説明

化粧品のための水系スラリー組成物および使用法

本発明は、化粧およびパーソナルケア用品の水系スラリー組成物、ならびにファンデーション、アイシャドウ、ローションおよびクリーム等の化粧およびパーソナルケア用品のための水系スラリー組成物を作製し使用する方法に関する。一実施形態において、少なくとも1種または複数の顔料および基材を含む、水系化粧用スラリー組成物が提供され、(a)この顔料または基材が、少なくとも1種の表面処理剤で化学的に固定化された表面を有し、かつ(b)この顔料が該基材に接着しており、ここで該顔料および基材は水媒質中に分散している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年11月19日に出願された表題「WATER BASED SLURRY COMPOSITION FOR COSMETIC PRODUCTS AND METHODS OF USE」の仮出願第60/988,998号、および2008年11月18日に出願された表題「WATER BASED SLURRY COMPOSITION FOR COSMETIC PRODUCTS AND METHODS OF USE」の米国本出願第12/273,495号(これらの両方は、それらの全体が、そして全ての目的のために、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、化粧およびパーソナルケア用品のための水系スラリー組成物、ならびにファンデーション、アイシャドウ、ローションおよびクリーム等の化粧およびパーソナルケア用品のための水系スラリー組成物を作製し使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在市場にある液体化粧品およびメイクアップ品は、皮脂および汗(発汗)に対する抵抗を確立するために、油、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、炭化水素、ロウおよびパラフィン等の疎水性の添加物および成分を用いている。既存の化粧およびメイクアップ用品は、例えば、重いまたは油っぽい質感、色ムラ、短いまたはムラのあるもち、伸びの悪さまたは不規則さ、皮膚への接着の悪さ、および時間に伴う皮膚上での色調変化(長く持続しない)を呈する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、水系スラリー組成物および水系スラリー組成物を調製するための方法に関する。水系化粧用スラリー組成物は、1種または複数の顔料および基材(substrate)を含み、該顔料または基材が、少なくとも1種の表面処理剤(例えば、疎水性または親水性)で化学的に固定化された表面を有し、該顔料が該基材に接着しており、ここで該顔料および基材は水媒質中に分散している。水系化粧用スラリー組成物はまた、1種または複数の顔料および基材を含み、該顔料または基材が、少なくとも2種の表面処理剤(例えば、疎水性または親水性)で化学的に固定化された表面を有し、該顔料が該基材に接着しており、ここで該顔料および基材は水媒質中に分散している。水系スラリー組成物を調製するための方法は、少なくとも1種の顔料および基材を提供するステップと、該基材または顔料を表面処理剤と接触させて表面修飾された基材または顔料材料を生成し、それによって顔料が接着した基材を生成するステップと、完全にまたは部分的に拡張(extend)されるまで該材料を混和するステップと、混和した材料を液体水系(水性)媒質中に分散させるステップとを含む。
【0005】
種々の実施形態において、2種以上の表面処理剤があり、1種または複数が顔料の表面上に場合によって化学的に固定化されている。特定の態様において、第1および第2の表面処理剤は、組み合わせた式I〜XVIの表面処理剤のいずれかから選択される。さらに特定の態様において、第1の表面処理剤は、本明細書で説明されている式I〜VIIIのいずれか1つによって表される化合物である。さらなる特定の態様において、第2の表面処理剤は、ヒドロキシル基およびアルキレンオキシド部分を欠いているか、または本明細書で説明されている式IX〜XVIのいずれか1つによって表される化合物である。他のさらなる態様において、表面処理剤は疎水性または親水性であるか、あるいは2種の表面処理剤の少なくとも一方は疎水性である。さらに一層の態様において、第1の表面処理剤は、約10以上の(例えば、約10〜18または14〜18の範囲の)親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基またはカルボキシル基の塩、リン基(phosphorous group)またはリン基の塩、硫黄基または硫黄基の塩、およびシラン基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含有する。またさらなる態様において、第2の表面処理剤は、約9以下の(例えば、約1〜9または1〜4の範囲の)親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基またはカルボキシル基の塩、リン基またはリン基の塩、硫黄基または硫黄基の塩からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含有する。そのような態様において、第1および第2の表面処理剤の間の親水性−親油性バランス値における差異は、少なくとも5であってよい。
【0006】
さらなる実施形態において、表面処理剤は、1個または複数のヒドロキシル基またはアルキレンオキシド部分(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの組合せ)、カルボン酸等のアシルコラーゲン、ラクテート、グルコネート、アミノ酸、アシルアミノ酸、脂肪酸、シラン、トリエトキシカプリルシラン(triethoxycaprylsilane)、グリセロールリン酸エステル、メチコン、ジメチコン、ガラクツロン酸、グルカロラクトン、没食子酸、グルコヘプタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリルアミドベタイン、ステアリルアンホアセテート(amphoacetate)、ラウリルアンホプロピオネート(amphopropionate)、ステアリルアンホプロピオネート、ポリエチレン、ミリストイルサルコシン酸(sarosinate)ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、グルコン酸亜鉛、ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、イソステアリルセバシン酸またはそれらの組合せを含有し得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、水系化粧用スラリー組成物は、該スラリーの約1重量%〜15重量%の量の表面処理剤を有する。特定の態様において、表面処理剤は、該スラリーの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15重量%の量である。
【0008】
いくつかの実施形態において、水系化粧用スラリー組成物は、該スラリーの約10重量%〜90重量%の水の百分率を有する。特定の態様において、水の百分率は、該スラリーの約40重量%もしくは50重量%より大きいか、または該スラリーの少なくとも60、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%もしくはそれ以上である。
【0009】
水系スラリー組成物は、さらなる化粧用に許容されるまたは適合する成分を種々の量で(例えば、該スラリーの0.1〜20重量%または該スラリーの20重量%未満)含み得る。特定の実施形態において、水系化粧用スラリーは、化粧用に許容される油、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、炭化水素、ロウまたはパラフィン、保存料または香料を含む。
【0010】
油の非限定的な分類は、グリセリド(例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド)、エステル(例えば、脂肪酸エステル、ヒドロキシル酸エステル)、シリコーンもしくはその誘導体、脂溶性ビタミン、炭化水素、鉱油、ヒマシ油誘導体または植物性油、あるいはそれらの組合せを含む。油の具体例は、セチルオクタノエート、ジメチコン、ジフェニルジメチコン、シクロメチコン、セチルジメチコン、ポリシリコーン−11、カプリル酸またはカプリン酸トリグリセリド、ジメチルポリシロキサン、ネオペンタン酸イソステアリル、セチルオクタノエート、マレイン酸ジイソステアリル、スクワラン、酢酸トコフェロール、トコフェロール(ビタミンE)、レチノール、レチノイン酸、イソドデカン、イソノナン酸イソノニル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ベヘニルアルコール、およびラウロイルグルタミン酸コレステリル、ラウロイルグルタミン酸ベヘニル、ラウロイルグルタミン酸オクチルドデシルを含む。非限定的な乳化剤は、セチルジメチコンコポリオール、イソステアリン酸ポリグリセリル−4、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG−100、セチルアルコール、リン酸ジセチル(Dicetl phosphate)、セテス−10リン酸(Ceteth−10 Phosphate)およびイソステアリン酸を含む。非限定的な脂肪酸/エステルは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルおよびポリアルキレングリコールアルキルエーテルを含む。
【0011】
顔料は基材に接着することができる、または基材は顔料に接着することができる。顔料は、基材の表面上に実質的に均一に分布することができる。顔料は、2種以上(例えば、3、4、5種またはそれ以上の異なる顔料)を含み得る。顔料は、実質的にデアグロメレーションまたは脱凝結(defloculate)されていてよい。顔料は、同じまたは異なる色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を有し得る。顔料の具体例は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、酸化鉄、ウルトラマリン、パール顔料、マンガンバイオレット、プルシアンブルー、酸化クロム、水酸化クロム、ルチル、アナターゼ、超微細TiO、超微細ZnO、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、褐色酸化鉄、黒色酸化鉄、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンバイオレット、ウルトラマリンピンク、マイカまたは雲母チタン(titanated mica)を含む。顔料は、スラリーの約70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%または10重量%未満の量であってよい。
【0012】
基材は、粘土、マイカ、チムロン(timron)スーパーシルバー、二酸化チタンでコーティングされたマイカ、タルク、カオリン、絹雲母、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムナトリウム、ヒュームドシリカ、アルミノシリケート、鉱物、ナイロン、窒化ホウ素、アクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、金属粉末、セラミック粉末、綿粉末、セルロース、ウレタン、スチレン、ポリオレフィン、ポリエテイレン(polyetheylene)、ポリアミド、ジルコニウム、デンプンおよびオクテニルコハク酸デンプンアルミニウム等のデンプン誘導体、または炭酸カルシウム(チョーク)を含む。
【0013】
水系化粧用スラリー組成物は、懸濁物であってよい。水系化粧用スラリー組成物は、色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度の観点から完全に拡張され得る。
【0014】
水系化粧用スラリー組成物は、いくつかの構成要素を排除し得る。特定の実施形態において、水系化粧用スラリーには、化粧用に許容される油、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、炭化水素、ロウまたはパラフィンの1つまたは複数が欠如している。
【0015】
水系化粧用スラリー組成物を調製し生成するための方法が提供される。一実施形態において、方法は、顔料および少なくとも1種の基材を提供するステップと、顔料または基材を表面処理剤と接触させて表面修飾された顔料または基材を生成し、それによって該顔料が接着している基材を生成するステップと、該顔料および基材を水媒質中に分散させるステップとを含む。別の実施形態において、方法は、顔料および少なくとも1種の基材を提供するステップと、顔料または基材を2種の表面処理剤と接触させて表面修飾された顔料または基材を生成し、それによって該顔料が接着している基材を生成するステップと、該顔料および基材を水媒質中に分散させるステップとを含む。水系化粧用スラリー組成物に関して本明細書において言及される表面処理剤、顔料、基材および他の材料ならびに量は、水系化粧用スラリー組成物の調製および生成方法においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】A)200グラムのバッチに対して5000rpmで5分間均質化した後、多数の顔料スジ(pigment streak)を有する白色顔料(TiO2)を用いる従来の配合物を、B)スジを有さない、200グラムのバッチに対して500rpmで2分間プロペラ混合した後の水系スラリー組成物および第2の水系スラリー組成物と比較して説明する図である。
【図1B】A)200グラムのバッチに対して5000rpmで5分間均質化した後、多数の顔料スジ(pigment streak)を有する白色顔料(TiO2)を用いる従来の配合物を、B)スジを有さない、200グラムのバッチに対して500rpmで2分間プロペラ混合した後の水系スラリー組成物および第2の水系スラリー組成物と比較して説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、中でも水系スラリー組成物を提供する。発明品である水系スラリー組成物は、化粧およびメイクアップ用品、ならびにパーソナルケア用品において使用され得る。発明品である水系スラリー組成物は、既存の化粧、メイクアップおよびパーソナルケア用品を上回る種々の優れた特性を提供する。特定の非限定的な例は、皮膚に塗布した際の冷却または清涼の感覚または質感、塗布の容易さ、皮膚上でよれにくい改善された伸び、混和または混合の容易さ、皮膚上でのより軽いまたはより柔らかいテクスチャー、皮膚に塗布した際のより軽いまたはより柔らかい質感または感覚、皮膚上でのより自然な外観、改善されたよりムラのない皮膚のカバー力(少ないスジ形成(streaking)またはムラ)、皮膚に塗布した際のより長く持続するもち、油性の感覚または質感の減少、べたつくテクスチャーの感覚または質感の減少、良好な皮膚への接着を保持すること、ならびに汗(発汗)への抵抗および撥水性を含む。
【0018】
スラリーは、固体が液体全体にわたって分布している液体中の固体の混合物である。液体は、特定の固定形状を有さず(自由流動性)、比較的一定の容積を有する物質の流体状態での滑らかで不定形の物体である。水系スラリー組成物は、典型的には、単一の水相を有する。スラリーの重量の百分率としての、および生成方法における水の量は変動し得るが、典型的には約10%〜90%の範囲である。スラリーの重量の百分率としての水の量は、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上より大きくてよい。水系スラリー組成物および生成方法は、既存の化粧、メイクアップおよびパーソナルケア用品を上回る種々の優れた特性(例えば、塗布の容易さ、皮膚上でよれにくい改善された伸び、混和または混合の容易さ、皮膚に塗布した際の冷却または清涼の感覚または質感、皮膚上でのより軽いまたはより柔らかいテクスチャー、皮膚に塗布した際のより軽いまたはより柔らかい質感または感覚等)の1つまたは複数が維持されるならば、油、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、炭化水素、ロウまたはパラフィン、水中油相(o/w)、油中水相(w/o)およびシリコーン中水を含んでよい。
【0019】
水系スラリー組成物および生成方法は粉末材料を含み、該材料は、例えば、化粧、メイクアップまたはパーソナルケア用品中への配合または包含に許容される1種または複数の顔料および基材を含む。水系スラリー組成物および生成方法は、化粧、メイクアップまたはパーソナルケア用品中への配合または包含に適した、1種もしくは複数のまたはすべての顔料または基材、または他の化粧用に許容される構成要素を有し得る。
