気やガスバリア性フィルムのものが好ましく、例えば、シリカやアルミナなどの蒸着フィルム、又は窒化物をスパッタリングしたフィルム、Kコートフィルム(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体ラックスを塗布したフィルム)、OPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、OPEフィルム(延伸ポリエチレンフィルム)等が用いられる。また、共押出フィルム、ポリイミド、ポリカーボネート、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルファイド)等のエンジニアプラスチック系フィルム、PTFE等のフッ素系樹脂フィルム等も使用できる。この透明性バリアフィルム12の防湿性能は、0.001〜100(g/m/day)が望ましい。
【0035】
乾燥剤含有樹脂フィルム11は次のように製造する。先ず、ベース樹脂にゼオライトを5〜80重量%混合し、さらにこれらの親和性を高めるため添加剤としてエチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸共重合体等を混合比1〜20重量%を添加してフイルム状に成形する。乾燥剤含有樹脂のフイルム成形に際し、その片面または両面にポリオレフィン(例えばLLDPE)を共押し出しで積層する。なお、ゼオライトの混合比は、好ましくは、重量比で約40〜80重量%と、さらに好ましくは重量比で約50〜80重量%とする。
【0036】
また、このベース樹脂には熱可塑性樹脂が用いられ、例えばLDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、各種共重合体(コポリマー)として、アイオノマー、EAA、EMAA、EVA、EEA、EMA、EMMA等から1種又は複数種を混合して用いられ、このような樹脂の中から高MFR(メルトフローレート)、好ましくは温度190℃、荷重21.18Nの条件下で測定したMFR(g/10分)が10以上のものを含むように適宜選んで使用する。
【0037】
また、ゼオライトは、3Åから10Åの細孔径を有する粉末状の無機多孔性物質であり、好適な吸着剤として用いられる。その平均粒子径は、例えば10μm前後のものが好適に用いられる。ゼオライトは極性を有し、分子の大きさの違いによって物質を分離するのに用いられる多孔質の粒状物質であり、均一な細孔をもつ構造であり、細孔の空洞に入る小さな分子を吸収して一種のふるいの作用をする。また、乾燥剤は、ゼオライト以外に、酸化カルシウム、シリカゲル、塩化カルシウム、硫酸塩化合物、酸化バリウム、アルミナ、活性炭、粘度化合物の少なくとも1種類以上を含有するものであってもよいが、好ましくは合成又は天然ゼオライトが好ましい。
【0038】
次に、第2包装材20について説明する。第2包装材20は収納物品Aの背面側になる積層フィルムであり、第2包装材20の袋内側が熱可塑性樹脂フィルム22であり、熱可塑性樹脂フィルム22の外面側に、パターン印刷フィルム23、光反射フィルムまたは光吸収フィルム24が順次積層される。なお、パターン印刷フィルム23、光反射フィルムまたは光吸収フィルム24を積層した後、熱可塑性樹脂フィルム22を積層してもよいし、適宜共押し出し法を駆使して積層してもよい。
【0039】
熱可塑性樹脂フィルム22は、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ナイロン、ポリエステル(PET、PBT、PEN)、PAN(ポリアクリロニトリル)、各種共重合体(コポリマー)としてアイオノマー、EAA、EMAA、EVA、EVOH、EEA、EMA、EMMA等から1種又は複数種を混合して用いられる。また、PTFE等のフッ素系樹脂も使用できる。熱可塑性樹脂フィルム22は、第1包装材10と第2包装材20とを貼り合わせて周囲をヒートシールして密封する際に良好な材質を適宜選択すればよい。
【0040】
パターン印刷フィルム23は、例えばポリオレフィンフィルムを用いて第2包装材20の機械的強度を高めるようにし、パターン印刷フィルム23には、湿度インジケータとしての吸湿インジケータパターン30が片面に印刷されている。吸湿インジケータパターン30は、パターン印刷フィルム23が熱可塑性樹脂フィルム22と張り合わされる面に印刷されている。吸湿インジケータパターン30の印刷に用いるインキは、樹脂に対する顔料或いは染料の重量比が、0.01〜200重量%で、その膜厚は、0.3μm〜100μmの範囲のものを使用する。
【0041】
