説明

医用画像診断装置、医用画像表示装置及びプログラム

【課題】医用画像の計測対象部位のサイズを直感的に把握することが可能な医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】超音波診断装置1は、被検体内の形態を反映するエコー信号を検出し、このエコー信号に基づいて医用画像の画像データを生成する装置であり、胎児の発育状態の計測に用いられる。超音波診断装置1は、この医用画像の画像データに基づく医用画像Gを表示する表示部81と、この医用画像(関心領域)Gのサイズを計測する計測処理部61と、この医用画像Gに対応する体内部位のサイズ(BPD等)の標準値(平均値や許容範囲)を含む標準値情報72をあらかじめ記憶した記憶部7とを備えている。超音波診断装置1は、この標準値情報72に含まれる平均値や許容範囲(最小値、最大値)に対応する表示画面81Aにおけるサイズを示す標準サイズ画像αSTを医用画像Gとともに表示部81に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医用画像診断装置、医用画像表示装置及びプログラムに関し、特に、被検体内の部位のサイズを計測する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医用画像に基づいて被検体内の部位のサイズを計測する技術が従来から広く利用されている。その計測対象部位としては、胎児、腫瘍、心臓などがある(たとえば特許文献1、2、3参照)。また、その計測内容(サイズ)としては、距離(長さ)、所定領域の面積・体積などがある(たとえば特許文献4参照)。
【0003】
医用画像に基づく体内部位の計測は、胎児の発育状態や腫瘍の成長状態など、体内部位のサイズの経時的な変化(トレンド)を観察するために用いられている。
【0004】
たとえば胎児の発育状態の観察においては、通常、非侵襲性を有する超音波診断装置を用いて胎児の画像を取得し、その表示画像における特定部位(たとえば児頭大横径;BPD(biparietal diameter))を計測する。検者は、この計測値と標準値とを比較することにより、その胎児の発育状態を把握していた。
【0005】
なお、胎児の発育状態の基準となる標準値は、多数の臨床データから統計的に求められ、一般に、胎児の画像が表示される画面上に数値(平均値、標準偏差、許容範囲等)として表示されるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−231035号公報
【特許文献2】特開2005−118510号公報
【特許文献3】特開2006−223558号公報
【特許文献4】特開2006−187484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のように標準値を数値で表示させる場合、計測対象部位のサイズを直感的に把握することが困難になるという問題が生じる。
【0008】
すなわち、標準値が数値で表示される場合、検者は、標準値に対する計測値の大小や、標準値からの差の程度などを、表示された計測値の数値と標準値の数値とを比較して判断しなければならなかった。そのため、計測対象部位のサイズを直感的に把握することができず、計測作業の効率を妨げるなどの問題が生じていた。
【0009】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、医用画像に基づく計測において、計測対象部位のサイズを直感的に把握することが可能な医用画像診断装置、医用画像表示装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被検体内の形態を反映するデータを検出し、該検出されたデータに基づいて医用画像の画像データを生成する画像データ生成手段と、該生成された画像データに基づく医用画像を表示する表示手段と、該表示された医用画像における関心領域のサイズを計測する計測手段と、前記関心領域に対応する体内部位のサイズの標準値をあらかじめ記憶した記憶手段と、該記憶された標準値に対応する前記表示手段の表示画面におけるサイズを示す標準サイズ画像を、前記医用画像とともに前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする医用画像診断装置である。
【0011】
また、請求項9に記載の発明は、医用画像を表示する表示手段と、該表示された医用画像における関心領域のサイズを計測する計測手段と、前記関心領域に対応する体内部位のサイズの標準値をあらかじめ記憶した記憶手段と、該記憶された標準値に対応する前記表示手段の表示画面におけるサイズを示す標準サイズ画像を、前記医用画像とともに前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする医用画像表示装置である。
【0012】
また、請求項10に記載の発明は、医用画像を表示する表示手段と、前記医用画像における関心領域に対応する体内部位のサイズの標準値をあらかじめ記憶した記憶手段とを備えるコンピュータを、前記表示手段に表示された医用画像における関心領域のサイズを計測する計測手段として機能させるとともに、前記記憶手段に記憶された標準値に対応する前記表示手段の表示画面におけるサイズを示す標準サイズ画像を、前記医用画像とともに前記表示手段に表示させる制御手段として機能させる、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、表示手段に表示された医用画像における関心領域のサイズを計測するとともに、関心領域に対応する体内部位のサイズの標準値に対応する表示手段の表示画面におけるサイズを示す標準サイズ画像を医用画像とともに表示手段に表示することができるので、検者は、医用画像とともに表示される標準サイズ画像を参照することにより、関心領域に対応する体内部位、すなわち計測対象部位のサイズと標準的なサイズとを目視で比較することができる。したがって、検者は、計測対象部位のサイズを直感的に把握することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明に係る医用画像診断装置、医用画像表示装置及びプログラムの好適な実施の形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の全体構成の一例を表している。超音波診断装置は、一般に、被検体内の形態を反映するデータ(エコー信号)を検出し、この検出データに基づいて医用画像の画像データを形成して表示する装置である。この実施形態では、被検体内の形態として、母体内の胎児の形態を表す画像を取得する場合について説明する。
