説明

化粧品組成物

本発明は、化粧品または皮膚科学的組成物中でのビオチンの結晶化を抑制するためのリン酸アスコルビルおよびナイアシンアミドの使用に関する。さらに本発明は、リン酸アスコルビル、ナイアシンアミド、ビオチンおよび化粧品的に許容できる担体を含んでなる化粧品または皮膚科学的組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、化粧品または皮膚科学的組成物中でのビオチンの結晶化を抑制するためのリン酸アスコルビルおよびナイアシンアミドの使用に関する。さらに本発明は、リン酸アスコルビル、ナイアシンアミド、ビオチンおよび化粧品的に許容できる担体を含んでなる化粧品または皮膚科学的組成物に関する。
【0002】
ビオチンは、例えば、皮膚調整剤、皮膚美白剤または抗老化剤として化粧品または皮膚科学的組成物中で使用される。しかしながら、ビオチンの溶解性はそれほど高くない(湯100mlに対して約0.02g)。したがって、たとえ低量で使用されたとしても、ビオチンは化粧品または皮膚科学的組成物中で結晶化する傾向あり、それによって活性が失われ、また組成物の見た目が悪くなる。これらの理由により、今日まで、化粧品または皮膚科学的組成物中でビオチンは非常に低い濃度でのみ使用されていたと思われる。したがって、ビオチンの溶解性を高め、結果的に化粧品または皮膚科学的組成物中でのビオチンの結晶化を低下する薬剤が必要とされている。
【0003】
リン酸アスコルビルは、特に生体内酸化防止剤として、皮膚美白剤または抗ニキビ剤として、スキンケア用品で使用される。しかしながら、リン酸アスコルビルがより高い濃度で化粧品および皮膚科学的組成物中に加えられた場合、製品の望ましくない茶変色がしばしば生じる。このような変色は、最終消費者にはあまり受け入れられない。したがって、ビオチンなどのさらなる成分の添加によって、酸化防止、皮膚美白または抗ニキビ活性に関して製品の有効性を同等に維持しながら、化粧品または皮膚科学的組成物中に加えられるリン酸アスコルビルの量を減少させることが継続的に必要とされている。
【0004】
意外にも、リン酸アスコルビルとナイアシンアミドとの組み合わせが水中でのビオチンの溶解性を著しく向上させ、結果として、化粧品または皮膚科学的組成物中に、より多くのビオチンを加えることが可能となることが見出された。さらに、リン酸アスコルビルとナイアシンアミドとの組み合わせは、ごくわずかな変色を示し、保湿、抗老化、抗ニキビまたは皮膚美白などの優れた化粧品利点をもたらしながら、化粧品または皮膚科学的組成物中でのビオチンの再結晶化を低下することが見出された。
【0005】
したがって、一態様において、本発明は、リン酸アスコルビル、ナイアシンアミド、ビオチンおよび化粧品的に許容できる担体を含んでなる化粧品または皮膚科学的組成物に関する。
【0006】
さらなる態様において、本発明は、
(a)0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%、最も好ましくは0.3〜1%のリン酸アスコルビルと、
(b)0.5〜10重量%、好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは1〜5重量%のナイアシンアミドと、
(c)0.005〜3重量%、好ましくは0.01〜1重量%、最も好ましくは0.05〜0.5重量%のビオチンと、
(d)化粧品的に許容できる担体と
を含んでなる化粧品または皮膚科学的組成物に関する。
【0007】
そのような化粧品組成物は、ごくわずかな変色を示しながら、例えば、保湿、抗老化、抗ニキビまたは皮膚美白に関して、優れた化粧品の利点を示す。
【0008】
特記されない限り、本明細書中、部およびパーセントは重量に対するものであり、組成物の総重量に基づく。
【0009】
好ましい実施形態において、本発明は、20〜99重量%、好ましくは30〜90重量%、最も好ましくは40〜80重量%の水をさらに含んでなる本発明による化粧品または皮膚科学的組成物に関する。
【0010】
本発明の全ての実施形態において、好ましくは、リン酸アスコルビルの量およびナイアシンアミドの量は、使用されるビオチンの量より多い。リン酸アスコルビルの量およびナイアシンアミドの量が、使用されるビオチンの量の少なくとも1.5倍であることが都合がよい。
【0011】
本発明の全ての実施形態において、好ましくは、ナイアシンアミドの量は、使用されるリン酸アスコルビルの量と等しいか、またはより多い。好ましくは、ナイアシンアミド対リン酸アスコルビルの比率は、約1:1〜1:100の範囲、好ましくは約1:1〜1:50の範囲、特に約1:3などの約1:1〜1:5の範囲で選択される。
【0012】
本明細書で使用されるビオチンという用語は、式(1)の化合物を指す。
【化1】


これは8つの種々の立体異性体を含む。本発明の全ての実施形態において、ビオチンは立体化学的に純粋な形態で、または2つもしくはいくつかの立体異性体の混合物として使用可能である。好ましくは、D−(+)−ビオチン、すなわち、式(2)の(3aS,4S,6aR)−2−オキソヘキサヒドロチエノ[3,4−d]−イミダゾル−4−バレリアン酸
【化2】


を本発明の全ての実施形態で使用する。
【0013】
本発明の文脈中で使用されるビオチンという用語には塩型のビオチンも含まれる。適切な塩は、アルカリまたはアルカリ土類金属、あるいはナトリウム、カリウムまたはマグネシウム塩などの他の適切な金属によるビオチンの塩であるが、アンモニウム塩も含まれる。窒素原子のため、ビオチンの窒素原子にHClなどの無機酸または有機酸を付加することによって生じる塩型のビオチンも使用可能である。塩酸ビオチンの使用が特に好ましい。塩の調製は、当業者に既知の方法によって、例えば、ビオチンをNaOHまたはKOHなどの塩基、あるいはHClなどの酸と反応させることによって実行可能である。
【0014】
本明細書で使用される「リン酸アスコルビル」という用語は、アスコルビン酸のモノ−およびポリ−リン酸エステルの金属塩を意味し、ここでは、アスコルビン酸分子のリン酸化されたヒドロキシ基は、1個以上のリン酸(リン酸塩)単位を特徴とし、そして金属カチオン、例えばナトリウムおよび/またはマグネシウムまたはカルシウムイオンも存在する。「ポリ」という用語は、一般に、2〜10個、好ましくは2〜4個のリン酸塩単位を意味する。リン酸アスコルビルはモノ−およびポリリン酸の両方を包含するために、一般に、「(ポリ)リン酸アスコルビル」と指されてもよい。本発明で使用される典型的なリン酸アスコルビルは、リン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルカリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルカルシウムおよびL−アスコルビル−2−モノリン酸ナトリウムマグネシウムなどのL−アスコルビン酸リン酸エステル塩である。リン酸アスコルビルは、本質的に、水和物または2水和物の形態で存在する。商業的に入手可能なリン酸アスコルビルとしては、DSM Nutritional Products AG(4303 Kaiseraugst,Switzerland)からSTAY−C(登録商標)50として入手可能なL−アスコルビル−2−モノリン酸3ナトリウム、ならびにL−リン酸アスコルビルマグネシウム(昭和電工から入手可能)およびL−アスコルビル−2−モノリン酸ナトリウムマグネシウムが挙げられる。本発明の目的のための好ましいリン酸アスコルビルは、リン酸アスコルビルナトリウムまたはナトリウムマグネシウムまたはナトリウムカルシウム、あるいはそれらの混合物であり、特にL−アスコルビル−2−モノリン酸3ナトリウム2水和物である。
【0015】
ナイアシンアミド[CAS番号98−92−0]は水溶性ビタミンB群の1種であり、例えば、DSM Nutritional Products AG(4303 Kaiseraugst,Switzerland)からNiacinamide PCまたはNiacinamideとして入手可能である。ナイアシンアミドはニコチンアミドまたはピリジン−3−カルボキサミドとも呼ばれ、ナイアシン(ビタミンB)のアミドでもある。
【0016】
好ましくは、局所用組成物、例えば、皮膚調整および保湿組成物、皮膚美白組成物、ならびに年齢によるシミ(age spot)の処置、抗老化または再生のための組成物、あるいはシワの予防、減少または処置のための組成物ならびに酸化防止または遊離基捕捉組成物、そして浄化、クレンジング、角質除去または消臭用組成物、抗ニキビまたは抗皮膚斑点(skin blemish)組成物である上記で定義された化粧品または皮膚科学的組成物である。