光反射または光吸収フィルム24は、光反射フィルムまたは光吸収フィルムの何れかが用いられ、吸湿インジケータパターン30との光濃度差が顕著になるように設けられる層であり、光反射フィルム24としては、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着フィルム、錫箔、錫蒸着フィルム、ニッケル箔等の光反射性を有する金属箔、金属蒸着フィルムが用いられる。
【0042】
または、光吸収フィルム24としては、黒インキが印刷されたフィルムやカーボンブラックが熱可塑性樹脂に混合されてたフィルム成形されたものが用いられる。また、パターン印刷フィルム23に吸湿インジケータパターン30が形成された面とは反対面に、吸湿インジケータパターン30の背景色となる白、黒、赤、青、緑、黄、藍、シアン、マゼンダの何れか又はそれらを混合したインキを塗工し、光吸収フィルム24を兼ねてもよい。この背景色は吸湿インジケータパターン30を視認する際の光濃度差を顕著なものとするものであり、背景色の色彩は吸湿インジケータパターン30の色彩との兼ね合いで設定される。無論、光吸収フィルム24に白、黒、赤、青、緑、黄、藍、シアン、マゼンダの何れか又はそれらを混合したインキを塗工してもよい。
【0043】
この実施形態の包装袋は、物品Aを収納した際、図1(a)に示したように、第1包装材10が白濁しており、第1包装材10側からは収納物品Aを視認することができない。乾燥剤含有樹脂フィルム11の乾燥剤の吸湿性能が飽和に近づくと、乾燥剤含有樹脂フィルム11が次第に透明になり、収納物品Aが視認できるようになるとともに、吸湿インジケータパターン30が視認できるようになる。乾燥剤が完全に飽和状態に達すると、図1(b)に示したように、乾燥剤含有樹脂フィルム11が略透明になり、収納物品A及び第2包装材20の内面に「KP」と印刷した吸湿インジケータパターン30が視認できる。
【0044】
因みに、吸湿インジケータパターン30は、「KP」等の文字が印刷されたものであるが、数字、絵柄、またはこれらを適宜複合した図柄を印刷したものであってもよく、乾燥剤含有熱可塑性樹脂フィルム11に含有する乾燥剤が吸湿して飽和に達するに連れ透明性が増し、吸湿インジケータパターン30を袋内(開封した場合)若しくは袋外から視認することができる。吸湿インジケータパターン30は、収納物品Aの保存限界を示す、例えば「保存限界に達しました」といった標記としてもよい。また、これらと絵柄を組み合わせたものであってもよい。また、文字、数字等の印刷濃度の異なるものを用いて、濃度の濃いものから順次視認し得るようにして、内容物品Aの保存限界が段階的に視認できるようにし、内容物品Aの防湿管理に有効である。
【0045】
また、この実施形態では、光反射または光吸収フィルム24或いは透明性バリアフィルム12にピンホールが存在する場合、このピンホールを通して外界の湿気が袋内に侵入し、比較的短い時間で乾燥剤含有樹脂フィルム11の乾燥剤の吸湿性能が飽和に達し、乾燥剤含有樹脂フィルム11が全体又は部分的に透明になり、吸湿インジケータパターン30が視認できることによって、この包装袋が防湿袋として機能を果たさないことを判定することができる。
【0046】
次に、図2(b)の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同一部分には同一符号が付与されている。この実施形態では、第1包装材10と第2包装材20との両面に乾燥剤含有樹脂フィルムが設けられており、第1包装材10の袋内側に乾燥剤含有樹脂フィルム11が設けられ、第2包装材20の袋内側に乾燥剤含有樹脂フィルム21が設けられている。乾燥剤含有樹脂フィルム21の外側には、吸湿インジケータパターン30が印刷されたパターン印刷フィルム23、光反射または光吸収フィルム24が順次積層されている。乾燥剤含有樹脂フィルム21は図2(a)の乾燥剤含有樹脂フィルム11と同様のものである。
【0047】
この実施形態では、第1包装材10と第2包装材20との両面に乾燥剤含有樹脂フィルム11,21が設けられており、乾燥剤含有樹脂フィルム11,21に含有する乾燥剤の吸湿性能が飽和に達しない限り、吸湿インジケータパターン30を視認することができない。また、吸湿インジケータパターン30の視認性を良好なものとするために、吸湿インジケータパターン30の光濃度差を拡大する必要があり、パターン印刷フィルム23の外面側には、アルミ箔ラミネートフィルム等の反射率の高い光反射吸収フィルム24を積層するのが望ましい。一方、第1包装材10と第2包装材20との両面に乾燥剤含有樹脂フィルムが設けられるので、透明性バリアフィルム12の性能にも依存するが、袋内全面が乾燥剤含有層であり、図2(a)の実施形態よりも防湿袋としての機能を長時間維持できる。
【0048】
