説明

化合物

本発明は、式(I):


[式中:
pは、0、1、2、3、4または5であり;
は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択され;
nは、3または4であり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
nは、2または3であり;
Xは、−CH−、−O−または−S−であり;
Zは、−CH−またはNであってもよく;
Aは、基PまたはP1であり、ここで、Pは、


であり、P1は、


であり;ならびに
Yは、水素、−OH、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、フェニルまたは芳香族複素環基であり、ここで、フェニルおよび芳香族複素環基は、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択される1または2個の置換基で所望により置換されていてもよい]
で示される新規化合物またはその塩、それらの調製法、該方法に用いられる中間体、それらを含む医薬組成物およびドーパミンD受容体の調製因子として、例えば、抗精神病薬として物質関連障害を、早漏または認識障害を治療するための治療におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、その調製法、該方法に用いられる中間体、それらを含む医薬組成物およびドーパミンD受容体の調節因子として、治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2002/40471(SmithKline Beecham)は、ドーパミンD受容体の活性を有する特定のベンゾアゼピン化合物を開示している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ドーパミン受容体、特に、ドーパミンD受容体に対してアフィニティーを有する一連の新規化合物が見出された。これらの化合物は、ドーパミンD受容体の調節、特に、拮抗作用/阻害作用が有益な病態の治療において、例えば、薬物依存における治療または抗精神病薬として可能性を有する。
【0004】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中:
pは、0、1、2、3、4または5であり;
は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択され;
nは、3または4であり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
nは、2または3であり;
Xは、−CH−、−O−または−S−であり;
Zは、−CH−またはNであってもよく;
Aは、基PまたはP1であり、
ここで、Pは:
【化2】

であり、P1は:
【化3】

であり;ならびに
Yは、水素、−OH、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、フェニルまたは芳香族複素環基であり、ここで、フェニルおよび芳香族複素環基は、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択される1または2個の置換基で所望により置換されていてもよい]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【0005】
さらなる実施態様において、本発明は、式(IA):
【化4】

[式中:
qは、0または1であり;
は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択され;
nは、3または4であり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
nは、2または3であり;
Xは、−CH−、−O−または−S−であり;
Zは、−CH−またはNであってもよく;
Aは、基PまたはP1であり、
ここで、Pは:
【化5】

であり、P1は:
【化6】

であり;ならびに
Yは、水素、−OH、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、フェニルまたは芳香族複素環基であり、ここで、フェニルおよび芳香族複素環基は、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択される1または2個の置換基で所望により置換されていてもよい]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【0006】
一の実施態様において、本発明は、式(IB):
【化7】

[式中:
pは、0、1、2、3、4または5であり;
は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択され;
nは、3または4であり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
nは、2または3であり;
Xは、−CH−または−S−であり;ならびに
Yは、水素、−OH、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、フェニルまたは芳香族複素環基であり、ここで、フェニルおよび芳香族複素環基は、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択される1または2個の置換基で所望により置換されていてもよい]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【0007】
別の実施態様において、本発明は、式(IC):
【化8】

[式中:
は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択され;
nは、3または4であり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
nは、2または3であり;
Xは、−CH−または−S−であり;ならびに
Yは、水素、−OH、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、フェニルまたは芳香族複素環基であり、ここで、フェニルおよび芳香族複素環基は、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択される1または2個の置換基で所望により置換されていてもよい]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【0008】
一の実施態様において、式(ID):
【化9】

[式中:Xは、−CH−、−O−または−S−であり、Yは、水素、ハロC1−4アルキルまたはフェニルであり、ここで、フェニルは、所望によりC1−4アルコキシ、−OHまたはC1−4アルキルで置換されていてもよい]
で示される化合物またはその塩が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
「C1−4アルキル」なる語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなどの全ての異性体における、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基をいう。「n−C1−4アルキル」なる語は、上記の非分岐鎖アルキルをいう。
【0010】
「C1−4アルコキシ」なる語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシなどの1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシ(または「アルキルオキシ」)基をいう。
【0011】
「C1−4アルカノイル」なる語は、メタノイル(または「ホルミル」)、エタノイル(または「アセチル」)、プロパノイル、イソプロパノイル、ブタノイル、イソブタノイルおよびsec−ブタノイルなどの1〜4個の炭素原子を有するアルカノイル基をいう。
【0012】
「SF」なる語は、ペンタフルオロスルファニルをいう。
【0013】
「ハロゲン」およびその略称「ハロ」なる語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)をいう。別の置換基の前に「ハロ」なる語を用いる場合、置換基が1,2または3個のハロゲン原子で置換されていることを示す。例えば、「ハロC1−4アルキル」は、トリフルオロメチル、ブロモエチル、トリフルオロプロピルおよび上記のC1−4アルキル基から得られる他の置換基などの置換基をいい;ならびに、「ハロC1−4アルコキシ」なる語は、トリフルオロメトキシ、ブロモエトキシ、トリフルオロプロポキシ、および上記のC1−4アルコキシ基から得られる他の置換基などの置換基をいう。
【0014】
「芳香族複素環基」なる語は、1、2、3または4個のヘテロ原子、例えば、O、NまたはSから選択される、1〜3個のヘテロ原子を含む5−または6−員芳香族基をいう。例えば、置換基が2、3または4個のヘテロ原子を含む場合、1個はO、NまたはSから選択されてもよく、残りのヘテロ原子はNであってもよい。5員芳香族複素環基の例として、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、フラザニル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、フリル、チエニルおよびチアジアゾリルが挙げられる。6員芳香族複素環基の例として、ピリジル、トリアジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピラジニルが挙げられる。
【0015】
該置換基のいずれかは、任意の適当な位置で残りの分子に結合しうる。
【0016】
本明細書に用いられる、「塩」なる語は、無機または有機酸または塩基により調製される本発明に記載のいずれかの化合物の塩、第四級アンモニウム塩および内部形成塩をいう。生理学上許容される塩は、親化合物に比べて水溶性が高いために、特に、医学的用途に適当である。かかる塩は、明らかに、生理学上許容されるアニオンまたはカチオンを有さなければならない。本発明の化合物の適当な生理学上許容される塩には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸などの無機酸、ならびに、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンファー硫酸、イソチオン酸、粘液酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィン酸、アルギン酸、ガラクツロン酸およびアリールスルホン酸、例えば、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸などの有機酸と形成される酸付加塩;アルカリ金属およびアルカリ土類金属ならびにN,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、クロリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、リジンおよびプロカインなどの有機金属と形成される塩基付加塩;ならびに内部形成塩が含まれる。生理学上許容されないアニオンまたはカチオンを有する塩は、生理学上許容される塩の調製および/または非治療的、例えば、インビトロでの状況で用いるための有用な中間体として本発明の範囲内にある。
【0017】
一の実施態様において、pは1である。
【0018】
別の実施態様において、pは2である。
【0019】
一の実施態様において、Rは、ハロC1−4アルキル、例えば、CFである。
【0020】
別の実施態様において、Rは、ハロC1−4アルキル(CFなど)またはハロゲン(フッ素など)である。
【0021】
一の実施態様において、Rは、水素である。
【0022】
一の実施態様において、nは3であり、Xは−CH−である。別の実施態様において、nは3であり、Xは−S−である。
【0023】
さらにさらなる実施態様において、nは3であり、Xは−O−である。
【0024】
一の実施態様において、Yは、水素、CFなどのハロC1−4アルキル、またはメトキシなどのハロC1−4アルコキシで所望により置換されていてもよいフェニルである。
【0025】
別の実施態様において、Yは、−OHまたはC1−4アルキルである。
【0026】
一の実施態様において、AはPである。
【0027】
別の実施態様において、AはP1である。
【0028】
一の実施態様において、ZはCHである。別の実施態様において、ZはNである。
【0029】
一の実施態様において、qは1である。別の実施態様において、qは0である。
【0030】
本発明に含まれる特定の基/置換基は、異性体として存在しうる。本発明は、ラセミ化合物、エナンチオマー、互変異性体およびその混合物を含む、全てのかかる異性体をその範囲内に含む。式(I)で示される化合物に含まれる特定の置換された芳香族複素環基は、1個またはそれ以上の互変異性型で存在しうる。本発明は、混合物を含む、全てのかかる互変異性型をその範囲内に含む。
【0031】
式(I)で示される化合物中に記載される上記の基Pが、Yが−OHである場合に下記の互変異性型(Pa)および(Pb):
【化10】

で存在しうることを当業者は分かるであろう。
【0032】
両互変異性型が、本発明の範囲内に含まれることを意図とする。
【0033】
式(I)で示される化合物中に記載される上記の基P1が、Yが−OHである場合に下記の互変異性型(P1a)および(P1b):
【化11】

で存在しうる。
【0034】
両互変異性型が、本発明の範囲内に含まれることを意図とする。
【0035】
式(I)で示される化合物が、少なくとも2個のキラル中心を有する、すなわち、分子の3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン部分における1位および5位にあることが分かるであろう。縮合シクロプロパンの存在のため、式(I)で示される化合物は、「シス」配置の置換基を有すると考えられている(二環系に結合する両方の基は、該二環系の同一面上にある)。したがって、化合物は、シクロプロパン中のキラル中心に対するエナンチオマーである2個の立体異性体で存在しうる。ほとんどの生物活性分子と同様に、生物活性の濃度が、特定の分子の個々の立体異性体間で異なりうることも分かるであろう。本発明の範囲が、全ての個々の立体異性体(ジアステレオマーおよびエナンチオマー)および限定しないがラセミ混合物を含む、その全ての混合物を含み、本明細書に記載の方法に関連して適当な生物活性を証明することを意図とする。
【0036】
本発明の別の実施態様において、シクロプロピル部分の近接に太字表示の2個の結合によって表される、「シス」配置を有する式(I)で示される化合物に相当する式(I)’:
【化12】

[式中:p、R、R、n、X、AおよびZは、上記の式(I)で示される化合物についての記載と同義である]。
で示される化合物が提供される。
【0037】
式(I)’で示される化合物において、以下に示されるように、シクロプロパン部分に位置する少なくとも2個のキラル中心がある(太字表示の結合は「シス」配置を意味する):
【化13】


【0038】
本発明のさらなる実施態様において、ZがCHならば(1S,5R)配置が豊富であるか、またはZがNならば(1R,5R)配置が豊富である、式(I)で示される化合物の立体化学異性体に相当する式(IL):
【化14】

[式中:p、R、R、n、X、AおよびZは、上記の式(I)で示される化合物についての記載と同義である]
で示される化合物またはその塩が提供される。
【0039】
本発明のさらなる実施態様において、ZがCHならば(1S,5R)配置が豊富であるか、またはZがNならば(1R,5R)配置が豊富である、上記の式(IA)で示される化合物の立体化学異性体に相当する式(IM):
【化15】

[式中:q、R、R、n、X、AおよびZは、上記の式(I)で示される化合物についての記載と同義である]
で示される化合物またはその塩が提供される。
【0040】
本発明の別の実施態様において、シクロプロピル部分の近接に太字表示の2個の結合で表される、「シス」配置を有する式(IB)で示される化合物に相当する式(IB)’:
【化16】

[式中:p、R、R、n、XおよびYは、上記の式(I)で示される化合物についての記載と同義である]
で示される化合物が提供される。
【0041】
式(IB)’の化合物において、以下に示されるように、シクロプロパン部分に位置する少なくとも2個のキラル中心がある(太字表示の結合は「シス」配置を意味する):
【化17】

【0042】
本発明のさらなる実施態様において、(1S,5R)配置が豊富である、式(IB)で示される化合物の立体化学異性体に相当する式(IJ):
【化18】

[式中:p、R、R、n、XおよびYは、上記の式(I)で示される化合物についての記載と同義である]
で示される化合物またはその塩が提供される。
【0043】
本発明の別の実施態様において、シクロプロピル部分の近接に太字表示の2個の結合で表される、「シス」配置を有する式(IC)で示される化合物に相当する式(IC)’:
【化19】