【0017】
また本発明は、乾燥し、炎症を起こした皮膚を緩和し、皮膚の自然防御能を強化するものを含む皮膚の美化および水和用、美白および年齢によるシミの処置用、あるいは皮膚の老化および/またはシワの予防、減少または処置用、そして細胞再生およびより引き締まった明るい皮膚を刺激するための上記で定義された化粧品または皮膚科学的組成物の使用に関する。ニキビ皮膚の斑点(blemishes of acne skin)を予防するため、皮膚を浄化し、クレンジングし、角質除去し、消臭するため、そして肌色を改善するためにも本組成物を使用することができる。好ましくは、本発明は、保湿剤、抗老化剤、抗ニキビ剤または皮膚美白剤としての本発明による化粧品または皮膚科学的組成物の使用に関する。
【0018】
さらに本発明は、皮膚の美白方法、抗老化の利益を提供する方法、ならびに/あるいはシワの予防、減少または処置の方法、ニキビ皮膚の予防、減少または処置の方法に関し、特に、そのような処置が必要な被験者の皮膚に、上記で定義された化粧品または皮膚科学的組成物の有効量を塗布する工程を含んでなる皮膚の美白方法に関する。さらに、本発明は、そのような処置が必要な被験者の皮膚に、上記で定義された化粧品または皮膚科学的組成物の有効量を塗布する工程を含んでなる、ニキビ肌に関連する肌ジミを予防し、減少する方法に関する。
【0019】
皮膚美白という用語は、人の自然な肌色の解明を含み、例えば、文化的な理由のため、汚れがより薄いことが好まれ、また年齢によるシミ、そばかす(freckle)、できもの(blotch)、黒ずみ(darkening)、むらのある色合い(uneven tone)などの皮膚色素沈着過度および/または色素異常症の最小化、あるいはさらには除去が好まれる。
【0020】
ニキビと関連する皮膚斑点の予防および減少という用語は、白黒のシミ(black and white spots)、炎症性および非炎症性皮膚損傷、脂っぽく、むらのあるように見える肌色の予防および処置を含む。
【0021】
局所的な塗布は、好ましくは、1日あたり少なくとも1回行われるが、1日あたり数回、例えば1日あたり2、3回行われることも可能である。通常、所望の効果が達成されるまで、少なくとも2日かかる。しかしながら、所望の効果が達成されるまで、数週間、またはさらに数か月かかることもある。
【0022】
皮膚に塗布される化粧品または皮膚科学的組成物の量は、組成物中の活性成分の濃度、および所望の化粧効果または製薬効果次第である。例えば、クリームが皮膚に塗布されるような塗布が可能である。クリームは、通常、皮膚1cmあたりクリーム約1〜2mgの量で塗布される。しかしながら、皮膚に塗布される組成物の量は重要ではなく、ある量の組成物を塗布しても所望の効果が達成されない場合、例えば、より多くの組成物を塗布することによって、またはより多くの活性成分を含有する組成物を塗布することによって、より高濃度の活性成分を使用することができる。
【0023】
本発明による化粧品または皮膚科学的組成物は、クリーム、ペースト、ローション、濃厚ローションまたはミルク;軟膏、ジェル、固体のチューブスティックまたはエアゾールムースの形態の多孔状分散系などの溶媒中または脂肪物質中の懸濁液または分散系の形態、あるいはエマルジョンまたはミクロエマルジョン(特に、O/WまたはW/O型、O/W/OまたはW/O/W型、Oは有機相を表し、Wが水相を表す)の形態であってもよく、そしてムース、フォームまたはスプレーフォーム、スプレー、スティックまたはエアゾールまたはワイプの形態で提供することができる。本発明による化粧品または皮膚科学的組成物の例は、スキンケア製剤、特に、ボディローション、ボディクリーム、ボディフォーム、ボディジェル、フェイシャルローション、フェイシャルクリーム、フェイシャルジェル、例えば、目もと用クリーム、抗シワクリーム、日中用ローション、夜用クリーム、トリートメントクリーム、トリートメント溶液、皮膚保護軟膏、日焼け止め、保湿ジェル、保湿クリーム、保湿スプレー、再生ボディスプレー、抗脂肪沈着ジェル/クリーム、抗ニキビ製剤、クレンジングミルク/ジェル、およびピーリング/角質除去製剤である。
【0024】
本発明による化粧品または皮膚科学的組成物のpHは、3〜10の範囲、好ましくは4〜8の範囲、最も好ましくはpH5.5〜7.5の範囲である。
【0025】
化粧品的に許容できる担体という用語は、従来から化粧品組成物で使用されている全ての媒体/担体を指す。
【0026】
スキンケア製剤などの本発明による化粧品または皮膚科学的組成物は、防腐剤/酸化防止剤、脂肪物質/油、水、有機溶剤、シリコーン、増粘剤、軟化剤、乳化剤、光スクリーニング剤、消泡剤、保湿剤、芳香剤、界面活性剤、充填剤、金属封鎖剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性もしくは両性ポリマーまたはそれらの混合物、推進剤、酸性化剤または塩基性化剤、染料、着色剤、顔料またはナノ顔料、活性成分、防腐剤、昆虫駆除剤、あるいは通常化粧品中に配合される他のいずれかの成分などのさらなるアジュバントおよび添加剤を含有することができる。化粧品および皮膚科学的アジュバントおよび添加剤の必要な量を、所望の製品に基づき、当業者は容易に選択することができ、また本書に限定されることなく、実施例で例示される。
【0027】
[光スクリーニング剤]
本発明による化粧品または皮膚科学的組成物中に組み入れることができる追加のスクリーニング剤は、IR、UV−A、UV−B、UV−Cおよび/または広帯域フィルターから都合よく選択される。UV−Bまたは広域スペクトルスクリーニング剤の例、すなわち約290nm〜340nmで最大吸収を有する物質は、有機化合物であっても無機化合物であってもよい。有機UV−Bまたは広帯域スクリーニング剤は、例えば2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン、PARSOL(登録商標)340)、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル;4−メチルベンジリデンカンフル(PARSOL(登録商標)5000)、3−ベンジリデンカンフル、カンフルベンザルコニウムメトスルフェート、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンフル、スルホベンジリデンカンフル、スルホメチルベンジリデンカンフル、テレフタリデンジカンフルスルホン酸などのカンフル誘導体;メトキシ桂皮酸エチルヘキシル(PARSOL(登録商標)MCX)、メトキシ桂皮酸エトキエチル、メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン(PARSOL(登録商標)Hydro)、メトキシ桂皮酸イソアミルなどのケイ皮酸エステル誘導体、ならびにシロキサンに結合した桂皮酸誘導体;p−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、p−アミノ安息香酸N−オキシプロピレン化エチル、p−アミノ安息香酸グリセリルなどのp−アミノ安息香酸誘導体;ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン;4−メトキシベンザルマロン酸ジ−(2−エチルヘキシル)などのベンザルマロン酸のエステル;欧州特許第0895776号明細書に記載の2−(4−エトキシ−アニリノメチレン)プロパンジオン酸ジエチルエステルなどの2−(4−エトキシ−アニリノメチレン)プロパンジオン酸のエステル;PARSOL(登録商標)SLXなどの欧州特許第0358584B1号明細書、同第0538431B1号明細書および欧州特許出願公開0709080A1号明細書に記載のベンズマロネート基を含有する有機シロキサン化合物;ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL);例えば2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸とその塩(PARSOL(登録商標)HS)などのイミダゾール誘導体である。