次に、図2(c)の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同一部分には同一符号が付与されている。この実施形態では、第1包装材10が上記実施形態と同様に透明性バリアフィルム12と乾燥剤含有樹脂フィルム11との積層体であり、第2包装材20は、その袋内側に熱可塑性樹脂フィルム22が設けられ、熱可塑性樹脂フィルム22の外側に、吸湿インジケータパターン30が印刷されたパターン印刷フィルム23、光反射または光吸収フィルム24、及び透明性バリアフィルム25が順次積層されている。この実施形態では、包装袋の最外面に透明性バリアフィルム12,25が積層されており、乾燥剤含有樹脂フィルム11の吸湿性能が長期間維持できる包装袋である。
【0049】
この実施形態の透明性バリアフィルム25は、ガスバリア性フィルムのものが好ましく、必ずしも透明である必要はなく、例えばアルミラミネートフィルム、アルミ蒸着フィルム等を含む、無機蒸着フィルム、無機酸化物蒸着フィルム、Kコートフィルム(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体ラックスを塗布したフィルム)、OPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、OPEフィルム(延伸ポリエチレンフィルム)等が用いられる。また、共押出フィルム、ポリイミド、ポリカーボネート、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルファイド)等のエンジニアプラスチック系フィルム、PTFE等のフッ素系樹脂フィルム等も使用できる。このように両面をバリア性フィルムで覆うことによって、フィルムの飽和到達時間を、例えば1日から100日以上の範囲での制御が可能となる。なお、第1と第2包装材10,20のバリア性能を略等しく、かつ要求される吸湿性能に応じて透明性バリアフィルム12,25の防湿性能を選択することにより、半永久的に防湿性能を維持することができる包装袋とすることができる。
【0050】
また、第1包装材10の透明性バリアフィルム12は、上記実施形態と同様のものが用いられる。透明性バリアフィルム12は、透明性が要求されるために、アルミラミネートフィルム等の光反射性のフィルムは使用することができないが、フィルムにシリカ又はアルミナの蒸着膜、またはこれらの多層蒸着膜、シリコン窒化物の蒸着膜若しくはバリア性塗料をコーティング、蒸着膜へバリア性塗料をコーティングした層を有するフィルムを用いることができ、この透明性バリアフィルム12の防湿性能は、0.001〜100(g/m/day)である。
【0051】
次に、図2(d)の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同一部分には同一符号が付与されている。本実施形態は、第1包装材10と第2包装材20との両面に透明性バリアフィルム12,25が設けられ、かつ第1包装材10に乾燥剤含有フィルム11が設けられ、第2包装材20に乾燥剤含有フィルム21が設けられている。乾燥剤含有フィルム11,12は上記実施形態と同様にものであり、乾燥剤含有樹脂フィルムの両面をポリオレフィン樹脂が被覆したものである。乾燥剤含有フィルム21の外側には、吸湿インジケータパターン30が印刷されたパターン印刷フィルム23、光反射または光吸収フィルム24、及び透明性バリアフィルム25が順次積層されている。
【0052】
この実施形態では、第1包装材10と第2包装材20の包装袋の最外面に透明性バリアフィルムが積層されており、図2(b)の実施形態よりも乾燥剤含有樹脂フィルム11,21の吸湿性能が長時間維持できる。また、第1包装材10と第2包装材20には、乾燥剤含有樹脂フィルム11,21がそれぞれ設けられており、吸湿インジケータパターン30の視認性が多少悪くなるが、光濃度差を拡大するためにアルミ箔ラミネートフィルム等の光反射フィルム24を外面に積層するのが好ましい。また、乾燥剤含有樹脂フィルム21の表面にポリオレフィンが被覆されることによって、視認性が良好になる。
【0053】
次に、図3(a),(b)の実施形態について説明する。図3(a),(b)は本実施形態の包装袋の一部切欠斜視図であり、第1包装材10と第2包装材20との周囲の4方がヒートシール部40で封止され、装内に物品Aが収納されている。本実施形態について、図4(a),(b)に示した。本実施形態は、図2(a)〜(d)の実施形態とは異なり、第1包装材10が透明な積層フィルムであり、乾燥剤含有樹脂フィルムが第2包装材20に設けられている。図3(a)にように、包装袋の外観から収納物品Aを確認することができる。なお、図3(a)は乾燥剤含有樹脂フィルムの吸湿性能が維持されていることを示し、第2包装材20の袋内面の吸湿インジケータパターン30を視認することができない。図3(b)は吸湿インジケータパターン30を視認することができ、乾燥剤含有樹脂フィルムの吸湿性能が飽和状態に達したことを示している。