【0016】
この実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、信号処理部4、画像処理部5、演算処理部6、記憶部7、ユーザインターフェイス8及び制御部9を含んで構成される。以下、超音波診断装置1を構成する各部の一具体例を説明する。
【0017】
[記憶部]
まず、記憶部7について説明する。記憶部7は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)やハードディスクドライブなどの任意の記憶装置によって構成される。
【0018】
記憶部7には、この発明に特徴的な動作を超音波診断装置1に実行させるためのプログラム71があらかじめ記憶されている。プログラム71は、この発明の「プログラム」の一例に相当するものである。
【0019】
また、記憶部7には、標準値情報72があらかじめ記憶されている。標準値情報72は、体内部位のサイズの標準値を表す情報である。この実施形態における標準値情報72は、母体内の胎児の標準的なサイズを示す情報である。標準値情報72は、複数の臨床データに基づいてあらかじめ算出することができる。
【0020】
このサイズとしては、たとえば、BPD(児頭大横径)、AC(abdominal circumference;体幹周囲長)、APTD(antero−postero trunk diameter;体幹前後径)、CC(chest circumference;胸囲長)、CRL(crownrump length;頭殿長)、TTD(transverse trunk diameter;体幹横径)、EFW(estimated fetal weight;推定児体重)などがある。また、これらの他にも、胎児の所定部位(頭部や胸部や腹部等)の体積や、所定の断面位置における断面積などの任意のサイズに関する標準値情報72を使用することができる。
【0021】
また、標準値情報72は、胎児の標準的なサイズの経時的変化を示す情報(経時的変化情報)を含んでいる。この経時的変化情報は、たとえば、胎児の週数に応じたBPDの変化を示す情報(すなわち、各週数毎のBPDの標準的な値を記載したリスト情報や、週数を横軸に取り、BPDの標準的な値を縦軸に取ったグラフ情報等)などにより構成されている。
【0022】
なお、経時的変化情報における時間の単位は、「週」に限定されるものではなく、任意の時間間隔であってよい。この時間の単位は、一般に、観察対象となる体内部位のサイズの変化の速さに応じて決定される。たとえば心臓を観察する場合には、心臓の運動の様々なフェーズ(心電図等により求めることができる)を把握できるように短時間に設定される。
【0023】
また、標準値情報72には、BPD等の複数の臨床データに基づく平均値や許容範囲などの情報が含まれている。平均値は、複数の臨床データの平均を算出することにより求めることができる。また、許容範囲は、複数の臨床データから統計的に得られる平均値と標準偏差とに基づく所定の信頼区間(95%信頼区間や99%信頼区間等)として求めることができる。なお、経時的変化情報については、胎児の各週数について、平均値や許容範囲を求めることになる。
【0024】
このような標準値情報72をあらかじめ記憶する記憶部7は、この発明の「記憶手段」の一例に相当するものである。
【0025】
また、記憶部7には、超音波画像の画像データや、この画像データに付帯される付帯情報(DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)付帯情報)などの各種のデータが適宜に記憶される。
【0026】
[ユーザインターフェイス]
ユーザインターフェイス8には、表示部81と操作部82が設けられている。表示部81は、この発明の「表示手段」の一例として機能するものであり、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の任意の表示デバイスによって構成される。表示部81には、超音波診断装置1により取得された超音波画像(医用画像)等の画像や、その画像のDICOM付帯情報等の情報などが表示される。
【0027】
操作部82は、マウス、トラックボール、ジョイスティック、コントロールパネル、キーボード等の任意の操作デバイスや入力デバイスによって構成される。
【0028】
操作部82は、この発明の「操作手段」の一例として機能するものであり、表示部81に表示された超音波画像(医用画像)における計測位置を指定するために用いられる。計測位置とは、超音波画像中の関心領域(ROI;region of interest)においてサイズの計測を行う位置を意味する。なお、操作部82による計測位置の具体的な指定方法については後述する。
【0029】
この実施形態では、表示手段と操作手段とをそれぞれ別々に構成しているが、たとえばタッチパネル方式のLCDやペンタブレットのように、表示手段と操作手段とを一体的に構成することも可能である。
【0030】
[制御部]
制御部9は、CPU(central Processing unit)等のマイクロプロセッサを含んで構成され、プログラム71に基づいて超音波診断装置1の各部を制御する。特に、制御部9は、表示部81に画像や画面を表示させる処理を行う。また、制御部9は、操作部82からの操作信号に応じて超音波診断装置1を動作させる。制御部9の具体的な処理内容については後述する。制御部9は、この発明の「制御手段」の一例として機能するものである。
【0031】
[超音波プローブ]
超音波プローブ2は、1次元的に配列された複数の超音波振動子を有している(図示は省略する。)。この複数の超音波振動子は、後述の送受信部3によって個別に駆動されて超音波を発信し、その反射波を受信する。
【0032】
図2は、この超音波プローブ2による超音波スキャンの態様を表している。超音波プローブ2は、超音波振動子の配列面から出力させる超音波ビームを走査方向(超音波振動子の配列方向)にスキャンすることにより、放射状(扇形形状)のスキャン面Pを形成する。
