説明

医用画像診断装置及び制御プログラム

【課題】解析結果が示されるグラフを選択すると同時にその選択されたグラフが示すセグメントを操作者にとって見やすい位置に表示させることによって、操作者の操作負担を軽減することのできる医用画像診断装置及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】運動する組織の組織運動情報を基に表示形態の異なる複数の画像を生成、表示するとともに、組織のセグメントごとの組織運動量を示すグラフを生成し表示することができる医用画像診断装置1において、セグメントごとに表示されたグラフの一が新たに選択された場合に、選択されたグラフに対応する画像をこれまで表示されていた画像に替えて表示部1gに表示させる表示画像処理部10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、組織運動情報に関する画像を生成、表示する医用画像診断装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置のうち、例えば、超音波診断装置では、例えば、心臓組織の運動情報に関する動画像を生成し表示する技術が用いられる(以下の特許文献1参照)。
【0003】
この技術は、例えば、一列に配置された複数の超音波振動子を揺動させて超音波走査を行うプローブ(揺動プローブ)、複数の超音波振動子が二次元マトリクス状に配列されたプローブ(二次元アレイプローブ)等を用いて被検体の心臓の時系列ボリュームデータを取得する。この取得された時系列ボリュームデータに対してパターンマッチング等を用いて心筋の局所部位の追跡を行い、追跡結果から組織運動情報(例えば、心筋の移動ベクトルやストレイン(歪み)等)を算出する。この算出結果は、心臓のボリュームデータから再構成されるMPR画像、三次元画像(ボリュームレンダリング画像等)の対応する位置に重畳させることで動画表示させる。表示に当たっては、心臓全体の動きを表わすことの他、例えば、解析領域を分割した状態で表示させる(セグメント表示させる)ことも可能である。
【0004】
医師等の操作者は、動画的に表示されたMPR画像やセグメントごとの三次元画像等を観察することにより、心臓の組織運動の動態を観察することができる。また、組織運動の量はグラフに表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−42151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるような表示方法では操作者には使用がしにくい場面が生じうる。
【0007】
例えば、表示されたグラフの中からある特定のグラフを選択した場合、その選択されたグラフに対応するセグメントがMPR画像や三次元画像において表示されない場合がある。これは例えば、三次元画像においては、選択されたグラフが示すセグメントが立体の裏側にある、すなわち、操作者が現在見ている画面上には現われない位置に選択されたセグメントが表示されている場合である。
【0008】
このような状態になった場合には、操作者は選択したセグメントを表示させるために表示される断面の位置を変更して改めてMPR画像として表示させたり、選択されたセグメントが表示されるように改めて三次元画像を移動させるといった操作が必要となった。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、解析結果が示されるグラフを選択すると同時にその選択されたグラフが示すセグメントを操作者にとって見やすい位置に表示させることによって、操作者の操作負担を軽減することのできる医用画像診断装置及び制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る特徴は、運動する組織の組織運動情報を基に表示形態の異なる複数の画像を生成、表示するとともに、組織のセグメントごとの組織運動量を示すグラフを生成し表示することができる医用画像診断装置において、セグメントごとに表示されたグラフの一が新たに選択された場合に、選択されたグラフに対応する画像をこれまで表示されていた画像に替えて表示部に表示させる表示画像処理部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態における医用画像診断装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における表示画像処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における表示画像を変更させる手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における表示部に表示される各種画像、グラフを示す画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態における医用画像診断装置1の内部構成を示すブロック図である。以下の説明においては、医用画像診断装置1として超音波診断装置を例に挙げるが、特に超音波診断装置に限られることはなく、例えば、X線CT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)装置といった他のモダリティにおいて適用することも可能である。
