説明

化粧料

【課題】本来セラミドの持つ細胞間脂質としての皮膚バリア機能や毛髪保護効果を十分に発現させることができ、良好な感触が得られる化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明の化粧料は、式(1)で示される分子量150〜2000のグリセリン化合物を含み、特に、皮膚保護用化粧料に有用である。
【化1】


(R1:一価又は二価の有機基、t:1又は2。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な感触を有し、皮膚や毛髪を、刺激物質から保護するバリア機能に優れた特定のグリセリン化合物を含む化粧料、特に皮膚保護用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
冬季の乾燥や、過剰な皮膚洗浄、加齢等により皮膚バリア機能が低下し、肌荒れが発生する。この状態では、皮膚において、皮脂、細胞間脂質、天然保湿因子の減少が観測される。そこで、従来、高い刺激抑制効果を保つ化粧料や医薬品等の外用剤が開発されており、毛髪の保護にも応用されてきた。
これら化粧料用の外用剤の中で、例えばセラミドを用いた化粧料に、細胞間脂質の刺激緩和効果が確認され、幅広く化粧料等の皮膚外用剤に配合することが検討されてきた。しかし、セラミド類は、一般に融点が高い、結晶性が高い、他の化合物との相溶性が低い等の特徴から外用剤への配合の方法に大きな制約があり、刺激抑制を目的とする化粧料に自由に使用できない難点があった。
【0003】
この問題を解決する為に、種々のセラミド類似化合物が開発されている。例えば、特許文献1には、同一分子内にセラミド誘導体を2分子有するスフィンゴ脂質誘導体が提案されている。また、特許文献2および3には、セラミドに類似した新しい化合物も提案されている。特許文献4には、表皮を再構築するセラミドの誘導体が提案されている。特許文献5には、刺激防止効果を有するグリセリンおよびその派生物が提案されている。
特許文献6には、グリセロール基を有する化合物が提案されているが、皮膚バリア機能の向上および使用時の感触の向上効果は十分とは言えない。特許文献7〜9にもグリセロール基を含む化合物が提案されているが、皮膚への刺激を防止しうるバリア機能が十分とは言えない。この為、セラミドを用いることなくセラミドと同様に皮膚への刺激を防止しうる優れたバリア機能を有する化粧料の開発が強く求められている。
【特許文献1】特開2004−244388号公報
【特許文献2】特開2001−316384号公報
【特許文献3】特開平9−241144号公報
【特許文献4】特開2007−246538号公報
【特許文献5】特表2008−501685号公報
【特許文献6】特開平9−124680号公報
【特許文献7】特表平8−506822号公報
【特許文献8】特開平10−67637号公報
【特許文献9】特表平11−511728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、本来セラミドの持つ細胞間脂質としての皮膚バリア機能や毛髪保護効果を十分に発現させることができ、良好な感触が得られ、特に、皮膚保護剤として有用な化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、分子構造中にグリセロール基とウレタン結合を両方あわせ持つ、分子量150〜2000のグリセリン化合物が、驚くべきことにセラミドに類似した刺激防止効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、式(1)で示される分子量150〜2000のグリセリン化合物を含む化粧料が提供される。
【化3】

(式中、R1は一価又は二価の有機基を示し、tは1又は2を示す。)
【発明の効果】
【0006】
本発明の化粧料は、前記特定のグリセリン化合物を含むことにより、本来はセラミドの持つ特徴である細胞間脂質としての皮膚バリア機能や毛髪保護効果を十分に発現させることができ、しかも良好な感触が得られる。本発明の化粧料は、保護効果の中でも特にバリア機能、刺激防止機能に優れ、刺激物質から皮膚を保護し、また、毛髪化粧料や洗浄料とした場合には、刺激物質より毛髪を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の化粧料は、上記式(1)で示される特定のグリセリン化合物を含む。該化合物は、分子内に有する水酸基と、ウレタン結合部位の相互作用により、分子間で緩やかな結合を形成し、そのため化粧料に配合したとき、皮膚上に配向してラメラ様の独自の構造を形成する。このため、該化合物は、化粧料の皮膚上のすべり、滑らかさを向上させ、さらに緊密な分子パッキングにより刺激成分による刺激を緩和することができる。
【0008】
前記式(1)において、R1は有機基を示し、tは1又は2を示す。
1の一価又は二価の有機基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、アリール基、アリーレン基、オキシアルキレン基が挙げられ、具体的には、式(2)〜(9)で示される基が挙げられる。
【0009】
【化4】