【0020】
基材および顔料は、典型的には、化粧、メイクアップおよびパーソナルケア用品に適合するまたは許容される材料を含む、またはそれらからなる。基材および顔料は、典型的には粉末の形態であり、該粉末は、極小の流動性粒子からなる固体の乾燥材料である。粉末材料の特定の分類は、化粧、メイクアップおよびパーソナルケア用品への使用に適した無機および有機の粒子、ビーズ、結晶、粘土、金属、金属酸化物粉末、プラスチックならびにプラスチック用充填剤である。
【0021】
水系スラリー組成物および生成方法は、水性媒質中に少なくとも1種の基材および1種の顔料を含む。水系スラリー組成物および生成方法は、複数の異なる基材もしくはそれらの混合物、複数の異なる顔料もしくはそれらの混合物、または複数の基材および顔料もしくはそれらの混合物を含み得る。
【0022】
典型的な基材サイズは、直径約1〜30ミクロンであり、通常は1ミクロン未満にはならず、例えば、約1〜3ミクロンの初期サイズを有する。基材粒子は、典型的には、顔料粒子より大きく、種々の形状、例えば、球形、楕円形または「板形」を有する。基材は、望ましいテクスチャー、および滑らかさ、絹のような光沢感(silkiness)、丸い質感、しっとりした質感、視覚的利点(ソフトフォーカス、シワまたはシミをごまかすまたは覆い隠すこと)等の他の特徴を提供する。
【0023】
基材の具体的な非限定的な例は、粘土、マイカ(例えば、Timron Super SilverTM等のパール色のマイカ、Rona/EMD Industries製の二酸化チタンでコーティングされたマイカ)、タルク、カオリン、絹雲母、シリカ(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびケイ酸カルシウムナトリウム等のシリカビーズ、beadyl beadsTM、ヒュームドシリカ)、アルミノシリケート鉱物(ゼオライト)、ナイロン(例えば、ナイロンビーズまたはナイロン粉末)、ポリメチルメタクリレート等のアクリレート(PMMAまたは粉末)、金属粉末(アルミニウム等)、セラミック粉末(窒化ケイ素または窒化ホウ素等)、綿粉末、羊毛粉末、絹粉末、セルロースおよびセルロース粉末、ウレタン、ポリスチレンおよびポリスチレン粉末、ポリオレフィン、ポリエチレンおよびポリエチレン粉末、ポリアミド、ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、デンプン、デンプン粉末およびオクテニルコハク酸デンプンアルミニウム等のデンプン誘導体、ならびに炭酸カルシウム(チョーク)を含む。
【0024】
基材は「増量剤」を含む。増量剤は、水系スラリー組成物用の充填剤または膨化剤として機能し得る。一分類としての増量剤は、典型的には、本明細書において開示され、当業者に理解されているものと同様または同一のサイズ、形状または構造を有する。増量剤という用語は、典型的には、水系スラリー組成物に含まれるがそれに接着している顔料を有し得ない基材材料を指すために使用される。
【0025】
増量剤は、彩度および輝度が変動し得る、色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を有しても有しなくてもよい天然および合成基材を含む。基材と同様に、増量剤は、典型的には1ミクロン(1μm)より大きい、例えば約1〜30ミクロンのサイズを有し、種々の形状、例えば、球形、楕円形または「板形」を有し得る。
【0026】
増量剤の非限定的な例は、タルク、カオリン(粘土)、白雲母マイカおよび絹雲母を含む天然および合成マイカ、雲母チタン、綿粉末、デンプン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、粘土、ベントナイト、モンモリリオナイト(montmorillionite)、方解石、チョーク、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、ヒュームドシリカ、シリカビーズ、アクリル等のプラスチックビーズ、ナイロン12等のナイロン、ナイロンビーズ、アルミニウム、ケイ酸カルシウムまたはケイ酸ナトリウム、および硫酸バリウムを含む。
【0027】
本発明の水系スラリー組成物および調製方法における基材の量は、生成される化粧、メイクアップ、パーソナルケアもしくは他の用品または製造方法に応じて変動する。水系スラリー組成物中における基材の重量百分率は、典型的には約0〜95%である。
【0028】
本明細書において使用される場合、用語「顔料」は、「色素」を含み、ある一定の色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を有する天然または合成材料である。顔料は、化学的性質が有機であっても無機であってもよい。顔料は、典型的には、約3ミクロン以下の初期粒径を有する。顔料は、より典型的には、基材よりも約1桁小さいサイズ、例えば、直径約0.1〜1.0ミクロンである。パール顔料等の他の顔料は、典型的には、より大きい、例えば、10、20、30、40または50〜100ミクロン(μm)のサイズを有する。
【0029】
無機顔料の非限定的な例は、白色二酸化チタン顔料(例えば、ルチル、アナターゼおよび超微細TiO)、酸化亜鉛(例えば、超微細ZnO)を含み、これらは、顔料等級で、約0.3μmの初期サイズを有するものであってよく、または超微細等級で、約0.1μm未満の初期サイズを有するものであってよい。他の無機顔料は、酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、酸化鉄(黄色、赤色、褐色、緑色および黒色酸化鉄を含む)、ウルトラマリン類(ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンバイオレット、ウルトラマリンピンク等)、パール顔料(例えば、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等)、マンガンバイオレット、プルシアンブルー、酸化クロム、水酸化クロムおよびカーボンブラックを含む。有機顔料の非限定的な例は、「レーキ」色素、β−カロテン、カルミン、クロロフィル等を含む。
【0030】
水系スラリー組成物および生成方法は、1種または複数の異なる顔料を含む。複数の異なる顔料(例えば、異なる色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を場合によって有する2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれ以上の顔料)は、顔料の「複合体」を生成するために含まれ得る。したがって、異なる色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を場合によって有する複数の異なる顔料が、水系スラリー組成物中に含まれ得る。そのような水系スラリー組成物は、便宜上、「複合体」スラリーと称され得る。
【0031】
理論に縛られることは望まないが、多くの顔料粒子は、典型的には、顔料サイズが基材サイズよりも小さい場合に基材粒子に接着する。顔料サイズが基材サイズよりも大きい状況(例えば、パール顔料は、サイズが約50〜100ミクロンの板形構造であり得る)において、多くの基材粒子は顔料粒子に接着し得る。本明細書において使用される用語「接着する」は、いずれかの状況を指す。よって、術語「基材に接着している顔料」は、「顔料に接着している基材」も含む。
【0032】
基材に接着した顔料および顔料に接着した基材は、皮膚の色調を示す。基材上に接着した顔料または顔料上に接着した基材は、均一に(ムラなく)または不均一に(ムラになって)分布し得る。
【0033】
本発明の水系スラリー組成物および生成方法において用いる顔料および色素の量は、所望の色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度に応じて変動する。実施例1で説明されている通り、顔料の種類、絶対量および相対比率は広範囲にわたり、所望の色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度、物理的(例えば、サイズ、形状)、機能的または化学的特徴または特性に基づいて選択され得る。水系スラリー組成物および生成方法において、顔料の総重量百分率は、典型的には、約3〜20%、5〜20%、5〜15%、5〜18%または8〜12%である。水系スラリー組成物および生成方法において、基材の総重量百分率は、典型的には、約3〜20%、5〜20%、5〜15%、5〜18%または8〜12%である。
【0034】
顔料および基材の比率も、生成される化粧、メイクアップ、パーソナルケアもしくは他の用品または製造方法に応じて変動し得る。化粧またはメイクアップ用品中における例示的な顔料対基材の比率は、約5:95〜95:5である。パーソナルケアおよび他の用品において、該比率は典型的には限定されない。
【0035】
基材および顔料は、脱凝結またはデアグロメレーションされていてよい。したがって、本発明は、脱凝結および/またはデアグロメレーションされた基材、顔料および他の化粧用に適切な材料を含むまたは用いる水系スラリー組成物および生成方法を提供する。基材および顔料は、集合体または凝集体の少なくともある程度の分散を達成する任意の物理的または化学的手段によって、脱凝結またはデアグロメレーションさせることができる。物理的デアグロメレーションの非限定的な例は、せん断および破砕を含む。
【0036】
本明細書において使用される場合、用語「表面処理剤」は、粉末の表面上に化学結合を形成することによって粉末材料(例えば、基材または顔料)の表面を修飾し、改変しまたはそれと反応する能力を有する化学剤を指す。表面処理剤の具体的な非限定的な分類は表面活性剤を含み、これには、界面活性剤、洗剤、湿潤剤および乳化剤が含まれる。界面活性剤(surface−active agent)は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、疎水性または親水性であってよい。
【0037】
1種または複数の顔料および1種または複数の基材が表面処理剤と接触し、次に、該顔料または基材は、該作用物質によって修飾されるが、または該作用物質が該顔料または基材の表面に結合するかのいずれかである(例えば、吸収される、化学的に結合されるまたは固定化される;例えば、米国特許第5,897,868号を参照)。例として、基材、顔料、または複数の異なる基材および顔料(例えば、異なる色の顔料の混合物)は、表面処理剤と接触し、次に、該作用物質によって修飾されるか、または該作用物質が該基材および/もしくは顔料の表面に結合する。基材および/または顔料の表面修飾は、存在する材料(複数可)が互いに接着することを可能にする。
【0038】
表面処理剤は、表面基材および/または顔料上に化学的に固定化されるかまたは吸着されることができる。基材または顔料に対する表面処理剤の化学的結合または固定化は、表面処理された材料がより均一に化学結合した反応生成物を有する吸着とは異なる。化学的結合または固定化は、修飾された粉末材料の表面上に結合または付着した任意の材料の移動および/または転位を減少させる傾向がある。例えば、表面処理剤によって基材の表面に結合または付着している顔料は、吸着によって基材の表面に付着または結合している顔料よりも低い可動性を有する。化学的結合または固定化は、処理された顔料または基材が典型的には均一に化学結合した反応生成物を有する、顔料または基材に表面活性剤を添加することとも異なる。
【0039】
化学的結合または固定化のために、反応は、顔料または基材表面上に吸収された親油性または親水性部分を有する水溶性化合物によって作成され得る。例えば多価金属の水溶性塩の添加により、化学結合を生成することができる。反応生成物は、顔料もしくは基材の粒子の表面上への化学的固定化処理、または化学的に固定化された顔料もしくは基材の表面処理を提供する。対照的に、化学的固定化がない表面活性剤の単純コーティングは、顔料または基材の表面上に吸収されただけの、易流動性で不確実な、機能の不十分な層にする。表面処理剤は、当技術分野において公知の方法によって、顔料または基材の表面上に化学的に結合または固定化され得る(例えば、米国特許第5,897,868号)。
【0040】
基材または顔料に対する表面処理剤の結合または固定化を容易にしまたは増強するために、反応は、基材または顔料の表面上に吸収された親油性または親水性部分を有する水溶性化合物によって作成され得る。非限定的な例として、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、チタン、亜鉛もしくはジルコニウム塩(例えば、硫酸ジルコニウムまたは塩化ジルコニウム)等の多価金属の水溶性塩、またはナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムもしくはアミン塩等のアルカリ塩の添加により、化学的結合を生成することができる。該反応は、基材または顔料粒子の表面上に化学的に固定化された表面処理剤を提供する。対照的に、基材または顔料を表面処理剤でコーティングすることは、表面処理剤を基材または顔料の表面上に吸収することを伴う。
【0041】
表面処理剤は、典型的には、その構造中に、親水性部分(例えば、カルボキシル基、リン基、硫黄基、シラノール基またはシラン基)または疎水性部分(例えば、炭化水素、ジアルキル(CH−、C−)ポリシロキサン、ペルフルオロアルキル等)等の1個または複数の反応基を有する。表面処理剤は、1個もしくは複数のヒドロキシル基、またはエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド部分を含有してもしなくてもよい。その構造中のヒドロキシ基および親水性の特徴を有する表面処理剤は、表面上での反応を完了した後に送達され得る。2種以上の表面処理剤(例えば、第1、第2、第3、第4、第5等の表面処理剤)がある場合、表面処理剤は、親水性部分(例えば、2、3、4、5個等またはそれ以上の親水性部分)、疎水性部分(例えば、2、3、4、5個等またはそれ以上の疎水性部分)、または親水性部分および疎水性部分(例えば、1個の親水性部分および疎水性部分、2個の親水性部分および1個の疎水性部分、2個の疎水性部分および1個の親水性部分、3個の親水性部分および1個の疎水性部分、2個の親水性部分および2個の疎水性部分、3個の疎水性部分および1個の親水性部分等)の組合せを有し得る。第1または第2の表面処理剤は、1個もしくは複数のヒドロキシル基および/またはアルキレンオキシド部分を欠いていてよい。
【0042】
表面処理剤の非限定的な例は、アシルコラーゲン、エーテルカルボン酸、ラクテート(例えば、乳酸)、グルコネート(例えば、グルコン酸)、ガラクツロン酸、グルカロラクトン、没食子酸、グルコヘプタン酸、アミノ酸(テレオニン(thereonine)およびセリン等)およびその塩、アシルアミノ酸(アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アシルグリシネートおよびアシルアラニネート等)、シラン、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリルアミドベタン(laurylamidobetane)、ステアリルアンホアセテート、ラウリルアンホプロピオネート、ステアリルアンホプロピオネート、脂肪酸およびその塩、グリセロールリン酸エステル(レシチン等)、ならびに遊離カルボン酸を有するポリエチレンを含む。
【0043】
アニオン性表面処理剤(界面活性剤)の例は、石ケン(脂肪酸/アルキルカルボン酸塩)、ヒドロキシ脂肪酸、硫酸アルキル、アルキルエーテルホスフェート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボキシレート、アルキルエーテルホスフェート、アシルN−メチルタウレート、N−アシルアミノ酸塩(グルタメート、サルコシネート、アラニネート、グリシネート、β−アラニネート)、アシルペプチド(アシルコラーゲン、アシル絹タンパク質)、ヤシ脂肪酸ナトリウム、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチルリン酸ナトリウム、ミリスチルサルコシン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチルカルボン酸ポリオキシエチレン(polyoxyethylene myristyl carboxylate)、ミリスチン酸カリウム、グルコン酸亜鉛、イソステアリルセバシン酸、ミリストイルタウリン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、ココイルグルタミン酸ジナトリウム、ラウリルグリシン酸アルギニン(arginine lauryl glycinate)、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを含む。
【0044】
親水性の特徴を表す部分を有する例示的な表面処理剤は、[式I〜VIII]の構造および塩を含む。
【0045】
【化1】

