説明

化学的な増幅反応のためのマクロ多孔質支持体及びその利用

【課題】精度及び再現性が高い核酸増幅方法及び装置を提供する。
【解決手段】マクロ多孔質支持体の孔2の中で核酸を増幅するための方法であって、上記第1表面及び第2表面には、直径が500nm〜100μmであり、深さに対する開口のアスペクト比が少なくとも10:1である多数の分離した孔2が、10〜10/cmの密度で分散して設けられており、増幅反応に適した反応混合物の所定の成分が、上記支持体の少なくとも2つの孔2を備える第1領域に供給され、上記反応混合物の成分が、非共有結合によって上記支持体の孔壁1に結合することによって、上記支持体表面上に反応領域が形成される工程(a)と、上記支持体全体に、増幅反応の実施に必要な上記反応混合物の成分を含むサンプルを添加する工程(b)と、増幅反応を行う工程(c)と、少なくとも1つの増幅産物を検出する工程(d)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体における孔の中で、核酸の増幅を実施するための方法に関するものであって、特に、上記方法では、核酸の増幅に必要な反応混合物の所定の成分が、上記支持体における二つ以上の孔の中に供給されている方法に関するものである。さらに、本発明は、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体を備える装置に関するものであって、特に、上記マクロ多孔質支持体は、多数の孔を有し、当該孔の中には核酸の増幅を行うための反応混合物の所定の成分が供給されている装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
核酸の検査を含む方法は、分子生物学的研究において使用されているが、様々な疾病の診断において使用されることも増えてきている。この目的を達するために、普通は、適切な核酸が増幅される。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、DNA断片を、制御しながら増幅するためのin vitroにおける方法である。短いオリゴヌクレオチド(プライマー)は、増幅対象であるDNA断片の両末端と特異的に結合し、DNAポリメラーゼによって指数対数的な増幅(exponential multiplication)を開始する。反応効率が100%である場合、論理的にDNA断片のコピー数は、反応開始時の量に対して2倍のコピー数に増加する。ただし、nは、増幅サイクルの数である。
【0003】
基本検査、診断及び治療効果の監視において核酸の増幅を使用するためには、特異性を上げながら自動化、並行化及び小型化することが重要となってきている。自動化の最大の利点は、時間及びコストが削減されることに加え、ピペット採取時の不正確さ、増幅時の温度もしくは時間の僅かな変化、または測光による増幅産物の検出時における装置の読み取りの不正確さに起因する、個々の反応バッチにおける反応条件の違いを最小化することができる点である。すなわち、比較用反応バッチのための反応混合物の構成要素を、1つの共通のマスターマトリックス中により多く入れることができる場合や、同時に実施して分析できる反応がより多い場合には、相互に比較できる結果がより一層多くなる。PCRは、指数的な核酸の増幅工程を含むので、反応条件における小さな差が増大し、結果に著しく影響してしまう可能性がある。従来のPCR条件の特異性は、主に、増幅中において反応混合物の加熱及び冷却の間隔を短くすることによって、高めることができる。なぜなら、これによって、プライマーによる非特異的結合のリスクが低下するからである。核酸の増幅効率を上げるための他の要素には、反応体積の低減が含まれる。反応体積が少ないほど、体積全体の温度を、よりいっそう迅速かつ均等に上昇または下降させることができる。さらに、1つのサンプル材料を用いて、より多くの反応を行えるので、その結果より多くの分析を行える。このことは、特に、(例えば、生検によって)入手可能な患者からの材料、または採取に非常にコストのかかるサンプル材料(例えばcDNA)に限定する場合、大きな利点である。
【0004】
核酸の増幅を小型化及び並行化するために、従来技術において知られている構想は、プレーナ型の「Lab-on-a-chip」配列を好適に使用している(例えば、非特許文献1参照)。このチップシステムは、反応溶液が異なる温度区域を移動することによって、連続的にPCRが生じるという流通構想(through-flow concept)に基づいて動作する。この流通構想の欠点は、温度サイクルの数がチップ形状によって決定されていて変更できないことの他に、PCR流通構想は実験的に複雑なので並行化の程度が非常に限られており、PCR流通反応装置がプレーナ型に配列されているのでチップ毎の所要面積が大きく、製造コストが高くなる、ということである。また、化学的及び生化学的な反応を、プレーナ型基板の開放型反応チャンバー中において実施するための装置及び方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この文献では、多数の液体サンプルが個々の反応チャンバー中に入れられる。このことは、作業を非常に困難にし、時間とコストがかかる。マイクロタイタープレート(microtitre plate)及びナノタイタープレート(nanotitre plate)のための現存する全ての構想と同じように、上記特許文献1に記載の技術は、「1つの反応体積には1つの反応バッチ」という構想に基づいている。
【特許文献1】米国特許出願第2001/0055765号A1
【非特許文献1】Kopp他著、Science(1998)280、1046−1048
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、小型化が進むにつれて調剤技術に対する要求が高くなっている。
【0006】
(i)体積が小さくなるにつれて高い精度及び高い再現性で調剤する必要がある。さらに困難なことに、特に生命科学及び分子診断では、多くの場合、非常に異なる湿潤特性(例えば、界面活性剤)及び粘性(例えば、高濃度に濃縮されたタンパク質溶液または血液)を有する反応溶液をピペット採取する必要があり、この場合、精度及び再現性が損なわれる。
【0007】
(ii)個々の別々の反応槽を駆動するために、配置される溶液の位置の精度及び再現性に対する要求が高まっている。このような正確な調剤システムは、整備が複雑で製造コストも高い。正確な調剤システムは、特に、サービスラボ部門(service laboratory sector)及びルーチンラボ部門(routine laboratory sector)には適していない。
【0008】
したがって、小型化された支持体を反応槽と共に使用する方法が望ましい。この方法では、調剤装置の位置精度に対する要求が低い。同時に、この方法では、非常に少量の液体を、非常に正確かつ再現性よく使用することができる。
【0009】
したがって、本発明の目的は、精度及び再現性が高い改善された核酸増幅方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の核酸を増幅するための方法は、上記課題を解決するために、互いに反対側に配置されている第1表面と第2表面とを有する、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体の孔の中で核酸を増幅するための方法であって、上記第1表面及び第2表面には、直径が500nm〜100μmであり、深さに対する開口のアスペクト比が少なくとも10:1である多数の分離した孔が、10〜10/cmの密度で分散して設けられており、増幅反応に適した反応混合物の所定の成分が、上記支持体の少なくとも2つの孔を備える第1領域に供給され、上記反応混合物の成分が、非共有結合によって上記支持体の孔壁に結合することによって、上記支持体表面上に反応領域が形成される工程(a)と、上記支持体全体に、増幅反応の実施に必要な上記反応混合物の成分を含むサンプルを添加する工程(b)と、増幅反応を行う工程(c)と、少なくとも1つの増幅産物を検出する工程(d)と、を含むことを特徴としている。