[式中:p、R、R、n、XおよびYは、上記の式(I)で示される化合物についての記載と同義である]
で示される化合物が提供される。
【0044】
式(IC)’で示される化合物において、以下に示されるように、シクロプロパン部分に位置する少なくとも2個のキラル中心がある(太字表示の結合は「シス」配置を意味する):
【化20】

【0045】
本発明のさらなる実施態様において、(1S,5R)配置が豊富である、式(IC)で示される化合物の立体化学異性体に相当する式(IK):
【化21】

[式中:p、R、R、n、XおよびYは、上記の式(I)で示される化合物についての記載と同義である]
で示される化合物またはその塩が提供される。
【0046】
本発明のさらなる実施態様において、ZがCHならば(1S,5R)配置が豊富であるか、またはZがNならば(1R,5R)配置が豊富である、上記の式(IA)で示される化合物の立体化学異性体に相当する式(IM):
【化22】

[式中:q、R、R、n、X、AおよびZは、上記の式(I)で示される化合物についての記載と同義である]
で示される化合物またはその塩が提供される。
【0047】
別の実施態様において、式(IN):
【化23】

[式中:XおよびYは、上記の式(ID)と同義である]
で示される化合物またはその塩が提供される。
【0048】
本発明の文脈において、(1S,5R)または(1R,5R)配置が豊富な式(I)の立体化学異性体は、一の実施態様において、少なくとも90%(鏡像体過剰率)に相当する。別の実施態様において、該異性体は、少なくとも95%(鏡像体過剰率)に相当する。別の実施態様において、該異性体は、少なくとも99%(鏡像体過剰率)に相当する。
【0049】
本発明の化合物の絶対配置決定方法には、第一工程として分割剤として(S)−(+)−アセチルマンデル酸を用いることによりキラル中間体、(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン:
【化24】

の調製が含まれる。
【0050】
文献において、該キラル中間体に類似な一連の化合物の絶対配置は既知であり、J.Med Chem 1981,24(5),481−90を参照のこと。該文献に開示されたいくつかの化合物について、絶対配置は単結晶X線解析により証明された。
【0051】
キラル中間体、(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンの絶対配置の帰属は、(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン、(S)−(+)−マンデル酸塩の結晶から得られた単結晶X線構造によって確認された。(S)−(+)−マンデル酸の既知配置に基づく分析および異常分散効果に基づいた分析のどちらも、該化合物が(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンであることを確証した。該キラル中間体を本発明の全ての実施例化合物の調製のために用いるように、本明細書に開示される全ての実施例化合物の絶対配置は、当業者により合理的条件に基づいたキラル中間体と同一であると考えられていた。
【0052】
キラル分子は、振動円二色性(VCD)を示す。振動円二色性(VCD)は、振動励起の間のキラル分子と左および右円偏光赤外線放射との示差的相互作用である。
【0053】
キラル分子のVCDスペクトルは、その三次元構造に依存する。最も重要なことには、キラル分子のVCDスペクトルは、その絶対配置に、柔軟性のある分子の場合、そのコンフォメーションに敏感に相関する。したがって、原則として、VCDは、キラル分子の構造決定を可能とする。VCDスペクトルは、1970年代に初めて測定された。次いで、VCD装置がスペクトル範囲および感受性において法外に開発されてきた。現在、液体および溶液のVCDスペクトルは、基本的赤外線(IR)スペクトル範囲(v650cm−1)の大部分にわたって、分散およびフーリエ変換(FT)VCD装置の両方を用いる許容される分解能(1−5cm−1)において高い感受性で測定することが可能である。さらに近年では、市販のFT VCD装置が入手可能になり、それにより、VCDスペクトルの利用性が大いに増大した。
【0054】
現在、キラル分子の絶対配置を決定するための信頼できる方法として、VCDの使用はよく確立されている(例えば、Shah RDら,Curr Opin Drug Disc Dev 2001;4:764774;Freedman TB,ら,Helv Chim Acta 2002;85:11601165;Dyatkin AB,ら,Chirality 2002;14:215219;Solladie’−Cavallo A,Balaz Mら,Tetrahedron Assym 2001;12:26052611;Nafie LAら,Circular dichroism,principles and applications,第2版.New York:John Wiley & Sons;2000.p97−131;Nafie LA,ら,in:Yan B,Gremlish H−U,editors.Infrared and Raman spectroscopy of biological materials.New York:Marcel Dekker;2001.p15−54;Polavarapu PL,ら,J Anal Chem 2000;366:727734;Stephens PJ,ら,Chirality 2000;12:172179;Solladie’−Cavallo A,ら,Eur J Org Chem 2002:1788−1796を参照のこと)。
【0055】
該方法は、特異的配置に関する観測されたIRおよびVCDスペクトルとスペクトルの計算値の比較を必要とし、絶対配置と溶液配座の両方に基づく情報を提供する。
【0056】
その絶対配置および/または配座が未知であり、決定されるべきであるキラル分子の実験的スペクトルが得られれば、一般的手法は下記のとおりである:
1)全ての可能な構造を定義付ける;2)これらの構造のスペクトルを予測する;3)予測したスペクトルを実験的スペクトルと比較する。正しい構造は、実験にしたがうスペクトルを与え、正しくない構造は、実験と一致しないスペクトルを与えるであろう。
【0057】
VCDスペクトルは、必ず振動非偏光吸収スペクトル(「赤外線(IR)スペクトル」)と同時に測定され、2個の振動スペクトルは共に、VCDスペクトル単独より良い情報を提供する。加えて、振動非偏光吸収スペクトルは、自動的に、VCDスペクトルと同時に予測される。
【0058】
アブイニシオ(ab initio)帰属について、VCDおよび非偏光IRスペクトルは、Gaussian 98ソフトウェアパッケージを用いて計算された。
【0059】
キラル有機分子を合成する場合(または、天然産物ならば、単離する場合)、その旋光度は、慣用的に、可視−近紫外線域における1振動数にて、または少数の離散的振動数にて測定される。最も一般的には、1振動数における比旋光度、ナトリウムD線の比旋光度、[α]が測定される。使用される振動数は、電子吸収のための閾値よりも下にある。すなわち、それらは、「透明(transparent)」スペクトル領域にある。旋光度は、試料の鏡像体過剰率(ee)および優勢なエナンチオマーの絶対配置(AC)を反映する。
【0060】
100%eeのための所定の振動数での旋光度が入手可能である場合、同じ振動数で測定された旋光度は、試料eeの測定を可能にする。eeの決定は、離散的振動数透明スペクトル域旋光度の主要な応用である。原則として、もし未知ならば、優勢なエナンチオマーのACを決定することもできる。しかしながら、旋光度からのACの決定は、既知ACの分子の旋光度を確実に予測するアルゴリズムを必要とし、離散的振動数透明スペクトル域旋光度を予測するための多くの方法が提案されている(Eliel EL,Wilen SH.Stereochemistry of organic compounds.New York:John Wiley & Sons;1994.Chapter13)。
【0061】
さらに近年では、アプイニシオ密度関数理論(DFT)における開発が旋光度計算の精度を急進的に改善した。結果として、初めて、旋光度からACをルーチンに得ることが可能となった。
【0062】
アプイニシオOR帰属の場合、Dalton量子化学プログラムが用いられた。
【0063】
本発明の化合物の絶対配置を決定するための上記の手法は、ZがCHである化合物についてのみ信頼できると考えられる。
【0064】
医薬において用いるために、本発明の化合物の塩が医薬上(すなわち、生理学上)許容されるべきであることは明らかであろう。適当な医薬上許容される塩は、当業者に明らかであり、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸などの無機酸;および、コハク酸、マレイン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸などの有機酸と形成される酸付加塩が含まれる。シュウ酸塩などの他の医薬上許容されない塩は、例えば、本発明の化合物の単離に用いられてもよく、本発明の範囲内に含まれる。本発明の化合物の溶媒和物、水和物、複合体およびプロドラッグがまた、本発明の範囲内に含まれる。医薬上許容される塩はまた、常法を用いて式(I)で示される化合物の他の塩を含む、他の塩から調製されてもよい。
【0065】
本発明のある種の化合物は、1未満の等価の酸、または1以上の等価の酸と酸付加塩を形成していてもよい。本発明は、その範囲内に、全ての可能な化学量論的および非化学量論的形態を含む。
【0066】
有機化学の分野における当業者には、多くの有機化合物が、それらが反応している、またはそれらが沈殿または結晶化する溶媒と複合体を形成できることは明らかであろう。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られている。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内である。式(I)の化合物は、結晶化または適当な溶媒の蒸発によって、溶媒分子と共に容易に単離されて、対応する溶媒和物を生じうる。
【0067】
さらに、プロドラッグもまた、本発明の文脈に包含される。本明細書中で使用される場合、「プロドラッグ」なる語は、例えば血中での加水分解により、体内で医学的効果を有するその活性形態に変換する化合物を意味する。医薬上許容されるプロドラッグは、T.HiguchiおよびV.Stella,Prodrugs as Novel Delivery Systems,A.C.S. Symposium SeriesのVol.14、Edward B. Roche編, Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987、およびD.Fleisher、S.RamonおよびH.Barbra,”Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs”,Advanced Drug Delivery Reviews (1996)19(2)115−130(各々、出典明示により本明細書の一部とする)において記載されている。プロドラッグは、かかるプロドラッグを患者に投与したときに、構造式(I)の化合物をインビボで放出するいずれかの共有結合した担体である。プロドラッグは、一般に、官能基を修飾することによって調製され、かかる修飾は、ルーチンな操作またはイン・ビボによって開裂して親化合物を生じるようなものである。プロドラッグは、例えば、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が、患者への投与時に開裂して該ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基を形成するいずれかの基に結合している本発明の化合物を包含する。かくして、プロドラッグの代表例は(限定するものではないが)、式(I)の化合物のアルコール、スルフヒドリルおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体を包含する。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合、メチルエステル、エチルエステルなどのエステルを用いてもよい。エステルは、それ自体で活性であってもよく、および/または人体内のインビボ条件下で加水分解可能であってもよい。適当な医薬上許容されるインビボで加水分解可能なエステル基は、人体内で容易に分解して、親酸またはその塩を残すものを含む。
【0068】
さらに、構造式(I)の化合物の結晶形態のいくつかは、多形として存在することもあり、それらは本発明に含まれる。
【0069】
当業者には、本発明の化合物またはその溶媒和物の調製において、分子中の1以上の感受性基を保護して望ましくない副反応を防ぐことが必要、および/または望ましいことは明らかであろう。本発明にしたがって使用するのに適当な保護基は、当業者によく知られており、常法において使用されうる。例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wutsによる「Protective groups in organic synthesis」(John Wiley & sons 1991)またはP.J.Kocienskiによる「Protecting Groups」(Georg Thieme Verlag 1994)を参照のこと。適当なアミノ保護基の例は、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換されたCbz)、脂肪族ウレタン保護基(例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチル、クロロトリチル)を包含する。適当な酸素保護基の例は、例えば、トリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルなどのアルキルシリル基;テトラヒドロピラニルまたはtert−ブチルなどのアルキルエーテル;またはアセテートなどのエステルを包含しうる。
【0070】
一般式(I)の化合物の特定のエナンチオマーが必要な場合、これは、例えば、常法を用いる式(I)の化合物の対応するエナンチオマー混合物の分割によって得てもよい。かくして、必要とされるエナンチオマーは、キラルHPLC法を用いることによって、式(I)のラセミ化合物から得てもよい。
【0071】
本発明の化合物は、同位体標識した化合物を包含し、それは、1以上の原子が、天然において通常見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換わっているという事実を除き、式(I)以下において挙げたものと同一である。本発明の化合物およびその医薬上許容される塩中に組み込むことのできる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、燐、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素の同位体、例えば、H、H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123Iおよび125Iを包含する。上記の同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物および該化合物の医薬上許容される塩は、本発明の範囲内である。本発明の同位体標識した化合物、例えば、H、14Cなどの放射性同位体が組み込まれた化合物は、薬物および/または物質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわち、Hおよび炭素−14、すなわち、14C同位体は、調製が容易で、検出が可能なので、特に好ましい。11Cおよび18F同位体は、PET(陽電子放出断層撮影法)において特に有用であり、125I同位体は、SPECT(シングルフォトン断層撮影法)において特に有用であり、全て、脳撮像法において有用である。さらに、ジュウテリウム、すなわち、Hなどのより重い同位体での置換により、より大きな代謝安定性、例えば、インビボ半減期の増加または必要投与量の減少に由来するある種の治療上の利益を得ることができ、したがって、ある状況下では好ましいこともある。本発明の同位体標識した式(I)以下の化合物は、一般に、下記のスキームおよび/または実施例において開示される手法を実施することによって、容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代わりに用いることによって調製することができる。
【0072】
本発明の一の実施態様において、化合物は、分子量800以下で提供される。別の実施態様において、600以下の分子量を有する化合物が提供される。一般に、限定するものではないが、かかる化合物は、より大きな経口バイオアベイラビリティーを有していてもよく、時折、より高い溶解性および/または脳浸透性を有していてもよい。分子量は、溶媒和物を形成していない遊離塩基化合物のものをいい、付加塩、溶媒(例えば、水)分子、インビボで開裂されるプロドラッグ分子部分などによって寄与されるいずれの分子量も除外される。
【0073】
一般に、本発明の化合物または塩は、それ自体または水中で化学的にあまりに不安定な化合物(もし、存在するならば)を除外するものと解釈されるべきである。それらは、全ての投与経路、経口、非経口またはその他の経路による医学的使用に明らかに不適当である。かかる化合物は、科学者に既知である。しかしながら、エクスビボで安定であり、哺乳動物(例えば、ヒト)の体内で本発明の化合物に変換可能なプロドラッグまたは化合物は、包含される。
【0074】
本発明の化合物の例として、
(1S,5R)−3−[4−(4−フェニル−2−ピリミジニル)ブチル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−{4−[4−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジニル]ブチル}−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−[3−(2−ピリミジニルチオ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−[3−({4−[4−(メチルオキシ)フェニル]−2−ピリミジニル}チオ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
2−[(3−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)オキシ]−4(1H)−ピリミジノン;
2−[(3−{(1S,5R)−1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−4(1H)−ピリミジノン;
4−[(3−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−2(1H)−ピリミジノン;
(1S,5R)−3−{3−[(4−メチル−2−ピリミジニル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(4−メチル−2−ピリミジニル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
2−(4−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}ブチル)−4−ピリミジノール
2−[(3−{(1R,5R)−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−4−ピリミジノール;
2−[(3−{(1S,5R)−1−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−4−ピリミジノール;
およびその塩が挙げられる。
【0075】
本発明はまた、上記の式(I)で示される化合物またはその塩を調製する方法であって、
(a)Xが−CH−であって、Rが水素である、式(I)で示される化合物の場合、式(II):
【化25】