【0033】
超音波プローブ2は、この走査方向に直交する方向にスキャン面Pを移動させる機構を備えていてもよい。このような機構を備えることにより、超音波ビームを2次元的に走査することが可能になる。このような超音波スキャンにより、走査方向に直交する方向に配列された複数のスキャン面におけるスタックデータを取得することができる。なお、このような機構を備えていない場合には、検者が手作業でスキャン面Pの位置を移動させてスタックデータを取得することができる。
【0034】
超音波プローブ2は、2次元的に(たとえばマトリックス状(格子状)に複数の超音波振動子が配列された2次元アレイ超音波プローブであってもよい。
【0035】
[送受信部]
送受信部3は、超音波プローブ2に電気信号を供給して超音波を発生させる送信部と、この超音波の反射波を受信した超音波プローブ2から出力されるエコー信号を受信する受信部とを有する(図示は省略する。)。
【0036】
送受信部3内の送信部は、図示しないクロック発生回路、送信遅延回路、及びパルサ回路などを含んで構成される。クロック発生回路は、超音波の送信タイミングや送信周波数を決めるクロック信号を発生する回路である。送信遅延回路は、超音波の送信時に遅延を掛けて送信フォーカスを実施する回路である。パルサ回路は、各超音波振動子に対応した個別経路(チャンネル)に相当する個数のパルサを内蔵し、遅延が掛けられる送信タイミングで駆動パルスを発生して、超音波プローブ2の各超音波振動子に供給するように動作する。
【0037】
また、送受信部3内の受信部は、図示しないプリアンプ回路、A/D変換回路、及び受信遅延・加算回路を含んで構成される。プリアンプ回路は、超音波プローブ2の各超音波振動子から出力されるエコー信号を受信チャンネルごとに増幅する。A/D変換回路は、増幅されたエコー信号をA(アナログ)/D(デジタル)変換する。受信遅延・加算回路は、A/D変換後のエコー信号に対して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算する。この加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。なお、加算処理された信号を「RFデータ(若しくは生データ)」などと称することがある。送受信部3は、取得されたRFデータを信号処理部4に入力する。
【0038】
[信号処理部]
信号処理部4は、送受信部3から入力されたRFデータに基づいて、エコー信号の振幅情報を映像化するための信号処理を行う。信号処理部4により生成されたデータは、制御部9に送られてユーザインターフェイス8の表示部81にて表示されるか、若しくは、画像処理部5に入力される。この信号処理部4は、主として、Bモード処理部41、ドプラ処理部42及びCFM処理部43を含んで構成される。
【0039】
〔Bモード処理部〕
B(Brightness)モード処理部41は、RFデータに基づいてBモード超音波ラスタデータを生成する。より具体的に説明すると、Bモード処理部41は、RFデータに対してバンドパスフィルタ処理を行うとともに、その出力信号の包絡線を検出し、この検出されたデータに対して対数変換による圧縮処理を施す。これにより、信号強度が輝度の明るさで表現されたスキャン面Pにおける断層画像(Bモード画像)の画像データが生成される。
【0040】
〔ドプラ処理部〕
ドプラ(Doppler)処理部42は、たとえばパルスドプラ法(PWドプラ法)や連続波ドプラ法(CWドプラ法)により生体組織における血流情報を生成する。
【0041】
パルスドプラ法では、パルス波を用いることにより、或る特定の深度(超音波プローブ2からの距離)における血流によるドプラ効果に起因する超音波の周波数の変位(ドプラ変位周波数成分)を検出することができる。このように、パルスドプラ法は、良好な距離分解能を有するため、特定部位の組織や血流の深度計測などに好適に用いられる。このパルスドプラ法を適用する場合、ドプラ処理部42は、送受信部3から入力されるRFデータについて、所定の大きさを有する血流観測領域における信号を位相検波することによりドプラ変位周波数成分を抽出し、更にFFT(Fast Fourier Transform)処理を施して、血流観察領域内における血流速度を表すドプラ周波数分布を示すデータを生成する。
【0042】
また、連続波ドプラ法においては、パルスドプラ法と異なり連続波を用いることにより、超音波の送受信方向(図2に示す扇形形状のスキャン面Pにおける径方向)の全ての部位におけるドプラ変位周波数成分が重畳された信号、すなわち超音波の経路上の血流状態を全て反映した信号が得られることになるが、計測速度が優れているというメリットがある。この連続波ドプラ法を適用する場合、ドプラ処理部42は、送受信部3から入力されるRFデータについて、血流観測のサンプルライン上にて受信した信号を位相検波することによりドプラ変位周波数成分を抽出し、更にFFT処理を施してサンプルライン上における血流速度を表すドプラ周波数分布を示すデータを生成する。
【0043】
〔CFM処理部〕
CFM(Color Flow Mapping)処理部43は、生体組織の血流情報をモノクロのBモード画像上にカラーで重ねてリアルタイム表示させるカラーフローマッピング法を実施するときに動作する。表示される血流情報としては、血流の速度、分散、パワー等がある。この血流情報は、2値化情報として得られる。
【0044】
より具体的に説明すると、CFM処理部43は、位相検波回路、MTI(Moving Target Indecation)フィルタ、自己相関器、流速・分散演算器などを含んで構成される。CFM処理部43は、生体組織の形態が反映された形態信号と、血流が反映された血流信号とをハイパスフィルタ処理(MTIフィルタ処理)で分離し、自己相関処理により血流の速度、分散、パワー等の血流情報を複数の位置について求める。また、形態信号を低減するための非線形処理などを実施することもある。
【0045】
[画像処理部]
画像処理部5は、信号処理部4により生成されたデータに基づく各種の画像処理を行う。たとえば、画像処理部5は、DSC(Digital Scan Converter)を有し、信号処理部4により生成された超音波走査に同期したデータを、表示用のデータ(テレビ走査方式のデータ)に変換する処理、すなわちスキャンコンバージョン処理を実行する。