【0010】
【化5】

【0011】
式(2)及び(3)中、R2及びR3は同一もしくは異なる基であって、水素原子、もしくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。該炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第三ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基が挙げられる。R2及びR3は、皮膚バリア機能向上の観点から、好ましくは水素原子またはメチル基である。
式(2)及び(3)において、m及びnはそれぞれ独立に0〜30の整数を示し、30≧m+n≧1である。m及びnは、皮膚バリア機能向上の観点から、mは0〜5、nは5〜15であるのが好ましい。
【0012】
式(7)において、R4は炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基または環状炭化水素基を示し、具体的には、炭素数1〜18の直鎖の飽和炭化水素基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基が挙げられ、炭素数1〜18の分岐鎖の飽和炭化水素基として、例えば、イソプロピル基、第三ブチル基、イソアミル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基が挙げられ、炭素数1〜18の環状炭化水素基として、例えば、ベンジル基、ブチルフェニル基、ノニルフェニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。これらのうち、合成の簡便さの観点から、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましい。
【0013】
式(8)において、p及びqはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。入手性の観点からpは2、qは0または1であるのが好ましい。
【0014】
式(1)で示されるグリセリン化合物は、グリセロール基とウレタン結合部位とを極めて近位に配した特有の分子構造を分子内に含み、且つ分子量を制御することで、親水性を有しながら水溶液中で分子配向しやすく肌への親和性が良好となり、上記機能を発現することができる。この化合物の分子量は、150〜2000である。分子量が150より小さい場合は合成が困難であり、2000より大きい場合は他の化粧用材料への溶解性が悪く化粧料への配合が困難である。また皮膚への浸透性が低いため皮膚バリア機能を十分に発現させることができない。
式(1)で表されるグリセリン化合物のうち、最も好ましいものは皮膚バリア機能向上の観点から、R1が前記式(2)または(3)で示される基であるグリセリン化合物である。このグリセリン化合物は、例えば特開昭62−275776号公報記載の方法で製造することができる。
【0015】
式(1)で表されるグリセリン化合物は、例えば、式(10)で表される環状ケタールと、式(11)で表されるイソシアナートとをウレタン化反応させて得られる化合物を、ウレタン化反応用触媒の存在下に水含有溶媒中で加水開環反応させる方法により製造することができる。
【化6】

【0016】
式(10)中、R5及びR6は同一であっても異なっても良く、水素原子、メチル基またはエチル基を表す。また式(11)中、R7は水素原子またはNCO基を、Xはアルキレン基、芳香環、脂肪族環を表す。
【0017】
本発明の化粧料において、前記式(1)で表されるグリセリン化合物の含有割合は、皮膚の刺激を防止する効果を高め、例えば、皮膚保護用化粧料等とする理由から、化粧料全体に対して、好ましくは0.001〜30質量%、さらに好ましくは0.01〜10質量%、最も好ましくは0.05〜5質量%である。0.001質量%未満では、所望の効果が不十分となるおそれがあり、30質量%より多いと溶解性の点から化粧料への配合が困難な場合がある。
【0018】
本発明の化粧料には、前記グリセリン化合物の他に他の化粧用材料を含有させることができる。他の化粧用材料としては、公知の化粧料材料を広く用いることができ、例えば、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等の水酸基含有低分子化合物;コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性ポリマー;アニオン性、カチオン性、両性イオン性等の界面活性剤;ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質、シリコーン油、油脂類、炭化水素類、高級脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体類、フッ素系油剤類、高重合度のジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性シリコーン、炭化水素ワックス、ラノリン誘導体が挙げられる。
これらの他の化粧用材料の含有割合は、その目的等に応じて、公知の配合割合に準じて適宜決定することができる。
【0019】
本発明の化粧料は、例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液等の基礎化粧料;ファンデーション、アイカラー、チークカラー、リップカラー等のメイクアップ化粧料;ヘアトニック、ヘアクリーム、リンス等の毛髪用化粧料;シャンプー、石鹸等の洗浄料;ネイルカラー等の美爪化粧料として使用することができる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を合成例、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
合成例1
イソプロピリデングリセロール5.0gおよびオクタデシルイソシアネート11.2gをトルエンに溶解させ、トリエチレンアミン0.19gを加え50℃、5時間ウレタン化反応させた。反応後、トルエンを減圧留去して得られた固体を、クロロホルム/メタノール=5/1質量比の混合溶液150gに溶解した後、1規定の塩酸水溶液6gを添加し、40℃、5時間加水開環反応させた。その後、中和、水洗を行い、アセトンで洗浄後、50℃、24時間脱溶媒することで、式(1a)で示されるグリセリル−1−オクタデシルウレタン(以下、グリセリン化合物(1a)という)7.3g(収率50%)を得た。元素分析結果を以下に示す。
元素分析 : C22H45NO4
計算値 C 68.22 ; H 11.63 ; N 3.62
実測値 C 68.10 ; H 11.54 ; N 3.71
【化7】