[式中:nおよびAは、式(I)と同義である]
で示される化合物を、式(III):
【化26】

[式中:p、ZおよびRは、式(I)と同義である]
で示される化合物と反応させるか;または
(b)Xが−S−である、式(I)で示される化合物の場合、式(IV):
【化27】

[式中:p、R、R、Zおよびnは式(I)と同義であり、Lは脱離基である]
で示される化合物を式(V):
【化28】

[式中:Aは式(I)と同義である]
で示される化合物と反応させるか;
(b)Xが−O−である、式(I)で示される化合物の場合、式(VI):
【化29】

[式中:p、R、R、Zおよびnは式(I)と同義である]
で示される化合物を式(VII):
【化30】

[式中:Aは式(I)と同義である]
で示される化合物と反応させ、所望により、方法(a)、(b)および方法(c)の後に:
(i)いずれかの保護基(複数でも可)を除去してもよく;および/または
(ii)塩を形成してもよく;および/または
(iii)式(I)で示される化合物もしくはその塩を別の式(I)で示される化合物もしくはその塩に変換してもよいことを含む方法を提供する。
【0076】
典型的な反応条件は、以下を含む。
【0077】
工程(a)において、典型的な実験条件は、室温で、適当な還元剤、例えば、NaBH(AcO)またはNaBHおよびAcOHなどの触媒量の酸の存在下において、THFなどの双極性溶媒中における反応を含む。
【0078】
工程(b)において、典型的な実験条件は、NaIなどの触媒、およびKCOなどの適当な塩基の存在下において、適当な双極性溶媒(DMFまたはCHCNなど)中における加熱を含む。
【0079】
工程(c)において、典型的な実験条件は、NaHなどの適当な塩基の存在下において、非プロトン性溶媒(DMFなど)中における反応を含む。アニオン形成中は温度を低温に保っていてもよく、次いで、室温まで上げてもよい。
【0080】
式(III)で示される化合物を、当該分野にて既知の方法で調製してもよい(例えば、J.Med.Chem.1981,24,481−490)。基Rの相互変換は、当該分野にて既知の方法で達成されてもよい(例えば、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中で三臭化ホウ素などの適当なルイス(Lewis)酸試薬を用いてヒドロキシ基をもたらすメトキシ基の脱メチル化)。N−トリフルオロアセチルなどの第二級アミンの適当な保護基を意味する。
【0081】
本発明の一の態様において、式(III)で示される化合物の調製の合成法が提供される。該方法は、以下の工程を含む:
【化31】

[式中:
工程(a’)は、アニリン(XI)のジアゾ化、次いで、マレイミドとの反応であって、3−アリールマレイミド(XII)を得ることを表し;
工程(b’)は、(XII)のシクロプロパン化であって、二環式イミド(XIII)を得ることを表し;
工程(c’)は、イミド(XIII)の還元であって、式(III)で示される化合物を得ることを表す]
【0082】
工程(a’)は、Meerwein反応のための常法を用いて行ってもよい(例えば、J.Am.Chem.Soc.1955,77,2313は、該アプローチを用いるアリールマレイミドの形成を記載する)。別法では、多くの場合、該工程は、適当には、マレイミド、適当な銅(II)塩、例えば、無水CuClおよび適当な有機亜硝酸塩、例えば、亜硝酸tert−ブチルのアセトニトリルなどの相溶性溶媒中混合物に式(XI)で示される化合物の溶液をゆっくりと加える手法を適用することによって行われる。次いで、適宜、十分に反応させ、適当な後処理を行う。
【0083】
工程(b’)は、ジメチルスルホキシドなどの適当な溶媒で溶解された、式(XII)の精製化合物の溶液または式(XII)で示される化合物を含む混合物を、ヨウ化トリメチルスルホキソニウムのジメチルスルホキシドなどの適当な溶媒および水素化ナトリウムなどの適当な塩基中溶液にゆっくりと加えることからなる。次いで、適宜、十分に反応させ、適当な後処理を行う。
【0084】
工程(c’)は、例えば、還元剤としてボランの場合において、65℃などの適当な温度でテトラヒドロフラン中ボランまたはトルエン中Red−Al(登録商標)などの相溶性溶媒中で適当な還元剤を用いて行われうる。次いで、適当な処理を行う。
【0085】
本発明の別の態様において、式(III)で示される化合物の調製についての別の合成法であって、以下の工程:
【化32】

[式中:Rおよびpは、式(I)と同義であり、R14Oは、適当なアルコキシ基であり、PGは、適当な保護基であり、Yは、臭素などのハロゲン、またはトリフルオロメチルスルホニルオキシなどのスルホニルオキシ基であり;
工程(a’’)は、(2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル)ボロン酸塩(XIV)と芳香族ハロゲンまたはスルホニルオキシ誘導体(XV)のカップリング反応を表し;
工程(b’’)は、(XVI)のシクロプロパン化、次いで、適当な場合、二環式アミン(III)を提供するための脱保護を表す]
を含む方法が提供される。
【0086】
工程(a’’)は、Suzukiカップリングの一般的方法を用いて、例えば、適当な温度で、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒中でフッ化セシウムの存在下において、触媒パラジウム(0)源としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いて達成されてもよい。Synlett 2002,5,829−831に報告のように、(R14O)Bは、適当には、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イルおよびPGベンジルであってもよい。
【0087】
工程(b’’)は、例えば、相溶性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド中で、ヨウ化トリメチルスルホキソニウムおよび水素化ナトリウムなどの適当な塩基から生じた試薬を用いて達成されるシクロプロパン化反応からなる。次いで、脱保護反応が行われる。
【0088】
Aが基Pであって、n’が3である、式(II)で示される化合物は、以下の合成反応スキーム:
【化33】

を介して調製されてもよい。
【0089】
工程(a’’’)は、NaCOなどの塩基が所望により存在して、CHCNまたはEtOHなどの双極性溶媒中で、式(IX)で示される化合物を適当な1,4−α,β−不飽和誘導体または適当な1,3−ジカルボニル誘導体と反応することをもたらしてもよい。
【0090】
工程(b’’’)は、NaIOの存在下のOsOなどの酸化系の存在下において、THF/HO(5:1)混合物などの適当な溶媒中で式(X)の化合物を攪拌することをもたらしてもよい。
【0091】
式(IX)で示される化合物は、当該分野にて既知の方法にしたがって得られてもよい。
【0092】
式(IV)で示される化合物は、第三級アミン、例えば、ジイソプロピルエチルアミンなどの適当な塩基の存在下において、1および3位の好ましい示差反応性の2個の脱離基を有するプロピル誘導体、例えば、1−ブロモ−3−クロロプロパンと式(III)で示される化合物とのアルキル化により調製されうる。
【0093】
式(VI)で示される化合物は、第三級アミン、トリエチルアミンなどの適当な塩基の存在下において、THFなどの適当な溶媒中にて、1個の脱離基およびアルコール官能基、例えば、3−ブロモ−1−プロパノールを有している適当な誘導体と式(III)で示される化合物のアルキル化により調製されうる。典型的な反応条件には、所望により、NaIの存在下において、加熱還流が含まれる。
【0094】
式(VII)で示される化合物は、式(VIII):
【化34】

で示される化合物の酸化を介して得られうる。
【0095】
典型的な反応条件は、適当な酸化剤、例えば、Oxone(登録商標)の水中溶液の存在下において、適当な溶媒、例えば、THF/MeOH(1:1)混合物中にて式(VII)で示される化合物を攪拌することを含む。
【0096】
式(I)で示される化合物およびその塩の間の相互変換反応は、当該分野にて既知の方法を用いて行われうる。例として、
(i)1個または複数のRをアルコキシ(例えば、メトキシ)からヒドロキシに変換すること、
(ii)1個または複数のRをヒドロキシからアルキルスルホニルオキシまたはハロアルキルスルホニルオキシ、例えば、メタンスルホニルオキシまたはアルキルスルホニルオキシまたはトリフルオロメタンスルホニルオキシなどのスルホニルオキシに変換すること、
(iii)1個または複数のRをハロゲンまたはペルフルオロアルキルスルホニルオキシからシアノに変換すること;
ならびにその後に、所望により式(I)で示される化合物を形成してもよいことが含まれる。
【0097】
式(I)で示される化合物は、ドーパミン受容体、特にD受容体に対しアフィニティーを示すことを見出し、精神病疾患などのかかる受容体の調節を必要とする病状の治療に有用であることが期待される。
かかるアフィニティーは、典型的には、受容体から50%の放射標識リガンドを置換するのに必要な化合物の濃度としてIC50から計算され、以下の方程式:
【数1】