【0046】
また、画像処理部5には、以下に説明するボリュームデータ生成部51とMPR処理部52が設けられている。
【0047】
〔ボリュームデータ生成部〕
ボリュームデータ生成部51は、複数のスキャン面について超音波ビームの走査が行われたときに信号処理部4のBモード処理部41により生成される各スキャン面の画像データ(スタックデータ)に補間処理を施して、ボリュームデータ(ボクセルデータ)を生成する。ボリュームデータ生成部51は、たとえばDSCやマイクロプロセッサ等を含んで構成される。
【0048】
なお、ボリュームデータに基づく擬似的な3次元画像を表示させる場合、画像処理部5は、このボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理やMIP(Maxmum Intensity Projection)処理などを施して表示用の画像データを生成する。制御部9は、この表示用の画像データを表示部81に送信して擬似的な3次元画像を表示させる。
【0049】
〔MPR処理部〕
MPR(MultiPlannar Reconstruction)処理部52は、ボリュームデータ生成部51によって生成されたボリュームデータに基づいて断面変換処理を実行することにより、任意の断面における断層画像(MPR画像)の画像データを生成する。MPR処理部52は、たとえばDSCやマイクロプロセッサ等を含んで構成される。
【0050】
なお、超音波プローブ2、送受信部3、信号処理部4及び画像処理部5は、被検体内の形態を反映するデータ(エコー信号)を検出し、このデータに基づいて医用画像の画像データを生成するように作用するものであり、この発明の「画像データ生成手段」の一例に相当する。
【0051】
[演算処理部]
演算処理部6は、Bモード画像やMPR画像などの医用画像の画像データに基づいて、各種の演算処理を行う。演算処理部6には、特に計測処理部61が設けられている。
【0052】
〔計測処理部〕
計測処理部61は、表示部81に表示された医用画像における関心領域のサイズを計測するもので、この発明の「計測手段」の一例として機能する。計測処理部61が実行する処理の詳細については後述する。
【0053】
[使用形態]
この実施形態に係る超音波診断装置1の使用形態について説明する。図3は、超音波診断装置1の使用形態の一例を表している。
【0054】
まず、検者は、操作部82を操作して、被検体となる患者(母胎)の患者識別情報と、当該患者の体内の胎児の週数とを入力する(S1)。
【0055】
ここで、患者識別情報としては、患者氏名や当該医療機関における患者IDなどが入力される。また、胎児の週数としては、LMP(last menstrual period;最終月経開始日)などが入力される。制御部9は、必要に応じて、入力された胎児の週数を標準値情報72(経時的変化情報)における週数に変換する処理を行う。ステップS1で入力された患者識別情報や週数の情報は、制御部9によって記憶部7に記憶される。
【0056】
制御部9は、ステップS1で入力された週数の情報と、記憶部7に記憶された標準値情報72とに基づいて、当該週数に対応する標準値(ここではBPDの標準的な値)を特定する(S2)。特定された標準値は、当該週数に対応する平均値と許容範囲とを含んでいるものとする。
【0057】
続いて、検者が患者に超音波ゼリーを塗布し、超音波プローブ2を当接させて超音波スキャンを行うと、超音波診断装置1は、超音波スキャンにより得られるエコー信号に基づいて医用画像の画像データを生成し、この画像データに基づいて医用画像を表示部81に表示させる(S3)。患者は、超音波プローブ2を当てる位置や当て方を適宜に調節して、胎児の所望の部位(たとえば頭部)を含む医用画像を表示部81に表示させる。
【0058】
次に、検者は、所定の計測開始を指示する(S4)。この計測開始の指示は、操作部82の計測開始ボタンを押下することや、表示部81に表示画面上に設けられた計測開始キーをクリックすることにより行う。
【0059】
なお、この使用形態においては、胎児の頭部の断層画像が表示部81に表示されたものとし、この胎児のBPD(児頭大横径)を計測するものとする。したがって、胎児の頭部の断層画像(胎児の体軸方向にほぼ直交する方向を断面とする断層画像)が表示部81に表示されているものとする。
【0060】
制御部9は、計測開始の指示を受けると、表示部81に表示された医用画像上に計測始点マークM1を表示させる(S5)。
【0061】
図4は、胎児の頭部の断層画像(医用画像;関心領域を示している)Gが表示された表示部81の表示画面81Aに計測始点マークM1が表示された状態を表している。制御部9は、操作部82(たとえばマウスやトラックボール)に対する操作に応じて、計測始点マークM1の表示位置を移動させるようになっている。なお、図4の符号A、Bは、この医用画像Gに基づくBPDの値(=α)を計測するための線分の端点を表している。
【0062】
検者は、操作部82を操作して、図5に示すように、計測始点マークM1を端点A(又は端点B)上に移動させて計測始点の位置を決定する(S6)。この計測始点の位置の決定は、たとえばマウスのクリック操作などの所定の操作により行うようになっている。
【0063】
計測始点の位置が決定されたことを受けて、制御部9は、表示部81に表示された医用画像G上に計測終点マークM2を表示させる(S7)。
【0064】
更に、制御部9は、ステップS2で特定されたBPDの標準値(平均値及び許容範囲)に基づいて、当該週数の胎児におけるBPDの標準的なサイズを示す標準サイズ画像αST(図6参照)を表示画面81A上に表示させる(S8)。
【0065】
ステップS8における標準サイズ画像αSTの表示処理についてより詳しく説明する。ステップS2で得られた標準値は、実空間におけるサイズ(距離)として定義されている。また、表示画面81Aに表示される医用画像Gは、従来と同様に、実空間におけるサイズと表示倍率とに応じた表示サイズで表示されている。制御部9は、この表示倍率に基づいて、ステップS2で得られた標準値に相当する表示サイズを決定し、標準サイズ画像αSTを表示させる。