【0021】
合成例2
イソプロピリデングリセロール5.0gおよびシクロヘキシルイソシアネート4.7gをトルエンに溶解させ、トリエチレンアミン0.19gを加え、50℃、5時間ウレタン化反応させた。反応後、トルエンを減圧留去して得られた固体を、クロロホルム/メタノール=5/1質量比の混合溶液150gに溶解した後、1規定の塩酸水溶液6gを添加し、40℃、5時間加水開環反応させた。その後、中和、水洗を行い、アセトンで洗浄後、50℃、24時間脱溶媒することで、式(1b)で示されるグリセリル−1−シクロヘキシルウレタン(以下、グリセリン化合物(1b)という)4.4g(収率54%)を得た。元素分析結果を以下に示す。
元素分析 : C10H19NO4
計算値 C 55.30 ; H 8.76 ; N 6.45
実測値 C 55.21 ; H 8.68 ; N 6.51
【化8】

【0022】
合成例3
イソプロピリデングリセロール5.0g、1,6−ヘキサンジイソシアネート6.4gおよびコレステロール14.6gをトルエンに溶解させ、ピリジン0.38gを加え80℃、5時間ウレタン化反応させた。反応後、トルエンを減圧留去して得られた固体を、クロロホルム/メタノール=5/1質量比の混合溶液150gに溶解した後、1規定の塩酸水溶液6gを添加し、40℃、5時間加水開環反応させた。その後、中和、水洗を行い、アセトンで洗浄後、50℃、24時間脱溶媒することで、式(1c)で示される1−グリセリル−6−コレステリルヘキサンジウレタン(以下、グリセリン化合物(1c)という)5.8g(収率24%)を得た。元素分析結果を以下に示す。
元素分析 : C38H66N2O6
計算値 C 70.51 ; H 10.17 ; N 4.41
実測値 C 70.45 ; H 10.11 ; N 4.47
【化9】

【0023】
合成例4
イソプロピリデングリセロール5.0gおよび1,6−ヘキサンジイソシアネート3.2gをトルエンに溶解させ、ピリジン0.38gを加え80℃、5時間ウレタン化反応させた。反応後、トルエンを減圧留去して得られた固体を、クロロホルム/メタノール=5/1質量比の混合溶液150gに溶解した後、1規定の塩酸水溶液6gを添加し、40℃、5時間加水開環反応させた。その後、中和、水洗を行い、アセトンで洗浄後、50℃、24時間脱溶媒することで、式(2a)で示される1,6−ヘキサンジグリセリルウレタン(以下、グリセリン化合物(2a)という)2.8g(収率42%)を得た。元素分析結果を以下に示す。
元素分析 : C14H28N2O8
計算値 C 47.73 ; H 7.95 ; N 7.95
実測値 C 47.51 ; H 7.87 ; N 8.01
【化10】