【0054】
図4(a),(b)の各形態に基づいて説明する。なお、上記実施形態と同一部分には同一符号が付与されている。図4(a)の実施形態は、第1包装材10が包装袋の最外層となる透明性バリアフィルム12と熱可塑性樹脂フィルム(シーラントフィルム)13とが積層された積層フィルムである。第2包装材20は、乾燥剤含有樹脂フィルム21の外側に吸湿インジケータパターン30が印刷されたパターン印刷フィルム23が積層され、パターン印刷フィルム23に光反射または光吸収フィルム24が積層されている。熱可塑性樹脂フィルム13は、上記実施形態の熱可塑性樹脂フィルム22と同一のものであり、シール性の良好な材質が選択される。
【0055】
また、図4(b)の実施形態は、第1包装材10が最外層の透明性バリアフィルム12に熱可塑性樹脂フィルム(シーラントフィルム)13が積層された積層フィルムである。第2包装材20は、乾燥剤含有樹脂フィルム21の外側に吸湿インジケータパターン30が印刷されたパターン印刷フィルム23、光反射または光吸収フィルム24、及び透明性バリアフィルム25が順次積層されている。この実施形態では、包装袋の最外層がバリア性フィルムで覆われている。バリア性フィルム13は、透明性であるが、透明性バリアフィルム25は必ずしも透明性である必要がなく、水蒸気バリア性が良好なものであればよい。
【0056】
図4の実施形態では、第2包装材20に乾燥剤含有樹脂フィルム21が設けられ、乾燥剤含有樹脂フィルム21が白濁をしているが、その乾燥剤が吸湿して飽和状態に達すると白濁から透明への変化が起こり、第2包装材の透明に変化した乾燥剤含有樹脂フィルム21を通してパターン印刷フィルム23の吸湿インジケータパターン30を視認することができる。
【0057】
また、上記実施形態も同様であるが、図4の実施形態においても、ゼオライトフィルム単独ではフィルム表面が樹脂とゼオライトが混じり合っている状態であるため荒く、光の透過率が低くなる。また、ゼオライトフィルムのみでは大気中の水分の吸収速度は非常に速く、飽和到達時間の制御が困難であり、かつフィルム強度は劣る。そこで、ポリオレフィンのような材質のフィルムを共押出し法により積層することによって、フィルム全体の強度を高め、かつフィルム表面の粗さを減少させ、かつゼオライト結晶凝集体の離脱を押さえ、さらに吸湿による透明化をより際だたせる効果を発揮する。また、フィルムを貼り合わせることによって吸湿速度をフィルムの材質や厚さにより制御することも可能になる。なお、ここで用いるポリオレフィンは透明のものである。
【0058】
また、透明性バリアフィルム25がポリエステルとすると、水分の透過に対するバリア性を有しているため、これを貼ることにより片面あるいは両面からの吸湿を制御することが、さらに可能となる。なお、透明性バリアフィルム12は、ガスバリア性の透明フィルムが好ましく、例えば無機蒸着フィルム、無機酸化物蒸着フィルム、Kコートフィルム(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体ラックスを塗布したフィルム)、OPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、OPEフィルム(延伸ポリエチレンフィルム)等が用いられる。また、共押出フィルム、ポリイミド、ポリカーボネート、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルファイド)等のエンジニアプラスチック系フィルム、PTFE等のフッ素系樹脂フィルム等も使用できる。また、フィルムにシリカ又はアルミナの蒸着膜、またはこれらの多層蒸着膜、シリコン窒化物の蒸着膜若しくはバリア性塗料をコーティング、蒸着膜へバリア性塗料をコーティングした層を有するフィルムであり、透明性バリアフィルム12の防湿性能は、0.01〜100(g/m/day)、好ましくは0.001〜100(g/m/day)である。このように収納物品Aが要求する吸湿性能に応じて、フィルムの飽和到達時間を、例えば1日から100日以上も制御が可能となる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態のように、第1と第2包装材の周辺の4方をヒートシールして収納部を一箇所設けた包装袋であり、包装袋の形状としては、例えば、第2包装材を容器形状に成形してもよいし、また、収納部を2箇所設けた形状であってもよく、防湿性能を要求する製品とその必要性がない製品とを一対で包装できる。また、透明性バリアフィルム12の表面処理及び乾燥剤には、人体に有害な重金属を使用しない。