【0014】
医用画像診断装置(超音波診断装置)1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力部1fと、表示部1gと、通信制御部1hと、記憶部1iと、送受信部1jと、画像生成部1kと、移動ベクトル処理部1lと、運動情報演算部1mと、表示画像処理部10とが接続されている。
【0015】
CPU1aは、入力部1fからの入力信号に基づいてROM1bから医用画像診断装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU1aは、入力部1fや入出力インターフェイス1dを介して、図1おいて図示していない外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU1aは、RAM1cや記憶部1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、運動情報等に基づく二次元画像、或いは、三次元画像の生成、データの計算または加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0016】
入力部1fは、図1に示すように、医用画像診断装置1の操作者が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、観察者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。また、医用画像診断装置1には、キーボード等だけでなく専用の操作パネルが設けられている場合もあり、その場合には操作パネル上の入力デバイスを介して操作画面に対する操作を行うこともできる。表示部1gは、例えば液晶ディスプレイであり、例えばCPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、組織運動情報を基に生成された画像やCPU1aの処理結果等を表示する手段である。
【0017】
通信制御部1hは、LANカードやモデム等の手段であり、医用画像診断装置1をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。通信制御部1hを介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
【0018】
記憶部1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。
【0019】
送受信部1jには、送信部と受信部とがまとめて配置されており、プローブPが接続されている。プローブPは、送信部からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波(エコー)を電気信号に変換する複数の圧電振動子等を備えている。送信部では図示しない、例えば、遅延回路等が備えられている。送信部からは所定のタイミングで所定のスキャンラインに向けて超音波ビームが形成されるように、プローブPの振動子ごとに駆動信号を印加する。一方、受信部では図示しないアンプ回路等が設けられている。プローブPから送信された反射波はチャンネルごとに増幅され、受信指向性を決定するための遅延時間が与えられた後、加算処理される。これによって、所定のスキャンラインに対応した超音波エコー信号が生成される。
【0020】
超音波エコー信号は、送受信部1jから画像生成部1kへと送られる。画像生成部1kでは、まず包絡線検波処理がなされ超音波エコーの振幅強度に対応したBモード信号が生成される。一方、プローブPを利用した揺動走査や三次元走査によって得られる被検体の所定領域に関する時相ごとの超音波画像データからは、各時相に対応するボリュームデータが生成される。ボリュームデータとは、三次元的な位置情報を備える(空間的な情報をもつ)受信信号の集合である。
【0021】
その上で、画像生成部1kは、Bモード信号の所定断層に係る二次元分布を表わしたBモード超音波像を生成する。さらには、後述するように、運動情報演算部1mが演算した組織運動情報をMPR画像、三次元画像等、種々の画像にマッピングすることによって、組織運動情報に関する二次元画像、或いは、三次元画像を生成する。生成された二次元画像、或いは、三次元画像が表示部1gにおいて表示される。また、複数の領域に分割して表示させることも可能である。分割された複数の領域はそれぞれ「セグメント」と呼ばれる。例えば、三次元画像で表わされた心臓は、概ね16の領域に分割される。
【0022】
また、画像生成部1kでは組織運動情報、例えば、移動量等を示すパラメータを用いて表示させるグラフの生成も行われる。このグラフは、縦軸に各種パラメータ、横軸に時間が配置され、セグメントごとの変化量が表わされる。具体的には、例えば、セグメント内に複数存在する頂点(この頂点はそれぞれ値をもっている)の値を平均し、その平均値の変化を時系列に表わす。なお、以下においてはこのように表示部1g内において移動量等を示す表示態様そのものも、また、この表示態様内において示されるセグメントごとの変化量についても、いずれも「グラフ」と表わす。
【0023】