【0024】
合成例5
イソプロピリデングリセロール5.0gおよび1,12−ドデカンジイソシアネート4.7gをトルエンに溶解させ、ピリジン0.38gを加え80℃、5時間ウレタン化反応させた。反応後、トルエンを減圧留去して得られた固体を、クロロホルム/メタノール=5/1質量比の混合溶液150gに溶解した後、1規定の塩酸水溶液6gを添加し、40℃、5時間加水開環反応させた。その後、中和、水洗を行い、アセトンで洗浄後、50℃、24時間脱溶媒することで、式(2b)で示される1,12−ドデカンジグリセリルウレタン(以下、グリセリン化合物(2b)という)3.0g(収率36%)を得た。元素分析結果を以下に示す。
元素分析 : C20H40N2O8
計算値 C 55.05 ; H 9.17 ; N 6.42
実測値 C 54.98 ; H 9.08 ; N 6.51
【化11】

【0025】
合成例6
イソプロピリデングリセロール5.0gおよび1,4−キシリレンジイソシアネート3.5gをトルエンに溶解させ、ピリジン0.38gを加え80℃、5時間ウレタン化反応させた。反応後、トルエンを減圧留去して得られた固体を、クロロホルム/メタノール=5/1質量比の混合溶液150gに溶解した後、1規定の塩酸水溶液6gを添加し、40℃、5時間加水開環反応させた。その後、中和、水洗を行い、アセトンで洗浄後、50℃、24時間脱溶媒することで、式(2c)で示される1,4−キシリレンジグリセリルウレタン(以下、グリセリン化合物(2c)という)2.2g(収率31%)を得た。元素分析結果を以下に示す。
元素分析 : C16H24N2O8
計算値 C 51.61 ; H 6.45 ; N 7.53
実測値 C 51.48 ; H 6.38 ; N 7.61
【化12】

【0026】
合成例7
イソプロピリデングリセロール5.0gおよび1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート3.6gをトルエンに溶解させ、ピリジン0.38gを加え80℃、5時間ウレタン化反応させた。反応後、トルエンを減圧留去して得られた固体を、クロロホルム/メタノール=5/1質量比の混合溶液150gに溶解した後、1規定の塩酸水溶液6gを添加し、40℃、5時間加水開環反応させた。その後、中和、水洗を行い、アセトンで洗浄後、50℃、24時間脱溶媒することで、式(2d)で示される1,4−シクロヘキシレンジグリセリルウレタン(以下、グリセリン化合物(2d)という)2.0g(収率28%)を得た。元素分析結果を以下に示す。
元素分析 : C16H30N2O8
計算値 C 50.79 ; H 7.94 ; N 7.41
実測値 C 50.69 ; H 7.86 ; N 7.54
【化13】

【0027】
実施例1−1〜1−7、比較例1−1〜1−4(化粧水)
表1の処方に従い、イの各成分を室温下にて溶解した。一方、表1に示すロの各成分を60℃にて均一に溶解し、これをかき混ぜながらイの成分を加え、ローション状化粧水を調製した。得られた化粧水に関して、下記の刺激抑制効果測定試験及び官能試験を実施した。結果を表1に示す。尚、表中のグリセリン化合物(3)は、以下に示す構造の化合物である。
【化14】

【0028】
<刺激抑制効果測定試験>
ICRマウス1群10匹(雄性、体重20〜30g)を用いて、刺激抑制効果の検討を行った。即ち、背部を剃毛し、化粧水0.05mlを塗布し、更にラウリル硫酸ナトリウムの1質量%水溶液0.05mlを24時間クローズドパッチした。この操作を4回繰り返し、最後のパッチ除去後72時間に皮膚の鱗屑、紅斑、コンダクタンスについて測定した。
鱗屑は、非常に強いを2点、明らかを1点、微弱を0.5点として評点をつけ、平均を結果とした。紅斑は、紅斑+浮腫が生じたものを2点、明らかな紅斑が生じたものを1点、わずかな紅斑が生じたものを0.5点として評点をつけ、平均を結果とした。コンダクタンス(μΩ-1)は、コルネオメーターによって測定した。
<官能試験>
21〜55歳の女性10人を対象として、化粧水を前腕内側部に適量塗布し、のび、滑り、肌への馴染みについて、下記基準により4段階評価し、その平均値で判定した。
評価点;比較例1−4を基準の2点とし、以下のように評点をつけた。4点:比較例1−4と比べ非常に良い、3点:比較例1−4と比べやや良い、2点:比較例1−4と同等、1点:比較例1−4と比べ劣る。
判定記号;平均点3.5点以上:◎、平均点2.5点以上3.5点未満:○、平均点1.5点以上2.5点未満:△、平均点1.5点未満:×。
なお、比較例1−4は基準として用い、便宜上2点と定めたため、平均点も2点であり、判定記号△とした。
【0029】
【表1】