【0066】
図6に示す標準サイズ画像αSTは、BPDの平均値を示す一対の平均サイズマークαAVと、BPDの許容範囲における最小値を示す一対の最小サイズマークαMINと、最大値を示す一対の最大サイズマークαMAXとにより構成されている。
【0067】
一対の平均サイズマークαAVは、ステップS2で特定されたBPDの平均値に基づいて表示され、当該週数の胎児におけるBPDの平均値に相当する表示画面81A上の距離(すなわち、図6において平均サイズマークαAV間を結ぶ実線が示す距離)を示している。
【0068】
なお、ステップS8において、制御部9は、計測始点マークM1と計測終点マークM2との中点(第1の中点)の座標を求めるとともに、一対の平均サイズマークαAVの間の中点(第2の中点)の位置を求める。そして、制御部9は、第1の中点と第2の中点とを一致させるように、標準サイズ画像αSTを表示画面81A上に表示させるようになっている。
【0069】
一対の最小サイズマークαMINは、ステップS2で特定された許容範囲におけるBPDの最小値に基づいて表示され、当該週数の胎児におけるBPDの許容範囲の最小値に相当する表示画面81A上の距離を示している。制御部9は、一対の最小サイズマークαMINの中点を上記第1、第2の中点に一致させるようにして、最小サイズマークαMINを表示させる。
【0070】
一対の最大サイズマークαMAXは、ステップS2で特定された許容範囲におけるBPDの最大値に基づいて表示され、当該週数の胎児におけるBPDの許容範囲の最大値に相当する表示画面81A上の距離を示している。制御部9は、一対の最大サイズマークαMAXの中点を上記第1、第2の中点に一致させるようにして、最大サイズマークαMAXを表示させる。
【0071】
なお、図6において、平均サイズマークαAVは実線で表示され、最小サイズマークαMINは破線で表示され、最大サイズマークαMAXは点線で表示されているが、実際の表示画面81Aにおけるこれらマークの表示態様は任意である。たとえば、各マークの表示色を違えてもよいし、マークを形成する線の長さや太さを違えて表示するようにしてもよい。
【0072】
さて、計測終点マークM2と標準サイズ画像αSTが表示画面81A上に表示されたら、検者は、ステップS6と同様に、操作部82を操作して計測終点マークM2を移動させ(図7参照)、計測終点マークM2を端点B(又は端点A)上に配置させて計測終点の位置を決定する(S9)。
【0073】
このように計測終点マークM2の位置が移動されるとき、制御部9は、図7に示すように、標準サイズ画像αSTの各マークαAV、αMIN、αMAXの中点(第2の中点)が第1の中点に常時一致するように、標準サイズ画像αSTの各マークαAV、αMIN、αMAXを移動させる。すなわち、制御部9は、標準サイズ画像αSTの各マークαAV、αMIN、αMAXの表示位置を計測終点マークM2の表示位置に追従させるようになっている。
【0074】
図8は、ステップS9において計測終点マークM2が端点B上に移動された状態を示している。図8においても、標準サイズ画像αSTの各マークαAV、αMIN、αMAXは、その中点(第2の中点)が、計測始点マークM1(端点A)と計測終点マークM2(端点B)との間の中点(第1の中点)に一致されるように表示されている。
【0075】
制御部9は、計測始点マークM1の座標と計測終点マークM2の座標を取得して計測処理部61に送る。計測処理部61は、従来と同様に、計測始点マークM1及び計測終点マークM2の座標(及び表示倍率)に基づいて、計測始点マークM1と計測終点マークM2との間の距離を演算する(S10)。それにより、端点Aと端点Bとの間の距離、すなわち当該胎児のBPDの値αが得られる。
【0076】
このステップS10の演算処理は、たとえば2次元座標系における距離の演算式(三平方の定理)に基づいて実行することができる。また、表示画面81A上における画素(ピクセル)間の距離が既知である場合には、計測始点マークM1と計測終点マークM2との間の画素数をカウントし、そのカウント結果に画素間距離を乗算して端点A、B間の距離を求めることもできる。
【0077】
BPDの計測結果は、制御部9により患者識別情報(ステップS1で入力されたもの)に関連付けられて記憶部7に記憶される。以上で、超音波診断装置1の使用形態の説明を終了する。
【0078】
[作用・効果]
この実施形態に係る超音波診断装置1の作用と効果について説明する。
【0079】
まず、超音波診断装置1は、被検体内の形態を反映するデータ(エコー信号)を検出し、このデータに基づいて医用画像の画像データを生成し、この画像データに基づく医用画像Gを表示し、医用画像Gにおける関心領域のサイズ(BPD等)を計測する装置である。更に、超音波診断装置1は、当該関心領域に対応する体内部位のサイズ(BPD等)の標準値を含む標準値情報72をあらかじめ記憶しており、この標準値に対応する表示画面81Aにおけるサイズを示す標準サイズ画像αSTを医用画像とともに表示するように作用する。
【0080】
このような超音波診断装置1によれば、検者は、医用画像とともに表示される標準サイズ画像αSTを参照することにより、関心領域に対応する体内部位(計測対象部位)のサイズと標準的なサイズとを目視で比較することができるので、計測対象部位のサイズを直感的に把握することができる。
【0081】
また、超音波診断装置1は、標準サイズ画像αSTとして、計測対象部位のサイズの平均値に対応する表示画面81Aにおけるサイズを示す平均サイズマークαAVを医用画像とともに表示させるように作用する。
【0082】
それにより、検者は、計測対象部位のサイズとその平均的なサイズとを目視で比較することができるので、計測対象部位のサイズを直感的に把握することができる。なお、この平均サイズマークαAVは、この発明の「平均サイズ画像」の一例に相当する。
【0083】
また、超音波診断装置1は、標準サイズ画像αSTとして、計測対象部位のサイズの許容範囲に対応する表示画面81Aにおける範囲を示す最小サイズマークαMINと最大サイズマークαMAXとを医用画像とともに表示させるように作用する。
【0084】
それにより、検者は、計測対象部位のサイズとその許容範囲とを目視で比較することができるので、計測対象部位のサイズを直感的に把握することができる。
