説明

医薬錠剤

【課題】 光保護層が上に被覆されている圧縮コアを含む医薬錠剤の提供。
【解決手段】 圧縮コアは、(i)1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの薬学的に許容しうる塩、(ii)少なくとも1つの増量剤(例えば、延性増量剤(例えば微結晶セルロース)及び/又は脆性増量剤(例えばラクトース一水和物又はマンニトール);(iii)崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム)及び(iv)滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含み、光保護層が上に被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された貯蔵寿命安定性を有する医薬錠剤、特に薬学的に活性な物質の耐分解性である、1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの酸塩を含有する錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のプリン化合物は、CB1受容体アンタゴニストであることが見出されている(例えば、米国特許出願公開第2004/0092520号(WO 2004/037823)に記載される1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミド及びその薬学的に許容しうる塩)。CB1アンタゴニストは、摂食障害(例えば、むちゃ食い障害、食欲不振、及び過食症)、体重減少又は減量(例えば、カロリー若しくは食物摂取の減少、及び/又は食欲抑制)、肥満、行為嗜癖、報酬関連行動の抑制(例えば、条件付け場所忌避、例えばコカイン誘導性及びモルヒネ誘導性の条件付け場所嗜好の抑制)、物質乱用、嗜癖障害、衝動性、アルコール症(例えば、アルコールの乱用、嗜癖及び/又は依存(アルコール摂取の離脱、渇望低減及び再発防止のための治療を含む))、タバコ乱用(例えば、喫煙の嗜癖、中止及び/又は依存(喫煙の渇望低減及び再発防止のための治療を含む))、痴呆(記憶喪失、アルツハイマー病、加齢による痴呆、血管性痴呆、軽度認知障害、加齢に伴う認知機能低下、及び軽度神経認知障害を含む)、注意欠陥障害(ADD)又は注意欠陥多動性障害(ADHD)を含む、カンナビノイド受容体アンタゴニストにより調節される疾患、状態及び/又は障害の治療において、並びにII型糖尿病の予防において有用であることが見出されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プリン化合物である1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドは、可視/UV光を吸収し、そのため光分解に対して敏感である。さらに、同じ炭素原子に結合しているエチルアミノ基及びアミド基は、特定の条件下で容易に分解し得る。医薬製剤の製造において一般に使用される賦形剤がしばしば安定性の問題を増大させるので、改善された貯蔵寿命安定性を有する、1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドを含有する投薬形態を特定する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本発明は、光保護層がその上に被覆された圧縮コアを含む医薬錠剤(特に即時放出錠剤)を提供する。圧縮コアは、(i)1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの薬学的に許容しうる塩、(ii)少なくとも1つの増量剤(例えば、延性増量剤(例えば微結晶セルロース)及び/又は脆性増量剤(例えばラクトース一水和物又はマンニトール);(iii)崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム)及び(iv)滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含む。光保護層は、1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの光分解生成物の形成速度を減少させるために十分な量の光吸収材料(例えば、光散乱材料及び/又は光吸収材料)を含有し、そして好ましくはフィルムコートの形態で被覆される。
【0005】
本発明の別の実施態様において、上記の投薬形態を製造するための工程段階も提供される。
【0006】
低含量(low strengths)で投与される強力な薬物は、取扱、加工処理の容易さ、及び患者の利便性のために賦形剤を用いて製剤化される。製剤中の薬物の濃度の割に賦形剤の濃度が高いと、製剤の製造、加工処理及び貯蔵の間における、活性成分の物理的及び化学的安定性、並びにその投薬形態からの送達を確実にするのに、独特の課題が存在する。かなりの薬物分解が、特に貯蔵の間に、賦形剤に起因して、又は賦形剤不純物にさえ起因して起こり得る。分解は、高温及び/又は高湿度状態においてさらに加速され得る。起こり得る分解経路は化学構造の考察から理論的に解明できることもあるが、所定の賦形剤が許容しうるように安定な製剤を薬物と共に形成するかどうか事前に予測することは不可能である。製品の性能及び加工処理について所望される特質(例えば、製剤ブレンドの流動性および圧縮能並びに錠剤の崩壊)、さらに患者の利便性について所望される特質(例えば、飲み込み易さ及び色による製品識別)を備えた安定な製剤を開発するための賦形剤の適性を、各々の所定の活性成分について確立する必要がある。例えば、J.T.Carstensen,Drug Stability:Principles and Practices,2nd Ed,Marcel Dekker,NY,1995,449−452:及びK.Waterman et al.,Pharm Dev.Tech.,2002,7(2),113−146)を参照のこと。