【0011】
本発明の核酸を増幅するための方法では、さらに、上記支持体には、少なくとも2つの孔を有しており、工程(a)の反応領域とは異なっている、第2領域が設けられており、増幅反応に適した反応混合物の成分であって、上記成分とは異なる他の成分を、上記第2領域に供給する工程をさらに含み、上記他の成分の組成と工程(a)の反応混合物の成分の組成とは、上記支持体の第2領域において、少なくとも1つの化合物が異なっている、または少なくとも1つの化合物の濃度が異なっていることが好ましい。
【0012】
本発明の核酸を増幅するための方法では、増幅反応に適した反応混合物の所定の成分を、該成分を含む水溶液を乾燥させることにより、上記支持体の孔壁と結合させることが好ましい。
【0013】
本発明の核酸を増幅するための方法では、上記マクロ多孔質支持体が、マクロ多孔質シリコン、または部分酸化マクロ多孔質シリコンであることが好ましい。
【0014】
本発明の装置は、上記課題を解決するために、互いに反対側に配置されている第1表面と第2表面とを有する、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体を備える装置であって、上記第1表面及び第2表面全体には、直径が500nm〜100μmであり、深さに対する開口のアスペクト比が少なくとも10:1である多数の分離した孔が、10〜10/cmの密度で分散して設けられており、核酸の増幅を行うための反応混合物の所定の成分が、少なくとも2つの孔の中に非共有結合によって結合されている第1領域を備えることを特徴としている。
【0015】
本発明の装置では、核酸の増幅を行うための反応混合物成分であって、上記成分とは異なる他の成分が、少なくとも2つの孔の中に非共有結合によって結合される第2領域を備え、上記第2領域に供給される反応混合物の成分の組成は、上記第1領域の反応混合物の成分の組成とは、少なくとも1つの化合物が異なっていることが好ましい。
【0016】
本発明の装置では、上記支持体の第1表面又は第2表面が、覆いで閉じられていることが好ましい。
【0017】
本発明の装置では、上記マクロ多孔質支持体は、マクロ多孔質シリコン、または部分酸化マクロ多孔質シリコンであることが好ましい。
【0018】
本発明の装置では、上記孔の直径は、2〜20μmであることが好ましい。
【0019】
本発明の装置では、上記マクロ多孔質支持体の厚さは、100〜5000μmであることが好ましい。
【0020】
本発明のマクロ多孔質支持体を使用する方法は、上記課題を解決するために、互いに反対側に配置されている第1表面と第2表面とを有する、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体を、核酸を増幅するために使用する方法であって、上記第1表面及び第2表面全体には、直径が500nm〜100μmであり、深さに対する開口のアスペクト比が少なくとも10:1である多数の分離した孔が、10〜10/cmの密度で分散して設けられていることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一実施形態について、図1〜図6に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0022】
本実施の形態では、特に、互いに反対側に配置されている第1表面と第2表面とを有する、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体の孔の中で核酸を増幅するための方法が提供される。上記第1表面及び第2表面全体には、直径が500nm〜100μmであり、深さに対する開口のアスペクト比が少なくとも10:1である多数の分離した孔が、10〜10/cmの密度で分散して配置されている。そして、上記方法は、増幅反応に適した反応混合物の所定の成分が、上記支持体の少なくとも2つの孔を備える第1領域に供給され、上記反応混合物の成分が、非共有結合によって上記支持体の孔壁に結合することによって、上記支持体表面上に反応領域が形成される工程(a)と、上記支持体全体に、増幅反応の実施に必要な上記反応混合物の成分を含むサンプルを添加する工程(b)と、増幅反応を行う工程(c)と、少なくとも1つの増幅産物を検出する工程(d)と、を含む。
【0023】
「1つの反応体積には1つの反応バッチ」という構想を放棄し、複数の相互に隣接するキャピラリーまたはプローブ上に反応バッチを分配すれば、整列された多孔質基板によって、上述した2つの要求が満たされる。
【0024】
反応領域は、支持体の形態によって予め決められるのではなく、反応溶液、またはその一部を(例えば、マイクロアレイの製造にも使用されるようなスポッティング技術を使用して)配置することによって初めて規定される。本発明に基づいて設けられた多孔質支持体上に、毛細管または孔の連続的な集合からなる反応領域が設けられている。この場合、調節されたスポッティングは不要である。反応領域は、互いに直接隣接するように配置されている必要はなく、複数の孔を有する中間空間によって分離されていてもよい。
【0025】
溶液と多孔質支持体とが接触する時に生じる毛管力(capillary force)の吸引作用により、1群の分離された反応毛細管が充填される。毛細管または孔は、既に充填されている場合、溶液をそれ以上取り込むことができない。したがって、本発明に基づいて設けられている多孔質支持体は、自己制限的なシステムである。毛細管の充填は、止まり孔に対しても貫通孔に対しても機能する。
【0026】
現在使用されている構成よりもさらに小型化することは、多くの利点を伴う。本発明に基づいて使用される支持体は寸法が小さいので、サンプル上の温度勾配を回避できる。さらに、反応支持体を充填するために必要な試薬量が減少するので、試験/実験毎のコストも下がる。特に、迅速な加熱及び冷却が要求される化学的な増幅では、このように小型化された反応支持体の寸法が小さいことは利点である。なぜなら、搬送される熱量は小さく、それゆえ、熱量を迅速にシステムへ投入したり、またはシステムから放出したりできるからである。
【0027】
本発明の範囲内では、用語「孔」とは、支持体を通って第1表面から第2表面へ延びる孔(すなわち、貫通孔)と、一方の端部が閉じた孔(すなわち、止まり孔)とが意図される。本発明の範囲内では、支持体を通って第1表面から第2表面へ延びる孔が設けられていることが好ましい。
【0028】
本発明のマクロ多孔質支持体は、直径が500nm〜100μm、好ましくは2〜20μmである孔が、10〜10孔/cmの密度で設けられている限り、材料の選択に関しては何ら制限されるものではない。特に、本発明で使用されるマクロ多孔質支持体は、プラスチック、ガラス、Alまたはシリコンを用いて形成されていてもよい。好ましくは多孔質シリコン、より好ましくは部分酸化マクロ多孔質シリコンを、本発明のマクロ多孔質支持体として使用することが好ましい。
【0029】