[式中、
Y1、Y2、Y3およびY4は、水素、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはオキソ基から独立に選択され、Y1、Y2、Y3またはY4の少なくとも1つはヒドロキシ基であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)のいずれかである]
【0046】
【化2】

[式中、
Y5、Y6、Y7およびY8は、水素、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはオキソ基から独立に選択され、これらの少なくとも1つはヒドロキシ基であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)のいずれかである]
【0047】
【化3】

[式中、
Y1、Y2、Y3、Y4およびY5は、水素、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはオキソ基から独立に選択され、これらの少なくとも1つはヒドロキシ基であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)である]
式IIIの表面処理剤の具体的な非限定的な例は、没食子酸である。
【0048】
【化4】

[式中、
R2は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R2は、8〜12個の炭素(C8〜C24)を有し、
R3は、エチレン、プロピレンまたはブチレンであり、
nは、1〜60の整数であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)である]
【0049】
【化5】

[式中、
R1、R2およびR3は、独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
または、R1、R2およびR3は、1〜24個の炭素(C1〜C24)を有し、
nは1〜24の整数である]
【0050】
【化6】

[式中、
R1およびR3は、独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R1、R2およびR3は、1〜24個の炭素(C1〜C24)を有し、
nは、1〜24の整数であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)である]
【0051】
【化7】

[式中、
R1は、独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R1、R2およびR3は、1〜24個の炭素(C1〜C24)を有し、
nは、1〜24の整数であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)である]
【0052】
【化8】

[式中、
R1は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、少なくとも1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のヒドロキシ、アルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R1は、8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)である]
疎水性の特徴を表す部分を有する例示的な表面処理剤は、式IX〜XVIの構造および塩を含む。
【0053】
【化9】

[式中、
R3は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R1は、8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)である]
【0054】
【化10】

[式中、
R4およびR5は、それぞれ独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル、アミノ酸基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R4は、8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、
R10は、水素またはメチルであり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)である]
【0055】
【化11】

[式中、
R3は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
または、R3は、8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)である]
【0056】
【化12】

[式中、
R1およびR2は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R1およびR2は、それぞれ独立に8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、
R3およびR4は、アミノ酸残基部分であり、
R5およびR6は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R3、R4およびR6の少なくとも1つはカルボン酸基を有し、その構造は、酸形態または塩形態のいずれかであり、それは、ナトリウム、カリウム等の金属またはその等価物、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等である]
【0057】
【化13】

[式中、
R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
または、R1およびR2は、それぞれ独立に8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)である]
【0058】
【化14】

[式中、
R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
または、R1およびR2は、それぞれ独立に8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)である]
【0059】
【化15】

[式中、
R1は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
または、R1は、8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、
Xは、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ等)またはハロゲン(Cl、Br等)である]
【0060】
【化16】