【0007】
1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドは、その構造(例えば、可視/UV光を吸収、及び同じ炭素原子に結合したエチルアミノ及びアミド基を含有)及び高い効力を有するという事実に基づいて、複合的な分解が懸念される。出願人は、これらの懸念に対処する投薬形態を発見した。医薬錠剤は、一般に、上に被覆された光保護層を有する圧縮コアから構成される。圧縮コアを製造するために使用される組成物は、一般的には、活性成分、バルク特性及び機械的特性を付与するための増量剤(例えば、延性増量剤及び/又は脆性増量剤)、崩壊剤、並びに滑沢剤を含む。
【0008】
活性成分は、1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミド(一般的にはその薬学的に許容しうる塩の形態で使用され、好ましくは塩酸塩である)であり、これは米国特許出願公開第2004/0092520号に記載される合成方法(実施例20)、又はPCT公開WO第2006/043175号(これらは両方とも本明細書に参照により加入される)に記載される代替の合成方法により製造し得る。
【0009】
活性成分は一定範囲の粒径で使用することができる。平均寸法は一般的には約5〜約140ミクロン;好ましくは約5〜約100ミクロン;より好ましくは約10〜約50ミクロン;そして最も好ましくは約25ミクロン未満である。
【0010】
それらの物理的特徴に加えて、活性成分の分解に対するそれらの作用に関して賦形剤をスクリーニングした。高温及び高湿の高ストレス条件下(例えば、約40℃及び相対湿度(RH)約75%;そして約50℃及び約75%RHで12週間)でさえ、薬物の分解をほとんど示さない(一般的に、約5%未満;好ましくは、約3%未満;そしてより好ましくは約2%未満の分解物(degradant))、賦形剤/賦形剤の組み合わせと活性成分との適合性に基づいて賦形剤をスクリーニングした。最も安定な製剤は、微結晶セルロース及びラクトース一水和物又はマンニトールをそれぞれ一次希釈剤及び二次希釈剤として使用し;デンプングリコール酸ナトリウム(ExplotabTM)又は架橋カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(AcDiSolTM)を崩壊剤として使用し;そしてステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として利用した場合に見られた。好ましい希釈剤は微結晶セルロース及びラクトース一水和物である。適切な希釈剤としては、1つ又はそれ以上の市販等級の微結晶セルロース(例えば、FMC BioPolymer,Philadelphia,PAから入手可能なAvicel(登録商標)PH 101、102、150及び200)及びラクトース一水和物(例えば、Foremost Farms USA,Rothschild,WIから入手可能なNF Lactose 310、312、315及び316 Fast Flo(315及び316は両方とも結晶性ラクトース及び非晶質ラクトースのスプレー乾燥混合物である))が挙げられる。好ましい崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。無水リン酸二カルシウムは活性成分の高度な分解を引き起こし、従って適合する二次増量剤としては考慮されない。以下の実施例部分の実施例1を参照のこと。
【0011】
錠剤の製造において、活性成分、希釈剤及び崩壊剤は、一般的には、当業者に周知のブレンダー(例えば、回転式ブレンダー、ビン型ブレンダー又はV−ブレンダー)を使用して一緒にブレンドされる。混合物中の活性成分の適切な分散は、種々の技術、例えばメッシュ篩に材料を断続的に通過させる予混合及び混合工程の組み合わせにより達成される。混合物を適切な滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)とブレンドする。
【0012】
活性成分は、一般的には、活性成分の効力に依存して、理論的に5%w/wの製剤については約4.5〜約5.5の総質量パーセントの量で存在する(例えば、90−110%の効力については、活性成分は4.55〜5.45wt%の量で存在し:95−105の効力については、4.9525〜5.0475%wt%の量で存在し:そして97−103%の効力については、4.9515〜5.485wt%の量で存在する)。
【0013】