[式中:L=放射性リガンドおよびK=受容体に対する放射性リガンドのアフィニティー]
で計算される「K」として報告される(ChengおよびPrusoff,Biochem.Pharmacol.22:3099,1973)。
【0098】
本発明との関連において、(Kiの対数に相当する)pKiはKiの代わりに用いられ、本発明の化合物は、典型的には、7より大きいpKiを示す。一の態様において、本発明は、7および8の間からなるpKiを有する式(I)で示される化合物を提供する。別の態様において、本発明は、6および9の間からなるpKiを有する式(I)で示される化合物を提供する。さらなる態様において、本発明は、9より大きいpKiを有する式(I)で示される化合物を提供する。
【0099】
多数の式(I)で示される化合物はまた、ドーパミンDよりD受容体に対しより大きなアフィニティーを有する。現在、利用可能な抗精神病薬(神経弛緩薬)の治療効果は、一般に、D受容体の遮断を介して及ぼされると考えられている;しかしながら、該メカニズムはまた、多数の神経弛緩薬に付随する好ましくない錐体外路系副作用(eps)に関与すると考えられている。近年同定されたドーパミンD受容体の遮断が重大なepsなしに有用な抗精神病活性を生じさせうることが示唆されている(例えば、Sokoloffら,Nature,1990;347:146151;およびSchwartzら,Clinical Neuropharmacology,Vol16,No.4,295−314,1993を参照のこと)。一の実施態様において、ドーパミンDよりドーパミンD受容体に対しより高い(例えば、10xまたは100x高い)アフィニティーを有する本発明の化合物が提供される(かかるアフィニティーは、標準的方法を用いて、例えば、クローン化ドーパミン受容体を用いて測定されうる−本明細書を参照のこと)。前記化合物は、適当には、D受容体の選択的調節因子として用いられうる。
【0100】
受容体の局在性から、該化合物が、D受容体の関与が示唆された物質濫用の治療に対する有用性も有することが考えられる(例えば、Levant,1997,Pharmacol.Rev.,49,231−252参照)。かかる物質関連障害の例として、アルコール、コカイン、ヘロインおよびニコチン乱用が含まれる。式(I)で示される化合物は、薬物摂取、アルコール、コカイン、アヘン、ニコチン、ベンゾジアゼピンなどの薬物乱用から禁欲および禁断症状後の薬物探索行動の再発ならびにオピオイドにより誘導される耐性の抑制を含む薬物依存の全態様の治療のために用いられていてもよい。さらに、式(I)で示される化合物ならびにその塩および溶媒和物は、渇望を減少させるために使用してもよく、したがって、薬物渇望の治療において有用であろう。薬物渇望は、以前に消費した向精神物質を自己投与したいという欲求として定義付けることができる。薬物渇望の発現および保持には、3つの主要な要因が関与する。(1)薬物離脱の間の不快な状態が負の強化作因として機能して、渇望に導く。(2)薬物要求または渇望の制御中、薬物の影響に付随する環境刺激がより強力になる(増感)。(3)薬物が有する気持ちのいい効果を促進し、使用中止の間の不快な状態を緩和する能力の認識(記憶)。渇望は、個体が薬物濫用を止められないことの原因であり、したがって、薬物依存の発現および保持に有意に寄与する。
【0101】
式(I)の化合物は、抗精神病剤として、例えば、統合失調症、統合失調性感情障害、精神病的鬱病、躁病、偏執症および妄想障害の治療において有用である。さらに、それらは、パーキンソン病の補助療法として、特に、L−DOPAおよび可能性のあるドーパミン作動性アゴニスト等の化合物を用いる治療において、長期にわたりこれらを使用して治療した場合に経験される副作用を減らすための補助療法としての有用性を有することができる(例えば、Schwartzら、Brain Res.Reviews,1998,26,236−242参照)。他の病態は、パーキンソン病、神経弛緩薬誘導性パーキンソン症候群および遅発性ジスキネジアなどの異常運動障害(dyskinetic disorder);鬱病;不安症;記憶障害を包含する認識障害、例えば、アルツハイマー病;摂食障害;性的機能不全;睡眠障害;嘔吐;運動障害;強迫性障害;健忘症;攻撃;自閉症;眩暈;認知症;概日リズム障害および胃運動性障害、例えば、IBSを包含する。
【0102】
広範囲の精神障害および精神神経障害は、強迫性障害に関し、強迫性(OC)スペクトル障害と称される関連障害の一群を形成するように思われる。式(I)で示される化合物は、身体醜形障害および心気症などの身体表現性障害、神経性過食症、神経性無食欲症、過食症、性的倒錯および非倒錯(nonparaphilic)性的依存症、シデナム舞踏病、斜頸、自閉症、強迫的ためこみを含む、強迫性スペクトル障害ならびにトゥレット・シンドロームを含む、運動障害の治療のために用いられてもよい。本明細書に用いられる、「強迫性スペクトル障害」なる語は、強迫性障害を含むことを意図とする。
【0103】
式(I)で示される化合物はまた、早漏の治療に用いるのに有用である。
【0104】
本発明の文脈中において、本明細書中で使用される用語は、アメリカ精神病医学会(the American Psychiatric Association)によって出版された精神障害の診断および統計学的マニュアル(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第4版(DSM−IV)および/または国際疾患分類(the International Classification of Diseases)第10版(ICD−10)において分類される。本明細書中に挙げられた障害の種々のサブタイプは、本発明の一部として意図される。下記に列挙した疾患の後ろの括弧内の数字は、DSM−IVにおける分類コードを示す。
【0105】
本発明の文脈中において、「物質関連障害」なる語には:
物質依存、物質渇望および物質関連障害などの物質使用障害;物質中毒、物質離脱、物質誘導性せん妄、物質誘導性持続性認知症、物質誘導性持続性健忘障害、物質誘導性精神障害、物質誘導性気分障害、物質誘導性不安障害、物質誘導性性的機能不全、物質誘導性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)などの物質誘発性障害; アルコール依存(303.90)、アルコール濫用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘導性持続性認知症、アルコール誘導性持続性健忘障害、アルコール誘導性精神障害、アルコール誘導性気分障害、アルコール誘導性不安障害、アルコール誘導性性的機能不全、アルコール誘導性睡眠障害および特定不能のアルコール関連障害(291.9)などのアルコール関連障害;アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン濫用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘導性精神障害、アンフェタミン誘導性気分障害、アンフェタミン誘導性不安障害、アンフェタミン誘導性性的機能不全、アンフェタミン誘導性睡眠障害および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9)などのアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘導性不安障害、カフェイン誘導性睡眠障害および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)などのカフェイン関連障害;大麻依存(304.30)、大麻濫用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘導性精神障害、大麻誘導性不安障害および特定不能の大麻関連障害(292.9)などの大麻関連障害;コカイン依存(304.20)、コカイン濫用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘導性精神障害、コカイン誘導性気分障害、コカイン誘導性不安障害、コカイン誘導性性的機能不全、コカイン誘導性睡眠障害および特定不能のコカイン関連障害(292.9)などのコカイン関連障害;幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤濫用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘導性精神障害、幻覚剤誘導性気分障害、幻覚剤誘導性不安障害および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)などの幻覚剤関連障害;吸入剤依存(304.60)、吸入剤濫用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘導性持続性認知症、吸入剤誘導性精神障害、吸入剤誘導性気分障害、吸入剤誘導性不安障害および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)などの吸入剤関連障害;ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および特定不能のニコチン関連障害(292.9)などのニコチン関連障害;オピオイド依存(304.00)、オピオイド濫用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘導性精神障害、オピオイド誘導性気分障害、オピオイド誘導性性的機能不全、オピオイド誘導性睡眠障害および特定不能のオピオイド関連障害(292.9)などのオピオイド関連障害;フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン濫用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘導性精神障害、フェンシクリジン誘導性気分障害、フェンシクリジン誘導性不安障害および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9)などのフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害;鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤濫用(305.40)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤持続性認知症、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤持続性健忘障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性精神障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性気分障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性不安障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性性的機能不全、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性睡眠障害および特定不能の鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤関連障害(292.9)などの鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤関連障害;多物質依存(304.80)などの多物質関連障害;およびアナボリックステロイド、硝酸塩吸入剤および亜酸化窒素などの他の(または未知の)物質関連障害を含む物質関連障害が含まれる。
【0106】
本発明の文脈中において、「精神病性障害」なる語には:
妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、未分化型(undifferentiated)(295.90)および残遺型(295.60)サブタイプを含む統合失調症;統合失調症様障害(295.40);双極型および抑うつ型サブタイプを含む統合失調性感情障害(295.70);恋愛(Erotomanic)型、誇大(Gradiose)型、嫉妬(Jealous)型、迫害(Persecutory)型、身体(Somatic)型、混合(Mixed)型および不特定(Unspecified)型サブタイプを含む妄想障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);共通の精神病性障害(297.3);妄想および幻覚を伴うサブタイプを含む一般的健康状態に起因する精神病性障害;妄想(293.81)および幻覚(293.82)を伴うサブタイプを含む物質誘導性精神病性障害;ならびに特定不能の精神病性障害(298.9)が含まれる。
【0107】
したがって、さらなる態様において、本発明は、ドーパミン受容体(特に、ドーパミンD受容体)の調節[特に、(構造上活性な受容体系において逆作動性にも変わりうる)阻害作用/拮抗作用]が有用である病態を治療する方法であって、それを必要とする哺乳類(例えば、ヒト)に式(I)で示される化合物またはその医薬上(例えば、生理学上)許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。一の実施態様において、病態は、物質関連障害、精神病性障害、強迫性スペクトル障害または早漏である。
【0108】
本発明はまた、ドーパミン受容体(特に、ドーパミンD受容体)の調節[特に、(構造上活性な受容体系において逆作動性にも変わりうる)阻害作用/拮抗作用]が有用である哺乳類の病態の治療のための医薬の製造における式(I)で示される化合物またはその塩を提供する。
【0109】
本発明はまた、ドーパミン受容体(特に、ドーパミンD受容体)の調節[特に、(構造上活性な受容体系において逆作動性にも変わりうる)阻害作用/拮抗作用]が有用である哺乳類の病態の治療に用いるための式(I)で示される化合物またはその塩を提供する。
【0110】
一の実施態様において、本発明の化合物は、物質関連障害、精神病性障害、強迫性スペクトル障害または早漏の治療に用いられる。
【0111】
したがって、さらなる態様では、本発明は、精神病性障害(例えば、統合失調症)、物質関連障害または強迫性スペクトル障害を治療する方法であって、それを必要とする哺乳類(例えば、ヒト)に本明細書記載の式(I)で示される化合物またはその塩の有効量を提供する。
【0112】
精神病性障害(例えば、統合失調症)、物質関連障害、強迫性スペクトル障害または早漏の治療のための医薬の製造における式(I)で示される化合物またはその塩の使用もまた提供される。
【0113】
精神病性障害(例えば、統合失調症)、物質関連障害、強迫性スペクトル障害または早漏の治療に用いるための式(I)で示される化合物またはその塩もまた提供される。
【0114】
哺乳類に治療剤として用いるための、本明細書に記載の病態のいずれかに用いるための式(I)で示される化合物またはその塩もまた提供される。
【0115】
「治療」には、関連のある病態(複数でも可)に適当である予防法が含まれる。
【0116】
医薬の使用について、本発明の化合物は大抵、標準的医薬組成物として投与される。したがって、さらなる態様において、本発明は、式(I)で示される化合物またはその医薬上(すなわち、生理学上)許容される塩および医薬上(すなわち、生理学上)許容される担体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、本明細書に記載の病態のいずれかの治療に用いられうる。