さらに、本発明では、透明性バリアフィルムにガラスビーズ、シリカ、アクリルビーズ等の球形の光散乱物質を塗布したり、樹脂に混合したフィルムを積層することによって、インジケータパターンの視認性を良好なものにすることができる。
【実施例】
【0060】
本発明の実施例について説明する。先ず、下記の実施例に使用する材料について説明する。透明性バリアフィルムはPETフィルムにシリカ蒸着したPETsioが用いられ、その厚さは12μmであり、このPETsioフィルムに厚さ40μmのLDPE(低密度ポリエチレン)を積層したものである。その透湿度(g/m/day)は0.1である。この透明性バリアフィルムは図2及び図4の第1包装材10の透明性バリアフィルム12に相当する。
【0061】
透明性バリアフィルム/乾燥剤含有樹脂フィルムの積層体は、透明性バリアフィルムが、厚さ12μmのPETsioと、厚さ60μmの乾燥剤含有樹脂層の両面に、厚さ10μmのLDPEを積層させたフィルムである。この乾燥剤含有樹脂層は、LDPE:ゼオライトが重量比で1:1で構成されたものである。透明性バリアフィルム/乾燥剤含有樹脂フィルムの積層体の透湿度(g/m/day)は0.2であり、図2(a)〜(d)の実施形態の第1包装材10に相当する。
【0062】
アルミ蒸着フィルム(PETAL)は、PETフィルムにアルミを蒸着した厚さ50μmのものであり、その透湿度(g/m/day)が1.0であり、図2及び図4の光反射フィルム24に相当する。
【0063】
光吸収フィルム/透明性バリアフィルムの積層体は、光吸収フィルムが厚さ100μmのPETフィルムに黒を印刷したものに、上記の透明性バリアフィルムを積層した積層体であり、その透湿度(g/m/day)が0.05であり、図2(c),(d)及び図4(b)の光吸収フィルム24及び透明性バリアフィルム25に相当する。
【0064】
アルミ蒸着フィルム/透明性バリアフィルムの積層体は、透湿度(g/m/day)が0.02であり、図2(c),(d)及び図4(b)の光反射フィルム24及び透明性バリアフィルム25に相当する。
【0065】
アルミ箔ラミネートフィルムは、厚さ9μmのアルミ箔に厚さ12μmのPETフィルムを積層したものであり、その透湿度(g/m/day)が0.00である。図2及び図4の光反射フィルム24に相当する。
【0066】
パターン印刷フィルムは、ポリオレフィンフィルムにインジケータパターンを印刷したものであり、図2及び図4のパターン印刷フィルム22に相当する。
【0067】
実施例1は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/シーラントフィルムであり、第2包装材20が乾燥剤含有樹脂フィルム/パターン印刷フィルム/アルミ箔ラミネートフィルムからなる積層フィルムである(図4(a))。
実施例2は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/シーラントフィルムであり、第2包装材20が乾燥剤含有樹脂フィルム/パターン印刷フィルム/アルミ蒸着フィルムからなる積層フィルムである(図4(a))。
実施例3は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/シーラントフィルムであり、第2包装材20が乾燥剤含有樹脂フィルム/パターン印刷フィルム/アルミ蒸着フィルム/透明性バリアフィルムからなる積層体からなる積層フィルムである(図4(b))。
実施例4は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/シーラントフィルムであり、第2包装材20が乾燥剤含有樹脂フィルム/パターン印刷フィルム/光吸収フィルム/透明性バリアフィルムからなる積層体からなる積層フィルムである(図4(b))。
実施例5は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/乾燥剤含有樹脂フィルムであり、第2包装材20が乾燥剤含有樹脂フィルム/パターン印刷フィルム/アルミ箔ラミネートフィルムからなる積層フィルムである(図2(b))。
実施例6は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/乾燥剤含有樹脂フィルムであり、第2包装材20が乾燥剤含有樹脂フィルム/パターン印刷フィルム/アルミ蒸着フィルムからなる積層フィルムである(図2(b))。
実施例7は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/乾燥剤含有樹脂フィルムであり、第2包装材20が乾燥剤含有樹脂フィルム/パターン印刷フィルム/アルミ蒸着フィルム/透明性バリアフィルムからなる積層フィルムである(図2(d))。