錠剤含量に依存して、活性成分は、一般的に、活性成分の効力に依存して理論的に7.15%w/wの製剤については約6.44〜約7.87の総質量パーセントの量で存在する(例えば、90〜110%の効力については、活性成分は6.44〜7.87wt%の量で存在し:95〜105の効力については6.79〜7.51wt%で存在し:そして97〜103%の効力については6.936〜7.365wt%の量で存在する)。
【0014】
希釈剤は、製剤中に種々の比で存在し得る。適切な微結晶セルロース対ラクトース比としては、1:1、2:1、3:1、1:2又は1:3が挙げられ;好ましくは1:1又は2:1であり;より好ましくは2:1である。
【0015】
種々の市販等級の崩壊剤を製剤において使用し得る。好ましい崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。適切な等級のデンプングリコール酸ナトリウムとしてはGlycolys(登録商標)(Roquette America,Inc.,Keokuk,IAから入手可能)及びExplotab(登録商標)(JRS Pharma LP,Patterson,NYから入手可能)が挙げられる。
【0016】
崩壊剤は、一般的には錠剤コアの約1%〜約12%の量、好ましくは約1%〜約8%、より好ましくは約2%〜約6%の量で存在する。錠剤の製剤中の崩壊剤は、顆粒内に(造粒前に)及び/又は顆粒外に(打錠前の造粒に)添加することができる。崩壊剤の顆粒内添加は、錠剤からの活性成分の急速な溶解のために好ましい。
【0017】
滑沢剤は一般的には製剤成分として、又は加工助剤として添加される。好ましい滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。ステアリン酸マグネシウムは一般的には、約0.01%〜約2.0%総質量パーセント、好ましくは約0.1%〜約1.5%、より好ましくは約0.25%〜約1.5%、最も好ましくは約0.5%〜約1.0%の量で存在する。滑沢
剤は、顆粒外及び/又は顆粒内に添加することができる。好ましくは滑沢剤は顆粒外及び顆粒内のステアリン酸マグネシウムの混合物として添加される。例えば、顆粒内ステアリン酸マグネシウムは、ブレンドのロール圧密の間にロール表面への活性成分のスティッキングを低減するために添加され得;そして顆粒外ステアリン酸マグネシウムは、所望の錠剤特性を達成するための製剤成分として添加され得る。
【0018】
界面活性剤(例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール及びラウリル硫酸ナトリウム(SLS))、吸着性担体(例えば、カオリン及びベントナイト)、保存料、甘味料、着色剤、着香料(例えば、クエン酸、メントール、グリシン又はオレンジパウダー)、安定剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム又は酢酸)、分散剤、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)及びそれらの混合物のような他の添加剤も含まれ得る。典型的には、このような添加剤はコア質量の約10%以下のレベルで存在し;そして多くのこのような添加剤については、それらは典型的にはコア質量の約1%以下で存在する。
【0019】
混合物を直打しても乾式造粒(例えば、ロール圧密及び成形体の粉砕後に打錠してもよく)、好ましくは乾式造粒後である。例えば、ブレンドした混合物を圧密してリボン又は成形体とし、これを粉砕加工して顆粒にしてもよい。適切な乾式造粒装置としてはGerteis Minipactor又は3W Polygranローラーコンパクター(Gerteis Machines and Process Engineering AG,Jona,Switzerlandから入手可能)、TF−Miniロールコンパクター(Vector Corporation,Marion,IAから入手可能)、Alexanderwerk(Alexanderwerk Inc.,Horsham,PA)及びミルが挙げられる。当業者に周知の種々の錠剤プレス機が使用され得る。適切な錠剤プレス機としてはFette/Korschプレス機が挙げられる。
【0020】
圧縮後、水透過性光保護コーティングを、当業者によく知られた標準的手順を使用して錠剤コア上に被覆する。光保護層は一般的に、光散乱材料又は光吸収材料(例えば顔料(例えば、二酸化チタン))がその中に組み込まれているフィルム形成性材料を含有する。適切なフィルム形成性材料としては、当業者によく知られたあらゆる薬学的に許容しうるフィルム形成性ポリマー、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が挙げられる。フィルムコート組成物は、可塑剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ダイズレシチン、トリアセチン及びそれらの混合物を含んでもよい。適切な市販の光保護コーティング剤としては、Opadry(登録商標)II、Opaglos(登録商標)2、Opadry(登録商標)fxTM、及びOpadry(登録商標)AMB着色コーティング(Colorcon,Inc.,Chalfont,PAから入手可能)が挙げられる。好ましいコーティング剤としては、HPMCベースのコーティング、PVAベースのコーティング(Colorcon,Inc.から市販されているOpadry(登録商標)II−85F及び85Gグレード)が挙げられる。着色剤の例としては、酸化鉄、レーキ色素及び酸化鉄とレーキの組み合わせが挙げられる。適切な顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄及び黒酸化鉄、二酸化チタン及びタルク(白色)、FD&C Blue #2、及びYellow #6が挙げられる。錠剤の特徴を示すマーク又は識別を提供するために他の着色剤を加えてもよい。