【0117】
式(I)で示される化合物は、便利な方法、例えば、経口、非経口(例えば、静脈内)、口腔、舌下、鼻腔、直腸または経皮投与および適宜適合される医薬組成物により投与されうる。
【0118】
経口投与された場合に活性である式(I)で示される化合物およびその塩は、液体または固体、例えば、シロップ、懸濁液または乳剤、錠剤、カプセルおよびトローチ剤として処方されうる。
【0119】
液体処方は、一般に、該化合物またはその塩の適当な液体担体(複数でも可)、例えば、水、エタノールまたはグリセリンなどの水性溶媒、あるいはポリエチレングリコールまたは油などの非水性溶媒中懸濁液または溶液からなるであろう。処方はまた、懸濁化剤、保存剤、香味剤または着色剤を含んでいてもよい。
【0120】
錠剤の形態の組成物は、固体処方を調製するために通常用いられる適当な医薬担体(複数でも可)を用いて調製されうる。かかる担体の例として、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、スクロースおよびセルロースが挙げられる。
【0121】
カプセル形態の組成物は、ルーチンなカプセル化手法を用いて調製できる。例えば、活性成分を含有するペレットを標準的な担体を用いて調製することができ、次いで、ハードゼラチンカプセル中に充填することができる。別法では、いずれか適当な医薬担体、例えば、水性ゴム、セルロース、珪酸塩または油を用いて分散液または懸濁液を調製することができ、該分散液または懸濁液を次いで、ソフトゼラチンカプセル中に充填することができる。
【0122】
典型的な非経口組成物は、滅菌水性担体または非経口的に許容される油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油、またはゴマ油中における該化合物またはその塩の溶液または懸濁液からなる。別法では、該溶液を凍結乾燥し、次いで、投与直前に適当な溶媒で復元することができる。
【0123】
経鼻投与のための組成物は、好都合には、エアロゾル、滴剤、ゲルおよび粉剤として処方してもよい。エアロゾル処方は、典型的には、医薬上許容される水性または非水性溶媒中の活性物質の溶液または懸濁液を含み、通常、噴霧装置で使用するためのカートリッジまたはリフィルの形態をとりうる密封容器中の滅菌形態で単回投与量または複数回投与量で提供される。別法では、密閉容器は、容器の内容物が空になるとすぐに処分することが意図される単回投与鼻吸入器または計量バルブを備え付けたエアロゾルディスペンサーのような単一の投薬装置であってもよい。剤形がエアロゾルディスペンサーを含む場合、それは、圧縮空気のような圧縮ガスまたはフルオロクロロ炭化水素のような有機プロペラントであり得るプロペラントを含有するであろう。エアロゾル剤形はまた、ポンプ噴霧器の形態をとりうる。
【0124】
バッカルまたは舌下投与に適当な組成物は、活性成分が砂糖およびアラビアゴム、トラガカントゴム、またはゼラチンおよびグリセリンのような担体と共に処方される錠剤、ロゼンジおよびトローチ(pastille)を包含する。
【0125】
経直腸投与用組成物は、好都合には、ココア脂のような通常の坐剤基剤を含有する坐剤の形態である。
【0126】
経皮投与に適当な組成物は、軟膏、ゲルおよびパッチを包含する。
【0127】
一の実施態様において、組成物は、単位剤形、例えば、錠剤、カプセルまたはアンプルである。
【0128】
経口投与のための各剤形は、例えば、1〜250mg(非経口投与の場合、例えば0.1〜25mgを含有する)の式(I)の化合物または遊離塩基として計算されたその塩を含有する。
【0129】
本発明の医薬上許容される化合物は、通常、例えば、式(I)の化合物または遊離の塩基として計算されたその医薬上許容される塩の1mg〜500mg、例えば10mg〜400mg、例えば、10〜250mgの経口投与量、または0.1mg〜100mg、例えば0.1mg〜50mg、例えば、1〜25mgの静脈内、皮下または筋内投与量で、該化合物を一日に1〜4回投与する一日の投与計画(成人患者用)において投与されるであろう。適当には、化合物は、連続的治療の期間、例えば、1週間以上投与されるであろう。
【0130】
生物学的試験方法
本発明の化合物の機能的強度および固有の活性は、下記のGTPγSシンチレーション近接アッセイ(GTPγS−SPA)によって測定されうる。該研究に使用される細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0131】
細胞系統
CHO D2
CHO D3
【0132】
化合物は、2つの代替プロトコルにしたがって試験されてもよい:
【0133】
a)細胞膜を次のように調製する。細胞ペレットを10容量の50mM HEPES,1mM EDTA pH7.4(KOHを用いる)中に再懸濁する。同日に、ホモジナイゼーションバッファーを加える直前に、下記のプロテアーゼを該バッファーに加える。
【0134】
2.12×10−6Mロイペプチン(Sigma L2884)−5000xストック=バッファー中5mg/ml
25μg/mlバシトラシン(Sigma B0125)−1000xストック=バッファー中25mg/ml
1mM PMSF−1000xストック=100%エタノール中17mg/ml
2x10−6MペプスタチンA−1000xストック=100%DMSO中2mM
【0135】
クラスIIバイオハザード・キャビネット中において、細胞を1リットルのガラスワーリングブレンダー中、2x15秒バーストによってホモジナイズする。得られた懸濁液を500gで20分間回転する(Beckman T21遠心分離機:1550rpm)。上清を25mlピペットで回収し、予め冷やした遠心管にアリコートし、48,000gで回転してペレット膜フラグメントを得る(Beckman T1270:23,000rpm、30分)。最終48,000gのペレットをホモジナイゼーションバッファー中に再懸濁する(最初の細胞ペレットの4倍容量)。48,000gペレットを5秒間ボルテックスすることによって再懸濁し、dounceホモジナイザー中、10−15ストロークでホモジナイズする。該調製物をポリプロピレンチューブ中、適当なサイズのアリコート(200−1000μl)に分配し、−80℃で保管する。膜調製物中のタンパク質含量は、Bradfordタンパク質アッセイで評価する。
【0136】
試験薬物の最終的な最大濃度は、該アッセイにおいて3μMであり、100%DMSO中における11点連続希釈曲線1:4をBiomek FXを用いて行う。全アッセイ容量(TAV)中1%の試験薬物を固形白色384ウェルアッセイプレートに加える。50%TAVの予め結合させた(4℃で90分間)膜5μg/ウェル、および20mM HEPES pH7.4,100mM NaCl,10mM MgCl,60μg/mlサポニンおよび30μM GDP中におけるコムギ胚芽凝集素ポリスチレンシンチレーション近接アッセイビーズ(RPNQ0260,Amersham)0.25mg/ウェルを加える。第3の添加は、バッファー(アゴニスト様式)またはアッセイバッファー中で調製されたEC80最終アッセイ濃度のアゴニスト、キネロラン(Quinelorane)(アンタゴニスト様式)のいずれかの20%TAV添加であった。該アッセイは、最終濃度0.38nMのGTPγ[35S](37MBq/ml,1160Ci/mmol,Amersham)の29%TAVの添加によって開始された。全ての添加後、アッセイプレートを1,000rpmで1分間回転する。アッセイプレートは、Viewlux,613/55フィルター上で5分間、最終添加後2〜6時間の間にカウントする。
【0137】
基底値を超える試験薬物の効果は、逐次最小二乗曲線フィッティングプログラムによってEC50値で得られ、表中、pEC50(すなわち、−logEC50)として表される。試験薬物の最大効果と完全アゴニスト、キネロランの最大効果との間の比率は、固有活性(IA)値(すなわち、IA=1完全アゴニスト、IA<1部分アゴニスト)をもたらす。試験薬物のfpKi値は、Cheng&Prusoff式:
fKi=IC50/1+([A]/EC50
[式中:[A]は、アッセイ中におけるアゴニスト5−HTの濃度であり、EC50は、同じ実験において得られた5−HT EC50値である]
を用いて、「アンタゴニスト様式」実験によって得られたIC50から計算される。fpKiは、−logfKiとして定義される。
【0138】
b)細胞膜を次のように調製する。細胞ペレットを10容量の50mM HEPES,1mM EDTA pH7.4(KOHを用いる)中に再懸濁する。同日に、ホモジナイゼーションバッファーを加える直前に、下記のプロテアーゼを該バッファーに加える。
【0139】
10−4Mロイペプチン(Sigma L2884)
25μg/mlバシトラシン(Sigma B0125)
1mM PMSF−100xストック=100%エタノール中17mg/ml
2x10−6MペプスタチンA−500xストック=100%エタノール中1mM
【0140】
200mlの50mM HEPES+10−4Mロイペプチン+25μg/mlバシトラシン+1mM EDTA+1mM PMSF+2uMペプスタチンA中において(後者2種の試薬を、エタノール中に各々、新たな×100および×500ストックとして添加した)、細胞を2x15秒間ガラスワーリングブレンダー内でホモジナイズした。ブレンダーを最初のバースト後5分間ならびに最後のバースト後10−40分間氷に突っ込み、泡を消した。次いで、物質を500gで20分間回転し、上清を48,000gで36分間回転した。ペレットを、PMSFおよびペプスタチンAを含まない上記と同一のバッファー中に再懸濁した。次いで、物質を、0.6mmニードルを通して押し出し、必要容量を取り入れ(通常、最初の細胞ペレットの4倍容量)、アリコートし、−80℃で冷凍保存した。
【0141】
試験薬物の最終的な最大濃度は、該アッセイにおいて3μMであり、100%DMSO中における11点連続希釈曲線1:4をBiomek FXを用いて行う。全アッセイ容量(TAV)中1%の試験薬物を固形白色384ウェルアッセイプレートに加える。50%TAVの予め結合させた(室温で60分間)膜5μg/ウェル、および20mM HEPES pH7.4,100mM NaCl,10mM MgCl,60μg/mlサポニンおよび30μM GDP中におけるコムギ胚芽凝集素ポリスチレンシンチレーション近接アッセイビーズ(RPNQ0260,Amersham)0.25mg/ウェルを加える。第3の添加は、バッファー(アゴニスト様式)またはアッセイバッファー中で調製されたEC80最終アッセイ濃度のアゴニスト、キネロラン(Quinelorane)(アンタゴニスト様式)のいずれかの20%TAV添加であった。該アッセイは、最終濃度0.38nMのGTPγ[35S](37MBq/ml,1160Ci/mmol,Amersham)の29%TAVの添加によって開始された。全ての添加後、アッセイプレートを1,000rpmで1分間回転する。アッセイプレートは、Viewlux,613/55フィルター上で5分間、最終添加後3〜6時間の間にカウントする。
【0142】
基底値を超える試験薬物の効果は、逐次最小二乗曲線フィッティングプログラムによってEC50値で得られ、表中、pEC50(すなわち、−logEC50)として表される。試験薬物の最大効果と完全アゴニスト、キネロランの最大効果との間の比率は、固有活性(IA)値(すなわち、IA=1完全アゴニスト、IA<1部分アゴニスト)をもたらす。試験薬物のfpKi値は、Cheng&Prusoff式:
fKi=IC50/1+([A]/EC50
[式中:[A]は、アッセイ中におけるアゴニストキネロランの濃度であり、EC50は、同じ実験において得られたキネロランEC50値である]
を用いて、「アンタゴニスト様式」実験によって得られたIC50から計算される。fpKiは、−logfKiとして定義される。
【0143】
上記に列挙された本発明の化合物は、ドーパミンD受容体にて7.0−10.5のpKi値を有する。別の実施態様において、本明細書に開示された本発明の化合物は、ドーパミンD受容体にて8.0−10.5の範囲のpKi値を有する。pKiの結果は、正確に言うと、たった約±0.3−0.5と判断される。
【0144】
本明細書の上記に列挙された本発明の化合物は、10より大きいD2を超える選択性を有する。別の実施態様において、本明細書の上記に列挙された本発明の化合物は、20より大きいD2を超える選択性を有する。さらなる実施態様において、本明細書の上記に列挙された本発明の化合物は、30より大きいD2を超える選択性を有する。
【実施例】
【0145】
本発明は、以下の限定するものではない実施例によってさらに説明される。
【0146】
最終化合物の絶対立体化学は、純エナンチオ化合物における立体化学中心の絶対配置が、全合成順序を介して維持される合理的過程に基づいて帰属されている。
【0147】
全ての温度は、℃をいう。赤外線スペクトルは、FT−IR機器で測定された。化合物を、正のエレクトロスプレー(ES+)イオン化モードで作動される質量スペクトルにアセトニトリルで溶解された試料の直接注入で分析した。プロトン磁気共鳴(H−NMR)スペクトルは400MHzで記録され、化学シフトは、内部標準として用いられるMeSiからppm低磁場(d)において記録され、一重線(s)、広幅一重線(bs)、二重線(d)、二重線の二重線(dd)、三重線(t)、四重線(q)または多重線(m)として帰属される。
【0148】
実験的振動円二色性(VCD)スペクトルは、2000−800cm−1周波数帯域で作動しているChiralIRTM VCDスペクトロメータを用いて測定された。スペクトルは、室温(23℃)で測定された。スペクトルは、フッ化バリウムウィンドウおよび100ミクロンの路長を有する密封透過セルを用いて、室温(23℃)で測定された(走査時間は、異性体当たり60〜120分異なる)。試料溶液を、典型的に、100μリットルの重水素−クロロホルム(CDCl)で10ミリグラムの各エナンチオマーを溶解することにより調製された。アプイニシオ指定について、VCDおよび非偏光IRスペクトルは、Gaussian 98ソフトウェアパッケージ.1を用いて計算された。
【0149】
施光度は、589nm(ナトリウム源)にて作動する(Perkin Elmer Model 241)偏光計を用いて測定された。23℃のサーモスタットを付けられた1デシメートルのミクロセルを用いて測定を行った。濃度は、典型的には、10mg/ml(c=0.01)であった。アプイニシオOR帰属の場合、Dalton Quantum Chemistry Programを用いた。
【0150】
カラムクロマトグラフィーを、シリカゲル上で行った(Merck AG Darmstaadt、Germany)。以下の略称は、文中で用いられる:EtOAc=酢酸エチル、EtO=ジエチルエーテル、DMF=N,N’−ジメチルホルムアミド、MeOH=メタノール、THF=テトラヒドロフラン、AcOH=酢酸;DCM=ジクロロメタン;SPE=固相抽出、SCX=強陽イオン交換樹脂、Tlcはシリカペレット上の薄層クロマトグラフィーを表す、driedは無水硫酸ナトリウムで乾燥させた溶液を表す、r.t.(RT)は室温を表す、Rt=保持時間、DMSO=ジメチルスルホキシド。
【0151】
最終化合物の絶対立体化学は、純エナンチオ化合物における立体化学中心の絶対配置が、全合成順序を介して維持される合理的過程に基づいて帰属されている。
【0152】
調製例1:(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P1)
【化35】