2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸の塩は、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩などのアルカリ塩、アンモニウム塩、モルホリン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などの第一級、第二級および第三級アミンの塩;サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチル、サリチル酸エチルヘキシル(PARSOL(登録商標)EHS,Neo Heliopan OS)、サリチル酸イソオクチルまたはサリチル酸ホモメンチル(ホモサレート(homosalate)、PARSOL(登録商標)HMS,Neo Heliopan HMS)などのサリチル酸エステル誘導体;エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T−150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Uvasorb HEB)などのトリアジン誘導体である。カプセル化されたメトキシ桂皮酸エチルヘキシル(Eusolex UV−pearls)、または例えば欧州特許第1471995号明細書に開示されたUVフィルターが充填されたマイクロカプセルなどのカプセル化されたUVフィルター;無機化合物は、微粒子化TiOなどの顔料である。「微粒子化」という用語は、約5nm〜約200nm、特に約15nm〜約100nmの粒径を指す。TiO粒子は、例えば酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムのような金属酸化物によって、あるいは例えばポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランなどの有機コーティングによってコーティングされてもよい。そのようなコーティングは当該技術で周知である。商業的に入手可能な二酸化チタンは、それに限定されることはないが、例えば、DSM Nutritional Productsで入手可能なPARSOL TXを包含する。
【0028】
広域スペクトルまたはUV Aスクリーニング剤、すなわち約320nm〜400nmの最大吸収を有する物質の例は、有機化合物であっても無機化合物であってもよく、例えば、4−第三級−ブチル−4’−メトキシジベンゾイル−メタン(PARSOL(登録商標)1789)、ジメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体;2,2’−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール(Tinosorb M)などのベンゾトリアゾール誘導体;ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(Tinosorb S)など;2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸)(Neoheliopan AP)などのフェニレン−1,4−ビス−ベンズイミダゾールスルホン酸または塩;欧州特許1046391号明細書に記載の2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸性酸ヘキシルエステル(Uvinul A plus)などのアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン;国際公開第2005080341A1号パンフレットに記載のイオン性UV−Aフィルター;微粒子化ZnOまたはTiOなどの顔料である。「微粒子化」という用語は、約5nm〜約200nm、特に約15nm〜約100nmの粒径を指す。粒子は、例えば酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムのような他の金属酸化物によって、あるいは例えばポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランなどの有機コーティングによってコーティングされてもよい。そのようなコーティングは当該技術で周知である。
【0029】
ジベンゾイルメタン誘導体は、限定的な光安定性を有するため、これらのUV−Aスクリーニング剤を光安定化することは望ましい。したがって、「従来のUV−Aスクリーニング剤」という用語は、例えば、欧州特許第0514491B1号明細書および欧州特許出願公開第0780119A1号明細書に記載の、例えば、3,3−ジフェニルアクリレート誘導体によって安定化されたPARSOL(登録商標)1789などのジベンゾイルメタン誘導体;米国特許第5,605,680号明細書に記載のベンジリデンカンフル誘導体;欧州特許第0358584B1号明細書、同第0538431B1号明細書および欧州特許出願公開第0709080A1号明細書に記載のベンズマロネート基を含有する有機シロキサンも指す。
【0030】
[酸化防止剤]
本発明に基づき、ボディケアおよび家庭用製品に通常配合される全ての既知の酸化防止剤を使用することができる。特に好ましいものは、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)および誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンなどのペプチドおよび誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロチン(例えばα−カロチン、β−カロチン、リコピン)および誘導体、クロロゲン酸および誘導体、リポ酸および誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそのグリコシル−、N−アセチル−、メチル−、エチル−、プロピル−、アミル−、ブチル−およびラウリル−、パルミトイル−、オレイル−、リノレイル−、コレステリル−およびグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)ならびにスルホキシイミン化合物(ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−チオニンスルホキシミンなど)を非常に低い混合可能な量(例えば、pmol bis μmol/kg)で、追加的に、(金属)−キレート剤(α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミック−、フィティニック酸、ラクトフェリンなど)、β−ヒドロキシ酸(クエン酸、乳酸、リンゴ酸など)、フミン酸、没食子酸、没食子抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(γ−リノール酸、リノール酸、オレイン酸など)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(パルミチン酸アスコルビルおよびテトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビル−アセテート、アスコルビルグルコシドなど)、トコフェロールと誘導体(ビタミンE−アセテートなど)、nat.ビタミンE、ビタミンAおよび誘導体の混合物(ビタミン−A−パルミテートおよび−アセテート)、ならびにコニフェリルベンゾエート、ルチン酸および誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トリヒドロキシブチロフェノン、尿素およびその誘導体、マンノースおよび誘導体、亜鉛および誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレンおよび誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベンおよび誘導体(スチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシドなど)、ならびに指定された活性成分の適切な誘導体(塩、エステル、エーテル、砂糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)よりなる群から選択される酸化防止剤である。組成物の総重量の少なくとも0.01重量%の量で1種以上の防腐剤/酸化防止剤が存在してもよい。好ましくは、本発明の組成物の総重量の約0.01重量%〜約10重量%が存在する。最も好ましくは、1種以上の防腐剤/酸化防止剤が約0.1重量%〜約1重量%の量で存在する。
【0031】
[表面活性成分]