この場合、このように好適に使用されるマクロ多孔質シリコンは、ドープ(好ましくはnドープ)されていてもよいし、ドープされていなくてもよい。このようなマクロ多孔質シリコンは、例えば、EP−A1−0296348に記載の方法で製造され得る。穴開口部または孔は、電気化学的に生成されることが好ましい。この場合、電気化学的なエッチングは、フッ化水素酸を含む電解質中で、一定の電位または時間に応じて変化する電位を印加することによって行われる。また、シリコンからなる層または基板は、電解セルの正に分極した電極として接続されている。このような穴は、例えば、V. Lehmann著のJ. Elektrochem. Soc. 140, 1993, 2836ページ以下に記載の方法で生成され得る。しかしながら、本発明の範囲内では、マクロ多孔質基板として、他の半導体基板(例えば、GaAs基板、またはSiによって被覆されたガラス基板など)もまた、用いられ得る。
【0030】
特に好ましい方法では、本発明の範囲内のマクロ多孔質支持体として、WO 03/089925に記載の部分酸化マクロ多孔質シリコンが使用されてもよい。WO 03/089925の内容は、本願に含まれる。このような部分酸化マクロ多孔質シリコンとは、シリコンを基礎として二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体が意図される。上記マクロ多孔質支持体は、表面全体に分布する多数の孔を有している。上記孔は、直径が500nm〜100μmであり、深さに対する開口部のアスペクト比が少なくとも10:1であり、10〜10/cmの密度で設けられている。上記支持体は、SiOからなる孔壁を有する複数または多数の孔を備える少なくとも1つの領域を有している。また、上記領域は、孔の縦軸に対してほぼ並行に配置されており、上方に向かって開口しており、シリコン核を有する壁からなる枠が、上記領域を取り囲んでいる。この場合、シリコンからなる核は、枠を形成する壁の外壁へと断面を越えて二酸化シリコンに入り込んでいる。したがって、このような部分酸化マクロ多孔質シリコンは、SiOからなる局部的に透明な領域を備えている。この場合、この透明な領域は、同じく、シリコン核を有する壁からなる枠によって囲まれている。言い換えれば、SiOからなる局部的に完全に透明な領域が存在しており、上記領域は、ほぼ2次的な構造を形成するシリコン核を有する不透明な壁によって相互に分離されている。
【0031】
この場合、マクロ多孔質支持体として本発明の範囲内で使用される部分酸化マクロ多孔質シリコンは、DE10 2004 018846.7に記載されているように形成され得る。DE10 2004 018846.7の内容は本発明に含まれる。つまり、シリコン核を有する壁からなる全ての枠のうちのそれぞれ個々の枠は、それを取り囲む枠すなわち隣接する枠から空間的に完全に分離されている。したがって、個々の領域またはコンパートメントのシリコン壁は連続的ではなく、すなわち、相互に接触することなく、SiOからなる孔壁を有する領域によって相互に完全に分離されている。この構造的な配列は、このような部分酸化マクロ多孔質シリコンの製造過程で、シリコンが二酸化シリコンへと変化するときの体積の重複(volume doubling)によって局部的に生じる応力を、空間的に切断できる。完全に酸化された領域では、孔の間の壁は、SiOのみから形成される。
【0032】
本発明に基づいて備えられた、増幅反応装置の3次元配列は、基板の深さを利用しており、増幅反応領域を高集積化できる。その結果、反応支持体を低コストで製造できる。反応溶液を完全に分離できるので、混ざり合って汚染することはない。本発明のマクロ多孔質支持体は、孔の直径が500nm〜100μmであり、好ましくは2〜10μmである。反応体積を約10pl〜500nl、好ましくは1.5〜20nlに小型化することにより、増幅反応あたりのコストが下がる。孔における毛管力は、孔の充填を容易にする。熱容量が低く、孔において熱が反応混合物へ良好に移動するので、このシステムでは温度を非常に迅速に変更できる。その結果、約3〜10℃/sの加熱速度及び冷却速度によって、非常に短い時間内に、選択的かつ感度のよい増幅を行うことができる。外部の加熱ブロック/冷却ブロック(例えば、ヒーターフィラメント(heating coil)/圧縮空気冷却またはペルティエ素子(Peltier element))、好ましくは温度センサー(例えば、Pt100)、または上記支持体上に備えられた加熱素子(例えば、ヒーターフィラメント)、好ましくは温度センサー(例えば、Pt100)のどちらかによって、上記支持体は加熱及び冷却され得る。
【0033】
用語「核酸の増幅」は、全ての酵素的な核酸増幅、好ましくはポリメラーゼ活性を有する酵素による増幅を含んでいる。このような酵素の例としては、TaqポリメラーゼまたはPfuポリメラーゼがあげられる。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行い得る。本発明に基づく核酸増幅の例としては、Real−Time PCR、Nested PCR、Asymmetric PCR、Gradient PCR、RT−PCT及びMethylation specific PCRがあげられる。
【0034】
Real−Time PCRでは、PCRによってDNA断片が増幅され、さらに、蛍光信号を測定することにより、DNA増幅を継続的に観察できる。このことは、2本鎖核酸と非特異的に結合する色素の使用と、蛍光性色素に結合された配列特異的プローブの使用とによって行うことができる。
【0035】
Nested PCRでは、第1のPCRによって、まず核酸断片を増幅する。このPCR産物は、第2のPCRにおいて、ターゲットの核酸として機能する。第1のPCR断片の内部でハイブリダイゼーションする第2プライマー対を用いて、第2のPCRにおいてより小さな断片を増幅する。
【0036】
増幅される核酸は、自然に存在するあらゆる核酸、または人工的に生成されるあらゆる核酸であり得る。増幅される核酸は、2本鎖及び一本鎖のDNA分子またはRNA分子や、修飾された塩基を有する核酸を含む。さらに、増幅される核酸は、増幅前に修飾された核酸を含む。上記修飾は、例えば、亜硫酸水素ナトリウムによって処理することによって行われてメチル化シトシンがウラシルに変換される。これによって、Methylation specific PCRにおいてメチル化DNAを検出することができる。さらに、RNAから予め逆転写されたDNA分子の増幅も含まれる。
【0037】
反応混合物の所定の成分は、核酸の増幅に必要な、反応混合物の1つまたは複数の化合物であり得る。上記反応混合物の所定の成分は、酵素、ヌクレオチド(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、dUTPなどのデオキシヌクレオチド、またはddATP若しくはddCTPなどのジデオキシヌクレオチド)、塩(例えば、MgCl)、プライマー(増幅中に延長できるプライマーまたは延長できないプライマーを含む)、核酸(例えば、DNA、RNA)、PNA(ペプチド核酸)、色素、及びプローブを含む。
【0038】
増幅反応に必要な反応混合物の所定の成分またはその化学的な化合物は、上記のように、普通は、このような成分を含む水溶液を乾燥させることにより支持体の孔壁と結合する。
【0039】