【0021】
光保護被膜は、一般的には圧縮コア錠剤の約2質量%〜約5質量%の範囲、より好ましくは約3%〜約4%の範囲で存在する。
【0022】
光保護コーティングは、当業者によく知られた任意の手段(例えば、錠剤プレス機での圧縮、ディッピング、流動床コーティング、パンコーティング又はスプレーコーティング)を使用して圧縮コア上に被覆され得る。好ましくは、水性懸濁液を使用して層をパンコーティング又はスプレーコーティングして、薄くて一様なコーティングを得る。光保護被膜が存在する場合、光分解生成物はコーティングを施したいずれの錠剤においても検出されなかった;一方、コントロール(非コーティングコア錠剤)は、UV光に7日間曝した後には光分解生成物不純物を有していた。以下の実施例を参照のこと。結果として、光保護層の付加は、光分解を最少にするか排除するための特別な包装(例えば、不透明ビンでの貯蔵又はホイル包装への錠剤の封入)の必要性を低減する。
【0023】
光保護コーティングの内側又は外側に一つ又は複数の追加のコーティングを施すことが望ましい場合もある。一つ又は複数の追加のコーティングは好ましくは水に対して透過性である。このようなコーティング剤は、錠剤コアへの光保護コーティングの接着を改善するように、又はコアと光保護コーティングとの間に化学的バリアを与え、及び/若しくは物理的バリアとして作用するように機能し得る。外部コーティングは、製品識別及び販売に役立つように、そして口での感触及び嚥下性(swallowability)(錠剤の飲み込み易さ)を改善するように表面をきれいにするものであり得る。このようなコーティング剤は機能性、例えば、腸溶性コーティング(すなわち、消化管の特定の領域において溶解するように設計されたコーティング)でもあり得る。他の製品識別の特徴もまた、コーティングの表面に加えることができる。例としては、限定されないが、識別情報の印刷及びエンボス加工が挙げられる。追加のコーティングもまた、コア中と同じか又は異なる活性医薬成分を含有することができる。これにより組み合わせ薬物送達を提供し、及び/又は特定の薬物動態(例えば、拍動性)を可能にし得る。このようなコーティングは、適切な結合剤を用いて錠剤コア上にフィルムコーティングすることができる。
【0024】
錠剤は種々のやり方で包装し得る。一般的には、流通用の物品は錠剤を保持する容器を含む。適切な容器は当業者によく知られており、そして瓶(プラスチック及びガラス)、プラスチックバッグ、ホイルパックなどのような材料を含む。容器は、包装内容物への無分別なアクセスを防止するための不正開封防止用組み合わせ品(tamper−proof assemblage)並びに水分及び/又は酸素を排除するための手段(例えば、酸素吸収剤(例えばMultisorb Technologies Inc.,Buffalo,N.Y.,USAから入手可能なD Series FreshPax.TM.パケット、又はMitsubishi Gas Corporation,Tokyo,JPから入手可能なAgeles.TM.及びZPTJ.TM.サシェ剤))も含み得る。容器は典型的には、容器の内容物及び任意の適切な警告を記載するラベルがその上に付着されている。
【0025】
以下の実施例は、本発明の錠剤を説明する。本発明の一般的な概念を例示するために、具体的な方法及び特定の賦形剤が錠剤の製造において使用される。しかし、使用される方法及び特定の賦形剤が本発明の範囲を限定せず、そのように解釈すべきでないことを当業者は理解するだろう。
【実施例】
【0026】
以下の実験において使用される賦形剤は、対応する供給源から入手可能である。
【0027】
Avicel PH102(微結晶セルロース) FMC BioPolymer,Philadelphia,PA
Fast Flo(ラクトース一水和物) Foremost Farms USA,Rothschild,WI
無水第二リン酸カルシウム(DA) Rhodia,Cranbury,NJ
Pearlitol(登録商標)(マンニトール) Roquette Freres,Lestrem,France
ExplotabTM(デンプングリコール酸ナトリウム) JRS Pharma,
Patterson,NY
Glycolys(登録商標)(カルボキシメチルデンプンナトリウム) Roquette America,Inc.,Keokuk,IA
AcDiSolTM(架橋カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩) FMC BioPolymer,Philadelphia,PA
Klucel(登録商標)(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)) Hercules Incorporated,Aqualon Division,Wilmington,DE