移動ベクトル処理部1lは、時相の異なる2つのボリュームデータ間でパターンマッチング処理を用いて組織の移動位置を追跡し、得られた時相ごとの移動位置に基づいて各組織の移動量や速度を求める。例えば、一方のボリュームデータ内の関心領域について、最も類似性の高い他方のボリュームデータ内の対応領域を求める。この関心領域と対応領域との間の距離を求めることで組織の移動量を求めることができる。また、この移動量をボリューム間の時間差で除することにより、組織の移動速度を求めることができる。この処理をボリューム上の各位置でボリュームバイボリュームで行うことによって、各組織の変位(移動ベクトル)または、組織の変位に関する時空間分布データを取得することができる。
【0024】
運動情報演算部1mは、移動ベクトル処理部1lから送られてきた時空間分布データに基づいて、組織運動情報を時相ごとに生成する。ここで、組織運動情報とは、例えば、心壁等の所定組織の所定方向に関する変位、変位率、歪み、歪み率、移動距離、速度、速度勾配、その他の組織運動に関して取得可能な物理情報である。
【0025】
表示画像処理部10は、画像生成部1kによって生成され表示部1gに表示された画像の表示変更処理を司る。例えば、表示部1gにこれまで表示されたMPR画像に替えて新たに選択されたグラフに対応するセグメントが表わされているMPR画像を表示する。図2は、本発明の実施の形態における表示画像処理部10の内部構成を示すブロック図である。表示画像処理部10は、受信部11と、確認部12と、算出部13と、指示作成部14と、送信部15とから構成される。
【0026】
なお、本発明の実施の形態における医用画像診断装置1では、表示画像処理部10を回路で構成しているが、記憶部1iに表示画像処理プログラムとして記憶され、或いはリムーバブルディスク等の記憶媒体に格納されていても良い。この場合には、表示画像処理プログラムが医用画像診断装置1のCPU1aに読み込まれ実行されることにより、表示画像処理部が医用画像診断装置1に実装されることになる。
【0027】
また、本発明の実施の形態では上述したように、表示画像処理部10を医用画像診断装置1に搭載した例を挙げて以下、説明を行う。但し、この表示画像処理部10は、医用画像診断装置1から独立して存在し、通信制御部1hに接続される通信ネットワークを介して医用画像診断装置1と接続されるようにされていても良い。この場合には、さらに医用画像診断装置1と表示画像処理部10とが例えば、病院情報管理システム(HIS:Hospital Information System)、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)といった医療機関内に構築された各種管理システムと組み合わされて用いられても良い。
【0028】
次に、表示画像を変更させる手順を図3に示すフローチャート、図4に示す表示部に表示される各種画像、グラフを示す画面例を用いて説明する。また表示画面を変更させる手順においては、図2で示す表示画像処理部10の各部の働きについても併せて説明する。
【0029】
まず、医用画像診断装置(超音波診断装置)1において取得された組織運動情報、基本的な設定等を基に、画像生成部1k、移動ベクトル処理部1l、運動情報演算部1mにおいてMPR画像や三次元画像が生成される。また、セグメントごとの移動量等を示すグラフも生成され、MPR画像等、それぞれ表示形態の異なる複数の画像ともども表示部1gに表示される(ST1)。通常は、この状態で操作者にとって必要な画像は表示されることになる。従って、操作者は、表示部1gに表示された画像を基に診断等を行う。
【0030】
図4は、表示部1gを示す画面例である。図4に示す画面例では、大きく3つのゾーンに分かれており、左側に三次元画像が表示されている。また、右側上には二次元画像であるMPR画像が表示されている。MPR画像のうち、左側3つは三次元画像にて表示された部位を画面に水平(画面横方向)となるように切断した状態を示している。一方、右側2つのMPR画像は、三次元画像にて表示された部位を画面に垂直(画面縦方向)となるように切断した状態を示している。さらにMPR画像が表示される領域の下側には、グラフが表示されている。このグラフはこれまでも説明してきているように、セグメントごとにその移動量等を把握できるように示されている。
【0031】
なお、図4の画面例はあくまでも例示に過ぎず、そのレイアウトや表示内容については任意に設定、変更することができる。また、本来ならば表示部1gには、操作者が操作可能な様々なタブやボタン等が表示されているが、図4では説明の都合上、本発明の実施の形態に不要な各種表示は省略して示している。従って、例えば、グラフもセグメントごとに表示されるがここでは3つのセグメントに該当するグラフのみを示している。
【0032】
グラフに表示されているセグメントごとの移動量等から、操作者は診断等の過程で現在表示されているセグメントとは別のセグメントを見たい場合も出てくる。このとき表示画像処理部10は、操作者によって別のセグメントを示すグラフが選択されるか否か、待機の状態となる(ST2)。
【0033】