本発明の好ましい一実施形態では、工程(a)において上記孔に供給される上記所定の成分は、ヌクレオチド、少なくとも1つのプローブ、及び/または少なくとも1つの色素、塩及びプライマーを含んでおり、好ましい実施形態ではさらにPNAを含んでいる。その結果、工程(c)において酵素的な反応を実施するために、検査されるサンプル材料及び酵素が添加される。このように、特に好ましい一実施形態では、標準化された、特定の検出に特化された、標準化された巨視的な支持体(standardized macroscopic support)を作製でき、潜在的な使用者に提供できる。使用者は、検出を行うサンプルと、好ましくは酵素とを用意し、核酸の増幅を行う。
【0040】
用語「塩」は、核酸の酵素的な増幅を妨害しない濃度の、既知の全ての塩を含む。
【0041】
用語「プライマー」は、塩基対を形成することによって相補的な核酸配列とハイブリダイゼーションし、核酸を付加するための開始点としての役割を果たす全てのオリゴヌクレオチドを含んでいる。本発明のプライマーには、検出可能なマーキングが付加され得る。このマーキングにより、核酸増幅反応の産物を検出できる。
【0042】
PNAはオリゴヌクレオチドであって、このオリゴヌクレオチドの塩基は、糖リン酸の相互作用によって結合しているのではなく、アミノ酸様構造の相互作用によって結合している。非常に高い結合エネルギーを有する塩基対を形成することによって、これらの構造物は、相補的な1本鎖DNAと、配列特異性のあるハイブリダイゼーションを行う。結合したPNAのために、ポリメラーゼは核酸を増幅できない。PNAと核酸との間に誤った塩基対が形成されると、結合エネルギーは非常に低下し、PNAは、増幅反応中、核酸と結合しない。
【0043】
用語「色素」は、増幅された核酸を検出するために使用できる、全ての公知の色素が意図される。上記色素には、Sybr Green(商標登録)のような蛍光色素(例えば、挿入色素(intercalating dye))、または、2本鎖の核酸に対して特異的に結合する臭化エチジウムがあげられる。
【0044】
用語「プローブ」は、特異的なハイブリダイゼーションによる、増幅された核酸の検出に使用できる、既知の全てのヌクレオチド配列を含む。また、上記プローブは、検出可能なマーキングと結合されたプローブを含む。このような検出可能なマーキングは、例えば、蛍光性の色素、または検出可能なマーキングに対して高い親和性を有する化合物であり得る。本発明で使用されるプローブシステムは、PCR産物の検出に使用できる、公知の全てのプローブシステム(例えば、TaqManプローブ、Beacon分子(Molecular Beacons)、Scorpionプローブ、Light Cyclerプローブまたは他の蛍光性共鳴エネルギートランスファー(FRET)プローブなど)であり得る。TaqManプローブは、一方の端部に「レポーター」を有し、他方の端部に「消光剤」を有する。上記消光剤は、レポーターによる検出可能な蛍光信号の放出を防止する。プローブが相補的な核酸配列とハイブリダイゼーションした後、ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性がプローブを分解する。その結果、消光剤は、レポーターの付近から無くなり、検出可能な蛍光信号が放出される。Beacon分子も、一方の端部に「レポーター」を有し、他方の端部に「消光剤」を有している。そして、上記消光剤は、レポーターによる検出可能な蛍光信号の放出を防止する。プローブの双方の端部にある相補的配列によって、プローブはヘアピン構造を形成する。プローブが、相補的な核酸配列とハイブリダイゼーションすると直ぐに、上記ヘアピン構造は解消される。ヘアピン構造が解消されることによって、レポーターと消光剤とが、空間的に距離をおく。この距離は、レポーターが検出可能な蛍光信号を放出するために十分な距離である。例えばLight Cyclerプローブの基礎となっている蛍光性共鳴エネルギートランスファー(FRET)原理は、2つのプローブを含んでいる。これらの2つのプローブは、ターゲット核酸の隣接する配列に対して相補的なものであり、異なる蛍光色素によってマーキングされている。2つのプローブがターゲット核酸とハイブリダイゼーションした後、1つのプローブの色素が励起され、この励起が、第2プローブに結合された色素による検出可能な蛍光信号の放出を誘発する。
【0045】
用語「サンプル」または「サンプル材料」は、増幅可能な核酸を含む全ての組成物を含む。増幅可能な核酸の例としては、人工的に合成された核酸、HIVなどのウイルスから分離された核酸、Escherichia coliなどの原核生物から分離された核酸、及び哺乳類などの真核生物から分離された核酸があげられる。本発明の好ましい一実施形態では、サンプル材料は、人間の体液(例えば、血液、唾液、または尿)から分離されたDNA及び/またはRNAを含んでいる。本発明の他の好ましい一実施形態では、サンプル材料は、人間の組織サンプルまたは腫瘍サンプルから分離されたDNA及び/またはRNAを含んでいる。
【0046】
本発明の一実施形態では、サンプル材料は、本発明に基づいて増幅される核酸を含んでいる。例えば、Nested PCRによって、所望の核酸成分を前増幅しておいてもよい。または、例えばRT−PCRによって、RNAを逆転写することにより、サンプル材料に予め含まれているDNAを生成しておいてもよい。さらに、核酸がサンプル材料に予め含まれている場合は、亜硫酸水素ナトリウムによる前処理によって、例えばMethylation specific PCRのために、メチル化シトシンをウラシルに変換しておいてもよい。他の一例では、例えばプローブを用いた分離、クロマトグラフィーによる分離、電気泳動による分離、または遠心分離による分離によって、サンプル材料中に存在する核酸を、予め、選択的に濃縮しておいてもよい。
【0047】
上記の方法は、例えば、核酸の量的な検出に使用され得る。好ましい一実施形態では、ヌクレオチド、塩、少なくとも1つのプローブ及び/または少なくとも1つの色素、プライマー、及び、場合によっては特定の核酸断片を選択的に増幅するためのPNAが、工程(a)において供給される。工程(b)では、サンプル材料が添加され得る。上記サンプル材料は、増幅される核酸断片の1コピーが支持体の孔へ統計的に到達するように、希釈されている。例えば、反応混合物が、特定の種類の核酸断片(例えば、野生型)の増幅を抑制するPNAを含んでいる場合は、修飾された核酸断片(例えば、変異核酸)が頻度よく検出される。他の一例では、サンプル材料は、ゲノム等価物(genome equivalent)が支持体の孔へ統計的に到達するように、希釈され得る。このようにして、染色体異常(例えば、欠失または重複)を検出できる。上記の例は、遺伝子欠損や新しい腫瘍疾患の診断、及び腫瘍の分類に使用され得る。上記で説明した例では、作業工程を追加しなくても、使用されている支持体の孔の数が多いので、多数の反応を実行でき、評価は統計的に説得力のあるものとなる。例えば、孔と孔との間隔に応じて、1mmの面積を有する支持体上に10〜10個の孔が存在していてもよい。本発明の方法の更なる利点は、同じ増幅条件及び同じ検出条件下で、同じ反応混合物と同じサンプル材料とを使用することにより、並行して行われる全ての反応に対してほぼ同じ条件を提供するという点にある。その結果、個々の反応バッチ間におけるそれぞれのばらつきは最小限になる。
【0048】
この方法の特に好ましい一実施形態では、工程(a)において、プライマー、及び少なくとも1つのプローブ、及び/または所望の核酸断片の増幅または検出のための少なくとも1つの色素に加えて、少なくとも1つの他のプライマー対と、これらのプライマーの間に位置している核酸配列に特異的な少なくとも1つのプローブとが用意される。特異的なプローブを用いた第2プライマー対の増幅産物の検出は、増幅反応の効率を制御するために用いられ得る。増幅反応の効率は、2本鎖の増幅産物を結合する非特異的色素を使用することによって制御されてもよい。