ステアリン酸マグネシウム(植物起源) Mallinckrodt,Inc.,St.Louis,MO
White Opadry II(登録商標)(ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール及びタルク) Colorcon,Inc.,Chalfont,PA
実施例1は、種々の貯蔵条件(温度及び湿度)での貯蔵の際の不純物の形成に対する賦形剤の効果を実証する。
【0028】
実施例1
総錠剤質量に基づく指定されたパーセンテージで以下の表1に概略を示された賦形剤及び塩酸塩の形態の1%の活性成分(1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミド)を使用して、8つの異なる賦形剤ブレンドを調製した。希釈剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、DA、マンニトール)の比率を、活性成分の効力を補償するために調整した。
【0029】
【表1】

【0030】
乾式ブレンドを、上記の表Iに示される8つの試験ブレンドのそれぞれと1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの塩酸塩とを混合することにより調製し、そして圧縮した。成分間の適切な接触を確実にするために、5/16インチ平面パンチ及びダイスを備えたシングルステーションコンパクターで100ポンドの力で0.5秒間圧密することにより、個々の製剤ブレンドを成形体に圧縮して、100mgの成形体を製造した。
【0031】
8つの錠剤についての不純物を、5つの貯蔵条件で12週後に分析した:
(1)密閉容器中、相対湿度75%で5℃;
(2)開放容器中、相対湿度75%で40℃;
(3)密閉容器中、相対湿度75%で40℃;
(4)密閉容器中、相対湿度20%で50℃;及び
(5)開放容器中、相対湿度75%で50℃。
【0032】
分解物をHPLC―モデル:Waters 2695装置を使用して、以下の条件下で特定した:
カラム:Waters Symmetry C18(150×3.9mm、5μm粒径)
カラム温度:30℃
注入量:20μL
流量:1.0mL/分
検出:UV@215nm
移動相:A:20mM KH2PO4、100mM NaClO4、pH=3
B:MeOH
溶解溶媒:50/50:H2O/MeOH
【0033】
5つの異なる条件で12週後に観察された総不純物の概要を以下の表2に示す。
【表2】

【0034】
実施例1D及び1Hは、5つの貯蔵条件の全てにおいて12週間にわたって最も少ない量の総不純物を生じた。実施例1Cは実施例1D及び1Hにわずかに劣るが、無水第二リン酸カルシウム(DA)を含有する製剤よりはなお良好であった。無水第二リン酸カルシウムを含有する実施例は、無水第二リン酸カルシウムを含有していない製剤と比較した場合、いくつかの条件において有意に高い不純物を生じた。
【0035】
実施例2は、圧縮コアの表面上に光保護層を加えることの効果を例証する。
【0036】
実施例2
5mg及び25mgの錠剤含量に対応するコア錠剤を、以下の表3の組成物を使用して製造した。
【表3】

【0037】
これらのブレンドを、5%w/wのその塩酸塩形態の活性成分(1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミド(「API」という))の共通ブレンドからV−ブレンダー(Patterson Kelly、1ft3、10分、約25rpm)を使用して圧縮した。ブレンドを1.0mmスクリーンを備えたComil(Model 197)に通し、続いて10分ブレンドした(約25rpm)。混合物をステアリン酸マグネシウム(0.25%)と共に3分間混合することにより滑沢化した。このブレンドをローラー圧密により乾式造粒し(Gerteis Minipactor;5−7kNの力、4rpm)、続いて粉砕して0.8mmスクリーンに通した。顆粒を10分間Vブレンダーでブレンドし、そして顆粒外滑沢剤(0.5%ステアリン酸マグネシウム)と3分間混合することにより滑沢化した。ロータリー錠剤プレス機(Kilian T−100ロータリー錠剤プレス機)で顆粒を錠剤に圧縮した(5mg含量の1/4インチ標準円形凹形錠剤(目標:100mgサイズ、6〜10ニュートン錠剤硬度)及び25mg錠剤(直径13/32インチ標準凹形錠剤、500mgサイズ、約15〜25N錠剤硬度)。
【0038】
室温にて脱イオン水中に粉末として供給されるフィルムコート(80部の水に対して20部のOpadry IITM粉末)を分散させることにより調製されたOpadry IITM−85F(二酸化チタン顔料を含有する)で錠剤を被覆した。コア錠剤をコーティングパン(Vector−LDCS 20)で4%の質量増加になるまで懸濁液で被覆した。
【0039】
コア(非被覆)及びコーティングした錠剤サンプルを25℃及び相対湿度60%にて7日間光に曝露した(13ワット/m2のUV光及び8キロルクスの蛍光灯)。分解物レベルを、Waters HPLC(Model 2695)を使用して測定した。光分解物不純物レベルは、コントロール(0.05%以下)と比較して5mg及び25mg含量の錠剤においてそれぞれ0.33%及び0.18%であった。10mg及び20mgの含量の錠剤の製造方法は、5mg及び15mgの含量について概説した方法と本質的に同じである。