【0085】
また、超音波診断装置1は、被検体の患者情報(胎児の週数の情報等)に対応する体内部位の標準的なサイズを経時的変化情報(標準値情報72)に基づいて取得し、この標準的なサイズを示す標準サイズ画像αSTを表示させるように作用する。
【0086】
それにより、計測対象部位のサイズの経時的変化の計測(たとえば胎児の発育状態の計測)において、その計測対象部位のサイズを直感的に把握することができる。
【0087】
以上のように、計測対象部位のサイズの直感的把握が可能になることにより、計測作業を容易に、そして迅速に行うことが可能になるので、計測作業のスループットの向上が期待される。また、計測作業に熟練していない検者であっても、計測対象部位のサイズを容易に把握することが可能になる。
【0088】
[医用画像表示装置について]
この発明に係る医用画像表示装置は、医用画像を表示する表示手段と、表示された医用画像における関心領域のサイズを計測する計測手段と、この関心領域に対応する体内部位のサイズの標準値をあらかじめ記憶した記憶手段と、この標準値に対応する表示手段の表示画面におけるサイズを示す標準サイズ画像を医用画像とともに表示手段に表示させる制御手段とを備えることを特徴としている。
【0089】
この医用画像表示装置は、たとえば上記の超音波診断装置1における演算処理部6、記憶部7、ユーザインターフェイス8及び制御部9を備える装置として構成することができる。このとき、ユーザインターフェイス8の表示部81が「表示手段」の一例に相当し、演算処理部6の計測処理部61が「計測手段」の一例に相当し、記憶部7が「記憶手段」に相当し、制御部9が「制御手段」に相当している。
【0090】
この医用画像表示装置は、任意の医用画像処理装置や医用画像データベース(PACS(picture archiving and communication system)等)などから医用画像の画像データを受け付けて上記の処理を実行する。この医用画像表示装置の構成は、たとえば読影用の表示装置(読影ビューア)などに適用することが可能である。
【0091】
このような医用画像表示装置によれば、検者は、上記の超音波診断装置1と同様に、医用画像とともに表示される標準サイズ画像を参照することにより、関心領域に対応する体内部位(計測対象部位)のサイズと標準的なサイズとを目視で比較することができるので、計測対象部位のサイズを直感的に把握することが可能である。
【0092】
[プログラムについて]
この発明に係るプログラムは、医用画像を表示する表示手段と、この医用画像における関心領域に対応する体内部位のサイズの標準値をあらかじめ記憶した記憶手段とを備えるコンピュータを、表示手段に表示された医用画像における関心領域のサイズを計測する計測手段として機能させるとともに、記憶手段に記憶された標準値に対応する表示手段の表示画面におけるサイズを示す標準サイズ画像を医用画像とともに表示手段に表示させる制御手段として機能させるものである。
【0093】
このプログラムは、医用画像処理装置や医用画像表示装置等のコンピュータにインストールされて、当該装置に上記の機能、すなわち計測手段としての機能と制御手段としての機能とをコンピュータに具備させる。
【0094】
なお、このプログラムは、LAN(Local Area Network)等の通信回線上のサーバに格納されていてもよい。その場合、コンピュータは、このサーバのクライアントとして設けられ、上記の通信回線を通じてプログラムを取得して上記のように機能することになる。
【0095】
このようなプログラムによれば、検者は、医用画像とともに表示される標準サイズ画像を参照することにより、関心領域に対応する計測対象部位のサイズと標準的なサイズとを目視で比較することができるので、計測対象部位のサイズを直感的に把握することが可能である
【0096】
[変形例]
以上において説明した実施形態は、この発明を好適に実施するための構成の具体例に過ぎない。したがって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
【0097】
なお、以下においては、上記実施形態の超音波診断装置1の変形例を説明しているが、この発明に係る任意の装置やプログラムについても同様にして変形を施すことができる。
【0098】
図9は、超音波診断装置や医用画像表示装置により表示される表示画面(上記実施形態の超音波診断装置1にて表示した場合の表示画面)の一例を表している。同図に示す表示画面81Aには、胎児の4つの医用画像(超音波画像)H、H1、H2、H3が表示されている。右下位置に表示されている医用画像Hは、ボリュームデータをレンダリングして得られる胎児の3次元画像である。なお、この医用画像Hは、3次元の動画像(4次元画像等と呼ばれる)であってもよい。
【0099】
また、右上位置の医用画像H1〜H3は、それぞれ、ボリュームデータからMPR処理等により得られる断層画像であり、3次元の医用画像Hにおける胎児の断面形態を表している。医用画像H1〜H3は、それぞれが互いに直交する断面位置における断層画像である。
【0100】
図10は、図9の表示画面81A中の医用画像H1、H2(の一部)を関心領域とする場合における標準サイズ画像の表示態様の一例を表している。医用画像H1は、胎児の頭部の横断面(胎児の体軸にほぼ直交する断面)の画像である。また、医用画像H2は、胎児の頭部の縦断面(胎児の体軸にほぼ平行な横方向の断面)の画像である。
【0101】
超音波診断装置1の記憶部7の標準値情報72には、胎児の頭部の横断面及び縦断面における周囲の長さ(横断周囲長、縦断周囲長)についての経時的変化情報がそれぞれあらかじめ含まれているものとする。また、これらの各経時的変化情報には、横断周囲長と縦断周囲長の平均値と許容範囲がそれぞれ含まれているものとする。
【0102】
超音波診断装置1は、事前に入力された患者情報(胎児の週数等)に基づいて、この胎児に対応する平均値と許容範囲を標準値情報72から特定する。そして、超音波診断装置1は、図10に示すような標準サイズ画像を表示画面81A上に表示する。
【0103】
医用画像H1について表示される標準サイズ画像は、当該週数における横断周囲長の平均値を表す楕円形状の平均サイズマークβAV(実線で示す)と、横断周囲長の許容範囲の最小値を表す楕円形状の最小サイズマークβMIN(破線で示す)と、最大値を表す楕円形状の最大サイズマークβMAX(点線で示す)とを含んでいる。