【0049】
一実施形態では、本発明の方法は、さらに、増幅反応に適した反応混合物の少なくとも1つの他の成分を供給することを含む。上記成分の組成物は、工程(a)における反応混合物の一部の組成物とは、少なくとも1つの化合物または少なくとも1つの化合物の濃度が、支持体の少なくとも1つの第2領域において異なっている。上記領域は、少なくとも2つの孔を備え、工程(a)における第1領域とは異なっている。増幅反応に適した反応混合物の少なくとも1つの成分の組成物は、工程(a)における反応混合物の成分の組成物とは、少なくとも1つの化合物が異なっていることが好ましい。
【0050】
したがって、この実施形態は、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体の孔中において核酸を増幅するための方法に関するものである。上記支持体は、互いに反対側に配置されている第1表面と第2表面とを備えており、上記第1表面及び第2表面全体には、多数の分離した孔が分散して配置されている。上記孔は、直径が500nm〜100μmであり、深さに対する開口のアスペクト比が少なくとも10:1であり、10〜10/cmの密度で設けられている。この方法は、増幅反応に適した反応混合物の所定の成分が、上記支持体の少なくとも2つの孔を備える第1領域に供給され、上記反応混合物の成分が、非共有結合によって上記支持体の孔壁に結合することによって、上記支持体表面上に反応領域が同時に規定される工程(a)と、反応混合物の少なくとも1つの成分を供給し、当該成分の組成物は、工程(a)の反応混合物の組成物とは、上記支持体の第2領域において、少なくとも1つの化合物が異なっている、または少なくとも1つの化合物の濃度が異なっており、上記第2領域は、少なくとも2つの孔を有しており、反応混合物の上記成分が支持体の孔壁に共有結合しないという点で工程(a)の第1領域とは異なっている工程(b)と、増幅反応の実施に必要な工程(a)及び工程(b)の成分を含むサンプルを、支持体全体へ添加する工程(c)と、増幅反応を行う工程(d)と、少なくとも1つの増幅産物を検出する工程(e)と、を備えている。
【0051】
上記第1領域及び第2領域は、多孔質支持体上に任意に規定してもよい。
【0052】
本発明の方法の一実施形態は、特定の核酸が、サンプル材料中に含まれているか否かを検出する検出方法である。工程(a)及び工程(b)において異なるプライマーを供給してマクロ多孔質支持体の領域を適切に分割することにより、単にプライマーを変更することで支持体上において多数の検出を実行することができるので、1つの作業工程において、サンプル材料中に存在する多数の公知の関連バイオマーカー(例えば、全ての既知の腫瘍マーカー、遺伝的欠損に起因する疾病に対するマーカー、または腫瘍疾患及び/または代謝性疾患に対する多くの発現マーカー)について試験することができる。
【0053】
このような検出の一例は、ヌクレオチド、塩、少なくとも1つのプローブ、及び/または少なくとも1つの色素、及び特定の病原体(例えば、様々なHIVサブタイプまたは様々なHPVタイプ)に由来するDNAと特異的に結合するプライマーを、本発明に基づいて使用される多孔質支持体上に供給すること、及び、DNAの増幅のための血液成分から分離されたDNAならびに酵素を、例えば診断目的で、添加することである。このような検出の他の一例は、ヌクレオチド、塩、少なくとも1つのプローブ、及び/または少なくとも1つの色素、及び、特定の疾病がある場合は発現が増加したり減少したりする特定の遺伝子のmRNAに対して特異的に結合するプライマーを、本発明に基づいて使用される多孔質支持体上に供給すること、及び、組織または血液成分から分離されたRNAならびにmRNAをDNAに逆転写するための酵素を添加すること、及び、続いて診断を目的としてDNAを増幅することである。このような検出のまた他の一例は、本発明の方法によって検出されるDNAの修飾が腫瘍疾患に特有のものである場合に、例えば腫瘍疾患を診断するために、修飾されたDNAを検出することである。この場合、ヌクレオチド、塩、プローブ及び/または色素、及びプライマーのほかに、修飾されていないDNAの増幅を抑制するPNAも、本発明に基づいて使用される多孔質支持体上に供給し得る。サンプル中に修飾されたDNAが含まれている場合は、サンプル材料と適切な酵素とが加えられたときに、使用者は正の蛍光信号を受け取る。
【0054】
本発明の方法の他の好ましい一実施形態では、ヌクレオチド、塩、少なくとも1つのプローブ、及び/または少なくとも1つの色素、及び領域特異的な様々な核酸が、支持体の異なる領域中に供給される。次に、反応混合物の残りの成分(全ての領域に対して同じプライマーを含む)を添加し、増幅反応を行って増幅産物を検出する。この実施形態を使用できるのは、例えば、異なる組織または腫瘍由来のcDNAが支持体上に供給され、添加したプライマーによって、当該プライマーによって増幅される核酸が上記組織または腫瘍のどれに発現するか、を同定する場合である。このように、様々な組織(例えば、様々な病気の進行段階、または発生段階における組織サンプル)、または腫瘍(例えば、様々な腫瘍の種類、または様々な腫瘍の進行段階)における既知または未知の遺伝子の発現を検査できる。
【0055】
通常は、工程a)の前に支持体の一表面を密閉する。さらに、増幅反応が行われる前に、通常は、未だ開いている表面がさらに密閉される。すなわち、両方が密閉される。その結果、増幅反応の間の加熱時に反応混合物が蒸発するのを回避できる。上記密閉は、増幅反応にあまり影響を与えない公知の任意の方法によって行われ得る。例えば、覆いまたはシールとして、ポリマーフィルム、または、エラストマー(elastomer)(例えば、シリコン)をベースとするマットを用いて、多孔質支持体の上表面、下表面または両表面を密閉し得る。あるいは、孔は、ミネラルオイルによって被覆されてもよい。支持体を密閉するための他の例は、孔を、ワックス、マクロ結晶ワックス、ポリエチレンワックス、または、溶剤を含まず、増幅反応に影響を及ぼす可能性のある他の化学物質を放出しない速硬性樹脂(fast curing resin)によって密閉することである。
【0056】
本発明の方法の一実施形態では、マクロ多孔質支持体の少なくとも一表面の孔が開放されたままでもよい。この場合、水蒸気によって飽和されており被覆部を加熱可能な反応室内において、増幅反応が行われる。
【0057】
増幅反応は、反応混合物に含まれる酵素が核酸の増幅を行うような条件を設定することによって行われる。好ましくは支持体の周期的な加熱によって行われる。
【0058】
増幅産物は、光学的に検出されることが好ましい。増幅産物は、例えば、2本鎖の核酸に対して特異的に結合する色素の使用、またはマーキングされた配列特異的プローブの使用によって検出できる。
【0059】
本発明の好ましい一実施形態では、孔に導入する反応混合物の所定の成分、または所定の成分の化合物を、液体に溶かしながら(例えば、孔の毛管力を利用することにより)孔の中に入れ、続いて液体を蒸発させる。
【0060】
本発明の方法の特に好ましい一実施形態では、増幅反応に適した反応混合物から供給される成分は、乾燥または脱水によって、支持体の孔壁に塗布される。
【0061】