実施例8は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/乾燥剤含有樹脂フィルムであり、第2包装材20が乾燥剤含有樹脂フィルム/パターン印刷フィルム/光吸収フィルム/透明性バリアフィルムからなる積層フィルムである(図2(d))。
実施例9は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/乾燥剤含有樹脂フィルムであり、第2包装材20がシーラントフィルム/パターン印刷フィルム/アルミ箔ラミネートフィルムからなる積層フィルムである(図2(a))。
実施例10は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/乾燥剤含有樹脂フィルムであり、第2包装材20がシーラントフィルム/パターン印刷フィルム/アルミ蒸着フィルムからなる積層フィルムである(図2(a))。
実施例11は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/乾燥剤含有樹脂フィルムであり、第2包装材20がシーラントフィルム/パターン印刷フィルム/アルミ蒸着フィルム/透明性バリアフィルムからなる積層フィルムである(図2(c))。
実施例12は、第1包装材10が透明性バリアフィルム/乾燥剤含有樹脂フィルムであり、第2包装材20がシーラントフィルム/パターン印刷フィルム/光吸収フィルム/透明性バリアフィルムからなる積層フィルムである(図2(c))。
【0068】
実施例1〜12を袋の面積が10cm方形状に裁断した後、この裁断したフィルムを第1と第2包装材10,20とし、四方をヒートシールし、室温40℃で、湿度90%RHにて、乾燥剤含有樹脂フィルムが飽和に達するまでの時間(日)を吸湿インジケータパターンが発現するまでの時間を測定した。
【0069】
【表1】

【0070】
上記実施例では、光吸収又は反射フィルム24とし、アルミ箔ラミネートフィルムを使用したものが吸湿性能の持続性に優れていることを示し、かつ第1と第2包装材に両面に乾燥剤含有樹脂フィルムが積層されているものが良好な吸湿性能を示している。アルミ蒸着フィルム或いは光吸収フィルムは、PETフィルムが基材であるのでアルミ箔ラミネートフィルムと比較すると早く乾燥剤が飽和に達する。なお、吸湿性能の持続性に優れているとは、乾燥剤が飽和に達するまで時間が長いことを意味し、乾燥剤の持続性はその含有量を調整することによっても調整可能である。
【0071】
なお、乾燥剤含有樹脂フィルムの乾燥剤が飽和に達する時間は、収納され物品に求められる飽和時間を達成すればよく、上記実施例の飽和時間以上の防湿性能が求められる場合は、乾燥剤含有樹脂フィルムの乾燥乾燥剤含有樹脂の乾燥剤含有率を高め、乾燥乾燥剤含有樹脂に積層されるポリオレフィン樹脂の膜厚を厚くしたり、透明性バリアフィルムの性能を高めることにより達成することができる。
【0072】
また、上記実施形態において、透明性バリアフィルム12、パターン印刷フィルム23、乾燥剤含有熱可塑性樹脂フィルム11,21等は、図2,図4において一層で図示されているが、この一層には共押出し法等により積層されたフィルムが含まれる。また、酸素やガスバリア性が要求される場合や耐油性等が要求される場合は、適宜共押出し法により最適な樹脂が選択されて積層されることを排除するものではない。
また、本発明の包装袋は、乾燥剤が飽和に達するまで時間を100日以上を達成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の活用例としては、乾燥状態が要求される物品の収納溶の包装袋であり、食品、電子部品、医薬品、書籍等の保管する際の梱包材として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)は本発明に係る吸湿インジケータ機能付きの包装袋の一実施形態を示す一部切欠斜視図であり、(b)が乾燥剤含有樹脂フィルムの乾燥剤が飽和に達し、吸湿インジケータパターンが発現した包装袋の一部切欠斜視図である。
【図2】(a)〜(d)は、図1の実施形態の各形態を示す概略断面図である。
【図3】(a)は本発明に係る吸湿インジケータ機能付きの包装袋の他の実施形態を示す一部切欠斜視図であり、(b)が乾燥剤含有樹脂フィルムの乾燥剤が飽和に達し、吸湿インジケータパターンが発現した包装袋の一部切欠斜視図である。
【図4】(a),(b)は、図3の他の実施形態の各形態を示す概略断面図である。
【図5】従来の乾燥剤樹脂による包装体を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 第1包装材