[式中、
、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキルニル(alkylnyl)、アルコキシ、アリール、シクロアルキルまたはアリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシル、アルキオキシル(alkyoxyl)、カルボキシルまたはオキソ基で置換されていてよく、
nは、1〜60の整数である]
化合物中の置換基Mは、水素または金属もしくはその等価物のいずれかを表し得る。Mが水素である場合、カルボキシル基が形成され、よって化合物上に存在し;金属またはその等価物を表す場合、カルボキシル基の塩が形成され、よって化合物中に存在する。任意の塩のように、金属または等価物は全体的に正電荷を保持し、酸素は全体的に負電荷を保持する。例示的な金属は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウムおよび亜鉛を含み、金属等価物は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびアンモニウム等のアミン類、ならびにリシンおよびアルギニン等の有機塩基類を含む。
【0061】
本明細書で説明されている置換基としてのアルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキルニル、およびアルコキシ基は、例えば1〜24個の炭素原子を有するアルキル基に基づくものであってよい。そのような置換基は、6〜24個の炭素原子またはより少ない、例えば6〜10個の炭素原子を含有する、アリール、シクロアルキルおよびアリールアルキル基等、より少ない、例えば、1〜20、1〜16、1〜12、1〜6個の炭素原子であってよい。
【0062】
2種以上の表面処理剤があり、そのそれぞれが顔料の表面上に場合によって化学的に固定化されている特定の実施形態において、第1および第2の表面処理剤は、本明細書で説明されている表面処理剤のいずれかから選択され得る。よって、例えば、第1および第2の表面処理剤は、任意の組合せの式I〜XVIのいずれかであってよい。
【0063】
2種以上の表面処理剤があり、1種または複数が顔料の表面上に場合によって化学的に固定化されているさらなる特定の実施形態において、第1および第2の表面処理剤は、比較的高い親水性−親油性バランス(HLB)を有し得、第2の表面処理剤は、比較的低いHLBを有し得る。例示的な実施形態において、第1の表面処理剤は、約10以上(例えば、11、12、13、14、15、16、17、18等)の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基またはカルボキシル基の塩、リン基またはリン基の塩、硫黄基または硫黄基の塩、およびシラン基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含有し;第2の表面処理剤は、約9以下(例えば、8、7、6、5、4、3等)の親水性−親油性バランスを有し、少なくとも1個の官能基を含有し;第1および第2の表面処理剤の間の親水性−親油性バランス値における差異は、少なくとも約5(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19等)である。種々の態様において、官能基は、カルボキシル基またはカルボキシル基の塩、リン基またはリン基の塩、硫黄基または硫黄基の塩から選択される。別の実施形態において、第1の表面処理剤は、約14〜18の範囲の親水性−親油性バランスを有する。さらなる実施形態において、第2の表面処理剤は、約1〜4の範囲の親水性−親油性バランスを有する。特定の態様において、第1の表面処理剤は、1個または複数のヒドロキシル基またはアルキレンオキシド部分(例えば、エチレンオキシド部分、プロピレンオキシド部分またはそれらの組合せ)を含有する。
【0064】
高い親水性−親油性バランス(HLB)および低いHLBの表面処理剤が用いられる場合、顔料または基材には、両方の表面処理剤の機能性が付与される。比較的低いHLBを有する表面処理剤は、顔料が汗または発汗に接触した際の退色および/または変色等、顔料の本質的に強い親水性特性に関連する分解特性を呈するのを防止することができる疎水性特性を、顔料表面に付与する。比較的高いHLBを有する表面処理剤は、顔料または基材が乳化剤の最小添加によって水系化粧用スラリー組成物中に分散できるように、親水性特性を顔料または基材表面に付与する。したがって、顔料または基材が表面処理された後に添加される従来の乳化剤とは異なり、両方の表面処理剤は、顔料または基材を水系化粧用スラリー組成物中に分散させるのに十分な方式で作用することができる。このように、2種類の表面処理剤で修飾されている場合、表面修飾された顔料または基材は自己乳化することができるため、顔料または基材が処理された後、さらなる乳化剤は殆どまたは全く必要ない。
【0065】
必要に応じて、さらなる表面処理剤を添加してもよい。例えば、複数の親水性表面処理剤および複数の疎水性表面処理剤を使用してよい。さらなる表面処理剤を顔料または基材に接着させて、これらの表面処理剤のさらなる機能性を付与することができる。さらなる表面処理剤は、本明細書において記載されている第1および第2の表面処理剤の属内である必要はない。
【0066】
本発明の水系スラリー組成物および生成方法において用いる表面処理剤の量は、生成される化粧、メイクアップ、パーソナルケアもしくは他の用品または製造方法に応じて変動する。例えば、表面処理剤は、粉末材料の重量に基づき、少なくとも0.1重量%(wt%)の量で使用され得る。表面処理剤は、典型的には、約1.0〜約200重量%、または約1.0〜約60重量%、または約3.0〜約30重量%、または約5.0〜約20%の範囲の量で存在する。比較的少量、例えば、5.0%、4.0%、3.0%またはそれ以下の表面処理剤を使用してもよい。
【0067】
表面処理剤の量は、少なくとも一部は、標的とする顔料(複数可)、増量剤(複数可)および基材(複数可)の比表面積によって決まり得る。例えば、普通の酸化鉄顔料では、100部の粉末当たり2〜約10重量部の表面処理剤である。大きい表面積を有するシリカ等の超微細粉末では、100部の粉末当たり15〜約100重量部である。このように、表面積が大きくなるほど、より多くの表面処理剤が使用される。
【0068】
特定の非限定的な例において、1種または複数の顔料と1種または複数の基材との混合物では、表面処理剤は、100部の顔料および基材当たり約0.5〜400部の量である。水系スラリー組成物の特定の非限定的な例において、表面処理剤の重量百分率は、顔料(複数可)+基材(複数可)の総重量に基づき、典型的には約0.5〜20%または約1.0〜15%である。
【0069】
表面処理剤による処理中に、1種または複数の基材または顔料の表面は修飾され、次に、該基材または顔料の粒子が互いに接着する。例えば、小さい顔料粒子は、基材粒子等のより大きい粒子と付着または結合する。基材または顔料表面が疎水的に修飾される処理中に化粧用に許容される油(単一の油または油の混合物)を含むことは、粒子と同時に油を互いに付着または結合するように誘引する。表面処理剤および油は、組み合わさって、粒子および場合によって存在する他の構成要素を互いに付着または結合させるための「接着剤」として機能する。2種以上の異なる顔料の混合物は、そのような表面処理中に、着色顔料複合体の形成をもたらし、該複合体は、典型的には、表面上に無作為かつ均一に分布する。
【0070】
表面処理の前または後に、材料を、異なる顔料または基材または増量剤等の別の(例えば、第2の)粉末材料、あるいは油、乳化剤、皮膚軟化剤、脂肪、ロウ、パラフィン等の別の化粧用に許容される成分等と混合しまたは混和してよい。したがって、表面処理剤との接触前、最中または後に、油、乳化剤、皮膚軟化剤、脂肪、ロウおよびパラフィン等の他の構成要素が、1種または複数の基材および顔料との混合物中に存在し得る。第2の材料は、表面処理剤で処理されていてもいなくてもよい。代替として、2種以上の材料(例えば、異なる色の顔料)を表面処理剤との接触前に一緒に組み合わせるかまたは混合し、次いで、2種以上の表面修飾されたまたはコーティングされた材料を同時に生成するために、表面処理剤と引き続き接触させてよい。
【0071】
水系スラリー組成物および生成方法には、油、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、炭化水素、ロウおよびパラフィンが含まれ得る。例えば、油(皮膚軟化剤)は、顔料(複数可)または基材(複数可)等の粉末材料の表面処理中に存在し得るが、必ずしもそうではない。油は、顔料または基材の表面処理の前、最中または後に添加され得るが、必ずしもそうではない。したがって、水系スラリー組成物は、必要に応じて油等の結合剤を含み得る。油等の結合剤は、水系スラリー組成物を作製する前または後に添加され得るが、必ずしもそうではない。
【0072】
「結合剤」は、色付き化粧品業界において、典型的には、基材および顔料等の材料に、それらが一緒に存続するように接着特性を提供する化合物を指す。結合剤は、油、乳化剤、皮膚軟化剤、脂肪、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、炭化水素、ロウ、パラフィン、例えば固体結合剤としての金属石ケン等(例えば、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等)、ラテックスエマルション、スチレン、スチレンブタジエン、ポリビニルアセテート(PVA)、アクリル、アクリル−スチレン、アクリルポリビニルアセテート、ポリウレタン(poylurethanes)、ならびに化粧、メイクアップおよびパーソナルケア用品に許容されるその他のものを含む。
【0073】
本発明の水系スラリー組成物および生成方法における結合剤の量は変動する。非限定的な例において、結合剤の重量百分率は、典型的には約0〜25%である。結合剤は、約0.1〜20重量%の量で使用され得、典型的には、スラリーの20重量%未満の量で存在する。
【0074】
油は、グリセリド類(例えば、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド)、脂肪酸エステル類(ポリグリセリン酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル)、ヒドロキシル酸エステル、ダイマー酸エステル、その他の天然由来のエステル類(ヒマシ油誘導体、および植物スクワラン等の植物性油等)、オリーブ油、ツバキ油、マカデミア(macademia)ナッツ油、ヒマシ油等のエステルおよびロウを含む。ロウエステルは、高級脂肪酸および高級脂肪アルコールのエステル、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、蜜ロウ、ラノリンを含む。脂肪エステルは、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ミスチリン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、カプリル酸およびカプリン酸トリグリセリド、ネオペンタン酸(neopentaoate)イソデシル、ネオペンタン酸イソステラリル(isosteraryl)、ならびにラウロイルグルタミン酸コレステリル、ラウロイルグルタミン酸ベヘニル、ラウロイルグルタミン酸オクチルドデシルを含む。石油および合成油は、パラフィン、イソパラフィン(isoparafin)、ワセリン、セレシン、微晶質ロウ、スクワラン等の炭化水素;シリコーンおよびその誘導体(メチコン、ジメチコン、シクロメチコン、セチルジメチコン、ジフェニルジメチコン、ポリシリコーン−11等)、脂溶性ビタミンおよびその誘導体(トコフェロール、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、レチノール、レチノイン酸、パルミチン酸(parmitate)レチニル、パルミチン酸アスコルビル等)、親油性色素、精油、ならびにそれらの組合せを含む。高級脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ドコサポリエン酸、エルカ酸を含む。高級アルコールは、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノールを含む。油は、シリコーン:ジメチルポリシロキサン(Dow CorningからDC200として入手可能な「ジメチコン」)、メチルフェニルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、セチルジメチコンおよびPEG/PPGジメチコンも含む。その他の油は、鉱油、ネオペンタン酸イソステアリル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、セチルオクタノエート、マレイン酸ジイソステアリル、イソドデカン、イソノナン酸イソノニル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ベヘニルアルコール、およびラウロイルグルタミン酸コレステリル、ラウロイルグルタミン酸ベヘニル、ラウロイルグルタミン酸オクチルドデシルを含む。特定の油の選定は、一部は生成されている生成物によって決まる。
【0075】
油は、液体として適用され得る。パルミチン酸アスコルビル等の液体として市販されておらず、脂溶性ビタミンであって主に固体として販売されている油は、コーティング油として使用される前に液体油中に可溶化され得る。適切な可溶化油は、酢酸ビタミンE、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド等を含む。液体形態になったら、次いで、従来の技術を使用して油を材料に添加してよい。例えば、吸入ポートに油を注ぎ入れ、組成物が均質になるまで混合してよい。
【0076】
油は、存在する場合、典型的には、基材/顔料材料の重量に基づき、約0.1〜20重量%の範囲の量である。油は、存在する場合、約1.0〜約10重量%または約3.0〜約5.0重量%の範囲の量であってよい。油は、20%、15%、10%、5%未満もしくはそれ以下であってよく、または存在しなくてもよい。油が存在する場合、表面処理剤(複数可)および油を合わせた重量百分率は、典型的には、材料の重量に基づき、約5.0重量%未満である。典型的には、合わせた重量百分率は、約2.0〜約4.0%、または約4.0〜約20重量%、または約5.0〜約50重量%、または約5.0〜約100重量%、または約5〜約200重量%の範囲である。
【0077】
乳化剤、界面活性剤、分散剤、懸濁化剤、乳化安定剤、消泡剤、増粘剤、ならびに他の化粧用に許容される材料および作用物質も、水系スラリー組成物および生成方法において用いられ得る。乳化剤の非限定的な例は、セチルジメチコンコポリオール、イソステアリン酸ポリグリセリル−4、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG−100、セチルアルコール、リン酸ジセチル、およびセテス−10リン酸、イソステアリン酸を含む。
【0078】
界面活性剤は、典型的には非イオン性形態を含む。非イオン性界面活性剤の非限定的な例は、構造:
【0079】
【化17】