増幅反応に適した反応混合物から供給される成分は、公知のスポッティング方法によって、支持体の所望の各々の領域に塗布することができる。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、1つの作業工程で、支持体全体にサンプルを添加できる。支持体の個々の孔の充填は、毛細管によって行われることが好ましい。孔の毛管力は、孔を規定どおりに均一に充填し、それゆえ、自己充填システム(self-dosing system)である。
【0063】
さらに、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体を備えた装置が提供される。上記支持体は、互いに反対側に配置されている第1表面と第2表面とを備えており、上記第1表面及び第2表面全体には、多数の分離した孔が分散して設けられている。直径は500nm〜100μmであり、深さに対する開口のアスペクト比は少なくとも10:1である孔が、10〜10/cmの密度で設けられている。この装置は、核酸の増幅を行うための反応混合物の所定の成分が、少なくとも2つの孔において非共有結合によって結合されている、少なくとも1つの領域を有している。
【0064】
さらに、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体を備えた装置が提供される。上記支持体は、互いに反対側に配置されている第1表面と第2表面とを備えており、上記表面全体には、多数の分離した孔が分散して設けられている。孔の直径は500nm〜100μmであり、孔の深さに対する開口のアスペクト比は少なくとも10:1であり、孔の密度は10〜10/cmである。この装置は、少なくとも1つの第1領域を有している。上記第1領域では、核酸の増幅を行うための反応混合物の所定の成分は、少なくとも2つの孔中に非共有結合によって結合されている。また、この装置は、第2領域を有しており、この第2領域では、核酸の増幅に適した反応混合物の所定の成分は、上記第1領域に結合されている成分とは少なくとも1つの化合物が異なっており、少なくとも2つの孔中に非共有結合によって結合されている。
【0065】
用語「非共有結合」は、本発明の範囲では、増幅反応に適した反応混合物の所定の成分を構成している化合物を、上記で実施されているように、マクロ多孔質支持体のそれぞれの孔壁の中または上に供給または配置し、その結果、化合物は、化学的な共有結合によって結合することなく孔壁に強く付着することが意図される。この強い付着すなわち物理吸着は、この所定の成分またはこれに関連する化合物を含む水溶液を適切に乾燥させることによって行い得る。この場合、上記化合物は、可逆的であり、崩れにくく、量が減らないように、マクロ多孔質支持体の孔壁に付着する。
【0066】
本発明の方法または本発明の装置では、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体の表面全体に、通常は規則的に配置された多数の孔が分散して配置されている。これらの孔は、支持体の一方の表面から、反対側にある表面へと延びている。本発明の範囲では、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体上に、止まり穴(すなわち、一方の表面側に向かってだけ開放されている孔)が備えられていてもよい。
【0067】
本発明の方法または本発明の装置において使用されるマクロ多孔質支持体は、500nm〜100μmの直径、好ましくは2〜20μmの直径の孔を有している。その結果、孔の深さに対する開口のアスペクト比は、10:1以上であり、好ましくは40:1以上である。マクロ多孔質支持体の厚さは、一般的に100〜5000μmであり、好ましくは300〜600μmである。孔の中央から孔の中央までの間隔、すなわち、隣り合うまたは隣接する2つの孔の間隔(ピッチ)は、1〜100μmであり、好ましくは3〜50μmである。孔の密度は、通常、10〜10/cmである。
【0068】
本発明のマクロ多孔質支持体は、直径が500nm〜100μmであり、好ましくは2〜10μmである孔を有する限り、材料選択に関しては限定されない。特に、本発明に基づいて使用されるマクロ多孔質支持体は、プラスチック、ガラス、Al、またはシリコンを主成分とするものであってもよい。本発明では、好ましくはマクロ多孔質シリコン、より好ましくは部分酸化マクロ多孔質シリコンが、マクロ多孔質支持体として使用される。
【0069】
この場合、このように好適に使用されるマクロ多孔質シリコンは、ドープ(好ましくはnドープ)されていてもよいし、ドープされていなくてもよい。このようなマクロ多孔質シリコンは、例えば、EP−A1−0296348に記載の方法で製造され得る。穴開口部または孔は、電気化学的に生成されることが好ましい。この場合、電気化学的なエッチングは、フッ化水素酸を含む電解質中で、一定の電位または時間に応じて変化する電位を印加することによって行われる。また、シリコンからなる層または基板は、電解セルの正に分極した電極として接続されている。このような穴は、例えば、V. Lehmann著のJ. Elektrochem. Soc. 140, 1993, 2836ページ以下に記載の方法で生成され得る。しかしながら、本発明の範囲内では、マクロ多孔質基板として、例えば他の半導体基板(例えば、GaAs基板、または、Siによって被覆されたガラス基板など)もまた、用いられ得る。
【0070】
特に好ましい方法では、本発明の範囲内のマクロ多孔質支持体として、WO 03/089925に記載のように、部分酸化マクロ多孔質シリコンが使用されてもよい。WO 03/089925の内容は、本願に含まれる。このような部分酸化マクロ多孔質シリコンとは、シリコンを基礎として二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体が意図される。上記マクロ多孔質支持体は、表面全体に分布する多数の孔を有している。上記孔は、直径が500nm〜100μmである。上記支持体は、SiOからなる孔壁を有する複数の孔を備える少なくとも1つの領域を有している。また、孔の縦軸に対してほぼ並行に配置されており、上方に向かって開口しており、シリコン核を有する壁からなる枠が、上記領域を取り囲んでいる。この場合、シリコンからなる核は、枠を形成する壁の外壁へと断面を越えて二酸化シリコンに入り込んでいる。したがって、このような部分酸化マクロ多孔質シリコンは、SiOからなる局部的に透明な領域を備えている。この場合、この透明な領域は、同じく、シリコン核を有する壁からなる枠によって取り囲まれている。言い換えれば、SiOからなる局部的に完全に透明な領域が存在しており、上記領域は、ほぼ2次的な構造を形成するシリコン核を有する不透明な壁によって相互に分離されている。
【0071】
この場合、マクロ多孔質支持体として本発明の範囲内で使用される部分酸化マクロ多孔質シリコンは、DE10 2004 018846.7に記載されているように形成され得る。DE10 2004 018846.7の内容は本発明に含まれる。つまり、シリコン核を有する壁からなる全ての枠のうちのそれぞれ個々の枠は、それを取り囲む枠すなわち隣接する枠から空間的に完全に分離されている。したがって、個々の領域すなわちコンパートメントのシリコン壁は連続的ではなく、すなわち、相互に接触することなく、SiOからなる孔壁を有する領域によって相互に完全に分離されている。この構造的な配列は、このような部分酸化マクロ多孔質シリコンの製造過程で、シリコンが二酸化シリコンへと変化する時の体積の重複によって局部的に生じる応力を、空間的に切断できる。完全に酸化された領域では、孔の間の壁は、SiOのみから形成される。
【0072】