典型的に、化粧品または皮膚科学的組成物には、乳化剤、可溶化剤などの表面活性成分も含まれる。乳化剤によって、2種以上の非混合性の成分を均一に混合させることが可能である。さらに、乳化剤は組成物を安定させるように作用する。O/W、W/O、O/W/OまたはW/O/Wエマルジョン/ミクロエマルジョンを形成するために本発明で使用されてもよい乳化剤としては、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポリグリセリル−3−ジイソステアレート、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセリンエステル、ポリグリセリル−6ヘキサリシノレート、ポリグリセリル−4−オレエート、ポリグリセリル−4−オレエート/PEG−8プロピレングリコールココエート、オレアミドDEA、TEAミリステート、TEAステアレート、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ナトリウムココエート、ナトリウムタロウエート、カリウムカストレート、オレイン酸ナトリウムおよびそれらの混合物が挙げられる。さらなる例示的な乳化剤は、リン酸セチル(Amphisol(登録商標)A)、リン酸セチルジエタノールアミン(Amphisol(登録商標)DEA)、リン酸セチルカリウム(Amphisol(登録商標)K)、ナトリウムグリセリルオレエートホスフェート、水素化植物性リン酸グリセリドおよびそれらの混合物などのリン酸エステルおよびその塩である。さらに、1種以上の合成ポリマーが乳化剤として使用されてもよい。例えば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、PEG−22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG−45/ドデシルグリコールコポリマーおよびそれらの混合物。さらなる例示的な乳化剤は、脂肪アルコール、例えば、セテアリルアルコール(Lanette O,Cognis Coopearation)、セチルアルコール(Lanette 16,Cognis Cooperation)、ステアリルアルコール(Lanette 18,Cognis Cooperation)、Laneth−5(Polychol 5,Croda Chemicals)、さらなるスクロースとグルコース誘導体、例えば、スクロースジステアレート(Crodesta F−10,Croda Chemicals)、メチルグルコースイソステアレート(Isolan IS,Degussa Care Chemicals)、さらなるエトキシル化カルボン酸またはポリエチレングリコールエステルとポリエチレングリコールエーテル、例えば、ステアレス−2(Brij 72,Uniqema)、ステアレス−21(Brij 721,Uniqema)、セテアレス−25(Cremophor A25,BASF Cooperation)、PEG−40水素化ヒマシ油(Cremophor RH−40,BASF Cooperation)、PEG−7水素化ヒマシ油(Cremophor WO7,BASF Cooperation)、PEG−30ジポリヒドロキシステアレート(Arlacel P 135,Uniqema)、さらなるグリセリルエステルとポリグリセリルエステル、例えば、ポリグリセリル−3−ジイソステアレート(Hostacerin TGI,Clariant Cooperation)、ポリグリセリル−2ジポリヒドロキシステアレート(Dehymuls PGPH,Cognis Cooperation)、ポリグリセリル−3メチルグルコースジステアレート(Tego Care 450,Degussa Care Chemicals)である。好ましい乳化剤は、リン酸セチル(Amphisol(登録商標)A)、リン酸セチルジエタノールアミン(Amphisol(登録商標)DEA)、リン酸セチルカリウム(Amphisol(登録商標)K)、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー、PEG−20ソルビタンイソステアレート、イソステアリン酸ソルビタンおよびそれらの混合物である。組成物の総重量の少なくとも0.01重量%の総量で1種以上の乳化剤が存在する。好ましくは、本発明の組成物の総重量の約0.01重量%〜約20重量%が使用される。最も好ましくは、約0.1重量%〜約10重量%の乳化剤が使用される。
【0032】
典型的に化粧品または皮膚科学的組成物は、アニオン性、中性、両性またはカチオン性界面活性剤を含有してもよい。例示的なアニオン性界面活性剤としては、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N−アルコキシルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルファ−オレフィンスルホネート、特に、アルカリおよびアルカリ土類塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ならびにアンモニウム−およびトリエタノールアミン−塩が含まれる。アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボキシレートには、1分子あたり、1〜10個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシ単位、好ましくは1〜3個のエチレンオキシ単位が含まれてよい。
【0033】
例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ナトリウムラウロイルサルコニセート、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゾールスルホン酸ナトリウム、トリエタノールアミドデシルベンゾールスルホネートが適切である。
【0034】
適切な両性界面活性剤は、例えば、ココジメチル−スルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインまたはナトリウムコカンホプロピオネートなどのアルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテートまたはプロピオネート、アルキルアンホジアセテートまたはジプロピオネートである。
【0035】
さらに、化粧品または皮膚科学的組成物は、四級化アンモニウム化合物、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリドまたはブロミド(INCI:セトリモニウムクロリドまたはブロミド)、ヒドロキシエチルセチルジモニウムホスフェート(INCI:クオタニウム−44)、Luviquat(登録商標)Mono LS(INCI:ココトリモニウムメトスルフェート)、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、(オクタデシルニトリリオ)トリ−2,1−エタンジイル)トリス−(ヒドロキシ)−ホスフェート(INCI:クオタニウム−52)などの通常のカチオン性界面活性剤を含有してもよい。
【0036】
1種以上のアニオン性、中性、両性またはカチオン性界面活性剤は、組成物の総重量の少なくとも0.01重量%の総量で存在する。好ましくは、本発明の組成物の総重量の約0.01重量%〜約20重量%が使用される。最も好ましくは、約0.1重量%〜約10重量%の1種以上の界面活性剤が使用される。
【0037】
[油および脂肪成分]
鉱油および鉱蝋;カプリニック(caprinic)酸および/またはカプリル酸のトリグリセリド、あるいはヒマシ油のような油;油またはワックスおよび他の天然または合成油、好ましい実施形態で、アルコール、例えば、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリンによる脂肪酸のエステル、あるいは炭酸または脂肪酸による脂肪アルコールのエステル;アルキルベンゾエート;および/またはシリコーン油から、化粧品または皮膚科学的組成物の脂質相を都合よく選択することができる。
【0038】