[式中、Rは、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキルおよびアリールアルキル基からなる群から選択され、そのそれぞれは、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基によってさらに置換されていてよい]を有するポリオキシアルキレン(PEGおよび/またはPPG)型非イオン性乳化剤を含む。Rは、C〜約C24の炭素数を有し、Rは、−C−、−C−および−C−からなる群から選択される。
【0080】
非イオン性界面活性剤のさらなる非限定的な例は、多価アルコールエステル型乳化剤を含み、ここで、「ポリオール」のヒドロキシ基(−OH)の少なくとも1個は、脂肪酸でエステル化され、残存ヒドロキシ基を脱離させて親水性部分として機能する。残存ヒドロキシ基を、異なる重合数のアルキレンオキシドによって修飾することもできる。エステル化(疎水性)基および遊離ヒドロキシル(親水性)基の組合せは、界面活性剤分子が乳化剤として作用することを可能にする。異なる数のヒドロキシル基を有するポリオールの非限定的な例は、3個の−OHを有するグリセリン、それぞれ4個の−OHを有するペンタエリスリトールおよびソルビタン、6個の−OHを有するソルビトール、ならびに8個の−OHを有するスクロースを含む。さらなる非限定的な例を以下に示す。
【0081】
【化18】

【0082】
【化19】

[式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、「構造I」または「構造II」の部分であり、R、R、R、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、「構造I」である]
【0083】
【化20】

水系スラリー組成物および生成方法は、完全に拡張されていてよい。用語「完全に拡張されている」は、水系スラリー組成物に関して使用される場合、スラリーの色調または色を調整するために第2のスラリー組成物と混合した際に、スラリー混合物の色または色調のスジ形成は殆どまたは全くなく、2種のスラリー組成物が迅速に混和されることを意味する。よって、水系スラリー組成物は、比較的短時間のまたは穏やかな混合後、スジを呈し得ず、実質的に均一または均質な色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を提供するために、混合または混和時間の延長も高速の混合スピードも必要としない。特定の実施形態において、スラリー組成物の混和は、200グラムのバッチに対して600rpmで1分以下、色または色調のスジなく行われ得る。さらなる実施形態において、スラリー組成物の混和は、200グラムのバッチに対して600rpmで10分以下、色または色調のスジなく;200グラムのバッチに対して600rpmで5分以下;または200グラムのバッチに対して600rpmで2分以下、行われ得る。任意のスジの色は、混和された色調によって決まる。よって、赤色色調では、存在する場合、スジは赤色で現れ、黄色色調では、存在する場合、スジは黄色で現れ、白色(明色)色調では、存在する場合、スジは白色(明色)で現れ、黒色または暗色色調では、存在する場合、スジは黒色または暗色で現れる。図1Aに示されるように、第2の水系スラリー組成物と200グラムのバッチ内500rpmで2分間混合された水系スラリー組成物は、スジを形成しない。対照的に、白色顔料(TiO2)による従来の配合物の色調調整では、200グラムのバッチに対して5000rpmでの5分間の均質化後、多数の顔料スジの存在が明らかになる(図1B)。
【0084】
スジのない水系スラリー組成物、実施例1(表2に示されている)を実施例10(表9に示されている)と混和して実施例16を形成したものの迅速かつ容易な混和性を、従来の配合物、2種の異なる赤色酸化鉄と混和された比較例4〜6と比較して、表1に示す。
【0085】
【表1】