標記化合物は、WO2005080382に報告のように調製された。
【0153】
調製例2:(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P2)
【化36】

(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P1、1.00g)の乾THF(5mL)中溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(2.4mL)および1−ブロモ−3−クロロプロパン(3.7mL)を添加し、得られた混合物を3時間加熱還流した。室温に冷却した後、酢酸エチル(30mL)で希釈し、NHClの水中飽和溶液(20mL)で2回、NaHCOの水中飽和溶液(20mL)で1回洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物を7:3のシクロヘキサン/EtOAcで溶出しながらシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、無色油として標記化合物を得た(1.26g)。
NMR(H,CDCl):δ 7.50(d,2H)、7.19(d,2H)、3.59(t,2H)、3.33(d,1H)、3.09(d,1H)、2.58(m,2H)、2.66(dd,1H)、2.46(dd,1H)、1.92(m,2H)、1.74(m,1H)、1,67(t,1H)、0.81(dd,1H)。MS(m/z):304[MH]
【0154】
調製例3:5−ヘキサンイミド酸メチル塩酸塩(P3)
【化37】

0℃で5−ヘキセンニトリル(4g)およびMeOH(1.9mL)のEtO(40mL)中攪拌溶液に通して、HCl気体を10分間泡立たせた。溶媒を真空中で蒸発し、残渣をEtOで磨砕し、白色固体として3.7gの標記化合物を得、さらに精製することなく次の工程に用いた。
NMR(H,CDCl):δ 5.75(m,1H)、5.05(m,2H)、4.25(s,3H)、2.75(t,2H)、2.1(dd,2H)、1.85(m,2H)。MS(m/z):128[MH]
【0155】
調製例4:5−ヘキセンイミドアミド塩酸塩(P4)
【化38】

5−ヘキセンイミド酸メチル塩酸塩(P3、1.5g)をNH(MeOH中2M、46mL)中で溶解し、混合物を2時間加熱還流した。揮発物を真空中で蒸発し、褐色固体として1.45gの標記化合物を得、さらに精製することなく次の工程に用いた。
NMR(H,DMSO−D6):δ 9.05(s,2H)、8.73(s,2H)、5.80(m,1H)、5.04(m,2H)、2.39(m,2H)、2.05(m,2H)、1.70(m,2H)。MS(m/z):113[MH]
【0156】
調製例5:2−(4−ペンテン−1−イル)−4−フェニルピリミジン(P5)
【化39】

5−ヘキセンイミドアミド塩酸塩(P4、500mg)、3−フェニル−2−プロピナール(398mg)、および炭酸ナトリウム(786mg)のアセトニトリル(15mL)中混合物を、120℃で40分間マイクロ波シンセサイザにて照射し、次いで、冷却した。溶液を濾過し、真空中で蒸発した。残渣をジクロロメタンで溶解し、有機層をHOで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で蒸発した。粗生成物を、(9/1のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶出しながら)カラムクロマトグラフィーに付して精製し、142mgの標記化合物を得た。
NMR(H,CDCl):δ 8.70(d,2H)、8.11(m,2H)、7.52(m,5H)、5.90(m,1H)、5.03(m,2H)、3.05(t,2H)、2.22(m,2H)、2.02(m,2H)。MS(m/z):225[MH]
【0157】
調製例6:4−(4−フェニル−2−ピリミジニル)ブタナール(P6)
【化40】

2−(4−ペンテン−1−イル)−4−フェニルピリミジン(P5、142mg)のTHF/HO(5/1mL)中溶液に、OsO(水中4%、0.2mL)およびNaIO(404mg)を添加した。溶液を室温で0.5時間攪拌した。次いで、水を添加し、混合物をDCMで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで洗浄し、濾過し、真空中で蒸発し、油として141mgの標記化合物を得、さらに精製することなく次の工程に用いた。
MS(m/z):227[MH]
【0158】
調製例7:2−(4−ペンテン−1−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン(P7)
【化41】

5−ヘキセンイミドアミド塩酸塩(P4、200mg)のエタノール(1.8mL)中溶液に、ナトリウムエトキシド(92mg)を添加し、混合物を室温で5分間攪拌した。次いで、4−(エチルオキシ)−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン(0.13mL)を添加し、混合物を室温で18時間攪拌した。溶媒を蒸発し、残渣をジクロロメタンで溶解し、有機層をHOで洗浄し、NaSOで乾燥した。該溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮した、粗生成物を、(95/5のジクロロメタン/メタノールで溶出しながら)カラムクロマトグラフィーに付して精製し、143mgの標記化合物を得た。
NMR(H,CDCl):δ 8.92(m,1H)、7.45(m,1H)、5.83(m,1H)、5.03(m,2H)、3.05(m,2H)、2.15(m,2H)、1.98(m,2H)。MS(m/z):217[MH]
【0159】
調製例8:4−[4−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジニル]ブタナール(P8)
【化42】

2−(4−ペンテン−1−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン(P7、143mg)の5/1のTHF/HO(6.5mL)中溶液に、OsO(水中4%、0.2mL)およびNaIO(424mg)を添加した。溶液を室温で30分間攪拌した。次いで、水を添加し、混合物をDCMで抽出した、有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で蒸発し、油として91mgの標記化合物を得、さらに精製することなく次の工程に用いた。
MS(m/z):219[MH]
【0160】
調製例9:2−(メチルチオ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]ピリミジン(P9)
【化43】

ベンジルアルコール(1.3mL)を、水素化ナトリウム(鉱油中60%、0.74g)の12.4mLの乾ジオキサン中懸濁液に滴下し、混合物を100℃で30分間攪拌した。4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン(2.0g)の乾ジオキサン(8.2mL)中溶液を50℃で滴下し、混合物を該温度で5時間攪拌した。室温で冷却した後、混合物を氷酢酸で酸性化し、水で処理し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を無水NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、95/5〜9/1のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶出しながらシリカSPEカートリッジ(70g)に付して精製し、白色固体として標記化合物を得た(1.22g)。
NMR(H,CDCl):δ 8.25(d,1H)、7.50−7.25(m,5H)、6.42(d,1H)、5.40(s,2H)、2.53(s,3H)。MS(m/z):233[MH]
【0161】
調製例10:2−(メチルスルホニル)−4−[(フェニルメチル)オキシ]ピリミジン(P10)
【化44】

2−(メチルチオ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]ピリミジン(P9、245mg)の1/1のTHF/MeOH(15.6mL)中溶液に、オキソン(登録商標)(2.6g)の水(14mL)中溶液を添加した。40分後、飽和NaHCO溶液を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、100/0〜99/1のジクロロメタン/メタノールで溶出しながらシリカSPEカートリッジ(10g)に付して精製し、白色固体として標記化合物を得た(230mg)。
NMR(H,CDCl):δ 8.55(d,1H)、7.50−7.30(m,5H)、6.95(d,1H)、5.50(s,2H)、3.30(s,3H)。
MS(m/z):287[MNa]
【0162】
調製例11:3−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}−1−プロパノール(P11)
【化45】

(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(151mg、WO2005080382に報告された以下の製法で調製)の乾テトラヒドロフラン(3.3mL)中溶液に、トリエチルアミン(0.112mL)、3−ブロモ−1−プロパノール(0.073mL)およびNaIを添加し、得られた混合物を4時間加熱還流した。室温で冷却した後、酢酸エチル(20mL)で希釈し、水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、99/1〜97/3のジクロロメタン/メタノールで溶出しながらシリカSPEカートリッジ(10g)に付して精製し、無色油として標記化合物を得た(144mg)。
NMR(H,CDCl):δ 7.50(d,2H)、7.19(d,2H)、4.85(bs,1H)、3.85(t,2H)、3.58(d,1H)、3.33(d,1H)、2.80(m,2H)、2.62(dd,1H)、2.50(dd,1H)、1.82(m,2H)、1.72(m,1H)、1,38(t,1H)、0.91(dd,1H)。
MS(m/z):286[MH]
【0163】
調製例12:(1S,5R)−3−[3−({4−[(フェニルメチル)オキシ]−2−ピリミジニル}オキシ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P12)
【化46】