本発明のエマルジョン、ミクロエマルジョン、オレオゲル、ヒドロディスパージョンまたはリポディスパージョンの油相に加えることができる例示的な脂肪物質は、3〜30個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和、直鎖であるか分枝鎖アルキルカルボン酸と、3〜30個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和、直鎖および/または分枝鎖アルコールとのエステル、ならびに芳香族カルボン酸と、3〜30個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和、直鎖であるか分枝鎖アルコールとのエステルから都合よく選択される。そのようなエステルを、パルミチン酸オクチル、ヤシ油脂肪酸オクチル、イソステアリン酸オクチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸セテアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、2−パルミチン酸オクチルドデシル、ヘプタン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、ステアリン酸トリデシル、トリメリット酸トリデシル、ならびにそのようなエステルの合成、半分合成または天然の混合物、例えば、ホホバ油から都合よく選択することができる。
【0039】
本発明の化粧品または皮膚科学的組成物用に適切な他の脂肪成分としては、レシチンおよび脂肪酸トリグリセリド、すなわち、8〜24個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和、直鎖または分枝鎖カルボン酸のトリグリセロールエステルなどの極性油(脂肪酸トリグリセリドは、好ましくは、合成、半合成、天然の油(例えば、ココグリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナツ油、菜種油、スイートアーモンド油、パーム油、ココナッツ油、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、小麦油、グレープシード油、マカダミアナッツ油など)から選択される);直鎖および/または分枝鎖炭化水素およびワックス、例えば、鉱油、ワセリン(ペトロラタム)などの無極性油;パラフィン、スクアランおよびスクアレン、ポリオレフィン、水素化ポリイソブテンおよびイソヘキサデカン(好ましいポリオレフィンは、ポリデセンである);ジカプリリルエーテルなどのジアルキルエーテル;好ましくはシクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの直鎖または環状シリコーン油;セチルジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)およびそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
本発明の化粧品または皮膚科学的組成物に都合よく加えることができる他の脂肪成分は、イソエイコサン;ネオペンチルグリコールジヘプタノエート;プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;カプリリック/カプリック/ジグリセリルスクシネート;ブチレングリコールカプリレート/カプレート;乳酸C12−13−アルキル;酒石酸ジ−C12−13−アルキル;トリイソステアリン;ジペンタエリスリチルヘキサカプリレート/ヘキサカプレート;プロピレングリコールモノイソステアレート;トリカプリリン;ジメチルイソソルビッドである。特に都合がよいのは、安息香酸C12−15−アルキルとイソステアリン酸2−エチルヘキシルとの混合物、安息香酸C12−15−アルキルとイソノナン酸イソトリデシルとの混合物、ならびに安息香酸C12−15−アルキルとイソステアリン酸2−エチルヘキシルとイソノナン酸イソトリデシルとの混合物の使用である。
【0041】
本発明の組成物の油相は、蜜ロウ、チャイナワックス、バンブルビーワックスおよび他の昆虫のワックス、ならびにシアバターおよびカカオバターなどの天然の植物性または動物性ワックスも含有され得る。
【0042】
[シリコーン油]
適切なシリコーン油は、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、環状シロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、ならびに室温で液体または固体であるアミノ−、脂肪酸−、アルコール−、ポリエーテル−、エポキシ−、フルオロ−、グリコシド−、および/またはアルキル変性シリコーン化合物およびそれらの混合物などである。ジメチコンとポリ−(メチルフェニルシロキサン)の数平均分子量は、好ましくは100〜150000g/モルの範囲である。好ましい環状のシロキサンは、4員〜8員環を含んでなり、例えば、シクロメチコンとして商業的に入手可能である。
【0043】
油成分または脂肪成分は、製品の総重量の約1重量%〜約50重量%の量で存在する。油成分または脂肪成分の好ましい量は、約2重量%〜約25重量%であり、最も好ましくは約3重量%〜約20重量%である。
【0044】
[保湿剤]
水和を維持するか、または皮膚に水分を補給するために、保湿剤を本発明の組成物に加えられてもよい。保護コーティングを提供することによって皮膚から水が蒸発するのを防ぐ保湿剤は、皮膚軟化剤と呼ばれる。さらに、皮膚軟化剤は、皮膚表面に対して軟化するか落ち着かせる効果を提供し、通常、局所的な使用に安全であると思われる。好ましい皮膚軟化剤としては、鉱油、ラノリン、ペトロラタム、カプリック/カプリリックトリグリセルアルデヒド、コレステロール、ジメチコン、シクロメチコンなどのシリコーン、アーモンド油、ホホバ油、アボカド油、ヒマシ油、胡麻油、ヒマワリ油、ココナッツ油およびグレープシード油、カカオバター、オリーブ油、アロエ抽出物、オレイン酸およびステアリン酸などの脂肪酸、セチルおよびヘキサデシル(ENJAY)などの脂肪アルコール、アジピン酸ジイソプロピル、ヒドロキシ安息香酸エステル、C9−15−アルコールの安息香酸エステル、イソノナン酸イソノニル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、そして、安息香酸C12−15−アルキルなどのエーテル、ならびにそれらの混合物が挙げられる。最も好ましい皮膚軟化剤は、ヒドロキシ安息香酸エステル、アロエベラ、安息香酸C12−15−アルキルおよびそれらの混合物である。皮膚軟化剤は、製品の総重量の約1重量%〜約50重量%の量で存在する。皮膚軟化剤の好ましい量は、約2重量%〜約25重量%であり、最も好ましくは約3重量%〜約15重量%である。
【0045】
水分を結合し、それによって皮膚表面で水分を保持する保湿剤は、湿潤剤と呼ばれる。本発明の製品に加えることができる湿潤剤の例は、グリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、乳酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、尿素、リン脂質、コラーゲン、エラスチン、セラミド、レシチン、ソルビトール、PEG−4およびそれらの混合物である。追加的な適切な保湿剤は、可溶性水および/または膨潤性であり、そして/あるいはヒアルロン酸、キトサンおよび/またはフルクトースの豊富な多糖類などの水ゲル化多糖類である。これは、例えば、SOLABIA S.によるFucogel(登録商標)1000(CAS番号178463−23−5)として入手可能である。本発明の製品中、1種以上の湿潤剤が場合により約0.5重量%〜約8重量%、好ましくは約1重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0046】
本発明の製品の水相には、アルコール、特に低級アルコール、好ましくはエタノールおよび/またはイソプロパノール、低ジオールまたはポリオールとそれらのエーテル、好ましくは、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチル−またはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル−または−モノエチル−または−モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル−またはモノエチルエーテル、ならびに類似製品、ポリマー、泡安定剤;電解質および特に1種以上の増粘剤などの通常の化粧品添加剤が含まれ得る。
【0047】
[増粘剤]