加えて、完全に拡張された水系スラリー組成物は、比較的安定した色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を有しており、皮膚への塗布後に色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度における変化またはシフトに抵抗し、スジ形成に抵抗し、時間に伴う皮膚上での色調変化に抵抗し、伸びのムラまたは不規則さに抵抗することができる。よって、完全に拡張された水系スラリー組成物は、皮膚に塗布された場合、色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度の一貫性を維持することができ、色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度の外観は、典型的には、皮膚に最初に塗布した後、または皮膚にある時間にわたって(例えば、1、2、3、4〜6、6〜12時間またはそれ以上)塗布した後、実質的に変化しない。
【0086】
水系スラリー組成物は、本明細書で説明されている通りに生成され得る。したがって、本発明は、水系スラリー組成物を生成する(生成、製造、調製)方法を提供する。
【0087】
一実施形態において、方法は、顔料および少なくとも1種の基材を提供するステップと、顔料または基材を表面処理剤と接触させて表面修飾された顔料または基材を生成し、それによって該顔料が接着している基材を生成するステップと、該顔料および基材を水媒質中に分散させるステップとを含む。別の実施形態において、方法は、顔料および少なくとも1種の基材を提供するステップと、顔料または基材を2種の表面処理剤と接触させて表面修飾された顔料または基材を生成し、それによって該顔料が接着している基材を生成するステップと、該顔料および基材を水媒質中に分散させるステップとを含む。複数(例えば、2、3、4、5種等またはそれ以上)の表面処理剤の種々の態様において、第1および第2の表面処理剤が疎水性であるか、親水性であるか、または第1が疎水性であり、第2が親水性である。複数の表面処理剤(例えば、2、3、4、5種等またはそれ以上の)表面処理剤のさらに種々の態様において、第1または第2の表面処理剤は、組み合わせた式I〜XVIの表面処理剤のいずれかである。複数の表面処理剤のさらなる種々の態様において、前記2種のうち第1の表面処理剤は、約10以上の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基またはカルボキシル基の塩、リン基またはリン基の塩、硫黄基または硫黄基の塩、およびシラン基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含有し、前記2種のうち第2の表面処理剤は、約9以下の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基またはカルボキシル基の塩、リン基またはリン基の塩、硫黄基または硫黄基の塩、およびシラン基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含有し、該第1および該第2の表面処理剤の間の親水性−親油性値における差異は、少なくとも約5である。
【0088】
第1の例示的な実施形態において、顔料(例えば、脱凝結またはデアグロメレーションされた顔料)および基材を組み合わせて混合物を形成する。該材料を水溶液(例えば、顔料重量に基づき、50〜800%の水)と混合し、分散させる。混合物は、複数の異なる顔料を含み得、該顔料は、所望の色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を提供するために所定の量または比率量である(例えば、実施例1を参照)。油(皮膚軟化剤)等の結合剤をスラリーに場合によって添加し(例えば、100部の粉末当たり1〜180部の油)、分散させる。次いで、1種または複数の表面処理剤をスラリーに分散させる(例えば、100部の粉末当たり約0.5〜400部の表面処理剤)。表面処理剤(複数可)を、基材または顔料の表面上に化学的に固定化する。表面処理剤の官能基を顔料または基材材料の表面に結合するのを支援するために、アルカリ土類金属、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、亜鉛、またはジルコニウムもしくはジルコニウムの硫酸塩または塩化物等、多価金属の1〜2化学当量の水溶性塩を添加してよい。表面処理に続いて、表面修飾された基材または顔料を場合によって脱水し、すすいで任意の第2塩(secondary salt)および副生成物を必要に応じて除去する。それによって濾過したケーキが生成され、これを、約10%未満の乾燥減量(LOD)、例えば、5%のLODまたは3%のLODの「粉末」にさらに場合によって脱水してよい。濾過したケーキを、水相増粘剤、保存料、香料等の化粧品成分を含有する水相中に分散させ、それによって水系スラリー組成物を生成する。
【0089】
第2の例示的な実施形態において、顔料を、30%以上(例えば、顔料およびスラリー中に存在する任意の固体の重量に基づき、40%超、50〜100%、または少なくとも70%)の水と混合し、分散させる。脂肪酸の水溶性アルカリ金属塩等、第2の表面処理剤の水溶液をスラリーに添加し、分散させる。次いで、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズまたはジルコニウムの硫酸塩等の多価金属の1〜2化学当量の水溶性塩を添加する。多価金属は、第2の表面処理剤の親油性部分を顔料の粒子の表面に結合させる。次に、糖酸の水溶性アルカリ金属塩等の第1の表面処理剤をスラリーに添加し、分散させる。次いで、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛またはジルコニウムの硫酸塩等の多価金属の1〜2化学当量の水溶性塩を添加する。多価金属は、第1の表面処理剤中の親水性部分を顔料の粒子の表面に結合させる。代替的な実施形態において、第2の表面処理剤の前に第1の表面処理剤を顔料に添加する。第1および第2の表面処理剤由来の親油性および親水性両方の特性を有して得られる表面修飾された粉末を(例えば、フィルタープレスを使用して)脱水し、精製水ですすいで、任意の第2塩を必要に応じて除去する。それによって、調節されたHLB値を有する濾過したケーキが生成され、これを、(例えば、ケーキが100℃の温度に到達する時点を過ぎて2時間、オーブン内で焼くことによって)約10%未満の乾燥減量(LOD)、例えば、5%のLODまたは3%のLODの「粉末」に場合によってさらに脱水してよい。次いで、濾過したケーキを粉砕して加工できる粉末を生成し、水相増粘剤、保存料、香料等の化粧品成分を含有する水相中に分散させ、それによって水系スラリー組成物を生成する。
【0090】
水系スラリー組成物は、ファンデーション(リキッドファンデーション、熱注(hot−pour)クリームファンデーション)、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、ローション、クリーム、バーム、コンシーラー、頬紅、口紅、アイブローライナー、リップスティック、リップライナー、マニキュアおよび日焼け止め等、化粧またはメイクアップ用品の構成要素として含まれ得る。水系スラリー組成物は、シャンプー、コンディショナー、ローション、デオドラント、制汗剤、保湿剤、バーム、石ケンおよびジェル等のパーソナルケア(トイレタリー)用品、軟膏剤、軟膏ならびにクリームにも使用され得る。水系スラリー組成物が化粧、メイクアップまたはパーソナルケア用品中に含まれる場合、化粧またはトイレタリー用品において使用される他の典型的な構成要素を必要に応じて添加してよい。
【0091】
異なる色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を生成するために、水系スラリー組成物を一緒に混和してよい。例えば、水系スラリー組成物の色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を調整しまたは変化させるために、特定の色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を、異なる色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を有する1種または複数の他の粉末(複数可)と、ホモジナイザーで一緒に混和することによって混合してよい。2種以上の水系スラリー組成物を互いに混合する場合、それらを混合器内で混和して、所望の色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を生成することができる。このように、本発明の水系スラリー組成物は、多段処理を必要とすることなく単純な混和によって、色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を調整することができ、したがって、化粧、メイクアップおよびパーソナルケア用品中により容易に配合されまたは含まれる。
【0092】
水系スラリー組成物は、該組成物を塗布するための説明書を場合によって含む容器およびキットに含まれていてよい。容器およびキットの具体的な非限定的な例は、ボトル、バイアル、広口瓶またはチューブを含む。
【0093】
容器またはキットは「包装材料」を場合によって含み、これは、容器もしくはキット、または容器もしくはキットの構成要素(複数可)を収納する物理的構造を指す。包装材料は、そのような目的のために一般に使用される材料で作られていてよい。容器またはキットは、例えば適切な説明書とともにラベルまたは添付文書を含み得る。説明書は、「印刷物」上、例えば、容器もしくはキット内の紙もしくはボール紙上、または容器もしくはキットに貼られたラベル上にあってよい。説明書は、コンピューター可読媒体、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクまたはハードディスク等の音声または映像媒体、CD−またはDVD−ROM/RAM等の光学CD、磁気テープ、RAMおよびROM等の電気記憶媒体、ならびに磁気/光学記憶媒体等のこれらのハイブリッドで提供され得る。
【0094】
水系スラリー組成物に適した容器およびキットの具体的な非限定的な例は、ボトル、バイアル、広口瓶およびチューブを含む。ボトル、バイアル、広口瓶およびチューブに適した材料は、金属、ガラスまたはポリオレフィンを含む。例示的な金属は、鉄(鋼)およびアルミニウムを含む。例示的なポリオレフィンは、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリブチレンを含む。容器およびキットのさらなる具体的な非限定的な例は、パウチを含む。
【0095】
容器およびキットは、密閉されていてよい。容器およびキットは、複数の(2以上の)種類の水系スラリー組成物を含み得る。例えば、容器は2つ以上のボトルを含んでよく、そのそれぞれは、異なる色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度の水系スラリー組成物を収容している。容器は、各ボトルを個々の包装内に収容し得る。
【0096】
別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書において記載されている方法および材料と同様のまたは同等の方法および材料を本発明の実践または試験において使用することができるが、本明細書においては、適切な方法および材料が記載されている。
【0097】
本明細書において引用されるすべての刊行物、特許および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。矛盾する場合、定義を含め本明細書が優先するものとする。
【0098】
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「and」および「the」は、文脈上明らかに別段の定めがある場合を除き、複数の指示対象を含む。よって、例えば、「顔料」への言及は複数の顔料を含み、「基材」への言及は複数の基材を含み得、「増量剤、油、乳化剤、皮膚軟化剤、脂肪、炭化水素、表面処理剤、界面活性剤等」への言及は、複数の増量剤、油、皮膚軟化剤、脂肪、炭化水素、表面処理剤、界面活性剤等を含み得る。
【0099】
本明細書において使用される場合、すべての数値または数的範囲は、文脈上明らかに別段の定めがある場合を除き、そのような範囲内のまたはそれを網羅する全整数およびその分数を含む。よって、例えば、0〜25%等の値への言及は、0%〜5%(すなわち、1、2、3、4、5%または1.1、1.2、1.3、1.4、1.5%等)、10%〜20%(10、11、12、13、14%等または10.1、10.2、10.3、10.4、10.5等)等を含み、例えば、約10〜18の範囲への言及は、10〜12、10〜13、10〜14、11〜13、11〜14、11〜15、10.1〜10.3、10.3〜10.5、10.6〜10.8等を含む。
【0100】
実施例1において列挙されている構成要素および成分等、水系スラリー組成物中の所与の成分または構成要素(例えば、顔料、基材、増量剤、油、結合剤、表面処理剤等)の特定量への言及は、別段の定めがある場合を除き、約1〜20%または1〜10%または5〜10%内の変動を含む。用語「約」は、典型的には、基準値の±約1〜10%または5〜10%を加えた値を指す。
【0101】
本明細書において使用される場合、用語「適量」は、当技術分野で慣例であるように、所望の機能性を得るために「十分な分量」を意味する。香料の場合、機能性は典型的には約0.05〜1.0wt%を使用して得られ、保存料の場合、機能性は典型的には約0.01〜1.0wt%を使用して得られる。
【0102】
本発明は、概して、多数の実施形態を記載するために肯定的な言語を使用して本明細書に開示されている。本発明は、具体的には、特定の主題が全部または一部排除されている実施形態も含む。例えば、本発明の組成物または方法において、具体的には、1種または複数の粉末材料(例えば、基材、顔料、顔料増量剤等)、表面処理剤、結合剤(例えば、油)、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、脂肪酸、炭化水素、ロウ、パラフィン、表面処理剤、保存料および香料が排除されていてよい。よって、本発明は、本明細書においては概して本発明が含まないものの観点では表現されていないが、本発明の組成物および方法は、1種または複数の粉末材料(例えば、基材、顔料、増量剤等)、表面処理剤、添加物または結合剤(例えば、油、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、脂肪酸、炭化水素、ロウ、パラフィン等)、保存料、香料等が排除されている実施形態を含む。
【0103】
本発明の多くの実施形態について記載してきた。それでもなお、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、種々の修正が為され得ることが理解される。したがって、下記の実施例は、特許請求の範囲において記載されている本発明の範囲を説明するが限定しないことが意図される。
【実施例】
【0104】
(実施例1)
本実施例は、水系メイクアップ化粧用組成物の記述を含む。
【0105】
水系ムースメイクアップ例1(表2)を調製し、W/Sリキッドファンデーション、O/Wリキッドファンデーションおよび無水ムースメイクアップ等の従来のメイクアップ処方と比較するために、官能試験を行った。
【0106】
【表2】

水系ムースメイクアップのための手順
粉末材料を、(顔料の重量に基づき)50〜800%の水と混合し、分散させる。1種または複数の表面処理剤、例えば脂肪酸またはアシルアミノ酸の水溶性アルカリ金属塩の水溶液をスラリーに添加し(100部の粉末当たり0.5〜400部の表面処理剤)、分散させる。次いで、油(100部の粉末当たり1〜180部の油)を系に導入する。油の添加は任意選択である。界面活性剤の官能基を粉末材料の粒子の表面に結合するのを支援するために、アルカリ土類金属、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、亜鉛、またはジルコニウムの硫酸塩または塩化物等、多価金属の1〜2化学当量の水溶性塩を添加してよい。得られるコーティングされ表面修飾された粉末材料を、フィルタープレスを使用して脱水し、精製水または脱イオン水ですすいで、任意の第2塩および副生成物を必要に応じて除去する。濾過したケーキを、水相増粘剤、保存料、香料等の化粧品成分を含有する水相中に分散させる。
【0107】
【表3】

O/Wリキッドファンデーション(比較例1、表3)のための手順
相Aをビーカーに添加し、均質になるまでホモジナイザーで混合する。放置しておく。次いで、相Bを取り、ブレンダーに入れて「強」で2分間混合する。分散を確認し、必要に応じて再度混合する。相Cをビーカー内に入れ、中温(30〜35℃)でロウの融解を開始する。油をゆっくり添加する。相Bを相Cに添加し、約3〜5分間の均質化を開始する。相BおよびCをAにゆっくり添加し、すべてが組み込まれたら5分間均質化を続ける。冷却し、所望の容器に注ぎ入れる。
【0108】
【表4】

W/Sリキッドファンデーション(比較例2、表4)のための手順
相Aをビーカーに添加し、均質になるまでホモジナイザーで混合する。放置しておく。次いで、相Bを取り、ブレンダーに入れて「強」で2分間混合する。分散を確認し、必要に応じて再度混合する。相Cをビーカー内に入れ、中温(30〜35℃)でロウの融解を開始する。油をゆっくり添加する。相Bを相Cに添加し、約3〜5分間の均質化を開始する。相BおよびCをAにゆっくり添加し、すべてが組み込まれたら5分間均質化を続ける。冷却し、所望の容器に注ぎ入れる。
【0109】
【表5】

無水ムースメイクアップ(比較例3、表5)のための手順
相Aをブレンダーに添加し、2分間微粉化する。均一な分散物になるまで微粉化を続ける。約80℃で相Bにおけるロウの融解を開始する。ロウが融解したら、イソドデカンを除いた他の油を添加する。相Bをゆっくり混合しながら、それに相Aを添加する。すべてが組み込まれたら5分間混合し、冷却し始める。温度が約45℃に到達したら、イソドデカンを添加し、さらに2分間混合を続ける。
【0110】
官能試験は、上記されている実施例1(表2)および3つの比較例(表3〜5)という4つの配合物を用いて行った。30〜50歳の女性10人を試験のために募集し、その意見を調査した。結果を下記の基準で表6にまとめる。
優:8人以上の女性が「良い」と回答
良:6または7人の女性が「良い」と回答
可:5または6人の女性が「良い」と回答
劣:4人以下の女性が「良い」と回答
【0111】
【表6】

表6における時間で示した「耐久性」の値は、色ぐすみまたは粉落ちによりファンデーション塗り直しが必要となる平均時間である。時間数が大きいほど、もちが長い。
【0112】
【表7】