別のセグメントに関する表示を見たい場合には、操作者によって入力部1fを利用して該当するセグメントを表示するグラフを選択される。グラフが選択されたことを表示画像処理部10において検知する(受信部11でその旨の信号を受信する)と(ST2のYES)、確認部12が選択されたグラフを確認し把握する(ST3)。グラフは、そのグラフが表示するセグメントと紐付けがなされており、確認部において選択されたグラフが把握できれば対応するセグメントも把握される。なお、このグラフの選択がない場合には(ST2のNO)、待機状態となる。
【0034】
次に、算出部13において、選択されたグラフに対応するセグメントの位置が算出される(ST4)。上述したように、表示されるグラフとそのグラフが表わすセグメントとは関連づけられている。従って、グラフが選択されると対応するセグメントの位置が算出される。なお、図4に示す画面例では、MPR画像と三次元画像とが表示されている。MPR画像と三次元画像とではその表示方法が異なることから、以下、分けて説明する。
【0035】
まず、MPR画像について説明する。現在表示されているMPR画像を新たに選択されたグラフに対応するセグメントを表示するMPR画像に替える場合には、該当するグラフが示すセグメントが算出部13において算出されるので、その算出された位置へと変更することになる。
【0036】
ところで具体的に表示される断面に関して、そもそもセグメント内にはパラメータ計算された複数の頂点(制御点、或いは、解析点とも言われる)が存在している。一方で、セグメントのうち表示される断面の位置は、例えば、パラメータの最小点、或いは、最大点を通る位置である、或いは、対応するセグメントの中心位置を示す頂点を通る位置である、というように定義することができる。さらにこの定義だけでは、対応するセグメントの中心位置を示す頂点を通ると言っても、例えば、どのような傾きで断面を表示させるのか、といった点が不明となる。そこで、この他の基準として使用される、例えば、断面の中心位置や法線等に関しては、ステップST1において示した表示画像を生成(解析)する際に決定された基準を使用する。この基準としては、例えば、長軸を表わす断面、或いは、短軸を表わす断面を挙げることができる。
【0037】
このようにして新たに選択されたグラフに対応するセグメントに関するMPR画像が決定され、指示作成部14によって作成される表示部1gへの指示に基づいて表示部1gに表示される(ST5)。図4に示す画面例では、太線で示すグラフが選択されている(図4においては、矢印のカーソルが当該太線のグラフを指し示している)。この太線で示されたグラフが選択されたことによって、グラフの表示領域の上に表示されているMPR画像においても対応するセグメントが示されている。
【0038】
すなわち、三次元画像にて表示された部位を画面に水平(画面横方向)となるように切断した状態を示す画像(MPR画像の表示領域左側)においては、その一番下に表示されている画像に新たに選択されたグラフに対応するセグメントが示されている。ここでは、対応するセグメントの輪郭が矩形上に示され、さらにそのセグメント内の頂点も丸印で示されている。一方、三次元画像にて表示された部位を画面に垂直(画面縦方向)となるように切断した状態を示すMPR画像(MPR画像の表示領域右側)では、その左側の画像において新たに選択されたグラフに対応するセグメントが示されている。併せて該当するセグメントが矩形上に囲われ、頂点が丸印で示されている。
【0039】
次に三次元画像の表示について説明する。ステップST4で説明したように、算出部13において、選択されたグラフに対応するセグメントの位置が算出される。このとき選択されたグラフに対応するセグメントが三次元画像上、見えない場合があり得る。例えば、画面の奥に対応するセグメントが隠れてしまっており、画面上表示されず操作者から見えない場合である。このままでは選択されたグラフに対応するセグメントを操作者に見やすい位置に表示させることはできない。そこで、三次元画像を移動、回転、或いは、拡大、縮小することによって、画面上操作者に見やすい位置に表示させる。
【0040】
具体的には、以下の通り表示させる。まず前提として、三次元画像においては、その重心が定義されている。従って、この重心を利用して三次元画像の移動等を行う。まず移動に関しては、画面上三次元画像が表示される領域の中心位置に三次元画像の重心が重なるように行う。例えば、操作者がこれまで表示されていた三次元画像に関して、セグメントを見やすくするために様々にその位置を動かした場合、その位置のままでは選択されたグラフに対応するセグメントが見えない、或いは、見にくい状態にあることもある。移動はそのような状態に三次元画像がある場合に有効である。
【0041】
その上で、選択されたグラフに対応するセグメントの中心位置とその重心が操作者から見て重なるように三次元画像を回転させる。すなわち、セグメントの中心位置と重心とを結ぶ線が表示部1gの画面と垂直になるように回転させる。このように回転することによって、操作者は、これまで見えなかった選択されたグラフに対応するセグメントの中心位置を正面に、その視線の先に(操作者の目がセグメントの中心位置を見るその先に)三次元画像の重心がくるように見ることができるようになる。このように表示することによって、選択されたグラフに対応するセグメントは画面上正面に表示されることになる。
【0042】