製品の粘度を適切にすることを補助するために、本発明の組成物で使用されてもよい増粘剤としては、カルボマー、二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウムおよび/またはケイ酸アルミニウム、脂質増粘剤、例えば、セチルアルコール、パルミチン酸セチル(Cutina CP,Cognis Cooperation)、ミリスチン酸グリセリル(Estol 3650,Uniqema)、微結晶ワックス(A&E Connock)、ミリスチルアルコール(Lanette 14,Cognis Cooperation)、乳酸ミリスチル(Crodamol ML,Croda Chemicals)、蜜蝋(A&E Connock)、ステアリン酸(Lipo Chemicals)、ステアリルアルコール(Lanette 18,Cognis Cooperation)、キサンタンガム(Keltrol,CP Kelco)、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel,Hercules Incorporated)、ヒドロキシエチルセルロース(Tylose H,Clariant Corporation)などの多糖類およびそれらの誘導体、ポリアクリルアミド、自己乳化ポリアクリルアミド、例えば、Salcare SC 91、Salcare SC 96(Ciba Specialty Chemicals)、Sepigel 305(Seppic)、アクリレートクロスポリマー、好ましくは、980、981、1382、2984、5984、ETD 2001、ETD 2050、Ultrez 10、Ultrez 21型のCarbopole(登録商標)(Noveon Inc.)などのカルボマー、単独またはそれらの混合物が挙げられる。増粘剤は、本発明の製品の約0.01重量%〜約8重量%、好ましくは0.05重量%〜約5重量%の量で存在し得る。
【0048】
[中和剤]
例えば乳化剤またはフォームビルダー/安定剤などの成分を中和するために、本発明の組成物に含まれてもよい中和剤の例としては、限定されないが、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ;ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、アミノメチルプロパノールおよびそれらの混合物などの有機塩基;アルギニンおよびリジンなどのアミノ酸、ならびに前述のいずれかの組み合わせが挙げられる。中和剤は、本発明の製品中に約0.01重量%〜約8重量%、好ましくは1重量%〜約5重量%の量で存在し得る。
【0049】
[電解質]
疎水性乳化剤の性質を変更するために、本発明の製品への電解質の添加が必要とされてもよい。したがって、本発明のエマルジョン/ミクロエマルジョンは、好ましくは、限定されないが、塩化物、硫酸、炭酸、ホウ酸およびアルミン酸などのアニオンを含む1種または数種の塩の電解質を含有してもよい。他の適切な電解質は、限定されないが、乳酸、酢酸、安息香酸、プロピオン酸、酒石酸およびクエン酸などの有機アニオンに基づくものであり得る。カチオンとして、好ましくは、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカリ−またはアルカリ土類金属、マグネシウム−、鉄−または亜鉛イオンが選択される。特に好ましい塩は、カリウムおよび塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛ならびにそれらの混合物である。電解質は、本発明の製品中に約0.01重量%〜約8重量%の量で存在し得る。
【0050】
[被膜形成剤]
慣例的な被膜形成剤としては、例えば、キトサン、微結晶キトサン、四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、高い比率のアクリル酸を含有するクオータナリーセルロース誘導体のポリマー、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩、ならびに類似の化合物が挙げられる。
【0051】
[ポリマー]
本発明による製品は、所望の特性を達成するために、追加的な化粧品的および皮膚科学的に許容できるポリマーを含んでもよい。この目的のために、全てのアニオン性、カチオン性、両性、中性ポリマーが使用されてもよい。
【0052】
カチオン性ポリマーの例は、限定されないが、ポリクオタニウム(INCI)、例えば、ビニルピロリドン/N−ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)FC,Luviquat(登録商標)HM,Luviquat(登録商標)MS,Luviquat(登録商標)Ultracare)、N−ビニルピロリドン/硫酸ジエチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat(登録商標)PQ 11、INCI:ポリクオタニウム−11)、N−ビニルカプロラクタム/N−ビニルピロリドン/N−ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)Hold、INCI:ポリクオタニウム−46)、セルロースのカチオン性誘導体(ポリクオタニウム−4および−10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム−7)、キトサン、カチオン性スターチ誘導体(INCI:スターチヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、変性コーンスターチ)、カチオン性グアー誘導体(INCI:ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、カチオン性ヒマワリ種子誘導体(INCI:ヒマワリ種子アミドプロピルヒドロキシエチルジモニウムクロリド)、アクリル酸、アクリルアミドおよびメタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドのコポリマー(INCI:ポリクオタニウム−53)、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−28である。適切なカチオン性四級化ポリマーは、さらに、Merquat(登録商標)(ジメチルジアリルアンモニウムクロリドに基づくポリマー)、Gafquat(登録商標)(ポリビニルピロリドンと四級化アンモニウム化合物とを反応させることによって形成される四級化ポリマー)、Polymer JR(カチオン基を有するヒドロキシエチルセルロース)、およびRhodiaのJaguar(登録商標)グレードとして商業的に入手可能なグアーポリマーなどの植物に基づくカチオン性ポリマーである。
【0053】
中性ポリマーの例は、Luviflex(登録商標)Swing(BASFによるポリ酢酸ビニルとポリエチレングリコールとの部分的に加水分解されたコポリマー)などのポリビニルピロリドン、N−ビニルピロリドンと酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニル、ポリシロキサン、ポリビニルカプロラクタムとのコポリマー、およびN−ビニルピロリドンの他のコポリマー、N−ビニルピロリドンと、C1−C18アルキル鎖を有するアルキルアクリレートまたはマタクリレートモノマーとのコポリマー、Kollicoats(登録商標)lR(BASF)などのポリビニルアルコールとポリアルキレングリコールとのコポリマー、あるいは他のビニルモノマーとポリアルキレングリコール、ポリシロキサン、ポリビニルカプロラクタムとのコポリマー、N−ビニルピロリドン、ポリエチレンイミンとその塩、ポリビニルアミンとその塩、セルロース誘導体、キトサン、ポリアスパラギン酸塩とその誘導体、ポリエチレンイミンとその塩、ポリビニルアミンとその塩によるコポリマーである。
【0054】
適切なポリマーは、例えば、Luviskol(登録商標)Plus(BASF)などのポリビニルカプロラクタムまたはポリビニルピロリドン、ならびに例えば、酢酸ビニル、例えば、Luviskol(登録商標)VA 37(BASF)などのビニルエステルによるコポリマー、例えば、独国特許出願公開第433323号明細書に記載のイタコン酸および脂肪族ジアミンに基づくポリアミドなどの非イオン性、水溶性の水分散性ポリマーまたはオリゴマーでもある。
【0055】
追加的な適切なポリマーは、非イオン性、シロキサン含有、水溶性または分散性ポリマー、例えば、Tegopren(登録商標)(Goldschmidt)またはBelsil(登録商標)(Wacker)などのポリエーテルシロキサンである。
【0056】
[防腐剤]