本発明の方法または本発明の装置の孔は、例えば、ほぼ円形または楕円形であり得る。本発明の範囲内のマクロ多孔質支持体として特に部分酸化マクロ多孔質シリコンを使用する場合は、SiOからなる孔壁を有する孔は、ほぼ正方形に形成され得る。したがって、シリコン核を有する壁からなる枠は、ほぼ正方形または長方形であり得る。
【0073】
さらに、上記で説明した二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体を、核酸を増幅するために使用する方法が提供される。
【0074】
本発明を、以下の例を図を参照して説明する。図1(A)〜(D)は、本発明の装置の様々な実施形態の断面図である。図2は、本発明の一実施形態の概略的な平面図である。図3(A)〜(C)は、増幅反応の実施の様々な実施形態の断面図である。図4(A)〜(C)は、支持体全体にサンプルを添加する様々な段階の断面図である。図5(A)〜(E)は、支持体上に増幅反応に適した反応混合物を供給する一実施形態の様々な段階の断面図である。図6(A)〜(E)は、支持体上に増幅反応に適した反応混合物を供給する他の好ましい一実施形態の様々な段階の断面図である。
【0075】
図1(A)に、マクロ多孔質支持体(例えば、ガラス、Alまたはシリコン)に基づく本発明の装置の一実施形態の断面図を示す。本実施の形態の装置は、図1(A)に示すように、孔壁1、孔2、及び増幅反応に適した反応混合物の所定の成分を形成する乾燥された化合物3を有する。図1(B)は、部分酸化マクロ多孔質シリコンに基づいた本発明の装置の一実施形態の断面図を示す。本実施の形態の装置は、図1(B)に示すように、増幅反応に適した反応混合物の所定の成分を形成する乾燥された化合物3、孔壁のシリコン核4、SiO5、及びSiOからなる孔壁6を有する。図1(C)は、図1(A)に示す実施形態に対して、シール部として機能し、例えばエラストマーをベースとする覆い7を、下部表面側に備える構成の断面図である。図1(D)は、図1(B)に示す実施形態に対して、下部表面側に配置される覆い7を備えた構成の断面図である。
【0076】
図2に、部分酸化マクロ多孔質シリコンに基づく本発明の装置の一実施形態の概略的な平面図を示す。本実施の形態の装置は、孔2、シリコン核を有する孔壁、SiOからなる孔壁6、支持体の第1領域8、及び支持体の第2領域9を有する。上記第1領域には、増幅反応に適した反応混合物の所定の成分が供給される。第2領域には、反応混合物の所定の成分が供給される。なお、第2領域に供給される反応混合物の所定の成分は、第1領域に供給される増幅反応に適した反応混合物の成分とは、少なくとも1つの化合物が異なっている。
【0077】
図3(A)に、増幅反応を行う方法の実施形態の断面図を示す。本実施の形態の方法は、熱容量の少ないホルダー10(例えば、プラスチック)、透明な窓11(例えば、ガラス)、化学的に不活性な1〜200μmのシール部12(例えば、ポリジメチルシロキサンなどからなるシリコンエラストマー)、本発明の装置13、及び化学的に不活性な1〜200μmのシール部14(例えば、ポリジメチルシロキサンなどからなるシリコンエラストマー)、及び土台15を有する。上記土台15は、反射性であり、光を散乱せず、高い熱伝導性を有する化学的に不活性な土台(例えば、シリコン)を用いることが好ましい。上記ホルダー10は、密閉するために、窓11と土台15とを圧迫している。図3(B)は、図3(A)に示す実施形態に対して、加熱ブロック及び/または冷却ブロック16を備えた構成の断面図である。図3(C)は、図3(A)に示す実施形態に対して、本発明の装置の上側に反応室17を備えた構成の断面図である。
【0078】
図4に、支持体全体へサンプルを添加するときの様々な段階の断面図を示す。図4(A)は、本発明の装置の一実施形態の断面図である。本実施の形態の装置は、孔壁1、孔2、及び増幅反応に適した反応混合物の所定の成分を形成する乾燥された化合物3を有する。図4(B)は、本発明の装置の一実施形態の断面図であり、覆い7の表面側に、サンプル材料18が供給されている。図4(C)は、サンプルを添加した後の本発明の装置の一実施形態の断面図である。本実施の形態の装置は、増幅に適した反応混合物が充填されている孔19を有しており、上記孔19は支持体表面上に規定された反応領域中にある。また、本実施の形態の装置は、増幅反応を実施するために必要な反応混合物の成分だけを含む孔20を有している。したがって、このような孔20では増幅は生じない。また、このような孔20は、支持体表面上に規定された反応領域の間に位置している。
【0079】
図5は、支持体上に増幅反応に適した反応混合物を供給する一実施形態の断面図を示す。図5(A)は、本発明の装置の一実施形態の断面図である。本実施の形態の装置は、(1)は孔壁1、及び孔2を有する。図5(B)は、本発明の装置の一実施形態の断面図である。この断面図は、支持体の少なくとも1つの領域中に、増幅反応に適した反応混合物の所定の成分を供給した後の本発明の装置の一実施形態を示している。上記実施形態では、反応混合物の成分は、非共有結合によって支持体の孔壁に結合され、その結果、支持体表面上に反応領域が規定される。また、本実施の形態の装置は、乾燥された化合物3を有する。図5(C)は、本発明の装置の一実施形態の断面図を示す。本実施の形態の装置では、覆い7の表面側には、サンプル材料18が供給されている。図5(D)は、サンプルを供給した後の本発明の装置の一実施形態の断面図である。本実施の形態の装置は、増幅に適した反応混合物が充填されている孔19を有しており、上記孔19は支持体表面上に規定された反応領域中にある。また、本実施の形態の装置は、増幅反応を実施するために必要な反応混合物の成分だけを含む孔20を有している。したがって、このような孔では増幅は生じない。また、このような孔20は、支持体表面上に規定された反応領域の間に位置している。図5(E)は、増幅反応を行う方法の一実施形態の断面図である。本実施の形態の方法は、透明な窓11(例えば、ガラス)、化学的に不活性な1〜200μmのシール部12(例えば、ポリジメチルシロキサンなどからなるシリコンエラストマー)、化学的に不活性な1〜200μmのシール部14(例えば、ポリジメチルシロキサンなどからなるシリコンエラストマー)、及び土台15を有する。上記土台15は、反射性であり、光を散乱せず、高い熱伝導性を有する化学的に不活性な土台(例えば、シリコン)であることが好ましい。
【0080】
図6は、支持体上に増幅反応に適した反応混合物を供給する他の好ましい一実施形態の断面図を示す。図6(A)は、本発明の装置の好ましい一実施形態の断面図である。本実施の形態の装置は、孔壁1、孔2、化学的に不活性な1〜200μmのシール部14(例えば、ポリジメチルシロキサンなどからなるシリコンエラストマー)、及び土台15を有する。上記土台15は、反射性であり、光を散乱せず、高い熱伝導性を有する化学的に不活性な土台(例えば、シリコン)であることが好ましい。図6(B)は、本発明の装置の一実施形態の断面図である。この断面図は、支持体の少なくとも1つの領域中に、増幅反応に適した反応混合物の所定の成分を供給した後の本発明の装置の一実施形態を示している。上記実施形態では、反応混合物の成分は、非共有結合によって支持体の孔壁に結合され、その結果、支持体表面上に反応領域が規定される。また、上記実施の形態の装置は、乾燥された化合物3を有する。図6(C)は、本発明の装置の一実施形態の断面図を示す。本実施の形態の装置では、覆い7の表面側には、サンプル材料18が供給されている。図6(D)は、サンプルを添加した後の本発明の装置の一実施形態の断面図である。本実施の形態の装置は、増幅に適した反応混合物が充填されており、支持体表面上に規定された反応領域中にある孔19を有している。また、本実施の形態の装置は、増幅反応を実施するために必要な反応混合物の成分だけを含む孔20を有している。したがって、このような孔20では増幅は生じない。また、このような孔20は、支持体表面上に規定された反応領域の間に位置している。図6(E)は、増幅反応を行う方法の一実施形態の断面図である。本実施の形態の方法は、透明な窓11(例えば、ガラス)、及び化学的に不活性な1〜200μmのシール部12(例えば、ポリジメチルシロキサンなどからなるシリコンエラストマー)を有している。