【0030】
実施例2−1〜2−7、比較例2−1〜2−4(乳液)
表2の処方に従い、イの各成分を75℃にて均一に溶解した。またロの各成分を同様に75℃にて均一に溶解し、イを徐々に加えて予備乳化した。次に、75℃に温度を保ちながらホモミキサーにて均一に乳化した。これをかき混ぜながら冷却し、乳液を調製した。得られた乳液に関して、比較例2−4を基準とし、実施例1−1〜1−7と同様に官能試験及び刺激抑制効果測定試験を実施した。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
実施例3−1〜3−7、比較例3−1〜3−4(O/W型クリーム)
表3の処方に従い、イの各成分を75℃にて均一に溶解した。またロの各成分を同様に75℃にて均一に溶解し、イを徐々に加えて予備乳化した。次に、75℃に温度を保ちながらホモミキサーにて均一に乳化した。これをかき混ぜながら冷却し、O/W型クリームを調製した。得られたクリームに関して、比較例3−4を基準とし、実施例1−1〜1−7と同様に官能試験及び刺激抑制効果測定試験を実施した。結果を表3に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
実施例4−1〜4−7、比較例4−1〜4−3(シャンプー)
表4の処方に従い、シャンプーを調製した。得られたシャンプーに関して、25〜35歳の男女10人を対象として、使用時の指通り性、乾燥した時の櫛通り性、髪のまとまり感について官能試験を行った。官能試験の評価基準及び判定は、比較例4−4を基準とし、実施例1−1〜1−7と同様とした。結果を表4に示す。
【0035】
【表4】

1)塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース商品名「ポリマー−JR−30M」(UCC社製)
【0036】
実施例5−1〜5−7、比較例5−1〜5−4(リンス)
表5の処方に従い、リンスを調製した。得られたリンスに関して、比較例5−4を基準とし、実施例4−1〜4−7と同様に官能試験を実施した。結果を表5に示す。
【0037】
【表5】

1)商品名「セロサイズQP−4400H」(UCC社製)
2)塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース商品名「ポリマー−JR−30M」(UCC社製)
【0038】
表1〜表3より、本発明の化粧料は、比較例に示したグリセリン化合物の代わりにセラミド、グリセリンを用いた化粧料、分子量が2000より大きいグリセリン化合物(3)を用いた化粧料及びグリセリン化合物を含まない化粧料と比較して、鱗屑、紅斑が減少し、コンダクタンスが上昇することがわかり、刺激抑制効果に優れていることがわかった。また、のび、滑り、肌への馴染みのいずれの評価項目においても優れていることがわかった。
表4及び表5の毛髪用化粧料においても上記と同様な傾向が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で示される分子量150〜2000のグリセリン化合物を含む化粧料。
【化1】

(式中、R1は一価又は二価の有機基を示し、tは1又は2を示す。)
【請求項2】
式(1)においてtが1のとき、R1が式(2)で示される基であり、tが2のとき、R1が式(3)で示される基である請求項1記載の化粧料。
【化2】

(式(2)及び(3)中、R2及びR3は同一もしくは異なる基であって、水素原子、もしくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。m及びnはそれぞれ独立に0〜30の整数を示し、30≧m+n≧1である。)
【請求項3】
式(1)で示されるグリセリン化合物の含有割合が、化粧料全体に対して0.001〜30質量%である請求項1又は2記載の化粧料。
【請求項4】
皮膚保護用化粧料である請求項3記載の化粧料。

【公開番号】特開2010−30912(P2010−30912A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192140(P2008−192140)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】