防腐剤の例としては、メチル−エチル−プロピル−ブチルパラベン、ベンザルコニウムクロリド、2−ブロモ−2−ニトロ−プロパン−1,3−ジオール、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、2−ジクロロベンジルアルコール、DMDMヒダントイン、ホルムアルデヒド溶液、メチルジブロモグルタロニトリル、フェノキシエタノール、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、イミダゾリジニル尿素、トリクロサン、ならびに以下の参考文献:K.F.De Polo−A short textbook of cosmetology,第7章、表7−2,7−3、7−4および7−5、210−219頁に列挙される更なる物質の種類が挙げられる。
【0057】
[活性成分]
本発明の化粧品または皮膚科学的組成物は、追加的な皮膚活性剤の安全かつ有効な量を更に含んでもよい。本発明に含まれる皮膚活性剤は、例えば、皮膚美白剤、日焼け防止剤、色素沈着過度の治療のための薬剤、ニキビの予防または減少のための薬剤、ビタミン、皮膚軟化剤、非ステロイド性抗炎症剤、局所的麻酔薬、消毒剤、抗菌(例えばバクテリア抑制)と抗カビ性活性物質、皮膚緩和剤、皮膚バリア修復剤、抗シワ剤、抗皮膚萎縮活性物質、脂質、植物エキスおよび植物由来活性物質、皮脂抑制剤、皮膚センセーツ(sensate)、プロテアーゼ阻害剤、皮膚引き締め剤、皮膚抗脂肪剤、抗かゆみ剤、毛髪成長抑制剤、剥離酵素促進物質、抗グリケーション剤、キレート剤および金属イオン封鎖剤、乳白剤、遊離基捕捉剤、落屑活性物質、抗ニキビ活性物質、酸化防止剤、ならびにそれらの混合物である。
【0058】
含まれる場合、本化粧品または皮膚科学的組成物は、少なくとも0.001重量%の追加的な皮膚活性成分を含んでなる。一般に、約0.001重量%〜約30重量%、好ましくは約0.001重量%〜約10重量%の量、最も好ましくは0.01〜5重量%の量の追加的な皮膚活性剤が使用される。
【0059】
皮膚活性剤の種類と量は、特定の薬剤の包含が、化粧品または皮膚科学的組成物の安定性に影響を及ぼさないように選択される。
【0060】
有効性の追加的な増加が望ましい場合、追加的な皮膚美白、抗老化または抗ニキビ活性物質を、本発明の化粧品または皮膚科学的組成物に添加することができる。例えば、皮膚美白剤の組み合わせの使用は、それらは異なるメカニズムによって皮膚美白の利点を提供するかもしれないという点から都合が良いであろう。好ましくは、皮膚美白剤は、ビス−パントイル−シスタミン、アルブチンおよびアルファ−アルブチン、デオキシアルブチン、ウンデシレノイルフェニルアラニン(例えば、Seppicから入手可能なSEPIWHITE MSH)、オクタデセンジオン酸(例えば、Uniquemaから入手可能なARLATONE DIOIC DCA)、メマツヨイグサ(oenothera biennis)種子抽出物およびプリルス マルス(pyrus malus)(リンゴ)果物抽出物、Melfade(Pentapharmから入手可能)、MELAWHITE(Pentapharmから入手可能)、Melanostatine DM(Laboratories Seporgaから入手可能)、FADEOUT(Pentapharmから入手可能)、GATULINE WHITENING(Gattefosseから入手可能)、コウジ酸、ジパルミチン酸コジック、乳酸、アゼライン酸、没食子酸およびその誘導体、ヒドロキノン、クワ抽出物、レモン抽出物、マラッカノキ(phyllanthus emblica)果物抽出物(Emblica(商標)として入手可能)、白血球抽出物、クマコケモモ抽出物、カンゾウ抽出物、ならびにそれらの混合物から選択される。本発明の組成物中に存在してもよい追加的な他の皮膚美白剤の例は、特に、国際公開第2004/062635号パンフレット、国際公開2004/037213号パンフレットおよび独国特許第10238449号明細書に開示されるものである。
【0061】
本発明による化粧品または皮膚科学的組成物中で使用されてもよい好ましい追加的な皮膚美白剤は、
約0.05重量%〜約5重量%の量で本発明の組成物中に存在してよいコウジ酸またはその誘導体、
約0.05重量%〜約5重量%の量で本発明の組成物中に存在してよいアルブチンまたはその誘導体、
約0.05重量%〜約2重量%の量で本発明の組成物中に存在してよいヒドロキノンまたはその誘導体、
0.05重量%〜約3重量%の量で本発明の組成物に存在してよいマラッカノキ(Phyllanthus Emblica)果物抽出物(商品名Emblica(登録商標))、
0.05重量%〜約3重量%の量で本発明の組成物に存在してよい白血球抽出物、
0.05重量%〜約3重量%の量で本発明の組成物に存在してよいクマコケモモ抽出物、
0.05重量%〜約3重量%の量で本発明の組成物に存在してよいカンゾウ抽出物、
ならびに0.05重量%〜約3重量%の量で本発明のスキンケア組成物中に存在してよいクワ抽出物である。
【0062】
本発明による化粧品または皮膚科学的組成物中で使用されてよい好ましい追加的な抗ニキビ薬剤は、サリチル酸およびその塩または誘導体、ならびに他のアルファ−およびベータ−ヒドロキシ酸、塩または誘導体、トリクロサン、植物抽出物、グリシリック酸または塩、クリンダマイシン、ベンゾイル過酸化物、レゾルシノールである。
【0063】
活性成分の例は、例えば、グリセロール、尿素、グアニジン(例えば、アミノグアニジン);ビタミンA(例えばレチノール、レチナール、パルミチン酸レチニルまたはプロピオン酸レチニルなどのレチノイド誘導体)、ビタミンE(例えば酢酸トコフェロール)、ビタミンB(例えばパンテノール)、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンK、ビタミンD、補酵素Q10(例えばALL−Q(登録商標)plus)、葉酸など、およびそれらの混合物などのビタミンおよびその誘導体、ワックスベースの合成ペプチド(例えば、パルミチン酸オクチルおよびトリベヘニンおよびイソステアリン酸ソルビタンおよびパルミトイル−オリゴペプチド)、アミノ酸、オリゴペプチドおよび生物活性ペプチド(例えば、Matrixyl(商標)[ペンタペプチド誘導体またはBeauActive MTP)、抗ニキビ薬剤;酸化防止剤(例えば、植物ステロール、リポ酸);フラボノイドまたはポリフェノール(例えば、イソフラボン、植物エストロゲン);アロエベラ抽出物、アラントインなどの皮膚緩和およびヒーリング剤;エッセンシャルオイルまたは芳香族化合物(例えばクローブ油、メントール、カンフル、ユーカリ油とオイゲノール)などの審美的な目的のために適切な薬剤、ヒドロキシ酸、ファルネソール、ビスアボロールなどの抗カビ活性物質、1,2−ペンタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,2−オクタンジオールなどのアルキルジオール、パンテノール、フィトール、フィタントリオール、セラミドおよび疑似セラミド、タンパク質加水分解物、AHA酸、高度不飽和脂肪酸、カイネチンなどの植物抽出物、DNAまたはRNAおよびそれらの断片化生成物または炭水化物、共役脂肪酸、カルニチン、カルノシン、ビオチノネン、フィトフルエン、フィトエンおよびそれらの対応する誘導体、ベータカロチン、リコピンまたはアスタキサンチンなどのカロチノイド誘導体である。
【0064】
本発明に用いられるビタミンE誘導体は、酢酸トコフェリルである。酢酸トコフェリルは、約0.05重量%〜約5重量%の量でスキンケア製品中に存在してよい。興味深いもう1つのビタミンE誘導体は、リノール酸トコフェリルである。リノール酸トコフェリルは、約0.05重量%〜約5重量%の量でスキンケア組成物中に存在してよい。またビタミンEアルコールを、追加的な活性物質として、好ましくは混合されたトコフェロールとして、約0.01重量%〜1.00重量%の量で添加することができる。
【0065】
本発明に用いられるB複合体からのビタミンの例は、ビタミンBである。ビタミンBは、約0.01重量%〜約1.00重量%の量でスキンケア製品中に存在してよい。
【0066】
パンテノールは、約0.05重量%〜約5.00重量%の量でスキンケア製品中に存在してよい。フィタントリオールは、約0.01重量%〜約5.0重量%の量でスキンケア製品中に存在してよい。ビスアボロールは、約0.05重量%〜約5.00重量%の量でスキンケア製品中に存在してよい。
【0067】
局所的な化粧品および製薬組成物の種類、ならびに局所的な化粧品および皮膚科学的製剤の製剤に関して、そしてさらなる適切な添加剤に関して、関連文献、例えば、Novak G.A.,Die kosmetischen Praeparate−Band 2,Die kosmetischen Praeparate−Rezeptur,Rohstoffe,wissenschaftliche Grundlagen(Verlag fur Chem.Industrie H.Ziolkowski KG,Augsburg)を参照することができる。