水系ムースアイシャドウ(表7)を作製するための手順は、「水系ムースメイクアップ例」について上記したのと同じである。「水系ムースアイシャドウ」は、様々な種類のパール顔料および化粧品成分を含有する。水系ムースアイシャドウの利点および優れた特性は、薄い塗布、自然な仕上がり、まぶたの上で殆どまたは全くよれないこと、長く持続することである。加えて、優れた混和性により、2つ以上の異なる色調のアイシャドウを一緒に混合することによって、新たな色調のアイシャドウを作成することが容易である。
【0113】
水系スラリー組成物の容易で優れた混和性および柔軟性をさらに実証するために、下記のさらなる例(表8〜10)を示す。水系スラリー組成物は、表2、段落[0074]において水系ムースメイクアップについて記載されている手順によって調製できる。
表8:実施例2〜6は、「増粘」剤を既に有する
表8:実施例7は、「増粘」剤を有さない
表9:実施例8〜11は、「増粘」剤を既に有する
これらのすべては(実施例2〜11、水系スラリー組成物と同様に)、各組成物が極端な色調(暗すぎる、黄色すぎる、白すぎるおよび赤みを帯びすぎている)およびまたはカバー力(顔料含有量が高すぎる)を有するため、使用することができない。使用することのできる化粧用組成物を作製するためには、これらを混和および希釈すべきである。
表10:実施例12〜15は、水系スラリー組成物例である
水系スラリー組成物を混和するために、「分散機」を混合機器として使用した。約3000rpmを混和スピードとして用いた。「分散機」は、プロペラ混合器よりも多くのせん断を提供する。当然ながら、普通のホモジナイザーを使用してもよい。目標とする色調を作製するために「穏やかな撹拌」を使用しても、水系スラリー組成物について色のスジは観察されない。滑らかで均一なテクスチャーを得ることは即時的かつ容易である。
【0114】
【表8−1】

【0115】
【表8−2】

【0116】
【表9】

水系ファンデーション(ムースタイプ)は、実施例2〜11を使用して調製できる。
【0117】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種または複数の顔料および基材を含む、水系化粧用スラリー組成物であって、
(a)該顔料または基材が、少なくとも1種の表面処理剤で化学的に固定化された表面を有し、かつ
(b)該顔料が該基材に接着しており、
ここで該顔料および基材は水媒質中に分散している、水系化粧用スラリー組成物。
【請求項2】
少なくとも1種または複数の顔料および基材を含む、水系化粧用スラリー組成物であって、
(a)該顔料または基材が、少なくとも2種の表面処理剤で化学的に固定化された表面を有し、かつ
(b)該顔料が該基材に接着しており、
ここで該顔料および基材は水媒質中に分散している、水系化粧用スラリー組成物。
【請求項3】
2種以上の表面処理剤があり、1種または複数が顔料の表面上に場合によって化学的に固定化されており、ここで該第1および第2の表面処理剤は、組み合わせた式I〜XVIの表面処理剤のいずれかから選択される、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項4】
前記第1の表面処理剤が、式I〜VIII:
【化21】

[式中、
Y1、Y2、Y3およびY4は、水素、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはオキソ基から独立に選択され、Y1、Y2、Y3またはY4の少なくとも1つはヒドロキシ基であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基等)のいずれかである];あるいは
【化22】

[式中、
Y5、Y6、Y7およびY8は、水素、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはオキソ基から独立に選択され、これらの少なくとも1つはヒドロキシ基であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)のいずれかである];あるいは
【化23】

[式中、
Y1、Y2、Y3、Y4およびY5は、水素、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはオキソ基から独立に選択され、これらの少なくとも1つはヒドロキシ基であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)である];あるいは
【化24】

[式中、
R2は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R2は、8〜12個の炭素(C8〜C24)を有し、
R3は、エチレン、プロピレンまたはブチレンであり、
nは、1〜60の整数であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)である];あるいは
【化25】

[式中、
R1、R2およびR3は、独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
または、R1、R2およびR3は、1〜24個の炭素(C1〜C24)を有し、かつ
nは1〜24の整数である];あるいは、
【化26】

[式中、
R1およびR3は、独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R1、R2およびR3は、1〜24個の炭素(C1〜C24)を有し、
nは、1〜24の整数であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)である];あるいは
【化27】

[式中、
R1は、独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R1、R2およびR3は、1〜24個の炭素(C1〜C24)を有し、
nは、1〜24の整数であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)である];あるいは
【化28】

[式中、
R1は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、少なくとも1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のヒドロキシ、アルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R1は、8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)である]
のいずれか1つによって表される化合物である、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項5】
式IIIが没食子酸を含む、請求項4に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項6】
前記第2の表面処理剤がヒドロキシル基およびアルキレンオキシド部分を欠いている、請求項2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項7】
前記表面処理剤が、式IX〜XVI:
【化29】

[式中、
R3は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R1は、8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)である];あるいは
【化30】

[式中、
R4およびR5は、それぞれ独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル、アミノ酸基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R4は、8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、
R10は、水素またはメチルであり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)である];あるいは
【化31】

[式中、
R3は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
または、R3は、8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)である];あるいは
【化32】

[式中、
R1およびR2は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
R1およびR2は、それぞれ独立に8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、
R3およびR4は、アミノ酸残基部分であり、
R5およびR6は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、かつ
R3、R4およびR6の少なくとも1つはカルボン酸基を有し、その構造は、酸形態または塩形態のいずれかであり、それは、ナトリウム、カリウム等の金属またはその等価物、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基である];あるいは
【化33】

[式中、
R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
または、R1およびR2は、それぞれ独立に8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)である];あるいは
【化34】

[式中、
R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
または、R1およびR2は、それぞれ独立に8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、かつ
Mは、水素、または金属もしくはその等価物(トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン等の有機塩基)である];あるいは
【化35】

[式中、
R1は、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよく、1個または複数のアルコキシル、カルボキシルまたはオキソ基でさらに置換されていてよく、
または、R1は、8〜24個の炭素(C8〜C24)であり、かつ
Xは、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ)またはハロゲン(Cl、Br)である];あるいは
【化36】