【0104】
また、医用画像H2について表示される標準サイズ画像は、当該週数における縦断周囲長の平均値を表す楕円形状の平均サイズマークγAV(実線で示す)と、縦断周囲長の許容範囲の最小値を表す楕円形状の最小サイズマークγMIN(破線で示す)と、最大値を表す楕円形状の最大サイズマークγMAX(点線で示す)とを含んでいる。
【0105】
このように、この発明においては、医用画像の様々な表示画面に応じた標準サイズ画像を適宜に表示させることができる。
【0106】
また、この発明においては、医用画像の関心領域のサイズとして、標準的な面積や体積を表す標準サイズ画像を表示させることもできる。
【0107】
面積を表す標準サイズ画像の一例を説明する。まず、たとえば胎児の頭部の横断面の面積についての経時的変化情報等を標準値情報72にあらかじめ設けておく。それにより、超音波診断装置1は、事前に入力された患者情報(胎児の週数等)に基づいて、当該胎児に対応する横断面の面積の平均値や許容範囲を特定することができる。
【0108】
そして、超音波診断装置1は、たとえば図10に示した楕円形状の平均サイズマーク、最小サイズマーク、最大サイズマーク等を表示画面81A上に表示させることができる。このとき、これら楕円形状のマークに囲まれる領域の面積が平均面積、最小面積、最大面積を示している。また、各平均サイズマーク、最小サイズマーク、最大サイズマーク等の表示位置や楕円の形状は、長軸と短軸との長さの比に基づいて決定することができる。
【0109】
なお、計測処理部61は、たとえば、従来のように、医用画像において関心領域に相当する画像領域内のピクセル数に基づいて、この関心領域の面積を算出するなど、任意の手法によって関心領域の面積を求めることができる。
【0110】
体積を表す標準サイズ画像の一例を説明する。まず、たとえば胎児の頭部の体積についての経時的変化情報等を標準値情報72にあらかじめ設けておく。それにより、超音波診断装置1は、事前に入力された患者情報(胎児の週数等)に基づいて、当該胎児に対応する頭部の体積の平均値や許容範囲を特定することができる。
【0111】
そして、超音波診断装置1は、たとえば楕円体からなる標準値情報72を表示画面81A上の医用画像Hに重ねて表示させることができる。なお、医用画像Hは、ボリュームデータをレンダリングして得られる擬似的な3次元画像である。超音波診断装置1は、楕円体のボリュームデータに対して、医用画像Hと同じ視線方向におけるレンダリング画像を生成し、このレンダリング画像(楕円体を当該視線方向から見たときの画像)を、平均サイズマーク、最小サイズマーク、最大サイズマーク等として医用画像Hとともに表示させる。これら楕円体形状のマークの内部領域の体積が平均体積、最小体積、最大体積を示す。
【0112】
なお、計測処理部61は、たとえば、従来のように、医用画像において関心領域に相当する画像領域内のピクセル数に基づいて、この関心領域の体積を算出することができる。また、この関心領域を含む複数の断層画像からこの関心領域のボリュームデータを生成し、このボリュームデータの体積を算出することにより、この関心領域の体積を求めることができる。このように、計測処理部61は、任意の手法によって関心領域の体積を求めることが可能である。
【0113】
また、上記の実施形態では、特定のサイズ(BPD)に関する標準サイズ画像を表示するようになっているが、複数種類のサイズのうちから所望のサイズを検者が指定できるようにし、その指定されたサイズの標準サイズ画像を表示させるように構成することができる。
【0114】
このような構成を実現するための一具体例を説明する。なお、標準値情報72には、指定可能な各サイズについての平均値や許容範囲が含まれているものとする。まず、複数種類のサイズ(たとえばBPD、AC、APTD)を選択的に指定するための画面(サイズ種類選択画面)を表示する。このサイズ種類選択画面は、たとえば、チェックボックスやプルダウンメニュー等の任意の選択方式によって所望のサイズを選択できるようになっている。超音波診断装置1は、検者が指定したサイズの平均値等(当該胎児に対応するもの)を標準値情報72から特定し、その平均値等の標準サイズ画像を医用画像とともに表示する。
【0115】
また、検者が手作業でサイズの種類を指定する代わりに、サイズの種類を自動的に特定するように構成することも可能である。たとえば、取得された医用画像を解析して撮影部の形状を抽出し、あらかじめ記憶された被検体の各種部位(たとえば心臓、肺、胎児の頭部等)の形状のテンプレートと比較して撮影部位を特定する。そして、この特定された撮影部位の平均値等を標準値情報72から特定し、その平均値等の標準サイズ画像を医用画像とともに表示する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の好適な実施の形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の好適な実施の形態における超音波のスキャン態様の一例を説明するための概略説明図である。
【図3】この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の好適な実施の形態の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【図4】この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の好適な実施の形態の使用形態における表示画面の一例を説明するための概略説明図である。
【図5】この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の好適な実施の形態の使用形態における表示画面の一例を説明するための概略説明図である。
【図6】この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の好適な実施の形態の使用形態における表示画面の一例を説明するための概略説明図である。