3−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}−1−プロパノール(P11、144mg)の乾DMF(1.8mL)中溶液に、0℃でNaH(鉱油中60%、24mg)を添加した。混合物を該温度で10分間、次いで、室温で15分間攪拌した。次いで、2−(メチルスルホニル)−4−[(フェニルメチル)オキシ]ピリミジン(135mg)の乾DMF(1.1mL)中溶液を添加した。反応混合物を室温で5時間攪拌し、次いで、水で加水分解し、酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、100/0〜98/2のジクロロメタン/メタノールで溶出しながらシリカSPEカートリッジ(5g)に付して精製し、無色油として標記化合物を得た(171mg)。
NMR(H,CDCl):δ 8.21(d,1H)、7.54(d,2H)、7.48−7.30(m,5H)、7.22(d,2H)、6.42(d,1H)、5.42(s,2H)、4.45(t,2H)、3.42(d,1H)、3.18(d,1H)、2.78−2.40(m,4H)、2.03(m,2H)、1.78(m,1H)、1.53(m,1H)、0.83(m,1H)。
MS(m/z):470[MH]
【0164】
調製例13:(1S,5R)−1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P13)
【化47】

標記化合物を、WO2005080382に報告のように調製した。
【0165】
調製例14:(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P14)
【化48】

(1S,5R)−1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P13、426mg)の乾テトラヒドロフラン(9mL)中溶液に、トリエチルアミン(0.79mL)および1−ブロモ−3−クロロプロパン(0.37mL)を添加し、得られた混合物を16時間還流した。室温で冷却した後、真空中で濃縮し、酢酸エチルで希釈し、NaHCOの水およびブライン中飽和溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、8:2のシクロヘキサン/EtOAcで溶出しながらクロマトグラフィー(シリカゲル)に付して精製し、黄色油として標記化合物を得た(582mg)。
NMR(H,CDCl):δ 7.24(d,2H)、7.16(t,1H)、3.51(t,2H)、3.18(dd,1H)、3.03(d,1H)、2.54(t,2H)、2.48(dd,1H)、2.37(d,1H)、1.83(m,2H)、1.69(m,1H)、1.34(t,1H)、0.70(dd,1H)。
MS(m/z):322[MH]
【0166】
調製例15:2−(4−ペンテン−1−イル)−4−ピリミジノール(P15)
【化49】

標記化合物を、80℃で反応混合物を加熱することを除き、調製例7に記載の方法と同様に、5−ヘキセンイミドアミド塩酸塩(P4、200mg)およびエチル−3−(エチルオキシ)−2−プロペン酸塩(130mg)から無色油として収量56mgで調製した。MS(m/z):165[MH]
【0167】
調製例16:4−(4−ヒドロキシ−2−ピリミジニル)ブタナール(P16)
【化50】

標記化合物を、調製例6に記載の方法と同様に、2−(4−ペンテン−1−イル)−4−ピリミジノール(P15、57mg)から褐色油として収量58mgで調製した。
MS(m/z):167[MH]
【0168】
調製例17および18:(1R,5Rまたは1S,5S)−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]テキサン(texane)(P17、エナンチオマー1)および(1S,5Sまたは1R,5R)−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]テキサン(P18、エナンチオマー2)
【化51】

1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]テキサンをWO2005080382に報告のように調製した。該ラセミ化合物(166mg)のキラル分離を行い、溶離液A:n−ヘキサン;B:エタノール+0.1%イソプロピルアミン、アイソクラチック勾配 5%B、流速1mL/分、225nmのUV検出のキラルカラム キラルセル(Chiralcel)OD(25x0.46cm)を用いて分取クロマトグラフィーに付して分離エナンチオマーを得た。

調製例17:標記化合物(P17、エナンチオマー1)を、無色油(166mg)として収量23mgで回収した、保持時間=11.2分。
調製例18:標記化合物(P18、エナンチオマー2)を、無色油(166mg)として収量16mgで回収した、保持時間=16.3分。
MS(m/z):229[MH]
【0169】
調製例19:(1S,5Sまたは1R,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(エナンチオマー2)(P19)
【化52】

標記化合物を、調製例14に記載の方法と同様に、(1S,5Sまたは1R,5R)−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]テキサン(P18、16mg)から無色油として収量10mgで調製した。
MS(m/z):305[MH]
【0170】
調製例20:(1R,5S/1S,5R)−1−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,4−ジオン(P20)
【化53】

室温で、マレイミド(1.4g)、無水CuCl(1.2g)およびtert−ブチルニトリル(1.3mL)のCHCN(11mL)中スラリーに、4−(1−メチルエチル)アニリン(1.0g)のCHCN(7mL)中溶液を滴下した。反応混合物を18時間室温で攪拌し、6Nの水性HClを添加した。混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和水性NaClで洗浄し、NaSOで乾燥した。溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。NMR解析によると、粗混合物は、アリール化マレイミド塩化水素付加化合物および未反応マレイミドの1:1.6混合物を生じていた。
該粗生成物のDMSO(33mL)溶液を、NaH(鉱油中60%分散液、1.3g)を滴下していた予め調製されたヨウ化トリメチルスルホキソニウム(4.8g)の無水DMSO(66mL)中溶液に滴下した。反応混合物を4時間攪拌し、飽和水性NHCl溶液を添加した。反応混合物をEtOで抽出し、合した有機層を水および飽和水性NaClで洗浄し、NaSOで乾燥した。溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮し、オレンジ色固体として標記化合物を得(1.5g)、さらに精製することなく用いた。
MS(m/z):230[MH]
【0171】
調製例21:(1R,5S/1S,5R)−1−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P21)
【化54】

0℃で1−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,4−ジオン(P20、1.5g)の無水テトラヒドロフラン(45mL)中溶液に、テトラヒドロフラン(1M、26mL)中BHを添加した。反応混合物を65℃で6時間攪拌し、次いで、0℃に冷却し、6Nの水性HClを添加し、混合物を3時間還流した。次いで、混合物を5N水性NaOHで塩基性化し、ジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和水性NaClで洗浄し、NaSOで乾燥した。溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。粗化合物をMeOH(150mL)、次いで、0.3MのMeOH(100mL)中NHで溶出しながら、SCXカートリッジ(強力な陽イオン交換体、10g)に付して精製し、無色油として標記化合物を得た(0.5g)。
MS(m/z):202[MH]
【0172】
調製例22:(1R,5S/1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン
【化55】

標記化合物を、調製例14に記載の方法と同様に、(1R,5S/1S,5R)−1−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P21、100mg)から無色油として収量66mgで調製した。
NMR(H,CDCl):δ = 0.80(m,1H)、1.25(d,6H)、1.38(m,1H)、1.68(m,1H)、1.95(m,2H)、2.48(m,1H)、2.55−2.68(m,3H)、2.90(sept,1H)、3.12(d,1H)、3.33(d,1H)、3.63(t,2H)、7.09(d,2H)、7.19(d,2H)。MS(m/z):278[MH]
【0173】
実施例1:(1S,5R)−3−[4−(4−フェニル−2−ピリミジニル)ブチル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン塩酸塩(E1)
【化56】

(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P1、55mg)、4−(4−フェニル−2−ピリミジニル)ブタナール(P6、55mg)、NaBH(OAc)(102mg)およびAcOH(0.02mL)のTHF(無水、2.4mL)中混合物を、室温で2時間攪拌した。1NのNaOHを添加し、混合物を真空中で蒸発した。残渣をジクロロメタンで溶解し、有機層を飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。該溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。粗生成物を、(98/2のジクロロメタン/メタノールで溶出しながら)カラムクロマトグラフィーに付して精製し、45mgの遊離塩基の標記化合物を得た。該物質のDCM(0.5mL)中溶液に、HCl(EtO中1M、0.1mL)を添加し、溶媒を真空中で蒸発し、得られた物質をEtOで磨砕し、白色のわずかに吸着性の固体として43mgの標記化合物を得た。
NMR(H,DMSO−D6):δ 10.16(bs,1H)、8.78(d,1H)、8.21(m,2H)、7.91(d,1H)、7.69(d,2H)、7.57(m,3H)、7.47(d,2H)、4.02(m,1H)、3.70(m,1H)、3.61(t,1H)、3.49(m,1H)、3.24(m,2H)、2.98(t,2H)、2.27(m,1H)、1.89(m,2H)、1.79(m,2H)、1.60(m,1H)、1.18(m,1H)。MS(m/z):438[MH]
【0174】
実施例2:(1S,5R1)−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−{4−[4−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジニル]ブチル}−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン塩酸塩(E2)
【化57】

(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P1、51mg)、4−[4−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジニル]ブタナール(P8、49mg)、NaBH(OAc)(93mg)およびAcOH(0.018mL)のTHF(2.2mL)中混合物を、2時間室温で攪拌した。1NのNaOHを添加し、混合物を真空中で蒸発した。残渣をジクロロメタンで溶解し、有機層を飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。該溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。粗生成物を、(98/2のジクロロメタン/メタノールで溶出しながら)カラムクロマトグラフィーに付して精製し、46mgの遊離塩基の標記化合物を得た。該物質のDCM(0.5mL)中溶液に、HCl(EtO中1M、0.1mL)を添加し、溶媒を真空中で蒸発し、得られた物質をEtOで磨砕し、白色のわずかに吸着性の固体として46mgの標記化合物を得た。
NMR(H,DMSO−D6):δ 10.31(bs,1H)、9.12(d,1H)、7.88(d,1H)、7.69(d,2H)、7.48(d,2H)、4.03(m,1H)、3.70(m,1H)、3.60(t,1H)、3.47(t,1H)、3.22(m,2H)、3.02(t,2H)、2.27(m,1H)、1.80(m,4H)、1.65(m,1H)、1.18(m,1H)。MS(m/z):430[MH]
【0175】
実施例3−4:
【化58】

適当なチオアリール(0.082mmol)の乾アセトニトリル(2ml)中溶液に、ポリスチレン上の2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアゾ−ホスホリン(56mg、2.2mmol/g)を添加し、得られた混合物を30分間室温で振盪し、次いで、(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P2、25mg)を添加し、得られた混合物を50℃で一晩振盪した。冷却した後、樹脂を濾去し、メタノール(2ml)で洗浄し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。以下の条件:
移動相:A:NH4HCO3溶液、10mM、pH10;B:CH3CN
勾配1:1分間30%(B)、9分間30%(B)〜95%(B)、3分間95%(B)
流速:17ml/分;UV波長域:210−350nm
質量範囲:100−900amu、イオン化:ES+
を用いて、Waters XTerra分取MS C18 10μm、100x19mmカラムを用いてマスディレクティドHPLCに付して精製を行った。
次いで、溶媒を減圧下で除去し、遊離塩基として標記化合物を得た。
【0176】
HPLC:分析
カラム:X Terra MS C18 5μm、50x4.6mm
移動相:A:NH4HCO3溶液、10mM、pH10;B:CH3CN
勾配:1分間30%(B)、9分間30%(B)〜95%(B)、3分間95%(B)
流速:1ml/分;UV波長域:210−350nm;質量範囲:100−900amu、(ES+)。
【表1】

【0177】
実施例5:2−[(3−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)オキシ]−4(1H)−ピリミジノン塩酸塩(E5)
【化59】

(1S,5R)−3−[3−({4−[(フェニルメチル)オキシ]−2−ピリミジニル}オキシ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P12、121mg)を酢酸エチル(10mL)で溶解し、大気圧で10%Pd/Cの存在下において水素で水素化した。2時間後、触媒を濾過し、濾液を濃縮し、残渣を99/1〜95/5のジクロロメタン/メタノールで溶出しながら、シリカSPEカートリッジ(2g)に付して精製し、85mgの標記化合物の遊離塩基を得た。該物質のジクロロメタン(1mL)中溶液に、0.224mLのHCl(EtO中1M)を添加し、溶媒を真空中で蒸発し、得られた物質をEtOで磨砕し、白色のわずかに吸湿性の固体として93mgの標記化合物を得た。
NMR(H,CDCl):(標記化合物の遊離塩基)δ 7.77(d,1H)、7.52(d,2H)、7.22(d,2H)、6.12(d,1H)、4.47(t,2H)、3.40(d,1H)、3.15(d,1H)、2.75−2.42(m,4H)、2.06−1.93(m,2H)、1.78(m,1H)、1.50(m,1H)、0.83(m,1H)、NHは観察されなかった。MS(m/z):380[MH]
【0178】
実施例6:2−[(3−{(1S,5R)−1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−4(1H)−ピリミジノン塩酸塩(E6)
【化60】