【0081】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明では、非常に少量の液体を、非常に正確かつ再現性よく核酸増幅反応に供することが可能となる。そのため、本発明はPCR装置に代表される各種増幅装置やその部品を製造する分野に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】(A)〜(D)は、本発明の装置の様々な実施形態の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の概略的な平面図である。
【図3】(A)〜(C)は、増幅反応の実施の様々な実施形態の断面図である。
【図4】(A)〜(C)は、支持体全体にサンプルを添加する様々な段階の断面図である。
【図5】(A)〜(E)は、支持体上に増幅反応に適した反応混合物を供給する一実施形態の様々な段階の断面図である。
【図6】(A)〜(E)は、支持体上に増幅反応に適した反応混合物を供給する他の好ましい一実施形態の様々な段階の断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 孔壁
2 孔
3 増幅反応に適した反応混合物の所定の成分を形成する乾燥された化合物
4 孔壁のシリコン核
5 SiO
6 SiOからなる孔壁
7 例えばエラストマーに基づく覆い
8 増幅反応に適した反応混合物の所定の成分が供給される、支持体の第1領域
9 第1領域に供給される増幅反応に適した反応混合物の成分とは、少なくとも1つの化合物または少なくとも1つの化合物の濃度が異なっている反応混合物の所定の成分が供給される支持体の第2領域
10 ホルダー
11 窓
12 シール部
13 本発明の装置
14 シール部
15 土台
16 加熱ブロック及び/または冷却ブロック
17 反応室
18 サンプル材料
19 支持体表面上に規定された反応領域中にあり、増幅に適した反応混合物によって充填されている孔
20 支持体表面上に規定された反応領域の間にあり、増幅反応を実施するのに必要な反応混合物の成分だけを含んでいる孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対側に配置されている第1表面と第2表面とを有する、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体の孔の中で核酸を増幅するための方法であって、
上記第1表面及び第2表面には、直径が500nm〜100μmであり、深さに対する開口のアスペクト比が少なくとも10:1である多数の分離した孔が、10〜10/cmの密度で分散して設けられており、
増幅反応に適した反応混合物の所定の成分が、上記支持体の少なくとも2つの孔を備える第1領域に供給され、上記反応混合物の成分が、非共有結合によって上記支持体の孔壁に結合することによって、上記支持体表面上に反応領域が形成される工程(a)と、
上記支持体全体に、増幅反応の実施に必要な上記反応混合物の成分を含むサンプルを添加する工程(b)と、
増幅反応を行う工程(c)と、
少なくとも1つの増幅産物を検出する工程(d)と、を含む方法。
【請求項2】
さらに、上記支持体には、少なくとも2つの孔を有しており、工程(a)の反応領域とは異なっている、第2領域が設けられており、
増幅反応に適した反応混合物の成分であって、上記成分とは異なる他の成分を、上記第2領域に供給する工程をさらに含み、
上記他の成分の組成と工程(a)の反応混合物の成分の組成とは、上記支持体の第2領域において、少なくとも1つの化合物が異なっている、または少なくとも1つの化合物の濃度が異なっている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
増幅反応に適した反応混合物の所定の成分を、該成分を含む水溶液を乾燥させることにより、上記支持体の孔壁と結合させる請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記マクロ多孔質支持体が、マクロ多孔質シリコン、または部分酸化マクロ多孔質シリコンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
互いに反対側に配置されている第1表面と第2表面とを有する、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体を備える装置であって、
上記第1表面及び第2表面全体には、直径が500nm〜100μmであり、深さに対する開口のアスペクト比が少なくとも10:1である多数の分離した孔が、10〜10/cmの密度で分散して設けられており、
核酸の増幅を行うための反応混合物の所定の成分が、少なくとも2つの孔の中に非共有結合によって結合されている第1領域を備える装置。
【請求項6】
核酸の増幅を行うための反応混合物成分であって、上記成分とは異なる他の成分が、少なくとも2つの孔の中に非共有結合によって結合される第2領域を備え、
上記第2領域に供給される反応混合物の成分の組成は、上記第1領域の反応混合物の成分の組成とは、少なくとも1つの化合物が異なっている請求項5に記載の装置。
【請求項7】
上記支持体の第1表面又は第2表面が、覆いで閉じられている請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
上記マクロ多孔質支持体は、マクロ多孔質シリコン、または部分酸化マクロ多孔質シリコンである請求項5〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
上記孔の直径は、2〜20μmである請求項5〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
上記マクロ多孔質支持体の厚さは、100〜5000μmである請求項5〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
互いに反対側に配置されている第1表面と第2表面とを有する、二次元的に形成されたマクロ多孔質支持体を、核酸を増幅するために使用する方法であって、
上記第1表面及び第2表面全体には、直径が500nm〜100μmであり、深さに対する開口のアスペクト比が少なくとも10:1である多数の分離した孔が、10〜10/cmの密度で分散して設けられている方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−223309(P2006−223309A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43178(P2006−43178)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】