【図7】この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の好適な実施の形態の使用形態における表示画面の一例を説明するための概略説明図である。
【図8】この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の好適な実施の形態の使用形態における表示画面の一例を説明するための概略説明図である。
【図9】この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の好適な実施の形態の変形例における表示画面の一例を説明するための概略説明図である。
【図10】この発明に係る医用画像診断装置(超音波診断装置)の好適な実施の形態の変形例における表示画面の一例を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
【0117】
1 超音波診断装置(医用画像診断装置)
2 超音波プローブ
3 送受信部
4 信号処理部
41 Bモード処理部
42 ドプラ処理部
43 CFM処理部
5 画像処理部
51 ボリュームデータ生成部
52 MPR処理部
6 演算処理部
61 計測処理部
7 記憶部
71 プログラム
72 標準値情報
8 ユーザインターフェイス
81 表示部
81A 表示画面
82 操作部
9 制御部
P スキャン面
G 医用画像
A、B 端点
αST 標準サイズ画像
αAV 平均サイズマーク
αMIN 最小サイズマーク
αMAX 最大サイズマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内の形態を反映するデータを検出し、該検出されたデータに基づいて医用画像の画像データを生成する画像データ生成手段と、
該生成された画像データに基づく医用画像を表示する表示手段と、
該表示された医用画像における関心領域のサイズを計測する計測手段と、
前記関心領域に対応する体内部位のサイズの標準値をあらかじめ記憶した記憶手段と、
該記憶された標準値に対応する前記表示手段の表示画面におけるサイズを示す標準サイズ画像を、前記医用画像とともに前記表示手段に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記記憶手段に記憶された前記標準値は、複数の臨床データに基づいて算出された前記体内部位のサイズの平均値を含み、
前記標準サイズ画像は、該平均値に対応する前記表示画面におけるサイズを示す平均サイズ画像を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶された前記標準値は、複数の臨床データに基づいて算出された前記体内部位のサイズの許容範囲を含み、
前記標準サイズ画像は、該許容範囲に対応する前記表示画面における範囲を示す許容範囲画像を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、被検体の患者情報をあらかじめ記憶し、
前記関心領域に対応する体内部位は、経時的にサイズが変化する体内部位であり、
前記記憶手段に記憶された前記標準値は、前記体内部位の標準的なサイズの経時的変化を示す経時的変化情報を含み、
前記制御手段は、前記記憶された当該被検体の患者情報に対応する前記体内部位の標準的なサイズを前記経時的変化情報に基づいて取得し、該取得された前記標準的なサイズを示す前記標準サイズ画像を表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
操作手段を備え、
前記制御手段は、前記操作手段に対する操作に基づいて、前記計測手段による前記関心領域のサイズの計測位置を示す計測位置画像を、前記医用画像及び前記標準サイズ画像とともに前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記操作手段に対する操作に基づいて前記計測位置画像の表示位置が移動されたときに、前記標準サイズ画像の表示位置を前記計測位置画像の表示位置に追従させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記計測手段により計測される関心領域のサイズは、当該関心領域における距離、面積及び体積のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記被検体は母体であり、
前記記憶手段は、前記母体内の胎児の週数をあらかじめ記憶し、
前記画像データ生成手段は、前記母体内の胎児の医用画像の画像データを生成し、
前記記憶手段に記憶された前記標準値は、胎児の所定部位の標準的なサイズの経時的変化を示す経時的変化情報を含み、
前記制御手段は、前記記憶された週数に対応する前記標準的なサイズを前記経時的変化情報に基づいて取得し、該取得された前記標準的なサイズを示す前記標準サイズ画像を表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
医用画像を表示する表示手段と、
該表示された医用画像における関心領域のサイズを計測する計測手段と、
前記関心領域に対応する体内部位のサイズの標準値をあらかじめ記憶した記憶手段と、
該記憶された標準値に対応する前記表示手段の表示画面におけるサイズを示す標準サイズ画像を、前記医用画像とともに前記表示手段に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項10】
医用画像を表示する表示手段と、前記医用画像における関心領域に対応する体内部位のサイズの標準値をあらかじめ記憶した記憶手段とを備えるコンピュータを、
前記表示手段に表示された医用画像における関心領域のサイズを計測する計測手段として機能させるとともに、
前記記憶手段に記憶された標準値に対応する前記表示手段の表示画面におけるサイズを示す標準サイズ画像を、前記医用画像とともに前記表示手段に表示させる制御手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−99931(P2008−99931A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285823(P2006−285823)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】