(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P14、70mg)、2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−4(1H)−ピリミジノン(33mg)、KCO(36mg)およびNaI(39mg)のジメチルホルムアミド(1.5mL)中混合物を、60℃で22時間加熱した。次いで、水を添加し、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をNaSOで乾燥し、真空中で蒸発した。粗生成物を、100/0〜98/2のジクロロメタン/メタノールで溶出しながらシリカSPEカートリッジ(2g)に付して精製し、38mgの標記化合物の遊離塩基を得た。該物質のジクロロメタン(1mL)中溶液に、0.092mLのHCl(EtO中1M)を添加し、溶媒を真空中で蒸発し、得られた物質をEtOで磨砕し、白色のわずかに吸湿性の固体の40mgの標記化合物を得た。
NMR(H,CDCl)標記化合物の遊離塩基:δ = 0.85(m,1H)、1.50(bs,1H)、1.80(m,1H)、1.85−1.95(m,2H)、2.48(d,1H)、2.60−2.70(m,3H)、3.12−3.3.38(m,4H)、6.25(d,1H)、7.22−7.40(m,3H)、7.85(d,1H)、OHは観察されなかった。MS(m/z):414[MH]
【0179】
実施例7:4−[(3−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−2(1H)−ピリミジノン塩酸塩(E7)
【化61】

標記化合物を、実施例6に記載の方法と同様に、(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P2、70mg)および4−チオキソ−3,4−ジヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(35mg)から黄色のわずかに吸湿性の固体として収量25mgで調製した。
NMR(H,CDCl)標記化合物の遊離塩基:δ = 12.60(bs,1H)、7.53(d,2H)、7.40(d,1H)、7.25(d,2H)、6.28(d,1H)、3.52−3.38(bm,1H)、3.30(m,2H)、3.25−3.10(bm,1H)、2.77−2.42(bm,4H)、2.05−1.47(bm,4H)、1.94−1.82(bm,1H)。MS(m/z):396[MH]
【0180】
実施例8:2−[(3−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−4(1H)−ピリミジノン塩酸塩(E8)
【化62】

標記化合物を、実施例6に記載の方法と同様に、(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P2、70mg)および2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−4(1H)−ピリミジノン(35mg)から白色のわずかに吸湿性の固体として収量22mgで調製した。
NMR(H,DMSO−D6):δ = 1.08−1.18(m,1H)、1.51−1.69(m,1H)、1.99−2.14(m,2H)、2.17−2.27(m,1H)、3.06−3.35(m,4H)、3.41−3.52(m,1H)、3.50−3.64(m,1H)、3.63−3.75(m,1H)、3.92−4.10(m,1H)、6.05(bs,1H)、7.44(d,2H)、7.65(d,2H)、7.80(bs,1H)、10.21(bs,1H)、12.75(bs,1H)。
MS(m/z):396[MH]
【0181】
実施例9:(1S,5R)−3−{3−[(4−メチル−2−ピリミジニル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン塩酸塩(E9)
【化63】

標記化合物を、実施例6に記載の方法と同様に、(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P2、45mg)および4−メチル−2(1H)−ピリミジンチオン(29mg)から白色のわずかに吸湿性の固体として収量40mgで調製した。
NMR(H,DMSO−D6):δ = 1.17(t,1H)、1.71(t,1H)、2.07−2.19(m,2H)、2.22−2.30(m,1H)、2.41(s,3H)、3.16(t,2H)、3.24−3.32(m,2H)、3.43−3.53(m,1H)、3.61(t,1H)、3.71(dd,1H)、4.04(dd,1H)、7.11(d,1H)、7.47(d,2H)、7.69(d,2H)、8.48(d,1H)、10.51(bs,1H)。MS(m/z):394[MH]
【0182】
実施例10:2−(4−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}ブチル)−4(1H)−ピリミジノン塩酸塩(E10)
【化64】

標記化合物を、実施例1に記載の方法と同様に、4−(4−ヒドロキシ−2−ピリミジニル)ブタナール(P16、58mg)および(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P1、80mg)から白色のわずかに吸湿性の固体として収量29mgで調製した。
NMR(H,DMSO−D6):δ = 1.13−1.20(m,1H)、1.61−1.78(m,5H)、2.24−2.31(m,1H)、2.54−2.61(m,2H)、3.14−3.25(m,2H)、3.42−3.52(m,1H)、3.56−3.63(m,1H)、3.64−3.74(m,1H)、3.97−4.08(m,1H)、6.19(d,1H)、7.48(d,2H)、7.69(d,2H)、7.85(d,1H)、10.42(bs,1H)、12.46(bs,1H)。MS(m/z):378[MH]
【0183】
実施例11:2−[(3−{(1S,5Sまたは1R,5R)−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−4(1H)−ピリミジノン(E11、エナンチオマー2)
【化65】

標記化合物を、実施例6に記載の方法と同様に、3−(3−クロロプロピル)−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P19、10mg)および2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−4(1H)−ピリミジノン(5mg)から白色のわずかに吸湿性の固体として収量7mgで調製した。
NMR(H,CDCl)、標記化合物の遊離塩基:δ = 1.18−1.36(m,2H)、1.70(s,1H)、1.87−2.12(m,3H)、2.52(m,1H)、2.70(m,2H)、2.88(m,1H)、3.13−3.30(m,3H)、3.48(d,1H)、6.22(d,1H)、7.15(d,1H)、7.77−7.90(m,2H)、8.72(s,1H)。MS(m/z):397[MH]
【0184】
実施例12:2−[(3−{(1R,5S/1S,5R))−1−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−4(1H)−ピリミジノン塩酸塩(E12)
【化66】

標記化合物を、実施例6に記載の方法と同様に、(1R,5S/1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(P21、66mg)および2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−4(1H)−ピリミジノン(35mg)から白色のわずかに吸湿性の固体として収量41mgで調製した。
NMR(H,CDCl)、標記化合物の遊離塩基:δ = 0.82(m,1H)、1.25(d,6H)、1.42(m,1H)、1.70(m,1H)、1.93(m,2H)、2.50(m,1H)、2.57−2.70(m,3H)、2.90(sept,1H)、3.10−3.30(m,3H)、3.40(d,2H)、6.22(d,1H)、7.10(d,2H)、7.19(d,2H)、7.87(d,1H)。MS(m/z):370[MH]
【0185】
本明細書で引用される特許および特許出願を含むがこれらに限定されないすべての刊行物は、個々の刊行物が十分に開示されているかの如く具体的かつ個別的に出典明示により本明細書の一部とすることが明示されているかのように出典明示により本明細書の一部とする。
【0186】
本明細書および請求項がその一部をなす出願は、後願についての優先権の基礎として用いられうる。かかる後願の特許請求の範囲は、本明細書に記載の特徴または特徴の組み合わせに関与しうる。それらは、生成物、組成物、方法または使用の請求項の形をなし、実施例の方法によりおよび限定されることなく、本請求項を包含しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
pは、0、1、2、3、4または5であり;
は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択され;
nは、3または4であり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
nは、2または3であり;
Xは、−CH−、−O−または−S−であり;
Zは、−CH−またはNであってもよく;
Aは、基PまたはP1であり、
ここで、Pは:
【化2】

であり、P1は:
【化3】

であり;ならびに
Yは、水素、−OH、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、フェニルまたは芳香族複素環基であり、ここで、フェニルおよび芳香族複素環基は、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択される1または2個の置換基で置換されていてもよい]
で示される化合物またはその塩。
【請求項2】
pが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
がハロC1−4アルキル、例えば、CFである、請求項1−2に記載の化合物。
【請求項4】
nが3およびXが−CH−であるか、nが3およびXが−S−であるかまたはnが3およびXが−O−である、請求項1−3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
Yが水素、ハロC1−4アルキル、フェニルであり、ここで、フェニルは、ハロC1−4アルコキシ、−OHまたはC1−4アルキルで置換されていてもよい、請求項1−4記載の化合物。
【請求項6】
Aが基Pである、請求項1−5に記載の化合物。
【請求項7】
式(IL):
【化4】

[式中:p、R、R、n、X、AおよびZは、上記の式(I)で示される化合物についての記載と同義である]
で示される化合物またはその塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
式(IN):
【化5】

[式中:XおよびYは、式(I)と同義である]
で示される化合物またはその塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
(1S,5R)−3−[4−(4−フェニル−2−ピリミジニル)ブチル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−{4−[4−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジニル]ブチル}−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−[3−(2−ピリミジニルチオ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−[3−({4−[4−(メチルオキシ)フェニル]−2−ピリミジニル}チオ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
2−[(3−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)オキシ]−4(1H)−ピリミジノン;
2−[(3−{(1S,5R)−1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−4(1H)−ピリミジノン;
4−[(3−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−2(1H)−ピリミジノン;
(1S,5R)−3−{3−[(4−メチル−2−ピリミジニル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(4−メチル−2−ピリミジニル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
2−(4−{(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}ブチル)−4−ピリミジノール;
2−[(3−{(1R,5R)−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−4−ピリミジノール;
2−[(3−{(1S,5R)−1−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル}プロピル)チオ]−4−ピリミジノール;
のいずれかまたはその塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
請求項1記載の式(I)で示される化合物またはその塩の調製方法であって、
(a)Xが−CH−であって、Rが水素である式(I)で示される化合物の場合、式(II):
【化6】

[式中:nおよびAは式(I)と同義である]
で示される化合物を、式(III):
【化7】

[式中:p、ZおよびRは、式(I)と同義である]
で示されると反応させるか;または
(b)Xが−S−である式(I)で示される化合物の場合、式(IV):
【化8】

[式中:p、R、R、Zおよびnは、式(I)と同義であり、Lは脱離基である]
で示される化合物を、式(V):
【化9】

[式中:Aは式(I)と同義である]
で示される化合物と反応させるか;
(c)Xが−O−である式(I)で示される化合物の場合、式(VI):
【化10】

[式中:p、R、R、Zおよびnは式(I)と同義である]
で示される化合物を、式(VII):
【化11】

[式中:Aは式(I)と同義である]
で示される化合物と反応させ;
方法(a)、(b)および工程(c)の後に、
(i)いずれかの置換基(複数でも可)を除去してもよく;および/または
(ii)塩を形成してもよく;および/または
(iii)式(I)で示される化合物もしくはその塩を別の式(I)で示される化合物もしくはその塩に変換してもよいことを含む方法。
【請求項11】
治療に用いるための請求項1−10のいずれか記載の化合物。
【請求項12】
ドーパミンD受容体の調節が有用である哺乳類の病態の治療に用いるための請求項1−10のいずれか記載の化合物。
【請求項13】
物質関連障害、精神病性障害(例えば、統合失調症)または早漏の治療に用いるための請求項1−10のいずれか記載の化合物。
【請求項14】
請求項1−10のいずれか記載の化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
ドーパミンD受容体の調節が有用である病態の治療方法であって、請求項1−10のいずれかの化合物の有効量をそれを必要とする哺乳類(例えば、ヒト)に投与することを含む方法。
【請求項16】
病態が、物質関連障害、精神病性障害(例えば、統合失調症)または早漏である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
ドーパミンD受容体の調節が有用である哺乳類における病態の治療のための医薬の製造における請求項1−10のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項18】
病態が、物質関連障害、精神病性障害(例えば、統合失調症)または早漏である、請求項17記載の使用。

【公表番号】特表2009−504792(P2009−504792A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527371(P2008−527371)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008201
【国際公開番号】WO2007/022934
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】