【0068】
もう1つの実施形態において、本発明は、約3重量%のリン酸アスコルビルを含んでなる上記の定義および優先による化粧品または皮膚科学的組成物に関する。
【0069】
さらなる実施形態において、本発明は、水中でビオチンを可溶性にするためのリン酸アスコルビルおよびナイアシンアミドの使用に関する。さらに本発明は、水、リン酸アスコルビルおよびナイアシンアミドの混合物中でのビオチンの可溶化を含んでなる化粧品または皮膚科学的組成物の製造方法に関する。好ましくは、ビオチンの可溶化のために使用されるリン酸アスコルビルの量およびナイアシンアミドの量は、使用されるビオチンの量より多い。有利には、リン酸アスコルビルの量およびナイアシンアミドの量は、使用されるビオチンの量の少なくとも1.5倍である。好ましくは、ビオチンの可溶化のために使用されるナイアシンアミドの量は、使用されるリン酸アスコルビルの量と等しいか、より多い。特にナイアシンアミド対リン酸アスコルビルの比率は、1:1〜1:100の範囲、好ましくは1:1〜1:50の範囲、特に1:3の比率などの1:1〜1:5の範囲で選択される。
【0070】
もう1つの実施形態で、本発明は、化粧品または皮膚科学的組成物中でのビオチンの結晶化を抑制するため、ナイアシンアミドと組み合わせてのリン酸アスコルビルの使用に関する。好ましくは、化粧品または皮膚科学的組成物中でビオチンの結晶化を抑制するためのリン酸アスコルビルの量およびナイアシンアミドの量は、使用されるビオチンの量より多い。有利には、リン酸アスコルビルの量およびナイアシンアミドの量は、ビオチンの量の少なくとも1.5倍である。好ましくは、ビオチンの結晶化を抑制するために使用されるナイアシンアミドの量は、使用されるリン酸アスコルビルの量と等しいか、より多い。特にナイアシンアミド対リン酸アスコルビルの比率は、1:1〜1:100の範囲、好ましくは1:1〜1:50の範囲、特に1:3の比率などの1:1〜1:5の範囲で選択される。
【0071】
さらなる実施形態において、本発明は、水中でビオチンを可溶性にするためのリン酸アスコルビルまたはナイアシンアミド、特にリン酸アスコルビルの使用に関する。これによって、化粧品または皮膚科学的組成物中へのより多くのビオチンの取り込みが可能となる。さらに本発明は、化粧品または皮膚科学的組成物中でのビオチンの結晶化を抑制するためのリン酸アスコルビルまたはナイアシンアミド、特にリン酸アスコルビルの使用に関する。それぞれ結晶化の抑制のため、可溶化の目的のための好ましいリン酸アスコルビルは、リン酸アスコルビルナトリウムまたはリン酸アスコルビルナトリウムマグネシウムまたはリン酸アスコルビルナトリウムカルシウムまたはそれらの混合物、特にL−アスコルビル−2−モノリン酸3ナトリウム2水和物である。水中でのビオチンの可溶化のために使用されるリン酸アスコルビルまたはナイアシンアミドの量は、少なくとも0.1重量%である。好ましくは、リン酸アスコルビルまたはナイアシンアミドの量は、0.1〜30重量%の範囲、特に0.5〜10重量%の範囲で選択される。化粧品または皮膚科学的組成物中でビオチンの結晶化を抑制するために使用されるリン酸アスコルビルまたはナイアシンアミドの量は、組成物の総重量に基づき少なくとも0.1重量%である。好ましくはリン酸アスコルビルの量は、組成物の総重量に基づき0.1〜5重量%の範囲で、好ましくは0.3〜3重量%の範囲で、最も好ましくは0.3〜1%の範囲で選択される。好ましくはナイアシンアミドの量は、組成物の総重量に基づき0.5〜10重量%の範囲で、好ましくは1〜10重量%の範囲で、最も好ましくは1〜5重量%の範囲で選択される。
【0072】
限定されることはないが、本発明を実施例によってさらに説明する。
【0073】
[実施例1:ビオチンの可溶性]
種々の濃度の水性ナイアシンアミド(Niacinamide PC,DSM Nutritional Products)/ナトリウムリン酸アスコルビル((STAY−C(登録商標)50,DSM Nutritional Products)溶液中でビオチンの溶解度を評価した。参照として水中のビオチンの溶解度を評価した。
【0074】
10mlのガラス瓶に5gの水を添加した後、表1に示される比率および重量%が得られるようにSTAY−C(登録商標)50およびNiacinamide PCを添加した。STAY−C(登録商標)50およびNiacinamide PCが完全に溶解するまで、混合物を室温で磁気撹拌器中にて攪拌した。次いで、溶液が混濁するまで、ビオチンを混合物に約1mgずつ添加した。この実験を2回繰り返した。
【0075】
混濁が起こる前に添加されたビオチンの量の合計がビオチンの溶解度となる。結果は以下の通り計算された。
【数1】

【0076】
【表1】

【0077】
表1に示される結果から分かるように、STAY−C(登録商標)50およびNiacinamide PCの添加によって、ビオチンの溶解度を著しく高めることができる。
【0078】
[実施例2:夜用の抗老化保湿シミクリーム(W/O)]
【0079】
【表2】

【0080】
[実施例3:抗シワクリーム]
【0081】
【表3】

【0082】
[実施例4:抗老化クリーム]
【0083】
【表4】

【0084】
[実施例5:再生クリーム]
【0085】
【表5】

【0086】
[実施例6:皮膚美白クリーム]
【0087】
【表6】

【0088】
[実施例7:抗ニキビジェル]
【0089】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.1〜5重量%のリン酸アスコルビルと、
(b)0.5〜10重量%のナイアシンアミドと、
(c)0.005〜3重量%のビオチンまたはその塩と、
(d)化粧品的に許容できる担体と
を含んでなる化粧品または皮膚科学的組成物。
【請求項2】
局所用組成物である請求項1に記載の化粧品または皮膚科学的組成物。
【請求項3】
20〜99重量%の水をさらに含んでなる請求項1または2に記載の化粧品または皮膚科学的組成物。
【請求項4】
ビオチンまたはその塩の量が0.01〜1重量%の範囲である請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ビオチンまたはその塩がD−(+)−ビオチンまたはその塩である請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記リン酸アスコルビルが、リン酸アスコルビルナトリウムまたはリン酸アスコルビルナトリウムマグネシウムまたはリン酸アスコルビルナトリウムカルシウムまたはそれらの混合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記リン酸アスコルビルがL−アスコルビル−2−モノリン酸3ナトリウムである請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記リン酸アスコルビルの量およびナイアシンアミドの量が、ビオチンまたはその塩の量の少なくとも1.5倍である請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
保湿、抗老化、抗ニキビまたは皮膚美白剤としての請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
化粧品または皮膚科学的組成物中でのビオチンの結晶化を抑制するためのリン酸アスコルビルおよびナイアシンアミドの使用。
【請求項11】
前記リン酸アスコルビルの量およびナイアシンアミドの量が、ビオチンの量の少なくとも1.5倍である請求項10に記載の使用。
【請求項12】
水、リン酸アスコルビルおよびナイアシンアミドの混合物中でのビオチンの可溶化を含んでなる、化粧品または皮膚科学的組成物の製造方法。

【公表番号】特表2010−520897(P2010−520897A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553034(P2009−553034)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001568
【国際公開番号】WO2008/110268
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】