さらに、必要に応じて表示される三次元画像の輪郭が例えば、表示領域内に収まるように拡大、或いは、縮小が行われる。三次元画像の移動、回転、拡大、縮小は対応するセグメントを操作者に見やすい位置に移動させるために行われるものである。従って、必要に応じて移動等のいずれか、或いは、それらが組み合わされて行われることになる。これらの算出結果は、算出部13から指示作成部14に送られ、さらに指示作成部14からの指示が表示部1gに送信されて表示される(ST6)。図4に示す画面例では、選択されたグラフに対応するセグメントが矩形上に囲まれて三次元画像上に示されている。
【0043】
なお、この他三次元画像の表示方法としては、例えば選択されたグラフに対応するセグメント以外のセグメントを消去し、対応するセグメントのみを表示させるようにしても良い。また、表示させる臓器の全体の輪郭やその他のセグメントを表示するために、例えば、その輪郭やその他のセグメントを破線等で示すことも可能である。さらには、表示セグメントに対してパラメータを基にした色づけがされている場合には、選択されたグラフに対応するセグメントのみに色づけを行い、その他のセグメントに対しては色づけを省略する、といった表示方法も可能である。
【0044】
以上、MPR画像の表示と三次元画像の表示とを分けて説明したが、これらの表示変更は同時に行われ、操作者がグラフを選択することによってMPR画像の表示と三次元画像の表示とはいずれもこれまで表示されていた画像に替えて選択されたグラフに対応するセグメントを表す画面へと遷移する。
【0045】
これまで説明してきたように、解析結果が示されるグラフを選択すると同時にその選択されたグラフが示すセグメントを操作者にとって見やすい位置に表示させることによって、操作者の操作負担を軽減することのできる医用画像診断装置及び制御プログラムを提供することができる。
【0046】
この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 医用画像診断装置(超音波診断装置)
1a CPU
1b ROM
1c RAM
1d 入出力インターフェイス
1e バス
1f 入力部
1g 表示部
1h 通信制御部
1i 記憶部
1j 送受信部
1k 画像生成部
1l 移動ベクトル処理部
1m 運動情報演算部
10 表示画像処理部
11 受信部
12 確認部
13 算出部
14 指示作成部
15 送信部
P プローブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動する組織の組織運動情報を基に表示形態の異なる複数の画像を生成、表示するとともに、前記組織のセグメントごとの組織運動量を示すグラフを生成し表示することができる医用画像診断装置において、
前記セグメントごとに表示されたグラフの一が新たに選択された場合に、前記選択されたグラフに対応する前記画像をこれまで表示されていた前記画像に替えて表示部に表示させる表示画像処理部を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記表示形態の異なる複数の画像の1つはMPR画像であり、前記画像処理部は、これまで表示されていたMPR画像に替えて前記選択されたグラフに対応するセグメントが表わされているMPR画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記表示形態の異なる複数の画像の1つは三次元画像であり、前記画像処理部は、これまで表示されていた三次元画像に替えて前記選択されたグラフに対応するセグメントが表わされている三次元画像を表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記これまで表示されていた三次元画像を移動、回転、拡大縮小のいずれか単独、或いは、これらを組み合わせることによって前記選択されたグラフに対応するセグメントが表わされている三次元画像を表示することを特徴とする請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記選択されたグラフに対応するセグメントが表わされている三次元画像を表示するに際して、該当する前記セグメントが表わされている三次元画像のみを残し、周囲のセグメントを示す三次元画像を消去して前記セグメントが表わされている三次元画像を強調する表示を行うことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
医用画像診断装置が備えるコンピュータに運動する組織の組織運動情報を基に表示形態の異なる複数の画像を生成、表示させるとともに、前記組織のセグメントごとの組織運動量を示すグラフを生成、表示を実行させることを特徴とする制御プログラムにおいて、
前記セグメントごとに表示されたグラフの一が新たに選択された場合に、前記選択されたグラフに対応する前記画像をこれまで表示されていた前記画像に替えて表示部に表示させる表示画像処理ステップを医用画像診断装置が備えるコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−239813(P2011−239813A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111889(P2010−111889)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】