11 乾燥剤含有樹脂フィルム
12 透明性バリアフィルム
13 シーラントフィルム
20 第2包装材
21 乾燥剤含有樹脂フィルム
22 熱可塑性樹脂フィルム
23 パターン印刷フィルム
24 光反射フィルムまたは光吸収フィルム
25 透明性バリアフィルム
30 吸湿インジケータパターン
A 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸湿インジケータ機能付きの包装袋であって、前記包装袋が少なくとも第1包装材と第2包装材とからなり、第1包装材の最外面若しくは第1と第2包装材の最外面に水蒸気バリア性を有する透明性バリアフィルムを有し、第2包装材が光反射又は光吸収フィルムと該フィルムの袋内側にパターン印刷層を設け、かつ第1と第2包装材の少なくとも一方の袋内側に乾燥剤含有樹脂フィルムが一部または全面に積層されていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記乾燥剤含有樹脂フィルムが乾燥剤含有樹脂層と熱可塑性樹脂層を積層したものであることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記透明性バリアフィルムが、フィルムにシリカ又はアルミナの蒸着膜、またはこれらの多層蒸着膜、シリコン窒化物の蒸着膜若しくはバリア性塗料をコーティング、蒸着膜へバリア性塗料をコーティングした層を有するフィルムであり、該透明性バリアフィルムの防湿性能が0.001〜100(g/m/day)であることを特徴とする請求項1又2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記光反射フィルムが、アルミラミネートフィルム、アルミ蒸着フィルム、無機蒸着フィルム、若しくは無機酸蒸着フィルムによる金属光沢を持つフィルムであり、又は前記光吸収フィルムが、光吸収性材料を塗布又は含有するもの、若しくは光吸収性材料を塗布又は積層したフィルムを積層したフィルムであり、何れも防湿性能が0.001〜100(g/m/day)であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の包装袋。
【請求項5】
前記パターン印刷層が上記乾燥剤含有樹脂フィルム又はポリオレフィンフィルム又は光反射若しくは光吸収フィルム上に設けられ、該乾燥剤含有樹脂フィルム又は該ポリオレフィンフィルム又は光反射若しくは光吸収フィルムの少なくとも片面に文字、数字、絵柄又はこれらを適宜複合した図柄を印刷したものであり、前記乾燥剤含有熱可塑性樹脂フィルムに含有する乾燥剤の吸湿状態が飽和に達するに連れて透明になり、前記パターンを袋内若しくは袋外から視認することができることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の包装袋。
【請求項6】
前記乾燥剤含有樹脂フィルムに混在する乾燥剤が、ゼオライト、シリカゲル、アルミナの少なくとも1種類以上を含有するものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の包装袋。
【請求項7】
前記第1包装材または前記第2包装材を袋形状または容器形状としたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の包装袋。
【請求項8】
前記第1と第2包装材からなる吸湿インジケータ機能付きの包装袋に収納される物品の表面側が第1包装材であり、該物品の背面側が第2包装材であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の包装袋。
【請求項9】
前記光吸収フィルムが、黒を印刷したフィルム又はカーボンブラックを熱可塑性樹脂に混合したフィルムであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の包装袋。
【請求項10】
前記乾燥剤含有樹脂フィルムに光散乱物質を混合又は塗布したことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の包装袋。
【請求項11】
前記透明性バリアフィルムに光散乱物質を塗布したことを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−213393(P2006−213393A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30999(P2005−30999)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】