[式中、
、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル、アルキルアミド、アルケニル、アルキルニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキルまたはアリールアルキル基であり、そのすべては、1個または複数のヒドロキシル、アルキオキシル、カルボキシルまたはオキソ基で置換されていてよく、かつ
nは、1〜60の整数である]
のいずれか1つによって表される化合物である、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項8】
前記表面処理剤が疎水性または親水性である、請求項1に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項9】
前記2種の表面処理剤の少なくとも一方が疎水性である、請求項2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項10】
前記第1の表面処理剤が、約10以上の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基またはカルボキシル基の塩、リン基またはリン基の塩、硫黄基または硫黄基の塩、およびシラン基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含有し、
前記第2の表面処理剤が、約9以下の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基またはカルボキシル基の塩、リン基またはリン基の塩、硫黄基または硫黄基の塩からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含有し、かつ
該第1および該第2の表面処理剤の間の該親水性−親油性バランス値における差異が、少なくとも約5である、
請求項2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項11】
前記第1の表面処理剤が、約14〜18の範囲の親水性−親油性バランスを有する、請求項2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項12】
前記第2の表面処理剤が、約1〜4の範囲の親水性−親油性バランスを有する、請求項2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項13】
前記第1の表面処理剤が、1個または複数のヒドロキシル基またはアルキレンオキシド部分を含有する、請求項2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項14】
前記アルキレンオキシド部分が、エチレンオキシド部分、プロピレンオキシド部分またはそれらの組合せである、請求項13に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項15】
前記表面処理剤が、アシルコラーゲン、エーテルカルボン酸、ラクテート、グルコネート、アミノ酸、アシルアミノ酸、脂肪酸、シラン、トリエトキシカプリルシラン、グリセロールリン酸エステル、メチコン、ジメチコン、ガラクツロン酸、グルカロラクトン、没食子酸、グルコヘプタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリルアミドベタイン、ステアリルアンホアセテート、ラウリルアンホプロピオネート、ステアリルアンホプロピオネート、ポリエチレン、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、グルコン酸亜鉛、ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、イソステアリルセバシン酸またはそれらの組合せを含む、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項16】
前記2種の表面処理剤の少なくとも一方が親水性である、請求項2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項17】
前記水の百分率が前記スラリーの約10重量%〜90重量%である、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項18】
前記水の百分率が前記スラリーの約40重量%より大きい、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項19】
前記水の百分率が前記スラリーの少なくとも70重量%である、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項20】
化粧用に許容される油、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、炭化水素、ロウまたはパラフィンをさらに含む、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項21】
前記油が、グリセリド、エステル、シリコーンもしくはその誘導体、脂溶性ビタミン、またはそれらの組合せである、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項22】
前記油が、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、脂肪酸エステル、ヒドロキシル酸エステル、炭化水素、鉱油、ヒマシ油誘導体または植物性油から選択される、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項23】
前記油が、セチルオクタノエート、ジメチコン、ジフェニルジメチコン、シクロメチコン、セチルジメチコン、ポリシリコーン−11、カプリル酸またはカプリン酸トリグリセリド、ジメチルポリシロキサン、ネオペンタン酸イソステアリル、セチルオクタノエート、マレイン酸ジイソステアリル、スクワラン、酢酸トコフェロール、トコフェロール(ビタミンE)、レチノール、レチノイン酸、イソドデカン、イソノナン酸イソノニル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ベヘニルアルコール、およびラウロイルグルタミン酸コレステリル、ラウロイルグルタミン酸ベヘニル、ラウロイルグルタミン酸オクチルドデシルから選択される、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項24】
前記乳化剤が、セチルジメチコンコポリオール、イソステアリン酸ポリグリセリル−4、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG−100、セチルアルコール、リン酸ジセチル、セテス−10リン酸およびイソステアリン酸から選択される、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項25】
前記油が、前記スラリーの約0.1〜20重量%の量である、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項26】
前記油が、前記スラリーの20重量%未満の量である、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項27】
前記皮膚軟化剤が、前記スラリーの約0.1〜20重量%の量である、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項28】
前記皮膚軟化剤が、前記スラリーの20重量%未満の量である、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項29】
前記乳化剤が、前記スラリーの約0.1〜20重量%の量である、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項30】
前記乳化剤が、前記スラリーの20重量%未満の量である、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項31】
前記脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコールまたは炭化水素が、前記スラリーの約0.1〜20重量%の量である、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項32】
前記脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコールまたは炭化水素が、前記スラリーの20重量%未満の量である、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項33】
前記ロウまたはパラフィンが、前記スラリーの約0.1〜20重量%の量である、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項34】
前記ロウまたはパラフィンが、前記スラリーの20重量%未満の量である、請求項20に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項35】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルまたはポリアルキレングリコールアルキルエーテルをさらに含む、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項36】
前記顔料が、実質的にデアグロメレーションまたは脱凝結されている、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項37】
前記顔料が、2種以上の異なる顔料を含み、ここで各顔料は前記基材に接着している、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項38】
前記顔料が、3、4、5種またはそれ以上の異なる顔料を含み、ここで各顔料は前記基材に接着している、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項39】
各顔料が、異なる色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を有する、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項40】
前記顔料が、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、酸化鉄、ウルトラマリン、パール顔料、マンガンバイオレット、プルシアンブルー、酸化クロム、水酸化クロムを含む、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項41】
前記顔料が、ルチル、アナターゼ、超微細TiO、超微細ZnO、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、褐色酸化鉄、黒色酸化鉄、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンバイオレット、ウルトラマリンピンク、マイカまたは雲母チタンを含む、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項42】
前記基材が、粘土、マイカ、チムロンスーパーシルバー、二酸化チタンでコーティングされたマイカ、タルク、カオリン、絹雲母、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムナトリウム、ヒュームドシリカ、アルミノシリケート、鉱物、ナイロン、窒化ホウ素、アクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、金属粉末、セラミック粉末、綿粉末、セルロース、ウレタン、スチレン、ポリオレフィン、ポリエテイレン、ポリアミド、ジルコニウム、デンプンおよびオクテニルコハク酸デンプンアルミニウム等のデンプン誘導体、または炭酸カルシウム(チョーク)を含む、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項43】
保存料または香料をさらに含む、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項44】
前記組成物が懸濁物を含む、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項45】
前記水系化粧用スラリー組成物の色が完全に拡張されている、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項46】
前記スラリーを、第2の水系化粧用スラリー組成物と10分以下の時間混和するステップにより、顔料、色または色調のスジがない組成物をもたらす、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項47】
前記スラリーを、第2の水系化粧用スラリー組成物と10分以下の時間混和するステップにより、実質的に均一な色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を有する組成物をもたらす、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項48】
前記混和するステップが、5分以下の時間である、請求項46または47に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項49】
前記混和するステップが、200グラムのバッチに対して600rpmにおいてである、請求項46または47に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項50】
前記表面処理剤が、前記スラリーの約1重量%〜15重量%である、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項51】
顔料の量が、前記スラリーの約70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%または10重量%未満である、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項52】
前記顔料が、前記基材の表面上に実質的に均一に分布している、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項53】
前記スラリーに、化粧用に許容される油、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、炭化水素、ロウまたはパラフィンの1つまたは複数が欠如している、請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物。
【請求項54】
請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物を含む化粧またはメイクアップ用品。
【請求項55】
請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物を含むパーソナルケア用品。
【請求項56】
請求項1または2に記載の水系化粧用スラリー組成物を含む容器。
【請求項57】
水系化粧用スラリー組成物を調製するための方法であって、該方法は:
(a)顔料および少なくとも1種の基材を提供するステップと、
(b)該顔料または基材を表面処理剤と接触させて表面修飾された顔料または基材を生成し、それによって該顔料が接着している基材を生成するステップと、
(c)該顔料および基材を水媒質中に分散させるステップと
を含む、方法。
【請求項58】
水系化粧用スラリー組成物を調製するための方法であって、該方法は:
(a)顔料および少なくとも1種の基材を提供するステップと、
(b)該顔料または基材を2種の表面処理剤と接触させて表面修飾された該顔料または基材を生成し、それによって該顔料が接着している基材を生成するステップと、
(c)該顔料および基材を水媒質中に分散させるステップと
を含む、方法。
【請求項59】
前記2種の表面処理剤が、組み合わせた式I〜XVIの表面処理剤のいずれかから選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記表面処理剤が疎水性または親水性である、請求項57または58に記載の方法。
【請求項61】
前記2種の表面処理剤の少なくとも一方が疎水性である、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
i.前記2種のうち第1の表面処理剤が、約10以上の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基またはカルボキシル基の塩、リン基またはリン基の塩、硫黄基または硫黄基の塩、およびシラン基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含有し、
ii.前記2種のうち第2の表面処理剤が、約9以下の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基またはカルボキシル基の塩、リン基またはリン基の塩、硫黄基または硫黄基の塩、およびシラン基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含有し、
iii.該第1および該第2の表面処理剤の間の該親水性−親油性値における差異が、少なくとも約5である、
請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記水の百分率が前記スラリーの約10重量%〜90重量%である、請求項57または58に記載の方法。
【請求項64】
前記水の百分率が前記スラリーの約40重量%より大きい、請求項57または58に記載の方法。
【請求項65】
前記水の百分率が前記スラリーの少なくとも70重量%である、請求項57または58に記載の方法。
【請求項66】
前記顔料または基材が、実質的にデアグロメレーションまたは脱凝結されている、請求項57または58に記載の方法。
【請求項67】
油、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、脂肪アルコール、ロウまたはパラフィンを含むステップまたは添加するステップをさらに含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項68】
前記油が、グリセリド、エステル、シリコーンもしくはその誘導体、脂溶性ビタミン、またはそれらの組合せである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記油が、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、脂肪酸エステル、ヒドロキシル酸エステル、炭化水素、鉱油、ヒマシ油誘導体または植物性油から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記油が、グリセリド、エステル、シリコーンもしくはその誘導体、脂溶性ビタミン、またはそれらの組合せである、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記油が、セチルオクタノエート、ジメチコン、ジフェニルジメチコン、シクロメチコン、セチルジメチコン、ポリシリコーン−11、カプリル酸またはカプリン酸トリグリセリド、ジメチルポリシロキサン、ネオペンタン酸イソステアリル、セチルオクタノエート、マレイン酸ジイソステアリル、スクワラン、酢酸トコフェロール、トコフェロール(ビタミンE)、レチノール、レチノイン酸、イソドデカン、イソノナン酸イソノニル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ベヘニルアルコール、およびラウロイルグルタミン酸コレステリル、ラウロイルグルタミン酸ベヘニル、ラウロイルグルタミン酸オクチルドデシルから選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記乳化剤が、セチルジメチコンコポリオール、イソステアリン酸ポリグリセリル−4、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG−100、セチルアルコール、リン酸ジセチル、セテス−10リン酸およびイソステアリン酸から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記油が、前記スラリーの約0.1〜20重量%の量である、請求項67に記載の方法。
【請求項74】
前記油が、前記スラリーの20重量%未満の量である、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
前記皮膚軟化剤が、前記スラリーの約0.1〜20重量%の量である、請求項67に記載の方法。
【請求項76】
前記皮膚軟化剤が、前記スラリーの20重量%未満の量である、請求項67に記載の方法。
【請求項77】
前記乳化剤が、前記スラリーの約0.1〜20重量%の量である、請求項67に記載の方法。
【請求項78】
前記乳化剤が、前記スラリーの20重量%未満の量である、請求項67に記載の方法。
【請求項79】
前記脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコールまたは炭化水素が、前記スラリーの約0.1〜20重量%の量である、請求項67に記載の方法。
【請求項80】
前記脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコールまたは炭化水素が、前記スラリーの20重量%未満の量である、請求項67に記載の方法。
【請求項81】
前記ロウまたはパラフィンが、前記スラリーの約0.1〜20重量%の量である、請求項67に記載の方法。
【請求項82】
前記ロウまたはパラフィンが、前記スラリーの20重量%未満の量である、請求項67に記載の方法。
【請求項83】
前記水系化粧用スラリー組成物に、油、皮膚軟化剤、乳化剤、脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、炭化水素、ロウまたはパラフィンが欠如している、請求項57または58に記載の方法。
【請求項84】
前記組成物が懸濁物を形成する、請求項57または58に記載の方法。
【請求項85】
前記基材が、粘土、マイカ、Timron Super SilverTM、二酸化チタンでコーティングされたマイカ、タルク、カオリン、絹雲母、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムナトリウム、ヒュームドシリカ、アルミノシリケート、鉱物、ナイロン、窒化ホウ素、アクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、金属粉末、セラミック粉末、綿粉末、セルロース、ウレタン、スチレン、ポリオレフィン、ポリエテイレン、ポリアミド、ジルコニウム、デンプンおよびオクテニルコハク酸デンプンアルミニウム等のデンプン誘導体、または炭酸カルシウム(チョーク)を含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項86】
前記顔料が、2種以上の異なる顔料を含み、そのそれぞれは前記基材に接着している、請求項57または58に記載の方法。
【請求項87】
前記顔料が、3、4、5種またはそれ以上の異なる色の顔料を含み、そのそれぞれは前記基材に接着している、請求項57または58に記載の方法。
【請求項88】
前記顔料が、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、酸化鉄、ウルトラマリン、パール顔料、マンガンバイオレット、プルシアンブルー、酸化クロム、水酸化クロムを含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項89】
前記顔料が、ルチル、アナターゼ、超微細TiO、超微細ZnO、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、褐色酸化鉄、黒色酸化鉄、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンバイオレット、ウルトラマリンピンク、マイカまたは雲母チタンを含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項90】
前記表面処理剤が、アシルコラーゲン、エーテルカルボン酸、ラクテート、グルコネート、アミノ酸、アシルアミノ酸、脂肪酸、シラン、トリエトキシカプリルシラン、グリセロールリン酸エステル、メチコン、ジメチコン、ガラクツロン酸、グルカロラクトン、没食子酸、グルコヘプタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリルアミドベタイン、ステアリルアンホアセテート、ラウリルアンホプロピオネート、ステアリルアンホプロピオネート、ポリエチレン、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、グルコン酸亜鉛、ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、イソステアリルセバシン酸またはそれらの組合せを含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項91】
保存料または香料を添加するステップをさらに含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項92】
前記スラリーを、第2の水系化粧用スラリー組成物と10分以下の時間混和するステップにより、顔料、色または色調のスジがない組成物を生成する、請求項57または58に記載の方法。
【請求項93】
前記スラリーを、第2の水系化粧用スラリー組成物と10分以下の時間混和するステップにより、実質的に均一な色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を有する組成物をもたらす、請求項57または58に記載の方法。
【請求項94】
前記混和するステップが、5分以下の時間である、請求項92または93に記載の方法。
【請求項95】
前記混和するステップが、200グラムのバッチに対して600rpmにおいてである、請求項92または93に記載の方法。
【請求項96】
前記スラリーを、第2の水系化粧用スラリー組成物と10分以下の時間混和し、それによって、顔料、色または色調のスジがない組成物を生成するステップをさらに含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項97】
前記スラリーを、第2の水系化粧用スラリー組成物と10分以下の時間混和し、実質的に均一な色、色調、色相、クロマ(彩度)または明度を有する組成物をもたらすステップをさらに含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項98】
前記混和するステップが、5分以下の時間である、請求項96または97に記載の方法。
【請求項99】
前記混和するステップが、200グラムのバッチに対して600rpmにおいてである、請求項96または97に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2011−522771(P2011−522771A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534283(P2010−534283)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/084039
【国際公開番号】WO2009/067516
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(507331209)ユー.エス. コスメティックス コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】