【0040】
実施例3は、1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの塩化水素塩及び光保護トップコートを含有する貯蔵に安定な、5mgA投与量の即時放出錠剤の製造を例証する。
【0041】
実施例3
微結晶セルロース(60.56単位)、1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの塩酸塩(5.36単位;93.3%の理論的効力に基づく)、ラクトース一水和物(30.33単位)及びデンプングリコール酸ナトリウム(3.00単位)をビン型ブレンダーに加え、そして12rpmで10〜20分間ブレンドした。次いで1.00mmスクリーンを備えたミルにブレンドを通過させ、ビン型ブレンダーに集め、そして12rpmで5〜15分間混合した。次いで顆粒内ステアリン酸マグネシウム(0.25単位)をこの混合物に加え、そしてさらに2〜5分間12rpmでブレンドさせた。滑沢化したブレンドをローラー圧密により造粒し(Gerteis Polygran 3W:4−10kN/cmの力;ギャップ2〜4mm、ロール速度4〜10rpm)、そして粉砕した(0.8〜1.00mmスクリーン)。顆粒をビン型ブレンダーに集めた。5〜15分間12rpmでブレンドした後、顆粒外ステアリン酸マグネシウム(0.50単位)をこのビン型ブレンダーに加えた。次いで滑沢化したブレンドをさらに2〜5分間12rpmでブレンドした。この混合物を、Korsch/Fette錠剤プレス機を使用して目標質量100mgW及び目標硬度8kPまで圧縮して、5mgA含量の錠剤にした。
【0042】
White Opadry II(登録商標)(4単位)を精製水(16単位)に加え、そして撹拌して均一な懸濁液(約20質量%の固形物)を生成させることにより光保護コーティングを調製した。次いで圧縮した錠剤を、穴あきコーティングパン(Glatt 750−1500)で45℃〜50℃の床温度、80℃の入口温度、及び45(〜55℃の出口温度にてOpadry懸濁液でコーティングした。次いでコーティングされた錠剤を室温まで放冷した。総錠剤目標質量は104mgであった。
【0043】
以下の実施例4は、4つの異なる含量で製造された錠剤を例証する。
【0044】
実施例4
5mg、10mg、15mg及び20mgの錠剤を実施例2に記載される手順と同じ手順及び以下に記載される配合を使用して製造した。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光保護層が上に被覆された圧縮コアを含む医薬錠剤であって、ここで該圧縮コアは、
(i)1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの薬学的に許容しうる塩;
(ii)微結晶セルロース、ラクトース一水和物又はマンニトールより選択される少なくとも1つの増量剤;
(iii)デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩より選択される崩壊剤;及び
(iv)ステアリン酸マグネシウムである滑沢剤
を含む、上記医薬錠剤。
【請求項2】
少なくとも1つの増量剤が微結晶セルロース及びラクトース一水和物であり、そして崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウムである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
微結晶セルロース及びラクトース一水和物が、約1:1又は約2:1の比で存在する、請求項2に記載の錠剤。
【請求項4】
微結晶セルロース及びラクトース一水和物が、約2:1の比で存在する、請求項3に記載の錠剤。
【請求項5】
1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの薬学的に許容しうる塩が、1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの塩酸塩である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の錠剤。
【請求項6】
光保護層が、圧縮コアの約3質量%〜約5質量%の範囲で存在する、請求項5に記載の錠剤。
【請求項7】
光保護層が、圧縮コアの約4質量%で存在する、請求項6に記載の錠剤。
【請求項8】
光保護層が上に被覆された圧縮コアを含む医薬錠剤であって、ここで該圧縮コアは、
(i)1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの塩酸塩;
(ii)約2:1の比の微結晶セルロース及びラクトース一水和物;
(iii)デンプングリコール酸ナトリウム;並びに
(iv)ステアリン酸マグネシウム;
を含み、該光保護層は該圧縮コアの約4質量%で存在する、上記医薬錠剤。

【公開番号】特開2008−94845(P2008−94845A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−266109(P2007−266109)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】